説明

併用療法

本発明は、場合によっては、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法、特に、癌の治療方法、特に、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、タキサンと組み合わせて、AZD2171を投与することを含む方法;AZD2171とタキサンを含む薬剤組成物;療法によって、ヒト若しくは動物体の治療方法に用いるための、AZD2171とタキサンを含む複合生成物;AZD2171とタキサンを含むキット;場合によっては、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171とタキサンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要に応じて電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法、特に、癌、特に充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、AZD2171をタキサンと組み合わせて投与することを含む方法;AZD2171とタキサンを含む薬剤組成物;ヒト又は動物の体を治療する方法に療法によって用いるための、AZD2171とタキサンを含む複合生成物;AZD2171とタキサンを含むキット;場合によっては、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171とタキサンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な脈管形成は、胚発育、創傷治癒及び、女性生殖機能の幾つかの要素を含めた、多様なプロセスに重要な役割を果たす。好ましくない又は病的な脈管形成は、糖尿病性網膜症、乾癬、癌、リウマチ様関節炎、アテローマ、カポジ肉腫及び血管種を含めた疾患状態に関連している(Fan et al, 1995, Trends Pharmacol. Sci. 16: 57-66; Folkman, 1995, Nature Medicine 1:27-31)。血管透過性の変化は、正常及び病的な生理的プロセスの両方に役割を果たすと考えられる(Cullinan-Bove et al, 1993, Endocrinology 133: 829-837; Senger et al, 1993, Cancer and Metastasis Reviews, 12: 303-324)。酸性及び塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGF & bFGF)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含めた、in vitro内皮細胞増殖促進活性を有する幾つかのポリペプチドが同定されている。FGFsの増殖因子活性とは対照的に、VEGFの増殖因子活性は、その受容体の制限された発現のために、内皮細胞に対して比較的特異的である。VEGFが正常及び病的な生理的血管形成の両方(Jakeman et al, 1993, Endocrinology, 133: 848-859; Kolch et al, 1995, Breast Cancer Research and Treatment, 36: 139-155)と、血管透過性(Connolly et al, 1989, J. Biol. Chem. 264: 20017-20024)との重要な刺激剤であることを、最近の証拠が実証している。抗体によるVEGFの封鎖(sequestration)によるVEGF作用の拮抗は、結果として腫瘍増殖の阻害をもたらすことができる(Kim et al, 1993, Nature 362: 841-844)。
【0003】
受容体チロシン・キナーゼ(RTKs)は、細胞の原形質膜を横切っての生化学シグナルの伝達に重要である。これらの膜貫通分子は、特徴的に、原形質膜中のセグメントを介して細胞内チロシン・キナーゼ受容体に結合する細胞外リガンド結合ドメインから成る。該受容体へのリガンドの結合は、受容体結合チロシン・キナーゼ活性を刺激することになり、該活性が該受容体及び他の細胞内分子の両方におけるチロシン残基のリン酸化を生じる。チロシンリン酸化のこれらの変化は、シグナリング・カスケードを開始させて、多様な細胞反応を生じる。現在までに、アミノ酸配列相同性によって定義されている、少なくとも19の識別可能なRKTサブファミリーが同定されている。これらのサブファミリーの1つは、現在、fms様チロシン・キナーゼ受容体、Flt−1(VEGFR−1とも呼ばれる)、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体、KDR(VEGFR−2若しくはFlk−1とも呼ばれる)及び他のfms様チロシン・キナーゼ受容体、Flt−4によって構成されている。これらの関連RTKs、Flt−1及びKDRのうちの2つは、高いアフィニティでVEGFを結合することが判明している(De Vries et al, 1992, Science 255: 989-991;Terman et al, 1992,Biochem. Biophys. Res. Comm. 1992,187 : 1579-1586)。異種細胞中に発現した、これらの受容体へのVEGFの結合は、細胞タンパク質のチロシンリン酸化状態及びカルシウム流量の変化に関連付けられている。
【0004】
VEGFは、脈管形成及び血管新生の重要な刺激剤(key stimulus)である。このサイトカインは、内皮細胞増殖、プロテアーゼ発現と移行、及びその後の毛管形成のための細胞組織化を誘発することによって、血管萌出表現型を誘導する(Keck, P.J., Hauser, S.D., Krivi, G., Sanzo, K., Warren, T., Feder, J., and Connolly, D.T., Science (Washington DC), 246: 1309-1312, 1989 ; Lamoreaux, W.J., Fitzgerald, M.E., Reiner, A., Hasty, K.A., and Charles, S.T., Microvasc. Res., 55: 29-42,1998 ; Pepper, M.S., Montesano, R., Mandroita, S.J., Orci, L. and Vassalli, J.D., Enzyme Protein, 49: 138-162,1996)。さらに、VEGFは、有意な血管透過性を誘導し(Dvorak,H.F., Detmar,M., Claffey, K. P., Nagy, J. A., van de Water, L., and Senger,D.R., (Int.Arch.Allergy Immunol., 107: 233-235,1995; Bates,D.O., Heald,R.I., Curry,F.E. and Williams,B.J. Physiol.(Lond.), 533: 263-272,2001)、病的な血管新生を特徴とする、高透過性の未熟な血管網状組織の形成を促進する。
【0005】
内皮細胞の増殖、移行及び生存と、血管透過性の誘導を含めた、VEGFに対する主要な表現型反応の全てを促進させるために、KDRの活性化のみで充分であることが示されている(Meyer, M., Clauss, M., Lepple-Wienhues, A., Waltenberger, J., Augustin, H. G., Ziche, M., Lanz, C., Biittner, M., Rziha, H-J., and Dehio, C., EMBO J., 18: 363-374,1999; Zeng, H., Sanyal, S. and Mukhopadhyay, D., J. Biol. Chem., 276: 32714-32719,2001 ; Gille, H., Kowalski, J., Li, B., LeCouter, J., Moffat, B, Zioncheck, T.F., Pelletier, N. and Ferrara, N., J. Biol. Chem. , 276: 3222-3230,2001)。
【0006】
VEGF受容体チロシンキナーゼの阻害剤であるキナゾリン誘導体は、国際特許出願No.WO 00/47212に記載されている。AZD2171は、WO 00/47212に記載されており、そのなかの実施例240である。AZD2171は、4-(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドル−5−イルオキシ)−6−メトキシ−7−(3−(ピロリジン−1−イル)プロポキシ)キナゾリンである:
【0007】
【化1】

【0008】
AZD2171は、WO 00/47212(80〜83頁)に記載されているin vitro(a)酵素アッセイと(b)HUVECアッセイにおいて優れた活性を示す。該酵素アッセイにおける単離されたKDR(VEGFR−2)とFlt−1(VEGFR−1)のチロシンキナーゼ活性の阻害に関するAZD2171 IC50値は、それぞれ、<2nMと5±2nMである。AZD2171は、VEGF刺激内皮細胞増殖を強力に阻害する(HUVECアッセイにおけるIC50値、0.4±0.2nM)が、基底内皮細胞増殖を>1250倍大きい濃度においても感知できるほどには阻害しない(IC50値は>500nMである)。WO 00/47212(83頁)に記載されたin vivo充実性腫瘍モデルにおけるCalu−6腫瘍異種移植片の増殖は、1.5mg、3mg及び6mg/kg/日のAZD2171による1日1回処置の28日間後に、それぞれ、49%**、69%***及び91%***阻害した(P**<0.01、P***<0.0001;片側検定)。AZD2171は、1日1回経口投与後のモデルの範囲において広範囲な抗腫瘍活性を導出することが示されている。
【0009】
国際特許出願No.PCT/GB 2004/005359は、AZD2171マレイン酸塩を記載しており、AZD2171マレイン酸塩が単独療法として適用されうること、又は1種類以上の他の物質及び/又は処置と併用されうることを述べている。タキソイド類を包含する、他の物質のリストが与えられており、タキソイド類のなかでは、Taxol(登録商標)とTaxotere(登録商標)が挙げられている。
【0010】
WO 00/47212では、本発明の化合物が:「単独療法として適用されうる又は、本発明の化合物の他に、1種類以上の他の物質及び/又は処置を含みうる。このような合同処置は、該処置の個々の化合物を同時投与、連続投与又は分離投与する方法によって達成することができる」ことが、述べられている。
【0011】
WO 00/47212は、その後に続けて、外科、放射線療法及び種々なタイプの化学療法剤を含めた、このような合同処置の実施例を記載している。
しかし、WO 00/47212の何処にも、AZD2171とタキサンとの特定の組み合わせは示唆されていない。
【0012】
また、WO 00/47212の何処にも、WO 00/47212に含まれる発明のいずれかの化合物と他の処置との併用が意外に有利な効果を生み出すであろうことは、述べられていない。
【発明の開示】
【0013】
予想外に、驚くべきことには、WO 00/472171に列挙された併用療法からの特定の選択と共に、即ち、タキサンと共に用いる特定の化合物、AZD2171が、単独で用いるAZD2171とタキサンのいずれか一方よりも有意に良好な効果を生じることが、現在発見されている。特に、タキサンと組み合わせて用いるAZD2171は、充実性腫瘍に対して、単独で用いるAZD2171とタキサンのいずれか一方よりも有意に良好な効果を生じる。
【0014】
本発明の治療方法の抗癌効果は、非限定的に、抗腫瘍効果、反応速度、疾患の悪化までの時間及び生残率を包含する。本発明の治療方法の抗腫瘍効果は、非限定的に、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖の遅延、腫瘍の後退、腫瘍の収縮、治療停止後の腫瘍再増殖までの時間延長、疾患進行の緩慢化を包含する。充実性腫瘍を含めた癌の治療を必要とする、例えばヒトのような、温血動物に本発明の治療方法を投与する場合に、前記治療方法が、例えば、抗腫瘍効果の程度、反応速度、疾患進行までの時間及び生残率の1つ以上によって測定されるような、効果を生じるであろうと、期待される。抗癌効果は、予防処置並びに既存疾患の治療を包含する。
【0015】
本発明によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させるための方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させるための方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0021】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させるための方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0022】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させるための方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0023】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0024】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0025】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0026】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、タキサン有効量の前、後又はタキサン有効量と同時に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を前記動物に投与することを含み、この場合、AZD2171とタキサンを、それぞれ、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0027】
本発明の他の態様によると、AZD2171又はその製薬的に受容される塩と、タキサンを、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物を提供する。
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩と、タキサンを、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物を提供する。
【0028】
本発明の他の態様によると、ヒト又は動物の体を治療する方法に療法によって用いるための、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンを含む複合生成物を提供する。
【0029】
本発明の他の態様によると、ヒト又は動物の体を治療する方法に療法によって用いるための、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンを含む複合生成物を提供する。
【0030】
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩と、タキサンを含むキットを提供する。
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩と、タキサンを含むキットを提供する。
【0031】
本発明の他の態様によると、(a)第1単位投与形中のAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩;(b)第2単位投与形中のタキサン;及び(c)前記第1投与形と第2投与形を含有するための容器手段を含むキットを提供する。
【0032】
本発明の他の態様によると、(a)第1単位投与形中のAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩;(b)第2単位投与形中のタキサン;及び(c)前記第1投与形と第2投与形を含有するための容器手段を含むキットを提供する。
【0033】
本発明の他の態様によると、(a)第1単位投与形中の製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒のAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩;(b)第2単位投与形中の製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒のタキサン;及び(c)前記第1投与形と第2投与形を含有するための容器手段を含むキットを提供する。
【0034】
本発明の他の態様によると、(a)第1単位投与形中の製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒のAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩;(b)第2単位投与形中の製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒のタキサン;及び(c)前記第1投与形と第2投与形を含有するための容器手段を含むキットを提供する。
【0035】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0036】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0037】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0038】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0039】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0040】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンの使用を提供する。
【0041】
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に、タキサンの有効量と同時投与、連続投与又は分離投与で、該治療処置を必要とする、例えばヒトのような温血動物に投与することを含む併用治療であって、タキサンを任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる治療を提供する。
【0042】
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に、タキサンの有効量との同時投与、連続投与又は分離投与で、該治療処置を必要とする、例えばヒトのような温血動物に投与することを含む併用治療であって、この場合、タキサンは任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる治療を提供する。
【0043】
本発明の他の態様によると、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に、タキサンの有効量との同時投与、連続投与又は分離投与で、該治療処置を必要とする、例えばヒトのような温血動物に投与することを含む併用治療であって、この場合、タキサンは任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる治療を提供する。このような治療処置は、抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果、抗癌効果及び抗腫瘍効果を包含する。
【0044】
本明細書で定義するような、本発明の併用治療は、前記治療の個々の成分の同時投与、連続投与又は分離投与によって達成することができる。本明細書で定義するような併用治療は単独療法として適用することができるか、又は本発明の併用治療の他に、手術若しくは放射線療法若しくは付加的な化学療法剤を包含することができる。
【0045】
手術は、本明細書に記載する、AZD2171による併用処置の投与前、中又は後の部分的又は完全な腫瘍切除工程を含むことができる。
本発明の併用治療と共に任意に用いるための、他の化学療法剤は、本明細書に援用されるWO 00/47212に記載されている化学療法剤を包含する。このような化学療法は、5つの主要なカテゴリーの療法剤:(i)血管ターゲッティング剤を含めた、他の抗脈管形成剤;(ii)細胞増殖抑制剤;(iii)生物学的反応調節剤(例えば、インターフェロン);(iv)抗体(例えば、エドレコロマブ(edrecolomab));及び(v)医学腫瘍学で用いられる抗増殖/抗腫瘍薬と、これらの組み合わせを含むことができる、そして他のカテゴリーの作用剤は:(vi)アンチセンス療法;(vii)遺伝子療法アプローチ;及び(ix)免疫療法アプローチである。
【0046】
本発明の併用治療と共に用いるための化学療法剤の特定の例は、ラルチトレキセド(raltitrexed)、エトポシド、ビノレルビン(vinorelbine)、シスプラチン、オキサリプラチン、ゲムシタビン(gemcitabine)、イリノテカン(CPT−11)及び5−フルオロウラシル(5−FU、(カペシタビンを包含する))であり;このような組み合わせは、肺、頭頸部、結腸、直腸、脳、甲状腺、食道、胃、子宮頸管、卵巣、皮膚、乳房、膀胱及び膵臓の癌の治療に特に有用である。
【0047】
AZD2171とタキサンと電離放射線との三重組み合わせの投与は、単独で用いた、AZD2171、タキサン又は電離放射線のいずれかによって得られる効果よりも大きい、AZD2171とタキサンとの組み合わせによって得られる効果よりも大きい、AZD2171と電離放射線との組み合わせによって得られる効果よりも大きい、及びタキサンと電離放射線の組み合わせによって得られる効果よりも大きい、例えば抗腫瘍効果のような効果を生ずることができる。
【0048】
本発明によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0049】
本発明によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0051】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0052】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0053】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0054】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含む方法を提供する。
【0055】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0056】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0057】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0058】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0059】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0060】
本発明の他の態様によると、例えばヒトのような温血動物における、充実性腫瘍を含めた癌の治療方法であって、前記動物に、AZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はタキサンの有効量と同時に及び電離放射線の有効量の前、後又は電離放射線の有効量と同時に投与することを含み、この場合に、AZD2171とタキサンを、それぞれ任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に投与することができる方法を提供する。
【0061】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0062】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0063】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0064】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0065】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0066】
本発明の他の態様によると、電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造へのAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩とタキサンとの使用を提供する。
【0067】
本発明の他の態様によると、該治療処置を必要とする、例えばヒトのような温血動物への、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒にしたAZD2171若しくはその製薬的に受容される塩の有効量の投与と、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒にしたタキサンの有効量の投与と、電離放射線の有効量の投与とを含む併用治療処置であって、AZD2171と、タキサンと、電離放射線を同時に、連続的に又は別々に、任意の順序で投与することができる併用治療処置を提供する。
【0068】
本発明の他の態様によると、該治療処置を必要とする、例えばヒトのような温血動物への、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒にしたAZD2171若しくは、AZD2171マレイン酸塩を除外した、その製薬的に受容される塩の有効量の投与と、任意に、製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと一緒にしたタキサンの有効量の投与と、電離放射線の有効量の投与とを含む併用治療処置であって、AZD2171と、タキサンと、電離放射線を同時に、連続的に又は別々に、任意の順序で投与することができる併用治療処置を提供する。
【0069】
電離放射線で治療されている、例えばヒトのような温血動物は、AZD2171とタキサンを含む薬剤又は併用治療の投与の前、後又は該併用治療と同時に電離放射線で治療される、例えばヒトのような温血動物を意味する。例えば、前記電離放射線は、AZD2171とタキサンを含む薬剤又は併用治療の投与前の1週間から該投与後の1週間までの期間内に例えばヒトのような温血動物に投与することができる。これは、AZD2171とタキサンと電離放射線とを別々に若しくは連続的に任意の順序で投与することができる、又は同時に投与することができることを意味する。該温血動物は、AZD2171、タキサン及び放射線の各々の効果を同時に経験することができる。
【0070】
本発明の1態様によると、電離放射線を、AZDとタキサンの一方の投与前に又はAZDとタキサンの一方の投与後に投与する。
本発明の1態様によると、電離放射線を、AZDとタキサンの両方の投与前に又はAZDとタキサンの両方の投与後に投与する。
【0071】
本発明の1態様によると、温血動物を電離放射線によって治療した後に、該動物にAZD2171を投与する。
本発明の別の態様によると、本発明の治療方法の効果は、該治療の成分の各々を単独で用いた場合の効果の加算、即ち、単独で用いた、AZD2171とタキサンの各々の効果又は単独で用いた、AZD2171、タキサン及び電離放射線の各々の効果の加算に少なくとも等しいと期待される。
【0072】
本発明の別の態様によると、本発明の治療方法の効果は、該治療の成分の各々を単独で用いた場合の効果の加算、即ち、単独で用いた、AZD2171とタキサンの各々の効果又は単独で用いた、AZD2171、タキサン及び電離放射線の各々の効果の加算よりも大きいと期待される。
【0073】
本発明の別の態様によると、本発明の治療方法の効果は、相乗効果であると期待される。
本発明によると、併用治療は、該併用治療の成分のいずれかをその慣用的用量で投与した場合に達成可能である効果に比べて、反応程度、反応速度、疾患悪化までの時間若しくは生存期間によって測定したときに、該効果が治療的に優れているならば、相乗効果を与えるとして定義される。例えば、併用治療の効果は、その効果がAZD2171又はタキサン又は電離放射線の単独によって達成される効果よりも治療的に優れているならば、相乗的である。さらに、併用治療の効果は、単独のAZD2171又はタキサン又は電離放射線に反応しない(又は不十分に反応する)患者群で有益な効果が得られるならば、相乗的である。さらに、併用治療の効果は、成分の1つをその慣用的用量で投与し、他の成分(単数又は複数)を低い用量で投与する場合に、例えば、反応程度、反応速度、疾患悪化までの時間、又は生存期間によって測定したときの治療効果が、併用治療の成分の慣用的用量を投与した場合に得られる効果に同等であるならば、相乗効果を与えるものとして定義される。特に、反応程度、反応速度、疾患悪化までの時間及び生存データの1つ以上に害を与えることなく、特に、反応の持続期間に害を与えることなく、但し、各成分の慣用的用量を用いる場合に生ずる副作用よりも少ない及び/又は厄介でない副作用で、AZD2171又はタキサン又は電離放射線の慣用的用量を減ずることができるならば、相乗効果が存在すると見なされる。
【0074】
上述したように、本明細書で定義するような、本発明の併用治療は、それらの抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果のために重要視される。脈管形成及び/又は血管透過性増強は、癌(白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫を包含する)、糖尿病、乾癬、リウマチ様関節炎、カポジ肉腫、血管腫、急性及び慢性ネフロパシー、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、リンパ浮腫、子宮内膜症、不正子宮出血、及び加齢性黄斑変性を含めた網膜血管増殖を伴う眼疾患を含めた、広範囲な疾患状態に存在する。本発明の併用治療は、例えば癌及びカポジ肉腫のような疾患の予防と治療に有用であると期待される。
【0075】
本発明の併用治療は、癌、特に充実性腫瘍を含めた癌の治療に用いることができる。特に、本発明のこのような併用治療は、例えば、結腸、脳、甲状腺、膵臓、膀胱、乳房、前立腺、肺及び皮膚の原発性及び再発性の充実性腫瘍の成長を有利に遅速化すると期待される。より詳しくは、本発明の併用治療は、結腸直腸癌及び肺癌、例えば中皮種と非小細胞肺癌(NSCLC)における腫瘍の成長を有利に遅速化すると期待される。より具体的には、本発明のこのような併用治療は、白血病、多発性骨髄腫及びリンパ腫を含めた、VEGFに関連した如何なる形態の癌も抑制し、さらに、例えば、VEGFに関連した、原発性及び再発性の充実性腫瘍の成長、特に、例えば、結腸(直腸を包含する)、脳、甲状腺、膵臓、膀胱、乳房、前立腺、肺、外陰、皮膚のある種の腫瘍及び特にNSCLCを含めた、それらの成長と伝播に関してVEGFに有意に依存する腫瘍の成長を阻害すると期待される。
【0076】
本発明の他の態様では、AZD2171とタキサンは、任意に電離放射線と共に、VEGFに関連した、原発性及び再発性の充実性腫瘍の成長、特に、それらの成長と伝播に関してVEGFに有意に依存する腫瘍の成長を阻害すると期待される。
【0077】
本明細書に述べる組成物は、例えば錠剤若しくはカプセル剤のような、経口投与に適した形態、例えば粉末若しくは溶液のような、鼻腔投与又は吸入による投与に適した形態、例えば無菌の溶液、懸濁液若しくはエマルジョンのような、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内注射若しくは注入を包含する)に適した形態、例えば軟膏若しくはクリームのような、局所投与に適した形態、例えば座薬のような、直腸投与に適した形態であることができる、或いは、投与経路は、腫瘍中への直接注射又は局部デリバリー又は局所デリバリーによることができる。本発明の他の実施態様では、併用治療のAZD2171は、内視鏡、気管内、病変内、経皮的、静脈内、皮下、腹腔内又は腫瘍内によってデリバリーすることができる。AZD2171を経口投与することが好ましい。一般に、本明細書に述べる組成物は、慣用的な方法で、慣用的な賦形剤を用いて製造することができる。本発明の組成物は、単位投与形で有利に提示される。
【0078】
AZD2171は、通常は、動物の体表1平方メートルにつき1〜50mgの範囲内の単位用量で、例えば、ヒトでは約0.03〜1.5mg/kgで温血動物に投与される。例えば、0.01〜1.5mg/kg、好ましくは、0.03〜1.5mg/kgの範囲内の単位用量が考えられ、これは、通常は、治療有効な投与量である。例えば錠剤又はカプセル剤のような単位投与形は、通常は、例えば、1〜50mgの有効成分を含有する。好ましくは、0.03〜0.5mg/kgの範囲内の1日量が用いられる。
【0079】
タキサンは、パクリタキセル及びドセタキセルを包含する。パクリタキセル及びドセタキセルは、商業的に入手可能である。
本発明の1実施態様では、タキサンはドセタキセルである。
【0080】
本発明の1実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。
タキサンは、既知の投与経路及び投与量にしたがって、投与することができる。
例えば、パクリタキセルは、3週間毎に135〜200mg/mの投与量で約24時間の時間にわたる注入として投与することができる。或いは、例えば、パクリタキセルは、3週間毎に135〜225mg/mの投与量で約3時間の時間にわたる注入として投与することができる。或いは、例えば、パクリタキセルは、数週間にわたって1週間毎に80〜100mg/mの投与量で約1時間の時間にわたる注入として投与することができる。或いは、例えば、パクリタキセルは、3週間毎に200mg/mの投与量で約1時間の時間にわたる注入として投与することができる。或いは、例えば、パクリタキセルは、3週間毎に120〜140mg/mの投与量で約96時間の時間にわたる注入として投与することができる。
【0081】
ドセタキセルは、既知の投与経路及び投与量にしたがって、投与することができる。例えば、ドセタキセルは、3週間毎に55〜100mg/mの投与量で1時間の時間にわたる注入として投与することができる。
【0082】
放射線療法は、臨床放射線療法における既知の慣例に従って投与することができる。電離放射線の投与量は、臨床放射線療法で用いるために既知の投与量である。用いる放射線療法は、例えば、γ線、X線の使用及び/又は放射性同位体からの放射線の有向性デリバリーを包含する。例えば、マイクロウェーブ及びUV照射のような、他の形のDNA損傷因子も本発明に包含される。例えば、X線は、5〜6週間にわたって、1週間につき5日間、1.8〜2.0Gyの1日線量で投与することができる。通常は、総分割線量は、45〜60Gyの範囲内にある。放射線療法の過程の一部として、単回の大きい線量、例えば5〜10Gyを投与することができる。単回の線量は手術中に投与することができる。数日間にわたって、小線量のX線をある一定の時間にわたって、例えば、0.1Gy/時を数日間にわたって規則的に投与するような、多分割放射線療法を用いることができる。放射性同位体の投与量範囲は、広範囲に変化し、同位体の半減期、放出される放射線の強度と種類、及び細胞による取り込みに依存する。
【0083】
特定の疾患状態の治療的及び予防的処置に必要である各療法の投与量の大きさは、治療されるホスト、投与経路及び治療される病気の重症度に依存して、必然的に変化する。したがって、最適の投与量は、いずれの特定の患者であっても患者を治療する医師によって決定されることになる。例えば、併用治療の成分の上記投与量を毒性を弱めるために減ずることが、必要であるか若しくは望ましいことがありうる。
【0084】
本発明は、タキサンとAZD2171との又はAZD2171の塩との併用に関する。特別な塩はAZD2171マレイン酸塩である。
特に、本発明は、タキサンと、AZD2171遊離塩基の形態との併用に関する。
【0085】
薬剤組成物に用いるためのAZD2171の塩は、製薬的に受容される塩であるが、他の塩も、AZD2171と、その製薬的に受容される塩を調製するために有用である。製薬的に受容される塩は、例えば、酸付加塩を包含することができる。このような酸付加塩は、例えば、ハロゲン化水素酸による塩又は硫酸若しくはリン酸による塩、或いはトリフルオロ酢酸、クエン酸若しくはマレイン酸による塩のような、製薬的に受容されるアニオンを与える無機酸又は有機酸による塩を包含する。さらに、製薬的に受容される塩は、製薬的に受容されるカチオンを与える無機若しくは有機塩基によって形成することもできる。無機若しくは有機塩基によるこのような塩は、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩若しくはカリウム塩)、及びアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩若しくはマグネシウム塩)を包含する。
【0086】
AZD2171は、WO 00/47212に記載されている方法、特に、WO 00/47212の実施例240に記載されている方法に従って合成することができる。
AZD2171マレイン酸塩は、国際特許出願No.PCT/GB 2004/005359に記載されている方法によって合成することができる。タキサンと併用した場合のAZD2171の活性は、例えば、下記テストを用いて実証することができる。
【0087】
MX−1ヒト乳房腫瘍異種移植片モデル
少なくとも生後4週間のマウスに、腫瘍移植を行なった。ヒト腫瘍異種移植片を、雌の胸腺欠損(nu/nu遺伝子型、Swiss)マウスで増殖させた。MX−1腫瘍断片を胸腺欠損マウスに移植し、0.7〜1cmにまで増殖させて、ドナー腫瘍組織を得た。該ドナー腫瘍を手術によって摘出して、小さい腫瘍移植片(20〜30mg)を実験用胸腺欠損マウスの右脇腹に皮下(s.c.)移植した。腫瘍断片の移植後20日目に、平均腫瘍体積が0.2cmになったときに、無作為化を行なった(15匹/群)。動物をドセタキセル(10mg/kg、静脈内(i.v.)、週1回)、又はAZD2171(1.5mg/kg若しくは3mg/kg、経口(p.o.)、毎日)、又は薬物ビヒクルによって、試験期間にわたって処置した。追加の動物群(n=15)には、単一作用剤処置のために用いたのと同じ投与量及びスケジュールを用いて、ドセタキセルとAZD2171との組み合わせを与えた。動物がAZD2171とドセタキセルの両方を与えた日に、AZD2171を経口投与した後2時間目に、ドセタキセルを投与した。
【0088】
両側Vernierキャリパー測定によって、腫瘍体積を少なくとも週2回評価した。対照群と処置群との間の腫瘍体積差の比較によって、処置の開始からの増殖阻害を評価した。併用処置の効果は、ドセタキセル+AZD2171を与えた動物群の腫瘍増殖と、動物に単一作用剤療法のみを与えた群の腫瘍増殖とを比較することによって、評価した。
【0089】
片側2サンプルt-検定を用いて、統計的有意性を評価した。AZD2171を3mg/kg又は1.5mg/kgで投与した場合の併用試験のデータは、図1と2に示す。腫瘍の増殖阻害は、2つの作用剤、AZD2171とドセタキセルの組み合わせによる方が、いずれか一方の作用剤単独によるよりも有意に大きかった。
【0090】
同様な実験を用いて、AZD2171と、タキサンと、電離放射線との組み合わせを考察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】併用試験のデータ
【図2】併用試験のデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項2】
例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項3】
例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項4】
電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項5】
電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗癌効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項6】
電離放射線によって治療されている、例えばヒトのような温血動物における抗腫瘍効果の発生に用いるための薬剤の製造におけるAZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンの使用。
【請求項7】
AZD2171が遊離塩基の形態である、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
タキサンがパクリタキセルである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
タキサンがドセタキセルである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
製薬的に受容される賦形剤又はキャリヤーと共に、AZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩及びタキサンを含む薬剤組成物。
【請求項11】
AZD2171又はその製薬的に受容される塩及びタキサンを含むキット。
【請求項12】
例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、AZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はそれと同時に、前記動物に投与することを含む方法。
【請求項13】
例えばヒトのような温血動物において抗脈管形成効果及び/又は血管透過性低下効果を発生させる方法であって、AZD2171又は、AZD2171マレイン酸塩を除いた、AZD2171の製薬的に受容される塩の有効量を、タキサンの有効量の前、後又はそれと同時に、並びに電離放射線の有効線量の前、後又はそれと同時に、前記動物に投与することを含む方法。
【請求項14】
AZD2171が遊離塩基の形態である、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
タキサンがパクリタキセルである、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
タキサンがドセタキセルである、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−530520(P2007−530520A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504471(P2007−504471)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001089
【国際公開番号】WO2005/092385
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】