説明

位置制御装置

【課題】可動部材の移動が規制されないように可動範囲の両端部に適切にロック検出エリアを設定することが可能な位置制御装置を提供する。
【解決手段】位置制御装置1は、モータにより駆動される可動部材が機械的にロック状態となる両端部のロック位置に対して、可動範囲の側に設定されたロック検出エリア内からロック位置方向への移動が規制される位置制御装置1は、ロック位置の位置情報をロック位置情報として記憶するロック位置情報記憶部78と、ロック位置に対して、少なくとも可動範囲の側にロック検出エリアを設定するロック検出エリア設定部81と、ロック検出エリアの設定時に、両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に設定されたロック検出エリアを消去するロック検出エリア消去部83と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより駆動される可動部材が機械的にロック状態となる両端部のロック位置に対して、可動範囲の側に設定されたロック検出エリア内からロック位置方向への移動が規制される位置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等においては、乗員が所望するシート位置をメモリ等に記憶させることにより、その後、シート位置が変更された場合であっても、スイッチ操作一つで前記メモリに記憶されたシート位置に自動調整することが可能なシート位置制御装置が実用化されている。このシート位置の調整のために、シート全体を前後に移動させるスライドモータや、シートバックの傾きを変更するリクライニングモータ等が備えられている。これらのモータをスイッチ操作により駆動させることにより、シート位置を好みの位置に調整することが可能である。このような、シート位置を調整するシート位置制御装置の中には、モータの回転位置を検出する回転センサを用いずに、シートを駆動するモータのモータ電流に含まれるリップル成分を、微分回路を用いたパルス生成回路を介してモータに同期したリップルパルスとして検出し、当該パルスに基づいてシートの位置制御を行うものがある(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
モータの回転位置を検出する回転センサを用いずに、モータに同期したモータリップルパルスを用いてシート等の位置制御を行う場合、モータ作動中はリップルパルスが生成されるが、モータ出力停止後はリップルパルスが生成されないため、モータ出力停止後の惰性等による作動量を把握することができない。このため、特許文献1に記載の状態記憶装置は、モータ作動中の回転量からモータ出力停止後の作動量を推定し、位置情報を補正することで現在位置を把握している。この回転量を推定するために、状態記憶装置は、予め作動部位や電圧やパルス周期からなる補正量マップを記憶している。
【0004】
また、モータの回転位置を検出する回転センサを用いずに、モータに同期したモータリップルパルスを用いてシート等の位置制御を行う場合において、モータが極低速で回転(極低速回転)していると正確なリップルパルスを生成することができないことから、特にモータ起動時から極低速回転となる場合には、モータの回転位置を検出できない場合がある。このため、特許文献2に記載のモータの制御装置は、モータ起動時の電流と定常時の電流とを用いることにより、モータ起動時の極低速回転の検出を行い、極低速回転を考慮したモータ制御を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−250629号公報
【特許文献2】特開2002−325475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の技術においては、以下のような問題が生じることがある。車両用シートやサンルーフ等の製品で、メカ端点(可動範囲の端部)で更にメカ端点方向に作動させるように制御させた場合、即ちモータが極低速回転(モータロック)するような状況の場合に、モータの出力を停止させるとする。すると、車両用シートやサンルーフ等の位置を変更させるギヤ等のがたつきや経年変化や、車両用シートやサンルーフ等の位置を変更する部材(以下、変更部材)がメカ端点に当たった際の衝撃を吸収させるためにメカ端点に備えられる衝撃吸収部材のたわみ等により、作動方向とは逆に動くことがある。このような逆方向の移動量は、制御上の記憶位置のずれとなってしまう。
【0007】
すなわち、変更部材が、がたつき量及び衝撃吸収部材の吸収量をメカ端点以上に押し込むと、制御部に電源供給がされている場合にはメカ端点以上の押し込み量を測定することはできる。しかし、制御部に電源供給が絶たれると、その後に衝撃吸収部材のたわみ等により働く付勢力により移動する変更部材の移動量を検出することができない。このため、実際の変更部材の位置と、制御部が記憶する位置との間でずれが発生してしまう。このようなずれは、上述の現象が発生する毎に積み重なり、次第に大きくなっていく。したがって、予め記憶された位置に、車両用シートやサンルーフ等を戻そうとした場合でも、ユーザが所望する位置に対してずれが生じる可能性がある。
【0008】
そこで、このような位置ずれを補正するために、一定時間、リップルパルスが検出されない場合にロック検出を行い、ロック状態を検出した場合に可動部材の現在位置をロック検出位置に更新するように構成する技術がある。しかしながら、このような技術では、エンジンの運転中においては、エンジンノイズに起因する擬似パルスをリップルパルスとして検出してしまい、ロック検出が行われない可能性がある。
【0009】
更に、機構的ばらつきや検出ばらつきを考慮した場合には、可動範囲における機構的な端点でばらつきを含めたロック検出エリアを設定し、当該ロック検出エリア内からロック方向へ移動させないように規制することが考えられる。つまり、ロック方向へ移動させると擬似パルスをリップルパルスとして検出してしまうことから、このような移動を規制してシートの位置ずれが発生するのを抑制することが考えられる。しかしながら、このようなロック検出エリアは可動範囲の両端に形成されるため、互いのロック検出エリアに重複する部分があれば、可動部材がいずれの方向にも移動できなくなってしまうといった問題がある。設計上、ロック検出エリアを予め設定しておくのであれば、このような問題は発生しないが、機構的ばらつきを考慮すると、製品毎にロック検出エリアを更新(変更)する必要がある。また、このような更新作業を作業者が実施すれば良いとの考えもできるが、何らかの要因でロック検出エリアが消去されてしまった場合であっても、可能な限りユーザの使用中にロック検出エリアを再設定できるようにすることでユーザへの影響を極力減らせる効果がある。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動部材の移動が規制されないように可動範囲の両端部に適切にロック検出エリアを設定することが可能な位置制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る位置制御装置の特徴構成は、モータにより駆動される可動部材が機械的にロック状態となる両端部のロック位置に対して、可動範囲の側に設定されたロック検出エリア内から前記ロック位置方向への移動を規制するものであり、前記ロック位置の位置情報をロック位置情報として記憶するロック位置情報記憶部と、前記ロック位置に対して、少なくとも可動範囲の側に前記ロック検出エリアを設定するロック検出エリア設定部と、前記ロック検出エリアの設定時に、前記両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に設定されたロック検出エリアを消去するロック検出エリア消去部と、を備える点にある。
【0012】
このような特徴構成とすれば、両端部の可動範囲の側に設定されたロック検出エリアが重複している場合には、先に記憶されたロック検出エリアを消去し、改めてロック検出エリアが設定されるため、可動部材が両端部の夫々のロック検出エリアに位置して何れの方向にも移動できなくなるといった問題が生じなくなる。したがって、適切にロック検出エリアを設定することが可能となる。
【0013】
また、前記ロック検出エリアの設定時に、前記両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に記憶されたロック位置情報を消去するロック位置情報消去部を備えると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満であれば、先に記憶されているロック位置情報を消去することにより、改めてロック位置を設定することが可能となる。したがって、両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満であれば、ロック位置情報が消去されるので、ロック検出エリアが設定されることがない。このため、ロック検出エリアが設定されることにより、可動部材が両端部の夫々のロック検出エリアに位置して何れの方向にも移動できなくなるといった問題が生じなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る位置制御装置1を車両のシート3のシート位置を変更するシート位置制御装置2に適用した場合の例として説明する。図1は、シート位置制御装置2の全体構成の概略図である。シート位置制御装置2は、マイクロコンピュータで構成される電子制御ユニット(以下「ECU」という)21を備えている。
【0016】
ECU21は、制御手段としての制御部22を備えている。当該制御部22には、本発明に係る位置制御装置1を構成する各機能部を有する(詳細は後述する)。また、制御部22は、ROM、RAM及びバックアップRAM等を備えて構成される(図示せず)。ROMは、各種制御プログラムや、これらのプログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されたメモリである。制御部22は、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは制御部22での演算結果や外部から入力されるデータ等を一時的に記憶するメモリに相当し、バックアップRAMは前記記憶されたデータ等を保存する不揮発性のメモリからなる。制御部22、ROM、RAM及びバックアップRAMは、夫々バス(図示せず)を介して互いに接続される。更に、これらは入力インターフェース23及び出力インターフェース(図示せず)と接続される。
【0017】
制御部22には、ECU21の内部の電源回路24を介してバッテリー25が接続される。バッテリー25のプラス側端子は、イグニッションスイッチ26を介して入力インターフェース23に接続される。イグニッションスイッチ26をオンすると、電源回路24により安定化された一定の電圧(例えば5V)がECU21の各部に供給される。
【0018】
制御部22の入力インターフェース23には、シート各部の位置(シート状態)を調整するための操作スイッチ27が接続される。操作スイッチ27は、スライドスイッチ28a及び28bと、リクライニングスイッチ29a及び29bと、フロントバーチカルスイッチ30a及び30bと、リフタスイッチ31a及び31bとから構成される。
【0019】
スライドスイッチ28a及び28bは、図2に示されるようなシート3の全体を白抜き矢印5に示されるように床面に取り付けられたレール4に沿って前又は後にスライドさせる操作スイッチである。リクライニングスイッチ29a及び29bは、シートクッション3aに支持されたシートバック3bを白抜き矢印6に示されるように前倒し又は後倒しさせる操作スイッチである。フロントバーチカルスイッチ30a及び30bは、シートクッション3aのユーザが座る前部を白抜き矢印7に示されるように垂直方向に上移動又は下移動させる操作スイッチである。リフタスイッチ31a及び31bは、ユーザが座るシートクッション3aの後部を白抜き矢印8に示されるように上移動又は下移動させるスイッチである。
【0020】
図1に戻り、入力インターフェース23には、上記操作スイッチ27の他に、メモリ再生スイッチ32及び33と記憶スイッチ34とが接続される。メモリ再生スイッチ32及び33は、1つのシート3に対して2つのシート位置を記憶させるためのスイッチである。すなわち、シート位置制御装置2によれば、ユーザが所望する2種類のシート位置を記憶させることが可能である。操作スイッチ27の夫々を操作することにより、シート3の各部を所望のシート位置(シート状態)に調整することができる。この調整されたシート位置は、上述のバックアップRAMに記憶される。バックアップRAMにシート位置を記憶させる場合には、記憶させたいバックアップRAMに対応するメモリ再生スイッチ32及び33のいずれかを記憶スイッチ34と一緒に押下する。その後、記憶させたバックアップRAMに対応するメモリ再生スイッチ32及び33のいずれかを押すと、シート3の各部が自動的に記憶されたシート位置に移動される。
【0021】
制御部22の出力インターフェースには、4つのモータ39〜42が夫々リレー43を介して接続されている。これらのモータ39〜42は、直流ブラシモータである。リレー43は、4つのモータ39〜42に夫々対応する4組のリレーからなり、各モータは対応する1組のリレーを介して出力インターフェースに接続される。各組のリレーは、一対のコイルと、一対の切替端子とからなる。そして、操作スイッチ27のいずれかが操作されると、操作されたスイッチに対応する組のコイルへの通電が制御部22により制御される。これにより、対応する組のリレーの切替端子が切り換えられ、モータ39〜42のうち対応する組のリレーに応じたモータが独立して正転駆動又は逆転駆動される。
【0022】
したがって、スライドモータ39は、スライドスイッチ28a及び28bの操作により正転又は逆転して、シート3全体を前又は後にスライドさせる。リクライニングモータ40は、リクライニングスイッチ29a及び29bの操作により正転又は逆転して、シートバック3bを前倒し又は後倒しさせる。フロントバーチカルモータ41は、フロントバーチカルスイッチ30a及び30bの操作により正転又は逆転して、シートクッション3aの前部を上移動又は下移動させる。そして、リフタモータ42は、リフタスイッチ31a及び31bの操作により正転又は逆転して、シートクッションの3a後部を上移動又は下移動させる。
【0023】
また、ECU21には、各モータ39〜42に流れるモータ電流に含まれるリップル成分をパルス化して、モータに同期したリップルパルスを出力するパルス検出手段としてのリップルパルス検出回路50と、モータ電流を増幅する増幅回路51とが設けられている。リップルパルス検出回路50は、バッテリー25からの電圧を、作動対象とされたモータのインピーダンスと抵抗52とにより分圧された電圧が、モータ回転信号として入力される。また、増幅回路51で増幅されたモータ電流は、ECU21に設けられたA/D変換器(図示せず)でA/D変換されて制御部22に読み込まれる。このようにして、制御部22は、各モータ39〜42のモータ電流を常時検出するようになっている。増幅回路51とA/D変換器とにより、モータに通電されるモータ電流を検出するモータ電流検出部71(後述する)が構成される。
【0024】
リップルパルス検出回路50は、スイッチド・キャパシタ・フィルタSCF(図示せず)と、リップルパルス成形回路(図示せず)とを備えている。スイッチド・キャパシタ・フィルタSCFには、上述のモータ回転信号が入力される。スイッチド・キャパシタ・フィルタSCFは、モータ回転信号にリップル成分と共に重畳するノイズを所定の遮断周波数で除去する。
【0025】
また、リップルパルス成形回路は、ローパスフィルタLPF(高周波アクティブフィルタ)、第1微分回路DC1、増幅器AP、第2微分回路DC2、及び比較器CM等を備えている。
【0026】
ローパスフィルタLPFは、スイッチド・キャパシタ・フィルタSCFの出力信号に含まれるノイズを除去する。このノイズが除去されたスイッチド・キャパシタ・フィルタSCFの出力信号を第1微分回路DC1で微分して直流成分の減衰を行い、リップル成分のみの信号が得られる。この信号を増幅器APで増幅した後、第2微分回路DC2に通すと、その信号に対して90°位相の遅れた信号が得られる。そして、増幅器APの出力信号と第2微分回路DC2の出力信号を比較器CMで比較することにより、上記各モータ39〜42の回転に同期し、その回転数(回転速度)に応じた周波数のリップルパルスが得られる。
【0027】
このようにリップルパルス検出回路50により検出される、各モータ39〜42の回転に同期し、且つ、その回転数に応じた周波数のリップルパルスが、出力インターフェースを介して制御部22に伝達される。以上が、シート位置制御装置2の全体構成の概略である。
【0028】
以下、このシート位置制御装置2に適用した本発明に係る位置制御装置1について説明する。本位置制御装置1は、上述のようにシート3の絶対位置を検出する位置検出センサは備えられておらず、シート3の位置を変更するモータに通電されるモータ電流に応じたリップルパルスに基づいて相対位置を検出している。このため、位置制御装置1は、シート3が機械的にロック状態となる位置とリップルパルスのカウント値とに応じて、位置制御装置1が認識している位置情報の補正を行う機能を備えている。このような補正を行うにあたり、位置制御装置1は、シート3がロック状態となる位置と、詳細は後述するが当該位置を基準としたロック検出エリアとが予め設定される。図3は、本実施形態に係る位置制御装置1の概略構成を模式的に示したブロック図である。なお、詳細は後述するが、本位置制御装置1は、モータ39〜42により駆動されるシート3が機械的にロック状態となる両端部のロック位置に対して、可動範囲の側に設定されたロック検出エリア内からロック位置方向への移動を規制する機能を備えている。
【0029】
位置制御装置1は、上述の制御部22を構成する機能ブロックに相当する。位置制御装置1は、運転状態判定部70、モータ電流検出部71、回転速度検出部72、ロック状態判定部73、移動開始位置情報記憶部76、現在位置情報演算部77、ロック位置情報記憶部78、ロック位置情報判定部79、ロック位置情報消去部80、ロック検出エリア設定部81、ロック検出エリア記憶部82、ロック検出エリア消去部83から構成される。ここで、位置制御装置1は、CPUを中核部材としてシート位置の位置制御に関する種々の処理を行うための上述の機能部をハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。以下、ロック位置及びロック検出エリアの設定に関して説明する。
【0030】
モータ電流検出部71は、シート3の各部を調整する各モータ39〜42に通電されるモータ電流を検出する。モータ電流とは、各モータ39〜42を駆動するために通電される電流である。すなわち、モータ電流は、各モータ39〜42が有するロータに巻かれたコイルに流れるコイル電流に相当する。ここで、上述のように、モータ電流は、増幅回路51で増幅され、ECU21に設けられたA/D変換器(図示せず)でA/D変換されて制御部22に読み込まれる。このモータ電流がモータ電流検出部71に伝達され、モータ電流を検出することが可能となる。モータ電流検出部71により検出されたモータ電流は、後述の運転状態判定部70及びロック状態判定部73に伝達される。
【0031】
回転速度検出部72は、各モータ39〜42の回転速度を検出する。ここで、上述のように、各モータ39〜42の回転数(回転速度)に応じた周波数のリップルパルスがリップルパルス検出回路50により検出される。リップルパルス検出回路50により検出されたリップルパルスは、当該回転速度検出部72に伝達される。したがって、回転速度検出部72は、各モータ39〜42の回転速度を検出することが可能となる。回転速度検出部72により検出された回転速度は、後述の運転状態判定部70及びロック状態判定部73に伝達される。
【0032】
運転状態判定部70は、各モータ39〜42に通電されるモータ電流及びモータの回転速度に基づいて、各モータ39〜42が起動直後であるか否かを判定する。モータ電流は、上述のモータ電流検出部71から伝達される。また、回転速度は、上述の回転速度検出部72から伝達される。図4は、モータを起動した際のモータ電流及び時間の関係について示した図である。図4に示されるように、時間t0でモータを起動すると(t=t0)、起動直後には突入電流I0が流れる。そして、時間が経過し(t>t1)、モータが定常動作に移行するとモータ電流は定常電流I1となる。したがって、突入電流I0と定常電流I1との差(ただし、I0>I1)が、所定値以上であり、且つ、突入電流I0が流れる直前にモータが回転していなかった場合にはモータは起動直後であると判定することができる。また、モータ電流が一定であり(例えば、定常電流I1)、且つ、モータの回転速度が所定の回転速度以上である場合にはモータは定常動作中であると判定することができる。運転状態判定部70は、このようにして各モータ39〜42が起動直後であるか否かを判定する。
【0033】
また、運転状態判定部70は、モータに通電されるモータ電流及びモータの回転速度に基づいて、各モータ39〜42が停止状態であるか否かを判定する。この場合も、モータ電流は、上述のモータ電流検出部71から伝達される。また、回転速度は、上述の回転速度検出部72から伝達される。そして、モータ電流が零であり、回転速度が零である場合に、運転状態判定部70は、各モータ39〜42が停止状態であると判定する。これらの判定結果は、後述の移動開始位置情報記憶部76に伝達される。
【0034】
移動開始位置情報記憶部76は、可動部材が移動する前の移動開始位置を示す移動開始位置情報を記憶する。可動部材とは、本実施形態においてはシート3である。したがって、移動開始位置情報とは、各モータ39〜42の起動する前のシート3の移動開始位置を示す情報である。ここで、上述のように、シート3は、各モータ39〜42により、スライド動作、リクライニング動作、フロントバーチカル動作、リフタ動作が可能である。したがって、この移動開始位置情報は、夫々の動作を可能とする可動範囲内における位置を示す情報となる。各動作に関しては、同様の処理であるため、以降の説明ではフロントバーチカル動作を例として説明し、また、可動部材とはシート3であるとして説明する。
【0035】
ここで、本位置制御装置1は、シート3の絶対位置を検出する位置検出センサは備えておらず、上述のようにリップルパルスに基づいて相対位置を検出している。この相対位置は、後述の現在位置情報演算部77が行う演算により検出される。移動開始位置情報記憶部76は、運転状態判定部70から各モータ39〜42が停止状態であることを示す判定結果が伝達された場合に、現在位置情報演算部77により検出されている現在位置情報を取得し、移動開始位置情報として記憶する。
【0036】
図5は、フロントバーチカル動作に係る可動範囲Aに関して説明するための図である。シート3を移動させる場合には、フロントバーチカルモータ41の回転動力が利用される。シート3を移動させる際に移動可能な最大の移動量が、可動範囲Aに相当する。フロントバーチカルモータ41の起動前において、シート3が図5のαの位置に位置していると、移動開始位置情報記憶部76は、フロントバーチカルモータ41の起動前にシート3がαの位置に位置していることを示す移動開始位置情報を記憶する。
【0037】
現在位置情報演算部77は、各モータ39〜42の作動に応じて変化する可動部材の現在位置を示す現在位置情報を、移動開始位置情報に示される位置とリップルパルスとに基づいて演算する。すなわち、現在位置情報演算部77は、各モータ39〜42の作動に応じて変化するシート3の現在位置を示す現在位置情報を、移動開始位置情報に示される位置とリップルパルスとに基づいて演算する。移動開始位置情報は、移動開始位置情報記憶部76から取得される。また、リップルパルスは、上述のリップルパルス検出回路50から伝達される。現在位置情報演算部77は、移動開始位置情報とリップルパルスとを用いてシート3の移動量を演算する。なお、この移動量の演算は公知技術であるため説明は省略する。現在位置情報演算部77は、上述の各モータ39〜43の通電前における移動開始位置情報に、移動量を加減算することにより、各モータ39〜43の回転に応じて変化するシート3のシート位置を演算する。そして、特にシート3が停止した際のシート位置に係る位置情報は、上述の移動開始位置情報記憶部76に伝達される。
【0038】
ここで、本実施形態では、モータはフロントバーチカルモータ41を例としている。したがって、現在位置情報演算部77は、フロントバーチカルモータ41の作動に応じて変化するシート3の現在位置を示す現在位置情報を、移動開始位置情報に示される位置とリップルパルスとに基づいて演算する。図5に示されるようにシート3がαからβの位置に移動した場合には、現在位置情報演算部77は、αにいたことを示す移動開始位置情報と、βに移動するのに要したリップルパルスとに基づいて現在位置情報を演算する。
【0039】
ロック状態判定部73は、各モータ39〜42に通電されるモータ電流に基づき、各モータ39〜42により駆動されるシート3がロック状態であるか否かを判定する。モータ電流は、上述のモータ電流検出部71から伝達される。また、回転速度は、上述の回転速度検出部72から伝達される。ロック状態とは、図5に示されるように、シート3の各部が、可動範囲Aの端点Xでストッパ等にぶつかることによりモータがロックする状態である。モータが、ロック状態となると、図6に示されるようにロック電流I2が流れる。当該ロック電流I2は、突入電流I0(ただし、t=t0でモータを起動)よりも大きな電流となる。したがって、突入電流I0とロック電流I2との差(ただし、I2>I0)が、所定値以上であり、且つ、ロック電流I2が流れる際のモータの回転速度が所定値以下となる極低速回転状態の場合にはロック状態であると判定することができる。
【0040】
ここで、極低速回転状態とは、上述のリップルパルス検出回路50によりモータ電流のリップル成分を正確にパルス化できず、リップルパルスを正確に検出できないような遅い回転速度でモータが回転している状態を示す。ロック状態判定部73は、このようにしてシート3がロック状態であるか否かを判定する。この判定結果は、後述のロック位置情報判定部79に伝達される。
【0041】
ロック位置情報判定部79は、後述のロック位置情報記憶部78に2つのロック位置情報が記憶されているか否かを判定し、ロック位置情報記憶部78に2つのロック位置情報が記憶されている場合には、当該2つのロック位置情報に係る2つのロック位置の間の距離が予め設定されている所定量未満であるか否かの判定を行う。ロック位置情報記憶部78に2つのロック位置情報が記憶されているか否かの判定は、ロック状態判定部73からシート3がロック状態であることを示す判定結果が伝達された場合に行われる。また、この判定は、ロック位置情報記憶部78に記憶されているロック位置情報を参照して行われる。そして、この判定結果は、ロック位置情報記憶部78に伝達される。
【0042】
また、ロック位置情報判定部79は、ロック位置情報記憶部78に2つのロック位置情報が記憶されていると判定した場合には、当該2つのロック位置情報に係る2つのロック位置の間の距離が予め設定されている所定量未満であるか否かの判定を行う。ロック位置の位置情報を示すロック位置情報は、ロック位置情報記憶部78から取得される。ここで、所定量とは、予め設定され、後述のロック検出エリア設定部81により設定される2つのロック位置の側のロック検出エリアのうち大きい方の幅より大きな値に設定されると好適である。ロック位置情報判定部79は、2つのロック位置の間の距離が所定量未満であると判定した場合には、ロック位置情報消去部80及びロック検出エリア消去部83に対して、その旨を示す信号を伝達する。一方、ロック位置情報判定部79は、2つのロック位置の間の距離が所定量未満でないと判定した場合には、ロック位置情報記憶部78に対して、その旨を示す信号を伝達する。
【0043】
ロック位置情報記憶部78は、ロック位置の位置情報をロック位置情報として記憶する。ロック位置とは、シート3がロック状態となった位置であり、ロック状態は上述のように、ロック状態判定部73により判定される。ロック位置情報とは、ロック状態となった時点のシート3の位置を示す情報である。ロック状態判定部73から、ロック位置情報判定部79にシート3がロック状態であるか否かの判定結果が伝達され、ロック位置情報判定部79が、ロック位置情報記憶部78に2つのロック位置情報が記憶されていないことを示す判定結果が伝達された場合には、ロック位置情報記憶部78は現在位置情報演算部77から現在位置情報を取得してロック位置情報として記憶する。即ち、ロック状態と判定された時点の現在位置情報がロック位置情報として記憶される。
【0044】
また、ロック位置情報記憶部78は、ロック位置情報判定部79から2つのロック位置の間の距離が所定量未満であることを示す判定結果が伝達された場合にも、ロック位置情報記憶部78は現在位置情報演算部77から現在位置情報を取得してロック位置情報として記憶する。
【0045】
ロック位置情報消去部80は、ロック検出エリアの設定時に、両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に記憶されたロック位置情報を消去する。両端部のロック位置の間の距離とは、上述の2つのロック位置の間の距離である。また、当該距離が、予め設定された所定量未満であるか否かは、上述のロック位置情報判定部79により判定される。先に記憶されたロック位置情報とは、ロック位置情報記憶部78に記憶される2つのロック位置情報のうち、古いタイムスタンプを有するロック位置情報に相当する。即ち、ロック位置情報消去部80は、ロック検出エリアが設定された際に、2つのロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、ロック位置情報記憶部78に記憶される2つのロック位置情報のうち、古いタイムスタンプを有するロック位置情報を消去する。
【0046】
ロック検出エリア設定部81は、ロック位置に対して、少なくとも可動範囲Aの側にロック検出エリアを設定する。可動範囲Aの側とはロック検出位置に対して手前側である。ここで、ロック検出エリアについて図7を用いて説明する。ロック状態判定部73が、シート3のロック状態を位置O1で検出した場合には、ロック位置情報記憶部78に位置O1の位置情報がロック位置情報として記憶される。そして、ロック検出エリア設定部81は、ロック位置情報記憶部78に記憶されるロック位置情報に基づいて、可動範囲Aの側に所定の幅を有してロック検出エリアl11を設定する。ここで、位置制御装置1は、このような位置情報はリップルパルスに対応する位置で認識している。このため、所定の幅もリップルパルスをカウントするカウンタのカウント数で規定しても良いし、実際に移動するのに要する時間で規定しても良い。また、ロック検出エリア設定部81は、可動範囲Aから外れた側にもロック検出エリアl12を設定する。この可動範囲Aから外れた側のロック検出エリアl12の幅は、特に制限値を設けることなく設定される。
【0047】
ここで、本位置制御装置1は、可動範囲Aの側に設定されたロック検出エリアl11内からロック位置方向への移動を規制する。即ち、図7において、移動開始位置情報が、「▲」で示されるように可動範囲Aの側のロック検出エリアl11内にある場合には、ロック位置である位置O1の方向(白抜き矢印(a)で示された方向)への移動は規制され、移動することができず、ロック位置の反対方向(白抜き矢印(b)で示された方向)への移動のみ許可される。
【0048】
上述のようなロック検出エリアの設定は、ユーザがシート3の位置を変更する操作スイッチ27を操作して、実際にシート3を端部に移動させてロック状態とすることにより行われる。このように、ロック検出エリア設定部81により設定されたロック検出エリアは、ロック検出エリア記憶部82に記憶される。
【0049】
一方、可動範囲Aには、端部は両端の2箇所であるため、一方のロック位置及びロック検出エリアが設定されると、ユーザは逆方向にシート3を移動させるように操作スイッチ27を操作する。そして上述と同様にして、他方の端部におけるロック位置とロック検出エリアを設定する。したがって、ロック位置情報記憶部78及びロック検出エリア記憶部82には、夫々2つのロック位置情報及びロック検出エリアが記憶される。
【0050】
ここで、例えば図8に示されるように、一方のロック検出位置として位置O1で記憶され、他方のロック検出位置として位置O2で記憶されたとする。係る場合、ロック検出エリア設定部21は、位置O1のロック検出位置を基準として、可動範囲の側のロック検出エリアl11と可動範囲から外れた側のロック検出エリアl12とが設定される。また、位置O2のロック検出位置を基準として、可動範囲の側のロック検出エリアl21と可動範囲から外れた側のロック検出エリアl22とが設定される。そして、このように設定された、二つの可動範囲の側のロック検出アリアl11及びl21において、図8に示されるように重複する部分があり、図8中の「▲」で示されるように、当該重複する部分に移動開始位置があるとすると、本位置制御装置1は、移動開始位置が、可動範囲Aの側のロック検出エリア内にある場合には、ロック位置の方向への移動は規制されるため、図8中の(a)及び(b)のいずれに方向への移動も規制されてしまう。
【0051】
このような両方向の移動が規制されることがないように、上述のロック位置情報判定部19が2つのロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満であるか否かを判定する。
【0052】
ロック検出エリア消去部83は、ロック検出エリアの設定時に、両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に設定されたロック検出エリアを消去する。両端部のロック位置の間の距離とは、上述の2つのロック位置の間の距離である。また、当該距離が、予め設定された所定量未満であるか否かは、上述のロック位置情報判定部79により判定される。先に設定されたロック検出エリアとは、ロック検出エリア記憶部82に記憶される2つのロック検出エリアのうち、古いタイムスタンプを有するロック検出エリアに相当する。ロック検出エリア消去部83は、ロック検出エリアが設定された際に、2つのロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、ロック検出エリア記憶部82に記憶される2つのロック検出エリアのうち、古いタイムスタンプを有するロック検出エリアを消去する。
【0053】
このように、2つのロック検出位置の間の距離が所定量未満である場合に、先に記憶されたロック位置情報とロック検出エリアとを消去するため、図8に示されるような両方向への移動が規制されるといった問題を回避することが可能となる。
【0054】
そして、上述のように先に記憶されたロック位置情報とロック検出エリアとが消去された場合には、ユーザにより再度、操作スイッチ27が操作され、消去された側のロック位置の再検出が行われる。なお、ロック位置に対して可動範囲の側のロック検出エリアは、可動範囲Aの側に設定されるロック検出エリアl11の幅とl21の幅とが同じとする構成である場合には、少なくとも可動範囲Aの半分未満の距離となるように設定しておく必要がある。また、ロック位置の検出の際に、小石等の噛み込みにより可動範囲Aの端部以外においてロック状態が検出された場合には、二つのロック位置の間の距離が所定量未満であれば、先に記憶されたロック位置及びロック検出エリアを消去し、再度、ロック位置を検出して設定しなおすため、好適にロック位置及びロック検出エリアを設定することが可能となる。このように、本位置制御装置1は、例えば図9で示されるように位置O1に係る可動範囲Aの側のロック検出エリアl11と位置O2に係る可動範囲Aの側のロック検出エリアl21とが重複しないようになるまで、ロック位置及びロック検出エリアの設定を行う。
【0055】
次に、本位置制御装置1が行う処理に関してフローチャートを用いて説明する。図10は、ロック位置及びロック検出エリアの設定に関するフローチャートである。ロック状態判定部73によりロック状態が検出されると(ステップ#01:Yes)、ロック位置情報判定部79は、ロック位置情報記憶部78に逆方向のロック位置情報が記憶されているか否かの判定を行う。逆方向のロック位置情報が記憶されていれば(ステップ#02:Yes)、ロック位置情報記憶部78に記憶されているロック位置情報に係るロック位置と、今回検出されたロック状態に係るロック位置との間隔が予め設定された所定量未満であるか否かの判定を行う。2つのロック位置の間隔が、所定量未満でなければ(ステップ#03:Yes)、今回検出されたロック状態に係るロック位置の位置情報を示すロック位置情報をロック位置情報記憶部78に記憶する(ステップ#04)。
【0056】
そして、今回記憶されたロック位置情報に係るロック位置に対して、ロック検出エリア設定部81がロック検出エリアを設定し、当該ロック検出エリアがロック検出エリア記憶部82に記憶される(ステップ#05)。この場合、両端部のロック位置情報が記憶されているため(ステップ#06:Yes)、処理を終了する。
【0057】
ステップ#02において、逆方向のロック位置情報が記憶されていなければ(ステップ#02:No)、今回、検出されたロック状態に係るロック位置の位置情報を示すロック位置情報をロック位置情報記憶部78が記憶する(ステップ#04)。そして、処理を継続し、ステップ#06において、両端部のロック位置情報が記憶されていないため(ステップ#06:No)、ステップ#01から処理を継続する。
【0058】
ステップ#03において、2つのロック位置の間隔が、所定量未満であれば(ステップ#03:No)、ロック位置情報消去部80が、ロック位置情報記憶部78に記憶されているロック位置情報のうち、先に記憶されたロック位置情報を消去する(ステップ#07)。そして、ロック検出エリア消去部83が、ロック検出エリア記憶部82に記憶されているロック検出エリアのうち、先に設定されたロック検出エリアを消去する(ステップ#08)。そして、ステップ#04から処理を継続する。このようにして、本位置制御装置1は、ロック位置及びロック検出エリアの設定を行う。なお、上述の説明で記載したロック位置及びロック位置検出エリアの消去は、ロック位置及びロック検出エリアの設定を行う設定モードのみで行われるものであり、通常のシート3の位置変更処理においては、消去されるものではない。したがって、上述の設定処理で記憶されたロック位置及びロック検出エリアがシート3の位置変更処理において用いられる。
【0059】
このようにして、本位置制御装置1は、シート3の移動が規制されないように可動範囲の両端部に適切にロック検出エリアを設定することが可能となる。
【0060】
上記実施形態では、可動部材がシート3であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、可動部材をサンルーフとすることも可能であるし、窓やドアとすることも可能である。また、その他モータにより移動させる部材であれば、本発明を適用することは、当然に可能である。
【0061】
上記実施形態では、シート3のフロントバーチカル動作を例として説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。リクライニング動作、スライド動作、リフタ動作等であっても、同様に適用することが可能である。
【0062】
上記実施形態では、ロック検出エリアは図9に示されるように、位置O1を基準とする可動範囲Aの側のロック検出エリアl11と、位置O2を基準とする可動範囲Aの側のロック検出エリアl21との幅が同じであるとして図示した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。夫々の幅が異なるように構成した場合には、ロック位置情報判定部79が行う2つのロック位置の間の距離が予め設定されている所定量未満であるか否かの判定における所定量を、ロック検出エリアl11と、ロック検出エリアl21とのうち、幅が長い方のロック検出エリアの幅として判定すると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】シート位置制御装置の全体構成を概略的に示した図
【図2】シートの可動箇所を示した図
【図3】位置制御装置の概略構成を模式的に示したブロック図
【図4】モータを起動した際のモータ電流及び時間の関係について示した図
【図5】可動範囲を概略的に示した図
【図6】突入電流とロック電流とを示した図
【図7】ロック検出エリアを概略的に示した図
【図8】2つのロック位置間の距離が所定量未満である場合の例を示した図
【図9】2つのロック位置間の距離が所定量以上である場合の例を示した図
【図10】2つのロック位置及びロック検出エリアを設定する処理に係るフローチャート
【符号の説明】
【0064】
1:位置制御装置
22:制御部
70:運転状態判定部
71:モータ電流検出部
72:回転速度検出部
73:ロック状態判定部
76:移動開始位置情報記憶部
77:現在位置情報演算部
78:ロック位置情報記憶部
79:ロック位置情報判定部
80:ロック位置情報消去部
81:ロック検出エリア設定部
82:ロック検出エリア記憶部
83:ロック検出エリア消去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動される可動部材が機械的にロック状態となる両端部のロック位置に対して、可動範囲の側に設定されたロック検出エリア内から前記ロック位置方向への移動が規制される位置制御装置であって、
前記ロック位置の位置情報をロック位置情報として記憶するロック位置情報記憶部と、
前記ロック位置に対して、少なくとも可動範囲の側に前記ロック検出エリアを設定するロック検出エリア設定部と、
前記ロック検出エリアの設定時に、前記両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に設定されたロック検出エリアを消去するロック検出エリア消去部と、
を備える位置制御装置。
【請求項2】
前記ロック検出エリアの設定時に、前記両端部のロック位置の間の距離が予め設定された所定量未満である場合に、先に記憶されたロック位置情報を消去するロック位置情報消去部を備える請求項1に記載の位置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−33514(P2010−33514A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197791(P2008−197791)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】