説明

使用管理方法及び処理装置

【課題】 使用者の利便性を向上させた使用管理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】 入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取ってRAM14の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う画像処理装置10において、第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域に退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取って記憶部の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う処理装置及び使用管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、部門コードなどの識別コードを受付けて認証を行い、使用者の管理又は使用状況の管理などの使用管理を行うコピー機又は複合機などの画像処理装置(処理装置)がある。例えば、予め部門コードを登録しておき、使用時に部門コードの入力を受付けて照合を行い、コピー等の使用を許可又は禁止する機能、及び、部門毎に印刷枚数を記録する機能などを有する画像処理装置がある。
【0003】
また、使用者の指紋を読取って、読取った指紋と予め登録されている指紋とを照合して認証を行い、使用を許可又は禁止する画像処理装置もある(例えば、特許文献1参照)。この画像処理装置は、指紋を入力する操作によって部門コードの照合を可能とすることで使用時の操作性を向上させている。
【特許文献1】特開2001−255795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この部門コードなどの識別コードに基づいて許可された使用権は、前記部門コードを入力した使用者が終了ボタンを押すか、使用が許可されてから所定時間経過しないと解除されない。そのため、前記使用者が部門コードを入力して使用が許可された状態で使用者が変わった場合、後の使用者が部門コードを入力せずに使用できるなど、不正使用の問題がある。
【0005】
この問題を解決する方法として、本願発明者により、指紋などのバイオメトリクス情報を用いて使用者が変わったことを検出することにより、他の使用者の部門コードなどを利用した不正使用を防ぐ方法が提案されている。しかし、認証が済んだ使用者(元の使用者)とは異なる使用者(別の使用者)が、割込処理又は操作補助などで一時的に使用する場合、この方法では、別の使用者の一時的な処理の終了後、元の使用者は再度、部門コードなどの認証を行うと共に、バイオメトリクス情報を記憶する必要が生じ、使い勝手が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を記憶部の第2記憶領域に退避させ、退避されたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付けた場合、第2記憶領域に退避されている情報を第1記憶領域へ復帰させるようにしたことにより、使用者の利便性を向上させた使用管理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、割込指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させ、認証済みの識別コードを記憶部に記憶するように構成したことにより、使用者の利便性を向上させた処理装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
また、本発明は、補助操作指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させるように構成したことにより、使用者の利便性を向上させた処理装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力の終了を受付けた場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成したことにより、使用者の利便性を向上させた処理装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力に応じた処理が終了した場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成したことにより、使用者の利便性を向上させた処理装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、受信手段を備えることにより、外部から受信したデータを処理することができる処理装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、シートに画像を形成する画像形成手段を備えることにより、画像形成処理を行うことができる処理装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る使用管理方法は、入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取って記憶部の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う処理装置の使用管理方法において、前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を前記記憶部の第2記憶領域に退避させるステップと、退避させたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第2記憶領域に退避されているバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る処理装置は、入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取って記憶部の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う処理装置において、前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を前記記憶部の第2記憶領域に退避させる退避手段と、該退避手段が退避させたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第2記憶領域に退避されているバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させる復帰手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る処理装置は、前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力及び新たに認証された識別コードに基づいた処理の実行を指示する割込指示を受付ける受付手段を備え、前記退避手段は、該受付手段が割込指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させ、認証済みの識別コードを記憶部に記憶するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る処理装置は、前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理の実行を指示する補助操作指示を受付ける受付手段を備え、前記退避手段は、該受付手段が補助操作指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させるように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る処理装置は、前記第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力の終了を受付ける終了受付手段を備え、前記復帰手段は、該終了受付手段が前記操作入力の終了を受付けた場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る処理装置は、前記復帰手段は、前記第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力に応じた処理が終了した場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成してあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る処理装置は、データを受信する受信手段を備え、該受信手段が受信したデータの処理を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る処理装置は、シートに画像を形成する画像形成手段を備え、画像形成処理を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明においては、第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を記憶部の第2記憶領域に退避させる。そして、第1記憶領域には、退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が記憶され、操作入力時に照合が行われる。その後、退避されたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第2記憶領域に退避されている情報を第1記憶領域へ復帰させ、操作入力時に照合が行われる。例えば、使用者Aが使用している途中で、使用者Bに一時的に変わった場合、使用者Aのバイオメトリクス情報は退避される。そして、使用者Bから使用者Aに再度変わった場合、使用者Aのバイオメトリクス情報は復帰される。元の使用者(使用者A)のバイオメトリクス情報の退避及び復帰を自動的に行うことにより、認証が済んでいる元の使用者のバイオメトリクス情報を再度記憶し直す必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
【0022】
本発明においては、受付手段が割込指示を受付けた場合、退避手段は、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させ、認証済みの識別コードを記憶部に記憶する。例えば、使用者Aが使用している途中で、割込キーを押下するなどして使用者Bに一時的に変わった場合、使用者Aのバイオメトリクス情報及び認証済みの識別コードは退避される。そして、使用者Bの識別コードの認証が行われ、使用者Bのバイオメトリクス情報が第1記憶領域に記憶される。その後、使用者Bから使用者Aに再度変わった場合、使用者Aのバイオメトリクス情報は第1記憶領域に復帰され、使用者Aの認証済みの識別コードが有効になる。元の使用者(使用者A)のバイオメトリクス情報及び認証済みの識別コードの退避と復帰を自動的に行うことにより、元の使用者が再度バイオメトリクス情報を記憶及び識別コードを認証し直す必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
【0023】
本発明においては、受付手段が補助操作指示を受付けた場合、退避手段は、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させる。ただし、識別コードは認証済みのものを用いる。例えば、操作に不慣れな使用者Aが使用している際に、操作補助キーを押下するなどして、使用者Bが一時的に操作補助を行う場合、使用者Aのバイオメトリクス情報は退避される。そして、使用者Bのバイオメトリクス情報が第1記憶領域に記憶される。ただし、識別コードは使用者Aのものが使用される。その後、使用者Bの操作補助が終わり、使用者Aが操作する場合、使用者Aのバイオメトリクス情報が復帰される。元の使用者(使用者A)のバイオメトリクス情報の退避及び復帰を自動的に行うことにより、元の使用者が再度バイオメトリクス情報を記憶し直す必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。また、操作補助を行う使用者(使用者B)は識別コードの認証を行わずに操作補助が行われると共に、操作補助を元の使用者(使用者A)の識別コードで行うことができる。例えば、部門毎に管理されるコピー枚数のカウントなどは、操作補助を行う使用者(使用者B)ではなく、元の使用者(使用者A)の識別コードで正しくカウントされる。
【0024】
本発明においては、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力の終了を終了受付手段が受付けた場合、復帰手段は、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させる。前記操作入力の終了は、上述した割込キー又は操作補助キーで受付けたり、割込終了キー又は操作補助終了キーで受付けること等が可能である。割込を行った使用者又は操作補助を行う使用者は、操作終了を指示するまで、複数の処理を行うことが可能になる。
【0025】
本発明においては、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力に応じた処理が終了した場合、復帰手段は、第2記憶領域に退避された情報を第1記憶領域へ復帰させる。退避されていた元の使用者のバイオメトリクス情報が、前記操作入力に応じて実行された処理の終了後、自動的に復帰されるため、割込を行った使用者又は操作補助を行う使用者は、操作終了を指示する必要がなくなる。
【0026】
本発明においては、受信手段で受信したデータの処理を行う。例えば、親展プリントにおいては、識別コードが添付された印刷データがコンピュータから送信され、処理装置に前記識別コードを入力することにより、印刷が開始される。他の使用者がコンピュータから処理装置へ印刷データを送信し、割込指示を行って印刷処理を行うことができる。
【0027】
本発明においては、シートに画像を形成する画像形成手段を備えることにより、画像形成処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、認証が済んでいる元の使用者のバイオメトリクス情報を再度記憶し直す必要がなくなり、利便性が向上する。
【0029】
本発明によれば、認証が済んでいる元の使用者が再度バイオメトリクス情報を記憶及び識別コードを再度認証し直す必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
【0030】
本発明によれば、認証が済んでいる元の使用者が再度バイオメトリクス情報を記憶し直す必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。また、元の使用者の識別コードを用いて補助操作などの処理を行うことができる。
【0031】
本発明によれば、割込を行った使用者又は操作補助を行う使用者は、操作終了を指示するまで、複数の処理を行うことが可能になり、利便性が向上する。
【0032】
本発明によれば、割込を行った使用者又は操作補助を行う使用者が終了操作を指示する必要がなくなり、利便性が向上する。
【0033】
本発明によれば、外部から受信したデータを処理することができる。
【0034】
本発明によれば、画像形成処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本説明では、処理装置としてコピー(複写)機能、プリント機能を持つ画像処理装置を例にして説明を行うが、画像処理装置(処理装置)は、ファクシミリ機であってもよいし、コピー機能及びファクシミリ機能等を備える複合機であってもよい。
【0036】
図1は本発明に係る画像処理装置10の例を示すブロック図である。画像処理装置10は、シートに画像を形成するコピーなどの画像形成処理を行う画像処理部(画像形成手段)18、操作入力の受付及び動作状態の表示を行う操作部20、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)14、データを保持する(不揮発性の)EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)16、及び、前記各部(14,16,18,20)と接続され、前記各部を制御する制御部12などを備える。
【0037】
図2、図3及び図4の各図は、操作部20の例を示す図である。操作部20は、数字又は記号等の入力を受付けるテンキー22、コピー等の実行指示を受付けるコピーキー24、コピー等の処理中に別の一時的な処理の実行指示(割込指示)を受け付ける割込キー(受付手段)30、及び、動作状況又は入力状況等の表示を行う液晶パネル28などを備える。テンキー22、コピーキー24又は割込キー30に対する入力情報は制御部12に与えられる。また、液晶パネル28の表示情報は制御部12から与えられる。表示情報は、例えばEEPROM16に記憶されている。また、制御部12が画像処理装置10内の各部を制御するための制御プログラム及び各種設定などもEEPROM16に記憶されている。
【0038】
制御部12は、操作部20から入力された部門コード(識別コード)と、EEPROM16に予め記憶されている部門コードとを照合して認証を行い、認証が完了した場合は、操作部20で受付けた操作入力に応じた画像処理を実行するように、画像処理部18を制御する。例えば、認証完了後に、テンキー22からコピー部数を受付け、コピーキー24からコピー実行指示を受付けた場合、制御部12は画像処理部18を制御して、原稿の読取及び読取った原稿の指定部数の印刷処理を行わせる。
【0039】
本実施の形態では、コピーキー24に、例えばCCD(Charge Coupled Device)などを用いて指紋データ(バイオメトリクス情報)を読取る指紋読取部26が設けられている。指紋読取部26は、コピーキー24表面の指紋読取領域に使用者の指が接触した場合に指紋データを読取り、読取った指紋データを制御部12に送る。指紋読取部26は、例えば個人認証に用いられる公知の指紋読取手段を用いることが可能である。
【0040】
制御部12は、部門コードによる認証が完了した場合の操作入力の際に指紋読取部26が読取った指紋データをRAM(記憶部)14の第1記憶領域に記憶する。例えば、部門コードによる認証が済んだ後に使用者がコピーキー24を押下した場合、制御部12は、指紋読取部26で読取られた指紋データを操作部20から受取ってRAM14の第1記憶領域に記憶する。
【0041】
また、制御部12は、RAM14の第1記憶領域に指紋データを記憶した後、指紋読取部26が指紋データを読取った場合、読取った指紋データとRAM14の第1記憶領域に記憶された指紋データとを照合する照合手段として動作する。例えば、上述した部門コードによる認証が済んだ使用者が、コピーキー24を再度押下した場合、制御部12は、指紋読取部26で読取られた指紋データと、RAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データとを照合する。
【0042】
使用者が同じ場合、指紋データは同じであるため、照合結果は「一致」となる。一方、使用者が変わった場合、指紋データは異なるため、照合結果は「不一致」となる。制御部12は、使用者が変わったことを、照合結果が「不一致」となったことによって検出できる。指紋データの照合は、例えば個人認証に用いられる公知の指紋データ照合方法を用いることが可能である。
【0043】
制御部12は、照合結果が「不一致」の場合(使用者が変わった場合、ただし後述する割込の場合を除く)、操作入力に応じた画像処理の実行を禁止する禁止手段として動作する。制御部12は、照合結果が「不一致」の場合、操作入力に応じたコピー処理の実行を禁止するように画像処理部18の制御を行う。また、照合結果が「不一致」の場合、制御部12は、識別コードの入力を操作部20から受付けて認証を行い、認証が完了した場合は、操作入力に応じたコピー処理を実行するように画像処理部18を制御する。また、制御部12は、照合結果が「不一致」の場合、RAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データを消去する消去手段として動作する。また、制御部12は、タイマを有し、操作入力を受付けてから所定時間内に次の操作入力を受付けなかった場合、RAM14に記憶されている指紋データを消去する消去手段として動作する。
【0044】
また、制御部12は、部門コードを入力して認証が成功した使用者(元の使用者)とは異なる使用者(別の使用者)が一時的に使用するための割込キー(受付手段)30が押下されるなどして割込指示を受付けた場合、元の使用者の認証済みの使用権情報である部門コード(識別コード)及び指紋データ(バイオメトリクス情報)をRAM14の第2記憶領域に退避させる手段(退避手段)として動作する。割込指示を受付けた場合、制御部12は、割込により一時的に使用する別の使用者に対し、元の使用者の場合と同様に、部門コードによる認証を行い、認証が完了した場合には指紋データをRAM14の第1記憶領域に記憶し、操作部20で受付けた操作入力の際の指紋データを照合しながら操作入力に応じた画像処理を実行させる。
【0045】
また、制御部12は、割込キー(終了受付手段)30が再度押下されるなどして割込処理の終了を受付けた場合、又は、割込を行った別の使用者による1ジョブのコピー処理が終了した場合、元の使用者の部門コードを有効にし、第2記憶領域に退避されている指紋データを第1記憶領域へ復帰させる手段(復帰手段)として動作する。
【0046】
図5及び6はコピー処理の実行手順の例を示すフローチャートである。制御部12は、操作部20から部門コードの入力を受付け(S10)、EEPROM16に記憶されている部門コードと照合して、使用者の認証を行う。例えば、制御部12は、図2(a)に示すように、液晶パネル28に「部門コードを入力してください」などの入力要求を表示し、テンキー22から部門コードの入力を受付ける。認証が完了しなかった場合(S12:NO)、再度部門コードの入力を受付ける(S10)。
【0047】
認証が完了した場合(S12:YES)、例えば図2(b)に示すように、制御部12は液晶パネル28に認証された部門コードに対応する「部門A」と「コピーできます」などの使用許可を表示する。図2(a)及び(b)では使用者Aから部門Aの識別コードを受付け、認証が完了している。使用者Aがコピーキー24を押下(S14)することにより、指紋読取部26で使用者Aの指紋データが読取られ、読取られた指紋データ及びコピーキー24の入力信号が制御部12に送られ、制御部12によって指紋データがRAM14の第1記憶領域に記憶される(S16)。また、制御部12は、コピーキー24の押下に応じて、画像処理部18を制御してコピー処理を開始する(S18)。
【0048】
コピー処理中に、割込キー30が押下されて割込指示を受付けた場合(S20:YES)、制御部12により割込処理が行われる(S22)。割込指示を受付けなかった場合(S20:NO)又は割込処理(S22)が終了した場合、コピー処理が継続され、コピー処理が終了した(S24)後、制御部12は、コピーキー24が押下されずに(S26:NO、S28:NO)、所定時間経過した場合(S26:YES)、RAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データを消去する(S34)。例えば、使用者Aが画像処理装置10から離れて所定時間以上使用されていない場合、RAM14の第1記憶領域に記憶されている前記使用者Aの指紋データが消去される。制御部12は、指紋データを消去すると共に、例えば図3(a)に示すように、液晶パネル28に「部門コードを入力してください」などの入力要求を表示する。新しい使用者Bが操作する場合は、上述した説明と同様にして、使用者Bの部門コードを操作部20から受付けて認証を行う(S10、S12)。
【0049】
前記所定時間以内にコピーキー24が押下された場合(S26:NO、S28:YES)、指紋読取部26で読取られた指紋データ(S30)及びコピーキー24の入力信号が制御部12に送られ、制御部12により、前記読取られた指紋データとRAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データとの照合が行われる。照合結果が「不一致」の場合(S32:NO)、制御部12は、RAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データを消去する(S34)。例えば、使用者が使用者Aから使用者Bに変わった場合は指紋データも変わるため、照合結果は「不一致」となり、制御部12により、RAM14の第1記憶領域に記憶されている指紋データは消去される。制御部12は、指紋データを消去すると共に、例えば図3(b)に示すように、液晶パネル28に「コピーできません。部門コードを入力してください」などの使用不可通知及び部門コードの入力要求を表示し、上述した説明と同様にして、新しい使用者Bの部門コードを操作部20から受付けて認証を行う(S10、S12)。
【0050】
照合結果が「一致」の場合(S32:YES)、制御部12は、コピーキー24の押下に応じて、画像処理部18を制御してコピー処理を行う(S18)。例えば、使用者が同じ場合、指紋データは同じであるため、照合結果は「一致」となり、制御部12により、画像処理部18を制御してコピー処理を開始する。この後の処理は、上述した説明(S20〜S34)と同様である。
【0051】
図7は別の使用者の割込による一時的なコピー処理(図6の割込処理(S22))の実行手順の例を示すフローチャートである。別の使用者Cが割込キー30を押下して割込指示を受付けた制御部12は、使用者Aによるコピー処理を中断し(S40)、元の使用者Aの使用権情報である部門コード及び指紋データをRAM14の第2記憶領域に一時的に退避させる(S42)。その後、上述した説明と同様に、別の使用者Cの部門コードによる認証、及び、指紋データの記憶及び照合が行われ、別の使用者Cによるコピー処理が実行される(S44)。別の使用者Cの認証が完了した場合、制御部12は、例えば図4(a)に示すように、「割込モード」であること及び「コピーできます。」などのメッセージを液晶パネル28に表示する。
【0052】
別の使用者Cによる割込処理が終了した場合(S46:YES)、制御部12は、RAM14の第2記憶領域に一時的に退避されていた元の使用者Aの使用権情報(部門コード及び指紋データ)を復帰させる(S48)。割込処理の終了は、例えば割込キー30が再度押下されたことから検出したり、別の使用者Cによる1ジョブのコピー処理が終了した場合、自動的に終了させることが可能である。また、使用権情報の復帰は、指紋データを第2記憶領域から第1記憶領域に復帰させると共に、有効な識別コードを元の使用者Aのものに更新する。使用者Aの使用権情報を復帰した場合、制御部12は、例えば図4(b)に示すように、認証が完了している「部門A」及び「コピーできます。」などのメッセージを液晶パネル28に表示する。この後、元の使用者Aによるコピー処理が再開される(S50)。
【0053】
画像処理装置は、コンピュータが接続されるLAN(Local Area Network)カード又はセントロニクスインタフェース等の通信インタフェイス(受信手段)を備え、コンピュータから受信した画像データを印刷することも可能である。例えば、親展プリントの場合は、別の使用者Cがコンピュータから識別コードを添付した印刷データを画像処理装置へ送信し、画像処理装置の操作部において識別コードを入力した後にデータの印刷が開始されるが、使用者Aによるコピー処理中に、画像処理装置がコンピュータから送信された印刷データを受信した場合、制御部12が液晶パネル28に印刷データの受信を表示し、別の使用者Cが操作部20を通じて印刷データの割込印刷を要求することも可能である。
【0054】
図8は、図6の割込処理(S22)として、操作の不慣れな使用者Aに変わり、別の使用者Cが操作補助を行う処理手順のフローチャートである。この場合、操作部20に、割込キー30の代わりに操作補助キー(受付手段)を設けたり、割込キー30とは別に操作補助キーを設けることが可能である。操作の不慣れな使用者Aがコピー操作が分からず別の使用者Cの操作補助を受けるために操作補助キーを押下し、操作補助指示を受付けた場合、制御部12は、元の使用者Aのコピー処理を中断し(S60)、元の使用者Aの認証済みの部門コード(使用権)はそのまま維持し、使用者Aの指紋データはRAM14の第2記憶領域に一時的に退避させる(S62)。また、制御部12は、指紋データの読取及び一致判定を一時的に停止する(S64)。この場合、制御部12の制御により、使用者Aの部門コードで認証された状態で、別の使用者Cによるコピー処理が行われる(S66)。再度操作補助キーの押下を受付けるなどして、操作補助(割込)が終了した場合(S68:YES)、制御部12は元の使用者Aの指紋データをRAM14の第1記憶領域に復帰させ、指紋データの読取及び一致判定を再開する(S70)。この場合、元の使用者Aの指紋データによる照合が有効となり、元の使用者Aによるコピー処理が再開される(S72)。なお、操作補助時に、別の使用者Cの指紋データを記憶して、指紋データの照合を行うことも勿論可能である。
【0055】
元の使用者(使用者A)による操作の処理中に、別の使用者(使用者C)が一時的に使用する場合(例えば割込コピー、コンピュータから受信した印刷データの割込印刷、元の使用者に対する操作補助など)に、元の使用者のバイオメトリクス情報、識別コードなどの認証状態を退避させることにより、元の使用者が再度部門コード、バイオメトリクス情報を入力する必要がなくなり、使い勝手を向上させることができる。
【0056】
上述した実施の形態においては、部門コードなどの識別コードを用いて使用者を認証する画像処理装置を例にして説明したが、識別コード及び指紋を用いて使用者を認証する画像処理装置、又は、指紋を用いて使用者を認証する画像処理装置に本発明を適用することも可能である。識別コードは、テンキー22からの入力に限定はされず、例えばICカードリーダを操作部20に設けて、ICカードを用いて使用者を認証することも可能である。
【0057】
また、上述した実施の形態では、主にコピーを行う場合を例にして説明したが、ファクシミリ送信などを行う場合も本発明を適用することが可能である。また、処理装置は、画像処理装置に限定はされず、任意の処理装置に本発明を適用することが可能である。また、バイオメトリクス情報は、指紋に限定はされず、任意の生体情報を用いることが可能である。
【0058】
また、データの書込禁止/書込許可を切換えられる場合、指紋データ(バイオメトリクス情報)を第2記憶領域に退避/復帰させる代わりに、第1記憶領域に記憶されている指紋データの書込禁止/書込許可を切換えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る画像処理装置の例を示すブロック図である。
【図2】操作部の例を示す図である。
【図3】操作部の例を示す図である。
【図4】操作部の例を示す図である。
【図5】コピー処理の実行手順の例を示すフローチャートである。
【図6】コピー処理の実行手順の例を示すフローチャートである。
【図7】別の使用者の割込による一時的なコピー処理の実行手順の例を示すフローチャートである。
【図8】操作の不慣れな使用者に変わり、別の使用者が操作補助を行う処理手順のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
10 画像処理装置
12 制御部
14 RAM
16 EEPROM
18 画像処理部
20 操作部
22 テンキー
24 コピーキー
26 指紋読取部
28 液晶パネル
30 割込キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取って記憶部の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う処理装置の使用管理方法において、
前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を前記記憶部の第2記憶領域に退避させるステップと、
退避させたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第2記憶領域に退避されているバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるステップと
を有することを特徴とする使用管理方法。
【請求項2】
入力された識別コードと予め記憶されている識別コードとを照合して認証を行い、認証成功後の操作入力の際にバイオメトリクス情報を読取って記憶部の第1記憶領域に記憶し、記憶後の操作入力の際に読取ったバイオメトリクス情報と第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とを照合し、照合結果が一致の場合は操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理を実行し、照合結果が不一致の場合は第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報の消去を行う処理装置において、
前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第1記憶領域に記憶されている消去前のバイオメトリクス情報を前記記憶部の第2記憶領域に退避させる退避手段と、
該退避手段が退避させたバイオメトリクス情報が読取られる操作入力を受付ける場合、第2記憶領域に退避されているバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させる復帰手段と
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力及び新たに認証された識別コードに基づいた処理の実行を指示する割込指示を受付ける受付手段を備え、
前記退避手段は、該受付手段が割込指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させ、認証済みの識別コードを記憶部に記憶するように構成してあることを特徴とする請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1記憶領域に記憶されているバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力及び認証済みの識別コードに基づいた処理の実行を指示する補助操作指示を受付ける受付手段を備え、
前記退避手段は、該受付手段が補助操作指示を受付けた場合、第1記憶領域に記憶されている消去される前のバイオメトリクス情報を第2記憶領域へ退避させるように構成してあることを特徴とする請求項2記載の処理装置。
【請求項5】
前記第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力の終了を受付ける終了受付手段を備え、
前記復帰手段は、該終了受付手段が前記操作入力の終了を受付けた場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載の処理装置。
【請求項6】
前記復帰手段は、前記第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報とは異なるバイオメトリクス情報が読取られる操作入力に応じた処理が終了した場合、第2記憶領域に退避されたバイオメトリクス情報を第1記憶領域へ復帰させるように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載の処理装置。
【請求項7】
データを受信する受信手段を備え、
該受信手段が受信したデータの処理を行うことを特徴とする請求項2乃至6の何れかひとつに記載の処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成手段を備え、
画像形成処理を行うことを特徴とする請求項2乃至7の何れかひとつに記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−116915(P2006−116915A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309867(P2004−309867)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】