説明

信号の移送と再生をサポートするシステム及び方法

【課題】
【解決手段】 音響信号、映像信号、およびデータ信号など信号の移送及び再生をサポートする方法とシステム。ベースライン構造、延長モード(1)構造、および延長モード(2)構造による信号のトランスポートをサポートするように構成した参照モデルと、これらの構造のいずれかによって移送された信号の再生をサポートするように構成された加入者映像デバイス(SVD)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、2004年1月29日に出願した米国暫定出願第60/540,161号および2004年8月3日に出願した米国暫定出願第60/598,241号の利益を主張する。これらの出願の開示は全てここに含まれている。
【0002】
発明の背景
1. 発明の属する技術分野
本発明は、信号の移送と再生をサポートする方法及びシステムに関する。
【0003】
2. 背景技術
映像および音響(AV)信号をカスタマに配信するケーブルシステムのオペレータやその他のオペレータは、一般的に、これらの信号が放送テレビジョン、映像オンディマンド(VOD)、あるいはその他のサービスであるか否かを問わず、ベースライン構造を利用してヘッドエンドユニットあるいは同様のものから顧客の装置(CE)へ信号を移送する。このベースライン構造は、変調されてケーブルまたは同様のCEへの送信手段を介して送信されるAV専用トランスポートにAV信号を多重送信する。一の共通する例は、MPEG−2トランスポートストリームに移送するためにAV信号をパケット化するケーブルシステムに関する。
【0004】
CEがより進歩しており、データ信号を操作できるようになってきているため、CEと、インターネットなどのネットワークの双方向データ通信をサポートする能力は一層都合の良いものになっている。過去においては、双方向データ通信の構造的サポートは、ヘッドエンドとは別のデータ通信ユニットを具えており、多重データ信号をデータ専用のトランスポートに多重送信していた。一の共通の例は、通常ヘッドエンドから遠隔に配置されており、データ信号をパケット化して、データオーバーケーブルサービスインターフェース仕様(DOCSIS)のトランスポートに移送するように構成されたケーブルモデム末端システム(CMTSs)に関するものである。
【0005】
AVトランスポートとデータトランスポートは、ケーブルあるいはその他の通信媒体を介して別々にCEに送られる。
【0006】
発明の概要
本発明の非限定的な特徴の一つは、映像、音響、およびデータペイロードを、データオーバーケーブルサービスインターフェース仕様(DOCSIS)に関連するトランスポートストリームなどの、共通のトランスポートストリームを介して移送するように構成した参照モデルに関する。
【0007】
本発明の非限定的な一の特徴によれば、この参照モデルは、映像、音響、データ信号の生成を規定するアプリケーション層と、映像、音響、およびデータ信号の共通トランスポートへの多重化を規定するリンク層と、ケーブルシステムを介しての共通トランスポートの移送を規定する物理層とを具えていてもよい。
【0008】
このリンク層は、パケット識別子(PID)0×1FFE付で、関連する適合フィールドのないデータパケットを特定するなどして、データオーバーケーブルサービスインターフェース仕様(DOCSIS)に基づく信号の多重化を規定する一方で、音響及び映像パケットは、0×1FFE着信を有するPID以外のPIDsで識別され、デコーダの同期用の適合フィールドと関連する。
【0009】
参照モデルは更に、映像、音響およびデータ信号の構成を規定するトランスポート層と、映像、音響、およびデータ信号のネットワーク間の送信を規定するネットワーク層を具えていても良い。トランスポート層は、リアルタイムプロトコル(RTP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、送信制御プロトコル(TCP)、及び/またはMPEG−2プロトコルに基づいて構成を規定し、ネットワーク層は、インターネットプロトコル(IP)に基づいて送信を規定する。
【0010】
本発明の一の非限定的な態様によれば、参照モデルは、MPEG AVストリームがMPEG−2トランスポートを介して直接搬送され、データパケットがDOCSIS MPEG−2トランスポートを介して別々に搬送されて、様々なトランスポートストリームがデータとA/Vパケットに関連するようにしたベースライン構造、単一のDOCSIS MPEG−2トランスポートストリームにおいてMPEG−2 AVトランスポートパケットをDOCSISデータパケットと組み合わされる延長モード1と、DOCSISを介し、IPを介し、UDPを介したRTPペイロード内のMPEG−2 AVトランスポートパケットが、RTPに代るその他のリアルタイムプロトコルも使用する能力のある単一のDOCSIS MPEG−2トランスポートストリームにおいて、DOCSISデータパケットに組み合わされる延長モード2、を含むいくつもの異なるプロトコルによってAVパケットの移送と再生をサポートすることができる。
【0011】
本発明の一の非限定的な態様は、共通のトランスポートストリーム中の映像、音響およびデータ信号を受信し、媒体出力デバイス上で再生するために受信した信号を出力するように構成された加入者映像デバイス(SVD)に関する。本発明の一の非限定的な態様によれば、SVDはベースラインあるいは延長モード1及び2に関連する構造から信号を受信して再生することができる。
【0012】
本発明の一の非限定的な態様によれば、SVDは、AVパケットに関連するAV専用トランスポートと、AVおよびデータパケットに関連する統合トランスポートに引渡すためにパケット化したAV信号の再生をサポートするように構成することができる。本発明の一の非限定的な態様によれば、統合トランスポートのAVパケットは、データ処理を通じてのみ回復することができる。SVDは、AV専用トランスポートに関連するパケットを、統合トランスポートに関連するパケットから分離するように構成したスイッチと、このスイッチと通信して、統合トランスポートに含まれるデータ関連パケットからAV関連パケットを分離するように構成したデータプロセッサと、前記スイッチおよびデータプロセッサと通信し、データプロセッサから出力したAVパケットをデマルチプレクスするように構成したデマルチプレクサとを具えていても良い。
【0013】
本発明の一の非限定的な態様によれば、SVDは、MPEG−2およびDOCSISプロトコルによってパッケージ化したデジタルテレビジョン(DTV)信号をサポートするように構成することができる。SVDは、DOCSISプロトコルに関連するパケットからMPEG−2プロトコルに関連するパケットを分離するように構成したスイッチと、当該スイッチと通信して、DOCSISプロトコルに関連するパケットを受信し、そこに含まれているデータ関連パケットからAV関連パケットを分離するように構成したDOCSISデータプロセッサと、前記スイッチとデータプロセッサと通信して、そこから出力したAVパケットをデマルチプレックスするデマルチプレクサを具えていても良い。
【0014】
SVDは、映像ポート及び音響ポートへの出力に対するAVペイロードを復調するように構成したデマルチプレクサと通信するデコーダを具える。このデコーダは、MPEG−2プロトコルや、MPEG−4およびH.264などアドバンスド映像圧縮(AVC)プロトコルと関連するペイロードを含む、ある数のペイロードを復調するように構成されている。
【0015】
上述の特徴及び利点は、本発明のその他の特徴と利点と共に、添付の図面を基準にして、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【0016】
好適な実施例の詳細な説明
図1は、本発明の一の非限定的な態様に係る参照モデル10を示す図である。参照モデル10は、共通トランスポートを介して音響、映像、およびデータペイロードを移送するように構成されている。より詳細には、参照モデルは、デジタルテレビジョンに関連する信号などのパケット化した音響および映像(AV)信号、及び共通トランスポートストリームを介してのウェブサービスとサーバからのアプリケーションデータを含む高速インターネット通信その他に関連する信号などのパッケージ化したデータ信号、の組み合わせをサポートすることができる。
【0017】
参照モデルは、ケーブルシステムや、遠隔通信システムのような共通トランスポートを介してマルチメディア信号(例えば、音響信号、映像信号、およびデータ信号)を移送することを必要とするその他の環境に有利である。もちろん、本発明は、多くの環境におけるアプリケーションを予期しており、ケーブルおよび遠隔通信システムに限定するよう意図したものではない。
【0018】
参照モデル10は、最終的に映像、音響およびデータ信号を生成するアプリケーション層14を具えていても良い。より詳細には、アプリケーション層は、ユーザやその他のオペレータがインターフェースを取って入ってくる信号を生成するあるいは操作する機能及び動作に関連している。本発明の一の非限定的な態様によれば、アプリケーション層14は、AV信号に関するAVアプリケーションと、データ信号、すなわち、非AVソースに源を発する信号に関するデータアプリケーションとを具える。
【0019】
もちろん、本発明は、ストリーミング映像などのその他のタイプの信号に関するアプリケーションや、サーバに保存されているデジタル映像のパケット化に関するデータアプリケーション、およびプログラム特定情報/システム情報(PSI/SI)などのストリーム化した映像および映像サービスに関連するその他のデータのパケット化に関するデータアプリケーションを含むアプリケーション層14を意図している。より詳細には、ソースは、ソースにおける、あるいはデータと情報信号を放送テレビジョン信号に関連させるためのこれらの間の通信を行うプロバイダ、ヴェンダ、及び/又はオペレータから指示を受信するプログラム特定情報/システム情報(PSI/SI)発生器(図示せず)を具えていても良い。例えば、PSI発生器は、詳細なプログラムの記述、関連するプログラムの認証、条件付アクセス特性、会話型タグ、プログラム(チャンネル)リスティングその他、といった、特定のプログラムに関する情報を提供するように構成することができる。同様に、SI発生器は、基本ストリームプログラム識別子(多重プログラムトランスポートストリームから特定のプログラムを選択するのに必要なものなど)などのより特定でない情報、電子プログラミングガイド(EPG)情報、チャンネルマップ(例えばケーブルシステムにおいて、各プロバイダにチャンネルが割り振られ、そのチャンネルマップ中でカスタマがCEを用いて関連するテレビジョンプログラムあるいはその他のサービスを探し出せるように調整することができる)コンテンツナビゲーション情報、チューニング情報(システムの周波数マップなど)、提示情報、その他を提供するように構成することができる。
【0020】
参照モデル10は、アプリケーションに関連する信号の管理を規定するトランスポート層18を具えていても良い。より詳細には、トランスポート層は、この信号の交換と管理のためのプロトコルと手順を規定する。これには、リアルタイムプロトコル(RTP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、送信制御プロトコル(TCP)、および/またはMPEG−2プロトコルを通じての、エラー回復およびフロー制御を含む。
【0021】
RTPは、トランスポート層内に含まれるインターネット標準プロトコルであり、AVアプリケーションに関連する音響及び映像を含むロブスト管理付のリアルタイムデータの移送を容易にする。インターネット電話などの会話型サービスと同様にメディアオンディマンド用に使用することができる。RTPは、データと、リアルタイム移送制御プロトコル(RTCP)と通常呼ばれる制御部とからなる。RTPのデータ部分は、タイミングの再構築、ロスの検出、セキュリティとコンテンツの識別を含む、連続的媒体(例えば、音響及び映像)などのリアルタイム特性付きアプリケーション用にサポートを提供するシン(thin)プロトコルである。RTPは、別の媒体ストリームの同期をサポートするとともに、受信者からのクォリティオブサービスのフィードバックをマルチキャストグループへの提供、ソースの識別とマルチキャストからユニキャストへの翻訳とともに、音響及び映像ブリッジといったゲートウエイのサポート、インターネット内でのあらゆる規模のリアルタイムでのグループ会議のサポート、末端システムの操作性、デマルチプレキシング能力、必要であれば信頼性追加用のホック、及びアプリケーションレベルフレーミングとよばれるフロー/過剰制御を含む移送プロトコルの重要な特性を有する。
【0022】
もちろん、本発明は、RTPの移送を独立させて、CLNP(非接続ネットワークプロトコル)、IPX(インターネットパケット交換)、あるいはその他のプロトコルを介して用いることができるように、また、AAL5/ATM(非同期移送モデルプロトコルを介してのATM適用層5)を介して直接に使用することができるようにする、RTPのその他のアプリケーションも意図している。より詳細には、ISO CLNPは、基本的に、同じ基礎サービスをIPとしてのトランスポート層に提供するデータグラムネットワークプロトコルである。CLNPは、本質的に同じ最大データグラムサイズを提供し、データグラムが最大パケットサイズがデータグラムのサイズより小さいネットワークを横切る必要があるといった状況のために、CLNPが細分化(データユニット認識、フラグメント/トータル長さおよびオフセット)機構を提供している。IPのように、CLNPヘッダ上で計算されたチェックサムは、CLNPデータグラムの処理に使用される情報が正しく送信されたことを認証し、寿命制御機構(Time-to-Live)が、インターネットシステムにデータグラムが残ることができる時間量の制限を負わせる。IPの場合と同じく、オプションセットがある状況には必要又は有益であるが、ほとんどの共通する通信には不要である制御機能を提供する。
【0023】
IPXは、Novell社のネットワークに使用されるネットワーキングプロトコルである。これは、ソースと到着地が別のネットワーク上にある場合でも、ソースから到着地へパケットを透明に通過させる信頼性のないコネクションレス型インターネット作業プロトコルである。IPXは、4バイトアドレスに変えて12バイトアドレスを用いていることを除いて、基本的にIPと同様である。ATMは、電話会社によって構築されており、映像オンディマンド、ライブテレビジョン、電子メール、音楽サービス、高速データサービス、その他を提供するブロードバンドインテグレティッドサービスデジタルネットワーク(B−ISDN)の背後の基礎技術である。ATMは、セルと呼ばれる小さい固定サイズのパケット内の全ての情報を送信する。セルは、53バイト長(4バイトヘッダ、48バイトペイロード)である。ATM層は、フロー制御とルーティングを提供する。AALは、ソースにおいてより大きなアプリケーションメッセージを、ATM層の小さな固定サイズのセルに分けて、到着地でもとの形に再構築するものである。
【0024】
上述のリアルタイム管理に加えて、トランスポート層18のサービスには、TCPのシーケンス制御あるいはフロー制御より管理が不要であるアプリケーション用の、信頼性のないコネクションレス型プロトコルであるUDPトランスポートプロトコルを含む。これは、また、単発の、クライアント−サーバタイプの要求−応答型照会、及び、スピーチや映像の送信など、正確な配信より迅速な配信がより重要であるアプリケーションに広く使用されている。
【0025】
本発明の一の非限定的な態様によれば、データアプリケーションに関する信号は、RTP、MPEG−2、あるいはその他の同様のリアルタイムプロトコルに従って処理されないことがある。データアプリケーションは通常リアルタイムでの配信を必要とせず、従って、システムの遅延とジッタに敏感ではないため、この処理が少なくとも部分的になされ、従って、標準TCPトランスポートプロトコルを使用することが可能である。しかしながら、これに対してAV信号は、大きなネットワークの遅延およびジッタを受けるべきでないパケット切り替えネットワークを介してAV信号が移送されるべきである場合に、および上述したリアルタイムのプロトコルの一つに好適に関連しているような場合、より多くのロブスト管理を必要とする。
【0026】
より詳細には、TCPは、一の機械に端を発するバイトストリームをエラー無しでインターネット内のその他の機械に配信させる、信頼性のあるコネクション型プロトコルである。これは、入ってくるバイトストリームを分散メッセージに細分化して、各々をインターネット層に回す。行先において、受信TCP手順が、受信したメッセージを出力ストリームに再構築する。TCPはまた、フローコントロールを操作して、操作できる以上の数のメッセージで高速センダが低速レシーバを窮地に陥れることがないようにする。
【0027】
参照モデル10は、トランスポート層18によって処理された信号の転送を、ネットワーク間で信号を転送できるように規定するネットワーク層22を具えていても良い。より詳細には、ネットワーク層22は、インターネットプロトコル(IP)を介するといった、コンピュータ間の信号送信、ネットワーク間のアドレスとルーティングを制御する。IPは、インターネットのオフィシャルパケットフォーマットとプロトコルであり、IPプロトコルを使用してIPパケットを正しい行先に経路を決めて配信する。
【0028】
参照モデル10は、映像、音響、およびデータ信号を共通のトランスポートへの多重化を規定するリンク層26を具えていても良い。リンク層26は、DOCSIS MACなどのMAC層28を具えており、周波数帯域の割り当て、競合の解決、適正なサービスの質(QoS)の保障を図るようにしても良い。より詳細には、DOCSIS MAC層は、システムのリソースに任意にアクセスし、特に、共有ダウンストリームとアップリンク媒体にアクセスして、ネットワーク層からIPデータグラムなどの上側層構造をDOCSISフレームへ変形し、ついで、これらのフレームをばらばらにして固定長MPEG−2トランスポートパケット内に固定することができる。このようにして、DOCSISフレームは、MPEGパケット内のどこでも開始することができ、いくつかのMPEGパケットにまたがるようにしても良い。このパケットではMEPGペイロードの第1バイトが、通常、MPEGパケット内のDOCSISフレームの開始を約束する、いくつかの場合ではDOCSIS MACフレーム間のギャップを埋めるのにスタッフィングバイト(0×FF)が使用されている「ポインタフィールド」である。
【0029】
更に、リンク層26は、AVパケットとデータパケットを共通のトランスポートストリーム中に多重化するトランスポート層30を具えていても良い。この多重化は、トランスポートおよびネットワーク層18、22に従って、または、本発明の一の限定的な態様であるトランスポート層18とネットワーク層22をバイパスするAV信号に従って処理されたデータ信号及びAV信号間で行われる。より詳細には、あるAV信号については、広域ネットワークを介してのパケット化したトランスポート用のAV信号の処理が不要であり、従って、上述したトランスポート層18とネットワーク層22、すなわち、AV信号がパケット切り替えネットワークを介して移送される場合に通常使用される、RTP、UDP、TCP、IPおよびMACに関連する特徴を具える必要がない。むしろ、AV信号は、非パケット切り替え手段を介してマルチプレクサに直接的に通信して、トランスポート及びリンク層を通って処理されるデータ信号及び/又はその他のAV信号と多重化するようにしても良い。
【0030】
本発明の一の非限定的な態様によれば、トランスポート層30は、4バイトヘッダ、184バイトペイロードでなる188バイトのMPEGパケットのMPEG−2トランスポートストリームへ信号を組み入れることができる。本発明の一の非限定的態様によれば、共通のトランスポートストリームが、DOCSIS送信集束サブ層に含まれるような、DOCSIS手順とプロトコルを用いてAVパケットをデータパケットから区別する。より詳細には、これは、MPEG−2トランスポートヘッダ中のパケット識別子(PID)0×1FFEによって、関連する適用分野なしでデータパケットの識別を行うステップを具える一方で、AVパケットは、デコーダ同期のための適用分野と関連している0×1FFEの指定を有するPID以外のPIDsで認識される。もちろん、本発明は、DOCSISダウンストリーム送信集束サブ層の使用に限定することを意図するものではなく、AVパケットとDOCSISデータパケット間を区別するためのその他のパケット認識ロジックを企図するものである。
【0031】
参照モデル10は、ケーブルシステムを介して共通のトランスポートの移送を規定する物理層34を具えていても良い。より詳細には、物理層34は、直交増幅変調(QAM)を通る、あるいは、ワイヤレスネットワーク(地上ネットワークおよびエキストラ地上ネットワーク)などのその他の手段を介してハイブリッドファイバケーブルを介して共通のトランスポートを送信する処理と手順を規定する。
【0032】
上述したとおり、参照モデル10は、複数の異なるプロトコルによるAVパケットの移送をサポートする。このプロトコルには、MPEG AVストリームがMPEG−2トランスポートを介して直接に搬送され、及びデータパケットが様々なトランスポートストリームがデータパケット及びA/Vパケットに関連するようなDOCSIS MPEG−2トランスポートを介して別に搬送される、基本ライン構造、MPEG−2 AVトランスポートパケットが、単一のDOCSIS MPEG−2トランスポートストリーム中のDOCSISデータパケットと組み合わされる延長モード1、及び、DOCSISを介してIPを介してUDPを介してのRTPペイロード中のMPEG−2 AVトランスポートパケットが、RTPに代えてその他のリアルタイムプロトコルを用いる能力のある単一のDOCSIS MPEG−2トランスポートストリーム中のDOCSISデータパケットと組み合わされる延長モード2、を含む。
【0033】
図2は、本発明の一の非限定的な態様によるフレキシブル加入者映像デバイス(SVD)40を示す図である。SVD40は、セットトップボックス(STB)、または、デジタル映像レコーダ(DVR)、メディアターミナルアダプタ(MTA)、出力デジタルアダプタ(ODA)、その他のようなケーブルプロバイダから信号を受信して操作するその他の特徴に統合してもよい。本発明は、ケーブルシステム以外のその他のアプリケーションでのSVD40の使用を意図しており、このように限定する意図はない。
【0034】
図2は、様々なトランスポートで搬送される信号をサポートするように構成されたSVD40を示す図である。より詳細には、SVD40は、ベースライン構造に関連するもののように、AVのみのトランスポートをサポートするように、又、上述の参照モデル(延長モード1および2)と関連するもののように、AVパケットとデータパケットの双方を有する統合されたトランスポートをサポートするように構成することができる。
【0035】
本発明の一の非限定的な態様によれば、SVD40は、デジタルテレビジョン信号、データ信号、帯域外メッセージ信号、その他ケーブルサービスプロバイダ44からの信号を受信するように構成されたセットトップボックス(STB)ユニットであっても良い。特に、SVD40は、MPEG−2 AVトランスポートストリーム、AVパケットおよびデータパケット(DOCSISペイロード)を有するMPEG−2 DOCSISトランスポートストリーム、及び、個別に識別したデータとAVパケットを有するその他の共通/統合トランスポートを受信するように構成することができる。SVD40は、どんな数のデバイスにも統合して、複数トランスポートプロトコルをサポートできるフレキシブル構造を提供するようにしても良い。
【0036】
SVD40は、トランスポートストリームを回復させるために、信号をチューニングして復調するチューナと復号器を具えていても良い。本発明の一の非限定的な態様において、チューナと復号器ユニット46および48は、52と1002MHzの帯域内でCATV6MHzRF搬送波を選択して、直交増幅変調信号を復調するように構成することができる。ユニット46、48の対が提供されて、同時再生と記録をサポートしているが、本発明は、ユニット46、48より少ない仕様を企図している。ユニット46、48は、統合パケット(すなわち、DOCSISペイロードのようなAVデータパケットと非AVデータパケットを有するもの)からAVパケットを分離するように構成したスイッチ54にパケット化したトランスポートストリームを出力する。
【0037】
DOCSISプロセッサなどのデータプロセッサ58は、スイッチ54と通信して、統合パケットを受信し、このパケットを処理してAVに関するパケットをデータに関するパケットから分離する。例えば、データプロセッサ54は、DOCSISなどのデータ通信プロトコルによってパケット化したAVデータパケットおよび非AVデータパケットの双方を有する統合トランスポート内に含まれているAVに関するパケットを回復することができる。これは、上述した第1及び第2の参照モデルによるそこに含まれているAVパケットなどのAVパケットをデマルチプレクサ62によって回復することを防止する。
【0038】
デマルチプレクサ62は、スイッチ54とデータプロセッサ58と通信して、そこから出力されるAVパケット、すなわち、スイッチ54から直接出力されたパケットとデータプロセッサ58によって回復したパケット、を受信する。デマルチプレクサ62は、パケットに含まれている情報に基づいてそれに関連するAVペイロードを配置し、デコーダ64に信号を出力する。デコーダ64はAVペイロードを復調する。これは、MPEG−4およびH.264などのアドバンスド映像圧縮プロトコルや、MPEG−2などの従来の圧縮プロトコルといった、いくつもの圧縮プロトコルによって圧縮されたペイロードであってもよい。
【0039】
デコーダ64は、復調したAVペイロードを映像ポート68と音響ポート70に出力する。テレビジョンや、デジタル映像レコーダ(DVR)、またはその他の特徴といった、メディア出力デバイス74は、AV信号の記録あるいは再生用のポートに連結されていても良い。マイクロプロセッサ78またはその他のデータパケット処理ユニットは、データプロセッサと通信して、そこに含まれるデータパケットを操作して、遠隔ネットワークその他との通信を容易にするようにしても良い。マイクロプロセッサ78は、例えば、ケーブルモデムや、その他の双方向デバイスに関連させて、アップストリームネットワーク通信用に信号をパケット化するデータプロセッサ58を介してアップストリーム信号と通信するように構成することができる。
【0040】
本発明の実施例を図に示して説明したが、これは、これらの実施例が本発明のありうる全ての実施例を図にして説明することを意図したものではない。むしろ、本明細書で使用した用語は限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神と範囲から離れることなく様々な変更を行うことができると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の一の非限定的な態様に係る参照モデルを示す図である。
【図2】図2は、本発明の一の非限定的な態様に係るフレキシブル加入者映像デバイス(SVD)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AVパケットに関連するAV専用トランスポートとAVパケットおよびデータパケットに関連する統合トランスポートにおける引渡用にパケット化されたAV信号の再生をサポートするように構成したフレキシブル加入者映像デバイス(SVD)において:
前記統合トランスポートに関連するパケットからAV専用トランスポートに関連するパケットを分離するように構成したスイッチと;
前記スイッチと通信して、前記統合トランスポート内に含まれるデータ関連パケットからAV関連パケットを分離するように構成されたデータプロセッサと;
前記スイッチとデータプロセッサと通信するデマルチプレクサであって、そこから出力するAVパケットをデマルチプレックスするように構成したデマルチプレクサと;
を具えることを特徴とするSVD。
【請求項2】
請求項1に記載のSVDにおいて、前記AV専用トランスポートがベースライン構造と関連することを特徴とするSVD。
【請求項3】
請求項1に記載のSVDにおいて、前記統合トランスポートが延長モード1構造と関連することを特徴とするSVD。
【請求項4】
請求項1に記載のSVDにおいて、前記統合トランスポートが延長モード2構造と関連することを特徴とするSVD。
【請求項5】
MPEG−2およびDOCSISプロトコルによってパケット化されたデジタルテレビジョン(DTV)信号をサポートするように構成したフレキシブル加入者映像デバイス(SVD)において、前記SVDが:
DOCSISプロトコルに関連するパケットからMPEG−2プロトコルに関連するパケットを分離するように構成されたスイッチと;
前記スイッチと通信し、前記DOCSISプロトコルに関連するパケットを受信して、そこに含まれているデータ関連パケットからAV関連パケットを分離するように構成されたDOCSISデータプロセッサと;
前記スイッチとデータプロセッサとに通信し、そこから出力されたAVパケットをデマルチプレックスするように構成したデマルチプレクサと;
を具えることを特徴とするSVD。
【請求項6】
請求項5に記載のSVDが、前記デマルチプレクサと通信し、映像ポートと音響ポートへの出力用にAVペイロードを復調するように構成されたデコーダを更に具えることを特徴とするSVD。
【請求項7】
請求項6に記載のSVDにおいて、前記デコーダがMPEG−2プロトコルに従って圧縮されたペイロードを復調するように構成されていることを特徴とするSVD。
【請求項8】
請求項6に記載のSVDにおいて、前記デコーダが、アドバンスド映像圧縮(AVC)プロトコルによって圧縮されたペイロードを復調するように構成されていることを特徴とするSVD。
【請求項9】
請求項8に記載のSVDにおいて、前記AVCプロトコルがMPEG−4に関連することを特徴とするSVD。
【請求項10】
請求項8に記載のSVDにおいて、前記AVCプロトコルがH.264に関連することを特徴とするSVD。
【請求項11】
請求項5に記載のSVDが、データパケットを処理するためにDOCSISプロセッサと通信するケーブルモデムを更に具えることを特徴とするSVD。
【請求項12】
請求項5に記載のSVDが、更に、前記トランスポートに関連する高周波(RF)搬送周波数にチューニングされるように構成され、前記スイッチに出力用に前記チューニングしたトランスポートを復調するように構成したチューナと復号器とを具えることを特徴とするSVD。
【請求項13】
共通のトランスポートを介しての映像、音響及びデータ信号の移送をサポートするケーブルシステム用の参照モデルにおいて:
前記映像、音響及びデータ信号の生成を規定するアプリケーション層と;
前記共通のトランスポートへの前記映像、音響及びデータ信号の多重化を規定するリンク層と;
前記ケーブルシステムを介して前記共通のトランスポートの移送を規定する物理層と;
を具えることを特徴とする参照モデル。
【請求項14】
請求項13に記載の参照モデルにおいて、前記リンク層がデータオーバーケーブルサービスインターフェース仕様(DOCSIS)に基づいて信号の多重化を規定することを特徴とする参照モデル。
【請求項15】
請求項13に記載の参照モデルにおいて、前記リンク層が、パケット識別子(PID)0×1FFE付で、関連する適用フィールドを伴わない識別データパケットと、0×1FFEの指定を有するPID以外のPIDs付で、デコーダの同期用の適用分野を伴う音響及び映像パケットと、を具えるDOCSIS送信収束サブ層に基づくものであることを特徴とする参照モデル。
【請求項16】
請求項13に記載の参照モデルが更に、前記映像、音響およびデータ信号の管理を規定するトランスポート層を具えることを特徴とする参照モデル。
【請求項17】
請求項15に記載の参照モデルにおいて、前記トランスポート層が、リアルタイムプロトコル(RTP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、送信コントロールプロトコル(TCP)、および/またはMPEG−2プロトコルに基づいて構成を規定することを特徴とする参照モデル。
【請求項18】
請求項13に記載の参照モデルが更に、映像、音響およびデータ信号のネットワーク間での送信を規定するネットワーク層を具えることを特徴とする参照モデル。
【請求項19】
請求項17に記載の参照モデルにおいて、前記ネットワーク層がインターネットプロトコル(IP)に基づいて送信を規定することを特徴とする参照モデル。
【請求項20】
請求項13に記載の参照モデルにおいて、前記層が、ベースライン構造、延長モード1構造、及び延長モード2構造をサポートすることを特徴とする参照モデル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−520172(P2007−520172A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551486(P2006−551486)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/002639
【国際公開番号】WO2005/072394
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506260467)
【出願人】(506260456)
【Fターム(参考)】