説明

伸縮継手

【課題】エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手の長寿命化をより図る。
【解決手段】熱電変換放出部40は、断熱部31により排気の熱を断熱し、断熱部31の外側に配置されたベローズ36により排気を遮断する。そして、断熱部31とベローズ36との間に配設された熱電変換放出部40によって、断熱部31側とベローズ36側との温度差に応じて熱電素子層41が排気の熱を電気へ変換して電気抵抗器43を介して外部へ放出する。この熱電素子層41は、p型素子とn型素子とが柔軟層により拘束されたスケルトン型の熱電素子として構成されており、ベローズ36の内側の面に固定されている。また、熱電素子層41には排気の熱を収集する熱収集層と外部に熱を放出する伝熱層とが配設されており、より温度差を生じるものとした。このように、熱電変換放出部40では、駆動力を要さずにベローズ36の温度上昇をより緩和可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮継手に関し、より詳しくは、加熱された流体が通過するダクトとダクトとの間を接続する伸縮継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伸縮継手としては、圧縮機により圧縮された空気と供給された燃料とを混合・燃焼した燃焼ガスによりタービンを駆動して発電を行い、排出された排気を移送する排気ダクト間を連結するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この伸縮継手では、圧縮機で圧縮された空気の一部が供給されるようになっており、この空気を用いて伸縮継手を冷却することにより、伸縮継手の溶損などを抑制することができる。また、伸縮継手としては、一方の排気ダクトのフランジと他方の排気ダクトのフランジとの間に介装した伸縮継手の内側に、水冷ジャケットを形成し、この水冷ジャケット内部に冷却水を一定量流通させて伸縮継手を冷却することにより、この伸縮継手の寿命を延ばすことができるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−13964号公報
【特許文献2】特開2001−21124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、伸縮継手では、例えば、排気ダクトを流れる燃焼後の排気の温度は、その燃焼状態の変化などによって急激に上昇することがある。しかしながら、上述の特許文献1,2に記載の伸縮継手では、急激な温度上昇に十分対応しているとはいえず、このような場合には伸縮継手の温度が上昇して劣化がより促進することがあり、伸縮継手の長寿命化はまだ十分でなかった。また、上述した伸縮継手では、冷媒としての空気や冷却水をポンプ等の駆動により流通させて常時冷却することから、エネルギーロスが大きかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、エネルギー効率の低下を抑制しつつ長寿命化をより図ることができる伸縮継手を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の伸縮継手は、
加熱された流体が通過する第1のダクトと第2のダクトとの間に該流体が通過可能に配設され該第1及び第2のダクトを通過する流体の熱を断熱する断熱部と、
前記断熱部の外部側に配設され柔軟性を有し前記流体を遮断する遮断部と、
前記断熱部と前記遮断部との間に配設され該断熱部側と該遮断部側との温度差に応じて前記流体の熱を電気へ変換して外部へ放出する熱電変換放出部と、
を備えたものである。
【0008】
この伸縮継手では、断熱部により流体の熱を断熱し、断熱部の外部側に配置された柔軟性を有する遮断部により流体を遮断する。そして、断熱部と遮断部との間に配設されている熱電変換放出部によって、断熱部側と遮断部側との温度差に応じて流体の熱を電気へ変換して外部へ放出する。このように、断熱部側と遮断部側との温度差に応じて流体からの熱を電気へ変換して外部に放出するから、定常状態での流体の温度では勿論のこと、急激な温度上昇がある場合においても、遮断部の温度が上昇するのをより緩和することができる。また、例えば冷却媒体を循環させて遮断部を冷却するものに比してエネルギー消費をより抑制することができる。したがって、エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手の長寿命化をより図ることができる。ここで、「流体」としては、例えば、排気や吸気などの気体、溶液などの液体、粉体などの固体などが挙げられる。
【0009】
本発明の伸縮継手において、前記熱電変換放出部は、p型素子とn型素子とにより構成される熱電素子層と、該熱電素子層に通電可能に接続された抵抗器と、を備えているものとしてもよい。こうすれば、熱電素子層によりp型素子とn型素子とにより熱を電気へ変換し、変換された電気を抵抗器で消費することによって、遮断部の温度が急激に上昇するのをより緩和することができる。
【0010】
本発明の伸縮継手において、前記熱電変換放出部は、前記断熱部側に前記流体の熱を収集する熱収集層、を備えているものとしてもよい。こうすれば、熱収集層を利用して断熱部側の熱を収集し、断熱部側と遮断部側とでより大きな温度差とすることが可能であるため、遮断部の温度の急激な上昇を一層緩和することができる。
【0011】
本発明の伸縮継手において、前記熱電変換放出部は、前記p型素子及び前記n型素子が柔軟層に配設されたスケルトン型の熱電素子層を備えているものとしてもよい。こうすれば、熱電素子層を柔軟なものとして遮断部へより近接させることが可能なため、より十分に遮断部の温度上昇を抑制することができ、ひいては伸縮継手の長寿命化を一層図ることができる。
【0012】
本発明の伸縮継手において、前記熱電変換放出部は、前記遮断部側に外部へ熱を伝導する伝熱層を備えているものとしてもよい。こうすれば、伝熱層を利用して遮断部側の熱を外部へ伝熱し断熱部側と遮断部側とでより大きな温度差とし熱から電気への変換を促すことが可能であるため、遮断部の温度の急激な上昇をより緩和することができる。このとき、前記熱電変換放出部は、放熱板を有する放熱部が前記伝熱層に伝熱可能となるように接続されているものとしてもよい。こうすれば、放熱部によって伝熱層からの熱を外部へ放熱するため、断熱部側と遮断部側とで更に大きな温度差とし、遮断部の温度の急激な上昇を一層緩和することができる。
【0013】
前記熱電変換放出部は、断熱部側に固定されているものとしてもよいし、遮断部側に固定されているものとしてもよいが、遮断部に固定されていることが好ましい。こうすれば、より十分に遮断部の温度上昇を抑制することができるため、伸縮継手の長寿命化を図りやすい。
【0014】
抵抗器を備えた態様の本発明の伸縮継手において、前記熱電変換放出部は、放熱板を有する放熱部が前記抵抗器に伝熱可能となるように接続されているものとしてもよい。こうすれば、より効率よく抵抗器で電気を消費することが可能であり、遮断部の温度の急激な上昇をより緩和することができる。
【0015】
本発明の伸縮継手において、前記断熱部及び前記遮断部は、燃料の燃焼を行い発電機で発電されたあとの流体を流通するよう該発電機側に固定されている第1のダクトと、前記流体を放出する煙突側に固定されている第2のダクトと、に配設されるものとしてもよい。いわゆる発電施設では、伸縮継手を利用することが多いため、本発明を適用する意義が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態である火力発電所10の構成の概略を示す構成図。
【図2】伸縮継手30及び熱電変換放出部40の断面図。
【図3】熱電変換放出部40の構成の概略を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である火力発電所10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、伸縮継手30及び熱電変換放出部40の断面図であり、図3は、熱電変換放出部40の構成の概略を示す構成図である。本実施形態の火力発電所10は、図1に示すように、空気導入管11が接続され空気を圧縮する圧縮機12と、燃料導入管14を介して供給された燃料を圧縮機12に接続され供給された圧縮空気により燃焼する燃焼器16と、燃焼ガスによって回転駆動されるタービン17が回転軸に接続されこの回転駆動力によって発電する発電機18と、が配設されている。また、火力発電所10は、燃焼器16の下流側に固定され燃焼ガスにより発電したあとの高温の流体としての排気が通過する筒状体である第1ダクト22と、排気を外部へ放出する煙突26側に接続され排気が通過する筒状体である第2ダクト24と、第1ダクト22と第2ダクト24との間に配設され排気の外部への排出を遮断すると共に各ダクトの膨張・収縮を緩和する非金属製の伸縮継手30と、が配設されている。また、火力発電所10は、図示しないが、熱回収ボイラ及び冷却水の流通経路が燃焼器16の下流側に設けられ、熱回収ボイラにより生成した蒸気で蒸気タービンを駆動して発電するいわゆるコンバインドサイクル方式の発電を行う施設として構成されている。
【0018】
次に、本発明の主たる構成である伸縮継手30について説明する。図2に示すように、伸縮継手30は、筒状体に形成されており、排気が通過する第1ダクト22と第2ダクト24との間に排気が通過可能に配設されている。ここで、第1ダクト22の下流側には、先端が第2ダクト24の内径より小さな筒状体として形成されたバッフル板23が配設されている。このバッフル板23は、例えばステンレスなどにより構成することができる。ここで、第2ダクト24の上流側の開口にバッフル板23を挿入した状態で第1ダクト22が発電機18側に固定されると共に、第2ダクト24が煙突26側に固定されている。また、伸縮継手30は、バッフル板23の外周を取り巻くように、第1ダクト22の外周に設けられた固定用台座22aにその一端が固定され、第2ダクト24の外周に設けられた固定用台座24aにその他端が固定されている。このように、伸縮継手30は、バッフル板23の存在により、第1ダクト22を通過した排気に直接曝されないよう配設されている。
【0019】
この伸縮継手30は、排気の熱を断熱する断熱部31と、断熱部31の外部側に配設され柔軟性を有し排気を遮断する遮断部としてのベローズ36と、断熱部31とベローズ36との間に配設された熱電変換放出部40と、を備えている。断熱部31は、ベローズ36の保護を図る部材であり、その一端が固定用台座22aの内壁に当接すると共に、その他端が固定用台座24aの内壁に当接した状態で、拘束具によって固定されている。この断熱部31は、内側から順に、耐熱性がより高い第1断熱材32及び第2断熱材33と、耐熱性が比較的高い第3断熱材34及び第4断熱材35との4層により構成されているものとした。第1断熱材32及び第2断熱材33は、例えば、セラミックス繊維製フェルトなどにより構成することができる。また、第3断熱材34及び第4断熱材35は、ガラス繊維製フェルトなどにより構成することができる。なお、断熱材の層数は、排気の温度や流量などに合わせて適宜選択すればよい。また、断熱部31の材質は、セラミックス繊維製フェルト、ガラス繊維製フェルト及びこれらの組み合わせなどより適宜選択すればよい。
【0020】
ベローズ36は、その一端が固定用台座22aの外面と押さえ板37とに挟持されて拘束具により固定されると共に、その他端が固定用台座24aの外面と押さえ板38とに挟持されて固定されている。このベローズ36は、例えば、図3に示すように、内側から順に、フッ素樹脂層シートとガラス繊維製クロスとの複合材である排気側層36a,36bと、ガラス繊維製クロスである中間層36cと、ステンレス線入りガラス繊維製クロスである外部層36dとの4層構造となっており、より内側は耐食層とし、より外側は機械的強度を付与する層により構成されている。このように、断熱部31及びベローズ36は、燃料の燃焼を行い発電機18で発電されたあとの排気を流通するよう発電機18側に固定されている第1ダクト22と、排気を放出する煙突26側に固定されている第2ダクト24と、に配設されている。なお、このベローズ36が排気の圧力の有無によって張った状態と張っていない状態となることから、このベローズ36と断熱部31との間にベローズ36の移動用の空間が設けられた状態で、ベローズ36及び断熱部31がそれぞれ第1ダクト22及び第2ダクト24の間に固定されている。
【0021】
熱電変換放出部40は、断熱部31側とベローズ36側との温度差に応じて排気の熱を電気へ変換して外部へ放出するものであり、ベローズ36の内側の面に固定されている。この熱電変換放出部40は、図3に示すように、熱電変換素子を有する熱電素子層41と、熱電素子層41と伝熱可能に接続された第1放熱部42と、熱電素子層41と通電可能に接続された電気抵抗器43と、熱電素子層41の断熱部31側の面に配設され排気の熱を収集する熱収集層48と、熱電素子層41のベローズ36側の面に配設され外部へ熱を伝導する伝熱層49と、を備えている。熱電素子層41は、複数の柱状のp型素子45の軸方向の中央部分と、複数の柱状のn型素子46の軸方向の中央部分とが、柔軟性を有する樹脂層である柔軟層47に結束された構造を有するスケルトン型の熱電素子として構成されている。また、熱電素子層41では、p型素子45とn型素子46とが交互に配列されており、このp型素子45とn型素子46とが図示しない電極により直列となるよう交互に電気的に接続されている。この熱電素子層41は、断熱部31側の面が高温面となり、ベローズ36側の面が低温面となると電気抵抗器43へ電流が流れるようにそれぞれのp型素子45とn型素子46とが通電可能に接続されている。また、熱電素子層41は、柱状のp型素子45の軸方向の中央部及び柱状のn型素子46の軸方向の中央部が柔軟性を有する樹脂層の柔軟層47で結束された構造を有しており、ベローズ36の湾曲に合わせて湾曲可能となっている。このため、熱電素子層41とベローズ36とが剥離しにくい。p型素子45としては、例えば、BiSbTe系(テルル化物系)、MnSi系(シリサイド系)及びNaCo24(酸化物系)などから選ばれる1以上を用いることができる。また、n型素子46としては、BiTe系(テルル化物系)及びMgSi系(シリサイド系)などから選ばれる1以上を用いることができる。
【0022】
熱電素子層41の高温面に配設されている熱収集層48は、排気の熱を収集する層であり、熱伝導性の高い材質、例えば、アルミニウム、白金、銀、ステンレス、銅などから選ばれる1以上の箔として形成されているのが好ましい。この熱収集層48は、熱伝導性の高い材料とするのが好ましく、アルミニウムが好ましい。また、熱電素子層41の低温面に配設されている伝熱層49は、外部へ熱を伝導する層であり、熱伝導性の高い材質、例えば、アルミニウム、白金、銀、ステンレス、銅などから選ばれる1以上の箔により形成されているのが好ましい。この伝熱層49は、耐食性も高い材料とするのが好ましく、アルミニウムが好ましい。伝熱層49には放熱板を有する第1放熱部42が伝熱可能に接続されており、この第1放熱部42が外部へ熱を放出することにより熱電素子層41の低温面をより冷却する。この熱収集層48や伝熱層49は、耐熱性を有する半田、例えばSnSb(融点232℃)やAuSn(融点280℃)などによって熱電素子層41の高温面及び低温面に固定されている。電気抵抗器43は、p型素子45の端子とn型素子46の端子とに接続され熱電素子層41で生じた電流を再び熱へ変換するものであり、放熱板を有する第2放熱部44が伝熱可能となるように接続されている。
【0023】
次に、高温の排気が第1ダクト22及び第2ダクト24を流通する際の伸縮継手30及び熱電変換放出部40の状態の変化について図1〜3を用いて説明する。火力発電所10の燃焼器16で燃料を燃焼してタービン17を駆動し発電機18で発電を行うと、高温の排気が第1ダクト22及び第2ダクト24を流通する(図1,2参照)。このとき、流通する排気はバッフル板23により伸縮継手30には直接吹き付けられず、断熱部31などの急激な温度上昇は抑えられている。また、断熱部31の各層や熱電変換放出部40によって温度が低減された排気によりベローズ36が外側方向に押圧され膨らんだ状態となる。このとき、熱収集層48が排気の熱を収集すると共に、伝熱層49が第1放熱部42やベローズ36を介して放熱することから、熱電素子層41の断熱部31側の面(高温面)とベローズ36側の面(低温面)とに温度差が生じる。そして、熱電素子層41がその温度差に応じて排気の熱を電流へ変換し、この変換された電流が電気抵抗器43に流れる。電気抵抗器43では、この電流を更に熱へ変換して第2放熱部44を介して放熱する。このようにして、熱電変換放出部40により排気の熱を電気へ変換し外部へ放出することにより、ベローズ36への伝熱を緩和する。特に、燃焼器16での燃焼状態によっては排気温度が急激に上昇しベローズ36の熱劣化が促進されてしまうことが考えられるが、熱電素子層41の高温面と低温面との温度差が大きくなり、熱電素子層41での電流への変換が大きくなるから、ベローズ36への伝熱の高い緩和効果が得られる。ここで、熱電変換放出部40を備えない一般的な伸縮継手について説明する。一般的に、伸縮継手を継続使用する場合、例えば、断熱材は、経年の熱履歴により繊維等が硬化し、燃焼器の定期的な起動・停止の繰り返しによる伸縮により損傷し、火力発電所の運転時の排気の流通などにより断熱材の飛散などが生じることがある。このような損傷により発生した隙間に高温の排気が入り込み、最終的にはベローズへ到達し、ベローズの劣化が生じるものと考えられる。特に、燃焼器からの排気温度が急激に上昇する場合などにベローズの熱劣化が大きく促進されると考えられる。本実施形態の伸縮継手30では、熱電変換放出部40によって、断熱部31側の面とベローズ36側の面との温度差に応じて熱を電気へ変換して外部へ放出するため、特別な駆動力を必要とせずにベローズ36の熱劣化をより抑制することができる。
【0024】
以上詳述した本実施形態の熱電変換放出部40によれば、断熱部31により排気の熱を断熱し、断熱部31の外部側に配置された柔軟性を有するベローズ36により排気を遮断する。そして、断熱部31とベローズ36との間に配設されている熱電変換放出部40によって、断熱部31側とベローズ36側との温度差に応じて排気の熱を電気へ変換して外部へ放出する。このように、断熱部31側とベローズ36側との温度差に応じて排気からの熱を電気へ変換して外部に放出するから、定常状態での排気の温度では勿論のこと、急激な温度上昇がある場合においても、ベローズ36の温度が上昇するのをより緩和することができる。また、例えば冷却媒体を循環させてベローズ36を冷却するものに比してエネルギー消費をより抑制することができる。したがって、エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。
【0025】
また、熱電素子層41によりp型素子45とn型素子46とにより熱を電気へ変換し、変換された電気を電気抵抗器43で消費することによって、ベローズ36の温度が急激に上昇するのをより緩和することができる。更に、熱収集層48を利用して断熱部31側の熱を収集し、断熱部31側とベローズ36側とでより大きな温度差とすることが可能であるため、ベローズ36の温度の急激な上昇を一層緩和することができる。更にまた、p型素子45及びn型素子46が柔軟層47に配設されたスケルトン型の熱電素子層41を備えているため、熱電素子層41を柔軟なものとしてベローズ36へより近接させることが可能であり、より十分にベローズ36の温度上昇を抑制することができ、ひいては伸縮継手30の長寿命化を一層図ることができる。そして、伝熱層49を利用してベローズ36側の熱を外部へ伝熱し断熱部31側とベローズ36側とでより大きな温度差とし熱から電気への変換を促すことが可能であるため、ベローズ36の温度の急激な上昇をより緩和することができる。そしてまた、第1放熱部42によって伝熱層49からの熱を外部へ放熱するため、断熱部31側とベローズ36側とで更に大きな温度差とし、ベローズ36の温度の急激な上昇を一層緩和することができる。そして更に、熱電変換放出部40は、ベローズ36に固定されているため、より十分にベローズ36の温度上昇を抑制することができ、伸縮継手30の長寿命化を図りやすい。そして更にまた、第2放熱部44が電気抵抗器43に伝熱可能となるように接続されているため、より効率よく電気抵抗器43で電気を消費することが可能であり、ベローズ36の温度の急激な上昇をより緩和することができる。また、火力発電所10では、伸縮継手30を利用することが多いため、本発明を適用する意義が高い。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、熱電素子層41に熱収集層48が配設されているものとしたが、これを省略してもよい。こうしても、熱電素子層41の高温面及び低温面で温度差は生じうるから、熱電素子層41によりエネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。また、熱電素子層41に伝熱層49が配設されているものとしたが、これを省略してもよい。こうしても、熱電素子層41の高温面及び低温面で温度差は生じうるから、エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。また、第1放熱部42が伝熱層49に接続されているものとしたが、これを省略してもよい。こうしても、熱電素子層41の高温面及び低温面で温度差は生じうるから、エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。また、第2放熱部44が電気抵抗器43に接続されているものとしたが、これを省略してもよい。こうしても、電気抵抗器43で電流から熱へ変換可能であるから、エネルギー効率の低下を抑制しつつ伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。
【0028】
上述した実施形態では、熱電素子層41は、柔軟層47によりp型素子45及びn型素子46の中央で結束するものとしたが、特にこれに限定されず、これに加え、又はこれに代えてp型素子45及びn型素子46の高温面へ耐熱性の柔軟層を固定することにより湾曲可能なものとしてもよいし、p型素子45及びn型素子46の低温面へ柔軟層を固定することにより湾曲可能なものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、熱電素子層41は、スケルトン型の構成としたが、断熱部31側とベローズ36側との温度差に応じて排気の熱を電気へ変換して外部へ放出するものとすれば特にこれに限定されず、高温面及び低温面のうち少なくとも一方の面に例えばセラミックスの基板などを固定したものを利用するものとしてもよい。こうすれば、柔軟性には劣るがベローズ36側への排熱の伝達を抑制することはできるため、伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。なお、基板を有する熱電素子層を用いる際には、できるだけ小さなユニットとし、このユニットを柔軟層で連結させるなどすることにより、できるだけ湾曲可能なものとすることが好ましい。
【0030】
上述した実施形態では、熱電変換放出部40は、ベローズ36へ固定されているものとしたが、断熱部31とベローズ36との間に配設するものとすれば、特にこれに限定されず、断熱部31へ固定するものとしてもよい。こうしてもベローズ36側への排熱の伝達を抑制することができるため、伸縮継手30の長寿命化をより図ることができる。
【0031】
上述した実施形態では、第1ダクト22が発電機18側に固定され、第2ダクト24が煙突26側に固定されているものとして説明したが、燃焼器16から煙突26までの間の構造物に固定されているダクトであれば特に限定されず、また、複数の伸縮継手30を配設するものとしてもかまわない。
【0032】
上述した実施形態では、第1ダクト22、第2ダクト24及び伸縮継手30は筒状体であるものとしたが、排気が流通可能であれば特にこれに限られず、角柱状であってもよいし、楕円柱状であってもよい。
【0033】
上述した実施形態では、伸縮継手30及び熱電変換放出部40は、火力発電所10の排気を流通するダクトに用いるものとしたが、加熱された流体を流通するダクトに用いるものとすれば特にこれに限定されず、例えば、ゴミ処理場、化学プラント工場などにおいて、加熱された排気や吸気などの気体を流通するダクトや、加熱された溶液などの液体を流通するダクト、加熱された粉体などの固体を流通するダクトなどに適用するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 火力発電所、11 空気導入管、12 圧縮機、14 燃料導入管、16 燃焼器、17 タービン、18 発電機、22 第1ダクト、22a 固定用台座、23 バッフル板、24 第2ダクト、24a 固定用台座、26 煙突、30 伸縮継手、31 断熱部、32 第1断熱材、33 第2断熱材、34 第3断熱材、35 第4断熱材、36 ベローズ、36a,36b 排気側層、36c 中間層、36d 外部層、37,38 押さえ板、40 熱電変換放出部、41 熱電素子層、42 第1放熱部、43 電気抵抗器、44 第2放熱部、45 p型素子、46 n型素子、47 柔軟層、48 熱収集層、49 伝熱層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された流体が通過する第1のダクトと第2のダクトとの間に該流体が通過可能に配設され該第1及び第2のダクトを通過する流体の熱を断熱する断熱部と、
前記断熱部の外部側に配設され柔軟性を有し前記流体を遮断する遮断部と、
前記断熱部と前記遮断部との間に配設され該断熱部側と該遮断部側との温度差に応じて前記流体の熱を電気へ変換して外部へ放出する熱電変換放出部と、
を備えた伸縮継手。
【請求項2】
前記熱電変換放出部は、p型素子とn型素子とにより構成される熱電素子層と、該熱電素子層に通電可能に接続された抵抗器と、を備えている、請求項1に記載の伸縮継手。
【請求項3】
前記熱電変換放出部は、前記断熱部側に前記流体の熱を収集する熱収集層、を備えている、請求項1又は2に記載の伸縮継手。
【請求項4】
前記熱電変換放出部は、前記p型素子及び前記n型素子が柔軟層に配設されたスケルトン型の熱電素子層を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮継手。
【請求項5】
前記熱電変換放出部は、前記遮断部側に外部へ熱を伝導する伝熱層を備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮継手。
【請求項6】
前記熱電変換放出部は、放熱板を有する放熱部が前記伝熱層に伝熱可能となるように接続されている、請求項5に記載の伸縮継手。
【請求項7】
前記熱電変換放出部は、前記遮断部に固定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮継手。
【請求項8】
前記熱電変換放出部は、放熱板を有する放熱部が前記抵抗器に伝熱可能となるように接続されている、請求項2に記載の伸縮継手。
【請求項9】
前記断熱部及び前記遮断部は、燃料の燃焼を行い発電機で発電されたあとの流体を流通するよう該発電機側に固定されている第1のダクトと、前記流体を放出する煙突側に固定されている第2のダクトと、に配設される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の伸縮継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−27190(P2011−27190A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174277(P2009−174277)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【Fターム(参考)】