説明

使い捨てバイオリアクター凝縮バッグおよびフィルターヒーター

本明細書には、バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出る湿ったガス流中の水分を凝縮するためのシステムおよび方法が開示され、そのシステムは、流体を保持することができる凝縮容器を含み、凝縮容器は:外壁面および内壁面を含み、内壁面は、流体を保持するための内部チャンバーを確定し;および凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第1備品を含み、第1備品は、湿ったガス流が第1ポートを通って、内部チャンバーへ流れることを可能にするように構成された第1ポートを形成し;前記凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第2備品を含み、第2備品は、乾いたガスが内部チャンバーから流れ、第2ポートから流れ出ることを可能にするように構成された第2ポートを形成し;および、前記システムは、さらに、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分に接し、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分を冷却するように配置された冷却装置を含み、それによって、湿ったガス流の水分を凝縮し、そしてバイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出るための乾燥したガス流を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2009年9月30日に出願された米国仮出願第61/247,368号の米国特許法119(e)の下の利益を主張し、それらの教示内容は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、使い捨てバイオリアクターによる、または使い捨てでないタンク式バイオリアクターによる使用のためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養は、生物学的製剤を製造する際に必須の段階であり、使い捨てバイオリアクターシステムまたは鋼製タンク式容器のような使い捨てでないバイオリアクターにおいて行われ得る。酸素は細胞増殖を促進するために連続的に供給され、二酸化炭素が取り除かれる。バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出るガス流は、ガス流内に取り込まれた水分を包含し得る。ガス中の水分は、ガスがフィルターまたは他のシステム構成要素を通る時に、凝縮し得る。水分及び/又は凝縮は、フィルターまたは他のシステム構成要素の機能に有害かもしれない。
【0004】
多くの未だに解決されていない問題は、バイオリアクターと共に使用するための現在利用可能な凝縮器設計に特有である。幾つか先行技術の設計は、例えば、サブダクト(subduct)、異なる冷却と加熱のゾーンのような、いくつかの機能的に異なる領域を組み入れ、その結果、特別の工具、特別に成型または機械加工された構成要素を必要とする、複雑で、かつ費用のかかるアセンブリを生じる。先行技術の設計はまた、熱交換エリアから凝縮液回収のための容器を分離し、それにより、熱交換ゾーンからの直接の凝縮液除去を一体化する代わりに、一部に複雑さを加える。先行技術の設計は、複雑で、費用のかかる傾向があるので、このような凝縮器は、実際には使い捨てではない。
【0005】
多くの先行技術の凝縮器設計に特有な別の未だ解決されていない問題は、熱が排気ガスから取り除かれ、その後、熱を取り除くために環境へ放出されることにより、熱は無駄にされるだけであるということである。
【0006】
現在利用可能な凝縮器はまた、多数のダクトの使用に特有な別の欠点があり得る。多くのダクトによって提供される比較的長い経路は、冷却に利用可能な凝縮器の表面積を増加させるが、ダクトの断面積の減少は、凝縮器を通って流れるガスの速度も増加させ、このことは、代わりに、凝縮器への排気ガスの滞留時間を減少させる。凝縮器における滞留時間の減少は、結果として、凝縮バッグ内の排気ガスに対する凝縮器の全体の冷却効果の減少を生じる。
【0007】
多くの現在利用可能な凝縮器のさらなる別の欠点は、凝縮器ユニット内に冷却ゾーンと加熱ゾーンの両方を含むことに関する。同じアセンブリ内でユニットの凝縮機能を加熱機能と連結されることは、2つの機能が互いに独立して操作されることを可能にする融通性を減少させる。
【0008】
従って、フィルターまたは他のシステム構成要素上の水分及び/又は凝縮が、フィルターまたは他のシステム構成要素の機能を妨げるかもしれない場合、湿ったガスがフィルターまたは他のシステム構成要素に移る前に、バイオリアクターシステム内の湿ったガスの含水量を減じる手段を提供する改善された機器、特に、本当に使い捨ての機器、および方法に対する継続した必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本主題の発明者らは、先行技術の凝縮器の使用で見出される問題の多くを克服する、使い捨てバイオリアクター凝縮器をここに発見した。本発明は、とりわけ、下記を、単独でまたは組み合わせて含む。1つの態様において、本発明は、バイオリアクターへ入る、またはバイオリアクターから出るガス流中の水蒸気を凝縮するための機器、およびその対応する方法の我々の発見に関する。
【0010】
本発明の1つの実施形態は、バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出る湿ったガス流中の水分を凝縮するためのシステムであり、そのシステムは、流体を保持することができる凝縮容器を含み、凝縮容器は:外壁面および内壁面を含み、内壁面は、流体を保持するための内部チャンバーを確定し(defined);および凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第1備品を含み、第1備品は、湿ったガス流が第1ポートを通って、内部チャンバーへ流れることを可能にするように構成された第1ポートを形成し;凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第2備品を含み、第2備品は、乾いたガスが内部チャンバーから流れ、第2ポートから流れ出ることを可能にするように構成された第2ポートを形成し;および、前記システムは、さらに、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分に接し、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分を冷却するように配置された冷却装置を含み、それによって、湿ったガス流の水分を凝縮し、そしてバイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出るための乾燥したガス流を形成する。
【0011】
本発明の別の実施形態は、バイオリアクターを出る湿ったガス流の水分を凝縮する方法であり、この方法は:前節において開示されたものとしてシステムを提供する工程;湿ったガス流がバイオリアクターを出ることを可能にするように配置されたバイオリアクターの1つのポートとの、またはそのポート間での、凝縮容器の第1ポートの流体連通を供給する工程;バイオリアクターを出る湿ったガス流が、凝縮容器の第1ポートを通って、内部チャンバーへと流れることを可能にする工程;凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分を冷却する工程;熱を凝縮容器の内部チャンバーから冷却装置に移動させ、それによって、凝縮容器の内部チャンバーの温度を低下させる工程;湿ったガス流中の水分を凝縮する工程;およびバイオリアクターを出る乾いたガス流を形成する工程、を含む。
【0012】
バイオリアクターを出るガス流は、一般的には、フィルターを通過する。湿ったガスはフィルターを詰まらせる。本発明の実施形態に従って形成された乾いたガス流は、フィルターを詰まらせる傾向がない。
【0013】
1つの実施形態において、凝縮液は回収され、バイオリアクターに戻されるか、別の装置へ送られるか、または廃棄されるか、のいずれかが可能である。例えば、1つの実施形態において、湿ったガス流中の水分を凝縮するための開示されたシステムにおける凝縮容器は、内部チャンバーからの、およびバイオリアクターへ戻る、凝縮液の自然流下または凝縮液のポンプ輸送のいずれかのために、凝縮液を回収するための細管を付けて、固定するためのホースバーブ(hose barb)のような付属品(fitting)を含み得る。
【0014】
本発明の別の実施形態は、バイオリアクターに加えるための(for addition to)乾いたガスを形成するために、湿ったガス流の水分を凝縮する方法であり、この方法は:例えば、段落[0010]におけるような本明細書に記載のシステムを提供する工程;凝縮容器の第1ポートと湿ったガス流との流体連通を供給する工程;湿ったガス流を、第1ポートを通って、凝縮容器の内部チャンバーへ流す工程;凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分を冷却する工程;熱が、凝縮容器の内部チャンバーから冷却装置に移され、それによって、凝縮容器の内部チャンバーの温度を低下させる工程;湿ったガス流中の水分を凝縮する工程;それによって乾いたガスを形成する工程、を含む。
【0015】
その後、開示された方法に従って形成された乾いたガスは、第2のポートから出され、バイオリアクターへ流されることができる。
【0016】
冷却装置はまた、バイオリアクター内のフィルターの加熱を提供するように配置された発熱源を含み得る。冷却装置は、例えば、ペルチェ式加熱および冷却モジュールのような熱電モジュールを含み得る。
【0017】
本発明の前述および他の特徴および利点は、添付の図面において概説されるように、本発明の実例となる実施形態の以下のより詳細な記載から明白になるだろう。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、重点は、開示される機器の例示的な実施形態の結果を概説することに置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る試作品の二次元使い捨てバイオリアクター凝縮バッグの斜視図の概略図である。
【図1B】図1Bは、凝縮バッグ内にメッシュを配し、バッグフィルムを通して目に見える、本発明の1つの実施形態に係る試作品の二次元使い捨てバイオリアクター凝縮バッグの斜視図の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るシステムの斜視図の概略図であり、システムは、二次元バイオリアクターに入る、または二次元バイオリアクターを出るガス流の水分を凝縮するために、熱電加熱および冷却装置を利用する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態の記載が続く。本発明の詳細な実施形態は、本発明の例として示され、本発明の制限としてではないことが理解される。最初は、本発明は、その最も広範な全般的な態様において記載され、より詳細な記載が続く。本発明の構成および方法の特徴の他の詳細は、請求項においてさらに指摘される。
【0020】
本発明は、バイオリアクターのための少なくとも1つの特定機能を行なうシステムに関する。機能は、バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出るガス流内の水分を凝縮することであり得、または、フィルター内での凝縮を防ぐためにフィルターを加熱することであり得る。
【0021】
我々は、使い捨てバイオリアクター凝縮器に動力を供給するために、冷却装置を利用する凝縮器システムをここに発見した。開示されるシステムは、熱電加熱と冷却システム(thermoelectric heating and cooling system)からの熱を利用するフィルターヒーターを含み得る。任意の冷却装置が、本発明の実施形態において使用することができる。好ましい実施形態において、冷却装置は熱電冷却装置である。熱電冷却装置は、異種の半導体材料を介して熱伝達するソリッド・ステート方式(a solid−state method)を含んでいる。熱電冷却は、1834年に現象を発見した実験物理学者であるペルチェにちなんで、「ペルチェ効果」と呼ばれる。電流が熱電対を通過すると、熱は1つの接点で吸収され(あるいは取り除かれ)、熱電対の別の接点で放出される。第1接点が閉じられた領域にあれば、第1区域が冷却される。
【0022】
我々は、使い捨てバイオリアクター凝縮器およびフィルターヒーターに動力を供給するために、熱電ペルチェモジュール(TE Technology, Inc., Traverse City, Michigan)を使用した。一般に、熱電ペルチェモジュールは、モジュールの1つの表面を冷却するために作動し、冷却された側から取り除かれた熱は、熱電モジュールの他方の熱い側に移動する。この発明の実施例において、熱電ペルチェモジュールの加熱された側と冷却された側の両方が使用される。ペルチェモジュールの冷却された側は、本発明の凝縮器機能のために冷却を供給し、一方、ペルチェモジュールの熱した側はフィルターの加熱を助けるために使用され得る。熱電ペルチェ冷却モジュールを使用する最も一般に見られる用途において、熱電ペルチェモジュールの加熱した側に生じる熱は、廃熱としてシステムから遠ざけて処理され、使用されない。開示されたシステムを少し変更することで、その熱は、フィルターを加熱するために使用され得る。フィルターを加熱することは、任意の凝縮水の小滴を気相に変換する傾向があり、その結果、凝縮液はフィルターを詰まらせない。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、凝縮容器は、可撓性のポリエチレン材料またはフィルムを含む単回使用の、可撓性の、非多孔性のバッグである。本明細書に記載されるほとんどの実施形態における凝縮容器は、「バッグ」または「凝縮バッグ」または「可撓性バッグ」と呼ばれる。しかしながら、本発明の他の実施形態は、可撓性バッグの代わりに、剛性または半剛性のバッグを含み得る。凝縮バッグは、「二次元のバッグ」として知られているものの中にあるような2つの側面を含み得、または、それは、三次元のバッグであり得、または任意の他の適切な形態および大きさを有し得る。
【0024】
凝縮バッグは、それに付けられた備品を有し得る。本明細書において使用されるように、用語「備品」は、可撓性バッグフィルムに付けるために、可撓性バッグフィルムに熱溶着される、個別の物体を指す。そのため、備品は、しばしば、可撓性バッグの壁を含むポリマー材料と同じ、または類似し得るポリマー材料を含む。備品は、しばしば、可撓性バッグの壁より密な材料であり、機能を有効にするためにバッグに加えられ得る。備品の制限しない例は、ポートを形成するものである。本発明の1つの実施形態において、ガスが入ることを可能にするために、ポートが凝縮バッグの壁に加えられる。本発明の別の実施形態において、ガスが凝縮バッグを出ることを可能にするために、ポートが凝縮バッグの壁に加えられる。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、凝縮バッグは、バイオリアクターにおいて細胞増殖のために使用される細胞および培地と生物学的適合性を有する、非多孔性のポリマー材料を含む。図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る試作品の使い捨てバイオリアクター凝縮バッグ(20)の斜視図の概略図である。試作品の凝縮バッグ(20)は、1つのポートのための1つの備品(22)と共に示される。本発明の1つの実施形態に係る凝縮バッグは、複数の備品およびポートを有することができる。図1Aに示された実施形態は、乱流または凝縮を促進するために、バッグ内に任意の構造を有していない。
【0026】
図1Bは、本発明の1つの実施形態に係る使い捨てバイオリアクター凝縮バッグ(30)の斜視図の概略図である。凝縮バッグ(30)内に配置されたメッシュ(26)は、バッグフィルムの上面(32)を介して目に見える。2つの備品(22)および(24)は、凝縮バッグ(30)の外部壁に示される。本発明の1つの実施形態において、備品(22)は、湿ったガスのための入口ポートの形成のために使用され、備品(24)は、乾いたガスのための出口ポートの形成のために使用される。別の実施形態において、備品(22)は、出口を形成するために使用されることができ、および備品(24)は、入口を形成するために使用されることができる。1つの実施形態において、凝縮バッグ(30)は使い捨てである。
【0027】
凝縮バッグ(30)は、ガス内に含まれる水分の凝縮が凝縮バッグ(30)内で生じるように、バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出る湿ったガス流の温度を下げるために冷却源と共に使用される。この凝縮バッグ(30)は、水分及び/又は凝縮がフィルターまたは他のシステム構成要素の機能に有害かもしれない場合、ガスがフィルターまたは他のシステム構成要素を通過する前に、湿ったガスの含水率を減じるために使用され得る。
【0028】
1つの実施形態において、使い捨て凝縮バッグ(30)は、湿ったガスを、バイオリアクターからまたは別のガス源から、凝縮バッグ(30)へ流入させるための少なくとも1つの入口備品(22)、および乾いたガス流を凝縮バッグ(30)から外へ流れ出させるための少なくとも1つ出口備品(24)を有する閉じた容量(a closed volume)を有する。凝縮バッグ(30)は、凝縮バッグ(30)を通り抜けるガスからの水分の凝縮を促進し、および、ガス流が凝縮バッグを通り抜ける間にガス流内に乱流を増加させる、閉じた容量内のメッシュ(26)のような生体適合性材料の内部配置を含み得る。本発明の1つの実施形態において、凝縮バッグ(30)の2つの内層の間の間隙を完全に埋めるように、メッシュと湿ったガス流の接触を増すために、メッシュ(26)または他の生体適合性材料は、ひだをつけられる(is pleated)。
【0029】
本発明の別の実施形態において、凝縮がその上に生ずること、および/又は乱流を増すことを可能にするように配置された構造は、支持部に付けられた一連のフィンである。さらに別の実施形態において、凝縮がその上に生ずることを可能にするように配置された構造は、螺旋コイルを含む。乱流を促進することができる、及び/又は凝縮を促進することができるバッグ内の任意の構造は、本発明の範囲内である。
【0030】
凝縮バッグ(30)内の凝縮を促進する構造を形成するのに適切な材料の制限しない例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドおよび金属を含む。
【0031】
凝縮バッグ(30)の少なくとも1つの表面は、外部冷却源、例えば冷却板に接しており、外部冷却源は伝導によって少なくとも1つの表面、例えば凝縮バッグ(30)の上面(32)を冷却し、その上面は、順に、バッグ(30)の内面を冷却し、ガスが冷却された表面を流れる時に、湿ったガス流を、その露点温度まで、またはその温度以下に冷却する。
【0032】
図2は、バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出るガス流中の水分を凝縮するための本発明の実施形態に係るシステム(40)の斜視図の概略図である。使い捨てバイオリアクター凝縮器システム(40)は、本発明の1つの実施形態に従いフィルターヒーターシステムを含み得るが、いくつかの主要な機能部品を含む。システムの部品はまたはフレームとの、使い捨てバイオリアクター凝縮バッグ(30)、冷却板、関連する制御装置を備えた熱電ペルチェモジュール、冷却板/凝縮バッグ保持具またはフレーム(46)、(48)、およびフィルターヒーター筺体(図示せず)を含む。
【0033】
図2において、示されるようなシステム(40)は、凝縮バッグの前フレーム保持具(46)および凝縮バッグの背フレ−ム保持具(48)を含み、フレームは、冷却板に対してしっかりと固定された凝縮バッグ(30)をとともにサンドイッチ(a sandwich)を形成する。冷却板(図示せず)は、背フレ−ム保持具(48)の表面(44)に置かれる。
【0034】
好ましい実施形態において、凝縮バッグ(30)の1つの面の表面積とほぼ一致するように適切に大きさを決められた冷却板は、使い捨て凝縮バッグとのその接触面積を最大限にするために、熱電ペルチェモジュールの冷却側に付けられる。本発明の1つの実施形態において、使い捨て凝縮バッグ(30)の少なくとも1つの表面が冷却板の表面に確実に接触するために、使い捨て凝縮バッグ(30)を、冷却板上の適切な位置に固定する手段を提供するための用意が、冷却板上で行なわれる。
【0035】
凝縮バッグ(30)内に生成された凝縮液は、バッグから持続的または定期的に排水することができる。凝縮バッグ(30)内に集まる凝縮液は、入口ポート備品(22)を介して排水され得る。あるいは、個別の備品、例えば、特に凝縮液の排水のために凝縮バッグの表面へ付けられたホースバーブ(図示せず)があってもよい。ホースバーブは、凝縮バッグの内部チャンバーからの、およびバイオリアクターへ戻る凝縮液の自然流下、または凝縮液のポンピングのいずれかのために凝縮液を集めるための細管を付けて固定するために使用され得る。液状水のこの再循環は、バイオリアクター内の液体の一定容積および一定のモル浸透圧濃度を維持するために利用され得る。
【0036】
あるいは、凝縮液は、使用されているバイオリアクター過程によって必要とされるような別の貯蔵装置へ送られる場合もあれば、または、廃棄される場合もある。
【0037】
熱電ペルチェモジュールの熱い側は、フィルターを熱する際に、フィルターを通って流れているガスの露点温度以上にその温度を維持するように提供されるか、またはその維持を助けることができる熱を生成する。単なるルーチンの実験で、適切な筺体または配管構造が考案され得、かつフィルターを加熱するか、フィルターを加熱する際の手助けとなるような方法で、生成した熱がフィルターに向けられるように、熱電ペルチェモジュールの熱い側に付けられ得る。熱は、ファンの使用によってフィルターに積極的に向けられる場合もあり、または、対流を使用してフィルターに消極的に向けられる場合もあり、または、2つの方法を適切に組み合わせて使用される場合もある。
【0038】
ダクトの経路を使用する先行技術のシステムでの湿ったガスの滞留時間と比較して、開示の発明の1つの実施例に係る凝縮バッグの比較的大きな断面積は、凝縮容器内の湿ったガスの滞留時間を増加させる。これは、ガス流の速度が長いダクトのような狭くなった通路において増加するからである。凝縮を増強するために、バッグの大きな断面積の内にメッシュまたは他の生体適合性材料を含むことによって、我々は、広範囲な配管を有するシステムよりずっと低価格で同様の結果または改善された結果を達成した。
【0039】
本発明の1つの実施形態に係る凝縮バッグ内のメッシュまたはふるい材料は、いくつかの機能に果たす。第1に、メッシュは、バッグ内の乱流を増加させ、これによって、湿ったガスが、凝縮バッグの中心を単に真っ直ぐ通って流れる代わりに、凝縮バッグを通過するその通路の幾つかの点で凝縮バッグの冷却された側壁と確実に接触する。第2に、凝縮バッグが短期間の間作動していた後、冷却された凝縮液の小滴はふるい材料上で捕らえるようになり、これらの小滴は、より多くの水分を湿ったガスから凝縮するのを助ける。メッシュは、凝縮が起こることができる表面積を増加させるのを促進する。
【0040】
先行技術の凝縮器は、一般的に、凝縮器ユニット内に冷却ゾーンおよび加熱ゾーンの両方を含む。同じアセンブリ内にユニットの凝縮機能を加熱機能と連結することは、2つの機能が互いと無関係に操作されることを可能にする融通性を減じる。先行技術の凝縮器は、一般的に、排気ガスから熱を取り除き、それから、単に、熱を環境へ放散させるだけである。
【0041】
開示の凝縮バッグにおいて、冷却と加熱の2つの機能は別々である。加熱ゾーンは、開示の凝縮バッグの一部ではない。開示された実施形態は、例えば、排気ガスから取り除かれた熱をとり、排気フィルターのような別の部品を熱するためにそれを使用するという発想を含む。
【0042】
本明細書の記載および請求項の全体にわたって、用語「含む(comprise)」および「包含する(contain)」およびそれらの変形は、「限定されないが、・・・を含む」を意味し、それらは、他の部分、添加物、構成要素、完全体(integers)または工程を除外すことは意図しない(および除外しない)。本明細書の記載および請求項の全体にわたって、文脈が別途要求しない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈が別途要求しない限り、明細書は単数形のみでなく複数形も熟考するものとして理解される。
【0043】
本発明の特定の態様、実施形態または例と共に記載された特徴、完全体、特性、化合物、化学的部分または群は、それらが共に両立し難くなければ、本明細書に記載の他の態様、実施形態または例に適用可能であることが理解される。本明細書(任意の添付の請求項、要約および図面を含む)において開示される特徴のすべて、及び/又はこのように開示される任意の方法または工程のすべてのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも幾つかが排他的である場合を除いて、任意に組み合わせられ得る。本発明は、任意の前述の実施形態の詳細に制限されない。本発明は、本明細書(任意の添付の請求項、要約および図面を含む)において開示される特徴の任意の新しい1つ、あるいは任意の新しい組み合わせまで、またはこのように開示される任意の方法または工程の任意のステップの新しい1つ、あるいは任意の新しい組み合わせまで拡張される。
【0044】
<等価物>
本発明は、その好ましい実施形態への言及と共に示され、記載されたが、様式および詳細の様々な変更が、添付された請求項によって包含される発明の範囲から逸脱することなく、その中で行なわれ得ることが、当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出る湿ったガス流中の水分を凝縮するためのシステムであって、前記システムは、
流体を保持することができる凝縮容器を含み、前記凝縮容器は、
外壁面および内壁面を含み、内壁面は、流体を保持するための内部チャンバーを確定し、
前記凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第1備品を含み、第1備品は、湿ったガス流が第1ポートを通って、内部チャンバーへ流れることを可能にするように構成された第1ポートを形成し、
前記凝縮容器は、さらに、凝縮容器の外壁面へ付けられた第2備品を含み、第2備品は、乾いたガスが内部チャンバーから流れ、第2ポートから流れ出ることを可能にするように構成された第2ポートを形成し、および、
前記システムは、さらに、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分に接し、および凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分を冷却するように配置された冷却装置を含み、それによって、そしてバイオリアクターに入る、またはバイオリアクターを出る湿ったガス流の水分を凝縮する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記冷却装置が、第1のモジュール表面および第2のモジュール表面を含む熱電モジュールを含み、前記熱電モジュールは、第1のモジュール表面を冷却するため、および第1のモジュール表面から取り除かれた熱を、第2のモジュール表面へ移すために構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1のモジュール表面が、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分に対して冷却を提供するように構成されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第2のモジュール表面が、凝縮容器の下流に配置されたフィルターを加熱するのを助けるように構成されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱電モジュールが、ペルチェ式加熱および冷却モジュールであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
内部チャンバー内に配置された生体適合性材料を含む構造をさらに含み、前記構造は、凝縮がその上に形成されることを可能とするように配置されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記凝縮容器が可撓性バッグを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記凝縮容器が可撓性バッグを含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムが作動している間、凝縮容器の外壁面を冷却するために、凝縮容器の外壁面の少なくとも一部分に隣接する第1のモジュール表面を移動可能に保持するように配置されたフレームをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記凝縮容器が可撓性バッグであることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記可撓性バッグが、二次元バッグであることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、前記バッグの2つの内層の間の間隙をほぼ完全に満たすことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、メッシュを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項14】
前記メッシは、ひだを付けられることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、支持部に付けられた一連のフィンを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項16】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、螺旋コイルを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項17】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの組み合わせから選択される材料を含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項18】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、金属を含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項19】
凝縮がその上に形成されることを可能にするように配置された前記構造が、容器内の乱流を促進するようにも配置されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、使い捨てまたは単回使用であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
バイオリアクターを出るガス流中の水分を凝縮する方法であって、前記方法は、
請求項1に記載のシステムを提供する工程、
を含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−506424(P2013−506424A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532303(P2012−532303)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050859
【国際公開番号】WO2011/041508
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(508230743)エクセレレックス インク. (11)
【Fターム(参考)】