説明

位置推定システム

【課題】GPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機の位置を、この移動通信端末機が在圏する無線基地局のセクタ領域よりも更に狭く絞って、より正確に推定することができること。
【解決手段】移動通信端末機11がGPSと通信不可能な環境下にあっても、基地局データベース装置15で所定の演算によって、当該端末機11が在圏する無線基地局13のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機11の推定緯度経度として無線基地局13を介して該当移動通信端末機11へ返信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の移動通信端末機がGPS(Global Positioning System)と通信できない環境下において、無線基地局から受信する情報に基づき位置を推定する位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)の通信方式の移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下において、無線基地局との通信で自機の位置を推定するといった技術が存在する。
例えば、特許文献1に記載されているように、無線基地局は送信時間を格納し、移動局からの受信信号を使用してRTT(Round Trip Time)を計算し、算出したタイムスタンプから距離計算を行う。また、無線基地局はDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)の復調が完了すると、チャネル推定値を使用してフェージング相関値を計算し、速度計算処理を行い、ビット列の「0」と「1」との割合から移動方向推定処理を行う。更に、無線基地局は距離と速度と移動方向とを推定すると、送信位置情報決定を行うためのテーブルを使用して移動局に送信すべき最適な位置情報を決定する。つまり上位概念の技術として、無線基地局が、移動通信端末機に提供する位置情報をセクタ内の領域の範囲で推定できるようになっている。
【特許文献1】特開2006−33207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、無線基地局が、当該無線基地局の電波エリアのどのセクタ内に移動通信端末機が存在するかを推定することはできる。しかし、セクタ領域単位での位置推定しかできないので、かなり大雑把な位置推定しか行えず、緯度経度の測位レベルのように、より正確な位置推定を行うことはできないという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、GPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機の位置を、この移動通信端末機が在圏する無線基地局のセクタ領域よりも更に狭く絞って、より正確に推定することができる位置推定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1による位置推定システムは、移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、このデータベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記基地局は、前記移動通信端末機からの位置取得要求時に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の移動通信端末機へ中継送信する中継手段とを備え、前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記移動通信端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を自機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏する基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の緯度経度と推定するようにしたので、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に移動通信端末機の位置推定を行うことができる。
【0006】
また、本発明の請求項2による位置推定システムは、任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、固有情報である自機の端末IDを保持する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に前記位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記基地局は、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該情報を移動通信端末機へ送信する要求送信手段と、この手段で送信された位置取得要求に応じた移動通信端末機からの応答信号を受信した際に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、前記移動通信端末機は、前記基地局から受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが自機に保持する端末IDと同じ場合に位置取得要求送信元の基地局へ前記応答信号を返信する確認応答手段を備え、前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、位置要求端末機で電話番号等の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置を取得する際に、位置検出対象の移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏する基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機へ返信するようにした。これによって、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に移動通信端末機の位置推定を行って位置要求端末機へ知らせることができる。
【0008】
また、本発明の請求項3による位置推定システムは、固有情報である自機の端末IDを保持する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に中継サーバを介して位置取得端末機と通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、移動通信端末機が自機の位置を該位置取得端末機へ通知する際に、該データベース装置でその移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記移動通信端末機は、前記位置取得端末機の固有情報である位置取得端末ID及び自機の端末IDを含めた位置通知要求情報によって自機の位置を位置取得端末機へ通知する要求を行う位置通知要求手段を備え、前記基地局は、前記位置通知要求情報の受信時に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度情報に前記位置取得端末ID及び位置通知要求元の端末IDを付け、この推定緯度経度情報を前記中継サーバへ送信する中継手段とを備え、前記中継サーバは、前記基地局からの推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、この認識IDの位置取得端末機へ当該推定緯度経度情報を送信する認識送信手段を備え、前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記位置取得端末機は、前記中継サーバから送信されてきた推定緯度経度情報を、この中に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、移動通信端末機が自機の位置を、所定の位置取得端末機へ通知する際に、位置通知元の移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その移動通信端末機が在圏する基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の緯度経度と推定し、これを中継サーバを介して位置取得端末機へ通知するようにした。これによって、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に移動通信端末機の位置推定を行って位置取得端末機へ知らせることができる。
【0010】
また、本発明の請求項4による位置推定システムは、固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、このデータベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記移動通信端末機は、自機の位置取得要求により基地局から送信されてくる前記捕捉基地局IDの取得要求に応じて自機が保持する複数の捕捉基地局IDを該取得要求元の基地局へ送信する捕捉ID送信手段と、前記基地局は、前記移動通信端末機からの位置取得要求時に前記捕捉基地局IDの取得要求を行う捕捉ID要求手段と、その取得要求で送信されてきた複数の捕捉基地局IDを受信し、これら捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の移動通信端末機へ中継送信する中継手段とを備え、前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記移動通信端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を自機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機の緯度経度と推定するようにしたので、1つの基地局から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定することができる。
【0012】
また、本発明の請求項5による位置推定システムは、任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、この位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記基地局は、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該情報を移動通信端末機へ送信する要求送信手段と、この手段で送信された位置取得要求に応じた移動通信端末機からの複数の捕捉基地局IDを受信し、これら捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、前記移動通信端末機は、前記基地局から受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが自機に保持する端末IDと同じ場合に、自機が保持する複数の捕捉基地局IDを該位置取得要求情報送信元の基地局へ送信する確認送信手段を備え、前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、位置要求端末機で電話番号等の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置を取得する際に、移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機へ返信するようにした。これによって、1つの基地局から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定して位置要求端末機へ知らせることができる。
【0014】
また、本発明の請求項6による位置推定システムは、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局ID及び固有情報である自機の端末IDを記憶する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に中継サーバを介して位置取得端末機と通信を行う基地局と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、移動通信端末機が自機の位置を該位置取得端末機へ通知する際に、該データベース装置でその移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記移動通信端末機は、前記位置取得端末機の固有情報である位置取得端末IDと、前記捕捉基地局ID及び自機の端末IDを含めた位置通知要求情報によって自機の位置を位置取得端末機へ通知する要求を行う位置通知要求手段を備え、前記基地局は、前記位置通知要求情報を受信し、この情報中の捕捉基地局ID、位置取得端末ID及び端末IDを得る要求受信手段と、この手段で得られた捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度情報に前記要求受信手段で得られた位置取得端末ID及び端末IDを付け、この推定緯度経度情報を前記中継サーバへ送信する中継手段とを備え、前記中継サーバは、前記基地局からの推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、この認識IDの位置取得端末機へ当該推定緯度経度情報を送信する認識送信手段を備え、前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記位置取得端末機は、前記中継サーバから送信されてきた推定緯度経度情報を、この中に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、移動通信端末機が自機の位置を所定の位置取得端末機へ通知する際に、位置通知元の移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機の緯度経度と推定し、これを位置取得端末機へ通知するようにした。これによって、1つの基地局から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定して位置取得端末機へ通知することができる。
【0016】
また、本発明の請求項7による位置推定システムは、任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、この位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、前記移動通信端末機は、前記基地局の電波エリアへの在圏時に当該基地局へ、自機の端末IDに前記捕捉基地局IDを対応付けて送信する捕捉ID送信手段を備え、前記基地局は、前記移動通信端末機からの端末IDと対の捕捉基地局IDを受信する捕捉ID受信手段と、この受信された端末IDと対の捕捉基地局IDを記憶する端末ID情報記憶手段と、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該端末IDの移動通信端末機が自局エリアに在圏すれば前記端末ID情報記憶手段に記憶された該当端末IDと対の捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信する在圏確認ID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、位置要求端末機での指定端末IDを基地局へ通知し、この基地局の電波エリアに指定端末IDの移動通信端末機が在圏すれば当該基地局が他の基地局と通信中であっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機へ返信可能となる。
【0018】
また、本発明の請求項8による位置推定システムは、請求項1から7の何れか1項において、前記演算手段は、前記セクタ中心の緯度経度を求める際に、前記基地局情報の内、前記チルト角及び前記アンテナ高の情報を用いて前記基地局の電波エリアのセル半径を求め、このセル半径、前記アンテナ指向性及び前記アンテナ開き角の情報を用いて当該基地局とセクタ中心との間の距離を求めたのち当該セクタ中心の位置座標を求め、この位置座標をもとに解る基地局からセクタ中心までの距離を緯度経度に換算し、この換算緯度経度及び前記基地局の緯度及び経度の情報を用いてセクタ中心の緯度経度を求める演算を行うことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、基地局のデータベース装置に一般的にテーブル化されて保持されている基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の各々の基地局情報を用いて、該当基地局のセクタ中心の緯度経度を演算によって求めることができるので、緯度経度推定演算処理を低コストで実現することができる。
【0020】
また、本発明の請求項9による位置推定システムは、請求項4から8の何れか1項において、前記情報テーブルの各基地局IDに優先度を対応付けておき、前記演算手段は、前記基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求めた後、前記優先度の高い基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を、前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、建物内に基地局が配置されている際に、この建物内に外の基地局の電波が届く場合、双方の電波エリアに在圏する移動通信端末機にとって内の基地局の位置が近いので、内の基地局IDの優先度を外よりも高くしておく。このようにしておけば、建物内の移動通信端末機が内と外の基地局の双方の電波エリアに在圏する場合に、優先度の高い建物内の基地局のセクタ中心の緯度経度を用いるようにすれば、より正確に移動通信端末機の位置を特定することが可能となる。
【0022】
また、本発明の請求項10による位置推定システムは、請求項4から8の何れか1項において、前記情報テーブルの各基地局IDに、狭小領域に複数設置された無線基地局であることを示す例外フラグを対応付けておき、前記演算手段は、前記例外フラグが対応付けられた基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求める演算は行わないようにしたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、例外フラグの立つ方の基地局に係るセクタ中心の緯度経度の演算は行わず、つまり、立たない方の基地局に係る緯度経度の演算のみを行うようにした。例えば、例外フラグが屋内等の狭いエリアに複数の基地局が配備されている場合に立てられた場合、狭いエリアに複数の基地局が設置されているので、それら電波から位置を計算するのは不可能となる。従って、その例外フラグの基地局に掛かる演算は行わず、例外フラグが立てられていない基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の推定緯度経度とすれば、適正に移動通信端末機の推定緯度経度位置を求めることができる。
【0024】
また、本発明の請求項11による位置推定システムは、請求項4から8の何れか1項において、前記演算手段は、前記チルト角が0度の場合、当該チルト角が対応付けられた基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求める演算は行わないようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、チルト角が0度の場合、この基地局のセクタ中心の緯度経度は算出不可能なので、チルト角が0度の方の基地局に係る緯度経度推定演算は行わず、チルト角θが0°でない方に係る緯度経度推定演算のみを行うことによって、適正に移動通信端末機の推定緯度経度位置を求めることができる。
【0025】
また、本発明の請求項12による位置推定システムは、請求項10または11において、前記演算手段は、前記例外フラグ又は前記0度のチルト角が対応付けられていない基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とした場合、当該推定緯度経度に乱数にて誤差を付与することを特徴とする。
この構成によれば、移動通信端末機へ無線送信される推定緯度経度情報に誤差が付与されているので、その情報を他の端末機で認識不能とすることが可能となる。
【0026】
また、本発明の請求項13による位置推定システムは、請求項4から7の何れか1項において、前記データベース装置は、前記演算手段に代え、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報中の各基地局の緯度及び経度を読込み、これら基地局の緯度及び経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う第2の演算手段を備え、前記位置送信手段は、前記第2の演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信することを特徴とする。
この構成によれば、移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の基地局の緯度経度の平均値を求め、これを移動通信端末機の緯度経度と推定するようにしたので、1つの基地局の緯度経度情報から端末機位置を推定するよりも精度良く推定することができる。
【0027】
また、本発明の請求項14による位置推定システムは、請求項1から13の何れか1項において、前記データベース装置は、例外場所を定めた地図情報を記憶する地図データベース手段を更に備え、前記演算手段又は前記第2の演算手段は、前記移動通信端末機の推定緯度経度を求めた後、この推定緯度経度が前記地図データベース手段の地図情報の例外場所であれば、当該推定緯度経度の情報を削除する処理を行うことを特徴とする。
この構成によれば、例えば移動通信端末機が陸上に存在するのも拘わらず、演算手段で一旦求めた移動通信端末機の推定緯度経度が例外場所の例えば海上にあると判断された場合、その推定緯度経度の情報は移動通信端末機へ送信されないので、誤った推定緯度経度が移動通信端末機へ送信されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、GPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機の位置を、この移動通信端末機が在圏する無線基地局のセクタ領域よりも更に狭く絞って、より正確に推定することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す第1の実施の形態の位置推定システム10は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機11と、この移動通信端末機11と無線通信で接続される無線基地局13と、この無線基地局13と無線又は有線の通信で接続されるサーバ機能を有する基地局データベース装置15とを備えて構成されており、図示せぬGPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機11の位置を、当該端末機11が在圏する無線基地局13のセクタ領域よりも更に狭く絞って推定可能とした点に特徴がある。この位置推定のための構成を次に説明する。
【0030】
移動通信端末機11は、自機11が在圏する無線基地局13へ自機11の位置取得要求を、図示せぬ通信手段を介した無線通信にて行う位置取得要求部11aと、その位置取得要求に応じて無線基地局13から返信されてくる推定緯度経度の情報を自機11の位置として特定する位置特定部11bとを備えて構成されている。
無線基地局13は、自基地局ID(Identification)を記憶するID記憶部13aと、移動通信端末機11からの位置取得要求の受信時に基地局IDを基地局データベース装置15へ送信するID送信部(ID送信手段)13bと、基地局データベース装置15から返信されてくる推定緯度経度の情報を該当移動通信端末機11へ中継送信する位置中継部(中継手段)13cとを備えて構成されている。
【0031】
また、無線基地局13には、アンテナや無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント等が該当し、更に、基地局IDは、アンテナIDやMAC(Media Access Control address)アドレス等が該当する。この例では、無線基地局13の基地局IDはC1とする。
基地局データベース装置15は、無線基地局の情報が基地局IDに対応付けられた基地局情報テーブル15aを記憶する記憶部15bと、位置推定演算部(演算手段)15cと、位置送信部(位置送信手段)15dとを備えて構成されている。
【0032】
基地局情報テーブル15aは、図2(a)に示すように、基地局IDに、基地局緯度La1、基地局経度Lo1、チルト角θ、アンテナ開き角2θ、アンテナ指向性、アンテナ高hが対応付けられて構成されている。本例は、無線基地局13の基地局情報テーブル15aであり、基地局ID=C1に、基地局緯度La1=20.000、基地局経度Lo1=120.000、チルト角θ=30°、アンテナ開き角2θ=60°、アンテナ指向性=0°、アンテナ高h=100mが対応付けられている。
【0033】
なお、チルト角θは、図3に一例を示すように、無線基地局13のアンテナ頂点から上又は下方向に地面に対して所定角度で出射される主ビーム方向に沿った直線L1と、無線基地局13のアンテナ頂点を地面に対して平行に延長した直線L2との間の角度である。アンテナ開き角2θは、図4に一例を示すようにチルト角θの2倍の角度である。
【0034】
位置推定演算部15cは、移動通信端末機11からの位置取得要求があった無線基地局13からの基地局ID=C1に対応付けられた各種情報を基地局情報テーブル15aから読出し、これら基地局緯度La1=20.000、基地局経度Lo1=120.000、チルト角θ=30°、アンテナ開き角2θ=60°、アンテナ指向性=0°、アンテナ高h=100mに基づき、位置推定対象の移動通信端末機11が在圏する無線基地局13の扇形のセクタの中心(扇形の重心)緯度経度を次に説明する演算によって求め、このセクタ中心の緯度経度を移動通信端末機11の推定位置(推定緯度経度)とする。
【0035】
位置送信部15dは、位置推定演算部15cで得られた推定緯度経度の位置情報を、この情報を求める際に使用した基地局IDの無線基地局13へ送信する。
ここで、位置推定演算部15cによってセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機11の推定緯度経度とする緯度経度推定演算処理を詳細に説明する。
まず、図3に示す無線基地局13の電波エリアであるセルの半径r[m]を求める。これは、無線基地局13のアンテナ高h=100mで、チルト角θ=30°なので、セル半径rは約173mとなる。これがセクタの中心から扇状に拡がる2辺の各々の長さとなる。
次に、図4に示すように、無線基地局13のアンテナ指向性からセクタ中心Sの方向を求め、無線基地局13とセクタ中心Sとの間の距離g[m]を、次式(1)によって求める。
g=(2/3)(r・sinθ/θ) …(1)
【0036】
次に、セクタ中心Sの座標Pを、次式(2)によって求める。
P={g・cos(α+θ),g・sin(α+θ)} …(2)
但し、αは、図4に示すように、緯度又は経度の軸と、セクタの一辺との間の角度である。
上式(2)からセクタ中心Sは、無線基地局13より東にg・cos(α+θ)[m]、北にg・sin(α+θ)[m]離れたところに位置することが求まる。
この距離を緯度経度に換算(1秒単位)して、緯度=30.83m、経度=25.28mが得られたとする。但し、経度は日本付近において約5mの誤差を含む。例えば、札幌では22.6m程度、東京では25.28m程度、那覇では27.8m程度となる。緯度は略誤差は無い。
【0037】
この結果を用いて、セクタ中心Sの緯度経度(LaS,LoS)を求めると、次式(3)のようになる。
(LaS,LoS)={La1+g・cos(α+θ)/30.83,
Lo1+g・sin(α+θ)/25.28} …(3)
この式(3)から求まるセクタ中心Sの緯度経度(LaS,LoS)が、図2(b)に示すように、移動通信端末機11の推定緯度LaM=20°00′03″,推定経度LoM=120°00′00″となる。この移動通信端末機11の推定緯度経度(LaM,LoM)は、該当基地局ID=C1に対応付けられる。
【0038】
このような構成の位置推定システム10によって、GPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機11の緯度経度の位置を推定する際の処理動作を、図1を参照して説明する。
まず、ステップS1において、移動通信端末機11が位置取得要求部11aによって在圏中の無線基地局13へ位置取得要求を行ったとする。この位置取得要求を受信した無線基地局13は、ステップS2において、ID送信部13bによって自基地局ID=C1を基地局データベース装置15へ送信する。
【0039】
基地局データベース装置15は、その基地局ID=C1を受信すると、ステップS3において、位置推定演算部15cで、その受信基地局ID=C1に対応付けられた緯度経度推定演算に必要な情報を基地局情報テーブル15aから読み込んで緯度経度推定演算処理を行う。
即ち、基地局ID=C1に対応付けられた基地局緯度Lo1=20.000、基地局経度La1=120.000、チルト角θ=30°、アンテナ開き角2θ=60°、アンテナ指向性=0°、アンテナ高h=100mを読込み、これらを前述の通り上式(1)〜(3)に代入しながら演算を行って、移動通信端末機11が在圏する無線基地局13のセクタ中心Sの緯度経度(LaS,LoS)を求め、これを移動通信端末機11の推定緯度経度(LaM,LoM)とする。本例では、その推定緯度経度(LaM,LoM)は(20°00′03″,120°00′00″)となる。
【0040】
次に、基地局データベース装置15は、ステップS4において、位置送信部15dで、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を、当該情報が対応する基地局IDの無線基地局13へ返信する。無線基地局13は、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を受信すると、ステップS5において、その情報を位置中継部13cによって、位置取得要求元の移動通信端末機11へ返信する。
【0041】
移動通信端末機11は、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を受信すると、位置特定部11bによって、その受信情報である推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)を、自機11の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど移動通信端末機11の利用者が認識可能に出力される。
このように第1の実施の形態の位置推定システム10によれば、移動通信端末機11がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該端末機11が在圏する無線基地局13のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機11の緯度経度と推定するようにしたので、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に位置推定を行うことができる。
【0042】
また、基地局データベース装置15に一般的にテーブル化されて保持されている基地局IDに対応付けられた基地局緯度La1、基地局経度Lo1、チルト角θ、アンテナ開き角2θ、アンテナ指向性、アンテナ高hの各々の基地局情報を用いて、該当無線基地局13のセクタ中心の緯度経度を演算によって求めることができるので、緯度経度推定演算処理を行う緯度経度推定演算部15cを低コストで実現することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図5に示す第2の実施の形態の位置推定システム20は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機21と、この移動通信端末機21と無線通信で接続される無線基地局23と、この無線基地局23と通信接続される上記説明済みの基地局データベース装置15と、更に、無線基地局23とゲートウェイ装置25を介して通信接続される位置要求端末機27とを備えて構成されている。
【0044】
この位置推定システム20は、パーソナルコンピュータ等の位置要求端末機27で電話番号等の端末IDを指定して該当の移動通信端末機21の位置を取得するための構成を備えており、位置検出対象の移動通信端末機21がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機21の位置を当該端末機21が在圏する無線基地局13のセクタ領域よりも更に狭く絞り推定して取得可能とした点に特徴がある。
【0045】
位置要求端末機27は、位置を取得したい移動通信端末機21の端末IDを指定して位置取得要求をゲートウェイ装置25を介して無線基地局23に行う位置取得要求部27aと、その位置取得要求に応じてゲートウェイ装置25を介して無線基地局23から返信されてくる推定緯度経度の情報を、位置取得先の移動通信端末機21の位置として特定する位置特定部27bとを備えて構成されている。
ゲートウェイ装置25は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)サーバ等のサーバであり、HTTPプロトコル等のプロトコルで位置要求端末機27と無線基地局23間のデータ通信を中継する。
【0046】
無線基地局23は、位置要求端末機27からゲートウェイ装置25を介して受信された端末IDを含む位置取得要求情報を移動通信端末機へ向けて無線送信する要求送信部(要求送信手段)23aと、自基地局ID(例えばC1)を記憶するID記憶部13aと、移動通信端末機21からの位置取得要求に対する応答信号の受信時に基地局IDを、上記説明済みの基地局データベース装置15へ送信するID送信部23bと、基地局データベース装置15から返信されてくる推定緯度経度の情報をゲートウェイ装置25を介して該当位置要求端末機27へ中継送信する位置中継部23cとを備えて構成されている。なお、無線基地局23が要求送信部23aで位置取得要求情報を無線送信した場合、これは、当該無線基地局23の電波エリアに在圏する全ての移動通信端末機に対して行われることになる。
【0047】
移動通信端末機21は、自端末ID(例えばM1)を記憶するID記憶部21aと、無線基地局23から受信した位置取得要求の情報に含まれる端末IDが、ID記憶部21aに記憶された自端末IDと同じか否かを確認し、同じ場合に位置取得要求送信元の無線基地局23へ応答信号を返信する確認応答部(確認応答手段)21bとを備えて構成されている。
【0048】
このような構成の位置推定システム20によって、位置要求端末機27で端末IDを指定して該当の移動通信端末機21の位置を取得する際に、位置検出対象の端末機21がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機21の位置を推定して取得する際の処理動作を説明する。
まず、ステップS1において、位置要求端末機27が位置取得要求部27aによって、位置検出対象の移動通信端末機21の端末ID=M1を指定して位置取得要求を行ったとする。この位置取得要求の情報は、ステップS2において、ゲートウェイ装置25を介して無線基地局23へ送信される。この情報を受信した無線基地局23は、ステップS3において、要求送信部23aで当該位置取得要求の情報を無線エリア全体に無線送信する。
【0049】
この位置取得要求情報が移動通信端末機21で受信されると、当該端末機21は確認応答部21bで、ステップS4において、その受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが、ID記憶部21aに記憶された自端末IDと同じか否かを確認する。この結果、異なれば何も処理は行わないが、同じであればステップS5において、位置取得要求送信元の無線基地局23へ応答信号を返信する。
【0050】
この応答信号を無線基地局23が受信すると、ID送信部23bでID記憶部13aに記憶された自基地局ID=C1を読み出して、ステップS6で基地局データベース装置15へ送信する。
基地局データベース装置15は、その基地局ID=C1を受信すると、ステップS7において、位置推定演算部15cで、その受信基地局ID=C1に対応付けられた緯度経度推定演算に必要な情報を基地局情報テーブル15aから読み込んで緯度経度推定演算処理を行う。この結果は、上述で説明したと同様であるとする。即ち、移動通信端末機21の推定緯度経度(LaM,LoM)は(20°00′03″,120°00′00″)となる。
【0051】
次に、基地局データベース装置15は、ステップS8において、位置送信部15dで、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を、当該情報が対応する基地局IDの無線基地局23へ返信する。無線基地局23は、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を受信すると、ステップS9において、その情報を位置中継部23cによって、ゲートウェイ装置25を介して位置取得要求元の位置要求端末機27へ返信する。
【0052】
位置要求端末機27は、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を受信すると、位置特定部27bによって、その受信情報である推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)を、目的の移動通信端末機21の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど位置要求端末機27の利用者が認識可能に出力される。
【0053】
このように第2の実施の形態の位置推定システム20によれば、位置要求端末機27で電話番号等の端末IDを指定して該当移動通信端末機21の位置を取得する際に、位置検出対象の移動通信端末機21がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機21が在圏する無線基地局23のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機21の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機27へ返信するようにした。これによって、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に移動通信端末機21の位置推定を行って位置要求端末機27へ知らせることができる。
【0054】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図6に示す第3の実施の形態の位置推定システム30は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機31と、この移動通信端末機31と無線通信で接続される無線基地局33と、この無線基地局33と通信接続される上記説明済みの基地局データベース装置15と、更に、無線基地局33とゲートウェイ装置35を介して通信接続される位置取得端末機37とを備えて構成されている。
【0055】
この位置推定システム30は、移動通信端末機31が自機31の位置を、所定の位置取得端末機37へ通知するための構成を備えており、位置検出対象の移動通信端末機31がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機31の位置を当該端末機31が在圏する無線基地局13のセクタ領域よりも更に狭く絞り推定して位置取得端末機37へ通知可能とした点に特徴がある。
移動通信端末機31は、自端末ID(例えばM1)を記憶するID記憶部21aと、所定の位置取得端末機37へこの固有情報である位置取得端末IDを指定し、この位置取得端末ID及び自端末IDを含む位置通知要求情報によって自機31の位置の通知要求を行う位置通知要求部(位置通知要求手段)31aとを備えて構成されている。
【0056】
無線基地局33は、自基地局ID(例えばC1)を記憶するID記憶部13aと、移動通信端末機31から送信されてきた位置通知要求情報の受信時に基地局IDを基地局データベース装置15へ送信するID送信部33aと、基地局データベース装置15から返信されてくる推定緯度経度の情報に該当位置取得端末ID及び位置通知要求元の端末IDを付け、この情報をゲートウェイ装置35へ中継送信する位置中継部33bとを備えて構成されている。
【0057】
ゲートウェイ装置35は、HTTPサーバ等のサーバであり、無線基地局33から受信した推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、このIDの位置取得端末機37へ当該推定緯度経度情報を送信する位置取得端末ID認識送信部(認識送信手段)35aを備えて構成されている。
位置取得端末機37は、ゲートウェイ装置35から推定緯度経度情報を、この情報に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機31の位置として特定する位置特定部37aとを備えて構成されている。
【0058】
このような構成の位置推定システム30によって、移動通信端末機31が自機31の位置を、所定の位置取得端末機37へ通知する際に、位置通知対象の移動通信端末機31がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機31の位置を推定して通知する際の処理動作を説明する。
まず、ステップS1において、移動通信端末機31が位置通知要求部31aによって、所定の位置取得端末機37へ当該端末機37の位置取得端末IDを指定し、この位置取得端末ID及び自端末IDを含む位置通知要求情報によって自機31の位置の通知要求を行ったとする。
【0059】
この位置通知要求情報を無線基地局33が受信すると、ID送信部33aでID記憶部13aに記憶された自基地局ID=C1を読み出してステップS2で基地局データベース装置15へ送信する。
基地局データベース装置15は、その基地局ID=C1を受信すると、ステップS3において、位置推定演算部15cで、その受信基地局ID=C1に対応付けられた緯度経度推定演算に必要な情報を基地局情報テーブル15aから読み込んで緯度経度推定演算処理を行う。この結果は、上述で説明したと同様であるとする。即ち、移動通信端末機31の推定緯度経度(LaM,LoM)は(20°00′03″,120°00′00″)となる。
【0060】
次に、基地局データベース装置15は、ステップS4において、位置送信部15dで、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を、当該情報が対応する基地局IDの無線基地局33へ返信する。無線基地局33は、その推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)の情報を受信すると、位置中継部33bによって、その推定緯度経度の情報に該当位置取得端末ID及び位置通知要求元の端末IDを付け、この推定緯度経度情報をステップS5でゲートウェイ装置35へ送信する。
【0061】
この推定緯度経度情報を受信したゲートウェイ装置35は、位置取得端末ID認識送信部35aで、その受信した推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、ステップS6で、その認識したIDの位置取得端末機37へ当該推定緯度経度情報を送信する。
この推定緯度経度情報を受信した位置取得端末機37は、その受信推定緯度経度(LaM,LoM)=(20°00′03″,120°00′00″)を、当該情報に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機31の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど位置取得端末機37の利用者が認識可能に出力される。
【0062】
このように第3の実施の形態の位置推定システム30によれば、移動通信端末機31が自機31の位置を、所定の位置取得端末機37へ通知する際に、その位置通知元の移動通信端末機31がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その移動通信端末機31が在圏する無線基地局33のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機31の緯度経度と推定し、これをゲートウェイ装置35を介して位置取得端末機37へ通知するようにした。これによって、従来可能であったセクタ領域単位での位置推定よりも更に狭く絞って、より正確に移動通信端末機31の位置推定を行って位置取得端末機37へ知らせることができる。
【0063】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図7に示す第4の実施の形態の位置推定システム40は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機41と、この移動通信端末機41と無線通信で接続される複数の無線基地局43,44と、これら無線基地局43,44と無線又は有線の通信で接続されるサーバ機能を有する基地局データベース装置45とを備えて構成されている。
【0064】
この位置推定システム40は、位置検出対象の移動通信端末機41がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機41の位置を当該端末機41が在圏する複数の無線基地局43,44の情報から推定することで、1つの無線基地局43から端末位置を推定するよりも更に精度良く推定可能とした点に特徴がある。
移動通信端末機41は、位置取得要求部11aと、位置特定部11bと、自機41が在圏中で通信可能(捕捉可能)な無線基地局43,44のID{捕捉基地局ID(=C1,C2)}を記憶する捕捉ID記憶部41aと、通信中の無線基地局43からの捕捉基地局IDの取得要求に応じて捕捉ID記憶部41aに記憶された捕捉基地局IDを要求元基地局43へ送信する捕捉ID送信部(捕捉ID送信手段)41bとを備えて構成されている。
【0065】
無線基地局43は、ID記憶部13aと、位置中継部13cと、移動通信端末機41からの位置取得要求の受信時に、捕捉基地局IDの取得要求を位置取得要求元の移動通信端末機41に対して行う捕捉ID要求部(捕捉ID要求手段)43aと、この捕捉基地局IDの取得要求に応じて送信されてきた捕捉基地局IDを受信し、この捕捉基地局IDを基地局データベース装置45へ送信する捕捉ID送受信部43bとを備えて構成されている。なお、無線基地局44も同構成である。
基地局データベース装置45は、複数の無線基地局の情報が基地局ID毎に対応付けられた基地局情報テーブル45aを記憶する記憶部15bと、位置推定演算部45cと、位置送信部15dとを備えて構成されている。
【0066】
基地局情報テーブル45aは、図8(a)に示すように、2つの基地局ID=C1,C2毎に、基地局緯度La1、基地局経度Lo1、チルト角θ、アンテナ開き角2θ、アンテナ指向性、アンテナ高hが対応付けられて構成されている。本例では、一方の基地局ID=C1に、基地局緯度La1=20.000、基地局経度Lo1=120.000、チルト角θ=30°、アンテナ開き角2θ=60°、アンテナ指向性=0°、アンテナ高h=100mが対応付けられ、他方の基地局ID=C2に、基地局緯度La1=25.000、基地局経度Lo1=150.000、チルト角θ=30°、アンテナ開き角2θ=60°、アンテナ指向性=180°、アンテナ高h=100mが対応付けられている。
【0067】
位置推定演算部45cは、無線基地局43から送信されてきた捕捉基地局ID=C1,C2に各々対応付けられた各基地局情報を用いて、無線基地局43,44毎に上述の緯度経度推定演算によって推定緯度経度を求め、更にそれら推定緯度経度の平均値を求め、この平均値を移動通信端末機41の推定位置(推定緯度経度)とする。この演算処理全体を緯度経度推定平均演算処理と称す。
位置送信部15dは、位置推定演算部45cの緯度経度推定平均演算処理で得られた移動通信端末機41の推定緯度経度の位置情報を、基地局IDの送信元の無線基地局43へ送信する。
【0068】
ここで、位置推定演算部45cによって各無線基地局43,44に係る緯度経度推定演算処理を行った後、平均演算処理を行う内容を詳細に説明する。
基地局ID=C1に係る緯度経度推定演算処理によって求まる推定緯度経度(LaM,LoM)は、上述した通り、図8(b)にも示すように(20°00′03″,120°00′00″)となる。一方、基地局ID=C2に係る緯度経度推定演算処理によって求まる推定緯度経度(LaM,LoM)は、上述した通り、図8(b)にも示すように(24°59′57″,150°00′00″)となる。
これら推定緯度経度の平均値は、(22°50′00″,135°00′00″)となり、これが移動通信端末機41の推定緯度経度となる。
【0069】
このような構成の位置推定システム40によって、GPSと通信不可能な環境下にある移動通信端末機41の緯度経度の位置を推定する際の処理動作を、図7を参照して説明する。
但し、移動通信端末機41は、現在ハンドオーバ可能に2つの無線基地局43,44の無線エリアに在圏中であり、これによって捕捉ID記憶部41aに捕捉基地局ID=C1,C2が記憶されており、また、一方の無線基地局43と通信中であるとする。
【0070】
まず、ステップS1において、移動通信端末機41が位置取得要求部11aによって通信中の無線基地局43へ位置取得要求を行ったとする。この位置取得要求を受信した無線基地局43は、ステップS2において、捕捉ID要求部43aによって捕捉基地局IDの取得要求を位置取得要求元の移動通信端末機41に行う。
この取得要求を受信した移動通信端末機41は、ステップS3において、その取得要求に応じて捕捉ID記憶部41aに記憶された捕捉基地局ID=C1,C2を要求元基地局43へ送信する。
【0071】
無線基地局43は、捕捉ID送受信部43bによって、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信し、ステップS4において、それらID=C1,C2を基地局データベース装置45へ送信する。
基地局データベース装置45は、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信すると、ステップS5において、位置推定演算部45cで、それらの受信捕捉基地局ID=C1,C2に対応付けられた緯度経度推定平均演算に必要な情報を基地局情報テーブル45aから読み込んで緯度経度推定平均演算処理を行う。
【0072】
即ち、基地局ID=C1とC2とに各々対応付けられた基地局情報を読込んで、各々の基地局情報について緯度経度推定演算を行い、これら演算で求められた各推定緯度経度の値の平均を求め、この平均値を移動通信端末機41の推定緯度経度とする。
次に、基地局データベース装置45は、ステップS6において、位置送信部15dで、その推定緯度経度の情報を、当該情報が捕捉基地局ID送信元の無線基地局43へ返信する。無線基地局43は、その推定緯度経度の情報を受信すると、ステップS7において、その推定緯度経度情報を位置中継部13cによって、位置取得要求元の移動通信端末機41へ返信する。
【0073】
移動通信端末機41は、その推定緯度経度情報を受信すると、位置特定部11bによって、その推定緯度経度を、自機11の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど移動通信端末機41の利用者が認識可能に出力される。
このように第4の実施の形態の位置推定システム40によれば、移動通信端末機41がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機41が在圏中の複数の無線基地局43,44毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機41の緯度経度と推定するようにしたので、1つの無線基地局43から移動通信端末機41の位置を推定するよりも更に精度良く推定することができる。
【0074】
(第5の実施の形態)
図9は、本発明の第5の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図9に示す第5の実施の形態の位置推定システム50は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機51と、この移動通信端末機51と無線通信で接続される無線基地局53と、この無線基地局53と通信接続される上記説明済みの基地局データベース装置45と、更に、無線基地局53とゲートウェイ装置25を介して通信接続される位置要求端末機27とを備えて構成されている。
【0075】
この位置推定システム50は、パーソナルコンピュータ等の位置要求端末機27で電話番号等の端末IDを指定して該当の移動通信端末機51の位置を取得するための構成を備えており、位置検出対象の移動通信端末機51がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機51の位置を当該端末機51が在圏する複数の無線基地局53,54の情報から推定することで、1つの無線基地局53から端末位置を推定するよりも更に精度良く推定して取得可能とした点に特徴がある。
【0076】
位置要求端末機27は、位置を取得したい移動通信端末機51の端末IDを指定して位置取得要求をゲートウェイ装置25を介して無線基地局53に行う位置取得要求部27aと、その位置取得要求に応じてゲートウェイ装置25を介して無線基地局53から返信されてくる推定緯度経度の情報を、位置取得先の移動通信端末機51の位置として特定する位置特定部27bとを備えて構成されている。
ゲートウェイ装置25は、HTTPサーバ等のサーバであり、HTTPプロトコル等のプロトコルで位置要求端末機27と無線基地局53間のデータ通信を中継する。
【0077】
無線基地局53は、ID記憶部13aと、位置要求端末機27からゲートウェイ装置25を介して受信された端末IDを含む位置取得要求情報を移動通信端末機へ向けて無線送信する要求送信部(要求送信手段)23aと、その位置取得要求情報に応じて送信されてきた捕捉基地局IDを受信し、この捕捉基地局IDを基地局データベース装置45へ送信する捕捉ID送受信部(ID送受信手段)43bと、位置中継部23cとを備えて構成されている。なお、無線基地局53が要求送信部23aで位置取得要求情報を無線送信した場合、これは、当該無線基地局53の電波エリアに在圏する全ての移動通信端末機に対して行われることになる。また、無線基地局54も同構成である。
【0078】
移動通信端末機51は、自端末ID(例えばM1)を記憶するID記憶部21aと、自機51が在圏中で通信可能(捕捉可能)な無線基地局53,54のID{捕捉基地局ID(=C1,C2)}を記憶する捕捉ID記憶部41aと、無線基地局53から受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが、ID記憶部21aに記憶された自端末IDと同じか否かを確認する確認部51aと、この確認部51aで同じと確認された際に、捕捉ID記憶部41aに記憶された捕捉基地局IDを要求元基地局53へ送信する捕捉ID送信部51bとを備えて構成されている。なお、確認部51aと捕捉ID送信部51bで確認送信手段を構成する。
【0079】
このような構成の位置推定システム50によって、位置要求端末機27で端末IDを指定して該当の移動通信端末機51の位置を取得する際に、位置検出対象の端末機51がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機51の位置を推定して取得する際の処理動作を説明する。
まず、ステップS1において、位置要求端末機27が位置取得要求部27aによって、位置検出対象の移動通信端末機51の端末ID=M1を指定して位置取得要求を行ったとする。この位置取得要求の情報は、ステップS2において、ゲートウェイ装置25を介して無線基地局53へ送信される。この情報を受信した無線基地局53は、ステップS3において、要求送信部23aで当該位置取得要求情報を無線エリア全体に無線送信する。
【0080】
この位置取得要求情報が移動通信端末機51で受信されると、当該端末機21は確認部51aで、ステップS4において、その受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが、ID記憶部21aに記憶された自端末IDと同じか否かを確認する。この結果、異なれば何も処理は行わないが、同じであればステップS5において、捕捉ID送信部51bが捕捉ID記憶部41aに記憶された捕捉基地局ID=C1,C2を要求元基地局53へ送信する。
【0081】
無線基地局43は、捕捉ID送受信部43bによって、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信し、ステップS6において、それらID=C1,C2を基地局データベース装置45へ送信する。
基地局データベース装置45は、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信すると、ステップS7において、位置推定演算部45cで、それらの受信捕捉基地局ID=C1,C2に対応付けられた緯度経度推定平均演算に必要な情報を基地局情報テーブル45aから読み込んで緯度経度推定平均演算処理を行う。
【0082】
即ち、基地局ID=C1とC2とに各々対応付けられた基地局情報を読込んで、各々の基地局情報について緯度経度推定演算を行い、これら演算で求められた各推定緯度経度の値の平均を求め、この平均値を移動通信端末機51の推定緯度経度とする。
次に、基地局データベース装置45は、ステップS8において、位置送信部15dで、その推定緯度経度の情報を、当該情報が捕捉基地局ID送信元の無線基地局43へ返信する。無線基地局43は、その推定緯度経度の情報を受信すると、ステップS9,S10において、その情報を位置中継部23cによって、ゲートウェイ装置25を介して位置取得要求元の位置要求端末機27へ返信する。
【0083】
位置要求端末機27は、その推定緯度経度情報を受信すると、位置特定部27bによって、その受信情報である推定緯度経度を、位置特定部27bで目的の移動通信端末機51の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど位置要求端末機27の利用者が認識可能に出力される。
【0084】
このように第5の実施の形態の位置推定システム40によれば、位置要求端末機27で電話番号等の端末IDを指定して該当移動通信端末機51の位置を取得する際に、移動通信端末機51がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機51が在圏中の複数の無線基地局53,54毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機51の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機27へ返信するようにした。これによって、1つの無線基地局53から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定して位置要求端末機27へ知らせることができる。
【0085】
(第6の実施の形態)
図10は、本発明の第6の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図10に示す第6の実施の形態の位置推定システム60は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機61と、この移動通信端末機61と無線通信で接続される無線基地局63と、この無線基地局63と通信接続される上記説明済みの基地局データベース装置45と、更に、無線基地局63とゲートウェイ装置35を介して通信接続される位置取得端末機37とを備えて構成されている。
【0086】
この位置推定システム60は、移動通信端末機61が自機61の位置を、所定の位置取得端末機37へ通知するための構成を備えており、位置検出対象の移動通信端末機61がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機61の位置を当該端末機61が在圏する複数の無線基地局63,64の情報から推定することで、1つの無線基地局63から端末位置を推定するよりも更に精度良く推定して通知可能とした点に特徴がある。
【0087】
移動通信端末機61は、自端末ID(例えばM1)を記憶するID記憶部21aと、自機61が在圏中で通信可能(捕捉可能)な無線基地局63,64のID{捕捉基地局ID(=C1,C2)}を記憶する捕捉ID記憶部41aと、所定の位置取得端末機37へこの固有情報である位置取得端末IDを指定し、この位置取得端末IDと、各記憶部21a,41aに記憶された自端末ID並びに捕捉基地局IDを含む位置通知要求情報によって自機61の位置の通知要求を行う位置通知要求部(位置通知要求手段)61aとを備えて構成されている。
【0088】
無線基地局63は、ID記憶部13aと、移動通信端末機61から送信されてきた位置通知要求情報を受信し、この情報中の捕捉基地局IDを捕捉ID送信部63bに出力すると共に、位置取得端末ID及び端末IDを位置中継部33bに出力する要求受信部(要求受信手段)63aと、この要求受信部63aからの捕捉基地局IDを基地局データベース装置45へ送信する捕捉ID送受信部43bと、基地局データベース装置45から返信されてくる推定緯度経度の情報に、要求受信部63aからの位置取得端末ID及び端末IDを付け、この情報をゲートウェイ装置35へ中継送信する位置中継部63cとを備えて構成されている。
【0089】
ゲートウェイ装置35は、HTTPサーバ等のサーバであり、無線基地局63から受信した推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、このIDの位置取得端末機37へ当該推定緯度経度情報を送信する位置取得端末ID認識送信部35aを備えて構成されている。
位置取得端末機37は、ゲートウェイ装置35から推定緯度経度情報を、この情報に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機61の位置として特定する位置特定部37aとを備えて構成されている。
【0090】
このような構成の位置推定システム60によって、移動通信端末機61が自機31の位置を所定の位置取得端末機37へ通知する際に、位置通知対象の移動通信端末機61がGPSと通信不可能な環境下にあっても、その端末機61の位置を推定して通知する際の処理動作を説明する。
まず、ステップS1において、移動通信端末機61が位置通知要求部61aによって、所定の位置取得端末機37へ当該端末機37の位置取得端末IDを指定し、この位置取得端末ID及び自端末IDを含む位置通知要求情報によって自機61の位置の通知要求を行ったとする。
【0091】
無線基地局63が要求受信部63aでその位置通知要求情報を受信すると、この受信情報中の捕捉基地局IDを捕捉ID送信部63bに出力し、また、位置取得端末ID及び端末IDを位置中継部33bへ出力し、ステップS2において、捕捉ID送信部63bがその捕捉基地局IDを基地局データベース装置45へ送信する。
基地局データベース装置45は、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信すると、ステップS3において、位置推定演算部45cで、それらの受信捕捉基地局ID=C1,C2に対応付けられた緯度経度推定平均演算に必要な情報を基地局情報テーブル45aから読み込んで緯度経度推定平均演算処理を行う。
【0092】
即ち、基地局ID=C1とC2とに各々対応付けられた基地局情報を読込んで、各々の基地局情報について緯度経度推定演算を行い、これら演算で求められた各推定緯度経度の値の平均を求め、この平均値を移動通信端末機51の推定緯度経度とする。
次に、基地局データベース装置45は、ステップS4おいて、位置送信部15dで、その推定緯度経度の情報を、当該情報が捕捉基地局ID送信元の無線基地局43へ返信する。
無線基地局43は、その推定緯度経度の情報を受信すると、位置中継部63cによって、その推定緯度経度の情報に該当位置取得端末ID及び位置通知要求元の端末IDを付け、この推定緯度経度情報をステップS5でゲートウェイ装置35へ送信する。
【0093】
この推定緯度経度情報を受信したゲートウェイ装置35は、位置取得端末ID認識送信部35aで、その受信した推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、ステップS6で、その認識したIDの位置取得端末機37へ当該推定緯度経度情報を送信する。
この推定緯度経度情報を受信した位置取得端末機37は、その受信推定緯度経度情報を、当該情報に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機61の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど位置取得端末機37の利用者が認識可能に出力される。
【0094】
このように第6の実施の形態の位置推定システム60によれば、移動通信端末機61が自機の位置を所定の位置取得端末機37へ通知する際に、位置通知元の移動通信端末機61がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機61が在圏中の複数の無線基地局63,64毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機61の緯度経度と推定し、これを位置取得端末機37へ通知するようにした。これによって、1つの無線基地局63から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定して位置取得端末機37へ通知することができる。
【0095】
(第7の実施の形態)
図11は、本発明の第7の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
図11に示す第7の実施の形態の位置推定システム70は、W−CDMAの移動体通信システムをベースとするシステムであり、携帯電話機等の移動通信端末機71と、この移動通信端末機71と無線通信で接続される無線基地局73と、この無線基地局73と通信接続される上記説明済みの基地局データベース装置45と、更に、無線基地局73とゲートウェイ装置25を介して通信接続される位置要求端末機27とを備えて構成されている。
【0096】
この位置推定システム70は、位置要求端末機27で端末IDを指定して該当の移動通信端末機71の位置を取得するための構成を備えており、その指定端末IDを無線基地局73へ通知し、この無線基地局73の電波エリアに指定端末IDの移動通信端末機71が在圏すれば当該無線基地局73が他の無線基地局と通信中であっても、当該移動通信端末機71の緯度経度位置を精度良く推定して位置要求端末機27へ返信することを可能とした点に特徴がある。
【0097】
移動通信端末機71は、自端末ID(例えばM1)を記憶するID記憶部21aと、自機51が在圏中で通信可能(捕捉可能)な無線基地局73,74のID{捕捉基地局ID(=C1,C2)}を記憶する捕捉ID記憶部41aと、無線基地局73の電波エリアへの在圏時に当該無線基地局73へ、ID記憶部21aに記憶された自端末IDに捕捉ID記憶部41aに記憶された捕捉基地局IDを対応付けて送信する捕捉ID送信部(捕捉ID送信手段)71aとを備えて構成されている。
【0098】
無線基地局73は、ID記憶部13aと、移動通信端末機71からの端末IDと対の捕捉基地局IDを受信する捕捉ID受信部(捕捉ID受信手段)73aと、この受信された端末IDと対の捕捉基地局IDを記憶する端末ID情報記憶部(端末ID情報記憶手段)73bと、位置要求端末機27からゲートウェイ装置25を介して受信された端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に、当該端末IDの移動通信端末機71が自局エリアに在圏すれば端末ID情報記憶部73bに記憶された該当の端末IDと対の捕捉基地局IDを基地局データベース装置45へ送信する在圏確認ID送信部(在圏確認ID送信手段)73cと、位置中継部23cとを備えて構成されている。なお、無線基地局74も同構成である。
【0099】
このような構成の位置推定システム70によって、位置要求端末機27で端末IDを指定して該当の移動通信端末機71の位置を取得する際の処理動作を説明する。
但し、移動通信端末機71は、無線基地局73,74の双方の電波エリアに在圏し、捕捉ID送信部71aによって、それら無線基地局73,74へ自端末ID=M1に捕捉基地局ID=C1,C2を対応付けて送信済みでありその後無線基地局74と通信中であるとする。
【0100】
まず、ステップS1において、位置要求端末機27が位置取得要求部27aによって、位置検出対象の移動通信端末機71の端末ID=M1を指定して位置取得要求を行ったとする。この位置取得要求の情報は、ステップS2において、ゲートウェイ装置25を介して無線基地局73へ送信される。
無線基地局73は、在圏確認ID送信部73cによって、その位置要求端末機27からの端末IDを含む位置取得要求情報を受信すると、当該端末IDの移動通信端末機71が自局エリアに在圏するか否かを確認する。現在、移動通信端末機71は他の無線基地局74と通信中であるが自基地局73の電波エリアにも在圏するので、端末ID情報記憶部73bに記憶された該当端末ID=M1と対になっている捕捉基地局ID=C1,C2を、ステップS3において基地局データベース装置45へ送信する。
【0101】
基地局データベース装置45は、それら捕捉基地局ID=C1,C2を受信すると、ステップS4において、位置推定演算部45cで、それらの受信捕捉基地局ID=C1,C2に対応付けられた緯度経度推定平均演算に必要な情報を基地局情報テーブル45aから読み込んで緯度経度推定平均演算処理を行う。
即ち、基地局ID=C1とC2とに各々対応付けられた基地局情報を読込んで、各々の基地局情報について緯度経度推定演算を行い、これら演算で求められた各推定緯度経度の値の平均を求め、この平均値を移動通信端末機71の推定緯度経度とする。
【0102】
次に、基地局データベース装置45は、ステップS5において、位置送信部15dで、その推定緯度経度の情報を、当該情報が捕捉基地局ID送信元の無線基地局43へ返信する。無線基地局43は、その推定緯度経度の情報を受信すると、ステップS6,S7において、その情報を位置中継部23cによって、ゲートウェイ装置25を介して位置取得要求元の位置要求端末機27へ返信する。
位置要求端末機27は、その推定緯度経度情報を受信すると、位置特定部27bによって、その受信情報である推定緯度経度を、位置特定部27bで目的の移動通信端末機71の位置として特定する。この特定された緯度経度は図示せぬ表示手段などに表示されたり、音声出力されたりするなど位置要求端末機27の利用者が認識可能に出力される。
【0103】
このように第7の実施の形態の位置推定システム70によれば、その指定端末IDを無線基地局73へ通知し、この無線基地局73の電波エリアに指定端末IDの移動通信端末機71が在圏すれば当該無線基地局73が他の無線基地局と通信中であっても、当該移動通信端末機71が在圏中の複数の無線基地局73,74毎にセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を移動通信端末機71の緯度経度と推定し、これを位置要求端末機27へ返信可能とした。これによって、1つの無線基地局73から端末機位置を推定するよりも更に精度良く推定して位置要求端末機27へ知らせることができる。
【0104】
(第4〜第7の実施の形態の第1応用例)
第1応用例は、図12に示すように、基地局データベース装置45の基地局情報テーブル45aの各基地局ID=C1,C2に、優先度0,1(1が高)を対応付けておき、移動通信端末機が双方の基地局ID=C1,C2の無線基地局の電波エリアに在圏する場合、位置推定演算部45cで上述のように双方の無線基地局のセクタ中心の推定緯度経度を求め、この内、優先度の高い方の推定緯度経度を移動通信端末機の推定緯度経度とするものである。
【0105】
例えば大きい建物の場合その中に無線基地局が配置されており、移動通信端末機が建物内に存在する場合、この移動通信端末機が建物内の無線基地局と、外の無線基地局との双方の電波エリアに在圏するケースがある。この場合、移動通信端末機の位置は建物内なので、移動通信端末機から近い建物内の無線基地局のセクタ中心の緯度経度を用いるようにすれば、より正確に移動通信端末機の位置を特定することが可能となる。
この例の場合、建物内無線基地局を建物外無線基地局よりも優先度を高くしておき、移動通信端末機が双方の無線基地局の電波エリアに在圏する場合、優先度の高い無線基地局のセクタ中心の緯度経度を用いるようにすればよい。
【0106】
(第4〜第7の実施の形態の第2応用例)
第2応用例は、図13に示すように、基地局情報テーブル45aの各基地局ID=C1,C2に、狭小領域に複数設置された無線基地局であることを示す例外フラグ0,1(1がフラグ有り)を対応付けておき、位置推定演算部45cが上述のように移動通信端末機が重複エリアに在圏する際の緯度経度推定演算を行う際に、その例外フラグ1の立つ方の無線基地局に係る緯度経度推定演算は行わないようにした。つまり、立たない方に係る緯度経度推定演算のみを行うようにした。
【0107】
例外フラグ1は、例えば屋内等の狭いエリアに複数の無線基地局アンテナが配備されている場合に立てられる。この場合、狭いエリアに複数のアンテナが設置されているので、それら電波から位置を計算するのは不可能となる。従って、図13の例であれば、基地局ID=C2に係る緯度経度推定演算は行わず、基地局ID=C1の無線基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の推定緯度経度とする。これによって、適正に移動通信端末機の推定緯度経度位置を求めることができる。
【0108】
(第4〜第7の実施の形態の第3応用例)
第3応用例は、図14に示すように、基地局情報テーブル45aの基地局ID=C2のチルト角θが0°の場合に、この無線基地局のセクタ中心の緯度経度は算出不可能なので、位置推定演算部45cが上述のように移動通信端末機が重複エリアに在圏する際の緯度経度推定演算を行う際に、そのチルト角θ=0°の方の無線基地局に係る緯度経度推定演算は行わないようにした。つまり、チルト角θが0°でない方に係る緯度経度推定演算のみを行うようにした。これによって、適正に移動通信端末機の推定緯度経度位置を求めることができる。
【0109】
また、第2及び第3応用例において、位置推定演算部45cは、例外フラグ1又は前記0度のチルト角が対応付けられていない基地局IDの無線基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを移動通信端末機の推定緯度経度とした場合、当該推定緯度経度に乱数にて誤差を付与する演算処理を行う。
これによって、移動通信端末機へ無線送信される推定緯度経度情報に誤差が付与されているので、その情報を他の端末機で認識不能とすることが可能となる。
【0110】
(第4〜第7の実施の形態の第4応用例)
第4応用例は、基地局データベース装置45が位置推定演算部45cに代え、無線基地局からの複数の捕捉基地局ID=C1,C2を受信時に基地局情報テーブル15aから該捕捉基地局ID=C1,C2毎に対応付けられた基地局情報中の各々の基地局緯度及び基地局経度を読込み、これら基地局緯度及び基地局経度の平均値を移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う位置推定演算部(第2の演算手段)を備えた。従って、位置送信部15dは、その位置推定演算部で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当無線基地局へ送信することになる。
これによって、移動通信端末機がGPSと通信不可能な環境下にあっても、当該移動通信端末機が在圏中の複数の無線基地局の緯度経度の平均値を求め、これを移動通信端末機の緯度経度と推定するようにしたので、1つの無線基地局の緯度経度情報から端末機位置を推定するよりも精度良く推定することができる。
【0111】
(第1〜第7の実施の形態の応用例)
本応用例は、図15に示すように、基地局データベース装置45(又は15)に、海上等の例外場所を定めた地図情報を記憶する地図データベース部(地図データベース手段)81を設け、位置推定演算部45c(又は15c)が、上述の緯度経度推定演算によって移動通信端末機の推定緯度経度を求めた後、この推定緯度経度が地図データベース部81の地図情報の例外場所であれば、当該推定緯度経度の情報をクリアするようにしたことに特徴がある。
【0112】
これによって、移動通信端末機が陸上に存在するのも拘わらず、位置推定演算部45c(又は15c)で一旦求めた移動通信端末機の推定緯度経度が例外場所の例えば海上にあると判断された場合、その推定緯度経度の情報は移動通信端末機へ送信されないので、誤った推定緯度経度が移動通信端末機へ送信されることを防止することができる。更に、本応用例の構成は、上記第1〜第4応用例の構成に組合せることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の位置推定システムは、W−CDMAで無線通信を行う携帯電話機等の移動通信端末機がGPSと通信できない環境下において、無線基地局から受信する情報に基づき位置を推定する用途に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)1つの基地局IDに対の基地局情報の基地局情報テーブル、(b)1つの基地局IDに対の推定緯度及び経度を示す図である。
【図3】基地局のアンテナ高h、チルト角θ、セル半径rを示す図である。
【図4】基地局の原点、緯度(北緯)及び経度(東経)の軸、基地局のセクタ中心S、基地局とセクタ中心Sとの間の距離g、緯度又は経度の軸とセクタの一辺との間の角度αを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図8】(a)2つの基地局IDに各々対の基地局情報の基地局情報テーブル、(b)2つの基地局IDに各々対の推定緯度及び経度を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【図12】2つの基地局IDに各々対応付けられた優先度を示す図である。
【図13】2つの基地局IDに各々例外フラグが対応付けられた基地局情報テーブルを示す図である。
【図14】一方の基地局IDに対応付けられたチルト角θが0°の場合の基地局情報テーブルを示す図である。
【図15】上記位置推定システムの地図データベース部を備えた基地局データベース装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0115】
10,20,30,40,50,60,70 位置推定システム
11,21,31,41,51,61,71 移動通信端末機
13,23,33,43,53,63,73 無線基地局
15,45 基地局データベース装置
11a 位置取得要求部
11b 位置特定部
13a ID記憶部
13b,23b,33a ID送信部
15a,45a 基地局情報テーブル
15b 記憶部
15c,45c 位置推定演算部
15d 位置送信部
21a,41a ID記憶部
21b 確認応答部
23a 要求送信部
23c,33b,63c 位置中継部
25,35 ゲートウェイ装置
27 位置要求端末機
27a 位置取得要求部
27b,37a 位置特定部
31a,61a 位置通知要求部
35a 位置取得端末ID認識送信部
41b,51b,63b,71a 捕捉ID送信部
43a 捕捉ID要求部
43b 捕捉ID送受信部
51a 認識部
63a 要求受信部
73a 捕捉ID受信部
73b 端末ID情報記憶部
73c 在圏確認ID送信部
81 地図データベース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、このデータベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記基地局は、前記移動通信端末機からの位置取得要求時に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の移動通信端末機へ中継送信する中継手段とを備え、
前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記移動通信端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を自機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、固有情報である自機の端末IDを保持する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に前記位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記基地局は、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該情報を移動通信端末機へ送信する要求送信手段と、この手段で送信された位置取得要求に応じた移動通信端末機からの応答信号を受信した際に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、
前記移動通信端末機は、前記基地局から受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが自機に保持する端末IDと同じ場合に位置取得要求送信元の基地局へ前記応答信号を返信する確認応答手段を備え、
前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項3】
固有情報である自機の端末IDを保持する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に中継サーバを介して位置取得端末機と通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、該基地局IDに対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、移動通信端末機が自機の位置を該位置取得端末機へ通知する際に、該データベース装置でその移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記移動通信端末機は、前記位置取得端末機の固有情報である位置取得端末ID及び自機の端末IDを含めた位置通知要求情報によって自機の位置を位置取得端末機へ通知する要求を行う位置通知要求手段を備え、
前記基地局は、前記位置通知要求情報の受信時に前記基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度情報に前記位置取得端末ID及び位置通知要求元の端末IDを付け、この推定緯度経度情報を前記中継サーバへ送信する中継手段とを備え、
前記中継サーバは、前記基地局からの推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、この認識IDの位置取得端末機へ当該推定緯度経度情報を送信する認識送信手段を備え、
前記データベース装置は、前記基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該基地局IDに対応付けられた前記基地局情報を読込み、この基地局情報を用いた所定の演算によって、前記基地局の電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記位置取得端末機は、前記中継サーバから送信されてきた推定緯度経度情報を、この中に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項4】
固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、このデータベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記移動通信端末機は、自機の位置取得要求により基地局から送信されてくる前記捕捉基地局IDの取得要求に応じて自機が保持する複数の捕捉基地局IDを該取得要求元の基地局へ送信する捕捉ID送信手段と、
前記基地局は、前記移動通信端末機からの位置取得要求時に前記捕捉基地局IDの取得要求を行う捕捉ID要求手段と、その取得要求で送信されてきた複数の捕捉基地局IDを受信し、これら捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の移動通信端末機へ中継送信する中継手段とを備え、
前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記移動通信端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を自機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項5】
任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、この位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記基地局は、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該情報を移動通信端末機へ送信する要求送信手段と、この手段で送信された位置取得要求に応じた移動通信端末機からの複数の捕捉基地局IDを受信し、これら捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、
前記移動通信端末機は、前記基地局から受信した位置取得要求情報に含まれる端末IDが自機に保持する端末IDと同じ場合に、自機が保持する複数の捕捉基地局IDを該位置取得要求情報送信元の基地局へ送信する確認送信手段を備え、
前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項6】
無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局ID及び固有情報である自機の端末IDを記憶する移動通信端末機と、この移動通信端末機と無線通信を行うと共に中継サーバを介して位置取得端末機と通信を行う基地局と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、移動通信端末機が自機の位置を該位置取得端末機へ通知する際に、該データベース装置でその移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記移動通信端末機は、前記位置取得端末機の固有情報である位置取得端末IDと、前記捕捉基地局ID及び自機の端末IDを含めた位置通知要求情報によって自機の位置を位置取得端末機へ通知する要求を行う位置通知要求手段を備え、
前記基地局は、前記位置通知要求情報を受信し、この情報中の捕捉基地局ID、位置取得端末ID及び端末IDを得る要求受信手段と、この手段で得られた捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信するID送受信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度情報に前記要求受信手段で得られた位置取得端末ID及び端末IDを付け、この推定緯度経度情報を前記中継サーバへ送信する中継手段とを備え、
前記中継サーバは、前記基地局からの推定緯度経度情報に含まれる位置取得端末IDを認識し、この認識IDの位置取得端末機へ当該推定緯度経度情報を送信する認識送信手段を備え、
前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記位置取得端末機は、前記中継サーバから送信されてきた推定緯度経度情報を、この中に含まれる位置通知要求元の端末IDの移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項7】
任意の移動通信端末機の端末IDを指定して該当移動通信端末機の位置取得要求を行う位置要求端末機と、この位置要求端末機と中継サーバを介して通信を行い、また固有情報である自局の基地局IDを保持する基地局と、無線通信で捕捉可能な複数の基地局のIDである各捕捉基地局IDを記憶する移動通信端末機と、基地局ID毎に対応付けられた基地局の緯度及び経度、チルト角、アンテナ開き角、アンテナ指向性、アンテナ高の基地局情報を有する情報テーブルを保持するデータベース装置とを有し、該位置取得要求時に該データベース装置で該基地局の電波エリアに在圏する移動通信端末機の位置を推定する位置推定システムにおいて、
前記移動通信端末機は、前記基地局の電波エリアへの在圏時に当該基地局へ、自機の端末IDに前記捕捉基地局IDを対応付けて送信する捕捉ID送信手段を備え、
前記基地局は、前記移動通信端末機からの端末IDと対の捕捉基地局IDを受信する捕捉ID受信手段と、この受信された端末IDと対の捕捉基地局IDを記憶する端末ID情報記憶手段と、前記位置取得要求時の端末IDを含む位置取得要求情報を受信した際に当該端末IDの移動通信端末機が自局エリアに在圏すれば前記端末ID情報記憶手段に記憶された該当端末IDと対の捕捉基地局IDを前記データベース装置へ送信する在圏確認ID送信手段と、前記データベース装置から送信されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求元の前記要求端末機へ中継送信する中継手段とを備え、
前記データベース装置は、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報を読込み、これらの基地局情報を用いた所定の演算によって、各捕捉基地局IDの基地局毎に電波エリア内のセクタの重心であるセクタ中心の緯度経度を求め、これら緯度経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う演算手段と、この演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信する位置送信手段とを備え、
前記要求端末機は、前記中継されてきた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を、位置取得要求対象の移動通信端末機の緯度経度の位置情報として特定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項8】
前記演算手段は、前記セクタ中心の緯度経度を求める際に、前記基地局情報の内、前記チルト角及び前記アンテナ高の情報を用いて前記基地局の電波エリアのセル半径を求め、このセル半径、前記アンテナ指向性及び前記アンテナ開き角の情報を用いて当該基地局とセクタ中心との間の距離を求めたのち当該セクタ中心の位置座標を求め、この位置座標をもとに解る基地局からセクタ中心までの距離を緯度経度に換算し、この換算緯度経度及び前記基地局の緯度及び経度の情報を用いてセクタ中心の緯度経度を求める演算を行うことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の位置推定システム。
【請求項9】
前記情報テーブルの各基地局IDに優先度を対応付けておき、前記演算手段は、前記基地局毎にセクタ中心の緯度経度を求めた後、前記優先度の高い基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を、前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行うことを特徴とする請求項4から8の何れか1項に記載の位置推定システム。
【請求項10】
前記情報テーブルの各基地局IDに、狭小領域に複数設置された無線基地局であることを示す例外フラグを対応付けておき、前記演算手段は、前記例外フラグが対応付けられた基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求める演算は行わないようにしたことを特徴とする請求項4から8の何れか1項に記載の位置推定システム。
【請求項11】
前記演算手段は、前記チルト角が0度の場合、当該チルト角が対応付けられた基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求める演算は行わないようにしたことを特徴とする請求項4から8の何れか1項に記載の位置推定システム。
【請求項12】
前記演算手段は、前記例外フラグ又は前記0度のチルト角が対応付けられていない基地局IDの基地局のセクタ中心の緯度経度を求め、これを前記移動通信端末機の推定緯度経度とした場合、当該推定緯度経度に乱数にて誤差を付与することを特徴とする請求項10または11に記載の位置推定システム。
【請求項13】
前記データベース装置は、前記演算手段に代え、前記複数の捕捉基地局IDを受信時に前記情報テーブルから該捕捉基地局ID毎に対応付けられた前記基地局情報中の各基地局の緯度及び経度を読込み、これら基地局の緯度及び経度の平均値を前記移動通信端末機の推定緯度経度とする処理を行う第2の演算手段を備え、前記位置送信手段は、前記第2の演算手段で得られた移動通信端末機の推定緯度経度の情報を該当基地局へ送信することを特徴とする請求項4から7の何れか1項に記載の位置推定システム。
【請求項14】
前記データベース装置は、例外場所を定めた地図情報を記憶する地図データベース手段を更に備え、前記演算手段又は前記第2の演算手段は、前記移動通信端末機の推定緯度経度を求めた後、この推定緯度経度が前記地図データベース手段の地図情報の例外場所であれば、当該推定緯度経度の情報を削除する処理を行うことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の位置推定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−10638(P2009−10638A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169570(P2007−169570)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】