説明

位置情報処理装置、位置情報処理方法、プログラムおよび位置情報処理システム

【課題】同一のMACアドレスが複数の基地局に対して割り当てられている状況において、高精度に基地局の位置情報を取得する。
【解決手段】位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部150と、基地局から送信された無線信号の受信により取得される基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、基地局の位置情報を基地局情報記憶部150に記憶されている基地局情報から取得する位置情報取得部170と、を備える、位置情報処理装置10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報処理装置、位置情報処理方法、プログラムおよび位置情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、衛星から送信された無線信号を受信可能な受信装置が車や携帯電話などの移動体に搭載されている。GPS(Global Positioning System)測位によれば、かかる受信装置を搭載した移動体の位置を推定することが可能である。このような受信装置を用いた位置推定技術は、ナビゲーション、セキュリティーまたは娯楽などの多岐にわたる分野において重要な共通基盤技術である。
【0003】
また、無線LAN(Local Area Network)の基地局(アクセスポイント)と無線通信を行う携帯端末が、基地局から送信される信号の信号強度を測定し、通信装置と通信可能なサーバが、該信号強度に基づいて通信装置の位置を推定する位置推定技術も考えられる。例えば、無線LANの基地局は、無線LANの基地局の存在を周囲に報知するためのビーコンを一定周期(例えば、5回/秒)で送信している。携帯端末は、かかるビーコンの信号強度をサーバに送信し、サーバは、該信号強度と事前に登録されている無線LANの基地局の位置情報とに基づいて携帯端末の位置を推定できる。
【0004】
上記位置推定技術によれば、無線LANの基地局は屋内や地下にも設置されるため、GPS測位に基づく位置推定技術では困難であった屋内や地下での位置推定ができる。すなわち、上記位置推定技術は、携帯端末の周囲に設置された無線LANの基地局の位置を示す基地局情報がサーバに登録されていれば、利便性、簡易性に優れた位置推定技術といえる。携帯端末は、受信したビーコンの送信元の基地局を特定するために、該ビーコンから送信元の基地局のMAC(Media Access Control)アドレスを取得するという技術が通常用いられる。
【0005】
ここで、MACアドレスは、基地局に対して一意に割り当てられることが望ましいが、何らかの理由により同一のMACアドレスが異なる複数の基地局に対して割り当てられてしまう場合も想定される。かかる場合には、携帯端末は、ビーコンに含まれるMACアドレスからビーコンの送信元の基地局を正確に特定することができない。その結果として、サーバは、ビーコンの送信元の基地局の位置情報を誤って取得することとなり、携帯端末の位置を正確に推定することができなくなってしまう。同一のMACアドレスが複数の装置に設定される状況を検出する技術については、例えば、特許文献1により開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−273267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、上記特許文献1により開示された技術を採用したとしても、同一のMACアドレスが複数の基地局に対して割り当てられている状況において、高精度に基地局の位置情報を取得することはできなかった。

【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、同一のMACアドレスが複数の基地局に対して割り当てられている状況において、高精度に基地局の位置情報を取得することが可能な、新規かつ改良された位置情報処理装置、位置情報処理方法、プログラムおよび位置情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、を備える、位置情報処理装置が提供される。
【0010】
前記位置情報取得部は、前記無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に一致または類似するMACアドレスおよび補助識別子を含む前記基地局情報から前記基地局の位置情報を取得することとしてもよい。
【0011】
前記補助識別子は、前記基地局の位置する地域を示す地域識別子であることとしてもよい。
【0012】
前記補助識別子は、前記基地局のESSIDであることとしてもよい。
【0013】
前記補助識別子は、前記基地局から送信された無線信号と共に受信される他の基地局から送信された無線信号の電波パターンを示すこととしてもよい。
【0014】
前記位置情報処理装置は、前記位置情報取得部により取得された前記基地局の位置情報に基づいて、前記位置情報処理装置の位置を推定する測位部、をさらに備えることとしてもよい。
【0015】
前記位置情報処理装置は、前記基地局から送信された無線信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記無線信号から前記基地局のMACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、前記受信部による前記無線信号の受信結果から前記補助識別子を取得する補助識別子取得部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0016】
前記位置情報処理装置は、前記基地局から送信された無線信号を受信した携帯端末から前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子を受信する受信部、をさらに備えることとしてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶するステップと、基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得するステップと、を含む、位置情報処理方法が提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、を備える、位置情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基地局から送信された無線信号を受信する受信部と、前記受信部による前記無線信号から前記基地局のMACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、前記受信部による前記無線信号の受信結果から前記補助識別子を取得する補助識別子取得部と、を備える、携帯端末と、位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、前記携帯端末から前記基地局のMACアドレスおよび前記補助識別子を受信する通信部と、前記通信部により受信された前記基地局のMACアドレスおよび前記補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、を備える、位置情報処理装置と、を有する、位置情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、同一のMACアドレスが複数の基地局に対して割り当てられている状況において、高精度に基地局の位置情報を取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る位置情報処理システムの構成を示した図である。
【図2】比較例に係る基地局情報の構成例を示した図である。
【図3】比較例に係る基地局の位置情報の取得例を示した説明図である。
【図4】比較例に係る位置推定の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る携帯端末の構成を示した機能ブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る基地局情報の構成例を示した図である。
【図7】第1の実施形態に係る補助識別子取得手法の一例を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態に係る測位手法の一例を示す説明図である。
【図9】第1の実施形態に係る基地局の位置情報の取得例を示した説明図である。
【図10】第1の実施形態に係る位置推定の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係る位置情報処理システムの構成を示した図である。
【図12】第2の実施形態に係る携帯端末およびサーバの各々の構成を示した機能ブロック図である。
【図13】位置情報処理装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0024】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.各実施形態の説明
1−1.第1の実施形態
(位置情報処理システムの構成)
(比較例による位置情報の取得)
(本実施形態に係る位置情報処理装置の構成)
1−2.第2の実施形態
(位置情報処理システムの構成)
(本実施形態に係る位置情報処理装置の構成)
2.位置情報処理装置のハードウェア構成
3.むすび
【0025】
<1.各実施形態の説明>
以下、図1〜図13を参照し、本発明による各実施形態を詳細に説明する。
【0026】
[1−1.第1の実施形態]
(位置情報処理システムの構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る位置情報処理システムについて説明する。本実施形態に係る位置情報処理システムは、位置情報処理システムを構成する携帯端末(位置情報処理装置)が特筆すべき特徴を有する。以下、図1〜図10を用いて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る位置情報処理システム1Aの構成を示した図である。図1に示すように、位置情報処理システム1Aは、携帯端末10を備えるものである。
【0028】
基地局20は、空間的に散在する携帯端末間の通信を中継する。例えば、基地局20は、それぞれの電波到達範囲内にある携帯端末10と他の携帯端末(図示せず。)との無線通信を中継したり、携帯端末10と基地局20に有線で接続された通信装置との通信を中継したりすることができる。具体的には、基地局20は、WiFi(Wireless Fidelity)規格に基づく無線LAN(Local Area Network)の基地局であっても、GSM(Global System for Mobile Communications)の基地局であっても、Bluetoothの基地局であってもよい。
【0029】
基地局20は、無線通信を中継する際に送信する信号の他に、基地局20の存在を周囲に報知するためのビーコン信号を定期的に送信することができる。該ビーコン信号には、例えば基地局20に固有に付与される基地局識別情報としての基地局IDが含まれる。その結果、携帯端末10は、受信したビーコン信号の基地局IDに基づいて、周囲に存在する基地局20の存在を確認することができる。基地局IDとしては、MACアドレスが使用され得る。
【0030】
携帯端末10は、基地局20が制御する無線通信に基づいて各種データを送受信することができる。例えば、携帯端末10は、基地局20を介してコンテンツ配信サーバ(図示せず。)からコンテンツデータを受信することができる。また、例えば、携帯端末10は、他の携帯端末(図示せず。)と電子メールを送受信することができる。なお、コンテンツデータとしては、音楽、講演およびラジオ番組などの音楽データや、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、絵画および図表などの映像データや、ゲームおよびソフトフェアなどの任意のデータがあげられる。
【0031】
また、このような携帯端末10は、例えば、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistant)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0032】
携帯端末10は、基地局20が設置されている位置を示す位置情報が基地局IDと対応付けられた基地局情報を事前に記憶しており、基地局20から受信した信号の強度を示す信号強度情報と、上記基地局情報とに基づいて、例えば三角測量の原理により携帯端末10の位置を推定する機能を有する。
【0033】
また、本実施形態に係る携帯端末10は、基地局20が新たに設置された場合や、基地局20の位置が変更された場合に、記憶する基地局情報の内容を、現実の基地局20の設置位置に追従して更新することも可能である。
【0034】
基地局IDとしてMACアドレスが使用される場合、携帯端末10は、基地局20からMACアドレを受信すると、そのMACアドレスに基づいて基地局20の位置情報を取得することができる。しかし、基地局20から受信したMACアドレスに基づいて基地局20の位置情報を取得することに関してはいくつかの問題がある。以下、図2〜4を参照し、これらの問題について簡単に説明する。
【0035】
(比較例による位置情報の取得)
図2は、比較例に係る基地局情報の構成例を示した図である。図2に示すように、基地局20A〜20Dの各々の位置情報を「P1」〜「P4」とする。また、基地局20Aおよび20BのMACアドレスを「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」、基地局20CのMACアドレスを「SS−YY−ZZ−UU−VV−WW」、基地局20DのMACアドレスを「TT−YY−ZZ−UU−VV−WW」とする。
【0036】
この例における基地局20Aおよび20Bのように、何らかの理由により異なる複数の基地局20に対して同一のMACアドレスが割り当てられてしまう場合がある。このようなMACアドレスの重複は、実際の調査により得られている現象である。A国のB市において幹線道路を一周する間に得られた調査結果を例として取り上げると、一周する間に2981個の基地局20が観測されたが、そのうちの256個の基地局20のMACアドレスが他の基地局20のMACアドレスと重複していた。これは、B市に設置されている基地局20全体の約8.5%に相当する。
【0037】
また、500m程度しか離れていない複数の観測地においてMACアドレスの重複を観測した。さらに、1km程度離れた複数の観測地においては、164個の基地局20のMACアドレスが他の基地局20のMACアドレスと重複していた。これは、B市に設置されている基地局20全体の約5.5%に相当する。このように、複数の基地局20に対して同一のMACアドレスが割り当てられている場合には、正確な基地局20の位置情報を取得できなくなる可能性があり、携帯端末の測位精度も低下する可能性がある。その理由について、図3を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0038】
図3は、比較例に係る基地局の位置情報の取得例を示した説明図である。例えば、携帯端末10♯が図2に示したような基地局情報を記憶している状態において、携帯端末10♯を有するユーザが、図3に示すような経路で移動したとする。なお、図3に示すように、基地局20Aおよび基地局20Bには同一のMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」が割り当てられているが、基地局20Aの位置情報は「P1」であり、基地局20Bの位置情報は「P2」であるものとする。
【0039】
まず、ユーザが基地局20Aに近づき、携帯端末10♯は、位置情報P1が示す位置に設置されている基地局20AからMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」を取得したとする。この場合、携帯端末10♯は、取得したMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」に基づいて、基地局20Aの位置を特定しようとするが、基地局情報には、基地局20Aの位置情報として「P1」および「P2」が登録されているため、正しい位置情報である「P1」を取得できるとは限らない。
【0040】
続いて、ユーザが基地局20Bに近づき、携帯端末10♯は、位置情報P2が示す位置に設置されている基地局20BからMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」を取得したとする。この場合、携帯端末10♯は、取得したMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」に基づいて、基地局20Bの位置を特定しようとするが、基地局情報には、基地局20Aの位置情報として「P1」および「P2」が登録されているため、正しい位置情報である「P2」を取得できるとは限らない。
【0041】
図3に示した例のように、基地局20Aおよび20Bに対して同一のMACアドレスが割り当てられている場合には、基地局20Aおよび20Bの位置情報を正しく認識できない可能性がある。また、基地局20の位置情報を正確に取得できなければ、基地局20の位置情報に基づいた携帯端末10♯の測位精度も低下する可能性がある。この比較例に係る位置推定の流れについて、図4を参照しながら説明する。
【0042】
図4は、比較例に係る位置推定の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、携帯端末10♯は、各基地局20から無線信号を受信し(S901)、各基地局20から受信した無線信号からMACアドレスを取得する(S902)。携帯端末10♯は、各基地局20に関して繰り返し(S903〜S905)を実行する。繰り返し(S903〜S905)において、携帯端末10♯は、各基地局20から取得されたMACアドレスに基づいて基地局20の位置情報を取得する(S904)。
【0043】
携帯端末10♯は、各基地局20に関して繰り返し(S903〜S905)を実行すると、各基地局20の位置情報と各基地局20から受信した無線信号の信号強度とに基づいて測位を行う(S906)。しかしながら、上記したように、異なる複数の基地局20に対して同一のMACアドレスが割り当てられている場合には、S904において、基地局20の位置情報を正確に取得できない可能性がある。その結果、S906において、基地局20の位置情報に基づいた携帯端末10♯の測位精度も低下する可能性がある。
【0044】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の各実施形態を創作するに至った。本発明の各実施形態によれば、同一のMACアドレスが複数の基地局20に対して割り当てられている状況においても、MACアドレスに対して補助的な役割を担う補助識別子を使用するため、基地局20の位置情報を高精度に取得することができる。このため、携帯端末10の測位精度を向上させることが可能となる。以下、本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0045】
(本実施形態に係る位置情報処理装置の構成)
図5は、本実施形態に係る携帯端末10の構成を示した機能ブロック図である。図5に示すように、本実施形態に係る携帯端末10は、通信部110と、MACアドレス取得部120と、補助識別子取得部130と、制御部140と、基地局情報記憶部150と、補助識別子登録処理部160と、位置情報取得部170と、信号強度検出部180と、測位部190とを備える。
【0046】
基地局情報記憶部150は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、光磁気記憶デバイス等により構成され、基地局情報を記憶する機能を有する。基地局情報について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る基地局情報の構成例を示した図である。図6に示すように、基地局情報は、MACアドレス、補助識別子および位置情報を含んでいる。位置情報の形式は、緯度、経度を用いた形式に限られず、例えば、x、y座標を用いた形式であっても、極座標を用いた形式であっても、ベクトルを用いた形式であってもよい。
【0047】
MACアドレスおよび位置情報は、事前に基地局情報記憶部150に登録され得る。例えば、基地局20が設置された場合に、基地局20のMACアドレスと基地局20の位置情報との組み合わせが、所定の操作によりユーザ等から基地局情報記憶部150に登録されてもよい。また、基地局20が測位された段階において、基地局20のMACアドレスと測位により取得された基地局20の位置情報との組み合わせが、基地局情報記憶部150に登録されてもよい。
【0048】
基地局20の測位は、測位部190が行うことも可能である。すなわち、例えば、基地局20からの無線信号が通信部110により受信されている間に、測位部190による携帯端末10の測位が行われた場合には、通信部110により受信された無線信号から取得されるMACアドレスと携帯端末10の測位により取得された位置情報との組み合わせが、基地局情報記憶部150に登録されてもよい。基地局情報に含まれる補助識別子は、事前に基地局情報記憶部150に登録されてもよく、後に説明するように、補助識別子登録処理部160により基地局情報記憶部150に登録されてもよい。
【0049】
図5に戻って、携帯端末10の構成について説明を続ける。通信部110は、例えば、周囲の基地局20などが送信する無線信号(例えば、ビーコン信号)を受信する受信部としての機能を有する。通信部110は、無線LAN対応通信装置であっても、GSM対応通信装置であっても、Bluetooth対応通信装置であってもよい。
【0050】
信号強度検出部180は、通信部110により基地局20から受信された無線信号の信号強度を検出する機能を有する。信号強度検出部180により検出された信号強度は、測位部190に提供され得る。また、信号強度検出部180により検出された信号強度は、補助識別子取得部130に提供され得る。
【0051】
MACアドレス取得部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、基地局20から通信部110により受信された無線信号から基地局20を識別するためのMACアドレスを取得する機能を有する。上記したように、本実施形態においては、異なる複数の基地局20に同一のMACアドレスが割り当てられている状況が想定されるため、異なる複数の基地局20から受信された無線信号から取得したMACアドレスであっても、同一である可能性がある。
【0052】
補助識別子取得部130は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、通信部110による無線信号の受信結果から補助識別子を取得する機能を有する。補助識別子取得部130による補助識別子の取得手法としては、様々な手法を採用することができる。第1の例としては、基地局20の位置する地域を示す地域識別子を補助識別子として取得する手法が挙げられる。
【0053】
地域識別子の取得手法としても様々な手法を採用することができる。例えば、補助識別子取得部130は、基地局20から送信される無線信号に地域識別子が含まれている場合には、基地局20から通信部110により受信された無線信号から地域識別子を補助識別子として取得してもよい。また、補助識別子取得部130は、ユーザから基地局20の位置する地域を示す地域識別子の入力を受け付けることが可能であれば、ユーザから入力された地域識別子を補助識別子として取得してもよい。
【0054】
基地局20の位置する地域を示す地域識別子としては、例えば、基地局20の位置する国を識別するための識別子であってもよいし、国よりも狭い地域、例えば、州、市などといった地域を示す情報であってもよい。
【0055】
第2の例としては、基地局20のESSID(Extended Service Set IDentifier)を補助識別子として取得する手法が挙げられる。例えば、補助識別子取得部130は、基地局20から送信される無線信号にESSIDが含まれている場合には、基地局20から通信部110により受信された無線信号からESSIDを補助識別子として取得することができる。
【0056】
第3の例としては、基地局20から送信された無線信号と共に受信される他の基地局20から送信された無線信号の電波パターンを補助識別子として取得する手法が挙げられる。この第3の例については、図7を参照しながら説明する。
【0057】
図7は、本実施形態に係る補助識別子取得手法の第3の例を示す説明図である。図7に示すように、ある3つの地点の各々において、受信された無線信号からMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」が取得され、その無線信号の信号強度が「−82dBm」「−80dBm」「−70dBm」と検出されたとする。この場合には、補助識別子取得部130は、受信された無線信号から同一のMACアドレスが3つの地点の各々において取得されているため、他の無線信号から取得されたMACアドレスを比較する。
【0058】
図7に示すように、第1および第2の地点の各々において受信された他の無線信号からMACアドレスとして「SS−YY−ZZ−UU−VV−WW」が取得され、その無線信号の信号強度がそれぞれ「−65dBm」「−63dBm」と検出されたとする。この場合には、補助識別子取得部130は、第1および第2の地点において受信された他の無線信号から取得されたMACアドレスも同一であるため、第1および第2の地点においては、同一の補助識別子C1を取得する。
【0059】
一方、第3の地点において受信された他の無線信号からMACアドレスとして「TT−YY−ZZ−UU−VV−WW」が取得され、その無線信号の信号強度がそれぞれ「−79dBm」と検出されたとする。この場合には、補助識別子取得部130は、第1および第2の地点において受信された他の無線信号から取得されたMACアドレスと異なるMACアドレスが、第3の地点において受信された他の無線信号から取得されたため、第3の地点においては、第1および第2の地点とは異なる補助識別子C2を取得する。
【0060】
このように、基地局20から送信された無線信号と共に他の基地局20からも無線信号が送信される場合、補助識別子取得部130は、他の基地局20から送信された無線信号から取得されるMACアドレスの組み合わせを電波パターンとして認識し、電波パターンごとに異なる補助識別子を取得することが可能である。
【0061】
また、他の基地局20から送信された無線信号から取得されるMACアドレス以外に、他の基地局20から送信された無線信号の信号強度も考慮して電波パターンを認識することとしてもよい。例えば、第1および第2の地点において、他の基地局20から送信された無線信号の信号強度は、それぞれ「−65dBm」「−63dBm」と検出されたが、この2つの信号強度の差分に応じて、電波パターンが同一であるか否かを判断してもよい。
【0062】
すなわち、2つの信号強度の差分が所定値未満の場合には、電波パターンが同一であると判断し、2つの信号強度の差分が所定値を超えている場合には、電波パターンが異なると判断してもよい。2つの信号強度の差分が所定値と同じ場合には、どちらであってもよい。なお、図7に示した例では、基地局20から送信された無線信号と共に、他の1つの基地局20から送信された無線信号を携帯端末10が受信することとしたが、携帯端末10は、他の複数の基地局20から送信された無線信号を受信し、他の複数の基地局20から受信した無線信号から電波パターンを認識してもよい。
【0063】
制御部140は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、補助識別子取得部130により取得された補助識別子が基地局情報記憶部150により記憶されているか否かを判断する機能を有する。制御部140は、補助識別子が基地局情報記憶部150により記憶されていると判断した場合には、位置情報取得部170に位置情報を取得させ、補助識別子が基地局情報記憶部150により記憶されていないと判断した場合には、補助識別子登録処理部160に補助識別子を登録する処理を行わせる。
【0064】
位置情報取得部170は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、基地局20から送信された無線信号の受信により取得される基地局20のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、基地局20の位置情報を基地局情報記憶部150に記憶されている基地局情報から取得する機能を有する。上記したように、基地局20のMACアドレスは、例えば、MACアドレス取得部120により取得され得る。また、補助識別子は、補助識別子取得部130により取得され得る。
【0065】
位置情報取得部170は、無線信号の受信により取得される基地局20のMACアドレスおよび補助識別子に一致または類似するMACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報から基地局20の位置情報を取得することができる。位置情報取得部170は、例えば、MACアドレス取得部120により取得されたMACアドレスおよび補助識別子取得部130により取得された補助識別子に一致または類似するMACアドレスおよび補助識別子を、基地局情報記憶部150により記憶されている基地局情報から取得することができる。
【0066】
基地局20のMACアドレスおよび補助識別子に類似する範囲は、事前に定めておくことができる。例えば、MACアドレス取得部120により取得されたMACアドレスのうちの所定部分が基地局情報記憶部150により記憶されているMACアドレスのうちの所定部分と一致していれば、お互いに類似しているとすることができる。また、例えば、補助識別子取得部130により取得された補助識別子のうちの所定部分が基地局情報記憶部150により記憶されている補助識別子のうちの所定部分と一致していれば、お互いに類似しているとすることができる。
【0067】
補助識別子登録処理部160は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、補助識別子を基地局情報記憶部150に登録する機能を有する。補助識別子登録処理部160は、例えば、上記したように、測位部190による携帯端末10の測位が行われた場合には、MACアドレス取得部120により取得されたMACアドレスと携帯端末10の測位により取得された位置情報と補助識別子取得部130により取得された補助識別子との組み合わせを、基地局情報として基地局情報記憶部150に登録することができる。
【0068】
測位部190は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、位置情報取得部170により取得された基地局20の位置情報に基づいて、携帯端末10の位置を推定する機能を有する。なお、測位部190は、携帯端末10に備えられていることとしてもよく、携帯端末10以外の他の装置に備えられていることとしてもよい。測位部190は、基地局20A〜20Cから受信した無線信号の強度と基地局情報とに基づいて、三角測量の原理により携帯端末10の位置を推定することができる。この三角測量の原理について、図8を参照しながら説明する。
【0069】
図8は、本実施形態に係る測位手法の一例を示す説明図である。図8には、簡単のため、測位部190が、基地局20A〜20Cの各々から送信された信号の強度(WA、WBおよびWC)と、基地局20A〜20Cの各々の位置情報P1〜P3とに基づいて、携帯端末10の現在位置Oを推定する例が示されているが、基地局20の数は特に限定されるものではない。すなわち、測位部190は、例えば、以下の数式1〜3に従って、携帯端末10の現在位置Oを推定することができる。
【0070】
【数1】

【数2】

【数3】

【0071】
数式1において、Aiは基地局情報記憶部150により記憶されている基地局情報に登録されているi番目の基地局の位置情報を示す。したがって、位置情報が経度、緯度で表される場合、数式1を経度、緯度ごとに適用する。また、Wiは、数式2に示したように、信号強度から推定される携帯端末10および基地局20iの間の推定距離d(20i)に基づいて得られる重み係数である。また、Wは、数式3に示したように重み係数の総和である。
【0072】
数式1を参照すると、d(20i)が小さい基地局20の位置情報が携帯端末10の現在位置Oに大きく反映される。一方、d(20i)が大きい基地局20の位置情報は、携帯端末10の現在位置Oに対する影響力が小さい。測位部190は、このような数式1を用いることにより携帯端末10の現在位置Oを合理的に推定することができる。
【0073】
なお、携帯端末10の測位は上記数式1を用いる方法に限られず、例えば、携帯端末10が最も高い信号強度で受信した信号の送信元の基地局20の位置を、携帯端末10の位置であると推定してもよい。すなわち、測位部190は、例えば、位置情報取得部170により取得された基地局20の位置情報を携帯端末10の位置としてもよい。また、携帯端末10が所定の閾値以上の信号強度で受信した信号の送信元の基地局20の中心となるような位置を、携帯端末10の位置であると推定してもよい。
【0074】
図9は、本実施形態に係る基地局20の位置情報の取得例を示した説明図である。例えば、携帯端末10が図6に示したような基地局情報を記憶している状態において、携帯端末10を有するユーザが、図9に示すような経路で移動したとする。なお、図9に示すように、基地局20Aおよび基地局20Bには同一のMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」が割り当てられているが、基地局20Aの位置情報は「P1」であり、基地局20Bの位置情報は「P2」であるものとする。
【0075】
まず、ユーザが基地局20Aに近づき、携帯端末10は、位置情報P1が示す位置に設置されている基地局20AからMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」を取得したとする。この場合、携帯端末10は、取得したMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」に基づいて、補助識別子C1を取得する。携帯端末10は、MACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」と補助識別子C1とに基づいて、基地局20Aの位置を特定しようとする。基地局情報には、MACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」と補助識別子C1とに対応付けられて位置情報P1が登録されているため、基地局20Aの正しい位置情報である「P1」を取得することができる。
【0076】
続いて、ユーザが基地局20Bに近づき、携帯端末10は、位置情報P2が示す位置に設置されている基地局20BからMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」を取得したとする。この場合、携帯端末10は、取得したMACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」に基づいて、補助識別子C2を取得する。携帯端末10は、MACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」と補助識別子C2とに基づいて、基地局20Bの位置を特定しようとする。基地局情報には、MACアドレス「XX−YY−ZZ−UU−VV−WW」と補助識別子C2とに対応付けられて位置情報P2が登録されているため、基地局20Bの正しい位置情報である「P2」を取得することができる。
【0077】
図9に示した例のように、本実施形態によれば、基地局20Aおよび20Bに対して同一のMACアドレスが割り当てられている場合であっても、基地局20Aおよび20Bの位置情報を正しく認識することができる。また、基地局20の位置情報を正確に取得できるため、基地局20の位置情報に基づいた携帯端末10の測位精度を向上させることができる。本実施形態に係る位置推定の流れについて、図10を参照しながら説明する。
【0078】
図10は、本実施形態に係る位置推定の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、携帯端末10は、各基地局20から無線信号を受信し(S101)、各基地局20から受信した無線信号からMACアドレスを取得する(S102)。携帯端末10は、各基地局20に関して繰り返し(S103〜S106)を実行する。繰り返し(S103〜S106)において、携帯端末10は、無線信号の受信結果から補助識別子を取得する(S104)し、各基地局20から取得されたMACアドレスと補助識別子とに基づいて基地局20の位置情報を取得する(S105)。
【0079】
携帯端末10は、各基地局20に関して繰り返し(S103〜S106)を実行すると、各基地局20の位置情報と各基地局20から受信した無線信号の信号強度とに基づいて測位を行う(S107)。かかる位置推定によれば、上記したように、異なる複数の基地局20に対して同一のMACアドレスが割り当てられている場合であっても、S105において、正確な基地局20の位置情報を取得することができる。その結果、S107において、基地局20の位置情報に基づいた携帯端末10の測位精度を向上させることができる。
【0080】
[1−2.第2の実施形態]
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。続いて、図11および図12を参照し、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0081】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る位置情報処理システム1Bの構成を示した図である。図11に示したように、第2の実施形態に係る携帯端末10は、ネットワーク40を介してサーバ(位置情報処理装置)30と通信を行うことが可能である。
【0082】
ネットワーク40は、ネットワーク40に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク40は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internt Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0083】
図12は、本実施形態に係る携帯端末およびサーバの各々の構成を示した機能ブロック図である。図12に示したように、本実施形態に係る携帯端末10は、第1の実施形態において説明した、通信部110、MACアドレス取得部120、補助識別子取得部130および信号強度検出部180の他、通信部195を有する。一方、本実施形態に係るサーバ30は、第1の実施形態において説明した、制御部140、基地局情報記憶部150、補助識別子登録処理部160、位置情報取得部170および測位部190の他、通信部210を有する。
【0084】
携帯端末10の通信部195は、サーバ30とネットワーク40を介して通信を行うことが可能である。例えば、通信部195は、MACアドレス取得部120により取得されたMACアドレスと、補助識別子取得部130により取得された補助識別子と、信号強度検出部180により検出された信号強度とを、サーバ30に送信する送信部として機能することができる。通信部110、MACアドレス取得部120、補助識別子取得部130および信号強度検出部180の各ブロックが有する機能は、第1の実施形態において説明した各ブロックの機能と同様である。
【0085】
サーバ30の通信部210は、携帯端末10とネットワーク40を介して通信を行うことが可能である。通信部210は、例えば、携帯端末10から送信されたMACアドレス、補助識別子および信号強度を受信する受信部として機能することができる。制御部140、基地局情報記憶部150、補助識別子登録処理部160、位置情報取得部170および測位部190の各ブロックが有する機能は、第1の実施形態において説明した各ブロックの機能と同様である。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、同一のMACアドレスが複数の基地局20に対して割り当てられている状況においても、基地局20の位置情報を高精度に取得することができる。このため、携帯端末10の測位精度を向上させることが可能となる。また、携帯端末10が複数存在する場合であっても、携帯端末10ごとに基地局情報を記憶する必要がなく、サーバ30において一括して基地局情報を記憶し、ハードウェア資源を有効に利用することができる。
【0087】
[2.位置情報処理装置のハードウェア構成]
図13は、位置情報処理装置10,30のハードウェア構成を示したブロック図である。位置情報処理装置10,30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ホストバス304と、を備える。また、位置情報処理装置10,30は、ブリッジ305と、外部バス306と、インタフェース307と、入力装置308と、出力装置310と、ストレージ装置(HDD)311と、ドライブ312と、通信装置313とを備える。
【0088】
CPU301は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って位置情報処理装置10,30内の動作全般を制御する。また、CPU301は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM302は、CPU301が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM303は、CPU301の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス304により相互に接続されている。
【0089】
ホストバス304は、ブリッジ305を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス306に接続されている。なお、必ずしもホストバス304、ブリッジ305および外部バス306を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0090】
入力装置308は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU301に出力する入力制御回路などから構成されている。位置情報処理装置10,30のユーザは、該入力装置308を操作することにより、位置情報処理装置10,30に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0091】
出力装置310は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置310は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。出力装置310は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0092】
ストレージ装置311は、本実施形態に係る位置情報処理装置10,30の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置311は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置311は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置311は、ハードディスクを駆動し、CPU301が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0093】
ドライブ312は、記憶媒体用リーダライタであり、位置情報処理装置10,30に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ312は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体200に記録されている情報を読み出して、RAM303に出力する。また、ドライブ312は、リムーバブル記憶媒体200に情報を書き込むこともできる。
【0094】
通信装置313は、例えば、周囲の基地局20に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置313は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0095】
[3.むすび]
以上説明したように、本発明の各実施形態に係る位置情報処理システム1によれば、同一のMACアドレスが複数の基地局20に対して割り当てられている状況においても、MACアドレスに対して補助的な役割を担う補助識別子を使用するため、基地局20の位置情報を高精度に取得することができる。このため、携帯端末10の測位精度を向上させることが可能となる。
【0096】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
また、本明細書の位置情報処理システム1の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、位置情報処理システム1の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0098】
また、位置情報処理装置10,30に内蔵されるCPU301、ROM302およびRAM303などのハードウェアを、上述した位置情報処理装置10,30の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0099】
1(1A,1B) 位置情報処理システム
10 携帯端末(位置情報処理装置)
30 サーバ(位置情報処理装置)
110 通信部
120 MACアドレス取得部
130 補助識別子取得部
140 制御部
150 基地局情報記憶部
160 補助識別子登録処理部
170 位置情報取得部
180 信号強度検出部
190 測位部
195 通信部
210 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、
基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、
を備える、位置情報処理装置。
【請求項2】
前記位置情報取得部は、
前記無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に一致または類似するMACアドレスおよび補助識別子を含む前記基地局情報から前記基地局の位置情報を取得する、
請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項3】
前記補助識別子は、
前記基地局の位置する地域を示す地域識別子である、
請求項2に記載の位置情報処理装置。
【請求項4】
前記補助識別子は、
前記基地局のESSIDである、
請求項2に記載の位置情報処理装置。
【請求項5】
前記補助識別子は、
前記基地局から送信された無線信号と共に受信される他の基地局から送信された無線信号の電波パターンを示す、
請求項2に記載の位置情報処理装置。
【請求項6】
前記位置情報処理装置は、
前記位置情報取得部により取得された前記基地局の位置情報に基づいて、前記位置情報処理装置の位置を推定する測位部、
をさらに備える、請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項7】
前記位置情報処理装置は、
前記基地局から送信された無線信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記無線信号から前記基地局のMACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、
前記受信部による前記無線信号の受信結果から前記補助識別子を取得する補助識別子取得部と、
をさらに備える、請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項8】
前記位置情報処理装置は、
前記基地局から送信された無線信号を受信した携帯端末から前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子を受信する受信部、
をさらに備える、請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項9】
位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶するステップと、
基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得するステップと、
を含む、位置情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、
基地局から送信された無線信号の受信により取得される前記基地局のMACアドレスおよび補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、
を備える、位置情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
基地局から送信された無線信号を受信する受信部と、
前記受信部による前記無線信号から前記基地局のMACアドレスを取得するMACアドレス取得部と、
前記受信部による前記無線信号の受信結果から前記補助識別子を取得する補助識別子取得部と、
を備える、携帯端末と、
位置情報、MACアドレスおよび補助識別子を含む基地局情報を記憶する基地局情報記憶部と、
前記携帯端末から前記基地局のMACアドレスおよび前記補助識別子を受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記基地局のMACアドレスおよび前記補助識別子に基づいて、前記基地局の位置情報を前記基地局情報記憶部に記憶されている前記基地局情報から取得する位置情報取得部と、
を備える、位置情報処理装置と、
を有する、位置情報処理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−205202(P2012−205202A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69839(P2011−69839)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】