説明

信号チャネル間の相対的な処理遅延を補償することによる慣性センサ・データの正確な獲得のための方法および装置

本明細書において開示される主題は、複数の座標軸に関係してモバイルデバイスの物理的移動を検出することに適合した複数のセンサによって生成される複数の信号を受信するためのシステムおよび方法に関係する。受信された信号のうちの少なくとも1つがデジタル化される時間は、遅延され、共通の時点に関係して同期される受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、モバイルデバイスに関する慣性センサ・データの獲得および処理に関係する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイスの移動は、特定の時点におけるモバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度を決定するために追跡されうる。3個の座標軸についてモバイルデバイスの加速度または移動が決定されうるまたは測定されうる場合、そのような情報は、現在の位置、オリエンテーション、および速度を推定するために利用されうる。そのような座標軸は、互いに直交していてもよく、3次元的空間を表わすために利用されうる。
【0003】
位置、オリエンテーション、および速度を正確に推定するために、1つまたは複数の座標軸に沿った、または1つまたは複数の座標軸についての線形加速度および/または回転レートを測定することが有効でありうる。複数のセンサからのセンサ測定が同時に処理される場合、正確な決定がなされうる。アナログセンサが利用される場合、そのようなアナログセンサからのアナログ出力信号は、例えば、追加の処理の前にアナログ/デジタル変換によってデジタルフォーマットに変換されうる。特定のアナログセンサは、加速度に対応する未処理の信号を生成することができ、さらなる処理のためにアナログ信号を提供する前にそのような未処理の信号をフィルタしうる。異なるセンサは、異なる関連付けられた処理遅延を有するフィルタを利用しうる。例えば、加速度計は、未処理の信号を生成し、次に、アナログ信号を出力する前にそのような未処理の信号をフィルタするために、例えば、1.0マイクロ秒費やしうる。一方、ジャイロスコープは、未処理の信号を生成し、次に、例えば、1.5マイクロ秒のような異なる時間の間にそのような未処理の信号をフィルタしうる。したがって、上記の事例において、デバイスの同時の加速度および回転としてそれ自体を表す物理的イベントを感知する際、そのような加速度計は、そのようなジャイロスコープが同じ検出された物理的イベントに基づいてアナログ信号を出力する時間よりも0.5マイクロ秒早くアナログ信号を出力しうる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
様々な図面の全体にわたって同様の参照数字が同様の部分を示す以下の図面を参照して、非制限的かつ非網羅的な特徴が説明される。
【図1A】図1Aは、1つの態様にしたがって、加速度計によって測定されるようなスカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数(M、M、M)に関係して線形移動を表わすための座標システム(x、y、z)を図示する。
【図1B】図1Bは、1つの態様にしたがって、ジャイロスコープによって測定されるようなスカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数(Rτ、Rφ、Rψ)に関係して回動移動を表わすための座標システム(τ、φ、ψ)を図示する。
【図2】図2は、1つの実施様態に従う慣性ナビゲーションシステムの概略図である。
【図3】図3は、1つの特定の実施様態に従うサンプラを例示する。
【図4】図4は、1つの実施様態にしたがって、様々な処理遅延、サンプリング期間、およびポストサンプリング遅延を例示するタイムラインを例示する。
【図5】図5は、1つの実施様態にしたがって、時間で整列されるデジタル出力信号を生成するための方法を例示する。
【図6】図6は、1つの態様に従うモバイル局の概略図である。
【発明の概要】
【0005】
1つの特定の実施様態では、複数の信号が複数の座標軸に関係するモバイルデバイスの物理的移動を検出することに適した複数のセンサから受信される方法が提供される。複数の信号のうち少なくとも1つがデジタル化される時間は、遅延され、共通の時点に関係して同期された受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供する。しかしながら、これは、単に例示的な実施様態であり、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施様態が採用されることができることが認識されるべきである。
【発明の詳細な説明】
【0006】
この詳細な説明の全体にわたる「1つの事例(one example)」、「1つの特徴(one feature)」、「事例(an example)」、または「1つの特徴(one feature)」の言及は、特徴および/または事例に関係して説明される特定の特徴、構造、または特性が特許請求の範囲の少なくとも1つの特徴および/または事例に含まれることを意味する。したがって、この詳細な説明の全体にわたって様々に配置される「1つの事例では」、「事例」、「1つの特徴では」、または「特徴」という用語の出現は、必ずしもすべて同じ特徴および/または事例を示していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の事例および/または特徴に結合されることができる。
【0007】
高性能の衛星測位システム(SPS:Satellite Positioning System)に基づくナビゲーションシステムは、弱いSPS信号またはSPS信号が無い場合において、モバイルデバイスに関係する正確な位置および速度推定を提供するために運動センサに依存しうる。このプロセスは、一般に「推測航法(dead reckoning)」と呼ばれる。様々なセンサは、データを提供するために利用されうる。複数の軸の加速度および回転情報は、計算エンジンへ加速度計およびジャイロスコープによって提供されうる。計算エンジンは、次に、SPS信号だけに依存せずに初期の条件に基づいてモバイルデバイスに関係する現在の位置および速度を推定する。高性能のシステムはまた、ナビゲーション推定を支援するために様々なセンサの温度、高度および磁針向首方向をモニタするために追加のセンサを採用しうる。一般に、アナログセンサ信号は、ノイズを除去するためにフィルタされ、バッファされ、デジタル化され、計算エンジン上に渡される。デジタル化されたサンプルが、先のアナログ処理によってもたらされた様々な遅延、またはサンプリングメカニズム自体の非同時の性質のいずれかにより時間がずれる場合、この獲得プロセスにおいて、著しい誤りがもたらされうる。
【0008】
センサ獲得システムは、複数のセンサを含みうる。この場合、各々は、移動のような感知されたイベントに応答する信号を提供する。1つの実施様態では、本明細書において説明されるように、センサ獲得システムは、6個の独立のチャネルを含みうる。この場合、各々のチャネルは、特定のセンサからの出力信号に対応する。単一の獲得チャネルが時間多重化センサ信号に使用されるいくつかのシステムと異なり、本明細書において議論されるようなシステムは、重大なセンサ信号の併行または同時の獲得を提供しうる。時間多重化システムでは、例えば、複数のアナログセンサからサンプラへの単一の通信チャネルがあり、例えば、そのようなセンサからのアナログ信号は、時間多重化方法においてサンプラへ送信されうる。そのような時間多重化システムでは、異なる時点に対応するナビゲーション・センサ信号を獲得することに起因する小さな誤りは、時間にわたって蓄積し、モバイルデバイスの最終推定位置、オリエンテーション、および速度において不正確性をもたらしうる。一般に、そのような誤りは、サンプルが同じ時点に対応するように、補間器および再サンプリング化を通してデジタル・ドメインにおいて所望のセンサ信号を再構成することによって回避されうる。しかしながら、そのようなアプローチは、慣性の推測航法では一般に受け入れることができない場合がある余分な複雑性、電力消費、およびレイテンシーをもたらしうる。本明細書において議論されるようなシステムでは、センサ・サンプルの時間のずれによる誤りは、電力の効率的な方法で回避されうる。さらに、外部のフィルタリングの結果としてもたらされるセンサ・チャネル間のどんなシステム化された遅延も、個々のチャネルのサンプリングの瞬間を適切に調節することによって有効に除去されうる。非ナビゲーション・センサ信号(例えば、多くの見込まれる測定可能な条件の中でいくつか挙げると、温度または圧力を測定するための信号)は、センサ・データが、一般にゆっくり変化をするので、時間多重化方法で既存のチャネルによってまだ獲得されることができ、結果として生じる誤りが、最も実用的なアプリケーションについて無視されうるように、ナビゲーション解の計算において、間接的にのみ使用されうる。
【0009】
本明細書において議論されるように、実施様態は、センサ・サンプルの時間のずれの結果として生じる誤りを実質的に低減する、または除去することができる。そのような実施様態はまた、サンプルを再整列するために時間インターリーブおよび後の信号処理を採用する他の実施様態と比較して、複雑性、電力、および最も重要なことは、レイテンシーをセーブしうる。
【0010】
いくつかの実施様態にしたがって、3個の座標軸について角回転レートを検出するための3個のジャイロスコープ、および1つまたは複数のそのような座標軸に沿った方向において線形加速度を検出するための3個の加速度計のような様々なセンサを有する慣性ナビゲーション・システムを含みうる。そのようなセンサからの測定は、以前の時点から現在の時点へのモバイル局の位置、オリエンテーション、および速度の変化を決定するために利用されうる。そのような情報は、例えば、そのようなモバイル局が既知の位置のマップ上に位置されるユーザを視覚的に示すためにマッピング・アプリケーションにおいて利用されうる。
【0011】
そのような慣性ナビゲーション・センサを有するモバイル局は、温度計、気圧計、または例えば、他のセンサの性能に影響しうる要因の測定を提供することができる任意の他のタイプのセンサのような追加のセンサを含みうる。例えば、そのような追加のセンサは、運動センサのキャリブレイションに使用されうる。1つの実施様態では、例えば、加速度計から得られた測定値は、そのような測定値が得られたその時の周囲の温度または気圧に依存しうる。例えば、暖かい温度および/または高い気圧において得られた測定値は、より寒い温度および/またはより低い気圧において得られたであろう測定値と異なる加速度の大きさを含みうる。したがって、例えば、温度計または気圧計からのそのような測定値は、加速度計およびジャイロスコープから得られたセンサ・リーディングに基づいて、モバイル局の現在の位置、オリエンテーション、および速度を決定する場合に利用されうる。
【0012】
加速度計およびジャイロスコープのようなセンサは、続いて、後の処理のためにデジタルフォーマットに変換されうるアナログ信号を生成しうる。結果は、複数のセンサのうちの1つに関係する特定のサンプルが、他のセンサに関係するアナログ信号から得られるデジタル・サンプルと時間で一致するように整列される各センサからのデジタル・サンプルから得られうる。
【0013】
6−チャネル・デジタイザは、6個のセンサからのアナログ信号を同時にサンプルするために利用されうる。3個の加速度計および3個のジャイロスコープのような6個のセンサの各々によって生成されるアナログ信号は、そのような6−チャネル・デジタイザへの6個の入力チャネルの各々に対して提供されうる。いくつかの実施様態では、7個の入力チャネルのような、異なる数の入力チャネルが利用され得ることが認識されるべきである。7−チャネル・デジタイザでは、例えば、温度または気圧を示すアナログ信号は、第7のチャネルに入力されうる。
【0014】
デジタイザは、入力アナログ信号をサンプリングし、各アナログ入力信号をそれぞれのデジタル出力信号に変換しうる。デジタイザは、例えば、6個の異なるサンプリングユニットを含みうるので、6個の入力アナログ信号が同時にサンプリングされうる。デジタイザは、6個の出力チャネルを含み得る。この場合、各それぞれの出力チャネルは、デジタル出力信号を提供する。そのようなデジタル出力信号は、後の処理のために、例えば、プロセッサまたは他のコントローラへ1つまたは複数のバスを通して送信され得る。例えば、プロセッサは、モバイルデバイスの現在の位置、オリエンテーション、および速度を決定するためにそのような出力デジタル信号を利用しうる。
【0015】
デジタイザはまた、各入力信号と関連するいくつかの遅延エレメントを含み得る。そのような遅延エレメントは、特定のアナログ入力信号がデジタル化される時間を遅延させるために利用されうる。そのような遅延エレメントは、それぞれの出力チャネルによって提供されるそれぞれのデジタル出力信号が互いに関係して時間で整列されることを確実にするために利用されうる。したがって、第1のアナログ入力信号がデジタル化される時間は、第2のアナログ入力信号がデジタル化される時間と同期するために遅延されうる。そのようなデジタル出力信号は、モバイルデバイスに関係する正確な位置、オリエンテーション、および速度が決定されうることを確実にするために、この方法で、時間で整列されうる。線形加速度および角度レートが、短時間で急速に変化しうるので、デジタル出力信号の特定のサンプルが、異なるデジタル出力信号の特定のサンプルと同じ時点に対応するように、時間ドメインで整列されることは、別個の出力チャネルからのそのようなデジタル出力信号にとって有利でありうる。
【0016】
デジタイザへアナログ信号を提供する前に、異なるセンサが異なる処理遅延を招きうるので、そのような遅延が利用されうる。処理遅延の差の理由は、異なるセンサによって使用される、異なるフィルタリング方法による場合がある。例えば、加速度計は、アナログ信号を出力する前に、信号を速くフィルタするために、フィルタを含みうる。一方、ジャイロスコープは、アナログ信号を出力する前に、信号をよりゆっくり処理するフィルタを含みうる。さらに、同じタイプのセンサのうちの異なるものは、異なる処理遅延を有し得ることが認識されるべきである。例えば、第1のジャイロスコープは、第2のジャイロスコープと異なるフィルタを使用しうる。したがって、第1のジャイロスコープに関係する処理時間は、第2のジャイロスコープに関係する処理時間と異なりうる。
【0017】
1つの事例では、時間tにおいて、イベントが生じうる。第1のセンサは、時間tにおいてイベントを感知し、第1のアナログ信号を、イベントの3.0μ秒後または時間t+3.0μ秒において出力しうる。一方、第2のセンサは、時間tにおいて同じイベントを感知し、第2のアナログ信号を、イベントの1.2μ秒後または時間t+1.2μ秒において出力しうる。そのような第1および第2のアナログ信号が、共通の時点に関係してデジタル化されることを確実にするために、第1のアナログ信号は、第2の信号がデジタル化される1.8μ秒後にデジタル化されうる。したがって、第1のアナログ信号および第2のアナログ信号の両方のデジタル化されたバージョンは、時間tにおいて生じるイベントと同じイベントに関係して時間で整列されうる。
【0018】
そのような処理遅延が事前に知られている場合、デジタイザの遅延エレメントは、対応するデジタル出力信号が、検出された加速度のような検知されたイベントに関係して時間ドメインで整列されるように、入力アナログ信号をデジタル化することを十分に遅延させるようにプログラムされうる。代替的に、デジタイザは、決定された処理遅延に基づいて、進行中に様々な遅延をプログラムするためのコントロールラインを含みうる。
【0019】
上記の説明の多くは、6−チャネル・デジタイザに向けられているが、いくつかの実施様態では、6個の入力チャネルよりも多いまたは少ない入力チャネルが利用されうることが認識されるべきである。例えば、温度を示すアナログ信号を提供するために、第7の入力チャネルが利用される場合、そのような信号は、デジタル化され、デジタイザからの第7の出力ラインを通して出力されうる。
【0020】
1つの実施様態は、出力アナログ信号をアナログ/デジタル変換器へ提供する6個の異なるセンサを利用しうる。そのような実施様態は、そのようなセンサをマルチプレクサに結合しうる。マルチプレクサは、次に、アナログ/デジタル変換器に結合される。そのようなシステムでは、一度に1つの入力信号のみがサンプル化されることができ、そのようなマルチプレクサは、バスを通して、どの入力アナログ信号をアナログ/デジタル変換器へ送信するかを選択するために利用されることができる。しかしながら、単一のアナログ/デジタル変換器を使用することの欠点は、アナログ/デジタル・サンプラが、特定の時点において1つ以上のアナログ入力信号をサンプリングすることができないので、サンプル化された信号が時間で整列されないということである。
【0021】
他の実施様態は、例えば、3個のジャイロスコープを含む第1の集積回路、および3個の加速度計を含む第2の集積回路を利用しうる。そのような第1または第2の集積回路は、チップ内に単一のアナログ/デジタル変換器を含み、出力デジタル信号を提供しうる。しかしながら、そのようなシステムの欠点は、特定の集積回路の3個のセンサのうちの1つからの信号のみが特定の時間においてサンプル化されうるということである。言いかえると、特定の集積回路のすべての3個のセンサは、3個の内部のセンサに関係する出力デジタル信号が、したがって、時間で整列されないように、同じアナログ/デジタル変換器を利用しうる。
【0022】
1つの他の実施様態は、加速度のようなイベントを感知する際、集積回路によってデジタル信号が提供されるように、信号センサおよびサンプラの両方を有する集積回路を利用しうる。6個のセンサがある場合、6個の別個のサンプラによって6個のデジタル出力信号が生成されうる。しかしながら、そのような実施様態の欠点は、サンプリングがいったん生じると、デジタル出力信号が、センサを有する各集積回路によって生成される出力タイミングを同期する方法がないということである。例えば、複数のセンサのうちの1つが異なるセンサとは異なる処理遅延を有するフィルタを利用する場合、デジタル出力信号は、時間で適切に整列されず、デジタル出力信号に基づく計算された位置、オリエンテーション、および速度は、不正確でありうる。
【0023】
したがって、本明細書において議論されるような実施様態は、入力アナログ信号を受信するために6個(またはそれ以上)のチャネル・デジタイザを提供し、デジタル出力信号を生成するためにそのような信号をサンプルしうる。デジタイザは、対応するデジタル出力信号が、同じ瞬間に生じるアナログイベントを示すことを確実にするために、そのような信号がデジタル化される時間を遅らせるために、選択された遅れを経験しうる。そのようなデジタイザは、特定の時点において、比較的ある程度高度な正確性をともなう、モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度を検出するために頑強な慣性ナビゲーション・システムを提供しうる。
【0024】
本明細書において議論されるように、加速度計は、重力および加速度計によって経験された任意の他の線形の力の方向を感知するために使用されうる。ジャイロスコープは、方向の変化および回転を測定するために利用されうる。気圧計または気圧センサは、大気圧を測定するために利用されうる。高度計は、高度の変化を測定するために利用されうる。しかしながら、これらは、特定の実施様態において使用されうるセンサの単なる事例であり、特許請求の範囲は、この点で制限されないことが理解されるべきである。
【0025】
特定の実施様態は、可観測性(x、y、z、τ、φ、ψ)の6-軸を提供するために、加速度計およびジャイロスコープ(「ジャイロ(gyros)」)を使用しうる。加速度計は、直線運動(つまり、速度は、水平面のような面で変化する)を感知しうる。速度変化は、少なくとも2つの軸を参照して測定され得る。そのような加速度計はまた、重力がある状態で物体の傾斜(回転またはピッチ)の測定を提供しうる。したがって、単一の3D加速度計により、カルテシアン座標スペース(Cartesian coordinate space)(x、y、z)における物体の運動が感知されることができ、重力の方向は、物体の回転(τ)およびピッチ(φ)を推定するために感知されることができる。加速度計が物体の直線運動と傾斜との間で容易に見分けることができない場合があるので、ジャイロスコープは、(x、y、z)座標(すなわち、回転(τ)およびピッチ(φ)および偏揺れ(ψ)(時として方位または方向と呼ばれる))についての回転を測定するために使用されうる。
【0026】
線形の加速度計、ジャイロスコープ、および/または1つまたは複数の気圧計は、ある程度適度な可観測性を提供するために、携帯用電子デバイスへ統合されうる。図1Aは、加速度計110によって測定されるようなスカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数(M、M、M)に関係する直線運動を示すための座標システム(x、y、z)を図示する。いくつかの加速度計110は、大きさを提供しうるのに対し、その他は、大きさを示さずに、移動の表示を単に提供しうる。加速度計110は、カルテシアン座標(x、y、z)をしばしば参照して、1つ、2つ、または3つの線形方向を参照して線に沿った線形移動
【数1】

【0027】
を測定しうる。例えば、1次元の加速度計110は、x軸に沿った線形移動を示すための測定を提供しうる。2次元の加速度計110は、x軸とy軸の両方に沿った面における線形移動を示すための測定を提供することができ、3次元の加速度計110は、x、y、およびz軸に沿った3次元のスペースにおける線形移動を示すための測定を提供することができる。3次元の加速度計110は、1次元の加速度計と結合される2次元の加速度計を備え得るか、または3個の1次元の加速度計を備え得る。加速度計110は、線形加速度(距離/時間の単位の二乗の単位、例えば、[m/秒])、または線形速度変化(距離/時間の単位、例えば、[m/秒])の観点から測定値を提供することができる。直線運動
【数2】

【0028】
は、ベクトル形式
【数3】

【0029】
の3値で表わされうる。なお、(M、M、M)は、大きさ、スカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数であり、
【数4】

【0030】
は、カルテシアン座標システム(x、y、z)の起点に関係するユニット・ベクトルである。一般に、本明細書において説明されたような加速度計は、運動を検出し、そのような加速度計の1つ、2つ、または3つの軸に沿った線形移動を示す情報を生成するための感知手段を含みうる。代替的に、デバイスのボディフレームにより整列される座標システムのような、非カルテシアン座標システムが使用されうる。特定の実施様態では、座標システムは、相互に直交する軸を定義しうる。
【0031】
図1Bは、ジャイロスコープ120によって測定されるようなスカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数(Rτ、Rφ、Rψ)に関係して回転移動を示すための座標システム(τ、φ、ψ)を図示する。ここで、ジャイロスコープ120は、1つ、2つ、または3つの軸についての回転移動
【数5】

【0032】
を測定しうる。1つの特定の実施様態では、ジャイロスコープの回転は、座標(τ、φ、ψ)の観点から測定されうる。なお、タウ(τ)は、z軸についての偏揺れまたは回転を表し、ファイ(φ)は、x軸についての回転(rollまたはrotation)を表し、プシー(ψ)は、y軸についてのピッチまたは回転を表わす。他の実施様態では、ジャイロスコープ120は、第1の軸についての回転移動を示す測定値を提供するために1次元のジャイロスコープを備えうる。他の実施様態では、ジャイロスコープ120は、第1の軸および第2の軸についての回転移動を示す測定値を提供するために2次元のジャイロスコープを備えうる。同様に、他の実施様態では、ジャイロスコープ120は、第1、第2、および第3の軸についての回転移動を示す測定値を提供するために3次元のジャイロスコープを備えうる。そのような3次元のジャイロスコープは、1次元のジャイロスコープと結合された2次元のジャイロスコープを備えることができるか、または3個の1次元のジャイロスコープを備えることができる。ジャイロスコープ120は、角速度(角度/時間の単位における変化を表す単位、例えば、[rad/秒])、または角度変化(角度を表す単位、例えば、[rad])の観点で測定値を提供し得る。回転運動
【数6】

【0033】
は、ベクトル形式で、3つのスカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数によって表わされうる。なお、
【数7】

【0034】
であり、(Rτ、Rφ、Rψ)は、スカラー値、一連のスカラー値、または時間依存性の関数であり、
【数8】

【0035】
は、回転座標システム(τ、φ、ψ)に関係するユニット・ベクトルである。特定の実施様態では、ジャイロスコープは、本明細書において説明されたように、運動を検出し、ジャイロスコープの1つ、2つ、または3つの軸についての角度移動を示す情報を生成するための感知手段を備えうる。
【0036】
1つの事例では、3次元の加速度計110および3次元のジャイロスコープ(例えば、ジャイロスコープ120)は、可観測性(x、y、x、τ、φ、ψ)の6個の軸を提供する。2個の3次元の加速度計110はまた、可観測性(x、y、x、x、y、x)の6個の軸を提供しうる。低減された次元のセンサは、直線運動および/または回転運動の、より少数の軸を感知するために使用されうる。例えば、2次元の加速度計110および2次元のジャイロスコープ120は、可観測性(x、y、τ、φ)の4個の軸を提供しうる。本明細書において説明された技術は、1つまたは複数の次元を測定する単一のセンサまたはマルチ・センサ・モバイルデバイスを実装し得る。
【0037】
図2は、1つの実施様態に従う慣性ナビゲーションシステム200の概要図である。そのような慣性ナビゲーションシステム200は、携帯電話、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、または任意の他の携帯可能なデバイスのようなモバイルデバイス内に含まれうる。そのような慣性ナビゲーションシステム200は、特定の時点におけるモバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度を決定することに適していることができる。慣性ナビゲーションシステム200は、第1の加速度計202、第2の加速度計204、第3の加速度計206、第1のジャイロスコープ208、第2のジャイロスコープ210、および第3のジャイロスコープ212のようないくつかのセンサを含みうる。それらの各々は、デジタイザ220へ、線形加速度または角度レートのような感知されたイベントを示すアナログ信号を提供し得る。第1の加速度計202、第2の加速度計204、および第3の加速度計206の各々は、所定の線形の軸に沿った線形加速度を感知するのに適していることができる。第1のジャイロスコープ208、第2のジャイロスコープ210、および第3のジャイロスコープ212の各々は、所定の線形の軸についての角度レートを感知するのに適していることができる。
【0038】
温度計214、気圧計、または条件を測定することができる任意の他の追加のセンサ216のような他のセンサもまた含まれうる。温度計214および追加のセンサ216は、それぞれのアナログ信号を各々生成し、マルチプレクサ218と通信状態にあり得る。マルチプレクサ218は、特定の時間においてデジタライザ220へ複数の入力アナログ信号のうちの1つを選択的に送信することに適している。
【0039】
第1の加速度計202は、デジタイザ220の第1の遅延エレメント222へ第1の事前に定義された軸に沿った感知された加速度を示すアナログ信号を提供しうる。第1の遅延エレメント222は、第1の加速度計からのアナログ信号が第1のサンプラ224に提供される時間遅延しうる。第1の遅延エレメントは、第1のサンプラ224が第1のアナログ信号を受信する時間が、他のアナログ入力信号がそれぞれのサンプラに提供される時間に関係して時間で整列されることを確実にするために利用され得る。
【0040】
遅延は、デジタイザ220へアナログ信号を提供する様々なセンサ間の異なる処理遅延を明らかにするために、デジタイザ220内で利用されうる。例えば、第1の加速度計202は、アナログ信号が提供される時間だけ処理遅延をもたらし得る様々なフィルタを含み得る。一方、第1のジャイロスコープ208は、第1の加速度計202の処理遅延とは異なりうる処理遅延をさらにもたらしうるそれ自身のフィルタを含みうる。アナログ入力信号がサンプリングされる時間を遅延させることは、より長い処理遅延を有するセンサによって供給されるアナログ信号が他のアナログ入力信号に時間で「追いつく」ことを可能にするために利用されうる。そのような遅延の使用は、アナログ入力信号に基づくデジタル出力信号が時間で整列されることを確実にしうる。
【0041】
1つの事例では、イベントは、時間tにおいて生じうる。第1のセンサは、イベントを感知し、第1のアナログ信号を、イベントの3.0μ秒後、または時間t+3.0μ秒において出力しうる。一方、第2のセンサは、イベントを感知し、第2のアナログ信号をイベントの1.2μ秒後、または時間t+1.2μ秒において出力し得る。第3のセンサは、イベントを感知し、第3のアナログ信号を、イベントの1.7μ秒後、または時間t+1.7μ秒において出力しうる。そのような第1、第2、および第3のアナログ信号が、共通の時点に関係してデジタル化されることを確実にするために、第1のアナログ信号は、第2のアナログ信号がデジタル化された1.8μ秒後にデジタル化されうる。第3のアナログ信号は、第2のアナログ信号のそのようなデジタル化が生じた0.5μ秒後にデジタル化されうる。
【0042】
図2を再び参照して、デジタイザ220は、サンプラを含むことができ、いくつかのまたはすべてのアナログ入力信号を処理するためにエレメントを遅延させる。第2の遅延エレメント228および第2のデジタイザ230は、第2の加速度計204からのアナログ信号をデジタル化するために利用されることができ、第1のサンプラ224によって出力される第1のデジタル出力信号により時間で整列される第2のデジタル出力信号を出力することができる。同様に、第3の遅延エレメント232および第3のサンプラ234は、第3の加速度計206からのアナログ信号をデジタル化するために利用されることができ、第3のデジタル出力信号を出力することができる。第4の遅延エレメント236および第4のサンプラ238は、第1のジャイロスコープ208からのアナログ信号をデジタル化するために利用されることができ、第4のデジタル出力信号を出力することができる。第5の遅延エレメント240および第5のサンプラ242は、第2のジャイロスコープ210からのアナログ信号をデジタル化するために利用されることができ、第5のデジタル出力信号を出力することができる。第6の遅延エレメント244および第6のサンプラ246は、第3のジャイロスコープ212からのアナログ信号をデジタル化するために利用されることができ、第6のデジタル出力信号を出力することができる。デジタイザは、スケジューラ250またはそのような遅延エレメントに関係する様々な遅延の量を設定するためのコントローラを含みうる。
【0043】
マルチプレクサ218は、第7のサンプラへ温度計214または追加のセンサ216のいずれかからのアナログ信号を提供しうる。第7のサンプラは、そのようなアナログ信号を第7のデジタル出力信号に変換しうる。温度または気圧のようなある条件は、比較的ゆっくりと変化し得る。したがって、遅延エレメントは、第7のデジタル出力信号を提供するためにそのようなアナログ入力信号がサンプルされる時間を遅延させる必要はない。
【0044】
第1−7のデジタル出力信号を受信する際、プロセッサ226またはいくつかの他のプロセッサ、コントローラ、または計算エンジンは、モバイルデバイスの現在の位置、オリエンテーション、および速度を決定しうる。1つの特定の実施様態では、プロセッサ226は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を備えうる。例えば、温度または大気圧を示すそのような第7のデジタル出力信号は、そのような位置、オリエンテーション、および速度情報を決定することに利用されるある数学的な重み付けを調節するために利用されうる。例えば、温度または気圧は、加速度計またはジャイロスコープのようなセンサの動作性能に影響しうる。
【0045】
バッファ225は、各入力アナログ信号に対応するデジタル出力信号を記憶するために利用されることができる。バッファ225は、例えば、時間多重化方法でプロセッサ226へそのようなデジタル出力信号を提供するために利用されることができる。1つの実施様態では、バッファ225への複数の入力チャネル、およびプロセッサ226への1つまたは複数の出力チャネルがありうる。図2に図示される事例では、プロセッサ226への1つの出力チャネルがある。バッファ225は、図2には図示されていないが、例えば、パラレルラッチのような他の回路が、各入力アナログ信号に対応するデジタル出力信号を記憶するために利用されることができることが認識されるべきである。
【0046】
図3は、1つの特定の実施様態に従うサンプラ300を例示する。図示されるように、サンプラ300は、サンプリング・エレメント305、クロック310、およびコントローラ315のような様々なエレメントを含みうる。サンプラ300内に含まれる追加のまたは異なるエレメントもありうることが認識されるべきである。コントローラ315は、入力アナログ信号をサンプルするし、出力デジタル信号を生成するためにサンプリング・エレメント305をコントロールしうる。クロック310は、例えば、サンプルが入力アナログ信号をいつ得られることとなるのかを示すために利用されうる。
【0047】
図4は、1つの実施様態に従う様々な処理遅延およびサンプリング期間を例示する。図4は、6個の入力信号(例えば、第1−6のアナログ入力信号)を例示する。時間「0」において、加速度または他の移動の検出のようなイベントが生じる。検出の際、センサは、未処理の信号を生成しうる。未処理の信号は、フィルタされ、その後、出力される。上で議論されたように、例えば、そのようなフィルタリングは、処理遅延をもたらしうる。第1のアナログ入力信号は、サンプラに出力される前に処理遅延405を経験しうる。第1のアナログ信号が追加の遅延なしにサンプルされた場合、サンプラは、サンプリング期間410の間に第1のアナログ入力信号をサンプルしうる。これは、第1のデジタル出力信号を生成するために、時間Sに集中して生じうる。第2および第3のデジタル出力信号が、時間「0」において第2および第3のアナログ信号のデジタル化されたバージョンに対応することを確実にするために、第2および第3のアナログ入力信号上で同様の処理が実行され得る。
【0048】
第4および第5のアナログ入力信号は、処理遅延420の後に提供されうる。処理遅延420は、処理遅延405よりも長い。いずれの追加の遅延も追加することなく、そのような入力アナログ信号は、第4および第5のデジタル出力信号を生成するために、時間Sに集中したサンプリング期間425の間にサンプルされうる。第6のアナログ入力信号は、長い処理遅延435の後に提供されうる。長い処理遅延435は、処理遅延405または420よりも長い場合がある。任意の追加の遅延を追加することなく、サンプラは、第6の出力信号を生成するために、時間Sに集中したサンプリング期間440の間に第6のアナログ入力信号をサンプルしうる。
【0049】
図4は、イベントが感知されるときとアナログ入力信号がデジタイザへ提供されるときとの間の処理遅延における差により、時間で整列されていないデジタル出力信号を例示する。図示されるように、最初の3個のアナログ入力信号のためのサンプリング期間の中間点は、時間Sであり、第4および第5のアナログ入力信号のためのサンプリング期間の中間点は、時間Sであり、第6のアナログ入力信号のためのサンプリング期間の中間点は、時間Sである。アナログ入力信号が共通の時点に関係してサンプルされることを確実にするために、最後の3個のアナログ入力信号のサンプリングは、遅延されうるので、すべての6個のアナログ入力信号のデジタル化されたバージョンは、同じ時間(例えば、時間「0」)において感知されたイベントに関係して時間で整列される。したがって、最初の3個のアナログ入力信号は、例えば、時間tにおいてデジタル化されうる。第4および第5のアナログ信号は、期間(S−S)の間に第1の遅延450の後にデジタル化されうる。第6のアナログ信号は、期間(S―S)の間に第2の遅延460の後にデジタル化されうる。そのような遅延は、したがって、すべての6個のアナログ入力信号のデジタル化されたバージョンが同じ感知されたイベントに関係して時間で整列されることを確実にするために利用されうる。
【0050】
図5は、1つの実施様態にしたがって、時間で整列されたデジタル出力信号を生成するための方法500を例示する。第1に、オペレーション505において、複数のアナログ信号は、複数の座標軸に関係するモバイルデバイスの物理的な移動を検出することに適した複数のセンサから獲得されうる。そのような物理的な移動は、例えば、1つまたは複数のそのような座標軸についての角加速度または1つまたは複数の座標軸に沿った加速度を備えうる。
【0051】
次に、オペレーション510において、複数のアナログ信号は、物理的な移動の検出に関係する共通の時点に関係して同期された複数の出力デジタル信号を生成するために、複数の信号のうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数の遅延の後にデジタル化されうる。そのようなデジタル出力信号は、モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度を決定するために、続いて処理されうる。
【0052】
図6は、MS600の特定の実施様態を図示する。ここで、無線トランシーバ606は、RF搬送波上へ、音声またはデータのようなベースバンド情報によりRF搬送波信号を変調し、そのようなベースバンド情報を得るために、変調されたRF搬送波を復調することに適していることができる。アンテナ610は、無線通信リンク上で、変調されたRF搬送波を送信し、無線通信リンク上で、変調されたRF搬送波を受信することに適していることができる。
【0053】
ベースバンドプロセッサ608は、無線通信リンク上の送信のために、トランシーバ606へCPU602からベースバンド情報を提供することに適していることができる。ここで、CPU602は、ユーザ・インターフェース616内の入力デバイスからそのようなベースバンド情報を得ることができる。ベースバンドプロセッサ608はまた、ユーザ・インターフェース616内の出力デバイスを通る送信のために、CPU602へトランシーバ606からのベースバンド情報を提供することに適していることができる。
【0054】
MS600は、さまざまなセンサからのアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するためのデジタイザ622を含みうる。バッファ624は、そのようなデジタル出力信号を記憶することができ、後の処理のために、そのようなデジタル出力信号をCPU602へ選択的に提供することができる。
【0055】
ユーザ・インターフェース616は、音声またはデータのようなユーザ情報を入力または出力するために複数のデバイスを備えうる。そのようなデバイスは、例えば、キーボード、表示画面、マイクロホン、およびスピーカーを含みうる。
【0056】
SPS受信機(SPS Rx)612は、SPSアンテナ614を通してSUVからの送信を受信し、復調し、復調された情報をコリレータ618へ提供することに適していることができる。コリレータ618は、受信機612によって提供される情報から相関関数を導き出すことに適していることができる。所与のPNコードの場合、例えば、上で例示されたように、コリレータ618は、コード位相サーチウィンドウを設定するためにコード位相の範囲にわたって、およびドップラー周波数仮説(Doppler frequency hypotheses)の範囲にわたって定義される相関関数を提供することができる。したがって、個々の相関は、定義された係数および非係数統合パラメータにしたがって行われうる。
【0057】
コリレータ618はまた、トランシーバ606によって提供されるパイロット信号に関係する情報からのパイロット関係の相関関数を導き出すことに適していることができる。この情報は、無線通信サービスを獲得するために、加入者局によって使用されることができる。
【0058】
チャネル復号器620は、ベースバンドプロセッサ608から受信されたチャネルシンボルを、基本的なソースビットに復号することに適していることができる。チャネルシンボルが畳み込み符号化されたシンボルを備える1つの事例では、そのようなチャネル復号器は、ビタビ復号器を備えうる。チャネルシンボルが畳み込み符号の直列または並列の連結を備える第2の事例では、チャネル復号器620は、ターボ復号器を備えうる。
【0059】
メモリ604は、機械可読命令を記憶することに適していることができる。機械可読命令は、1つまたは複数の処理、事例、実施様態、または説明されたまたは議論されたそれらのものの事例を実施するように実行可能である。CPU602は、そのような機械可読命令にアクセスするまたは実行することに適合されることができる。これらの機械可読命令の実行を通じて、CPU602は、コリレータ618によって提供されるSPS相関関数を分析し、そのピークから測定値を導き出し、位置の推定が十分に正しいかどうかを決定することをコリレータ618に指示することができる。しかしながら、これらは、特定の態様においてCPUによって実行されることができるタスクの単なる事例であって、特許請求の範囲は、これらに制限されない。
【0060】
特定の事例では、加入者局におけるCPU602は、上記に例示されるように、SVから受信される信号に少なくとも部分的に基づいて、加入者局の位置を推定することができる。CPU602はまた、特定の事例にしたがって、上記に例示されるように、第1の受信された信号において検出されたコード位相に少なくとも部分的に基づいて、第2の受信された信号を獲得するためのコードサーチ範囲を決定することに適合されることができる。
【0061】
本明細書において開示されるような方法、システム、および装置は、1つまたは複数の座標軸に沿った、または1つまたは複数の座標軸についてのモバイルデバイスの線形加速度または角度レートのような移動を検出することに適合されたセンサによって生成される信号を処理するために利用されることができる。そのような信号は、デジタル化されることができ、デジタル出力信号が、後の処理のために出力される時間に関係して整列されることを確実にするために遅延がもたらされうる。そのような時間で整列されたデジタル出力信号は、例えば、モバイルデバイスの現在の位置、オリエンテーション、および速度を決定するために利用されることができる。
【0062】
以下に続く詳細な説明のいくつかの部分は、特定の装置または特殊目的計算デバイスのメモリまたはプラットフォーム内に記憶される2進数のデジタル信号に対するオペレーションを示すアルゴリズムまたはシンボリック表示の観点から表される。この特定の詳細な説明の文脈において、特定の装置または同様の用語は、プログラムソフトウェアからの命令に従って特定の機能を実行するようにプログラムされていれば、汎用目的コンピュータを含む。アルゴリズムの記述またはシンボルの表現は、信号処理または関連する技術において当業者によって使用される技術の事例であって、彼らの働きの実質を他の当業者に伝達するために使用される。アルゴリズムは、本明細書においておよび一般に、オペレーションの自己矛盾のないシーケンスまたは望ましい結果を導く同様の信号処理であると考えられる。この文脈において、オペレーションまたは処理は、物理的な量の物理的な操作を含む。典型的に、必ずではないが、そのような量は、記憶される、転送される、結合される、比較される、またはそうでなければ操作されることができる電気または磁気信号のフォーマットをとりうる。
【0063】
そのような信号をビット、データ、値、エレメント、シンボル、文字、用語、数、数字、または同様のものとして参照することは、主に共通の使用の理由から、時には便利であることが証明された。しかしながら、これらのまたは同様の用語のすべてが適切な物理的量と関連されることとなり、単に便宣上のラベルであることが理解されるべきである。特に述べられない限り、以下の議論から明白であるように、「処理すること」、「コンピュータ計算すること」、「計算すること」、「決定すること」、または同様のもののような用語を利用するこの詳細な説明の全体にわたる説明は、特殊目的コンピュータまたは同様の特殊目的電子計算デバイスのような特定の装置の動作またはプロセスのことをいうことが認識される。したがって、この詳細な説明の文脈において、特殊目的コンピュータまたは同様の特殊目的電子計算デバイスは、メモリ、レジスタ、または他の情報記憶デバイス、送信デバイス、または特殊目的コンピュータまたは同様の特殊目的電子計算デバイスのディスプレイデバイス内の物理的電子または磁気量として典型的に表される。
【0064】
本明細書において説明された方法は、特定の特徴および/または事例にしたがってアプリケーションに依拠する様々な手段によって実装されることができる。例えば、そのような方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらのものの組み合わせにおいて実装されることができる。ハードウェア実装において、例えば、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロ−コントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書において説明された機能を実行するように設計された他のデバイスユニット、および/またはこれらのものの組み合わせ内で実装されることができる。
【0065】
現在例示的特徴であると考えられるものが例示され説明される一方、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な他の修正がなされることができ、同等物が代用されることができることが、当業者によって理解されうる。追加的に、本明細書において説明された中心の概念から逸脱することなく、特許請求の範囲の技術に特定の状況を適応させるために多くの修正がなされうる。したがって、特許請求の範囲は、開示された特定の事例に制限されないが、そのような特許請求の範囲はまた、添付の特許請求の範囲、およびそれらのものの同等物の範囲内のすべての態様を含みうることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座標軸に関係してモバイルデバイスの物理的移動を検出することに適合した複数のセンサによって生成される複数の信号を受信すること;および
前記受信された信号のうちの少なくとも1つがデジタル化される時間を遅延させ、共通の時点に関係して同期された前記受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供すること
を具備する方法。
【請求項2】
前記複数の信号をデジタル化することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通の時点は、前記モバイルデバイスの前記物理的移動の検出に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の座標軸は、3個の座標軸を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の信号は、前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った少なくとも1つの線形加速度、または前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った回転レートに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記受信された信号のうちの少なくとも1つが、前記複数のセンサのうちの1つまたは複数と関連する予め定義された処理遅延に基づいてデジタル化される時間を遅延させることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
測定された温度を示す1つまたは複数の信号を獲得することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンに基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
測定された温度に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを前記決定することを修正することをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の信号は、アナログ信号を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
メモリバッファにおいて、前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンを記憶することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の座標軸に関係してモバイルデバイスの物理的移動を検出すること、および前記物理的移動に対応する複数の信号を生成することに適合した複数のセンサ;および
前記受信された信号のうちの少なくとも1つがデジタル化される時間を遅延させ、共通の時点に関係して同期される前記受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供するための1つまたは複数の遅延エレメント
を備えるシステム。
【請求項13】
前記複数の信号をデジタル化するためのデジタイザをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記共通の時点は、前記モバイルデバイスの前記物理的移動の検出に対応する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記デジタイザは、前記複数のセンサの1つまたは複数と関連する予め定義された処理遅延に基づいて前記1つまたは複数の遅延を実装することに適合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の座標軸は、3個の座標軸を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の信号は、前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った少なくとも1つの線形加速度、または前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った回転レートに対応する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
温度を検出することに適合した温度センサをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンに基づい前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを決定するための特殊目的装置をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
測定された温度に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの前記少なくとも1つの決定を修正することに適合される特殊目的装置をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の信号は、アナログ信号を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンを記憶するためのメモリバッファをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
複数の座標軸に関係してモバイルデバイスの物理的移動を検出することに適合した複数のセンサによって生成される複数の信号を受信するための手段;および
前記受信された信号のうちの少なくとも1つがデジタル化される時間を遅延させ、共通の時点に関係して同期される前記受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供するための手段
を備える装置。
【請求項24】
前記複数の信号をデジタル化するための手段をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記遅延させるための手段は、前記複数のセンサのうちの1つまたは複数と関連する予め定義された処理遅延に基づいて前記1つまたは複数の遅延を実装することに適合する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記共通の時点は、前記モバイルデバイスの前記物理的移動の検出に対応する、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記複数の座標軸は、3個の座標軸を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記複数の信号は、前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った少なくとも1つの線形加速度、または前記複数の座標軸のうちの少なくとも1つに沿った回転レートに対応する、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
検出された温度を示す1つまたは複数の信号を獲得するための手段をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項30】
前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンに基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを決定するための手段をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項31】
前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを決定するための前記手段は、測定された温度に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを前記決定することを修正することに適合される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記複数の信号は、アナログ信号を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項33】
メモリバッファにおいて、前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンを記憶するための手段をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項34】
記憶された機械可読命令を備える記憶媒体であって、特殊目的装置によって実行される場合、
複数の座標軸に関係してモバイルデバイスの物理的移動を検出することに適合した複数のセンサによって生成される複数の信号を受信し;および
前記受信された信号のうちの少なくとも1つがデジタル化される時間を遅延させ、共通の時点に関係する同期された前記受信された複数の信号のデジタル化されたバージョンの出力を提供する
ように前記特殊目的装置に指示することに適合した記憶媒体を備える製品。
【請求項35】
前記特殊目的装置によって実行される場合、前記命令は、前記複数の信号をデジタル化するよう前記特殊目的装置に指示することにさらに適合する、請求項34に記載の製品。
【請求項36】
前記特殊目的装置によって実行される場合、前記命令は、前記受信された信号のうちの少なくとも1つが、前記複数のセンサのうちの1つまたは複数と関連する予め定義された処理遅延に基づいてデジタル化される時間を遅延するように前記特殊目的装置に指示することにさらに適合される、請求項34に記載の製品。
【請求項37】
前記特殊目的装置によって実行される場合、前記命令は、検出された温度を示す1つまたは複数の信号を獲得するように前記特殊目的装置に指示することにさらに適合する、請求項34に記載の製品。
【請求項38】
前記特殊目的装置によって実行される場合、前記命令は、前記受信された複数の信号の前記デジタル化されたバージョンに基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つを決定するように前記特殊目的装置に指示することにさらに適合する、請求項34に記載の製品。
【請求項39】
前記特殊目的装置によって実行される場合、前記命令は、測定された温度に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスの位置、オリエンテーション、および速度のうちの少なくとも1つの決定を修正するように前記特殊目的装置に指示することにさらに適合する、請求項34に記載の製品。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−528339(P2012−528339A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513317(P2012−513317)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036669
【国際公開番号】WO2010/138878
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】