低周波外乱補償制御装置とそれを利用したディスクドライブ
【課題】ディスクドライブのサーボ制御装置に係り、特に、ディスクドライブに引き込まれる低周波外乱を効果的に補償するための装置を提供する。
【解決手段】ディスクドライブのサーボ制御装置において、ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタ、及び制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器を備えることを特徴とする低周波外乱補償制御装置である。
【解決手段】ディスクドライブのサーボ制御装置において、ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタ、及び制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器を備えることを特徴とする低周波外乱補償制御装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクドライブのサーボ制御装置に係り、特に、ディスクドライブに引き込まれる低周波外乱を効果的に補償するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、データ保存装置の一つであるハードディスクドライブは、磁気ヘッドによりディスクに/からデータを記録/再生することによりコンピュータシステム運営に寄与する。このようなハードディスクドライブは、次第に高容量化、高密度化及び小型化されつつ、ディスクの回転方向の記録密度であるBPI(Bit Per Inch)と半径方向の記録密度であるTPI(Track Per Inch)が増大しつつあるので、それにより更に精巧なメカニズムが要求される。
【0003】
ハードディスクドライブでトラック追従制御の目的は、ヘッドを目的トラックの真中に位置させるところにある。ところが、多様な外乱によってトラックの追従制御誤差が発生する。特に、携帯用ドライブであるマイクロドライブの場合、常に低周波振動及び衝撃に曝されている。
【0004】
図1に示すように、従来の技術によるディスクドライブのサーボ制御システムは、RRO補償器110、状態推定器120、状態帰還制御器130A、130B、合算器140A、140B及びボイスコイルモーター(Voice Coil Motor:VCM)ドライバ&アクチュエータ150から構成される。
【0005】
一般的に、RRO補償器110、状態推定器120、状態帰還制御器130A、130B及び合算器140A、140Bから構成された回路ブロックをトラック追従制御回路1000と称し、本発明では、−C(z)の伝達関数を有すると表示した。
【0006】
そして、図1に示す合算器160A、160Bは、ディスクドライブのヘッドディスクアセンブリに外乱d及びディスクランアウトが発生することを等価的に表示したものである。
【0007】
状態推定器120は、位置エラー信号(Position Error Signal:PES)と制御入力から位置、速度及びバイアス値を推定する機能を行う。RRO補償器110は、ディスクの偏心によって発生するRRO外乱xRUNOUTを補償する機能を行う。状態帰還制御器130A、130Bは、それぞれの位置、速度及びバイアス推定値を組み合わせ・演算して制御入力信号を計算し、それをVCMドライバ&アクチュエータ150に印加する。推定値のうち、バイアス推定値が制御回路で積分器の機能に利用されて、システムに引き込まれた外乱d成分のうち低周波外乱を補償する。しかし、低周波外乱補償性能を向上させるために積分器利得を増加させる場合、制御システムの安定性が低下するという問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が達成しようとする技術的課題は、前記問題点を解決するために、ディスクドライブに引き込まれる外乱のうち、低周波外乱成分を精密に推定して補償するための低周波外乱補償制御装置とそれを利用したディスクドライブを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を達成するために、本発明による低周波外乱補償制御装置は、ディスクドライブのサーボ制御装置において、ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタ、及び前記制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器を備えることを特徴とする。
【0010】
前記他の技術的課題を達成するために、本発明によるディスクドライブは、データ保存システムにおいて、位置エラー信号からヘッドの位置、速度及びバイアス値を含むヘッド動きの状態情報値を推定し、前記推定された状態情報値に基づいて、所定の状態帰還制御プロセスによってトラック追従制御入力を生成させるトラック追従制御回路、前記トラック追従制御入力及び前記位置エラー信号から位置予測誤差を算出し、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して設計された伝達関数によって、前記位置予測誤差から外乱推定値を生成させる外乱観測器、前記トラック追従制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器、及び前記減算器の出力に相応する駆動電流を生成させてヘッドをトラック上で移動させ、前記ヘッドの移動によって位置エラー信号を生成させるVCMドライバ&アクチュエータを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ディスクドライブに引き込まれる外乱を正確に推定して補償するようにサーボ制御システムを制御することにより、ディスクドライブのトラック追従性能を向上させる効果が発生し、特に、携帯用機器に装着されるディスクドライブに本発明を適用する場合に、振動による低周波外乱を効果的に補償できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0013】
ディスクドライブは、機構的な部品から構成されたHDA(Head Disk Assembly)と電気回路との結合により形成される。
【0014】
図2は、本発明が適用されるディスクドライブのHDA 10の構成を示す。HDA 10は、スピンドルモーター14によって回転される少なくとも一つの以上の磁気ディスク12を備えている。HDA 10は、ディスクの表面に隣接して位置した変換器(図示せず)をさらに備えている。
【0015】
変換器は、それぞれのディスク12の磁界を感知及び磁化させることにより、回転するディスク12に/から情報を記録/再生できる。典型的に変換器は、各ディスクの表面に結合されている。単一の変換器として説明されているが、これはディスク12を磁化させるための記録用の変換器と、ディスク12の磁界を感知するための分離された再生用の変換器とからなっていると理解されねばならない。再生用の変換器は、磁気抵抗(Magneto−Resistive:MR)素子から構成される。
【0016】
変換器は、ヘッド16に統合されうる。ヘッド16は、変換器とディスクの表面との間に空気軸受を生成させる構造になっている。ヘッド16は、ヘッドスタックアセンブリ(Head Stack Assembly;HSA)22に統合されている。HSA 22は、ボイスコイル26を有するアクチュエータアーム24に付着されている。ボイスコイル26は、VCM 30を特定するマグネチックアセンブリ28に隣接して位置している。ボイスコイル26に供給される電流は、軸受アセンブリ32に対してアクチュエータアーム24を回転させるトルクを発生させる。アクチュエータアーム24の回転は、ディスクの表面を横切って変換器を移動させる。
【0017】
情報は、典型的にディスク12の環状トラック内に保存される。各トラック34は、一般的に複数のセクターを備えている。各セクターは、データフィールド及び識別フィールドを備えている。識別フィールドは、セクター及びトラック(シリンダー)を識別するグレーコードを備えている。変換器は、他のトラックにある情報を再生または記録するためにディスクの表面を横切って移動する。
【0018】
図3に示すように、本発明による低周波外乱補償制御装置が適用されるディスクドライブのサーボ制御システムは、トラック追従制御回路1000、VCMドライバ&アクチュエータ150、状態変数予測器210、推定フィルタ220及び減算器230を備える。
【0019】
前記の構成手段のうち、状態変数予測器210及び推定フィルタ220を備える回路ブロックを外乱観測器2000と称する。
【0020】
そして、合算器160A、160Bは、ディスクドライブのヘッドディスクアセンブリに外乱d及びディスクランアウトが発生することを等価的に表示したものである。
【0021】
トラック追従制御回路1000は、図1に示す従来の技術と同じ構成を有する。したがって、本発明は、従来の技術によるサーボ制御システムに外乱観測器2000及び減算器230が追加されたものである。
【0022】
状態変数予測器210は、制御入力u及び位置エラー信号xPESを利用して位置及び速度信号を予測し、位置予測誤差
【数1】
を生成させる機能を行い、数式2のように表現される。
【0023】
【数2】
【0024】
推定フィルタ220は、位置予測誤差を利用して外乱値を推定して補償する役割を行う。
【0025】
振動外乱dがディスクドライブに引き込まれる場合、位置予測誤差に外乱値が反映されて示される。したがって、位置予測誤差を適切に設計された推定フィルタ220に通過させれば、外乱値を推定できる。
【0026】
これにより、優れた性能を有する外乱観測器2000の設計のために、外乱と位置予測誤差との間の数学的な関係の誘導及び適切な推定フィルタ220の設計が必要である。下記で詳細に説明するが、最も好ましい推定フィルタHEST(z)は、低域通過フィルタの伝達関数HLPF(z)を最小位相システムの伝達関数HMIN(z)で割った形態であって、数式3のように表現される。
【0027】
【数3】
【0028】
次いで、外乱と位置予測誤差との間の数学的関係の誘導及び推定フィルタ220の設計方法について詳細に説明する。
【0029】
数式2で表現される状態変数予測器210を構成する2個の式を統合すれば、数式4のように表現される。
【0030】
【数4】
【0031】
数式4を利用して図3を図4のように等価変形させうる。また、行列理論及び線形システム理論を利用すれば、数式5のように表現できる。
【0032】
【数5】
【0033】
そして、数式5を利用して図4を図5のように等価変形させうる。図5を利用すれば、外乱によって発生する位置予測誤差を数式6で表現できる。
【0034】
【数6】
【0035】
本発明では、設計しようとする推定フィルタ220を数式7のように選択する。
【0036】
【数7】
【0037】
数式7のように推定フィルタを選択すれば、数式8によって正確な外乱推定値を得ることができる。
【0038】
【数8】
【0039】
ところが、HINV(z)は、非因果システムであるため、実際の具現が不可能である。したがって、数式9のように与えられる低域通過フィルタを追加する。
【0040】
【数9】
【0041】
数式9のような特性を有する低域通過フィルタを追加して推定フィルタ220を設計すれば、数式10のように表現される。
【0042】
【数10】
【0043】
それにより、外乱推定値は、実際の外乱を低域通過フィルタに通過させた結果であり、数式11のように表現される。
【0044】
【数11】
【0045】
一般的に、VCMドライバ&アクチュエータから構成されるVCM駆動システムP(z)は、制御遅延時間のために不安定な0点が存在する非最小位相システムとなる。そして、
【数12】
の0点は、P(z)の0点と一致するため、HINV(z)が不安定なシステムとなる問題がある。
【0046】
このような問題を克服するために、非最小位相システム
【数13】
を最小位相システム伝達関数と全域通過フィルタ伝達関数との積で数式14のように設計する。
【0047】
【数14】
【0048】
例えば、非最小位相システム
【数15】
が数式16のように表現されるとしよう。
【0049】
【数16】
【0050】
数式16で2個の0点中、不安定な0点が
【数17】
である場合に、最小位相システムHMIN(z)と全域通過システムHAP(z)とはそれぞれ数式18のように表現される。
【0051】
【数18】
【0052】
これにより、推定フィルタ220を数式19のように設計すれば、因果システムでありつつ、安定したシステムとなり、実際に具現可能となる。
【0053】
【数19】
【0054】
この場合に、外乱推定値は、数式20に表現されたように、実際外乱値を低域通過フィルタ及び全域通過フィルタを通過させた結果となることが分かる。
【0055】
【数20】
【0056】
本発明を適用した時の性能を調べるために、図4で開ループ伝達関数は数式21の通りである。
【0057】
【数21】
【0058】
数式21を利用して外乱と位置エラー信号xPESとの間の伝達関数を求めれば、数式22の通りである。
【0059】
【数22】
【0060】
また、ディスクランアウトxrunoutと位置エラー信号xPESとの間の伝達関数を求めれば、数式23の通りである。
【0061】
【数23】
【0062】
本発明で提示した振動補償システムの性能を例証するために、実験結果を次のように提示する。
【0063】
トラック密度、トラック幅、ディスクの回転速度がそれぞれ130,000TPI、0.19μm、7200rpmであるデスクトップドライブを実験に使用した。使用されたVCM駆動システムの伝達関数を求めれば、数式24の通りである。
【0064】
【数24】
【0065】
数式24に表現されたように、不安定な0点(−5.248)を有する非最小位相システムとなる。状態変数予測器の利得は、L=[0.4375 0.1129 0]に設定し、外乱と位置予測誤差との間の伝達関数
【数25】
を計算すれば、数式26の通りである。
【0066】
【数26】
【0067】
したがって、推定フィルタ設計のための最小位相システム及び全域通過フィルタは、数式27のように選択される。
【0068】
【数27】
【0069】
そして、一例として、α=0.9と選択すれば、低域通過フィルタは、数式28のように表現される。
【0070】
【数28】
【0071】
これにより、推定フィルタは、数式29のように設計される。
【0072】
【数29】
【0073】
まず、数式21に提示された開ループ周波数特性の計算結果を図6に提示した。そして、外乱と位置エラー信号との間の利得特性を図7に示した。したがって、外乱観測器を使用すれば、外乱の影響を大きく減らしうることが分かる。例えば、10Hzで30dB以上外乱の影響を減らしうるということが図6及び図7から分かる。そして、ディスクランアウト(Runout)と位置エラー信号との間の利得特性を図8に示した。外乱観測器を使用すれば、ディスクランアウトの影響も大きく減らし得ることが図8から分かる。
【0074】
次いで、正弦波形態の振動外乱をシステムに注入して、外乱推定性能及び位置エラー信号性能の測定結果を提示する。周波数がそれぞれ5Hz、10Hz、50Hz、100Hz、200Hz、400Hzであり、振幅がそれぞれ102mA、52.5mA、6.4mA、3.8mA、2.6mA、2mAである正弦波外乱注入時の性能をそれぞれ図9、図10、図11、図12、図13、図14に提示した。図9及び図10から外乱周波数が5Hz及び10Hzである場合に、本発明に係る外乱観測器はほぼ完壁な外乱補償性能を示しているということが分かる。そして、図11ないし図14から低周波外乱である場合に、補償性能に優れており、周波数が高くなるにつれ、補償性能が低下するということが分かる。
【0075】
結論的に、実験結果から本発明で提示した外乱補償器は、400Hz以下の外乱補償に非常に効果的に使用されうる。
【0076】
添付された図面に示されて説明された特定の実施例は、単に、本発明の例として理解され、本発明の範囲を限定するものではなく、当業界で本発明に記述された技術的思想の範囲でも多様な他の変更が発生しうるため、本発明が既に示され又は記述された特定の構成及び配列に制限されないことは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、ハードディスクドライブを含む各種ディスクドライブに関連した技術分野に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来の技術によるディスクドライブのサーボ制御システムの構成図である。
【図2】本発明が適用されるディスクドライブのヘッドディスクアセンブリの平面図である。
【図3】本発明による低周波外乱補償制御装置を備えるディスクドライブのサーボ制御システムの構成図である。
【図4】図3を変形した等価回路図である。
【図5】図4を変形した等価回路図である。
【図6】外乱観測器の適用如何によるサーボ制御システムの開ループ周波数特性の変化を示す図面である。
【図7】外乱観測器の適用如何による外乱と位置エラー信号との間の利得特性を示す図面である。
【図8】外乱観測器の適用如何によるディスクのランアウトと位置エラー信号との間の利得特性の変化を示す図面である。
【図9A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに5Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図9B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに5Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図10A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに10Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図10B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに10Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図11A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに50Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図11B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに50Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図12A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに100Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図12B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに100Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図13A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに200Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図13B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに200Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図14A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに400Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図14B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに400Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【符号の説明】
【0079】
1000 トラック追従制御回路
150 VCMドライバ&アクチュエータ
210 状態変数予測器
220 推定フィルタ
230 減算器
2000 回路ブロックを外乱観測器
160A、160B 合算器
u 制御入力
xPES 位置エラー信号
d 外乱
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクドライブのサーボ制御装置に係り、特に、ディスクドライブに引き込まれる低周波外乱を効果的に補償するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、データ保存装置の一つであるハードディスクドライブは、磁気ヘッドによりディスクに/からデータを記録/再生することによりコンピュータシステム運営に寄与する。このようなハードディスクドライブは、次第に高容量化、高密度化及び小型化されつつ、ディスクの回転方向の記録密度であるBPI(Bit Per Inch)と半径方向の記録密度であるTPI(Track Per Inch)が増大しつつあるので、それにより更に精巧なメカニズムが要求される。
【0003】
ハードディスクドライブでトラック追従制御の目的は、ヘッドを目的トラックの真中に位置させるところにある。ところが、多様な外乱によってトラックの追従制御誤差が発生する。特に、携帯用ドライブであるマイクロドライブの場合、常に低周波振動及び衝撃に曝されている。
【0004】
図1に示すように、従来の技術によるディスクドライブのサーボ制御システムは、RRO補償器110、状態推定器120、状態帰還制御器130A、130B、合算器140A、140B及びボイスコイルモーター(Voice Coil Motor:VCM)ドライバ&アクチュエータ150から構成される。
【0005】
一般的に、RRO補償器110、状態推定器120、状態帰還制御器130A、130B及び合算器140A、140Bから構成された回路ブロックをトラック追従制御回路1000と称し、本発明では、−C(z)の伝達関数を有すると表示した。
【0006】
そして、図1に示す合算器160A、160Bは、ディスクドライブのヘッドディスクアセンブリに外乱d及びディスクランアウトが発生することを等価的に表示したものである。
【0007】
状態推定器120は、位置エラー信号(Position Error Signal:PES)と制御入力から位置、速度及びバイアス値を推定する機能を行う。RRO補償器110は、ディスクの偏心によって発生するRRO外乱xRUNOUTを補償する機能を行う。状態帰還制御器130A、130Bは、それぞれの位置、速度及びバイアス推定値を組み合わせ・演算して制御入力信号を計算し、それをVCMドライバ&アクチュエータ150に印加する。推定値のうち、バイアス推定値が制御回路で積分器の機能に利用されて、システムに引き込まれた外乱d成分のうち低周波外乱を補償する。しかし、低周波外乱補償性能を向上させるために積分器利得を増加させる場合、制御システムの安定性が低下するという問題が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が達成しようとする技術的課題は、前記問題点を解決するために、ディスクドライブに引き込まれる外乱のうち、低周波外乱成分を精密に推定して補償するための低周波外乱補償制御装置とそれを利用したディスクドライブを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を達成するために、本発明による低周波外乱補償制御装置は、ディスクドライブのサーボ制御装置において、ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタ、及び前記制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器を備えることを特徴とする。
【0010】
前記他の技術的課題を達成するために、本発明によるディスクドライブは、データ保存システムにおいて、位置エラー信号からヘッドの位置、速度及びバイアス値を含むヘッド動きの状態情報値を推定し、前記推定された状態情報値に基づいて、所定の状態帰還制御プロセスによってトラック追従制御入力を生成させるトラック追従制御回路、前記トラック追従制御入力及び前記位置エラー信号から位置予測誤差を算出し、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して設計された伝達関数によって、前記位置予測誤差から外乱推定値を生成させる外乱観測器、前記トラック追従制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器、及び前記減算器の出力に相応する駆動電流を生成させてヘッドをトラック上で移動させ、前記ヘッドの移動によって位置エラー信号を生成させるVCMドライバ&アクチュエータを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ディスクドライブに引き込まれる外乱を正確に推定して補償するようにサーボ制御システムを制御することにより、ディスクドライブのトラック追従性能を向上させる効果が発生し、特に、携帯用機器に装着されるディスクドライブに本発明を適用する場合に、振動による低周波外乱を効果的に補償できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0013】
ディスクドライブは、機構的な部品から構成されたHDA(Head Disk Assembly)と電気回路との結合により形成される。
【0014】
図2は、本発明が適用されるディスクドライブのHDA 10の構成を示す。HDA 10は、スピンドルモーター14によって回転される少なくとも一つの以上の磁気ディスク12を備えている。HDA 10は、ディスクの表面に隣接して位置した変換器(図示せず)をさらに備えている。
【0015】
変換器は、それぞれのディスク12の磁界を感知及び磁化させることにより、回転するディスク12に/から情報を記録/再生できる。典型的に変換器は、各ディスクの表面に結合されている。単一の変換器として説明されているが、これはディスク12を磁化させるための記録用の変換器と、ディスク12の磁界を感知するための分離された再生用の変換器とからなっていると理解されねばならない。再生用の変換器は、磁気抵抗(Magneto−Resistive:MR)素子から構成される。
【0016】
変換器は、ヘッド16に統合されうる。ヘッド16は、変換器とディスクの表面との間に空気軸受を生成させる構造になっている。ヘッド16は、ヘッドスタックアセンブリ(Head Stack Assembly;HSA)22に統合されている。HSA 22は、ボイスコイル26を有するアクチュエータアーム24に付着されている。ボイスコイル26は、VCM 30を特定するマグネチックアセンブリ28に隣接して位置している。ボイスコイル26に供給される電流は、軸受アセンブリ32に対してアクチュエータアーム24を回転させるトルクを発生させる。アクチュエータアーム24の回転は、ディスクの表面を横切って変換器を移動させる。
【0017】
情報は、典型的にディスク12の環状トラック内に保存される。各トラック34は、一般的に複数のセクターを備えている。各セクターは、データフィールド及び識別フィールドを備えている。識別フィールドは、セクター及びトラック(シリンダー)を識別するグレーコードを備えている。変換器は、他のトラックにある情報を再生または記録するためにディスクの表面を横切って移動する。
【0018】
図3に示すように、本発明による低周波外乱補償制御装置が適用されるディスクドライブのサーボ制御システムは、トラック追従制御回路1000、VCMドライバ&アクチュエータ150、状態変数予測器210、推定フィルタ220及び減算器230を備える。
【0019】
前記の構成手段のうち、状態変数予測器210及び推定フィルタ220を備える回路ブロックを外乱観測器2000と称する。
【0020】
そして、合算器160A、160Bは、ディスクドライブのヘッドディスクアセンブリに外乱d及びディスクランアウトが発生することを等価的に表示したものである。
【0021】
トラック追従制御回路1000は、図1に示す従来の技術と同じ構成を有する。したがって、本発明は、従来の技術によるサーボ制御システムに外乱観測器2000及び減算器230が追加されたものである。
【0022】
状態変数予測器210は、制御入力u及び位置エラー信号xPESを利用して位置及び速度信号を予測し、位置予測誤差
【数1】
を生成させる機能を行い、数式2のように表現される。
【0023】
【数2】
【0024】
推定フィルタ220は、位置予測誤差を利用して外乱値を推定して補償する役割を行う。
【0025】
振動外乱dがディスクドライブに引き込まれる場合、位置予測誤差に外乱値が反映されて示される。したがって、位置予測誤差を適切に設計された推定フィルタ220に通過させれば、外乱値を推定できる。
【0026】
これにより、優れた性能を有する外乱観測器2000の設計のために、外乱と位置予測誤差との間の数学的な関係の誘導及び適切な推定フィルタ220の設計が必要である。下記で詳細に説明するが、最も好ましい推定フィルタHEST(z)は、低域通過フィルタの伝達関数HLPF(z)を最小位相システムの伝達関数HMIN(z)で割った形態であって、数式3のように表現される。
【0027】
【数3】
【0028】
次いで、外乱と位置予測誤差との間の数学的関係の誘導及び推定フィルタ220の設計方法について詳細に説明する。
【0029】
数式2で表現される状態変数予測器210を構成する2個の式を統合すれば、数式4のように表現される。
【0030】
【数4】
【0031】
数式4を利用して図3を図4のように等価変形させうる。また、行列理論及び線形システム理論を利用すれば、数式5のように表現できる。
【0032】
【数5】
【0033】
そして、数式5を利用して図4を図5のように等価変形させうる。図5を利用すれば、外乱によって発生する位置予測誤差を数式6で表現できる。
【0034】
【数6】
【0035】
本発明では、設計しようとする推定フィルタ220を数式7のように選択する。
【0036】
【数7】
【0037】
数式7のように推定フィルタを選択すれば、数式8によって正確な外乱推定値を得ることができる。
【0038】
【数8】
【0039】
ところが、HINV(z)は、非因果システムであるため、実際の具現が不可能である。したがって、数式9のように与えられる低域通過フィルタを追加する。
【0040】
【数9】
【0041】
数式9のような特性を有する低域通過フィルタを追加して推定フィルタ220を設計すれば、数式10のように表現される。
【0042】
【数10】
【0043】
それにより、外乱推定値は、実際の外乱を低域通過フィルタに通過させた結果であり、数式11のように表現される。
【0044】
【数11】
【0045】
一般的に、VCMドライバ&アクチュエータから構成されるVCM駆動システムP(z)は、制御遅延時間のために不安定な0点が存在する非最小位相システムとなる。そして、
【数12】
の0点は、P(z)の0点と一致するため、HINV(z)が不安定なシステムとなる問題がある。
【0046】
このような問題を克服するために、非最小位相システム
【数13】
を最小位相システム伝達関数と全域通過フィルタ伝達関数との積で数式14のように設計する。
【0047】
【数14】
【0048】
例えば、非最小位相システム
【数15】
が数式16のように表現されるとしよう。
【0049】
【数16】
【0050】
数式16で2個の0点中、不安定な0点が
【数17】
である場合に、最小位相システムHMIN(z)と全域通過システムHAP(z)とはそれぞれ数式18のように表現される。
【0051】
【数18】
【0052】
これにより、推定フィルタ220を数式19のように設計すれば、因果システムでありつつ、安定したシステムとなり、実際に具現可能となる。
【0053】
【数19】
【0054】
この場合に、外乱推定値は、数式20に表現されたように、実際外乱値を低域通過フィルタ及び全域通過フィルタを通過させた結果となることが分かる。
【0055】
【数20】
【0056】
本発明を適用した時の性能を調べるために、図4で開ループ伝達関数は数式21の通りである。
【0057】
【数21】
【0058】
数式21を利用して外乱と位置エラー信号xPESとの間の伝達関数を求めれば、数式22の通りである。
【0059】
【数22】
【0060】
また、ディスクランアウトxrunoutと位置エラー信号xPESとの間の伝達関数を求めれば、数式23の通りである。
【0061】
【数23】
【0062】
本発明で提示した振動補償システムの性能を例証するために、実験結果を次のように提示する。
【0063】
トラック密度、トラック幅、ディスクの回転速度がそれぞれ130,000TPI、0.19μm、7200rpmであるデスクトップドライブを実験に使用した。使用されたVCM駆動システムの伝達関数を求めれば、数式24の通りである。
【0064】
【数24】
【0065】
数式24に表現されたように、不安定な0点(−5.248)を有する非最小位相システムとなる。状態変数予測器の利得は、L=[0.4375 0.1129 0]に設定し、外乱と位置予測誤差との間の伝達関数
【数25】
を計算すれば、数式26の通りである。
【0066】
【数26】
【0067】
したがって、推定フィルタ設計のための最小位相システム及び全域通過フィルタは、数式27のように選択される。
【0068】
【数27】
【0069】
そして、一例として、α=0.9と選択すれば、低域通過フィルタは、数式28のように表現される。
【0070】
【数28】
【0071】
これにより、推定フィルタは、数式29のように設計される。
【0072】
【数29】
【0073】
まず、数式21に提示された開ループ周波数特性の計算結果を図6に提示した。そして、外乱と位置エラー信号との間の利得特性を図7に示した。したがって、外乱観測器を使用すれば、外乱の影響を大きく減らしうることが分かる。例えば、10Hzで30dB以上外乱の影響を減らしうるということが図6及び図7から分かる。そして、ディスクランアウト(Runout)と位置エラー信号との間の利得特性を図8に示した。外乱観測器を使用すれば、ディスクランアウトの影響も大きく減らし得ることが図8から分かる。
【0074】
次いで、正弦波形態の振動外乱をシステムに注入して、外乱推定性能及び位置エラー信号性能の測定結果を提示する。周波数がそれぞれ5Hz、10Hz、50Hz、100Hz、200Hz、400Hzであり、振幅がそれぞれ102mA、52.5mA、6.4mA、3.8mA、2.6mA、2mAである正弦波外乱注入時の性能をそれぞれ図9、図10、図11、図12、図13、図14に提示した。図9及び図10から外乱周波数が5Hz及び10Hzである場合に、本発明に係る外乱観測器はほぼ完壁な外乱補償性能を示しているということが分かる。そして、図11ないし図14から低周波外乱である場合に、補償性能に優れており、周波数が高くなるにつれ、補償性能が低下するということが分かる。
【0075】
結論的に、実験結果から本発明で提示した外乱補償器は、400Hz以下の外乱補償に非常に効果的に使用されうる。
【0076】
添付された図面に示されて説明された特定の実施例は、単に、本発明の例として理解され、本発明の範囲を限定するものではなく、当業界で本発明に記述された技術的思想の範囲でも多様な他の変更が発生しうるため、本発明が既に示され又は記述された特定の構成及び配列に制限されないことは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、ハードディスクドライブを含む各種ディスクドライブに関連した技術分野に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来の技術によるディスクドライブのサーボ制御システムの構成図である。
【図2】本発明が適用されるディスクドライブのヘッドディスクアセンブリの平面図である。
【図3】本発明による低周波外乱補償制御装置を備えるディスクドライブのサーボ制御システムの構成図である。
【図4】図3を変形した等価回路図である。
【図5】図4を変形した等価回路図である。
【図6】外乱観測器の適用如何によるサーボ制御システムの開ループ周波数特性の変化を示す図面である。
【図7】外乱観測器の適用如何による外乱と位置エラー信号との間の利得特性を示す図面である。
【図8】外乱観測器の適用如何によるディスクのランアウトと位置エラー信号との間の利得特性の変化を示す図面である。
【図9A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに5Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図9B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに5Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図10A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに10Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図10B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに10Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図11A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに50Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図11B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに50Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図12A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに100Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図12B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに100Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図13A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに200Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図13B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに200Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【図14A】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに400Hzの外乱注入時の外乱推定性能を示す図面である。
【図14B】本発明による低周波外乱補償制御装置を適用したサーボ制御システムに400Hzの外乱注入時の位置エラー信号を示す図面である。
【符号の説明】
【0079】
1000 トラック追従制御回路
150 VCMドライバ&アクチュエータ
210 状態変数予測器
220 推定フィルタ
230 減算器
2000 回路ブロックを外乱観測器
160A、160B 合算器
u 制御入力
xPES 位置エラー信号
d 外乱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクドライブのサーボ制御装置において、
ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器と、
外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタと、
前記制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器と、を備えることを特徴とする低周波外乱補償制御装置。
【請求項2】
前記所定の状態方程式は、
【数1】
を含むことを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項3】
前記推定フィルタHEST(z)は、次の数式、
【数2】
(ここで、HLPF(z)は、低域通過フィルタであり、HMIN(z)は、最小位相システムである)
で設計されることを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項4】
前記推定フィルタHEST(z)は、外乱と前記位置予測誤差との間の伝達関数である非最小位相システム
【数3】
を、最小位相システムHMIN(z)と全域通過フィルタHAP(z)との積として区分し、所定の低域通過フィルタHLPF(z)を前記最小位相システムHMIN(z)で割った形態の伝達関数を有することを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項5】
前記推定フィルタHEST(z)は、
【数4】
として設定されることを特徴とする請求項4に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項6】
データ保存システムにおいて、
位置エラー信号からヘッドの位置、速度及びバイアス値を含むヘッドの動きの状態情報値を推定し、前記推定された状態情報値に基づいて所定の状態帰還制御プロセスによってトラック追従制御入力を生成させるトラック追従制御回路と、
前記トラック追従制御入力及び前記位置エラー信号から位置予測誤差を算出し、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して設計された伝達関数によって、前記位置予測誤差から外乱推定値を生成させる外乱観測器と、
前記トラック追従制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器と、
前記減算器の出力に相応する駆動電流を生成させてヘッドをトラック上で移動させ、前記ヘッドの移動によって位置エラー信号を生成させるボイスコイルモータードライバ&アクチュエータと、を備えることを特徴とするディスクドライブ。
【請求項7】
前記外乱観測器は、
制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器と、
外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱補償のための外乱推定値を算出する推定フィルタと、を備えることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項8】
前記所定の状態方程式は、
【数5】
を含むことを特徴とする請求項7に記載のディスクドライブ。
【請求項9】
前記推定フィルタHEST(z)は、次の数式、
【数6】
(ここで、HLPF(z)は、低域通過フィルタであり、HMIN(z)は、最小位相システムである)
で設計されることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項10】
前記推定フィルタHEST(z)は、外乱と前記位置予測誤差との間の伝達関数である非最小位相システムを、最小位相システムHMIN(z)と全域通過フィルタHAP(z)との積として区分し、所定の低域通過フィルタHLPF(z)を前記最小位相システムHMIN(z)で割った形態の伝達関数を有することを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項11】
前記推定フィルタHEST(z)は、
【数7】
として設定されることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項1】
ディスクドライブのサーボ制御装置において、
ヘッドの動きを制御する制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器と、
外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱推定値を算出する推定フィルタと、
前記制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器と、を備えることを特徴とする低周波外乱補償制御装置。
【請求項2】
前記所定の状態方程式は、
【数1】
を含むことを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項3】
前記推定フィルタHEST(z)は、次の数式、
【数2】
(ここで、HLPF(z)は、低域通過フィルタであり、HMIN(z)は、最小位相システムである)
で設計されることを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項4】
前記推定フィルタHEST(z)は、外乱と前記位置予測誤差との間の伝達関数である非最小位相システム
【数3】
を、最小位相システムHMIN(z)と全域通過フィルタHAP(z)との積として区分し、所定の低域通過フィルタHLPF(z)を前記最小位相システムHMIN(z)で割った形態の伝達関数を有することを特徴とする請求項1に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項5】
前記推定フィルタHEST(z)は、
【数4】
として設定されることを特徴とする請求項4に記載の低周波外乱補償制御装置。
【請求項6】
データ保存システムにおいて、
位置エラー信号からヘッドの位置、速度及びバイアス値を含むヘッドの動きの状態情報値を推定し、前記推定された状態情報値に基づいて所定の状態帰還制御プロセスによってトラック追従制御入力を生成させるトラック追従制御回路と、
前記トラック追従制御入力及び前記位置エラー信号から位置予測誤差を算出し、外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して設計された伝達関数によって、前記位置予測誤差から外乱推定値を生成させる外乱観測器と、
前記トラック追従制御入力から前記外乱推定値を減算する減算器と、
前記減算器の出力に相応する駆動電流を生成させてヘッドをトラック上で移動させ、前記ヘッドの移動によって位置エラー信号を生成させるボイスコイルモータードライバ&アクチュエータと、を備えることを特徴とするディスクドライブ。
【請求項7】
前記外乱観測器は、
制御入力及び位置エラー信号を入力して、所定の状態方程式を利用して位置予測誤差を算出する状態変数予測器と、
外乱と位置予測誤差との数学的な関係を利用して、前記位置予測誤差から外乱補償のための外乱推定値を算出する推定フィルタと、を備えることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項8】
前記所定の状態方程式は、
【数5】
を含むことを特徴とする請求項7に記載のディスクドライブ。
【請求項9】
前記推定フィルタHEST(z)は、次の数式、
【数6】
(ここで、HLPF(z)は、低域通過フィルタであり、HMIN(z)は、最小位相システムである)
で設計されることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項10】
前記推定フィルタHEST(z)は、外乱と前記位置予測誤差との間の伝達関数である非最小位相システムを、最小位相システムHMIN(z)と全域通過フィルタHAP(z)との積として区分し、所定の低域通過フィルタHLPF(z)を前記最小位相システムHMIN(z)で割った形態の伝達関数を有することを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【請求項11】
前記推定フィルタHEST(z)は、
【数7】
として設定されることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【公開番号】特開2006−216063(P2006−216063A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28752(P2006−28752)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
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