説明

位相同期ループ形周波数シンセサイザ

【課題】サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる位相同期ループ形周波数シンセサイザを得ることを目的とする。
【解決手段】 VCO4により発振される高周波信号Dの周波数が切り換えられる場合、位相比較器2が第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持するように構成する。これにより、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、無線通信装置などに実装される位相同期ループ形周波数シンセサイザに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周波数シンセサイザとして、位相同期ループ形周波数シンセサイザ(以下、「PLLシンセサイザ」と称する)が開発されている。
図9は従来のPLLシンセサイザを示す構成図である。
位相比較器102は、基準発振器101が基準信号Dを発振し、可変分周器105が高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを出力すると、その基準信号Dと同期信号Dを比較する。
【0003】
位相比較器102は、基準信号Dと同期信号Dを比較して、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、信号レベルがLレベルで一定の第2の位相比較信号Dndを出力する。
一方、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、信号レベルがLレベルで一定の第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第2の位相比較信号Dndを出力する。
【0004】
ループフィルタ103は、位相比較器102から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号Dを生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号Dを電圧制御発振器であるVCO(Voltage Controlled Oscillator)104に出力する。
VCO104は、ループフィルタ103から制御信号Dを受けると、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。
可変分周器105は、VCO104が高周波信号Dを発振すると、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器102に出力する。
【0005】
ここで、図10は以下の非特許文献1に開示されている位相比較器102を示す構成図である。
位相比較器102のフリップフロップ111aは、基準発振器101から発振された基準信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ111aは、基準発振器101から発振された基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路112からリセット信号Rを受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
なお、AND回路112からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ111aが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ111aからLレベルの信号Q1が出力される。
【0006】
位相比較器102のフリップフロップ111bは、可変分周器105から出力された同期信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ111bは、可変分周器105から出力された同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路112からリセット信号Rを受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
なお、AND回路112からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ111bが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ111bからLレベルの信号Q2が出力される。
【0007】
AND回路112は、フリップフロップ111aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ111bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号Rをフリップフロップ111a,111bに出力する。
したがって、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q1がフリップフロップ111aから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q2がフリップフロップ111bから出力される。
一方、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q2がフリップフロップ111bから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q1がフリップフロップ111aから出力される。
【0008】
インバータ113aは、フリップフロップ111aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ103に出力する。
インバータ113bは、フリップフロップ111bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ103に出力する。
【0009】
ここで、図11は位相比較器102に入力される基準信号Dと同期信号Dの位相差に対応する差電圧(Dnd−Dnu)の平均電圧の一例を示す説明図である。
図11から明らかなように、位相差が|2nπ|ラジアン(nは整数)毎に平均電圧が0Vになる。
従来のPLLシンセサイザにおいて、例えば、広い変化幅で周波数の切り換えが行われる場合、位相比較器102での位相差が|2nπ|ラジアン(nは整数)を超える場合があるが、図11に示すように、位相差が|2nπ|ラジアン(nは整数)毎に平均電圧が0V近傍となるため、VCO104に与えられる制御信号Dが大幅に変化する。
【0010】
その結果、図12に示すように、例えば、高周波信号Dの周波数が周波数f1からf2に収束する過程で、高周波信号Dの周波数がf1に逆戻りするような特性となり、周波数の切り換えの収束時間が遅くなる。この現象はサイクルスリップと呼ばれる。
サイクルスリップが生じない場合は、周波数f1から周波数f2に至るまで、周波数が徐々に収束していき、サイクルスリップが生じる場合よりも収束時間が短くなる。
【0011】
【非特許文献1】P.Shockman、“Phase Lock Loop General Operations”、 ON Semiconductor Application note AND8040/D.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の位相同期ループ形周波数シンセサイザは以上のように構成されているので、広い変化幅で周波数の切り換えが行われる場合、サイクルスリップが発生して、周波数の切り換えの収束時間が遅くなるなどの課題があった。
【0013】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる位相同期ループ形周波数シンセサイザを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る位相同期ループ形周波数シンセサイザは、電圧制御発振器により発振される高周波信号の周波数が切り換えられる場合、位相比較器が第1の位相比較信号と第2の位相比較信号の差分を一定に保持するようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電圧制御発振器により発振される高周波信号の周波数が切り換えられる場合、位相比較器が第1の位相比較信号と第2の位相比較信号の差分を一定に保持するように構成したので、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザを示す構成図であり、図において、基準発振器1は基準信号Dを発振する処理を実施する。
位相比較器2は基準発振器1から発振される基準信号Dと可変分周器5から出力される同期信号Dを比較して、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、信号レベルがLレベルで一定の第2の位相比較信号Dndを出力し、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、信号レベルがLレベルで一定の第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第2の位相比較信号Dndを出力する処理を実施する。
ただし、位相比較器2はVCO(Voltage Controlled Oscillator)4により発振される高周波信号Dの周波数の切り換えを指示する周波数切換制御信号を受けると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0017】
ループフィルタ3は位相比較器2から出力される第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号Dを生成して、その制御信号Dを平滑化する処理を実施する。
電圧制御発振器であるVCO4はループフィルタ3により生成された制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御されて、その高周波信号Dを発振する処理を実施する。
可変分周器5はVCO4により発振される高周波信号Dを分周数制御信号が示す分周数Nで分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する処理を実施する。
【0018】
図2はこの発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
図において、スイッチ11aは位相同期が確立している状態では基準発振器1から発振される基準信号Dを選択して、その基準信号Dをフリップフロップ13aに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える旨を指示する第1の周波数切換制御信号を受けると、終端回路12aの出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ13aに与える処理を実施する。なお、スイッチ11aは第1の信号選択手段を構成している。
【0019】
スイッチ11bは位相同期が確立している状態では可変分周器5から出力される同期信号Dを選択して、その同期信号Dをフリップフロップ13bに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える旨を指示する第2の周波数切換制御信号を受けると、終端回路12bの出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ13bに与える処理を実施する。なお、スイッチ11bは第2の信号選択手段を構成している。
終端回路12a,12bはフリップフロップ13a,13bの入力端子を終端する回路である。
図2の例では、終端回路12aと終端回路12bが別々に設けられているが、終端回路12aと終端回路12bが共通化されて、1つの終端回路として設けられていてもよい。
【0020】
第1のフリップフロップであるフリップフロップ13aは基準発振器1から発振された基準信号D又は終端回路12aの出力信号を入力信号S1として、その入力信号S1のHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ13aは例えば基準発振器1から発振された基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路14からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力し、AND回路14からリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1を出力する。
【0021】
第2のフリップフロップであるフリップフロップ13bは可変分周器5から出力された同期信号D又は終端回路12bの出力信号を入力信号S2として、その入力信号S2のHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ13bは例えば可変分周器5から出力された同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路14からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力し、AND回路14からリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q2を出力する。
【0022】
論理演算回路であるAND回路(論理積回路)14はフリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をフリップフロップ13a,13bに出力する処理を実施する。
第1の位相比較信号生成回路であるインバータ15aはフリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
第2の位相比較信号生成回路であるインバータ15bはフリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
【0023】
次に動作について説明する。
最初に、位相同期が確立されている場合の動作について説明する。
位相比較器2は、基準発振器1が基準信号Dを発振し、可変分周器5が高周波信号Dを分周数Nで分周して、その分周信号である同期信号Dを出力すると、その基準信号Dと同期信号Dを比較する。
【0024】
位相比較器2は、基準信号Dと同期信号Dを比較して、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、信号レベルがLレベルで一定の第2の位相比較信号Dndを出力する。
一方、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、信号レベルがLレベルで一定の第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第2の位相比較信号Dndを出力する。
【0025】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ11aは、位相同期が確立している状態では、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられないので、基準発振器1から発振される基準信号Dを選択して、その基準信号Dをフリップフロップ13aに与える。
また、スイッチ11bは、位相同期が確立している状態では、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられないので、可変分周器5から出力される同期信号Dを選択して、その同期信号Dをフリップフロップ13bに与える。
【0026】
フリップフロップ13aは、スイッチ11aから与えられる基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路14からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
なお、AND回路14からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ13aが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ13aからLレベルの信号Q1が出力される。
【0027】
フリップフロップ13bは、スイッチ11bから与えられる同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路14からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
なお、AND回路14からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ13bが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ13bからLレベルの信号Q2が出力される。
【0028】
AND回路14は、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をフリップフロップ13a,13bに出力する。
したがって、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q1がフリップフロップ13aから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q2がフリップフロップ13bから出力される。
一方、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q2がフリップフロップ13bから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q1がフリップフロップ13aから出力される。
【0029】
インバータ15aは、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ15bは、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0030】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0031】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
図3(a)は高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合のフリップフロップ13a,13bの入出力信号の波形等を示す説明図である。
【0032】
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ11bに与えられる。
位相比較器2は、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0033】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ11bは、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、終端回路12bの出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ13bに与える。
このとき、フリップフロップ13bの入力信号S2は、終端回路12bの出力信号であり、信号レベルがLレベルであるため、図3(a)に示すように、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルがLレベルで一定になる。
【0034】
位相比較器2のスイッチ11aは、高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合には、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、基準発振器1から発振される基準信号Dを選択して、その基準信号Dをフリップフロップ13aに与える。
フリップフロップ13aは、スイッチ11aから与えられる基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、図3(a)に示すように、AND回路14からリセット信号Rを受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束するまでの間は、AND回路14からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0035】
インバータ15aは、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ15aは、フリップフロップ13aから出力されたHレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ15bは、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ15bは、フリップフロップ13bから出力されたLレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0036】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがHレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがLレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は正の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を高める制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を高い周波数に収束することができる。
【0037】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が高い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0038】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束すると、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ11bに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ11bは、信号の選択対象を可変分周器5から出力される同期信号Dに戻して、その同期信号Dをフリップフロップ13bに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0039】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
図3(b)は高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合のフリップフロップ13a,13bの入出力信号の波形等を示す説明図である。
【0040】
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ11aに与えられる。
位相比較器2は、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0041】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ11aは、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、終端回路12aの出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ13aに与える。
このとき、フリップフロップ13aの入力信号S1は、終端回路12aの出力信号であり、信号レベルがLレベルであるため、図3(b)に示すように、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルがLレベルで一定になる。
【0042】
位相比較器2のスイッチ11bは、高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合には、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、可変分周器5から出力される同期信号Dを選択して、その同期信号Dをフリップフロップ13bに与える。
フリップフロップ13bは、スイッチ11bから与えられる同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、図3(b)に示すように、AND回路14からリセット信号Rを受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束するまでの間は、AND回路14からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0043】
インバータ15aは、フリップフロップ13aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ15aは、フリップフロップ13aから出力されたLレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ15bは、フリップフロップ13bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ15bは、フリップフロップ13bから出力されたHレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0044】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがLレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがHレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は負の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を下げる制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を低い周波数に収束することができる。
【0045】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が低い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0046】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束すると、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ11aに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ11aは、信号の選択対象を基準発振器1から発振される基準信号Dに戻して、その基準信号Dをフリップフロップ13aに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0047】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数が切り換えられる場合、位相比較器2が第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持するように構成したので、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる効果を奏する。
【0048】
なお、この実施の形態1では、位相比較器2のフリップフロップ13a,13bがAND回路14からHレベルの信号であるリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1,Q2を出力するものについて示したが、図4に示すように、位相比較器2がLレベルの信号でリセットされるフリップフロップ16a,16bを実装するようにしてもよい。
この場合には、AND回路14の代わりに、フリップフロップ16aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ16bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Lレベルの信号)をフリップフロップ16a,16bに出力するNAND回路(否定論理積回路)17を実装するようにする。
【0049】
この実施の形態1では、位相比較器2のインバータ15a,15bがフリップフロップ13a,13bの出力信号Q1,Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1,Q2を位相比較信号Dnu,Dndとして、ループフィルタ3に出力するものについて示したが、図5に示すように、インバータ15aの代わりに、第1の位相比較信号生成回路としてバッファ18aを実装し、インバータ15bの代わりに、第2の位相比較信号生成回路としてバッファ18bを実装するようにしてもよい。
ただし、バッファ18a,18bを実装する場合、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndの信号レベルが図2の場合と逆になってしまうので、バッファ18aから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとし、バッファ18bから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとする。
なお、バッファ18aから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとし、バッファ18bから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとする場合には、ループフィルタ3において、符号を反転するようにすればよい。
【0050】
また、この実施の形態1では、位相比較器2が位相比較信号Dnu,Dndをループフィルタ3に出力するものについて示したが、図6に示すように、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndを電圧信号から電流信号に変換し、その電流信号をループフィルタ3に出力するチャージポンプ回路19を設けるようにしてもよい。
チャージポンプ回路19を用いる場合でも、差電圧(Dnd−Dnu)が0Vになると、チャージポンプ回路19の出力電流が0Aとなるため、サイクルスリップが生じる問題があるが、この実施の形態1では、チャージポンプ回路19の前段に位相比較器2が実装されているので、サイクルスリップの発生を招くことなく、周波数の切り換えを実現することができる。
なお、チャージポンプ回路19の詳細については、以下の非特許文献2に開示されている。
・非特許文献2
小沢利行、“PLL周波数シンセサイザ・回路設計法”、pp.129〜131、綜合電子出版社、1994.
【0051】
この実施の形態1では、外部から入力される第1及び第2の周波数切換制御信号のタイミングについては特に言及していないが、基準信号D又は同期信号Dに同期していてもよいし、非同期であってもよく、同様の効果を奏することができる。
【0052】
この実施の形態1では、可変分周器5に与えられる分周数制御信号については、値が固定である整数分周方式(インテジャーN方式)でもよいし、時間的に変動する分数分周方式(フラクショナルN方式)でもよく、同様の効果を奏することができる。
分数分周方式(フラクショナルN方式)を用いる場合には、可変分周器5に与えられる分周数制御信号が基準信号D又は同期信号Dに同期して変化するようにしてもよい。
【0053】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
図において、第1のフリップフロップであるフリップフロップ21aは基準発振器1から発振された基準信号Dを入力して、その基準信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ21aは基準発振器1から発振された基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力し、AND回路24からリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1を出力する。
【0054】
第2のフリップフロップであるフリップフロップ21bは可変分周器5から出力された同期信号Dを入力して、その同期信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ21bは可変分周器5から出力された同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力し、AND回路24からリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q2を出力する。
【0055】
DC電源回路22a,22bは信号レベルがLレベルの電圧信号Vを出力する回路である。
スイッチ23aは位相同期が確立している状態ではフリップフロップ21aの出力信号Q1を選択して、その出力信号Q1をAND回路24及びインバータ25aに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える旨を指示する第1の周波数切換制御信号を受けると、DC電源回路22aから出力されるLレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vを信号Q1としてAND回路24及びインバータ25aに与える処理を実施する。なお、スイッチ23aは第1の信号選択手段を構成している。
【0056】
スイッチ23bは位相同期が確立している状態ではフリップフロップ21bの出力信号Q2を選択して、その出力信号Q2をAND回路24及びインバータ25bに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える旨を指示する第2の周波数切換制御信号を受けると、DC電源回路22bから出力されるLレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vを信号Q2としてAND回路24及びインバータ25bに与える処理を実施する。なお、スイッチ23bは第2の信号選択手段を構成している。
【0057】
論理演算回路であるAND回路(論理積回路)24はスイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をフリップフロップ21a,21bに出力する処理を実施する。
第1の位相比較信号生成回路であるインバータ25aはスイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
第2の位相比較信号生成回路であるインバータ25bはスイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
【0058】
次に動作について説明する。
位相同期ループ形周波数シンセサイザの全体的な動作は上記実施の形態1と同様であり、位相比較器2の内部の動作のみが上記実施の形態1と相違している。
最初に、位相同期が確立されている場合の動作について説明する。
位相比較器2は、基準発振器1が基準信号Dを発振し、可変分周器5が高周波信号Dを分周数Nで分周して、その分周信号である同期信号Dを出力すると、上記実施の形態1と同様に、その基準信号Dと同期信号Dを比較する。
【0059】
位相比較器2は、基準信号Dと同期信号Dを比較して、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、上記実施の形態1と同様に、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、信号レベルがLレベルで一定の第2の位相比較信号Dndを出力する。
一方、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、上記実施の形態1と同様に、信号レベルがLレベルで一定の第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第2の位相比較信号Dndを出力する。
【0060】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
フリップフロップ21aは、基準発振器1から発振される基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
なお、AND回路24からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ21aが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ21aからLレベルの信号Q1が出力される。
【0061】
フリップフロップ21bは、可変分周器5から出力される同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
なお、AND回路24からリセット信号Rを受けると、フリップフロップ21bが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされるので、以降、フリップフロップ21bからLレベルの信号Q2が出力される。
【0062】
スイッチ23aは、位相同期が確立している状態では、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられないので、フリップフロップ21aの出力信号Q1を選択して、その出力信号Q1をAND回路24及びインバータ25aに与える。
また、スイッチ23bは、位相同期が確立している状態では、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられないので、フリップフロップ21bの出力信号Q2を選択して、その出力信号Q2をAND回路24及びインバータ25bに与える。
【0063】
AND回路24は、スイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をフリップフロップ21a,21bに出力する。
したがって、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q1がフリップフロップ21aから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q2がフリップフロップ21bから出力される。
一方、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q2がフリップフロップ21bから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q1がフリップフロップ21aから出力される。
【0064】
インバータ25aは、スイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ25bは、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0065】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0066】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ23bに与えられる。
位相比較器2は、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0067】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ23bは、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、DC電源回路22bから出力されるLレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vを信号Q2としてAND回路24及びインバータ25bに与える。
このとき、スイッチ23bからAND回路24及びインバータ25bに与えられる信号Q2は、DC電源回路22bから出力されるLレベルの電圧信号Vであるため、信号レベルがLレベルで一定になる。
【0068】
フリップフロップ21aは、基準発振器1から発振される基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束するまでの間は、AND回路24からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ21aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0069】
スイッチ23aは、高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合には、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、フリップフロップ21aの出力信号Q1を選択して、その出力信号Q1をAND回路24及びインバータ25aに与える。
【0070】
インバータ25aは、スイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ25aは、スイッチ23aから出力されたHレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ25bは、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ25bは、スイッチ23bから出力されたLレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0071】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがHレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがLレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は正の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を高める制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を高い周波数に収束することができる。
【0072】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が高い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0073】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束すると、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ23bに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ23bは、信号の選択対象をフリップフロップ21bの出力信号Q2に戻して、その出力信号Q2をAND回路24及びインバータ25bに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0074】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ23aに与えられる。
位相比較器2は、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0075】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ23aは、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、DC電源回路22aから出力されるLレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vを信号Q1としてAND回路24及びインバータ25aに与える。
このとき、スイッチ23aからAND回路24及びインバータ25aに与えられる信号Q1は、DC電源回路22aから出力されるLレベルの電圧信号Vであるため、信号レベルがLレベルで一定になる。
【0076】
フリップフロップ21bは、可変分周器5から出力される同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、AND回路24からリセット信号R(Hレベルの信号)を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束するまでの間は、AND回路24からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ21bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0077】
スイッチ23bは、高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合には、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、フリップフロップ21bの出力信号Q2を選択して、その出力信号Q2をAND回路24及びインバータ25bに与える。
【0078】
インバータ25aは、スイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ25aは、スイッチ23aから出力されたLレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ25bは、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ25bは、スイッチ23bから出力されたHレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0079】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがLレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがHレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は負の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を下げる制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を低い周波数に収束することができる。
【0080】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が低い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0081】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束すると、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ23aに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ23aは、信号の選択対象をフリップフロップ21aの出力信号Q1に戻して、その出力信号Q1をAND回路24及びインバータ25aに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0082】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数が切り換えられる場合、位相比較器2が第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持するように構成したので、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる効果を奏する。
【0083】
なお、この実施の形態2では、位相比較器2のフリップフロップ21a,21bがAND回路24からHレベルの信号であるリセット信号Rを受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1,Q2を出力するものについて示したが、フリップフロップ21a,21bの代わりに、Lレベルの信号でリセットされるフリップフロップを実装するようにしてもよい(図4を参照)。
この場合には、AND回路24の代わりに、スイッチ23aから出力された信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、スイッチ23bから出力された信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Lレベルの信号)を各フリップフロップに出力するNAND回路を実装するようにする。
【0084】
この実施の形態2では、位相比較器2のインバータ25a,25bがスイッチ23a,23bから出力された信号Q1,Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1,Q2を位相比較信号Dnu,Dndとして、ループフィルタ3に出力するものについて示したが、インバータ25a,25bの代わりにバッファを実装するようにしてもよい(図5を参照)。
ただし、インバータ25a,25bの代わりにバッファを実装する場合、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndの信号レベルが図7の場合と逆になってしまうので、インバータ25aの代わりのバッファから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとし、インバータ25bの代わりのバッファから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとする。
なお、インバータ25aの代わりのバッファから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとし、インバータ25bの代わりのバッファから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとする場合には、ループフィルタ3において、符号を反転するようにすればよい。
【0085】
また、この実施の形態2では、位相比較器2が位相比較信号Dnu,Dndをループフィルタ3に出力するものについて示したが、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndを電圧信号から電流信号に変換し、その電流信号をループフィルタ3に出力するチャージポンプ回路を設けるようにしてもよい(図6を参照)。
【0086】
この実施の形態2では、外部から入力される第1及び第2の周波数切換制御信号のタイミングについては特に言及していないが、基準信号D又は同期信号Dに同期していてもよいし、非同期であってもよく、同様の効果を奏することができる。
【0087】
この実施の形態2では、可変分周器5に与えられる分周数制御信号については、値が固定である整数分周方式(インテジャーN方式)でもよいし、時間的に変動する分数分周方式(フラクショナルN方式)でもよく、同様の効果を奏することができる。
分数分周方式(フラクショナルN方式)を用いる場合には、可変分周器5に与えられる分周数制御信号が基準信号D又は同期信号Dに同期して変化するようにしてもよい。
【0088】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
図において、第1のフリップフロップであるフリップフロップ31aは基準発振器1から発振された基準信号Dを入力して、その基準信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ31aは基準発振器1から発振された基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34aからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力し、スイッチ34aからHレベルの信号を受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1を出力する。
【0089】
第2のフリップフロップであるフリップフロップ31bは可変分周器5から出力された同期信号Dを入力して、その同期信号DのHレベルの信号レベルを保持する。
即ち、フリップフロップ31bは可変分周器5から出力された同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34bからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力し、スイッチ34bからHレベルの信号を受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q2を出力する。
【0090】
論理演算回路であるAND回路(論理積回路)32はフリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をスイッチ34a,34bに出力する処理を実施する。
DC電源回路33a,33bは信号レベルがHレベルの電圧信号Vを出力する回路である。
【0091】
スイッチ34aは位相同期が確立している状態ではAND回路32の出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ31aに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える旨を指示する第1の周波数切換制御信号を受けると、DC電源回路33aから出力されるHレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vをフリップフロップ31aに与える処理を実施する。なお、スイッチ34aは第1の信号選択手段を構成している。
【0092】
スイッチ34bは位相同期が確立している状態ではAND回路32の出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ31bに与えるが、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える旨を指示する第2の周波数切換制御信号を受けると、DC電源回路33bから出力されるHレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vをフリップフロップ31bに与える処理を実施する。なお、スイッチ34bは第2の信号選択手段を構成している。
【0093】
第1の位相比較信号生成回路であるインバータ35aはフリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
第2の位相比較信号生成回路であるインバータ35bはフリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する処理を実施する。
【0094】
次に動作について説明する。
位相同期ループ形周波数シンセサイザの全体的な動作は上記実施の形態1と同様であり、位相比較器2の内部の動作のみが上記実施の形態1と相違している。
最初に、位相同期が確立されている場合の動作について説明する。
位相比較器2は、基準発振器1が基準信号Dを発振し、可変分周器5が高周波信号Dを分周数Nで分周して、その分周信号である同期信号Dを出力すると、上記実施の形態1と同様に、その基準信号Dと同期信号Dを比較する。
【0095】
位相比較器2は、基準信号Dと同期信号Dを比較して、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、上記実施の形態1と同様に、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、信号レベルがLレベルで一定の第2の位相比較信号Dndを出力する。
一方、その基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、上記実施の形態1と同様に、信号レベルがLレベルで一定の第1の位相比較信号Dnuを出力するとともに、その基準信号Dと同期信号Dの位相差を示す第2の位相比較信号Dndを出力する。
【0096】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
フリップフロップ31aは、基準発振器1から発振される基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34aからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
なお、位相同期が確立されている状態では、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられず、スイッチ34aによりAND回路32の出力信号が選択されるので、AND回路32からHレベルの信号であるリセット信号Rが出力されると、フリップフロップ31aが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、以降、フリップフロップ31aからLレベルの信号Q1が出力される。
【0097】
フリップフロップ31bは、可変分周器5から出力される同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34bからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
なお、位相同期が確立されている状態では、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられず、スイッチ34bによりAND回路32の出力信号が選択されるので、AND回路32からHレベルの信号であるリセット信号Rが出力されると、フリップフロップ31bが保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、以降、フリップフロップ31bからLレベルの信号Q2が出力される。
【0098】
AND回路32は、フリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Hレベルの信号)をスイッチ34a,34bに出力する。
したがって、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より進んでいれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q1がフリップフロップ31aから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q2がフリップフロップ31bから出力される。
一方、基準信号Dの位相が同期信号Dの位相より遅れていれば、Hレベルの幅(パルス幅)が基準信号Dと同期信号Dの位相差に相当する信号Q2がフリップフロップ31bから出力され、信号レベルがLレベルで一定の信号Q1がフリップフロップ31aから出力される。
【0099】
インバータ35aは、フリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ35bは、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0100】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0101】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ34bに与えられる。
位相比較器2は、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0102】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ34bは、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられると、DC電源回路33bから出力されるHレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vをフリップフロップ31bに与える。
これにより、フリップフロップ31bは常にリセットされている状態になるため、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルがLレベルで一定になる。
【0103】
フリップフロップ31aは、基準発振器1から発振される基準信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34aからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q1を連続的に出力する。
スイッチ34aは、高周波信号Dの周波数を低い周波数から高い周波数に切り換える場合には、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、AND回路32の出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ31aに与える。
高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束するまでの間は、フリップフロップ31aがAND回路32からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0104】
インバータ35aは、フリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ35aは、フリップフロップ31aから出力されたHレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ35bは、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ35bは、フリップフロップ31bから出力されたLレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0105】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがHレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがLレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は正の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を高める制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を高い周波数に収束することができる。
【0106】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が高い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0107】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が高い周波数に収束すると、外部から第2の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ34bに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ34bは、信号の選択対象をAND回路32の出力信号に戻して、その出力信号をフリップフロップ31bに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0108】
次に、位相同期が確立している状態から、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合の動作について説明する。
VCO4により発振される高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ34aに与えられる。
位相比較器2は、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持する。
【0109】
以下、位相比較器2の処理内容を具体的に説明する。
位相比較器2のスイッチ34aは、外部から第1の周波数切換制御信号が与えられると、DC電源回路33aから出力されるHレベルの電圧信号Vを選択して、その電圧信号Vをフリップフロップ31aに与える。
これにより、フリップフロップ31aは常にリセットされている状態になるため、フリップフロップ31aの出力信号Q2の信号レベルがLレベルで一定になる。
【0110】
フリップフロップ31bは、可変分周器5から出力される同期信号Dの立ち上がりエッジを検出すると、スイッチ34bからHレベルの信号を受けるまでの間、Hレベルの信号Q2を連続的に出力する。
スイッチ34bは、高周波信号Dの周波数を高い周波数から低い周波数に切り換える場合には、外部から第2の周波数切換制御信号が与えられないので、位相同期が確立している状態と同様に、AND回路32の出力信号を選択して、その出力信号をフリップフロップ31bに与える。
高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束するまでの間は、フリップフロップ31bがAND回路32からリセット信号Rを受けることがないので、一定の時間、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルがHレベルで一定になる。
【0111】
インバータ35aは、フリップフロップ31aの出力信号Q1の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ35aは、フリップフロップ31aから出力されたLレベルの信号Q1を反転するので、信号レベルがHレベルの信号Q1を第1の位相比較信号Dnuとして、ループフィルタ3に出力する。
インバータ35bは、フリップフロップ31bの出力信号Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
即ち、インバータ35bは、フリップフロップ31bから出力されたHレベルの信号Q2を反転するので、信号レベルがLレベルの信号Q2を第2の位相比較信号Dndとして、ループフィルタ3に出力する。
【0112】
ループフィルタ3は、位相比較器2から第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndを受けると、上記実施の形態1と同様に、第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を示す制御信号D(=Dnd−Dnu)を生成して、その制御信号Dを平滑化し、平滑化後の制御信号DをVCO4に出力する。
このとき、第2の位相比較信号Dndの信号レベルがLレベルであり、第1の位相比較信号Dnuの信号レベルがHレベルであるため、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、制御信号D(=Dnd−Dnu)は負の値となる。
即ち、基準信号Dと同期信号Dの位相差にかかわらず、高周波信号Dの周波数を下げる制御信号Dが生成される。
したがって、サイクルスリップの発生を招くことなく、高周波信号Dの周波数を低い周波数に収束することができる。
【0113】
VCO4は、ループフィルタ3から制御信号Dを受けると、上記実施の形態1と同様に、その制御信号Dによって高周波信号Dの発振周波数が制御され、その高周波信号Dを発振する。即ち、VCO4は、前回より周波数が低い高周波信号Dを発振する。
可変分周器5は、VCO4が高周波信号Dを発振すると、上記実施の形態1と同様に、分周数制御信号が示す分周数Nで高周波信号Dを分周して、その分周信号である同期信号Dを位相比較器2に出力する。
【0114】
一定時間が経過して、高周波信号Dの周波数が低い周波数に収束すると、外部から第1の周波数切換制御信号が位相比較器2のスイッチ34aに与えられなくなる。
これにより、位相比較器2のスイッチ34aは、信号の選択対象をAND回路32の出力信号に戻して、その出力信号をフリップフロップ31aに与える。
以降、先に説明している位相同期が確立されている場合の動作が行われる。
【0115】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、VCO4により発振される高周波信号Dの周波数が切り換えられる場合、位相比較器2が第1の位相比較信号Dnuと第2の位相比較信号Dndの差分を一定に保持するように構成したので、サイクルスリップの発生を防止して、短時間で周波数の切り換えを行うことができる効果を奏する。
【0116】
なお、この実施の形態3では、位相比較器2のフリップフロップ31a,31bがスイッチ34a,34bからHレベルの信号を受けると、保持しているHレベルの信号レベルがリセットされて、Lレベルの信号Q1,Q2を出力するものについて示したが、フリップフロップ31a,31bの代わりに、Lレベルの信号でリセットされるフリップフロップを実装するようにしてもよい(図4を参照)。
この場合には、AND回路32の代わりに、Lレベルの信号でリセットされるフリップフロップの出信号Q1の信号レベルがHレベルとなり、かつ、Lレベルの信号でリセットされるフリップフロップの出力信号Q2の信号レベルがHレベルとなると、リセット信号R(Lレベルの信号)を各フリップフロップに出力するNAND回路を実装するようにする。
【0117】
この実施の形態3では、位相比較器2のインバータ35a,35bがフリップフロップ31a,31bの出力信号Q1,Q2の信号レベルを反転し、信号レベル反転後の信号Q1,Q2を位相比較信号Dnu,Dndとして、ループフィルタ3に出力するものについて示したが、インバータ35a,35bの代わりにバッファを実装するようにしてもよい(図5を参照)。
ただし、インバータ35a,35bの代わりにバッファを実装する場合、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndの信号レベルが図8の場合と逆になってしまうので、インバータ35aの代わりのバッファから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとし、インバータ35bの代わりのバッファから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとする。
なお、インバータ35aの代わりのバッファから出力される信号を第1の位相比較信号Dnuとし、インバータ35bの代わりのバッファから出力される信号を第2の位相比較信号Dndとする場合には、ループフィルタ3において、符号を反転するようにすればよい。
【0118】
また、この実施の形態3では、位相比較器2が位相比較信号Dnu,Dndをループフィルタ3に出力するものについて示したが、位相比較器2から出力される位相比較信号Dnu,Dndを電圧信号から電流信号に変換し、その電流信号をループフィルタ3に出力するチャージポンプ回路を設けるようにしてもよい(図6を参照)。
【0119】
この実施の形態3では、外部から入力される第1及び第2の周波数切換制御信号のタイミングについては特に言及していないが、基準信号D又は同期信号Dに同期していてもよいし、非同期であってもよく、同様の効果を奏することができる。
【0120】
この実施の形態3では、可変分周器5に与えられる分周数制御信号については、値が固定である整数分周方式(インテジャーN方式)でもよいし、時間的に変動する分数分周方式(フラクショナルN方式)でもよく、同様の効果を奏することができる。
分数分周方式(フラクショナルN方式)を用いる場合には、可変分周器5に与えられる分周数制御信号が基準信号D又は同期信号Dに同期して変化するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】この発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図3】高周波信号Dの周波数を切り換える場合のフリップフロップ13a,13bの入出力信号の波形等を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3による位相同期ループ形周波数シンセサイザの位相比較器2を示す構成図である。
【図9】従来のPLLシンセサイザを示す構成図である。
【図10】非特許文献1に開示されている位相比較器を示す構成図である。
【図11】位相比較器102に入力される基準信号Dと同期信号Dの位相差に対応する差電圧(Dnd−Dnu)の平均電圧の一例を示す説明図である。
【図12】周波数が切り換わる過程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0122】
1 基準発振器、2 位相比較器、3 ループフィルタ、4 VCO(電圧制御発振器)、5 可変分周器、11a スイッチ(第1の信号選択手段)、11b スイッチ(第2の信号選択手段)、12a,12b 終端回路、13a フリップフロップ(第1のフリップフロップ)、13b フリップフロップ(第2のフリップフロップ)、14 AND回路(論理演算回路、論理積回路)、15a インバータ(第1の位相比較信号生成回路)、15b インバータ(第2の位相比較信号生成回路)、16a フリップフロップ(第1のフリップフロップ)、16b フリップフロップ(第2のフリップフロップ)、17 NAND回路(論理演算回路、否定論理積回路)、18a バッファ(第1の位相比較信号生成回路)、18b バッファ(第2の位相比較信号生成回路)、19 チャージポンプ回路、21a フリップフロップ(第1のフリップフロップ)、21b フリップフロップ(第2のフリップフロップ)、22a,22b DC電源回路、23a スイッチ(第1の信号選択手段)、23b スイッチ(第2の信号選択手段)、24 AND回路(論理演算回路、論理積回路)、25a インバータ(第1の位相比較信号生成回路)、25b インバータ(第2の位相比較信号生成回路)、31a フリップフロップ(第1のフリップフロップ)、31b フリップフロップ(第2のフリップフロップ)、32 AND回路(論理演算回路、論理積回路)、33a,33b DC電源回路、34a スイッチ(第1の信号選択手段)、34b スイッチ(第2の信号選択手段)、35a インバータ(第1の位相比較信号生成回路)、35b インバータ(第2の位相比較信号生成回路)101 基準発振器、102 位相比較器、103 ループフィルタ、104 VCO、105 可変分周器、111a,111b フリップフロップ、112 AND回路、113a,113b インバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号を発振する基準発振器と、上記基準発振器から発振される基準信号と同期信号の位相を比較して、上記基準信号と上記同期信号の位相差を示す第1の位相比較信号と信号レベルが一定の第2の位相比較信号、または、上記基準信号と上記同期信号の位相差を示す第2の位相比較信号と信号レベルが一定の第1の位相比較信号を出力する位相比較器と、上記位相比較器から出力される第1の位相比較信号と第2の位相比較信号の差分を示す制御信号を生成するループフィルタと、上記ループフィルタにより生成された制御信号によって高周波信号の発振周波数が制御されて、上記高周波信号を発振する電圧制御発振器と、上記電圧制御発振器により発振される高周波信号を指定の分周数で分周し、上記高周波信号の分周信号である同期信号を上記位相比較器に出力する可変分周器とを備えた位相同期ループ形周波数シンセサイザにおいて、上記位相比較器は、上記電圧制御発振器により発振される高周波信号の周波数が切り換えられる場合、上記第1の位相比較信号と上記第2の位相比較信号の差分を一定に保持することを特徴とする位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項2】
位相比較器は、基準信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第1のフリップフロップと、同期信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第2のフリップフロップと、上記第1のフリップフロップの出力信号と上記第2のフリップフロップの出力信号とが所定の信号レベルになると、上記第1及び第2のフリップフロップに保持されている信号レベルをリセットする論理演算回路と、上記第1のフリップフロップの出力信号から第1の位相比較信号を生成する第1の位相比較信号生成回路と、上記第2のフリップフロップの出力信号から第2の位相比較信号を生成する第2の位相比較信号生成回路と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第1の周波数切換制御信号に応じて、上記基準信号の代わりに終端回路の出力信号を上記第1のフリップフロップに与える第1の信号選択手段と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第2の周波数切換制御信号に応じて、上記同期信号の代わりに終端回路の出力信号を上記第2のフリップフロップに与える第2の信号選択手段とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項3】
位相比較器は、基準信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第1のフリップフロップと、同期信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第2のフリップフロップと、上記第1のフリップフロップの出力信号から第1の位相比較信号を生成する第1の位相比較信号生成回路と、上記第2のフリップフロップの出力信号から第2の位相比較信号を生成する第2の位相比較信号生成回路と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第1の周波数切換制御信号に応じて、上記第1のフリップフロップの出力信号の代わりに電源回路の出力信号を上記第1の位相比較信号生成回路に与える第1の信号選択手段と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第2の周波数切換制御信号に応じて、上記第2のフリップフロップの出力信号の代わりに電源回路の出力信号を上記第2の位相比較信号生成回路に与える第2の信号選択手段と、上記第1の信号選択手段の出力信号と上記第2の信号選択手段の出力信号とが所定の信号レベルになると、上記第1及び第2のフリップフロップに保持されている信号レベルをリセットする論理演算回路とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項4】
位相比較器は、基準信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第1のフリップフロップと、同期信号を入力して、所定の信号レベルを保持する第2のフリップフロップと、上記第1のフリップフロップの出力信号と上記第2のフリップフロップの出力信号とが所定の信号レベルになると、上記第1及び第2のフリップフロップに保持されている信号レベルをリセットする論理演算回路と、上記第1のフリップフロップの出力信号から第1の位相比較信号を生成する第1の位相比較信号生成回路と、上記第2のフリップフロップの出力信号から第2の位相比較信号を生成する第2の位相比較信号生成回路と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第1の周波数切換制御信号に応じて、上記論理演算回路の出力信号であるリセット信号の代わりに電源回路の出力信号を上記第1のフリップフロップに与える第1の信号選択手段と、高周波信号の周波数が切り換えられる際、第2の周波数切換制御信号に応じて、上記論理演算回路の出力信号であるリセット信号の代わりに電源回路の出力信号を上記第2のフリップフロップに与える第2の信号選択手段とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項5】
論理演算回路が論理積回路又は否定論理積回路で構成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項6】
第1及び第2の位相比較信号生成回路がインバータ又はバッファで構成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項7】
位相比較器から出力される第1及び第2の位相比較信号を電圧信号から電流信号に変換し、上記電流信号をループフィルタに出力するチャージポンプ回路を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項8】
外部から入力される第1及び第2の周波数切換制御信号のタイミングが、基準信号又は同期信号に同期していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。
【請求項9】
外部から可変分周器に与えられる指定の分周数が、基準信号又は同期信号に同期して変化することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の位相同期ループ形周波数シンセサイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−284057(P2009−284057A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131827(P2008−131827)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】