説明

作業車の油圧装置

【課題】操作レバーのロック機構を簡易な構成で、かつ、ロック操作及びロック解除操作を容易に認識できる操作レバーのロック機構を備えた作業車の油圧装置を提供する。
【解決手段】2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバー26に連係し、操作レバー26を第1方向Kと当該第1方向Kに交差する第2方向Lに操作してバルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、操作レバー26が中立位置Nのときに、操作レバー26の操作に伴って操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向K,Lに直交する方向から操作レバー26の基端部26Aに係合可能なロック部材50を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、操作レバーを第1方向と第1方向に交差する第2方向に操作可能に構成し、操作レバーを第1方向及び第2方向に操作して2個のバルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単一の操作レバーを二方向に操作して2個のバルブを第1方向と第2方向で各別に操作するとともに、操作レバーを中立位置でロックするロック機構が開示されている。ロック機構として、操作レバーの基部に取り付けられて端部に凹部を形成した凹部材と、前記凹部材を挟むように嵌合するとともに前記凹部に嵌合するピンを付設した挟持部材とを備える。
【0003】
上述のロック機構により、操作レバーが中立位置にあるときに、凹部材を挟持部材に嵌合させるとともに、凹部材に形成された凹部に挟持部材に備えられたピンを嵌合させることで、操作レバーを第1方向及び第2方向に移動不能にロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−80214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロック機構では、操作レバーをロックするための部材として、凹部を有する凹部材と凹部に嵌合させるピンを有する挟持部材とが必要であり、部品点数が多くなる。また、ロックレバーの回転方向と、挟持部材の回動方向が反対になるように構成されているので、ロックレバーの操作がロック操作であるのかロック解除操作であるのかを認識し難い。
【0006】
本発明は、操作レバーのロック機構を簡易な構成で、かつ、ロック操作及びロック解除操作を容易に認識できる操作レバーのロック機構を備えた作業車の油圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、前記操作レバーを第1方向と当該第1方向に交差する第2方向に操作して前記バルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、前記操作レバーが中立位置のときに、前記操作レバーの操作に伴って前記操作レバーの基端部が移動操作される2方向に直交する方向から前記操作レバーの前記基端部に係合可能なロック部材を備えた点にある。
【0008】
〔作用効果〕本構成の如く、操作レバーが中立位置のときに、操作レバーの操作に伴って操作レバーの基端部が移動操作される2方向に直交する方向から操作レバーの基端部に係合可能なロック部材を備えることにより、操作レバーの基端部に対してロック部材が直接的に係合され、操作レバーの基端部の移動が前記2方向に直交する方向から係合したロック部材により阻止されることで、操作レバーを移動不能に確実にロックすることができる。
また、操作レバーの基端部に対してロック部材が直接的に係合されることにより、ロック部材の操作がロック操作であるかロック解除操作であるかが容易に認識できる。
さらに、操作レバーの基端部に対してロック部材が直接的に係合されることで操作レバーがロックされるので、操作レバーとロック部材との間に介在する部材が少なくなり、操作レバーのロック機構は簡素なものとなる。
この結果、操作レバーを中立位置において移動不能に確実にロックでき、操作性が向上するとともに、操作レバーのロック機構の簡素化を図ることができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記操作レバーの前記基端部及び前記ロック部材の一方に筒状部を設け、他方に前記筒状部に形成される開口に挿入可能な棒状部を設けた点にある。
【0010】
〔作用効果〕操作レバーの基端部とロック部材との係合は、中立位置の操作レバーの2方向への移動が不能にロックされれば十分である。このため、本構成の如く、操作レバーの基端部及びロック部材の一方に筒状部を設け、他方に筒状部に形成される開口に挿入可能な棒状部を設ける。このように構成すると、ロック部材及び操作レバーの基端部の係合部を簡易に構成することができる。また、操作レバーのロック操作及びロック解除操作についても、筒状部に棒状部を抜き差しすることで可能になるため、容易に行うことができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記ロック部材を前記操作レバーの基端部に向けて付勢するとともに、前記ロック部材の位置が保持されるよう当該ロック部材をその軸芯回りの向きに付勢する付勢部材を備える点にある。
【0012】
〔作用効果〕本構成の如く、ロック部材を操作レバーの基部に向けて付勢するとともに、ロック部材の位置が保持されるよう当該ロック部材をその軸芯回りの向きに付勢する付勢部材を備えると、ロック部材を操作レバーのロック位置に移動させ易く、かつ、保持位置にも移動させ易くなる。その結果、ロック部材の操作性が向上する。また、1つの付勢部材でロック部材のロック位置への付勢及び保持位置への付勢を兼用することができるので、部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フロントローダを装着したトラクタの側面図である。
【図2】2個のバルブを操作する操作レバーの操作機構及びロック機構を示す斜視図である。
【図3】2個のバルブを操作する操作レバーの操作機構及びロック機構を示す側断面図である。
【図4】2個のバルブを操作する操作レバーの操作機構及びロック機構を示す正面図である。
【図5】操作レバーのロック機構におけるロック部材の操作動作を示す斜視図である。
【図6】操作レバーの操作機構からバルブへの連係機構を示す正面図である。
【図7】別実施形態における操作レバーの操作機構及びロック機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、フロントローダRを装着したキャビン式トラクタは、前輪1及び後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3に、運転座席4、前輪操向用のステアリングハンドル5、運転ステップ6等を備えたキャビンCを搭載して構成されている。
【0015】
走行機体3は、機体前部のボンネット11内に配置されたエンジン7を備え、エンジン7に連結された前フレーム12と、エンジン7と機体後部に配置したミッションケース9との間にギヤケース8及び板金中空構造の中間ハウジング10を介装して構成されている。キャビンC内には運転ステップ6の右側前方に左右一対のサイドブレーキペダル17が配備されている。ミッションケース9の後部には、油圧駆動式のリフトアーム13と、後部に装着される作業装置(図示せず)に対して動力を取り出すリヤPTO軸14を備えている。
【0016】
走行機体3の前部にはフロントローダRが着脱可能に連結されている。フロントローダRを駆動する油圧装置は以下のように装備されている。
【0017】
運転座席4の右横側の下方位置におけるミッションケース9の横側部には一対の切換バルブVが配備されているとともに、キャビンCの内部において、切換バルブVを切換え操作する操作レバー26がレバー操作機構Aの位置から上方に延出されている。レバー操作機構Aは、ミッションケース9に支持され、後輪フェンダー18の内側に沿って前後方向に配設されたフレーム19(図2参照)に取り付けられている。切換バルブVは、3位置切換え式の2個のバルブ23,24が前後に並列装備されて、後述のように操作レバー26に連係され、操作レバー26の十字操作によって2組の油圧回路(図示せず)への圧油給排を行うことができるよう構成されている。
【0018】
フロントローダRは、走行機体3の前部左右に連結固定した支持フレーム31にブーム32を上下揺動可能に枢支連結するとともに、ブーム32の先端にバケット33をダンプ揺動可能に枢支連結して構成されており、復動型シリンダで構成されたブームシリンダ34とバケットシリンダ35とがそれぞれ図示しない油路を介してバルブ23,24に連通接続される。
【0019】
操作レバー26のレバー操作機構Aは次のように構成されている。
図2に示すように、立設されたフレーム19に平面視コの字形の支持枠40が取付けられている。支持枠40の前側上部に前後方向のボス部41が支持されており、ボス部41に対して平面形状がコの字形の第1操作金具43の支軸42が前後向きの支点X周りに回動可能に支承されている。第1操作金具43には、左右向きの支点Y周りに回動可能な第2操作金具44が枢支されており、第2操作金具44の上面に操作レバー26の端部が固着されている。第1操作金具43及び第2操作金具44は、操作レバー26と一体的に構成されて第2操作金具44の上方に位置するHを操作支点として操作レバー26と一体に動作する。したがって、操作レバー26の基端部26Aは、操作支点Hと第1操作金具43及び第2操作金具44を含む部分によって構成される。
【0020】
図2〜図4に示すように、第1操作金具43の端部43aは側方に向けて延出されており、端部43aに連係金具45aを介して上下に延びるロッド46aが連結され、バルブ23に連係されている。また、第2操作金具44の後面部に連係金具45bを介して上下に延びるロッド46bが連結され、バルブ24に連係されている。
【0021】
操作レバー26を前後方向(第1方向K)及び左右方向(第2方向L)の中立位置N(十字の交差部)にすると、両バルブ23,24も中立位置となる。操作レバー26のグリップ26Bを中立位置Nから右方あるいは左方(第2方向L)に移動させると、第1操作金具43が前後向きの軸心X周りに回動されてロッド46aが上下動し、バケットシリンダ35用のバルブ23が操作される。
また、操作レバー26のグリップ26Bを中立位置Nから前方あるいは後方(第1方向K)に移動させると、第2操作金具44が左右向きの軸心Y周りに回動されてロッド46bが上下動し、ブームシリンダ34用のバルブ24が操作される。
【0022】
次に、操作レバー26のロック機構Bについて説明する。
支持枠40には、操作レバー26を中立位置Nに機械的に固定保持するためのロック部材50が配備されている。支持枠40の下部にはベース部材51が取付けられ、このベース部材51にボス部52が立設されている。ロック部材50は、ボス部52に対して上下スライド及び回動可能に挿通される丸棒状のロック軸53と、ロック軸53の上部の外周面に連結固定されたレバー部54とを有する。ロック軸53の端部53aは、第2操作金具44から下方に向けて延設される筒状部であるボス部44aの開口に挿脱可能に構成されている。ロック軸53は全体が丸棒状に形成されているが、ボス部44aの開口に挿入される端部53aのみを棒状部として構成してもよい。支持枠40の前面側には、レバー部54が移動操作可能な上下方向の切り欠き部40aが形成されている。
【0023】
フレーム19のレバー部54に対向する位置には、前面視L字状のレバー当接部55が設けられている。レバー部54はロック軸53から下方に延びる第1レバー部54Aと第1レバー部54Aの端部から前方に延びる第2レバー部54Bとを備える。第2レバー部54Bの上部に取付けられたブラケット54Cと支持枠40の切り欠き部40aの上方位置の間には引張りスプリング56が架設されている。引張りスプリング56は上端がフレーム19寄りに位置し、正面視において斜め姿勢で設けられている。このため、引張りスプリング56は、ロック部材50をロック方向(上方)に付勢するとともに、ロック部材50のレバー部54をロック部材50が位置保持されるフレーム19(レバー当接部55)の方向に付勢する。
【0024】
フロントローダRを使用しない非作業時には、操作レバー26を中立位置Nにしてから、図5に示すように、レバー当接部55の下方位置のロック部材50のレバー部54(図5におて破線で示される)を右方向(「ア」の方向)に移動させてレバー当接部55から外した後、ロック軸53及びレバー部54を上方(「イ」の方向)にスライド操作してロック軸53の端部53aを第2操作金具44のボス部44aに挿入する。これにより、操作レバー26は中立位置Nにおいて機械的に固定され、バルブ23,24の操作が不能なロック状態となる。本実施形態では、操作レバー26の操作に伴って操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向(K,L)に直交する方向にロック部材50のロック軸53が配置され、ロック軸53の延長線上に2方向(K,L)の交点Mが位置する。このため、中立位置Nにロック状態にされた操作レバー26はガタツキ難い。
【0025】
フロントローダRを使用する作業時には、レバー当接部55の切り欠き部55aに位置するロック部材50のレバー部54(図5において実線で示される)を右方向(「ウ」の反対方向)に移動させてレバー当接部55から外した後、ロック軸53及びレバー部54を下方(「イ」の反対方向)にスライド操作して、ロック軸53の端部53aを第2操作金具44のボス部44aから完全に抜き出す。これにより、操作レバー26の十字操作が許容され、バルブ23,24の操作が可能となる。
【0026】
中立位置Nの操作レバー26のロック状態を維持するには、レバー部54を操作してロック軸53を上方にスライド移動させて端部53aをボス部44aに挿入した後、レバー部54をロック軸53周りのレバー当接部55の方向に移動させ、レバー部54の第2レバー部54Bをレバー当接部55の切り欠き部55aに当接させる。このとき、引張りスプリング56はロック軸53をロック方向(操作レバー26の基端部26Aの方向)に付勢するとともに、レバー部54の第2レバー部54Bがレバー当接部55に当接する方向に付勢する。これにより、レバー部54はレバー当接部55の切り欠き部55aに当接した状態で保持され、操作レバー26のロック状態が維持される。
【0027】
一方、操作レバー26のロック解除状態を維持するには、レバー部54を操作してロック軸53を下方にスライド移動させてボス部44aから端部53aを抜き出した後、レバー部54をロック軸53周りのレバー当接部55の方向に移動させて、レバー部54の第2レバー部54Bをレバー当接部55の下方に位置させる。このとき、引張りスプリング56がレバー部54の第2レバー部54Bをレバー当接部55の方向に付勢する。引張りスプリング56による操作レバー26のロック方向への付勢に対しては、レバー当接部55がレバー部54の第2レバー部54Bに当接することで操作レバー26のロック方向への移動が阻止される。これにより、レバー部54がレバー当接部55の下方に位置する状態で保持され、操作レバー26のロック解除状態が維持される。
【0028】
上述のように、操作レバー26が中立位置Nのときに、操作レバー26の操作に伴って操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向に直交する方向から操作レバー26の基端部26Aに係合可能なロック部材50を備えたので、操作レバー26の基端部26Aとロック部材50との係合により操作レバー26の基端部26Aは移動操作される2方向の直交方向から確実に移動不能にロックされる。操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向に直交する方向からロック部材50を操作レバー26の基端部26Aに係合して操作レバー26をロックするので、ロック部材50の操作がロック操作かロック解除操作かを容易に認識することができる。操作レバー26の基端部26Aとロック部材50との係合により操作レバー26がロックされるので、操作レバー26のロック機構が簡素なものとなる。
【0029】
図6に示すように、ロッド46a,46bにはベルクランク47a、47bを介して水平方向にリンク部材48a,48bが連結されている。リンク部材48a、48bにはL字状に形成され屈曲部の支点S周りに回動するリンク部材49a、49bが連結され、リンク部材49a,49bがバルブ23,24に連結されている。ここで、ベルクランク47a,47bの回動支点PはキャビンC側に固定されており、バルブ23,24やリンク部材49a,49bの支点Sは機体フレーム側に固定されている。
【0030】
操作レバー26を中立位置Nから左方あるいは右方(第2方向L)に移動させることにより、第1操作金具43が前後向きの軸心X周りに回動されてロッド46aが上下動すると、ベルクランク47aが支点P周りに回動し、リンク部材48aを左右方向に動作させる。このリンク部材48aの動作によりリンク部材49aが屈曲部の支点S周りに回動し、一方のバルブ23のスプール23aが操作される。
操作レバー26を中立位置Nから前方あるいは後方(第1方向K)に移動させることにより、第2操作金具44が左右向きの軸心Y周りに回動されてロッド46bが上下動すると、ベルクランク47bが支点P周りに回動し、リンク部材48bを左右方向に動作させる。このリンク部材48bの動作によりリンク部材49bが屈曲部の支点S周りに回動されて、他方のバルブ24のスプール24aが操作される。
【0031】
上述のように、ロッド46a,46bの上下方向の動作はベルクランク47a,47bの介在によりリンク部材48a,48bの左右方向の動作に変換される。このため、仮に機体フレームにゴムマウントされた状態のキャビンCが機体フレームに対して上下動する場合には、キャビンC側に固定されるロッド46a,46b、ベルクランク47a,47bは上下動する。このとき、リンク部材48a,48bはリンク部材49a,49bとの接続部の点Qを支点として上下方向に回動するため、リンク部材49a,49bは動作され難い。これにより、土壌の状態等により機体フレームに対してキャビンCが上下動した際に、バルブ23,24が不用意に操作される不具合を抑制することができる。
【0032】
操作レバー26の基端部26Aには操作レバー26が操作される際の操作支点Hとなる位置と操作レバー26の操作に伴って2方向に移動操作される位置(第1方向Kと第2方向Lにおける位置)とが存在する。操作レバー26を移動不能にロックするためには、ロック部材50を操作レバー26の基端部26Aにおいて操作レバー26の操作に伴って2方向に移動操作される位置(第1方向Kと第2方向Lにおける位置)で係合する必要がある。ここで、仮に操作レバー26の操作に伴って移動操作される2方向の交点Mが、操作レバー26が操作される際の操作支点Hよりも操作レバー26の操作端部(グリップ)26Bの側に位置していると、操作レバー26の基端部26Aにおける係合位置とロック部材50とを離間して配置しなければならず、ロック部材50を長くする必要がある。しかし、本構成の如く、操作レバー26の基端部26Aにおいて、操作レバー26の操作に伴って移動操作される2方向の交点Mよりも操作レバー26が操作される際の操作支点Hの方が操作レバー26の操作端部(グリップ)26Bの側に位置するようにすると、操作レバー26の基端部26Aにおける係合位置とロック部材50とを近接して配置することができ、ロック部材50を短くすることができる。これにより、操作レバー26のロック機構Bをコンパクトに構成することができる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、操作レバー26の基端部26Aの側に筒状部(ボス部)44aを備え、ロック部材50の側に筒状部(ボス部)44aの開口に挿脱される棒状部(ロック軸53の端部)53aを備える例を示したが、反対に、操作レバー26の基端部26Aの側に棒状部を備え、ロック部材50の側に筒状部を備えてもよい。また、操作レバー26の基端部26Aとロック部材50との係合は、図7に示すように、棒状部(ロック軸53の端部)53aと孔部(第2操作金具44の下面の孔部)44bとで構成してもよい。操作レバー26の基端部26Aとロック部材50との係合は、各種の係合凸部と係合凹部により構成することもできる。ただ、係合部を筒状部(孔部)と棒状部とで構成すると、筒状部の開口に棒状部を抜き差しするだけで両者の係合及び離脱操作が行えるので、操作レバー26のロック及びロック解除を容易に行うことができる。
【0034】
(2)上記の実施形態では、操作レバー26の基端部26Aにおいて、操作レバー26の操作に伴って移動操作される2方向(第1方向K及び第2方向L)の交点Mよりも操作レバー26における操作支点Hの方が操作レバー26の操作端部(グリップ)26Bの側に位置する例を示した。これに代えて、操作レバー26の操作支点Hよりも操作レバー26の操作に伴って移動操作される2方向(第1方向K及び第2方向L)の交点Mの方が操作端部(グリップ)26Bの側に位置するように構成してもよい。
【0035】
(3)上記の実施形態では、ロック軸53の延長線が、操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向(第1方向K及び第2方向L)で形成される操作面に直交し、且つ交点Mを通るように構成したが、ロック軸53の延長線が、操作レバー26の基端部26Aが移動操作される2方向(第1方向K及び第2方向L)で形成される操作面に直交していれば、交点M以外を通る構成であってもよい。
【0036】
(4)上記の実施形態では、単一の付勢部材(引張りスプリング)56を用いてロック部材50のロック軸53の操作レバー26の基端部26Aへの付勢と保持位置への付勢とを兼用する例を示したが、付勢部材は個別に設けてもよい。また、付勢部材を設けずにロックピン等を用いてロック部材50の位置を保持する構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、フロントローダRの他に、除雪装置、草刈装置を備えたトラクタにも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
19 フレーム
23,24 バルブ
26 操作レバー
26A 基端部
40 支持枠
43 第1操作金具
44 第2操作金具
44a ボス部(筒状部)
50 ロック部材
53 ロック軸
53a 端部(棒状部)
54 レバー部
55 レバー当接部
56 引張りスプリング(付勢部材)
H 操作支点
K 第1方向
L 第2方向
N 中立位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の油圧機器に対する2個のバルブを単一の操作レバーに連係し、前記操作レバーを第1方向と当該第1方向に交差する第2方向に操作して前記バルブを各別に操作するように構成した作業車の油圧装置において、
前記操作レバーが中立位置のときに、前記操作レバーの操作に伴って前記操作レバーの基端部が移動操作される2方向に直交する方向から前記操作レバーの前記基端部に係合可能なロック部材を備えた作業車の油圧装置。
【請求項2】
前記操作レバーの前記基端部及び前記ロック部材の一方に筒状部を設け、他方に前記筒状部に形成される開口に挿入可能な棒状部を設けた請求項1記載の作業車の油圧装置。
【請求項3】
前記ロック部材を記操作レバーの基端部に向けて付勢するとともに、前記ロック部材の位置が保持されるよう当該ロック部材をその軸芯回りの向きに付勢する付勢部材を備える請求項1又は2記載の作業車の油圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29003(P2013−29003A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167557(P2011−167557)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】