低酸素誘導因子−1の調節物質及び関連する使用
本発明は、式I又はIIの化合物:並びに医薬的に受容可能なその塩及びプロドラッグ、並びにこの化合物を使用して局所的及び全身的低酸素現象の影響を調節するための方法を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、カルジオリド及びブファジエノリド化合物並びに局所性及び全身性低酸素症の発症の影響を調節するためのその使用に関する。
【0002】
低酸素症は、ヒト及び他の哺乳動物における広い範囲の生理学的及び細胞的反応を誘発する。低酸素症の影響は、低酸素状態が維持された時間の長さによって、定量的に変化する。急性の低酸素症は、呼吸性換気の増加によって特徴づけられるが、しかし3−5分後に、換気は低下する。慢性の低酸素症の症状に曝された個体は、心拍数の低下及び血圧の増加を含む一組の反応を経験する。代謝的には、低酸素症は、酸化的リン酸化から解糖への移行を伴うグルコースの酸化の減少を起こす。解糖は、不良な炭水化物からのエネルギーの産生を与え、そして脂肪酸の酸化は大幅に減少する。これらの理由から、恐らく、低酸素症は、更に炭水化物の消費の増加を誘発する。低酸素症は、エリスロポエチンの産生を刺激し、これは、次に赤血球細胞数の増加に導く。
【0003】
低酸素症は、例えば換気が妨害された時又は酸素の利用の可能性が低下した時のように、全体の生物体のレベルで起こってもよい。低酸素症は、更に本質的に酸素の消費が血流からの供給を追越したいずれかの時点で、局所レベルで起こってもよい。虚血の症状は、局所性低酸素症の重篤な形態であり、これは、細胞の死に導く。HIF−1転写因子に関する最近の発見は、低酸素症に対する局所性の細胞反応にかなりの洞察を与えているが、しかし全体的な生理学的反応が如何に調節され、そして全身性及び局所性反応が如何に相互作用することができるかに関する本出願人等の理解は、更に限定されている。
【0004】
HIF−1は、転写因子であり、そして癌及び心臓細胞の両方の低酸素状態における細胞の生存に対して重要である。HIF−1は、増殖因子調節サブユニットHIF−1α、及び恒常的に発現するHIF−1βサブユニット(アリール−炭化水素受容体核輸送体、ARNT)から構成され、この両方は、塩基性へリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)−PAS(PER、ARNT、SIM)タンパク質ファミリーに属する。ヒトのゲノムにおいて、転写因子HIFのサブユニットの三つのアイソフォーム:HIF−1、HIF−2(更にEPAS−1、MOP2、HLF、及びHRFとも呼ばれる)、及びHIF−3(この中で、HIF−32は、更にIPAS、阻害性PAS領域とも呼ばれる)が確認されている。
【0005】
正常な酸素圧の条件下で、HIF−1αは、ユビキチン化のためにpVHLによって標的化され、そしてプロテアソームによって急速に分解される。これは、特異的HIF−プロリルヒドロキシラーゼ(HPH1−3、PHD1−3とも呼ばれる)による、鉄、酸素、及び2−オキソグルタル酸塩の存在中の、酸素依存性分解ドメイン(ODDD)内の特異的プロリン残基(ヒトHIF−1αタンパク質中のプロリン402及び564)の翻訳後のHIF−1αのヒドロキシル化により誘発される。次いでヒドロキシル化されたタンパク質は、E3ユビキチンリガーゼとして機能するpVHLによって認識される。HIF−1α及びpVHL間の相互作用は、更にリシン残基532のN−アセチルトランスフェラーゼ(ARD1)によるアセチル化によって加速される。同時に、C−TAD内のアスパラギン残基803のヒドロキシル化も、アスパラギニルヒドロキシラーゼ(更にFIH−1とも呼ばれる)によって起こり、これは、それによって活性化補助因子p300/CBPをHIF−1サブユニットに結合を可能にしない。低酸素状態において、HIF−1αは、ヒドロキシル化されないままであり、そしてpVHL及びCBP/p300と相互作用しない。
【0006】
低酸素状態の安定化後、HIF−1αは核に移行し、ここでこれは、HIF−1βとヘテロ二量体化する。得られた活性化されたHIF−1は、解糖酵素、グルコース輸送体Glut−1及びGlut−3、エンドセリン−1(ET−1)、VEGF(血管内皮増殖因子)、チロシンヒドロキシラーゼ、トランスフェリン、及びエリスロポエチンを含む低酸素下の適合及び生存のために重要な60個を超える遺伝子の転写を誘発する(Brahimi−Horn et al.,Trends Cell Biol.11:S32−S36,2001;Beasley et al.,Cancer Res.62:2493−2497,2002;Fukuda et al.,J.Biol.Chem.277:38205−38211,2002;and Maxwell and Ratcliffe,Semin.Cell Dev.Biol.13:29−37,2002)。
【0007】
HIF−1が、低酸素症に対する局所性、又は細胞性の反応の主要な仲介体であることがいまや理解されているが、低酸素症の包括的調節物質は、なお認識されていない。低酸素症の調節物質を確認し、そして更に、このような調節物質の使用を提供することが本発明の目的である。
【0008】
ある種の化合物が、Int.Immunopharmac.(2001),1(1),119−134(Terness et al.),Justus Liebigs Annalen der Chemie(1971),753,116−34 Goerlich et al.),Naunyn−Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.,329(4),1985,414−426(Schonfeld et al.),J.Pharmacol.Exp.Ther.(1980),215(1),198−204(Cook ed al.),J.Cardiovasc Pharmacol.(1979),1(5),551−9(Cook et al.)and J.Pharmacol.Exp.Ther.(1978),204(1),141−8(Caldwell et al.)中に、そしてWO 2006/002381−Al(WARF),WO 2006/120472−A2(Guy’s and St Thomas’NHS Foundation Trust)中に、そして2006年8月1日に出願された同時係属中の出願PCT/US06/030224中に開示されている。
【0009】
発明の概要
本発明は、局所性及び全身性の低酸素症の症状の影響を調節する化合物の発見に基づく。HIF−ステロイドシグナル伝達経路の調節不全(例えば過剰又は不十分なシグナル伝達)は下流の様式で、限定されるものではないが、癌、黄斑変性症、高血糖、代謝症候群(例えば症候群X)、白内障、高血圧、自己免疫性疾患、不安症、鬱病、不眠症、慢性疲労、癲癇、及び不規則な血管新生に伴う症状を含む広い範囲の疾患に寄与する。HIF−ステロイドシグナル伝達経路の調節物質(例えばアゴニスト及びアンタゴニスト)である本発明の化合物は、これらの疾患を治療するために使用してもよい。
【0010】
従って、第1の側面において、本発明は、以下の式I又はII:
【0011】
【化1】
【0012】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式I及びIIにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いは、R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0013】
【化2】
【0014】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0015】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R5、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0016】
好ましくは、R3βは、NH−Sacであり、そしてSacは、以下の式:
【0017】
【化3】
【0018】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。式Iの例示的な化合物は、以下の式:
【0019】
【化4】
【0020】
である。
R3α及びR3βのための他の好ましい意義は、一つの基がHであり、そして他方がOC(O)NHR3Cであり、ここでR3Cは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=NOR3Pであり、ここにおいて、R3Pは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は、以下の式III:
【0022】
【化5】
【0023】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IIIにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OH、OR3A、OC(O)R3B、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3A、R3B、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=O、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0024】
【化6】
【0025】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0026】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0027】
上記の側面の一つの態様において、R3βは、O−Sac、又はNH−Sacであり;Sacは、以下の式:
【0028】
【化7】
【0029】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0030】
更なる側面において、本発明は、以下の式IV:
【0031】
【化8】
【0032】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0033】
【化9】
【0034】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0035】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OH、OR3A、OC(O)R3B、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0036】
好ましくは、R3βは、NH−Sacであり、そしてSacは、以下の式:
【0037】
【化10】
【0038】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0039】
なおもう一つの側面において、本発明は、以下の式Ia又はIIa:
【0040】
【化11】
【0041】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式Ia及びIIaにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0042】
【化12】
【0043】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そしてR40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。式Iaの例示的な化合物は、以下の式:
【0044】
【化13】
【0045】
である。
なおもう一つの側面において、本発明は、以下の式IVa:
【0046】
【化14】
【0047】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVaにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0048】
【化15】
【0049】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そしてR40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0050】
もう一つの側面において、本発明は、更に以下の式Ib又はIIb:
【0051】
【化16】
【0052】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩及びプロドラッグをも特徴とする。式Ib及びIIbにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、ここで、R3A及びR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0053】
【化17】
【0054】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0055】
更なる側面において、本発明は、以下の式IVb:
【0056】
【化18】
【0057】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVbにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、ここで、R3A及びR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテル−オシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0058】
【化19】
【0059】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0060】
式I、II、又はIIIを有する化合物の態様において、R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。式Iの例示的な化合物は以下の式:
【0061】
【化20】
【0062】
である。
もう一つの側面において、本発明は、哺乳動物における低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介される疾患を治療するための、前記哺乳動物に本発明の化合物を、前記疾患を治療するために十分な量で投与することを含んでなる方法、及びこのような方法のための医薬の製造における化合物の使用を特徴とする。疾患は、X症候群、肥満症、又はアテローム生成的異脂質血症のような代謝性疾患であってもよい。疾患は、睡眠呼吸障害、又は閉塞型睡眠時無呼吸症のような高血圧性疾患であってもよい。疾患は、関節炎、乾癬、又はアテローム性動脈硬化症のような炎症性疾患であってもよい。疾患は、病原性血管新生によって特徴づけられてもよい。病原性血管新生によって特徴づけられる疾患は、限定されるものではないが、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性症、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾病、白内障手術後の過剰の血管新生、及び増殖性硝子体網膜症のような眼疾患;並びに膀胱、乳房、腸、腎臓、肝臓、肺、頭頚部、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺、前立腺、又は皮膚の癌腫;リンパ系造血性癌;骨髄系の造血性癌;間葉由来の癌;中枢又は末梢神経系の癌;黒色腫;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;甲状腺濾胞腺癌;及びカポジ肉腫のような腫瘍性疾患を含む。疾患は、アルツハイマー病であってもよい。
【0063】
関連する側面において、本発明は、細胞中のVEGFの発現を、前記細胞を本発明の化合物と、VEGFの発現を減少するために十分な量で接触させることによって減少させるための方法を特徴とする。
【0064】
なおもう一つの側面において、本発明は、腫瘍性疾患を持つ患者を治療するための、(i)本発明の化合物、及び(ii)抗増殖性薬剤を前記患者に投与することによる方法を特徴とし、ここにおいて、前記本発明の化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時に、又は互いに14日以内に、それぞれ腫瘍性疾患を治療するために一緒になって十分な量で投与される。抗増殖性薬剤は、アルキル化剤、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニスト、プリンアンタゴニスト、有糸分裂阻害剤、DNAトポイソメメラーゼII阻害剤、DNAトポイソメメラーゼI阻害剤、タキサン、DNA干渉物質、アロマターゼ阻害剤、5−アルファ−レダクターゼ阻害剤、エストロゲン阻害剤、アンドロゲン阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、レチノイン酸誘導体、及び低酸素選択性細胞毒から選択してもよい。好ましくは、抗増殖性薬剤は、ゲムシタビンである。
【0065】
もう一つの側面において、本発明は、(i)本発明の化合物;及び(ii)低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介された疾患を持つと診断された患者に、本発明の化合物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。キットは、更に別個に又は一緒に処方された抗増殖性薬剤を含んでもよい。好ましくは、本発明の化合物及び抗増殖性薬剤は、同時投与のために一緒に処方される。
【0066】
関連する側面において、本発明は、R3α及びR3βが一緒に、=NOR3Pである本発明の化合物を合成するための方法を特徴とする。この方法は、H2NOR3Pを、3−オキソカルジオリド又は3−オキソブファ−ジエノリドと縮合させる工程を含み、ここにおいて、R3Pは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0067】
もう一つの側面において、本発明は、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである本発明の化合物を、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである対応するアジドから合成するための方法を特徴とする。この方法は、アミンを形成するための対応するアジドを還元する工程を含み、ここにおいて、β−アジド−Sacは、以下の式s1によって記述され、そしてβ−アミノ−Sacは、以下の式s2:
【0068】
【化21】
【0069】
によって記述される。
なおもう一つの側面において、本発明は、R3α又はR3βがO−Sac又はNH−Sacである本発明の化合物を合成するための方法を特徴とする。この方法は、HO−Sacを、カルジオリド(cardiolide)又はブファジエノリド(bufadienolide)と縮合させる工程を含み、ここにおいて、Sacは、以下の式:
【0070】
【化22】
【0071】
によって記述され、式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0072】
本発明の化合物の一般的記載において、置換基群の特別な種類の原子の数は、一般的に範囲、例えば1ないし7個の炭素原子を含有するアルキル基、又はC1−7アルキルとして与えられる。このような範囲に対する言及は、規定された範囲内の整数の原子の数のそれぞれを有する基に対する具体的な言及を含む。例えば、1ないし7個の炭素原子のアルキル基は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、及びC7のそれぞれを含む。例えば、C1−7ヘテロアルキルは、一つ又はそれより多い異種原子に加えて1ないし6個の炭素原子を含む。他の原子の数及び他の種類の原子は、同様な方法で示すことができる。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語“アルキル”及び接頭辞“アルク−”は、直鎖及び分枝鎖基の両方、並びに環式基、即ちシクロアルキルを含めている。環式基は、単環式又は多環式であってよく、そして好ましくは3ないし6個の炭素原子を、これらを含めて有する。例示としての環式基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ−ペンチル、シクロヘキシル基を含む。C1−7アルキル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。C1−7アルキルは、限定されるものではないが、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;シクロ−プロピル;シクロプロピルメチル;シクロプロピルエチル;n−ブチル;イソブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;シクロブチル;シクロブチルメチル;シクロブチルエチル;n−ペンチル;シクロペンチル;シクロペンチル−メチル;シクロペンチルエチル;1−メチルブチル;2−メチルブチル;3−メチルブチル;2,2−ジメチル−プロピル;1−エチルプロピル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;1−メチルペンチル;2−メチルペンチル;3−メチルペンチル;4−メチルペンチル;1,1−ジメチルブチル;1,2−ジメチルブチル;1,3−ジメチルブチル;2,2−ジメチルブチル;2,3−ジメチルブチル;3,3−ジメチルブチル;1−エチルブチル;2−エチルブチル;1,1,2−トリメチルプロピル;1,2,2−トリメチルプロピル;1−エチル−1−メチルプロピル;1−エチル−2−メチルプロピル;及びシクロヘキシルを含む。
【0074】
“C2−7アルケニル”によって、一つ又はそれより多い二重結合を含有し、そして2ないし7個の炭素原子を有する、分枝鎖又は非分枝鎖の炭化水素基を意味する。C2−7アルケニルは、それぞれの環が3ないし6員を有する単環式又は多環式環を所望により含んでもよい。C2−7アルケニル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。C2−7アルケニルは、限定されるものではないが、ビニル;アリル;2−シクロプロピル−1−エテニル;1−プロペニル;1−ブテニル;2−ブテニル;3−ブテニル;2−メチル−1−プロペニル;2−メチル−2−プロペニル;1−ペンテニル;2−ペンテニル;3−ペンテニル;4−ペンテニル;3−メチル−1−ブテニル;3−メチル−2−ブテニル;3−メチル−3−ブテニル;2−メチル−1−ブテニル;2−メチル−2−ブテニル;2−メチル−3−ブテニル;2−エチル−2−プロペニル;1−メチル−1−ブテニル;1−メチル−2−ブテニル;1−メチル−3−ブテニル;2−メチル−2−ペンテニル;3−メチル−2−ペンテニル;4−メチル−2−ペンテニル;2−メチル−3−ペンテニル;3−メチル−3−ペンテニル;4−メチル−3−ペンテニル;2−メチル−4−ペンテニル;3−メチル−4−ペンテニル;1,2−ジメチル−1−プロペニル;1,2−ジメチル−1−ブテニル;1,3−ジメチル−1−ブテニル;1,2−ジメチル−2−ブテニル;1,1−ジメチル−2−ブテニル;2,3−ジメチル−2−ブテニル;2,3−ジメチル−3−ブテニル;1,3−ジメチル−3−ブテニル;1,1−ジメチル−3−ブテニル及び2,2−ジメチル−3−ブテニルを含む。
【0075】
“C2−7アルキニル”によって、一つ又はそれより多い三重結合を含有し、そして2ないし7個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の炭化水素基を意味する。C2−7アルキニルは、それぞれの環が、好ましくは5又は6員である単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよい。C2−7アルキニル基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。C2−7アルキニルは、限定されるものではないが、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、5−ヘキセン−1−イニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル;1−メチル−2−プロピニル;1−メチル−2−ブチニル;1−メチル−3−ブチニル;2−メチル−3−ブチニル;1,2−ジ−メチル−3−ブチニル;2,2−ジメチル−3−ブチニル;1−メチル−2−ペンチニル;2−メチル−3−ペンチニル;1−メチル−4−ペンチニル;2−メチル−4−ペンチニル;及び3−メチル−4−ペンチニルを含む。
【0076】
“C2−6ヘテロシクリル”によって、飽和の、部分的に不飽和の又は不飽和(芳香族)の、そして2ないし6個の炭素原子及びN、O、及びSからなる群から独立に選択される1、2、3、又は4個の異種原子からなる、安定な5−ないし7−員の単環式又は7−ないし14−員の二環式複素環を意味し、そして先に定義した複素環のいずれかがベンゼン環に縮合したいずれかの二環式基を含む。ヘテロシクリル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。窒素及び硫黄異種原子は、所望により酸化されていてもよい。複素環は、安定な構造となるいずれかの異種原子又は炭素原子により共有的に結合していてもよく、例えばイミダゾリニル環は、環の炭素原子の位置のいずれか又は窒素原子において連結してもよい。複素環中の窒素原子は、所望により第四化合物化されていてもよく。好ましくは複素環中のS及びOの全数が1を超える場合、これらの異種原子は、互いに隣接しない。複素環は、限定されるものではないが、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオ−フラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダザロニル(benzoimidazalonyl)、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、β−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジ−チアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミド−アゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソ−ベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソ−チアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサ−ジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリド−アジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピル−イミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエノフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルを含む。好ましい5ないし10員の複素環は、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾ−フラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、キノリニル、及びイソキニリニルを含む。好ましい5ないし6員の複素環は、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、及びテトラゾリルを含む。
【0077】
“C6−12アリール”によって、共役π電子を伴う炭素原子からなる環系を有する芳香族基(例えばフェニル)を意味する。アリール基は、6ないし12個の炭素原子を有する。アリール基は、単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよく、ここにおいて、それぞれの環は好ましくは5又は6員を有する。アリール基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。
【0078】
“C7−14アルカリール”によって、7ないし14個の炭素原子を有するアリール基(例えばベンジル、フェネチル、又は3,4−ジクロロフェネチル)によって置換されたアルキルを意味する。
【0079】
“C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)”によって、アルキルで置換された、一つ又はそれより多い異種原子に加えて、7ないし14個の炭素原子を有する複素環基(例えば3−フラニルメチル、2−フラニルメチル、3−テトラヒドロフラニルメチル又は2−テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0080】
“C1−7ヘテロアルキル”によって、N、O、S、及びPからなる群から独立に選択される1、2、3又は4個の異種原子に加えて、1ないし7個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、アルケニル、或いはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキルは、限定されるものではないが、第三アミン、第二アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバミン酸塩、チオカルバミン酸塩、ヒドラゾン、イミン、ホスホジエステル、ホスホルアミド酸塩、スルホンアミド、及びジスルフィドを含む。ヘテロアルキルは、単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよく、ここにおいて、それぞれの環は、好ましくは3ないし6員を有する。ヘテロアリール基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。
【0081】
“アシル”によって、式R−C(O)−を持つ化学部分を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0082】
上記の定義のいずれかのための例示的な置換基は、アルコキシ;アリールオキシ;スルフヒドリル;アルキルチオ;アリールチオ;ハライド;ヒドロキシル;フルオロアルキル;ペルフルオロアルキル;ヒドロキシアルキル;アルキルスルフィニル;アルキルスルホニル;アジド;ニトロ;オキソ;−CO2RA;−C(O)NRBRC;−SO2RD;−SO2NRERF;及びNRGRHであり;ここで、それぞれのRA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、及びRHは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、C1−7ヘテロアルキル、及びアシルから独立に選択される。
【0083】
“ハライド”によって、臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素を意味する。
“フルオロアルキル”によって、一つのフッ素で置換されたアルキル基を意味する。
“ペルフルオロアルキル(perfluoroalkyl)”によって、炭素及びフッ素原子のみからなるアルキル基を意味する。
【0084】
“ヒドロキシアルキル”によって、式−(R)−OHを持つ化学部分を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0085】
“アルコキシ”によって、式−ORの化学置換基を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0086】
“アリールオキシ”によって、式−ORの化学置換基を意味し、ここにおいてRは、C6−12アリール基である。
“アルキルチオ”によって、式−SRの化学置換基を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0087】
“アリールチオ”によって、式−SRの化学置換基を意味し、ここにおいてRは、C6−12アリール基である。
“サッカリド”によって、モノサッカリド、或いはジサッカリド又はポリサッカリドの一部のいずれかとしてのアルドース又はケトースを意味する。サッカリドは、グルコース、グルコサミン、アルドヘキソース、ケトヘキソース、アロドペントース、ケトペントース、ジサッカリド、3−20サッカリド単位のポリサッカリド、並びにこれらのデオキシ及びハライド(例えばフッ素化)、アミン、アルカン酸、硫酸、及び/又はリン酸誘導体を含む。適したモノサッカリドは、限定されるものではないが、典型的には5又は6個の炭素(ペントースモノサッカリド又はヘキソースモノサッカリド)、並びに7個の炭素(ヘプトースモノサッカリド)を有するいくつかの閉鎖又は開鎖の単糖のいずれか(L又はD立体配置)を含む。含まれるものは、環の酸素原子が炭素、窒素又は硫黄によって置換された糖誘導体、単糖上のヒドロキシル置換基がアミノ基で置換されたアミノ糖或いは二つの隣接する炭素原子間に二重結合を有する糖である。本発明の化合物及び方法において使用されうるサッカリドは、限定されるものではないが、ラムノース、グルコース、ジギトキソース、ジギタロース、ジギノース、サルメントース(sarmentose)、バラロース(vallarose)、フルクトース、グルコサミン、5−チオ−D−グルコース、ノジリマイシン、デオキシ−ノジリマイシン、1,5−アンヒドロ−D−ソルビトール、2,5−アンヒドロ−D−マンニトール、2−デオキシ−D−ガラクトース、2−デオキシ−D−グルコース、3−デオキシ−D−グルコース、アロース、アラビノース、アラビニトール、フシトール、フコース、ガラクチトール、グルシトール、イジトール、リキソース、マンニトール、レボ−ラムニトール、2−デオキシ−D−リボース、リボース、リビトール、リブロース、ラムノース、キシロース、キシルロース、アロース、アルトロース、ガラクトース、グロース、イドース、レブロース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガロース、タロース、ガラクタール、グルカール、フカール(fucal)、ラムナール、アラビナール(arabinal)、キシラール(xylal)、バリエナミン、バリダミン、バリオラミン、バリオール、バリオロン(valiolon)、バリエノール(valienol)、バリエノン(valienone)、グルクロン酸、ガラクツロン酸、N−アセチルノイラミン酸、グルコン酸、D−ラクトン、ガラクトン酸γラクトン、ガラクトン酸δラクトン、マンノン酸γ−ラクトン、D−アルトロ−ヘプツロース、D−マンノ−ヘプツロース、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、D−グリセロ−D−グルコ−ヘプトース、D−アロ−ヘプツロース、D−アルトロ−3−ヘプツロース、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール、及びD−グリセロ−D−アルトロ−ヘプチトールを、特に)含む。好ましくは、本発明の化合物において使用されるサッカリドは、以下の式:
【0088】
【化23】
【0089】
のものであり;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0090】
“ブファジエノリド(bufadienolide)”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環の3位のヒドロキシ基又はアミノ基、及びステロイドのD環のC17に6員の二重に不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。ブファジエノリドの例は、本明細書中に記載したとおりの式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbの化合物であり、ここで、R17βは、以下の式:
【0091】
【化24】
【0092】
であり、式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、本明細書中の他の場所で定義したとおりである。従って、式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbを有する化合物の全ての上記の態様において、R17βのための好ましい意義は、上記の四つの例に示したとおりである。
【0093】
更に好ましくは、R17βは、以下の式:
【0094】
【化25】
【0095】
である。
“3−オキソブファジエノリド”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環のC3位におけるオキソ基、及びステロイドのD環のC17に6員の二重に不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。
【0096】
“カルジオリド(cardiolide)”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環の3位のヒドロキシ基又はアミノ基、及びステロイドのD環のC17に5員の不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。カルジオリドの例は、本明細書中に記載したとおりの式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbの化合物であり、ここで、R17は、以下の式:
【0097】
【化26】
【0098】
である。
“3−オキソカルジオリド”は、ステロイド骨格、ステロイドのA環のC3位におけるオキソ基、及びステロイドのD環のC17に5員の不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物である。
【0099】
不斉又はキラル中心が、本発明の化合物のいずれにも存在してもよい。本発明は、各種の立体異性体及びその混合物を意図している。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉又はキラル中心を含有する商業的に入手可能な出発物質から合成的に、或いは鏡像異性体化合物の混合物の調製、それに続く当業者にとって公知の分割によって調製される。これらの分割の方法は、(1)(±)と命名された鏡像異性体のラセミ混合物のキラル補助基との接続、得られたジアステレオ異性体の再結晶化又はクロマトグラフィーによる分離、及び補助基からの光学的に純粋な生成物の遊離、或いは(2)キラルクロマトグラフィーカラムによる光学異性体の混合物の直接分離によって例示される。鏡像異性体は、キラル炭素原子周りの置換基の配置によるが、本明細書中で“R”又は“S”の記号によって命名される。別の方法として、鏡像異性体は、鏡像異性体の溶液が、偏光された光の平面を、それぞれ時計廻り又は反時計廻りに回転するかのいずれかによって、(+)又は(−)として命名される。
【0100】
幾何異性体も、更に本発明の化合物に存在してもよい。本発明は、炭素−炭素二重結合周りの置換基の配置から得られる各種の幾何異性体及びその混合物を意図し、そしてこのような異性体を、Z又はE配置と命名し、ここで、用語“Z”は、炭素−炭素二重結合と同じ側の置換を表し、そして用語“E”は、炭素−炭素二重結合と反対側の置換を表す。互変異性の形態が可能である構造において、一つの互変異性の形態の記載が、他に規定されない限り、両方の記載と等価であることも更に認識される。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語“医薬的に受容可能な塩”は、過度の毒性、刺激、又はアレルギー反応を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触する使用のために適した塩を指す。医薬的に受容可能な塩は、当技術において公知である。例えば、S.M Berge et al.は、医薬的に受容可能な塩を、J.Pharmaceutical Science 66:1−19,1977中に詳細に記載している。塩は、本明細書中に記載されるいずれかの化合物の最後の単離及び精製中にin situで、或いは遊離塩基の基を適した有機酸と反応させることによって別個に調製してもよい。
【0102】
用語“プロドラッグ”は、本明細書中で使用される場合、上記の式の母体化合物にin vivoで、例えば血中の加水分解によって急速に転換される化合物を表す。本明細書中に記載されるいずれかの化合物のプロドラッグは、その活性なカルボン酸の形態に加水分解される慣用的なエステルであってもよい。プロドラッグとして使用されるいくつかの普通のエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C8−C24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カルバミン酸及びアミノ酸エステルである。もう一つの例において、一つのOH基を含有する本明細書中に記載されるいずれかの化合物は、この位置でそのプロドラッグの形態にアシル化してもよい。徹底的な検討が、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,and Judkins et al,Synthetic Communications 26(23):4351−4367,1996中に提供され、これらのそれぞれは、参考文献として本明細書中に援用される。
【0103】
“十分な”量によって、局所的又は全身的低酸素反応によって仲介される疾患を治療するために必要な本発明の化合物の量を意味する。十分な量であるこの量は、動物試験及び/又は臨床試験によって当業者によって規定どおりに決定してもよく、そして治療される特定の疾患及び使用される本発明の特定の化合物のようないくつかの因子によって変化するものである。この量は、更に患者の体重、性別、年齢及び病歴に依存しうる。
【0104】
本明細書中で使用される場合、“治療”は、局所的又は全身的低酸素反応によって仲介される疾患に伴う一つ又はそれより多い徴候又は症状の進行を緩和、寛解、又は遅延するために十分な量の本発明の化合物の投与を指す。
【0105】
用語“治療”又は“治療すること”は、患者に医薬組成物の一定投与量を与える方法を指し、ここで、この方法は、例えば局所、経皮、経口、静脈内、腹腔内、脳室内、髄孔内、又は筋肉内的である。投与の好ましい方法は、各種の因子、例えば医薬組成物の成分、投与の部位、及び治療される症状の重篤度によって変化してもよい。
【0106】
本発明の化合物は、従来の技術の化合物BNC1及びBNC4と比較してより効果的であり、そしてより容易(例えば経口的に)に投与することができる。
本発明の他の特徴及び利益は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明白となるものである。
【0107】
詳細な説明
本発明は、一部、細胞性又は全身性低酸素症の結果として観察される影響を調節することができる化合物の発見に基づいている。本発明の一つの顕著な特徴は、ある種の薬剤が、細胞における低酸素ストレス反応及び血管新生因子(VEGFのような)の発現を誘導すること、及び本発明の化合物を、この反応を減少するために使用することができることの発見である。低酸素ストレス反応が、VEGFを含む(限定されるものではないが)ある種の血管新生因子の発現に伴われるために、低酸素ストレス反応を阻害するための本発明の化合物の投与は、更にVEGF(及び他の血管新生因子)仲介の血管新生も阻害するものである。
【0108】
代謝性疾患
本発明の化合物は、例えば、高血糖症、耐糖能障害、代謝症候群(例えば症候群X)、糖尿、代謝性アシドーシス、白内障、糖尿病性神経障害及び腎症、肥満症、高異脂質血症、及び代謝性アシドーシスのような代謝性疾患の治療のために有用であることができる。
【0109】
代謝性症候群Xは、全て、インスリン抵抗性の一次疾患に起因する代謝性疾患の集まりである。全ての症候群Xに伴う代謝性異常は、心血管疾患に導くことができる。群として存在する場合、心血管疾病及び早期死亡に対する危険度は、非常に高い。代謝性症候群X中に存在する特徴的疾患は:インスリン抵抗性、高血圧、血液凝固の異常、低いHDL及び高いLDLコレステロールレベル、並びに高いトリグリセリドレベルを含む。症候群Xの治療のために、本発明の化合物は、単独で、又はいずれかの既存の抗糖尿病剤との組合せで使用してもよい。本発明の化合物との組合せで使用してもよい薬剤は、限定されるものではないが、インスリン、インスリン類似体(例えばメカセルミン)、インスリン分泌促進物質(例えばナテグリニド)、ビグアニド(例えばメトホルミン)、スルホニル尿素(例えばクロルプロパミド、グリピジド、又はグリブリド)、インスリン感作剤(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、又はロシグリタゾンのようなPPARγアゴニスト)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース、又はミグリトール)、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えばゾポルレスタット)、ミチグリニド(metiglinide)(例えばレパグリニド)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、並びにGLP−1及びその機能的模倣体(例えばエキセンディン−4)を、特に含む。
【0110】
肥満症は、その多くが低酸素状態の反映である各種の表現型に起因してもよく、又はそれに伴われる。例えば、慢性低酸素性炭化水素渇望、及び炭化水素渇望に悩む多くの個体は、更に肥満の個体にも普通である。脂肪組織が血管新生活性を示し、そして更に脂肪組織集団が脈管構造によって調節されることができると考えられる。脂肪新生及び血管新生の相互的パラクライン調節(reciprocal paracrine regulation)が存在する。更に、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)シグナル伝達の遮断が、in vivoの脂肪組織形成を阻害することができることが示されている。Fukumura et al.in Circulation Research 93:e88−97,2003。
【0111】
本発明は、肥満を治療/予防することにおいてin vivoの血管新生を阻害するために、本発明の化合物を、他の抗血管新生因子を伴って又は伴わずに投与することによって、血管新生因子を下方調節する方法を特徴とする。
【0112】
肥満症の治療のために、本発明の化合物は、単独で、又はFlint et al.,J.Clin.Invest.101:515−520,1998によって又はToft−Nielsen et al.,Diabetes Care 22:1137−1143,1999によって記載されているもののように、いずれかの既存の抗肥満症剤との組合せで使用してもよい。本発明の化合物との組合せにおいて使用してもよい薬剤は、限定されるものではないが、脂肪酸取込み阻害剤(例えばオルリスタット)、モノアミン再取込み阻害剤(例えばシブトラミン)、食欲低下剤(例えばデクスフェンフルラミン又はブロモクリプチン)、交換神経刺激剤(例えばフェンテルミン、フェンジメトラジン、又はマジンドール)、及び甲状腺ホルモン模倣剤を、特に含む。
【0113】
高血圧性疾患
本発明の化合物及び方法は、高血圧の治療のために有用であることができる。全身性高血圧は、米国において最も一般的な心血管障害であり、5千万人より多いヒトに影響している。高血圧は、中年男子の脳卒中、心疾患、及び腎不全を含む主要な内科的疾病の普通の原因である。米国におけるその罹患率は、約20%であり、新規に診断される高血圧患者の率は、毎年約3%である。
【0114】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、同じ集団において普通である。就労人口の2%までの女性及び4%の男性が、睡眠時無呼吸症候群の診断基準に合致することが推定される。罹病率は、老年の非就労男性において非常に高いものであることができる。肥満のような中年の高血圧の素因となる因子の多くも、更に睡眠時無呼吸に伴われる。最近の刊行物は、高血圧を持つ中年男性中の潜在的睡眠時無呼吸の30%の罹病率を記載している。更に、高血圧及び睡眠時呼吸障害に対する関連が見出されている(例えば、Fletcher,Am.J.Med.98(2):118−28,1995を参照されたい)。
【0115】
低酸素に対する反応における中心的仲介物質の一つとしてのHIF−1は、高血圧の原因に関係している(例えば、Li and Dai,Chin.Med.J.(Engl).117(7):1023−8,2004;及びSemenza,Genes and Development 14:1983−1991,2000を参照されたい)。HIFの発現を減少するその能力のために、本発明の化合物は、睡眠時呼吸障害及び閉塞性睡眠時無呼吸のような高血圧によって起こされる疾患の治療のために有用であることができる。
【0116】
血管新生疾患
本発明の化合物は、それ自体が血管新生促進因子の強力な活性化剤であるHIF−1の強力な阻害剤である。いずれかの特定の機構に束縛されることをにぞむのもではないが、低酸素に対する全体的反応を開始することに関係する因子が、血管新生のような局所的反応を抑制するものであり、局所的細胞の低酸素症が、換気又は酸素供給の全身性障害に起因し得る場合、これが、不適当であるものであることを予想することは妥当である。
【0117】
本発明の組成物及び方法は、非病原性である血管新生、即ち対象の正常な生物学的過程に起因する血管新生を阻害するために使用してもよい。胚形成中に加えて、血管新生は、更に卵胞の発生、黄体形成及び胚着床中に、女性の生殖系において活性化される。これらの過程中に、血管形成は、主としてVEGFによって仲介される。制御されていない血管新生は、長引く月経出血又は不妊症のような各種の女性の生殖性疾患の根底にあることができ、そして過剰の内皮細胞増殖が、子宮内膜症を持つ女性の子宮内膜において観察されている。新血管新生も、更に成功する創傷治癒において重要な役割を演じ、これは、恐らくIL−8並びに増殖因子FGF−2及びVEGFによって調節される。炎症性反応を伴う既知の細胞成分であるマクロファージは、これらの血管新生因子を放出することによって治癒過程に寄与しうる。非病原性血管新生の例は、子宮内膜新血管新生、及び脂肪組織又はコレステロールの産生において関係する過程を含む。従って、本発明は、例えばコレステロールレベルを減少するための体重の制御又は脂肪喪失の促進、或いは妊娠中絶薬としての非病原性血管新生を阻害するための方法を提供する。
【0118】
本発明の組成物及び方法は、更に病原性である血管新生、即ち病原性が、不適当な又は制御されていない血管新生に伴われる疾病を阻害するためにも使用してもよい。例えば、殆んどの癌性固形腫瘍は、腫瘍部位及びその周囲に血管新生を誘導することによってそれ自体のために十分な血液供給を産生する。この腫瘍誘導血管新生は、しばしば腫瘍の成長のために必要であり、そして更に転移細胞が血流に入ることを可能にする。更に、多くの眼疾病が、制御されていない又は過剰の血管新生に伴われる。
【0119】
本発明の化合物及び方法を使用して治療しうる血管新生が伴う腫瘍性疾患は、限定されるものではないが、腫瘍の増殖、血管腫、髄膜腫、固形腫瘍、白血病、血管新生緑内障、血管線維症、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、及びこれらの転移を含む。
【0120】
本発明の化合物及び方法を使用して治療しうる血管新生が伴う非腫瘍性疾患は、限定されるものではないが、網膜新血管新生、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症(ROP)、子宮内膜症、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症(ARMD)、乾癬、関節炎、リウマチ様関節炎(RA)、アテローム性動脈硬化症、毛細血管腫、カポジ肉腫、甲状腺過形成、グレーブス病、動静脈(arterioyenous)奇形(AVM)、血管再狭窄、皮膚炎、血友病性関節、肥厚性瘢痕、滑膜炎、血管接着、及び他の炎症性疾病を含む。
【0121】
本発明の化合物及び方法は、更に白内障の手術後の異常な血管新生の予防又は軽減のために有用であることができる。正常なレンズにおいて、ブファリン及びウアバイン様因子に対する免疫反応性は、カプセル状上皮層においてレンズの繊維質領域より7倍ないし30倍高い(Lichtstein et al.,Involvement of Na+,K+−ATPase inhibitors in cataract formation,in Na/K−ATPase and Related ATPases,2000,Taniguchi,K.& Haya,S.,eds,Elsevier Science,Amsterdam)。ヒトの白内障のレンズにおいて、ナトリウムポンプ阻害剤の濃度は、正常のレンズよりはるかに高かった。従って、これを、白内障のレンズから単離し、そして19−ノルブファリン及びそのThr−Gly−Alaトリペプチド誘導体として同定した(Lichtstein et al.,Eur.J.Biochem.216:261−268,1993)。白内障の手術は、このようなステロイドを除去するものであり、眼における不要な血管新生の局所的阻害の可能な喪失となる。従って、白内障手術後の患者は、異常な血管新生に伴う症状に対して、更に脆弱となりうる。
【0122】
炎症性疾患
血管新生及び亢進された毛細血管透過性は、多くの炎症性疾病の特徴である。血管新生及び慢性の炎症は、密接に連結している(Jackson et al.,FASEB J.11:457−465,1997)。炎症の部位における血管新生性血管は、血流を維持し、そして組織の代謝要求の増加に合致するために拡張し、そして高浸透性となる(Jackson et al.,Supra)。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(Detmar,J.Dermatol.Sci.24(suppl 1):S78−S84,2000;Brown et al.,J.Invest.Dermatol.104:744−749,1995;Fava et al.,J.Exp.Med.180:341−346,1994)、及びCXC−ケモカインファミリーのメンバー(Schroder and Mochizuki,Biol.Chem.380:889−896,1999;Strieter et al.,Shock 4:155−160,1995;Strieter et al,Shock 4:155−160,1995)を含むいくつかの血管新生促進因子が、炎症中に上方制御されることが見出されている。いずれかの特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、炎症は、局所的低酸素反応を誘導し、そして例えばVEGF及び他の因子による血管新生を促進することができる。更に、免疫細胞は、恒常的に高いレベルのHIF−1を有する傾向がある。これは、これらの細胞が解糖に依存する傾向と結びつく。従って、低酸素症細胞に更に典型的に伴う多くの現象(phenolmena)は、ある種の免疫細胞中に恒常的に存在する。
【0123】
従って、本発明の化合物及び方法は、リウマチ様関節炎、乾癬、及びアテローム性動脈硬化症のような炎症性疾病の治療のために使用してもよい。
アルツハイマー病(AD)
本発明の化合物及び方法は、ADの開始及び/又は発症を阻害するために有用であることができる。認識及び記憶の障害によって特徴づけられるアルツハイマー病(AD)は、中枢神経系中のアミロイドβペプチド(AβP)のゆっくりした蓄積が明白に伴う(Selkoe,Physiol.Rev.81:741−766,2001;Small et al.,Nat.Rev.Neurosci.2:595−598,2001)。AβPは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のβ−及びγ−セクレターゼによるアミロイド形成的加工により産生され、そして最近の証拠は、γ−セクレターゼ活性が、プレセニリン、ニカストリン、APH−1及びpen−2間の複合体の形成を必要とすることを示唆している(Edbauer et al.,Nat.Cell Biol. 5:486−488,2003)。Ca2+の恒常性の破壊は、ADの神経変性に強く関係し;実際に、Ca2+依存性プロテアーゼ活性の増加は、AD脳組織中の変性中のニューロンに伴って起こり(Nixon et al.,Ann.N Y Acad.Sci.747:77−91,1994)、そしてAβPは、Ca2+の恒常性を撹乱し、細胞を興奮毒性損傷に感受性にさせる(Mattson et al.,J.Neurosci.12:376−389,1992)。プレセニリン変異は、細胞のCa2+恒常性に影響を有し(Mattson et al.,Trends Neurosci.23,222−229,2000)、そしてプレセニリン−1(PS−1)の家族性AD(FAD)関連変異が、イノシトール三リン酸と結合した細胞内Ca2+ストア、並びにCa2+流入経路を変更することができることが知られている(Leissring et al.,J.Cell Biol.149:793−798,2000;Mattson et al.,Trends Neurosci.23:222−229,2000;Yoo et al.,Neuron 27:561−572,2000)。これは、Ca2+の恒常性の撹乱が、このようなニューロンの喪失の根底にある重要な機構であるために、神経変性に貢献しうる(Chan et al.,J.Biol.Chem.275:18195−18200,2000;Mattson et al.,J.Neurosci.20:1358−1364,2000;Yoo et al.上記参照)。
【0124】
脳の低酸素症又は虚血の時間は、ADの発生率を増加し(Tatemichi et al.,Neurology 44:1885−1891,1994;Kokmen et al.,Neurology 46:154−159,1996)、そしてAPPの発現は、軽度及び重度の脳虚血後に上昇する(Kogure and Kato,Stroke 24:2121−2127,1993)。APPの非アミロイド形成的開裂産物(sAPPα)は、神経保護的であるために(Mattson,Physiol.Rev.77:1081−1132,1997;Selkoe,Physiol Rev.81:741−766,2001)、低酸素症中の増加した発現は、虚血に対する保護機構と考えることができる。然しながら、増加したAPPレベルは、更にAβP形成のための基質の増加を提供するものである。AβP形成が、PC12細胞における低酸素症後に増加されることが以前に示されている(Taylor et al.,J.Biol Chem.274:31217−31222,1999;Green et al.,J.Physiol 541:1013−1023,2002)。更に、長期の低酸素症は、ラットI型皮質性星状細胞中の細胞内ストアからのブラジキニン(BK)誘導のCa2+放出を増強する。これは、ミトコンドリア及び原形質膜のNa+/Ca2+交換輸送体(NCX;Smith et al.,J.Biol Chem.278:4875−4881,2003)の機能障害のためである。Peers et al.,Biol.Chem.385(3−4):285−9,2004は、持続性低酸素症が、個体を、細胞がCa2+の恒常性の撹乱によって部分的に破壊されるアルツハイマー病のような認知症にかからせることを報告している。更に、低酸素症は、アルツハイマー病に関連する鍵となる酵素の主要成分であるプレセニリン−1のレベルを増加する。従って、低酸素症の期間及びADの発症間には、確立された関連が存在する。
【0125】
増殖性疾患
本発明の化合物及び方法は、増殖性疾患の治療のために有用でありうる。特に、本発明の化合物は、癌細胞系の増殖を、既知の毒性レベルよりはるかに低い濃度で阻害することができる(図10−13を参照されたい)。
【0126】
組合せ治療
本発明の化合物は、癌の治療及び/又は転移の形成の阻害のための他の抗増殖性薬剤との組合せで使用してもよい。組合せで使用される抗増殖性薬剤は、限定されるものではないが、表1に与えられる薬剤を含む。
【0127】
好ましくは、本発明の化合物は、最小の有効な投与量を減少する目的のために、既存の臨床療法(例えば乳癌の治療のためのパクリタキセル)に加えられる。患者に対する利益は、本発明の化合物との組合せで使用される場合の抗癌剤の治療指数の増加である。従って、本発明の化合物は、有害な薬物反応の現象、患者の寿命の延長、及び/又は治癒率の改良の目的のために、いずれかの既存の癌治療療法に加えてもよい。
【0128】
【表1A】
【0129】
【表1B】
【0130】
【表1C】
【0131】
【表1D】
【0132】
本発明の方法において、本発明の化合物及び更なる抗増殖性薬剤(類)の投与の投与量及び頻度は、独立に制御してもよい。例えば、一つの化合物は、経口的に毎日三回投与してもよく、一方第2の化合物は、静脈内的に一日一回投与してもよい。化合物は、更に一回の投与が両方の化合物を放出するように、一緒に処方してもよい。
【0133】
投与される本発明の化合物及び更なる抗増殖性薬剤(類)の例示的な投与量は、疾患の種類及び程度、患者の全般的健康状態、選択された抗増殖性薬剤(類)の治療指数、及びその投与の経路のような変数に依存するものである。標準的な臨床試行を、本発明のいずれかの特定の組合せのための投与量及び投与頻度を最適化するために使用してもよい。
【0134】
投与
本発明は、局所的及び全身的低酸素現象の影響を調節するために使用しうる組成物及び方法を特徴とする。本発明の化合物は、投与の前に医薬的に受容可能な賦形剤と処方してもよい。これらの医薬組成物は、慣習的な方法によって、一つ又はそれより多い医薬的に受容可能なアジュバント又は賦形剤を使用して調製してもよい。アジュバントは、限定されるものではないが、希釈剤、滅菌水性媒体、及び各種の非毒性の有機溶媒を含んでなる。治療的な使用のために受容可能な担体又は希釈剤は、製薬の分野において公知であり、そして例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000,Philadelphia,及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New York中に記載されている。組成物は、錠剤、丸薬、顆粒、粉末、水溶液又は懸濁液、注射用溶液、エリキシル、或いはシロップの形態で提供してもよく、そして組成物は、甘味剤、芳香剤、着色剤、及び安定剤からなる群から選択される一つ又はそれより多い薬剤を、医薬的に受容可能な製剤を得るために、所望により含有してもよい。
【0135】
本発明の医薬組成物中の活性成分の投与量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与のモードに対する所望の治療反応を達成するための活性化合物(類)の量を得るために変化してよい。選択される投与量レベルは、特定の化合物の活性、投与の経路、治療される症状の重篤度、並びに治療される患者の症状及び以前の病歴に依存する。成人の場合、投与量は、一般的に吸入によって一日当り約0.01ないし約100mg/kg、好ましくは約0.1ないし約1mg/kg体重、経口投与によって一日当り約0.01ないし約100mg/kg、好ましくは0.1ないし70mg/kg、更に好ましくは0.5ないし10mg/kg体重、そして静脈内投与によって一日当り約0.01mgないし約50mg/kg、好ましくは0.1ないし1mg/kg体重である。投与量は、それぞれの特定の場合に対して、年齢、体重、一般的健康状態、及び本発明の化合物(類)の効力に影響することができる他の因子を含むその患者に独特の因子による標準的な方法を使用して決定される。
【0136】
本発明の化合物は、経口的に、非経口的に静脈内注射によって、経皮的に、肺の吸入によって、膣内的又は直腸内的な挿入によって、皮下的な植込みによって、筋肉内注射又は例えば腫瘍部位への注射のような影響された組織への直接注射によって投与してもよい。ある場合には、物質は手術が行われる時に局所的に適用してもよい。また別の場合、局所投与は、治療組成物の眼への直接適用による眼科的であってもよい。
【0137】
例えば、本発明の化合物は、Alzet(登録商標)Model 2002浸透圧ポンプのような浸透圧ポンプを使用することによって患者に投与してもよい。浸透圧ポンプは、試験薬剤の連続的放出を与え、これによって頻繁な24時間体制の注射の必要性を排除する。マウス又は若いラットにおける使用にさえ十分に小さい大きさで、これらの植込み可能なポンプは、潜在的毒性を回避し、副作用をミスリードして、所定通りに化合物を治療的なレベルで継続することにおいて有益であることが証明されている。
【0138】
別の方法として、本発明の化合物は、制御された方法で患者の眼に投与してもよい。薬物を眼に放出するための多くのデバイス及び方法が存在する。例えば、米国特許第6,331,313号は、生体適合性であり、そして眼に植込むことができる各種の制御放出デバイスを記載している。この中に記載されているデバイスは、薬物及びポリマーの外部層を含んでなる核を有し、これは、環境流体の進入に対して実質的に不透過性であり、そして放出期間中の薬物の放出に対して実質的に透過性であり、そして薬物放出は、外部層のオリフィス(orifice)を通して行われる。これらのデバイスは、デバイスの全表面積の10%より少ないオリフィス面積を有し、そして変化する程度の溶解度及び又は分子量を持つ各種の薬物の放出のために使用してもよい。これらの薬物放出デバイスを使用するための方法も、更に提供されている。生体適合性の植込み可能な眼の制御放出薬物放出デバイスは、少なくとも数週間の期間の眼内の薬物の連続放出に対する、眼内の植込みのために大きさを決められる。このようなデバイスは、ポリマーの外部層を含んでなり、これは、薬物及び眼液に対して実質的に透過性であり、そして眼液に溶解する薬物を含んでなる核を被覆し、ここにおいて、外部層は、一つ又はそれより多いオリフィスを有し、癌液はそれを通って通過して、核と接触し、そして薬物を溶解することができ、そして溶解した薬物はデバイスの外部へ通過することができる。全体でオリフィスは、デバイスの全表面積の1パーセントより少ない面積を有し、そして薬物の放出の速度は、単に核の成分及びデバイスの全表面積に対する一つ又はそれより多いオリフィスの全表面積によって決定される。他の例の植込み方法及びデバイス、並びに眼における薬物放出に対する関連する改良は、米国特許第5,824,072号、5,766,242号、5,632,984号、5,443,505号及び5,902,598;米国特許出願US20040175410 Al、US20040151754 A1、US20040022853 A1、US20030203030 A1;及びPCT出願公開WO9513765 A1、WO0130323 A2、WO0202076 A2、WO0243785 A2、及びWO2004026106 A2中に記載されている。
【0139】
ある種の適用のために、本発明の化合物は、局所的に運搬する必要があるものであってもよい。このような場合、好ましくない全身性の副作用を起こさずに限定された局所放出を達成するために、当技術において各種の既知の方法を使用してもよい。ごく僅かの名前を挙げるならば、WO03066130 A2(全部の内容は、本明細書中に参考文献として援用される)は、薬物と可逆的に結合する輸送シャペロン部分と処方された薬物を含む経皮的薬物放出系を開示している。シャペロン部分は、製剤中で薬物と結合し、皮膚組織を通る薬物の輸送を亢進し、そして前記皮膚組織を通った後薬物を放出する。この適用は、更にステロイド系HIF−1調節物質の経皮放出のためのマイクロエマルジョン系を提供し、この系は、親水性及び疎水性成分の両方を可溶化する。例えば、マイクロエマルジョンは、親油性溶媒及び有機溶媒を含む共溶媒系であってもよい。例示的な共溶媒は、NMP及びIPMである。
【0140】
国際特許出願WO02087586 A1は、ポリマー及びポリマー中に分散された、約1mg/mlより小さい溶解度を有するプロドラッグを含む持続放出系を開示している。好都合には、ポリマーは、プロドラッグに対して透過性であり、そしてポリマーからのプロドラッグの放出の速度に関して、非放出律速であってもよい。これは、長期の時間にわたる持続性放出速度動力学により、手術の近辺の身体の改良された薬物放出を可能にし、一方複雑な製造過程を必要としない。
【0141】
この物質は、投与の所望の経路に合致するために処方される。処方は、当技術において公知の、医薬的に受容可能な緩衝液、安定剤、局所麻酔剤、等を含む適した賦形剤を含んでいてもよい。非経口投与のために、例示的な処方は、滅菌溶液又は懸濁液;経口投与のために、シロップ、錠剤又は口当たりのよい溶液;局所的様のために、ローション、クリーム、噴霧剤又は軟膏;吸入による投与のために、微結晶粉末又は通気法のために適した溶液;膣内又は直腸内投与のために、ペッサリー、座薬、クリーム又はフォーム剤であってもよい。
【0142】
化合物
本発明の化合物は、以下の式a−d:
【0143】
【化27】
【0144】
によって記載されるものを含む。
式(a)−(d)において、Xは、NH又はOであり;R40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成し;R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0145】
【化28】
【0146】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0147】
合成
多くの3−ヒドロキシブファジエノリド又はカルジオリドステロイドは、例えば、Kamano et al.,in J.Med.Chem.45:5440−5447,2002;Kamano et al.,in J.Nat.Prod.65:1001−1005,2002;Nogawa et al.,in J.Nat.Prod.64:1148−1152,2001;及びQu et al.,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.91:87−98によって記載されているもののように以前に記載されている。
【0148】
更に、ブファジエノリドの調製のためのいくつかの異なった経路が、Soncheimer et al.,J.Am.Chem.Soc.91:1228−1230,1969;Stache et al.,Tetrahedron Lett.35:3033−3038,1969;Pettit et al.,Can.J.Chem.47:2511,1969;Pettit et al.,J.Org.Chem.35:1367−9,1970;Tsay et al.,Heterocycles 12:1397−1402,1979;Sen et al.,J.Chem.Soc.Chem.Comm.66:1213−1214,1982;Wiesner et al.,Helv.Chim.Acta 66:2632−2641,1983;Weisner & Tsai,Pure and Appl.Chem.53:799−810,1986, 及び米国特許第4,001,402号;4,102,884号;4,175,078号;4,242,332号;及び4,380,624号を含み、当技術において記載されている。
【0149】
R17が置換された2H−ピラン−5−イル−2−オン部分である本発明の化合物は、スキーム1に示すように調製してもよい。Stille(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.25:508,1986)の方法を使用して、R21、R22、及びR23のそれぞれが、独立にH、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール、又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである式VIの化合物を、式Vの化合物を、過酸化ベンゾイル(BPO)の存在中で、CCl4中の2当量のN−ブロモスクシンイミドと反応させることによって調製する。Liu and Meinwald(J.Org.Chem.61:6693−99,1996)の方法を使用して、ヘキサメチルジスタンナンにより、触媒量のPd(PPh3)4の存在中で、式VIの化合物をスタンニル化して、式VIIの化合物を製造してもよく、次いでこれは、例えば化合物102のようなステロイドエノールトリフラートにカップリングして、接触水素化後、式VIIIの化合物を製造してもよい。
【0150】
【化29】
【0151】
スキーム2に示すように、式VIIIの化合物は、光分解によって、二塩化ヨードベンゼンの存在中で式IXの化合物に転換してもよく、続いて中間体の塩化物をAgClO4で処理する(Breslow et al.,J.Am.Chem.Soc.99:905;1977及びDonovan et al.,Tet.Lett.35:3287−90,1979を参照されたい)。式IXの化合物をN−ヨードスクシンイミドで処理し、そして得られたヨードヒドリンを、UrishibaraNi−Aで還元して、式Xの化合物を製造する(Kamano and Pettit,J.Am.Chem.Soc.,94(24):8592−3,1972を参照されたい)。シリル化された3−ヒドロキシ基のフッ化カリウムによる脱保護、それに続く酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムによる)により、3−位においてケトンを得る。N−ブロモスクシンイミドによる4位における臭素化、それに続く塩基性条件下(例えばコリジンを還流する)の脱ハロゲンにより、式XIの化合物を製造する。14位のヒドロキシルは、その後の工程でこれが必要な場合、所望により保護してもよい。3位のケト基は、例えば、水素化トリ−tert−ブトキシアルミニウムリチウム又は水素化ホウ素リチウムのような試薬で還元して、式XIIの化合物を製造し、これを、C−3のヒドロキシルにおいて再官能化して、式XIII又はXIVの化合物を製造してもよい。
【0152】
【化30】
【0153】
スキーム3に示すように、式Vの化合物の式VIIの化合物への転換のための、スキーム1に与えられ、そして以前に記載されたもの(Stille、上記参照)と類似の化学反応は、式XVIの化合物を、式XVの化合物から製造するために使用してもよく、ここで、R24、R25、及びR26のそれぞれは、H、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである。式VIIの化合物の式XIIの化合物への転換のために、先に記載したものと類似の化学反応によって、式XVIの化合物は、式XVIIの化合物を製造するために採用してもよく、ここで、R17は、所望により置換された2H−ピラン−3−イル−2−オン部分である。上述のように、3位におけるヒドロキシル基の再官能化は、式XVIII又はXIXの化合物を与えうる。
【0154】
【化31】
【0155】
R17が置換された2H−ピラン−3−イル−2−オン部分であるブファジエノリドは、スキーム4に示すように、既知の方法(例えば、Wiesner et al.,in HeIv.Chim.Acta 65:2049−2060,1982;Wiesner and Tsai,Pure & Appl.Chem.58(5):799−810, 1986を参照されたい)によって調製してもよい。従って、R27がH、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである式XXのリチウム化されたフランを、化合物103と反応させて、式XXIの化合物を製造する。アルコールのアセチル化及び還流のアセトン中の、例えば炭酸カルシウムのような塩基の存在中のアリル転位は、転位された酢酸基の同時加水分解後、式XXIIの化合物を製造する。C16−C17二重結合の水素化後、アセタール基を脱保護し、そして得られたアルデヒドの水素化ホウ素ナトリウム還元により、式XXIIIの化合物を製造する。m−クロロ過安息香酸による処理により、2,5−ジヒドロキシジヒドロフラン中間体を得て、これを、直ちに式XXIVの化合物に転位する。ヘミアセタールのヒドロキシルの酢酸塩としての保護、C15ヒドロキシルの塩化チオニル及びピリジンによる処理による除去、並びにアセチル保護基の鹸化による除去により、式XXVの化合物を得る。ヘミアセタール基のラクトンへのクロム酸による酸化、及び水素化ホウ素亜鉛によるケトンの還元により、式XXVIのヒドロキシラクトンを得る。ヒドロキシル基のメシル化、その後の除去により、式XXVIIの化合物を得る。先に記載したように、ヒドロキシル基を、N−ヨードスクシンイミドによる処理、及び得られたヨードヒドリンのUrishibara Ni−Aによる還元によって14位に導入する。C3におけるベンジル保護基を水素化によって除去し、その後酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムにより)して、3位においてケトンを得る。式XIIの化合物の合成のために先に記載したように、臭素化、脱ハロゲン、及び還元により、式XXVIIIの化合物を製造し、これは、先に記載したように3位において再官能化してもよい。
【0156】
【化32】
【0157】
R17が置換された4H−ピラン−2−イル−4−オン部分であるブファジエノリドは、スキーム5に示すように調製してもよい。従って、化合物103を、2−リチオフランと反応させて、式XXXの化合物を得る。式XXIの化合物のために先に記載したようなアセチル化、アリル転位、及び水素化、その後の再アセチル化により、式XXXIの化合物を得る。フラン環のN−ブロモスクシンイミドによる処理、その後のK2CO3の存在中のKMnO4/NaIO4による酸化により、C17位においてカルボン酸を得て、これは、1,1’−カルボニルジイミダゾールによる処理によって活性化されて、式XXXIIの化合物を得る。式XXXIIIのカリウムエノラートとの反応により、酸によるクエンチ後、式XXXIVのγ−ピロンを得る。式XXXIIIの化合物は、式XXXIIIaの化合物を、リチウムジイソプロピル−アミド又はリチウムヘキサメチルジシラジドと、適当な条件下で反応させることによって調製してもよい。アセチル基の除去、メシル化、除去、及びN−ヨードスクシンイミドによる処理による14位へのヒドロキシル基の導入、並びに得られたヨードヒドリンの先に記載したようなUrishibara Ni−Aによる還元により、式XXXVの化合物を製造する。C3におけるベンジル保護基を水素化により除去し、その後酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムにより)して、3位においてケトンを得る。式XIIの化合物の合成のために先に記載したように、臭素化、脱ハロゲン、及び還元により、式XXXVIの化合物を得て、これは、3位において再官能化してもよい。
【0158】
【化33】
【0159】
スキーム6に示すように、17位において2H−ピラン−2−オン部分で置換された本明細書中に記載された化合物のいずれかのために、17位を、酸化によって更に官能化して、R17αがOHである式XXXIXの化合物を製造してもよい(Saito et al.,Chem.Pharm.Bull.18:69,1970及びTempleton et al.,Steroids 65:379,2000を参照されたい)。
【0160】
【化34】
【0161】
サッカリド誘導体は、実施例中に記載されるように、又は以下の反応1−3のいずれかを使用して調製してもよい。これらの反応スキームのそれぞれは、本明細書中に記載したいずれかの他の対応する3−ヒドロキシ又は3−アミノカルジオリド或いはブファジエノリドに適用して、対応するサッカリドを製造することができる。
【0162】
【化35】
【0163】
誘導されたサッカリドは、各種のカルジオリド及びブファジエノリド類似体を製造するために、同様な方法で使用してもよい。
実施例
以下の実施例は、ここに特許請求される方法及び化合物が、如何に行われ、製造され、そして評価されるかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示され、そして本発明の純粋な例示を意図し、そして本発明人等がその発明とみなすものの範囲を限定する意図はない。
【0164】
以下の研究において使用される例示的なHIF−1調節化合物は、BNC1及びBNC4と呼ばれる。本発明の化合物は、以下に示すBP−244及びBP228:
【0165】
【化36】
【0166】
を含む。
BNC1は、ウアバイン又はG−ストロファンチン(STRODIVAL(登録商標))であり、これは、心筋梗塞の治療のために使用される。これは、無色の結晶であり、約0.06−0.35μg/mLの予測IC50及び約0.03μg/mLの最大血漿濃度を持つ。文献によれば、これのヒトの血漿中の半減期は、約20時間であり、5−50時間間の範囲を伴う。この通常の製剤は、注射用である。現時点の指示(i.v.)に対する典型的な投与量は、約0.25mgで、0.5mg/日までである。
【0167】
BNC4は、プロスシラリジン(TALUSIN(登録商標))であり、これは、欧州において慢性心不全の治療のために認可されている。これは、無色の結晶であり、約0.01−0.06μg/mLの予測IC50、及び約0.1μg/mLの最大血漿濃度を持つ。文献によれば、これのヒトの血漿中の半減期は、約40時間である。この通常利用可能な製剤は、0.25又は0.5mgの錠剤である。現時点の指示(p.o.)に対する典型的な投与量は、約1.5mg/日である。
【0168】
実施例1.心臓配糖体化合物はHIF−1α発現を阻害する
BNC1及びBNC4の、ヒトの腫瘍細胞における低酸素仲介HIF1α導入を阻害する能力を調査した。図2に、低酸素下でBNC1又はBNC4で処理されたCaki−1又はPanc−1細胞中のHIF−1α、HIF−1β及びβ−アクチン(対照)発現に対する免疫ブロットの結果を示す。結果は、HIF−1α発現の阻害においてBNC4が、BNC1より約10倍強力であることを示す。
【0169】
実施例2.BNC4は、正常酸素圧下のPHD阻害剤により誘導されたHIF−1αを阻害する
HIF−1αのBNC4阻害の機構を研究するために、PHD阻害剤、L−ミモソン(mimosone)、によって誘導されたHIF−1α発現HIF−1α発現を阻害するBNC1又はBNC4の能力を、正常酸素圧条件下で調査した。
【0170】
図3に示された実験において、Hep3B細胞を、正常酸素圧下で増殖し、しかし更に示されたように200μMのL−ミモソンで18時間BNC1又はBNC4の存在或いは非存在中で処理した。HIF1α及びβ−アクチンの存在量を、ウェスタンブロットによって決定した。
【0171】
結果は、L−ミモソンが、正常酸素圧条件下でHIF−1αの蓄積を誘導し、そしてBNC4の添加が、L−ミモソンによるHIF−1αの蓄積を排除したことを示す。試験された低濃度において、BNC1は、この実験においてHIF−1α蓄積に対して影響を有するようには見受けられなかった。特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、正常酸素圧下でPHD阻害剤によって誘導されるHIF−1αを、BNC4が阻害することができると言う事実は、BNC4による作用の部位が、恐らくプロリルのヒドロキシル化の下流にあることを示している。
【0172】
実施例3.シラレニンの3−オキシムエーテル及びアミノ誘導体の調製
シラレニンの合成
【0173】
【化37】
【0174】
プロスシラリジン(66.3mg、0.125mmol)及びナリンギナーゼ(23.2mg)のEtOH(1.25mL)−0.02Mの酢酸緩衝液(pH4.0、3.75mL)中の溶液(一部懸濁)を、40℃で6.5時間インキュベートした。EtOH(30mL)の添加後、全体の混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、10g、n−ヘキサン−EtOAc(1:1))によって精製して、シラレニン(48mg)を得た。
【0175】
シラレノンの合成
【0176】
【化38】
【0177】
700mg(1.82mmole)のシラレニンを、30mLの乾燥ジクロロメタン中に溶解し、そして1.4gの粉末モレキュラーシーブ及び1.57g(7.28mmole)のクロロクロム酸ピリジニウムを加えた。混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩攪拌した。暗色の混合物をセライトのパッドを通して濾過し、そして濃縮した。粗製の混合物をフラッシュクロマト−グラフィーによって精製して、604mg(86%)の所望のケトンを、無色の固体として得た。
【0178】
O−(2−エチルピペリジノ)−ヒドロキシルアミンの合成
【0179】
【化39】
【0180】
ナトリウム、13.8g、(600mmole)を、450mLの乾燥エタノール中に溶解し、そして21.9g(300mmole)のアセトンオキシム及び55.2g(300mmole)の塩化ピペリジノエチル塩酸塩を加え、そして混合物を2時間還流した。混合物をその元の体積の約1/3に濃縮した。水を加え、そして混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。真空中の濃縮後、残渣を減圧下(沸点22ミリバールで100℃)で蒸留して、33.4g(60%)のアセトンオキシムエーテルを得た。15gのこの物質を6NのHCl中で一晩還流した。冷却後、混合物をNaOH溶液で塩基性化し、そしてジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を乾燥し、濃縮し、そして残渣を減圧(沸点18ミリバールで101−106℃)下で蒸留して、2.7g(23%)の所望のヒドロキシルアミン誘導体を、無色の液体として得た。
【0181】
3−(O−(2−エチルピペリジノ))−シラレノン−オキシムエーテルの合成
【0182】
【化40】
【0183】
650mg(1.7mmole)のシラレノンの50mLの乾燥メタノール中の溶液に、1.59g(11.05mmole)のO−(2−エチルピペリジノ)−ヒドロキシルアミン及び3mLの氷酢酸を加え、そして混合物を室温で90分間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発し、そして組成の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、773mg(85%)の所望のオキシムエーテルを、無色の固体として得た。
【0184】
3−(O−メチル)−シラレノン−オキシムエーテルの合成
【0185】
【化41】
【0186】
650mg(1.7mmole)のシラレノンの50mLの乾燥メタノール中の溶液に、1420mg(17mmole)のO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び1283mg(15.64mmol)の酢酸ナトリウムを加え、そして混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発し、そして粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、88%の所望のオキシムエーテルを、無色の固体として得た。
【0187】
シラレニン3−オキシムエーテル及び3−アミノ誘導体は、以下のスキーム7に記載したように調製することができる。
【0188】
【化42】
【0189】
実施例4.シラレニンの3−オキシムエーテル、3−ヒドラゾン、及び3−エーテル誘導体の調製
シラレニン3−オキシムエーテル、3−ヒドラゾン、及び3−エーテル誘導体は、以下のスキーム8に記載されたように調製することができる。
【0190】
【化43】
【0191】
実施例5.シラレニンの3−アシル誘導体の調製
シラレニン3−アシル誘導体は、以下のスキーム9a、9b、及び9cに記載したように調製することができる。
【0192】
【化44】
【0193】
【化45】
【0194】
【化46】
【0195】
実施例6.シラレニンの3−カルバモイル誘導体の調製
【0196】
【化47】
【0197】
0.5mLのピリジン中の25mg(0.064mmole)のシラレニンの溶液に、18.8mg(0.19mmole)のイソシアン酸ブチル及び6mg(0.065mmole)のCuClを加え、そして混合物を室温で、出発物質の完全な消費が検出されるまで攪拌した。
【0198】
30分後、混合物を酢酸エチル及び水間に分配した。水層を酢酸エチルで三回抽出し、そして混合した有機抽出物を1MのHCl及び食塩水で洗浄した。Na2SO4による乾燥及び溶媒の除去後、粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、13.7mg(44%)の所望のカルバミン酸塩を、無色の固体として得た。
【0199】
シラレニン3−カルバモイル誘導体は、スキーム10a及びスキーム10bのように調製することができる。
【0200】
【化48】
【0201】
【化49】
【0202】
実施例7.シラレニンの3−アミノ−誘導体の調製
シラレニン3−アミノ誘導体は、以下のスキーム11に記載したように調製することができる。
【0203】
【化50】
【0204】
実施例8.3−O−サッカリド誘導体の調製
4’−オキソ−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0205】
【化51】
【0206】
1g(1.9mmole)のプロスシラリジンの5mLの乾燥テトラ−ヒドロフラン中の撹拌された溶液に、p−TsOHの小片及び1.34mL(8.05mmole)のオルトギ酸トリエチルを室温で加えた。有機層を水で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。濃縮及びカラムクロマトグラフィーにより、740mg(66%)の4’−ヒドロキシオルトエステルを、淡黄色の固体として得た。704mg(1.02mmole)のこの生成物を、25mLの乾燥ジクロロメタン中に溶解した。1.05gの粉末モレキュラーシーブ及び881mg(4.08mmole)のクロロクロム酸ピリジニウムを加え、そして混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩攪拌した。暗色の混合物をセライトのパッドを通して濾過し、そして濃縮した。粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、246mg(41%)の所望のケトンを、無色の固体として得た。
【0207】
4’−α−ヒドロキシ−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0208】
【化52】
【0209】
234mg(0.4mmole)の出発ケトンの5mLの乾燥メタノール中の溶液に、110mg(2.9mmole)の水素化ホウ素ナトリウムを0℃で加えた。添加の完了後、氷浴を除去し、そして混合物を更に15分間室温で攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発して、粗製のアルコール(232mg、99%)を得て、これを更なる精製なしで次の工程のために使用した。
【0210】
4’−β−アジド−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0211】
【化53】
【0212】
151mg(0.264mmole)の出発アルコールの2mLの乾燥ジクロロメタン及び1.5mLの乾燥ピリジン中の溶液に、109μl(0.66mmole)のトリ−フルオロメタンスルホン酸無水物を−20℃で加えた。添加の完了後、冷却浴を除去し、そして氷浴に置き換え、そして混合物を更に2時間同じ温度で攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、分液漏斗に移し、そして1モルのHCl、続いて飽和NaHCO3溶液及び水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、そして濃縮した。粗製のトリフラートを2mLの乾燥ジメチルホルムアミド中に溶解し、59mg(0.9mmole)のナトリウムアジドを加え、そして混合物を室温で一晩攪拌した。水及びジクロロメタンを加え、そして有機層を水で洗浄した。溶媒をNa2SO4で乾燥し、そして蒸発して、粗製の残渣を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、84mg(52%)の所望のアジドを、無色の固体として得た。
【0213】
4’−β−アジド−プロスシラリジンの合成
【0214】
【化54】
【0215】
42mg(0.069mmole)の保護されたアジドの0.8mLの酢酸エチル中の溶液に、0.8mLの0.002モルのメタノール性HClを加え、そして混合物を2時間室温で攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして水及び食塩水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濃縮し、そして粗製の生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、26mg(69%)の所望のジヒドロキシアジドを、無色の固体として得た。
【0216】
4’−β−アミノ−プロスシラリジンの合成
【0217】
【化55】
【0218】
18mg(0.033mmole)の出発アジドステロイドを、3.6mL(0.36mmole)のSmI2のテトラヒドロフラン中の0.1モル溶液に、アルゴン下で入れた。混合物を室温で10分間撹拌し、14μLのtert−ブチルアルコールを加え、そして撹拌を更に50−90分間続けた。混合物を飽和NaHCO3溶液で加水分解し、そして酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を乾燥し、そして真空中で濃縮して、黄色の油状物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。精製後、6.5mgの無色の固体のアミン(35%)を得た。
【0219】
シラレニン3−O−サッカリド誘導体は、以下のスキーム12a、12b、及び12cに記載したように調製することができる。
【0220】
【化56】
【0221】
【化57】
【0222】
実施例9.4,5−シクロプロピル誘導体の調製
4,5−シクロプロピル誘導体は、スキーム13に示すように調製することができる。
【0223】
【化58】
【0224】
実施例10.ヒト癌細胞系に対するBNC4並びに新規な類似体BP228及びBP244の広いスペクトル活性
HIF−1α感受性のA549センチネル系を使用し、細胞系を、BNC4、BP228又はBP244のいずれかと24時間インキュベートし、そしてレポーター活性をFACS分析によって測定した。結果を図4に示す。全ての三つの化合物は、レポーター活性を阻害し(FACS曲線における左方移行)、そして細胞系の低酸素症経路を調節することにおいて活性であった。
【0225】
実施例11.BNC4並びに類似体BP228及びBP244は、A549センチネル系のレポーター活性を阻害する
BP228、BP244、及びBNC4のそれぞれに対する用量反応を、それぞれの細胞系に対して行い、そしてIC50値を、表2に示すように決定した。BP244が、5−14nMのIC50の範囲で、BNC4(4−18nM)及びBP228(6−40nM)と比較して最も活性な化合物である。
【0226】
【表2】
【0227】
実施例12.BP228及びBP244は、低酸素症中のHIF−1α及びHIF−2αの誘導を阻害する
Caki−1(腎臓癌)、A549(肺癌)、Panc−1(膵臓癌)及びHep3B(肝臓癌)細胞を、BCN4、BP228及びBP244で低酸素条件下で処理した。細胞を、示したそれぞれの化合物で4時間正常酸素圧(N、20%O2)又は低酸素(H、1%O2)条件下で処理した。HIF−1α、HIF−1β及びβ−アクチン並びに他のタンパク質の発現を、ウェスタンブロットによって分析した。HIF−1α及びHIF−2αタンパク質のレベルは、これらの条件下で、いずれかの処理も伴わずに4時間培養された細胞中で増加した。BNC4(0.1μMの濃度で)、並びにBP228及びBP244(0.1及び1.0μM)で処理された細胞は、HIF−1α及びHIF−2αタンパク質発現の殆んど完全な阻害を示した(図5参照)。恒常的に発現するHIF−1βのレベルが薬物のいずれかによっても影響されないために、阻害は特異的である。図5は、BCN4、BP244及びBP228化合物が、HIF−1α及びHIF−2αを特異的に阻害するが、しかしHIF−1β、NIK、Hsp90、DR4、Bcl−2及びβ−アクチンのタンパク質発現に影響を有しないことを示している。これらの結果は、これらの化合物が特異的であり、そして一般的なタンパク質合成を阻害しないことを示している。
【0228】
実施例13.BCN4、BP244及びBP228は、低酸素症誘導VEGF分泌を減衰させる
BCN4及びBP244は、図6に示すように低酸素条件下でHep3BにおけるVEGF分泌を減少することを示した。HIF−1の減少は、VEGF分泌の低下レベルと密接に相関した。VEGF分泌の阻害は、更にA549(NSCLC)癌細胞においても証明された。Caki−1細胞を、示した化合物で処理し、そして低酸素下で16時間培養した。馴化培地中のVEGFレベルを、ELISAキットを使用して測定した。
【0229】
実施例14.細胞毒性薬剤により誘導された低酸素ストレス反応の阻害
ゲムシタビンのような標準的な化学治療剤は、A549センチネル系によって可視化されるように更に誘導された低酸素反応を示した。ここで、本出願人等は、BCN4、BP228及びBP244が、ゲムシタビンによって誘導されたA549センチネル系におけるストレス反応を阻害することができることを示す。同様な結果は、カルボプラチンでも得られた(示されていない)。
【0230】
実施例15.Na−K−ATPアーゼポンプ及び抗増殖活性
Na−K−ATPアーゼポンプは、アルファ及びベータサブユニットのヘテロ二量体である。アルファ鎖(135kD)は、触媒性サブユニットであり、そしてカチオン、ATP、およびグリコシド結合部位を含有する。より小さいグリコシル化されたベータサブユニット(35kD)は、主として膜挿入及び機能性酵素の適切な構築に関係する。哺乳動物の細胞において、四つの異なったα−アイソフォーム及び3個の別個のβ−アイソフォームが確認されている。α1は、殆んどの組織において発現し、一方α2アイソフォームは、主として骨格筋中に存在し、そして更に脳及び心臓においても検出されている。α3アイソフォームは、神経及び心臓組織中に特異的に発現する。β1及びβ2サブユニットは、β1が、広範に発現し、そしてβ2が、神経組織に限定されている支配的なアイソフォームである。
【0231】
BNC4の抗増殖活性が、細胞中のNa−K−ATPアーゼのレベルと相関しているか否かを決定するために、α−1及びα−3アイソフォームの発現を、リアルタイムRT−PRC(TaqMan)分析によって測定した。アルファサブユニットは、Na−K−ATPアーゼの触媒領域である。図8は、アルファ(α1+α3)サブユニットの発現レベル及びBNC4の抗増殖活性間に強い相関があることを示す。非常に低いレベルのα−鎖を発現している細胞系SNB75(CNS)及びRPMI−8226(白血病)は、A549(肺癌)又はPC−3(前立腺癌)細胞系と比較した場合、BNC4に対して非常に抵抗性である。
【0232】
実施例16.BCN4、BP228及びBP244は、Na−K−ATPアーゼ、生理学的受容体及び医薬的標的の活性をの阻害する
化合物を、Na−K−ATPアーゼ酵素に対するその活性について、in vitroの酵素アッセイで試験した。ATPアーゼ活性を、イヌの腎臓又はブタ大脳皮質のNa−K−ATPアーゼによってATPから遊離される無機リン酸塩の量として分析した。図9に示すように、全ての三つの化合物は、Na−K−ATPアーゼ(ブタの脳)を、投与量依存様式で阻害する。化合物BP244は、98μMのIC50で、BP228の二倍活性であった。
【0233】
実施例17.腎臓癌細胞系Caki−1に対するin vivoの活性
生後5ないし6週間の間の体重概略20gのメスのヌードマウス(nu/nu)に、皮下的(s.c.)に、ヌードマウス宿主のs.c.で増殖した腫瘍から回収したヒト腫瘍の断片を外套針によって植込んだ。腫瘍が概略60−75mgの大きさになった時点で(接種後約10−15日)マウスを処置及び対照グループの対にした。それぞれのグループは、8−10匹のマウスを含有していた。薬物又は対照の投与を、マウスを対にした日に開始した(1日目)。0.5μl/時の流量を持つポンプ(Alzet(登録商標)モデル202)を、それぞれのマウスの肩甲骨間にs.c.で植込んだ。マウスを秤量し、そして腫瘍の測定値をノギスを使用して一日目に始めて、週二回得た。これらの腫瘍の測定値を、標準的数式(W2×L)/2によってmgの腫瘍重量に転換した。実験を、対照グループの腫瘍の大きさが平均約1グラムに達した時点で終了した。終了時に、マウスを秤量し、犠牲にし、そしてその腫瘍を切除した。腫瘍を秤量し、そしてグループ当りの平均腫瘍重量を計算した。平均処置腫瘍重量の変化/平均対照腫瘍重量の変化×100(dT/dC)を100%から差引いて、それぞれのグループに対する腫瘍成長阻害(TGI)を得た。Caki−1を保有するヌードマウスの15mg/mlのBP244による処置は、83%の腫瘍成長阻害となった(図10参照)。データは、BP244がいずれかの不都合な影響もなくCaki−1腫瘍の成長速度を有意に減少したことを示す。
【0234】
実施例18.膵臓癌におけるゲムシタビンとの組合せにおけるBP−244のin vivoの活性
Panc−1腫瘍を、オスのヌードマウスの側腹部に皮下的(sc)に注射した。腫瘍が約60mgの大きさに達した後、15mg/mlのBP244を含有する浸透圧ポンプ(モデル2002、Alzet Inc.,流量0.5μl/時)を、マウスの反対側にscで植込んだ。対照マウスは、ベヒクル(10%カプチソール(captisol)、Cydex Inc.)を含有するポンプを受けた。標準的な化学治療剤で処置されたマウスは、ゲムシタビンの腹膜内注射の3日毎に40mg/kgの4回の処置(q3d×4)を受けた。実験を、対照グループの腫瘍の大きさが平均約1グラムに達した時点で終了した。終了時に、マウスを秤量し、犠牲にし、そしてその腫瘍を切除した。腫瘍を秤量し、そしてグループ当りの平均腫瘍重量を計算した。平均処置腫瘍重量の変化/平均対照腫瘍重量の変化×100(dT/dC)を100%から差引いて、それぞれのグループに対する腫瘍成長阻害(TGI)を得た。
【0235】
用量設定実験を、まずヌードマウスにおけるPanc−1ヒト膵臓異種移植片に対するその最小有効投与量を決定するためにBP244に対して行った。BP244(sc、浸透圧ポンプ)を、まず、先の実験のようにAlzetポンプを使用して、15、10及び5mg/mlで試験した。ゲムシタビン(40mg/kg;q3d×4、i.p.)も、更に比較として実験に加えた。図11Aに示すように、15mg/mlにおけるBP244は、殆んど100%のTGIで、10mg/mlと等価であった。5mg/mlで、BP244(TGI71%)は、ゲムシタビン(TGI65%)と同様に有効であった。
【0236】
組合せ研究を、BP244及びゲムシタビンを使用して行った(図11B)。5mg/mlのBP244を、組合せ研究に使用した。ゲムシタビン及びBP244の両方を使用した組合せ治療は、ゲムシタビン(40mg/kg)及びBP244の両方の最適値以下の投与量が、一緒に使用された場合、個々の薬剤のより高い投与量によってのみ達成される最大の効果を産生するような、組合せ効果(TGI94%)を産生する。グループのいずれかおいても死亡はなく、そして平均の体重喪失は、10%より少なかった。
【0237】
全体として、BCN4、BP244及びBP228は、Panc−1モデルに対する、印象的な単一薬剤及び組合せ抗腫瘍活性を証明した。データを、以下の表3に要約する。
【0238】
【表3】
【0239】
実施例19.3−エステルに対するin vitroのデータ
3−エステル誘導体に対するin vitroデータを、表4の与える。“AICAR−RA”は、AMP類似体5−アミノイミダゾール−4−カルボキシ−アミドリボシド(AICAR)に対するレポーターアッセイ(RA)を指し、これは、グルコース代謝の阻害の指標である。
【0240】
【化59】
【0241】
【表4A】
【0242】
【表4B】
【0243】
実施例20.3−カルバミン酸塩に対するin vitroのデータ
3−カルバミン酸誘導体に対するin vitroデータを、表5に与える。
【0244】
【化60】
【0245】
【表5A】
【0246】
【表5B】
【0247】
実施例21.3−オキシムエーテルに対するin vitroデータ
3−オキシムエーテル誘導体に対するin vitroデータを、表6に与える。
【0248】
【化61】
【0249】
【表6A】
【0250】
【表6B】
【0251】
実施例22.その他の化合物に対するin vitroのデータ
本発明の化合物に対するin vitroデータを、表7に与える。
【0252】
【表7A】
【0253】
【表7B】
【0254】
【表7C】
【0255】
実施例23.マウスにおけるIP投与後の薬物動態
マウスにおけるBCN4、BP228及びBP244の薬物動態学的特性を、図13に与える。化合物は、腹膜内(i.p.)注射によって、BP228に対して2.5mg/kg、及び5.0mg/kg、そしてBNC4及びBP244に対して5.0mg/kgで投与した。血漿試料を各種の時点で収集し、そして化合物の濃度をLC−MSによって分析した。
【0256】
2.5及び5.0mg/kgの腹膜内投与後の血清BNC228に対する平均濃度−時間特性は、同様であり、得られた最大値濃度は、それぞれ投与後、10分(0.167時間;tmax)及び5分(0.083時間)であり、そして次いで見掛け多相性様式で低下した。平均濃度は、両方の投与量において6時間まで測定可能(tlast)であり、そして見掛け最終排出半減期は、同様に2.5mg/kgで1.5時間、そして5mg/kgで1.9時間であった。
【0257】
5mg/kgの投与量における血清BP244に対する平均濃度−時間特性は、投与後、30分(0.5時間;tmax)におけるCmaxへの濃度の増加、そして次いで24時間(tlast)までの一般的な低下、4.5時間の最終排出半減期の推定値によって特徴づけられる。
【0258】
5mg/kgの投与後の血清BNC4に対する平均濃度は、最初の試料採取時(5分)までに殆んど最大レベルまで増加し、そして投与後30分まで概略このレベルを維持し、Cmaxは、15分(0.25時間;tmax)において観察された。次いで濃度は6時間の試料採取時(tlast)まで、0.80時間の最終排出半減期の推定値に低下した。
【0259】
血清BP228に対するCmaxは、概略投与量比例様式で、2.5mg/mLで715ng/mLから5mg/mLで1200ng/mLまで増加した。それぞれ5mg/kgで投与されたBP244及びBNC4に対するCmaxは、それぞれ2120ng/mL及び3610ng/mLであった。
【0260】
血清BP228に対するAUCも、更に見掛け投与量比例様式で、2.5mg/kgで1020ng・時/mLから5mg/kgで2350ng・時/mLまで増加した。それぞれ5mg/kgで投与されたBP244及びBNC4に対するAUCは、それぞれ4630ng・時/mL及び4570ng・時/mLであった。
【0261】
薬物動態学的データを、以下の表8に要約する。
【0262】
【表8】
【0263】
他の態様
本明細書中に記述された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの独立の刊行物又は特許出願が、具体的に、そして個々に参考文献として援用されることが示されると同程度に、本明細書中に参考文献として援用される。
【0264】
本発明は、その具体的な態様に関して記載されてきたが、更なる改変が可能であり、そして本出願が、一般的に本発明の原理に従って、そして本発明が関連する当技術において既知の又は習慣的実施に含まれる本開示からのこのような逸脱を含み、そして本明細書中に先に記載した本質的特徴に適用することができる、本発明のいずれかの変更、使用、又は適合を包含し、そして特許請求の範囲において追随されことを意図していることは理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】図1は、複数の生存因子の活性化に導く低酸素症に対する細胞の適合を示す略図である。HIFファミリーは、多くの遺伝子を転写的に活性化し、そして解糖エネルギー代謝、血管新生、細胞生存及び増殖、並びに赤血球新生のために必要な因子を有効にするマスタースイッチとして作用する。細胞中に存在するHIFタンパク質のレベルは、低酸素症、増殖因子、アンドロゲン及び他の因子のような因子に反応するその合成の速度によって調節される。HIFの分解は、細胞中の反応性酸素種(ROS)のレベルに一部依存する。ROSは、HIFのユビキチン化及び分解に導く。
【図2】図2は、ヒト腫瘍細胞(Caki−1及びPanc−1細胞)における低酸素症仲介のHIF−1α誘導を阻害するウアバイン(BNC1)及びBNC4のウェスタンブロット分析の比較である。
【図3】図3は、プロスシラリジン(BNC4)が、正常酸素圧下のプロリル−ヒドロキシラーゼ阻害剤(ミモシン)によるHIF−1α誘導を遮断することを示すウェスタンブロット分析である。
【図4】図4A−4Dは、24時間の、5nMのBNC4(図4A)、BP228(図4B)、及びBP244(図4C)で処理されたA549センチネル系のベータ−gal活性のFACS分析を、ベヒクルのみ(グラフの影付きの部分として示す)と比較して示すグラフである。グラフは、細胞の度数(Y軸)及び経路の活性の基準としての蛍光の強度(X軸)を示す。棒グラフ(図4D)は、FACS曲線の相対中央値蛍光単位を示す。
【図5】図5A及び5Bは、低酸素条件下でBNC4、BP228及びBP244で処理されたCaki−1(腎臓癌、図5A)、A549(肺癌、図5A)、Panc−1(膵臓癌、図5A)及びHep3B(肝臓癌、図5B)細胞における低酸素症仲介HIF−1α誘導の阻害を示すウェスタンブロット分析である。これらの結果は、これらの化合物が特異的であり、そして全身的タンパク質合成を阻害しないことを示している。
【図6】図6は、VEGFの分泌に対するBP228及びBP244の効果を示す二つのグラフである。Caki−1細胞を示された化合物で処理し、そして低酸素下で16時間インキュベートした。馴化培地中のVEGFレベルを、ELISAキットを使用して測定した。
【図7】図7A−7Eは、ゲムシタビン(図7A)又は示された化合物の存在中のゲムシタビン(図7B−7D)による処理によって誘導されたA549センチネル系のストレス反応を示すグラフである。未処理(対照)試料は、影付きで示す。棒グラフ(図7E)は、蛍光強度の相対的レベル(対照に対する)を示す。これらのデータは、BNC4、BP228及びBP244が、ゲムシタビンによって誘導されたA549センチネル系のストレス反応を阻害することができることを示す。同様な結果は、パクリタキセル、カルボプラチン、及びミトキサントロンのような低酸素ストレスを誘導する他の化学治療剤に対して達成することができる。
【図8】図8は、蛍光標識されたTaqManプローブを使用してリアルタイムRT−PCR(TaqMan)によって定量されたα−1及びα−3アイソフォームのmRNAレベルを示すグラフである。示された細胞系に対するBNC4の抗増殖(IC50値)活性を、MTSアッセイによって決定した。全アルファレベル(α1+α3)を、(1/IC50)×100の値に対してプロットした。図8は、アルファ(α1+α3)サブユニット発現レベル及びBNC4の抗増殖活性間に強い相関関係があることを示す。α−鎖を非常に低いレベルで発現している細胞系SNB75(CNS)及びRPMI−8226(白血病)は、A549(肺癌)又はPC−3(前立腺癌)細胞系と比較した場合、BNC4に対して非常に抵抗性である。
【図9】図9は、Na−K−ATPアーゼによるPi放出の速度に対するBNC4、BP228、及びBP244の投与量依存性効果を示すグラフである。それぞれの化合物に対するブタの脳からのNa−K−ATPアーゼの活性を阻害する効力(IC50)を、カッコで示す。
【図10】図10は、BP244の、腎臓癌細胞系Caki−1に対するin vivoの活性を示すグラフである。
【図11】図11A及び11Bは、膵臓癌に対する単独のBP244(図11A)及びゲムシタビンとの組合せ(図11B)における、in vivoの活性を示すグラフである。図11Aに示すように、15mg/mlのBP244は、殆んど100%のTGI(本明細書中で使用する場合、TGIは、腫瘍増殖阻害を指す)で10mg/mlに等価であった。5mg/mlにおいて、BP244(TGI71%)は、ゲムシタビン(TGI65%)と同様に有効であった。ゲムシタビン及びBP244の両方を使用する組合せ治療は、組合せ効果(TGI94%)を生じ、ゲムシタビン(40mg/ml)及びBP244の両方の最適値以下の投与量が一緒に使用された場合、単独の個々の薬剤のより高い投与量によってのみ達成される最大の効果を生じる。
【図12】図12は、膵臓癌に対する単独のBP228及びゲムシタビンとの組合せのin vivoの活性を示すグラフである。Panc−1異種移植片に対するBP228の抗腫瘍性活性を、10mg/ml及び15mg/mlで、ゲムシタビンを伴って(ip;40mg/kg、q3d×4)及び伴わずに決定した。10mg/mlのBP288(66%のTGI)は、ゲムシタビンの活性(65%のTGI)に等価であり、一方BP228(10mg/ml)及びゲムシタビン(40mg/kg、q3d×4)の組合せは、93%のTGIを与えた。
【図13】図13は、マウスにおけるBNC4、BP228及びBP244の薬物動態学的分析データを示すグラフである。化合物を、BP228に対して2.5mg/kg及び5.0mg/kgで、そしてBNC4及びBP244に対して5.0mg/kgで腹腔内(i.p)注射によって投与した。血漿の試料を各種の時点で収集し、そして化合物の濃度をLC−MSで分析した。薬物動態学的変数を実施例23に与える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、カルジオリド及びブファジエノリド化合物並びに局所性及び全身性低酸素症の発症の影響を調節するためのその使用に関する。
【0002】
低酸素症は、ヒト及び他の哺乳動物における広い範囲の生理学的及び細胞的反応を誘発する。低酸素症の影響は、低酸素状態が維持された時間の長さによって、定量的に変化する。急性の低酸素症は、呼吸性換気の増加によって特徴づけられるが、しかし3−5分後に、換気は低下する。慢性の低酸素症の症状に曝された個体は、心拍数の低下及び血圧の増加を含む一組の反応を経験する。代謝的には、低酸素症は、酸化的リン酸化から解糖への移行を伴うグルコースの酸化の減少を起こす。解糖は、不良な炭水化物からのエネルギーの産生を与え、そして脂肪酸の酸化は大幅に減少する。これらの理由から、恐らく、低酸素症は、更に炭水化物の消費の増加を誘発する。低酸素症は、エリスロポエチンの産生を刺激し、これは、次に赤血球細胞数の増加に導く。
【0003】
低酸素症は、例えば換気が妨害された時又は酸素の利用の可能性が低下した時のように、全体の生物体のレベルで起こってもよい。低酸素症は、更に本質的に酸素の消費が血流からの供給を追越したいずれかの時点で、局所レベルで起こってもよい。虚血の症状は、局所性低酸素症の重篤な形態であり、これは、細胞の死に導く。HIF−1転写因子に関する最近の発見は、低酸素症に対する局所性の細胞反応にかなりの洞察を与えているが、しかし全体的な生理学的反応が如何に調節され、そして全身性及び局所性反応が如何に相互作用することができるかに関する本出願人等の理解は、更に限定されている。
【0004】
HIF−1は、転写因子であり、そして癌及び心臓細胞の両方の低酸素状態における細胞の生存に対して重要である。HIF−1は、増殖因子調節サブユニットHIF−1α、及び恒常的に発現するHIF−1βサブユニット(アリール−炭化水素受容体核輸送体、ARNT)から構成され、この両方は、塩基性へリックス−ループ−ヘリックス(bHLH)−PAS(PER、ARNT、SIM)タンパク質ファミリーに属する。ヒトのゲノムにおいて、転写因子HIFのサブユニットの三つのアイソフォーム:HIF−1、HIF−2(更にEPAS−1、MOP2、HLF、及びHRFとも呼ばれる)、及びHIF−3(この中で、HIF−32は、更にIPAS、阻害性PAS領域とも呼ばれる)が確認されている。
【0005】
正常な酸素圧の条件下で、HIF−1αは、ユビキチン化のためにpVHLによって標的化され、そしてプロテアソームによって急速に分解される。これは、特異的HIF−プロリルヒドロキシラーゼ(HPH1−3、PHD1−3とも呼ばれる)による、鉄、酸素、及び2−オキソグルタル酸塩の存在中の、酸素依存性分解ドメイン(ODDD)内の特異的プロリン残基(ヒトHIF−1αタンパク質中のプロリン402及び564)の翻訳後のHIF−1αのヒドロキシル化により誘発される。次いでヒドロキシル化されたタンパク質は、E3ユビキチンリガーゼとして機能するpVHLによって認識される。HIF−1α及びpVHL間の相互作用は、更にリシン残基532のN−アセチルトランスフェラーゼ(ARD1)によるアセチル化によって加速される。同時に、C−TAD内のアスパラギン残基803のヒドロキシル化も、アスパラギニルヒドロキシラーゼ(更にFIH−1とも呼ばれる)によって起こり、これは、それによって活性化補助因子p300/CBPをHIF−1サブユニットに結合を可能にしない。低酸素状態において、HIF−1αは、ヒドロキシル化されないままであり、そしてpVHL及びCBP/p300と相互作用しない。
【0006】
低酸素状態の安定化後、HIF−1αは核に移行し、ここでこれは、HIF−1βとヘテロ二量体化する。得られた活性化されたHIF−1は、解糖酵素、グルコース輸送体Glut−1及びGlut−3、エンドセリン−1(ET−1)、VEGF(血管内皮増殖因子)、チロシンヒドロキシラーゼ、トランスフェリン、及びエリスロポエチンを含む低酸素下の適合及び生存のために重要な60個を超える遺伝子の転写を誘発する(Brahimi−Horn et al.,Trends Cell Biol.11:S32−S36,2001;Beasley et al.,Cancer Res.62:2493−2497,2002;Fukuda et al.,J.Biol.Chem.277:38205−38211,2002;and Maxwell and Ratcliffe,Semin.Cell Dev.Biol.13:29−37,2002)。
【0007】
HIF−1が、低酸素症に対する局所性、又は細胞性の反応の主要な仲介体であることがいまや理解されているが、低酸素症の包括的調節物質は、なお認識されていない。低酸素症の調節物質を確認し、そして更に、このような調節物質の使用を提供することが本発明の目的である。
【0008】
ある種の化合物が、Int.Immunopharmac.(2001),1(1),119−134(Terness et al.),Justus Liebigs Annalen der Chemie(1971),753,116−34 Goerlich et al.),Naunyn−Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.,329(4),1985,414−426(Schonfeld et al.),J.Pharmacol.Exp.Ther.(1980),215(1),198−204(Cook ed al.),J.Cardiovasc Pharmacol.(1979),1(5),551−9(Cook et al.)and J.Pharmacol.Exp.Ther.(1978),204(1),141−8(Caldwell et al.)中に、そしてWO 2006/002381−Al(WARF),WO 2006/120472−A2(Guy’s and St Thomas’NHS Foundation Trust)中に、そして2006年8月1日に出願された同時係属中の出願PCT/US06/030224中に開示されている。
【0009】
発明の概要
本発明は、局所性及び全身性の低酸素症の症状の影響を調節する化合物の発見に基づく。HIF−ステロイドシグナル伝達経路の調節不全(例えば過剰又は不十分なシグナル伝達)は下流の様式で、限定されるものではないが、癌、黄斑変性症、高血糖、代謝症候群(例えば症候群X)、白内障、高血圧、自己免疫性疾患、不安症、鬱病、不眠症、慢性疲労、癲癇、及び不規則な血管新生に伴う症状を含む広い範囲の疾患に寄与する。HIF−ステロイドシグナル伝達経路の調節物質(例えばアゴニスト及びアンタゴニスト)である本発明の化合物は、これらの疾患を治療するために使用してもよい。
【0010】
従って、第1の側面において、本発明は、以下の式I又はII:
【0011】
【化1】
【0012】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式I及びIIにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いは、R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0013】
【化2】
【0014】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0015】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R5、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0016】
好ましくは、R3βは、NH−Sacであり、そしてSacは、以下の式:
【0017】
【化3】
【0018】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。式Iの例示的な化合物は、以下の式:
【0019】
【化4】
【0020】
である。
R3α及びR3βのための他の好ましい意義は、一つの基がHであり、そして他方がOC(O)NHR3Cであり、ここでR3Cは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=NOR3Pであり、ここにおいて、R3Pは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0021】
もう一つの態様において、本発明は、以下の式III:
【0022】
【化5】
【0023】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IIIにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OH、OR3A、OC(O)R3B、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3A、R3B、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=O、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0024】
【化6】
【0025】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0026】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0027】
上記の側面の一つの態様において、R3βは、O−Sac、又はNH−Sacであり;Sacは、以下の式:
【0028】
【化7】
【0029】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0030】
更なる側面において、本発明は、以下の式IV:
【0031】
【化8】
【0032】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか、或いはR3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0033】
【化9】
【0034】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0035】
上記の側面の一つの態様において、R1、R3α、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれはHであり;そしてR6及びR18のそれぞれはCH3であり;R14はOHであり;R3βは、OH、OR3A、OC(O)R3B、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、O−Sac、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである。
【0036】
好ましくは、R3βは、NH−Sacであり、そしてSacは、以下の式:
【0037】
【化10】
【0038】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0039】
なおもう一つの側面において、本発明は、以下の式Ia又はIIa:
【0040】
【化11】
【0041】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式Ia及びIIaにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0042】
【化12】
【0043】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そしてR40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。式Iaの例示的な化合物は、以下の式:
【0044】
【化13】
【0045】
である。
なおもう一つの側面において、本発明は、以下の式IVa:
【0046】
【化14】
【0047】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVaにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0048】
【化15】
【0049】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そしてR40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0050】
もう一つの側面において、本発明は、更に以下の式Ib又はIIb:
【0051】
【化16】
【0052】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩及びプロドラッグをも特徴とする。式Ib及びIIbにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、ここで、R3A及びR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0053】
【化17】
【0054】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0055】
更なる側面において、本発明は、以下の式IVb:
【0056】
【化18】
【0057】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグを特徴とする。式IVbにおいて、R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、ここで、R3A及びR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテル−オシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0058】
【化19】
【0059】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0060】
式I、II、又はIIIを有する化合物の態様において、R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。式Iの例示的な化合物は以下の式:
【0061】
【化20】
【0062】
である。
もう一つの側面において、本発明は、哺乳動物における低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介される疾患を治療するための、前記哺乳動物に本発明の化合物を、前記疾患を治療するために十分な量で投与することを含んでなる方法、及びこのような方法のための医薬の製造における化合物の使用を特徴とする。疾患は、X症候群、肥満症、又はアテローム生成的異脂質血症のような代謝性疾患であってもよい。疾患は、睡眠呼吸障害、又は閉塞型睡眠時無呼吸症のような高血圧性疾患であってもよい。疾患は、関節炎、乾癬、又はアテローム性動脈硬化症のような炎症性疾患であってもよい。疾患は、病原性血管新生によって特徴づけられてもよい。病原性血管新生によって特徴づけられる疾患は、限定されるものではないが、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性症、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾病、白内障手術後の過剰の血管新生、及び増殖性硝子体網膜症のような眼疾患;並びに膀胱、乳房、腸、腎臓、肝臓、肺、頭頚部、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺、前立腺、又は皮膚の癌腫;リンパ系造血性癌;骨髄系の造血性癌;間葉由来の癌;中枢又は末梢神経系の癌;黒色腫;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;甲状腺濾胞腺癌;及びカポジ肉腫のような腫瘍性疾患を含む。疾患は、アルツハイマー病であってもよい。
【0063】
関連する側面において、本発明は、細胞中のVEGFの発現を、前記細胞を本発明の化合物と、VEGFの発現を減少するために十分な量で接触させることによって減少させるための方法を特徴とする。
【0064】
なおもう一つの側面において、本発明は、腫瘍性疾患を持つ患者を治療するための、(i)本発明の化合物、及び(ii)抗増殖性薬剤を前記患者に投与することによる方法を特徴とし、ここにおいて、前記本発明の化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時に、又は互いに14日以内に、それぞれ腫瘍性疾患を治療するために一緒になって十分な量で投与される。抗増殖性薬剤は、アルキル化剤、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニスト、プリンアンタゴニスト、有糸分裂阻害剤、DNAトポイソメメラーゼII阻害剤、DNAトポイソメメラーゼI阻害剤、タキサン、DNA干渉物質、アロマターゼ阻害剤、5−アルファ−レダクターゼ阻害剤、エストロゲン阻害剤、アンドロゲン阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、レチノイン酸誘導体、及び低酸素選択性細胞毒から選択してもよい。好ましくは、抗増殖性薬剤は、ゲムシタビンである。
【0065】
もう一つの側面において、本発明は、(i)本発明の化合物;及び(ii)低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介された疾患を持つと診断された患者に、本発明の化合物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。キットは、更に別個に又は一緒に処方された抗増殖性薬剤を含んでもよい。好ましくは、本発明の化合物及び抗増殖性薬剤は、同時投与のために一緒に処方される。
【0066】
関連する側面において、本発明は、R3α及びR3βが一緒に、=NOR3Pである本発明の化合物を合成するための方法を特徴とする。この方法は、H2NOR3Pを、3−オキソカルジオリド又は3−オキソブファ−ジエノリドと縮合させる工程を含み、ここにおいて、R3Pは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0067】
もう一つの側面において、本発明は、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである本発明の化合物を、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである対応するアジドから合成するための方法を特徴とする。この方法は、アミンを形成するための対応するアジドを還元する工程を含み、ここにおいて、β−アジド−Sacは、以下の式s1によって記述され、そしてβ−アミノ−Sacは、以下の式s2:
【0068】
【化21】
【0069】
によって記述される。
なおもう一つの側面において、本発明は、R3α又はR3βがO−Sac又はNH−Sacである本発明の化合物を合成するための方法を特徴とする。この方法は、HO−Sacを、カルジオリド(cardiolide)又はブファジエノリド(bufadienolide)と縮合させる工程を含み、ここにおいて、Sacは、以下の式:
【0070】
【化22】
【0071】
によって記述され、式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0072】
本発明の化合物の一般的記載において、置換基群の特別な種類の原子の数は、一般的に範囲、例えば1ないし7個の炭素原子を含有するアルキル基、又はC1−7アルキルとして与えられる。このような範囲に対する言及は、規定された範囲内の整数の原子の数のそれぞれを有する基に対する具体的な言及を含む。例えば、1ないし7個の炭素原子のアルキル基は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、及びC7のそれぞれを含む。例えば、C1−7ヘテロアルキルは、一つ又はそれより多い異種原子に加えて1ないし6個の炭素原子を含む。他の原子の数及び他の種類の原子は、同様な方法で示すことができる。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語“アルキル”及び接頭辞“アルク−”は、直鎖及び分枝鎖基の両方、並びに環式基、即ちシクロアルキルを含めている。環式基は、単環式又は多環式であってよく、そして好ましくは3ないし6個の炭素原子を、これらを含めて有する。例示としての環式基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ−ペンチル、シクロヘキシル基を含む。C1−7アルキル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。C1−7アルキルは、限定されるものではないが、メチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;シクロ−プロピル;シクロプロピルメチル;シクロプロピルエチル;n−ブチル;イソブチル;sec−ブチル;tert−ブチル;シクロブチル;シクロブチルメチル;シクロブチルエチル;n−ペンチル;シクロペンチル;シクロペンチル−メチル;シクロペンチルエチル;1−メチルブチル;2−メチルブチル;3−メチルブチル;2,2−ジメチル−プロピル;1−エチルプロピル;1,1−ジメチルプロピル;1,2−ジメチルプロピル;1−メチルペンチル;2−メチルペンチル;3−メチルペンチル;4−メチルペンチル;1,1−ジメチルブチル;1,2−ジメチルブチル;1,3−ジメチルブチル;2,2−ジメチルブチル;2,3−ジメチルブチル;3,3−ジメチルブチル;1−エチルブチル;2−エチルブチル;1,1,2−トリメチルプロピル;1,2,2−トリメチルプロピル;1−エチル−1−メチルプロピル;1−エチル−2−メチルプロピル;及びシクロヘキシルを含む。
【0074】
“C2−7アルケニル”によって、一つ又はそれより多い二重結合を含有し、そして2ないし7個の炭素原子を有する、分枝鎖又は非分枝鎖の炭化水素基を意味する。C2−7アルケニルは、それぞれの環が3ないし6員を有する単環式又は多環式環を所望により含んでもよい。C2−7アルケニル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。C2−7アルケニルは、限定されるものではないが、ビニル;アリル;2−シクロプロピル−1−エテニル;1−プロペニル;1−ブテニル;2−ブテニル;3−ブテニル;2−メチル−1−プロペニル;2−メチル−2−プロペニル;1−ペンテニル;2−ペンテニル;3−ペンテニル;4−ペンテニル;3−メチル−1−ブテニル;3−メチル−2−ブテニル;3−メチル−3−ブテニル;2−メチル−1−ブテニル;2−メチル−2−ブテニル;2−メチル−3−ブテニル;2−エチル−2−プロペニル;1−メチル−1−ブテニル;1−メチル−2−ブテニル;1−メチル−3−ブテニル;2−メチル−2−ペンテニル;3−メチル−2−ペンテニル;4−メチル−2−ペンテニル;2−メチル−3−ペンテニル;3−メチル−3−ペンテニル;4−メチル−3−ペンテニル;2−メチル−4−ペンテニル;3−メチル−4−ペンテニル;1,2−ジメチル−1−プロペニル;1,2−ジメチル−1−ブテニル;1,3−ジメチル−1−ブテニル;1,2−ジメチル−2−ブテニル;1,1−ジメチル−2−ブテニル;2,3−ジメチル−2−ブテニル;2,3−ジメチル−3−ブテニル;1,3−ジメチル−3−ブテニル;1,1−ジメチル−3−ブテニル及び2,2−ジメチル−3−ブテニルを含む。
【0075】
“C2−7アルキニル”によって、一つ又はそれより多い三重結合を含有し、そして2ないし7個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の炭化水素基を意味する。C2−7アルキニルは、それぞれの環が、好ましくは5又は6員である単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよい。C2−7アルキニル基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。C2−7アルキニルは、限定されるものではないが、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、5−ヘキセン−1−イニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル;1−メチル−2−プロピニル;1−メチル−2−ブチニル;1−メチル−3−ブチニル;2−メチル−3−ブチニル;1,2−ジ−メチル−3−ブチニル;2,2−ジメチル−3−ブチニル;1−メチル−2−ペンチニル;2−メチル−3−ペンチニル;1−メチル−4−ペンチニル;2−メチル−4−ペンチニル;及び3−メチル−4−ペンチニルを含む。
【0076】
“C2−6ヘテロシクリル”によって、飽和の、部分的に不飽和の又は不飽和(芳香族)の、そして2ないし6個の炭素原子及びN、O、及びSからなる群から独立に選択される1、2、3、又は4個の異種原子からなる、安定な5−ないし7−員の単環式又は7−ないし14−員の二環式複素環を意味し、そして先に定義した複素環のいずれかがベンゼン環に縮合したいずれかの二環式基を含む。ヘテロシクリル基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。窒素及び硫黄異種原子は、所望により酸化されていてもよい。複素環は、安定な構造となるいずれかの異種原子又は炭素原子により共有的に結合していてもよく、例えばイミダゾリニル環は、環の炭素原子の位置のいずれか又は窒素原子において連結してもよい。複素環中の窒素原子は、所望により第四化合物化されていてもよく。好ましくは複素環中のS及びOの全数が1を超える場合、これらの異種原子は、互いに隣接しない。複素環は、限定されるものではないが、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオ−フラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダザロニル(benzoimidazalonyl)、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、β−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジ−チアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミド−アゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソ−ベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソ−チアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサ−ジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリド−アジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピル−イミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエノフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルを含む。好ましい5ないし10員の複素環は、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾ−フラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、キノリニル、及びイソキニリニルを含む。好ましい5ないし6員の複素環は、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、及びテトラゾリルを含む。
【0077】
“C6−12アリール”によって、共役π電子を伴う炭素原子からなる環系を有する芳香族基(例えばフェニル)を意味する。アリール基は、6ないし12個の炭素原子を有する。アリール基は、単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよく、ここにおいて、それぞれの環は好ましくは5又は6員を有する。アリール基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。
【0078】
“C7−14アルカリール”によって、7ないし14個の炭素原子を有するアリール基(例えばベンジル、フェネチル、又は3,4−ジクロロフェネチル)によって置換されたアルキルを意味する。
【0079】
“C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)”によって、アルキルで置換された、一つ又はそれより多い異種原子に加えて、7ないし14個の炭素原子を有する複素環基(例えば3−フラニルメチル、2−フラニルメチル、3−テトラヒドロフラニルメチル又は2−テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0080】
“C1−7ヘテロアルキル”によって、N、O、S、及びPからなる群から独立に選択される1、2、3又は4個の異種原子に加えて、1ないし7個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、アルケニル、或いはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキルは、限定されるものではないが、第三アミン、第二アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバミン酸塩、チオカルバミン酸塩、ヒドラゾン、イミン、ホスホジエステル、ホスホルアミド酸塩、スルホンアミド、及びジスルフィドを含む。ヘテロアルキルは、単環式、二環式、又は三環式環を所望により含んでもよく、ここにおいて、それぞれの環は、好ましくは3ないし6員を有する。ヘテロアリール基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。
【0081】
“アシル”によって、式R−C(O)−を持つ化学部分を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0082】
上記の定義のいずれかのための例示的な置換基は、アルコキシ;アリールオキシ;スルフヒドリル;アルキルチオ;アリールチオ;ハライド;ヒドロキシル;フルオロアルキル;ペルフルオロアルキル;ヒドロキシアルキル;アルキルスルフィニル;アルキルスルホニル;アジド;ニトロ;オキソ;−CO2RA;−C(O)NRBRC;−SO2RD;−SO2NRERF;及びNRGRHであり;ここで、それぞれのRA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、及びRHは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロ−シクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、C1−7ヘテロアルキル、及びアシルから独立に選択される。
【0083】
“ハライド”によって、臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素を意味する。
“フルオロアルキル”によって、一つのフッ素で置換されたアルキル基を意味する。
“ペルフルオロアルキル(perfluoroalkyl)”によって、炭素及びフッ素原子のみからなるアルキル基を意味する。
【0084】
“ヒドロキシアルキル”によって、式−(R)−OHを持つ化学部分を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0085】
“アルコキシ”によって、式−ORの化学置換基を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0086】
“アリールオキシ”によって、式−ORの化学置換基を意味し、ここにおいてRは、C6−12アリール基である。
“アルキルチオ”によって、式−SRの化学置換基を意味し、ここにおいて、Rは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルから選択される。
【0087】
“アリールチオ”によって、式−SRの化学置換基を意味し、ここにおいてRは、C6−12アリール基である。
“サッカリド”によって、モノサッカリド、或いはジサッカリド又はポリサッカリドの一部のいずれかとしてのアルドース又はケトースを意味する。サッカリドは、グルコース、グルコサミン、アルドヘキソース、ケトヘキソース、アロドペントース、ケトペントース、ジサッカリド、3−20サッカリド単位のポリサッカリド、並びにこれらのデオキシ及びハライド(例えばフッ素化)、アミン、アルカン酸、硫酸、及び/又はリン酸誘導体を含む。適したモノサッカリドは、限定されるものではないが、典型的には5又は6個の炭素(ペントースモノサッカリド又はヘキソースモノサッカリド)、並びに7個の炭素(ヘプトースモノサッカリド)を有するいくつかの閉鎖又は開鎖の単糖のいずれか(L又はD立体配置)を含む。含まれるものは、環の酸素原子が炭素、窒素又は硫黄によって置換された糖誘導体、単糖上のヒドロキシル置換基がアミノ基で置換されたアミノ糖或いは二つの隣接する炭素原子間に二重結合を有する糖である。本発明の化合物及び方法において使用されうるサッカリドは、限定されるものではないが、ラムノース、グルコース、ジギトキソース、ジギタロース、ジギノース、サルメントース(sarmentose)、バラロース(vallarose)、フルクトース、グルコサミン、5−チオ−D−グルコース、ノジリマイシン、デオキシ−ノジリマイシン、1,5−アンヒドロ−D−ソルビトール、2,5−アンヒドロ−D−マンニトール、2−デオキシ−D−ガラクトース、2−デオキシ−D−グルコース、3−デオキシ−D−グルコース、アロース、アラビノース、アラビニトール、フシトール、フコース、ガラクチトール、グルシトール、イジトール、リキソース、マンニトール、レボ−ラムニトール、2−デオキシ−D−リボース、リボース、リビトール、リブロース、ラムノース、キシロース、キシルロース、アロース、アルトロース、ガラクトース、グロース、イドース、レブロース、マンノース、プシコース、ソルボース、タガロース、タロース、ガラクタール、グルカール、フカール(fucal)、ラムナール、アラビナール(arabinal)、キシラール(xylal)、バリエナミン、バリダミン、バリオラミン、バリオール、バリオロン(valiolon)、バリエノール(valienol)、バリエノン(valienone)、グルクロン酸、ガラクツロン酸、N−アセチルノイラミン酸、グルコン酸、D−ラクトン、ガラクトン酸γラクトン、ガラクトン酸δラクトン、マンノン酸γ−ラクトン、D−アルトロ−ヘプツロース、D−マンノ−ヘプツロース、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプトース、D−グリセロ−D−グルコ−ヘプトース、D−アロ−ヘプツロース、D−アルトロ−3−ヘプツロース、D−グリセロ−D−マンノ−ヘプチトール、及びD−グリセロ−D−アルトロ−ヘプチトールを、特に)含む。好ましくは、本発明の化合物において使用されるサッカリドは、以下の式:
【0088】
【化23】
【0089】
のものであり;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する。
【0090】
“ブファジエノリド(bufadienolide)”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環の3位のヒドロキシ基又はアミノ基、及びステロイドのD環のC17に6員の二重に不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。ブファジエノリドの例は、本明細書中に記載したとおりの式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbの化合物であり、ここで、R17βは、以下の式:
【0091】
【化24】
【0092】
であり、式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、本明細書中の他の場所で定義したとおりである。従って、式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbを有する化合物の全ての上記の態様において、R17βのための好ましい意義は、上記の四つの例に示したとおりである。
【0093】
更に好ましくは、R17βは、以下の式:
【0094】
【化25】
【0095】
である。
“3−オキソブファジエノリド”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環のC3位におけるオキソ基、及びステロイドのD環のC17に6員の二重に不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。
【0096】
“カルジオリド(cardiolide)”によって、ステロイド骨格、ステロイドのA環の3位のヒドロキシ基又はアミノ基、及びステロイドのD環のC17に5員の不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物を意味する。カルジオリドの例は、本明細書中に記載したとおりの式I、Ia、Ib、II、IIIa、IIIb、IV、IVa、又はIVbの化合物であり、ここで、R17は、以下の式:
【0097】
【化26】
【0098】
である。
“3−オキソカルジオリド”は、ステロイド骨格、ステロイドのA環のC3位におけるオキソ基、及びステロイドのD環のC17に5員の不飽和のラクトン環置換基を有するいずれかの化合物である。
【0099】
不斉又はキラル中心が、本発明の化合物のいずれにも存在してもよい。本発明は、各種の立体異性体及びその混合物を意図している。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉又はキラル中心を含有する商業的に入手可能な出発物質から合成的に、或いは鏡像異性体化合物の混合物の調製、それに続く当業者にとって公知の分割によって調製される。これらの分割の方法は、(1)(±)と命名された鏡像異性体のラセミ混合物のキラル補助基との接続、得られたジアステレオ異性体の再結晶化又はクロマトグラフィーによる分離、及び補助基からの光学的に純粋な生成物の遊離、或いは(2)キラルクロマトグラフィーカラムによる光学異性体の混合物の直接分離によって例示される。鏡像異性体は、キラル炭素原子周りの置換基の配置によるが、本明細書中で“R”又は“S”の記号によって命名される。別の方法として、鏡像異性体は、鏡像異性体の溶液が、偏光された光の平面を、それぞれ時計廻り又は反時計廻りに回転するかのいずれかによって、(+)又は(−)として命名される。
【0100】
幾何異性体も、更に本発明の化合物に存在してもよい。本発明は、炭素−炭素二重結合周りの置換基の配置から得られる各種の幾何異性体及びその混合物を意図し、そしてこのような異性体を、Z又はE配置と命名し、ここで、用語“Z”は、炭素−炭素二重結合と同じ側の置換を表し、そして用語“E”は、炭素−炭素二重結合と反対側の置換を表す。互変異性の形態が可能である構造において、一つの互変異性の形態の記載が、他に規定されない限り、両方の記載と等価であることも更に認識される。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語“医薬的に受容可能な塩”は、過度の毒性、刺激、又はアレルギー反応を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触する使用のために適した塩を指す。医薬的に受容可能な塩は、当技術において公知である。例えば、S.M Berge et al.は、医薬的に受容可能な塩を、J.Pharmaceutical Science 66:1−19,1977中に詳細に記載している。塩は、本明細書中に記載されるいずれかの化合物の最後の単離及び精製中にin situで、或いは遊離塩基の基を適した有機酸と反応させることによって別個に調製してもよい。
【0102】
用語“プロドラッグ”は、本明細書中で使用される場合、上記の式の母体化合物にin vivoで、例えば血中の加水分解によって急速に転換される化合物を表す。本明細書中に記載されるいずれかの化合物のプロドラッグは、その活性なカルボン酸の形態に加水分解される慣用的なエステルであってもよい。プロドラッグとして使用されるいくつかの普通のエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C8−C24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カルバミン酸及びアミノ酸エステルである。もう一つの例において、一つのOH基を含有する本明細書中に記載されるいずれかの化合物は、この位置でそのプロドラッグの形態にアシル化してもよい。徹底的な検討が、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,and Judkins et al,Synthetic Communications 26(23):4351−4367,1996中に提供され、これらのそれぞれは、参考文献として本明細書中に援用される。
【0103】
“十分な”量によって、局所的又は全身的低酸素反応によって仲介される疾患を治療するために必要な本発明の化合物の量を意味する。十分な量であるこの量は、動物試験及び/又は臨床試験によって当業者によって規定どおりに決定してもよく、そして治療される特定の疾患及び使用される本発明の特定の化合物のようないくつかの因子によって変化するものである。この量は、更に患者の体重、性別、年齢及び病歴に依存しうる。
【0104】
本明細書中で使用される場合、“治療”は、局所的又は全身的低酸素反応によって仲介される疾患に伴う一つ又はそれより多い徴候又は症状の進行を緩和、寛解、又は遅延するために十分な量の本発明の化合物の投与を指す。
【0105】
用語“治療”又は“治療すること”は、患者に医薬組成物の一定投与量を与える方法を指し、ここで、この方法は、例えば局所、経皮、経口、静脈内、腹腔内、脳室内、髄孔内、又は筋肉内的である。投与の好ましい方法は、各種の因子、例えば医薬組成物の成分、投与の部位、及び治療される症状の重篤度によって変化してもよい。
【0106】
本発明の化合物は、従来の技術の化合物BNC1及びBNC4と比較してより効果的であり、そしてより容易(例えば経口的に)に投与することができる。
本発明の他の特徴及び利益は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明白となるものである。
【0107】
詳細な説明
本発明は、一部、細胞性又は全身性低酸素症の結果として観察される影響を調節することができる化合物の発見に基づいている。本発明の一つの顕著な特徴は、ある種の薬剤が、細胞における低酸素ストレス反応及び血管新生因子(VEGFのような)の発現を誘導すること、及び本発明の化合物を、この反応を減少するために使用することができることの発見である。低酸素ストレス反応が、VEGFを含む(限定されるものではないが)ある種の血管新生因子の発現に伴われるために、低酸素ストレス反応を阻害するための本発明の化合物の投与は、更にVEGF(及び他の血管新生因子)仲介の血管新生も阻害するものである。
【0108】
代謝性疾患
本発明の化合物は、例えば、高血糖症、耐糖能障害、代謝症候群(例えば症候群X)、糖尿、代謝性アシドーシス、白内障、糖尿病性神経障害及び腎症、肥満症、高異脂質血症、及び代謝性アシドーシスのような代謝性疾患の治療のために有用であることができる。
【0109】
代謝性症候群Xは、全て、インスリン抵抗性の一次疾患に起因する代謝性疾患の集まりである。全ての症候群Xに伴う代謝性異常は、心血管疾患に導くことができる。群として存在する場合、心血管疾病及び早期死亡に対する危険度は、非常に高い。代謝性症候群X中に存在する特徴的疾患は:インスリン抵抗性、高血圧、血液凝固の異常、低いHDL及び高いLDLコレステロールレベル、並びに高いトリグリセリドレベルを含む。症候群Xの治療のために、本発明の化合物は、単独で、又はいずれかの既存の抗糖尿病剤との組合せで使用してもよい。本発明の化合物との組合せで使用してもよい薬剤は、限定されるものではないが、インスリン、インスリン類似体(例えばメカセルミン)、インスリン分泌促進物質(例えばナテグリニド)、ビグアニド(例えばメトホルミン)、スルホニル尿素(例えばクロルプロパミド、グリピジド、又はグリブリド)、インスリン感作剤(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、又はロシグリタゾンのようなPPARγアゴニスト)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース、又はミグリトール)、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えばゾポルレスタット)、ミチグリニド(metiglinide)(例えばレパグリニド)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、並びにGLP−1及びその機能的模倣体(例えばエキセンディン−4)を、特に含む。
【0110】
肥満症は、その多くが低酸素状態の反映である各種の表現型に起因してもよく、又はそれに伴われる。例えば、慢性低酸素性炭化水素渇望、及び炭化水素渇望に悩む多くの個体は、更に肥満の個体にも普通である。脂肪組織が血管新生活性を示し、そして更に脂肪組織集団が脈管構造によって調節されることができると考えられる。脂肪新生及び血管新生の相互的パラクライン調節(reciprocal paracrine regulation)が存在する。更に、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)シグナル伝達の遮断が、in vivoの脂肪組織形成を阻害することができることが示されている。Fukumura et al.in Circulation Research 93:e88−97,2003。
【0111】
本発明は、肥満を治療/予防することにおいてin vivoの血管新生を阻害するために、本発明の化合物を、他の抗血管新生因子を伴って又は伴わずに投与することによって、血管新生因子を下方調節する方法を特徴とする。
【0112】
肥満症の治療のために、本発明の化合物は、単独で、又はFlint et al.,J.Clin.Invest.101:515−520,1998によって又はToft−Nielsen et al.,Diabetes Care 22:1137−1143,1999によって記載されているもののように、いずれかの既存の抗肥満症剤との組合せで使用してもよい。本発明の化合物との組合せにおいて使用してもよい薬剤は、限定されるものではないが、脂肪酸取込み阻害剤(例えばオルリスタット)、モノアミン再取込み阻害剤(例えばシブトラミン)、食欲低下剤(例えばデクスフェンフルラミン又はブロモクリプチン)、交換神経刺激剤(例えばフェンテルミン、フェンジメトラジン、又はマジンドール)、及び甲状腺ホルモン模倣剤を、特に含む。
【0113】
高血圧性疾患
本発明の化合物及び方法は、高血圧の治療のために有用であることができる。全身性高血圧は、米国において最も一般的な心血管障害であり、5千万人より多いヒトに影響している。高血圧は、中年男子の脳卒中、心疾患、及び腎不全を含む主要な内科的疾病の普通の原因である。米国におけるその罹患率は、約20%であり、新規に診断される高血圧患者の率は、毎年約3%である。
【0114】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、同じ集団において普通である。就労人口の2%までの女性及び4%の男性が、睡眠時無呼吸症候群の診断基準に合致することが推定される。罹病率は、老年の非就労男性において非常に高いものであることができる。肥満のような中年の高血圧の素因となる因子の多くも、更に睡眠時無呼吸に伴われる。最近の刊行物は、高血圧を持つ中年男性中の潜在的睡眠時無呼吸の30%の罹病率を記載している。更に、高血圧及び睡眠時呼吸障害に対する関連が見出されている(例えば、Fletcher,Am.J.Med.98(2):118−28,1995を参照されたい)。
【0115】
低酸素に対する反応における中心的仲介物質の一つとしてのHIF−1は、高血圧の原因に関係している(例えば、Li and Dai,Chin.Med.J.(Engl).117(7):1023−8,2004;及びSemenza,Genes and Development 14:1983−1991,2000を参照されたい)。HIFの発現を減少するその能力のために、本発明の化合物は、睡眠時呼吸障害及び閉塞性睡眠時無呼吸のような高血圧によって起こされる疾患の治療のために有用であることができる。
【0116】
血管新生疾患
本発明の化合物は、それ自体が血管新生促進因子の強力な活性化剤であるHIF−1の強力な阻害剤である。いずれかの特定の機構に束縛されることをにぞむのもではないが、低酸素に対する全体的反応を開始することに関係する因子が、血管新生のような局所的反応を抑制するものであり、局所的細胞の低酸素症が、換気又は酸素供給の全身性障害に起因し得る場合、これが、不適当であるものであることを予想することは妥当である。
【0117】
本発明の組成物及び方法は、非病原性である血管新生、即ち対象の正常な生物学的過程に起因する血管新生を阻害するために使用してもよい。胚形成中に加えて、血管新生は、更に卵胞の発生、黄体形成及び胚着床中に、女性の生殖系において活性化される。これらの過程中に、血管形成は、主としてVEGFによって仲介される。制御されていない血管新生は、長引く月経出血又は不妊症のような各種の女性の生殖性疾患の根底にあることができ、そして過剰の内皮細胞増殖が、子宮内膜症を持つ女性の子宮内膜において観察されている。新血管新生も、更に成功する創傷治癒において重要な役割を演じ、これは、恐らくIL−8並びに増殖因子FGF−2及びVEGFによって調節される。炎症性反応を伴う既知の細胞成分であるマクロファージは、これらの血管新生因子を放出することによって治癒過程に寄与しうる。非病原性血管新生の例は、子宮内膜新血管新生、及び脂肪組織又はコレステロールの産生において関係する過程を含む。従って、本発明は、例えばコレステロールレベルを減少するための体重の制御又は脂肪喪失の促進、或いは妊娠中絶薬としての非病原性血管新生を阻害するための方法を提供する。
【0118】
本発明の組成物及び方法は、更に病原性である血管新生、即ち病原性が、不適当な又は制御されていない血管新生に伴われる疾病を阻害するためにも使用してもよい。例えば、殆んどの癌性固形腫瘍は、腫瘍部位及びその周囲に血管新生を誘導することによってそれ自体のために十分な血液供給を産生する。この腫瘍誘導血管新生は、しばしば腫瘍の成長のために必要であり、そして更に転移細胞が血流に入ることを可能にする。更に、多くの眼疾病が、制御されていない又は過剰の血管新生に伴われる。
【0119】
本発明の化合物及び方法を使用して治療しうる血管新生が伴う腫瘍性疾患は、限定されるものではないが、腫瘍の増殖、血管腫、髄膜腫、固形腫瘍、白血病、血管新生緑内障、血管線維症、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、及びこれらの転移を含む。
【0120】
本発明の化合物及び方法を使用して治療しうる血管新生が伴う非腫瘍性疾患は、限定されるものではないが、網膜新血管新生、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症(ROP)、子宮内膜症、黄斑変性症、加齢性黄斑変性症(ARMD)、乾癬、関節炎、リウマチ様関節炎(RA)、アテローム性動脈硬化症、毛細血管腫、カポジ肉腫、甲状腺過形成、グレーブス病、動静脈(arterioyenous)奇形(AVM)、血管再狭窄、皮膚炎、血友病性関節、肥厚性瘢痕、滑膜炎、血管接着、及び他の炎症性疾病を含む。
【0121】
本発明の化合物及び方法は、更に白内障の手術後の異常な血管新生の予防又は軽減のために有用であることができる。正常なレンズにおいて、ブファリン及びウアバイン様因子に対する免疫反応性は、カプセル状上皮層においてレンズの繊維質領域より7倍ないし30倍高い(Lichtstein et al.,Involvement of Na+,K+−ATPase inhibitors in cataract formation,in Na/K−ATPase and Related ATPases,2000,Taniguchi,K.& Haya,S.,eds,Elsevier Science,Amsterdam)。ヒトの白内障のレンズにおいて、ナトリウムポンプ阻害剤の濃度は、正常のレンズよりはるかに高かった。従って、これを、白内障のレンズから単離し、そして19−ノルブファリン及びそのThr−Gly−Alaトリペプチド誘導体として同定した(Lichtstein et al.,Eur.J.Biochem.216:261−268,1993)。白内障の手術は、このようなステロイドを除去するものであり、眼における不要な血管新生の局所的阻害の可能な喪失となる。従って、白内障手術後の患者は、異常な血管新生に伴う症状に対して、更に脆弱となりうる。
【0122】
炎症性疾患
血管新生及び亢進された毛細血管透過性は、多くの炎症性疾病の特徴である。血管新生及び慢性の炎症は、密接に連結している(Jackson et al.,FASEB J.11:457−465,1997)。炎症の部位における血管新生性血管は、血流を維持し、そして組織の代謝要求の増加に合致するために拡張し、そして高浸透性となる(Jackson et al.,Supra)。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(Detmar,J.Dermatol.Sci.24(suppl 1):S78−S84,2000;Brown et al.,J.Invest.Dermatol.104:744−749,1995;Fava et al.,J.Exp.Med.180:341−346,1994)、及びCXC−ケモカインファミリーのメンバー(Schroder and Mochizuki,Biol.Chem.380:889−896,1999;Strieter et al.,Shock 4:155−160,1995;Strieter et al,Shock 4:155−160,1995)を含むいくつかの血管新生促進因子が、炎症中に上方制御されることが見出されている。いずれかの特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、炎症は、局所的低酸素反応を誘導し、そして例えばVEGF及び他の因子による血管新生を促進することができる。更に、免疫細胞は、恒常的に高いレベルのHIF−1を有する傾向がある。これは、これらの細胞が解糖に依存する傾向と結びつく。従って、低酸素症細胞に更に典型的に伴う多くの現象(phenolmena)は、ある種の免疫細胞中に恒常的に存在する。
【0123】
従って、本発明の化合物及び方法は、リウマチ様関節炎、乾癬、及びアテローム性動脈硬化症のような炎症性疾病の治療のために使用してもよい。
アルツハイマー病(AD)
本発明の化合物及び方法は、ADの開始及び/又は発症を阻害するために有用であることができる。認識及び記憶の障害によって特徴づけられるアルツハイマー病(AD)は、中枢神経系中のアミロイドβペプチド(AβP)のゆっくりした蓄積が明白に伴う(Selkoe,Physiol.Rev.81:741−766,2001;Small et al.,Nat.Rev.Neurosci.2:595−598,2001)。AβPは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のβ−及びγ−セクレターゼによるアミロイド形成的加工により産生され、そして最近の証拠は、γ−セクレターゼ活性が、プレセニリン、ニカストリン、APH−1及びpen−2間の複合体の形成を必要とすることを示唆している(Edbauer et al.,Nat.Cell Biol. 5:486−488,2003)。Ca2+の恒常性の破壊は、ADの神経変性に強く関係し;実際に、Ca2+依存性プロテアーゼ活性の増加は、AD脳組織中の変性中のニューロンに伴って起こり(Nixon et al.,Ann.N Y Acad.Sci.747:77−91,1994)、そしてAβPは、Ca2+の恒常性を撹乱し、細胞を興奮毒性損傷に感受性にさせる(Mattson et al.,J.Neurosci.12:376−389,1992)。プレセニリン変異は、細胞のCa2+恒常性に影響を有し(Mattson et al.,Trends Neurosci.23,222−229,2000)、そしてプレセニリン−1(PS−1)の家族性AD(FAD)関連変異が、イノシトール三リン酸と結合した細胞内Ca2+ストア、並びにCa2+流入経路を変更することができることが知られている(Leissring et al.,J.Cell Biol.149:793−798,2000;Mattson et al.,Trends Neurosci.23:222−229,2000;Yoo et al.,Neuron 27:561−572,2000)。これは、Ca2+の恒常性の撹乱が、このようなニューロンの喪失の根底にある重要な機構であるために、神経変性に貢献しうる(Chan et al.,J.Biol.Chem.275:18195−18200,2000;Mattson et al.,J.Neurosci.20:1358−1364,2000;Yoo et al.上記参照)。
【0124】
脳の低酸素症又は虚血の時間は、ADの発生率を増加し(Tatemichi et al.,Neurology 44:1885−1891,1994;Kokmen et al.,Neurology 46:154−159,1996)、そしてAPPの発現は、軽度及び重度の脳虚血後に上昇する(Kogure and Kato,Stroke 24:2121−2127,1993)。APPの非アミロイド形成的開裂産物(sAPPα)は、神経保護的であるために(Mattson,Physiol.Rev.77:1081−1132,1997;Selkoe,Physiol Rev.81:741−766,2001)、低酸素症中の増加した発現は、虚血に対する保護機構と考えることができる。然しながら、増加したAPPレベルは、更にAβP形成のための基質の増加を提供するものである。AβP形成が、PC12細胞における低酸素症後に増加されることが以前に示されている(Taylor et al.,J.Biol Chem.274:31217−31222,1999;Green et al.,J.Physiol 541:1013−1023,2002)。更に、長期の低酸素症は、ラットI型皮質性星状細胞中の細胞内ストアからのブラジキニン(BK)誘導のCa2+放出を増強する。これは、ミトコンドリア及び原形質膜のNa+/Ca2+交換輸送体(NCX;Smith et al.,J.Biol Chem.278:4875−4881,2003)の機能障害のためである。Peers et al.,Biol.Chem.385(3−4):285−9,2004は、持続性低酸素症が、個体を、細胞がCa2+の恒常性の撹乱によって部分的に破壊されるアルツハイマー病のような認知症にかからせることを報告している。更に、低酸素症は、アルツハイマー病に関連する鍵となる酵素の主要成分であるプレセニリン−1のレベルを増加する。従って、低酸素症の期間及びADの発症間には、確立された関連が存在する。
【0125】
増殖性疾患
本発明の化合物及び方法は、増殖性疾患の治療のために有用でありうる。特に、本発明の化合物は、癌細胞系の増殖を、既知の毒性レベルよりはるかに低い濃度で阻害することができる(図10−13を参照されたい)。
【0126】
組合せ治療
本発明の化合物は、癌の治療及び/又は転移の形成の阻害のための他の抗増殖性薬剤との組合せで使用してもよい。組合せで使用される抗増殖性薬剤は、限定されるものではないが、表1に与えられる薬剤を含む。
【0127】
好ましくは、本発明の化合物は、最小の有効な投与量を減少する目的のために、既存の臨床療法(例えば乳癌の治療のためのパクリタキセル)に加えられる。患者に対する利益は、本発明の化合物との組合せで使用される場合の抗癌剤の治療指数の増加である。従って、本発明の化合物は、有害な薬物反応の現象、患者の寿命の延長、及び/又は治癒率の改良の目的のために、いずれかの既存の癌治療療法に加えてもよい。
【0128】
【表1A】
【0129】
【表1B】
【0130】
【表1C】
【0131】
【表1D】
【0132】
本発明の方法において、本発明の化合物及び更なる抗増殖性薬剤(類)の投与の投与量及び頻度は、独立に制御してもよい。例えば、一つの化合物は、経口的に毎日三回投与してもよく、一方第2の化合物は、静脈内的に一日一回投与してもよい。化合物は、更に一回の投与が両方の化合物を放出するように、一緒に処方してもよい。
【0133】
投与される本発明の化合物及び更なる抗増殖性薬剤(類)の例示的な投与量は、疾患の種類及び程度、患者の全般的健康状態、選択された抗増殖性薬剤(類)の治療指数、及びその投与の経路のような変数に依存するものである。標準的な臨床試行を、本発明のいずれかの特定の組合せのための投与量及び投与頻度を最適化するために使用してもよい。
【0134】
投与
本発明は、局所的及び全身的低酸素現象の影響を調節するために使用しうる組成物及び方法を特徴とする。本発明の化合物は、投与の前に医薬的に受容可能な賦形剤と処方してもよい。これらの医薬組成物は、慣習的な方法によって、一つ又はそれより多い医薬的に受容可能なアジュバント又は賦形剤を使用して調製してもよい。アジュバントは、限定されるものではないが、希釈剤、滅菌水性媒体、及び各種の非毒性の有機溶媒を含んでなる。治療的な使用のために受容可能な担体又は希釈剤は、製薬の分野において公知であり、そして例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000,Philadelphia,及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New York中に記載されている。組成物は、錠剤、丸薬、顆粒、粉末、水溶液又は懸濁液、注射用溶液、エリキシル、或いはシロップの形態で提供してもよく、そして組成物は、甘味剤、芳香剤、着色剤、及び安定剤からなる群から選択される一つ又はそれより多い薬剤を、医薬的に受容可能な製剤を得るために、所望により含有してもよい。
【0135】
本発明の医薬組成物中の活性成分の投与量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与のモードに対する所望の治療反応を達成するための活性化合物(類)の量を得るために変化してよい。選択される投与量レベルは、特定の化合物の活性、投与の経路、治療される症状の重篤度、並びに治療される患者の症状及び以前の病歴に依存する。成人の場合、投与量は、一般的に吸入によって一日当り約0.01ないし約100mg/kg、好ましくは約0.1ないし約1mg/kg体重、経口投与によって一日当り約0.01ないし約100mg/kg、好ましくは0.1ないし70mg/kg、更に好ましくは0.5ないし10mg/kg体重、そして静脈内投与によって一日当り約0.01mgないし約50mg/kg、好ましくは0.1ないし1mg/kg体重である。投与量は、それぞれの特定の場合に対して、年齢、体重、一般的健康状態、及び本発明の化合物(類)の効力に影響することができる他の因子を含むその患者に独特の因子による標準的な方法を使用して決定される。
【0136】
本発明の化合物は、経口的に、非経口的に静脈内注射によって、経皮的に、肺の吸入によって、膣内的又は直腸内的な挿入によって、皮下的な植込みによって、筋肉内注射又は例えば腫瘍部位への注射のような影響された組織への直接注射によって投与してもよい。ある場合には、物質は手術が行われる時に局所的に適用してもよい。また別の場合、局所投与は、治療組成物の眼への直接適用による眼科的であってもよい。
【0137】
例えば、本発明の化合物は、Alzet(登録商標)Model 2002浸透圧ポンプのような浸透圧ポンプを使用することによって患者に投与してもよい。浸透圧ポンプは、試験薬剤の連続的放出を与え、これによって頻繁な24時間体制の注射の必要性を排除する。マウス又は若いラットにおける使用にさえ十分に小さい大きさで、これらの植込み可能なポンプは、潜在的毒性を回避し、副作用をミスリードして、所定通りに化合物を治療的なレベルで継続することにおいて有益であることが証明されている。
【0138】
別の方法として、本発明の化合物は、制御された方法で患者の眼に投与してもよい。薬物を眼に放出するための多くのデバイス及び方法が存在する。例えば、米国特許第6,331,313号は、生体適合性であり、そして眼に植込むことができる各種の制御放出デバイスを記載している。この中に記載されているデバイスは、薬物及びポリマーの外部層を含んでなる核を有し、これは、環境流体の進入に対して実質的に不透過性であり、そして放出期間中の薬物の放出に対して実質的に透過性であり、そして薬物放出は、外部層のオリフィス(orifice)を通して行われる。これらのデバイスは、デバイスの全表面積の10%より少ないオリフィス面積を有し、そして変化する程度の溶解度及び又は分子量を持つ各種の薬物の放出のために使用してもよい。これらの薬物放出デバイスを使用するための方法も、更に提供されている。生体適合性の植込み可能な眼の制御放出薬物放出デバイスは、少なくとも数週間の期間の眼内の薬物の連続放出に対する、眼内の植込みのために大きさを決められる。このようなデバイスは、ポリマーの外部層を含んでなり、これは、薬物及び眼液に対して実質的に透過性であり、そして眼液に溶解する薬物を含んでなる核を被覆し、ここにおいて、外部層は、一つ又はそれより多いオリフィスを有し、癌液はそれを通って通過して、核と接触し、そして薬物を溶解することができ、そして溶解した薬物はデバイスの外部へ通過することができる。全体でオリフィスは、デバイスの全表面積の1パーセントより少ない面積を有し、そして薬物の放出の速度は、単に核の成分及びデバイスの全表面積に対する一つ又はそれより多いオリフィスの全表面積によって決定される。他の例の植込み方法及びデバイス、並びに眼における薬物放出に対する関連する改良は、米国特許第5,824,072号、5,766,242号、5,632,984号、5,443,505号及び5,902,598;米国特許出願US20040175410 Al、US20040151754 A1、US20040022853 A1、US20030203030 A1;及びPCT出願公開WO9513765 A1、WO0130323 A2、WO0202076 A2、WO0243785 A2、及びWO2004026106 A2中に記載されている。
【0139】
ある種の適用のために、本発明の化合物は、局所的に運搬する必要があるものであってもよい。このような場合、好ましくない全身性の副作用を起こさずに限定された局所放出を達成するために、当技術において各種の既知の方法を使用してもよい。ごく僅かの名前を挙げるならば、WO03066130 A2(全部の内容は、本明細書中に参考文献として援用される)は、薬物と可逆的に結合する輸送シャペロン部分と処方された薬物を含む経皮的薬物放出系を開示している。シャペロン部分は、製剤中で薬物と結合し、皮膚組織を通る薬物の輸送を亢進し、そして前記皮膚組織を通った後薬物を放出する。この適用は、更にステロイド系HIF−1調節物質の経皮放出のためのマイクロエマルジョン系を提供し、この系は、親水性及び疎水性成分の両方を可溶化する。例えば、マイクロエマルジョンは、親油性溶媒及び有機溶媒を含む共溶媒系であってもよい。例示的な共溶媒は、NMP及びIPMである。
【0140】
国際特許出願WO02087586 A1は、ポリマー及びポリマー中に分散された、約1mg/mlより小さい溶解度を有するプロドラッグを含む持続放出系を開示している。好都合には、ポリマーは、プロドラッグに対して透過性であり、そしてポリマーからのプロドラッグの放出の速度に関して、非放出律速であってもよい。これは、長期の時間にわたる持続性放出速度動力学により、手術の近辺の身体の改良された薬物放出を可能にし、一方複雑な製造過程を必要としない。
【0141】
この物質は、投与の所望の経路に合致するために処方される。処方は、当技術において公知の、医薬的に受容可能な緩衝液、安定剤、局所麻酔剤、等を含む適した賦形剤を含んでいてもよい。非経口投与のために、例示的な処方は、滅菌溶液又は懸濁液;経口投与のために、シロップ、錠剤又は口当たりのよい溶液;局所的様のために、ローション、クリーム、噴霧剤又は軟膏;吸入による投与のために、微結晶粉末又は通気法のために適した溶液;膣内又は直腸内投与のために、ペッサリー、座薬、クリーム又はフォーム剤であってもよい。
【0142】
化合物
本発明の化合物は、以下の式a−d:
【0143】
【化27】
【0144】
によって記載されるものを含む。
式(a)−(d)において、Xは、NH又はOであり;R40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成し;R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;R17βは、以下の式:
【0145】
【化28】
【0146】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;R17αは、H又はOHであり;そしてR18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである。
【0147】
合成
多くの3−ヒドロキシブファジエノリド又はカルジオリドステロイドは、例えば、Kamano et al.,in J.Med.Chem.45:5440−5447,2002;Kamano et al.,in J.Nat.Prod.65:1001−1005,2002;Nogawa et al.,in J.Nat.Prod.64:1148−1152,2001;及びQu et al.,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.91:87−98によって記載されているもののように以前に記載されている。
【0148】
更に、ブファジエノリドの調製のためのいくつかの異なった経路が、Soncheimer et al.,J.Am.Chem.Soc.91:1228−1230,1969;Stache et al.,Tetrahedron Lett.35:3033−3038,1969;Pettit et al.,Can.J.Chem.47:2511,1969;Pettit et al.,J.Org.Chem.35:1367−9,1970;Tsay et al.,Heterocycles 12:1397−1402,1979;Sen et al.,J.Chem.Soc.Chem.Comm.66:1213−1214,1982;Wiesner et al.,Helv.Chim.Acta 66:2632−2641,1983;Weisner & Tsai,Pure and Appl.Chem.53:799−810,1986, 及び米国特許第4,001,402号;4,102,884号;4,175,078号;4,242,332号;及び4,380,624号を含み、当技術において記載されている。
【0149】
R17が置換された2H−ピラン−5−イル−2−オン部分である本発明の化合物は、スキーム1に示すように調製してもよい。Stille(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.25:508,1986)の方法を使用して、R21、R22、及びR23のそれぞれが、独立にH、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール、又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである式VIの化合物を、式Vの化合物を、過酸化ベンゾイル(BPO)の存在中で、CCl4中の2当量のN−ブロモスクシンイミドと反応させることによって調製する。Liu and Meinwald(J.Org.Chem.61:6693−99,1996)の方法を使用して、ヘキサメチルジスタンナンにより、触媒量のPd(PPh3)4の存在中で、式VIの化合物をスタンニル化して、式VIIの化合物を製造してもよく、次いでこれは、例えば化合物102のようなステロイドエノールトリフラートにカップリングして、接触水素化後、式VIIIの化合物を製造してもよい。
【0150】
【化29】
【0151】
スキーム2に示すように、式VIIIの化合物は、光分解によって、二塩化ヨードベンゼンの存在中で式IXの化合物に転換してもよく、続いて中間体の塩化物をAgClO4で処理する(Breslow et al.,J.Am.Chem.Soc.99:905;1977及びDonovan et al.,Tet.Lett.35:3287−90,1979を参照されたい)。式IXの化合物をN−ヨードスクシンイミドで処理し、そして得られたヨードヒドリンを、UrishibaraNi−Aで還元して、式Xの化合物を製造する(Kamano and Pettit,J.Am.Chem.Soc.,94(24):8592−3,1972を参照されたい)。シリル化された3−ヒドロキシ基のフッ化カリウムによる脱保護、それに続く酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムによる)により、3−位においてケトンを得る。N−ブロモスクシンイミドによる4位における臭素化、それに続く塩基性条件下(例えばコリジンを還流する)の脱ハロゲンにより、式XIの化合物を製造する。14位のヒドロキシルは、その後の工程でこれが必要な場合、所望により保護してもよい。3位のケト基は、例えば、水素化トリ−tert−ブトキシアルミニウムリチウム又は水素化ホウ素リチウムのような試薬で還元して、式XIIの化合物を製造し、これを、C−3のヒドロキシルにおいて再官能化して、式XIII又はXIVの化合物を製造してもよい。
【0152】
【化30】
【0153】
スキーム3に示すように、式Vの化合物の式VIIの化合物への転換のための、スキーム1に与えられ、そして以前に記載されたもの(Stille、上記参照)と類似の化学反応は、式XVIの化合物を、式XVの化合物から製造するために使用してもよく、ここで、R24、R25、及びR26のそれぞれは、H、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである。式VIIの化合物の式XIIの化合物への転換のために、先に記載したものと類似の化学反応によって、式XVIの化合物は、式XVIIの化合物を製造するために採用してもよく、ここで、R17は、所望により置換された2H−ピラン−3−イル−2−オン部分である。上述のように、3位におけるヒドロキシル基の再官能化は、式XVIII又はXIXの化合物を与えうる。
【0154】
【化31】
【0155】
R17が置換された2H−ピラン−3−イル−2−オン部分であるブファジエノリドは、スキーム4に示すように、既知の方法(例えば、Wiesner et al.,in HeIv.Chim.Acta 65:2049−2060,1982;Wiesner and Tsai,Pure & Appl.Chem.58(5):799−810, 1986を参照されたい)によって調製してもよい。従って、R27がH、所望により置換されたC1−6アルキル、所望により置換されたC1−4アルカリール又は所望により置換されたC3−8シクロアルキルである式XXのリチウム化されたフランを、化合物103と反応させて、式XXIの化合物を製造する。アルコールのアセチル化及び還流のアセトン中の、例えば炭酸カルシウムのような塩基の存在中のアリル転位は、転位された酢酸基の同時加水分解後、式XXIIの化合物を製造する。C16−C17二重結合の水素化後、アセタール基を脱保護し、そして得られたアルデヒドの水素化ホウ素ナトリウム還元により、式XXIIIの化合物を製造する。m−クロロ過安息香酸による処理により、2,5−ジヒドロキシジヒドロフラン中間体を得て、これを、直ちに式XXIVの化合物に転位する。ヘミアセタールのヒドロキシルの酢酸塩としての保護、C15ヒドロキシルの塩化チオニル及びピリジンによる処理による除去、並びにアセチル保護基の鹸化による除去により、式XXVの化合物を得る。ヘミアセタール基のラクトンへのクロム酸による酸化、及び水素化ホウ素亜鉛によるケトンの還元により、式XXVIのヒドロキシラクトンを得る。ヒドロキシル基のメシル化、その後の除去により、式XXVIIの化合物を得る。先に記載したように、ヒドロキシル基を、N−ヨードスクシンイミドによる処理、及び得られたヨードヒドリンのUrishibara Ni−Aによる還元によって14位に導入する。C3におけるベンジル保護基を水素化によって除去し、その後酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムにより)して、3位においてケトンを得る。式XIIの化合物の合成のために先に記載したように、臭素化、脱ハロゲン、及び還元により、式XXVIIIの化合物を製造し、これは、先に記載したように3位において再官能化してもよい。
【0156】
【化32】
【0157】
R17が置換された4H−ピラン−2−イル−4−オン部分であるブファジエノリドは、スキーム5に示すように調製してもよい。従って、化合物103を、2−リチオフランと反応させて、式XXXの化合物を得る。式XXIの化合物のために先に記載したようなアセチル化、アリル転位、及び水素化、その後の再アセチル化により、式XXXIの化合物を得る。フラン環のN−ブロモスクシンイミドによる処理、その後のK2CO3の存在中のKMnO4/NaIO4による酸化により、C17位においてカルボン酸を得て、これは、1,1’−カルボニルジイミダゾールによる処理によって活性化されて、式XXXIIの化合物を得る。式XXXIIIのカリウムエノラートとの反応により、酸によるクエンチ後、式XXXIVのγ−ピロンを得る。式XXXIIIの化合物は、式XXXIIIaの化合物を、リチウムジイソプロピル−アミド又はリチウムヘキサメチルジシラジドと、適当な条件下で反応させることによって調製してもよい。アセチル基の除去、メシル化、除去、及びN−ヨードスクシンイミドによる処理による14位へのヒドロキシル基の導入、並びに得られたヨードヒドリンの先に記載したようなUrishibara Ni−Aによる還元により、式XXXVの化合物を製造する。C3におけるベンジル保護基を水素化により除去し、その後酸化(例えばクロロクロム酸ピリジニウム又は三酸化クロムにより)して、3位においてケトンを得る。式XIIの化合物の合成のために先に記載したように、臭素化、脱ハロゲン、及び還元により、式XXXVIの化合物を得て、これは、3位において再官能化してもよい。
【0158】
【化33】
【0159】
スキーム6に示すように、17位において2H−ピラン−2−オン部分で置換された本明細書中に記載された化合物のいずれかのために、17位を、酸化によって更に官能化して、R17αがOHである式XXXIXの化合物を製造してもよい(Saito et al.,Chem.Pharm.Bull.18:69,1970及びTempleton et al.,Steroids 65:379,2000を参照されたい)。
【0160】
【化34】
【0161】
サッカリド誘導体は、実施例中に記載されるように、又は以下の反応1−3のいずれかを使用して調製してもよい。これらの反応スキームのそれぞれは、本明細書中に記載したいずれかの他の対応する3−ヒドロキシ又は3−アミノカルジオリド或いはブファジエノリドに適用して、対応するサッカリドを製造することができる。
【0162】
【化35】
【0163】
誘導されたサッカリドは、各種のカルジオリド及びブファジエノリド類似体を製造するために、同様な方法で使用してもよい。
実施例
以下の実施例は、ここに特許請求される方法及び化合物が、如何に行われ、製造され、そして評価されるかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示され、そして本発明の純粋な例示を意図し、そして本発明人等がその発明とみなすものの範囲を限定する意図はない。
【0164】
以下の研究において使用される例示的なHIF−1調節化合物は、BNC1及びBNC4と呼ばれる。本発明の化合物は、以下に示すBP−244及びBP228:
【0165】
【化36】
【0166】
を含む。
BNC1は、ウアバイン又はG−ストロファンチン(STRODIVAL(登録商標))であり、これは、心筋梗塞の治療のために使用される。これは、無色の結晶であり、約0.06−0.35μg/mLの予測IC50及び約0.03μg/mLの最大血漿濃度を持つ。文献によれば、これのヒトの血漿中の半減期は、約20時間であり、5−50時間間の範囲を伴う。この通常の製剤は、注射用である。現時点の指示(i.v.)に対する典型的な投与量は、約0.25mgで、0.5mg/日までである。
【0167】
BNC4は、プロスシラリジン(TALUSIN(登録商標))であり、これは、欧州において慢性心不全の治療のために認可されている。これは、無色の結晶であり、約0.01−0.06μg/mLの予測IC50、及び約0.1μg/mLの最大血漿濃度を持つ。文献によれば、これのヒトの血漿中の半減期は、約40時間である。この通常利用可能な製剤は、0.25又は0.5mgの錠剤である。現時点の指示(p.o.)に対する典型的な投与量は、約1.5mg/日である。
【0168】
実施例1.心臓配糖体化合物はHIF−1α発現を阻害する
BNC1及びBNC4の、ヒトの腫瘍細胞における低酸素仲介HIF1α導入を阻害する能力を調査した。図2に、低酸素下でBNC1又はBNC4で処理されたCaki−1又はPanc−1細胞中のHIF−1α、HIF−1β及びβ−アクチン(対照)発現に対する免疫ブロットの結果を示す。結果は、HIF−1α発現の阻害においてBNC4が、BNC1より約10倍強力であることを示す。
【0169】
実施例2.BNC4は、正常酸素圧下のPHD阻害剤により誘導されたHIF−1αを阻害する
HIF−1αのBNC4阻害の機構を研究するために、PHD阻害剤、L−ミモソン(mimosone)、によって誘導されたHIF−1α発現HIF−1α発現を阻害するBNC1又はBNC4の能力を、正常酸素圧条件下で調査した。
【0170】
図3に示された実験において、Hep3B細胞を、正常酸素圧下で増殖し、しかし更に示されたように200μMのL−ミモソンで18時間BNC1又はBNC4の存在或いは非存在中で処理した。HIF1α及びβ−アクチンの存在量を、ウェスタンブロットによって決定した。
【0171】
結果は、L−ミモソンが、正常酸素圧条件下でHIF−1αの蓄積を誘導し、そしてBNC4の添加が、L−ミモソンによるHIF−1αの蓄積を排除したことを示す。試験された低濃度において、BNC1は、この実験においてHIF−1α蓄積に対して影響を有するようには見受けられなかった。特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、正常酸素圧下でPHD阻害剤によって誘導されるHIF−1αを、BNC4が阻害することができると言う事実は、BNC4による作用の部位が、恐らくプロリルのヒドロキシル化の下流にあることを示している。
【0172】
実施例3.シラレニンの3−オキシムエーテル及びアミノ誘導体の調製
シラレニンの合成
【0173】
【化37】
【0174】
プロスシラリジン(66.3mg、0.125mmol)及びナリンギナーゼ(23.2mg)のEtOH(1.25mL)−0.02Mの酢酸緩衝液(pH4.0、3.75mL)中の溶液(一部懸濁)を、40℃で6.5時間インキュベートした。EtOH(30mL)の添加後、全体の混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、10g、n−ヘキサン−EtOAc(1:1))によって精製して、シラレニン(48mg)を得た。
【0175】
シラレノンの合成
【0176】
【化38】
【0177】
700mg(1.82mmole)のシラレニンを、30mLの乾燥ジクロロメタン中に溶解し、そして1.4gの粉末モレキュラーシーブ及び1.57g(7.28mmole)のクロロクロム酸ピリジニウムを加えた。混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩攪拌した。暗色の混合物をセライトのパッドを通して濾過し、そして濃縮した。粗製の混合物をフラッシュクロマト−グラフィーによって精製して、604mg(86%)の所望のケトンを、無色の固体として得た。
【0178】
O−(2−エチルピペリジノ)−ヒドロキシルアミンの合成
【0179】
【化39】
【0180】
ナトリウム、13.8g、(600mmole)を、450mLの乾燥エタノール中に溶解し、そして21.9g(300mmole)のアセトンオキシム及び55.2g(300mmole)の塩化ピペリジノエチル塩酸塩を加え、そして混合物を2時間還流した。混合物をその元の体積の約1/3に濃縮した。水を加え、そして混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。真空中の濃縮後、残渣を減圧下(沸点22ミリバールで100℃)で蒸留して、33.4g(60%)のアセトンオキシムエーテルを得た。15gのこの物質を6NのHCl中で一晩還流した。冷却後、混合物をNaOH溶液で塩基性化し、そしてジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を乾燥し、濃縮し、そして残渣を減圧(沸点18ミリバールで101−106℃)下で蒸留して、2.7g(23%)の所望のヒドロキシルアミン誘導体を、無色の液体として得た。
【0181】
3−(O−(2−エチルピペリジノ))−シラレノン−オキシムエーテルの合成
【0182】
【化40】
【0183】
650mg(1.7mmole)のシラレノンの50mLの乾燥メタノール中の溶液に、1.59g(11.05mmole)のO−(2−エチルピペリジノ)−ヒドロキシルアミン及び3mLの氷酢酸を加え、そして混合物を室温で90分間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発し、そして組成の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、773mg(85%)の所望のオキシムエーテルを、無色の固体として得た。
【0184】
3−(O−メチル)−シラレノン−オキシムエーテルの合成
【0185】
【化41】
【0186】
650mg(1.7mmole)のシラレノンの50mLの乾燥メタノール中の溶液に、1420mg(17mmole)のO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び1283mg(15.64mmol)の酢酸ナトリウムを加え、そして混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発し、そして粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、88%の所望のオキシムエーテルを、無色の固体として得た。
【0187】
シラレニン3−オキシムエーテル及び3−アミノ誘導体は、以下のスキーム7に記載したように調製することができる。
【0188】
【化42】
【0189】
実施例4.シラレニンの3−オキシムエーテル、3−ヒドラゾン、及び3−エーテル誘導体の調製
シラレニン3−オキシムエーテル、3−ヒドラゾン、及び3−エーテル誘導体は、以下のスキーム8に記載されたように調製することができる。
【0190】
【化43】
【0191】
実施例5.シラレニンの3−アシル誘導体の調製
シラレニン3−アシル誘導体は、以下のスキーム9a、9b、及び9cに記載したように調製することができる。
【0192】
【化44】
【0193】
【化45】
【0194】
【化46】
【0195】
実施例6.シラレニンの3−カルバモイル誘導体の調製
【0196】
【化47】
【0197】
0.5mLのピリジン中の25mg(0.064mmole)のシラレニンの溶液に、18.8mg(0.19mmole)のイソシアン酸ブチル及び6mg(0.065mmole)のCuClを加え、そして混合物を室温で、出発物質の完全な消費が検出されるまで攪拌した。
【0198】
30分後、混合物を酢酸エチル及び水間に分配した。水層を酢酸エチルで三回抽出し、そして混合した有機抽出物を1MのHCl及び食塩水で洗浄した。Na2SO4による乾燥及び溶媒の除去後、粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、13.7mg(44%)の所望のカルバミン酸塩を、無色の固体として得た。
【0199】
シラレニン3−カルバモイル誘導体は、スキーム10a及びスキーム10bのように調製することができる。
【0200】
【化48】
【0201】
【化49】
【0202】
実施例7.シラレニンの3−アミノ−誘導体の調製
シラレニン3−アミノ誘導体は、以下のスキーム11に記載したように調製することができる。
【0203】
【化50】
【0204】
実施例8.3−O−サッカリド誘導体の調製
4’−オキソ−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0205】
【化51】
【0206】
1g(1.9mmole)のプロスシラリジンの5mLの乾燥テトラ−ヒドロフラン中の撹拌された溶液に、p−TsOHの小片及び1.34mL(8.05mmole)のオルトギ酸トリエチルを室温で加えた。有機層を水で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。濃縮及びカラムクロマトグラフィーにより、740mg(66%)の4’−ヒドロキシオルトエステルを、淡黄色の固体として得た。704mg(1.02mmole)のこの生成物を、25mLの乾燥ジクロロメタン中に溶解した。1.05gの粉末モレキュラーシーブ及び881mg(4.08mmole)のクロロクロム酸ピリジニウムを加え、そして混合物を窒素雰囲気下の室温で一晩攪拌した。暗色の混合物をセライトのパッドを通して濾過し、そして濃縮した。粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、246mg(41%)の所望のケトンを、無色の固体として得た。
【0207】
4’−α−ヒドロキシ−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0208】
【化52】
【0209】
234mg(0.4mmole)の出発ケトンの5mLの乾燥メタノール中の溶液に、110mg(2.9mmole)の水素化ホウ素ナトリウムを0℃で加えた。添加の完了後、氷浴を除去し、そして混合物を更に15分間室温で攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発して、粗製のアルコール(232mg、99%)を得て、これを更なる精製なしで次の工程のために使用した。
【0210】
4’−β−アジド−2’,3’−(O−エトキシメチル)−プロスシラリジンの合成
【0211】
【化53】
【0212】
151mg(0.264mmole)の出発アルコールの2mLの乾燥ジクロロメタン及び1.5mLの乾燥ピリジン中の溶液に、109μl(0.66mmole)のトリ−フルオロメタンスルホン酸無水物を−20℃で加えた。添加の完了後、冷却浴を除去し、そして氷浴に置き換え、そして混合物を更に2時間同じ温度で攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、分液漏斗に移し、そして1モルのHCl、続いて飽和NaHCO3溶液及び水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、そして濃縮した。粗製のトリフラートを2mLの乾燥ジメチルホルムアミド中に溶解し、59mg(0.9mmole)のナトリウムアジドを加え、そして混合物を室温で一晩攪拌した。水及びジクロロメタンを加え、そして有機層を水で洗浄した。溶媒をNa2SO4で乾燥し、そして蒸発して、粗製の残渣を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、84mg(52%)の所望のアジドを、無色の固体として得た。
【0213】
4’−β−アジド−プロスシラリジンの合成
【0214】
【化54】
【0215】
42mg(0.069mmole)の保護されたアジドの0.8mLの酢酸エチル中の溶液に、0.8mLの0.002モルのメタノール性HClを加え、そして混合物を2時間室温で攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、そして水及び食塩水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、濃縮し、そして粗製の生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、26mg(69%)の所望のジヒドロキシアジドを、無色の固体として得た。
【0216】
4’−β−アミノ−プロスシラリジンの合成
【0217】
【化55】
【0218】
18mg(0.033mmole)の出発アジドステロイドを、3.6mL(0.36mmole)のSmI2のテトラヒドロフラン中の0.1モル溶液に、アルゴン下で入れた。混合物を室温で10分間撹拌し、14μLのtert−ブチルアルコールを加え、そして撹拌を更に50−90分間続けた。混合物を飽和NaHCO3溶液で加水分解し、そして酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を乾燥し、そして真空中で濃縮して、黄色の油状物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。精製後、6.5mgの無色の固体のアミン(35%)を得た。
【0219】
シラレニン3−O−サッカリド誘導体は、以下のスキーム12a、12b、及び12cに記載したように調製することができる。
【0220】
【化56】
【0221】
【化57】
【0222】
実施例9.4,5−シクロプロピル誘導体の調製
4,5−シクロプロピル誘導体は、スキーム13に示すように調製することができる。
【0223】
【化58】
【0224】
実施例10.ヒト癌細胞系に対するBNC4並びに新規な類似体BP228及びBP244の広いスペクトル活性
HIF−1α感受性のA549センチネル系を使用し、細胞系を、BNC4、BP228又はBP244のいずれかと24時間インキュベートし、そしてレポーター活性をFACS分析によって測定した。結果を図4に示す。全ての三つの化合物は、レポーター活性を阻害し(FACS曲線における左方移行)、そして細胞系の低酸素症経路を調節することにおいて活性であった。
【0225】
実施例11.BNC4並びに類似体BP228及びBP244は、A549センチネル系のレポーター活性を阻害する
BP228、BP244、及びBNC4のそれぞれに対する用量反応を、それぞれの細胞系に対して行い、そしてIC50値を、表2に示すように決定した。BP244が、5−14nMのIC50の範囲で、BNC4(4−18nM)及びBP228(6−40nM)と比較して最も活性な化合物である。
【0226】
【表2】
【0227】
実施例12.BP228及びBP244は、低酸素症中のHIF−1α及びHIF−2αの誘導を阻害する
Caki−1(腎臓癌)、A549(肺癌)、Panc−1(膵臓癌)及びHep3B(肝臓癌)細胞を、BCN4、BP228及びBP244で低酸素条件下で処理した。細胞を、示したそれぞれの化合物で4時間正常酸素圧(N、20%O2)又は低酸素(H、1%O2)条件下で処理した。HIF−1α、HIF−1β及びβ−アクチン並びに他のタンパク質の発現を、ウェスタンブロットによって分析した。HIF−1α及びHIF−2αタンパク質のレベルは、これらの条件下で、いずれかの処理も伴わずに4時間培養された細胞中で増加した。BNC4(0.1μMの濃度で)、並びにBP228及びBP244(0.1及び1.0μM)で処理された細胞は、HIF−1α及びHIF−2αタンパク質発現の殆んど完全な阻害を示した(図5参照)。恒常的に発現するHIF−1βのレベルが薬物のいずれかによっても影響されないために、阻害は特異的である。図5は、BCN4、BP244及びBP228化合物が、HIF−1α及びHIF−2αを特異的に阻害するが、しかしHIF−1β、NIK、Hsp90、DR4、Bcl−2及びβ−アクチンのタンパク質発現に影響を有しないことを示している。これらの結果は、これらの化合物が特異的であり、そして一般的なタンパク質合成を阻害しないことを示している。
【0228】
実施例13.BCN4、BP244及びBP228は、低酸素症誘導VEGF分泌を減衰させる
BCN4及びBP244は、図6に示すように低酸素条件下でHep3BにおけるVEGF分泌を減少することを示した。HIF−1の減少は、VEGF分泌の低下レベルと密接に相関した。VEGF分泌の阻害は、更にA549(NSCLC)癌細胞においても証明された。Caki−1細胞を、示した化合物で処理し、そして低酸素下で16時間培養した。馴化培地中のVEGFレベルを、ELISAキットを使用して測定した。
【0229】
実施例14.細胞毒性薬剤により誘導された低酸素ストレス反応の阻害
ゲムシタビンのような標準的な化学治療剤は、A549センチネル系によって可視化されるように更に誘導された低酸素反応を示した。ここで、本出願人等は、BCN4、BP228及びBP244が、ゲムシタビンによって誘導されたA549センチネル系におけるストレス反応を阻害することができることを示す。同様な結果は、カルボプラチンでも得られた(示されていない)。
【0230】
実施例15.Na−K−ATPアーゼポンプ及び抗増殖活性
Na−K−ATPアーゼポンプは、アルファ及びベータサブユニットのヘテロ二量体である。アルファ鎖(135kD)は、触媒性サブユニットであり、そしてカチオン、ATP、およびグリコシド結合部位を含有する。より小さいグリコシル化されたベータサブユニット(35kD)は、主として膜挿入及び機能性酵素の適切な構築に関係する。哺乳動物の細胞において、四つの異なったα−アイソフォーム及び3個の別個のβ−アイソフォームが確認されている。α1は、殆んどの組織において発現し、一方α2アイソフォームは、主として骨格筋中に存在し、そして更に脳及び心臓においても検出されている。α3アイソフォームは、神経及び心臓組織中に特異的に発現する。β1及びβ2サブユニットは、β1が、広範に発現し、そしてβ2が、神経組織に限定されている支配的なアイソフォームである。
【0231】
BNC4の抗増殖活性が、細胞中のNa−K−ATPアーゼのレベルと相関しているか否かを決定するために、α−1及びα−3アイソフォームの発現を、リアルタイムRT−PRC(TaqMan)分析によって測定した。アルファサブユニットは、Na−K−ATPアーゼの触媒領域である。図8は、アルファ(α1+α3)サブユニットの発現レベル及びBNC4の抗増殖活性間に強い相関があることを示す。非常に低いレベルのα−鎖を発現している細胞系SNB75(CNS)及びRPMI−8226(白血病)は、A549(肺癌)又はPC−3(前立腺癌)細胞系と比較した場合、BNC4に対して非常に抵抗性である。
【0232】
実施例16.BCN4、BP228及びBP244は、Na−K−ATPアーゼ、生理学的受容体及び医薬的標的の活性をの阻害する
化合物を、Na−K−ATPアーゼ酵素に対するその活性について、in vitroの酵素アッセイで試験した。ATPアーゼ活性を、イヌの腎臓又はブタ大脳皮質のNa−K−ATPアーゼによってATPから遊離される無機リン酸塩の量として分析した。図9に示すように、全ての三つの化合物は、Na−K−ATPアーゼ(ブタの脳)を、投与量依存様式で阻害する。化合物BP244は、98μMのIC50で、BP228の二倍活性であった。
【0233】
実施例17.腎臓癌細胞系Caki−1に対するin vivoの活性
生後5ないし6週間の間の体重概略20gのメスのヌードマウス(nu/nu)に、皮下的(s.c.)に、ヌードマウス宿主のs.c.で増殖した腫瘍から回収したヒト腫瘍の断片を外套針によって植込んだ。腫瘍が概略60−75mgの大きさになった時点で(接種後約10−15日)マウスを処置及び対照グループの対にした。それぞれのグループは、8−10匹のマウスを含有していた。薬物又は対照の投与を、マウスを対にした日に開始した(1日目)。0.5μl/時の流量を持つポンプ(Alzet(登録商標)モデル202)を、それぞれのマウスの肩甲骨間にs.c.で植込んだ。マウスを秤量し、そして腫瘍の測定値をノギスを使用して一日目に始めて、週二回得た。これらの腫瘍の測定値を、標準的数式(W2×L)/2によってmgの腫瘍重量に転換した。実験を、対照グループの腫瘍の大きさが平均約1グラムに達した時点で終了した。終了時に、マウスを秤量し、犠牲にし、そしてその腫瘍を切除した。腫瘍を秤量し、そしてグループ当りの平均腫瘍重量を計算した。平均処置腫瘍重量の変化/平均対照腫瘍重量の変化×100(dT/dC)を100%から差引いて、それぞれのグループに対する腫瘍成長阻害(TGI)を得た。Caki−1を保有するヌードマウスの15mg/mlのBP244による処置は、83%の腫瘍成長阻害となった(図10参照)。データは、BP244がいずれかの不都合な影響もなくCaki−1腫瘍の成長速度を有意に減少したことを示す。
【0234】
実施例18.膵臓癌におけるゲムシタビンとの組合せにおけるBP−244のin vivoの活性
Panc−1腫瘍を、オスのヌードマウスの側腹部に皮下的(sc)に注射した。腫瘍が約60mgの大きさに達した後、15mg/mlのBP244を含有する浸透圧ポンプ(モデル2002、Alzet Inc.,流量0.5μl/時)を、マウスの反対側にscで植込んだ。対照マウスは、ベヒクル(10%カプチソール(captisol)、Cydex Inc.)を含有するポンプを受けた。標準的な化学治療剤で処置されたマウスは、ゲムシタビンの腹膜内注射の3日毎に40mg/kgの4回の処置(q3d×4)を受けた。実験を、対照グループの腫瘍の大きさが平均約1グラムに達した時点で終了した。終了時に、マウスを秤量し、犠牲にし、そしてその腫瘍を切除した。腫瘍を秤量し、そしてグループ当りの平均腫瘍重量を計算した。平均処置腫瘍重量の変化/平均対照腫瘍重量の変化×100(dT/dC)を100%から差引いて、それぞれのグループに対する腫瘍成長阻害(TGI)を得た。
【0235】
用量設定実験を、まずヌードマウスにおけるPanc−1ヒト膵臓異種移植片に対するその最小有効投与量を決定するためにBP244に対して行った。BP244(sc、浸透圧ポンプ)を、まず、先の実験のようにAlzetポンプを使用して、15、10及び5mg/mlで試験した。ゲムシタビン(40mg/kg;q3d×4、i.p.)も、更に比較として実験に加えた。図11Aに示すように、15mg/mlにおけるBP244は、殆んど100%のTGIで、10mg/mlと等価であった。5mg/mlで、BP244(TGI71%)は、ゲムシタビン(TGI65%)と同様に有効であった。
【0236】
組合せ研究を、BP244及びゲムシタビンを使用して行った(図11B)。5mg/mlのBP244を、組合せ研究に使用した。ゲムシタビン及びBP244の両方を使用した組合せ治療は、ゲムシタビン(40mg/kg)及びBP244の両方の最適値以下の投与量が、一緒に使用された場合、個々の薬剤のより高い投与量によってのみ達成される最大の効果を産生するような、組合せ効果(TGI94%)を産生する。グループのいずれかおいても死亡はなく、そして平均の体重喪失は、10%より少なかった。
【0237】
全体として、BCN4、BP244及びBP228は、Panc−1モデルに対する、印象的な単一薬剤及び組合せ抗腫瘍活性を証明した。データを、以下の表3に要約する。
【0238】
【表3】
【0239】
実施例19.3−エステルに対するin vitroのデータ
3−エステル誘導体に対するin vitroデータを、表4の与える。“AICAR−RA”は、AMP類似体5−アミノイミダゾール−4−カルボキシ−アミドリボシド(AICAR)に対するレポーターアッセイ(RA)を指し、これは、グルコース代謝の阻害の指標である。
【0240】
【化59】
【0241】
【表4A】
【0242】
【表4B】
【0243】
実施例20.3−カルバミン酸塩に対するin vitroのデータ
3−カルバミン酸誘導体に対するin vitroデータを、表5に与える。
【0244】
【化60】
【0245】
【表5A】
【0246】
【表5B】
【0247】
実施例21.3−オキシムエーテルに対するin vitroデータ
3−オキシムエーテル誘導体に対するin vitroデータを、表6に与える。
【0248】
【化61】
【0249】
【表6A】
【0250】
【表6B】
【0251】
実施例22.その他の化合物に対するin vitroのデータ
本発明の化合物に対するin vitroデータを、表7に与える。
【0252】
【表7A】
【0253】
【表7B】
【0254】
【表7C】
【0255】
実施例23.マウスにおけるIP投与後の薬物動態
マウスにおけるBCN4、BP228及びBP244の薬物動態学的特性を、図13に与える。化合物は、腹膜内(i.p.)注射によって、BP228に対して2.5mg/kg、及び5.0mg/kg、そしてBNC4及びBP244に対して5.0mg/kgで投与した。血漿試料を各種の時点で収集し、そして化合物の濃度をLC−MSによって分析した。
【0256】
2.5及び5.0mg/kgの腹膜内投与後の血清BNC228に対する平均濃度−時間特性は、同様であり、得られた最大値濃度は、それぞれ投与後、10分(0.167時間;tmax)及び5分(0.083時間)であり、そして次いで見掛け多相性様式で低下した。平均濃度は、両方の投与量において6時間まで測定可能(tlast)であり、そして見掛け最終排出半減期は、同様に2.5mg/kgで1.5時間、そして5mg/kgで1.9時間であった。
【0257】
5mg/kgの投与量における血清BP244に対する平均濃度−時間特性は、投与後、30分(0.5時間;tmax)におけるCmaxへの濃度の増加、そして次いで24時間(tlast)までの一般的な低下、4.5時間の最終排出半減期の推定値によって特徴づけられる。
【0258】
5mg/kgの投与後の血清BNC4に対する平均濃度は、最初の試料採取時(5分)までに殆んど最大レベルまで増加し、そして投与後30分まで概略このレベルを維持し、Cmaxは、15分(0.25時間;tmax)において観察された。次いで濃度は6時間の試料採取時(tlast)まで、0.80時間の最終排出半減期の推定値に低下した。
【0259】
血清BP228に対するCmaxは、概略投与量比例様式で、2.5mg/mLで715ng/mLから5mg/mLで1200ng/mLまで増加した。それぞれ5mg/kgで投与されたBP244及びBNC4に対するCmaxは、それぞれ2120ng/mL及び3610ng/mLであった。
【0260】
血清BP228に対するAUCも、更に見掛け投与量比例様式で、2.5mg/kgで1020ng・時/mLから5mg/kgで2350ng・時/mLまで増加した。それぞれ5mg/kgで投与されたBP244及びBNC4に対するAUCは、それぞれ4630ng・時/mL及び4570ng・時/mLであった。
【0261】
薬物動態学的データを、以下の表8に要約する。
【0262】
【表8】
【0263】
他の態様
本明細書中に記述された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの独立の刊行物又は特許出願が、具体的に、そして個々に参考文献として援用されることが示されると同程度に、本明細書中に参考文献として援用される。
【0264】
本発明は、その具体的な態様に関して記載されてきたが、更なる改変が可能であり、そして本出願が、一般的に本発明の原理に従って、そして本発明が関連する当技術において既知の又は習慣的実施に含まれる本開示からのこのような逸脱を含み、そして本明細書中に先に記載した本質的特徴に適用することができる、本発明のいずれかの変更、使用、又は適合を包含し、そして特許請求の範囲において追随されことを意図していることは理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】図1は、複数の生存因子の活性化に導く低酸素症に対する細胞の適合を示す略図である。HIFファミリーは、多くの遺伝子を転写的に活性化し、そして解糖エネルギー代謝、血管新生、細胞生存及び増殖、並びに赤血球新生のために必要な因子を有効にするマスタースイッチとして作用する。細胞中に存在するHIFタンパク質のレベルは、低酸素症、増殖因子、アンドロゲン及び他の因子のような因子に反応するその合成の速度によって調節される。HIFの分解は、細胞中の反応性酸素種(ROS)のレベルに一部依存する。ROSは、HIFのユビキチン化及び分解に導く。
【図2】図2は、ヒト腫瘍細胞(Caki−1及びPanc−1細胞)における低酸素症仲介のHIF−1α誘導を阻害するウアバイン(BNC1)及びBNC4のウェスタンブロット分析の比較である。
【図3】図3は、プロスシラリジン(BNC4)が、正常酸素圧下のプロリル−ヒドロキシラーゼ阻害剤(ミモシン)によるHIF−1α誘導を遮断することを示すウェスタンブロット分析である。
【図4】図4A−4Dは、24時間の、5nMのBNC4(図4A)、BP228(図4B)、及びBP244(図4C)で処理されたA549センチネル系のベータ−gal活性のFACS分析を、ベヒクルのみ(グラフの影付きの部分として示す)と比較して示すグラフである。グラフは、細胞の度数(Y軸)及び経路の活性の基準としての蛍光の強度(X軸)を示す。棒グラフ(図4D)は、FACS曲線の相対中央値蛍光単位を示す。
【図5】図5A及び5Bは、低酸素条件下でBNC4、BP228及びBP244で処理されたCaki−1(腎臓癌、図5A)、A549(肺癌、図5A)、Panc−1(膵臓癌、図5A)及びHep3B(肝臓癌、図5B)細胞における低酸素症仲介HIF−1α誘導の阻害を示すウェスタンブロット分析である。これらの結果は、これらの化合物が特異的であり、そして全身的タンパク質合成を阻害しないことを示している。
【図6】図6は、VEGFの分泌に対するBP228及びBP244の効果を示す二つのグラフである。Caki−1細胞を示された化合物で処理し、そして低酸素下で16時間インキュベートした。馴化培地中のVEGFレベルを、ELISAキットを使用して測定した。
【図7】図7A−7Eは、ゲムシタビン(図7A)又は示された化合物の存在中のゲムシタビン(図7B−7D)による処理によって誘導されたA549センチネル系のストレス反応を示すグラフである。未処理(対照)試料は、影付きで示す。棒グラフ(図7E)は、蛍光強度の相対的レベル(対照に対する)を示す。これらのデータは、BNC4、BP228及びBP244が、ゲムシタビンによって誘導されたA549センチネル系のストレス反応を阻害することができることを示す。同様な結果は、パクリタキセル、カルボプラチン、及びミトキサントロンのような低酸素ストレスを誘導する他の化学治療剤に対して達成することができる。
【図8】図8は、蛍光標識されたTaqManプローブを使用してリアルタイムRT−PCR(TaqMan)によって定量されたα−1及びα−3アイソフォームのmRNAレベルを示すグラフである。示された細胞系に対するBNC4の抗増殖(IC50値)活性を、MTSアッセイによって決定した。全アルファレベル(α1+α3)を、(1/IC50)×100の値に対してプロットした。図8は、アルファ(α1+α3)サブユニット発現レベル及びBNC4の抗増殖活性間に強い相関関係があることを示す。α−鎖を非常に低いレベルで発現している細胞系SNB75(CNS)及びRPMI−8226(白血病)は、A549(肺癌)又はPC−3(前立腺癌)細胞系と比較した場合、BNC4に対して非常に抵抗性である。
【図9】図9は、Na−K−ATPアーゼによるPi放出の速度に対するBNC4、BP228、及びBP244の投与量依存性効果を示すグラフである。それぞれの化合物に対するブタの脳からのNa−K−ATPアーゼの活性を阻害する効力(IC50)を、カッコで示す。
【図10】図10は、BP244の、腎臓癌細胞系Caki−1に対するin vivoの活性を示すグラフである。
【図11】図11A及び11Bは、膵臓癌に対する単独のBP244(図11A)及びゲムシタビンとの組合せ(図11B)における、in vivoの活性を示すグラフである。図11Aに示すように、15mg/mlのBP244は、殆んど100%のTGI(本明細書中で使用する場合、TGIは、腫瘍増殖阻害を指す)で10mg/mlに等価であった。5mg/mlにおいて、BP244(TGI71%)は、ゲムシタビン(TGI65%)と同様に有効であった。ゲムシタビン及びBP244の両方を使用する組合せ治療は、組合せ効果(TGI94%)を生じ、ゲムシタビン(40mg/ml)及びBP244の両方の最適値以下の投与量が一緒に使用された場合、単独の個々の薬剤のより高い投与量によってのみ達成される最大の効果を生じる。
【図12】図12は、膵臓癌に対する単独のBP228及びゲムシタビンとの組合せのin vivoの活性を示すグラフである。Panc−1異種移植片に対するBP228の抗腫瘍性活性を、10mg/ml及び15mg/mlで、ゲムシタビンを伴って(ip;40mg/kg、q3d×4)及び伴わずに決定した。10mg/mlのBP288(66%のTGI)は、ゲムシタビンの活性(65%のTGI)に等価であり、一方BP228(10mg/ml)及びゲムシタビン(40mg/kg、q3d×4)の組合せは、93%のTGIを与えた。
【図13】図13は、マウスにおけるBNC4、BP228及びBP244の薬物動態学的分析データを示すグラフである。化合物を、BP228に対して2.5mg/kg及び5.0mg/kgで、そしてBNC4及びBP244に対して5.0mg/kgで腹腔内(i.p)注射によって投与した。血漿の試料を各種の時点で収集し、そして化合物の濃度をLC−MSで分析した。薬物動態学的変数を実施例23に与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I又はII:
【化1】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグであって、式中、
R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いは
R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか;或いは
R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、そしてR3A又はR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;或いは
R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;
R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;
R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;
R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;
R17βは、以下の式:
【化2】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R17αは、H又はOHであり;そして
R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、
前記化合物。
【請求項2】
以下の式Ia又はIIa:
【化3】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグであって、式中、
R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;
R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;
R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;
R17βは、以下の式:
【化4】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R17αは、H又はOHであり;
R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そして
R40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、
前記化合物。
【請求項3】
R1、R3α、R5、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれが、Hである、請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
R6及びR18のそれぞれが、CH3である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R14が、OHである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R3βが、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R17βが、以下の式:
【化5】
である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R17βが、以下の式:
【化6】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R3βが、NH−Sacであり、Sacが、以下の式:
【化7】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、以下の式:
【化8】
である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、以下の式:
【化9】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R3α及びR3βが一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R3α及びR3βが一緒に、=NOR3Pであり、ここにおいて、R3Pは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、以下の式:
【化10】
である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介される哺乳動物の疾患を治療するための方法であって、前記疾患を治療するために十分な量の請求項1ないし14のいずれか1項に記載の化合物を、前記哺乳動物に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項16】
前記疾患が、病原性血管新生によって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、眼疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記眼疾患が、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性症、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾病、白内障手術後の過剰の血管新生、又は増殖性硝子体網膜症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、腫瘍性疾患である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記腫瘍性疾患が、膀胱、乳房、腸、腎臓、肝臓、肺、頭頚部、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺、前立腺、又は皮膚の癌腫;リンパ系造血性癌;骨髄系の造血性癌;間葉由来の癌;中枢又は末梢神経系の癌;黒色腫;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;甲状腺濾胞腺癌;又はカポジ肉腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞におけるVEGFの発現を減少するための方法であって、前記細胞を、前記VEGFの発現を減少するために十分な量の請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物と接触させることを含んでなる、前記方法。
【請求項22】
腫陽性疾患を持つ患者を治療するための方法であって、前記患者に、(i)請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物、及び(ii)抗増殖性薬剤を投与することを含んでなり、ここにおいて、前記化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時に、又は互いに14日以内に、それぞれ前記腫瘍性疾患を治療するために一緒になって十分な量で投与される、前記方法。
【請求項23】
前記抗増殖性薬剤が、アルキル化剤、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニスト、プリンアンタゴニスト、有糸分裂阻害剤、DNAトポイソメメラーゼ(topomerase)II阻害剤、DNAトポメイソメラーゼ(topomerase)I阻害剤、タキサン、DNA干渉物質、アロマターゼ阻害剤、5−アルファ−レダクターゼ阻害剤、エストロゲン阻害剤、アンドロゲン阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、レチノイン酸誘導体、及び低酸素選択性細胞毒から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗増殖性薬剤が、ゲムシタビンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(i)請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物;及び
(ii)低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介された疾患を持つと診断された患者に、前記化合物を投与するための説明書;
を含んでなるキット。
【請求項26】
更に、抗増殖性薬剤を含んでなる、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時投与のために一緒に処方される、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
R3α及びR3βが一緒に=NOR3Pである、請求項1に記載の化合物を合成するための方法であって、H2NOR3Pを、3−オキソカルジオリド(cardiolide)又は3−オキソブファジエノリド(bufadienolide)と縮合させる工程を含んでなり、ここにおいて、R3Pは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、前記方法。
【請求項29】
R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである請求項2に記載の化合物を、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである対応するアジドから合成するための方法であって、前記対応するアジドを還元して、アミンを形成する工程を含んでなり、ここにおいて、β−アジド−Sacが、以下の式s1によって記述され、そしてβ−アミノ−Sacが、以下の式s2:
【化11】
によって記述される、前記方法。
【請求項30】
R3α又はR3βがO−Sac又はNH−Sacである請求項1又は2に記載の化合物を合成するための方法であって、HO−Sacを、カルジオリド又はブファジエノリドと縮合させる工程を含んでなり、ここにおいて、Sacは、以下の式:
【化12】
によって記述され、式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、前記方法。
【請求項1】
以下の式I又はII:
【化1】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグであって、式中、
R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル(alkheterocyclyl)、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いは
R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacであり、ここで、R3C、R3D、R3E、R3F、R3G、R3H、R3I、R3J、R3K、及びR3Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そしてSacは、サッカリドであるか;或いは
R3α及びR3βのそれぞれは、独立にH、OR3A又はOC(O)R3Bであり、そしてR3A又はR3Bのそれぞれは、独立にC2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;或いは
R3α及びR3βは一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり、そして但し、R3α及びR3βの少なくとも一つは、水素ではないことを条件とし;
R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;
R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;
R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;
R17βは、以下の式:
【化2】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R17αは、H又はOHであり;そして
R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、
前記化合物。
【請求項2】
以下の式Ia又はIIa:
【化3】
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又はプロドラッグであって、式中、
R1、R5、R7、R11、及びR12のそれぞれは、独立にH;OH、OR1A、又はOC(O)R1Aであり、ここで、R1Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R6は、CH3、CH2OR6A、又はCH2OCOR6Aであり、ここで、R6Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R14は、OH、Cl、OR14A、又はOC(O)R14Aであり、ここで、R14Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR14、R15β、及びこれらが結合している炭素は、一緒にエポキシドを表し;
R15α及びR15βのそれぞれは、独立にH、OH、OR15A、又はOC(O)R15Aであり、ここで、R15Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR15α及びR15βは一緒に、=Oであり;
R16α及びR16βのそれぞれは、独立にH、OH、OR16A、又はOC(O)R16Aであり、ここで、R16Aは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR16α及びR16βは一緒に、=Oであり;
R17βは、以下の式:
【化4】
であり、ここで、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、及びR30のそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;
R17αは、H又はOHであり;
R18は、CH3、CH2OR18A、又はCH2OCOR18Aであり、ここで、R18Aは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロ−シクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであり;そして
R40は、F、Cl、CF3、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてここで、R40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか;或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、
前記化合物。
【請求項3】
R1、R3α、R5、R7、R11、R12、R15α、R15β、R16α、及びR16βのそれぞれが、Hである、請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
R6及びR18のそれぞれが、CH3である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R14が、OHである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R3βが、OC(O)NHR3C、OC(O)NR3DR3E、NH2、NHR3F、NR3GR3H、NHC(O)R3I、NHC(O)OR3J、NR3KC(O)OR3L、又はNH−Sacである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R17βが、以下の式:
【化5】
である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R17βが、以下の式:
【化6】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R3βが、NH−Sacであり、Sacが、以下の式:
【化7】
によって記述され;式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり;そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40B及びR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、以下の式:
【化8】
である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、以下の式:
【化9】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R3α及びR3βが一緒に、=NNR3MR3N、又は=NOR3Pであり、ここにおいて、R3M、R3N及びR3Pのそれぞれは、独立にH、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R3α及びR3βが一緒に、=NOR3Pであり、ここにおいて、R3Pは、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、以下の式:
【化10】
である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介される哺乳動物の疾患を治療するための方法であって、前記疾患を治療するために十分な量の請求項1ないし14のいずれか1項に記載の化合物を、前記哺乳動物に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項16】
前記疾患が、病原性血管新生によって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、眼疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記眼疾患が、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性症、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾病、白内障手術後の過剰の血管新生、又は増殖性硝子体網膜症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、腫瘍性疾患である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記腫瘍性疾患が、膀胱、乳房、腸、腎臓、肝臓、肺、頭頚部、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺、前立腺、又は皮膚の癌腫;リンパ系造血性癌;骨髄系の造血性癌;間葉由来の癌;中枢又は末梢神経系の癌;黒色腫;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;甲状腺濾胞腺癌;又はカポジ肉腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞におけるVEGFの発現を減少するための方法であって、前記細胞を、前記VEGFの発現を減少するために十分な量の請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物と接触させることを含んでなる、前記方法。
【請求項22】
腫陽性疾患を持つ患者を治療するための方法であって、前記患者に、(i)請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物、及び(ii)抗増殖性薬剤を投与することを含んでなり、ここにおいて、前記化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時に、又は互いに14日以内に、それぞれ前記腫瘍性疾患を治療するために一緒になって十分な量で投与される、前記方法。
【請求項23】
前記抗増殖性薬剤が、アルキル化剤、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニスト、プリンアンタゴニスト、有糸分裂阻害剤、DNAトポイソメメラーゼ(topomerase)II阻害剤、DNAトポメイソメラーゼ(topomerase)I阻害剤、タキサン、DNA干渉物質、アロマターゼ阻害剤、5−アルファ−レダクターゼ阻害剤、エストロゲン阻害剤、アンドロゲン阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、レチノイン酸誘導体、及び低酸素選択性細胞毒から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗増殖性薬剤が、ゲムシタビンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(i)請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物;及び
(ii)低酸素誘導因子−1(HIF−1)によって仲介された疾患を持つと診断された患者に、前記化合物を投与するための説明書;
を含んでなるキット。
【請求項26】
更に、抗増殖性薬剤を含んでなる、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記化合物及び前記抗増殖性薬剤が、同時投与のために一緒に処方される、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
R3α及びR3βが一緒に=NOR3Pである、請求項1に記載の化合物を合成するための方法であって、H2NOR3Pを、3−オキソカルジオリド(cardiolide)又は3−オキソブファジエノリド(bufadienolide)と縮合させる工程を含んでなり、ここにおいて、R3Pは、H、C1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルク−ヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルである、前記方法。
【請求項29】
R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである請求項2に記載の化合物を、R3α又はR3βがO−β−アミノ−Sacである対応するアジドから合成するための方法であって、前記対応するアジドを還元して、アミンを形成する工程を含んでなり、ここにおいて、β−アジド−Sacが、以下の式s1によって記述され、そしてβ−アミノ−Sacが、以下の式s2:
【化11】
によって記述される、前記方法。
【請求項30】
R3α又はR3βがO−Sac又はNH−Sacである請求項1又は2に記載の化合物を合成するための方法であって、HO−Sacを、カルジオリド又はブファジエノリドと縮合させる工程を含んでなり、ここにおいて、Sacは、以下の式:
【化12】
によって記述され、式中、R40は、F、Cl、CF3、OH、NH2、NHR40A、NR40BR40C、NHC(O)R40D、NHC(S)R40E、NHC(O)OR40F、NHC(S)OR40G、NHC(O)NHR40H、NHC(S)NHR40I、NHC(O)SR40J、NHC(S)SR40K、又はNHS(O)2R40Lであり、そしてR40A、R40B、R40C、R40D、R40E、R40F、R40G、R40H、R40I、R40J、R40K、及びR40Lのそれぞれは、独立にC1−7アルキル、C2−7アルケニル、C2−7アルキニル、C2−6ヘテロシクリル、C6−12アリール、C7−14アルカリール、C3−10アルクヘテロシクリル、又はC1−7ヘテロアルキルであるか、或いはR40BおよびR40Cは、結合して、少なくとも一つの窒素原子を含有するC2−6ヘテロシクリルを形成する、前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−522383(P2009−522383A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550353(P2008−550353)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/000340
【国際公開番号】WO2007/081835
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/000340
【国際公開番号】WO2007/081835
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】
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