説明

位置情報提供システム、位置情報提供装置および送信機

【課題】電波が届かない場所において位置情報を提供する。
【解決手段】位置情報提供装置が実行する処理は、受信された測位信号を取得するステップ(S610)と、測位信号の発信源を特定するステップ(S612)と、測位信号の発信源が屋外である場合に、測位信号に含まれる航法メッセージを取得するステップ(S622)と、その信号に基づいて位置を算出するための処理を実行するステップ(S624)と、測位信号の発信源が屋内である場合に、測位信号からメッセージデータを取得するステップ(S630)と、そのデータから座標値を取得するステップ(S632)と、その座標値に基づいて位置情報を表示するステップ(S650)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置情報を提供する技術に関する。本発明は、より特定的には、測位信号を発信する衛星から発信された信号が届かない環境下においても位置情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が知られている。G
PSに用いられる信号(以下、「GPS信号」)を発信するための衛星(以下、GPS衛星)は、地上から約2万kmの高度で飛行している。利用者は、GPS衛星から発信された信号を受信し、復調することにより、GPS衛星と利用者との間の距離を計測することができる。したがって、地上とGPS衛星との間に障害がない場合には、GPS衛星から発信された信号を用いた測位が可能である。しかし、たとえば、都市部においてGPSを利用する場合、林立する建物が障害となって、利用者の位置情報提供装置が、GPS衛星から発信された信号を受信できないことが多い。また、建物による信号の回折あるいは反射により、信号を用いた距離の測定に誤差が生じ、結果として、測位の精度が悪化することが多かった。
【0003】
また、壁や屋根を貫通した微弱なGPS信号を室内において受信する技術もあるが、受信状況は不安定であり、測位の精度も低下する。
【0004】
以上、測位についてGPSを例にとって説明したが、上述した現象は衛星を用いた測位システムについて一般的に言えることである。なお、衛星測位システムは、GPSに限られず、たとえば、ロシア共和国におけるGLONASS(GLOobal NAvigation Satellite
System)、欧州におけるGalileo等のシステムを含むものとする。
【0005】
ここで、位置情報の提供に関する技術は、たとえば、特開2006−67086号公報(特許文献1)に開示されている。
【特許文献1】特開2006−67086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2006−67086号公報に開示された技術によれば、リーダあるいはライタは、位置情報を提供するシステムに固有のものであり、汎用性にかけるという問題点がある。また、干渉を避けるため、送信出力を抑える必要があり、位置情報を受信可能な範囲が限定され、連続した位置情報の取得ができないほか、広い範囲をカバーするためには極めて多数の送信機が必要となるという問題点があった。
【0007】
また、位置情報の取得あるいは通知に関し、たとえば、固定電話であれば設置場所が予め知られているため、固定電話から発信された電話によって、その発信場所を特定することができる。しかしながら、携帯電話の普及に伴い、移動体通信が一般的になっているため、固定電話のようにして発信者の位置情報を通知することができない場合が増えている。一方、緊急時の通報に関し、携帯電話からの通報に位置情報を含めることについての法整備も検討されている。
【0008】
従来の測位機能を有する携帯電話の場合、衛星からの信号を受信できる場所では位置情報が取得されるため、携帯電話の位置を通知することが可能である。しかしながら、屋内、地下街のように電波が受信できない場所においては、従来の測位技術によっては、位置
情報を取得できないという問題点があった。
【0009】
そこで、たとえば、GPS信号に類似する信号を発信できる複数の送信機を室内に配置し、GPSと同様の3辺測量による原理に基づき位置を求めるという技術も考えられる。しかしながら、この場合、各送信機の時刻が同期していることが必要になり、送信機が高価になるという問題がある。
【0010】
また、室内での反射等により電波の伝搬が複雑になることから、数10m程度の誤差が容易に発生するという問題もある。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、測位のための信号を発信する衛星からの電波が受信できない場所においても精度を低下させることなく位置情報を提供する位置情報提供システムを提供することである。
【0012】
第2の目的は、測位のための信号を発信する衛星の時刻との同期が不要な信号に基づいて位置情報を提供する位置情報提供システムを提供することである。
【0013】
第3の目的は、測位のための信号を発信する衛星からの電波が受信できない場所においても、精度を低下させることなく位置情報を提供できる位置情報提供装置を提供することである。
【0014】
第4の目的は、測位のための信号を発信する衛星の時刻との同期が不要な信号に基づいて位置情報を提供できる位置情報提供装置を提供することである。
【0015】
第5の目的は、測位のための信号を発信する衛星からの電波が受信できない場所においても、精度を低下させることなく位置情報を提供する信号を送信できる送信機を提供することである。
【0016】
第6の目的は、測位のための信号を発信する衛星の時刻との同期が不要な信号に基づいて位置情報を提供する信号を送信できる送信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従うと、位置情報を提供するための位置情報提供システムが提供される。このシステムは、送信機を備える。当該送信機は、送信機が設置される場所を特定するための位置データを格納する記憶手段と、位置データを有する第1の測位信号をスペクトラム拡散信号として生成する生成手段と、スペクトラム拡散信号を送信する送信手段とを含む。当該システムは、位置情報提供装置をさらに備える。当該位置情報提供装置は、スペクトラム拡散信号を受信する受信手段と、第1の測位信号についての符号パターンを格納する記憶手段と、記憶手段に格納されている符号パターンに基づいて、受信手段により受信されたスペクトラム拡散信号に対応する符号パターンを特定するための特定手段と、特定手段によって特定された符号パターンを用いて復調された信号に基づいて、第1の測位信号が受信されたか否かを判断する判断手段と、第1の測位信号が受信された場合に、復調された信号から位置データを取得する取得手段と、取得手段によって取得された位置データを出力する出力手段とを備える。
【0018】
好ましくは、第1の測位信号の形式は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される第2の測位信号の形式と同じである。第2の測位信号に含まれる航法メッセージの代わりに位置データを含む。位置情報提供装置は、各々の第2の測位信号についての符号パターンを記憶手段にさらに格納している。位置情報提供装置は、さらに、複数の第2の測位信号が受信された場合に各航法メッセージに基づいて位置情報提供装置の位置を算出
する算出手段を含む。
【0019】
好ましくは、符号化された測位信号の中心周波数は、1574.42MHzである。測位信号の拡散周波数は、1.023MHzである。
【0020】
この発明の他の局面に従うと、位置情報を提供するための位置情報提供装置が提供される。この装置は、スペクトラム拡散信号を受信する受信手段と、第1の測位信号についての符号パターンを格納する記憶手段とを備える。第1の測位信号は、予め特定された場所に設置された送信機から発信され、場所を特定するための位置データを含む。この装置は、記憶手段に格納されている符号パターンに基づいて、受信手段により受信されたスペクトラム拡散信号に対応する符号パターンを特定するための特定手段と、特定手段によって特定された符号パターンを用いて復調された信号に基づいて、第1の測位信号が受信されたか否かを判断する判断手段と、第1の測位信号が受信された場合に、復調された信号から位置データを取得する取得手段と、取得手段によって取得された位置データを出力する出力手段とを備える。
【0021】
好ましくは、第1の測位信号の形式は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される第2の測位信号の形式と同じである。第1の測位信号は、第2の測位信号に含まれる航法メッセージの代わりに位置データを含む。各符号パターンは、各衛星ごとに異なる。位置情報提供装置は、複数の衛星から発信される各第2の測位信号についての各々の符号パターンを記憶手段にさらに格納している。位置情報提供装置は、複数の第2の測位信号が受信された場合に、各航法メッセージに基づいて、位置情報提供装置の位置を算出する算出手段をさらに含む。
【0022】
好ましくは、受信手段は、予め特定された複数の場所の各々に設置された送信機から発信された各第1の測位信号を受信する。位置情報提供装置は、受信手段により受信された信号の強度を検出する検出手段をさらに備える。取得手段は、各第1の測位信号の中から、強度が最大である第1の測位信号を特定し、特定された第1の測位信号に含まれる位置データを取得する。
【0023】
好ましくは、位置データは、送信機が設置されている場所を表わす情報を含む。出力手段は、情報に基づいて送信機が設置されている場所を表示する表示手段を含む。
【0024】
好ましくは、位置データは、送信機を識別する識別データを含む。位置情報提供装置は、第1の測位信号が受信された場合に、外部からの要求に応じて位置情報を提供するサーバ装置に対して、識別データと、送信機の位置情報の送信要求とを通信回線を介して送信する送信手段を備える。位置情報と識別データとは関連付けられてサーバ装置に格納されている。当該装置は、通信回線を介して、送信要求に応じてサーバ装置によって送信された位置情報の入力を受け付ける入力手段をさらに備える。出力手段は、位置情報を表示する表示手段を含む。
【0025】
好ましくは、位置情報提供装置は、携帯電話、携帯情報端末、携帯型測位装置、および車両に搭載される測位システムのいずれかを含む。
【0026】
好ましくは、送信機は、時刻情報を出力する計時装置に接続されている。送信機から発信される測位信号は、計時装置の時刻に同期した時刻を表わす時刻データを含む。位置情報提供装置は、時刻を計測して時刻情報を出力する計時手段と、受信手段によって受信された測位信号に含まれる時刻データに基づいて、計時手段の時刻を較正する較正手段とをさらに備える。
【0027】
好ましくは、位置情報提供装置は、当該装置の属性を表わす属性データを格納する記憶手段と、要求に基づいて属性データに応じた情報を送信可能な情報提供装置に対して、属性データに応じた情報の配信要求を送信する要求手段と、配信要求に基づいて情報提供装置によって送信された情報の入力を受け付ける入力手段とをさらに備える。出力手段は、情報を表示する表示手段を含む。
【0028】
この発明のさらに他の局面に従う送信機は、当該送信機が設置される場所を特定するための位置データを格納する記憶手段と、位置データを有する信号をスペクトラム拡散信号として生成する生成手段と、スペクトラム拡散信号を送信する送信手段とを備える。
【0029】
好ましくは、生成手段は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される測位信号の形式と同じ形式の信号を、スペクトラム拡散信号として生成する。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る位置情報提供システムによると、衛星の時刻と同期が取れていない信号を用いて位置情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る位置情報提供システム10について説明する。図1は、位置情報提供システム10の構成を表わす図である。位置情報提供システム10は、地上の上空約2万メートルの高度を飛行し、測位のための信号(以下、「測位信号」と表わす。)を発信するGPS(Global Positioning Satellite)衛星110,111,112,113と、位置情報を提供する装置として機能する位置情報提供装置100−1〜100−4とを備える。位置情報提供装置100−1〜100−4を総称するときは、位置情報提供装置100と表わす。位置情報提供装置100は、たとえば、携帯電話、カーナビゲーションシステムその他の移動体測位装置のように、従来の測位装置を有する端末である。
【0032】
ここで、測位信号は、いわゆるスペクトラム拡散された信号であり、たとえば、いわゆるGPS信号である。しかしながら、その信号はGPS信号に限られない。なお、以下では説明を簡単にするために、測位のシステムをGPSを一例として説明するが、本発明は、他の衛星測位システム(Galileo,GLONASS等)にも適用可能である。
【0033】
測位信号の中心周波数は、たとえば、1574.42MHzである。測位信号の拡散周波数は、たとえば1.023MHzである。この場合、測位信号の周波数は、既存のGPSのL1帯におけるC/A(Coarse and Access)信号の周波数と同一となる。したがっ
て、既存の測位信号受信回路(たとえばGPS信号受信回路)が流用できるため、位置情報提供装置100は、新たな回路を追加することなく、測位信号を受信することができる。
【0034】
測位信号は、1.023MHzの矩形波によって変調されていてもよい。この場合、たとえば、L1帯において新たな送信が計画される測位信号のデータチャネルと同一であれば、利用者は、新しいGPSの信号を受信、処理可能な受信機を用いて当該測位信号を受信できる。なお、矩形波の周波数は、1.023MHzに限られない。変調のための周波数は、既存のC/A信号、および/または、他の信号との干渉を回避するためのスペクトラム分離とのトレードオフによって定められ得る。
【0035】
GPS衛星110には、測位信号を発信する送信機120が搭載されている。GPS衛星111,112,113にも、同様の送信機121,122,123がそれぞれ搭載されている。位置情報提供装置100−1と同様の機能を有する位置情報提供装置100−2,100−3,100−4は、ビル130その他の電波が届きにくい場所でも使用可能である。ビル130は、ビル130の1階の天井には、屋内送信機200−1が取り付けられている。位置情報提供装置100−4は、屋内送信機200−1から発信される測位信号を受信する。同様に、ビル130の2階および3階の各フロアの天井にも、それぞれ屋内送信機200−2,200−3が取り付けられている。ここで、各屋内送信機200−1,200−2,200−3の時刻(以下、「地上時刻」という。)と、GPS衛星110,111,112,113の時刻(「衛星時刻」という。)とは、互いに独立したものでよく、同期している必要はない。各衛星時刻は、それぞれ同期していることが好ましい。
【0036】
各送信機から測位信号として発信されるスペクトラム拡散信号は、擬似雑音符号(PRN(Pseudo Random Noise)コード)によって航法メッセージを変調することにより生成
される。航法メッセージは、時刻データ、軌道情報、アルマナック、電離層補正データ等を含む。各送信機120は、さらに、それぞれ、当該送信機120自身、あるいは送信機120が搭載されるGPS衛星を識別するためのデータ(PRN−ID(Identification))を有している。
【0037】
位置情報提供装置100は、各擬似雑音符号を発生するためのデータおよびコード発生器を有している。位置情報提供装置100は、測位信号を受信すると、各衛星ごとに割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンを用いて、後述する復調処理を実行し、受信された信号がどの衛星から発信されたものであるかを特定することができる。また、新しいGPS信号では、データの中にPRN−IDが含まれており、受信レベルが低い場合に生じやすい誤った符号パターンでの信号の捕捉・追尾を防ぐことができる。
【0038】
GPS衛星に搭載される送信機の構成の概略は、以下のとおりである。送信機120,121,122は、それぞれ、原子時計と、データを格納する記憶装置と、発振回路と、測位信号を生成するための処理回路と、処理回路によって生成された信号をスペクトラム拡散符号化するための符号化回路と、送信アンテナ等を有する。記憶装置は、エフェメリス、各衛星のアルマナック、電離層補正データ等を有する航法メッセージと、PRN−IDとを格納している。
【0039】
処理回路は、原子時計からの時刻情報と、記憶装置に格納されている各データとを用いて送信用のメッセージを生成する。
【0040】
ここで、各送信機120毎に、スペクトラム拡散符号化するための擬似雑音符号の符号パターンが予め規定されている。各符号パターンは、送信機ごと(すなわちGPS衛星ごと)に異なる。符号化回路は、そのような擬似雑音符号を用いて、上記メッセージをスペクトラム拡散する。送信機120は、符号化された信号を高周波数に変換して、送信アンテナを介して、宇宙空間に発信する。
【0041】
上述のように、送信機120は、他の送信機との間で有害な干渉を及ぼさないスペクトラム拡散信号を発信する。ここで、「有害な干渉をおこさない」ことは、干渉が生じない程度に制限された出力レベルによって担保され得る。あるいは、スペクトラムを分離する態様によっても実現できる。この信号は、たとえばL1帯と称される搬送波によって送信されている。各送信機120,121,122は、たとえば、同一の周波数を有する測位信号を拡散スペクトル通信方式にしたがって発信する。したがって、各衛星から送信され
た測位信号が位置情報提供装置100−1に受信される場合にも、各々の測位信号は、互いに混信を受けることなく受信されることになる。地上の屋内送信機からの測位信号についても、衛星から送信された信号と同様に、複数の屋内送信機からの信号は、互いに混信を受けることなく受信されることができる。
【0042】
図2を参照して、屋内送信機200−1について説明する。図2は、屋内送信機200−1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0043】
屋内送信機200−1は、デジタル処理ブロック210と、デジタル処理ブロック210に電気的に接続されているEEPROM(Electronically Erasable and Programmable
Read Only Memory)240と、デジタル処理ブロック210に電気的に接続されている
UART250と、デジタル処理ブロック210に電気的に接続されているデジタル入出力インターフェイス260と、デジタル処理ブロック210に電気的に接続されているクロック280と、デジタル処理ブロック210に電気的に接続されているアナログ処理ブロック290と、アナログ処理部ロック290に電気的に接続されているアンテナ292と、電源294とを備える。デジタル処理ブロック210は、CPU(Central Processing Unit)220と、RAM(Random Access Memory)230とを含む。
【0044】
EEPROM240は、CPU220が実行するプログラム、屋内送信機200−1が設置されている場所を表わすデータ等を格納する。当該プログラムあるいはデータは、屋内送信機200−1が起動する時に、EEPROM240から読み出され、RAM230に転送される。EEPROM240は、また屋内送信機200−1の外部から入力されたデータをさらに格納することができる。なお、プログラムあるいはデータを格納するための記憶装置は、EEPROM240に限られない。少なくとも、データを不揮発的に保存できる記憶装置であればよい。また、後述するように、外部からのデータが入力される場合には、データを書き込むことができる記憶装置であればよい。EEPROM240のデータ構造については後述する。
【0045】
デジタル処理ブロック210は、測位のための信号として屋内送信機200−1によって送信される信号の源泉となるデータを生成する。デジタル処理ブロック210は、アナログ処理ブロック290に対して、生成したデータをビットストリームとして送出する。
【0046】
クロック280は、CPU220の動作を規定するクロック信号、あるいは搬送波を生成するためのクロック信号を、デジタル処理ブロック210に供給する。
【0047】
デジタル入出力インターフェイス260は、送信機の内部状態(たとえば、「PLL Cntrl」信号)を監視することができる。あるいは、デジタル入出力インターフェイス260は、屋内送信機200−1から発信される信号を拡散変調するための擬似雑音符号の符号パターンの入力を、あるいは、送信出力を規定するデータの入力を、外部から受け付けることができる。さらに、屋内送信機200−1から発信されるべき他のデータの入力も受け付けることができる。当該他のデータは、たとえば、屋内送信機200−1が設置されている場所を表わすテキストデータである。あるいは、屋内送信機200−1がデパートその他の商業施設に設置されている場合には、宣伝広告用のデータが、当該他のデータとして屋内送信機200−1に入力可能である。
【0048】
擬似拡散符号の符号パターンは、屋内送信機200−1に入力されると、EEPROM240において予め規定された領域に書き込まれる。その後は、その書き込まれたPRN−IDが、測位のための信号に含められる。その他のデータも、EEPROM240において、そのデータの種類に応じて予め確保された領域に書き込まれる。
【0049】
UART250は、屋内送信機200−1を調整するために用いられる。外部クロック270は、UART250と同様に、屋内送信機200−1を調整するために使用される。たとえば、外部クロック270は、電力線(図示しない)から周波数の入力を受け付け、測位のための信号の送信周波数を較正するためにも使用される。
【0050】
アナログ処理ブロック290は、デジタル処理ブロック210から出力されたビットストリームを用いて、1.57542GHzの搬送波を変調して送信信号を生成し、アンテナ292に送出する。その信号は、アンテナ292より発信される。このようにして、測位のための信号と同様の構成を有する信号が、屋内送信機200−1から発信される。この場合、信号の内容は、衛星から発信された測位信号に含まれる内容とは、全く同一ではない。屋内送信機200−1から発信される信号の構成の一例は、後述する(図5)。
【0051】
電源294は、屋内送信機200−1を構成する各部に電力を供給する。なお、電源294は、図2に示されるように、屋内送信機200−1に内蔵されてもよいし、外部からの電力の供給を受け付ける態様であってもよい。
【0052】
以上の説明においては、デジタル処理ブロック210における処理を実現するための演算処理装置としてCPU220が用いられたが、その他の演算処理装置が使用されたもよい。また、屋内送信機200−1が実現する動作は複雑ではないため、デジタル処理ブロック210は、CPU220に代えて、たとえば、各処理を実現するように構成された電気回路によっても実現できる。
【0053】
また、図2においては、クロック信号(Clk)がデジタル処理ブロック210からアナログ処理ブロック290に供給されているが、クロック280からアナログ処理ブロック290に直接に供給されてもよい。
【0054】
さらに、説明を明確にするために、本実施の形態においては、デジタル処理ブロック210とアナログ処理ブロック290とが別個に示されているが、物理的には、1つのチップに混載されてもよい。
【0055】
図3を参照して、屋内送信機200−1のデータ構造について説明する。図3は、屋内送信機200−1が備えるEEPROM240におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。EEPROM240は、データを格納するための領域310〜340を含む。
【0056】
領域300には、送信機を識別するための番号として、送信機IDが格納されている。送信機IDは、たとえば当該送信機の製造時にメモリに不揮発的に書き込まれる数字および/または英文字その他の組み合わせである。当該送信機に割り当てられた擬似拡散符号のPRN-IDは、領域310に格納されている。送信機の名称は、テキストデータとし
て、領域320に格納されている。
【0057】
当該送信機に割り当てられた擬似拡散符号の符号パターンは、領域330に格納されている。擬似拡散符号の符号パターンは、本発明の実施の形態に係る位置情報提供システム用に予め割り当てられた有限個の複数の符号パターンから選択されたものであり、衛星ごとに割り当てられる擬似拡散符号の符号パターンとは異なる符号パターンである。また、前述のように、擬似拡散符号の符号パターンは、デジタル入出力インターフェイス260を介して入力される他の符号パターンに変更可能である。
【0058】
本位置情報提供システム用に割り当てられる擬似拡散符号の符号パターンは、有限個であるが、屋内送信機の数は、各送信機の設置場所の広さ、あるいは設置場所の構成(ビル
の階数等)に応じて異なり、符号パターンの数よりも多い複数の屋内送信機が使用される場合もある。したがって、同一の擬似拡散符号の符号パターンを有する複数の送信機が存在し得る。この場合は、同一の符号パターンを有する送信機の設置場所を、信号の出力を考慮して決定すればよい。そうすることにより、同一の擬似拡散符号の符号パターンを用いる複数の測位信号が同一の位置情報提供装置によって同時期に受信されることは、防止し得る。
【0059】
屋内送信機200−1が設置されている場所を特定するための位置データは、領域340に格納されている。位置データは、たとえば、緯度、経度、高度の組み合わせとして表わされる。領域320において、当該位置データに加えて、もしくはデータに代えて、住所、建物の名称などが格納されてもよい。
【0060】
図4を参照して、位置情報提供装置100−1について説明する。図4は、位置情報提供装置100−1のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0061】
位置情報提供装置100は、アンテナ402と、アンテナ402に電気的に接続されているRF(Radio Frequency)フロント回路404と、RFフロント回路404に電気的
に接続されているダウンコンバータ406と、ダウンコンバータ406に電気的に接続されているA/D(Analog to Digital)コンバータ408と、A/Dコンバータ408に
電気的に接続されているベースバンドプロセッサ410と、ベースバンドプロセッサ410に電気的に接続されているメモリ420と、ベースバンドプロセッサ410に電気的に接続されているナビゲーションプロセッサ430と、ナビゲーションプロセッサ430に電気的に接続されているディスプレイ440とを備える。
【0062】
メモリ420は、測位信号の各発信源を識別するためのデータである、擬似雑音符号の符号パターンを格納する複数の領域を含む。一例として、ある局面において、48個の符号パターンが用いられる場合には、メモリ420は、図4に示されるように、領域421−1〜421−48を含む。また、他の局面において、それ以上の符号パターンが使用される場合には、さらに多くの領域がメモリ420に確保される。逆に、メモリ420に確保された領域の数よりも少ない符号パターンが使用される場合もあり得る。
【0063】
一例として48個の符号パターンが用いられる場合において、たとえば、24個の衛星が衛星測位システムに用いられる場合、各衛星を識別する24個の識別データと、12個の予備のデータとが、領域421−1〜421−36に格納される。このとき、たとえば、領域421−1には、第1の衛星についての擬似雑音符号の符号パターンが格納されている。ここから、符号パターンを読み出して、受信信号との相互相関処理を行なうことにより、信号の追跡や、信号に含まれる航法メッセージの解読を行なうことができる。なお、ここでは、符号パターンを格納して読み出す方法を例示的に示したが、符号パターン生成器により符号パターンを生成する方法も可能である。符号パターン生成器は、たとえば、2つのフィードバックシフトレジスタを組み合わせることにより実現される。なお、符号パターン生成器の構成および動作は、当業者にとって容易に理解できるものである。したがって、ここでは、それらの詳細な説明は、繰り返さない。
【0064】
同様に、測位信号を発信する屋内送信機に割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンは、領域421−37〜421−48に格納される。たとえば、第1の屋内送信機についての割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンは、領域432−37に格納されている。この場合、本実施の形態においては、12個の符号パターン有する屋内送信機が使用可能となるが、同一の位置情報提供装置が受信可能な範囲に同一の符号パターンを使用する屋内送信機がないように、各屋内送信機をそれぞれ配置してもよい。このようにすることによって、12台以上の屋内送信機を、たとえばビル130の同一のフロアに設置するこ
とも可能になる。
【0065】
ベースバンドプロセッサ410は、A/Dコンバータ408から出力される信号の入力を受け付けるコリレータ部412と、コリレータ部412の動作を制御する制御部414と、制御部414から出力されるデータに基づいて測位信号の発信源を判断する判断部416とを含む。ナビゲーションプロセッサ430は、判断部416から出力される信号に基づいて屋外における位置情報提供装置100の位置を測定するための屋外測位部432と、判断部416から出力されるデータに基づいて屋内における位置情報提供装置100の位置を表わす情報を導出するための屋内測位部434とを含む。
【0066】
アンテナ402は、GPS衛星110,111,112からそれぞれ発信された測位信号および屋内送信機200−1から発信された測位信号をそれぞれ受信することができる。また、位置情報提供装置100が携帯電話として実現される場合には、アンテナ402は、前述の信号に加えて、無線電話のための信号あるいはデータ通信のための信号を送受信することもできる。
【0067】
RFフロント回路404は、アンテナ402によって受信された信号を受けて、ノイズの除去あるいは予め規定された帯域幅の信号のみを出力するフィルタ処理などを行なう。RFフロント回路404から出力される信号は、ダウンコンバータ406に入力される。
【0068】
ダウンコンバータ406は、RFフロント回路404から出力される信号を増幅し、中間周波数として出力する。この信号は、A/Dコンバータ408に入力される。A/Dコンバータ408は、入力された中間周波数信号をデジタル変換処理し、デジタルデータに変換する。デジタルデータは、ベースバンドプロセッサ410に入力される。
【0069】
ベースバンドプロセッサ410において、コリレータ部412は、制御部414がメモリ420から読み出した符号パターンと、受信信号との相関処理を行なう。たとえば、コリレータ部412は、制御部414が提供する符号位相が1ビット異なる2種類の符号パターンと、A/Dコンバータ408から送出されるデジタルデータとのマッチングを行なう。コリレータ部412は、各コードパターンを用いて、位置情報提供装置100が受信した測位信号を追跡し、当該測位信号のビット配列に一致する配列を有するコードパターンを特定する。これにより、擬似雑音符号の符号パターンが特定されるため、位置情報提供装置100は、受信された測位信号がどの衛星から送信されたものか、あるいは、屋内送信機から送信されたかを判別できる。また、位置情報提供装置100は、特定された符号パターンを用いて、復調とメッセージの解読とをすることができる。
【0070】
具体的には、判断部416は、上述のような判断を行ない、その判断の結果に応じたデータをナビゲーションプロセッサ430に送出する。判断部416は、受信された測位信号に含まれるPRN−IDがGPS衛星に搭載される送信機以外の送信機に割り当てられたPRN−IDであるか否かを判断する。
【0071】
ここで、一例として、24個のGPS衛星が測位システムに使用される場合について説明する。この場合、予備のコードを含めると、たとえば、36個の擬似雑音符号が使用される。この時、PRN−01〜PRN−24が、各GPS衛星を識別する番号(PRN−ID)として使用され、PRN−25〜PRN−36が、予備の衛星を識別する番号として使用される。予備の衛星とは、当初打ち上げられた衛星以外に改めて打ち上げられる衛星である。すなわち、このような衛星は、GPS衛星あるいはGPS衛星に搭載された送信機等の故障に備えて打ち上げられる。
【0072】
さらに、仮に、12個の擬似雑音符号の符号パターンがGPS衛星に搭載される送信機
以外の送信機(たとえば、屋内送信機200−1等)に割り当てられる。この時、衛星に割り当てられたPRN−IDとは異なる番号、たとえばPRN−37からPRN−48が、各送信機ごとに割り当てられる。したがって、この例では、48個のPRN−IDが存在することになる。ここで、PRN−ID〜PRN−48は、たとえば各屋内送信機の配置に応じて当該屋内送信機に割り当てられる。したがって、仮に、各屋内送信機から発信される信号が干渉しない程度の送信出力が使用される場合には、同一のPRN−IDが異なる屋内送信機に用いられてもよい。このような配置により、地上用の送信機のために割り当てられたPRN−IDの数よりも多くの数の送信機が、使用可能となる。
【0073】
そこで、判断部416は、メモリ420に格納されている擬似雑音符号の符号パターン422を参照して、受信された測位信号から取得された符号パターンが、屋内送信機に割り当てられている符号パターンに一致するか否かを判断する。これらの符号パターンが一致する場合には、判断部416は、その測位信号が屋内送信機から発信されたものであると判断する。そうでない場合には、判断部416は、その信号がGPS衛星から発信されたものと判断し、その取得された符号パターンが、どの衛星に割り当てられた符号パターンであるかを、メモリ420に格納されている符号パターンを参照して決定する。なお、判断の態様として、符号パターンが使用される例が示されているが、その他のデータの比較によって、上記の判断が行なわれてもよい。たとえば、PRN−IDを用いた比較が、その判断に使用されてもよい。
【0074】
そして、受信された信号が各GPS衛星から発信されたものである場合には、判断部416は、特定された信号から取得されるデータを屋外測位部432に送出する。信号から取得されるデータには、航法メッセージが含まれる。一方、受信された信号が屋内送信機200−1などから発信されたものである場合には、判断部416は、その信号から取得されるデータを屋内測位部434に送出する。このデータは、すなわち屋内送信機200−1の位置を特定するためのデータとして予め設定された座標値である。あるいは、別の局面において、当該送信機を識別する番号が用いられてもよい。
【0075】
ナビゲーションプロセッサ430において、屋外測位部432は、判断部416から送出されたデータに基づいて位置情報提供装置100の位置を算出するための処理を実行する。具体的には、屋外測位部432は、3つ以上のGPS衛星(好ましくは、4つ以上)から発信された信号に含まれるデータを用いて、各信号の伝播時間を計算し、その計算結果に基づいて位置情報提供装置100の位置を算出する。この処理は、公知の衛星測位の手法を用いて実行される。この処理は、当業者にとっては容易に理解できるものである。したがって、ここではその説明の詳細は繰り返さない。
【0076】
一方、ナビゲーションプロセッサ430において、屋内測位部434は、判断部416から出力されたデータに基づいて位置情報提供装置100が屋内に存在する場合における測位処理を実行する。後述するように、屋内送信機200−1は、場所を特定するためのデータ(時刻データ)が含まれる測位信号を発信する。そこで、位置情報提供装置100がそのような信号を受信した場合には、その信号に含まれるデータを取り出し、そのデータを用いて位置情報提供装置100の位置とすることができる。屋内測位部434は、この処理を行なう。屋外測位部432あるいは屋内測位部434によって算出されたデータは、ディスプレイ440における表示のために用いられる。具体的には、これらのデータは、画面を表示するためのデータに組み込まれ、計測された位置を表わす画像あるいは屋内送信機200−1が設置されている場所を表示するための画像が生成され、ディスプレイ440によって表示される。
【0077】
図5を参照して、送信機から送信される測位信号について説明する。図5は、GPS衛星に搭載される送信機によって発信される信号500の構成を表わす図である。信号50
0は、300ビットの5つのサブフレーム、すなわち、サブフレーム510〜550から構成される。サブフレーム510〜550は、当該送信機によって、繰り返し送信される。サブフレーム510〜550は、たとえば、それぞれ300ビットであり、50bps(bit per second)のビット率で送信される。したがって、この場合、各サブフレームは、6秒で送信される。
【0078】
第1番目のサブフレーム510は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド511と、30ビットの時刻情報512と、240ビットのメッセージデータ513とを含む。時刻情報512は、詳細には、サブフレーム510が生成される際に取得された時刻情報と、サブフレームIDとを含む。ここで、サブフレームIDとは、他のサブフレームから第1のサブフレーム510を区別するための識別番号である。メッセージデータ513は、GPS週番号、クロック情報、当該GPS衛星のヘルス情報、軌道精度情報等を含む。
【0079】
第2番目のサブフレーム520は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド521と、30ビットの時刻情報522と、240ビットのメッセージデータ523とを含む。時刻情報522は、第1番目のサブフレーム510における時刻情報512と同様の構成を有する。メッセージデータ523は、エフェメリスを含む。ここで、エフェメリス(ephemeris、放送暦)とは、測位信号を発信する衛星の軌道情報をいう。エフェメリスは、
当該衛星の航行を管理する管制局によって逐次更新される、高精度な情報である。
【0080】
第3番目のサブフレーム530は、第2番目のサブフレーム520と同様の構成を有する。すなわち、第3番目のサブフレーム530は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド531と、30ビットの時刻情報532と、240ビットのメッセージデータ533とを含む。時刻情報532は、第1番目のサブフレーム510における時刻情報512と同様の構成を有する。メッセージデータ533は、エフェメリスを含む。
【0081】
第4番目のサブフレーム540は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド541と、30ビットの時刻情報542と、240ビットのメッセージデータ543とを含む。メッセージデータ543は、他のメッセージデータ513,523,533と異なり、アルマナック情報、衛星ヘルス情報のサマリ、電離層遅延情報、UTC(Coordinated Universal Time )パラメータ等を含む。
【0082】
第5番目のサブフレーム550は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド551と、30ビットの時刻情報552と、240ビットのメッセージデータ553とを含む。メッセージデータ553は、アルマナック情報と、衛星ヘルス情報のサマリとを含む。メッセージデータ543,553は、各々25ページからの構成されており、ページ毎に、上記の異なる情報が定義されている。ここで、アルマナック情報とは、衛星の概略軌道を表わす情報であり、当該衛星だけでなく、全てのGPS衛星についての情報を含む。サブフレーム510〜550の送信が25回繰り返されると、1ページ目に戻って、同じ情報が発信される。
【0083】
サブフレーム510〜550は、送信機120,121,122からそれぞれ送信される。サブフレーム510〜550が位置情報提供装置100によって受信されると、位置情報提供装置100の位置は、トランスポートオーバーヘッド511〜551に含まれる各保守・管理情報と、時刻情報512〜552と、メッセージデータ513〜553とに基づいて、計算される。
【0084】
信号560は、サブフレーム510〜550に含まれる各メッセージデータ513〜553と同じデータ長を有する。信号560は、エフェメリス(メッセージデータ523,533)として表わされる軌道情報に代えて、信号560の発信源の位置を表わすデータ
を有する点で、サブフレーム510〜550と異なる。
【0085】
すなわち、信号560は、6ビットのPRN−ID561と、15ビットの送信機ID562と、X座標値563と、Y座標値564と、Z座標値565と、高度補正係数(Zhf)566と、アドレス567と、リザーブ568とを含む。信号560は、サブフレーム510〜550に含まれるメッセージデータ513〜553に代わって、屋内送信機200−1,200−2,200−3から送信される。
【0086】
PRN−ID561は、信号560の発信源である送信機(たとえば、屋内送信機200−1,200−2,200−3)に対して予め割り当てられた一群の擬似雑音符号の符号パターンの識別番号である。PRN−ID561は、各GPS衛星に搭載されるそれぞれの送信機に対して割り当てられた一群の擬似雑音符号の符号パターンの識別番号とは異なるが、同じ系列の符号列から生成される符号パターンに対して割り当てられた番号である。位置情報提供装置が、受信した信号560から、屋内送信機用に割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンのいずれかを取得することで、その信号が、衛星から送信されたサブフレーム510〜550であるのか、あるいは、屋内送信機から送信された信号560であるのかが特定される。
【0087】
X座標値563、Y座標値564およびZ座標値565は、屋内送信機200−1が取り付けられている位置を表わすデータである。X座標値563、Y座標値564、Z座標値565は、たとえば緯度、経度、高度として表わされる。高度補正係数566は、Z座標値565によって特定される高度を補正するために用いられる。なお、高度補正係数566は、必須のデータ項目ではない。したがって、Z座標値565によって特定される高度以上の精度が要求されない場合には、その係数は用いられなくてもよい。この場合、高度補正係数566のために割り当てられる領域には、たとえば「NULL」を表わすデータが格納される。
【0088】
図6を参照して、位置情報提供装置100の制御構造について説明する。図6は、位置情報提供装置100のベースバンドプロセッサ410およびナビゲーションプロセッサ430が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0089】
ステップS610にて、位置情報提供装置100は、測位信号を取得(追尾、捕捉)する。具体的には、ベースバンドプロセッサ410は、A/Dコンバータ408から、受信された測位信号(デジタル変換処理後のデータ)の入力を受け付ける。ベースバンドプロセッサ410は、擬似雑音符号のレプリカとして、可能な遅延が反映された符号位相が異なる符号パターンを生成し、その符号パターンと受信された測位信号との相関の有無をそれぞれ検出する。生成される符号パターンの数は、たとえば、符号パターンのビット数の2倍である。一例として、たとえば、チップレートが1023ビットである場合、2分の1ビットずつの遅延、すなわち符号位相差を有する2046個の符号パターンが生成され得る。そして、各符号パターンを用いて、受信された信号との相関を取る処理が、実行される。ベースバンドプロセッサ410は、当該相関処理において、予め規定された強度以上の出力が検出された場合に、その符号パターンをロックし、当該符号パターンによって、その測位信号を発信した衛星を特定することができる。当該符号パターンのビット配列を有する擬似雑音符号は、1つしか存在しない。これにより、受信された測位信号をスペクトラム拡散符号化するために使用された擬似雑音符号が特定される。
【0090】
なお、後述するように、受信によって取得された信号と、局所的に発生されたレプリカの符号パターンとの相関を取るための処理は、並列処理としても実現可能である。
【0091】
ステップS612にて、ベースバンドプロセッサ410は、その測位信号の発信源を特
定する。具体的には、判断部416が、その信号を生成するために変調時に使用された擬似雑音符号の符号パターンを使用する送信機に対応付けられるPRN−IDに基づいて(たとえば、図4におけるメモリ420)、その信号の発信源を特定する。その測位信号が屋外から発信されたものである場合には、制御はステップS620に移される。その測位信号が屋内において発信されたものである場合には、制御はステップS630に移される。受信した複数の信号が屋外および屋内のそれぞれから発信されたものを含む場合には、制御はステップS640に移される。
【0092】
ステップS620にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、ナビゲーションプロセッサ430の屋外測位部432は、その測位信号に対して、メモリ420に一時的に保存されていた符号パターン(前述の「ロック」が行なわれた符号パターン、以下「ロックした符号パターン」)を用いて重畳することにより、その信号を構成するサブフレームから、航法メッセージを取得する。ステップS622にて、屋外測位部432は、取得した4つ以上の航法メッセージを用いて位置を算出するための通常の航法メッセージ処理を実行する。
【0093】
ステップS624にて、屋外測位部432は、その処理の結果に基づいて位置情報提供装置100の位置を計算するための処理を実行する。たとえば、位置情報提供装置100が、4つ以上の衛星から発信された各測位信号を受信している場合には、距離の算出は、各信号から復調された航法メッセージに含まれる各衛星の軌道情報、時刻情報等を用いて行なわれる。
【0094】
また、他の局面において、位置情報提供装置100が、衛星によって発信された測位信号(屋外信号)と屋内発信機からの信号(屋内信号)とを受信している場合には(すなわち、ステップS642の後にステップS624が実行される場合)、位置の算出に用いる信号を決定するための振り分けが、たとえば、屋内信号および屋外信号の強度に基づいて行なわれる。一例として、屋内信号の強度が屋外信号の強度よりも大きい場合には、屋内信号が選択され、当該屋内信号に含まれる座標値が、位置情報提供装置100の位置とされる。
【0095】
ステップS630にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、屋内測位部434は、ベースバンドプロセッサ410から送出された測位信号に対して、当該ロックした符号パターンを重畳することにより、測位信号を構成するサブフレームから、メッセージデータを取得する。このメッセージデータは、衛星から送信される測位信号に含まれる航法メッセージに代えて、屋内送信機によって発信される測位信号に含まれるものである。メッセージデータのデータ長は、したがって、航法メッセージのデータ長と同じデータ長であることが好ましい。
【0096】
ステップS632にて、屋内測位部434は、そのデータから座標値(すなわち、屋内送信機の設置場所を特定するためのデータ(たとえば、図5の信号560におけるX座標値563、Y座標値564、Z座標値565))を取得する。なお、このような座標値に代えて、設置場所あるいは設置場所の住所を表わすテキスト情報がフレームに含まれている場合には、当該テキスト情報が取得される。
【0097】
ステップS640にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、屋外測位部432は、ベースバンドプロセッサ410によって送出された測位信号に対して、当該ロックした符号パターンを重畳することにより、測位信号を構成するサブフレーム中のデータを取得する。この場合、位置情報提供装置100は、衛星からの信号および屋内送信機からの信号を受信し
ていることになるため、いわば「ハイブリッド」モードとして作動していることになる。したがって、各衛星からの信号については、同期の取れた時刻データを有する航法メッセージが取得され、屋内送信機からの信号については、上記座標値その他の位置情報を有するデータが取得される。
【0098】
ステップS642にて、屋内測位部434は、屋内送信機200−1によって発信された測位信号から、X座標値563、Y座標値564、Z座標値565を取得する処理を行ない、また、GPS衛星によって発信された測位信号から航法メッセージを取得し、処理を行なう。その後、制御は、ステップS624に移される。
【0099】
ステップS650にて、ナビゲーションプロセッサ430は、位置の算出結果に基づいてディスプレイ440に位置情報を表示させるための処理を実行する。具体的には、取得された座標を表示するための画像データあるいは屋内送信機200−1の設置場所を表示するためのデータを生成し、ディスプレイ440に送出する。ディスプレイ440は、そのようなデータに基づいて表示領域に位置情報提供装置100の位置情報を表示する。
【0100】
図7を参照して、位置情報提供装置100の位置情報の表示態様について説明する。図7は、位置情報提供装置100のディスプレイ440における画面の表示を表わす図である。位置情報提供装置100が、屋外において、各GPS衛星から発信された測位信号を受信すると、ディスプレイ440は、位置情報が当該測位信号に基づいて取得されていることを表わすアイコン710を表示する。その後、位置情報提供装置100の使用者が屋内に移動した場合、位置情報提供装置100は、各GPS衛星から発信された測位信号を受信できなくなる。代わりに位置情報提供装置100は、たとえば屋内送信機200−1によって発信された信号を受信する。この信号は、上述のように、GPS衛星から発信される測位信号と同じ方式によって送信されている。したがって、位置情報提供装置100は、衛星から測位信号を受信した場合に実行する処理と同様の処理を当該信号に対して行なう。位置情報提供装置100が、当該信号から位置情報を取得すると、当該位置情報は屋内に設置された送信機から発信された信号に基づいて取得されたことを表わすアイコン720をディスプレイ440に表示する。
【0101】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る位置情報提供装置100は、屋内あるいは地下街のように、GPS衛星からの電波を受信できない場所においては、その場所に設置された送信機(たとえば、屋内送信機200−1,200−2,200−3)から発信された電波を受信する。位置情報提供装置100は、その電波から、当該送信機の位置を特定する情報(たとえば、座標値、住所)を取得し、ディスプレイ440に表示する。これにより、位置情報提供装置100の使用者は、現在の位置を知ることができる。このようにすると、測位信号を直接受信できないような場所においても、位置情報が提供されることになる。
【0102】
これにより、屋内における信号の安定な受信が確保される。また、屋内においても、数m程度の安定した精度によって位置情報の提供が可能になる。
【0103】
また、地上時刻(屋内送信機200−1等の送信機の時刻)と衛星時刻とは、互いに独立でよく、同期している必要はない。したがって、屋内送信機を製造するためのコストの増加を抑制することができる。また、位置情報提供システムが運用された後も、屋内送信機の時刻を同期させる必要がないため運用も容易になる。
【0104】
各屋内送信機から発信される各々の信号には、当該送信機が設置されている場所を特定するための情報そのものが含まれているため、複数の衛星から発信された各信号に基づいて位置情報を算出する必要がなく、したがって、単一の送信機から発信された信号に基づ
いて位置情報を導出することができる。
【0105】
また、単一の屋内送信機から発信された信号を受信することにより、その信号の受信場所の位置が特定できるため、GPSその他の従来の測位システムよりも、位置を提供するためのシステムを容易に実現することができる。
【0106】
この場合、位置情報提供装置100は、屋内送信機200−1によって発信される信号を受信するための専用のハードウェアを必要とせず、従来の測位システムを実現するハードウェアを用いて実現可能である。したがって、本実施の形態に係る技術を適用するためのハードウェアをゼロから設計する必要がないため、位置情報提供装置100のコストの増加が抑制され、普及し易くなる。また、たとえば回路規模の増大化あるいは複雑化が防止される位置情報提供装置が提供される。
【0107】
具体的には、位置情報提供装置100のメモリ420は、屋内送信機および/または衛星について予め規定されたPRN−IDを保持している。位置情報提供装置100は、受信した電波が衛星から発信されたものであるか、屋内送信機から発信されたものであるかをそのPRN−IDに基づいて判断するための処理をプログラムを有する。このプログラムは、ベースバンドプロセッサのような演算処理装置によって実現される。あるいは、判断のための回路素子を、当該プログラムによって実現される機能を含む回路素子に変更することにより、位置情報提供装置100が構成され得る。
【0108】
さらに、位置情報提供装置100が携帯電話として実現される場合には、その取得した情報をフラッシュメモリのような不揮発性のメモリ420に保持しておいてもよい。そして、携帯電話の発信が行なわれた際に、メモリ420に保持されたデータを発信先に送信するようにしてもよい。このようにすると、発信元の位置情報、すなわち携帯電話としての位置情報提供装置100が屋内送信機から取得した位置情報が、通話を中継する基地局に送信される。基地局は、その位置情報を受信日時とともに通話記録として保存する。また、発信先が緊急連絡先(たとえば、日本における110番)である場合には、発信元の位置情報がそのまま通知されてもよい。これにより、従来の固定電話からの緊急連絡時における発信元の通知と同様に、移動体からの発信元の通知が実現される。
【0109】
また、特定の場所に設置される送信機に関し、測位衛星に搭載される送信機が発信する信号と同様の信号を発信できる送信機によって、位置情報提供システムが実現される。したがって、送信機をゼロから新たに再設計する必要がなくなる。
【0110】
本実施の形態に係る位置情報提供システムは、測位のための信号としてスペクトラム拡散信号を用いる。この信号の送信によれば、周波数あたりの電力を下げることができるため、たとえば、従来のRFタグに比べて、電波の管理が容易になると考えられる。その結果、位置情報提供システムの構築が容易になる。
【0111】
<第1の変形例>
以下、図8を参照して、本実施の形態の第1の変形例について説明する。各送信機から送信される信号の構成は、図5に示されるものに限られない。図8は、本変形例に係る信号の構成を表わす図である。本変形例においては、6つのサブフレームが送信される。第1番目のサブフレームとして、信号810が送信機によって送信される。信号810は、30ビットのトランスポートオーバヘッド811と、30ビットの時刻情報812と、6ビットのPRN−ID813と、15ビットの送信機ID814と、X座標値815と、Y座標値816と、Z座標値817とを含む。信号810の最初の60ビットは、GPS衛星が発信するサブフレーム510〜550の各々の最初の60ビットと同一である。
【0112】
第2番目のサブフレームとして、信号820が送信機によって送信される。信号820は、6ビットのサブフレームID821と、高度補正係数822と、送信機位置アドレス823とを含む。信号820のサブフレームIDから後方の144ビット(信号820では、高度補正係数822と、位置情報アドレス823)に、別情報を予め定義することにより、第3番目〜第6番目のサブフレームも同様に送信される。各サブフレームに含まれる情報は、上記のものに限られない。例えば,位置情報に関する広告、インターネットサイトのURL(Uniform Resource Locators)等が、各サブフレームにおいて予め定義さ
れた領域に格納されてもよい。
【0113】
信号830は、上記の信号810,820および信号820と同じ構造を有する第3〜第6番目のサブフレームの送信例を示す。すなわち、信号830は、第1のサブフレーム831と、第2のサブフレーム832とを含む。第1のサブフレーム831は、GPS衛星から送信されるサブフレーム510〜550と同じヘッダを持つ。第2のサブフレーム832は、信号820に対応するフレームである。
【0114】
信号840は、第1のサブフレーム831と、第3のサブフレーム842とを含む。第1のサブフレーム831は、第1のサブフレーム831と同一である。第3のサブフレームは、信号820と同じ構造を有する。
【0115】
このような構成は、第6番目のサブフレーム872を送信するための信号870まで繰り返される。信号870は、第1のサブフレーム831と、第6のサブフレーム872とを含む。
【0116】
送信機が、信号830から信号870を繰り返し送信すると、第1のサブフレーム831は、各信号の送信毎に送信される。第1のサブフレーム831が送信された後に、他のいずれかのサブフレームが内挿される。すなわち、各サブフレームの送信の順序は、第1のサブフレーム831→第2のサブフレーム832→第1のサブフレーム831→第3のサブフレーム842→第1のサブフレーム→・・・→第6のサブフレーム872→第1のサブフレーム831→第2のサブフレーム832・・・となる。
【0117】
<第2の変形例>
以下、第2の変形例について説明する。メッセージデータの構造は、サブフレーム510〜550とは独立に定義されてもよい。図9は、本変形例に係る信号910の構成を概念的に表わす図である。図9を参照して、信号910は、トランスポートオーバヘッド911と、プリアンブル912と、PRN−ID913と、送信機ID914と、第1の変数915と、X座標値916と、Y座標値917と、Z座標値918と、パリティ/CRC919とを含む。信号920は、信号910と同様の構成を有する。ここで、信号910における第1の変数915に代えて、第2の変数925を含む。
【0118】
各信号は、150ビット長を有する。同じ構造を有する信号が6つ発信される。このような構成を有する信号を、屋内送信機から発信される信号として構成してもよい。
【0119】
図9に示される各信号も、PRN−IDをそれぞれ有するため、位置情報提供装置100は、そのPRN−IDに基づいて、受信した信号の送信源を特定することができる。送信源が屋内送信機であれば、その信号には、X座標値とY座標値とZ座標値とが含まれる。したがって、位置情報提供装置100は、屋内の位置を表示することができる。
【0120】
<第3の変形例>
位置情報提供装置100が備えるコリレータ部412の構成に代えて、複数のコリレータが用いられてもよい。この場合、測位信号をレプリカにマッチングさせるための処理が
同時並行して実行されるため、位置情報の算出時間が短くなる。
【0121】
本変形例に係る位置情報提供装置1000は、アンテナ1010と、アンテナ1010に電気的に接続されるバンドパスフィルタ1020と、バンドパスフィルタ1020に電気的に接続されるローノイズアンプ1030と、ローノイズアンプ1030に電気的に接続されるダウンコンバータ1040と、ダウンコンバータ1040に電気的に接続されるバンドパスフィルタ1050と、バンドパスフィルタ1050に電気的に接続されるA/Dコンバータ1060と、A/Dコンバータ1060に電気的に接続される複数のコリレータからなる並列コリレータ1070と、並列コリレータ1070に電気的に接続されるプロセッサ1080と、プロセッサ1080に電気的に接続されるメモリ1090とを含む。
【0122】
並列コリレータ1070は、n個のコリレータ1070−1〜1070−nを含む。各コリレータは、プロセッサ1080から出力される制御信号に基づいて、受信された測位信号と測位信号を復調するために生成されたコードパターンとのマッチングを同時に実行する。
【0123】
具体的には、プロセッサ1080は、各並列コリレータ1070の各々に対して、擬似雑音符号において生じ得る遅延を反映させた(符号位相をずらした)符号パターンを生成する指令を与える。この指令は、たとえば、衛星の数×2×1023(用いられる擬似雑音符号の符号パターンの長さ)となる。各並列コリレータ1070は、各々に与えられた指令に基づいて、各衛星について規定された擬似雑音符号の符号パターンを用いて符号位相の異なる符号パターンを生成する。そうすると、生成された全ての符号パターンの中には、受信された測位信号の変調に使用された擬似雑音符号の符号パターンに一致するものが1つ存在する。そこで、各符号パターンを用いたマッチング処理を行なうために必要な数のコリレータを並列コリレータ1070として予め構成することにより、瞬時に、擬似雑音符号の符号パターンを特定することができる。この処理は、位置情報提供装置100が屋内送信機からの信号を受信する場合にも同様に適用できる。したがって、位置情報提供装置100の使用者が屋内にいる場合でも、その位置情報を瞬時に取得することができる。
【0124】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る位置情報提供システムは、複数の送信機が取り付けられている点で、第1の実施の形態と異なる。
【0125】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る位置情報提供装置の使用態様を表わす図である。図11を参照して、屋内送信機1110,1120,1130がそれぞれ同一フロアの天井に取り付けられている。各屋内送信機は、前述の屋内送信機200−1と同様の処理を実行する。すなわち、各屋内送信機は、各々が取り付けられている場所を表わすデータが含まれる測位信号を発信する。
【0126】
この場合、屋内送信機の取り付け位置によっては隣接する各送信機からそれぞれ発信された信号をいずれも受信できる領域(すなわち空間)が存在する。たとえば、領域1140は、屋内送信機1110および1120の各々から発信された信号を受信できる領域である。同様に、領域1150は、屋内送信機1120および1130によってそれぞれ発信された測位信号を受信可能な領域である。
【0127】
そこで、たとえば、本発明に係る位置情報提供装置1160が、図11に示される位置に存在する場合、位置情報提供装置1160は、屋内送信機1110から発信された信号に含まれる、屋内送信機1110の取り付け位置を表わすためのデータを、位置情報提供
装置1160の位置として取得できる。その後、位置情報提供装置1160の使用者が、たとえば領域1160に該当する位置に移動すると、位置情報提供装置1160は、屋内送信機1110に加えて屋内送信機1120によって発信された信号も受信できる。この場合、いずれの信号に含まれる位置データを位置情報提供装置1160の位置として決定するかは、たとえば受信された信号の強度に基づいて決定できる。すなわち、複数の屋内送信機から発信された信号が受信された場合には、その中で最も受信強度が大きな値を有するデータを、その位置情報の表示のために用いればよい。仮に、各信号の強度が同一である場合には、それらの信号に含まれるデータの算術和を導くことにより、位置情報提供装置1160の位置としてもよい。
【0128】
以上のようにして、本実施の形態に係る位置情報提供装置1160によれば、測位のための複数の信号を屋内で受信した場合であっても、いずれかの信号の発信源を特定できるため、その発信源、すなわち屋内に設置された送信機の取り付け位置も特定できる。
【0129】
なお、ここで「屋内」とは、ビルその他の建築物の内部に限られず、GPS衛星から発信された電波が受信できない場所であればよい。そのような場所は、たとえば、地下街、鉄道の車両等も含む。
【0130】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る位置情報提供装置は、屋内送信機に含まれるデータに基づいて位置を特定する代わりに、その送信機を識別するためのデータを、その送信機に関する情報を提供する装置に送信することにより、位置情報を取得できる点で、前述の各実施の形態と異なる。
【0131】
図12は、本実施の形態に係る位置情報提供装置の使用態様を表わす図である。当該位置情報提供装置は、たとえば携帯電話1200として実現される。携帯電話1200は、屋内送信機1210によって発信された測位信号を受信できる。屋内送信機1210は、インターネット1220に接続されている。インターネット1220には、屋内送信機1210の情報を提供可能な情報提供サーバ1230が接続されている。インターネット1220には、携帯電話1200との通信を行なう基地局1240も接続されている。
【0132】
携帯電話1200が、屋内送信機1210によって発信された信号を受信すると、その信号の中から、屋内送信機1210を識別するための送信機IDを取得する。送信機IDは、たとえば、前述のPRN−IDに対応付けられている。携帯電話1200は、その送信機IDを(あるいはPRN−IDとともに)情報提供サーバ1230に対して送信する。具体的には、携帯電話1200は基地局1240との間で通信を開始し、取得した送信機IDが含まれるパケットデータを、情報提供サーバ1230に送出する。
【0133】
情報提供サーバ1230は、その送信機IDを認識すると、送信機IDに関連付けられているデータベースを参照して、そのIDに関連する位置データを読み出す。情報提供サーバ1230が、そのデータを基地局1240に対して送信すると、基地局1240は、そのデータを発信する。携帯電話1200は、そのデータの着信を検知すると、携帯電話1200の使用者による閲覧操作に従って、そのデータから、送信機1250の位置を取得することができる。
【0134】
ここで、図13を参照して、携帯電話1200の構成について説明する。図13は、携帯電話1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話1200は、各々が電気的に接続された、アンテナ1308と、通信装置1302と、CPU1310と、操作ボタン1320と、カメラ1340と、フラッシュメモリ1344と、RAM1346と、データ用ROM1348と、メモリカード駆動装置1380と、音声信号処理回
路1370と、マイク1372と、スピーカ1374と、ディスプレイ1350と、LED(Light Emitting Diode)1376と、データ通信IF1378と、バイブレータ1384とを含む。
【0135】
アンテナ1308によって受信された信号は、通信装置1302によってCPU1310に転送される。CPU1310は、その信号を音声信号処理回路1370に転送する。音声信号処理回路1370は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、スピーカ1374に処理後の信号を送出する。スピーカ1374は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0136】
マイク1372は、携帯電話1200に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路1370に対して出力する。音声信号処理回路1370は、その信号に基づいて通話のために予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をCPU1310に対して送出する。CPU1310は、その信号を送信用のデータに変換し、通信装置1302に対して送出する。通信装置1302がアンテナ1308を介してその信号を発信すると、基地局1240は、その信号を受信する。
【0137】
フラッシュメモリ1344は、CPU1310から送られるデータを格納する。逆に、CPU1310は、フラッシュメモリ1344に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0138】
RAM1346は、操作ボタン1320に対して行なわれた操作に基づいてCPU1310によって生成されるデータを一時的に保持する。データ用ROM1348は、携帯電話1200に予め定められた動作を実行させるためのデータあるいはプログラムを格納している。CPU1310は、データ用ROM1348から当該データあるいはプログラムを読み出し、携帯電話1200に予め定められた処理を実行させる。
【0139】
メモリカード駆動装置1380は、メモリカード1382の装着を受け付ける。メモリカード駆動装置1380は、メモリカード1382に格納されているデータを読み出し、CPU710に送出する。逆に、メモリカード駆動装置1380は、CPU1310によって出力されるデータを、メモリカード1382において確保されたデータ格納領域にデータを書き込む。
【0140】
音声信号処理回路1370は、前述のような通話に用いられる信号に対する処理を実行する。なお、CPU1310と音声信号処理回路1370とが一体として構成されていてもよい。
【0141】
ディスプレイ1350は、CPU1310から出力されるデータに基づいてそのデータによって規定される画像を表示する。たとえば、フラッシュメモリ1344が情報提供サーバ1230にアクセスするためのデータ(たとえばURL)を格納している場合、ディスプレイ1350は、そのURLを表示する。
【0142】
LED1376は、CPU1310からの信号に基づいて予め定められた発光動作を実現する。たとえば、LED1376が複数の色を表示可能な場合には、LED1376は、CPU1310から出力される信号に含まれるデータに基づいて、そのデータに関連付けられている色で発光する。
【0143】
データ通信IF1378は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信IF1378は、CPU1310から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信IF1378は、当該ケーブルを介して受信されるデータをCPU
1310に対して送出する。
【0144】
バイブレータ1384は、CPU1310から出力される信号に基づいて予め定められた周波数で発信動作を実行する。携帯電話1200の基本的な動作は、当業者にとって容易に理解できるものである。したがって、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0145】
図14を参照して、情報提供サーバ1230の具体的な構成について説明する。図14は、情報提供サーバ1230のハードウェア構成を表わすブロック図である。情報提供サーバ1230は、たとえば、周知のコンピュータシステムによって実現される。
【0146】
情報提供サーバ1230は、主たるハードウェアとして、CPU1410と、情報提供サーバ1230の使用者による指示の入力を受け付けるマウス1420,キーボード1430と、CPU1410によるプログラムの実行により生成されたデータ、あるいはマウス1420もしくはキーボード1430を介して入力されたデータを一時的に格納するRAM1440と,大容量のデータを不揮発的に格納するハードディスク1450と,CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置1460と、モニタ1480と、
通信IF1470とを含む。当該ハードウェアは、相互にデータバスによって接続されている。CD−ROM駆動装置1460には、CD−ROM1462が装着される。
【0147】
情報提供サーバ1230を実現するコンピュータシステムにおける処理は、当該ハードウェアおよびCPU1410によって実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク1450に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM1460にその他のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている他の情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、CD−ROM駆動装置1460その他のデータ読取装置によってそのデータ記録媒体から読み取られて、あるいは通信IF1470を介してダウンロードされた後、ハードディスク1450に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1410によってハードディスク1450から読み出され、RAM1440に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1410は、そのプログラムを実行する。
【0148】
図14に示される情報提供サーバ1230を実現するコンピュータシステムのハードウェアは、一般的なものである。したがって、本発明に係る情報提供サーバ1230の本質的な部分は、RAM1440、ハードディスク1450、CD−ROM1462その他のデータ記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるとも言える。なお、上記コンピュータシステムのハードウェアの動作は周知である。したがって、詳細な説明は繰り返さない。
【0149】
なお、記録媒体としては、前述のCD−ROM1462、ハードディスク1450などに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc
)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPR
OM、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持可能な媒体でもよい。
【0150】
また、ここでいうプログラムとは、CPU1410によって直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラムなどを含む。
【0151】
図15を参照して、情報提供サーバ1230のデータ構造について説明する。図15は、ハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。ハードディスク1450は、データを格納するための領域1510〜1550を含む。
【0152】
ハードディスク1450に格納されているデータレコードを識別するためのレコードNo.は、領域1510に格納されている。測位信号を発信する送信機を識別するための送信機IDは、領域1520に格納されている。その送信機が設置されている場所を表わすためのデータ(座標値)は、領域1530に格納されている。このデータは、たとえば各送信機が設置されるごとにハードディスク1450に格納されている。当該送信機が設置されている場所の具体的な名称は、領域1540に格納されている。このデータは、たとえばハードディスク1450に格納されているデータを管理する管理者(あるいは情報提供サーバ1230を用いて位置情報を提供するサービスの提供者)が認識できるように用いられる。当該送信機が格納されている住所を表わすデータは、領域1550に格納されている。このデータも、領域1540に格納されているデータと同様に、管理者によって使用される。
【0153】
情報提供サーバ1230による送信機の位置情報の提供は、以下のとおりである。携帯電話1200は、PRN−IDの判断の結果に基づいて取得した送信機IDと情報提供サーバ1230にアクセスするためのデータ(URL等)を用いて、位置情報を要求するパケットデータ(以下、「リクエスト」という。)を生成する。携帯電話1200は、そのリクエストを基地局1240に対して送信する。この送信は、公知の通信処理によって実現される。基地局1240は、そのリクエストを受信すると、情報提供サーバ1240に転送する。
【0154】
情報提供サーバ1230は、そのリクエストの受信を検知する。CPU1410は、そのリクエストの中から送信機IDを取得し、ハードディスク1450を検索する。具体的には、CPU1410は、取得した送信機IDと、領域1520に格納されている送信機IDとが一致するか否かのマッチング処理を行なう。マッチング処理の結果、携帯電話1200から送信されたデータに含まれる送信機IDに一致する送信機IDが存在する場合には、CPU1410は、その送信機IDに関連付けられている座標値(領域1530)を読み出し、位置情報を携帯電話1200に返信するためのパケットデータを生成する。具体的には、CPU1410は、座標値を有するデータに加えて携帯電話1200のアドレスをヘッダに付加してパケットデータを生成する。CPU1410は、通信IF1470を介して、基地局1240に対してそのパケットデータを送信する。
【0155】
基地局1240は、情報提供サーバ1230によって送信されたパケットデータを受信すると、そのデータに含まれるアドレスに基づいてパケットデータを発信する。なお、基地局1240は、受信したパケットデータと受信時刻とを不揮発性の記憶装置(たとえば、ハードディスク装置)に格納してもよい。これにより、携帯電話1200の使用者による位置情報の取得の履歴が残されるため、使用者が移動した経路も把握可能になる。
【0156】
携帯電話1200が、基地局1240からの電波が届く範囲に存在する場合、基地局1240によって発信されたパケットデータを受信する。携帯電話1200の使用者が受信したデータを閲覧するために予め規定された操作(たとえば、電子メールを閲覧するための操作)を実行すると、ディスプレイ1350は、当該送信機の座標値を表示する。これにより、当該使用者は、大体の位置を知ることができる。このようにすると、屋内に設置される送信機の各々に対して座標値を予め登録する必要がないため、送信機の設置場所の変更をより柔軟に行なうことができる。
【0157】
以上のようにして、本実施の形態に係る位置情報提供システムによれば、地上に設置さ
れた送信機から発信される信号は、当該送信機を識別するためのデータ(送信機ID)を含んでいればよい。このデータは、当該送信機の位置情報を提供するサーバ装置において、当該位置情報に関連付けられて格納されている。位置情報提供装置として機能する携帯電話1200は、送信機IDを当該サーバ装置に送信することにより、上記位置情報を取得する。このような情報の提供方法によれば、送信機の位置情報を当該送信機自身に保持させる必要がないため、送信機の設置場所を容易に変更することができる。
【0158】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る位置情報提供装置は、たとえば、測位機能を有する携帯電話、携帯型測位端末、携帯型監視端末その他の測位のための信号を受信できる端末に適用可能である。また、本発明に係る送信機は、たとえば、屋内に設置される送信機その他の送信装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る位置情報提供システム10の構成を表わす図である。
【図2】屋内送信機200−1のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】屋内送信機200−1が備えるEEPROM240におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図4】位置情報提供装置100−1のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図5】送信機から送信される測位信号を表わす図である。
【図6】位置情報提供装置100が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図7】位置情報提供装置100のディスプレイ440における画面の表示を表わす図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の他の局面における信号の構成を表わす図(その1)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の他の局面における信号の構成を表わす図(その2)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る位置情報提供装置1000の構成を表わすブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る位置情報提供装置が使用される場面を表わす図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る位置情報提供装置の使用態様を表わす図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る携帯電話1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る情報提供サーバ1230のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図15】情報提供サーバ1230が備えるハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【符号の説明】
【0161】
10 位置情報提供システム、110,111,112 GPS衛星、120,121
,122 送信機、100−1,100−2,100−3,100−4,1000,1160,1170 位置情報提供装置、130 ビル、200−1,200−2,200−3,1110,1120,1130,1210 屋内送信機、1010,1308 アンテナ、1140,1150 領域、1220 インターネット、1382 メモリカード、1462 CD−ROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を提供するための位置情報提供システムであって、送信機を備え、
前記送信機は、
前記送信機が設置される場所を特定するための位置データを格納する記憶手段と、
前記位置データを有する第1の測位信号をスペクトラム拡散信号として生成する生成手段と、
前記スペクトラム拡散信号を送信する送信手段とを含み、
前記位置情報提供システムは、位置情報提供装置をさらに備え、
前記位置情報提供装置は、
スペクトラム拡散信号を受信する受信手段と、
前記第1の測位信号についての符号パターンを格納する記憶手段と、
前記記憶手段に格納されている符号パターンに基づいて、前記受信手段により受信されたスペクトラム拡散信号に対応する符号パターンを特定するための特定手段と、
前記特定手段によって特定された符号パターンを用いて復調された信号に基づいて、前記第1の測位信号が受信されたか否かを判断する判断手段と、
前記第1の測位信号が受信された場合に、復調された前記信号から前記位置データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された位置データを出力する出力手段とを備える、位置情報提供システム。
【請求項2】
前記第1の測位信号の形式は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される第2の測位信号の形式と同じであり、前記第2の測位信号に含まれる航法メッセージの代わりに前記位置データを含み、
前記位置情報提供装置は、各々の前記第2の測位信号についての符号パターンを前記記憶手段にさらに格納しており、さらに、複数の前記第2の測位信号が受信された場合に各前記航法メッセージに基づいて前記位置情報提供装置の位置を算出する算出手段を含む、請求項1に記載の位置情報提供システム。
【請求項3】
前記符号化された測位信号の中心周波数は、1574.42MHzであり、
前記測位信号の拡散周波数は、1.023MHzである、請求項1または2に記載の位置情報提供システム。
【請求項4】
位置情報を提供するための位置情報提供装置であって、
スペクトラム拡散信号を受信する受信手段と、
第1の測位信号についての符号パターンを格納する記憶手段とを備え、前記第1の測位信号は、予め特定された場所に設置された送信機から発信され、前記場所を特定するための位置データを含み、
前記記憶手段に格納されている符号パターンに基づいて、前記受信手段により受信されたスペクトラム拡散信号に対応する符号パターンを特定するための特定手段と、
前記特定手段によって特定された符号パターンを用いて復調された信号に基づいて、前記第1の測位信号が受信されたか否かを判断する判断手段と、
前記第1の測位信号が受信された場合に、復調された前記信号から前記位置データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された位置データを出力する出力手段とを備える、位置情報提供装置。
【請求項5】
前記第1の測位信号の形式は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される第2の測位信号の形式と同じであり、前記第2の測位信号に含まれる航法メッセージの代わりに前記位置データを含み、
前記位置情報提供装置は、複数の衛星から発信される各前記第2の測位信号についての各々の符号パターンを前記記憶手段にさらに格納しており、各符号パターンは、各前記衛星ごとに異なり、
前記位置情報提供装置は、複数の前記第2の測位信号が受信された場合に、各前記航法メッセージに基づいて、前記位置情報提供装置の位置を算出する算出手段をさらに含む、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項6】
前記受信手段は、予め特定された複数の場所の各々に設置された送信機から発信された各前記第1の測位信号を受信し、
前記位置情報提供装置は、前記受信手段により受信された信号の強度を検出する検出手段をさらに備え、
前記取得手段は、各前記第1の測位信号の中から、前記強度が最大である第1の測位信号を特定し、特定された第1の測位信号に含まれる位置データを取得する、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項7】
前記位置データは、前記送信機が設置されている場所を表わす情報を含み、
前記出力手段は、前記情報に基づいて前記送信機が設置されている場所を表示する表示手段を含む、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項8】
前記位置データは、前記送信機を識別する識別データを含み、
前記第1の測位信号が受信された場合に、外部からの要求に応じて位置情報を提供するサーバ装置に対して、前記識別データと、前記送信機の位置情報の送信要求とを通信回線を介して送信する送信手段を備え、前記位置情報と前記識別データとは関連付けられて前記サーバ装置に格納されており、
前記通信回線を介して、前記送信要求に応じて前記サーバ装置によって送信された前記位置情報の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記位置情報を表示する表示手段を含む、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項9】
前記位置情報提供装置は、携帯電話、携帯情報端末、携帯型測位装置、および車両に搭載される測位システムのいずれかを含む、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項10】
前記送信機は、時刻情報を出力する計時装置に接続されており、前記送信機から発信される測位信号は、前記計時装置の時刻に同期した時刻を表わす時刻データを含み、
前記位置情報提供装置は、
時刻を計測して時刻情報を出力する計時手段と、
前記受信手段によって受信された測位信号に含まれる時刻データに基づいて、前記計時手段の時刻を較正する較正手段とをさらに備える、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項11】
前記位置情報提供装置の属性を表わす属性データを格納する記憶手段と、
要求に基づいて前記属性データに応じた情報を送信可能な情報提供装置に対して、前記属性データに応じた情報の配信要求を送信する要求手段と、
前記配信要求に基づいて前記情報提供装置によって送信された前記情報の入力を受け付ける入力手段とをさらに備え、
前記出力手段は、前記情報を表示する表示手段を含む、請求項4に記載の位置情報提供装置。
【請求項12】
送信機であって、
前記送信機が設置される場所を特定するための位置データを格納する記憶手段と、
前記位置データを有する信号をスペクトラム拡散信号として生成する生成手段と、
前記スペクトラム拡散信号を送信する送信手段とを備える、送信機。
【請求項13】
前記生成手段は、測位のための信号を送信する衛星によって発信される測位信号の形式と同じ形式の信号を、前記スペクトラム拡散信号として生成する、請求項12に記載の送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−96452(P2008−96452A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310458(P2007−310458)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【分割の表示】特願2006−103213(P2006−103213)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(503107484)測位衛星技術株式会社 (15)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】