説明

低密度ポリウレタン発泡体、その製造方法及びそれを含む物品

【課題】 厚さが13mm未満であり、密度が最高約400kg/mと低く、且つ気泡構造が均一である軟質発泡体を提供する。
【解決手段】 低密度ポリウレタン発泡体の製造方法であって、イソシアネート含有成分、該イソシアネート含有成分と反応する活性水素含有成分、発泡剤、界面活性剤(整泡剤)、及び発泡体の硬化を遅延させる触媒系を混合撹拌した反応性ポリウレタン形成用組成物を起泡する工程と、起泡した反応性ポリウレタン形成用組成物を第1支持体上に流延する工程と、流延された発泡体組成物における前記第1支持体の反対側の表面上に第2支持体を配置する工程と、第2支持体を用いて発泡組成物を膨張及び硬化させて、密度が50〜400kg/mであり、且つ厚さが0.3〜13mmであるポリウレタン発泡体層12を得る工程とを含むことを特徴とする低密度ポリウレタン発泡体の製造方法。この発泡体はシール部材10として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度ポリウレタン発泡体及びその製造方法、並びに低密度ポリウレタン発泡体を使用して形成された物品に関する。この発泡体は、シール部材、特に携帯電話等の携帯通信機器の表示部における液晶表示画面の周縁又はマイク周縁等とケース内面との間に配置されるのに好適なシール部材の製造に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
テレビ、コンピュータ、携帯電話機又は携帯情報端末におけるディスプレイ等の電気機器には一般に、液晶表示、マイク又はスピーカ等といった内部機器が筐体の外部に臨むように配設されている。内部機器の周縁と筐体との間にシール部材を使用することにより、防塵が向上するとともに、バックライト等からの光漏れ及び衝撃損傷が防止される。
【0003】
最近の携帯電話に代表される小型機器を含む多くの用途では、その機能の増加、高度化及び軽量化が望まれている。そのため、前記シール部材に対する要求特性はより高度化したものとなっている。例えば、最近の携帯電話における前記機能の増加及び高度化は、使用ICサイズの統一による部品集積度の上昇、大規模LSI(VLSI)の導入による省スペース化及び基板の多層化によってなされている。このように携帯電話の筐体内部に多数の部品が集積される場合、筐体の内部構造、例えば筐体の嵌合構造がより複雑化する。内部部品と筐体との間には隙間が形成され、シール部材が内部部品と筐体との間に配設されることが必要である。しかし、シール部材は、充填しようとする隙間の大きさの変化に応じて、(低から高までの)幅広い圧縮率に対して十分にシール性を提供する必要がある。
【0004】
シール部材のシール性は一般に、荷重によってシール部材が容易に変形するか否かによって判断される。よって、シール部材がその高圧縮時に十分なシール性を有するために、低密度の軟質ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体若しくはポリプロピレン発泡体等のオレフィン発泡体、又はゴム発泡体等が使用される。しかし、発泡体がスラブの状態で得られた後、それが所要厚さのシートに薄く切られることにより、軟質で薄い発泡体がしばしば得られる。このような発泡体はスキン層がなく、且つ密着性に劣る。このため、このような発泡体は、所望される程度の防塵性及び遮光性を有さない。スキン層を有する発泡体も前記素材から製造され得るが、このようなシール部材の圧縮残留歪みは大きく、発泡体は安定したシール性を長期間にわたって保持することが困難である。さらに、こうした発泡体のセル(気泡)径は大きいことから、防塵性能及び遮光性能に問題が生じる。
【0005】
この他、各種電機機器の筐体には、概して高伝導性、軽量、且つ高強度の材質、例えばマグネシウム合金等が使用される。この材質に基づく電磁波の発生等の不具合を効率的に回避するため、シール部材には比誘電率が低い材質、すなわち絶縁性が高い材質が望まれる。しかし、基本的に前記比誘電率は材質固有の値であることから、シール性と低比誘電率とを共に有する材質の選定は困難である。
【0006】
特許文献1は、シール部材としてのポリウレタン発泡体を具体的に開示している。このポリウレタン発泡体はメカニカルフロス法に従って形成され、25%圧縮時において低荷重にて容易に変形する。このポリウレタン発泡体の片面には、バックアップ材であるプラスチックフィルムが一体に形成されている。メカニカルフロス法では、有機イソシアネート成分、活性水素含有成分、界面活性剤、及び触媒を混合し、次いで混合物を機械的に撹拌することによって不活性ガスを混合物全体に分散させて熱硬化性発泡組成物を形成し、さらに発泡組成物を硬化させることにより、ポリウレタン発泡体が形成される。
【0007】
ポリウレタン発泡体はまた、イソシアネート成分、活性水素含有成分混合物、及び他の添加剤を物理的又は化学的に発泡させ、続いてその後の硬化によって形成され得る。これらの発泡体の製造方法にはそれぞれ、特に断面全体にわたって密度が低くて均一である薄いポリウレタン発泡体部分が必要である場合に、いくつかの欠点がある。例えば、空気又は不活性ガスを使用してポリウレタン液相を機械的に起泡することによって形成された発泡体はしばしば、良好な物理的特性を有する均一なセル構造を有する。しかし、このような発泡体はまた、1立方メートル当たり約240kg/m(1立方フィート当たり約15ポンド(pcf))を超える高密度品であるために好ましくない。この発泡体はまた、例えば13mm(0.5インチ)未満、好ましくは5mm(0.2インチ)未満、特に3mm(0.12インチ)未満の厚さに製造されることが非常に困難である。一方、物理的又は化学的な発泡によって製造された発泡体は、セル密度が約32kg/m(約2pcf)と非常に低くなり得るが、セル構造が不規則でもある。そのため、この方法で製造された薄い製品は、物理的特性が劣っている。
【特許文献1】特開2001−100216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの欠点を考慮して、当技術分野において、厚さが13mm(0.5インチ)未満、好ましくは3mm(0.12インチ)未満であり、密度が最高約400kg/m(最高約25pcf)、好ましくは50〜250kg/m(3〜15.6pcf)と低く、且つ気泡構造が均一である低硬度の発泡体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、低密度ポリウレタン発泡体の製造方法であって、イソシアネート含有成分、該イソシアネート含有成分と反応する活性水素含有成分、発泡剤、界面活性剤、及び前記発泡体の硬化を遅延させる触媒系を混合撹拌した反応性ポリウレタン形成用組成物を起泡する工程と、起泡した反応性ポリウレタン形成用組成物を第1支持体上に流延する工程と、流延された発泡組成物における前記第1支持体の反対側の表面上に第2支持体を配置する工程と、前記発泡組成物を膨張及び硬化させて、密度が50〜400kg/mであり、且つ厚さが0.3〜13mmであるポリウレタン発泡体層を得る工程とを含むことを特徴とする低密度ポリウレタン発泡体の製造方法を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第2支持体が前記ポリウレタン発泡体に平滑表面仕上げを付与する請求項1に記載の方法を提供する。
請求項3に記載の発明は、前記第1支持体及び第2支持体の少なくとも一方が少なくとも一面上に剥離層を備え、起泡した前記反応性ポリウレタン形成用組成物が前記第1支持体及び第2支持体の少なくとも一方の前記剥離層と接触する請求項1に記載の方法を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記第1支持体、発泡組成物及び第2支持体を厚さ調整手段中に通過させる工程を更に含む請求項1に記載の方法を提供する。
請求項5に記載の発明は、前記第1支持体、前記第2支持体、又はその両方がポリウレタン発泡体層に結合される請求項1に記載の方法を提供する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記結合は、発泡組成物を前記第1支持体、第2支持体又はその両方と接触させながら硬化させた後に行われる請求項5に記載の方法を提供する。
請求項7に記載の発明は、前記第1支持体、前記第2支持体、又はその両方は、それらから剥離可能であるが起泡及び膨張した反応性ポリウレタン発泡体層に硬化した状態で結合する層を備え、前記第1支持体、第2支持体、又はその両方を前記ポリウレタン発泡体及び結合した前記剥離可能層から除去する工程を更に含む請求項1に記載の方法を提供する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記活性水素含有成分がポリエーテルポリオールを含む請求項1に記載の方法を提供する。
請求項9に記載の発明は、前記ポリエーテルポリオールが、式R[(OCH2nOH](式中、Rは水素又は多価炭化水素基であり、aはRの価数に等しく且つ2〜8であり、各nはそれぞれ1〜2であり、zは2〜200である)を有する請求項8に記載の方法を提供する。
【0014】
請求項10に記載の発明は、前記ポリエーテルポリオールのエチレンオキシド含有率が、前記ポリオールの重量に対して20重量%以下である請求項9に記載の方法を提供する。
【0015】
請求項11に記載の発明は、前記発泡剤が化学発泡剤を含む請求項1に記載の方法を提供する。
請求項12に記載の発明は、前記発泡剤が水である請求項11に記載の方法を提供する。
【0016】
請求項13に記載の発明は、前記発泡剤が物理発泡剤を含む請求項1に記載の方法を提供する。
請求項14に記載の発明は、前記物理発泡剤が、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、メチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル;n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、又は上記発泡剤の少なくとも一種を含む組み合わせである請求項13に記載の方法を提供する。
【0017】
請求項15に記載の発明は、前記触媒が金属アセチルアセトナートを含む請求項1に記載の方法を提供する。
請求項16に記載の発明は、前記ポリウレタン発泡体層は、平均セル径が20〜500μmであるセルを含む請求項1に記載の方法を提供する。
【0018】
請求項17に記載の発明は、前記ポリウレタン発泡体層の各周波数10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率が1〜2.0である請求項1に記載の方法を提供する。
【0019】
請求項18に記載の発明は、前記発泡体の厚さが0.3〜5mmであり、且つ密度が320〜400kg/mである請求項1に記載の方法を提供する。
請求項19に記載の発明は、前記発泡体の厚さが0.5〜13mmであり、且つ密度が50〜250kg/mである請求項1に記載の方法を提供する。
【0020】
請求項20に記載の発明は、請求項1に記載の方法により得られる低密度ポリウレタン発泡体を含む物品を提供する。
請求項21に記載の発明は、シール部材の形態である請求項20に記載の物品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、例えばシール部材としての使用に適したポリウレタン発泡体層及び本発明に従ってそれを製造する方法を、好適な実施例を挙げて添付図面を参照しながら以下に説明する。本願の発明者は、ポリウレタン層をメカニカルフロス法で製造するに際して、セルを形成する造泡用気体を増量することで、シール部材の密度が低下することを見出した。このような発泡体は低荷重で高圧縮が可能であり、僅かな隙間、例えば携帯電話機等の機器における筐体嵌合部の僅かな隙間でさえ、十分なシール性を確保し得る。
【0022】
メカニカルフロス法を用いて調製された反応性混合物に関して、下記の2点が実験的に確認された。第1に、造泡用気体が増量されると、ポリウレタン発泡体原材料の見かけ粘度が増大することが観察された。換言すれば、図1に示すように、液状をなす発泡組成物(起泡したポリウレタン発泡体原材料)の発泡密度がより低いとき、液状をなす発泡組成物の発泡粘度(硬化前のポリウレタン発泡体原材料の粘度)は指数関数的に増大する。これは、発泡組成物を流延して硬化させる際にいくつかの難点をもたらす。例えば、流延された発泡組成物の厚さをロール等との接触によって制御する場合、この発泡組成物は容易にロールから剥離せず、それによってロールと接触する発泡組成物の表面が粗くなる。第2に、低密度の発泡ポリウレタンシートを製造する場合、発泡ポリウレタンシートを薄くするほどそのシートの表面は粗くなることが観察された。
【0023】
従って、この現象を回避するために、ポリウレタン発泡体原材料の厚さを制御するための平滑な表面を有する材料シートが使用され、それによって良好な表面形状を有する発泡体を得ることが可能である。
【0024】
その代わりに、又はそれに加えて、2段階起泡/膨張方法の使用により更に、非常に薄くて低密度のポリウレタン発泡体が容易に製造され得ることも見出された。この方法は、適切な発泡剤を含むポリウレタン液相を機械的に起泡させる工程と、その液状をなす発泡組成物を第1(下部)支持体上に流延する工程と、続いて流延された発泡組成物を第2(上部)支持体下で膨張及び硬化させる工程とを含む。触媒系は、硬化が起こる前に膨張が実質的に完了するように、発泡組成物の硬化を遅延させ得るように選択される。この発泡体は均一なセル構造を有することが判明した。この発泡体はまた、改善された機械的特性を有することも可能である。
【0025】
本願に記載のポリウレタン発泡体は、シール用途及び携帯電話用ガスケット等のいくつかの商業的用途に使用され得る。図2に示すように、シール部材10は、例えば発泡ポリウレタン層12及び基材フィルム14から基本的に構成され、発泡ポリウレタン層12は所要の緩衝性、柔軟性、及び前記シール性を提供し、基材フィルム14は発泡ポリウレタン層12の片面に接着されてシール部材10の構造強度を高める。この発泡ポリウレタン層12は、下記のようなメカニカルフロス法に従って製造される。
【0026】
一般に、ポリウレタン発泡体は、活性水素含有成分と反応する有機イソシアネート成分、界面活性剤(整泡剤)及び触媒を含む反応性組成物から形成される。ポリウレタン発泡体の調製に使用される有機イソシアネート成分は通常、一般式:Q(NCO)(式中、iは平均値が2を超える整数であり、Qは価数がiの有機基である)で表されるポリイソシアネートを含む。Qは、置換又は無置換の炭化水素基(すなわち、適当な価数のアルカン又は芳香族基)でもよい。Qは、一般式Q−Z−Q(式中、Qはアルキレン又はアリーレン基であり、Zは−O−、−O−Q−S−、−CO−、−S−、−S−Q−S、−SO−又は−SO−である)で表される基でもよい。適切なイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−p−メタン、キシリルジイソシアネート、ジイソシアネートシクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及び粗トリレンジイソシアネートを含むトリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニル)メタン、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はMDIとも呼ばれる)及びその付加物、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、イソプロピルベンゼン−α−4−ジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のポリマーイソシアネートが挙げられる。
【0027】
Qはまた、価数がiのポリウレタン基でもよいが、この場合、Q(NCO)はプレポリマーとして通常知られている組成物である。このようなプレポリマーは、化学量論的に過剰の上記及び下記に記載のポリイソシアネートと、下記に記載の活性水素含有成分、特にポリヒドロキシル含有材料、又は下記に記載のポリオールとを反応させることによって形成される。通常、ポリイソシアネートは例えば30%〜200%程度の化学量論的に過剰な割合で使用され、この化学量論は、ポリオール中の水酸基1等量当たりのイソシアネート基の等量に基づいている。使用されるポリイソシアネートの量は、調製されるポリウレタンの性質に応じてわずかに変わる。
【0028】
活性水素含有成分は、ポリエーテルポリオール類及びポリエステルポリオール類を含んでもよい。適切なポリエステルポリオール類には、ポリオール類と、ジカルボン酸類又はそのエステル形成誘導体類(例えば無水物類、エステル類、ハロゲン化物類)との重縮合生成物、ポリオール類の存在下でのラクトン類の開環重合により得られるポリラクトンポリオール類、炭酸ジエステル類とポリオール類との反応により得られるポリカーボナートポリオール類、及びヒマシ油ポリオール類が含まれる。重縮合ポリエステルポリオール類の生成に有用で適切なジカルボン酸類及びその誘導体類としては、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類又は脂環式ジカルボン酸類;ダイマー酸類;フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類;ピロメリト酸等の3塩基性以上の官能性ポリカルボン酸類;並びに無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等の無水物類及び第2級アルキルエステル類が挙げられる。
【0029】
さらなる活性水素含有成分は、環状エステルのポリマーである。少なくとも1種の環状エステルモノマーからの環状エステルポリマーの調製は、米国特許第3,021,309号明細書から第3,021,317号明細書;第3,169,945号明細書;及び第2,962,524号明細書に例示されるような特許文献によく実証されている。適切な環状エステルモノマー類としては、δ−バレロラクトン;ε−カプロラクトン;ζ−エナントラクトン;モノアルキル−バレロラクトン、例えばモノメチル−バレロラクトン、モノエチル−バレロラクトン及びモノヘキシル−バレロラクトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般に、ポリエステルポリオールは、カプロラクトン系ポリエステルポリオール類、芳香族ポリエステルポリオール類、アジピン酸エチレングリコール系ポリオール、及び上記ポリエステルポリオール類のいずれか1種を含む混合物を含んでもよい。ε−カプロラクトン、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルエステルから生成されたポリエステルポリオール類が概して好ましい。
【0030】
ポリエーテルポリオール類は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びその混合物等のアルキレンオキシドが、水又はエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、4−メチル−3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、3−メチレン−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、(2−ヒドロキシエトキシ)−1−プロパノール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ブタノール、5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ペンタノール、1−(2−ヒドロキシメトキシ)−2−ヘキサノール、1−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−オクタノール、3−アリルオキシ−1,5−ペンタンジオール、2−アリルオキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、[4,4−ペンチルオキシ)−メチル]−1,3−プロパンジオール、3−(o−プロペニルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、2,2’−ジイソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジエタノール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,2−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−メチルペンタンジオール−1,5;1,1,1−トリス[2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−エタン、1,1,1−トリス[2−ヒドロキシプロポキシ)−メチル]プロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、α−メチルグルコシド、α−ヒドロキシアルキルグルコシド、ノボラック樹脂、リン酸、ベンゼンリン酸、トリポリリン酸及びテトラポリリン酸等のポリリン酸類、3元縮合生成物等の多価有機成分に化学的に付加されることによって得られる。ポリオキシアルキレンポリオール類を生成する際に使用されるアルキレンオキシド類は通常、2〜4個の炭素原子を有する。プロピレンオキシド、及びプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物が好ましい。上記ポリオール類はそれ自体、活性水素成分として使用され得る。
【0031】
ポリエーテルポリオール類の好ましい種類は通常、一般式:R[(OCH2nOH](式中、Rは水素又は多価炭化水素基であり、aはRの価数に等しい整数(すなわち1又は2〜6〜8)であり、nは2〜4の整数(好ましくは3)であり、zは2〜200、好ましくは15〜100の整数である)で表される。好ましいポリエーテルポリオールは、1種又は数種のジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオール等の混合物を含む。
【0032】
利用され得る活性水素含有成分の他の種類は、米国特許第3,383,351号明細書に記載されているようなポリオール中のエチレン性不飽和モノマー類を重合させることによって得られるポリマーポリオール組成物である。このような組成物の製造に適したモノマー類としては、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデン、及び上記米国特許で特定され且つ記載された他のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。適切なポリオール類としては、上記及び米国特許第3,383,351号明細書に記載されたものが挙げられる。このポリマーポリオール組成物は、ポリオールの総量に対して、ポリオール中で重合されたモノマーを1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含むことができる。また、ポリマーポリオール組成物は、ポリオール中で重合されたモノマーを70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下しか含まないことが好ましい。このような組成物は好都合なことに、選択されたポリオール中、過酸化物類、過硫酸塩類、過炭酸塩類、過ホウ酸塩類、アゾ化合物類等のラジカル重合触媒の存在下において40℃〜150℃の温度でモノマー類を重合させることによって調整される。
【0033】
活性水素含有成分はまた、ヒドロキシル末端ポリ炭化水素類(米国特許第2,877,212号明細書);ヒドロキシル末端ポリホルマール類(米国特許第2,870,097号明細書);脂肪酸トリグリセリド類(米国特許第2,833,730号明細書及び第2,878,601号明細書);ヒドロキシル末端ポリエステル類(米国特許第2,698,838号明細書、第2,921,915号明細書、第2,591,884号明細書、第2,866,762号明細書、第2,850,476号明細書、第2,602,783号明細書、第2,729,618号明細書、第2,779,689号明細書、第2,811,493号明細書、第2,621,166号明細書及び第3,169,945号明細書);ヒドロキシメチル末端パーフルオロメチレン類(米国特許第2,911,390号明細書及び第2,902,473号明細書);ヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルグリコール類(米国特許第2,808,391号明細書;英国特許第733,624号明細書);ヒドロキシル末端ポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール類(米国特許第2,808,391号明細書);並びにヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルトリオール類(米国特許第2,866,774号明細書)等のポリヒドロキシル含有化合物を含んでもよい。
【0034】
このポリオール類は、広範囲に及ぶヒドロキシル価を有することができる。一般に、ポリオール類のヒドロキシル価は、他の架橋添加剤が使用される場合はそれを含めて28〜1000以上、好ましくは100〜800である。このヒドロキシル価は、1gのポリオール、又は他の架橋性添加剤を含むか、若しくは他の架橋性添加剤を含まないポリオールの混合物から調製された完全アセチル化誘導体の加水分解生成物を完全に中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。このヒドロキシル価はまた、次式によって定義され得る。
【0035】
【数1】

式中、OHはポリオールのヒドロキシル価であり、fはポリオール1分子当たりの平均ヒドロキシル基数である平均官能基数であり、M.W.はポリオールの平均分子量である。
【0036】
化学発泡剤及び物理発泡剤の少なくとも一方を含む多種多様な発泡剤又はその混合物が使用される場合、それらは反応性組成物中で使用され得る。化学発泡剤としては、例えば水と、特定の条件下、例えば狭い温度範囲内で高いガス発生量とともに分解する化合物とが挙げられる。分解工程中に形成される分解生成物は、好ましくは生理的に安全であり、且つ発泡ポリウレタンシートの熱安定性又は機械的特性に実質的に悪影響を及ぼさない。さらに、分解生成物が風解しないこと、又は分解生成物が発泡体生成物に対して変色効果をもたらさないことが好ましい。
【0037】
適切な化学発泡剤としては、水が挙げられる。水が発泡剤として使用される場合、触媒を選択的に使用することによって硬化反応を制御することが概して好ましい。水は通常、発泡剤として反応性組成物の全量の0.1〜8重量%の量で使用される。アゾ化合物類、例えばアゾイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド(すなわち、アゾビスホルムアミド)及びアゾジカルボン酸バリウム;置換ヒドラジン類、例えばジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、4,4’−ヒドロキシ−ビス−(ベンゼンスルホヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン又はアリール−ビス−(スルホヒドラジド);セミカルバジド類、例えばp−トリレンスルホニルセミカルバジド又は4,4’−ヒドロキシ−ビス−(ベンゼンスルホニルセミカルバジド);トリアゾール、例えば5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール;及びN−ニトロソ化合物類、例えばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン又はN,N−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド;ベンゾオキサジン類、例えば無水イサトイン酸;又は例えば炭酸ナトリウム/クエン酸混合物等の混合物等の他の化学発泡剤が使用されてもよい。上記発泡剤の量は、その薬剤及び所望の発泡体密度に応じて変化し、当業者によって容易に決定され得る。通常、これらの発泡剤は、反応性組成物の全量の0.1〜10重量%の量で使用される。
【0038】
物理発泡剤が、それ単独で、又は物理発泡剤同士、若しくは1種又は数種の化学発泡剤との混合物として使用されてもよい。物理発泡剤は、炭化水素類、エーテル類、エステル類、及び部分的にハロゲン化された炭化水素類、エーテル類、エステル類等を含む広い範囲の材料から選択され得る。典型的な物理発泡剤の沸点は、−50℃〜100℃、好ましくは−50℃〜50℃である。典型的な物理発泡剤としては、1,1−ジクロロ−l−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、及び1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン等のCFC類(クロロフルオロカーボン類);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、及びペンタフルオロエタン等のFC類(フルオロカーボン類);メチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル及びジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル等のFE類(フルオロエーテル類);及びn−ペンタン、イソペンタン、及びシクロペンタン等の炭化水素水が挙げられる。化学発泡剤と同様に、物理発泡剤は、得られた発泡体に所望の嵩密度を与えるのに十分な量で使用される。通常、物理発泡剤は、反応性組成物の5〜50重量%、通常は反応性組成物の10〜30重量%の量で使用される。一実施形態では、1種又は複種の物理発泡剤とともに水が発泡剤として使用される。
【0039】
イソシアネート成分と活性水素含有成分との反応を触媒するのに通常使用される多くの触媒が、発泡体の調製に使用され得る。このような触媒としては、ビスマス、鉛、スズ、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン及びジルコニウムの有機酸塩類、無機酸塩類及び有機金属誘導体類、さらにホスフィン類及び第三級有機アミン類が挙げられる。このような触媒の例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸コバルト、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、o−及びp−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、カルボン酸N−ヒドロキシル−アルキル第四級アンモニウム類、及びギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、2−エチルヘキサン酸テトラメチルアンモニウム、さらに上記触媒のいずれか1種を含む組成物が挙げられる。
【0040】
アルミニウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム(III)、クロム(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(II)、インジウム、鉄(II)、ランタン、鉛(II)、マンガン(II)、マンガン(III)、ネオジム、ニッケル(II)、パラジウム(II)、カリウム、サマリウム、ナトリウム、テルビウム、チタン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウム等の金属に基づく金属アセチルアセトナート類が好ましい。一般的な触媒は、ジアセトニトリルジアセチルアセトナートニッケル、ジフェニルニトリルジアセチルアセトナートニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジアセチルアセチルアセトナートニッケル等のビス(2,4−ペンタンジオナート)ニッケル(II)(ニッケルアセチルアセトナート又はジアセチルアセトナートニッケルとも呼ばれる)及びその誘導体類である。鉄アセチルアセトナート(FeAA)が、その安定性、良好な触媒活性及び無毒性のために特に好ましい。
【0041】
シンプソン(Simpson)の米国特許第5,733,945号明細書に開示されているように、金属アセチルアセトナートにアセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)が添加される。アセチルアセトンは熱潜伏期を与え、それによって、必要とされる混合、流延及び他の手順の時間が与えられ、低温工程処理中での有害な早期硬化が回避される。しかし、材料が数箇所の加熱ゾーンで硬化され、ウレタン混合物の温度が上昇するにつれてアセチルアセトンが追い出される。アセチルアセトンが除去され、それに伴って遅延機能がなくなると、金属アセチルアセトナートは、その通常の高反応性を取り戻し、ポリウレタン反応の終わりにおいて非常に高いレベルの触媒作用を提供することができる。工程処理サイクルの後期のこの高反応性は有利であり、圧縮永久歪み等の改善された物理的特性がもたらされる。一般に、金属アセチルアセトナートとアセチルアセトンとの比は、重量基準で2:1である。
【0042】
反応性組成物に存在する触媒の量は、活性水素含有成分の重量に対して好ましくは0.03重量%〜3.0重量%である。
一実施形態では、水が発泡剤として使用される場合、FeAAが触媒として選択される。水とウレタンとの相対反応速度を調整するために、他の触媒又は補助剤、例えばアミン類が使用され得る。水はイソシアネートと反応してCOを放出する。アセチルアセトンを有するFeAAは同時に、硬化反応を遅延的に触媒して早期硬化を防ぎ、その結果、化学(及び任意で物理)発泡が妨害されずに続行することを可能にする。この触媒は最終的に、ポリウレタン発泡体の完全硬化を可能にする。金属アセチルアセトナートは、最も好都合にはジプロピレングリコール又は他のヒドロキシル含有成分等の適切な溶媒中で事前に溶解して添加され、次いで反応に加えられて最終製品の一部となる。
【0043】
界面活性剤の混合物を含む多種多様な界面活性剤が、ポリウレタン発泡体をその硬化前に安定化させる目的で使用され得る。有機シリコーン界面活性剤は特に有用である。好ましい有機シリコーン界面活性剤は、SiO(ケイ酸塩)単位及び(CHSiO0.5(トリメチルシロキシ)単位から基本的に構成されるコポリマーであり、ケイ酸塩単位とトリメチルシロキシ単位とのモル比が0.8:1〜2.2:1、好ましくは1:1〜2.0:1である。他の好ましい有機シリコーン界面活性剤は、部分的に架橋されたシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー及びその混合物であり、このシロキサンブロック及びポリオキシアルキレンブロックはケイ素を介して炭素に結合し、又はケイ素を介して酸素−炭素結合に結合する。シロキサンブロックは炭化水素−シロキサン基からなり、前記結合により結合されたブロック毎に平均で少なくとも2価のケイ素を有する。ポリオキシアルキレンブロックの少なくとも一部はオキシアルキレン基からなり、多価である。すなわち、ポリオキシアルキレンブロックの少なくとも一部は、前記結合により結合されたブロック毎に少なくとも2価の炭素及び炭素に結合した酸素の少なくとも一方を有する。残りのポリオキシアルキレンブロックはオキシアルキレン基からなり、且つ1価である。すなわち、残りのポリオキシアルキレンブロックは、前記結合により結合されたブロック毎に1価の炭素及び炭素に結合した酸素の少なくとも一方のみを有する。さらに、米国特許第2,834,748号明細書、第2,846,458号明細書、第2,868,824号明細書、第2,917,480号明細書、及び第3,057,901号明細書に記載されているもの等の通常の有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー類が使用され得る。泡安定剤として使用される有機シリコーンポリマーの量は幅広い範囲で変化することができ、例えば活性水素成分の量に対して0.5重量%〜10重量%又はそれ以上に変化し得る。好ましくは、発泡体配合物中に存在する有機シリコーンコポリマーの量は、同じ基準において1.0重量%〜6.0重量%で変化する。
【0044】
他にも、任意の添加剤が製造工程中のポリウレタン泡混合物に添加されてもよい。例えば、充填剤(アルミナ三水和物、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、粘土等)、染料、顔料(例えば二酸化チタン及び酸化鉄)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、難燃剤、UV安定剤、導電性充填剤、導電性ポリマー等の通常使用される添加剤が使用され得る。
【0045】
一実施形態では、本発明に係る発泡体を製造するための反応性組成物は、基本的には特公昭53−8735号公報に開示されている内容に従う。しかし、本願に記載される範囲の密度及び比誘電率をそれぞれ提供するために、特定のポリオール組成物が好ましい。使用に望ましいポリオールは、EO(エチレンオキシド;(CHCHO))を除いて、PO(プロピレンオキシド)及びPTMG(テトラヒドロフランが開環重合したもの)の少なくとも一方等の繰返し単位(「ユニット」という)を有する。これはEOユニットを多く含有しているポリオールを使用すると、得られた発泡体に吸湿性が発現し、発泡体の比誘電率が高くなってしまうためである。具体的には、ポリオールにおけるEOユニット(又はEOユニット比率)の割合を20%以下に設定することによって、本願に記載される所定の比誘電率を達成し得る。例えば、使用されるポリオールがPOユニット及びEOユニットだけからなる場合、このポリオールは[POユニット]:[EOユニット]=100:0〜80:20の範囲内となるように設定される。本発明においては、EOユニットの割合を「EO含有率」と称している。
【0046】
発泡体は、反応性組成物(すなわちイソシアネート成分、活性水素含有成分、泡安定化界面活性剤、触媒及び他の任意の添加剤)を所定量の造泡用気体と機械的に混合することによって製造され得る。図4に示すように、起泡混合物(ポリウレタン発泡体原材料)は、製造工程で移動手段としても利用される基材フィルム14上に連続供給される。本願においては、基材フィルム14を第1支持体又は下部支持体層とも称している。さらに、起泡混合物の上側には、本願において第2支持体又は上部支持体とも称される表面保護フィルム16が設けられている。従って、起泡反応性組成物は、その上側及び下側の2枚のフィルム14及び16の間に挟まれ、表面が荒れないように保護されるとともに厚さが制御されたシートに成形され、それによって発泡ポリウレタンシート12が製造される。このメカニカルフロス法及びそのための個々の原材料等は、例えば特公昭53−8735号公報に詳細に開示されている。メカニカルフロスに適した方法もまた、以下により詳細に記載される。
【0047】
他の実施形態では、発泡体は、メカニカルフロスと膨張(化学発泡又は物理発泡)との組合せによって製造されてもよい。この手法の一方式では、低密度発泡体を製造するための成分、すなわちイソシアネート成分、活性水素含有成分、触媒、化学発泡剤及び他の望ましい添加剤がまず一緒に混合され、次いで空気によるメカニカルフロスが施される。あるいは、これらの成分は、メカニカルフロス工程中に液相に順次滴下されてもよい。造泡用気体は、安価で入手し易いことから、空気が最も好ましい。しかし、必要に応じて、周囲条件で気体であり、且つ液相のどの成分に対しても実質的に不活性又は全く反応しない他の気体が使用され得る。他の気体としては、例えば窒素、二酸化炭素、及び周囲温度で通常気体であるフルオロカーボン類が挙げられる。この不活性気体は、液相をホバート(Hobart)ミキサー又はオークス(Oakes)ミキサー等の高剪断装置で機械的に撹拌することによって液相中に組み込まれる。この気体は、オークスミキサーの通常の操作の場合に加圧下で導入されることができ、又はホバートミキサーの場合に、上を覆っている雰囲気から撹拌又は泡立てによって引き込まれることができる。機械的撹拌操作は、標準的な圧力、例えば689〜1379kPa(100〜200ポンド/平方インチ)以下の圧力で実施されてもよい。容易に入手可能な混合装置を使用することができ、特別な装置は必要としない。所望の密度の泡を形成するために、液相中に撹拌される不活性気体の量はガス流量計量装置で制御される。機械的撹拌は、所望の硬化前の発泡密度を得るのに適した期間、例えばオークスミキサーでは数秒、又はホバートミキサーでは3〜30分を超えて実施される。機械的撹拌操作で出現する泡は、実質的に化学的に安定であり、且つ構造的にも安定であるが、周囲温度、例えば10℃〜40℃で容易に加工され得る。
【0048】
起泡後、反応性混合物は、制御された速度でホース又は他の導管を経由して移送され、第1支持体上に堆積される。便宜上、この第1支持体は「下部支持体」と称されることができ、一般には硬化発泡体がそこから容易に剥離し得るものでもよいし、剥離し得ないものでもよい可動支持体である。本願において「表面保護層」又は「上部支持体」とも称される第2支持体が、反応性混合物の上に配置される。この上部支持体もまた、硬化発泡体から容易に剥離し得るものでもよいし、剥離し得ないものでもよい可動支持体である。この上部支持体は、起泡とほぼ同時に貼付され得る。上部支持体の貼付前に、発泡体は、ドクターブレード又は他の適切なスプレッダによって所望の厚さの層に広げられ得る。あるいは、発泡体を広げ、且つ起泡層を所望の厚さに調整するために、上部支持体の配置が利用されてもよい。さらに他の実施形態では、発泡体の高さを調整するために、上部支持体の配置後にコーターが使用され得る。上部支持体の貼付後、起泡発泡体は、物理発泡剤又は化学発泡剤の作用で膨張される。
【0049】
実際には、支持体が供給ロールから繰り出され、硬化ポリウレタン発泡体から分離した巻取ロールに最終的には巻き戻され得る。上部及び下部支持体用の素材の選択は、所望の支持の程度及び柔軟性、硬化発泡体からの所望の剥離性、コスト、及び同様の考慮事項等の要因に依存する。紙、ステンレス鋼等の金属薄板、又はポリエチレンテレフタレート、シリコーン等のポリマーフィルムが使用されてもよい。この素材は剥離コーティングで被覆され得る。一実施形態では、硬化ポリウレタン発泡体の表面に移動されることを意図する素材、例えば支持体から剥離し得るポリウレタンフィルムで支持体が被覆されてもよい。繊維ウェブ又は他の充填剤が支持体の表面に配置されてもよく、それによって硬化発泡体に最終的に組み込まれる。他の実施形態では、発泡体が支持体の一方又は両方で硬化する。したがって、支持体の一方又は両方が、発泡体から分離されて巻取ロールに巻き戻される代わりに、最終製品の一部となる。あるいは、下部支持体としてコンベヤーベルトが使用され得る。支持体は、平らな表面又は織目の移った表面を有してもよい。
【0050】
具体的な一実施形態では、発泡体の表面にスキン層が設けられている。それによって、シールされる物体に対する接着性が高められ得ることから、シール性が高められ得る。
特定の一実施形態では、シール部材10等の物品の構造強度を高めて製品の取扱性を向上させるために、基材フィルム14は硬化されて発泡ポリウレタンシート12、すなわちポリウレタンシートに結合される。製造方法に関して下記に記載するように、この基材フィルム14は、製造装置30において起泡反応性組成物用の移動手段としての役目も果たすことができる。したがって、基材フィルム14は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)等の低熱収縮性を有する任意の樹脂を含み、この樹脂は、ロール機32によって加えられる張力に抵抗し得る物理的強度、及び加熱手段38によって加えられる熱に対する抵抗性を有する。さらに、特にコストの点からもPETを使用することが好ましいが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の樹脂を含むフィルムもまた使用され得る。素材の品質に応じて、基材フィルム又は下部支持体14の厚さは、10〜500μm、好ましくは25〜125μmとされ得る。こうした厚さは、基材フィルム14を発泡ポリウレタンシート12に結合させた場合でさえも、その物品のシール性に悪影響を与えることはない。
【0051】
支持体と(任意の膨張後の)発泡体層との組立品は、ポリウレタン発泡体の硬化用の加熱ゾーンに移送される。温度は、発泡体材料の組成物に応じて、発泡体の硬化に適した範囲、例えば90℃から220℃に維持される。発泡体の外表面上に一体型スキンを形成するため、又は相対的に厚い層を発泡体に追加するために、異なる温度が確立され得る。
【0052】
発泡体は、加熱及び硬化された後、次いでファン等の適切な冷却装置によって冷却される冷却ゾーンに移送され得る。必要に応じて支持体が除去され、発泡体がロールに巻き取られることができる。あるいは、発泡体は、更なる加工処理、例えば支持体層の一方又は両方への貼合せ(熱及び圧力を用いる結合)が施されることができる。
【0053】
発泡ポリウレタンシートを含む物品、例えばシール部材の製造装置、及びその製造装置を使用した物品の製造方法の好ましい例を下記に説明する。図3に示すように、発泡ポリウレタンシートの製造方法は、原材料を準備して調製する工程S1と、その原材料を供給して成形する工程S2と、加熱工程S3と、最終工程S4とを含む。この発泡ポリウレタンシートは、好ましくは図4に示す製造装置30によって製造される。この製造装置30は、混合部31、ロール機構32、吐出ノズル34、表面保護機構35、ロール又はプレート式ナイフコータ等の厚さ制御手段36、及びトンネル型加熱炉等の加熱手段38を備える。混合部31中で、主原料(ポリイソシアネート成分及び反応性水素含有成分)、各種副原料及び造泡用気体等が互いに混合され、メカニカルフロスによって反応性組成物Mを調製される。ロール機構32は、供給ロール32a及び製品回収ロール32bを備える。供給ロール32aは、基材フィルム14、例えばPETフィルムが(図示しない)駆動源により駆動されることにより、反応性組成物M用の移動手段としての役割を果たす。吐出ノズル34は、反応性組成物Mを基材フィルム14上に供給する。表面保護機構35は、供給ロール35a及び回収ロール35bを備える。厚さ制御手段36は、(図に示すようにロールが)供給ロール35aの下流側で基材フィルム14の近くに配置される。すなわち、供給ロール35a及び回収ロール35bが(図示しない)駆動手段で駆動され、それによって表面保護フィルム16が厚さ制御手段36のロール及びガイドロール37を経由して基材フィルム14の上面から除去され、回収ロール35bに巻き戻される。表面保護フィルム16はまた、PETフィルム又は他のフィルムを備えることができ、基材フィルム14上に供給された反応性組成物Mと厚さ制御手段36との間を通過し、それによって厚さ制御手段36が吐出ノズル34の下流側で反応性組成物Mと直接接触することが防止される。厚さ制御手段36は、吐出ノズル34の下流側で反応性組成物Mを所定の厚さに制御する。加熱手段38は厚さ制御手段36の下流側に設けられている。反応性組成物Mは平らな表面上で反応及び硬化されるが、必要に応じて成形型中又は剥離紙上等で反応及び硬化されてもよい。
【0054】
ロール機構32は、基材フィルム14に張力を掛けつつ基材フィルム14を製造ラインに供給し、且つ得られる発泡ポリウレタンシートを回収する機構である。供給ロール32aには基材フィルム14が巻き付けられ、制御下で基材フィルム14を送出する。吐出ノズル34は、移送される基材フィルム14上に反応性組成物Mを制御下で供給し、その上端が混合部31に接続されている。混合部31中で実施される原料を準備して調製する工程S1は、発泡ポリウレタンシート12用の反応性組成物Mを主原料及び各副原料から準備して混合する工程である。
【0055】
この工程では、上記のように、表面保護フィルム16によって、厚さ制御手段36は基材フィルム14上に供給された反応性組成物Mとの接触が防止されている。さらに、基材フィルム14と同様に、表面保護フィルム16は、好ましくはPET等の低熱収縮性を有する任意の樹脂を含み、この樹脂は平滑な表面、表面保護機構35によって加えられる張力に抵抗し得る物理的強度、及び加熱手段38によって加えられる熱に対する抵抗性を有する。さらに、一実施形態では、この反応性組成物Mが加熱手段38を通過して、その表面が平らになった後、反応性組成物Mを加熱及び硬化させることによって製造された発泡ポリウレタンシート12の表面から表面保護フィルム16が剥離される。したがって、シリコーン材料等の剥離剤が、表面保護フィルム16の反応性組成物Mとの接触領域に予め塗布される。あるいは、剥離コーティング付きの紙が使用されてもよい。
【0056】
厚さ制御手段36は、基材フィルム14上に放出された反応性組成物Mを所要の厚さのシート材料に成形し、したがってこの例ではロールが使用される。反応性組成物Mがこの厚さ制御手段36を通過すると、原材料を供給して成形する工程S2が完了する。メカニカルフロスのみが使用される場合、反応性組成物Mを加熱及び硬化させることによって製造される発泡ポリウレタンシートの厚さは、厚さ制御手段によって設定される。したがって、加熱(硬化)前の反応性組成物Mはメカニカルフロス法に従って調製されるが、加熱(硬化)後の発泡ポリウレタンシートとは厚さが大幅に異なる。したがって、この反応性組成物Mから製造される硬化発泡体は、厚さ制御手段36によって設定される厚さを有する。しかし、メカニカルフロス及び膨張(化学発泡又は物理発泡)の両方が使用される場合、厚さ制御手段36は発泡体の初期厚さを設定することに留意されたい。流延発泡体のその後の膨張は通常、厚さの増大を生じ、したがって厚さが増大した硬化発泡体をもたらす。
【0057】
反応性組成物Mが加熱手段38を通過すると、加熱工程S3が完了する。一実施形態では、反応性組成物Mが基材フィルム14上で加熱及び硬化される場合、発泡ポリウレタンシート12及び基材フィルム14は、反応性組成物Mの接着効果を効果的に利用し、それによって発泡ポリウレタンシート12が基材フィルム14にしっかりと結合される。すなわち、反応性組成物Mがフィルム14と接触しながら硬化することによって、発泡ポリウレタンシート12及び基材フィルム14が一体に接着される。最終工程S4では、個々の工程S1からS3によって製造された長尺の発泡ポリウレタンシート12が得られ、必要に応じて発泡ポリウレタンシートの形状に打ち抜かれ、それが最終製品となり、さらに最終検査が実施される。最終検査が実施される間に、発泡ポリウレタンシート12は製品回収ロール32bにより巻き取り回収され、そのままの形で出荷されてもよい。このような製造形態では、発泡ポリウレタンシート12の長さは5メートル以上が好ましい。この場合、長尺の発泡ポリウレタンシート12を所要の形状にするための加工処理、及びテープ貼り及び打ち抜き等の加工処理を連続して実施することが可能であり、それによって生産性が向上することから、製造コストの削減が期待し得る。
【0058】
上述の実施例では、発泡ポリウレタンシートの一部をなす基材フィルム14を直接製造工程に供給し、それによってこの基材フィルム14を支持体フィルムとしても利用する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5及び6に示す製造装置50及び60のように、支持体フィルム18を別途準備する工程と、圧力ロール70等を使用してそれに基材フィルム14を積層する工程工程(図5を参照)とを含む方法、又は支持体フィルム18が容易に剥離し得るように、基材フィルム14を支持体フィルム18に予め積層する工程(図6を参照)を含む方法によって、発泡ポリウレタンシートが製造され得る。この場合、張力を加えて反応性組成物Mを移動させる支持体としての役割が切り離されることができ、それによって基材フィルム14の厚さをより薄くすることが可能であり、より安価な材料の採用によるコストの削減が期待し得る。
【0059】
したがって、一実施形態では、反応性組成物Mの厚さは表面保護フィルム16を介して厚さ制御手段36によって制御され、それによって発泡ポリウレタンシートの厚さが制御される。さらに、反応性組成物Mの表面は荒れないように保護され、表面形状は平らになる。しかし、表面保護フィルム16は必須ではない。例えば、厚さ制御手段36のロールと反応性組成物Mとの間の剥離性を高めるように、剥離剤がロールの表面に連続供給されることができ、それによって反応性組成物Mの表面は荒れないように保護され得る。この場合、表面保護用フィルム16は必要でなく、それによって製造中のトラブルが低減してコストの削減が期待し得る。
【0060】
さらに、反応性組成物Mは、必ずしも基材フィルム14上に提供される必要はない。例えば、以下の方法が使用されることができ、この方法は、基材フィルム14及び表面保護フィルム16の双方を上方から下方へ供給する工程と、この2枚のフィルム14及び16の僅かな隙間に反応性組成物Mを供給してその厚さを制御する工程と、反応性組成物Mをその間隙に保持した状態で、反応性組成物M自体の粘度を最大限に利用しながら反応性組成物Mに熱を加えてそれを硬化させる工程とを含む。この場合、反応性組成物Mの粘度が十分に高くない場合でも、反応性組成物Mは単に下方へ移動して製造工程に従って移動し、さらに反応性組成物Mの厚さ、すなわち反応性組成物Mで充填される空間は、基材フィルム14及び表面保護フィルム16によって実質的に制限され、それによって製造工程的及び品質的に問題は生じず、さらに製造装置の設置自由度が高められ得る。
【0061】
メカニカルフロスのみが使用される場合、こうして得られた発泡ポリウレタンシート12の密度は100〜250kg/mであり、厚さは0.3〜3.0mmである。したがって、こうした密度を達成することによって、50%CLDは、0.003〜0.025MPaになり、75%CLDは0.02〜0.40MPaになる。さらに、周波数10kHz、100kHz及び1MHzで測定された比誘電率は1〜2.0である。
【0062】
「50%CLD」という用語は、発泡ポリウレタンシート12を物理的に50%圧縮するときに必要な荷重、すなわち物理的に50%圧縮されたときの発泡ポリウレタンシート12の硬度を示し、「75%CLD」という用語は、発泡ポリウレタンシート12を物理的に75%圧縮するときに必要な荷重、すなわち物理的に75%圧縮されたときの発泡ポリウレタンシート12の硬度を示す。これら2つの値が前述の好ましい範囲より高い場合、発泡ポリウレタンシート12は物理的に50%又は75%圧縮された際に過剰に硬く、したがって柔軟性が劣り、それによって発泡ポリウレタンシート12がシール性を十分に達成し得なくなる。さらに、筐体に加えられる荷重が過剰に増加し、したがって最終製品が使用される際に筐体等に歪み、割れ、欠け及び他の物理的欠陥の少なくとも一つが生じるおそれがある。一方、50%CLD及び75%CLDの値が前述の好ましい範囲より低い場合、発泡ポリウレタンシート12の成形が困難である。
【0063】
製造工程において造泡用気体及び樹脂原材料(反応性組成物)を均質に混合することが困難であることから、メカニカルフロス法のみが使用される場合、100kg/m未満の密度の発泡体を製造することが困難であることが分かった。さらに、セルを形成する泡が安定して維持されずにセル荒れが起こり、それによってセルの形状及び大きさの少なくとも一方が一様でなくなり、ボイド(セル荒れ、大きな空隙)の出現を招くことが観察された。その結果、充分なシール性の発現が阻害されることになる。メカニカルフロスのみを使用して製造された発泡体の密度が250kg/mを超える場合、前述の50%CLD、75%CLD及び比誘電率の好ましい値が得られない。
【0064】
厚さが0.3mm未満の場合、所望の弾性を達成することが困難であり、充分なシール性を達成し得ない。携帯電話等の省スペース性が要求される機器での使用を考慮した場合、厚さの上限は3mmである。さらに、携帯電話機の筐体の嵌合構造の間隙が例えば0.25mm及び0.5mmである場合、厚さが1mmに設定された本発明のシール部材は、物理的に50%圧縮されたときにシール性を維持しつつ0.5mmに圧縮され、また物理的に75%圧縮されたときにシール性を維持しつつ0.25mmに圧縮されて好適なシール部材となる。
【0065】
予想外なことに、メカニカルフロスと、化学発泡又は物理発泡とが上部支持体と組み合わされて使用されると、より広い範囲の密度及びより広い範囲の厚さにわたって有利な特性を有するポリウレタン発泡体の製造が可能になることがわかった。理論に束縛されるものではないが、上部支持体が、発泡剤によって発生した気体の反応性組成物からの拡散を制限すると考えられる。メカニカルフロス及び膨張を上部支持体とともに使用して形成された発泡体の密度は、50〜400kg/m、具体的には60〜250kg/m、より具体的には70〜200kg/m、さらに具体的には70〜150kg/mとなり得る。また、このような発泡体の厚さは0.3〜13mm、具体的には0.3〜9mm、より具体的には0.3〜5mm、さらに具体的には0.3〜3mmである。このような発泡体の物理的特性は優れている。例えば、このような発泡体は50%CLDが0.003〜0.025MPaとなり、75%CLDが0.02〜0.40MPaとなり得る。さらに、周波数10kHz、100kHz及び1MHzにわたって測定された比誘電率は1〜2.0である。
【0066】
特に、メカニカルフロス及びケミカルフロス並びに上部支持体を使用して製造された発泡体は、厚さが0.3〜5mmとなり、密度が320〜400kg/mとなり得る。あるいは、この発泡体は、厚さが0.5〜13mmとなり、密度が50〜250kg/mともなり得る。発泡体の厚さを0.3mm未満に制御することは困難である。厚さが13mmを超える発泡体は、携帯電話等の小型電子機器用のガスケットとして有用でない。密度が50kg/m未満の発泡体では、ボイドが許容し得ないほど形成されるおそれがある。密度が400kg/mを超える発泡体は、望ましい他の特性、例えば50%CLDを有していない。厚さが5.0mm未満であり、且つ密度が320kg/m未満の発泡体の厚さを制御することも困難である。
【0067】
本願で使用される「比誘電率」という用語は、電束密度と電界密度との比を真空の誘電率で除した値を意味し、比誘電率の最小値は理論的に1である。すなわち、測定対象の物体(例えば、本発明では発泡ポリウレタンシート12を構成する発泡体の構造)が疎であるほど、その比誘電率は低くなる。したがって本発明においては、発泡ポリウレタンシートの密度を下げて気泡率を高めることで、周波数が10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率がそれぞれ1〜2.0になる。これは、比誘電率が2.0を超えると、その発泡ポリウレタンシートの絶縁性能が劣り、それによって充分な絶縁性が発揮され得なくなるからである。発泡ポリウレタンシート12を構成するポリウレタン発泡体の構造の密度は、基本的に気泡率によって表すことが可能である。発泡体の密度を下げると、気泡率を高めることができる。具体的には、反応性組成物Mに混入される造泡用気体、例えば窒素等の不活性ガスの混合割合を高めることによって、気泡率が高められる。気泡率は76体積%以上である。
【0068】
発泡体に良好な機械的特性、特に発泡ポリウレタンシートに良好なシール性を付与するために、発泡体のセル径は20〜500μm、好ましくは20〜300μmである。この値が500μmを超えると、発泡体の防塵性能及び遮光効果の少なくとも一方が低下する。さらに、発泡体のセル径が小さくなるほど、発泡体のシール性が高くなる。一方、発泡体のセル径が20μm未満であると、セル径の制御が困難であって実用的でない。
【実施例】
【0069】
下記の非限定的な実施例で本発明をさらに説明する。
下記の実施例では、以下のポリオールを使用した。
ポリエーテルポリオール−A:商品名「GP−3000」;三洋化成工業株式会社(平均分子量は3000であり、水酸基価は56.0であり、EO含有率は0%である);及び
ポリエーテルポリオールB:商品名「FA−103」;三洋化成工業株式会社(分子量は3300であり、水酸基価は50.0であり、EO含有率は80%である)。
【0070】
さらに、測定方法及び条件は以下のとおりである。
密度:各試料の重量を電子天秤で測定し、次いで密度を次の計算式を用いて計算した。
密度(kg/m)=[試料の重量(kg)]/[試料の体積(m)]
50%CLD:圧縮試験機を使用して、試料を元の厚さの50%の厚さに圧縮速度1mm/分で圧縮し、次いで荷重を測定した。そして、次の計算式を用いて50%CLDを計算した。
【0071】
50%CLD(MPa)=[50%圧縮時の荷重(N)]/[試料の面積(cm)]
75%CLD:圧縮試験機を使用して、試料を元の厚さの75%の厚さに圧縮速度1mm/分で圧縮し、次いで荷重を測定した。そして、次の計算式を用いて75%CLDを計算した。
【0072】
75%CLD(MPa)=[75%圧縮時の荷重(N)]/[試料の面積(cm)]
比誘電率:商品名「HP4192A」;ヒューレット・パッカードデベロップメントカンパニーの比誘電率計測器を使用して、所定の周波数における比誘電率を測定した。
【0073】
(実施例1)密度、50%CLD、及び75%CLD
100重量部のポリエーテルポリオールAを、3重量部の架橋剤(1,4−ブタノール)、20重量部の増粘剤(水酸化アルミニウム)、0.1重量部の金属触媒(2−エチルヘキサン酸スズ)、及び3重量部の整泡剤(シリコーン材料;希釈用の溶媒を含む)と混合して混合物を得た。この混合物に、表1に記載される割合となるように、窒素(造泡用気体)、及びイソシアネートインデックスが0.9〜1.1となるように設定されたポリイソシアネート(商品名「C−1130」;日本ポリウレタン工業株式会社;クルードMDI、NCO含有量:31%)を0.1NL/分の流速で混合し、その混合物を剪断して反応性組成物(「発泡体反応性組成物M」)を得た。この発泡体反応性組成物Mを、ロール機構32上に張力を掛けられた状態で供給ロール32aから連続的に供給されている所定厚みの基材フィルム(PET製)上に吐出ノズル34から供給し、且つ発泡体反応性組成物Mを厚さ制御手段36によって所定の厚さに設定した。その後、反応性組成物Mを加熱手段38で温度150℃〜200℃且つ1〜3分間加熱し、それによって反応性組成物Mの反応及び硬化を進行させて発泡ポリウレタンシート12を得るとともに、それを製品回収ロール32bで回収した。得られた発泡ポリウレタンシート12に対して所定の形状に打ち抜き及び他の加工処理を施して発泡ポリウレタンシートを得た。
【0074】
そして、実施例1−1〜1−3並びに比較例1−1及び1−2のシール部材から基材フィルムを剥がして、比誘電率を測定するのに必要とされる厚さ×150mm×50mmの長方形試験片、並びに50%CLD及び75%CLDを測定するのに必要とされる厚さ×150mmの円形試料を得た。これらの試料をそれぞれ用いて、各周波数10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率、並びに50%CLD(MPa)及び75%CLD(MPa)を測定し、測定された結果に基づいて、本発明のシール部材としての適用性を評価した。
【0075】
実施例1の結果を全て表1に示す。表1から、密度を本発明で設定した範囲内にすることで、50%CLD及び75%CLDの各値が充分にシール性を満足する値となることが確認された。さらに、EO含有率を本発明で設定した範囲内にすることで、各周波数10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率が1〜2.0の範囲の低い値となることが確認された。
【0076】
【表1】

(実施例2)比誘電率に対するEO含有率の効果の測定
表2に記載される割合のポリエーテルポリオールA及びポリエーテルポリオールBの100重量部を、3重量部の架橋剤(1,4−ブタノール)、20重量部の増粘剤(水酸化アルミニウム)、0.1重量部の金属触媒(2−エチルヘキサン酸スズ)、及び3重量部の整泡剤(シリコーン材料;希釈用の溶媒を含む)と混合して混合物を得た。この混合物に、表2に記載される割合となるように、窒素(造泡用気体)、及びイソシアネートインデックスが0.9〜1.1となるようにに設定されたポリイソシアネート(クルードMDI、NCO含有率:31%)を0.1NL/分の流速で混合し、その混合物を剪断して反応性組成物Mを得た。その後、実施例1に従って、実施例2−1及び比較例2−1〜2−3の試験片を製造し、比誘電率、50%CLD及び75%CLDを測定した。
【0077】
実施例2の結果を全て表2に示す。表2から、EO含有率を本発明で設定した範囲内とすることで、各周波数10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率が1〜2.0の範囲の低い値となることが確認された。
【0078】
【表2】

A/Bは、ポリエーテルポリオールAとポリエーテルポリオールBとの重量比を表す。
【0079】
上述のように、本発明に係るシール部材及びその製造方法では、所定の量の樹脂原材料及び造泡用気体を混合することによって調製されたポリウレタン発泡体原材料を使用し、発泡ポリウレタンシートの密度を100〜250kg/mの範囲に設定し、それによって発泡ポリウレタンシートの50%撓み点の圧縮荷重が0.003〜0.025MPaの範囲になり、その75%撓み点の圧縮荷重が0.02〜0.40MPaの範囲になる。したがって、高圧縮比の場合に充分なシール性を有するシール部材が製造され得る。さらに、密度を上記の範囲に設定すると、シール部材の比誘電率を低減することが可能であるという有利な効果がもたらされる。したがって、導電率が高くて容易に電流が流れ、したがって電磁波の発生等の欠点を引き起こす可能性がある筐体にさえ、このシール部材が適切に使用され得る。
【0080】
(実施例3)
下記の実施例は、水を含む、又は水を含まない発泡組成物から製造されたポリウレタン発泡体を示している。各発泡体では、貯蔵タンク内において、ポリオール、触媒、及び(使用される場合には)水を乾燥窒素中で撹拌しながら混合及び収納した。次いで、この混合物を、制御された流速でオークス型の高剪断混合ヘッドにポンプで送り込んだ。イソシアネート成分、界面活性剤及び顔料混合物も別々に、制御された流速且つポリオール混合物の流速に対して適切な流量比で混合ヘッドにポンプで送り込んだ。流量計を使用して、各種原材料の流速を測定及び調整した。気体流量制御装置を使用して乾燥空気を混合ヘッドに導入し、硬化前の発泡密度が160、320、481、641、801及び961kg/m(10、20、30、40、50及び60pcf)がそれぞれ得られるように空気流量を調整した。
【0081】
各原料を高剪断ミキサーで混合して硬化前の発泡組成物を調製した後、フレキシブルホースを経由して剛性ノズルからポンプで送り出した。次いで、その硬化前の発泡組成物を、それを導入する直前に赤外線乾燥器により乾燥させたコーティングが施された剥離紙上に流延した。こうすることによって、その紙に存在していたかもしれない水が反応に関与することがなくなった。剥離紙は幅が30.5cm(12インチ)であり、機械によってそれを、一方は毎分152cm(毎分5フィート(FPM))、他方は毎分457cm(15FPM)の2つの制御された速度で引き出した。次いで、この紙の下層、流延発泡体及び上層を、プレート式ナイフ(KOP)コーターの下に通過させた。KOPを使用して、最終製品の初期厚さを2.54mm(100ミル)に制御した。流延発泡体層の幅は20〜25.4cm(8〜10インチ)であった。
【0082】
次いで、このコーティングが施された剥離紙を、一連の熱電対、制御装置及び発熱体によって120℃〜190℃に維持された加熱平板からなる硬化セクションに通過させた。一連の上部平板を220℃に維持した。次いで、硬化生成物を、空冷セクション、及び一連の駆動ロールに通過させ、巻取用ロールで巻き取った。
【0083】
図7は、水を含む、又は水を含まない様々な配合原料から製造された硬化発泡体の密度を示す。水を含まない配合原料から製造された発泡体は、その製造に使用した配合原料とほとんど同一の密度を有することがはっきりとわかる。例えば、水を含まない密度が320kg/m(20pcf)の配合原料からは、密度が320kg/m(20pcf)の発泡体が製造された。一方、水を含む配合原料からは、その製造に使用した配合原料より密度が大幅に低い発泡体が得られた。例えば、密度が320kg/m(20pcf)の水を含む配合原料から、硬化後の密度が192kg/m(12pcf)のポリウレタン発泡体が得られた。したがって、配合原料内の水が使用されると、水を含まない配合原料から製造されたものより密度が大幅に低い発泡体が製造されることがはっきりとわかる。
【0084】
(実施例4)
図8に示すデータは、記載したように水を0.25部含む配合原料、又は水を含まない配合原料から製造された厚さ2.5mmのポリウレタン発泡体についての硬化前の発泡密度の変化に対する発泡体密度の変化を表している。さらに、いくつかの発泡体は上部支持体(TC)を使用して製造し、またいくつかの発泡体は上部支持体を使用しない(TCを使用しない)で製造した。実質的には上述のように各発泡体を製造した。
【0085】
図8から、水を含まない配合原料から製造された発泡体は、その製造に使用した泡とほとんど同一の密度を有することが分かる。例えば、水を含まないとともに硬化前の発泡密度が320kg/m(20pcf)の配合原料から、密度320kg/m(20pcf)の発泡体を製造した。泡に水を使用しない場合、上部支持体の存在に関わらず違いがないように思われる。一方、水を含む配合原料から、その製造に使用した配合原料より密度が大幅に低い発泡体が得られた。上部支持体を使用して水を含む配合原料から製造された発泡体は、密度の低下が最大である。例えば、上部支持体を使用した硬化前の発泡密度が320kg/m(20pcf)の水を含む配合原料からは、硬化後の密度が160kg/m(10pcf)のポリウレタン発泡体が得られた。したがって、起泡混合物に水を使用し、且つ上部支持体を使用すると、水を含まないとともに上部支持体を使用しない配合原料から製造されたものより密度が大幅に低い発泡体が製造される。
【0086】
(実施例5)
下記の表3及び4は、化学発泡剤(水)及びメカニカルフロスの組み合わせの使用による効果、及び上部支持体の存在下における硬化を示している。上述の配合及び手順が使用され得る。表3は、化学発泡剤(水)及びメカニカルフロスの組み合わせの使用による効果、及び上部支持体の存在下における硬化を示している。表4は、メカニカルフロスのみ、及び上部支持体の存在下における硬化を示している。
【0087】
表3及び4において、「O」は、発泡体がガスケット材料としての使用において許容可能であること、すなわち発泡体を均一な厚さで形成されることができ、セル構造が携帯電話等の電子機器における使用に許容可能であることを意味する。「V」は、発泡体の厚さが許容可能であるレベルに制御され得るが、1つ又は複数のボイドが発泡体中に形成されることを意味する。ボイドの存在は顧客の観点から望ましくない。「X」は、発泡体の厚さが変化し、且つ1つ又は複数のボイドが発泡体中に形成されることを意味する。
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

本願では、同じ特性又は同じ成分の量を示す全ての範囲の両端はそれぞれ独立して、記述された端点自体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】発泡密度及び発泡粘度の関係を示すグラフ。
【図2】本発明の好適な実施形態に係るシール部材の一部を切り欠いて示す概略斜視図。
【図3】実施形態のシール部材の製造方法を示すフローチャート。
【図4】実施形態のシール部材を製造する製造装置の一例を示す概略図。
【図5】変更例におけるシール部材を製造する製造装置の一例を示す概略図。
【図6】他の変更例におけるシール部材を製造する製造装置の一例を示す概略図。
【図7】発泡体密度及び硬化前の発泡密度の関係に対する水の添加の効果を示すグラフ。
【図8】発泡体密度及び硬化前の発泡密度の関係に対する水の添加及び上部支持体の使用の効果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0091】
10…物品としてのシール部材、12…低密度ポリウレタン発泡体としての発泡ポリウレタン層、14…第1支持体としての基材フィルム、16…第2支持体としての表面保護フィルム、36…厚さ調整手段としての厚さ制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低密度ポリウレタン発泡体の製造方法であって、
イソシアネート含有成分、該イソシアネート含有成分と反応する活性水素含有成分、発泡剤、界面活性剤、及び前記発泡体の硬化を遅延させる触媒系を混合撹拌した反応性ポリウレタン形成用組成物を起泡する工程と、
起泡した反応性ポリウレタン形成用組成物を第1支持体上に流延する工程と、
流延された発泡組成物における前記第1支持体の反対側の表面上に第2支持体を配置する工程と、
前記発泡組成物を膨張及び硬化させて、密度が50〜400kg/mであり、且つ厚さが0.3〜13mmであるポリウレタン発泡体層を得る工程とを含むことを特徴とする低密度ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記第2支持体が前記ポリウレタン発泡体に平滑表面仕上げを付与する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1支持体及び第2支持体の少なくとも一方が少なくとも一面上に剥離層を備え、起泡した前記反応性ポリウレタン形成用組成物が前記第1支持体及び第2支持体の少なくとも一方の前記剥離層と接触する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1支持体、発泡組成物及び第2支持体を厚さ調整手段中に通過させる工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1支持体、前記第2支持体、又はその両方がポリウレタン発泡体層に結合される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結合は、発泡組成物を前記第1支持体、第2支持体又はその両方と接触させながら硬化させた後に行われる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1支持体、前記第2支持体、又はその両方は、それらから剥離可能であるが起泡及び膨張した反応性ポリウレタン発泡体層に硬化した状態で結合する層を備え、前記第1支持体、第2支持体、又はその両方を前記ポリウレタン発泡体及び結合した前記剥離可能層から除去する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記活性水素含有成分がポリエーテルポリオールを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエーテルポリオールが、式R[(OCH2nOH](式中、Rは水素又は多価炭化水素基であり、aはRの価数に等しく且つ2〜8であり、各nはそれぞれ1〜2であり、zは2〜200である)を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエーテルポリオールのエチレンオキシド含有率が、前記ポリオールの重量に対して20重量%以下である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記発泡剤が化学発泡剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記発泡剤が水である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記発泡剤が物理発泡剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記物理発泡剤が、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、メチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテル;n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、又は上記発泡剤の少なくとも一種を含む組み合わせである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が金属アセチルアセトナートを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリウレタン発泡体層は、平均セル径が20〜500μmであるセルを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリウレタン発泡体層の各周波数10kHz、100kHz及び1MHzにおける比誘電率が1〜2.0である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記発泡体の厚さが0.3〜5mmであり、且つ密度が320〜400kg/mである請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記発泡体の厚さが0.5〜13mmであり、且つ密度が50〜250kg/mである請求項1に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法により得られる低密度ポリウレタン発泡体を含む物品。
【請求項21】
シール部材の形態である請求項20に記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−44972(P2007−44972A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231181(P2005−231181)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(593139123)株式会社ロジャースイノアック (13)
【Fターム(参考)】