侵入者検知装置
【課題】サイズが互いに等しいブロックを用いて、侵入者を正確に検知することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る侵入者検知装置は、監視エリアの画像を撮像する監視カメラ2と、監視カメラ2で撮像された画像の画像データを、監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化するデータ平滑部33と、データ平滑部33で平滑化された画像データの変化の有無を、各ブロック単位で検出する検出部341とを備える。そして、検出部341で画像データの変化が検出されたブロックの数を、ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部342と、計数部342で計数された値が、検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部344とを備える。
【解決手段】本発明に係る侵入者検知装置は、監視エリアの画像を撮像する監視カメラ2と、監視カメラ2で撮像された画像の画像データを、監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化するデータ平滑部33と、データ平滑部33で平滑化された画像データの変化の有無を、各ブロック単位で検出する検出部341とを備える。そして、検出部341で画像データの変化が検出されたブロックの数を、ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部342と、計数部342で計数された値が、検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部344とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリアの画像データの変化を検出し、侵入者を威嚇したり画像記録したりする侵入者検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視エリアの画像データの変化により侵入者を検知する侵入者検知装置として、特許文献1および特許文献2に示すような侵入者検知装置がある。特許文献1に記載された侵入者検知装置では、1フィールド、または、1フレーム期間遅延した信号と非遅延信号との差分を求め、差分が所定のレベル差以上であれば、侵入者を記録するために、一定期間継続してVTRを制御する。また、特許文献2に記載された侵入者検知装置では、遠近両方の侵入者を正確に検知するために、検知を行う対象となるブロックのサイズをカメラからの距離に応じて変更し、各ブロックにおいて画像データを平滑化して画像データの変化を検出している。
【0003】
【特許文献1】特開平2−2486号公報
【特許文献2】特開平8−235457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の侵入者検知装置では、屋外カメラの画像において、雨や雪、木の葉の揺れや海辺での波の乱反射といった背景の画像変化と侵入者による画像変化とを識別することができず、誤った検知をする場合があった。そのため、無駄に画像データを記録するとともに、誤報が発生するという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の侵入者検知装置では、検知性能は向上するが、異なるサイズのブロックで画像データを平滑化できるようにする必要があるため、ハードウェアの構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、サイズが互いに等しいブロックを用いて、侵入者を正確に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1に係る侵入者検知装置は、監視エリアの画像を撮像する画像撮像部と、前記画像撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する平滑部と、前記平滑部で平滑化された前記画像データの変化の有無を、各前記ブロック単位で検出する検出部と備える。そして、前記検出部で前記画像データの変化が検出された前記ブロックの数を、前記ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部と、前記計数部で計数された値が、前記検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の侵入者検知装置によれば、サイズが互いに等しいブロックを用いて、侵入者を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る侵入者検知装置は、監視エリアにおいて侵入者を検知する装置である。図1は、本実施の形態に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る侵入者検知装置1は、監視カメラ2と、監視端末装置3とを備える。
【0010】
監視カメラ2は、監視エリアの画像を撮像する。そして、監視カメラ2は、撮像した画像を画像信号として監視端末装置3に入力する。監視端末装置3は、監視カメラ2から入力される画像信号に基づいて侵入者を検知し、侵入者の検知に応じて所定の動作を行う。ここで、監視端末装置3が行う所定の動作は、画像の記録、および、アラームの出力、通信回線を介した外部への通報を含む。
【0011】
図2は、監視端末装置3の構成を示すブロック図である。監視端末装置3は、A/D変換器31と、バッファメモリ32と、データ平滑部33と、CPU(Central Processing Unit)34と、情報源符号化部35と、画像データ記録部36と、出力端子37と、LAN(Local Area Network)端子38を備える。
【0012】
A/D変換器31は、監視カメラ2から入力された画像信号を画像データに変換する。本実施の形態では、画像信号は、輝度信号(Y)、および、色差信号(Cb,Cr)などのコンポーネント信号であるものとする。その場合、画像データは、例えば、輝度信号を13.5MHzでサンプリングして変換される8ビットのデジタルデータである輝度データ、および、色差信号を6.75MHzでサンプリングして変換される8ビットのデジタルデータである色差データとなる。
【0013】
なお、以下、監視カメラ2からの画像信号は、コンポーネント信号であるものとして説明するが、これに限ったものではなく、NTCSやPALなどのコンポジット信号を監視端末装置3に入力してデコードし、同一形態でA/D変換器31に入力するようにしてもよい。また、サンプリング周波数は上記に示したものに限ったものではなく、監視カメラ2の性能や監視システムの使用用途により異なるパラメータで設定してもよい。
【0014】
バッファメモリ32は、A/D変換器31でデジタル変換された画像データを一時的に記憶する。本実施の形態では、バッファメモリ32は、720ドット×240(480)ラインとする1フィールド(フレーム)分の輝度データ、および、360ドット×240(480)ラインとする1フィールド(フレーム)分の色差データを一時的に記憶するものとする。
【0015】
平滑部であるデータ平滑部33は、監視カメラ2で撮像された画像の画像データを、画像を等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する。本実施の形態において、以下、画像データは、1フィールドの輝度データであるものとするが、以下、画像データを1フレームの輝度データであるものとしても、同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、1ブロック単位を16ドット×16ラインとするが、これに限ったものではなく、検知対象である侵入者の速度や大きさに応じて、1ブロックの単位を適正に設定すればよい。
【0016】
上述したように、監視カメラ2で撮像された画像の輝度データは、バッファメモリ32で記憶されている。データ平滑部33は、バッファメモリ32に記憶された720ドット×240ラインの輝度データを、45×15の各ブロックごとに平滑化する。平滑化された各ブロックの輝度データは、各ブロックごとに一時的に保管されるとともに、CPU34に入力される。
【0017】
CPU34は、データ平滑部33で平滑化された輝度データに基づいて、CPU34内の構成要素をプログラミング制御する。このCPU34は、検出部341と、計数部342と、検知ゾーン設定部343と、制御部344と、発報処理部345とを備える。CPU34は、例えば、演算部やレジスタ部で構成される。
【0018】
検出部341は、データ平滑部33で平滑化された輝度データについての変化の有無を、各ブロック単位で検出する。この検出部341は、平滑化された輝度データと監視カメラ2との背景画について予め平滑化された所定の輝度データとの差、または、非遅延の平滑化された輝度データと所定時間遅延され平滑化された輝度データとの差に応じて、輝度データの変化の有無を検出する。
【0019】
データ平滑部33で平滑化された輝度データと、背景の平滑化輝度データとの差をブロック単位で比較する場合、その差が予め設定したレベル以上である場合に、平滑化された輝度データに変化が有ったと検出し、例えば、そのブロックに対して、”1”を設定する。
【0020】
非遅延の平滑化された輝度データと遅延平滑化輝度データとの差に応じて、検出部341が輝度データの変化の有無を検出する場合には、まず、検出部341は、データ平滑部33で平滑化された輝度データを一時的に保管する。そして、この輝度データと、例えば、1フィールド〜数100msecだけ時間遅延して平滑化された輝度データとの差をブロック単位で比較する。そして、その差が予め設定したレベル以上である場合に、平滑化された輝度データに変化が有ったと検出し、例えば、そのブロックに対して、”1”を設定する。
【0021】
検出部341が、輝度データの変化を検出する方法として2つ示したが、どちらの方法を用いても同様の結果が得られる。そのため、以下、非遅延の平滑化された輝度データと遅延平滑化輝度データとの差に応じて、検出部341は、輝度データの変化を検出するものとして説明する。
【0022】
図3は、監視カメラ2で撮像される監視エリアの画像を、45×15のブロックで示した図である。ここで、監視カメラ2は、家屋への侵入経路となる敷地を、奥行き方向から捉えるように設置されている。この侵入経路の途中には、木立10がある。図5、図7、図9は、図3の状態から所定時間遅延した時間に、侵入者11が出現した場合である。このように、侵入者11は、監視カメラ2に近いほど大きく撮像される。
【0023】
図5のように、監視エリアに侵入者11が出現し、平滑化された輝度データに変化が有った場合、図6に示すように、検出部341は、検出したブロックにおいて”1”が設定され、検出しなかったブロックにおいて”1”は設定されない。
【0024】
検知ゾーン設定部343には、ブロックをグループ化してなる検知ゾーンが予め設定される。検知ゾーンの設定は、例えば、監視カメラ2の画像にOSD(On Screen Display)で45×15のブロックを表示させる。そして、各ブロックに検知ゾーンを設定するための識別記号や識別色を付与することにより行う。
【0025】
図4は、図3の監視エリアのブロックに対して識別記号(a,b,c)を付与して、検知ゾーンを設定した図である。本実施の形態では、ブロックaをグループ化してなる検知ゾーンAと、ブロックaとブロックbをグループ化してなる検知ゾーンBと、ブロックaとブロックbとブロックcをグループ化してなる検知ゾーンCがそれぞれ予め設定されている。この図に示すように、本実施の形態では、検知ゾーンは、入れ子状に重複して予め設定されている。
【0026】
なお、図4で示されている太枠は、上記ブロックを識別するために表したものであり、本発明を特定するものではない。この太枠は、後に示す図5〜図12においても同じである。また、識別記号が付与されていないブロックをグループ化してなる検知無視ゾーンは、侵入者11の検知を行わない検知無視ゾーンであり、例えば、敷地外の道路や隣家の敷地に設定される。
【0027】
図4に示すように、検知ゾーンA(カメラ−遠方監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアの位置に設定される。検知ゾーンB(カメラ−中間監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアの位置から中間の監視エリアの位置に設定される。検知ゾーンC(カメラ−直近監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアから直近の監視エリアの位置に設定されている。こうして、検知ゾーンは、対応する監視エリアの位置と監視カメラ2との距離に応じて予め設定される。
【0028】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する。本実施の形態では、計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA、検知ゾーンB、検知ゾーンCごとに計数する。
【0029】
図6の場合、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数は、検知ゾーンAにおける6ブロックであるため、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:6、検知ゾーンB:6、検知ゾーンC:6」となる。なお、検知無視ゾーンは処理対象から除外されており、検知無視ゾーンにおいて検出部341が輝度データの変化を検出しても、計数部342で計数は行われない。
【0030】
制御部344は、計数部342で計数された値が、検知ゾーンA,B,Cごとに予め設定された所定の値である検知判定閾値を超えた場合に、検知信号を通知する。ここで、検知判定閾値数は、検知ゾーンごとに異なるように予め設定される。本実施の形態では、検知ゾーンAの検知判定閾値「5」≦検知ゾーンBの検知判定閾値「10」≦検知ゾーンCの検知判定閾値「20」となるように、検知判定閾値は予め設定されている。こうして、検知判定閾値は、検知ゾーンに対応する監視エリアの位置と監視カメラ2との距離が短くなるにつれて、大きくなるように予め設定される。以下、計数部342で計数された値が、検知ゾーンA,B,Cの検知判定閾値のいずれかにおいて1つでも超えた場合に、検知信号を通知するものとして説明する。
【0031】
発報処理部345は、制御部344からの検知信号の通知を受けて、信号端子を動作する。信号端子である出力端子37と、信号端子であるLAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。出力端子37から外部へ通知された検知信号は、例えば、侵入者を威嚇する音声、例えば、サイレンや、ライトを点灯させるために用いられる。また、LAN端子38から外部へ通知された検知信号は、例えば、通信回線を介して携帯電話に通知するために用いられる。
【0032】
情報源符号化部35は、バッファメモリ32に一時的に記憶された画像データを、圧縮して符号化することにより、圧縮画像データを生成する。記録部である画像データ記録部36は、制御部344からの検知信号に応じて、画像データを記録する。本実施の形態では、画像データ記録部36で記録される画像データは、情報源符号化部35で圧縮された圧縮画像データである。このような画像データ記録部36には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリなどの蓄積媒体が該当する。
【0033】
以上のように構成される本実施の形態に係る侵入者検知装置1の動作について説明する。なお、検知ゾーン設定部343において、検知ゾーンは、図4のように予め設定されているものとする。
【0034】
1ブロック内でクローズする輝度データの変化、例えば、海辺の小波や木の葉の揺れは平滑化されると、1ブロック内の大きな輝度と小さな輝度とでキャンセルされる。そうすると、平滑化された輝度データと、所定時間遅延後の平滑化された輝度データとの間に大きな差が現れないため、検出部341は、輝度データに変化がないと検出する。
【0035】
一方、図3から図5のように、検知ゾーンA(カメラ−遠方監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされない。そうすると、平滑化された輝度データと、所定時間遅延後の平滑化された輝度データとの間に大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図6のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった6ブロックに対して、”1”を設定する。
【0036】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。上述したとおり、計数部342は、検知無視ゾーンでは計数を行わない。そのため、例えば、検知無視ゾーンを敷地外の道路や隣家の敷地に設定すると、敷地外の道路を通行する人や車、隣家の敷地内の人物を侵入者11として検知する対象から除外することができる。
【0037】
図6の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:6、検知ゾーンB:6、検知ゾーンC:6」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。しかし、検知ゾーンAでは、検知判定閾値「5」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0038】
次に、図3から図7のように、検知ゾーンB(カメラ−中間監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、上述したとおり、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図8のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった18ブロックに対して、”1”を設定する。図6に比べ、侵入者11の画像は大きいため、”1”が設定されるブロックが多くなる。
【0039】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図8の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:3、検知ゾーンB:18、検知ゾーンC:18」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。しかし、検知ゾーンBでは、検知判定閾値「10」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0040】
次に、図3から図9のように、検知ゾーンC(カメラ−直近監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、上述したとおり、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図10のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった28ブロックに対して、”1”を設定する。図8に比べ、侵入者11の画像は大きいため、”1”が設定されるブロックが多くなる。
【0041】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図10の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:0、検知ゾーンB:8、検知ゾーンC:28」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えていない。しかし、検知ゾーンCでは、検知判定閾値「28」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0042】
次に、図3から図11のように、検知ゾーンCに木立10の木漏れ日が差し込んだ場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図12のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった9ブロックに対して、”1”を設定する。
【0043】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図12の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:0、検知ゾーンB:0、検知ゾーンC:9」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。そのため、制御部344は検知信号を通知しない。
【0044】
以上のような本実施の形態にかかる侵入者検知装置は、サイズが互いに等しいブロックで画像データを平滑化することにより、侵入者11を検知することができる。そのため、侵入者検知装置を単純なハードウェアの構成で実現することができる。また、1ブロック内でクローズする変化、例えば、海辺の小波や木の葉の揺れにより、過剰に検知することなく、侵入者11を正確に検知することができる。
【0045】
また、侵入者11を検知するための検知ゾーンの設定を、監視カメラ2との距離に応じて設定し、監視カメラ2との距離が近づくにつれて大きくしている。そのため、監視カメラ2に近い検知ゾーンの少数ブロックにおいて、検出部341で検出される輝度データの変化、例えば、木漏れ日による変化があっても、本実施の形態に係る侵入者検知装置は、過剰に検知しない。それに対し、監視カメラ2に近い検知ゾーンの多数ブロックにおいて、検出部341で検出される輝度データの変化、つまり、侵入者11による変化があった場合には、本実施の形態に係る侵入者検知装置は、侵入者11を検知することができる。こうして、検知しようとする被検知サイズに合わせることにより、侵入者11を正確に検知することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、データ平滑部33で平滑化される画像データを輝度データとして説明したが、これに限ったものではなく、色差データであってもよい。また、輝度データと色差データの両方を用いてもよく、その場合、検出部341は、輝度データ間の差のみではなく、色差データ間の差を含めて、総合的に画像データの変化の有無を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態1に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る侵入者検知装置の監視エリアを説明する図である。
【図4】実施の形態1に係る侵入者検知装置の検知ゾーンを説明する図である。
【図5】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図7】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図10】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図11】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図12】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 侵入者検知装置、2 監視カメラ、3 監視端末装置、10 木立、11 侵入者、31 A/D変換器、32 バッファメモリ、33 データ平滑部、34 CPU、35 情報源符号化部、36 画像データ記録部、37 出力端子、38 LAN端子、341 検出部、342 計数部、343 検知ゾーン記憶部、344 制御部、345 発報処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリアの画像データの変化を検出し、侵入者を威嚇したり画像記録したりする侵入者検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視エリアの画像データの変化により侵入者を検知する侵入者検知装置として、特許文献1および特許文献2に示すような侵入者検知装置がある。特許文献1に記載された侵入者検知装置では、1フィールド、または、1フレーム期間遅延した信号と非遅延信号との差分を求め、差分が所定のレベル差以上であれば、侵入者を記録するために、一定期間継続してVTRを制御する。また、特許文献2に記載された侵入者検知装置では、遠近両方の侵入者を正確に検知するために、検知を行う対象となるブロックのサイズをカメラからの距離に応じて変更し、各ブロックにおいて画像データを平滑化して画像データの変化を検出している。
【0003】
【特許文献1】特開平2−2486号公報
【特許文献2】特開平8−235457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の侵入者検知装置では、屋外カメラの画像において、雨や雪、木の葉の揺れや海辺での波の乱反射といった背景の画像変化と侵入者による画像変化とを識別することができず、誤った検知をする場合があった。そのため、無駄に画像データを記録するとともに、誤報が発生するという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の侵入者検知装置では、検知性能は向上するが、異なるサイズのブロックで画像データを平滑化できるようにする必要があるため、ハードウェアの構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、サイズが互いに等しいブロックを用いて、侵入者を正確に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1に係る侵入者検知装置は、監視エリアの画像を撮像する画像撮像部と、前記画像撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する平滑部と、前記平滑部で平滑化された前記画像データの変化の有無を、各前記ブロック単位で検出する検出部と備える。そして、前記検出部で前記画像データの変化が検出された前記ブロックの数を、前記ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部と、前記計数部で計数された値が、前記検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の侵入者検知装置によれば、サイズが互いに等しいブロックを用いて、侵入者を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る侵入者検知装置は、監視エリアにおいて侵入者を検知する装置である。図1は、本実施の形態に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る侵入者検知装置1は、監視カメラ2と、監視端末装置3とを備える。
【0010】
監視カメラ2は、監視エリアの画像を撮像する。そして、監視カメラ2は、撮像した画像を画像信号として監視端末装置3に入力する。監視端末装置3は、監視カメラ2から入力される画像信号に基づいて侵入者を検知し、侵入者の検知に応じて所定の動作を行う。ここで、監視端末装置3が行う所定の動作は、画像の記録、および、アラームの出力、通信回線を介した外部への通報を含む。
【0011】
図2は、監視端末装置3の構成を示すブロック図である。監視端末装置3は、A/D変換器31と、バッファメモリ32と、データ平滑部33と、CPU(Central Processing Unit)34と、情報源符号化部35と、画像データ記録部36と、出力端子37と、LAN(Local Area Network)端子38を備える。
【0012】
A/D変換器31は、監視カメラ2から入力された画像信号を画像データに変換する。本実施の形態では、画像信号は、輝度信号(Y)、および、色差信号(Cb,Cr)などのコンポーネント信号であるものとする。その場合、画像データは、例えば、輝度信号を13.5MHzでサンプリングして変換される8ビットのデジタルデータである輝度データ、および、色差信号を6.75MHzでサンプリングして変換される8ビットのデジタルデータである色差データとなる。
【0013】
なお、以下、監視カメラ2からの画像信号は、コンポーネント信号であるものとして説明するが、これに限ったものではなく、NTCSやPALなどのコンポジット信号を監視端末装置3に入力してデコードし、同一形態でA/D変換器31に入力するようにしてもよい。また、サンプリング周波数は上記に示したものに限ったものではなく、監視カメラ2の性能や監視システムの使用用途により異なるパラメータで設定してもよい。
【0014】
バッファメモリ32は、A/D変換器31でデジタル変換された画像データを一時的に記憶する。本実施の形態では、バッファメモリ32は、720ドット×240(480)ラインとする1フィールド(フレーム)分の輝度データ、および、360ドット×240(480)ラインとする1フィールド(フレーム)分の色差データを一時的に記憶するものとする。
【0015】
平滑部であるデータ平滑部33は、監視カメラ2で撮像された画像の画像データを、画像を等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する。本実施の形態において、以下、画像データは、1フィールドの輝度データであるものとするが、以下、画像データを1フレームの輝度データであるものとしても、同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、1ブロック単位を16ドット×16ラインとするが、これに限ったものではなく、検知対象である侵入者の速度や大きさに応じて、1ブロックの単位を適正に設定すればよい。
【0016】
上述したように、監視カメラ2で撮像された画像の輝度データは、バッファメモリ32で記憶されている。データ平滑部33は、バッファメモリ32に記憶された720ドット×240ラインの輝度データを、45×15の各ブロックごとに平滑化する。平滑化された各ブロックの輝度データは、各ブロックごとに一時的に保管されるとともに、CPU34に入力される。
【0017】
CPU34は、データ平滑部33で平滑化された輝度データに基づいて、CPU34内の構成要素をプログラミング制御する。このCPU34は、検出部341と、計数部342と、検知ゾーン設定部343と、制御部344と、発報処理部345とを備える。CPU34は、例えば、演算部やレジスタ部で構成される。
【0018】
検出部341は、データ平滑部33で平滑化された輝度データについての変化の有無を、各ブロック単位で検出する。この検出部341は、平滑化された輝度データと監視カメラ2との背景画について予め平滑化された所定の輝度データとの差、または、非遅延の平滑化された輝度データと所定時間遅延され平滑化された輝度データとの差に応じて、輝度データの変化の有無を検出する。
【0019】
データ平滑部33で平滑化された輝度データと、背景の平滑化輝度データとの差をブロック単位で比較する場合、その差が予め設定したレベル以上である場合に、平滑化された輝度データに変化が有ったと検出し、例えば、そのブロックに対して、”1”を設定する。
【0020】
非遅延の平滑化された輝度データと遅延平滑化輝度データとの差に応じて、検出部341が輝度データの変化の有無を検出する場合には、まず、検出部341は、データ平滑部33で平滑化された輝度データを一時的に保管する。そして、この輝度データと、例えば、1フィールド〜数100msecだけ時間遅延して平滑化された輝度データとの差をブロック単位で比較する。そして、その差が予め設定したレベル以上である場合に、平滑化された輝度データに変化が有ったと検出し、例えば、そのブロックに対して、”1”を設定する。
【0021】
検出部341が、輝度データの変化を検出する方法として2つ示したが、どちらの方法を用いても同様の結果が得られる。そのため、以下、非遅延の平滑化された輝度データと遅延平滑化輝度データとの差に応じて、検出部341は、輝度データの変化を検出するものとして説明する。
【0022】
図3は、監視カメラ2で撮像される監視エリアの画像を、45×15のブロックで示した図である。ここで、監視カメラ2は、家屋への侵入経路となる敷地を、奥行き方向から捉えるように設置されている。この侵入経路の途中には、木立10がある。図5、図7、図9は、図3の状態から所定時間遅延した時間に、侵入者11が出現した場合である。このように、侵入者11は、監視カメラ2に近いほど大きく撮像される。
【0023】
図5のように、監視エリアに侵入者11が出現し、平滑化された輝度データに変化が有った場合、図6に示すように、検出部341は、検出したブロックにおいて”1”が設定され、検出しなかったブロックにおいて”1”は設定されない。
【0024】
検知ゾーン設定部343には、ブロックをグループ化してなる検知ゾーンが予め設定される。検知ゾーンの設定は、例えば、監視カメラ2の画像にOSD(On Screen Display)で45×15のブロックを表示させる。そして、各ブロックに検知ゾーンを設定するための識別記号や識別色を付与することにより行う。
【0025】
図4は、図3の監視エリアのブロックに対して識別記号(a,b,c)を付与して、検知ゾーンを設定した図である。本実施の形態では、ブロックaをグループ化してなる検知ゾーンAと、ブロックaとブロックbをグループ化してなる検知ゾーンBと、ブロックaとブロックbとブロックcをグループ化してなる検知ゾーンCがそれぞれ予め設定されている。この図に示すように、本実施の形態では、検知ゾーンは、入れ子状に重複して予め設定されている。
【0026】
なお、図4で示されている太枠は、上記ブロックを識別するために表したものであり、本発明を特定するものではない。この太枠は、後に示す図5〜図12においても同じである。また、識別記号が付与されていないブロックをグループ化してなる検知無視ゾーンは、侵入者11の検知を行わない検知無視ゾーンであり、例えば、敷地外の道路や隣家の敷地に設定される。
【0027】
図4に示すように、検知ゾーンA(カメラ−遠方監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアの位置に設定される。検知ゾーンB(カメラ−中間監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアの位置から中間の監視エリアの位置に設定される。検知ゾーンC(カメラ−直近監視エリア)は、監視カメラ2から遠い監視エリアから直近の監視エリアの位置に設定されている。こうして、検知ゾーンは、対応する監視エリアの位置と監視カメラ2との距離に応じて予め設定される。
【0028】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する。本実施の形態では、計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA、検知ゾーンB、検知ゾーンCごとに計数する。
【0029】
図6の場合、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数は、検知ゾーンAにおける6ブロックであるため、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:6、検知ゾーンB:6、検知ゾーンC:6」となる。なお、検知無視ゾーンは処理対象から除外されており、検知無視ゾーンにおいて検出部341が輝度データの変化を検出しても、計数部342で計数は行われない。
【0030】
制御部344は、計数部342で計数された値が、検知ゾーンA,B,Cごとに予め設定された所定の値である検知判定閾値を超えた場合に、検知信号を通知する。ここで、検知判定閾値数は、検知ゾーンごとに異なるように予め設定される。本実施の形態では、検知ゾーンAの検知判定閾値「5」≦検知ゾーンBの検知判定閾値「10」≦検知ゾーンCの検知判定閾値「20」となるように、検知判定閾値は予め設定されている。こうして、検知判定閾値は、検知ゾーンに対応する監視エリアの位置と監視カメラ2との距離が短くなるにつれて、大きくなるように予め設定される。以下、計数部342で計数された値が、検知ゾーンA,B,Cの検知判定閾値のいずれかにおいて1つでも超えた場合に、検知信号を通知するものとして説明する。
【0031】
発報処理部345は、制御部344からの検知信号の通知を受けて、信号端子を動作する。信号端子である出力端子37と、信号端子であるLAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。出力端子37から外部へ通知された検知信号は、例えば、侵入者を威嚇する音声、例えば、サイレンや、ライトを点灯させるために用いられる。また、LAN端子38から外部へ通知された検知信号は、例えば、通信回線を介して携帯電話に通知するために用いられる。
【0032】
情報源符号化部35は、バッファメモリ32に一時的に記憶された画像データを、圧縮して符号化することにより、圧縮画像データを生成する。記録部である画像データ記録部36は、制御部344からの検知信号に応じて、画像データを記録する。本実施の形態では、画像データ記録部36で記録される画像データは、情報源符号化部35で圧縮された圧縮画像データである。このような画像データ記録部36には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリなどの蓄積媒体が該当する。
【0033】
以上のように構成される本実施の形態に係る侵入者検知装置1の動作について説明する。なお、検知ゾーン設定部343において、検知ゾーンは、図4のように予め設定されているものとする。
【0034】
1ブロック内でクローズする輝度データの変化、例えば、海辺の小波や木の葉の揺れは平滑化されると、1ブロック内の大きな輝度と小さな輝度とでキャンセルされる。そうすると、平滑化された輝度データと、所定時間遅延後の平滑化された輝度データとの間に大きな差が現れないため、検出部341は、輝度データに変化がないと検出する。
【0035】
一方、図3から図5のように、検知ゾーンA(カメラ−遠方監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされない。そうすると、平滑化された輝度データと、所定時間遅延後の平滑化された輝度データとの間に大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図6のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった6ブロックに対して、”1”を設定する。
【0036】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。上述したとおり、計数部342は、検知無視ゾーンでは計数を行わない。そのため、例えば、検知無視ゾーンを敷地外の道路や隣家の敷地に設定すると、敷地外の道路を通行する人や車、隣家の敷地内の人物を侵入者11として検知する対象から除外することができる。
【0037】
図6の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:6、検知ゾーンB:6、検知ゾーンC:6」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。しかし、検知ゾーンAでは、検知判定閾値「5」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0038】
次に、図3から図7のように、検知ゾーンB(カメラ−中間監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、上述したとおり、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図8のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった18ブロックに対して、”1”を設定する。図6に比べ、侵入者11の画像は大きいため、”1”が設定されるブロックが多くなる。
【0039】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図8の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:3、検知ゾーンB:18、検知ゾーンC:18」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。しかし、検知ゾーンBでは、検知判定閾値「10」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0040】
次に、図3から図9のように、検知ゾーンC(カメラ−直近監視エリア)に侵入者11が現れた場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、上述したとおり、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図10のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった28ブロックに対して、”1”を設定する。図8に比べ、侵入者11の画像は大きいため、”1”が設定されるブロックが多くなる。
【0041】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図10の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:0、検知ゾーンB:8、検知ゾーンC:28」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えていない。しかし、検知ゾーンCでは、検知判定閾値「28」を超えているため、制御部344は検知信号を通知する。そうすると、出力端子37,LAN端子38は、制御部344からの検知信号を外部に通知する。一方、画像データ記録部36は、バッファメモリ32の画像データを記録する。
【0042】
次に、図3から図11のように、検知ゾーンCに木立10の木漏れ日が差し込んだ場合、輝度データの変化が1ブロック内でクローズされないため、平滑化された輝度データに大きな差が現れる。そのため、検出部341は、図12のように、平滑化された輝度データの差が、予め設定したレベル以上となった9ブロックに対して、”1”を設定する。
【0043】
計数部342は、検出部341で輝度データの変化が検出されたブロックの数を、検知ゾーンA,B,Cごとに計数する。図12の場合には、計数部342が計数する値は「検知ゾーンA:0、検知ゾーンB:0、検知ゾーンC:9」となる。この場合、計数部342が計数した値のうち、検知ゾーンAでは検知判定閾値「5」を超えておらず、検知ゾーンBでは検知判定閾値「10」を超えておらず、検知ゾーンCでは検知判定閾値「20」を超えていない。そのため、制御部344は検知信号を通知しない。
【0044】
以上のような本実施の形態にかかる侵入者検知装置は、サイズが互いに等しいブロックで画像データを平滑化することにより、侵入者11を検知することができる。そのため、侵入者検知装置を単純なハードウェアの構成で実現することができる。また、1ブロック内でクローズする変化、例えば、海辺の小波や木の葉の揺れにより、過剰に検知することなく、侵入者11を正確に検知することができる。
【0045】
また、侵入者11を検知するための検知ゾーンの設定を、監視カメラ2との距離に応じて設定し、監視カメラ2との距離が近づくにつれて大きくしている。そのため、監視カメラ2に近い検知ゾーンの少数ブロックにおいて、検出部341で検出される輝度データの変化、例えば、木漏れ日による変化があっても、本実施の形態に係る侵入者検知装置は、過剰に検知しない。それに対し、監視カメラ2に近い検知ゾーンの多数ブロックにおいて、検出部341で検出される輝度データの変化、つまり、侵入者11による変化があった場合には、本実施の形態に係る侵入者検知装置は、侵入者11を検知することができる。こうして、検知しようとする被検知サイズに合わせることにより、侵入者11を正確に検知することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、データ平滑部33で平滑化される画像データを輝度データとして説明したが、これに限ったものではなく、色差データであってもよい。また、輝度データと色差データの両方を用いてもよく、その場合、検出部341は、輝度データ間の差のみではなく、色差データ間の差を含めて、総合的に画像データの変化の有無を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態1に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る侵入者検知装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る侵入者検知装置の監視エリアを説明する図である。
【図4】実施の形態1に係る侵入者検知装置の検知ゾーンを説明する図である。
【図5】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図7】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図9】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図10】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図11】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【図12】実施の形態1に係る侵入者検知装置の動作を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 侵入者検知装置、2 監視カメラ、3 監視端末装置、10 木立、11 侵入者、31 A/D変換器、32 バッファメモリ、33 データ平滑部、34 CPU、35 情報源符号化部、36 画像データ記録部、37 出力端子、38 LAN端子、341 検出部、342 計数部、343 検知ゾーン記憶部、344 制御部、345 発報処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアの画像を撮像する画像撮像部と、
前記画像撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する平滑部と、
前記平滑部で平滑化された前記画像データの変化の有無を、各前記ブロック単位で検出する検出部と、
前記検出部で前記画像データの変化が検出された前記ブロックの数を、前記ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部と、
前記計数部で計数された値が、前記検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部とを備える、
侵入者検知装置。
【請求項2】
前記所定の値は、前記検知ゾーンごとに異なるように予め設定される、
請求項1に記載の侵入者検知装置。
【請求項3】
前記検知ゾーンは、入れ子状に重複して予め設定される、
請求項1または請求項2に記載の侵入者検知装置。
【請求項4】
前記検知ゾーンは、対応する前記監視エリアの位置と前記画像撮像部との距離に応じて予め設定され、
前記所定の値は、前記検知ゾーンに対応する監視エリアの位置と前記画像撮像部との距離が短くなるにつれて、大きくなるように予め設定される、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項5】
前記検出部は、
平滑化された前記画像データと予め平滑化された所定の画像データとの差、または、平滑化された前記画像データと所定時間遅延して平滑化された前記画像データとの差に応じて、前記画像データの変化の有無を検出する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項6】
前記制御部からの前記検知信号を外部に通知する信号端子をさらに備える、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項7】
前記制御部からの前記検知信号に応じて、前記画像データを記録する記録部をさらに備える、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項1】
監視エリアの画像を撮像する画像撮像部と、
前記画像撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記監視エリアを等しく分割してなる複数のブロックごとに平滑化する平滑部と、
前記平滑部で平滑化された前記画像データの変化の有無を、各前記ブロック単位で検出する検出部と、
前記検出部で前記画像データの変化が検出された前記ブロックの数を、前記ブロックを予めグループ化してなる検知ゾーンごとに計数する計数部と、
前記計数部で計数された値が、前記検知ゾーンごとに予め設定された所定の値を超えた場合に、検知信号を通知する制御部とを備える、
侵入者検知装置。
【請求項2】
前記所定の値は、前記検知ゾーンごとに異なるように予め設定される、
請求項1に記載の侵入者検知装置。
【請求項3】
前記検知ゾーンは、入れ子状に重複して予め設定される、
請求項1または請求項2に記載の侵入者検知装置。
【請求項4】
前記検知ゾーンは、対応する前記監視エリアの位置と前記画像撮像部との距離に応じて予め設定され、
前記所定の値は、前記検知ゾーンに対応する監視エリアの位置と前記画像撮像部との距離が短くなるにつれて、大きくなるように予め設定される、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項5】
前記検出部は、
平滑化された前記画像データと予め平滑化された所定の画像データとの差、または、平滑化された前記画像データと所定時間遅延して平滑化された前記画像データとの差に応じて、前記画像データの変化の有無を検出する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項6】
前記制御部からの前記検知信号を外部に通知する信号端子をさらに備える、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【請求項7】
前記制御部からの前記検知信号に応じて、前記画像データを記録する記録部をさらに備える、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の侵入者検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−197866(P2008−197866A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31571(P2007−31571)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]