説明

低消費電力発振器

【課題】加熱制御回路での生成熱が外へ放熱される為、該制御回路の動作が頻繁で、消費電力が大きくなる点を改善した低消費電力パッケージ装置の提供。
【解決手段】発振器等のパッケージ装置は、パッケージモジュール3と、回路モジュール2と、複数の導通ピン4と、複数の導通アーム1とを備え、パッケージモジュール3は、その中に密閉空間を形成し、回路モジュール2は、パッケージモジュール3の密閉空間に配置されている。各導通ピン4は、パッケージモジュール3の密閉空間内に伸びていて、各導通アーム1は、密閉空間内に配置され、回路モジュール2に接続される第1の端部11と、各導通ピン4に接続される第2の端部12と、第1の端部11と第2の端部12との間で伸びており、それらの間の最短距離よりも長い長さを有する中間部13とを備えた構成。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の引用〕
本願は、台湾特許第097112994号明細書(2008年4月10日出願)に基づき優先権を主張するものである。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、発振器、特に温度制御型発振器に関する。
【0003】
〔背景技術〕
水晶発振器は、無線通信システムだけでなく、携帯電話機、PDA(personal digital assistants)、ノート型パーソナルコンピュータなどの基準周波数源として用いられる。水晶発振器としては、水晶(石英)発振器がよく知られているが、当該発振器は、その共振周波数が温度によって変化するという問題がある。そこで、この問題を解決するために、温度制御型水晶発振器(oven-controlled crystal oscillator;OCXO)もしくは温度補償型水晶発振器(TCXO)などの温度制御型発振器が提案されている。
【0004】
図1は、従来のOCXO9を示している。OCXO9は、パッケージモジュール91と、回路モジュール92と、複数の導通ピン94とを備えている。パッケージモジュール91は、金属性カバー911と、金属性カバー911が取り付けられるとともに、それらの間に密閉空間90を形成する金属性基板912とを備えている。回路モジュール92は、パッケージモジュール91の密閉空間90に配置され、誘電体基板921と、加熱制御回路923と、水晶共振器922とを備えている。誘電体基板921は、パッケージモジュール91の金属性カバー911に取り付けられ、対向する第1の表面および第2の表面を有している。加熱制御回路923は、誘電体基板921の第1の表面上に配置され、パッケージモジュール91の密閉空間90を動作温度に保つために熱を生成する。水晶共振器922は、誘電体基板921の第2の表面上に配置され、共振周波数で動作する。各導通ピン94は、パッケージモジュール91の金属性基板912を介して密閉空間90に伸びており、誘電体基板921および回路モジュール92の水晶共振器922に接続されている。パッケージモジュール91の密閉空間90は、泡状の物質(foam material)97によって充填されており、それゆえ回路モジュール92の加熱制御回路923によって生成された熱がパッケージモジュール91を介して放熱されることを低減できる。
【0005】
上述した従来のOCXO9は、以下の問題を有する。それはすなわち、回路モジュール92の加熱制御回路923によって生成された熱が、導通ピン94を介してパッケージモジュール91外へ放熱されるので、回路モジュール92の加熱制御回路923は頻繁に動作する必要があり、それゆえ従来のOCXO9は大きな電力を消費する。
【0006】
〔概要〕
本発明の主な目的は、低消費電力パッケージ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低消費電力発振器を提供することにある。
【0007】
本発明の特徴によれば、パッケージ装置は、パッケージモジュールと、回路モジュールと、複数の導通ピンと、複数の導通アームとを備えている。上記パッケージモジュールは、カバーと、当該カバーが取り付けられるとともに、当該カバーとともにそれらの間に密閉空間を形成する基板とを有している。上記回路モジュールは、上記パッケージモジュールの上記密閉空間に配置され、上記パッケージモジュールの上記密閉空間を動作温度に保つために熱を生成する。各導通ピンは、上記パッケージモジュールの上記基板を介して上記パッケージモジュールの上記密閉空間に伸びている。各導通アームは、上記パッケージモジュールの上記密閉空間に配置され、上記回路モジュールに接続されている第1の端部と、上記導通ピンに接続されている第2の端部と、当該第1,第2の端部との間で伸びており、それらの間の最短距離よりも長い長さを有する中間部とを有している。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、発振器は、パッケージモジュールと、回路モジュールと、複数の導通ピンと、複数の導通アームとを備えている。上記パッケージモジュールは、カバーと、当該カバーが取り付けられるとともに、当該カバーとともにそれらの間に密閉空間を形成する基板とを有している。上記回路モジュールは、上記パッケージモジュールの上記密閉空間に配置され、誘電体基板と、当該誘電体基板上に配置され、共振周波数で動作する水晶共振器と、当該誘電体基板上に配置され、上記パッケージモジュールの上記密閉空間を動作温度に保つために熱を生成する加熱制御回路とを有している。各導通ピンは、上記パッケージモジュールの上記基板を介して上記パッケージモジュールの上記密閉空間に伸びている。各導通アームは、上記パッケージモジュールの上記密閉空間に配置され、上記回路モジュールの上記誘電体基板および上記水晶共振器に接続されている第1の端部と、上記導通ピンに接続されている第2の端部と、当該第1,第2の端部との間で伸びており、それらの間の最短距離よりも長い長さを有する中間部とを有している。
【0009】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および有利な点については、図面を用いた以下の好ましい実施形態の詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【0010】
図1は、従来の温度制御型水晶発振器の概略断面図である。
【0011】
図2は、本発明に係るパッケージ装置の好ましい実施形態の分解斜視図である。
【0012】
図3は、図2に示した好ましい実施形態の回路モジュールの部分断面図である。
【0013】
図4は、図2に示した好ましい実施形態の導通アームの部分断面図である。
【0014】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明に係るパッケージ装置の好ましい実施形態は、図2および図3に示すように、パッケージモジュール3と、回路モジュール2と、複数の導通ピン4と、複数の導通アーム1とを備えている。
【0015】
本実施形態のパッケージ装置は、温度補償型発振器に適用される。
【0016】
パッケージモジュール3は、カバー32と、当該カバー32がシームシーリング技術などによって取り付けられるとともに、当該カバー32とともにそれらの間に密閉空間30を形成する基板31とを有している。本実施形態では、カバー32および基板31が金属物質で形成されている。
【0017】
回路モジュール2は、パッケージモジュール3の密閉空間30に配置され、誘電体基板21と、水晶共振器22と、加熱制御回路23とを有している。誘電体基板21は、対向する第1の表面211および第2の表面212を有している。水晶共振器22は、誘電体基板21の第1の表面211上に配置され、共振周波数で動作する。加熱制御回路23は、誘電体基板21の第2の表面212上に配置される制御チップ(不図示)を備えており、パッケージモジュール3の密閉空間30を動作温度に保つために熱を生成する。本実施形態では、回路モジュール2は、パッケージモジュール3のカバー32および基板31から間隔をあけて配置されている。さらに、本実施形態では、加熱制御回路23は、ユーザ設定およびパッケージモジュール3の密閉空間30の温度変化に基づいて動作する。
【0018】
なお、パッケージモジュール3の基板31は、金メッキ層で覆われている内部層(不図示)を有している。それゆえ回路モジュール2の加熱制御回路23によって生成された熱がパッケージモジュール3を介して放熱されることを低減できる。
【0019】
また、他の実施形態では、水晶共振器22が誘電体基板21の第2の表面212上に配置され、加熱制御回路23が誘電体基板21の第1の表面211上に配置される。
【0020】
また、さらに他の実施形態では、水晶共振器22および加熱制御回路23が誘電体基板21の第1の表面211上に配置される。
【0021】
また、さらに他の実施形態では、水晶共振器22および加熱制御回路23が誘電体基板21の第2の表面211上に配置される。
【0022】
各導通ピン4は、パッケージモジュール3の基板31を介して伸びており、パッケージモジュール3の密閉空間30に第1の端部41が配置されており、第2の端部42がパッケージモジュール3の外側に配置されている。
【0023】
各導通アーム1は、パッケージモジュール3の密閉空間30に配置され、第1の端部11が回路モジュール2の誘電体基板21および水晶共振器22に接続されており、第2の端部12が導通ピン4の第1の端部41に接続されており、中間部13が第1の端部11と第2の端部12との間で伸びている。
【0024】
本実施形態では、図4に示すように、各導通アーム1の中間部13は、各導通アーム1の第1の端部11と第2の端部12との間の最短距離よりも長い長さを有する。好ましくは、各導通アーム1の中間部13は、曲がりくねった形状を有している。さらに、本実施形態では、各導通アーム1は、金属、もしくは銅−ニッケル合金などの合金によって形成される。さらに、本実施形態では、各導通アーム1は、高い電気伝導率および低い熱伝導率を有する。各導通アーム1がこのような構成であることにより、回路モジュール2の加熱制御回路23によって生成された熱が導通ピン4を介してパッケージモジュール3外へ放熱されることを低減でき、この結果、回路モジュール2の加熱制御回路23の動作の頻度を最小限に抑えることができるとともに、動作を短くすることができる。それゆえ、本発明の熱補償型発振器の低消費電力化を実現できる。
【0025】
以上、本発明の最も実用的で好ましい実施形態について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるわけではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、多様な変更例や等価な構成を包含していると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の温度制御型水晶発振器の概略断面図である。
【図2】本発明に係るパッケージ装置の好ましい実施形態の分解斜視図である。
【図3】図2に示した好ましい実施形態の回路モジュールの部分断面図である。
【図4】図2に示した好ましい実施形態の導通アームの部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(32)と、当該カバー(32)が取り付けられるとともに、当該カバー(32)とともにそれらの間に密閉空間(30)を形成する基板(31)とを有するパッケージモジュール(3)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)に配置され、上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)を動作温度に保つために熱を生成する回路モジュール(2)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記基板(31)を介して、上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)に伸びている複数の導通ピン(4)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)内に配置され、上記回路モジュール(2)に接続される第1の端部(11)と、導通ピン(4)に接続される第2の端部(12)と、上記第1の端部(11)と上記第2の端部(12)との間で伸びており、それらの間の最短距離よりも長い長さを有する中間部(13)とを有する、複数の導通アーム(1)とを備えているパッケージ装置。
【請求項2】
上記各導通アーム(1)の上記中間部(13)は、曲がりくねった形状を有している請求項1に記載のパッケージ装置。
【請求項3】
上記各導通アーム(1)は、金属物質で形成される請求項1に記載のパッケージ装置。
【請求項4】
上記各導通アーム(1)は、低い熱伝導率を有する請求項3に記載のパッケージ装置。
【請求項5】
上記回路モジュール(2)は、上記パッケージモジュール(3)の上記カバー(32)と上記基板(31)とから離れて配置されている請求項1に記載のパッケージ装置。
【請求項6】
カバー(32)と、当該カバー(32)が取り付けられるとともに、当該カバー(32)とともにそれらの間に密閉空間(30)を形成する基板(31)とを有するパッケージモジュール(3)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)に配置され、誘電体基板(21)と、当該誘電体基板(21)上に載置され、共振周波数で動作する水晶共振器(22)と、当該誘電体基板(21)上に載置され、上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)を動作温度に保つために熱を生成する加熱制御回路(23)とを有する回路モジュール(2)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記基板(31)を介して、上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)に伸びている複数の導通ピン(4)と、
上記パッケージモジュール(3)の上記密閉空間(30)内に配置され、上記回路モジュール(2)の上記誘電体基板(21)および上記水晶共振器(22)に接続される第1の端部(11)と、導通ピン(4)に接続される第2の端部(12)と、上記第1の端部(11)と上記第2の端部(12)との間で伸びており、それらの間の最短距離よりも長い長さを有する中間部(13)とを有する、複数の導通アーム(1)とを備えている発振器。
【請求項7】
上記各導通アーム(1)の上記中間部(13)は、曲がりくねった形状を有している請求項6に記載の発振器。
【請求項8】
上記誘電体基板(21)は、対向する第1の表面(211)および第2の表面(212)を有し、上記水晶共振器(22)および上記加熱制御回路(23)は、上記誘電体基板(21)の上記第1の表面(211)もしくは上記第2の表面(212)上に配置される請求項6に記載の発振器。
【請求項9】
上記各導通アーム(1)は、金属物質で形成される請求項6に記載の発振器。
【請求項10】
上記各導通アーム(1)は、低い熱伝導率を有する請求項9に記載の発振器。
【請求項11】
上記回路モジュール(2)は、上記パッケージモジュール(3)の上記カバー(32)と上記基板(31)とから離れて配置されている請求項6に記載の発振器。
【請求項12】
上記発振器は、熱補償型発振器である請求項6に記載の発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−253969(P2009−253969A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256214(P2008−256214)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(506354320)泰藝電子股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】