説明

例外処理管理装置、例外処理管理装置の制御方法およびプログラム

【課題】マネージャーや店長など所定の権限を持つ管理者の手を煩わせることなく、効果的に不正行為を防止可能な例外処理管理装置、例外処理管理装置の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】会計処理部11による例外処理の取引をロックする例外処理ロック部23と、管理者が所持する携帯電話8に、例外処理の取引承認を得るための承認依頼を送信する承認依頼送信部53と、携帯電話8から、承認依頼に対する例外処理の取引許可指令を受信する取引許可指令受信部54と、取引許可指令の受信に伴い、例外処理ロック部23によるロックを解除するロック解除部24と、を備えた。なお、承認依頼送信部53は、予め記憶されている複数のワークフローの中から、会計処理部11を操作しているオペレーターのレベルに応じたワークフローを選択して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の小売店やファミリーレストラン等の飲食店内において、店員や顧客の不正行為を防止するための例外処理管理装置、例外処理管理装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店や飲食店内において、店員による会計処理時の不正行為を検出するためのシステムとして、特許文献1が提案されている。当該特許文献1に記載のシステムは、POS(Point Of Sales)端末(POSターミナル)と、POS端末周辺を撮像するカメラと、フォトジャーナルレコーダーと、検索端末と、により構成されている。フォトジャーナルレコーダーとは、ジャーナルデーター(取引履歴データー)と、カメラにより撮像されたPOS端末周辺の画像データーと、店員によるPOS端末の操作履歴(操作履歴データー)と、を関連付けて記録するものである。そして、管理者(オペレーター)が検索端末を用いて、時間やPOS端末の操作情報等の所定の検索条件を指定することにより、検索条件に一致するジャーナルデーターや画像データーをディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−115504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、管理者が指定した検索条件に一致する記録データー(会計処理の内容およびその時の撮像画像)を一覧表示するのみであり、会計処理において不正行為が行われたか否かを検出するためには、逐一、管理者が記録データーを確認しなければならない。また、膨大な記録データーを確認する必要があるため、不正行為の検出漏れが発生するといった問題もある。このように、従来提案されているシステムでは、確実に不正行為を検出することができず、不正行為の防止策としての効果が低かった。
【0005】
そこで、不正行為の防止策として、POS端末における例外処理の取引(以下、「例外取引」と称する。)を制限することが行われている。この例外取引は、不正行為の手口として、しばしば悪用される。例えば、顧客が受け取らなかったレシートを利用して、例外処理の一つである「取消処理」を行い、そのレシートの精算金額に相当する現金を着服する不正があるが、この不正行為も「取消処理」の取引を制限することで防止可能となる。例外取引の制限方法としては、所定の権限を持つ店員(例えば、マネージャーや店長など。以下、「管理者」と称する。)以外は取引を行うことができないように、レジキーによる機能制限や、ログインID判別による機能ボタングレイアウトなどが挙げられる。これらによって取引制限が行われている場合、管理者がレジキーを差し込んで制限解除を行うかログインを行って例外取引を可能とする必要がある。しかしながら、実際には、例外取引が行われるたびに、管理者がPOS端末の設置場所まで赴いてそれらの操作を行うことは煩雑であり、現実的ではない。そのため、常に管理者権限で例外取引を許可しているという実態があり、不正行為の防止策として不十分である。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み、マネージャーや店長など所定の権限を持つ管理者の手を煩わせることなく、効果的に不正行為を防止可能な例外処理管理装置、例外処理管理装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例外処理管理装置は、会計処理部による例外処理の取引をロックする例外処理ロック部と、所定の移動通信端末に、例外処理の取引承認を得るための承認依頼を送信する承認依頼送信部と、所定の移動通信端末から、承認依頼に対する例外処理の取引許可指令を受信する取引許可指令受信部と、取引許可指令の受信に伴い、例外処理ロック部によるロックを解除するロック解除部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の例外処理管理装置の制御方法は、会計処理部を内部または外部に備えると共に、所定の移動通信端末と通信可能な例外処理管理装置の制御方法であって、例外処理装置が、会計処理部による例外処理の取引をロックする例外処理ロックステップと、所定の移動通信端末に、例外処理の取引承認を得るための承認依頼を送信する承認依頼送信ステップと、所定の移動通信端末から、承認依頼に対する例外処理の取引許可指令を受信する取引許可指令受信ステップと、取引許可指令の受信に伴い、ロックを解除するロック解除ステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、管理者(所定の権限を持つ店員)は、移動通信端末を用いて取引許可指令を行うことができる。このため、管理者は、いつどこでも取引許可指令を行うことができ、会計処理部(POS端末など)の設置場所まで赴くなどの煩わしさを解消することができる。また、これにより、管理者権限で常に例外取引を許可しておく必要がないため、例外取引の制限機能を生かすことができ、不正行為の防止効果を維持することができる。
なお、「例外処理」とは、会計処理のうち精算処理以外の処理を指す。具体的には、会計処理部の会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「取消処理(ミスレジ処理)」、商品の返品を行うための「返品処理」、商品の値引きを行うための「値引処理」、商品の割引きを行うための「割引処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、キャッシュドロア内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートを再発行するための「再発行処理」などを指す。
また、所定の移動通信端末は、1台であっても良いし、複数台であっても良い。後者の場合は、複数台のうち少なくとも1台の移動通信端末から取引許可指令を受信できたときにロック解除としても良いし、複数台の全ての移動通信端末から取引許可指令を受信できたときにロック解除としても良い。
【0010】
上記に記載の例外処理管理装置において、承認依頼のワークフローを複数記憶するワークフロー記憶部をさらに備え、承認依頼送信部は、ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、会計処理部を操作している店員のレベルに応じたワークフローを選択して送信することが好ましい。
【0011】
上記に記載の例外処理管理装置の制御方法において、例外処理管理装置は、承認依頼のワークフローを複数記憶するワークフロー記憶部をさらに備え、承認依頼送信ステップでは、ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、会計処理部を操作している店員のレベルに応じたワークフローを選択して送信することが好ましい。
【0012】
これらの構成によれば、会計処理部を操作しているオペレーター(店員)のレベルに応じて、承認依頼のワークフローを可変することができる。これにより、例えば、習熟度の低いオペレーターの場合は複雑なワークフローとし、そうでないオペレーターの場合は簡単なワークフローとするなど、オペレーターの習熟度や信頼度などに応じて、効率的に承認依頼を行うことができる。
【0013】
上記に記載の例外処理管理装置において、会計処理部による例外処理の取引開始を検出する取引開始検出部をさらに備え、例外処理ロック部および承認依頼送信部は、取引開始検出部により例外処理の取引開始を検出したときに機能することが好ましい。
【0014】
上記に記載の例外処理管理装置の制御方法において、例外処理装置が、会計処理部による例外処理の取引開始を検出する取引開始検出ステップをさらに実行し、例外処理ロックステップおよび承認依頼送信ステップは、取引開始検出ステップにおいて例外処理の取引開始を検出したときに実行されることが好ましい。
【0015】
これらの構成によれば、例外処理の取引開始を検出して、例外処理の取引ロックおよび承認依頼を行うため、オペレーターは、それらを実行するための特別な操作を行う必要がない。つまり、何ら操作を行うことなく、例外処理の取引ロックから解除までの一連の処理が実行されるため、オペレーターに業務負荷を掛けることがない。
【0016】
上記に記載の例外処理管理装置において、取引開始検出部は、開始された例外処理の種別を判別し、承認依頼送信部は、ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、例外処理の種別に応じたワークフローを選択して送信することが好ましい。
【0017】
上記に記載の例外処理管理装置の制御方法において、取引開始検出ステップでは、開始された例外処理の種別を判別し、承認依頼送信ステップでは、ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、例外処理の種別に応じたワークフローを選択して送信することが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、例外処理の種別に応じて、承認依頼のワークフローを可変することができる。これにより、例えば、不正行為の可能性が高い種別の場合は複雑なワークフローとし、そうでない種別の場合は簡単なワークフローとするなど、不正行為の可能性の高さなどに応じて、効率的に承認依頼を行うことができる。
なお、「例外処理の種別」とは、上記の「中止処理」、「取消処理」、「返品処理」、「値引処理」、「割引処理」、「両替処理」、「点検処理」、「出金/返金処理」および「再発行処理」などを指す。
【0019】
上記に記載の例外処理管理装置において、移動通信端末の宛先を複数記憶する宛先記憶部をさらに備え、承認依頼送信部は、宛先記憶部の中から、会計処理部を操作している店員のレベルおよび例外処理の種別の少なくとも一方に応じて、1以上の宛先を選択し、選択した宛先に、選択したワークフローを送信することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、店員のレベルや例外処理の種別に応じて、ワークフローの送信先を可変することができる。これにより、例えば、重要度が高い例外処理やオペレーターの習熟度が低い場合には、大きな権限を持つ管理者の移動通信端末を宛先とし、そうでない場合は、あまり大きな権限を持たない管理者の移動通信端末を宛先とするなど、オペレーターの習熟度や例外処理の重要度などに応じて、適切な相手に承認依頼を行うことができる。
【0021】
上記に記載の例外処理管理装置において、会計処理部が設置されたレジカウンター周りを撮像する撮像部と、所定の移動通信端末に対し、撮像部による撮像映像をリアルタイム送信する映像送信部と、をさらに備えことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、承認依頼を行った相手(管理者)に対し、レジカウンター周りの撮像映像をリアルタイム送信することができる。これにより、管理者は、例外処理が行われている状況を確認して不正行為の可能性を推測し、その結果に基づいて取引許可を行うべきか否かを適切に判断することができる。
【0023】
上記に記載の例外処理管理装置において、会計処理部を操作している店員と、所定の移動通信端末との間で、通話を行うための通話部をさらに備えたことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、オペレーターと承認依頼を行った相手(管理者)との間で、通話を行うことができる。これにより、管理者は、例外処理を行っているオペレーターとの会話から、不正行為の可能性を推測し、その結果に基づいて取引許可を行うべきか否かを適切に判断することができる。
【0025】
上記に記載の例外処理管理装置において、会計処理部の会計処理結果である会計情報をレシート用紙に印刷する印刷部をさらに備えたことが好ましい。
【0026】
この構成によれば、本発明の例外処理管理装置を、レシートプリンターによって実現することができる。
【0027】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の例外処理管理装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0028】
このプログラムを用いることにより、マネージャーや店長など所定の権限を持つ管理者の手を煩わせることなく、効果的に不正行為を防止可能な例外処理管理装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る店舗監視システムのシステム構成図である。
【図2】第1実施形態に係る店舗監視システムの機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るワークフローテーブルの一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る承認依頼メールの一例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る例外処理管理方法(「ワークフロー:フロー4」の場合)を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る例外処理管理方法(「ワークフロー:フロー3,2,1」の場合)を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る例外処理管理方法(「ワークフロー:フロー5」の場合)を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係る店舗監視システムの変形例を示すシステム構成図である。
【図9】第2実施形態に係る店舗監視システムのシステム構成図である。
【図10】第2実施形態に係る店舗監視システムの機能ブロック図である。
【図11】第2実施形態に係る例外処理管理方法の基本例を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係るロック解除条件テーブルの一例を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る例外処理管理方法の応用例を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態に係る店舗監視システムの変形例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照し、本発明の例外処理管理装置、例外処理管理装置の制御方法およびプログラムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、本発明の例外処理管理装置を、店舗監視システムに適用した場合について例示する。当該店舗監視システムは、スーパーマーケット等の小売店内やファミリーレストラン等の飲食店において、店員や顧客の不正行為を検出するべく構築されたものである。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る店舗監視システムSY1のシステム構成図である。同図に示すように、店舗監視システムSY1は、会計処理を行うPOS端末1と、レシートRを発行するレシートプリンター2と、レジカウンター10周りを監視する監視カメラ3と、POS端末1を操作する店員(以下、「オペレーター」と称する。)が装着するヘッドセット4と、店舗監視システムSY1を統括する店舗管理サーバー5と、により構成されている。POS端末1とレシートプリンター2、レシートプリンター2と監視カメラ3、並びにレシートプリンター2とヘッドセット4は、シリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)により接続されている。また、POS端末1、レシートプリンター2および店舗管理サーバー5は、店舗内LAN6(有線LANまたは無線LAN)により接続されている。
【0032】
また、店舗管理サーバー5は、インターネットなどの外部ネットワークNTを介して、1以上の携帯電話8(移動通信端末)と通信可能となっている。これらの携帯電話8は、マネージャーや店長など、所定の権限を有する店員が所持するものである。以下、これら所定の権限を有する店員を「管理者」と称する。
【0033】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウンター10が設置されている場合、レジカウンター10ごとに、POS端末1が設けられる。すなわち、この場合は、複数のPOS端末1、複数のレシートプリンター2、複数の監視カメラ3および複数のヘッドセット4が、店舗監視システムSY1の構成要素となる。また、請求項における「例外処理管理装置」は、上記の構成要素のうち、レシートプリンター2、監視カメラ3、ヘッドセット4および店舗管理サーバー5から成る。
【0034】
POS端末1は、レジカウンター10に設置されたレジスターであり、オペレーターにより入力された商品情報に基づいて会計処理を行う。そして、会計処理の処理結果である会計情報(トランザクションデーター)を、レシートプリンター2に出力する。
【0035】
監視カメラ3は、例えばPTZ(Pan Tilt Zoom)カメラであり、レジカウンター10の周囲(天井など)に設置される。詳細については後述するが、携帯電話8の操作によって、撮影方向やズームを自在に制御できるようになっている。なお、監視カメラ3の撮像対象は、レジカウンター10でレジ操作を行っているオペレーター、会計処理時の顧客、レジカウンター10上に載置された商品などであり、その撮像結果は、レシートプリンター2に出力される。また、監視カメラ3は、1のレジカウンター10に対し、複数個設置されても良い。この場合、携帯電話8は、各監視カメラ3について個別に制御できることが好ましい。
【0036】
ヘッドセット4は、インカムとも称されるものであり、ヘッドフォンおよびマイクを有する。POS端末1を操作するオペレーターは、このヘッドセット4の装着が義務付けられており、これを用いて管理者(携帯電話8)との通話を行う。
【0037】
レシートプリンター2は、POS端末1から出力された会計情報に基づいて、レシートRを発行(印刷)する。また、レシートプリンター2は、レシートRを発行する機能以外にも、POS端末1において例外処理の取引(以下、「例外取引」と称する。)が開始されたことを検出する機能、当該例外取引の開始検出に伴って、POS端末1における例外取引をロックする機能、管理者の承認が得られた場合当該ロックを解除する機能、監視カメラ3の撮像結果を店舗管理サーバー5へ送信する機能、ヘッドセット4に対し音声信号を入出力する機能など、各種機能を備えている。このように、レシートプリンター2を主幹として各種情報の入出力を行うことで(レシートプリンター2が取得した各種情報をフィルタリングして必要な情報を出力することで)、POS基幹ネットワーク(POS端末1を主幹としたネットワーク)のトラフィックに影響を与えることがない。また、既存のPOSシステムに本発明を適用する際、POS基幹ネットワーク自体の変更が不要となる。
【0038】
店舗管理サーバー5は、レシートプリンター2により例外取引の開始が検出されると、それをトリガーとして、携帯電話8に対し、例外取引の許可を得るための承認依頼メールM(図4参照)を送信する。また、当該承認依頼メールMに対して、管理者が取引許可を行った場合は、その取引許可指令を受信し、レシートプリンター2に対してロック解除を指令する。
【0039】
次に、図2を参照し、店舗監視システムSY1の機能構成について詳細に説明する。POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部11を有している。会計処理部11は、POSアプリケーション(図示省略)を主要部とするものであり、精算処理や例外処理を含む会計処理を実行する。また、それらの処理結果を、会計情報としてレシートプリンター2に出力する。当該会計情報には、POS端末1の操作者(担当オペレーター)を示す情報(オペレーター氏名およびオペレーターID)が含まれる。レシートプリンター2は、当該オペレーターIDを取得することにより、オペレーターのレベルを判別する。
【0040】
また、会計処理部11は、例外処理の開始時に押下される所定キー(中止キー、取消キーなど)の操作結果を、レシートプリンター2に出力する。レシートプリンター2は、当該操作結果を取得することにより、例外取引の開始を検出し、例外処理の種別を判別する。
【0041】
なお、本実施形態において、例外処理とは、不正行為に関連する可能性の高い処理であって、その取引を実行するために管理者の承認が必要となる処理を指す。具体的には、POS端末1の会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「取消処理(ミスレジ処理)」、商品の返品を行うための「返品処理」、商品の値引きを行うための「値引処理」、商品の割引きを行うための「割引処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、キャッシュドロア内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートRを再発行するための「再発行処理」などを指す。
【0042】
なお、以下の説明において、これらの各処理は、例外処理の種別として区別される。また、便宜上、POS端末1で実行可能な処理のうち、例外処理以外の処理を、「通常処理」と称する。当該通常処理には、商品購入時に実行される「精算処理」が含まれる。
【0043】
監視カメラ3は、主な機能構成として、撮像部31および制御部32を有している。撮像部31は、レジカウンター10周りを撮像するものであり、当該撮像部31により撮像された撮像データーは、監視カメラ3を識別するためのカメラIDや撮像日時などの情報と関連付けられ、撮像結果として、レシートプリンター2に出力される。なお、撮像日時とは、監視カメラ3に備えられたRTC(Real Time Clock,図示省略)の計時結果を指す。また、制御部32は、撮影方向やズームを制御するためのものである。
【0044】
ヘッドセット4は、主な機能構成として、音声取得部41および音声出力部42を有している。音声取得部41は、ヘッドフォン機能を司るものであり、携帯電話8からの音声を、店舗管理サーバー5およびレシートプリンター2を介して取得する。また、音声出力部42は、マイク機能を司るものであり、オペレーターの音声を、レシートプリンター2および店舗管理サーバー5を介して携帯電話8に出力する。なお、請求項における「通話部」は、これら音声取得部41および音声出力部42、並びに後述する音声送受信部57を主要部とする。
【0045】
レシートプリンター2は、主な機能構成として、会計情報取得部21、取引開始検出部22、例外処理ロック部23、ロック解除部24、プリンター側送受信部25および印刷部26を有している。会計情報取得部21は、POS端末1(会計処理部11)から出力された会計情報を取得する。
【0046】
取引開始検出部22は、会計処理部11による例外処理の取引開始を検出する。具体的には、例外処理の種別に対応して会計処理部11に設けられている所定キーの押下を検出する。このとき、取引開始検出部22は、開始された例外処理の種別を判別すると共に、会計処理部11を操作しているオペレーターのレベルを判別する。例外処理の種別については、操作された所定キーに基づいて判別を行う。つまり、会計処理部11から所定キーの押下に伴って出力された出力データーの意味解析を行うことによって、POS端末1の操作(=例外処理の種別)を判定する。なお、レシートプリンター2がカスタマディスプレイ(図示省略)などの周辺機器と接続されている場合は、POS端末1から出力されたカスタマディスプレイへの表示データーをタップしてその意味解析を行うことにより、例外処理の種別を判定しても良い。また、印刷データーとして用いられる会計情報から、例外処理の種別を判定しても良い。
【0047】
一方、オペレーターのレベルについては、会計情報取得部21により取得された会計情報に含まれるオペレーターIDに基づいて判別を行う。レシートプリンター2は、オペレーターIDとそのレベルとを対応付けたテーブル(図示省略)を予め記憶しておき、会計処理部11から会計情報を取得すると、当該会計情報からオペレーターIDを抽出し、抽出したオペレーターIDに対応するレベルを上記のテーブルから読み出す。読み出したレベルは、書き換え可能な所定メモリ(図示省略)内に格納され、取引開始検出部22により例外処理開始時に参照される。
【0048】
取引開始検出部22は、例外処理の取引開始を検出すると、取引開始検出結果と、判別した例外処理の種別およびオペレーターのレベルを、プリンター側送受信部25を介して店舗管理サーバー5に出力する。以下、例外処理の種別およびオペレーターのレベルを「判別情報」と総称する。
【0049】
なお、会計処理部11において、担当オペレーターの登録時や例外処理開始時に、オペレーターIDを出力する構成としても良い。この場合、取引開始検出部22は、会計情報からオペレーターIDを抽出することなく、取得したオペレーターIDに基づいて、オペレーターのレベルを判別可能である。
【0050】
例外処理ロック部23は、取引開始検出部22により例外処理の取引開始が検出されたとき、会計処理部11による当該例外取引をロックする。具体的には、POS端末1内に、レシートプリンター2から制御可能なフックドライバー(図示省略)をインストールしておき、当該フックドライバーに対して、例外取引を有効/無効とするための指令を行う。なお、本実施形態に適用されるフックドライバーは、例外取引を開始するための所定キーの操作を無効とすることにより、例外取引を禁止することが好ましい。
【0051】
ロック解除部24は、携帯電話8(管理者)からの取引許可指令の受信に伴い、例外処理ロック部23によるロックを解除する。すなわち、フックドライバーに対して、例外取引を有効とするための指令を行う。
【0052】
プリンター側送受信部25は、店舗内LAN6に接続するためのLAN端子(図示省略)を主要部とするものであり、店舗管理サーバー5と各種情報の送受信を行う。具体的には、取引開始検出部22による取引開始検出結果および判別情報の送信、携帯電話8からの取引許可指令の受信、監視カメラ3による撮像結果の送信、ヘッドセット4と携帯電話8間の音声信号の送受信などを行う。
【0053】
印刷部26は、会計情報取得部21が取得した会計情報をレシート用紙に印刷し、レシートRを発行する。
【0054】
店舗管理サーバー5は、主な機能構成として、ワークフロー記憶部51、宛先記憶部52、承認依頼送信部53、取引許可指令受信部54、映像送信部55、サーバー側送受信部56および音声送受信部57を有している。
【0055】
ワークフロー記憶部51は、承認依頼のワークフローを複数記憶する。当該ワークフローは、携帯電話8(管理者)に対し、例外処理の取引承認を得るためのワークフローであり、監視映像の確認を必要とするか否か、オペレーターとの通話を必要とするか否か、手動による取引許可指令を必要とするか否か、などが規定されている。詳細については、後述する。
【0056】
宛先記憶部52は、携帯電話8の宛先を複数記憶する。具体的には、管理者の権限(役職)と、携帯電話8の電子メールアドレスおよび電話番号と、が対応付けられて記憶されている。
【0057】
承認依頼送信部53は、レシートプリンター2から、取引開始検出結果および判別情報(例外処理の種別およびオペレーターのレベル)を受信すると、これをトリガーとして、承認依頼のワークフロー(承認依頼メールM,図4参照)を携帯電話8に送信する。なお、上記のとおり、ワークフロー記憶部51には複数のワークフローが記憶され、宛先記憶部52には複数の宛先が記憶されている。そこで、承認依頼送信部53は、図3に示すワークフローテーブルT1を参照し、受信した判別情報に基づいて、送信対象となるワークフローおよび宛先を決定する。
【0058】
図3に示すように、ワークフローテーブルT1は、例外処理の種別と、オペレーターのレベルと、ワークフローと、宛先と、が関連付けられたものであり、店舗管理サーバー5の内部または外部に格納されている。ここでは、オペレーターのレベルがレベル1〜3のいずれか、ワークフローがフロー1〜5のいずれか、宛先がチーフマネージャーまたはサブマネージャーのいずれか、であるものとして規定されている。なお、オペレーターのレベルは、習熟度や信頼度が最も低いものを「レベル1」とし、習熟度や信頼度が最も高いものを「レベル3」としている。例えば、アルバイト店員の場合は「レベル1」、経験年数1年未満の社員の場合は「レベル2」、経験年数1年以上の社員の場合は「レベル3」などである。なお、図示しない勤怠管理マスタなどから、各オペレーターの勤務期間や勤務時間の累計を算出し、その算出結果に基づいて、各オペレーターのレベルを自動的に設定できるようにしても良い。また、ワークフローは、最も簡単なものを「フロー1」とし、最も複雑なものを「フロー5」としている。
【0059】
例えば、レシートプリンター2から受信した判別情報が、「例外処理の種別:中止処理」、「オペレーターのレベル:レベル1」を示すものである場合、ワークフローは「フロー5」、その宛先は「チーフマネージャー」の電子メールアドレスとなる。なお、ワークフローテーブルT1は、店舗管理サーバー5に備えられた図示しない操作部(キーボードやマウスなど)により、適宜書き換え可能となっている。
【0060】
図2の説明に戻る。取引許可指令受信部54は、上記の承認依頼メールMに対して、携帯電話8から、例外処理の取引許可指令を受信する。取引許可指令受信部54は、取引許可指令を受信すると、レシートプリンター2に対し、サーバー側送受信部56を介してロック解除指令を送信する。なお、携帯電話8からの例外処理の取引許可指令は、電子メールを用いても良い。この場合、取引許可指令受信部54は、携帯電話8毎のメールアドレスの認証(識別)を行った上でロック解除指令を送信することが好ましい。また、電子メール内に記載されたID等により認証を行っても良い。
【0061】
映像送信部55は、携帯電話8に対し、監視カメラ3による撮像映像を送信する。なお、当該撮像結果は、プリンター側送受信部25およびサーバー側送受信部56を介して取得したリアルタイム映像である。
【0062】
サーバー側送受信部56は、店舗内LAN6に接続するためのLAN端子(図示省略)を主要部とするものであり、レシートプリンター2(プリンター側送受信部25)と各種情報の送受信を行う。
【0063】
音声送受信部57は、電話回線に接続されるモデム(図示省略)などを主要部とするものであり、ヘッドセット4(オペレーター)と、携帯電話8(管理者)との間で、音声信号の送受信を行う。
【0064】
続いて、携帯電話8の機能構成について、簡単に説明する。携帯電話8は、主な機能構成として、メール送受信部81、表示部82、操作部83、携帯側通話部84、映像受信部85およびカメラ制御部86を有している。メール送受信部81は、電子メールの送受信を行うものであり、店舗管理サーバー5から承認依頼メールMを受信すると共に、店舗管理サーバー5に対して取引許可指令を送信する。
【0065】
表示部82は、表示画面を指し、承認依頼メールMの表示や、監視カメラ3の撮像結果の表示を行う。また、操作部83は、操作キーを指し、管理者が例外取引を承認する際に、取引許可アイコン104(図4参照)を選択するなど、各種操作に用いられる。また、携帯側通話部84は、電話回線を介して、オペレーターと通話を行う。また、映像受信部85は、映像送信部55から送信された監視カメラ3の撮像結果(リアルタイム映像)を受信する。また、カメラ制御部86は、操作部83の操作(監視カメラ3の撮影方向やズームを可変するための操作)にしたがって、監視カメラ3の制御部32に指令を送る。
【0066】
次に、図4を参照し、承認依頼メールMについて説明する。同図は、携帯電話8の表示部82に表示された承認依頼メールM(「ワークフロー:フロー4の場合」)の一例を示したものである。同図に示すように、承認依頼メールMには、「例外処理発生日時」、「トランザクション番号」、「対象レジ番号(POS端末1のID)」、「担当オペレーター(オペレーターの氏名)」、「担当オペレーターのレベル」および「例外処理の種別」がテキスト表示されている(符号101参照)。
【0067】
また、承認依頼メールMには、監視映像の確認アイコン102と、オペレーターとの通話アイコン103が表示される。確認アイコン102を選択すると、監視カメラ3の撮像結果を確認することができる。この撮像結果は、リアルタイム映像であり、ライブ中継となっている。また、監視映像の確認アイコン102を選択すると、図示しない映像表示・PTZ制御画面が表示され、操作部83の操作によって、監視カメラ3の撮影方向やズームを可変可能となっている。また、通話アイコン103を選択すると、オペレーターとの通話が可能な状態となる。
【0068】
さらに、承認依頼メールMには、取引許可アイコン104と、終了アイコン105が表示される。取引許可アイコン104は、上記の確認アイコン102および通話アイコン103を選択した後)、選択可能となっている(監視映像の確認と通話が行われていない状態ではグレーアウトされている)。当該取引許可アイコン104を選択すると、店舗管理サーバー5に対し、ロック解除を指示するための取引許可指令が送信される。また、終了アイコン105を選択すると、メール確認画面が終了される。
【0069】
なお、同図に示す承認依頼メールMは、ワークフローとして「フロー4」が選択された場合を例示しているが、ワークフローによっては、確認アイコン102、通話アイコン103および取引許可アイコン104のいずれか、または1以上が省略される。つまり、習熟度が高いオペレーターの場合や不正の可能性が低い例外処理の場合は、監視映像の確認やオペレーターとの通話を省略可能としたり、自動的に取引許可が行われるようになっている。また、「フロー5」が選択された場合は、携帯電話8を用いた取引許可指令ができないため(後に詳述する)、異なる画面形態となる。
【0070】
次に、図5のフローチャートを参照し、第1実施形態に係る例外処理管理方法の流れを説明する。ここでは、ワークフローとして「フロー4」が選択された場合を例示する。まず、店舗監視システムSY1(レシートプリンター2)において、例外処理の取引開始を検出すると(S11,取引開始検出部22)、開始された例外処理の種別を判別し(S12,取引開始検出部22)、さらにオペレーターのレベルを判別する(S13,取引開始検出部22)。また、レシートプリンター2は、POS端末1に対して、例外取引をロックする(S14,例外処理ロック部23)。一方、店舗管理サーバー5は、例外取引のロックに伴い、承認依頼(ワークフロー,承認依頼メールM)を、携帯電話8に送信する(S15,承認依頼送信部53)。さらに、店舗管理サーバー5は、監視カメラ3の撮像結果であるリアルタイム映像を送信可能な状態とし(S16,映像送信部55)、ヘッドセット4との通話を可能な状態とする(S17,音声送受信部57)。
【0071】
携帯電話8は、店舗監視システムSY1(店舗管理サーバー5)から承認依頼メールMを受信すると(S18,メール送受信部81)、これを表示し(S19,表示部82)、監視映像の確認開始操作(確認アイコン102の選択)や通話開始操作(通話アイコン103の選択)を行う(S20,S21,操作部83)。また、取引許可操作が行われた(取引許可アイコン104が選択された)場合は(S22:Yes,操作部83)、店舗管理サーバー5に対し、取引許可指令を送信する(S23,メール送受信部81)。また、取引許可アイコン104が選択されず(S22:No)、終了操作が行われた(終了アイコン105が選択された)場合は(S24,操作部83)、取引許可指令を送信することなく、そのままメール確認処理を終了する。この場合、店舗監視システムSY1(レシートプリンター2)は、ロック解除を行わない。一方、店舗監視システムSY1は、携帯電話8から取引許可指令を受信すると(S25,取引許可指令受信部54)、POS端末1に対し、例外取引のロックを解除する(S26,ロック解除部24)。
【0072】
なお、上記のフローチャートでは、「ワークフロー:フロー4」が選択された場合を例示したが、その他のワークフローが選択された場合の携帯電話8の処理フローについて、図6および図7を参照して説明する。
【0073】
図6(a)は、「ワークフロー:フロー3」が選択された場合の携帯電話8の処理フローを示す図である。この場合、「フロー4」と比べて、通話開始操作の必要がなくなる。つまり、携帯電話8は、店舗監視システムSY1から承認依頼メールMを受信すると(S31,メール送受信部81)、これを表示し(S32,表示部82)、監視映像の確認開始操作を行う(S33,操作部83)。また、取引許可操作が行われると(S34:Yes,操作部83)、店舗監視システムSY1に対し、取引許可指令を送信し(S35,メール送受信部81)、取引許可操作が行われなかった場合は(S34:No)、終了操作が行われて(S36,操作部83)、メール確認処理を終了する。このように、「フロー3」が選択された場合は、監視映像の確認のみを条件として、取引許可操作を行い得るようになっている。なお、この場合、承認依頼メールM内に通話アイコン103の表示は不要であるが、必要に応じて通話ができるように、通話アイコン103を設けても良い。
【0074】
続いて、図6(b)は、「ワークフロー:フロー2」が選択された場合の携帯電話8の処理フローを示す図である。この場合、「フロー3」と比べて、監視映像の確認開始操作の必要がなくなる。つまり、携帯電話8は、店舗監視システムSY1から承認依頼メールMを受信すると(S41,メール送受信部81)、これを表示する(S42,表示部82)。ここで、取引許可操作が行われると(S43:Yes,操作部83)、店舗監視システムSY1に対し、取引許可指令を送信し(S44,メール送受信部81)、取引許可操作が行われなかった場合は(S43:No)、終了操作が行われて(S45,操作部83)、メール確認処理を終了する。このように、「フロー2」が選択された場合は、監視映像の確認やオペレーターとの通話を行うことなく、取引許可操作を行い得るようになっている。この場合、承認依頼メールM内に確認アイコン102および通話アイコン103の表示は不要であるが、必要に応じて監視映像の確認や通話ができるように、確認アイコン102および通話アイコン103を設けても良い。
【0075】
続いて、図6(c)は、「ワークフロー:フロー1」が選択された場合の携帯電話8の処理フローを示す図である。この場合、「フロー2」と比べて、取引許可操作の必要がなくなる。つまり、携帯電話8は、店舗監視システムSY1から承認依頼メールMを受信すると(S51,メール送受信部81)、これを表示する(S52,表示部82)。ここで、当該承認依頼メールMの確認操作が行われると(S53:Yes,操作部83)、店舗監視システムSY1に対し、取引許可指令を送信し(S54,メール送受信部81)、そのままメール確認処理を終了する。つまり、「フロー1」が選択された場合は、承認依頼メールMを確認するだけで、自動的に取引許可指令が送信される。なお、「フロー1」の場合も、図4に示した各アイコンを設けても良い。
【0076】
続いて、図7は、「ワークフロー:フロー5」が選択された場合の携帯電話8の処理フローを示す図である。「フロー5」は、オペレーターのレベルが最も低く、且つ不正行為の可能性が高い例外処理の種別の場合に選択されるため、携帯電話8を用いた取引許可指令ではなく、管理者が実際にPOS端末1まで赴いて、ロック解除を行う必要がある。但し、承認依頼を受けた管理者自身が対応できない場合も考えられるため、そのような場合は、別の管理者(権限委譲者)にロック解除を指示できるようになっている。
【0077】
同図に示すように、携帯電話8は、店舗監視システムSY1から承認依頼メールMを受信すると(S61,メール送受信部81)、これを表示し(S62,表示部82)、権限委譲操作が行われたか否かを判別する(S63,操作部83)。ここで、権限委譲操作が行われなかった場合は(S63:No)、承認依頼メールMを受信した管理者が自らレシートプリンター2の設置場所まで赴き、ロック解除操作を行う(S64)。なお、当該ロック解除操作は、携帯電話8を用いた赤外線通信または近距離無線通信による承認により行われる。つまり、レシートプリンター2は、承認依頼メールMの宛先となる携帯電話8であることを確認した上で、ロック解除を行う(ロック解除部24)。
【0078】
一方、権限委譲操作が行われた場合は(S63:Yes)、権限委譲者にロック解除指示メールを送信する(S65,メール送受信部81)。このとき、複数の候補者の中から権限委譲者を選択できるようにしても良い。また、ロック解除指示メールを送信した場合は、権限を委譲した旨および権限委譲者(権限委譲者の携帯電話ID)を、店舗監視システムSY1に通知する(S66,メール送受信部81)。ロック解除指示メールを受信した権限委譲者は、レシートプリンター2の設置場所まで赴き、自身の携帯電話8を用いて承認(携帯電話IDの照合)を行った後、レシートプリンター2のロック解除機構を用いてロック解除操作を行う。
【0079】
その後、ロック解除指示メールを送信した携帯電話8は、店舗監視システムSY1からロック解除を行った旨を示す電子メール(ロック解除報告メール)を受信し(S67,メール送受信部81)、これを表示する(S68,表示部82)。その後、ロック解除報告メールの確認操作が行われ(S69,操作部83)、一連の処理を終了する。
【0080】
なお、ロック解除報告メールについては、店舗監視システムSY1から送信されるのではなく、権限委譲者の携帯電話8から送信されるようにしても良い。また、権限委譲者は、さらに他の権限委譲者の携帯電話8に対して、ロック解除指示メールを送信できるようにしても良い。
【0081】
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態によれば、オペレーターのレベルや例外処理の種別が所定の条件を満たす場合、管理者は、携帯電話8を用いて取引許可指令を行うことができるため、POS端末1の設置場所まで赴くなどの煩わしさを解消することができる。また、これにより、管理者権限で常に例外取引を許可しておく必要がないため、例外取引の制限機能を生かすことができ、不正行為の防止効果を維持することができる。
【0082】
また、オペレーターのレベルや例外処理の種別に応じて、承認依頼のワークフローを可変することができる。これにより、例えば、習熟度の低いオペレーターの場合や不正行為の可能性が高い種別の場合は複雑なワークフローとし、そうでないオペレーターの場合は簡単なワークフローとするなど、オペレーターの習熟度、信頼度および不正行為の可能性の高さなどに応じて、効率的に承認依頼を行うことができる。また、オペレーターのレベルや例外処理の種別に応じて、ワークフローの宛先を可変することもできる。これにより、例えば、重要度が高い例外処理やオペレーターの習熟度が低い場合には、大きな権限を持つ管理者の移動通信端末を宛先とし、そうでない場合は、あまり大きな権限を持たない管理者の移動通信端末を宛先とするなど、オペレーターの習熟度や例外処理の重要度などに応じて、適切な相手に承認依頼を行うことができる。
【0083】
また、選択したワークフローによっては、管理者の携帯電話8に対し、レジカウンター10周りの撮像映像をリアルタイム送信することができる。これにより、管理者は、例外処理が行われている状況を確認して不正行為の可能性を推測し、その結果に基づいて取引許可を行うべきか否かを適切に判断することができる。さらに、選択したワークフローによっては、管理者の携帯電話8とオペレーターのヘッドセット4との間で、通話を行うことができる。これにより、管理者は、例外処理を行っているオペレーターとの会話から、不正行為の可能性を推測することができる。
【0084】
なお、上記の実施形態では、本発明の「例外処理管理装置」を、レシートプリンター2、監視カメラ3、ヘッドセット4および店舗管理サーバー5により構成したが、図8に示すように、店舗管理サーバー5を省略した構成としても良い。この場合、レシートプリンター2内に、図2に示した店舗管理サーバー5の各部を備える構成となる。
【0085】
また、上記の実施形態では、監視カメラ3の撮像結果を、レシートプリンター2を介して店舗管理サーバー5に送信する構成としたが、監視カメラ3から店舗管理サーバー5に直接送信する構成としても良い。また、店舗管理サーバー5の各部を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。
【0086】
また、上記の実施形態では、例外処理の開始時に、その取引をロックする構成としたが、例外処理ロック部23により、常時例外取引をロックしておき、POS端末1またはレシートプリンター2に対し、オペレーターがロック解除を要求するための所定の操作を行ったとき、承認依頼送信部53により承認依頼メールMを送信するようにしても良い。
【0087】
また、上記の実施形態において、例外処理ロック部23は、全ての例外処理について、その取引開始時に取引ロックするものとしたが、例外処理の種別ごとに、例外処理ロック部23によるロック制御の対象とするか否かを設定可能としても良い。つまり、ロック制御の対象として設定された例外処理の種別のみ、その例外取引が開始されたときに、ロックされる。また、ロック制御の対象となる例外処理の種別、またはロック制御の対象とならない例外処理の種別を、ユーザーが設定可能としても良い。
【0088】
また、上記の実施形態では、例外処理の種別やオペレーターのレベルに応じて、ワークフローと携帯電話8の宛先が選択されるとしたが、各ワークフロー内で、携帯電話8の宛先を規定しても良い。この場合、承認依頼送信部53は、選択したワークフロー内で規定された宛先に、当該ワークフロー(承認依頼メールM)を送信する。
【0089】
また、上記の実施形態では、承認依頼メールMの宛先を1台の携帯電話8のみとしたが、複数台の携帯電話8を宛先としても良い。この場合、複数台のうち少なくとも1台の携帯電話8から取引許可指令を受信できたときにロック解除を行っても良いし、複数台の全ての携帯電話8から取引許可指令を受信できたときにロック解除を行っても良い。
【0090】
また、上記の実施形態において、承認依頼送信部53は、電子メールを用いて承認依頼を送信するものとしたが、Webアプリケーションなど、他の手段を用いて承認依頼を行う(ワークフローを回覧する)ようにしても良い。
【0091】
また、上記の実施形態では、携帯電話8を用いて取引許可指令を行ったが、PHS(Personal Handyphone System)、通信機能付きの小型パソコンおよびPDA(Personal Digital Assistant)など、その他の移動通信端末を用いても良い。
【0092】
[第2実施形態]
次に、図9ないし図14を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、管理者から取引許可指令を受信することにより、例外取引のロックを解除するものとしたが、本実施形態では、レジカウンター10周りに存在する店員の数等に応じて、例外取引のロックを解除する点で異なる。そこで、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0093】
図9は、第2実施形態に係る店舗監視システムSY2のシステム構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る店舗監視システムSY2は、会計処理を行うPOS端末1と、レシートRを発行するレシートプリンター2と、店員IDを読み取るRFID(Radio Frequency Identification)リーダー7と、により構成されている。POS端末1とレシートプリンター2、並びにレシートプリンター2とRFIDリーダー7は、シリアルインターフェースにより接続されている。また、POS端末1、レシートプリンター2およびRFIDリーダー7は、レジカウンター10上に設置される。なお、請求項における「例外処理管理装置」は、上記の構成要素のうち、レシートプリンター2により実現される。
【0094】
RFIDリーダー7は、店員が所持する店員カード90(近距離無線通信媒体)と近距離無線通信を行い、当該店員カード90から、店員IDを読み取る。店員カード90は、RFIDが組み込まれており、店員IDが記録された店員ID記憶部91(ICチップ)と、RFIDリーダー7と無線通信するための無線通信部92(アンテナ)と、を有している。なお、本実施形態では、店舗内に存在する全ての店員が店員カード90を所持していることを前提とする。
【0095】
次に、図10を参照し、店舗監視システムSY2の機能構成について説明する。POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部11を有している。会計処理部11は、第1実施形態と同様に、精算処理や例外処理を含む会計処理を実行し、それらの処理結果を、会計情報としてレシートプリンター2に出力する。
【0096】
RFIDリーダー7は、主な機能構成として、読み取り部71を有している。読み取り部71は、近距離無線通信により、店員カード90に記録された店員IDを読み取る。
【0097】
一方、レシートプリンター2は、主な機能構成として、会計情報取得部21、例外処理ロック部23、ロック解除部24、店員検出部27および印刷部26を有している。会計情報取得部21は、POS端末1(会計処理部11)から、会計情報を取得する。
【0098】
本実施形態の例外処理ロック部23は、通常時、会計処理部11による当該例外取引をロックする。具体的には、POS端末1内にインストールされたフックドライバーに対し、例外取引を禁止するように制御する。なお、本実施形態に適用されるフックドライバーは、例外取引を開始するための所定キーの操作を無効とすることにより、例外取引を禁止することが好ましい。
【0099】
ロック解除部24は、後述する店員検出部27の検出結果に基づき、例外処理ロック部23によるロックを解除する。すなわち、POS端末1内のフックドライバーに対し、所定キーの操作を有効とするための指令を行う。
【0100】
店員検出部27は、RFIDリーダー7(読み取り部71)の読取結果に基づいて、レジカウンター10周りにおける店員の存在を検出する。つまり、RFIDリーダー7の読み取り可能な範囲(=レジカウンター10周り)に、読み取り可能な店員カード90が幾つ存在するかを検出する。また、同時に、読み取り可能な店員カード90に記録されている店員IDを検出する。上記のロック解除部24は、店員検出部27によりN人以上(但し、N≧2)の店員の存在が検出された場合、ロックを解除する。なお、Nの値は、レシートプリンター2に備えられた操作部(図示省略)または外部装置を用いて、適宜変更可能とすることが好ましい。
【0101】
印刷部26は、第1実施形態と同様に、会計情報取得部21が取得した会計情報をレシート用紙に印刷し、レシートRを発行する。
【0102】
次に、図11のフローチャートを参照し、第2実施形態に係る例外処理管理方法の基本例について説明する。なお、本フローチャートでは、N=2であるものとする。上記のとおり、レシートプリンター2は、通常時、例外取引をロックしておく(S71,例外処理ロック部23)。また、所定のタイミング、または定期的に店員IDを検出し(S72,店員検出部27)、ID検出数が複数の場合(S73:Yes)、レジカウンター10周りに複数人の店員が存在しているものとして、ロックを解除する(S74,ロック解除部24)。また、ID検出数が1以下の場合は(S73:No)、S72に戻り、店員IDの検出を繰り返す。
【0103】
このように、本実施形態に係る例外処理管理方法の基本例では、レジカウンター10周りに存在する店員の数が1人以下の場合に例外取引をロックしておく構成となっている。一般的に、例外処理に伴う不正行為が行われるのは、レジカウンター10周りに店員(オペレーター)が一人しか存在しない場合である。このため、複数人の店員が存在する場合は、不正行為が行われる可能性が低いと考えられる。したがって、通常時、例外取引をロックしておき、レジカウンター10周りに複数人の店員が存在する場合のみ例外処理の取引ロックを解除することで、管理者やオペレーターの手を一切煩わせることなく、不正行為を効率的且つ効果的に防止することができる。
【0104】
なお、上記の基本例では、店員IDを検出することで、レジカウンター10周りに存在する店員の数を判定したが、単に、店員カード90の検出の有無によって、店員の数を判定しても良い。この場合、店員カード90ごとに異なる店員IDが記録されている必要はなく、店員証のように単に店員であることを証明できる媒体を各店員に所持させれば良い。この構成によれば、より簡単にレジカウンター10周りに存在する店員の人数を判定することができる。
【0105】
続いて、図12および図13を参照し、例外処理管理方法の応用例について説明する。この応用例では、例外処理ロック部23が、例外処理の種別ごとに、その取引を無効にできることが前提である。つまり、POS端末1内にインストールされたフックドライバーが、例外処理の各種別に対応する所定キーごとに、操作の無効/有効を切り替えられることが前提である。
【0106】
また、応用例では、図12に示すロック解除条件テーブルT2が、レシートプリンター2内に記憶され、ロック解除部24が、当該ロック解除条件テーブルT2を参照して、ロック解除の可否を判別する。具体的には、レジカウンター10周りに存在するN人以上の店員のうち、M人以上(但し、1≦M≦N)の店員の店員IDが所定のID条件を満たす場合、ロック解除可と判定する。そこで、まずロック解除条件テーブルT2について説明する。
【0107】
図12に示すように、ロック解除条件テーブルT2は、例外処理の種別と、オペレーターのレベルと、ロック解除条件と、が関連付けられたものであり、店員検出部27の検出結果がロック解除条件を満たす場合、対応する例外処理の種別について、ロック解除可と判定される。また、本例において、オペレーターのレベルは、ロック解除部24により判別される。その判別方法は、第1実施形態に示したとおり、会計情報に含まれるオペレーターIDに基づいて行われる。
【0108】
また、ロック解除条件は、レジカウンター10周りの店員の数(Nの値)と、ID条件を満たす店員の数(Mの値)と、ID条件と、から成る。ID条件とは、店員IDから特定される店員の権限であり、「チーフマネージャーであること」や「サブマネージャー以上であること」などを指す。例えば、「Nの値:3」、「Mの値:1」、「ID条件:チーフマネージャー」の場合は、レジカウンター10周りに最低3人の店員が存在し、そのうち少なくとも1人がチーフマネージャーであることがロック解除条件となる。
【0109】
したがって、同図に示す例の場合は、POS1端末を操作しているオペレーターのレベルが、習熟度や信頼度が最も低い「レベル1」の場合でも、レジカウンター10周りに最低3人の店員が存在し、そのうち少なくとも1人がチーフマネージャーであれば、全ての種別について例外取引が可能となる。また、「オペレーターのレベル:レベル1」であって、レジカウンター10周りに2人の店員が存在し、そのうち1人だけがチーフマネージャーの場合は、例外処理の種別「中止処理」、「取消処理」および「返品処理」のロック解除条件を満たさないため、これらの種別については例外取引が不可となり、他の種別については例外取引が可能となる。さらに、オペレーターのレベルが、習熟度や信頼度が最も高い「レベル3」の場合は、レジカウンター10周りに2人の店員が存在し、そのうち少なくとも1人がサブマネージャー以上であれば、全ての種別について例外取引が可能となる。
【0110】
なお、ロック解除条件テーブルT2は、レシートプリンター2に備えられた操作部(図示省略)または外部装置を用いて、適宜変更可能となっている。つまり、例外処理の種別の分類、オペレーターのレベルの分類、Nの値、Mの値、ID条件について、任意に設定可能である。
【0111】
また、店員検出部27により検出した店員IDが、ロック解除条件テーブルT2のID条件を満たすか否かは、店員IDと権限とを対応付けたテーブル(図示省略)を予めレシートプリンター2内に記憶しておき、検出した店員IDに対応する権限が、ロック解除条件テーブルT2のID条件を満たすか否かによって判別可能である。その他、権限に応じて、IDの桁数や下一桁の数字を規定しておき、それに応じて、店員の権限を特定できるようにしても良い。
【0112】
次に、図13のフローチャートを参照し、第2実施形態に係る例外処理管理方法の応用例について説明する。図11に示した基本例と同様に、レシートプリンター2は、通常時、全種別の例外取引をロックしておく(S81,例外処理ロック部23)。また、所定のタイミング、または定期的に店員IDを検出し(S82,店員検出部27)、さらにオペレーターのレベルを判別する(S83,ロック解除部24)。そして、ロック解除条件テーブルT2を参照し、許可されるべき例外処理の種別があるか否かを判別し(S84,ロック解除部24)、許可されるべき例外処理の種別がある場合は(S84:Yes)、その種別について例外取引のロックを解除する(S85,ロック解除部24)。また、許可されるべき例外処理の種別がない場合は(S84:No)、S82に戻り、S82ないしS84を繰り返す。
【0113】
このように、本実施形態に係る例外処理管理方法の応用例では、例外処理の種別に応じて、ロック解除条件を設定することができる。これにより、被害想定額や重要度が大きい例外処理の種別ほど、所定の条件を厳しく設定することができ、店舗の甚大な被害を効率的に防止することができる。また、POS端末1を操作している店員のレベルに応じて、ロック解除条件を設定することもできるため、店舗の被害をより効率的に防止することができる。
【0114】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る店舗監視システムSY2によれば、レジカウンター10周りの店員の状況(店員の数や店員の権限)が、ロック解除条件を満たす場合、例外処理の取引ロックを解除するため、管理者やオペレーターの手を煩わせることなく、例外処理に伴う不正行為を効果的に防止することができる。
【0115】
また、店員検出部27は、RFIDリーダー7を用いて店員カード90を読み取るため(近距離無線通信を用いるため)、正確且つ容易に店員IDを検出することができる。
【0116】
なお、上記の実施形態では、各店員が店員カード90を所持していることが前提であるとしたが、店員カード90を所持させるのではなく、店員カード90をクリップや安全ピン等を用いて各店員に装着するようにしても良い。また、カード形態ではなく、タグ形態など、他形態の近距離無線通信媒体を用いても良い。
【0117】
また、上記の実施形態では、近距離無線通信を行うことにより店員IDを検出したが、店員の生体認証を行うことにより、店員IDを検出しても良い。ここで、図14を参照し、本実施形態に係る店舗監視システムSY2の変形例として、簡単に説明する。
【0118】
図14(a)は、顔認証を行う場合の店舗監視システムSY2のシステム構成図である。この場合、レシートプリンター2は、レジカウンター10周りを撮像する監視カメラ3と、シリアルインターフェースにより接続される。また、レシートプリンター2内には、撮像データー解析プログラム201と、店員顔特徴量データーベース202と、が設けられる。撮像データー解析プログラム201は、監視カメラ3の撮像データーを解析し、顔特徴量を算出する。具体的には、監視カメラ3の撮像データーを取得して、フレーム間の差分と背景差分を抽出し、当該抽出結果から動領域を検出する。また、検出した動領域から顔検出を行い、当該顔部分の画像を正規化して、顔特徴量を算出する。また、店員顔特徴量データーベース202には、店員の顔写真などから予め算出された顔特徴量と、店員IDとが関連付けて記憶される。これにより、レシートプリンター2(店員検出部27)は、監視カメラ3の監視結果から顔特徴量を算出し、それに合致する店員の店員IDを、店員顔特徴量データーベース202から検索することが可能となる。
【0119】
また、図14(b)は、音声認証を行う場合の店舗監視システムSY2のシステム構成図である。この場合、レシートプリンター2は、レジカウンター10周りの音声を取得するマイク9と、シリアルインターフェースにより接続される。また、レシートプリンター2内には、音声データー解析プログラム211と、店員声紋データーベース212と、が設けられる。音声データー解析プログラム211は、マイク9が取得した音声信号を解析し、声紋を抽出する。また、店員声紋データーベース212には、店員の声から予め抽出された声紋が、店員IDと関連付けて記憶される。これにより、レシートプリンター2(店員検出部27)は、マイク9の音声取得結果から声紋を抽出し、それに合致する店員の店員IDを、店員声紋データーベース212から検索することが可能となる。
【0120】
以上説明したとおり、本実施形態に係る店舗監視システムSY2の変形例によれば、生体認証技術を用いることで、確実に個人を特定することができる。なお、生体認証を行うための生体情報としては、上記の顔や音声(声紋)以外に、指紋、掌形、網膜、虹彩、血管(静脈パターン)、耳形などを用いることが好ましい。このように、身体的特徴(静的情報)を用いることで、行動監視の必要がなく、容易に個人を特定することができる。
【0121】
なお、上記の第2実施形態において、例外処理ロック部23は、通常時、会計処理部11による当該例外取引をロックするものとしたが、第1実施形態と同様に、例外処理の取引開始を検出したときに、その例外取引をロックするようにしても良い。
【0122】
また、第2実施形態において、ロック解除部24は、会計情報に含まれるオペレーターIDに基づいて、オペレーターのレベルを判別するものとしてが、RFIDリーダー7の検出結果に基づいて、オペレーターのレベルを判別しても良い。この場合、RFIDリーダー7は、POS端末1を操作しているオペレーターと、その他の店員とを区別して(指向性を持って)検出する必要がある。若しくは、オペレーター用と、その他の店員用など、複数のリーダーを備える構成としても良い。
【0123】
また、第2実施形態の例外処理管理方法と、第1実施形態の例外処理管理方法とを組み合わせ、レジカウンター10周りにおける店員IDの検出結果がロック解除条件を満たす場合であって、且つ携帯電話8(管理者)から取引許可指令を受けた場合に、例外取引のロックを解除するようにしても良い。また、and条件による組み合わせではなく、or条件による組み合わせとして、レジカウンター10周りにおける店員IDの検出結果がロック解除条件を満たすか、携帯電話8から取引許可指令を受けるか、の少なくとも一方を条件として、例外取引のロックを解除するようにしても良い。
【0124】
また、第2実施形態では、レシートプリンター2により、本発明の「例外処理管理装置」が構成されるものとしたが、印刷部26を除くレシートプリンター2の一部または全ての構成要素を、第1実施形態に示した店舗管理サーバー5で実現する構成としても良い。
【0125】
以上、第1実施形態および第2実施形態によれば、例外取引の制限を解除する方法として、携帯電話8を用いた承認依頼や、レジカウンター10周りにおける店員IDの検出を行うため、従来の例外取引制限方法(レジキーによる機能制限や、ログインID判別による機能ボタングレイアウトなど)に頼る必要がない。これにより、管理者がレジキーを差し込んで制限解除を行ったりログインを行って例外取引を可能としたり、などの手間を必要とせず、効果的且つ効率的に不正行為を防止することができる。
【0126】
なお、上記の各実施形態に係る店舗監視システムSY1,SY2の例外処理管理方法(上記各実施形態で示したフローチャート)の各ステップをプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗監視システムSY1,SY2の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0127】
また、上記の各実施形態では、本発明の「例外処理管理装置」を、レシートプリンター2や店舗管理サーバー5によって実現する場合を例示したが、他の電子機器によって実現してもよい。また、店員や顧客の不正検出以外の用途で利用しても良い。その他、上述した実施例によらず、店舗監視システムSY1,SY2の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1…POS端末 2…レシートプリンター 3…監視カメラ 4…ヘッドセット 5…店舗管理サーバー 6…店舗内LAN 7…RFIDリーダー 8…携帯電話 9…マイク 10…レジカウンター 102…確認アイコン 103…通話アイコン 104…取引許可アイコン 105…終了アイコン 201…撮像データー解析プログラム 202…店員顔特徴量データーベース 211…音声データー解析プログラム 212…店員声紋データーベース M…承認依頼メール NT…外部ネットワーク R…レシート SY1,SY2…店舗監視システム T1…ワークフローテーブル T2…ロック解除条件テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計処理部による例外処理の取引をロックする例外処理ロック部と、
所定の移動通信端末に、前記例外処理の取引承認を得るための承認依頼を送信する承認依頼送信部と、
前記所定の移動通信端末から、前記承認依頼に対する前記例外処理の取引許可指令を受信する取引許可指令受信部と、
前記取引許可指令の受信に伴い、前記例外処理ロック部によるロックを解除するロック解除部と、を備えたことを特徴とする例外処理管理装置。
【請求項2】
前記承認依頼のワークフローを複数記憶するワークフロー記憶部をさらに備え、
前記承認依頼送信部は、前記ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、前記会計処理部を操作している店員のレベルに応じたワークフローを選択して送信することを特徴とする請求項1に記載の例外処理管理装置。
【請求項3】
前記会計処理部による前記例外処理の取引開始を検出する取引開始検出部をさらに備え、
前記例外処理ロック部および前記承認依頼送信部は、前記取引開始検出部により前記例外処理の取引開始を検出したときに機能することを特徴とする請求項2に記載の例外処理管理装置。
【請求項4】
前記取引開始検出部は、開始された前記例外処理の種別を判別し、
前記承認依頼送信部は、前記ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、前記例外処理の種別に応じたワークフローを選択して送信することを特徴とする請求項3に記載の例外処理管理装置。
【請求項5】
前記移動通信端末の宛先を複数記憶する宛先記憶部をさらに備え、
前記承認依頼送信部は、前記宛先記憶部の中から、前記会計処理部を操作している店員のレベルおよび前記例外処理の種別の少なくとも一方に応じて、1以上の宛先を選択し、選択した宛先に、選択した前記ワークフローを送信することを特徴とする請求項4に記載の例外処理管理装置。
【請求項6】
前記会計処理部が設置されたレジカウンター周りを撮像する撮像部と、
前記所定の移動通信端末に対し、前記撮像部による撮像映像をリアルタイム送信する映像送信部と、をさらに備えことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の例外処理管理装置。
【請求項7】
前記会計処理部を操作している店員と、前記所定の移動通信端末との間で、通話を行うための通話部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の例外処理管理装置。
【請求項8】
前記会計処理部の会計処理結果である会計情報をレシート用紙に印刷する印刷部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の例外処理管理装置。
【請求項9】
会計処理部を内部または外部に備えると共に、所定の移動通信端末と通信可能な例外処理管理装置の制御方法であって、
前記例外処理装置が、
前記会計処理部による例外処理の取引をロックする例外処理ロックステップと、
前記所定の移動通信端末に、前記例外処理の取引承認を得るための承認依頼を送信する承認依頼送信ステップと、
前記所定の移動通信端末から、前記承認依頼に対する前記例外処理の取引許可指令を受信する取引許可指令受信ステップと、
前記取引許可指令の受信に伴い、前記ロックを解除するロック解除ステップと、を実行することを特徴とする例外処理管理装置の制御方法。
【請求項10】
前記例外処理管理装置は、前記承認依頼のワークフローを複数記憶するワークフロー記憶部をさらに備え、
前記承認依頼送信ステップでは、前記ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、前記会計処理部を操作している店員のレベルに応じたワークフローを選択して送信することを特徴とする請求項9に記載の例外処理管理装置の制御方法。
【請求項11】
前記例外処理装置が、
前記会計処理部による前記例外処理の取引開始を検出する取引開始検出ステップをさらに実行し、
前記例外処理ロックステップおよび前記承認依頼送信ステップは、前記取引開始検出ステップにおいて前記例外処理の取引開始を検出したときに実行されることを特徴とする請求項10に記載の例外処理管理装置の制御方法。
【請求項12】
前記取引開始検出ステップでは、開始された前記例外処理の種別を判別し、
前記承認依頼送信ステップでは、前記ワークフロー記憶部に記憶されている複数のワークフローの中から、前記例外処理の種別に応じたワークフローを選択して送信することを特徴とする請求項11に記載の例外処理管理装置の制御方法。
【請求項13】
コンピューターに、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の例外処理管理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−96182(P2011−96182A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252040(P2009−252040)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】