説明

位置指示器

【課題】位置検出センサと共に使用として、無駄な電力消費を抑えて、省電力化を測ることができる位置指示器を提供する
【解決手段】位置検出センサ2からの交流信号を受信するための第1の電極6と、位置検出センサ2が位置を検出するための信号を生成する送信信号生成回路100と、送信信号生成回路100によって生成された信号が供給される第1の電極6とは異なる第2の電極7と、第1の電極6を介して位置検出センサ2からの交流信号が受信されたかどうかを検出する信号検出回路200と、信号検出回路200からの出力に対応して送信信号生成回路100からの第2の電極7を介した信号の送信を制御する送信制御回路300とを備える。第1の電極6を介して受信される位置検出センサ2からの交流信号が検出されたことに対応して、位置検出センサが位置を検出するための信号を第2の電極7から送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出センサと共に使用する位置指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
位置検出センサと共に使用する位置指示器は、従来から種々提案されている。例えば、特許文献1(特開平7−295722号公報)や特許文献2(特開平8−272509号公報)には、位置指示器内に交流信号の発生器を備えると共に、その駆動電源としてのバッテリーを備え、この位置指示器から送出される交流信号に応じた信号を位置検出センサが検出することで、位置指示器の位置を検出する座標入力装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献3(特開2007−183809号公報)には、ペン先の導体に対して、信号受信時と信号送信時とで切り替えられるスイッチ回路を備え、いわゆる半二重通信の構成を備える信号処理回路を備えると共に、その駆動電源としてバッテリーを備える位置指示器が開示されている。
【0004】
この特許文献3の位置指示器においては、スイッチ回路は、タイミング制御回路により、所定期間毎に、信号受信側と信号送信側とに切り替えられ、信号受信時には、ペン先の導体が位置検出センサからの交流信号を受信し、信号処理回路で、これに同期した交流信号を生成する。そして、スイッチ回路が信号送信側に切り替えられる期間において、信号処理回路で生成された交流信号を、位置検出センサから交流信号を受信したペン先の導体から位置検出センサに送出する。位置検出センサは、この位置指示器からの信号を検出することで、位置指示器の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−295722号公報
【特許文献2】特開平8−272509号公報
【特許文献3】特開2007−183809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1〜3に開示された位置指示器は、電源スイッチを備え、当該電源スイッチがオンになっているときには、駆動電源としてのバッテリーから、交流信号の発生器や信号処理回路に常に電源電圧が供給される構成とされている。このため、電源スイッチがオンとされているときには、位置指示器は、位置検出センサ上で操作状態になくても、すなわち、位置検出センサと共に使用されている状態でないときにも常にバッテリーから各部に電源電圧が供給され、電力消費されてしまうという問題がある。
【0007】
位置指示器の使用状況に応じて、電源スイッチを、こまめにオン・オフすることで、ある程度は、無駄な電力消費を抑えることができるが、その場合には、電源スイッチを頻繁に操作しなくてはならず、駆動電源としてバッテリーを使用しているときにはバッテリーの交換頻度に影響を与えることになる。
【0008】
この発明は、以上の点にかんがみ、無駄な電力消費を抑えて、省電力化を測ることができる位置指示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明の位置指示器は、
位置検出センサと共に使用される位置指示器であって、
前記位置検出センサからの交流信号を受信するための第1の電極と、
前記位置検出センサが位置を検出するための信号を生成する送信信号生成回路と、
前記送信信号生成回路によって生成された信号が供給される前記第1の電極とは異なる第2の電極と、
前記第1の電極を介して前記位置検出センサからの交流信号が受信されたかどうかを検出する信号検出回路と、
前記信号検出回路からの出力に対応して前記送信信号生成回路からの前記第2の電極を介した信号の送信を制御する送信制御回路と、
を備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は前記位置指示器の同一の端部に配置されており、前記第1の電極を介して受信される前記位置検出センサからの交流信号が検出されたことに対応して、前記位置検出センサが位置を検出するための信号を前記第2の電極から送信するようにした
ことを特徴とする。
【0010】
上述の構成のこの発明の位置指示器は、位置検出センサの上など、当該位置検出センサと共に使用する位置に持ち来たされると、信号検出回路で、第1の電極を介して位置検出センサから受信された交流信号が検出される。すると、この信号検出回路からの出力に対応して、送信制御回路により、送信信号生成回路からの位置検出センサが位置を検出するための信号が、第2の電極から位置検出センサに送信されるように制御される。
【0011】
一方、信号検出回路が、位置検出センサからの交流信号を検知しない状態、つまり、この発明の位置指示器が位置検出センサの上になく位置検出センサと共に使用する状態でないときには、送信制御回路により、送信信号生成回路からの信号の第2の電極から位置検出センサへの送信がなれないように制御される。
【発明の効果】
【0012】
この発明による位置指示器によれば、当該位置指示器が、位置検出センサの上など、当該位置検出センサと共に使用する位置にあるときにのみ、送信信号生成回路からの信号が、位置検出センサに送信されるようになり、無駄な電力消費が抑制されて省電力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明による位置指示器の第1の実施形態の概念的構成およびその処理動作を概括的に説明するための図である。
【図2】この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を示す図である。
【図3】この発明による位置指示器の第1の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図4】この発明による位置指示器が使用される位置検出センサの一例を説明するための図である。
【図5】この発明による位置指示器の第2の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図6】この発明による位置指示器の第3の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図7】この発明による位置指示器の第3の実施形態を、位置検出センサと共に説明するための図である。
【図8】この発明による位置指示器の第3の実施形態の第1の変形例の回路構成の一例を示す回路図である。
【図9】この発明による位置指示器の第3の実施形態の第2の変形例を、位置検出センサと共に説明するための図である。
【図10】この発明による位置指示器の第4の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図11】この発明による位置指示器の第5の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図12】この発明による位置指示器の第6の実施形態の回路構成の一例を示す回路図である。
【図13】この発明による位置指示器の第7の実施形態の構成の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
以下、この発明による位置指示器の実施形態を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施形態の位置指示器1の概念的構成およびその処理動作を概括的に説明するための図であり、位置指示器1が、静電容量式の位置検出センサ2の板面上に位置されている状態を示す図である。また、図2は、位置指示器1の詳細構成例を説明するための図で、図2(A)は、その一部縦断面図であり、図2(B)は、その一部拡大図であり、図2(C)は、その外観の一部を示す図である。この実施形態では、位置指示器1は外観が棒状のスタイラス形状を有するものとして形成されている。
【0015】
この実施形態の位置指示器1は、棒状の筐体3を備える。この筐体3は、絶縁材料例えば合成樹脂からなる中空の円筒状形状の絶縁体部31により構成されている。そして、この実施形態では、筐体3の絶縁体部31の外周表面の少なくとも操作者が当該位置指示器1を把持する部分は、例えば金属からなる導電体部32で覆われている。
【0016】
筐体3内には、プリント配線基板41が配設されている。筐体3の外周表面を覆う導電体部32は、このプリント配線基板41のアース導体に電気的に接続されている。
【0017】
プリント配線基板41上には、抵抗やコンデンサ、IC(Integrated Circuit)などからなる複数個の電子部品と、導電パターン42aや42bなどの配線パターンと、後述する昇圧トランスなどの他、この例では、位置指示器1の送信駆動状態のオン・オフ表示用のLED(Light Emitting Diode)43なども備えて、位置指示器1の内部処理回路40が形成されている。この内部処理回路40は、図1および図2に示すように、送信信号生成回路100と、信号検出回路200と、送信制御回路300とからなる。
【0018】
また、この実施形態では、筐体3内に、バッテリー5が収納可能に構成されており、内部処理回路40の電源電圧は、このバッテリー5にて生成される。図2(A)において、バッテリー接続端子52は、プリント配線基板41上の内部処理回路40に含まれる電源回路に電気的に接続されている端子であり、プリント配線基板41の端部に設けられている。バッテリー5の正極側電極51は、このバッテリー接続端子52に接触して電気的に接続される。図示は省略するが、バッテリー5の負極側電極は、プリント配線基板41のアース導体に直接に接続されている。あるいは、バッテリー5の負極側電極は、筐体3の導電体部32に電気的に接続された弾性変位する端子に押圧接触されてプリント配線基板41のアース導体に接続される。
【0019】
LED43は、後述するように、信号検出回路200の検出出力に基づく送信制御回路300の制御により、送信信号生成回路100で生成された送信信号が、位置指示器1から送出される状態のときには、点灯し、また、位置指示器1から送信信号が送出されない状態のときには、消灯するように構成されている。LED43の位置に対応する筐体3の外周表面には透光部材43Lが設けられている。使用者は、LED43の点灯、消灯を、この透光部材43Lを介して確認することにより、位置指示器1の送信有無状態を確認することができる。
【0020】
また、筐体3の外周表面には、内部処理回路40の送信信号生成回路100に設けられる後述する可変抵抗器107の抵抗値を手動で可変とし、位置指示器の信号検出感度を変更するためのスライド操作部44も設けられている。
【0021】
筐体3を構成する中空の円筒状形状の絶縁体部31の中心軸方向における一方の端部側は、徐々に先細となるテーパー部33とされている。このテーパー部33の外周側には、例えば環状の導電材からなる周辺電極6が取り付けられる。なお、周辺電極6と筐体3の外周表面の導電体部32とは、両者の間に絶縁体部31が介在することにより、絶縁されている。
【0022】
周辺電極6は、この例では第1の電極を構成するもので、絶縁体部31を貫通するリード導体部材61により、プリント配線基板41の導体パターン42aに電気的に接続されている。この導体パターン42aは、この例では、内部処理回路40の送信信号生成回路100および信号検出回路200の入力端に接続されている。
【0023】
また、この実施形態では、テーパー部33の中空部から外部に突出するように中心電極7が設けられる。中心電極7は、この例では第2の電極を構成する。この中心電極7は、例えば導電性の金属からなる棒状導体71と、この棒状導体71の先端に設けられる弾性保護導体72とからなる。棒状導体71は、筐体3内のプリント配線基板41内の所定の位置からテーパー部33の中空部を貫通して外部に突出するように設けられている。弾性保護導体72は、位置指示器1が位置検出センサ2に接触したときに、位置検出センサ2の指示入力面を傷付けないようにすると共に、指示入力面との接触面積を大きくするための部材であり、この例では、導電性の弾性部材で構成されている。なお、導電性の弾性部材の表面は、必要に応じ、樹脂でコーティングされている。また、この弾性保護導体72は省略しても良い。その場合には、棒状導体71を、例えば導電性の弾性部材で構成すると良い。
【0024】
この中心電極7は、この例では第2の電極を構成するもので、棒状導体71の、弾性保護導体72が設けられている側とは反対側の端部は、プリント配線基板41に対して固定されると共に、導電パターン42bに電気的に接続されている。この導電パターン42bは、この例では内部処理回路40の送信信号生成回路100の出力端に接続されている。
【0025】
また、周辺電極6と中心電極7との間には、互いの電気的干渉を、効果的に防止するためのシールド部材8が設けられる。この実施形態では、シールド部材8は、中心電極7を取り囲むように設けられ、これにより、シールド部材8が周辺電極6と中心電極7との間に介在して、周辺電極6と中心電極7との間の結合容量をできるだけ小さくするようにしている。
【0026】
図2(A)の先端部の拡大図である図2(B)に示すように、シールド部材8は、内壁面に絶縁層82が形成された導電部材からなる筒状導体81で構成される。筒状導体81は、プリント配線基板41のアース導体に電気的に接続されている。
【0027】
そして、中心電極7の棒状導体71を、内壁面が絶縁層82とされた筒状導体81の中空部内に収納することにより、中心電極7をシールド部材8で取り囲むように構成している。図2の例では、中心電極7の弾性保護導体72の一部も、シールド部材8の筒状導体81により取り囲むように構成している。
【0028】
周辺電極6とシールド部材8の筒状導体81とは、両者の間に絶縁体部31のテーパー部33が介在することにより絶縁され、中心電極7とシールド部材8の筒状導体81とは、両者の間にシールド部材8の筒状導体81の内壁面の絶縁層82が介在することにより絶縁されている。
【0029】
なお、図2の例では、中心電極7に対してのみシールドを施すようにしたが、周辺電極6に対してシールドを施すようにしても良い。あるいは、周辺電極6と中心電極7との両方にシールドを施すようにしても良い。
【0030】
また、図2の例では、中心電極7の棒状導体71の全体をシールド部材8により取り囲むことによりシールドを施すようにしたが、少なくとも周辺電極6と中心電極7との近接部分に対してシールド部材を介在させるようにすれば良い。
【0031】
次に、内部処理回路40の構成例を説明する。図3は、内部処理回路40の回路構成例を示す図である。内部処理回路40は、上述したように、送信信号生成回路100と、信号検出回路200と、送信制御回路300とからなるが、この例では、送信制御回路300は、送信信号生成回路100への電源電圧の供給を制御する電源回路で構成される。
【0032】
図3に示すように、第1の電極の例としての周辺電極6は、導電パターン42aに接続されている接続端子401を介して、送信信号生成回路100および信号検出回路200の入力端に接続されている。また、送信信号生成回路100の出力端が接続される導体パターン42bに接続されている接続端子402が、第2の電極の例としての中心電極7に接続されている。
【0033】
送信制御回路(電源回路)300は、DC/DCコンバータ301を備え、このDC/DCコンバータ301の電圧入力端Vinにはバッテリー5からの直流電圧が供給されている。
【0034】
このDC/DCコンバータ301は、イネーブル端子ENを備え、このイネーブル端子ENがハイレベルのときには、駆動状態(アクティブ状態)になって、バッテリー5の電圧から電源電圧+Vccを生成して、電圧出力端Voutから出力し、送信信号生成回路100に供給する。したがって、送信信号生成回路100が駆動状態になって、送信信号を生成して、中心電極7から送信信号が位置検出センサ2に送出される。
【0035】
一方、イネーブル端子ENがローレベルのときには、DC/DCコンバータ301は、非駆動状態(スリープ状態)になって、電圧出力端Voutからの電源電圧+Vccの発生を停止し、これによって送信信号生成回路100への電源電圧+Vccの供給が停止される。したがって、送信信号生成回路100は非駆動状態となる。したがって、送信信号は生成されず、位置指示器1からの送信信号の送信動作はなされない。
【0036】
ここで、DC/DCコンバータ301としては、例えばリニアテクノロジー(Linear Technology)社製のDC/DCコンバータ「LTC3525」が用いられる。このDC/DCコンバータ「LTC3525」では、SHDN端子が、イネーブル端子ENになる。
【0037】
送信制御回路300においては、DC/DCコンバータ301の電圧出力端Voutとアース導体との間には、抵抗302および前述したLED43の直列回路が接続されている。さらに、DC/DCコンバータ301の電圧出力端Voutは抵抗303および抵抗304の直列接続を通じてアース導体に接続され、抵抗303および抵抗304の接続点から基準電圧Vref(=Vcc/2)が、送信信号生成回路100に出力される。
【0038】
この送信制御回路300においては、イネーブル端子ENがハイレベルであってDC/DCコンバータ301が駆動状態にあるときには、その電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生して、LED43が点灯する。したがって、このLED43の点灯により、送信信号生成回路100への電源電圧+Vccおよび基準電圧Vrefの供給が使用者に知らされる。つまり、LED43の点灯により、送信信号生成回路100が駆動して、位置指示器1から送信信号の送出がなされていることが使用者に報知される。
【0039】
また、イネーブル端子ENがローレベルであってDC/DCコンバータ301が非駆動状態にあるときには、その電圧出力端Voutからの電源電圧Vccの発生が停止するので、LED43が消灯する。したがって、このLED43の消灯により、送信信号生成回路100への電源電圧+Vccおよび基準電圧Vrefの供給停止が知らされる。つまり、LED43の消灯により、送信信号生成回路100が駆動を停止して、位置指示器1から送信信号の送出がなされていないことが使用者に報知される。
【0040】
信号検出回路200は、位置検出センサ2からの交流信号を検出する回路であり、その検出結果としての出力信号を、イネーブル制御信号として、送信制御回路300のDC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENに供給する。この信号検出回路200には、バッテリー5からの電圧が、その駆動電圧(電源電圧)として常時供給されている。
【0041】
この例では、信号検出回路200は、パルス生成回路201と、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202と、イネーブル制御信号生成回路203とからなる。
【0042】
パルス生成回路201の入力端は、接続端子401を通じて周辺電極6に接続されている。位置指示器1が位置検出センサ2上にあるときには、図1に示すように、位置指示器1の周辺電極6と位置検出センサ2とは、静電容量C1を介して結合している。後述するように、位置検出センサ2からの交流信号が静電容量C1および周辺電極6を介して電流信号として接続端子401に供給され、パルス生成回路201に入力される。
【0043】
パルス生成回路201は、その入力端に、位置検出センサ2からの交流信号が供給されると、当該交流信号からパルス信号を生成して、出力信号として出力する。しかし、位置指示器1が位置検出センサ2上にないときには、周辺電極6を介して交流信号が受信されない。したがって、パルス生成回路201では、パルス信号は生成されず、出力信号としてパルス信号は出力されない。
【0044】
このパルス生成回路201の出力信号は、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202のトリガ端子に供給される。このリトリガブル単安定マルチバイブレータ202の時定数は、位置検出センサ2から発生する交流信号の周期よりも長く設定されている。したがって、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202は、パルス生成回路201の出力信号として、位置検出センサからの交流信号から生成されたパルス信号が発生すると、常に、ローレベルとなる反転出力信号を発生する。しかし、パルス生成回路201の出力信号として、パルスが発生しないときには、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202の反転出力信号は、常にハイレベルの信号となる。このリトリガブル単安定マルチバイブレータ202の反転出力信号は、イネーブル制御信号生成回路203に供給される。
【0045】
イネーブル制御信号生成回路203は、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202の反転出力信号をそのベースに受けるスイッチングトランジスタ204と、充放電用のコンデンサ205と、充電用抵抗206とからなる。バッテリー5の正極側端子が、充電用抵抗206を介して充放電用のコンデンサ205の一端側に接続され、このコンデンサ205の他端側がアース端子に接続されている。そして、抵抗206とコンデンサ205との接続点が、スイッチングトランジスタ204のコレクタに接続されると共に、送信制御回路300のDC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENに接続される。つまり、抵抗206とコンデンサ205との接続点に得られる信号が、信号検出回路200の検出出力信号であり、DC/DCコンバータ301のイネーブル制御信号となる。
【0046】
前述したように、パルス生成回路201の出力信号として、パルス信号が発生しないときには、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202の反転出力信号は、ハイレベルの信号となるので、スイッチングトランジスタ204はオン状態になる。このため、コンデンサ205には充電電流は流れず、抵抗206とコンデンサ205との接続点のイネーブル制御信号はローレベルとなる。すなわち、DC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENは、ローレベルとなり、DC/DCコンバータ301は、非駆動状態(スリープ状態)になって、電圧出力端Voutからの電源電圧+Vccの発生を停止する。したがって、送信信号生成回路100には、電源電圧+Vccおよび基準電圧Vrefは供給されない。
【0047】
一方、パルス生成回路201の出力信号として、位置検出センサからの交流信号から生成されたパルス信号が発生すると、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202の反転出力信号はローレベルとなるので、スイッチングトランジスタ204はオフとなる。すると、バッテリー5から抵抗206を通じてコンデンサ205に充電電流が供給されて、コンデンサ205が充電される。このため、抵抗206とコンデンサ205との接続点のイネーブル制御信号はハイレベルとなって、DC/DCコンバータ301は駆動状態となり、その電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生すると共に基準電圧Vrefが発生して送信信号生成回路100に供給される。
【0048】
以上のようにして、位置指示器1の内部処理回路40においては、信号検出回路200の検出出力信号により送信制御回路300からの送信信号生成回路100への電源電圧の供給が制御されることにより、当該送信信号生成回路100からの送信信号の送信が制御される。
【0049】
そして、この場合に、信号検出回路200で位置検出センサ2からの交流信号が検出されると、当該信号検出回路200の検出出力信号により、送信制御回路300からの電源電圧+Vccが、送信信号生成回路100に供給されるように制御される。位置指示器1が位置検出センサ2の上で操作状態にないときには、信号検出回路200は、位置検出センサ2からの交流信号を検出しないので、送信信号生成回路100には、電源電圧+Vccは供給されず、送信信号生成回路100での送信信号の生成および送信は行われない。したがって、位置指示器1は、位置検出センサ2上で操作状態にないときには、バッテリー5の電力消費を低減させることができる。
【0050】
そして、位置指示器1を位置検出センサ2の上に置いて、位置指示する操作をしようとすると、位置検出センサ2からの交流信号が信号検出回路200で検出されて、送信制御回路(電源回路)300から電源電圧+Vccが自動的に送信信号生成回路100に供給されて、当該送信信号生成回路100が駆動されるようになる。すなわち、位置指示器1は、位置検出センサ2と共に使用されるときにのみ、自動的に、送信信号生成回路100へ電源電圧+Vccが供給される。したがって、バッテリー5は、必要なときにのみ、電力消費されるだけであるので、大きな省電力化を図ることができる。
【0051】
次に、送信信号生成回路100について説明する。送信信号生成回路100は、この実施形態では、信号増強処理回路を構成するもので、センスアンプ101と、信号増幅率可変回路102と、トランス103とからなる。
【0052】
この信号増強処理回路で行われる信号増強処理には、入力信号の信号レベルを所定の信号レベルに増幅する処理の他に、入力信号の波形を変形させる処理、あるいは入力信号の位相を制御する処理も含まれる。例えば、入力信号が正弦波のような信号波形を有する信号である場合には、その信号レベルの変化率をその信号レベルが小さい領域においては大きくし、信号波形が極大値あるいは極小値となる領域ではその変化率を小さくすることが含まれる。また、矩形波のような信号波形を有する入力信号である場合には、その信号波形の立ち上がり領域、あるいは立ち下がり領域において、その信号レベルの変化率を増強することで急峻な信号波形と成し、あるいはこの領域における振幅レベルを増大させることが含まれる。更には、入力信号に対する位相差を補償し、あるいは所定の位相差を保持するような位相制御を行うことも適用し得る。信号増強処理回路では、このようなそれぞれの信号処理が、上述の信号レベルの増幅処理と組み合わされ、あるいは信号レベルの増幅処理とは独立して適用されることで信号増強処理が行われる。
【0053】
この例では、センスアンプ101は、オペアンプ104と、このオペアンプ104の反転入力端子と出力端子との間に接続されるコンデンサ105とからなる。オペアンプ104の反転入力端子は、周辺電極6に接続されている接続端子401に接続されている。また、オペアンプ104の非反転入力端子には、送信制御回路300から、前述した基準電圧Vrefが供給される。
【0054】
したがって、位置指示器1が位置検出センサ2上にあり、位置検出センサ2とは、静電容量C1を介して結合しているときには、位置検出センサ2からの交流信号が静電容量C1および周辺電極6を介して電流信号として接続端子401に供給され、センスアンプ101に入力される。コンデンサ105は、静電容量C1を介して入力される電流信号を検出するためのものである。ここで、この発明においては、交流信号としては、その波形は問わない。矩形波信号や正弦波信号など、どのような波形の交流信号であっても入力可能である。
【0055】
そして、センスアンプ101は、接続端子401を通じて電流信号として入力された交流信号を位相反転して、信号増幅率可変回路102に出力する。
【0056】
信号増幅率可変回路102は、オペアンプ106と、当該オペアンプ106の反転入力端子と出力端子との間に接続される可変抵抗器107とからなる。この可変抵抗器107の抵抗値は、図2(C)に示したスライド操作部44を使用者がスライド移動することにより手動で可変制御される。そして、この可変抵抗器107の抵抗値を手動で可変設定することにより、この信号増幅率可変回路102の増幅率が可変設定され、その結果として位置指示器の信号検出感度が制御される。
【0057】
この信号増幅率可変回路102で増幅された交流信号は、昇圧トランス103の一次コイル103aに供給される。この昇圧トランス103の一次コイル103aの巻回数n1と、二次コイル103bの巻回数n2との比は、例えば、n1:n2=1:10のように二次コイル103b側の巻回数が大きく(n1<n2)設定されている。したがって、昇圧トランス103の二次コイル103b側には、信号増幅率可変回路102の出力信号の振幅が巻回数の比に応じて逓倍されて、大振幅とされた交流信号(電圧信号)が得られる。
【0058】
昇圧トランス103の二次コイル103bの一端は、接続端子402に接続される。また、接続端子402は、シールド部材8によりシールドされた中心電極7の棒状導体71に接続されている。昇圧トランス103の二次コイル103bの他端は、プリント配線基板41のアース導体に接続される。したがって、送信信号生成回路100により大振幅の交流信号電圧とされた出力信号は、接続端子402を通じて中心電極7に供給される。
【0059】
したがって、位置指示器1が位置検出センサ2上にあり、位置指示器1の中心電極7と位置検出センサ2とが静電容量を介して結合されていると、位置指示器1の中心電極7を介して位置指示器1から位置検出センサ2に交流信号が帰還される。
【0060】
次に、この例の静電容量式の位置検出センサ2について説明する。この例の静電容量式の位置検出センサ2は、センサ電極が入力電極と出力電極から構成されており、位置指示器1が接触したタッチポイントの結合容量の変化を検出する相互容量方式の位置検出センサの構成である。
【0061】
すなわち、図4に示すように、この例の位置検出センサ2は、センサ部20と、送信部21と、受信部22とからなる。センサ部20は、位置指示器1によって位置が指示される指示入力面の横方向(X軸方向)に延伸する直線状の複数個、この例では64個の送信導体23Y,23Y,・・・,23Y64と、この送信導体23Y〜23Y64と直交する、指示入力面の縦方向(Y軸方向)に延伸する複数個、この例では64個の受信導体24X,24X,・・・,24X64とを備える。複数個の送信導体23Y〜23Y64はY軸方向に等間隔に配置され、送信部21に接続されている。また、複数個の受信導体24X〜24X64はX軸方向に等間隔に配置され、受信部22に接続されている。
【0062】
なお、この明細書中で送信導体の説明において、64本の送信導体23Y〜23Y64のいずれであるかを区別する必要のないときには、送信導体23Yと称することにする。同様に、受信導体の説明において、64本の受信導体24X〜24X64のいずれであるかを区別する必要のないときには、受信導体24Xと称することにする。
【0063】
複数個の送信導体23Yは、例えば基板の下側の面に形成される。複数個の受信導体24Xは、基板の上側の面に形成される。したがって、複数個の送信導体23Yと複数個の受信導体24Xとは、所定の厚みに対応した所定の間隔を隔てて配置され、互いに直交した配置関係を備えて、複数個の交点(クロスポイント)を形成する。そして、各クロスポイントでは、送信導体23Yと受信導体24Xとは、所定の静電容量を介して結合していると見なせる。
【0064】
送信部21は、送信導体23Yに所定の交流信号を供給する。この場合、送信部21は、同一の交流信号を複数個の送信導体23Y,23Y,・・・,23Y64に、順次に1本ずつ切り替えながら供給してもよいし、互いに異なる複数個の交流信号を複数個の送信導体23Y,23Y,・・・,23Y64に同時に供給するようにしても良い。また、複数個の送信導体23Y,23Y,・・・,23Y64を複数個のグループに分け、グループ毎に異なる交流信号を用いるようにしても良い。
【0065】
受信部22は、受信導体24X,24X,・・・,24X64のそれぞれに、送信導体23Yに供給された交流信号が前記所定の静電容量を介して伝達される信号成分を検出する。送信導体23Yと受信導体24Xとの間の結合静電容量が全クロスポイントにおいて等しいとすれば、位置指示器1が、センサ部20上に存在していないときには、センサ部20の全ての受信導体24X,24X,・・・,24X64からは所定レベルの受信信号が受信部22において検出される。
【0066】
これに対して、位置指示器1がセンサ部20の所定の位置を指示すると、その指示位置のクロスポイントを構成する送信導体23Yと受信導体24X、および当該位置指示器1とは静電容量を通じて結合する。すなわち、当該位置指示器1によって静電容量が変化することになり、位置指示器1が存在するクロスポイントの受信導体24Xから得られる受信信号レベルが他のクロスポイントの受信信号レベルに比較して変化することとなる。
【0067】
受信部22は、複数の受信導体24X,24X,・・・,24X64のうち、その受信信号のレベルの変化があった受信導体24Xを検知することで、位置指示器1の位置を検出する。そして、図示を省略した位置検出センサ2の制御部は、送信部21から交流信号を供給している送信導体23Yと、受信部22で受信信号レベルの変化のあった受信導体24Xとを検出することにより、位置指示器1が接触しているクロスポイントを検出する。
【0068】
位置指示器1ではなく、指がセンサ部20上に接近または接触して位置を指示したときにも、位置検出センサ2は、同様の原理により、その指が指示した位置のクロスポイントを検出する。その場合、送信導体23Yに供給された交流信号の一部が指を通じ、また、使用者の人体を通じてグラウンドに流れる。そのため、指が存在するクロスポイントを構成する受信導体24Xの受信信号レベルが変化する。受信部22は、この受信信号レベルの変化を検出することにより、指が存在するクロスポイントを構成する受信導体24Xを検出する。
【0069】
スタイラス形状の位置指示器の場合にも、指の位置検出の原理と同様にして、位置検出センサは、センサ部20における指示位置の検出を行うことができる。しかし、スタイラス形状の位置指示器の場合には、指の場合のように位置検出センサとの間の接触面積が大きくないため、結合容量が小さく、位置検出センサによる検出感度は低下する。
【0070】
これに対して、この実施形態の位置指示器1の場合には、以下に説明するようにして、位置検出センサ2との親和性が高く、しかも汎用性が高く、更には入力信号と出力信号との間で所定の波形相関性が確保されて、高感度に、センサ部20上における位置検出が可能となる。
【0071】
すなわち、図1に示すように、位置検出センサ2のセンサ部20上に、この実施形態の位置指示器1を接近または接触させて位置を指示した場合、周辺電極6とセンサ部20とは、静電容量C1を介して結合する。そして、送信導体23Yに供給された交流信号は、この静電容量C1を介し、また、周辺電極6を介して、電流信号として接続端子401を通じて送信信号生成回路100に入力される。
【0072】
送信信号生成回路100に入力された交流信号(電流信号)は、センスアンプ101で位相反転された後、信号増幅率可変回路102において増幅されるとともに、昇圧トランス103により昇圧(逓倍)されて信号増強されて、電圧信号として接続端子402を介して中心電極7に供給される。すなわち、周辺電極6を介してセンサ部20から送信信号生成回路100に入力された交流信号は、逆相とされ、また大振幅の信号とされて中心電極7を通じて、センサ部20に帰還される。
【0073】
この場合に、位置指示器1の中心電極7から位置検出センサ2のセンサ部20に帰還される交流信号は、送信導体23Yに供給される交流信号とは逆相の増強された信号であるので、位置指示器1は、受信導体24Xの受信信号における交流信号の変化を、より増大させるように機能する。このため、位置検出センサ2は、位置指示器1が指示する位置を高感度で検出することが可能となる。なお、位置指示器1のグラウンドが人体と接続されることで検出動作が一層安定化される。すなわち、この実施形態では、位置指示器1の筐体3は、内部処理回路40が形成されているプリント配線基板41のアース導体に接続されている導電体部32で覆われている。このため、位置検出センサ2において送信導体23Yに供給された交流信号は、位置指示器1を通じ、使用者の人体を介してグラウンドに流れることで、信号検出動作の一層の安定化を図ることができる。
【0074】
また、位置検出センサ2のセンサ部20の送信導体23Yでの電圧をVとし、この実施形態の位置指示器1の中心電極7の電圧をeとし、周辺電極6と中心電極7との間の静電容量をC2(図1参照)とすると、
e≦C1/C2・V
なる関係がある。このため、周辺電極6と中心電極7との間の静電容量C2は、できるだけ小さい方が、中心電極7の電位eを高くするのに有利である。
【0075】
このために、この実施形態の位置指示器1においては、周辺電極6と中心電極7との間にはシールド部材8を介在させることで、両者の結合をできるだけ小さくするようにしている。したがって、この実施形態の位置指示器1では、シールド部材8を介在させることによって、周辺電極6と中心電極7との間の静電容量C2は小さくなり、電圧eを大きくすることができ、効率よく感度を高めることができる。したがって、消費電力を低減させることができる。
【0076】
また、この実施形態の位置指示器1においては、使用者がスライド操作部44を手動で調整して、可変抵抗器107の抵抗値を可変させ、信号増幅率可変回路102の増幅率を可変設定することにより、位置検出センサ2における位置指示器1の指示位置の検出感度を調整することができる。
【0077】
例えば、位置指示器1の中心電極7を位置検出センサ2のセンサ部20の表面に軽くタッチさせる状態では、中心電極7の先端の弾性保護部材72とセンサ部20の接触面積が小さいが、スライド操作部44を手動調整して、信号増幅率可変回路102の増幅率を大きくすることにより、当該軽いタッチであっても、位置検出センサ2は、位置指示器1を高感度で検出することができる。
【0078】
逆に、位置指示器1の中心電極7を位置検出センサ2のセンサ部20の表面に強くタッチさせる状態では、中心電極7の先端の弾性保護導体72とセンサ部20の接触面積が大きくなる。この場合、スライド操作部44を手動調整して、信号増幅率可変回路102の増幅率を小さくすることにより、当該強いタッチにおいても、位置検出センサ2は、位置指示器1が適切な程度でタッチされたものとして、安定して検出することができる。
【0079】
なお、上述の実施形態では、信号増強処理回路の信号増幅率可変回路102は、可変抵抗器107により増幅率を連続的に可変することができるように構成したが、スライドスイッチにより、抵抗値の異なる複数個の抵抗器を切り替えることにより、段階的に増幅率を可変にするように構成してもよい。
【0080】
以上のようにして、上述の第1の実施形態では、位置指示器1は、位置検出センサ2からの交流信号を信号増強して、位置検出センサに帰還させるようにするが、前記交流信号の信号増強および位置検出センサへの帰還のための信号送信は、位置指示器1を位置検出センサ2上で操作状態にあるときに行うことができて、省電力化を図ることができる。
【0081】
なお、上述の第1の実施形態において、バッテリー5と、送信制御回路(電源回路)300のDC/DCコンバータ301の電圧入力端Vinとの間に、使用者により手動でオン・オフすることができる電源スイッチを設けるようにしても良い。その場合には、電源スイッチがオンとなっているときにだけ、信号検出回路200にもバッテリーからの直流電圧が供給されるようになり、さらに省電力化することができる。このことは、後述する他の実施形態の位置指示器についても同様である。
【0082】
また、上述した第1の実施形態の位置指示器1は、周辺電極6を第1の電極として、位置検出センサ2からの交流信号を受信し、中心電極7を第2の電極として、信号増強した出力交流信号を位置検出センサ2に帰還させる構成である。しかし、位置検出センサ2からの交流信号を受信するための第1の電極を中心電極7とし、信号増強した交流信号を位置検出センサ2に帰還させるための第2の電極を周辺電極6としても良い。このことも、後述する他の実施形態の位置指示器についても同様である。
【0083】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、信号検出回路200は、接続端子401を通じて周辺電極6を介して位置検出センサ2から受信した交流信号を検出するようにした。このため、この信号検出回路200のパルス生成回路201は、その詳細構成回路例は省略したが、送信信号生成回路100の初段のセンスアンプ101と同様のセンスアンプを設ける必要があり、構成が複雑になる恐れがある。
【0084】
この第2の実施形態は、位置指示器1の信号検出回路200の構成を、より簡単にすることができるようにした例である。図5に、この第2の実施形態における位置指示器1Aの内部処理回路400の回路例を示す。この図5において、図3に示した第1の実施形態の位置指示器1の内部処理回路40と同一部分には、同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、この第2の実施形態の位置指示器1Aの構造的な構成は、図2に示した第1の実施形態の位置指示器1と同様である。
【0085】
この第2の実施形態において、送信信号生成回路100の構成要素および送信制御回路(電源回路)300の構成要素は、第1の実施形態と同様である。そして、この第2の実施形態の信号検出回路210には、接続端子401を通じた周辺電極6で受信された交流信号が供給されるのではなく、送信信号生成回路100の、例えば信号増幅率可変回路102の出力信号が供給される。
【0086】
したがって、この信号検出回路210のパルス生成回路211は、送信信号生成回路100のセンスアンプ101で検出および増幅された信号を、その入力信号として受けることになるので、センスアンプ101と同様の構成のセンスアンプが不要となり、第1の実施形態の信号検出回路200のパルス生成回路201よりも回路構成を簡略化することができる。
【0087】
ところで、この第2の実施形態の場合には、位置検出センサ2からの交流信号を信号検出回路210で検出する際には、当該信号検出回路210のみでなく、送信信号生成回路100も駆動状態でなければならない。
【0088】
そこで、この第2の実施形態では、位置検出センサ2からの交流信号を検出したか否かを検出するために、送信信号生成回路100に、間欠的に、送信制御回路(電源回路)から、電源電圧+Vccおよび基準電圧Vrefを供給し、送信信号生成回路100を間欠的に駆動するように制御する。この制御のための回路構成を、第2の実施形態の信号検出回路210は備える。なお、信号検出回路210には、バッテリー5からの直流電圧が、その駆動電源電圧として常に供給される。
【0089】
信号検出回路210は、図5に示すように、パルス生成回路211と、間欠駆動制御回路212と、イネーブル制御信号生成回路213とからなる。イネーブル制御信号生成回路213は、スイッチングトランジスタ204と、コンデンサ205と、抵抗206とからなり、上述の第1の実施形態のイネーブル制御信号生成回路203と同様に構成とされている。
【0090】
パルス生成回路211は、この例ではダイオード214により構成される。このダイオード214のカソードは、送信信号生成回路100を構成する昇圧トランス103の一次コイル103aに接続され、アノードは、スイッチングトランジスタ204のベースに接続される。
【0091】
間欠駆動制御回路212は、抵抗215と、コンデンサ216と、スイッチングトランジスタ204とから構成される。そして、送信制御回路300のDC/DCコンバータ301の電圧出力端Voutが、抵抗215およびコンデンサ216の直列回路を通じてアース導体に接続されると共に、この抵抗215とコンデンサ216との接続点がスイッチングトランジスタ204とダイオード214との接続点に接続される。抵抗215およびコンデンサ216は、時定数回路を構成する。
【0092】
間欠駆動制御回路212は、送信信号生成回路100を間欠的に駆動するように制御する機能を備えるとともに、第1の実施形態におけるリトリガブル単安定マルチバイブレータ202の機能に代わる機能を備える。
【0093】
図5において、その他の構成、すなわち、送信信号生成回路100および送信制御回路300は、第1の実施形態の内部処理回路40と同様に構成されている。
【0094】
以上の構成によれば、この第2の実施形態の位置指示器1Aが位置検出センサ2上になく、従って位置検出センサ2からの交流信号が受信できないときには、送信信号生成回路100からは交流信号が出力されないため、パルス生成回路211を構成するダイオード214はオフとなるため、パルス生成回路211を介してパルス信号は生成されない。
【0095】
一方、スイッチングトランジスタ204がオンになるまでは、バッテリー5から抵抗206を通じてコンデンサ205に充電電流が供給されて、コンデンサ205が充電される。このため、抵抗206とコンデンサ205との接続点に得られるイネーブル制御信号は、抵抗206とコンデンサ205とで定まる時定数に応じた所定時間の経過後にハイレベルとなる。これによって、DC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENがハイレベルとなって、DC/DCコンバータ301は駆動状態となり、その電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生して送信信号生成回路100に供給される。
【0096】
DC/DCコンバータ301が駆動状態となり、その電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生すると、抵抗215を介してコンデンサ216に充電電流が流れ、コンデンサ216が充電される。そして、電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生してから、抵抗215およびコンデンサ216で定まる時定数によって所定の時間が経過すると、コンデンサ216と抵抗215との接続点の電位が上昇して、スイッチングトランジスタ204を導通させる電位に達し、スイッチングトランジスタ204がオンとなる。
【0097】
スイッチングトランジスタ204がオンになると、コンデンサ205の充電電荷が、スイッチングトランジスタ204を通じて放電されるため、抵抗206とコンデンサ205との接続点に得られるイネーブル制御信号はローレベルとなる。したがって、DC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENは、ローレベルとなり、DC/DCコンバータ301は、非駆動状態(スリープ状態)になって、電圧出力端Voutからの電源電圧+Vccの発生を停止し、送信信号生成回路100には、電源電圧+Vccおよび基準電圧Vrefは供給されなくなる。
【0098】
DC/DCコンバータ301の電圧出力端Voutからの電源電圧+Vccの発生が停止されると、スイッチングトランジスタ204のベース電位が低くなるので、このスイッチングトランジスタ204はオフとなる。スイッチングトランジスタ204がオフになると、バッテリー5から抵抗206を介してコンデンサ205に充電電流が供給されてコンデンサ205が充電され、抵抗206とコンデンサ205とで定まる時定数によって所定の時間が経過すると、抵抗206とコンデンサ205との接続点に得られるイネーブル制御信号はハイレベルとなり、DC/DCコンバータ301を駆動状態にする。
【0099】
以上のようにして、位置検出センサ2から交流信号が受信されないことで、パルス生成回路211を介してパルス信号が生成されない場合には、DC/DCコンバータ301は、信号検出回路210のイネーブル制御信号生成回路213により間欠的に駆動される。すなわち、DC/DCコンバータ301は、抵抗215とコンデンサ216とで定まる時定数に対応した所定の時間、電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生する状態となり、また、抵抗206とコンデンサ205とで定まる時定数に対応した所定の時間は、電圧出力端Voutからの電源電圧+Vccの発生を停止する状態となり、その2つの状態区間を交互に繰り返す。
【0100】
そして、DC/DCコンバータ301の電圧出力端Voutから電源電圧+Vccが発生しており、かつ、送信信号生成回路100が駆動状態であるときに、周辺電極6を介して位置検出センサ2からの交流信号が受信されると、送信信号生成回路100では、前述したようにして、当該交流信号に対して信号増強処理がなされる。そして、この送信信号生成回路100からの信号増強処理された交流信号が、中心電極7に供給されると共に、信号検出回路210に供給される。
【0101】
信号検出回路210では、この送信信号生成回路100からの交流信号に基づいて、パルス生成回路211を構成するダイオード214がオン・オフする。このダイオード214のオン・オフにより、パルス生成回路211を介してパルス信号が生成されることになる。そして、ダイオード214がオンとなる区間では、コンデンサ216の充電電荷がダイオード214を通じて放電されるため、抵抗215とコンデンサ216との接続点の電位は、スイッチングトランジスタ204をオンさせる電位にまで上昇する状態に達しない。このため、スイッチングトランジスタ204は、オフのままとなる。これにより、抵抗206とコンテンツ205との接続点に得られるイネーブル制御信号は、ハイレベルのままとなって、DC/DCコンバータ301は、その電圧出力端Voutから電源電圧+Vccを発生する状態を維持する。
【0102】
そして、周辺電極6を介した位置検出センサ2からの交流信号が受信されなくなると、パルス生成回路211を構成するダイオード214はオフとなる。このため、抵抗215を通じてコンデンサ216へ充電電流が流れ、抵抗215およびコンデンサ216で定まる時定数に応じた所定の時間の経過後、スイッチングトランジスタ204がオンとなり、イネーブル制御信号はローレベルとなる。したがって、DC/DCコンバータ301のイネーブル端子ENは、ローレベルとなり、DC/DCコンバータ301は、非駆動状態(スリープ状態)になる。
【0103】
以後は、位置指示器1Aが位置検出センサ2からの交流信号を受信する状態になるまで、DC/DCコンバータ301は、信号検出回路210の前述の動作により、間欠的に駆動制御される状態となる。
【0104】
以上のようにして、この第2の実施形態の位置指示器1Aによれば、信号検出回路210の構成を簡単にすることができると共に、位置指示器1Aを位置検出センサ2と共に使用しない状態のときには、間欠的に、送信信号生成回路100が駆動されるため、バッテリー5の消費電力を低減させることができ、省電力化を図ることができる。
【0105】
なお、この第2の実施形態においても、バッテリー5と、送信制御回路(電源回路)300のDC/DCコンバータ301の電圧入力端Vinとの間に、使用者により手動でオン・オフすることができる電源スイッチを設けるようにしても良い。そのようにすれば、電源スイッチがオンとなっているときにだけ、信号検出回路200にもバッテリーからの直流電圧が供給される。送信信号生成回路100への間欠的な電力供給も行われるので、さらに省電力化することができる。
【0106】
[第3の実施形態]
上述の第1および第2の実施形態では、位置指示器1,1Aは、バッテリー5を駆動電源として備えるようにしている。このため、バッテリー5が消耗した場合には、交換しなければならず面倒である。また、バッテリー5を内蔵すると、位置指示器の重量が増してしまい、操作性が損なわれるおそれがある。第3の実施形態は、バッテリーの代わりにキャパシターを含む蓄電回路を用いることで、上記の問題を解決した例である。
【0107】
図6は、この第3の実施形態の位置指示器1Bの内部処理回路410の例を示す回路図であり、送信信号生成回路100と、信号検出回路220と、送信制御回路310とからなる。送信信号生成回路100は、第1の実施形態の内部処理回路40と同一の構成のものである。また、この第3の実施形態の位置指示器1Bの構造的な構成は、図2に示した第1の実施形態の位置指示器1とほぼ同様であるが、後述するように、筐体3の一部に若干の違いがある。
【0108】
この第3の実施形態の位置指示器1Bは、図7に示すような、位置検出センサ組込型携帯端末500と共に使用する例である。この例の位置検出センサ組込型携帯端末500は、扁平形状の筐体を備え、その一面側の大部分をディスプレイ画面501が占める構成とされている。そして、この位置検出センサ組込型携帯端末500では、ディスプレイ画面501の上に、透明の位置検出センサ(タッチパネル)502が配置されている。この位置検出センサ502は、前述の位置検出センサ2と同様の構成を備えるものであり、位置指示器1Bによる位置指示入力を検出することができる。
【0109】
そして、この位置検出センサ組込型携帯端末500は、その筐体内に、位置指示器1Bを収納することができるように、筒状の収納部503を備えている。この収納部503内の所定位置には、収納部503内に挿入された位置指示器1Bの収納位置決め用の球状の突部504が設けられている。この球状の突部504は、収納部503の壁面内に弾性的に収納することができるように構成されている。
【0110】
一方、図7に示すように、位置指示器1Bの棒状の筐体3の側周面には、球状の突部504が丁度嵌合する嵌合凹部34が形成されている。位置指示器1Bを、収納部503内に挿入すると、球状の突部504が位置指示器1Bの筐体3により押圧されて壁面内に弾性的に変位させられるが、位置指示器1Bの嵌合凹部34の位置になると球状の突部504が、嵌合凹部34に嵌合して、位置指示器1Bが収納部503内に位置決めされる。
【0111】
さらに、収納部503には、位置指示器1Bが収納されたか否かを検出するための収納センサが設けられている。図7の例においては、収納センサは、発光素子505と受光素子506とにより構成され、収納部503の内壁面には、収納された位置指示器1Bにより、光が遮られるような互いに対向する位置に、発光素子505と、受光素子506とが設けられている。
【0112】
位置指示器1Bが収納部503内に収納されていないときには、発光素子505からの光を、受光素子506が受光できる。一方、位置指示器1Bが収納部503内に収納されると、発光素子505からの光は、位置指示器1Bにより、遮断されて受光素子506には届かない。位置検出センサ組込型携帯端末500は、受光素子506における発光素子505からの受光出力を監視することにより、位置指示器1Bが収納部503内に収納されたか否かを検出するようにする。
【0113】
そして、この例の位置検出センサ組込型携帯端末500には、収納部503の所定の位置において、位置指示器1Bに対して交番磁界を供給するための磁界発生用のコイル507が設けられている。この磁界発生用コイル507の両端間には、スイッチ回路508を介して発振器509が接続されており、所定周波数の交流信号がコイル507に供給される構成とされる。そして、位置検出センサ組込型携帯端末500は、受光素子506の受光出力から、位置指示器1Bが収納部503内に収納されたと検出したときに、前記スイッチ回路508をオンとして、発振器509からの交流信号を、磁界発生用コイル507に供給するように構成している。
【0114】
この第3の実施形態における信号検出回路220は、図示は省略するが、例えば、図3に示す、信号検出回路200のパルス生成回路201と、リトリガブル単安定マルチバイブレータ202とからなる構成とすることができる。
【0115】
そして、図6に示すように、この第3の実施形態の位置指示器1Bの内部処理回路410における送信制御回路310は、前述の実施形態と同様に、電源回路の構成を備えるが、バッテリーの代わりにキャパシター3111、例えば電気二重層コンデンサ、を用いた蓄電回路311を備える。また、送信制御回路310は、さらに、電磁結合回路312と、安定化電源回路313と、電源供給制御回路314とを備える。
【0116】
電磁結合回路312は、コイル3121とコンデンサ3122とからなる共振回路3123により構成される。この共振回路3123の共振周波数は、位置検出センサ組込型携帯端末500の磁界発生用コイル507に供給される交流信号の周波数に等しい周波数とされている。そして、位置指示器1Bにおける電磁結合回路312の位置は、図7に示すように、この位置指示器1Bが位置検出センサ組込型携帯端末500の収納部503内に収納されたときに、丁度、磁界発生用コイル507からの交番磁界を受ける位置とされている。
【0117】
電磁結合回路312は、この磁界発生用コイル507からの交番磁界を受けて共振して、誘導電流を生じる。その誘導電流は、蓄電回路311のダイオード3112により整流され、その整流信号によりキャパシター3111が充電される。
【0118】
以上のようにして、この第3の実施形態においては、位置指示器1Bが位置検出センサ組込型携帯端末500の収納部503内に収納されると、キャパシター3111への充電がなされて蓄電回路311に蓄電がなされる。そして、このキャパシター3111の保持電圧が、安定化電源回路313に供給される。
【0119】
安定化電源回路313は、PWM(Pulse Width Modulation)制御用のFET(電界効果トランジスタ)3131と、プロセッサからなる電源制御回路3132と、安定化用コンデンサ3133と、電圧検出回路3134とからなる。
【0120】
蓄電回路311のキャパシター3111に保持される電圧は、FET3131のオン・オフに応じて電圧安定化用コンデンサ3133に転送される。電源制御回路3132は、このFET3131のゲートに、そのデューティ比が後述するように制御される一定周期の矩形波信号SCをスイッチング信号として供給する。FET3131は、この矩形波信号SCによりオン・オフされて、キャパシター3111の保持電圧をPWM制御し、そのPWM制御結果の電圧が電圧安定化用コンデンサ3133によって平滑化電圧とされる。そして、この電圧安定化用コンデンサ3133の保持電圧が、電源制御回路3132に、その駆動電源電圧として供給される。
【0121】
電圧検出回路3134は、この電圧安定化用コンデンサ3133の保持電圧の値を検出し、その検出結果の電圧値を電源制御回路3132に供給する。電源制御回路3132は、この電圧検出回路3134の検出電圧値が、予め定められている電源電圧+Vccとなるように、FET3131のゲートに供給する矩形波信号SCのデューティ比を制御する。
【0122】
以上のようにして、安定化電源回路313からは、安定化された電源電圧+Vccが発生するが、この電源電圧+Vccは、電源供給制御回路314を通じて送信信号生成回路100に供給される。図6の例では、電源供給制御回路314は、FET3141で構成され、そのゲートに、電源制御回路3132から電源供給制御信号Psが供給される。
【0123】
電源制御回路3132は、信号検出回路220からの信号検出出力に基づいて、電源供給制御回路314に供給する電源供給制御信号Psを生成する。すなわち、信号検出回路220からの信号検出出力が、位置検出センサ502からの交流信号を検出していることを示すときには、電源制御回路3132は、電源供給制御信号Psを生成して、電源供給制御回路314のFET3141をオンにする。また、信号検出回路220からの信号検出出力が、位置検出センサ502からの交流信号を検出していないことを示すときには、電源制御回路3132は、電源供給制御信号Psを生成せず、電源供給制御回路314のFET3141をオフにする。
【0124】
したがって、送信信号生成回路100には、上述の第1および第2の実施形態の場合と同様に、位置指示器1Bが、位置検出センサ組込型携帯機器500のディスプレイ画面501に設けられた位置検出センサ502の上に持ち来たらされたときには、信号検出回路220で位置検出センサ502からの交流信号が検出されるので、電源制御回路3132からの電源供給背G信号Psにより電源供給制御回路314はオンとなる。このため、送信信号生成回路100に、電源電圧+Vccが供給され、位置指示器1Bから、位置検出センサ502に送信信号を送出する。
【0125】
そして、信号検出回路220で、交流信号を検出しないときには、電源制御回路3132からの電源供給背G信号Psにより電源供給制御回路314はオフとなり、送信信号生成回路100には、電源電圧+Vccは供給されない。このため、送信信号生成回路100では送信信号は生成されず、位置指示器1Bから、位置検出センサ502に送信信号は送出されない。
【0126】
なお、この第3の実施形態においては、電源供給制御回路314の出力端とアース導体との間には、抵抗3151およびLED3152の直列回路が接続されている。LED3152は、第1の実施形態のLED43と同様の駆動状態を指示するための発光素子であり、位置指示器1Bの筐体に設けた透孔窓(図示せず)を介して、その発光状態を外部に報知できるように設けられている。
【0127】
さらに、電源供給制御回路314の出力端は抵抗3153および抵抗3154の直列接続を通じてアース導体に接続され、抵抗3153および抵抗3154の接続点から基準電圧Vref(=Vcc/2)が、送信信号生成回路100に出力される。
【0128】
以上説明した第3の実施形態の位置指示器1Bによれば、バッテリーの代わりに外部から充電可能な蓄電回路311を構成するキャパシター3111を備えることで、バッテリーの交換が不要となり、重さも軽くなる。そして、キャパシター3111からなる蓄電回路311に蓄積された電力は、位置指示器1Bが位置検出センサ組込型携帯端末500の位置検出センサ502の上で、位置検出センサ502からの交流信号を検出したときに、電源供給制御回路314を介して供給されるので、省電力化され、充電の回数を少なくすることができる。
【0129】
[第3の実施形態の第1の変形例]
図8および図9は、第3の実施形態の変形例を示す図である。図8に示すように、この例の位置指示器1Cの内部処理回路420においては、電磁結合回路312は設けられず、その代わりに、蓄電回路311のダイオード3112のアノードに接続される端子321と、アース導体に接続される端子322とを設ける。
【0130】
そして、図9に示すように、位置指示器1Cの筐体3の外周表面の導体金属32(図2参照)は、アース導体に接続されている端子322と電気的に接続される。また、この例においては、位置指示器1Cの筐体3の外周表面には、導体金属32とは電気的に分離されていると共に、端子321に接続される金属電極35が設けられる。この金属電極35は、位置指示器1Cの外周表面に凹部を設け、その凹部に導体金属32と電気的に分離された金属層を形成し、その金属層と端子322とを電気的に接続して構成することができる。
【0131】
一方、位置検出センサ組込型携帯端末500の収納部503には、位置指示器1Cの凹部の金属電極35と嵌合して電気的に接続される金属電極511を設けると共に、位置指示器1Cの外周表面の導体金属32(アース導体に接続されている)に対して弾性的に接続する金属の板ばね片からなる電極512を設ける。そして、電極511と電極512との間に、位置指示器1Cの蓄電回路311のキャパシター3111を充電するための直流電圧供給回路513を接続する。位置検出センサ組込型携帯端末が備える制御回路(図示は省略)は、前述したように、例えば、受光素子506の受光出力を監視して、位置指示器1Cが収納部503へ収納されたことを検出したときに、この直流電圧供給回路513から交流信号を、電極511,512間に供給するように制御する。
【0132】
したがって、この例の位置指示器1Cを、位置検出センサ組込型携帯端末500の収納部503内に収納すると、電極321および導体金属32が、それぞれ電極511および電極512と電気的に接続される。この結果、位置検出センサ組込型携帯端末500の直流電圧供給回路513からの直流電圧が、位置指示器1Cの蓄電回路311に供給されて、キャパシター3111が充電される。
【0133】
その他の構成は、上述の第3の実施形態と全く同様であり、この第3の実施形態の変形例においても、第3の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0134】
[第3の実施形態の第2の変形例]
上述の第3の実施形態では、位置指示器1Bを位置検出センサ組込型携帯端末500の収納部503に収納することにより、電磁結合回路312を介して誘導電流を生起させて、キャパシター3111を含む蓄電回路311を充電するようにした。しかし、収納部503に位置指示器1Bを収納させなくても、キャパシター3111の充電は可能である。
【0135】
すなわち、図10は、その場合の例であり、この例は、パソコン600に表示装置700がケーブル601により接続されたシステムに適用された場合である。表示装置700のディスプレイ画面701には、位置検出センサ組込型携帯装置500と同様に、位置検出センサ(タッチパネル)702が貼り付けられて設けられている。
【0136】
そして、この表示装置700には、ディスプレイ画面701、すなわち、位置検出センサ702の外側のエリアにおいて、電力供給用コイル703が埋設されている。この電力供給用コイル703は、ディスプレイ画面701と平行な面に沿って、位置検出センサ702の位置検出領域の周囲に巻回されたループコイルである。この電力供給用コイル703は、例えば、図7に示す磁界発生用コイル507と同等の機能を果たす。図示を省略するが、この電力供給用コイル703に交流信号を供給することで、ディスプレイ画面701と平行な面に垂直な方向に交番磁界を発生させる。
【0137】
したがって、この表示装置700に設けられた電力供給用コイル703に交流信号が供給されている状態において、電力供給用コイル703に位置指示器1Bを近づけると、電力供給用コイル703により発生する交番磁界により、位置指示器1Bの電磁結合回路312に誘導電流が励起される。そして、この誘導電流により、位置指示器1Bの蓄電回路311のキャパシター3111に充電が行われる。この例の場合には、位置指示器1Bの電磁結合回路312のコイル3121の位置は、位置指示器1Bの周辺電極6や中心電極7が形成されている側の端部に設けることが好ましい。
【0138】
以上のようにして、この例によれば、位置指示器1Bを収納部などに収納せずとも、電力供給用コイル703から発生する交番磁界の近傍に位置指示器1Bを位置させるだけで、位置指示器1Bの蓄電回路311への蓄電が可能となる。なお、表示装置700における電力供給用コイル703への交流信号の供給は、位置指示器1Bが指示する位置が電力供給用コイル703の近傍であるか否かを、位置検出センサ702によって検出することで制御される。
【0139】
[第4の実施形態]
上述した実施形態の位置指示器1,1A,1Bは、指がセンサ部の上に接近または接触したときにも、その指が接近または接触したクロスポイントを検出することができる位置検出センサ(2、502)と共に使用される場合の例である。
【0140】
このため、上述の実施形態の位置指示器1,1A,1Bの場合には、中心電極7から位置検出センサ2や位置検出センサ502に帰還される交流信号は、送信導体23Yに供給される交流信号とは逆相にされて信号増強される。そして、位置検出センサ2では、位置指示器1,1A,1Bで指示された位置に対応した受信導体24Xの受信信号の信号レベルが、他の受信導体24Xの受信信号の信号レベルよりも低くなる変化を検出することにより、位置指示器および指の指示位置を検出する。
【0141】
しかしながら、この発明の位置指示器は、位置検出センサから受信した交流信号を信号増強して位置検出センサに帰還させる構成を備える。このため、この発明の位置指示器を、位置検出センサから受信した交流信号を逆相とせずに、そのままの極性で信号増強して位置検出センサに帰還させるように構成すると共に、位置検出センサの構成を、位置指示器で指示された位置に対応した受信導体24Xの受信信号の信号レベルが、他の受信導体の受信信号の信号レベルよりも高くなる変化を検出する構成とすることによって、この実施形態の位置指示器による指示位置の検出を可能とすることができる。
【0142】
以上のことを考慮して、第4の実施形態の位置指示器においては、位置検出センサから受信した交流信号を逆相にして信号強調して帰還させる場合と、受信した交流信号をそのまの位相(極性)で信号強調して帰還させる場合とのいずれかに切り替えができるように構成する。図11に、この第4の実施形態の位置指示器1Dの内部処理回路420の例を示す。この図11の例は、第4の実施形態を、第2の実施形態に適用した場合である。しかし、第4の実施形態は、第1の実施形態あるいは第3の実施形態に適用することもできる。
【0143】
この第4の実施形態の内部処理回路420は、第2の実施形態の内部処理回路400の送信信号生成回路100が、送信信号生成回路110の構成に変更されるだけで、信号検出回路210および送信制御回路300の構成は第2の実施形態と全く同様である。
【0144】
そして、送信信号生成回路110は、昇圧トランス103の二次コイル103b側に、追加回路が設けるだけで、その他は、第2の実施形態の送信信号生成回路100と同様の構成とされている。
【0145】
すなわち、送信信号生成回路110においては、昇圧トランス103の二次コイル103bの一端側にスイッチ回路111が、他端側にスイッチ回路112が、それぞれ接続される。これらスイッチ回路111および112は、二次コイル103bの一端側および他端側を、接続端子402に接続する状態と、アース端子に接続する状態とを切り替えるスイッチ回路である。
【0146】
そして、これらのスイッチ回路111および112は、切替信号形成回路113から出力された切替信号SWにより、二次コイル103bの一端側が接続端子402に接続する状態のときには、二次コイル103bの他端側がアース導体に接続され、また、二次コイル103bの他端側が接続端子402に接続する状態のときには、二次コイル103bの一端側がアース導体に接続されるように、連動して切り替えられる。
【0147】
切替信号形成回路113には、この第4の実施形態の位置指示器1Dの筐体には、外部からスライド操作可能に設けられているスライドスイッチ114が設けられている(図示せず)。そして、スライドスイッチ114が、例えば接点cと接点aとが接続される切り替え状態のときには、切替信号形成回路113は、スイッチ回路111およびスイッチ回路112を、昇圧トランス103の二次コイル103bの一端側を接続端子402に接続し、他端側をアース端子に接続するようにする切替信号SWを形成する。また、スライドスイッチ114が、接点cと接点bとが接続される切り替え状態のときには、切替信号形成回路113は、切替信号SWを、スイッチ回路111およびスイッチ回路112を、昇圧トランス103の二次コイル103bの他端側を接続端子402に接続し、一端側をアース端子に接続するようにする切替信号SWを形成する。
【0148】
したがって、スライドスイッチ114が、接点cと接点aとが接続される切り替え状態のときには、第2の実施形態と同様にして、位置検出センサから受信された交流信号は、逆相とされ、信号強調されて、接続端子402を介して中心電極7に供給されて、位置検出センサに帰還される。
【0149】
一方、スライドスイッチ114が、接点cと接点bとが接続される切り替え状態のときには、位置検出センサ2から受信された交流信号は、そのままの極性で、信号強調されて、接続端子402を介して中心電極7に供給されて、位置検出センサに帰還される。
【0150】
この第4の実施形態の位置指示器1Dは、使用する位置検出センサにおける受信導体の受信信号の信号レベルの変化の検出方法に応じて、スライドスイッチ114による切り替えを行う。すなわち、位置指示器1Dにより位置指示入力を行おうとする位置検出センサが、受信導体の受信信号の信号レベルが、他の受信導体の受信信号の信号レベルよりも低くなる変化を検出する検出方法を採用している場合には、スライドスイッチ114を、接点cと接点aとが接続される切り替え状態にする。また、位置指示器1Dにより位置指示入力を行おうとする位置検出センサが、受信導体の受信信号の信号レベルが、他の受信導体の受信信号の信号レベルよりも高くなる変化を検出する検出方法を採用している場合には、スライドスイッチ114を、接点cと接点bとが接続される切り替え状態にする。
【0151】
すなわち、この第4の実施形態における位置指示器1Dは、上記のいずれの検出方法の位置検出センサにおいても、最適な状態にて使用することが可能となる。
【0152】
位置検出センサが、両方の検出方法を例えば時分割駆動にて実行する構成を備える場合には、スライドスイッチ114を、接点cと接点bとが接続される切り替え状態(あるいは、接点cと接点aとが接続される切り替え状態)とすることにより、位置指示器1Dによる指示入力か、指による指示入力かを、位置検出センサが判別することができるようになる。
【0153】
例えば、スライドスイッチ114を、接点cと接点bとが接続される切り替え状態とした位置指示器1Dによる指示入力は、受信導体の受信信号の信号レベルが、他の受信導体の受信信号の信号レベルよりも高くなる変化を検出する時分割区間でのみ検出される。一方、指による指示入力は、受信導体の受信信号の信号レベルが、他の受信導体の受信信号の信号レベルよりも低くなる変化を検出する時分割区間でのみ検出される。つまり、位置検出センサは、受信信号の信号レベルが上昇するように変化し、あるいは低下するように変化することを判別することで、位置指示器1Dによる指示入力か、指による指示入力かを判別することができる。
【0154】
[第5の実施形態]
上述した実施形態の位置指示器の周辺電極6と中心電極7とは、共に、位置指示器の筐体3の一端側に設けられている。このため、周辺電極6と中心電極7との間でも静電結合し、位置検出センサに対して送出される送信信号の一部が、送信する電極から信号受信のための電極に洩れてしまうおそれがある。このため、送信信号生成回路100,110では、送信信号の漏洩分を考慮して、その分だけ送信電力を大きくする必要がある。
【0155】
第5の実施形態は、前記の送信信号の漏洩分をできるだけ少なくすることにより、送信電力の増大分を抑えて、省電力化を図るようにする例である。図12に、この第5の実施形態の位置指示器1Eにおける内部処理回路430の一例を示す。
【0156】
図12に示した第5の実施形態の位置指示器1Eの内部処理回路430は、第2の実施形態の内部処理回路400と同様の構成を有するものであるので、図5に示した第2の実施形態の内部処理回路400と同一部分には、同一参照符号を付与して示している。この第5の実施形態の内部処理回路430は、送信信号生成回路120と、信号検出回路210と、送信制御回路300とからなる。図12に示すように、送信信号生成回路120の構成が、第2の実施形態の送信信号生成回路100とは異なる。
【0157】
また、この第5の実施形態の位置指示器1Eにおいては、周辺電極6と中心電極7との間の位置に導電材9を設ける。この導電材9は、例えばリング状の導電金属で構成され、図示されるように、周辺電極6および中心電極7とは電気的に分離されて設けられる。
【0158】
さらに、前述したように、第2の実施形態では、周辺電極6を第1の電極とし、中心電極を第2の電極としたが、中心電極を第1の電極とし、周辺電極6を第2の電極としてもよく、第5の実施形態は、後者の場合の例である。すなわち、第5の実施形態の位置指示器1Eにおいては、中心電極7を介して位置検出センサから受信された交流信号が、送信信号生成回路120の入力信号とされる。
【0159】
そして、この第5の実施形態においては、昇圧トランス103の二次コイル103bの中途の所定のタップ点Ptが共通端子とされ、アース導体に接続されている。そして、二次コイル103bの一端側が第2の電極となる周辺電極6に電気的に接続され、二次コイル103bの他端側が、導電材9に電気的に接続される。
【0160】
二次コイル103bのタップ点Ptの位置は、周辺電極6から送出される送信信号が、位置検出センサに供給されずに、中心電極7に供給されてしまう状況の程度に基づいて決定される。すなわち、例えば、周辺電極6から送出される送信信号の5%が中心電極7に供給されてしまう場合を想定すると、タップ点Ptの位置は、
(タップ点Ptから二次コイル103bの一端側までの巻回数):(タップ点Ptから二次コイル103bの他端側までの巻回数)=95:0.5
となるように設定される。
【0161】
この場合、周辺電極6から送出される送信信号のうち、中心電極7に供給されてしまう分は、一般的に前記送信信号の1/2よりも小さいので、タップ点Ptから二次コイル103bの他端側までの巻回数は、タップ点Ptから二次コイル103bの一端側までの巻回数よりも少なくなる。
【0162】
このように構成すれば、周辺電極6から送出される送信信号とは逆相の信号が、導電材9から送出される。このため、この導電材9から送出される信号により、周辺電極6から送出される送信信号のうちの中心電極7に漏洩する分が補償され、周辺電極6からの送信信号が効率良く、位置検出センサに帰還される。したがって、送信信号生成回路120からの送信信号の、周辺電極6から中心電極7への漏洩が軽減されるので、その分だけ、送信電力の増大をしなくて良くなり、より省電力化を図ることができる。
【0163】
なお、図12の第5の実施形態の例においては、位置検出センサからの交流信号を受信する第1の電極を中心電極7とし、交流信号を位置検出センサに帰還させるために信号を送信する第2の電極を周辺電極6としたが、第5の実施形態も、第1の電極を周辺電極6とし、第2の電極を中心電極7とした場合にも、適用できることは言うまでもない。
【0164】
[第6の実施形態]
上述の実施形態の位置指示器の内部処理回路は、いずれも、位置検出センサから受信した交流信号を信号増強して位置検出センサに帰還するようにした場合である。しかしながら、この発明は、このような信号帰還型の内部処理回路を備える位置指示器に限られるものではなく、位置指示器が備える交流信号発生回路からの交流信号を位置検出センサに供給するタイプの位置指示器にも適用可能である。第6の実施形態は、そのような位置指示器の場合に、この発明を適用した例である。
【0165】
図13は、この第6の実施形態の位置指示器1Fの要部を説明するための図である。この第6の実施形態の位置指示器1Fも、前述の例と同様に、位置指示器の構造的な構成は、図2に示した第1の実施形態の位置指示器1と同様である。しかし、内部処理回路440は、前述の例とは異なる。
【0166】
すなわち、図13に示すように、内部処理回路440は、送信信号生成回路130と、信号検出回路230と、送信制御回路320と、昇圧回路140とからなる。
【0167】
送信信号生成回路130は、所定周波数の交流信号の発生回路であって、交流信号発振器の構成とすることができる。この送信信号生成回路130からの送信信号(交流信号)は、送信制御回路320および昇圧回路140を介して接続端子402に供給され、この接続端子402に接続されている中心電極7を介して位置検出センサに送信される。
【0168】
送信制御回路320は、スイッチングトランジスタなどからなるスイッチ回路321と、このスイッチ回路321に切替信号を供給する切替信号生成回路322とからなる。スイッチ回路321は、送信信号生成回路130からの交流信号の昇圧回路140への供給を制御する。
【0169】
昇圧回路140は、前述の実施形態と同様に昇圧トランスにより構成することもできるが、この例では、半導体素子からなる昇圧回路が用いられる。送信信号生成回路130からの送信信号は、この昇圧回路140で昇圧された後、接続端子402を通じて中心電極7に供給される。
【0170】
信号検出回路230の入力端は、周辺電極6が接続されている接続端子401に接続されている。したがって、位置指示器1Fが位置検出センサの上で位置を指示すると、周辺電極6を介して、位置検出センサからの交流信号が受信され、信号検出回路230に入力される。
【0171】
信号検出回路230は、例えば、信号検出回路220と同様に、パルス生成回路と、リトリガブル単安定マルチバイブレータとで構成することができる。したがって、この信号検出回路230は、位置検出センサからの交流信号を検出したときと、そうでないときとで、状態が反転する検出信号を出力する。
【0172】
この信号検出回路230からの検出信号は、送信制御回路320の切替信号生成回路322に供給される。切替信号生成回路322は、信号検出回路230の検出信号が、位置検出センサからの交流信号を検出していることを示すときには、スイッチ回路321をオンにする切替信号を生成し、その切替信号を、スイッチ回路321に供給する。また、切替信号生成回路322は、信号検出回路230の検出信号が、位置検出センサからの交流信号を検出していないことを示すときには、スイッチ回路321をオフにする切替信号を生成し、その切替信号を、スイッチ回路321に供給する。
【0173】
したがって、位置指示器1Fが位置検出センサの上になく、位置検出センサからの交流信号を受信できないときには、信号検出回路230によって位置検出センサからの交流信号が検出されないので、送信制御回路320のスイッチ回路321がオフとなり、位置指示器1Fからの交流信号の送信はなされず、省電力化となる。
【0174】
一方、位置指示器1Fが位置検出センサの上で位置を指示するときには、信号検出回路230で位置検出センサからの交流信号が検出され、その信号検出回路230の検出信号に基づいて生成された切替信号によりスイッチ回路321がオンになる。これにより、送信信号生成回路130からの送信信号(交流信号)が、送信制御回路320を介して昇圧回路140に供給されて昇圧され、中心電極7から位置検出センサに送信される。
【0175】
この第6の実施形態においても、位置指示器1Fは、位置検出センサからの交流信号を検出することができるときに送信信号の送信を実行するようにするので、省電力化することができる。
【0176】
なお、図13の構成では、送信信号の第2の電極への供給を制御することで省電力を図るようにしたが、この第6の実施形態の位置指示器においても、上述の実施形態と同様に、電源回路を制御することで省電力化を図る構成とすることもできる。
【0177】
[その他の実施形態または変形例]
以上の実施形態では、位置指示器の筐体内の信号処理回路が形成されるプリント配線基板のアース導体に、位置指示器の筐体3の外周の導電体部32が直接的(直流的)に接続されているが、内部回路のアース導体と導電体部32との間は、例えばコンデンサを介して交流的に結合される構成であっても良い。
【0178】
また、上述の実施形態では、導電体部32は、周辺電極との絶縁部を除き、位置指示器の筐体3の外周のほぼ全体を覆うように構成したが、使用者が位置指示器を操作する際に把持して人体を接触させる筐体3の所定部分にのみ、内部回路のアース導体と接続された金属板などの導電性部材を配置するようにしても良い。
【0179】
また、筐体3が例えばプラスチックで構成される場合に、導電性を有するプラスチックを使用して、それを直流的にあるいは交流的に内部回路のアース導体に接続する構成とすることにより、導電体部32を省略することもできる。
【0180】
なお、この発明の位置指示器が使用される位置検出センサは、上述の例に限らず、据え置き型装置の位置検出装置に利用される種々のものであっても対象となる。
【符号の説明】
【0181】
1,1B,1C,1D,1E,1F…位置指示器、2…位置検出センサ、3…位置指示器1の筐体、3…バッテリー、6…周辺電極、7…中心電極、8…シールド部材、100,110,120,130…送信信号生成回路、200,210,220,230…信号検出回路、300,310,320…送信制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出センサと共に使用される位置指示器であって、
前記位置検出センサからの交流信号を受信するための第1の電極と、
前記位置検出センサが位置を検出するための信号を生成する送信信号生成回路と、
前記送信信号生成回路によって生成された信号が供給される前記第1の電極とは異なる第2の電極と、
前記第1の電極を介して前記位置検出センサからの交流信号が受信されたかどうかを検出する信号検出回路と、
前記信号検出回路からの出力に対応して前記送信信号生成回路からの前記第2の電極を介した信号の送信を制御する送信制御回路と、
を備え、
前記第1の電極および前記第2の電極は前記位置指示器の同一の端部に配置されており、前記第1の電極を介して受信される前記位置検出センサからの交流信号が検出されたことに対応して、前記位置検出センサが位置を検出するための信号を前記第2の電極から送信するようにした
ことを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
前記送信制御回路は、前記送信信号生成回路を駆動するための電力の供給を制御することで、前記送信信号生成回路からの前記第2の電極を介した信号の送信を制御するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記位置指示器は電池で駆動されるものであり、
前記送信制御回路は前記電池から前記送信信号生成回路への電力の供給を制御することで、前記送信信号生成回路からの前記第2の電極を介した信号の送信を制御するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項4】
前記位置指示器は、外部から供給される電力で当該位置指示器を駆動するための蓄電回路を備えており、
前記送信制御回路は、前記蓄電回路から前記送信信号生成回路への電力の供給を制御することで、前記送信信号生成回路からの前記第2の電極を介した信号の送信を制御するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項5】
前記蓄電回路は、外部から供給される電力を蓄電するためのキャパシターを備えている
ことを特徴とする請求項4に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記位置指示器は、外部から供給される電力を電磁結合によって受けるための電磁結合回路を備えており、前記電磁結合回路を介して外部から供給された電力が前記蓄電回路に蓄電されるようにした
ことを特徴とする請求項4に記載の位置指示器。
【請求項7】
前記位置検出センサは、前記位置指示器による位置の指示に対応した静電容量の変化を検出するものであって、
前記信号検出回路は、前記第1の電極を介して前記静電容量の変化を検出することで、前記位置検出センサからの交流信号が受信されたかを検出するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記送信信号生成回路は、前記第1の電極を介して受信された前記位置検出センサからの交流信号に対して所定の相関性を有する信号増強された信号を形成して前記第2の電極を介して前記位置検出センサに送出するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記送信信号生成回路は、所定の信号波形および信号レベルを有する信号を生成するための信号発生回路を備えており、前記信号発生回路から出力される信号を前記第2の電極を介して前記位置検出センサに送出するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項10】
前記信号検出回路は、常時通電状態あるいは所定時間毎に通電状態が設定され、前記信号検出回路が通電状態にあるときに、前記第1の電極を介して前記位置検出センサからの交流信号を検出するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項11】
前記送信信号生成回路には、一次コイルに供給された信号を昇圧して二次コイルに発生させる昇圧トランスと、前記二次コイルの一端と他端とを前記第2の電極に選択的に接続する接続切替回路を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項12】
前記位置指示器の同一の端部に配置された前記第1の電極および前記第2の電極の間に導電材が前記第1の電極および前記第2の電極とはたがいに電気的に分離されて配置されていると共に、前記送信信号生成回路には、一次コイルに供給された信号を昇圧して二次コイルに発生させる昇圧トランスを備えており、さらには、前記昇圧トランスの二次コイルにはコイルの中途から導出された共通端子が設けられており、前記二次コイルの一端は第2の電極に接続されていると共に他端は前記導電材に接続され、前記二次コイルの他端と前記共通端子との間の巻回数は前記一端と前記共通端子との間の巻回数よりも少なくなるように前記共通端子が前記二次コイルから導出されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−221304(P2012−221304A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87450(P2011−87450)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】