説明

作業機械の油圧駆動装置

【課題】メータイン側の圧力低下を防ぎ、安定して負荷を下げられる作業機械の油圧駆動装置を提供する。
【解決手段】油圧ポンプ2と、エンジン1と、油圧アクチュエータ4と、操作装置6と、下げ駆動時のメータイン流路、メータアウト流路、及び再生流路83を含む作業用油圧回路と、操作装置6に対応して作動油供給量を変化させる方向切換弁3と、再生用流路83の上流側のメータアウト流量調節器14と、再生流路83下流側の背圧弁15と、チェック弁13と、メータイン流路の圧力が設定圧以上となったときに開弁する非再生運転用リリーフ弁16を含む。その設定圧は、背圧弁15の設定圧最小値とメータアウト流量が最大でかつポンプ2の吐出流量が最大時のメータアウト流量調整器14の前後差圧と油圧アクチュエータ4を無負荷で駆動するのに必要な差圧との総和に相当する圧力以上に設定され、かつ、背圧弁15の設定圧の最大値以上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン等の作業機械において吊り荷等の負荷をその自重落下方向と同じ方向に駆動するための油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷をその自重落下方向と同じ方向に駆動するための装置として、例えば吊り荷をワイヤによって吊るウインチを巻下げ方向に駆動するための巻下げ駆動装置がある。この装置では、巻下げ駆動時にメータイン側の圧力が低下しキャビテーションを起こし失速することで吊り荷が落下することを防ぐことが重要である。
【0003】
このようなメータイン側の圧力の低下を防ぐ手段として、特許文献1には、いわゆる外部パイロット式のカウンタバランス弁をメータアウト側流路に設けることが記載されている。この外部パイロット式カウンタバランス弁は、メータイン側の圧力が設定圧以下となった場合にメータアウト側の流路を絞るように作動し、これにより、当該メータイン側の圧力の過剰な低下を防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−310201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の外部パイロット式カウンタバランス弁は、その圧力の計測点をメータイン側に有する一方、圧力の制御点をメータアウト側に有するものであって、計測点と制御点の位置が異なる、いわゆる制御理論上コロケーションがとれていない制御を行うものであるから、本質的に不安定であり、ハンチングを起こしやすいという問題がある。
【0006】
前記ハンチングを防ぐ手段として、前記カウンタバランス弁の開弁動作に大きな減衰を与えるような絞りをパイロット油路に設ける手段が存在するが、この絞りはカウンタバランス弁の開弁時間を長引かせてその応答性を低下させ、さらには、当該カウンタバランス弁が開き切るまでの間に弁に大きな絞り抵抗を生じさせることで不必要なブースト圧を発生させてしまうという欠点がある。
【0007】
前記ハンチングを防ぐための別の技術として、前記特許文献1には、メータイン側流路とメータアウト側流路とを連通する連通弁と、両流路の差圧が小さくなる方向にメータイン流量を制御する流量調整弁とを備えることが記載されているが、この技術では安定した巻下げ速度を得ることが難しい。すなわち、巻下げ制御回路では、一般に、メータアウト側に吊り荷の重量に対応した保持圧が発生することから、吊り荷の負荷が大きいほどメータイン側とメータアウト側との差圧が大きくなり、この差圧の増大に伴ってメータイン側の前記流量調整弁の開度が増加されてメータイン流量を増やしてしまう。従って、この装置では、負荷の大きさによって巻下げ速度が大きく変動することになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、従来のカウンタバランス弁の欠点であるハンチングや大きなブースト圧の発生を伴うことなく、メータイン側の過剰な圧力の低下を防ぎ、かつ、安定した速度で負荷をその自重落下方向と同じ方向である下げ方向に駆動することができる作業機械の油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、油圧を利用して負荷をその自重による落下方向と同じ向きの下げ方向に駆動するための作業機械の油圧駆動装置であって、油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動して作動油を吐出させる動力源と、第1ポート及び第2ポートを有し、前記第1ポートに前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて前記第2ポートから作動油を排出することにより前記負荷を前記下げ方向に駆動する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータの動作速度を指定するために操作される操作装置と、前記負荷を下げ方向に駆動するときに前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータの第1ポートに作動油を導くためのメータイン流路、前記負荷を前記下げ方向に駆動するときに前記油圧アクチュエータの第2ポートから排出された作動油をタンクに導くためのメータアウト流路、及びこのメータアウト流路を前記メータイン流路に連通する再生流路を含む作業用油圧回路と、前記操作装置により指定された速度で前記油圧アクチュエータを作動させるように前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を変化させるコントロールバルブと、前記メータアウト流路においてこのメータアウト流路に前記再生流路が接続される位置よりも上流側での当該メータアウト流路における前記作動油の流量であるメータアウト流量を前記操作装置により指定された速度に対応する流量に調節するメータアウト流量調節器と、前記メータアウト流路においてこのメータアウト流路に前記再生流路が接続される位置よりも下流側の位置に設けられて設定された背圧を発生させる背圧弁と、前記再生流路に設けられ、この再生流路での前記作動油の流れの方向を前記メータアウト流路から前記メータイン流路に向かう方向に限定するチェック弁と、前記メータイン流路の圧力が設定圧以上となったときに開弁して当該メータイン流路を流れる作動油をタンクに導くことで当該メータイン流路の圧力の上限を規定する非再生運転用リリーフ弁と、を含み、この非再生運転用リリーフ弁の設定圧は、前記背圧弁の設定圧の最小値と前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量が最大でかつ前記油圧ポンプの吐出流量が最大であるときの当該メータアウト流量調整器の前後の差圧と前記油圧アクチュエータを無負荷で駆動するのに必要なアクチュエータ差圧との総和に相当する圧力または当該総和よりも大きな圧力に設定され、かつ、前記背圧弁の設定圧の最大値以上の圧力に設定されている。なお、前記背圧弁の設定圧が固定されている場合にはその最大値と最小値が同値であることはいうまでもない。
【0010】
この装置では、メータアウト流路に設けられたメータアウト流量調整器がメータアウト流量を指定された速度に対応する流量に調節することにより、負荷の大きさにかかわらずその下げ方向の速度を操作装置の操作に対応した速度に維持して高い操作性及び安全性の実現を可能にする。
【0011】
さらに、その下流側の背圧弁と、再生流路と、メータイン流路側の非再生運転用リリーフ弁との組み合わせが、従来のカウンタバランス弁を用いることなくメータイン側圧力の最低圧を補償してメータイン側でのキャビテーションの発生を防ぐことを可能にする。具体的に、前記メータイン流量が前記メータアウト流量を下回る場合には、メータアウト流路を流れる作動油の一部が背圧弁の上流側から再生流路を通じてメータイン流路側に供給されることにより、メータイン流量の不足によるメータイン圧力の低下が防がれる。逆に、前記メータイン流量が前記メータアウト流量を上回る場合には、メータアウト流路から再生流路を通じてのメータイン流路側への作動油供給はなく、当該メータイン流路に設けられた非再生運転用リリーフ弁が当該メータイン流路の圧力が設定圧に達した時点で開弁することにより、その圧力の上限を規定する。
【0012】
さらに、この非再生運転用リリーフ弁の設定圧は、前記背圧弁の設定圧の最小値と前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量が最大でかつ前記油圧ポンプの吐出流量が最大であるときの当該メータアウト流量調整器の前後の差圧と前記油圧アクチュエータを無負荷で駆動するのに必要なアクチュエータ差圧との総和に相当する圧力または当該総和よりも大きな圧力に設定されているから、前記メータアウト流路から前記再生流路を通じて前記メータイン流路に作動油を供給せずかつ前記背圧弁の設定圧を最小にした状態で前記油圧アクチュエータを無負荷で駆動するための最低限のメータイン圧力が保証される。また、当該非再生運転用リリーフ弁の設定圧は、当該背圧弁の設定圧の最大値以上の圧力に設定されているから、当該背圧弁の設定圧を最大値にした状態でメータアウト流路から再生流路を通じてのメータイン流路への作動油の供給すなわち再生運転が行われているときに前記非再生運転用リリーフ弁が開弁してメータイン圧力の上昇を妨げることが、防がれる。
【0013】
前記メータアウト流量調整器としては、前記操作装置の操作に応じて流路面積が変化するメータアウト絞りと、このメータアウト絞りの前後差圧が予め設定された圧力になるようにメータアウト流量を変化させるメータアウト流量調整弁とを含むものが、好適である。当該メータアウト絞り及び当該流量調整弁の組み合わせは、簡素な構成で負荷の大きさにかかわらずその下げ駆動速度を前記操作装置の操作内容に対応した速度に維持することを可能にする。
【0014】
本発明では、前記油圧アクチュエータとして正逆両方向に動作可能なもの、より具体的には、その前記第1ポートに作動油の供給を受けて前記第2ポートから作動油を排出する状態で前記負荷を下げ方向に駆動する一方、その第2ポートに作動油の供給を受けて第1ポートから作動油を排出する状態で前記負荷を上げ方向に駆動するものを用いることにより、前記負荷を下げ方向だけでなく上げ方向にも駆動できるようにすることが、好ましい。そのためには、前記コントロールバルブが、前記油圧ポンプから吐出された作動油が前記油圧アクチュエータに供給されるのを阻止する中立位置と、前記油圧ポンプから吐出された作動油を前記メータイン流路を通じて前記油圧アクチュエータの第1ポートに導き、当該油圧アクチュエータの第2ポートから吐出された作動油を前記メータアウト流路を通じてタンクに戻す下げ駆動位置と、前記油圧ポンプから吐出された作動油を前記油圧アクチュエータの第2ポートに導く流路及び当該油圧アクチュエータの第1ポートから吐出された作動油を前記タンクに戻す流路を形成する上げ駆動位置と、を有する方向切換弁であればよい。
【0015】
この場合、前記方向切換弁が、前記下げ駆動位置及び前記上げ駆動位置にそれぞれ対応するパイロットポートを有し、パイロット圧が入力されるパイロットポートに対応した方向にそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から作動するパイロット切換弁であり、前記操作装置が、パイロット油圧源と、このパイロット油圧源と前記各パイロットポートとの間に介在してこれらのパイロットポートのうちその操作内容に対応したパイロットポートに当該操作内容に対応したパイロット圧を供給するリモコン弁とを含むものであれば、当該パイロット圧を利用して前記メータアウト絞りを前記リモコン弁の操作内容に容易に対応させることが可能である。
【0016】
例えば、前記操作装置の操作内容に対応した方向及びストロークでその中立位置から下げ駆動位置または上げ駆動位置に作動するとともに、その下げ駆動位置で絞りを含み、この絞りが当該方向切換弁のストロークに対応して変化するものであれば、当該方向切換弁の下げ駆動位置での絞りを前記メータアウト流量調整器のメータアウト絞りとして利用することにより、回路の構成がより簡素化される。
【0017】
また、この装置は、前記油圧ポンプの回転数及び前記動力源の回転数のいずれかを検出する回転検出器と、この回転検出器が検出する回転数が低いほど前記操作装置に対応して前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量を減らすメータアウト流量低減手段をさらに備えることが、好ましい。このメータアウト流量低減手段は、前記油圧ポンプもしくは前記動力源の回転数の低下により前記油圧ポンプの吐出流量が減少した場合に、前記操作装置の操作に対応して調整されるメータアウト流量を減らして前記油圧アクチュエータの動作速度を下げることにより、微操作を容易化することが可能である。
【0018】
この場合、上述のパイロット切換弁からなる方向切換弁を備え、前記操作装置として前記リモコン弁を備える装置では、前記メータアウト流量低減手段は、当該リモコン弁と前記方向切換弁の下げ駆動側パイロットポートとの間に介在するとともにその二次圧が可変であるパイロット用減圧弁と、このパイロット用減圧弁の二次圧を前記回転検出器の検出する回転数が低いほど減少させる減圧弁操作器とを含むことで、前記方向切換弁のパイロット回路を利用した簡素な構成で前記メータアウト流量の低減を行うことができる。
【0019】
前記背圧弁の設定圧は一定でもよいが、前記メータイン流路の圧力の上昇に伴って当該背圧弁の設定圧が低下するものであることが、好ましい。このような設定圧の変化は、高い背圧を要しない場合、例えば、メータイン流量がメータアウト流量よりも大きくて再生流路によりメータイン流路に作動油を供給する必要がない場合や、負荷を下げ方向とは逆の上げ方向に駆動する場合に、当該背圧弁の設定圧すなわち背圧を低く抑えて圧力損失を低減し、これにより、必要ポンプ動力を節減できることを可能にする。
【0020】
具体的には、前記メータイン流路の圧力だけ前記背圧弁の設定圧を下げるように当該メータイン流路の圧力を当該背圧弁に導入する油路を具備するものが、好適である。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、従来のカウンタバランス弁の欠点であるハンチングや大きなブースト圧の発生を伴うことなく、メータイン側の過剰な圧力の低下を防ぎ、かつ、安定した速度で負荷をその自重落下方向と同じ方向である下げ方向に駆動することができる作業機械の油圧駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る作業機械の油圧駆動装置を示す回路図である。
【図2】図1に示す装置の要部を模式的に示した回路図である。
【図3】(a)は図1に示す装置のリモコン弁のレバー操作量とメータアウト流量調整器におけるメータアウト絞りの開口面積との関係を示すグラフ、(b)は当該レバー操作量と当該メータアウト流量調整器が調整するメータアウト流量との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は前記レバー操作量とブリードオフ絞り及びメータイン絞りのそれぞれの開口面積との関係を示すグラフ、(b)は同レバー操作量とメータイン流量との関係を示すグラフである。
【図5】比較例に係る油圧駆動装置の回路図である。
【図6】(a)及び(b)は図5に示す装置において生じ得るカウンタバランス弁の開度及びメータイン圧のそれぞれのハンチングを示すグラフである。
【図7】(a)は前記カウンタバランス弁の開弁直後の弁開度の時間変化を示すグラフ、(b)は当該弁開度の変化に伴うメータイン圧の時間変化を示すグラフである。
【図8】(a)は図1に示す装置及び図5に示す装置でのメータイン圧の時間変化を示すグラフ、(b)は図1に示す装置及び図5に示す装置での燃料消費量の時間変化を示すグラフである。
【図9】図1に示す装置でのメータイン圧と背圧弁の設定圧との関係を示すグラフである。
【図10】図1に示す装置においてエンジン回転数が高い場合及び低い場合での巻下げ方向のリモコン圧とコントローラが制御する電磁減圧弁の二次圧との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る作業機械の油圧駆動装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、前記第1の実施の形態に係る油圧作業装置の全体構成を示す回路図であり、図2は同装置の要部を模式的に示したものであって、特に巻下げ駆動時における作動油の流れを簡潔に示したものである。以下、図1を主に参照して説明を行う。
【0024】
図1に示す装置は、エンジン1と、油圧ポンプ2と、油圧モータ4と、作業用油圧回路と、前記油圧モータ4の回転速度を操作するための操作装置6と、方向切換弁3と、メータアウト流量調整弁14と、背圧弁15と、チェック弁13と、非再生運転用リリーフ弁である低圧リリーフ弁16と、を備える。
【0025】
前記エンジン1は、前記油圧ポンプ2の動力源となるもので、このエンジン1にはその回転数であるエンジン回転数を検出する回転検出器であるエンジン回転数センサ17が設けられている。前記油圧ポンプ2は、前記エンジン1により駆動され、これによりタンク内の作動油を吐出する。この実施の形態では、当該油圧ポンプ2に可変容量型油圧ポンプが用いられている。
【0026】
前記油圧モータ4は、本発明に係る油圧アクチュエータの一例であり、ウインチドラム5を有するウインチ装置に組み込まれ、当該ウインチドラム5を正逆両方向に回転させることで負荷である吊り荷7を昇降させる。具体的に、この油圧モータ4は、第1ポート4aと第2ポート4bとを有し、前記第1ポート4aに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム5を巻下げ方向すなわち前記吊り荷7を降下させる方向に回転させて当該作動油を前記第2ポート4bから排出する一方、前記第2ポート4bに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム5を巻上げ方向すなわち前記吊り荷7を上昇させる方向に回転させて当該作動油を前記第1ポート4aから排出する。
【0027】
前記作業用油圧回路は、前記油圧モータ4に対する作動油(油圧ポンプ2から吐出される作動油)の給排を行うためのもので、この回路を形成するための配管には、前記油圧ポンプ2の吐出ポートと前記方向切換弁3とを接続するポンプ配管8Pと、前記方向切換弁3と前記油圧モータ4の第1ポート4aとを接続する第1モータ配管81Mと、前記方向切換弁3と前記油圧モータ4の第2ポート4bとを接続する第2モータ配管82Mと、互いに並列に配設されて前記方向切換弁3とタンクとを接続する第1タンク配管81T及び第2タンク配管82Tと、第1タンク配管81Tと第1モータ配管81Mとを接続する再生用配管83と、前記第1モータ配管81Mの途中から分岐して前記方向切換弁3に至るリリーフ用配管86と、が含まれる。
【0028】
前記方向切換弁3は、前記油圧ポンプ2と前記油圧モータ4との間に介在し、前記操作装置6の操作内容に応じて前記ウインチ5の駆動状態を巻下げ駆動状態と巻上げ駆動状態とに切換える。この実施の形態に係る方向切換弁3は巻下げ用パイロットポート3aと巻上げ用パイロットポート3bとを有する3位置パイロット切換弁により構成され、両パイロットポート3a,3bのいずれにもパイロット圧が供給されないときには中立位置P0に保たれ、巻下げ用パイロットポート3aにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P0から巻下げ駆動位置P1側へ開弁動作し、巻上げ用パイロットポート3bにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P0から巻上げ駆動位置P2側へ開弁動作する。
【0029】
前記方向切換弁3は、前記各位置において次のような流路を形成する。
【0030】
i)方向切換弁3は、前記中立位置P0では、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油が前記油圧モータ4に供給されるのを阻止するとともに、当該作動油を直接タンクに導くブリードオフ流路を形成する。また、方向切換弁3は、この中立位置P0ではブリードオフ流量を規定するためのブリードオフ絞り30を有し、このブリードオフ絞り30の開口面積Aboは、当該中立位置P0から離れるに従って減少する。
【0031】
ii)方向切換弁3は、前記巻下げ駆動位置P1では、前記ポンプ配管8Pと前記第1モータ配管81Mとを接続することにより、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油を前記油圧モータ4の第1ポート4aに導く流路、すなわち、下げ駆動時の「メータイン流路」を開通するとともに、前記第2モータ配管82Mと前記第1タンク配管81Tとを接続することにより、前記油圧モータ4の第2ポート4bから排出された作動油をタンクに戻す流路、すなわち下げ駆動用の「メータアウト流路」を開通する。また、前記リリーフ用配管86を前記第2タンク配管82Tに接続する。さらに、方向切換弁3は、この巻下げ駆動位置P1では、メータイン流路における作動油の流量であるメータイン流量を規定するためのメータイン絞り31と、メータアウト流路における作動油の流量であるメータアウト流量を規定するためのメータアウト絞り32とを有し、これらの絞り31,32の開口面積Ami,Amoはいずれも、前記中立位置P0からのストロークの増大に伴って増加する。
【0032】
iii)方向切換弁3は、前記巻上げ駆動位置P2では、前記ポンプ配管8Pを前記第2モータ配管82Mに接続することにより、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油を前記油圧モータ4の第2ポート4bに導く流路を形成するとともに、前記第1モータ配管81Mを前記第2タンク配管82Tに接続することにより、前記油圧モータ4の第1ポート4aから排出された作動油を前記タンクに戻す流路を形成する。
【0033】
前記操作装置6は、パイロット油圧源9と、リモコン弁10とを有する。リモコン弁10は、前記パイロット油圧源9と前記方向切換弁3の各パイロットポート3a,3bとの間に介在する。リモコン弁10は、オペレータにより操作される操作レバー10aと、この操作レバー10aに連結された本体弁10bとを含む。本体弁10bは、巻下げ駆動用出力ポート及び巻上げ駆動用出力ポートを有し、これらの出力ポートがそれぞれ巻下げ駆動用パイロットライン11a及び巻上げ駆動用パイロットライン11bを介して前記方向切換弁3の両パイロットポート3a,3bに接続されている。当該本体弁10bは、前記操作レバー10aの操作方向に対応した出力ポートから当該操作レバー10aの操作量に応じた大きさのパイロット圧を出力し、前記方向切換弁3の両パイロットポート3a,3bのうち前記出力ポートに対応するパイロットポートに当該パイロット圧を入力するように、当該操作レバー10aと連動する。
【0034】
前記のように、方向切換弁3がその中立位置P0から巻下げ駆動位置P1または巻上げ駆動位置P2へ作動するストロークは、入力されるパイロット圧の大きさに対応して増大するから、オペレータは、前記操作レバー10aの操作により、前記方向切換弁3の作動方向及びストロークを変えることができ、これにより、前記各絞り30,31,32の開口面積Abo,Ami,Amoを変えることができる。具体的に、図3(a)は前記操作レバー10aの(巻下げ方向の)操作量とメータアウト絞り32の開口面積Amoとの関係を示し、図4(a)は前記操作レバー10aの(巻下げ方向の)操作量とブリードオフ絞り30及びメータイン絞り31の開口面積Abo,Amiとの関係を示している。このように、前記方向切換弁3は、前記操作装置6により指定された速度で前記油圧モータ4を作動させるように前記油圧ポンプ2から前記油圧モータ4への作動油の供給状態を変化させるコントロールバルブとして機能する。
【0035】
前記メータアウト流量調整弁14は、巻下げ駆動時のメータアウト流路を形成する前記第1タンク配管81Tにおいてこの第1タンク配管81Tに前記再生用配管83が接続される接続位置Pcよりも上流側に設けられ、前記メータアウト絞り32とともに、前記メータアウト流量Qmoを前記操作装置6により指定された速度に対応する流量に調節するメータアウト流量調節器を構成する。
【0036】
このメータアウト流量調整弁14は、開閉可能な弁本体と、これを開弁方向に付勢するばね14aとを有し、前記メータアウト絞り32の前後差圧、すなわち、メータアウト絞り32の上流側の圧力と下流側の圧力との差、が前記ばね14aの弾発力によって設定された差圧設定値と一致するように開閉動作する。具体的に、前記メータアウト絞り32の上流側の圧力は前記方向切換弁3に形成された油路及び配管12を通じて前記メータアウト流量調整弁14の閉弁側ポートに入力され、前記メータアウト絞り32の下流側の圧力は前記ばね14aの弾発力とともにメータアウト流量調整弁14を開弁する方向の圧力として導入される。
【0037】
なお、本発明では、前記メータアウト流量調節弁14がメータアウト絞り32の上流側に設けられることも、可能である。
【0038】
前記背圧弁15は、巻下げ駆動時にメータアウト流路を構成する前記第1タンク配管81Tにおいて前記再生配管83の接続位置Pcよりも下流側の位置に設けられ、その設定圧に相当する背圧を発生させる圧力制御弁である。この背圧弁15の設定圧は、図9に破線で示すように常に一定でもよいが、例えば同図に実線で示されるようにメータイン圧すなわち巻下げ駆動時におけるメータイン流路の圧力が上昇につれて低下することが、好ましい。このような背圧の操作を行うため、この実施の形態では、巻下げ駆動時におけるメータイン流路の圧力として前記方向切換弁3におけるメータイン絞り31の下流側の圧力を前記背圧弁15に開弁方向のパイロット圧として導く油路25が設けられ、このパイロット圧の導入が当該背圧弁15の設定圧を実質的に低下させる。
【0039】
前記再生用配管83は、巻下げ駆動時におけるメータイン流量がメータアウト流量(メータアウト流量調整弁14により調整された後の流量)よりも小さい場合にメータアウト流路側の作動油(メータアウト流量調整弁14を流れた後の作動油)の一部を背圧弁15の上流側からメータイン流路側に補給するための再生流路を形成する。前記チェック弁13は、この再生用配管83の途中に設けられ、当該再生用配管83における前記作動油の流れの方向を前記メータアウト流路から前記メータイン流路に向かう方向に限定する。
【0040】
前記低圧リリーフ弁16は、前記リリーフ用配管86の途中に設けられ、メータイン圧(具体的には巻下げ駆動時のメータイン流路を形成する前記第1モータ配管81Mの圧力)が設定圧Prs以上となったときに開弁して当該メータイン流路を流れる作動油をタンクに導くことで当該メータイン圧の上限を規定する非再生運転用リリーフ弁として、機能する。この低圧リリーフ弁16の設定圧Prsは、a.前記背圧弁15の設定圧の最小値と、b.前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量が最大でかつ前記油圧ポンプ2の吐出流量が最大であるときの当該メータアウト流量調整器の前後の差圧と、c.前記油圧モータ4を無負荷で巻下げ駆動するのに必要なモータ差圧(すなわち第1ポート4aと第2ポート4bとの間の差圧)の総和に相当する圧力Psumまたは当該総和よりも大きな圧力に設定され、かつ、前記背圧弁の設定圧の最大値以上の圧力に設定されている。
【0041】
この低圧リリーフ弁16の設定圧Prsは、前記の2つの条件を満たす範囲で、なるべく低い圧力に設定されることが好ましい。具体的には、前記総和に相当する圧力Psum以上であってその1.1倍の圧力以下の範囲(Psum≦Prs≦1.1Psum)に設定されることが、好ましい(上限値を規定するための一つの案です。ご検討下さい。)。
【0042】
この実施の形態では、さらに、エンジン回転数の低下に伴ってメータアウト流量を低減させて吊り荷7の微操作を可能にする手段が付加されている。具体的には、前記リモコン弁10と前記方向切換弁3の巻下げ用パイロットポート3aとを結ぶ前記巻下げ駆動用パイロットライン11aに、リモコン圧センサ18と、パイロット用減圧弁19とが設けられ、これらがコントローラ20に接続されている。
【0043】
前記リモコン圧センサ18は、前記リモコン弁10から出力される巻下げ駆動用のリモコン圧を検出し、その検出信号を前記コントローラ20に入力する。前記パイロット用減圧弁19は、この実施の形態では電磁比例減圧弁により構成され、前記リモコン弁10から出力されるリモコン圧を前記コントローラ20から入力される指令信号に対応した圧力まで減圧して前記巻下げ用パイロットポート3aに巻下げ駆動用のパイロット圧として入力する。
【0044】
前記コントローラ20は、前記リモコン圧センサ18が検出するリモコン圧と、前記エンジン回転数センサ17が検出するエンジン回転数とに基づき、当該エンジン回転数が低いほど前記リモコン圧に対応する前記パイロット圧を低下させるような指令信号を前記パイロット用減圧弁19に出力する。すなわち、このコントローラ20は、前記パイロット用減圧弁19の二次圧すなわちパイロット圧を前記エンジン回転数センサ17の検出する回転数が低いほど減少させる減圧弁操作器として機能し、かつ、当該パイロット用減圧弁19とともに、前記エンジン回転数が低いほど前記操作装置6に対応して前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量を減らすメータアウト流量低減手段を構成する。
【0045】
なお、本発明に係る「回転検出器」は前記エンジン回転数センサ17ではなく、油圧ポンプ2の回転数を検出するポンプ回転数センサであってもよい。
【0046】
また、この実施の形態では、巻下げ駆動時にメータアウト流路を構成する第2モータ配管82Mに、パイロット式安全弁26及びチェック弁27が並列に設けられている。前記パイロット式安全弁26には、そのパイロット圧として前記第1モータ配管81M内の圧力が入力され、当該パイロット式安全弁26は、そのパイロット圧すなわち巻下げ駆動時のメータイン圧が予め設定された設定圧以下の場合にのみ閉弁する、換言すれば、当該メータイン圧が当該設定圧よりも高くなった時点で開弁するように、構成されている。このパイロット式安全弁26の設定圧は、前記背圧弁15の最大圧よりもわずかに高い程度の圧力に設定されている。一方、チェック弁27は、前記第2モータ配管82M内で作動油が方向切換弁3から油圧モータ4の第2ポート4bに向かう方向に流れるとき、すなわち、巻上げ駆動が行われるときにのみ開弁する。
【0047】
次に、この装置の作用について説明する。
【0048】
まず、リモコン弁10の操作レバー10aが巻上げ駆動側に操作されると、当該リモコン弁10の出力するリモコン圧が方向切換弁3の巻上げ用パイロットポート3bに入力されて方向切換弁3が中立位置P0から巻上げ駆動位置P2側に開弁作動する。これにより、油圧ポンプ2の吐出する作動油は第2モータ配管82Mのチェック弁27を経由して油圧モータ4の第2ポート4bに供給され、この油圧モータ4を巻上げ駆動方向に回転させる。当該油圧モータ4の第1ポート4aから排出される作動油は、第1モータ配管81M及び第2タンク配管82Tを通じてタンクに戻される。
【0049】
一方、前記リモコン弁10の操作レバー10aが巻下げ駆動側に操作されると、これに伴って方向切換弁3が中立位置P0から巻下げ駆動位置P1側に開弁作動する。具体的には、前記操作レバー10aの操作量に対応した大きさのパイロット圧が前記リモコン弁10から巻下げ駆動用パイロットライン11aを通じて方向切換弁3を当該パイロット圧に対応したストロークだけ巻下げ駆動位置P1側に作動させる。この作動に伴い、図4(a)に示すようにブリードオフ絞り開口面積Aboが減少するとともにメータイン絞り開口面積Amiが増加してメータイン流量すなわち油圧ポンプ2から油圧モータ4の第1ポート4aに供給される作動油の流量が増える。これにより、油圧モータ4は巻下げ方向に回転し、第2ポート4bから作動油を排出する。この排出された作動油は、メータアウト流路を通じて、すなわち、前記方向切換弁3、メータアウト流量調整弁14、及び背圧弁15を順に通って、タンクに戻る。
【0050】
なお、前記ブリードオフ絞り30に代え、メータイン絞り31の通過流量が設定流量以上となった場合に余剰流量をタンクに流すメータイン流量調節器が具備されてもよい。
【0051】
一方、方向切換弁3のメータアウト絞り32の開口面積Amoは、前記操作レバー10aの操作量に応じて図3(a)に示すように変化し、これに伴い、当該メータアウト絞り32とメータアウト流量調整弁14とで構成されるメータアウト流量調整器はメータアウト流量Qmoを同図(b)に示すように制御する。詳しくは、前記メータアウト流量調整弁14は、前記メータアウト絞り32の前後差圧を予め設定された圧力ΔPmoにするように開弁動作し、これによりメータアウト流量Qmoを次式(1)に示すように、すなわち図3(b)に示すように、制御する。
【0052】
mo=Cv×Amo×√(ΔPmo) (1)
ここで、Cvは流量係数である。
【0053】
このようにしてメータアウト流量Qmoが制御されながら、負荷(この実施の形態では吊り荷7)の大きさにかかわらず、操作レバー10aに対応した速度での巻下げ駆動が実行される。すなわち、このメータアウト流量調節器は、負荷である吊り荷7の重量変化にかかわらず、専ら操作レバー10aの操作量に対応したメータアウト流量の制御を行う。従って、従来技術と異なり、負荷の重量の増減に起因するアクチュエータ速度の変化を有効に抑止して操作性及び安全性の向上に寄与することができる。
【0054】
また、この装置では、前記巻下げ駆動時において前記メータイン流量Qmiが前記メータアウト流量Qmoを下回る場合、すなわち、Qmi<Qmoの関係にある場合、メータイン流量Qmiの不足分(Qmo−Qmi)は背圧弁15の上流側の接続位置Pcから再生用配管83を通じてメータイン流路である第1モータ配管81Mに補給される。このとき、前記背圧弁15の上流側の圧力は当該背圧弁15の設定圧以上の圧力(背圧弁15の通過流量が増加するとオーバーライド分だけ圧力が上昇)となるため、メータイン圧も背圧弁15の設定圧から再生流路の圧力損失分を差し引いた圧力以上となる。これにより、メータイン圧の過度の低下が防がれ、当該低下に起因するキャビテーションが防止される。
【0055】
一方、メータイン流量Qmi>メータアウト流量Qmoである場合には、前記再生流路を通じての補給は行われず、逆に、メータイン流量の余剰分Qmi―Qmoが非再生運転用リリーフ弁である低圧リリーフ弁16を通じてタンクに流れる。すなわち、この低圧リリーフ弁16は、前記メータイン流量Qmiに対応するメータイン圧が当該低圧リリーフ弁16の設定圧以上になった時点で開弁し、その結果、メータイン圧を低圧リリーフ弁16の設定圧またはそれよりも少し高い圧力(低圧リリーフ弁16の通過流量が増加するとオーバーライド分だけ圧力が上昇する。)に規定する。
【0056】
このようにして、メータイン流量Qmi>メータアウト流量Qmoの場合、及びメータイン流量Qmi<メータアウト流量Qmoの場合のいずれにおいても、メータイン圧は非再生運転用リリーフ弁である低圧リリーフ弁16の設定圧以上または背圧弁15の設定圧以上の圧力に保たれ、巻下げ駆動中でのメータイン圧の低下に起因するキャビテーションが防がれる。なお、メータイン流量Qmiとメータアウト流量Qmoが完全に一致した場合は、再生流路によるメータイン流路への作動油の補給、および、低圧リリーフ弁16の開弁のいずれも生じない可能性があるが、両者が完全に一致することはきわめてまれで、しかも一時的であり、事実上のトラブルは発生しない。仮にこの状態が継続したとしても、油圧モータ4に対する給排のバランスが良好に保たれているのであるから、メータイン流路でのキャビテーションのおそれはない。
【0057】
従来、このようなキャビテーションを防止する技術として、カウンタバランス弁を用いる技術が知られているが、このようなカウンタバランス弁の使用はメータイン圧のハンチングあるいは顕著なブースト圧の発生を伴うというデメリットがある。これに対して前記装置では、当該デメリットを伴うカウンタバランス弁を用いることなく前記キャビテーションを防止することが可能である。
【0058】
この点についての本発明装置の優位性を、比較例として図5に示す装置との対比に基づいて詳述する。この図5に示される装置は、図1に示す装置と同様に、エンジン1、油圧ポンプ2、方向切換弁3、油圧モータ4、操作装置6、及び両モータ配管81M,82Mを具備するものであるが、図1に示す装置に含まれる再生流路、メータアウト流量調整器、背圧弁15、及び低圧リリーフ弁16に代え、外部パイロット式のカウンタバランス弁40を具備する。このカウンタバランス弁40には、巻下げ駆動時にメータイン流路を構成する第1モータ配管81M内の圧力すなわちメータイン圧が流路42を通じてパイロット圧として導入される。カウンタバランス弁40は、その設定圧Pcbを決めるばね44を有し、当該カウンタバランス弁40に入力されるパイロット圧すなわち前記メータイン圧が前記設定圧Pcb未満のときは閉弁し、設定圧Pcb以上のときに開弁する。
【0059】
このカウンタバランス弁40も、メータイン流量の不足によるキャビテーションを防止することは可能である。例えば、吊り荷7の重量により油圧モータ4の回転速度が増加してその吸収流量が油圧ポンプ2からの供給流量を超えると、メータイン圧が低下するが、このメータイン圧がカウンタバランス弁40の設定圧Pcbまで低下した時点でカウンタバランス弁40が閉弁方向に作動することでメータアウト側が絞られ、これにより油圧モータ4にブレーキ力が与えられる。これにより、油圧モータ4の吸収流量が制限され、メータイン圧を設定圧Pcb以上に保つ制御が達成される。
【0060】
しかし、このカウンタバランス弁40を用いた制御では、計測点がメータイン流路にあるのに対して制御点はメータアウト流路にあることから、制御理論上コロケーションがなく、制御が不安定なものとなる。すなわち、前記計測点と前記制御点とのずれが制御を不安定なものにし、ハンチングを生じ易くする。具体的に、操作装置6におけるリモコン弁10の操作レバー10aが中立位置から時刻T0において巻下げ駆動方向に操作された場合、図6(a)に示すようにカウンタバランス弁40の開度にハンチングが生じ、このハンチングは同図(b)に示すようにメータイン圧も振動的に変化させて油圧モータ4やウインチ5の回転速度を不安定にしてしまうおそれがある。
【0061】
このハンチングを抑止する手段として、前記図5に示されるように前記パイロット用流路42の途中に絞り46を設けることが一般に考えられるが、この絞り46は、図7(a)に示すように、操作レバー10aの操作が開始された時点TOから弁開度が適正な開度A1に至るまでに相当な応答遅れを生じさせる。さらに、カウンタバランス弁40が十分に開くまでの間はこれに大きな圧力損失が生じるから、図7(b)に示すように前記操作開始時点TOから所定時刻T1に至るまでの間、メータイン圧が設定圧Pcbよりも高い状態、すなわち図中斜線で示すような無駄なブースト圧が発生する状態が続き、このことが運転効率を著しく低下させるというデメリットがある。
【0062】
これに対して図1に示す装置に用いられるメータアウト流量調節器はメータアウト絞りの前後差圧に基づいてメータアウト流量を調整するものであってその計測点及び制御点がいずれもメータアウト流路にあることから、制御理論上コロケーションを有しており、安定した制御を行うことが可能である。背圧弁15も同様であり、前記カウンタバランス弁40のようなハンチングはきわめて生じ難い。従って、当該ハンチングを防ぐための絞りも特に付加を要さず、図7(b)に示すような顕著なブースト圧の発生もない。従って、図8(a)に実線(図1に示す装置)及び破線(図5に示す装置)に示されるとおり、メータイン圧が有効に抑止され、これにより油圧ポンプ2の駆動に必要なパワーも大幅に低減され、その結果、同図(b)に示すようにエンジンの燃料消費量も大幅に改善される。
【0063】
なお、図1に示す装置では、図5に示すカウンタバランス弁40の配設位置に対応する位置に外部パイロット式の安全弁26が設けられているが、この安全弁26は配管の損傷などの不慮の事故における安全を確保するためのものであって、カウンタバランス弁40とはその目的及び設定圧が全く相違するものである。この安全弁26の設定圧は、背圧弁15の設定圧よりもわずかに高い程度の圧力に設定されており、従って、この安全弁26は、巻下げ駆動開始直後に開弁し、通常運転ではその開弁状態を常時維持する。しかし、メータイン流路を構成する配管が破損するなどのトラブルが発生してメータイン圧が前記安全弁26の設定圧を下回ると当該安全弁26が閉弁して油圧モータ4を緊急停止させることにより、安全を確保する。本発明は、このような安全弁26を具備する装置も包含する趣旨である。
【0064】
本発明において、背圧弁の設定圧は常時一定でもよいが、図1に示す装置では、背圧弁15にその一次圧に加えてメータイン圧が油路25を通じて開弁方向のパイロット圧として入力され、その分、当該背圧弁15の設定圧が低減される、すなわち、メータイン圧の上昇に伴って背圧弁15の設定圧が下げられる。このことは、当該設定圧を必要以上に高く保つことによる圧力損失を有効に抑止する。例えば、メータイン流量Qmi>メータアウト流量Qmoである場合、上記のように再生通路を通じてのメータインへの作動油の補給はないから、当該補給を行うために背圧弁15で高い背圧を立てる必要がなく、逆に当該背圧が高いと回路圧を上昇させてポンプ動力の増加や巻上げ時の燃費の悪化を伴うおそれがある。これに対して図1に示す装置では、メータイン流量Qmi>メータアウト流量Qmoの場合にそのメータイン圧の増加分だけ背圧弁15の設定圧が下げられることから、当該背圧弁15での圧力損失が低く抑えられ、ポンプ動力の増加及び燃費の悪化が有効に抑止される。
【0065】
前記背圧弁15には、操作レバー10aの操作量の増加に応じて絞り開度が次第に増加するような絞りが用いられてもよい。この場合、当該絞りの面積Abkが例えば下記のように変化するように設定されるのが、よい。
【0066】
bk=Qbk/{Cv×√ΔPbk} (2)
ここで、Cvは流量係数、ΔPbkは背圧弁設定圧、Qbkは背圧弁通過流量であり、このQbkは流量バランスよりメータイン流量Qmiと一致する。
【0067】
一方、前記低圧リリーフ弁16の設定圧は、前記背圧弁15の設定圧の最小値と前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量が最大でかつ前記油圧ポンプの吐出流量が最大であるときの当該メータアウト流量調整器の前後の差圧と前記油圧モータ4を無負荷で駆動するのに必要なモータ差圧との総和に相当する圧力または当該総和よりも大きな圧力に設定されているから、前記再生流路による作動油の補給がなくかつ前記背圧弁15の設定圧が最小の状態にあっても、前記油圧モータ4を無負荷で駆動するための最低限のメータイン圧が保証される。また、当該低圧リリーフ弁16の設定圧は、前記背圧弁15の設定圧の最大値以上の圧力に設定されているから、当該背圧弁15の設定圧を最大値にした状態でメータアウト流路から再生流路を通じてのメータイン流路への作動油の供給すなわち再生運転が行われているときに前記低圧リリーフ弁16が開弁してメータイン圧力の上昇を妨げることも、防がれる。
【0068】
また、図1に示す装置では、エンジン回転数センサ17及びリモコン圧センサ18がそれぞれ検出するエンジン回転数及び(巻下げ駆動方向の)リモコン圧に基づき、当該エンジン回転数が低いほど前記リモコン圧に対応するパイロット圧(パイロット用減圧弁19の二次圧)を低くするようなパイロット圧制御をコントローラ20が実行することから、エンジン回転数が低い状態での微操作性が向上する。
【0069】
例えば前記図5に示す装置では、エンジン回転数が低下すると油圧ポンプ2の吐出量が低下し、巻下げ速度が低下することから、当該エンジン回転数を低下させることで吊り荷7の微操作を行うことが可能である。これに対し、図1に示す装置では、エンジン回転数が低下し油圧ポンプ2の吐出量が低下した場合でも、前記のようにメータアウト流量に対するメータイン流量の不足分は自動的に再生通路から作動油が供給されるため、エンジン回転数の低下は必ずしも巻下げ速度の低下に直結しない。しかし、この装置では、コントローラ20がエンジン回転数の低下に伴ってパイロット用減圧弁19の二次圧を低くする制御を行うことで、図5に示す装置と同様、エンジン回転数の低下に伴ってメータアウト流量を低下させて吊り荷7の微操作を可能にする。
【0070】
このようにエンジン回転数の低下に伴いメータアウト流量を低減させる手段は、図1に示すパイロット用減圧弁19とコントローラ20との組み合わせに限られない。例えば、メータアウト流量調節器を電磁的に操作することによっても、メータアウト流量を低減させることが可能である。具体的に、図1に示すメータアウト流量調整器では、そのメータアウト流量調整弁14のバネ室側に電磁減圧弁の二次圧が入力され、かつ、この二次圧が制御されればよい。エンジン回転数が高い場合は前記電磁減圧弁の二次圧を高くすることでメータアウト絞り32の流量を増やすことができ、逆にエンジン回転数が低い場合には前記電磁減圧弁の二次圧を低くすることでメータアウト絞り32の流量を減らすことができる。
【0071】
なお、前記メータアウト流量低減手段は適宜省略することが可能である。例えば、図1に示す装置では、パイロット用減圧弁19が省略されてリモコン弁10の出力する巻下げ駆動用のリモコン圧がそのまま巻下げ用パイロットポート3aにパイロット圧として入力されるように配管されてもよい。
【0072】
本発明の第2の実施の形態に係る装置を図11に示す。この装置は、図1に示す装置と比較して次の点において相違する。
【0073】
1)各弁の位置について
図1に示す装置では、メータアウト流量調整弁14、再生用配管83の接続位置Pc、及び背圧弁15が全て方向切換弁3の下流側の第1タンク配管81Tに設けられているのに対し、図11に示す装置では、メータアウト流量調整弁14、再生用配管83の接続位置Pc、及び背圧弁15が全て方向切換弁3の上流側の第2モータ配管82Mに設けられている。すなわち、再生用配管83は第1モータ配管81Mと第2モータ配管82Mとを接続するように配置され、この再生用配管83と前記第2モータ配管82Mとの接続位置Pcの上流側及び下流側にそれぞれ前記メータアウト流量調整弁14及び前記背圧弁15が設けられている。
【0074】
2)メータアウト流量調整器について
図1に示す装置では、メータアウト流量調整器を構成するメータアウト絞り32が方向切換弁3に含まれているのに対し、図11に示す装置では、当該メータアウト絞り32に代え、前記第2モータ配管82Mに設けられるパイロット式の可変絞り弁36と、その開口面積を操作するための電磁比例減圧弁38とを具備する。前記可変絞り弁36は、開口面積が可変である絞り36aとパイロットポート36bとを有し、このパイロットポート36bに入力されるパイロット圧に対応して前記絞り36aの開口面積を増減させるように作動する。電磁比例減圧弁38は、前記パイロットポート36bとパイロット油圧源との間に介在し、当該電磁比例減圧弁38に入力される指令信号に対応した二次圧を出力してこれをパイロット圧として前記可変絞り弁36のパイロットポート36bに入力する。
【0075】
前記電磁比例減圧弁38への指令信号の入力は、コントローラ20により行われる。このコントローラ20は、リモコン圧センサ18により検出される巻下げ方向のリモコン圧に基づき、このリモコン圧と前記可変絞り弁36における絞り36aの開口面積とを対応させるような指令信号を前記電磁比例減圧弁38に入力する。さらに、好ましくは、エンジン回転数センサ17により検出されるエンジン回転数が低いほど、前記リモコン圧に対応する前記可変絞り弁36の絞り36aの開口面積を小さくする、すなわちメータアウト流量を低減させるような指令信号を電磁比例減圧弁38に入力する。
【0076】
前記メータアウト流量調整弁14には、前記可変絞り弁36の上流側圧力及び下流側圧力がそれぞれ入力される。メータアウト流量調整弁14は、前記上流側圧力及び下流側圧力の差すなわち可変絞り弁36の前後差圧を一定に保つように、弁動作する。すなわち、メータアウト流量調整弁14は、前記可変絞り弁36とともにメータアウト流量調整器を構成する。
【0077】
前記可変絞り弁36は、図示のように前記メータアウト流量調整弁14の上流側の位置に設けられてもよいし、逆に当該メータアウト流量調整弁14の下流側でかつ前記背圧弁15の上流側の位置に設けられてもよい。いずれの場合も、第2モータ配管82Mと再生用配管83との接続位置Pcは前記可変絞り弁36及び前記メータアウト流量調整弁14を含むメータアウト流量調整器と背圧弁15との間の位置に設定される。
【0078】
3)巻上げ駆動時の流路について
図11に示す装置では、巻上げ駆動時に油圧モータ4の第2ポート4bに作動油を供給するための流路を確保すべく、前記各弁が設けられた第2モータ配管82Mと並列にバイパス配管88が設けられ、このバイパス配管88に当該配管88内の作動油の流れの方向を前記方向切換弁3から前記油圧モータ4の第2ポート4bに向かう方向に限定するチェック弁27が設けられている。また、前記第2モータ配管82Mでは、方向切換弁3から背圧弁15への作動油の流入を阻止するためのチェック弁35が両弁3,15の間に設けられている。
【0079】
この装置においても、巻下げ駆動時には、操作レバー10aの操作量に応じて可変絞り弁36の絞り36aすなわちメータアウト絞りの開口面積が操作され、その前後差圧を所定圧力に保つようにメータアウト流量調整弁14が作動することにより、負荷(吊り荷7)の大きさにかかわらず、操作内容に見合ったメータアウト流量の制御が行われる。また、メータイン流量がメータアウト流量を下回る場合にはメータアウト流路から再生用配管83を通じてメータイン流路に作動油が補給され、メータイン流量がメータアウト流量を上回る場合には低圧リリーフ弁16が開弁作動することにより、図1に示す装置と同様、カウンタバランス弁を用いることなくキャビテーションが防がれる。
【0080】
なお、前記方向切換弁3はパイロット式油圧切換弁に限られず、例えば、3位置の電磁切換弁でもよい。この場合も、メータアウト流量調整器が操作装置における操作内容に応じてメータアウト流量を制御するもの、例えば、前記可変絞り弁36と電磁比例減圧弁38との組み合わせに係るもの、であれば、安定した下げ駆動が実現される。
【0081】
また、本発明に係る油圧アクチュエータは、油圧モータに限定されず、例えば作業装置のアタッチメントを回動させる油圧シリンダであってもよい。この場合も、当該アタッチメントをその自重により降下する方向と同じ方向である下げ方向に駆動する場合に、本発明を有効に適用することが可能である。あるいは、前記油圧アクチュエータは可変容量モータであっても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 方向切換弁
3a 巻下げ用パイロットポート
3b 巻上げ用パイロットポート
4 油圧モータ(油圧アクチュエータ)
4a 第1ポート
4b 第2ポート
6 操作装置
7 吊り荷
83 再生用配管
9 パイロット油圧源
10 リモコン弁
10a 操作レバー
11a 巻下げ駆動用パイロットライン
11b 巻上げ駆動用パイロットライン
13 チェック弁
14 メータアウト流量調整弁
15 背圧弁
16 低圧リリーフ弁(非再生運転用リリーフ弁)
17 エンジン回転数センサ(回転検出器)
19 パイロット用減圧弁
20 コントローラ(減圧弁操作器)
25 油路
32 メータアウト絞り
36 可変絞り弁
36a 可変絞り弁の絞り(メータアウト絞り)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧を利用して負荷をその自重による落下方向と同じ向きの下げ方向に駆動するための作業機械の油圧駆動装置であって、
油圧ポンプと、
この油圧ポンプを駆動して作動油を吐出させる動力源と、
第1ポート及び第2ポートを有し、前記第1ポートに前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて前記第2ポートから作動油を排出することにより前記負荷を前記下げ方向に駆動する油圧アクチュエータと、
この油圧アクチュエータの動作速度を指定するために操作される操作装置と、
前記負荷を下げ方向に駆動するときに前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータの第1ポートに作動油を導くためのメータイン流路、前記負荷を前記下げ方向に駆動するときに前記油圧アクチュエータの第2ポートから排出された作動油をタンクに導くためのメータアウト流路、及びこのメータアウト流路を前記メータイン流路に連通する再生流路を含む作業用油圧回路と、
前記操作装置により指定された速度で前記油圧アクチュエータを作動させるように前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を変化させるコントロールバルブと、
前記メータアウト流路においてこのメータアウト流路に前記再生流路が接続される位置よりも上流側での当該メータアウト流路における前記作動油の流量であるメータアウト流量を前記操作装置により指定された速度に対応する流量に調節するメータアウト流量調節器と、
前記メータアウト流路においてこのメータアウト流路に前記再生流路が接続される位置よりも下流側の位置に設けられて設定された背圧を発生させる背圧弁と、
前記再生流路に設けられ、この再生流路での前記作動油の流れの方向を前記メータアウト流路から前記メータイン流路に向かう方向に限定するチェック弁と、
前記メータイン流路の圧力が設定圧以上となったときに開弁して当該メータイン流路を流れる作動油をタンクに導くことで当該メータイン流路の圧力の上限を規定する非再生運転用リリーフ弁と、を含み、
この非再生運転用リリーフ弁の設定圧は、前記背圧弁の設定圧の最小値と前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量が最大でかつ前記油圧ポンプの吐出流量が最大であるときの当該メータアウト流量調整器の前後の差圧と前記油圧アクチュエータを無負荷で駆動するのに必要なアクチュエータ差圧との総和に相当する圧力または当該総和よりも大きな圧力に設定され、かつ、前記背圧弁の設定圧の最大値以上の圧力に設定されている、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記メータアウト流量調整器としては、前記操作装置の操作に応じて流路面積が変化するメータアウト絞りと、このメータアウト絞りの前後差圧が予め設定された圧力になるようにメータアウト流量を変化させるメータアウト流量調整弁とを含む、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記油圧アクチュエータは、その前記第1ポートに作動油の供給を受けて前記第2ポートから作動油を排出する状態で前記負荷を下げ方向に駆動する一方、その第2ポートに作動油の供給を受けて第1ポートから作動油を排出する状態で前記負荷を上げ方向に駆動し、
前記コントロールバルブは、前記油圧ポンプから吐出された作動油が前記油圧アクチュエータに供給されるのを阻止する中立位置と、前記油圧ポンプから吐出された作動油を前記メータイン流路を通じて前記油圧アクチュエータの第1ポートに導き、当該油圧アクチュエータの第2ポートから吐出された作動油を前記メータアウト流路を通じてタンクに戻す下げ駆動位置と、前記油圧ポンプから吐出された作動油を前記油圧アクチュエータの第2ポートに導く流路及び当該油圧アクチュエータの第1ポートから吐出された作動油を前記タンクに戻す流路を形成する上げ駆動位置と、を有する方向切換弁である、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項4】
請求項3記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記方向切換弁は、前記下げ駆動位置及び前記上げ駆動位置にそれぞれ対応するパイロットポートを有し、パイロット圧が入力されるパイロットポートに対応した方向にそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から作動するパイロット切換弁であり、
前記操作装置は、パイロット油圧源と、このパイロット油圧源と前記各パイロットポートとの間に介在してこれらのパイロットポートのうちその操作内容に対応したパイロットポートに当該操作内容に対応したパイロット圧を供給するリモコン弁とを含む、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項5】
請求項4記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記方向切換弁は、前記操作装置の操作内容に対応した方向及びストロークでその中立位置から下げ駆動位置または上げ駆動位置に作動するとともに、その下げ駆動位置で絞りを含み、この絞りが当該方向切換弁のストロークに対応して変化する、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記油圧ポンプの回転数及び前記動力源の回転数のいずれかを検出する回転検出器と、この回転検出器が検出する回転数が低いほど前記操作装置に対応して前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量を減らすメータアウト流量低減手段と、をさらに備える、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項7】
請求項4または5記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記油圧ポンプの回転数及び前記動力源の回転数のいずれかを検出する回転検出器と、この回転検出器が検出する回転数が低いほど前記操作装置に対応して前記メータアウト流量調整器により調整されるメータアウト流量を減らすメータアウト流量低減手段と、をさらに備え、
前記メータアウト流量低減手段は、当該リモコン弁と前記方向切換弁の下げ駆動側パイロットポートとの間に介在するとともにその二次圧が可変であるパイロット用減圧弁と、このパイロット用減圧弁の二次圧を前記回転検出器の検出する回転数が低いほど減少させる減圧弁操作器とを含む、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項8】
請求項7記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記背圧弁の設定圧が前記メータイン流路の圧力の上昇に伴って低下する、作業機械の油圧駆動装置。
【請求項9】
請求項8記載の作業機械の油圧駆動装置であって、
前記メータイン流路の圧力だけ前記背圧弁の設定圧を下げるように当該メータイン流路の圧力を当該背圧弁に導入する油路を具備する、作業機械の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−72444(P2013−72444A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209678(P2011−209678)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】