位置測定方法及び位置測定装置
【目的】 複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置測定する場合において位置測定精度を向上する「位置測定方法及び位置測定装置」を提供することである。
【構成】 複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する場合、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データにフラグを付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにもフラグが付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて加重平均により目標物の位置を決定し、いずれかの位置データにフラグが付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する。
【構成】 複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する場合、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データにフラグを付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにもフラグが付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて加重平均により目標物の位置を決定し、いずれかの位置データにフラグが付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定方法及び位置測定装置に係わり、特に複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法及び位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広角レーダ装置を用いて、周辺の車両や障害物の位置を検出し、その位置情報に基づいて警報をユーザに提示するシステムがある。広角レーダ装置は、少数の送受信アンテナ素子を備え、各送信アンテナ素子から幅広のビームを繰り返し放射し、ターゲット(目標物)に反射した反射ビームを対応する受信アンテナ素子で受信する。しかる後、レーダ信号解析部において受信波と送信波の時間差より距離を計測し、周波数の変化分より速度を算出する。また、それぞれの送受信アンテナにおける反射強度を比重計算することで、ターゲットの方向を算出する。
【0003】
図6は広角レーダ装置としてのFM-CWレーダの概略構成図である。FM-CWレーダはCWレーダ(Continuous Wave Rader)の送信信号にFM変調を施して送信し、目標物からの反射波を受信する。すなわち、周波数可変発振器1は入力電圧に応じて発振周波数(中心周波数はf0)を変化し、FM変調電圧発生部2は所定の直流分を中心に周期的に三角状に変化するFM変調電圧を発生して周波数可変発振器1に入力する。方向結合器3は周波数可変発振器1から出力される三角状のFM変調信号を送信アンテナ4と反射信号受信側に入力する。送信アンテナ4はFM変調信号を目標物に向けて放射し、受信アンテナ5は目標物で反射して戻ってきた反射信号を受信する。ミキサ6は反射信号(受信信号)と送信信号を混合して両信号間のビート信号を出力し、信号処理部7はビート信号周波数を検出して目標物までの距離R、目標物との相対速度Vを計算する。
FMを三角波の繰り返しで行なうものとすると、送信信号の周波数と時間の関係は図7の実線で示すようになり、距離Rのところに存在する目標物(静止しているものとする)からの反射信号の周波数と時間の関係は同図の点線で示すようになる。この結果、送信信号と反射信号間のビート信号周波数frは図8に示すようになり、このビート信号周波数を測定すれば、目標物までの距離を検出できるすなわち、FMの繰り返し周波数をfm,FMの周波数偏移幅をΔfとすれば、距離Rの目標物からの反射信号と送信信号間のビート信号周波数frは次式
fr=4R・fm・Δf/c (cは光速) (1)
で与えられる。
【0004】
以上は目標物が静止している場合であるが、目標物が移動している場合には、ドプラ効果により送信信号と受信信号の周波数対時間の関係は図9に示すようになる。すなわち、ビート信号周波数frは図10に示すように、固定した目標物の場合のビート信号周波数frにドプラ周波数fdを重畳したものとなる。そして、その方向は各変調サイクル毎に正負と交互に変わるから、目標物が移動している場合のビート信号周波数fbは次式で与えられる。
fb=fr−fd (負の場合) (2)
fb=fr+fd (正の場合) (3)
ただし、
fd=2V・f0/c (Vは目標物との相対速度) (4)
したがって、変調の各サイクル毎にfb(正)とfb(負)を別々に測定すれば、frとfd、すなわち、目標物までの距離Rと相対速度Vをそれぞれ別々に求めることができる。具体的には、(2)、(3)式より測定したfb(正)とfb(負)を加算して2で割ればfr、すなわち、目標物までの距離Rが求まり、fb(正)から fb(負)を減算して2で割ればfd、すなわち、相対速度Vが求まる。
【0005】
以上は目標物までの距離R及び相対速度Vを測定する原理であるが、目標物の方向は以下のように測定できる。一般にレーダは非常に鋭い指向性を持ったアンテナ素子を密に配置し、そのアンテナから電磁波を送信し、そのエコーが返ってきたアンテナの方向を目標物の方向とすることができる。しかし、広角レーダは図11(a)に示すように少ない(図では2個)のアンテナ素子Aw,Bwで構成され、さらにビーム幅が広く指向性が鋭くないため、エコーが返ってきたアンテナの方向を目標物TGの方位角とすることができない。
そこで、広角レーダ装置では、複数のアンテナで受信した信号電力を比較する方法で目標物の方位角を算出する。通常レーダで使用するアンテナは利得を持っており、放射する電力が強ければそれに比例して受信電力が強くなり、また、ビーム中心方向(法線方向)から両側に外れるほど受信電力が小さくなる。図11(b)はアンテナ素子Awの法線方向を00としたときの利得であり、ビーム幅が680の場合の例である。2つのアンテナ素子Aw,Bwを図11(a)に示すように、それぞれの法線方向をずらして配置すれば、各アンテナAw,Bwの利得は図11(c)における実線、点線で示すようになる。したがって、2つのビームの差を演算すれば、図11(d)に示すように2つのアンテナの法線方向の範囲RA(00〜340)でほぼ直線となる。これより、受信電力の差を演算することにより目標物の方位角θを求めることができる。
【0006】
図12は広角レーダ装置の構成図であり、第1、第2の送受信部11,12はそれぞれ図6に示す周波数可変発振器1、FM変調電圧発生部2、方向結合器3、ミキサ6、信号処理部7で構成されている。第1、第2の送受信部11、12はそれぞれ送受信制御を行い、中心周波数が異なるFM変調信号(ビームAw,Bw)を送信アンテナATS1,ATS2から送信し、目標物TGからの反射波を受信アンテナATR1,ATR2より受信し、目標物までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定し、反射強度検出部13、14は第1、第2の受信アンテナATR1,ATR2により受信した信号の強度、すなわち反射波強度を検出し、方向演算部15は第1、第2の反射波強度の差を演算し、該差に基づいて目標物の方向θを演算して出力する。
第1の位置算出部16は測定された距離R1、相対速度V1、目標物の方向θを用いて目標物の位置X1,Y1を算出し、第2の位置算出部17は測定された距離R2、相対速度V2、目標物の方向θを用いて目標物の位置X2,Y2を算出し、目標物位置決定部18は第1、第2の位置算出部16、17が算出した位置データを用いて加重平均により例えば次式
XA=(X1+X2)/2 (5a)
YA=(Y1+Y2)/2 (5b)
により目標物の位置XA,YAを計算して出力する。図11(a)に示すように広角レーダ装置が1つの目標物TGのみを捕捉している場合には、上式により目標物の位置を正しく測定することができる。しかし、図13に示すように着目している目標物TGのほかに他の物体(看板などの障害物)OBTを同時に捕捉する場合に問題が生じる。
【0007】
図13(a)に示すように目標物(例えば車両)TGまでの距離と看板などの測定障害物(以後単に障害物という)OBTまでの距離が異なれば、広角レーダ装置は目標物TGと障害物OBTを異なる物体として識別でき、第2の位置算出部17から出力される位置データX2,Y2を目標物TGの位置データXA,YAとして出力できる。しかし、走行により図13(b)に示すように目標物TGまでの距離と障害物OBTまでの距離がほぼ等しくなると、目標物位置決定部18は目標物TGと障害物OBTを同一物体として認識し、(5a),(5b)式により目標物の位置データを算出する。この結果、算出された目標物の位置は目標物TGと障害物OBTの中間点PMとなり、位置測定誤差が大きくなる。
【0008】
上述のように広角レーダ装置は位置測定精度が低いため、該レーダ装置を複数使用して、それぞれの出力から補完、論理的演算などの手法により(見かけ上の)精度を高める方法が知られている。しかし、等距離に他の反射物があると、レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になっている。図14、図15はかかる点を説明する説明図である。
目標物位置測定に際しては、図15(a)に示すように図12に示す広角レーダ装置21A,21Bを車両22の両側に装着し、それぞれの広角レーダ装置で目標物TGまでの位置を測定する。広角レーダ装置21A,21Bが1つの同一の目標物を捕捉している場合には、図14(b)に示すように各装置が出力する位置データ(XA,YA),(XB,YB) の加重平均位置(中間位置)Pcが目標物の位置(XC,YC)となり、何らの問題はない。尚、図14において、三角形は広角レーダ装置の照射範囲を模式的に表したものである。
しかし、図15(a)に示ように、第1の広角レーダ装置21Aが等距離に目標物TGと障害物(看板)OBTを同時に捕捉し、第2の広角レーダ装置21Bが目標物TGのみを捕捉するような場合に問題が生じる。すなわち、第2の広角レーダ装置21Bは、図15(c)に示すように障害物OBTを捕捉せず、目標物TGのみを捕捉している為、位置データPB (XB,YB)をある程度の精度で算出して出力する。しかし、第1の広角レーダ装置21Aは図15(b)より明らかなように等距離に目標物である車両TGと障害物である看板OBTの2つを捉えている。このため、前述したように二つの物体TG,OBTは、レーダ装置内部の演算において同一物体と認識され、第1の広角レーダ装置21Aは、図15(d)に示すように2物体TG、OBTの中間点の位置データPA′(XA′,YA′)を目標物の位置データとして出力する。この結果、位置決定部は図15(e)に示すように第1、第2の広角レーダ装置21A,21Bが出力する位置データPA′(XA′,YA′)、PB (XB,YB)を加重平均して得られるPA′、PBの中間点Pを目標物の位置として出力することになり、測定誤差が大きくなる。
【0009】
以上のように、複数の広角レーダ装置を用いた位置測定に際して、1つの広角レーダ装置が等距離に目標物TGと測定障害物(看板)OBTを同時に捕捉すると、該広角レーダ装置が出力する位置データの測定誤差が大きくなり、複数の広角レーダ装置を用いても位置測定精度を向上することができない問題が生じる。
そこで、補足した物体が同一物体であるか異なる物体であるかを識別する第1の従来技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、異なる2以上の目標物が接近しても正しく着目している目標物を追尾できるようにした第2の従来技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−21647号公報
【特許文献2】特開2000−9834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第1従来技術では、複数の探査方向において距離及び速度が等しい2つの物体が検出されたとき、両物体間の角度を調べ、該角度が車線幅に応じた角度以下であれば同一物体、以上であれば異なる物体であると識別する。しかし、第1従来技術は一定の角度毎に探査を行なうレーダ装置を対象とするもので、広角レーダ装置を対象とするものはない。このため、第1従来技術は、複数の広角レーダ装置を使用する位置測定に際して測定誤差を減少する目的に適用できない。
また、第2従来技術の追尾装置は、レーダの受信信号によって得られた目標物の位置情報と受信信号の強度情報とから、目標物の反射断面積を求め、各目標物の位置情報における相関を求めると共に、目標物の反射断面積情報における相関を求め、位置の相関と反射断面積の相関があるかにより着目目標物を識別して航跡情報を求める。この第2従来技術の追尾装置は、着目目標物を識別して航跡情報を求めるものであるが、1台の広角レーダ装置を用いるものであり、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定するものではなく、しかも、複数の広角レーダ装置を用いて測定する目標物の位置測定精度を向上するものではない。
以上から、本発明の目的は、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置測定する場合、位置測定精度を向上することである。
本発明の別の目的は、少なくとも1つの広角レーダ装置が等距離に目標物と障害物(看板)OBTを同時に捕捉しても位置測定精度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は本発明によれば、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法および位置測定装置により達成される。
本発明の位置測定方法は、複数の広角レーダ装置のそれぞれにおいて、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を計算し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を計算する。目標物の位置計算に際して、分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を計算する。
各広角レーダ装置は、目標物の位置を測定する複数の位置測定部を備え、各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する。
本発明の位置測定装置は、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して該目標物の位置を測定すると共に、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったか監視し、分離不可能になったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加する複数の広角レーダ装置、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する目標物位置決定部を備えている。
本発明の位置測定装置において、広角レーダ装置は、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して目標物の位置をそれぞれ測定する複数の位置測定部、各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した目標物の位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する位置決定部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき、換言すれば測定した位置データの測定誤差が大きくなったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて例えば加重平均により目標物の位置を計算し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を計算するようにしたから、測定誤差が大きい位置データを特定でき、しかも、該位置データを除外して目標物の位置を決定できるため、目標物の位置測定精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する場合、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて加重平均により目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する。物体分離が可能であるか不可能であるかは、各広角レーダ装置に目標物の位置を測定する複数の位置測定部を設けて行なう。すなわち、広角レーダ装置は各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した目標物の位置データに分離不可能情報を付加して出力する。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の広角レーダ装置の構成図であり、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して対象物体の位置を測定する第1、第2の位置測定部51、52、反射波の強度を検出する反射強度検出部53、54、反射波の強度を用いて目標物の方位を演算する方向演算部55、第1、第2の位置測定部51、52により測定された物体までの距離R1,R2に基づいて同一物体であるか、異なる物体であるかを判定する異物体検出部56、第1、第2の位置測定部51、52が測定した位置データに基づいて目標物の位置を決定する位置決定部57を備えている。第1、第2の位置測定部51、52はそれぞれ送受信部51a,52aおよび位置算出部51b、52bを有している。
第1、第2の送受信部51a, 52aはそれぞれ図6に示す周波数可変発振器1、FM変調電圧発生部2、方向結合器3、ミキサ6、信号処理部7で構成されており、それぞれ中心周波数が異なるFM変調信号(ビームAw,Bw)を送信アンテナATS1,ATS2から送信し、目標物TGからの反射波を受信アンテナATR1,ATR2より受信し、目標物までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定する。第1の位置算出部51bは、第1の送受信部51aにより測定された距離R1、相対速度V1並びに方位角θを用いて第1の位置X1,Y1を算出し、また、第2の位置算出部52bは、第2の送受信部52aにより測定された距離R2、相対速度V2並びに方位角θを用いて第2の位置X2,Y2を算出して位置決定部57に入力する。反射強度検出部53、54は第1、第2の受信アンテナATR1,ATR2により受信した信号の強度、すなわち反射波強度を検出し、方向演算部55は第1、第2の反射波強度の差を演算し、該差に基づいて目標物の方向θを演算して出力する。
【0015】
異物体検出部56は第1、第2の送受信部51a,52aが測定した距離R1,R2が等しいか、換言すれば距離R1,R2の差が設定値以下であるかにより広角レーダ装置が1つの目標物を捕捉しているか、異なる2つの物体を補足しているか判断する。すなわち、距離差が設定値より小さければ第1、第2の送受信部51a, 52aは同一物体TGまでの距離を測定したものであり、1つの物体を補足していると判定する(図2(A)参照)。一方、距離差が設定値より大きければ第1、第2の送受信部51a, 52aは異なる物体TG,OBTまでの距離を測定したものであり、異なる2つの物体を補足していると判定する(図2(b)参照)。なお、図2(b)に示すように距離差が大きくて異なる物体であると判定されている状態において、走行により図2(c)に示すように距離差が小さくなって設定値以下になると物体TG,OBTは同一物体とみなされ、物体分離不可能となる。
位置決定部57は、第1、第2の位置測定部51,52により算出された第1の位置X1,Y1、第2の位置X2,Y2及び異物体を検出しているか否かに応じて図3のフローにしたがって目標物の位置を決定して出力する。
【0016】
図3は本発明の広角レーダ装置の位置決定フローである。
第1、第2の位置測定部51、52は所定時間T毎に物体までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定すると共に、測定距離R1、相対速度V1、方位角θを用いて第1の位置X1,Y1、第2位置X2,Y2を算出する(ステップ100)。
異物体検出部56は第1、第2の位置測定部51,52が測定した距離R1,R2の距離差が許容範囲内であるか判断し(ステップ101)、最大許容値以下であれば広角レーダ装置は1つの目標物を捕捉しており(図2(a))、第1、第2の位置測定部51,52が算出した第1位置X1,Y1、第2位置X2,Y2は同一の目標物TGの位置データであると判定し、次式
XA=(X1+X2)/2 (6a)
YA=(Y1+Y2)/2 (6b)
により目標物の位置XA,YAを計算して出力するとともに、物体分離不可能フラグFEAを"0"にして出力する(ステップ102)。FEAは物体分離不可能を特定するためのフラグであり、FEA=1は測定誤差が大きく、信頼度が小さいことを意味する。
以上のように、広角レーダ装置が1つの目標物TGのみを捕捉している場合には、上式により目標物の位置を測定することができ、測定精度を向上できる。
ステップ101において、距離差が許容範囲外であれば異なる物体(目標物TG、障害物OBT)を検出しているものと判定し(図2(b))、第1、第2の位置測定部51,52が測定した物体のそれぞれの位置履歴データを用いて所定時間T後の各物体の位置を予測する(ステップ103)。ついで、各予測点までの距離を計算し、距離差が設定値以下であるかチェックし、チェック結果を保存する(ステップ104)。
【0017】
ついで、所定時間T経過後に第1、第2の位置測定部51、52は物体までの距離R1,R2、相対速度V1,V2を測定すると共に、第1、第2の位置(X1,Y1)、(X2,Y2)を計算して位置決定部57に入力する(ステップ105)。位置決定部57は、ステップ104で保存してあるチェック結果を参照し(ステップ106)、予測点までの距離差が設定値以上であれば、2物体のうち着目物体である目標物TGのみを捕捉している第2位置測定部52から入力する第2の位置(X2,Y2)を用いて
XA=X2
YA=Y2
とするとともに、物体分離不可能フラグFEAを"0"にして出力する(ステップ107)。尚、図2(b)に示す状態では第2位置測定部52が目標物のみを補足しているが、図2(d)に示す状態では、第1位置測定部51が目標物のみを補足している。かかる場合には、ステップ107において、
XA=X1
YA=Y1
とする。
以後、走行により、ステップ106において、各予測点までの距離差が設定値以下になれば(図2(c))、位置決定部57は、物体が1つであると判定して(6a),(6b)式により目標物の位置XA,YAを計算して出力するとともに、物体分離不可能フラグFEAを"1"にして出力する(ステップ108)。すなわち、出力する位置データXA,YAは物体分離不可能になった状態における位置データであり、信頼度が低いデータであることを示すフラグFEAを"1"にして出力する。
【0018】
図4は複数(図では2つ)の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を決定して出力する位置測定装置の構成図である。広角レーダ装置50,60は図1に示す構成を備え、第1の広角レーダ装置50は測定した目標物の位置データXA,YAと物体分離不可能フラグFEAを出力し、第2の広角レーダ装置60は同様に目標物の位置データXB,YBと物体分離不可能フラグFEBを出力する。目標物位置決定部70は、物体分離不可能フラグFEA,FEBを参照して位置データXA,YA:XB,YBを用いて目標物の位置X,Yを決定して出力する。
図5は目標物位置決定部70の位置決定処理フローである。
まず、第1、第2の広角レーダ装置が測定した目標物の位置が近接しているかチェックする(ステップ201)。すなわち、位置データXA,YA:XB,YBを用いてそれぞれが測定した2点間の距離を求め、距離が設定値以下であるかチェックする。
第1、第2の広角レーダ装置が測定した2点が近接していれば、第1、第2の広角レーダ装置は同一の1つの目標物の位置を測定したものと判定し、次式
X=(XA+XB)/2
Y=(YA+YB)/2
により、目標物の位置(X,Y)を計算して出力する(ステップ202)。
一方、第1、第2の広角レーダ装置が測定した目標物の位置が近接していなければ、物体分離不可能フラグFEA,FEBが何れも0であるかチェックし(ステップ203)、FEA=FEB=0であれば、位置データXA,YA:XB,YBの信頼度は大きいから、第1、第2の広角レーダ装置50,60は同一の目標物の位置を測定したものと判定し、ステップ202により目標物の位置(X,Y)を計算して出力する。
【0019】
しかし、FEA,FEBの少なくとも1つが1であれば、FEA,FEBの両方が1であるかチェックし(ステップ204)、FEA,FEBの両方が共に1であれば、位置データXA,YA:XB,YBの測定誤差が大きいから、これらの値を採用せずそれまでの位置軌跡データより目標物の位置を推定し、推定値XP,YPを目標物のX,Y座標として出力する(ステップ205)。
ステップ204において、FEA,FEBの両方が1でなければ、FEAが1であるかチェックし(ステップ206)、FEA=1であればFEB=0であり、第2広角レーダ装置60が測定した位置データXB,YBの信頼度が大きく、第1広角レーダ装置50が測定した位置データXA,YAの測定誤差が大きいから、X=XB,Y=YBとして出力する(ステップ207)。
ステップ206において、FEA=1でなければFEB=1であり、第1広角レーダ装置50が測定した位置データXA,YAの信頼度が大きく、第2広角レーダ装置60が測定した位置データXB,YBの測定誤差が大きいから、X=XA,Y=YAとして出力する(ステップ208)。
以上本発明によれば、測定誤差が大きい位置データを特定でき、しかも、該測定誤差が大きい位置データを除外して目標物の位置を決定できるため、目標物の位置測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の広角レーダ装置の構成図である。
【図2】1つの物体を補足していると判定する場合及び異なる2つの物体を補足していると判定する場合の説明図である。
【図3】本発明の広角レーダ装置の位置決定フローである。
【図4】複数(図では2つ)の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を決定して出力する本発明の位置測定装置の構成図である。
【図5】本発明の目標物位置決定装置の位置決定処理フローである。
【図6】広角レーダ装置としてのFM-CWレーダの概略構成図である。
【図7】送信信号の周波数と時間の関係図である。
【図8】送信信号と反射信号間のビート周波数である。
【図9】目標物が移動している場合における送信信号と受信信号の周波数説明図である。
【図10】目標物が移動している場合における送信信号と受信信号のビート周波数である。
【図11】広角レーダにおける角度検出説明図である。
【図12】従来の広角レーダ装置の構成図である。
【図13】着目している目標物のほかに他の物体(看板などの測定障害物)を同時に捕捉する場合の説明図である。
【図14】レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になる場合の第1の説明図である。
【図15】レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になる場合の第2の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
51,52 第1、第2の位置測定部
53,54 反射強度検出部
55 方向演算部
56 異物体検出部
57 位置決定部
51a,52a 第1、第2の送受信部
51b,52b 第1、第2の位置算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定方法及び位置測定装置に係わり、特に複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法及び位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広角レーダ装置を用いて、周辺の車両や障害物の位置を検出し、その位置情報に基づいて警報をユーザに提示するシステムがある。広角レーダ装置は、少数の送受信アンテナ素子を備え、各送信アンテナ素子から幅広のビームを繰り返し放射し、ターゲット(目標物)に反射した反射ビームを対応する受信アンテナ素子で受信する。しかる後、レーダ信号解析部において受信波と送信波の時間差より距離を計測し、周波数の変化分より速度を算出する。また、それぞれの送受信アンテナにおける反射強度を比重計算することで、ターゲットの方向を算出する。
【0003】
図6は広角レーダ装置としてのFM-CWレーダの概略構成図である。FM-CWレーダはCWレーダ(Continuous Wave Rader)の送信信号にFM変調を施して送信し、目標物からの反射波を受信する。すなわち、周波数可変発振器1は入力電圧に応じて発振周波数(中心周波数はf0)を変化し、FM変調電圧発生部2は所定の直流分を中心に周期的に三角状に変化するFM変調電圧を発生して周波数可変発振器1に入力する。方向結合器3は周波数可変発振器1から出力される三角状のFM変調信号を送信アンテナ4と反射信号受信側に入力する。送信アンテナ4はFM変調信号を目標物に向けて放射し、受信アンテナ5は目標物で反射して戻ってきた反射信号を受信する。ミキサ6は反射信号(受信信号)と送信信号を混合して両信号間のビート信号を出力し、信号処理部7はビート信号周波数を検出して目標物までの距離R、目標物との相対速度Vを計算する。
FMを三角波の繰り返しで行なうものとすると、送信信号の周波数と時間の関係は図7の実線で示すようになり、距離Rのところに存在する目標物(静止しているものとする)からの反射信号の周波数と時間の関係は同図の点線で示すようになる。この結果、送信信号と反射信号間のビート信号周波数frは図8に示すようになり、このビート信号周波数を測定すれば、目標物までの距離を検出できるすなわち、FMの繰り返し周波数をfm,FMの周波数偏移幅をΔfとすれば、距離Rの目標物からの反射信号と送信信号間のビート信号周波数frは次式
fr=4R・fm・Δf/c (cは光速) (1)
で与えられる。
【0004】
以上は目標物が静止している場合であるが、目標物が移動している場合には、ドプラ効果により送信信号と受信信号の周波数対時間の関係は図9に示すようになる。すなわち、ビート信号周波数frは図10に示すように、固定した目標物の場合のビート信号周波数frにドプラ周波数fdを重畳したものとなる。そして、その方向は各変調サイクル毎に正負と交互に変わるから、目標物が移動している場合のビート信号周波数fbは次式で与えられる。
fb=fr−fd (負の場合) (2)
fb=fr+fd (正の場合) (3)
ただし、
fd=2V・f0/c (Vは目標物との相対速度) (4)
したがって、変調の各サイクル毎にfb(正)とfb(負)を別々に測定すれば、frとfd、すなわち、目標物までの距離Rと相対速度Vをそれぞれ別々に求めることができる。具体的には、(2)、(3)式より測定したfb(正)とfb(負)を加算して2で割ればfr、すなわち、目標物までの距離Rが求まり、fb(正)から fb(負)を減算して2で割ればfd、すなわち、相対速度Vが求まる。
【0005】
以上は目標物までの距離R及び相対速度Vを測定する原理であるが、目標物の方向は以下のように測定できる。一般にレーダは非常に鋭い指向性を持ったアンテナ素子を密に配置し、そのアンテナから電磁波を送信し、そのエコーが返ってきたアンテナの方向を目標物の方向とすることができる。しかし、広角レーダは図11(a)に示すように少ない(図では2個)のアンテナ素子Aw,Bwで構成され、さらにビーム幅が広く指向性が鋭くないため、エコーが返ってきたアンテナの方向を目標物TGの方位角とすることができない。
そこで、広角レーダ装置では、複数のアンテナで受信した信号電力を比較する方法で目標物の方位角を算出する。通常レーダで使用するアンテナは利得を持っており、放射する電力が強ければそれに比例して受信電力が強くなり、また、ビーム中心方向(法線方向)から両側に外れるほど受信電力が小さくなる。図11(b)はアンテナ素子Awの法線方向を00としたときの利得であり、ビーム幅が680の場合の例である。2つのアンテナ素子Aw,Bwを図11(a)に示すように、それぞれの法線方向をずらして配置すれば、各アンテナAw,Bwの利得は図11(c)における実線、点線で示すようになる。したがって、2つのビームの差を演算すれば、図11(d)に示すように2つのアンテナの法線方向の範囲RA(00〜340)でほぼ直線となる。これより、受信電力の差を演算することにより目標物の方位角θを求めることができる。
【0006】
図12は広角レーダ装置の構成図であり、第1、第2の送受信部11,12はそれぞれ図6に示す周波数可変発振器1、FM変調電圧発生部2、方向結合器3、ミキサ6、信号処理部7で構成されている。第1、第2の送受信部11、12はそれぞれ送受信制御を行い、中心周波数が異なるFM変調信号(ビームAw,Bw)を送信アンテナATS1,ATS2から送信し、目標物TGからの反射波を受信アンテナATR1,ATR2より受信し、目標物までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定し、反射強度検出部13、14は第1、第2の受信アンテナATR1,ATR2により受信した信号の強度、すなわち反射波強度を検出し、方向演算部15は第1、第2の反射波強度の差を演算し、該差に基づいて目標物の方向θを演算して出力する。
第1の位置算出部16は測定された距離R1、相対速度V1、目標物の方向θを用いて目標物の位置X1,Y1を算出し、第2の位置算出部17は測定された距離R2、相対速度V2、目標物の方向θを用いて目標物の位置X2,Y2を算出し、目標物位置決定部18は第1、第2の位置算出部16、17が算出した位置データを用いて加重平均により例えば次式
XA=(X1+X2)/2 (5a)
YA=(Y1+Y2)/2 (5b)
により目標物の位置XA,YAを計算して出力する。図11(a)に示すように広角レーダ装置が1つの目標物TGのみを捕捉している場合には、上式により目標物の位置を正しく測定することができる。しかし、図13に示すように着目している目標物TGのほかに他の物体(看板などの障害物)OBTを同時に捕捉する場合に問題が生じる。
【0007】
図13(a)に示すように目標物(例えば車両)TGまでの距離と看板などの測定障害物(以後単に障害物という)OBTまでの距離が異なれば、広角レーダ装置は目標物TGと障害物OBTを異なる物体として識別でき、第2の位置算出部17から出力される位置データX2,Y2を目標物TGの位置データXA,YAとして出力できる。しかし、走行により図13(b)に示すように目標物TGまでの距離と障害物OBTまでの距離がほぼ等しくなると、目標物位置決定部18は目標物TGと障害物OBTを同一物体として認識し、(5a),(5b)式により目標物の位置データを算出する。この結果、算出された目標物の位置は目標物TGと障害物OBTの中間点PMとなり、位置測定誤差が大きくなる。
【0008】
上述のように広角レーダ装置は位置測定精度が低いため、該レーダ装置を複数使用して、それぞれの出力から補完、論理的演算などの手法により(見かけ上の)精度を高める方法が知られている。しかし、等距離に他の反射物があると、レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になっている。図14、図15はかかる点を説明する説明図である。
目標物位置測定に際しては、図15(a)に示すように図12に示す広角レーダ装置21A,21Bを車両22の両側に装着し、それぞれの広角レーダ装置で目標物TGまでの位置を測定する。広角レーダ装置21A,21Bが1つの同一の目標物を捕捉している場合には、図14(b)に示すように各装置が出力する位置データ(XA,YA),(XB,YB) の加重平均位置(中間位置)Pcが目標物の位置(XC,YC)となり、何らの問題はない。尚、図14において、三角形は広角レーダ装置の照射範囲を模式的に表したものである。
しかし、図15(a)に示ように、第1の広角レーダ装置21Aが等距離に目標物TGと障害物(看板)OBTを同時に捕捉し、第2の広角レーダ装置21Bが目標物TGのみを捕捉するような場合に問題が生じる。すなわち、第2の広角レーダ装置21Bは、図15(c)に示すように障害物OBTを捕捉せず、目標物TGのみを捕捉している為、位置データPB (XB,YB)をある程度の精度で算出して出力する。しかし、第1の広角レーダ装置21Aは図15(b)より明らかなように等距離に目標物である車両TGと障害物である看板OBTの2つを捉えている。このため、前述したように二つの物体TG,OBTは、レーダ装置内部の演算において同一物体と認識され、第1の広角レーダ装置21Aは、図15(d)に示すように2物体TG、OBTの中間点の位置データPA′(XA′,YA′)を目標物の位置データとして出力する。この結果、位置決定部は図15(e)に示すように第1、第2の広角レーダ装置21A,21Bが出力する位置データPA′(XA′,YA′)、PB (XB,YB)を加重平均して得られるPA′、PBの中間点Pを目標物の位置として出力することになり、測定誤差が大きくなる。
【0009】
以上のように、複数の広角レーダ装置を用いた位置測定に際して、1つの広角レーダ装置が等距離に目標物TGと測定障害物(看板)OBTを同時に捕捉すると、該広角レーダ装置が出力する位置データの測定誤差が大きくなり、複数の広角レーダ装置を用いても位置測定精度を向上することができない問題が生じる。
そこで、補足した物体が同一物体であるか異なる物体であるかを識別する第1の従来技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、異なる2以上の目標物が接近しても正しく着目している目標物を追尾できるようにした第2の従来技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−21647号公報
【特許文献2】特開2000−9834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第1従来技術では、複数の探査方向において距離及び速度が等しい2つの物体が検出されたとき、両物体間の角度を調べ、該角度が車線幅に応じた角度以下であれば同一物体、以上であれば異なる物体であると識別する。しかし、第1従来技術は一定の角度毎に探査を行なうレーダ装置を対象とするもので、広角レーダ装置を対象とするものはない。このため、第1従来技術は、複数の広角レーダ装置を使用する位置測定に際して測定誤差を減少する目的に適用できない。
また、第2従来技術の追尾装置は、レーダの受信信号によって得られた目標物の位置情報と受信信号の強度情報とから、目標物の反射断面積を求め、各目標物の位置情報における相関を求めると共に、目標物の反射断面積情報における相関を求め、位置の相関と反射断面積の相関があるかにより着目目標物を識別して航跡情報を求める。この第2従来技術の追尾装置は、着目目標物を識別して航跡情報を求めるものであるが、1台の広角レーダ装置を用いるものであり、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定するものではなく、しかも、複数の広角レーダ装置を用いて測定する目標物の位置測定精度を向上するものではない。
以上から、本発明の目的は、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置測定する場合、位置測定精度を向上することである。
本発明の別の目的は、少なくとも1つの広角レーダ装置が等距離に目標物と障害物(看板)OBTを同時に捕捉しても位置測定精度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は本発明によれば、複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法および位置測定装置により達成される。
本発明の位置測定方法は、複数の広角レーダ装置のそれぞれにおいて、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を計算し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を計算する。目標物の位置計算に際して、分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を計算する。
各広角レーダ装置は、目標物の位置を測定する複数の位置測定部を備え、各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する。
本発明の位置測定装置は、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して該目標物の位置を測定すると共に、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったか監視し、分離不可能になったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加する複数の広角レーダ装置、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する目標物位置決定部を備えている。
本発明の位置測定装置において、広角レーダ装置は、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して目標物の位置をそれぞれ測定する複数の位置測定部、各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した目標物の位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する位置決定部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき、換言すれば測定した位置データの測定誤差が大きくなったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて例えば加重平均により目標物の位置を計算し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を計算するようにしたから、測定誤差が大きい位置データを特定でき、しかも、該位置データを除外して目標物の位置を決定できるため、目標物の位置測定精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する場合、各広角レーダ装置は、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、位置決定部は、各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて加重平均により目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する。物体分離が可能であるか不可能であるかは、各広角レーダ装置に目標物の位置を測定する複数の位置測定部を設けて行なう。すなわち、広角レーダ装置は各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した目標物の位置データに分離不可能情報を付加して出力する。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の広角レーダ装置の構成図であり、送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して対象物体の位置を測定する第1、第2の位置測定部51、52、反射波の強度を検出する反射強度検出部53、54、反射波の強度を用いて目標物の方位を演算する方向演算部55、第1、第2の位置測定部51、52により測定された物体までの距離R1,R2に基づいて同一物体であるか、異なる物体であるかを判定する異物体検出部56、第1、第2の位置測定部51、52が測定した位置データに基づいて目標物の位置を決定する位置決定部57を備えている。第1、第2の位置測定部51、52はそれぞれ送受信部51a,52aおよび位置算出部51b、52bを有している。
第1、第2の送受信部51a, 52aはそれぞれ図6に示す周波数可変発振器1、FM変調電圧発生部2、方向結合器3、ミキサ6、信号処理部7で構成されており、それぞれ中心周波数が異なるFM変調信号(ビームAw,Bw)を送信アンテナATS1,ATS2から送信し、目標物TGからの反射波を受信アンテナATR1,ATR2より受信し、目標物までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定する。第1の位置算出部51bは、第1の送受信部51aにより測定された距離R1、相対速度V1並びに方位角θを用いて第1の位置X1,Y1を算出し、また、第2の位置算出部52bは、第2の送受信部52aにより測定された距離R2、相対速度V2並びに方位角θを用いて第2の位置X2,Y2を算出して位置決定部57に入力する。反射強度検出部53、54は第1、第2の受信アンテナATR1,ATR2により受信した信号の強度、すなわち反射波強度を検出し、方向演算部55は第1、第2の反射波強度の差を演算し、該差に基づいて目標物の方向θを演算して出力する。
【0015】
異物体検出部56は第1、第2の送受信部51a,52aが測定した距離R1,R2が等しいか、換言すれば距離R1,R2の差が設定値以下であるかにより広角レーダ装置が1つの目標物を捕捉しているか、異なる2つの物体を補足しているか判断する。すなわち、距離差が設定値より小さければ第1、第2の送受信部51a, 52aは同一物体TGまでの距離を測定したものであり、1つの物体を補足していると判定する(図2(A)参照)。一方、距離差が設定値より大きければ第1、第2の送受信部51a, 52aは異なる物体TG,OBTまでの距離を測定したものであり、異なる2つの物体を補足していると判定する(図2(b)参照)。なお、図2(b)に示すように距離差が大きくて異なる物体であると判定されている状態において、走行により図2(c)に示すように距離差が小さくなって設定値以下になると物体TG,OBTは同一物体とみなされ、物体分離不可能となる。
位置決定部57は、第1、第2の位置測定部51,52により算出された第1の位置X1,Y1、第2の位置X2,Y2及び異物体を検出しているか否かに応じて図3のフローにしたがって目標物の位置を決定して出力する。
【0016】
図3は本発明の広角レーダ装置の位置決定フローである。
第1、第2の位置測定部51、52は所定時間T毎に物体までの距離R1,R2及び相対速度V1,V2を測定すると共に、測定距離R1、相対速度V1、方位角θを用いて第1の位置X1,Y1、第2位置X2,Y2を算出する(ステップ100)。
異物体検出部56は第1、第2の位置測定部51,52が測定した距離R1,R2の距離差が許容範囲内であるか判断し(ステップ101)、最大許容値以下であれば広角レーダ装置は1つの目標物を捕捉しており(図2(a))、第1、第2の位置測定部51,52が算出した第1位置X1,Y1、第2位置X2,Y2は同一の目標物TGの位置データであると判定し、次式
XA=(X1+X2)/2 (6a)
YA=(Y1+Y2)/2 (6b)
により目標物の位置XA,YAを計算して出力するとともに、物体分離不可能フラグFEAを"0"にして出力する(ステップ102)。FEAは物体分離不可能を特定するためのフラグであり、FEA=1は測定誤差が大きく、信頼度が小さいことを意味する。
以上のように、広角レーダ装置が1つの目標物TGのみを捕捉している場合には、上式により目標物の位置を測定することができ、測定精度を向上できる。
ステップ101において、距離差が許容範囲外であれば異なる物体(目標物TG、障害物OBT)を検出しているものと判定し(図2(b))、第1、第2の位置測定部51,52が測定した物体のそれぞれの位置履歴データを用いて所定時間T後の各物体の位置を予測する(ステップ103)。ついで、各予測点までの距離を計算し、距離差が設定値以下であるかチェックし、チェック結果を保存する(ステップ104)。
【0017】
ついで、所定時間T経過後に第1、第2の位置測定部51、52は物体までの距離R1,R2、相対速度V1,V2を測定すると共に、第1、第2の位置(X1,Y1)、(X2,Y2)を計算して位置決定部57に入力する(ステップ105)。位置決定部57は、ステップ104で保存してあるチェック結果を参照し(ステップ106)、予測点までの距離差が設定値以上であれば、2物体のうち着目物体である目標物TGのみを捕捉している第2位置測定部52から入力する第2の位置(X2,Y2)を用いて
XA=X2
YA=Y2
とするとともに、物体分離不可能フラグFEAを"0"にして出力する(ステップ107)。尚、図2(b)に示す状態では第2位置測定部52が目標物のみを補足しているが、図2(d)に示す状態では、第1位置測定部51が目標物のみを補足している。かかる場合には、ステップ107において、
XA=X1
YA=Y1
とする。
以後、走行により、ステップ106において、各予測点までの距離差が設定値以下になれば(図2(c))、位置決定部57は、物体が1つであると判定して(6a),(6b)式により目標物の位置XA,YAを計算して出力するとともに、物体分離不可能フラグFEAを"1"にして出力する(ステップ108)。すなわち、出力する位置データXA,YAは物体分離不可能になった状態における位置データであり、信頼度が低いデータであることを示すフラグFEAを"1"にして出力する。
【0018】
図4は複数(図では2つ)の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を決定して出力する位置測定装置の構成図である。広角レーダ装置50,60は図1に示す構成を備え、第1の広角レーダ装置50は測定した目標物の位置データXA,YAと物体分離不可能フラグFEAを出力し、第2の広角レーダ装置60は同様に目標物の位置データXB,YBと物体分離不可能フラグFEBを出力する。目標物位置決定部70は、物体分離不可能フラグFEA,FEBを参照して位置データXA,YA:XB,YBを用いて目標物の位置X,Yを決定して出力する。
図5は目標物位置決定部70の位置決定処理フローである。
まず、第1、第2の広角レーダ装置が測定した目標物の位置が近接しているかチェックする(ステップ201)。すなわち、位置データXA,YA:XB,YBを用いてそれぞれが測定した2点間の距離を求め、距離が設定値以下であるかチェックする。
第1、第2の広角レーダ装置が測定した2点が近接していれば、第1、第2の広角レーダ装置は同一の1つの目標物の位置を測定したものと判定し、次式
X=(XA+XB)/2
Y=(YA+YB)/2
により、目標物の位置(X,Y)を計算して出力する(ステップ202)。
一方、第1、第2の広角レーダ装置が測定した目標物の位置が近接していなければ、物体分離不可能フラグFEA,FEBが何れも0であるかチェックし(ステップ203)、FEA=FEB=0であれば、位置データXA,YA:XB,YBの信頼度は大きいから、第1、第2の広角レーダ装置50,60は同一の目標物の位置を測定したものと判定し、ステップ202により目標物の位置(X,Y)を計算して出力する。
【0019】
しかし、FEA,FEBの少なくとも1つが1であれば、FEA,FEBの両方が1であるかチェックし(ステップ204)、FEA,FEBの両方が共に1であれば、位置データXA,YA:XB,YBの測定誤差が大きいから、これらの値を採用せずそれまでの位置軌跡データより目標物の位置を推定し、推定値XP,YPを目標物のX,Y座標として出力する(ステップ205)。
ステップ204において、FEA,FEBの両方が1でなければ、FEAが1であるかチェックし(ステップ206)、FEA=1であればFEB=0であり、第2広角レーダ装置60が測定した位置データXB,YBの信頼度が大きく、第1広角レーダ装置50が測定した位置データXA,YAの測定誤差が大きいから、X=XB,Y=YBとして出力する(ステップ207)。
ステップ206において、FEA=1でなければFEB=1であり、第1広角レーダ装置50が測定した位置データXA,YAの信頼度が大きく、第2広角レーダ装置60が測定した位置データXB,YBの測定誤差が大きいから、X=XA,Y=YAとして出力する(ステップ208)。
以上本発明によれば、測定誤差が大きい位置データを特定でき、しかも、該測定誤差が大きい位置データを除外して目標物の位置を決定できるため、目標物の位置測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の広角レーダ装置の構成図である。
【図2】1つの物体を補足していると判定する場合及び異なる2つの物体を補足していると判定する場合の説明図である。
【図3】本発明の広角レーダ装置の位置決定フローである。
【図4】複数(図では2つ)の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を決定して出力する本発明の位置測定装置の構成図である。
【図5】本発明の目標物位置決定装置の位置決定処理フローである。
【図6】広角レーダ装置としてのFM-CWレーダの概略構成図である。
【図7】送信信号の周波数と時間の関係図である。
【図8】送信信号と反射信号間のビート周波数である。
【図9】目標物が移動している場合における送信信号と受信信号の周波数説明図である。
【図10】目標物が移動している場合における送信信号と受信信号のビート周波数である。
【図11】広角レーダにおける角度検出説明図である。
【図12】従来の広角レーダ装置の構成図である。
【図13】着目している目標物のほかに他の物体(看板などの測定障害物)を同時に捕捉する場合の説明図である。
【図14】レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になる場合の第1の説明図である。
【図15】レーダ装置を複数個使用してデータの補完、論理的演算などを行っても、動作が不安定になる場合の第2の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
51,52 第1、第2の位置測定部
53,54 反射強度検出部
55 方向演算部
56 異物体検出部
57 位置決定部
51a,52a 第1、第2の送受信部
51b,52b 第1、第2の位置算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法において、
各広角レーダ装置において、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、
各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、
いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する、
ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項2】
分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の位置測定方法。
【請求項3】
各広角レーダ装置に目標物の位置を測定する複数の位置測定部を設け、
各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、
2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、
各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の位置測定方法。
【請求項4】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定装置において、
送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して該目標物の位置を測定すると共に、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったか監視し、分離不可能になったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加する複数の広角レーダ装置、
各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する目標物位置決定部、
を備えたことを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
前記目標物位置決定部は、分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を決定する手段、
を備えることを特徴とする請求項4記載の位置測定装置。
【請求項6】
前記各広角レーダ装置は、
送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して目標物の位置をそれぞれ測定する複数の位置測定部、
各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する位置決定部、
を備えたことを特徴とする請求項4記載の位置測定装置。
【請求項1】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定方法において、
各広角レーダ装置において、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったとき該広角レーダ装置から出力する位置データに分離不可能情報を付加し、
各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、
いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する、
ことを特徴とする位置測定方法。
【請求項2】
分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の位置測定方法。
【請求項3】
各広角レーダ装置に目標物の位置を測定する複数の位置測定部を設け、
各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、
2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、
各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の位置測定方法。
【請求項4】
複数の広角レーダ装置を用いて目標物の位置を測定する位置測定装置において、
送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して該目標物の位置を測定すると共に、目標物を含む複数の物体を分離することが不可能になったか監視し、分離不可能になったとき、出力する位置データに分離不可能情報を付加する複数の広角レーダ装置、
各広角レーダ装置から出力されるいずれの位置データにも分離不可能情報が付加されていなければ、各広角レーダ装置から出力される位置データを用いて目標物の位置を決定し、いずれかの位置データに分離不可能情報が付加されていれば、該位置データを除外して目標物の位置を決定する目標物位置決定部、
を備えたことを特徴とする位置測定装置。
【請求項5】
前記目標物位置決定部は、分離不可能情報が付加されていない位置データの加重平均により目標物の位置を決定する手段、
を備えることを特徴とする請求項4記載の位置測定装置。
【請求項6】
前記各広角レーダ装置は、
送信波を目標物に向けて発射し、反射波を受信して目標物の位置をそれぞれ測定する複数の位置測定部、
各位置測定部が測定する目標物までの距離に基づいて1つの広角レーダ装置が2以上の物体を捕捉しているか判断し、2以上の物体を捕捉している際、それぞれの位置測定部が次に測定する位置を予測し、各予測点までの距離の差が設定値以下であれば、各位置測定部が測定した位置データを用いて算出した位置データに前記分離不可能情報を付加して出力する位置決定部、
を備えたことを特徴とする請求項4記載の位置測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−93542(P2007−93542A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286756(P2005−286756)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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