伝送装置、伝送方法及び伝送システム
【課題】ネットワークのスケーラビリティを向上させる。
【解決手段】現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、前記現用回線での障害を検出し、前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する。
【解決手段】現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、前記現用回線での障害を検出し、前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置、伝送方法及び伝送システムに関する。前記伝送システムには、例えば、現用回線(現用パス)及び予備回線(予備パス)をそなえた伝送システムが含まれる。
【背景技術】
【0002】
広域イーサネット(登録商標)サービスを提供する技術として、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1ah PBB(Provider Backbone Bridge)や、IEEE802.1Qay PBB−TE(PBB-Traffic Engineering)がある。
PBBは、ユーザのイーサネット(登録商標)フレームをMAC−in−MAC方式でカプセル化して中継する方式であり、IEEE802.1ahで標準化されている。なお、MAC−in−MAC方式は、MAC(Media Access Control)フレームをMACフレームでカプセル化して伝送するイーサネット(登録商標)技術である。
【0003】
・PBB方式のネットワーク
ここで、図1にPBB方式のネットワーク構成の一例を示す。
この図1に示すように、ネットワーク100は、例示的に、PBN(Provider Bridged Network)200とPBBN(Provider Backbone Bridged Network)300とを有する。PBN200は、IEEE802.1adで標準化されているネットワークの1つである。また、PBBN300は、PBB方式のネットワークであり、PBN200を収容、接続するバックボーンネットワークである。
【0004】
PBBN300は、エッジ装置(エッジノード)であるBEB(Backbone Edge Bridge)400と、中継装置(中継ノード)であるBCB(Backbone Core Bridge)500とを有する。BCB500は、BEB400が受信したユーザフレームを他のBCB500またはBEB400へ中継する。
上記MAC−in−MAC方式では、PBBN300内において有効なアドレス情報(例えば、MACアドレス)でユーザフレームをカプセル化して伝送する。これにより、PBBN300内の各ノード400,500は、PBBN300のエッジ(出入り口)に位置するBEB400のMACアドレスを学習することにより、ユーザフレームの伝送を行なうことが可能となる。
【0005】
このため、BEB400は、例えば、他のネットワーク(PBN200,PBBN300など)から受信したユーザフレームをMACフレームでカプセル化して、PBBN300の網内へカプセル化されたユーザフレーム(以下PBBフレームという)を転送する機能を有する。また、BEB400は、例えば、BCB500から受信したPBBフレームをデカプセル化して、他のネットワーク(PBN200,PBBN300など)へデカプセル化により抽出されたユーザフレームを転送する機能を有する。
【0006】
さらに、BCB500は、例えば、BEB400または他のBCB500から受信したPBBフレームを、当該PBBフレームに設定されたバックボーン宛先MACアドレス(Backbone-Destination MAC Address、B−DA)及び経路識別用のBackbone VLAN ID(B−VID)に基づき、適切な方路へ転送(ブリッジング)する。
・PBBフレームフォーマット
ここで、図2にPBBフレームフォーマットの一例を示す。
【0007】
この図2に示すように、PBBでは、4バイトのS−TAG,4バイトのC−TAG,2バイトのEtherType,可変長(または固定長)のPayload及び2バイトのFCSを有するフレーム(ユーザデータ)が、18バイトのI−TAG(Backbone Service Instance TAG),4バイトのB−TAG(Backbone VLAN TAG),6バイトのB−DA(B-MAC DA)及び6バイトのバックボーン送信元MACアドレス(Backbone-Source MAC Address、B−SAまたはB-MAC SA)でカプセル化される。なお、S−TAGは、サービスVLANタグ(Service VLAN TAG)を示し、EtherTypeは、イーサネット(登録商標)の種別を示す。また、FCSは、フレーム誤り検出(Frame Check Sequence)用の情報ビットである。
【0008】
B−SAは、PBBフレームの送信元アドレス情報であり、例えば、PBBN300への入口に位置するBEB(Ingress BEB、IBEB)400のMACアドレスを用いることができる。また、B−DAは、PBBフレームの送信先アドレス情報であり、例えば、PBBN300の出口に位置するBEB(Egress BEB、EBEB)400のMACアドレスを用いることができる。
【0009】
B−TAGは、IEEE802.1adで規定されるS−TAGと同一のフォーマットを有し、2バイトのB−TAG TPID(Tag Protocol Identifier)と2バイトのB−TAG TCI(Tag Control Information)とで構成される。B−TAG TCIには12ビットのB−VIDが含まれる。
一方、I−TAGは、タグの種類を識別する2バイト(16ビット)のI−TAG TPID,16バイト(128ビット)のI−TAG TCIとで構成される。I−TAG TPIDは、タグ・プロトコル識別子である。I−TAG TCIは、3ビットのI−PCP(Priority Code Point、優先度コード・ポイント),1ビットのI−DEI(Drop Eligible Indication、優先廃棄識別),1ビットのUCA(User Customer Address、ユーザカスタマーアドレス),3ビットのRes(Reserved、予約領域),24ビットのI−SID(Service Instance Identifier、サービス・インスタンスID)及び前述の各48ビットのユーザMACアドレス(C-MAC DA,C-MAC SA)により構成される。なお、上記のI−TAG TPID及びB−TAG TPIDには、例えば、IEEEで規定されているデフォルト値として、「0x88e7」及び「0x88a8」がそれぞれ設定される。
【0010】
IEEE802.1adでは、12ビットのVLAN−ID(B−VID)によりユーザを識別していたが、IEEE802.1ah PBBでは、24ビットのI−SIDを使用することにより、最大で224(約1600万)のユーザを識別することが可能となっている。
・ESP〔Ethernet(登録商標) Switched Path〕の設定例
また、PBBの拡張として、PBB−TEが、IEEE802.1Qayで標準化されている。ここで、TEとは、トラフィックの経路制御技術を表し、ネットワークリソースを最適化し、トラフィックの転送効率を向上させることを目的とする技術である。
【0011】
上記PBB−TEの特徴として、例えば、PBBフレームフォーマットを用いたユーザフレーム中継、MACアドレスの学習不要、宛先不明フレームの破棄、片方向パス(ESP)の形成などがある。
PBB−TE方式の網内の伝送装置(BEB400,BCB500)は、例えば、PBB方式と同様、PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAに基づいて、当該PBBフレームの転送経路を決定する。例えば、BEB400及びBCB500は、自局400,500が有するフィルタリングデータベース(Filtering DataBase、FDB)に登録された静的な経路情報(例えば、ESPに関する情報)に基づいて、PBBフレームを転送することができる。なお、FDBに登録される経路情報は、予め登録された静的な情報であり、動的には学習されない場合がある。
【0012】
ESPは、例えば、B−VID,B−DA及びB−SAに基づいて識別される。これにより、1組のBEB400間(即ち、B−DA及びB−SAの組み合わせが同一)においても、B−VIDを変更することにより、複数のESPを区別して確立することが可能となる。
ここで、図3にESPの設定の一例を示す。
【0013】
この図3に示すネットワーク100は、BEB400−1〜400−3と、BCB500−1〜500−4とをそなえ、各ESPは、例示的に、BEB400−1(B−MAC SA=X)を始点としている。
図3中に示す4本のESP(各破線矢印を参照)は、同一のBEB400−1を始点としているので、各ESPに設定されるB−SAは全てBEB400−1のMACアドレス「X」である。
【0014】
また、BEB400−2(MACアドレス:Y)を終点とする2本のESPに設定されるB−DAはいずれも「Y」であり、BEB400−3(MACアドレス:Z)を終点とする2本のESPに設定されるB−DAはいずれも「Z」である。
さらに、BEB400−1,BCB500−1,500−2,BEB400−2を経由するESPにはB−VID=7が設定され、BEB400−1,BCB500−1,50−4,BEB400−2を経由するESPにはB−VID=8が設定されている。
【0015】
また、BEB400−1,BCB500−1,500−4,BEB400−3を経由するESPにはB−VID=7が設定され、BEB400−1,BCB500−3,500−4,BEB400−3を経由するESPにはB−VID=8が設定されている。
このように、各ESPのB−SA及びB−DAが同一であっても、互いに異なるB−VIDが設定されることにより、各ESPは、ネットワーク100上で別個のESPとして認識され得る。
【0016】
・PBB−TEのプロテクション方法
ところで、ESPを構成する各伝送装置400,500間の経路において障害が検知されると、例えば、フレームの転送経路を現用パス(Working Path)から予備パス(Protection Path)へ切り替える制御(プロテクション)が行なわれる。
PBB−TEのプロテクション方法としては、例えば、IEEE802.1Qayにおいて、パスプロテクション方式が検討されている。
【0017】
図4にパスプロテクション方式の一例を示す。
この図4に示すPBB−TE網600は、例示的に、BEB400−1(N1),400−2(N5),400−3(N8)と、BCB500−1(N2),500−2(N3),500−3(N4),500−4(N6),500−5(N7)とをそなえる。
また、このPBB−TE網600では、例えば、現用パスとして、N1,N2,N3,N4,N5を経由するESPが設定されるとともに、予備パスとして、N1,N2,N6,N7,N4,N5を経由するESPが設定される。
【0018】
PBB−TE網600において、現用パスを用いてフレームを転送する場合、N1は、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)から受信したユーザフレームを図2に示すPBBフレームフォーマットでカプセル化し、次のノード(N2)へ転送する。N1からPBBフレームを受信したN2は、当該PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAと自局(N2)が保持するFDBとに基づき、PBBフレームを現用パス上の次のノード(N3)へ転送する。N3及びN4においても、N2と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは現用パス上の次のノード(N4,N5)へ転送される。
【0019】
そして、N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームに設定されたB−DAと自局(N5)のMACアドレスとが一致することを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。N5により抽出されたユーザフレームは、例えば、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ送出される。
一方、例えば、N2とN3との間の経路で障害(回線断など)が発生した場合、N2は、障害を検出し、N1にその旨を通知する。N2から障害を通知されたN1は、PBBフレームのB−VIDを変更する(書き換える)ことにより、フレーム伝送経路を現用パス(現用ESP)から予備パス(予備ESP)へ切り替える制御を行なう。
【0020】
現用パス及び予備パスのB−SA及びB−DAには同じ値(例えば、N1のMACアドレス及びN5のMACアドレス)が設定されているので、現用パスと予備パスとを別個のパスとして識別(区別)するために、B−VIDの値に異なる値が設定されるのである。
N1によりPBBフレームのB−VIDの値が変更されると、N1は、変更したB−VIDの値とFDBとに基づき、PBBフレームを予備パス上の次のノード(N6)へ転送する。なお、FDBには、例えば、変更されたB−VIDに対応するパスとして予備パスが設定されている。N6,N7及びN4においても、N1と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは予備パス上の次のノード(N7,N4,N5)へ転送される。
【0021】
そして、N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームに設定されたB−DAと自局(N5)のMACアドレスとが一致することを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。N5により抽出されたユーザフレームは、例えば、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ送出される。
以上のように、パスプロテクション方式では、伝送装置間のある経路にて障害が発生した場合、障害を通知されたIBEB400−1(N1)が、PBBフレームのB−VIDの値を変更して、PBBフレームの伝送経路を切り替えることができる。これにより、PBBフレームは、障害が発生した区間を迂回し、伝送されることが可能となる。
【0022】
一方、ITU−T G.8031においては、PBB−TEのプロテクション方法として、セグメントプロテクション方式が検討されている。
図5にセグメントプロテクション方式の一例を示す。
この図5に示すように、例えば、N2とN3との間の経路で障害が発生した場合、セグメントプロテクション方式では、障害を検知した装置(例えば、N2)が、PBBフレームのB−VIDを変更することにより、その障害が発生した経路(障害セグメント)を迂回する予備のパス(図5では、N2,N6,N7,N3を経由するパス)へPBBフレームを転送する。
【0023】
また、障害が発生した経路の終端側のノード(例えば、N3)が、N2により変更されたB−VIDを元に戻すことにより、N3,N4,N5を経由するパス(現用パスの一部)へPBBフレームを転送することもできる。
上述したパスプロテクション方式では、IBEB400−1で経路切り替え制御を行なうため、障害発生の時点からIBEB400−1に障害が通知されるまでの間、通信断の状態が継続し、PBBフレームが正常に伝送されない場合がある。
【0024】
これに対し、セグメントプロテクション方式では、上述したように、障害が発生した区間の一端のノード(図5では、N2)が経路切り替え制御を行なうので、通信断の状態の継続時間を短縮することが可能となる。
なお、パスの切り替えに関する技術として、下記特許文献1には、マルチキャスト分散環境内に常駐するネットワーク・ルーティング・デバイスにおけるパスを切り替える方法が記載されている。
【0025】
また、下記特許文献2には、現用パスの経路上にあるノードを複数ノードで構成されるセグメントに分割し、セグメントの位置情報を現用パス設定要求メッセージにより通知することで、各セグメントの先頭ノードと末尾ノードを結ぶ予備パスをセグメント毎に設定する方法が記載されている。
さらに、下記特許文献3には、ネットワーク上に複数のノードがある環境で、ノードの障害が生じた場合に、他のノード(マスタノード)が障害ノード(スレーブノード)を代理する方法が記載されている。
【0026】
また、下記特許文献4には、ノードがループ状に接続されたネットワークにおいて、リンクに障害が発生したときには、このループを用いてこの障害箇所を迂回するルートを速やかに形成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2006−229967号公報
【特許文献2】特開2005−277446号公報
【特許文献3】特開平11−220466号公報
【特許文献4】特開2000−278351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上述したように、各プロテクション方式では、伝送装置が、PBBフレームのB−VIDを変更することにより、PBBフレームの転送経路を変更する。
しかしながら、B−VIDは、12ビットしかないため、複数のパスを設定する場合、B−VIDのラベル空間が枯渇する場合がある。
その結果、パス設定の自由度が低下し、ネットワークのスケーラビリティ(拡張性)が低下する場合がある。
【0029】
そこで、本発明は、ネットワークのスケーラビリティを向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
(1)第1の案として、現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、前記現用回線での障害を検出する検出部と、前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた伝送装置を用いる。
【0031】
(2)第2の案として、現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、前記現用回線での障害を検出し、前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、伝送方法を用いる。
(3)第3の案として、現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、前記現用回線での障害を検出する検出部と、前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、伝送システムを用いる。
【発明の効果】
【0032】
ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ネットワークの構成の一例を示す図である。
【図2】PBBフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図3】ESPの設定の一例を示す図である。
【図4】パスプロテクション方式の一例を示す図である。
【図5】セグメントプロテクション方式の一例を示す図である。
【図6】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図7】一実施形態に係る伝送装置の構成の一例を示す図である。
【図8】図6に示す伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図9】図6に示す伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図10】図6に示す伝送装置(N2)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図11】図6に示す伝送装置(N2)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図12】図6に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図13】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図14】図13に示す伝送装置(N7)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図15】図13に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図16】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図17】図16に示す伝送装置(N7)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図18】図16に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図19】MACアドレスの構造の一例を示す図である。
【図20】第1変形例に係る伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図21】第1変形例に係る伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図22】第1変形例に係る伝送装置(N2)のテーブルの一例を示す図である。
【図23】第1変形例に係る伝送装置(N3)のテーブルの一例を示す図である。
【図24】第1変形例に係る伝送装置(N2)のテーブルの一例を示す図である。
【図25】第1変形例に係る伝送装置(N6)のテーブルの一例を示す図である。
【図26】第2変形例に係るネットワークの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
〔1〕一実施形態
図6は、一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【0035】
この図6に示すネットワーク(PBB−TE網)10は、例示的に、BEB9−1(N1),BEB9−2(N5),BEB9−3(N8)と、BCB1−1(N2),BCB1−2(N3),BCB1−3(N4),BCB1−4(N6),BCB1−5(N7)とをそなえる。以下、BEB9−1〜9−3を区別しない場合は単にBEB9と称し、BCB1−1〜1−5を区別しない場合は単にBCB1と称することがある。また、BEB9及びBCB1の数、並びに、ネットワーク10の接続形態は、図6に示す例に限定されない。
【0036】
このPBB−TE網10においては、現用パス(現用ESP)として、例えば、N1,N2,N3,N4,N5を経由するパスが設定され、予備パス(予備ESP)として、例えば、N2,N6,N7,N3を経由するパスが設定されている。
さらに、EBEB9−2(N5)には、複数のMACアドレス(宛先アドレス)が設定される。図6に示す例では、N5は、メインアドレス(第1の宛先アドレス)「Y1」及びメインアドレスとは異なるサブアドレス(第2の宛先アドレス)「Y2」を有する。なお、MACアドレスの数はこれに限定されず、少なくとも現用パスの終端に位置するEBEB9−2(N5)が複数の宛先アドレス(MACアドレス)を有していればよい。例えば、N1及びN5(またはN8)が3以上のMACアドレスを有していてもよいし、N5(またはN8)のみが複数のMACアドレスを有していてもよい。図6に示すネットワーク10では、例えば、IBEB9−1(N1)にも複数のMACアドレスが設定されており、N1は、メインアドレス「X1」及びサブアドレス「X2」を有する。
【0037】
(1.1)伝送経路の切り替え制御
上記PBB−TE網10において、現用パスを介してPBBフレームを転送する場合、N1は、まず、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)から受信したユーザフレームを、図2に示すPBBフレームフォーマットでカプセル化する。例えば、N1は、ユーザ識別子としてI−SID、B−SAに自局のMACアドレス「X1」、B−DAに現用パスのEBEB(N5)のMACアドレス「Y1」、B−VID(経路識別子)に「10」をユーザフレームに付与してカプセル化する。そして、N1は、カプセル化したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」と自局(N1)が保持するFDBとに基づき、当該PBBフレームを現用パス(図6のWorking Path)上の次の中継ノード(N2)へ転送する。
【0038】
N1からPBBフレームを受信したN2は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に対応する経路をFDBに基づいて選択し、当該経路(現用パス)上の次の中継ノード(N3)へPBBフレームを転送する。N3及びN4においても、N2と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは次の中継ノード(N4及びN5)へ転送される。
【0039】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0040】
以上のように、本例においても、障害の発生がない場合、現用パスを介してPBBフレームの中継処理を行なうことができる。
一方、例えば、N2とN3との間で障害(回線断など)が発生した場合、N2は、その障害を検出する。なお、N2は、検出した障害に応じて、警報(アラーム)処理を行なうようにしてもよい。
【0041】
そして、障害を検出したN2は、例えば、N1から受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」(第1の経路識別子)を「200」(第2の経路識別子)に変更するとともに、B−DA「Y1」を「Y2」に変更する。
そして、N2は、FDBに基づき、PBBフレームのB−VID「200」及びB−DA「Y2」に対応する経路(図6のProtection Path)を選択し、当該経路上の次の中継ノード(N6)へPBBフレームを転送する。
【0042】
このように、本例では、各ノードが、PBBフレームのB−DAの値に基づいて、当該PBBフレームの転送先が現用パスか予備パスかを識別することができる。
また、本例では、障害を検出したノード(N2)が、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、現用パスから予備パスへPBBフレームの伝送経路を切り替える制御を行なう。これにより、パス設定の自由度が増し、ネットワーク10のスケーラビリティを向上させることができる。なお、B−VID及びB−DAを変更する代わりに、48ビットのB−DAのみを変更するようにしても同様の効果が得られる。
【0043】
N2からPBBフレームを受信したN6は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−VID「Y2」に応じた経路をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次の中継ノード(N7)へPBBフレームを転送する。また、N7においても、N6と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは予備パス上の次の中継ノード(N3)へ転送される。
【0044】
ここで、N7からPBBフレームを受信したN3は、当該PBBフレームのB−VID「200」を元のB−VID「10」に変更するとともに、B−DA「Y2」を元のB−DA「Y1」に変更するようにしてもよい。これにより、N3は、PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に応じた経路(現用パス)をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次の中継ノード(N4)へPBBフレームを転送することができる。
【0045】
N3からPBBフレームを受信したN4は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に応じた経路をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次のノード(N5)へPBBフレームを転送する。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0046】
以上のように、本例では、少なくともEBEB9−2に複数の宛先アドレス(例えば、MACアドレス)が設定され、障害を検出したノード(例えば、N2)は、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、PBBフレームの転送経路を切り替える。
これにより、12ビットのB−VIDに加えて、6バイト(48ビット)のB−DAを用いてパスを設定することができるので、パスの数を大幅に増加させることが可能となる。結果、パス設定の自由度が増し、ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【0047】
(1.2)ノードの構成例
次に、一実施形態に係る伝送装置(ノード)の構成の一例について図7を用いて説明する。
この図7に示すノード1(9)は、現用パス及び予備パスを介してPBBフレームを伝送する伝送装置であって、例示的に、フレーム受信部2と、ブリッジング部3と、フレーム送信部4と、FDB5と、警報/障害検知部6と、B−VID変換部(VLAN SWAP)7と、B−DA変換部(MAC DA SWAP)8とをそなえる。
【0048】
フレーム受信部2は、ネットワークまたは他のノードから送信されたユーザフレームまたはPBBフレームを受信する。例えば、ノード1(9)がIBEB9である場合、フレーム受信部2は、他のネットワークからユーザフレームを受信し、当該ユーザフレームをカプセル化してPBBフレームを生成する。また、ノード1(9)がBCB1である場合、フレーム受信部2は、他のノード1(9)から受信したPBBフレームを受信する。さらに、ノード1(9)がEBEB9である場合、フレーム受信部2は、他のノード1からPBBフレームを受信し、受信したPBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。フレーム受信部2で受信されたフレームは、ブリッジング部3へ送出される。なお、以下では、ノード1(9)がBCB1である例について説明するが、これに限定されるものではなく、ノード1(9)がBEB9であることを除外する意図はない。
【0049】
ブリッジング部3は、フレーム受信部2から入力されたPBBフレームを、FDB5に格納されるテーブルの内容に基づいて、フレーム送信部4またはB−VID変換部(VLAN SWAP)7へ送出する。例えば、ブリッジング部3は、警報/障害検知部6により障害が検出されると、PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、警報/障害検知部6により障害が検出されないと、PBBフレームをフレーム送信部4へ送出する。
【0050】
即ち、ブリッジング部3は、警報/障害検知部6により障害が検出されないと、B−VID及びB−DA(またはB−DA)の変更を行なわずに、PBBフレームが有するB−DA(例えば、EBEB9−2のメインアドレス)に基づいて、PBBフレームを現用パスへ伝送する制御を行なうことができる。
FDB5は、少なくとも、PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAの値と、当該PBBフレームの出力先(出力ポート)とを対応付けたエントリを有するテーブルを保持する。また、前記テーブルが有する各エントリは、例えば、当該エントリの有効(Available)または無効〔NA(Not Available)〕を示す有効フラグと、B−VID及びB−DAの書き換え(変更)の有無及びその書き換え内容とを有する。例えば、ネットワーク10が正常に動作している場合、現用パスに通じる出力ポートが設定されたエントリの有効フラグには「Available」が設定され、予備パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「NA」が設定される。一方、ネットワーク10の障害時には、現用パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「NA」が設定され、予備パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「Available」が設定される。
【0051】
警報/障害検知部(検出部)6は、ノード1に接続された経路(例えば、現用パス)で発生した障害を検知(検出)する。また、警報/障害検知部6は、検出した障害情報に基づいて、FDB5のテーブル内容を変更(更新)することができる。例えば、警報/障害検知部6は、障害が発生した経路に通じる出力ポートに対応するエントリの有無を検索し、かかるエントリが検出された場合、当該エントリの有効フラグを「NA」に変更する。さらに、かかるエントリのB−DA及びB−VIDを検索キーとして、検索された他のエントリの有効フラグを「Available」に変更する。これにより、ブリッジング部3は、変更後のテーブル内容に基づいて、PBBフレームを、例えば、障害が発生した経路に通じる出力ポートから他の出力ポートへ迂回させることができる。
【0052】
B−VID変換部7は、ブリッジング部3から入力されたPBBフレームのB−VIDを、FDB5のテーブル内容に基づいて、変更する。B−VID変換部7によりB−VIDを変更されたPBBフレームは、B−DA変換部8へ送出される。
B−DA変換部8は、B−VID変換部7から入力されたPBBフレームのB−DAを、FDB5のテーブル内容に基づいて、変更する。B−DA変換部8によりB−DAを変更されたPBBフレームは、フレーム送信部4へ送出される。
【0053】
フレーム送信部4は、ブリッジング部3及びB−DA変換部8から入力されたPBBフレームを、当該PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAに応じた経路(現用パスまたは予備パス)へ転送する。
即ち、ブリッジング部3,B−VID変換部7,B−DA変換部8及びフレーム送信部4は、警報/障害検知部6により障害が検出されると、PBBフレームが有する第1の宛先アドレス(Y1)を異なる第2の宛先アドレス(Y2)に変更して、PBBフレームを予備パスへ伝送する制御を行なう制御部の一例として機能する。
【0054】
(1.3)ノード1の動作例
次に、ノード1の動作の一例について、図8及び図9を用いて説明する。
図8に示すように、まず、ノード1のフレーム受信部2が、他のノード1(9)からPBBフレームを受信する(ステップS1)。
次に、ブリッジング部3が、受信したPBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5が保持するテーブルを検索する(ステップS2)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
【0055】
そして、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−VID書換フィールドが有効であるかを判定し(ステップS3)、書き換えが有効であれば(ステップS3のYesルート)、当該PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、B−VID変換部7により、当該PBBフレームのB−VIDを書き換える(ステップS4)。一方、検索により得られたエントリのB−VID書換フィールドが無効であれば(ステップS3のNoルート)、B−VIDの書き換えは行なわれない。
【0056】
次に、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−DA書換が有効であるかを判定し(ステップS5)、書き換えが有効であれば(ステップS5のYesルート)、当該PBBフレームをB−DA変換部8へ送出し、B−DA変換部8により、当該PBBフレームのB−DAを書き換える(ステップS6)。そして、フレーム送信部4が、B−DAを書き換えられたPBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS7)。
【0057】
一方、検索により得られたエントリのB−DA書換が無効であれば(ステップS5のNoルート)、ノード1は、B−VIDの書き換えを行なわずに、フレーム送信部4により、PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS7)。なお、上記ステップS3及びS5の処理を1ステップで行なうようにしてもよく、この場合、上記ステップS4及びS6の処理を1ステップで行なってもよい。
【0058】
また、図9に示すように、警報/障害検知部6が障害(または警報)を検知すると(ステップS10)、警報/障害検知部6は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポートを検索キーとして、FDB5のテーブルを検索する(ステップS11)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、警報/障害検知部6は、前記検索により得られるエントリがあるかどうかを判定し(ステップS12)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS12のNoルート)、処理を終了する(ステップS16)。
【0059】
一方、前記検索により得られるエントリが有ると判定されれば(ステップS12のYesルート)、警報/障害検知部6は、さらに、当該エントリのB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5のテーブルから他のエントリを検索する(ステップS13)。
次いで、警報/障害検知部6は、ステップS13の検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されたかどうかを判定し(ステップS14)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS14のNoルート)、処理を終了する(ステップS16)。
【0060】
一方、ステップS13の検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されれば(ステップS14のYesルート)、警報/障害検知部6は、当該エントリの有効フラグを「NA」から「Available」に変更する(書き換える)(ステップS15)。さらに、警報/障害検知部6は、ステップS12にて検出したエントリの有効フラグを「Available」から「NA」に変更して(ステップS15)、処理を終了する(ステップS16)。
【0061】
以上のように、ノード1は、FDB5のテーブル内容に応じて、PBBフレームの転送先を制御することができる。また、障害を検知すると、前記テーブル内容を変更するとともに、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、現用パスと予備パスとの間でフレーム伝送経路の切り替えを行なうことが可能となる。
さらに、PBBフレームのB−VID及びB−DAを用いてパスを識別するので、B−VIDのみによりパスを識別する場合に比して、より多くのパスを識別することができる。その結果、パス設定の自由度が増し、ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【0062】
(1.4)ネットワーク(PBB−TE網)10の動作例
次に、上記のノード1を有するPBB−TE網10での動作例について説明する。
図10は、図6記載のPBB−TE網10が正常に動作している場合のN2が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y2,B−VID=200」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図6中、N2からN3への経路(現用パス)に通じるN2の出力ポートであり、Port-3は、図6中、N2からN6への経路(予備パス)に通じるN2の出力ポートである。
【0063】
N2が図10に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N2は、まず、フレーム受信部2により、N1からPBBフレームを受信する。このPBBフレームには、N1により、B−VID「10」及びB−DA「Y1」が設定されている。
次に、N2は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図10のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0064】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図10に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0065】
そして、N2は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
ここで、例えば、警報/障害検知部6により、N2からN3へ通じる経路において障害(または警報)が検知された場合、N2は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポート「Port-2」を検索キーとして、図10のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0066】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出する。そして、N2は、さらに、当該第1エントリのB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図10のテーブルから有効フラグが「NA」である他のエントリを検索する。
この検索により、N2は、第2エントリを検出し、図11に例示するように、当該第2エントリの有効フラグを「NA」から「Available」に変更するとともに、第1エントリの有効フラグを「Available」から「NA」に変更する。
【0067】
その後、N2は、図11のテーブル(変更後のテーブル)に基づいて、PBBフレームの転送処理を行なう。
例えば、N2が、N1からPBBフレームを受信すると、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図11のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0068】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図11に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y2,B−VID=200」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y2」に書き換える。さらに、N2は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN6へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
【0069】
このように、N2は、障害を検知すると、PBBフレームのB−VID及びB−DAを書き換えて、当該PBBフレームの転送経路を現用パスから予備パスへ切り替えて転送することができる。
また、予備パスの終点ノードであるN3は、例えば、図12に示すテーブルを有していてもよい。
【0070】
この図12のテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図6中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートである。N3は、現用パス及び予備パスを介して受信したPBBフレームのいずれも、現用パス上の次のノードN4に転送するため、第1及び第2エントリの有効フラグはいずれも「Available」である。
【0071】
N2とN3との間の経路で障害が発生していない場合、N3は現用パスを介してN2から、B−VID「10」及びB−DA「Y1」が設定されたPBBフレームを受信する。
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図12のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図12に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N3は、N2から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0072】
そして、N3は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
一方、N2とN3との間の経路で障害が発生している場合、N3は予備のパスを介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0073】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図12のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図12に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。さらに、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0074】
このように、予備パスの終点ノードN3は、予備パスを介して受信したPBBフレームを現用パスへ転送することができる。
また、N2とN3との間の経路で発生した障害に加え、図13に示すように、N3とN4との間の経路でも障害が発生した場合、前述の予備パス(Protection Path #1)の他、N3,N7,N4を経由する別の予備パス(Protection Path #2)を介してPBBフレームが伝送される。
【0075】
図14は、図13記載のPBB−TE網10において、N2とN3との間の経路及びN3とN4との間の経路で障害が発生している場合のN7が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=201」,書換「NA」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図13中、N7からN3への経路に通じるN7の出力ポートであり、Port-3は、図13中、N7からN4への経路に通じるN7の出力ポートである。N7では、Protection Path #1とProtection Path #2とを別個のパスとしてFDB5に認識させるため、Protection Path #1のB−VIDとProtection Path #2のB−VIDとが異なる値に設定されている。
【0076】
N7が図14に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N7は、まず、フレーム受信部2により、N6からPBBフレームを受信する。
次に、N7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図14のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図14に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N6から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0077】
そして、N7は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
Protection Path #1の終点ノードであり、Protection Path #2の始点ノードであるN3は、例えば、N3とN4との間の経路において障害が発生している場合、図15に示すテーブルを有する。
【0078】
この図15のテーブルは、例示的に、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y2,B−VID=201」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第3エントリとを有する。なお、Port-2は、図13中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートであり、Port-3は、図13中、N3からN7への経路(予備パス)に通じるN3の出力ポートである。
【0079】
なお、N3とN4との間の経路で障害が発生していない場合、N3は、N2またはN7から受信したPBBフレームをN4に直接転送するために、図15のテーブルの第1エントリの有効フラグを「Available」に変更するとともに、第2エントリの有効フラグを「NA」に変更することができる。
図13に例示するように、N3とN4との間の経路で障害が発生している場合、N3は、Protection Path #1を介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0080】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図15のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第3エントリを検出し、この第3エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図15に示す例では、第3エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。
【0081】
そして、N3は、第3エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送しようとするが、Port-2(N4へのリンク)はダウンしているため、PBBフレームの送出は行なわれない。
この場合、N3は、上記書き換え後のB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、再度、図15のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0082】
この再検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図15に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y2,B−VID=201」であるので、N3は、上記書き換え後のPBBフレームのB−VIDを「10」から「201」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y2」に書き換える。
【0083】
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
次に、N3からPBBフレームを受信したN7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「201」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図14のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0084】
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図14に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N3から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0085】
そして、N7は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
N7からPBBフレームを受信したN4は、例えば、N4のFDB5が保持するテーブル内容に基づき、当該PBBフレームのB−VIDを「201」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換えて、EBEB9−2(N5)へ転送する。
【0086】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0087】
以上のように、複数のセグメントにおいて障害が発生した場合であっても、それらの障害セグメントを迂回する複数の予備パスを個別に設定することができる。また、複数の予備パスのB−VIDをそれぞれ異なる値(図13に示す例では、「200」及び「201」)とすることができるので、ネットワーク10のスケーラビリティが向上する。
また、図16に例示するように、EBEB9−2(N5)に複数のサブアドレス「Y2」及び「Y3」を設定し、当該複数のサブアドレスにより複数の予備パス(Protection Path #1,Protection Path #2)を識別するようにしてもよい。
【0088】
この場合、例えば、N7は図17に例示するテーブルを保持する。
図17のテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y3,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図16中、N7からN3への経路に通じるN7の出力ポートであり、Port-3は、図16中、N7からN4への経路に通じるN7の出力ポートである。N7では、Protection Path #1とProtection Path #2とを別個のパスとしてFDB5に認識させるため、Protection Path #1のB−DAとProtection Path #2のB−DAとには異なる値が設定されている。
【0089】
N7が図17に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N7は、まず、フレーム受信部2により、N6からPBBフレームを受信する。
次に、N7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図17テーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図17に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N6から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0090】
そして、N7は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
Protection Path #1の終点ノードであり、Protection Path #2の始点ノードであるN3は、例えば、N3とN4との間の経路において障害が発生している場合、図18に示すテーブルを有する。
【0091】
この図18のテーブルは、例示的に、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y3,B−VID=200」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第3エントリとを有する。なお、Port-2は、図16中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートであり、Port-3は、図16中、N3からN7への経路(予備パス)に通じるN3の出力ポートである。
【0092】
なお、N3とN4との間の経路で障害が発生していない場合、N3は、N2またはN7から受信したPBBフレームをN4に直接転送するために、図18のテーブルの第1エントリの有効フラグを「Available」に変更するとともに、第2エントリの有効フラグを「NA」に変更することができる。
図16に例示するように、N3とN4との間の経路で障害が発生している場合、N3は、Protection Path #1を介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0093】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図18のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第3エントリを検出し、この第3エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図18に示す例では、第3エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。
【0094】
そして、N3は、第3エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送しようとするが、Port-2(N4へのリンク)はダウンしているため、PBBフレームの送出は行なわれない。
この場合、N3は、上記書き換え後のB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、再度、図18のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0095】
この再検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図18に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y3,B−VID=200」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y3」に書き換える。
【0096】
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
次に、N3からPBBフレームを受信したN7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y3」を検索キーとして、図17のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0097】
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図17に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N3から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0098】
そして、N7は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
N7からPBBフレームを受信したN4は、例えば、N4のFDB5が保持するテーブルに基づき、当該PBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y3」から「Y1」に書き換えて、EBEB9−2(N5)へ転送する。
【0099】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0100】
このように、EBEB9−2(N5)に複数のサブアドレスを設定し、複数の予備パスに異なるサブアドレスを割り当てることにより、複数の予備パスを識別するようにしても、上記と同様の効果が得られる。また、複数の予備パスに異なるB−VID及び異なるB−DAを割り当てれば、ネットワークのスケーラビリティを更に向上させることが可能となる。
【0101】
〔2〕第1変形例
また、EBEB9−2(N5)の48ビットのMACアドレス(メインアドレス)のうち、一部のビットをPBB−TE網10の運用状態(現用または予備)に応じて変更(反転)することにより、サブアドレスを生成(設定)するようにしてもよい。即ち、本例では、48ビットのMACアドレスのうち一部のビットを現用(Working Path)/予備(Protection Path)の識別用ビットフラグとして使用することにより、現用パス/予備パスのアドレス空間を拡張する。なお、本例のネットワーク10は、図6と同様の構成を有する。
【0102】
ここで、図19にMACアドレスの構造の一例を示す。
この図19に示すように、MACアドレスは、48ビット(6オクテット)で構成され、前半の3オクテットがベンダー識別子(Organizationally Unique Identifier、OUI)であり、後半の3オクテットがベンダー管理アドレスである。
第1オクテットの最下位ビットであるI/G(Individual/ Group)ビットは、「0」であれば当該MACアドレスがユニキャストアドレス、「1」であれば当該MACアドレスがマルチキャストアドレスであることを表す。また、第1オクテットの第2ビットは、U/L(Universal/Local)ビットであり、U/Lビットが「0」であれば当該MACアドレスがグローバルアドレス、U/Lビットが「1」であれば当該MACアドレスがローカルアドレスであることを表す。
【0103】
本例では、例えば、ベンダー管理アドレスの第4オクテットの第8ビットを、W/P(Working/Protection)ビットとして用いる。例えば、現用(Working)パスを介してPBBフレームを伝送する場合、B−DAのW/Pビットを「0」に設定し、予備(Protection)パスを介してPBBフレームを伝送する場合、B−DAのW/Pビットを「1」に設定する。
【0104】
これにより、各ノード1(9)は、PBBフレームのB−DAに設定されたEBEB9−2のMACアドレスのW/Pビットが「0」であれば、現用パスを介して当該PBBフレームを転送し、W/Pビットが「1」であれば、予備パスを介して当該PBBフレームを転送できる。
即ち、本例では、W/Pビットが「0」のMACアドレスをEBEB9−2のメインアドレスとし、W/Pビットが「1」のMACアドレスをEBEB9−2のサブアドレスとして設定する。
【0105】
(2.1)ノード1の動作例
ここで、本例のノード1の動作の一例について、図20及び図21を用いて説明する。
図20に示すように、まず、ノード1のフレーム受信部2が、他のノードからPBBフレームを受信する(ステップS20)。
次に、ノード1は、受信したPBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビット値をマスクする(ステップS21)。
【0106】
また、ノード1のブリッジング部3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5が保持するテーブルを検索する(ステップS22)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−VID書換が有効であるかを判定し(ステップS23)、書き換えが有効であれば(ステップS23のYesルート)、当該PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、B−VID変換部7により、当該PBBフレームのB−VIDを書き換える(ステップS24)。一方、検索により得られたエントリのB−VID書換が無効であれば(ステップS23のNoルート)、B−VIDの書き換えは行なわれない。
【0107】
次に、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「W(Working Path)」であるか「P(Protection Path)」であるかを判定する(ステップS25)。なお、W/Pフィールドは、受信したPBBフレームを現用パスまたは予備パスのいずれかに送出(転送)するかを示すフィールドである。例えば、PBBフレームを現用パスへ送出する場合は、W/Pフィールドの値に「W(0)」が設定される一方、PBBフレームを予備パスへ送出する場合は、W/Pフィールドの値に「P(1)」が設定される。
【0108】
そして、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「W」であると判定した場合(ステップS25のYesルート)、PBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビットを「0」に設定し(ステップS26)、当該PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS28)。
一方、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「P」であると判定した場合(ステップS25のNoルート)、PBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビットを「1」に設定し(ステップS27)、当該PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS28)。
【0109】
また、図21に示すように、警報/障害検知部6が障害(または警報)を検知すると(ステップS30)、警報/障害検知部6は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポートを検索キーとして、FDB5のテーブルを検索する(ステップS31)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、警報/障害検知部6は、前記検索により得られるエントリがあるかどうかを判定し(ステップS32)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS32のNoルート)、処理を終了する(ステップS34)。
【0110】
一方、前記検索により得られるエントリが有ると判定されれば(ステップS32のYesルート)、警報/障害検知部6は、当該エントリの有効フラグを書き換えて(ステップS33)、処理を終了する(ステップS34)。例えば、ステップS32での検索の結果、有効フラグが「Available」であるエントリが検出されれば、当該エントリの有効フラグを「NA」に変更し、ステップS32での検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されれば、当該エントリの有効フラグを「Available」に変更する。
【0111】
(2.2)ネットワーク(PBB−TE網)10の動作例
次に、上記のノード1を有するPBB−TE網10での動作の一例について説明する。
図22は、PBB−TE網10が正常に動作している場合のN2が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「W」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリと、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「P」,書換「B−VID=200」,出力ポート「Port-3」,有効フラグ「NA」が対応付けられた第2エントリとを有する。
【0112】
N2が図22に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N2は、まず、フレーム受信部2により、N1からPBBフレームを受信する。当該PBBフレームには、N1により、ユーザ識別子としてI−SID、B−SAに自局(N1)のMACアドレス「X1」、B−DAに現用パスに対応するEBEB9−2(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」、B−VIDに「10」が設定されている。
【0113】
次に、N2は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図22のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図22に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0114】
また、図22に示す例では、第1エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N2は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」に設定する。なお、受信したPBBフレームのB−DAのW/Pビットの値が、検出されたエントリのW/Pフィールドの値に対応している場合は、当該設定処理を省略してもよい。
そして、N2は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0115】
図23は、N3が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「W」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリと、B−DA+B−VID「B−DA=Y1´,B−VID=200」,W/P「W」,書換「B−VID=10」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、「Y1´」は、「Y1」のW/Pビットを「0」から「1」に変更した、EBEB9−2(N5)のサブアドレスである。
【0116】
N2からPBBフレームを受信したN3は、PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図23のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図23に示す例では、第1エントリのB−VID書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N3は、N2から受信したPBBフレームのB−VIDの書き換えを行なわない。
【0117】
また、図23に示す例では、第1エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N3は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」に設定する。なお、受信したPBBフレームのB−DAのW/Pビットの値が、検出されたエントリのW/Pフィールドの値に対応している場合は、当該設定処理を省略してもよい。
そして、N3は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0118】
N4においても、N3と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N5へ転送される。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化し、ユーザフレームを抽出して他のネットワークへ当該ユーザフレームを転送する。
【0119】
一方、例えば、警報/障害検知部6により、N3へ通じる経路において障害(または警報)が検知された場合、N2は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポート「Port-2」を検索キーとして、図22のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N2は、第1エントリを検出し、図24に示すように、第1エントリの有効フラグを「NA」に変更するとともに、第1エントリに対応する第2エントリの有効フラグを「Available」に変更する。
【0120】
その後、N2は、図24のテーブル(変更後のテーブル)に基づいて、PBBフレームの転送処理を行なう。
例えば、N2が、N1からPBBフレームを受信すると、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図24のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0121】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図24に示す例では、第2エントリのB−VID書き換えフィールドは有効であり、「B−VID=200」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換える。
【0122】
また、図24に示す例では、第2エントリのW/Pフィールドは「P」であるので、N2は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」から「1」に変更(設定)する。
そして、N2は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN6へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
【0123】
このように、N2は、障害を検知すると、現用のパスから予備のパスへ切り替えてPBBフレームを転送することができる。なお、N2は、B−VID及びW/Pビットを変更することに代えて、W/Pビットのみを変更するようにしても同様の効果が得られる。
図25は、N6が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1´,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリを有する。
【0124】
N2からPBBフレームを受信したN6は、PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y1´」を検索キーとして、図25のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N6は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図25に示す例では、第1エントリのB−VID書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N6は、N2から受信したPBBフレームのB−VIDの書き換えを行なわない。
【0125】
そして、N6は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
N7においても、N6と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N3へ転送される。
N7からPBBフレームを受信したN3は、PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y1´」を検索キーとして、図23のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0126】
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図23に示す例では、第2エントリのB−VID書き換えフィールドは有効であり、「B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換える。
【0127】
また、図23に示す例では、第2エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N3は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「1」から「0」に変更(設定)する。
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0128】
N4においても、N3と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N5へ転送される。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化し、ユーザフレームを抽出して他のネットワークへ当該ユーザフレームを転送する。
【0129】
以上のように、EBEB9−2(N5)のサブアドレスを、メインアドレスのW/Pビットを変更することにより生成した場合でも、上述の実施形態と同様の効果を得られるほか、W/Pビットを制御することにより、現用パス及び予備パスを切り替えて制御することができるので、制御を単純化することが可能となる。また、FDB5に格納する情報量を低減させることができるので、FDB5におけるメモリ使用量を削減することが可能となる。
【0130】
〔3〕第2変形例
また、図26に例示するように、PBBフレームのB−DAに予備パスを終端するノード(N3)のMACアドレスを設定するようにしてもよい。
この場合、N2は、N2とN3との間の経路で障害が発生したことを検知すると、N1から受信したPBBフレームのB−DAの値を「Y1」から「Z(N3のMACアドレス)」に変更する。
【0131】
そして、N2が保持するテーブル内容に基づいて、PBBフレームを、予備パスを介してN3へ転送する。なお、N2から予備パスを介してPBBフレームを受信したN3は、当該PBBフレームのB−DAの値を「Z」から「Y1」に変更して、次のノードN4へ転送するようにしてもよい。
本例によれば、上述した実施形態と同様の効果を得られるほか、予備パスの終端ノードである中継装置のMACアドレスを用いて、PBBフレームの伝送経路を識別できるので、MACアドレス空間を更に効率的に使用することができる。
【0132】
〔4〕その他
なお、上述したノード1の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせてもよい。
また、上述した例では、セグメントプロテクション方式を用いたネットワークシステム例として各実施形態及び変形例を説明したが、パスプロテクション方式やその他の伝送制御方法を用いたネットワークシステムに本発明を適用してもよい。
【0133】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔5〕付記
(付記1)
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送装置。
【0134】
(付記2)
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
(付記3)
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
【0135】
(付記4)
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
(付記5)
前記制御部が、
前記変更後の伝送フレームが有する前記第2の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスに戻して、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0136】
(付記6)
前記制御部が、
前記伝送フレームが有する経路識別用の第1の経路識別子を前記第1の経路識別子とは異なる第2の経路識別子に変更する、
ことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0137】
(付記7)
前記制御部が、
前記検出部により障害が検出されないと、前記変更を行なわずに、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスに基づいて、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0138】
(付記8)
現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、
前記現用回線での障害を検出し、
前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、
前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、
ことを特徴とする、伝送方法。
【0139】
(付記9)
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
(付記10)
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
【0140】
(付記11)
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
(付記12)
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送システム。
【符号の説明】
【0141】
1,1−1,1−2,1−3,1−4,1−5 BCB
2 フレーム受信部
3 ブリッジング部
4 フレーム送信部
5 FDB
6 警報/障害検知部
7 B−VID変換部(VLAN SWAP)
8 B−DA変換部(MAC DA SWAP)
9,9−1,9−2,9−3 BEB
10 ネットワーク(PBB−TE網)
100 ネットワーク
200 PBN
300 PBBN
400,400−1,400−2,400−3 BEB
500,500−1,500−2,500−3,500−4,500−5 BCB
600 PBB−TE網
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置、伝送方法及び伝送システムに関する。前記伝送システムには、例えば、現用回線(現用パス)及び予備回線(予備パス)をそなえた伝送システムが含まれる。
【背景技術】
【0002】
広域イーサネット(登録商標)サービスを提供する技術として、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1ah PBB(Provider Backbone Bridge)や、IEEE802.1Qay PBB−TE(PBB-Traffic Engineering)がある。
PBBは、ユーザのイーサネット(登録商標)フレームをMAC−in−MAC方式でカプセル化して中継する方式であり、IEEE802.1ahで標準化されている。なお、MAC−in−MAC方式は、MAC(Media Access Control)フレームをMACフレームでカプセル化して伝送するイーサネット(登録商標)技術である。
【0003】
・PBB方式のネットワーク
ここで、図1にPBB方式のネットワーク構成の一例を示す。
この図1に示すように、ネットワーク100は、例示的に、PBN(Provider Bridged Network)200とPBBN(Provider Backbone Bridged Network)300とを有する。PBN200は、IEEE802.1adで標準化されているネットワークの1つである。また、PBBN300は、PBB方式のネットワークであり、PBN200を収容、接続するバックボーンネットワークである。
【0004】
PBBN300は、エッジ装置(エッジノード)であるBEB(Backbone Edge Bridge)400と、中継装置(中継ノード)であるBCB(Backbone Core Bridge)500とを有する。BCB500は、BEB400が受信したユーザフレームを他のBCB500またはBEB400へ中継する。
上記MAC−in−MAC方式では、PBBN300内において有効なアドレス情報(例えば、MACアドレス)でユーザフレームをカプセル化して伝送する。これにより、PBBN300内の各ノード400,500は、PBBN300のエッジ(出入り口)に位置するBEB400のMACアドレスを学習することにより、ユーザフレームの伝送を行なうことが可能となる。
【0005】
このため、BEB400は、例えば、他のネットワーク(PBN200,PBBN300など)から受信したユーザフレームをMACフレームでカプセル化して、PBBN300の網内へカプセル化されたユーザフレーム(以下PBBフレームという)を転送する機能を有する。また、BEB400は、例えば、BCB500から受信したPBBフレームをデカプセル化して、他のネットワーク(PBN200,PBBN300など)へデカプセル化により抽出されたユーザフレームを転送する機能を有する。
【0006】
さらに、BCB500は、例えば、BEB400または他のBCB500から受信したPBBフレームを、当該PBBフレームに設定されたバックボーン宛先MACアドレス(Backbone-Destination MAC Address、B−DA)及び経路識別用のBackbone VLAN ID(B−VID)に基づき、適切な方路へ転送(ブリッジング)する。
・PBBフレームフォーマット
ここで、図2にPBBフレームフォーマットの一例を示す。
【0007】
この図2に示すように、PBBでは、4バイトのS−TAG,4バイトのC−TAG,2バイトのEtherType,可変長(または固定長)のPayload及び2バイトのFCSを有するフレーム(ユーザデータ)が、18バイトのI−TAG(Backbone Service Instance TAG),4バイトのB−TAG(Backbone VLAN TAG),6バイトのB−DA(B-MAC DA)及び6バイトのバックボーン送信元MACアドレス(Backbone-Source MAC Address、B−SAまたはB-MAC SA)でカプセル化される。なお、S−TAGは、サービスVLANタグ(Service VLAN TAG)を示し、EtherTypeは、イーサネット(登録商標)の種別を示す。また、FCSは、フレーム誤り検出(Frame Check Sequence)用の情報ビットである。
【0008】
B−SAは、PBBフレームの送信元アドレス情報であり、例えば、PBBN300への入口に位置するBEB(Ingress BEB、IBEB)400のMACアドレスを用いることができる。また、B−DAは、PBBフレームの送信先アドレス情報であり、例えば、PBBN300の出口に位置するBEB(Egress BEB、EBEB)400のMACアドレスを用いることができる。
【0009】
B−TAGは、IEEE802.1adで規定されるS−TAGと同一のフォーマットを有し、2バイトのB−TAG TPID(Tag Protocol Identifier)と2バイトのB−TAG TCI(Tag Control Information)とで構成される。B−TAG TCIには12ビットのB−VIDが含まれる。
一方、I−TAGは、タグの種類を識別する2バイト(16ビット)のI−TAG TPID,16バイト(128ビット)のI−TAG TCIとで構成される。I−TAG TPIDは、タグ・プロトコル識別子である。I−TAG TCIは、3ビットのI−PCP(Priority Code Point、優先度コード・ポイント),1ビットのI−DEI(Drop Eligible Indication、優先廃棄識別),1ビットのUCA(User Customer Address、ユーザカスタマーアドレス),3ビットのRes(Reserved、予約領域),24ビットのI−SID(Service Instance Identifier、サービス・インスタンスID)及び前述の各48ビットのユーザMACアドレス(C-MAC DA,C-MAC SA)により構成される。なお、上記のI−TAG TPID及びB−TAG TPIDには、例えば、IEEEで規定されているデフォルト値として、「0x88e7」及び「0x88a8」がそれぞれ設定される。
【0010】
IEEE802.1adでは、12ビットのVLAN−ID(B−VID)によりユーザを識別していたが、IEEE802.1ah PBBでは、24ビットのI−SIDを使用することにより、最大で224(約1600万)のユーザを識別することが可能となっている。
・ESP〔Ethernet(登録商標) Switched Path〕の設定例
また、PBBの拡張として、PBB−TEが、IEEE802.1Qayで標準化されている。ここで、TEとは、トラフィックの経路制御技術を表し、ネットワークリソースを最適化し、トラフィックの転送効率を向上させることを目的とする技術である。
【0011】
上記PBB−TEの特徴として、例えば、PBBフレームフォーマットを用いたユーザフレーム中継、MACアドレスの学習不要、宛先不明フレームの破棄、片方向パス(ESP)の形成などがある。
PBB−TE方式の網内の伝送装置(BEB400,BCB500)は、例えば、PBB方式と同様、PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAに基づいて、当該PBBフレームの転送経路を決定する。例えば、BEB400及びBCB500は、自局400,500が有するフィルタリングデータベース(Filtering DataBase、FDB)に登録された静的な経路情報(例えば、ESPに関する情報)に基づいて、PBBフレームを転送することができる。なお、FDBに登録される経路情報は、予め登録された静的な情報であり、動的には学習されない場合がある。
【0012】
ESPは、例えば、B−VID,B−DA及びB−SAに基づいて識別される。これにより、1組のBEB400間(即ち、B−DA及びB−SAの組み合わせが同一)においても、B−VIDを変更することにより、複数のESPを区別して確立することが可能となる。
ここで、図3にESPの設定の一例を示す。
【0013】
この図3に示すネットワーク100は、BEB400−1〜400−3と、BCB500−1〜500−4とをそなえ、各ESPは、例示的に、BEB400−1(B−MAC SA=X)を始点としている。
図3中に示す4本のESP(各破線矢印を参照)は、同一のBEB400−1を始点としているので、各ESPに設定されるB−SAは全てBEB400−1のMACアドレス「X」である。
【0014】
また、BEB400−2(MACアドレス:Y)を終点とする2本のESPに設定されるB−DAはいずれも「Y」であり、BEB400−3(MACアドレス:Z)を終点とする2本のESPに設定されるB−DAはいずれも「Z」である。
さらに、BEB400−1,BCB500−1,500−2,BEB400−2を経由するESPにはB−VID=7が設定され、BEB400−1,BCB500−1,50−4,BEB400−2を経由するESPにはB−VID=8が設定されている。
【0015】
また、BEB400−1,BCB500−1,500−4,BEB400−3を経由するESPにはB−VID=7が設定され、BEB400−1,BCB500−3,500−4,BEB400−3を経由するESPにはB−VID=8が設定されている。
このように、各ESPのB−SA及びB−DAが同一であっても、互いに異なるB−VIDが設定されることにより、各ESPは、ネットワーク100上で別個のESPとして認識され得る。
【0016】
・PBB−TEのプロテクション方法
ところで、ESPを構成する各伝送装置400,500間の経路において障害が検知されると、例えば、フレームの転送経路を現用パス(Working Path)から予備パス(Protection Path)へ切り替える制御(プロテクション)が行なわれる。
PBB−TEのプロテクション方法としては、例えば、IEEE802.1Qayにおいて、パスプロテクション方式が検討されている。
【0017】
図4にパスプロテクション方式の一例を示す。
この図4に示すPBB−TE網600は、例示的に、BEB400−1(N1),400−2(N5),400−3(N8)と、BCB500−1(N2),500−2(N3),500−3(N4),500−4(N6),500−5(N7)とをそなえる。
また、このPBB−TE網600では、例えば、現用パスとして、N1,N2,N3,N4,N5を経由するESPが設定されるとともに、予備パスとして、N1,N2,N6,N7,N4,N5を経由するESPが設定される。
【0018】
PBB−TE網600において、現用パスを用いてフレームを転送する場合、N1は、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)から受信したユーザフレームを図2に示すPBBフレームフォーマットでカプセル化し、次のノード(N2)へ転送する。N1からPBBフレームを受信したN2は、当該PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAと自局(N2)が保持するFDBとに基づき、PBBフレームを現用パス上の次のノード(N3)へ転送する。N3及びN4においても、N2と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは現用パス上の次のノード(N4,N5)へ転送される。
【0019】
そして、N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームに設定されたB−DAと自局(N5)のMACアドレスとが一致することを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。N5により抽出されたユーザフレームは、例えば、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ送出される。
一方、例えば、N2とN3との間の経路で障害(回線断など)が発生した場合、N2は、障害を検出し、N1にその旨を通知する。N2から障害を通知されたN1は、PBBフレームのB−VIDを変更する(書き換える)ことにより、フレーム伝送経路を現用パス(現用ESP)から予備パス(予備ESP)へ切り替える制御を行なう。
【0020】
現用パス及び予備パスのB−SA及びB−DAには同じ値(例えば、N1のMACアドレス及びN5のMACアドレス)が設定されているので、現用パスと予備パスとを別個のパスとして識別(区別)するために、B−VIDの値に異なる値が設定されるのである。
N1によりPBBフレームのB−VIDの値が変更されると、N1は、変更したB−VIDの値とFDBとに基づき、PBBフレームを予備パス上の次のノード(N6)へ転送する。なお、FDBには、例えば、変更されたB−VIDに対応するパスとして予備パスが設定されている。N6,N7及びN4においても、N1と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは予備パス上の次のノード(N7,N4,N5)へ転送される。
【0021】
そして、N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームに設定されたB−DAと自局(N5)のMACアドレスとが一致することを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。N5により抽出されたユーザフレームは、例えば、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ送出される。
以上のように、パスプロテクション方式では、伝送装置間のある経路にて障害が発生した場合、障害を通知されたIBEB400−1(N1)が、PBBフレームのB−VIDの値を変更して、PBBフレームの伝送経路を切り替えることができる。これにより、PBBフレームは、障害が発生した区間を迂回し、伝送されることが可能となる。
【0022】
一方、ITU−T G.8031においては、PBB−TEのプロテクション方法として、セグメントプロテクション方式が検討されている。
図5にセグメントプロテクション方式の一例を示す。
この図5に示すように、例えば、N2とN3との間の経路で障害が発生した場合、セグメントプロテクション方式では、障害を検知した装置(例えば、N2)が、PBBフレームのB−VIDを変更することにより、その障害が発生した経路(障害セグメント)を迂回する予備のパス(図5では、N2,N6,N7,N3を経由するパス)へPBBフレームを転送する。
【0023】
また、障害が発生した経路の終端側のノード(例えば、N3)が、N2により変更されたB−VIDを元に戻すことにより、N3,N4,N5を経由するパス(現用パスの一部)へPBBフレームを転送することもできる。
上述したパスプロテクション方式では、IBEB400−1で経路切り替え制御を行なうため、障害発生の時点からIBEB400−1に障害が通知されるまでの間、通信断の状態が継続し、PBBフレームが正常に伝送されない場合がある。
【0024】
これに対し、セグメントプロテクション方式では、上述したように、障害が発生した区間の一端のノード(図5では、N2)が経路切り替え制御を行なうので、通信断の状態の継続時間を短縮することが可能となる。
なお、パスの切り替えに関する技術として、下記特許文献1には、マルチキャスト分散環境内に常駐するネットワーク・ルーティング・デバイスにおけるパスを切り替える方法が記載されている。
【0025】
また、下記特許文献2には、現用パスの経路上にあるノードを複数ノードで構成されるセグメントに分割し、セグメントの位置情報を現用パス設定要求メッセージにより通知することで、各セグメントの先頭ノードと末尾ノードを結ぶ予備パスをセグメント毎に設定する方法が記載されている。
さらに、下記特許文献3には、ネットワーク上に複数のノードがある環境で、ノードの障害が生じた場合に、他のノード(マスタノード)が障害ノード(スレーブノード)を代理する方法が記載されている。
【0026】
また、下記特許文献4には、ノードがループ状に接続されたネットワークにおいて、リンクに障害が発生したときには、このループを用いてこの障害箇所を迂回するルートを速やかに形成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2006−229967号公報
【特許文献2】特開2005−277446号公報
【特許文献3】特開平11−220466号公報
【特許文献4】特開2000−278351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上述したように、各プロテクション方式では、伝送装置が、PBBフレームのB−VIDを変更することにより、PBBフレームの転送経路を変更する。
しかしながら、B−VIDは、12ビットしかないため、複数のパスを設定する場合、B−VIDのラベル空間が枯渇する場合がある。
その結果、パス設定の自由度が低下し、ネットワークのスケーラビリティ(拡張性)が低下する場合がある。
【0029】
そこで、本発明は、ネットワークのスケーラビリティを向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
(1)第1の案として、現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、前記現用回線での障害を検出する検出部と、前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた伝送装置を用いる。
【0031】
(2)第2の案として、現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、前記現用回線での障害を検出し、前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、伝送方法を用いる。
(3)第3の案として、現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、前記現用回線での障害を検出する検出部と、前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、伝送システムを用いる。
【発明の効果】
【0032】
ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ネットワークの構成の一例を示す図である。
【図2】PBBフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図3】ESPの設定の一例を示す図である。
【図4】パスプロテクション方式の一例を示す図である。
【図5】セグメントプロテクション方式の一例を示す図である。
【図6】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図7】一実施形態に係る伝送装置の構成の一例を示す図である。
【図8】図6に示す伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図9】図6に示す伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図10】図6に示す伝送装置(N2)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図11】図6に示す伝送装置(N2)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図12】図6に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図13】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図14】図13に示す伝送装置(N7)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図15】図13に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図16】一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【図17】図16に示す伝送装置(N7)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図18】図16に示す伝送装置(N3)が保持するテーブルの一例を示す図である。
【図19】MACアドレスの構造の一例を示す図である。
【図20】第1変形例に係る伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図21】第1変形例に係る伝送装置の動作の一例を示す図である。
【図22】第1変形例に係る伝送装置(N2)のテーブルの一例を示す図である。
【図23】第1変形例に係る伝送装置(N3)のテーブルの一例を示す図である。
【図24】第1変形例に係る伝送装置(N2)のテーブルの一例を示す図である。
【図25】第1変形例に係る伝送装置(N6)のテーブルの一例を示す図である。
【図26】第2変形例に係るネットワークの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
〔1〕一実施形態
図6は、一実施形態に係るネットワークの一例を示す図である。
【0035】
この図6に示すネットワーク(PBB−TE網)10は、例示的に、BEB9−1(N1),BEB9−2(N5),BEB9−3(N8)と、BCB1−1(N2),BCB1−2(N3),BCB1−3(N4),BCB1−4(N6),BCB1−5(N7)とをそなえる。以下、BEB9−1〜9−3を区別しない場合は単にBEB9と称し、BCB1−1〜1−5を区別しない場合は単にBCB1と称することがある。また、BEB9及びBCB1の数、並びに、ネットワーク10の接続形態は、図6に示す例に限定されない。
【0036】
このPBB−TE網10においては、現用パス(現用ESP)として、例えば、N1,N2,N3,N4,N5を経由するパスが設定され、予備パス(予備ESP)として、例えば、N2,N6,N7,N3を経由するパスが設定されている。
さらに、EBEB9−2(N5)には、複数のMACアドレス(宛先アドレス)が設定される。図6に示す例では、N5は、メインアドレス(第1の宛先アドレス)「Y1」及びメインアドレスとは異なるサブアドレス(第2の宛先アドレス)「Y2」を有する。なお、MACアドレスの数はこれに限定されず、少なくとも現用パスの終端に位置するEBEB9−2(N5)が複数の宛先アドレス(MACアドレス)を有していればよい。例えば、N1及びN5(またはN8)が3以上のMACアドレスを有していてもよいし、N5(またはN8)のみが複数のMACアドレスを有していてもよい。図6に示すネットワーク10では、例えば、IBEB9−1(N1)にも複数のMACアドレスが設定されており、N1は、メインアドレス「X1」及びサブアドレス「X2」を有する。
【0037】
(1.1)伝送経路の切り替え制御
上記PBB−TE網10において、現用パスを介してPBBフレームを転送する場合、N1は、まず、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)から受信したユーザフレームを、図2に示すPBBフレームフォーマットでカプセル化する。例えば、N1は、ユーザ識別子としてI−SID、B−SAに自局のMACアドレス「X1」、B−DAに現用パスのEBEB(N5)のMACアドレス「Y1」、B−VID(経路識別子)に「10」をユーザフレームに付与してカプセル化する。そして、N1は、カプセル化したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」と自局(N1)が保持するFDBとに基づき、当該PBBフレームを現用パス(図6のWorking Path)上の次の中継ノード(N2)へ転送する。
【0038】
N1からPBBフレームを受信したN2は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に対応する経路をFDBに基づいて選択し、当該経路(現用パス)上の次の中継ノード(N3)へPBBフレームを転送する。N3及びN4においても、N2と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは次の中継ノード(N4及びN5)へ転送される。
【0039】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0040】
以上のように、本例においても、障害の発生がない場合、現用パスを介してPBBフレームの中継処理を行なうことができる。
一方、例えば、N2とN3との間で障害(回線断など)が発生した場合、N2は、その障害を検出する。なお、N2は、検出した障害に応じて、警報(アラーム)処理を行なうようにしてもよい。
【0041】
そして、障害を検出したN2は、例えば、N1から受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」(第1の経路識別子)を「200」(第2の経路識別子)に変更するとともに、B−DA「Y1」を「Y2」に変更する。
そして、N2は、FDBに基づき、PBBフレームのB−VID「200」及びB−DA「Y2」に対応する経路(図6のProtection Path)を選択し、当該経路上の次の中継ノード(N6)へPBBフレームを転送する。
【0042】
このように、本例では、各ノードが、PBBフレームのB−DAの値に基づいて、当該PBBフレームの転送先が現用パスか予備パスかを識別することができる。
また、本例では、障害を検出したノード(N2)が、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、現用パスから予備パスへPBBフレームの伝送経路を切り替える制御を行なう。これにより、パス設定の自由度が増し、ネットワーク10のスケーラビリティを向上させることができる。なお、B−VID及びB−DAを変更する代わりに、48ビットのB−DAのみを変更するようにしても同様の効果が得られる。
【0043】
N2からPBBフレームを受信したN6は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−VID「Y2」に応じた経路をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次の中継ノード(N7)へPBBフレームを転送する。また、N7においても、N6と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは予備パス上の次の中継ノード(N3)へ転送される。
【0044】
ここで、N7からPBBフレームを受信したN3は、当該PBBフレームのB−VID「200」を元のB−VID「10」に変更するとともに、B−DA「Y2」を元のB−DA「Y1」に変更するようにしてもよい。これにより、N3は、PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に応じた経路(現用パス)をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次の中継ノード(N4)へPBBフレームを転送することができる。
【0045】
N3からPBBフレームを受信したN4は、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」に応じた経路をFDBに基づいて選択し、当該経路上の次のノード(N5)へPBBフレームを転送する。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0046】
以上のように、本例では、少なくともEBEB9−2に複数の宛先アドレス(例えば、MACアドレス)が設定され、障害を検出したノード(例えば、N2)は、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、PBBフレームの転送経路を切り替える。
これにより、12ビットのB−VIDに加えて、6バイト(48ビット)のB−DAを用いてパスを設定することができるので、パスの数を大幅に増加させることが可能となる。結果、パス設定の自由度が増し、ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【0047】
(1.2)ノードの構成例
次に、一実施形態に係る伝送装置(ノード)の構成の一例について図7を用いて説明する。
この図7に示すノード1(9)は、現用パス及び予備パスを介してPBBフレームを伝送する伝送装置であって、例示的に、フレーム受信部2と、ブリッジング部3と、フレーム送信部4と、FDB5と、警報/障害検知部6と、B−VID変換部(VLAN SWAP)7と、B−DA変換部(MAC DA SWAP)8とをそなえる。
【0048】
フレーム受信部2は、ネットワークまたは他のノードから送信されたユーザフレームまたはPBBフレームを受信する。例えば、ノード1(9)がIBEB9である場合、フレーム受信部2は、他のネットワークからユーザフレームを受信し、当該ユーザフレームをカプセル化してPBBフレームを生成する。また、ノード1(9)がBCB1である場合、フレーム受信部2は、他のノード1(9)から受信したPBBフレームを受信する。さらに、ノード1(9)がEBEB9である場合、フレーム受信部2は、他のノード1からPBBフレームを受信し、受信したPBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出する。フレーム受信部2で受信されたフレームは、ブリッジング部3へ送出される。なお、以下では、ノード1(9)がBCB1である例について説明するが、これに限定されるものではなく、ノード1(9)がBEB9であることを除外する意図はない。
【0049】
ブリッジング部3は、フレーム受信部2から入力されたPBBフレームを、FDB5に格納されるテーブルの内容に基づいて、フレーム送信部4またはB−VID変換部(VLAN SWAP)7へ送出する。例えば、ブリッジング部3は、警報/障害検知部6により障害が検出されると、PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、警報/障害検知部6により障害が検出されないと、PBBフレームをフレーム送信部4へ送出する。
【0050】
即ち、ブリッジング部3は、警報/障害検知部6により障害が検出されないと、B−VID及びB−DA(またはB−DA)の変更を行なわずに、PBBフレームが有するB−DA(例えば、EBEB9−2のメインアドレス)に基づいて、PBBフレームを現用パスへ伝送する制御を行なうことができる。
FDB5は、少なくとも、PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAの値と、当該PBBフレームの出力先(出力ポート)とを対応付けたエントリを有するテーブルを保持する。また、前記テーブルが有する各エントリは、例えば、当該エントリの有効(Available)または無効〔NA(Not Available)〕を示す有効フラグと、B−VID及びB−DAの書き換え(変更)の有無及びその書き換え内容とを有する。例えば、ネットワーク10が正常に動作している場合、現用パスに通じる出力ポートが設定されたエントリの有効フラグには「Available」が設定され、予備パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「NA」が設定される。一方、ネットワーク10の障害時には、現用パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「NA」が設定され、予備パスに通じる出力ポートが設定されたエントリには「Available」が設定される。
【0051】
警報/障害検知部(検出部)6は、ノード1に接続された経路(例えば、現用パス)で発生した障害を検知(検出)する。また、警報/障害検知部6は、検出した障害情報に基づいて、FDB5のテーブル内容を変更(更新)することができる。例えば、警報/障害検知部6は、障害が発生した経路に通じる出力ポートに対応するエントリの有無を検索し、かかるエントリが検出された場合、当該エントリの有効フラグを「NA」に変更する。さらに、かかるエントリのB−DA及びB−VIDを検索キーとして、検索された他のエントリの有効フラグを「Available」に変更する。これにより、ブリッジング部3は、変更後のテーブル内容に基づいて、PBBフレームを、例えば、障害が発生した経路に通じる出力ポートから他の出力ポートへ迂回させることができる。
【0052】
B−VID変換部7は、ブリッジング部3から入力されたPBBフレームのB−VIDを、FDB5のテーブル内容に基づいて、変更する。B−VID変換部7によりB−VIDを変更されたPBBフレームは、B−DA変換部8へ送出される。
B−DA変換部8は、B−VID変換部7から入力されたPBBフレームのB−DAを、FDB5のテーブル内容に基づいて、変更する。B−DA変換部8によりB−DAを変更されたPBBフレームは、フレーム送信部4へ送出される。
【0053】
フレーム送信部4は、ブリッジング部3及びB−DA変換部8から入力されたPBBフレームを、当該PBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAに応じた経路(現用パスまたは予備パス)へ転送する。
即ち、ブリッジング部3,B−VID変換部7,B−DA変換部8及びフレーム送信部4は、警報/障害検知部6により障害が検出されると、PBBフレームが有する第1の宛先アドレス(Y1)を異なる第2の宛先アドレス(Y2)に変更して、PBBフレームを予備パスへ伝送する制御を行なう制御部の一例として機能する。
【0054】
(1.3)ノード1の動作例
次に、ノード1の動作の一例について、図8及び図9を用いて説明する。
図8に示すように、まず、ノード1のフレーム受信部2が、他のノード1(9)からPBBフレームを受信する(ステップS1)。
次に、ブリッジング部3が、受信したPBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5が保持するテーブルを検索する(ステップS2)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
【0055】
そして、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−VID書換フィールドが有効であるかを判定し(ステップS3)、書き換えが有効であれば(ステップS3のYesルート)、当該PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、B−VID変換部7により、当該PBBフレームのB−VIDを書き換える(ステップS4)。一方、検索により得られたエントリのB−VID書換フィールドが無効であれば(ステップS3のNoルート)、B−VIDの書き換えは行なわれない。
【0056】
次に、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−DA書換が有効であるかを判定し(ステップS5)、書き換えが有効であれば(ステップS5のYesルート)、当該PBBフレームをB−DA変換部8へ送出し、B−DA変換部8により、当該PBBフレームのB−DAを書き換える(ステップS6)。そして、フレーム送信部4が、B−DAを書き換えられたPBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS7)。
【0057】
一方、検索により得られたエントリのB−DA書換が無効であれば(ステップS5のNoルート)、ノード1は、B−VIDの書き換えを行なわずに、フレーム送信部4により、PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS7)。なお、上記ステップS3及びS5の処理を1ステップで行なうようにしてもよく、この場合、上記ステップS4及びS6の処理を1ステップで行なってもよい。
【0058】
また、図9に示すように、警報/障害検知部6が障害(または警報)を検知すると(ステップS10)、警報/障害検知部6は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポートを検索キーとして、FDB5のテーブルを検索する(ステップS11)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、警報/障害検知部6は、前記検索により得られるエントリがあるかどうかを判定し(ステップS12)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS12のNoルート)、処理を終了する(ステップS16)。
【0059】
一方、前記検索により得られるエントリが有ると判定されれば(ステップS12のYesルート)、警報/障害検知部6は、さらに、当該エントリのB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5のテーブルから他のエントリを検索する(ステップS13)。
次いで、警報/障害検知部6は、ステップS13の検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されたかどうかを判定し(ステップS14)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS14のNoルート)、処理を終了する(ステップS16)。
【0060】
一方、ステップS13の検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されれば(ステップS14のYesルート)、警報/障害検知部6は、当該エントリの有効フラグを「NA」から「Available」に変更する(書き換える)(ステップS15)。さらに、警報/障害検知部6は、ステップS12にて検出したエントリの有効フラグを「Available」から「NA」に変更して(ステップS15)、処理を終了する(ステップS16)。
【0061】
以上のように、ノード1は、FDB5のテーブル内容に応じて、PBBフレームの転送先を制御することができる。また、障害を検知すると、前記テーブル内容を変更するとともに、PBBフレームのB−VID及びB−DAを変更することにより、現用パスと予備パスとの間でフレーム伝送経路の切り替えを行なうことが可能となる。
さらに、PBBフレームのB−VID及びB−DAを用いてパスを識別するので、B−VIDのみによりパスを識別する場合に比して、より多くのパスを識別することができる。その結果、パス設定の自由度が増し、ネットワークのスケーラビリティを向上させることが可能となる。
【0062】
(1.4)ネットワーク(PBB−TE網)10の動作例
次に、上記のノード1を有するPBB−TE網10での動作例について説明する。
図10は、図6記載のPBB−TE網10が正常に動作している場合のN2が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y2,B−VID=200」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図6中、N2からN3への経路(現用パス)に通じるN2の出力ポートであり、Port-3は、図6中、N2からN6への経路(予備パス)に通じるN2の出力ポートである。
【0063】
N2が図10に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N2は、まず、フレーム受信部2により、N1からPBBフレームを受信する。このPBBフレームには、N1により、B−VID「10」及びB−DA「Y1」が設定されている。
次に、N2は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図10のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0064】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図10に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0065】
そして、N2は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
ここで、例えば、警報/障害検知部6により、N2からN3へ通じる経路において障害(または警報)が検知された場合、N2は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポート「Port-2」を検索キーとして、図10のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0066】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出する。そして、N2は、さらに、当該第1エントリのB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図10のテーブルから有効フラグが「NA」である他のエントリを検索する。
この検索により、N2は、第2エントリを検出し、図11に例示するように、当該第2エントリの有効フラグを「NA」から「Available」に変更するとともに、第1エントリの有効フラグを「Available」から「NA」に変更する。
【0067】
その後、N2は、図11のテーブル(変更後のテーブル)に基づいて、PBBフレームの転送処理を行なう。
例えば、N2が、N1からPBBフレームを受信すると、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図11のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0068】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図11に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y2,B−VID=200」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y2」に書き換える。さらに、N2は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN6へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
【0069】
このように、N2は、障害を検知すると、PBBフレームのB−VID及びB−DAを書き換えて、当該PBBフレームの転送経路を現用パスから予備パスへ切り替えて転送することができる。
また、予備パスの終点ノードであるN3は、例えば、図12に示すテーブルを有していてもよい。
【0070】
この図12のテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図6中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートである。N3は、現用パス及び予備パスを介して受信したPBBフレームのいずれも、現用パス上の次のノードN4に転送するため、第1及び第2エントリの有効フラグはいずれも「Available」である。
【0071】
N2とN3との間の経路で障害が発生していない場合、N3は現用パスを介してN2から、B−VID「10」及びB−DA「Y1」が設定されたPBBフレームを受信する。
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図12のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図12に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N3は、N2から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0072】
そして、N3は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
一方、N2とN3との間の経路で障害が発生している場合、N3は予備のパスを介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0073】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図12のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図12に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。さらに、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0074】
このように、予備パスの終点ノードN3は、予備パスを介して受信したPBBフレームを現用パスへ転送することができる。
また、N2とN3との間の経路で発生した障害に加え、図13に示すように、N3とN4との間の経路でも障害が発生した場合、前述の予備パス(Protection Path #1)の他、N3,N7,N4を経由する別の予備パス(Protection Path #2)を介してPBBフレームが伝送される。
【0075】
図14は、図13記載のPBB−TE網10において、N2とN3との間の経路及びN3とN4との間の経路で障害が発生している場合のN7が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=201」,書換「NA」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図13中、N7からN3への経路に通じるN7の出力ポートであり、Port-3は、図13中、N7からN4への経路に通じるN7の出力ポートである。N7では、Protection Path #1とProtection Path #2とを別個のパスとしてFDB5に認識させるため、Protection Path #1のB−VIDとProtection Path #2のB−VIDとが異なる値に設定されている。
【0076】
N7が図14に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N7は、まず、フレーム受信部2により、N6からPBBフレームを受信する。
次に、N7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図14のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図14に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N6から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0077】
そして、N7は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
Protection Path #1の終点ノードであり、Protection Path #2の始点ノードであるN3は、例えば、N3とN4との間の経路において障害が発生している場合、図15に示すテーブルを有する。
【0078】
この図15のテーブルは、例示的に、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y2,B−VID=201」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第3エントリとを有する。なお、Port-2は、図13中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートであり、Port-3は、図13中、N3からN7への経路(予備パス)に通じるN3の出力ポートである。
【0079】
なお、N3とN4との間の経路で障害が発生していない場合、N3は、N2またはN7から受信したPBBフレームをN4に直接転送するために、図15のテーブルの第1エントリの有効フラグを「Available」に変更するとともに、第2エントリの有効フラグを「NA」に変更することができる。
図13に例示するように、N3とN4との間の経路で障害が発生している場合、N3は、Protection Path #1を介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0080】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図15のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第3エントリを検出し、この第3エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図15に示す例では、第3エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。
【0081】
そして、N3は、第3エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送しようとするが、Port-2(N4へのリンク)はダウンしているため、PBBフレームの送出は行なわれない。
この場合、N3は、上記書き換え後のB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、再度、図15のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0082】
この再検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図15に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y2,B−VID=201」であるので、N3は、上記書き換え後のPBBフレームのB−VIDを「10」から「201」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y2」に書き換える。
【0083】
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
次に、N3からPBBフレームを受信したN7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「201」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図14のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0084】
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図14に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N3から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0085】
そして、N7は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
N7からPBBフレームを受信したN4は、例えば、N4のFDB5が保持するテーブル内容に基づき、当該PBBフレームのB−VIDを「201」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換えて、EBEB9−2(N5)へ転送する。
【0086】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0087】
以上のように、複数のセグメントにおいて障害が発生した場合であっても、それらの障害セグメントを迂回する複数の予備パスを個別に設定することができる。また、複数の予備パスのB−VIDをそれぞれ異なる値(図13に示す例では、「200」及び「201」)とすることができるので、ネットワーク10のスケーラビリティが向上する。
また、図16に例示するように、EBEB9−2(N5)に複数のサブアドレス「Y2」及び「Y3」を設定し、当該複数のサブアドレスにより複数の予備パス(Protection Path #1,Protection Path #2)を識別するようにしてもよい。
【0088】
この場合、例えば、N7は図17に例示するテーブルを保持する。
図17のテーブルは、例示的に、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y3,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、Port-2は、図16中、N7からN3への経路に通じるN7の出力ポートであり、Port-3は、図16中、N7からN4への経路に通じるN7の出力ポートである。N7では、Protection Path #1とProtection Path #2とを別個のパスとしてFDB5に認識させるため、Protection Path #1のB−DAとProtection Path #2のB−DAとには異なる値が設定されている。
【0089】
N7が図17に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N7は、まず、フレーム受信部2により、N6からPBBフレームを受信する。
次に、N7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図17テーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図17に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N6から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0090】
そして、N7は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
Protection Path #1の終点ノードであり、Protection Path #2の始点ノードであるN3は、例えば、N3とN4との間の経路において障害が発生している場合、図18に示すテーブルを有する。
【0091】
この図18のテーブルは、例示的に、有効フラグ「NA」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第1エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,書換「B−DA=Y3,B−VID=200」,出力ポート「Port-3」が対応付けられた第2エントリと、有効フラグ「Available」,B−DA+B−VID「B−DA=Y2,B−VID=200」,書換「B−DA=Y1,B−VID=10」,出力ポート「Port-2」が対応付けられた第3エントリとを有する。なお、Port-2は、図16中、N3からN4への経路(現用パス)に通じるN3の出力ポートであり、Port-3は、図16中、N3からN7への経路(予備パス)に通じるN3の出力ポートである。
【0092】
なお、N3とN4との間の経路で障害が発生していない場合、N3は、N2またはN7から受信したPBBフレームをN4に直接転送するために、図18のテーブルの第1エントリの有効フラグを「Available」に変更するとともに、第2エントリの有効フラグを「NA」に変更することができる。
図16に例示するように、N3とN4との間の経路で障害が発生している場合、N3は、Protection Path #1を介してN7から、B−VID「200」及びB−DA「Y2」が設定されたPBBフレームを受信する。
【0093】
次に、N3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y2」を検索キーとして、図18のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第3エントリを検出し、この第3エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図18に示す例では、第3エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y1,B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y2」から「Y1」に書き換える。
【0094】
そして、N3は、第3エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送しようとするが、Port-2(N4へのリンク)はダウンしているため、PBBフレームの送出は行なわれない。
この場合、N3は、上記書き換え後のB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、再度、図18のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0095】
この再検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図18に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは有効であり、「B−DA=Y3,B−VID=200」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換えるとともに、B−DAを「Y1」から「Y3」に書き換える。
【0096】
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
次に、N3からPBBフレームを受信したN7は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y3」を検索キーとして、図17のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0097】
前記検索の結果、N7は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図17に示す例では、第2エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N7は、N3から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0098】
そして、N7は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
N7からPBBフレームを受信したN4は、例えば、N4のFDB5が保持するテーブルに基づき、当該PBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換えるとともに、B−DAを「Y3」から「Y1」に書き換えて、EBEB9−2(N5)へ転送する。
【0099】
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームの終端処理を行なう。このとき、N5は、PBBフレームからB−TAG,B−DA,B−SA及びI−TAGを除去することにより、当該PBBフレームをデカプセル化してユーザフレームを抽出(生成)する。そして、N5は、前記抽出したユーザフレームを、他のネットワーク(PBN,PBBNなど)へ転送する。
【0100】
このように、EBEB9−2(N5)に複数のサブアドレスを設定し、複数の予備パスに異なるサブアドレスを割り当てることにより、複数の予備パスを識別するようにしても、上記と同様の効果が得られる。また、複数の予備パスに異なるB−VID及び異なるB−DAを割り当てれば、ネットワークのスケーラビリティを更に向上させることが可能となる。
【0101】
〔2〕第1変形例
また、EBEB9−2(N5)の48ビットのMACアドレス(メインアドレス)のうち、一部のビットをPBB−TE網10の運用状態(現用または予備)に応じて変更(反転)することにより、サブアドレスを生成(設定)するようにしてもよい。即ち、本例では、48ビットのMACアドレスのうち一部のビットを現用(Working Path)/予備(Protection Path)の識別用ビットフラグとして使用することにより、現用パス/予備パスのアドレス空間を拡張する。なお、本例のネットワーク10は、図6と同様の構成を有する。
【0102】
ここで、図19にMACアドレスの構造の一例を示す。
この図19に示すように、MACアドレスは、48ビット(6オクテット)で構成され、前半の3オクテットがベンダー識別子(Organizationally Unique Identifier、OUI)であり、後半の3オクテットがベンダー管理アドレスである。
第1オクテットの最下位ビットであるI/G(Individual/ Group)ビットは、「0」であれば当該MACアドレスがユニキャストアドレス、「1」であれば当該MACアドレスがマルチキャストアドレスであることを表す。また、第1オクテットの第2ビットは、U/L(Universal/Local)ビットであり、U/Lビットが「0」であれば当該MACアドレスがグローバルアドレス、U/Lビットが「1」であれば当該MACアドレスがローカルアドレスであることを表す。
【0103】
本例では、例えば、ベンダー管理アドレスの第4オクテットの第8ビットを、W/P(Working/Protection)ビットとして用いる。例えば、現用(Working)パスを介してPBBフレームを伝送する場合、B−DAのW/Pビットを「0」に設定し、予備(Protection)パスを介してPBBフレームを伝送する場合、B−DAのW/Pビットを「1」に設定する。
【0104】
これにより、各ノード1(9)は、PBBフレームのB−DAに設定されたEBEB9−2のMACアドレスのW/Pビットが「0」であれば、現用パスを介して当該PBBフレームを転送し、W/Pビットが「1」であれば、予備パスを介して当該PBBフレームを転送できる。
即ち、本例では、W/Pビットが「0」のMACアドレスをEBEB9−2のメインアドレスとし、W/Pビットが「1」のMACアドレスをEBEB9−2のサブアドレスとして設定する。
【0105】
(2.1)ノード1の動作例
ここで、本例のノード1の動作の一例について、図20及び図21を用いて説明する。
図20に示すように、まず、ノード1のフレーム受信部2が、他のノードからPBBフレームを受信する(ステップS20)。
次に、ノード1は、受信したPBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビット値をマスクする(ステップS21)。
【0106】
また、ノード1のブリッジング部3は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID及びB−DAを検索キーとして、FDB5が保持するテーブルを検索する(ステップS22)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、ブリッジング部3は、検索により得られたエントリのB−VID書換が有効であるかを判定し(ステップS23)、書き換えが有効であれば(ステップS23のYesルート)、当該PBBフレームをB−VID変換部7へ送出し、B−VID変換部7により、当該PBBフレームのB−VIDを書き換える(ステップS24)。一方、検索により得られたエントリのB−VID書換が無効であれば(ステップS23のNoルート)、B−VIDの書き換えは行なわれない。
【0107】
次に、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「W(Working Path)」であるか「P(Protection Path)」であるかを判定する(ステップS25)。なお、W/Pフィールドは、受信したPBBフレームを現用パスまたは予備パスのいずれかに送出(転送)するかを示すフィールドである。例えば、PBBフレームを現用パスへ送出する場合は、W/Pフィールドの値に「W(0)」が設定される一方、PBBフレームを予備パスへ送出する場合は、W/Pフィールドの値に「P(1)」が設定される。
【0108】
そして、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「W」であると判定した場合(ステップS25のYesルート)、PBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビットを「0」に設定し(ステップS26)、当該PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS28)。
一方、ノード1は、検索により得られたエントリのW/Pフィールドの値が「P」であると判定した場合(ステップS25のNoルート)、PBBフレームのB−DAに設定されたMACアドレスのW/Pビットを「1」に設定し(ステップS27)、当該PBBフレームを次のノードへ送信する(ステップS28)。
【0109】
また、図21に示すように、警報/障害検知部6が障害(または警報)を検知すると(ステップS30)、警報/障害検知部6は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポートを検索キーとして、FDB5のテーブルを検索する(ステップS31)。このとき、有効フラグが「NA」であるエントリが検索結果に含まれないようにしてもよい。
そして、警報/障害検知部6は、前記検索により得られるエントリがあるかどうかを判定し(ステップS32)、そのようなエントリが無いと判定されれば(ステップS32のNoルート)、処理を終了する(ステップS34)。
【0110】
一方、前記検索により得られるエントリが有ると判定されれば(ステップS32のYesルート)、警報/障害検知部6は、当該エントリの有効フラグを書き換えて(ステップS33)、処理を終了する(ステップS34)。例えば、ステップS32での検索の結果、有効フラグが「Available」であるエントリが検出されれば、当該エントリの有効フラグを「NA」に変更し、ステップS32での検索の結果、有効フラグが「NA」であるエントリが検出されれば、当該エントリの有効フラグを「Available」に変更する。
【0111】
(2.2)ネットワーク(PBB−TE網)10の動作例
次に、上記のノード1を有するPBB−TE網10での動作の一例について説明する。
図22は、PBB−TE網10が正常に動作している場合のN2が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「W」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリと、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「P」,書換「B−VID=200」,出力ポート「Port-3」,有効フラグ「NA」が対応付けられた第2エントリとを有する。
【0112】
N2が図22に示すテーブルに基づいてPBBフレームの転送処理を行なう場合、N2は、まず、フレーム受信部2により、N1からPBBフレームを受信する。当該PBBフレームには、N1により、ユーザ識別子としてI−SID、B−SAに自局(N1)のMACアドレス「X1」、B−DAに現用パスに対応するEBEB9−2(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」、B−VIDに「10」が設定されている。
【0113】
次に、N2は、受信したPBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図22のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VID及びB−DAの書き換えが有効であるかを判定する。図22に示す例では、第1エントリのB−VID及びB−DA書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VID及びB−DAの書き換えを行なわない。
【0114】
また、図22に示す例では、第1エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N2は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」に設定する。なお、受信したPBBフレームのB−DAのW/Pビットの値が、検出されたエントリのW/Pフィールドの値に対応している場合は、当該設定処理を省略してもよい。
そして、N2は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN3へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0115】
図23は、N3が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1,B−VID=10」,W/P「W」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリと、B−DA+B−VID「B−DA=Y1´,B−VID=200」,W/P「W」,書換「B−VID=10」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第2エントリとを有する。なお、「Y1´」は、「Y1」のW/Pビットを「0」から「1」に変更した、EBEB9−2(N5)のサブアドレスである。
【0116】
N2からPBBフレームを受信したN3は、PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図23のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図23に示す例では、第1エントリのB−VID書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N3は、N2から受信したPBBフレームのB−VIDの書き換えを行なわない。
【0117】
また、図23に示す例では、第1エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N3は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」に設定する。なお、受信したPBBフレームのB−DAのW/Pビットの値が、検出されたエントリのW/Pフィールドの値に対応している場合は、当該設定処理を省略してもよい。
そして、N3は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0118】
N4においても、N3と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N5へ転送される。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化し、ユーザフレームを抽出して他のネットワークへ当該ユーザフレームを転送する。
【0119】
一方、例えば、警報/障害検知部6により、N3へ通じる経路において障害(または警報)が検知された場合、N2は、障害の発生したリンク(経路)に通じる出力ポート「Port-2」を検索キーとして、図22のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N2は、第1エントリを検出し、図24に示すように、第1エントリの有効フラグを「NA」に変更するとともに、第1エントリに対応する第2エントリの有効フラグを「Available」に変更する。
【0120】
その後、N2は、図24のテーブル(変更後のテーブル)に基づいて、PBBフレームの転送処理を行なう。
例えば、N2が、N1からPBBフレームを受信すると、当該PBBフレームに設定されたB−VID「10」及びB−DA「Y1」を検索キーとして、図24のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0121】
前記検索の結果、N2は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図24に示す例では、第2エントリのB−VID書き換えフィールドは有効であり、「B−VID=200」であるので、N2は、N1から受信したPBBフレームのB−VIDを「10」から「200」に書き換える。
【0122】
また、図24に示す例では、第2エントリのW/Pフィールドは「P」であるので、N2は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「0」から「1」に変更(設定)する。
そして、N2は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN6へ通じる出力ポート「Port-3」へ当該PBBフレームを転送する。
【0123】
このように、N2は、障害を検知すると、現用のパスから予備のパスへ切り替えてPBBフレームを転送することができる。なお、N2は、B−VID及びW/Pビットを変更することに代えて、W/Pビットのみを変更するようにしても同様の効果が得られる。
図25は、N6が保持するテーブルの一例である。
このテーブルは、例示的に、B−DA+B−VID「B−DA=Y1´,B−VID=200」,書換「NA」,出力ポート「Port-2」,有効フラグ「Available」が対応付けられた第1エントリを有する。
【0124】
N2からPBBフレームを受信したN6は、PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y1´」を検索キーとして、図25のテーブルから該当するエントリを検索する。
前記検索の結果、N6は、有効フラグが「Available」である第1エントリを検出し、この第1エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図25に示す例では、第1エントリのB−VID書き換えフィールドは「NA(無効)」であるので、N6は、N2から受信したPBBフレームのB−VIDの書き換えを行なわない。
【0125】
そして、N6は、第1エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN7へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
N7においても、N6と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N3へ転送される。
N7からPBBフレームを受信したN3は、PBBフレームに設定されたB−VID「200」及びB−DA「Y1´」を検索キーとして、図23のテーブルから該当するエントリを検索する。
【0126】
前記検索の結果、N3は、有効フラグが「Available」である第2エントリを検出し、この第2エントリの書換フィールドに基づいて、B−VIDの書き換えが有効であるかを判定する。図23に示す例では、第2エントリのB−VID書き換えフィールドは有効であり、「B−VID=10」であるので、N3は、N7から受信したPBBフレームのB−VIDを「200」から「10」に書き換える。
【0127】
また、図23に示す例では、第2エントリのW/Pフィールドは「W」であるので、N3は、PBBフレームのB−DAのW/Pビットの値を「1」から「0」に変更(設定)する。
そして、N3は、第2エントリの出力ポートの値に基づき、次のノードN4へ通じる出力ポート「Port-2」へ当該PBBフレームを転送する。
【0128】
N4においても、N3と同様の転送処理が行なわれ、PBBフレームは、N5へ転送される。
N4からPBBフレームを受信したN5は、当該PBBフレームのB−DAに自局(N5)のMACアドレス(メインアドレス)「Y1」が設定されていることを検出し、当該PBBフレームをデカプセル化し、ユーザフレームを抽出して他のネットワークへ当該ユーザフレームを転送する。
【0129】
以上のように、EBEB9−2(N5)のサブアドレスを、メインアドレスのW/Pビットを変更することにより生成した場合でも、上述の実施形態と同様の効果を得られるほか、W/Pビットを制御することにより、現用パス及び予備パスを切り替えて制御することができるので、制御を単純化することが可能となる。また、FDB5に格納する情報量を低減させることができるので、FDB5におけるメモリ使用量を削減することが可能となる。
【0130】
〔3〕第2変形例
また、図26に例示するように、PBBフレームのB−DAに予備パスを終端するノード(N3)のMACアドレスを設定するようにしてもよい。
この場合、N2は、N2とN3との間の経路で障害が発生したことを検知すると、N1から受信したPBBフレームのB−DAの値を「Y1」から「Z(N3のMACアドレス)」に変更する。
【0131】
そして、N2が保持するテーブル内容に基づいて、PBBフレームを、予備パスを介してN3へ転送する。なお、N2から予備パスを介してPBBフレームを受信したN3は、当該PBBフレームのB−DAの値を「Z」から「Y1」に変更して、次のノードN4へ転送するようにしてもよい。
本例によれば、上述した実施形態と同様の効果を得られるほか、予備パスの終端ノードである中継装置のMACアドレスを用いて、PBBフレームの伝送経路を識別できるので、MACアドレス空間を更に効率的に使用することができる。
【0132】
〔4〕その他
なお、上述したノード1の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせてもよい。
また、上述した例では、セグメントプロテクション方式を用いたネットワークシステム例として各実施形態及び変形例を説明したが、パスプロテクション方式やその他の伝送制御方法を用いたネットワークシステムに本発明を適用してもよい。
【0133】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔5〕付記
(付記1)
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送装置。
【0134】
(付記2)
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
(付記3)
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
【0135】
(付記4)
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記1記載の伝送装置。
(付記5)
前記制御部が、
前記変更後の伝送フレームが有する前記第2の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスに戻して、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0136】
(付記6)
前記制御部が、
前記伝送フレームが有する経路識別用の第1の経路識別子を前記第1の経路識別子とは異なる第2の経路識別子に変更する、
ことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0137】
(付記7)
前記制御部が、
前記検出部により障害が検出されないと、前記変更を行なわずに、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスに基づいて、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の伝送装置。
【0138】
(付記8)
現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、
前記現用回線での障害を検出し、
前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、
前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、
ことを特徴とする、伝送方法。
【0139】
(付記9)
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
(付記10)
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
【0140】
(付記11)
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、付記8記載の伝送方法。
(付記12)
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送システム。
【符号の説明】
【0141】
1,1−1,1−2,1−3,1−4,1−5 BCB
2 フレーム受信部
3 ブリッジング部
4 フレーム送信部
5 FDB
6 警報/障害検知部
7 B−VID変換部(VLAN SWAP)
8 B−DA変換部(MAC DA SWAP)
9,9−1,9−2,9−3 BEB
10 ネットワーク(PBB−TE網)
100 ネットワーク
200 PBN
300 PBBN
400,400−1,400−2,400−3 BEB
500,500−1,500−2,500−3,500−4,500−5 BCB
600 PBB−TE網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送装置。
【請求項2】
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項3】
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項4】
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項5】
前記制御部が、
前記変更後の伝送フレームが有する前記第2の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスに戻して、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記制御部が、
前記伝送フレームが有する経路識別用の第1の経路識別子を前記第1の経路識別子とは異なる第2の経路識別子に変更する、
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記制御部が、
前記検出部により障害が検出されないと、前記変更を行なわずに、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスに基づいて、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項8】
現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、
前記現用回線での障害を検出し、
前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、
前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、
ことを特徴とする、伝送方法。
【請求項9】
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項8記載の伝送方法。
【請求項10】
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送システム。
【請求項1】
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置において、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送装置。
【請求項2】
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項3】
前記第1の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスであって、
前記第2の宛先アドレスが、前記第1の宛先アドレスの所定のビットフラグを反転させたものである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項4】
前記第2のアドレスが、前記予備回線を終端する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項1記載の伝送装置。
【請求項5】
前記制御部が、
前記変更後の伝送フレームが有する前記第2の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスに戻して、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項6】
前記制御部が、
前記伝送フレームが有する経路識別用の第1の経路識別子を前記第1の経路識別子とは異なる第2の経路識別子に変更する、
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項7】
前記制御部が、
前記検出部により障害が検出されないと、前記変更を行なわずに、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスに基づいて、前記伝送フレームを前記現用回線へ伝送する制御を行なう、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の伝送装置。
【請求項8】
現用回線及び予備回線を介した伝送フレームの伝送方法において、
前記現用回線での障害を検出し、
前記検出の結果に応じて、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更し、
前記変更後の伝送フレームを前記予備回線へ伝送する、
ことを特徴とする、伝送方法。
【請求項9】
前記第1の宛先アドレス及び前記第2の宛先アドレスが、前記現用回線の終端に位置する伝送装置のMACアドレスである、
ことを特徴とする、請求項8記載の伝送方法。
【請求項10】
現用回線及び予備回線を介して伝送フレームを伝送する伝送装置をそなえた伝送システムにおいて、
前記現用回線での障害を検出する検出部と、
前記検出部により障害が検出されると、前記伝送フレームが有する第1の宛先アドレスを前記第1の宛先アドレスとは異なる第2の宛先アドレスに変更して、前記伝送フレームを前記予備回線へ伝送する制御を行なう制御部と、をそなえた、
ことを特徴とする、伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−258558(P2010−258558A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103806(P2009−103806)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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