説明

伝送制御回路及びそれを備えた半導体記憶装置

【課題】信号を伝送する際の遅延の変動に対し、適切な出力タイミングを自動的に制御し、高速な伝送速度と不良の低減が可能な伝送制御回路を提供する。
【解決手段】本発明の伝送制御回路は、制御信号SMに同期して入力された信号を信号バスDBに伝送させ、制御信号SBに同期して出力する信号伝送回路20と、信号伝送回路20に制御信号SBを供給し、信号バスDBの出力タイミングを制御する出力制御回路14と、制御信号SMに基づく信号の入力タイミングに連動してレベルが遷移するレプリカ信号を、信号バスDBと同一の伝送特性を有するレプリカ信号バスRBに伝送させて出力するレプリカ回路30と、レプリカ信号のレベルの遷移を検知し検知結果を示すフィードバック信号SFを出力制御回路14に供給する検知回路34を備え、出力制御回路14の出力タイミングは、フィードバック信号SFにおけるレプリカ信号の遷移タイミングに応じて制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の信号を信号バスに伝送させる信号伝送回路を備えた伝送制御回路に関し、特に、所定の信号を信号バスに伝送させる際、レプリカ回路を用いてタイミング制御を行うように構成された伝送制御回路と、このような伝送制御回路を備えた半導体記憶装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体記憶装置においては、伝送制御回路により信号を伝送するタイミングが制御される。半導体記憶装置の大容量化により信号を伝送する信号バスの遅延が問題となるため、伝送制御回路の動作タイミングを規定する制御信号の遅延時間を適切に調節し、伝送遅延の大きい信号に対する十分なマージンを確保することが重要である。しかし、調節された遅延時間に基づく動作タイミングに対し、半導体記憶装置のデバイス特性や温度特性が変動する場合、相対的に伝送遅延が増減することによりマージンが不適切になることがある。すなわち、上記の動作タイミングに対し、信号バスの伝送遅延が相対的に小さくなるとオーバーマージンが生じて本来の伝送特性が得られなくなり、信号バスの伝送遅延が相対的に大きくなるとマージン不足が生じて適切な動作が保証されずに不良の増加が懸念される。
【0003】
DRAMのリード動作を例にとると、例えば、メモリアレイのリードデータを信号バスに伝送させて出力する際、その出力期間は適切な遅延時間が設定された制御信号のパルスにより制御される。このとき、デバイス特性や温度特性の変動により、伝送制御回路の動作タイミングと信号バスの伝送タイミングが一致しなくなるため、制御信号により設定された出力期間に伝送されたリードデータの外部出力に支障を来たし、DRAMの不良が増加する可能性がある。
【特許文献1】特開2006−12229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、従来からDRAMにおいては、特定の回路と同一の特性を有するレプリカ回路を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。よって、上記の伝送制御回路に対し、このようなレプリカ回路を構成することも可能である。しかしながら、従来のレプリカ回路の役割は特定の回路の機能を置き換えることにあるので、本来の伝送制御回路のタイミング制御自体を改善することは困難であり、上記の問題点を解消する手法は提案されていない。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、デバイス特性や温度特性が変動する状況下で、所定の信号を信号バスに伝送する際の遅延に対して出力タイミングを適切に制御することにより、伝送速度の高速化を保ち、かつ出力タイミングのマージン不足に起因する不良の発生を防止可能な伝送制御回路等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の伝送制御回路は、第1の制御信号に同期して入力された所定の信号を信号バスに伝送させ、第2の制御信号に同期して出力する信号伝送回路と、前記信号伝送回路に前記第2の制御信号を供給し、前記信号バスから前記所定の信号が出力される出力タイミングを制御する出力制御回路と、前記第1の制御信号に基づく前記所定の信号の入力タイミングに連動してレベルが遷移するレプリカ信号を、前記信号バスと同一の伝送特性を有するレプリカ信号バスに伝送させて出力するレプリカ回路と、前記レプリカ回路から出力された前記レプリカ信号におけるハイレベルとローレベルの遷移を検知し、検知結果を示すフィードバック信号を前記出力制御回路に供給する検知回路とを備え、前記出力制御回路の前記出力タイミングは、前記フィードバック信号において前記レプリカ信号の遷移が検知されるタイミングに応じて制御される。
【0007】
このように構成された本発明によれば、所定の信号を信号バスを介して伝送する信号伝送回路に対してレプリカ回路を併設し、両者が同様の伝送特性を保つようにし、所定の信号の入力タイミングに連動するレプリカ信号の遷移を検知回路により検知して出力制御回路にフィードバックし、これにより所定の信号の出力タイミングを制御する。よって、所定の信号を伝送する際、デバイス特性や温度特性の変動により制御信号の遅延時間が増減する場合であっても、レプリカ回路の機能により出力タイミングを適切に制御することができる。従って、伝送制御回路における出力タイミングのマージン不足による不良の発生を防止し、かつ過大なマージンを回避して高速な伝送速度を確保することが可能となる。
【0008】
本発明の伝送制御回路は、前記第1の制御信号に基づき、前記所定の信号の入力タイミングに連動してレベルが遷移する前記レプリカ信号を生成し、生成された前記レプリカ信号を前記レプリカ回路に出力するレプリカ信号生成回路をさらに備えていてもよい。
【0009】
本発明の前記信号伝送回路は、入力された前記所定の信号により前記信号バスを駆動する駆動回路と、前記信号バスを伝送された前記所定の信号を保持して前記第2の制御信号に応じて出力する出力バッファとを含めて構成し、かつ、前記レプリカ回路は、前記駆動回路及び前記出力バッファにそれぞれ対応する回路を含めて構成してもよい。
【0010】
本発明の前記検知回路は、前記レプリカ回路から出力された前記レプリカ信号が入力されるシュミットトリガインバータと、当該シュミットトリガインバータの出力レベルが反転するタイミングでパルスを発生する論理回路とを含めて構成してもよい。
【0011】
本発明の前記出力制御回路は、前記フィードバック信号によりリセットされるフリップフロップを含めて構成してもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の半導体記憶装置は、上述の伝送制御回路を備えて構成される。
【0013】
本発明の半導体記憶装置において、前記所定の信号は、データを記憶するメモリアレイから読み出されたリードデータとしてもよい。また、本発明の半導体記憶装置は、前記リードデータを増幅するメインアンプをさらに備えて構成し、前記第1の制御信号としてのメインアンプ起動信号に応じて、前記メインアンプが前記信号伝送回路に前記リードデータを出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、伝送制御回路を用いて所定の信号を伝送する場合、信号伝送回路とレプリカ回路を併設し、レプリカ信号の遷移をフィードバックして信号伝送回路の出力タイミングを適切に制御するので、信号伝送回路における動作タイミングの変動に対して自動的に追随する制御を実現することができる。すなわち、デバイス特性や温度特性の変動により、伝送制御信号における制御信号の遅延が変動する場合、これに追随するように所定の信号の出力タイミングを時間軸上で適切に制御することができる。よって、所定の信号を伝送する際、出力タイミングのマージン不足による不良の発生を防止するとともに、出力タイミングがオーバーマージンになって伝送速度が低下することを回避することができ、高性能かつ信頼性の高い伝送制御回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、半導体装置としてのDRAM(Dynamic Random Access Memory)において、本発明を適用した伝送制御回路を構成する場合を説明する。
【0016】
図1は、本発明の伝送制御回路が構成されるDRAMの要部構成を示すブロック図である。図1には、DRAMのリード動作に関わる回路ブロックとして、メモリアレイ10と、メインアンプ11と、ディレイ制御回路12、13と、バス制御部14と、レイテンシ制御部15と、DQ出力回路16と、ドライバ21から出力バッファ22の間にデータバスDBを構成したデータバス回路20と、入力回路23と、ドライバ31から出力バッファ32の間にレプリカデータバスRBを構成したレプリカ回路30と、レプリカ信号生成回路33と、検知回路34とが示されている。
【0017】
以上の構成において、メモリアレイ10は、データを保持可能な多数のメモリセルを含み、指定されたアドレスに対応する任意のメモリセルにアクセスすることができる。メインアンプ11は、メモリアレイ10のリード動作時に読み出されたデータを増幅して出力する。メモリアレイ10のリード動作は、図示しない制御回路から供給されるリード制御信号SCに基づき制御される。図1に示すように、リード制御信号SCはディレイ回路12、13によりタイミングを調整され、ディレイ制御回路12から出力されるカラム選択信号YSがメモリアレイ10に供給されるとともに、ディレイ制御回路13から出力されるメインアンプ起動信号SM(本発明の第1の制御信号)がメインアンプ11に供給される。
【0018】
データバス回路20(本発明の信号伝送回路)には、メインアンプ11から出力されるリードデータ(本発明の所定の信号)が、メインアンプ起動信号SMに連動して入力回路23を介して入力される。リードデータはドライバ21(本発明の駆動回路)により駆動されてデータバスDB(本発明の信号バス)を伝送し、後述の出力制御信号SB(本発明の第2の制御信号)に基づき制御される出力タイミングで出力バッファ22を介して出力される。なお、入力回路23、ドライバ21、出力バッファ22の各構成については後述する。データバス回路20から出力されたリードデータは、レイテンシ制御部15により制御されたタイミングに従ってDQ出力回路16に転送され、DQ出力として外部に出力される。
【0019】
一方、レプリカ回路30は、データバス回路20と共通の構成を備え、上記のドライバ21に対応するドライバ31と、上記のデータバスDBに対応するレプリカデータバスRB(本発明のレプリカ信号バス)と、上記の出力バッファ22に対応する出力バッファ32により構成される。レプリカ回路30の入力側に設けられたレプリカ信号生成回路33は、メインアンプ起動信号SMに連動してレベルが遷移するレプリカ信号を生成する。レプリカ信号生成回路33から出力されるレプリカ信号はドライバ31により駆動されてレプリカデータバスRBを伝送し、出力バッファ32を介して出力される。なお、レプリカ信号生成回路33、ドライバ31、出力バッファ32の各構成については後述する。
【0020】
ここで、レプリカデータバスRBは、データバスDBと同一の伝送特性を持たせる必要があるので、配線形状や線路長が概ね等しくなるように形成され、レプリカデータバスRBとデータバスDBにおける浮遊容量等の特性も共通である。また、ドライバ21、31の構成と出力バッファ22、32の構成も共通であるため伝送遅延も一致し、例えば、伝送される信号がハイレベルとローレベルの間を遷移する時間もほぼ等しくなる。
【0021】
図1において、検知回路34は、レプリカ回路30を経由して出力されるレプリカ信号を入力し、そのレベルの遷移を検知する。検知回路34は、検知結果に対応したパルスを有するフィードバック信号SFを出力する。図1に示すように、検知回路34のフィードバック信号SFは、バス制御部14(本発明の出力制御回路)に供給され、バス制御部14においてフィードバック信号SFに基づき変化する出力制御信号SBが生成される。すなわち、データバス回路20におけるリードデータの出力タイミングは、レプリカ回路30の伝送動作を反映したものとなる。
【0022】
次に、図1に示す要部構成のうち、主な構成要素の具体的な回路構成について図2〜図4を参照して説明する。図2は、図1のデータバス回路20及び入力回路23を含む部分の回路構成例を示している。図2に示すように、入力回路23は、NORゲートG1とNANDゲートG2とにより構成される。NORゲートG1は、リードデータDrが一端に入力され、メインアンプ起動信号SMの反転信号が他端に入力される。NANDゲートG2は、リードデータDrが一端に入力され、メインアンプ起動信号SMが他端に入力される。
【0023】
ドライバ21は、電源とグランドの間の直列接続されたP型のMOSトランジスタQ1及びN型のMOSトランジスタQ2から構成される。MOSトランジスタQ1のゲートにはNORゲートG1の出力の反転信号が接続され、MOSトランジスタQ2のゲートにはNANDゲートG2の出力が接続される。MOSトランジスタQ1、Q2の間のノードは、データバスDBの入力側に接続されている。かかる接続により、メインアンプ起動信号SMが1のときは、リードデータDrのレベルに応じて2つのトランジスタQ1、Q2のオン、オフが切り替わり、入力されたリードデータDrに対応するリードデータD1がデータバスDBに伝送される。これに対し、メインアンプ起動信号SMが0のときは、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンに固定されるので、データバスDBが常にハイに保たれ、リードデータDrは伝送されない。
【0024】
出力バッファ22は、データバスDBの出力側に接続されたトランスファーゲートT1と、インバータI1とから構成される。トランスファーゲートT1の2つの制御端子には、出力制御信号SBと、インバータI1を介した出力制御信号SBの反転信号が接続され、これにより導通状態が制御される。出力制御信号SBが0のときは、トランスファーゲートT1が遮断状態となってデータバスDBを伝送するリードデータD1は出力されない。一方、出力制御信号SBが1のときは、トランスファーゲートT1が導通状態となってデータバスDBを伝送するリードデータD1は、レイテンシ制御部15に出力される。
【0025】
次に図3は、図1のレプリカ回路30及びレプリカ信号生成回路33を含む部分の回路構成例を示している。図3に示すように、レプリカ信号生成回路33は、インバータ41と、トライステートインバータ42、44と、ラッチ回路43、45がリング状に多段接続されて構成される。インバータ41の出力側のトライステートインバータ42は、メインアンプ起動信号SMの反転信号により導通制御され、2つのラッチ回路43、45の間のトライステートインバータ44は、メインアンプ起動信号SMにより導通制御される。ラッチ回路43、45は、それぞれ逆向きに並列接続された一対のインバータからなる。前段のラッチ回路43はトライステートインバータ42の出力データを保持し、後段のラッチ回路45はトライステートインバータ44の出力データを保持する。インバータ41には、ラッチ回路45から出力されるレプリカ信号SRが入力される。
【0026】
図3の構成において、メインアンプ起動信号SMが0のときは、トライステートインバータ42が導通し、トライステートインバータ44がハイインピーダンスになる。よって、レプリカ信号SRがインバータ41とトライステートインバータ42を経由してラッチ回路43に保持される。一方、メインアンプ起動信号SMが1のときは、トライステートインバータ42がハイインピーダンスとなり、トライステートインバータ44が導通する。よって、ラッチ回路43の保持データがトライステートインバータ44を経由してラッチ回路45に保持される。従って、メインアンプ起動信号SMの1周期分の切り替わりにより、レプリカ信号SRのレベルは、0から1、あるいは1から0に遷移する。
【0027】
ドライバ31は、図2のドライバ21と同様、電源とグランドの間の直列接続されたP型のMOSトランジスタQ3及びN型のMOSトランジスタQ4から構成される。2つのMOSトランジスタQ3、Q4の各ゲートには、レプリカ信号生成回路33から出力されたレプリカ信号SRが接続され、MOSトランジスタQ3、Q4の間のノードは、レプリカデータバスRBの入力側に接続されている。かかる接続により、ドライバ31に入力されたレプリカ信号SRが反転され、レプリカデータD2(本発明のレプリカ信号)としてレプリカデータバスRBを伝送される。このレプリカデータD2は、データバスDBを伝送するリードデータD1の変化に連動してレベルが遷移する。
【0028】
出力バッファ32は、レプリカデータバスRBの出力側に接続されたトランスファーゲートT2から構成される。トランスファーゲートT2の2つの制御端子は電源とグランドに接続され、常に導通状態となるように制御される。よって、レプリカデータバスRBを伝送するレプリカデータD2は、トランスファーゲートT2を介して検知回路34に出力される。
【0029】
次に図4は、図1の検知回路34及びバス制御部14を含む部分の回路構成例を示している。図4に示すように、検知回路34は、シュミットトリガインバータ50と、遅延素子51、52と、NORゲートG10と、NANDゲートG11と、インバータI10と、EXORゲートG12から構成される。検知回路34に入力されたレプリカデータD2は、レプリカデータバスRBの伝送特性により緩やかな波形変化を有する。よって、ヒシテリシスを有するシュミットトリガインバータ50は、レプリカデータD2を整形して反転し、信号Stを出力する。
【0030】
NORゲートG10は、上記の信号Stが一端に入力され、遅延素子51を介して信号Stを遅延させた信号が他端に入力される。また、NANDゲートG11は、上記の信号Stが一端に入力され、遅延素子52を介して信号Stを遅延させた信号が他端に入力される。NORゲートG10から出力される信号Sxは、レプリカデータD2が0から1に変化するタイミングでパルスを発生する。一方、NANDゲートG11からインバータI10を介して出力される信号Syは、レプリカデータD2が1から0に変化するタイミングでパルスを発生する。それぞれのパルス幅は、遅延素子51、52の遅延量に基づき適切に調整されている。
【0031】
そして、EXORゲートG12は、上記の信号Sx及び信号Syの排他的論理和をとってフィードバック信号SFとして出力する。従って、フィードバック信号SFには、レプリカデータD2が0と1の間を遷移するタイミングにおいて発生するパルスが含まれる。この場合、上述したように、メインアンプ起動信号SMのパルスが出力された後、それに連動してレプリカデータD2のレベルが遷移し、所定時間遅れてフィードバック信号SFのパルスが出力される。
【0032】
一方、バス制御部14は、遅延素子53とフリップフロップ54から構成される。遅延素子53に入力されたリード制御信号SCは所定時間遅延された後、フリップフロップ54のセット端子(S)に入力される。また、検知回路34からのフィードバック信号SFは、フリップフロップ54のリセット端子(R)に入力される。フリップフロップ54の出力端子(Q)からは、上述の出力制御信号SBが出力される。よって、後述するように、出力制御信号SBは、リード制御信号SCのパルスに追随して立ち上がり、かつフィードバック信号SFのパルスに追随して立ち下がるように制御される。
【0033】
次に、本実施系形態のDRAMの動作について図5及び図6を参照して説明する。図5は、DRAMのリード動作において、図1の要部構成に基づく第1の信号波形図である。図5の最上部には、図1各部の動作の基準として用いられる所定周期のクロックの波形が示されている。まず、1回のリード動作の実行を制御する際、クロックの周期に連動してリード制御信号SCの1つのパルスが出力され、続いて、メモリアレイ10に供給されるカラム選択信号YSの1つのパルスが出力される。
【0034】
なお、図5においては、リード制御信号SCやカラム選択信号YSは、クロックの1周期に対して相対的に短いパルス幅を有する例を示している。このような状態は、DRAMのデバイスばらつきや温度変動等により生じる可能性がある。メインアンプ起動信号SM、出力制御信号SB、フィードバック信号SFについても、同様に短いパルス幅となっている。
【0035】
カラム選択信号YSのパルスに連動して、メモリアレイ10の選択されたメモリセルのデータDmがセンスアンプを経由して読み出され、そのレベルが徐々に変化する。次いでメインアンプ11に供給されるメインアンプ起動信号SMのパルスが出力される。これにより、データDmはメインアンプ11と入力回路23を経由してデータバス回路20に送られる。このとき、データバスDBを伝送されるリードデータD1のレベルは、伝送特性に応じて緩やかに遷移する。一方、メインアンプ起動信号SMは、レプリカ信号生成回路33にも供給されるので、上述の動作によりレプリカ信号SRがレプリカ回路30に送られる。そして、レプリカデータバスRBを伝送されたレプリカデータD2のレベルが緩やかに変化する。上述したように、リードデータD1の変化に対し、レプリカデータD2のレベルが共通のタイミングで遷移する。
【0036】
上記の動作は、クロックの周期ごとに繰り返される。図5の例では、リードデータD1が、ロー、ハイ、ローの順で変化する場合を示しているので、リードデータD1の変化に追随するレプリカデータD2は2箇所でレベルが遷移している。そして、検知回路34により、レプリカデータD2のレベルの遷移が検知され、対応するパルスを有するフィードバック信号SFが生成される。このフィードバック信号SFがバス制御部14にフィードバックされ、所定のタイミングでフリップフロップ54がリセットされる。その後、レイテンシ制御部15を経由し、クロックの立ち上がりタイミングt3で、DQ出力回路16からのDQ出力の転送が開始される。
【0037】
図5に示すように、本来のパルス幅の場合に立ち下がるタイミングt1で出力制御信号SBはハイを維持し、それより後のタイミングt2で出力制御信号SBが立ち下がる。タイミングt1においては、データバスDBを伝送されるリードデータD1が不安定であるのでリード不良となる可能性がある。これに対応して本実施形態では、リードデータD1が安定するタイミングt2まで、データバスDBの出力期間の終期を遅らせるように制御する。よって、データバスDBに対し、拡大された出力期間Taが設定されるので、適切なマージンを確保することができ、リードデータD1を安定に読み出すことができる。
【0038】
次に図6は、DRAMのリード動作において、図1の要部構成に基づく第2の信号波形図である。図6に示される各信号は、図5と同様である。ただし、図6においては、各信号が、クロックの1周期に対して相対的に長いパルス幅を有する例を示している。すなわち、DRAMのデバイスばらつきや温度変動等の影響が、図5とは逆となるケースを想定している。
【0039】
リード制御信号SC、カラム選択信号YS、メインアンプ起動信号SMは、それぞれ図5と同様の変化の方向となるが、変化のタイミングは異なる。そして、上述の動作に従って、レプリカデータD2のレベルはリードデータD1の変化に連動して遷移するとともに、対応するパルスを有するフィードバック信号SFが生成され、バス制御部14にフィードバックされる。
【0040】
図6においては、図5とは異なり、本来のパルス幅の場合に立ち下がるタイミングt4よりも前のタイミングt5で出力制御信号SBが立ち下がる。タイミングt4は、データバスDBを伝送されるリードデータD1の安定に要する時間に対しオーバーマージンとなる。これに対応して本実施形態では、リードデータD1が安定するタイミングt5まで、データバスDBの出力期間の終期を早くするように制御する。よって、データバスDBに対し、縮小された出力期間Tbが設定されるので、オーバーマージンを解消し、リードデータD1を高速に読み出すことができる。
【0041】
以上の実施形態では、DRAMのリード動作に関わる回路ブロックにおいて本発明を適用する場合を説明したが、他の機能に関わる回路ブロックにおいて本発明を適用することも可能である。以下、本実施形態の変形例として、本発明の伝送制御回路をDRAMのカラム制御に関わる回路ブロックに構成した場合を説明する。図7は、本変形例に係るDRAMの要部構成を示すブロック図である。図7には、DRAMのカラム制御に関わる回路ブロックとして、救済回路60と、YSプリデコーダ61と、レプリカ救済回路62と、検知回路63と、YS制御部64とが示されている。
【0042】
図7の構成において、救済回路60は、メモリアレイ10の不良を冗長回路により救済する回路であり、入力されたアドレスに基づきメモリアレイ10の不良の有無を示す救済ヒット信号S1を生成する。救済回路60から出力された救済ヒット信号S1は、信号バスBsを伝送されてYSプリデコーダ61に入力される。YSプリデコーダ61は、信号バスBsを介して入力された救済ヒット信号S1に基づき、メモリアレイ10に供給すべきカラム選択信号YSを生成する。YSプリデコーダ61におけるカラム選択信号YSの出力タイミングは、YS制御部64から供給される出力制御信号SBに基づき制御される。
【0043】
一方、レプリカ救済回路62は、救済回路60と同様に動作するように構成され、入力されたアドレスに基づき、上述の救済ヒット信号S1の変化に連動してレベルが変化するレプリカ救済ヒット信号S2を生成する。レプリカ救済回路62から出力されたレプリカ救済ヒット信号S2は、上述の信号バスBsと同一の伝送特性を有するレプリカ信号バスBrを伝送されて検知回路63に入力される。検知回路63は、上述の検知回路34と同様、レプリカ救済ヒット信号S2のレベルの遷移を検知し、検知結果に対応したパルスを有するフィードバック信号SFを出力する。このフィードバック信号SFがYS制御部64にフィードバックされ、出力制御信号SBによる出力タイミングが制御される。
【0044】
図8は、本変形例のDRAMの動作において、図7の要部構成に基づく信号波形図を示している。図8の上部には、所定周期のクロックと図7のアドレスのそれぞれの波形が示されている。クロックの各周期でアドレスが入力されると、対応する救済ヒット信号S1が生成される。救済ヒット信号S1の変化に連動して、レプリカ救済ヒット信号S2のレベルがハイレベルとローレベルを交互に遷移した後、対応するカラム選択信号YSが出力される。このとき、図8に点線で示すように、救済ヒット信号S1の出力タイミングに時間Tcの遅延が生じる場合、これに連動してレプリカ救済ヒット信号S2の遷移も時間Tcの遅延が生じる。よって、検知回路63とYS制御部64の動作により、YSプリデコーダ61からのカラム選択信号YSの出力タイミングが時間Tcだけ遅延するので、出力動作の適切なマージンが確保される。
【0045】
以上説明したように、本発明の伝送制御回路は、多様な目的に利用することができる。
本実施形態及びその変形例に示した構成は、本発明の伝送制御回路を適用可能な応用例であって、これ以外の構成において、所定の信号を信号バスに伝送させる際に出力タイミングを適切に制御する場合、広く本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態のDRAMの要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1のデータバス回路20及び入力回路23を含む部分の回路構成例を示す図である。
【図3】図1のレプリカ回路30及びレプリカ信号生成回路33を含む部分の回路構成例を示す図である。
【図4】図1の検知回路34及びバス制御部14を含む部分の回路構成例を示す図である。
【図5】本実施形態のDRAMのリード動作において、図1の要部構成に基づく第1の信号波形図である。
【図6】本実施形態のDRAMのリード動作において、図1の要部構成に基づく第2の信号波形図である。
【図7】本実施形態の変形例に係るDRAMの要部構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態の変形例に係るDRAMの動作において、図7の要部構成に基づく信号波形図である。
【符号の説明】
【0047】
10…メモリアレイ
11…メインアンプ
12、13…ディレイ制御回路
14…バス制御部
15…レンテンシ制御部
16…DQ出力回路
20…データバス回路
21、31…ドライバ
22、32…出力バッファ
23…入力回路
30…レプリカ回路
33…レプリカ信号生成回路
34…検知回路
41…インバータ
42、44…トライステートインバータ
43、45…ラッチ回路
50…シュミットトリガインバータ
51、52、53…遅延素子
54…フリップフロップ
60…救済回路
61…YSプリデコーダ
62…レプリカ救済回路
63…検知回路
64…YS制御部
T1、T2…トランスファーゲート
Q1、Q2、Q3、Q4…MOSトランジスタ
G1、G10…NORゲート
G2、G11…NANDゲート
G12…EXORゲート
I10…インバータ
DB…データバス
RB…レプリカデータバス
SC…リード制御信号
YS…カラム選択信号
SM…メインアンプ起動信号
SB…出力制御信号
SF…フィードバック信号
D1…リードデータ
D2…レプリカデータ
Bs…信号バス
Br…レプリカ信号バス
S1…救済ヒット信号
S2…レプリカ救済ヒット信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御信号に同期して入力された所定の信号を信号バスに伝送させ、第2の制御信号に同期して出力する信号伝送回路と、
前記信号伝送回路に前記第2の制御信号を供給し、前記信号バスから前記所定の信号が出力される出力タイミングを制御する出力制御回路と、
前記第1の制御信号に基づく前記所定の信号の入力タイミングに連動してレベルが遷移するレプリカ信号を、前記信号バスと同一の伝送特性を有するレプリカ信号バスに伝送させて出力するレプリカ回路と、
前記レプリカ回路から出力された前記レプリカ信号におけるハイレベルとローレベルの遷移を検知し、検知結果を示すフィードバック信号を前記出力制御回路に供給する検知回路と、
を備え、前記出力制御回路の前記出力タイミングは、前記フィードバック信号において前記レプリカ信号の遷移が検知されるタイミングに応じて制御されることを特徴とする伝送制御回路。
【請求項2】
前記第1の制御信号に基づき、前記所定の信号の入力タイミングに連動してレベルが遷移する前記レプリカ信号を生成し、生成された前記レプリカ信号を前記レプリカ回路に出力するレプリカ信号生成回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の伝送制御回路。
【請求項3】
前記信号伝送回路は、入力された前記所定の信号により前記信号バスを駆動する駆動回路と、前記信号バスを伝送された前記所定の信号を保持して前記第2の制御信号に応じて出力する出力バッファとを含み、
前記レプリカ回路は、前記駆動回路及び前記出力バッファにそれぞれ対応する回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の伝送制御回路。
【請求項4】
前記検知回路は、前記レプリカ回路から出力された前記レプリカ信号が入力されるシュミットトリガインバータと、当該シュミットトリガインバータの出力レベルが反転するタイミングでパルスを発生する論理回路とを含むことを特徴とする伝送制御回路。
【請求項5】
前記出力制御回路は、前記フィードバック信号によりリセットされるフリップフロップを含むことを特徴とする請求項1に記載の伝送制御回路。
【請求項6】
請求項1に記載の伝送制御回路を備える半導体記憶装置。
【請求項7】
前記所定の信号は、データを記憶するメモリアレイから読み出されたリードデータであることを特徴とする請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記リードデータを増幅するメインアンプをさらに備え、前記第1の制御信号としてのメインアンプ起動信号に応じて、前記メインアンプが前記信号伝送回路に前記リードデータを出力することを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−193173(P2009−193173A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31103(P2008−31103)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【出願人】(000233169)株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ (327)
【Fターム(参考)】