説明

保守装置、リモート保守システム、その方法及びプログラム

【課題】公衆回線やインターネットから不正アクセスを受けることなく、安全にリモート保守を行うこと。
【解決手段】保守用コンピュータ100は、ワンタイムパスワード装置110が発行したパスワードによりダイアルアップルータ装置130にダイアルアップし、ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、ダイアルアップルータ装置130からコールバックを受けて、さらに、保守用コンピュータ100は、ユーザ認証用コンピュータ140による顔認証での作業者認証とMACアドレスによる認証が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートによる保守サービスに関し、特に、公衆回線を通じてお客様の環境のメンテナンスを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリモート保守システムの一例が、特許文献1に開示されている。この従来のリモート保守システムは、保守PC装置と、公衆回線と、保守対象装置とから構成されている。
【0003】
このような構成を有する従来のリモート保守システムは次のように動作する。すなわち、保守PC装置から公衆回線を通じてダイアルアップでログインして対象機器へログインする。
【0004】
また、インターネットショッピングでの商品購入時等において、ユーザがホームページ閲覧端末を操作してホームページ上でコールバックのための電話番号と、ワンタイムパスワードを入力し、アプリケーションサーバから直ちにコールバックする呼に対しユーザが応答し、プッシュボタンでホームページに投入したものと同一のワンタイムパスワードを再入力することで、アプリケーションサーバ1により本人認証が行なわれ、サーバへの事前登録を必要とせず、盗聴があっても悪用される範囲を狭めることができ、かつ、自由に設定することができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−015680号公報
【特許文献2】特開2003−186837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0006】
第1の問題点は、不特定多数の相手からログインされる恐れがあるということである。その理由は、公衆回線の電話番号とダイアルアップのためのID、パスワードがわかればログインできるためである。
【0007】
第2の問題点は、作業者と作業端末が特定できないということである。その理由は、現行の認証方式では成りすましに対する対策がないためである。
【0008】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、あらかじめ決められた登録済みの相手のみがログインして作業を行うことができるようにし、公衆回線やインターネットから不正アクセスを受けることなく、安全にリモート保守を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守装置であって、
ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、コールバックを受けて、
さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とする保守装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守装置であって、
VNP認証が行われ、さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とする保守装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守用コンピュータと、ワンタイムパスワード装置と、ダイアルアップルータ装置と、ユーザ認証装置とを含むリモート保守システムであって、
保守用コンピュータは、ワンタイムパスワード装置が発行したパスワードによりダイアルアップルータ装置にダイアルアップし、ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、ダイアルアップルータ装置からコールバックを受けて、
さらに、保守用コンピュータは、ユーザ認証装置による顔認証での作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守用コンピュータと、ファイアウォール装置と、ユーザ認証装置とを含むリモート保守システムであって、
保守用コンピュータは、ファイアウォール装置によりVNP認証が行われ、さらに、ユーザ認証装置顔認証による顔認証での作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守システムを提供する。
【0013】
また、本発明は、ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守装置が、ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、コールバックを受けて、
さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守装置が、VNP認証が行われ、さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、公衆回線やインターネットから不正アクセスを受けることなく、安全にリモート保守を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1を参照すると、本実施の形態におけるリモート保守システムは、保守用コンピュータ100と、ワンタイムパスワード装置110と、カメラ装置120と、ダイアルアップルータ装置130と、ユーザ認証コンピュータ140から構成されている。
【0018】
次に、図1及び図2のフローチャートを参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0019】
まず、ステップA1でワンタイムパスワード装置を使ってパスワードを発生させ、次に、ステップA2で、このパスワードを用いて保守用コンピュータ100からダイアルアップルータ装置130にダイアルアップする。
【0020】
ダイアルアップルータ装置130では、ステップA3において保守用コンピュータで用いられた電話番号があらかじめ登録されたものであることを確認して、一旦セッションを切断後、ステップA4でコールバックを行い、保守用コンピュータとの接続を確立する(ステップA5)。
【0021】
次に、ステップA6でカメラ装置160から作業者の顔画像を撮影して、ステップA7でお客様管理者の携帯端末に画像を送信し、ステップA8で送られてきた画像の作業者で問題が無いかをお客様管理者が判断する。
【0022】
問題が無ければ、ステップA9でユーザ認証用コンピュータ140にこの顔画像と保守用コンピュータ100のMacアドレスを送信する。
【0023】
これを受け取ったユーザ認証コンピュータ140ではステップA10で作業者の顔認証、端末認証を行い、確認が取れれば保守対象機器へのアクセスを許可する(ステップA11)。
【0024】
上記の本実施の形態によれば、ダイアルアップ先を特定できる。その理由は、複数の認証方式を組み合わせることにより未登録のサイトからダイアルアップすることを不可能にしているためである。
【0025】
また、作業者と作業端末を特定できる。その理由は、作業者の顔認証と作業端末の認証を行っているためである。
【0026】
また、接続先の相手が特定できるように構成されており、お客様による目視での作業者の確認も入るため、公衆回線を通じての不正アクセスを防ぐことができる。
【0027】
さらに、作業者や作業端末が特定できるように構成されているため、保守作業中に不測の事態が発生した時にも原因追求や対処できる。
【0028】
次に、本発明の第2の発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本実施形態においては、公衆回線ではなくインターネットVPNを通じてユーザ先の環境にログオンする点が上記の第1の実施の形態と異なる。
【0030】
図3を参照すると、本実施の形態は、保守用コンピュータ200と、カメラ装置210と、ファイアウォール装置220、230と、ユーザ認証コンピュータ240から構成されている。
【0031】
次に、図3及び図4のフローチャートを参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0032】
まず、ステップB1でインターネット接続された保守用コンピュータ200から、ステップB2で保守サイトへ接続要求を行う。
【0033】
ステップB3でファイアウォール装置220、230でVPN認証を行い、接続を確立する(ステップB4)。
【0034】
次に、ステップB5でカメラ装置210から作業者の顔画像を撮影して、ステップB6でお客様管理者の携帯端末に画像を送信し、ステップB7で送られてきた画像の作業者で問題が無いかをお客様管理者が判断する。
【0035】
問題が無ければ、ステップB8で保守用コンピュータ200にこの顔画像と保守用コンピュータのMacアドレスをユーザ認証用コンピュータ240に送信する。
【0036】
これを受け取ったユーザ認証コンピュータ240ではステップB9で作業者の顔認証、端末認証を行い、確認が取れれば保守対象機器へのアクセスを許可する(ステップB10)。
【0037】
上記の本実施の形態によれば、接続先の相手が特定できるように構成されており、お客様による目視での作業者の確認も入るため、インターネットを通じての不正アクセスを防ぐことができる。
【0038】
また、作業者や作業端末が特定できるように構成されているため、保守作業中に不測の事態が発生した時にも原因追求や対処できる。
【0039】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上記の各実施の形態における保守用コンピュータ100等と、ワンタイムパスワード装置110と、カメラ装置120等と、ダイアルアップルータ装置130と、ユーザ認証コンピュータ140等およびファイアウォール装置220、230の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0040】
上述する各実施の形態は、保守用コンピュータ100等と、ワンタイムパスワード装置110と、カメラ装置120等と、ダイアルアップルータ装置130と、ユーザ認証コンピュータ140等およびファイアウォール装置220、230が別個に接続されているシステム構成について説明したが、各機能が1つのコンピュータシステムとして実現されている構成や機能毎に複数の装置などが追加された構成にも適用可能であることはもちろんである。
【0041】
また、本発明は、公衆回線を通じたリモート保守システムの用途に適用できる。さらに、社外からモバイルで社内の環境にアクセスする際の認証方式にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の発明を実施するための最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における最良の形態の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2の発明を実施するための最良の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における最良の形態の動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0043】
100、200 保守用コンピュータ
110 ワンタイムパスワード装置
120、210 カメラ装置
130 ダイアルアップルータ装置
140、240 ユーザ認証コンピュータ
220、230 ファイアウォール装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守装置であって、
ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、コールバックを受けて、
さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とする保守装置。
【請求項2】
インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守装置であって、
VNP認証が行われ、さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とする保守装置。
【請求項3】
前記顔認証に用いられる作業者の顔画像データをユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1または2記載の保守装置。
【請求項4】
ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守用コンピュータと、ワンタイムパスワード装置と、ダイアルアップルータ装置と、ユーザ認証装置とを含むリモート保守システムであって、
前記保守用コンピュータは、前記ワンタイムパスワード装置が発行したパスワードにより前記ダイアルアップルータ装置にダイアルアップし、ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、前記ダイアルアップルータ装置からコールバックを受けて、
さらに、前記保守用コンピュータは、前記ユーザ認証装置による顔認証での作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守システム。
【請求項5】
インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守用コンピュータと、ファイアウォール装置と、ユーザ認証装置とを含むリモート保守システムであって、
前記保守用コンピュータは、ファイアウォール装置によりVNP認証が行われ、さらに、前記ユーザ認証装置顔認証による顔認証での作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守システム。
【請求項6】
前記顔認証に用いられる作業者の顔画像データをユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項4または5記載のリモート保守システム。
【請求項7】
ダイアルアップにより保守対象機器のリモート保守を行う保守装置が、ワンタイムパスワード認証と電話番号認証とが行われた後に、コールバックを受けて、
さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守方法。
【請求項8】
インターネットVPNを通じて保守対象機器のリモート保守を行う保守装置が、VNP認証が行われ、さらに、顔認証による作業者認証とMACアドレスによる認証が行われることを特徴とするリモート保守方法。
【請求項9】
前記顔認証に用いられる作業者の顔画像データをユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項7または8記載のリモート保守方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から3のいずれか1項に記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−233723(P2007−233723A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55073(P2006−55073)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】