作業車両における作業灯及びアンテナの配置構造
【課題】キャビンにおける前方作業灯、後方作業灯及びアンテナの配置を最適化する。
【解決手段】リヤガラス12が開閉自在なキャビン7を備えるトラクタにおいて、キャビン7の外装として、機体前方を照らす前方作業灯15と、機体後方を照らす後方作業灯16と、所定の電波を受信するアンテナ17とを配置するにあたり、前方作業灯15は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケット18を介してキャビン7のフロントピラー8に取り付け、後方作業灯16は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケット19を介してキャビン7のリヤピラー9に取り付け、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在に取り付け、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在とした。
【解決手段】リヤガラス12が開閉自在なキャビン7を備えるトラクタにおいて、キャビン7の外装として、機体前方を照らす前方作業灯15と、機体後方を照らす後方作業灯16と、所定の電波を受信するアンテナ17とを配置するにあたり、前方作業灯15は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケット18を介してキャビン7のフロントピラー8に取り付け、後方作業灯16は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケット19を介してキャビン7のリヤピラー9に取り付け、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在に取り付け、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなどの作業車両における作業灯及びアンテナの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンを備える作業車両が知られている。この種のキャビンは、通常、左右一対のフロントピラー、左右一対のリヤピラー、フロントピラー及びリヤピラーで支えられるルーフ、前部開口を覆うフロントガラス、後部開口を覆うリヤガラス、乗降口を開閉自在に覆うドアなどを備えて構成されており、リヤガラスも開閉自在に構成される場合がある。
【0003】
また、キャビンの外装としては、機体前方又は機体後方を照らす作業灯や、所定の電波を受信するアンテナ(例えば、ロッド式のラジオ用アンテナ)などが配置される場合がある。例えば、特許文献1には、キャビンの前側に作業灯を備える作業車両が示され、特許文献2には、キャビンの前側にアンテナを備える作業車両が示され、特許文献3には、キャビンの後側にアンテナを備える作業車両が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−142918号公報
【特許文献2】特開平9−123841号公報
【特許文献3】実開昭63−41907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャビンに作業灯とアンテナを配置した場合、作業灯が発生させるノイズをアンテナが拾い、ラジオなどの受信感度が低下する惧れがあった。また、アンテナは、キャビンのルーフよりも上方に延出しているので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナを障害物に接触させて破損する惧れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、リヤガラスが開閉自在なキャビンを備える作業車両において、前記キャビンの外装として、機体前方を照らす前方作業灯と、機体後方を照らす後方作業灯と、所定の電波を受信するアンテナとを配置するにあたり、前方作業灯は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケットを介してキャビンのフロントピラーに取り付け、後方作業灯は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケットを介してキャビンのリヤピラーに取り付け、アンテナは、後方作業灯用ブラケットに前後回動自在に取り付け、キャビンのルーフよりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、キャビンに、前方作業灯、後方作業灯及びアンテナを配置するにあたり、前方作業灯を輝度の高い放電式ランプで構成したので、夜間でも良好な前方視界が得られる。また、アンテナは、ノイズを発生させる前方作業灯(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯(白熱式ランプ)の近くに配置したので、ノイズによる受信感度の低下も抑制することができる。また、アンテナは、後方作業灯用ブラケットに取り付けられるので、専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。また、アンテナは、前後方向回動自在に構成され、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まるように格納できるので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナを障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラスとの干渉も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アンテナ使用状態を示すトラクタの側面図である。
【図2】アンテナ格納状態を示すトラクタの側面図である。
【図3】アンテナ使用状態を示すトラクタの背面図である。
【図4】アンテナ格納状態を示すトラクタの背面図である。
【図5】アンテナ使用状態を示す要部斜視図である。
【図6】アンテナ格納状態を示す要部斜視図である。
【図7】オーディオ取り付け手順1を示す斜視図である。
【図8】オーディオ取り付け手順2を示す斜視図である。
【図9】オーディオ取り付け手順3を示す斜視図である。
【図10】オーディオ取り付け手順4を示す斜視図である。
【図11】オーディオ取り付け手順5を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4において、1はトラクタ(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1は、図示しないエンジンが搭載されるエンジン搭載部2、エンジン動力を変速するミッションケース3、変速された動力で駆動される前輪4及び後輪5、任意の作業機が装着される作業機装着部6、オペレータの運転空間を覆うキャビン7などを備えて構成されている。
【0010】
キャビン7は、運転空間の前側左右端に立設される左右一対のフロントピラー8、運転空間の後側左右端に立設される左右一対のリヤピラー9、フロントピラー8とリヤピラー9の間に立設されるセンタピラー10、フロントピラー8やリヤピラー9で支えられるルーフ11、左右のフロントピラー8間に形成される前部開口を覆うフロントガラス(図示せず)、左右のリヤピラー9間に形成される後部開口を開閉自在に覆うリヤガラス12、センタピラー10とリヤピラー9の間に形成される側部開口を開閉自在に覆うサイドガラス13、フロントピラー8とセンタピラー10の間に形成される乗降口を開閉自在に覆うドアガラス14などを備えて構成されている。
【0011】
開閉自在なリヤガラス12、サイドガラス13及びドアガラス14は、それぞれ一対のヒンジ12a、13a、14aを介して支持されており、該ヒンジ12a、13a、14a(ヒンジ軸)を支点とする回動操作(外開き操作)に応じて各開口を開閉させる。
【0012】
例えば、リヤガラス12は、その上端部に設けられるヒンジ12aを支点とする前後方向(上下方向)の回動操作に応じて後部開口を開閉させ、サイドガラス13は、その後端部に設けられるヒンジ13aを支点とする左右方向(前後方向)の回動操作に応じて側部開口を開閉させ、さらに、ドアガラス14は、その後端部に設けられるヒンジ14aを支点とする左右方向(前後方向)の回動操作に応じて乗降口を開閉させる。
【0013】
キャビン7には、外装として、機体前方を照らす左右一対の前方作業灯15と、機体後方を照らす左右二対の後方作業灯16と、所定の電波(例えば、ラジオ放送電波)を受信するロッド式のアンテナ17とが取り付けられている。
【0014】
前方作業灯15は、左右フロントピラー8の上端部に、前方作業灯用ブラケット18を介してそれぞれ一個ずつ取り付けられ、後方作業灯16は、左右リヤピラー9の上端部に、後方作業灯用ブラケット19を介してそれぞれ二個ずつ取り付けられ、アンテナ17は、左右いずれか一方の後方作業灯用ブラケット19に取り付けられている。つまり、後方作業灯用ブラケット19は、アンテナ17のブラケットに兼用されるので、アンテナ専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。
【0015】
作業灯15、16に適用可能なランプとしては、キセノンランプなどの放電式ランプ(ディスチャージランプ)や、ハロゲンランプなどの白熱式ランプがある。放電式ランプは、ノイズを発生させるが、白熱式ランプに比べて輝度が高いという利点がある。一方、白熱式ランプは、放電式ランプに比べて輝度は低いが、ノイズを発生しないという利点がある。
【0016】
本発明の実施形態に係るトラクタでは、前方作業灯15に放電式ランプを適用し、後方作業灯16に白熱式ランプを適用する。つまり、本発明の実施形態に係るトラクタによれば、キャビン7に、前方作業灯15、後方作業灯16及びアンテナ17を配置するにあたり、前方作業灯15を輝度の高い放電式ランプで構成することにより、夜間でも良好な前方視界が得られる。しかも、アンテナ17は、ノイズを発生させる前方作業灯15(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯16(白熱式ランプ)の近くに配置されるので、ノイズによる受信感度の低下も抑制される。
【0017】
尚、後方作業灯16は、白熱式ランプを適用することにより、前方作業灯15に比して輝度が低くなるが、本実施形態のトラクタは、左右二対の後方作業灯16を備えるので、夜間において極めて良好な後方視界が得られる。
【0018】
アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在(上下回動自在)に取り付けられている。例えば、本実施形態のアンテナ17は、蝶ナット20aで締め付け可能な支軸20を支点として回動自在であり、常時は蝶ナット20aの締め付け力で回動が規制される一方、蝶ナット20aを緩め操作することにより、アンテナ17の回動操作が許容されるようになっている。
【0019】
図1〜図6に示すように、アンテナ17は、その回動操作に応じて、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と(図1、図3、図5参照)、キャビン7の後面に沿う格納姿勢と(図2、図4、図6参照)、に回動変姿自在となっている。そして、格納姿勢においては、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まるようになっている。このようにすると、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナ17を障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラス12との干渉も回避することができる。
【0020】
次に、本実施形態のキャビン7におけるオーディオ機器30の取付構造について、図7〜図11を参照して説明する。
【0021】
キャビン7にオーディオ機器30を取り付ける場合、キャビン7の天井31とルーフ11との間の空間を利用することがよく行われている。このような場合、天井31に取付孔31aを形成し、その内側にオーディオ機器30を組み込むことになるが、従来では、ルーフ11を取り外して天井内部にオーディオ機器30を固定していたので、取付作業が極めて煩雑であった。そこで、本実施形態では、後述するボックス型ブラケット32とスリーブ33を用いることにより、オーディオ機器30の取り付けを容易にする。以下、本実施形態に係るオーディオ機器30について詳述する。
【0022】
図7に示すように、ボックス型ブラケット32は、前面が開口したボックス形状であり、左右側面及び上面の前側には、それぞれ長方形の孔32aが形成され、また、左右側面の奥側には、それぞれ突起32bが形成されている。そして、ボックス型ブラケット32は、天井31の取付孔31aから天井内部に挿入され、任意の固定方法を天井内部に固定される。例えば、ボックス型ブラケット32の後面部を、ボルトを介してルーフ11に固定する。
【0023】
図8に示すように、スリーブ33は、前面及び後面が開口した四角筒形状であり、左右側面及び上面の前側には、それぞれ折り曲げ変形自在な爪部33aが形成され、また、左右側面の奥側には、それぞれ凹部33bが形成され、さらに、左右側面の中間部には、それぞれ係止部33cが形成されている。そして、スリーブ33は、前面開口からボックス型ブラケット32内に挿入すると、凹部33bが突起32bに係合することで位置決めされ、この状態で、爪部33aを孔32aを介して外方に折り曲げ、さらに孔32aの前端側に折り返すことにより、スリーブ33がボックス型ブラケット32内に固定される。
【0024】
図9に示すように、オーディオ機器30は、スリーブ33の内部に挿入可能な形状であり、左右の側面には、それぞれ凹部30aが形成され、左右側面及び上下面の手前側には、段差部30bが形成されている。そして、オーディオ機器30は、前面開口からスリーブ33に挿入すると、段差部30bがスリーブ33の前端縁に当接することで位置決めされ、このとき、スリーブ33の係止部33aが凹部30aに入り込むことにより、オーディオ機器30の抜止めがなされるようになっている。
【0025】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、リヤガラス12が開閉自在なキャビン7を備えるトラクタにおいて、キャビン7の外装として、機体前方を照らす前方作業灯15と、機体後方を照らす後方作業灯16と、所定の電波を受信するアンテナ17とを配置するにあたり、前方作業灯15は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケット18を介してキャビン7のフロントピラー8に取り付け、後方作業灯16は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケット19を介してキャビン7のリヤピラー9に取り付け、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在に取り付け、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在とした構成としてある。つまり、発明の実施形態に係るトラクタによれば、キャビン7に、前方作業灯15、後方作業灯16及びアンテナ17を配置するにあたり、前方作業灯15を輝度の高い放電式ランプで構成したので、夜間でも良好な前方視界が得られる。また、アンテナ17は、ノイズを発生させる前方作業灯15(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯16(白熱式ランプ)の近くに配置したので、ノイズによる受信感度の低下も抑制することができる。また、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に取り付けられるので、専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。また、アンテナ17は、前後方向回動自在に構成され、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まるように格納できるので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナ17を障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラス12との干渉も回避することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 走行機体
7 キャビン
8 フロントピラー
9 リヤピラー
10 センタピラー
11 ルーフ
12 リヤガラス
14 ドアガラス
15 前方作業灯
16 後方作業灯
17 アンテナ
18 前方作業灯用ブラケット
19 後方作業灯用ブラケット
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなどの作業車両における作業灯及びアンテナの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンを備える作業車両が知られている。この種のキャビンは、通常、左右一対のフロントピラー、左右一対のリヤピラー、フロントピラー及びリヤピラーで支えられるルーフ、前部開口を覆うフロントガラス、後部開口を覆うリヤガラス、乗降口を開閉自在に覆うドアなどを備えて構成されており、リヤガラスも開閉自在に構成される場合がある。
【0003】
また、キャビンの外装としては、機体前方又は機体後方を照らす作業灯や、所定の電波を受信するアンテナ(例えば、ロッド式のラジオ用アンテナ)などが配置される場合がある。例えば、特許文献1には、キャビンの前側に作業灯を備える作業車両が示され、特許文献2には、キャビンの前側にアンテナを備える作業車両が示され、特許文献3には、キャビンの後側にアンテナを備える作業車両が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−142918号公報
【特許文献2】特開平9−123841号公報
【特許文献3】実開昭63−41907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャビンに作業灯とアンテナを配置した場合、作業灯が発生させるノイズをアンテナが拾い、ラジオなどの受信感度が低下する惧れがあった。また、アンテナは、キャビンのルーフよりも上方に延出しているので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナを障害物に接触させて破損する惧れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、リヤガラスが開閉自在なキャビンを備える作業車両において、前記キャビンの外装として、機体前方を照らす前方作業灯と、機体後方を照らす後方作業灯と、所定の電波を受信するアンテナとを配置するにあたり、前方作業灯は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケットを介してキャビンのフロントピラーに取り付け、後方作業灯は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケットを介してキャビンのリヤピラーに取り付け、アンテナは、後方作業灯用ブラケットに前後回動自在に取り付け、キャビンのルーフよりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、キャビンに、前方作業灯、後方作業灯及びアンテナを配置するにあたり、前方作業灯を輝度の高い放電式ランプで構成したので、夜間でも良好な前方視界が得られる。また、アンテナは、ノイズを発生させる前方作業灯(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯(白熱式ランプ)の近くに配置したので、ノイズによる受信感度の低下も抑制することができる。また、アンテナは、後方作業灯用ブラケットに取り付けられるので、専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。また、アンテナは、前後方向回動自在に構成され、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まるように格納できるので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナを障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラスとの干渉も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】アンテナ使用状態を示すトラクタの側面図である。
【図2】アンテナ格納状態を示すトラクタの側面図である。
【図3】アンテナ使用状態を示すトラクタの背面図である。
【図4】アンテナ格納状態を示すトラクタの背面図である。
【図5】アンテナ使用状態を示す要部斜視図である。
【図6】アンテナ格納状態を示す要部斜視図である。
【図7】オーディオ取り付け手順1を示す斜視図である。
【図8】オーディオ取り付け手順2を示す斜視図である。
【図9】オーディオ取り付け手順3を示す斜視図である。
【図10】オーディオ取り付け手順4を示す斜視図である。
【図11】オーディオ取り付け手順5を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図4において、1はトラクタ(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1は、図示しないエンジンが搭載されるエンジン搭載部2、エンジン動力を変速するミッションケース3、変速された動力で駆動される前輪4及び後輪5、任意の作業機が装着される作業機装着部6、オペレータの運転空間を覆うキャビン7などを備えて構成されている。
【0010】
キャビン7は、運転空間の前側左右端に立設される左右一対のフロントピラー8、運転空間の後側左右端に立設される左右一対のリヤピラー9、フロントピラー8とリヤピラー9の間に立設されるセンタピラー10、フロントピラー8やリヤピラー9で支えられるルーフ11、左右のフロントピラー8間に形成される前部開口を覆うフロントガラス(図示せず)、左右のリヤピラー9間に形成される後部開口を開閉自在に覆うリヤガラス12、センタピラー10とリヤピラー9の間に形成される側部開口を開閉自在に覆うサイドガラス13、フロントピラー8とセンタピラー10の間に形成される乗降口を開閉自在に覆うドアガラス14などを備えて構成されている。
【0011】
開閉自在なリヤガラス12、サイドガラス13及びドアガラス14は、それぞれ一対のヒンジ12a、13a、14aを介して支持されており、該ヒンジ12a、13a、14a(ヒンジ軸)を支点とする回動操作(外開き操作)に応じて各開口を開閉させる。
【0012】
例えば、リヤガラス12は、その上端部に設けられるヒンジ12aを支点とする前後方向(上下方向)の回動操作に応じて後部開口を開閉させ、サイドガラス13は、その後端部に設けられるヒンジ13aを支点とする左右方向(前後方向)の回動操作に応じて側部開口を開閉させ、さらに、ドアガラス14は、その後端部に設けられるヒンジ14aを支点とする左右方向(前後方向)の回動操作に応じて乗降口を開閉させる。
【0013】
キャビン7には、外装として、機体前方を照らす左右一対の前方作業灯15と、機体後方を照らす左右二対の後方作業灯16と、所定の電波(例えば、ラジオ放送電波)を受信するロッド式のアンテナ17とが取り付けられている。
【0014】
前方作業灯15は、左右フロントピラー8の上端部に、前方作業灯用ブラケット18を介してそれぞれ一個ずつ取り付けられ、後方作業灯16は、左右リヤピラー9の上端部に、後方作業灯用ブラケット19を介してそれぞれ二個ずつ取り付けられ、アンテナ17は、左右いずれか一方の後方作業灯用ブラケット19に取り付けられている。つまり、後方作業灯用ブラケット19は、アンテナ17のブラケットに兼用されるので、アンテナ専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。
【0015】
作業灯15、16に適用可能なランプとしては、キセノンランプなどの放電式ランプ(ディスチャージランプ)や、ハロゲンランプなどの白熱式ランプがある。放電式ランプは、ノイズを発生させるが、白熱式ランプに比べて輝度が高いという利点がある。一方、白熱式ランプは、放電式ランプに比べて輝度は低いが、ノイズを発生しないという利点がある。
【0016】
本発明の実施形態に係るトラクタでは、前方作業灯15に放電式ランプを適用し、後方作業灯16に白熱式ランプを適用する。つまり、本発明の実施形態に係るトラクタによれば、キャビン7に、前方作業灯15、後方作業灯16及びアンテナ17を配置するにあたり、前方作業灯15を輝度の高い放電式ランプで構成することにより、夜間でも良好な前方視界が得られる。しかも、アンテナ17は、ノイズを発生させる前方作業灯15(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯16(白熱式ランプ)の近くに配置されるので、ノイズによる受信感度の低下も抑制される。
【0017】
尚、後方作業灯16は、白熱式ランプを適用することにより、前方作業灯15に比して輝度が低くなるが、本実施形態のトラクタは、左右二対の後方作業灯16を備えるので、夜間において極めて良好な後方視界が得られる。
【0018】
アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在(上下回動自在)に取り付けられている。例えば、本実施形態のアンテナ17は、蝶ナット20aで締め付け可能な支軸20を支点として回動自在であり、常時は蝶ナット20aの締め付け力で回動が規制される一方、蝶ナット20aを緩め操作することにより、アンテナ17の回動操作が許容されるようになっている。
【0019】
図1〜図6に示すように、アンテナ17は、その回動操作に応じて、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と(図1、図3、図5参照)、キャビン7の後面に沿う格納姿勢と(図2、図4、図6参照)、に回動変姿自在となっている。そして、格納姿勢においては、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まるようになっている。このようにすると、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナ17を障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラス12との干渉も回避することができる。
【0020】
次に、本実施形態のキャビン7におけるオーディオ機器30の取付構造について、図7〜図11を参照して説明する。
【0021】
キャビン7にオーディオ機器30を取り付ける場合、キャビン7の天井31とルーフ11との間の空間を利用することがよく行われている。このような場合、天井31に取付孔31aを形成し、その内側にオーディオ機器30を組み込むことになるが、従来では、ルーフ11を取り外して天井内部にオーディオ機器30を固定していたので、取付作業が極めて煩雑であった。そこで、本実施形態では、後述するボックス型ブラケット32とスリーブ33を用いることにより、オーディオ機器30の取り付けを容易にする。以下、本実施形態に係るオーディオ機器30について詳述する。
【0022】
図7に示すように、ボックス型ブラケット32は、前面が開口したボックス形状であり、左右側面及び上面の前側には、それぞれ長方形の孔32aが形成され、また、左右側面の奥側には、それぞれ突起32bが形成されている。そして、ボックス型ブラケット32は、天井31の取付孔31aから天井内部に挿入され、任意の固定方法を天井内部に固定される。例えば、ボックス型ブラケット32の後面部を、ボルトを介してルーフ11に固定する。
【0023】
図8に示すように、スリーブ33は、前面及び後面が開口した四角筒形状であり、左右側面及び上面の前側には、それぞれ折り曲げ変形自在な爪部33aが形成され、また、左右側面の奥側には、それぞれ凹部33bが形成され、さらに、左右側面の中間部には、それぞれ係止部33cが形成されている。そして、スリーブ33は、前面開口からボックス型ブラケット32内に挿入すると、凹部33bが突起32bに係合することで位置決めされ、この状態で、爪部33aを孔32aを介して外方に折り曲げ、さらに孔32aの前端側に折り返すことにより、スリーブ33がボックス型ブラケット32内に固定される。
【0024】
図9に示すように、オーディオ機器30は、スリーブ33の内部に挿入可能な形状であり、左右の側面には、それぞれ凹部30aが形成され、左右側面及び上下面の手前側には、段差部30bが形成されている。そして、オーディオ機器30は、前面開口からスリーブ33に挿入すると、段差部30bがスリーブ33の前端縁に当接することで位置決めされ、このとき、スリーブ33の係止部33aが凹部30aに入り込むことにより、オーディオ機器30の抜止めがなされるようになっている。
【0025】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、リヤガラス12が開閉自在なキャビン7を備えるトラクタにおいて、キャビン7の外装として、機体前方を照らす前方作業灯15と、機体後方を照らす後方作業灯16と、所定の電波を受信するアンテナ17とを配置するにあたり、前方作業灯15は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケット18を介してキャビン7のフロントピラー8に取り付け、後方作業灯16は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケット19を介してキャビン7のリヤピラー9に取り付け、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に前後回動自在に取り付け、キャビン7のルーフ11よりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在とした構成としてある。つまり、発明の実施形態に係るトラクタによれば、キャビン7に、前方作業灯15、後方作業灯16及びアンテナ17を配置するにあたり、前方作業灯15を輝度の高い放電式ランプで構成したので、夜間でも良好な前方視界が得られる。また、アンテナ17は、ノイズを発生させる前方作業灯15(放電式ランプ)から離間し、ノイズを発生しない後方作業灯16(白熱式ランプ)の近くに配置したので、ノイズによる受信感度の低下も抑制することができる。また、アンテナ17は、後方作業灯用ブラケット19に取り付けられるので、専用のブラケットを不要にして部品点数の削減が図れる。また、アンテナ17は、前後方向回動自在に構成され、後面視で後方作業灯16とリヤガラス12との間に納まるように格納できるので、機体をトラックで輸送する際や車庫に格納する際に、アンテナ17を障害物に接触させて破損する可能性を低減できるだけでなく、格納姿勢におけるリヤガラス12との干渉も回避することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 走行機体
7 キャビン
8 フロントピラー
9 リヤピラー
10 センタピラー
11 ルーフ
12 リヤガラス
14 ドアガラス
15 前方作業灯
16 後方作業灯
17 アンテナ
18 前方作業灯用ブラケット
19 後方作業灯用ブラケット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤガラスが開閉自在なキャビンを備える作業車両において、
前記キャビンの外装として、機体前方を照らす前方作業灯と、機体後方を照らす後方作業灯と、所定の電波を受信するアンテナとを配置するにあたり、
前方作業灯は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケットを介してキャビンのフロントピラーに取り付け、
後方作業灯は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケットを介してキャビンのリヤピラーに取り付け、
アンテナは、後方作業灯用ブラケットに前後回動自在に取り付け、キャビンのルーフよりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在としたことを特徴とする作業車両における作業灯及びアンテナの配置構造。
【請求項1】
リヤガラスが開閉自在なキャビンを備える作業車両において、
前記キャビンの外装として、機体前方を照らす前方作業灯と、機体後方を照らす後方作業灯と、所定の電波を受信するアンテナとを配置するにあたり、
前方作業灯は、輝度が高い放電式ランプで構成し、前方作業灯用ブラケットを介してキャビンのフロントピラーに取り付け、
後方作業灯は、ノイズを発生しない白熱式ランプで構成し、後方作業灯用ブラケットを介してキャビンのリヤピラーに取り付け、
アンテナは、後方作業灯用ブラケットに前後回動自在に取り付け、キャビンのルーフよりも上方に延出可能な使用姿勢と、後面視で後方作業灯とリヤガラスとの間に納まる格納姿勢とに回動変姿自在としたことを特徴とする作業車両における作業灯及びアンテナの配置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−129667(P2012−129667A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277634(P2010−277634)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]