説明

信号増幅回路

【課題】入力電圧に比例した電流を出力するOTAの製造ばらつきおよび周囲温度の変化による利得の変化を抑制することが可能な信号増幅回路を提供する。
【解決手段】入力電圧Vinが入力される第1のOTA1、第1のコンデンサC1を有する第1の積分器10と、第1のコンデンサC1に並列接続された第1のアナログスイッチSW1と、入力電圧Vinの積分時間を調整する積分時間調整回路3とを備える。積分時間調整回路3は、第1の参照電圧Vref1が入力される第2のOTA2、第2のコンデンサC2を有する第2の積分器20と、第2のコンデンサC2に並列接続された第2のアナログスイッチSW2と、第2の積分器20の出力電圧と第2の参照電圧Vref2とを比較するコンパレータCP2とを備え、コンパレータCP2の出力に基づいて第1のアナログスイッチSW1、第2のアナログスイッチSW2それぞれを制御する第1の制御信号、第2の制御信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号増幅回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力信号である入力電圧を増幅する信号増幅回路として、入力電圧に比例した電流を出力する第1の電圧電流変換回路であるOTA(Operational Transconductance Amplifier)と、OTAの出力電流によって充電されるコンデンサと、このコンデンサに並列接続されたリセットスイッチとを備えた増幅回路が知られている(例えば、特許文献1)。この増幅回路では、OTAとコンデンサとで積分器が構成されており、コンデンサの両端電圧が出力電圧となる。なお、OTAは、入力インピーダンスが高く、且つ、電圧電流変換係数が大きいという特徴を有している。
【0003】
上述の特許文献1には、上述の増幅回路を備えたセンサ装置が開示されており、このセンサ装置では、物理量あるいは化学量を電気量に変換するセンサ部の出力電圧を増幅回路の入力電圧としている。また、このセンサ装置は、増幅回路のアナログの出力電圧をディジタル値に変換して出力するA/D変換回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−271010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のOTAを用いた増幅回路では、積分器での積分時間を一定時間とすることにより、高利得特性、低ノイズ性能を実現しようとするのが一般的である。しかしながら、上述の増幅回路では、OTAの特性の製造ばらつきや周囲温度の変化によって利得が変化して出力電圧が変動してしまう。なお、製造ばらつきによる特性ばらつきについては、増幅回路の製造後にトリミングを行うことで抑制することが可能であるが、周囲温度の変化による利得の変化については、増幅回路の製造後のトリミングでは抑制することができない。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、入力電圧に比例した電流を出力するOTAの製造ばらつきおよび周囲温度の変化による利得の変化を抑制することが可能な信号増幅回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の信号増幅回路は、入力信号である入力電圧を増幅する信号増幅回路であって、前記入力電圧に比例した電流を出力する第1の電圧電流変換回路である第1のOTAおよび前記第1のOTAの出力電流によって充電される第1のコンデンサを有する第1の積分器と、前記第1のコンデンサに並列接続された第1のアナログスイッチと、前記第1のアナログスイッチをオンオフすることによって前記第1の積分器による前記入力電圧の積分時間を調整する積分時間調整回路とを備え、前記積分時間調整回路は、第1の定電圧である第1の参照電圧が入力され当該第1の参照電圧に比例した電流を出力する第2の電圧電流変換回路である第2のOTAおよび前記第2のOTAの出力電流によって充電される第2のコンデンサを有する第2の積分器と、前記第2のコンデンサに並列接続された第2のアナログスイッチと、前記第2の積分器の出力電圧と第2の定電圧である第2の参照電圧とを比較するコンパレータとを備え、前記コンパレータの出力に基づいて前記第1のアナログスイッチを制御する第1の制御信号および前記第2のアナログスイッチを制御する第2の制御信号を出力することを特徴とする。
【0008】
この信号増幅回路において、前記コンパレータの出力を分周して前記第1の制御信号とする分周器を備えることが好ましい。
【0009】
この信号増幅回路において、前記第1のOTAに前記入力電圧と前記第1の参照電圧とを択一的に入力可能とする入力切替部と、前記コンパレータの後段に設けられ前記コンパレータの出力を外部入力信号とするPLLとを備え、前記第1のOTAが前記第2のOTAを兼ねるとともに、前記第1のコンデンサが前記第2のコンデンサを兼ねており、前記PLLの出力を前記第1の制御信号とすることが好ましい。
【0010】
この信号増幅回路において、前記PLLは、電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器の出力と前記外部入力信号との位相を比較して位相差に比例した出力信号を発生する位相検出器と、前記位相検出器の後段側に設けられたローパスフィルタと、前記ローパスフィルタと前記電圧制御発振器との間に設けられた第3のアナログスイッチおよび前記第3のアナログスイッチとグランドとの間に設けられ前記ローパスフィルタから出力される前記電圧制御発振器の制御電圧を保持する電圧保持回路とを備え、前記第1のOTAの温度を検出する温度センサと、前記第3のアナログスイッチを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記温度センサによる検出温度の変化量が所定値を超えると、前記第3のアナログスイッチをオンオフさせることにより新たな前記制御電圧を前記電圧保持回路に保持させることが好ましい。
【0011】
この信号増幅回路において、前記第1の参照電圧と前記第2の参照電圧とを設定可能な参照電圧設定部を備えることが好ましい。
【0012】
この信号増幅回路において、前記第1の積分器の出力電圧と第3の参照電圧とを比較する電圧比較回路を備え、前記電圧比較回路の出力に基づいて前記第1の積分器の出力電圧が前記第3の参照電圧となるように前記第1の参照電圧と前記第2の参照電圧とを変化させることが好ましい。
【0013】
この信号増幅回路において、前記第1の積分器を複数備え、前記積分時間調整回路は、前記複数の第1の積分器それぞれの前記第1のコンデンサに並列接続された全ての前記第1のアナログスイッチのオンオフを同時に制御可能であることが好ましい。
【0014】
この信号増幅回路において、前記第1の積分器を複数備え、少なくも1つの前記第1の積分器は、前記第1のOTAに前記入力電圧と前記第1の参照電圧とを択一的に入力可能とする入力切替部が接続されてなり、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の第1のOTAが前記第2のOTAを兼ねるとともに、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の前記第1のコンデンサが前記第2のコンデンサを兼ねてなり、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の後段側に前記コンパレータを設けることで前記積分時間調整回路として動作可能であり、他の前記第1の積分器の前記第1のアナログスイッチのオンオフを同時に制御可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の信号増幅回路においては、入力電圧に比例した電流を出力するOTAの製造ばらつきおよび周囲温度の変化による利得の変化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1の信号増幅回路に関し、(a)は概略回路図、(b)は要部回路図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【図3】実施形態2の信号増幅回路の概略回路図である。
【図4】同上の動作説明図である。
【図5】実施形態3の信号増幅回路に関し、(a)は概略回路図、(b)は要部構成図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】実施形態4の信号増幅回路に関し、(a)は概略回路図、(b)は要部構成図である。
【図9】実施形態5の信号増幅回路に関し、(a)は概略回路図、(b)は要部回路図である。
【図10】同上の要部回路図である。
【図11】同上の要部回路図である。
【図12】実施形態6の信号増幅回路に関し、(a)は概略回路図、(b)は要部回路図である。
【図13】同上における電圧比較回路の回路図である。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】同上における電圧比較回路の他の構成例の回路図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【図17】同上における電圧比較回路の別の構成例の回路図である。
【図18】実施形態7の信号増幅回路の回路図である。
【図19】実施形態8の信号増幅回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
以下、本実施形態の信号増幅回路について図1および図2に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態の信号増幅回路は、入力信号である入力電圧Vinを増幅する信号増幅回路である。この信号増幅回路は、第1の積分器10を備えている。この第1の積分器10は、入力電圧Vinに比例した電流を出力する第1の電圧電流変換回路である第1のOTA1と、第1のOTA1の出力電流によって充電される第1のコンデンサC1とを有している。また、信号増幅回路は、第1のコンデンサC1に並列接続された第1のアナログスイッチSW1とを有する第1の積分器10を備えている。
【0019】
上述の入力電圧Vinとしては、例えば、図示しないセンサ(物理量センサ、化学量センサなど)の出力電圧(電圧信号)などがある。
【0020】
第1のOTA1は、フォールデッドカスコード型オペアンプにより構成されており、+側の入力端がグランドに接続されており、−側の入力端に入力電圧Vinが入力される。
【0021】
第1のアナログスイッチSW1は、nチャネルMOSトランジスタにより構成することが好ましく、これにより、pチャネルMOSトランジスタにより構成する場合に比べて、オン抵抗を低減できるとともに、高速動作が可能となる。
【0022】
第1のコンデンサC1および第1のアナログスイッチSW1は、それぞれの一端側が、第1のOTA1の出力端に接続されており、それぞれの他端側が、グランドに接続されている。ここにおいて、第1のアナログスイッチSW1は、第1の積分器10の出力電圧Vout1をリセットする第1のリセット回路を構成している。
【0023】
したがって、第1の積分器10の積分時間(以下、第1の積分時間とも称する)は、第1のアナログスイッチSW1のオフ期間の長さによって決まる。言い換えれば、第1の積分器10は、第1のアナログスイッチSW1のオフ期間の長さが、第1の積分時間となる。
【0024】
ここで、第1の積分器10の出力電圧Vout1は、第1の積分時間および入力電圧Vinに比例して増加する(線形に変化する)。ここにおいて、信号増幅回路は、第1の積分器10の出力電圧Vout1と入力電圧Vinとの比により利得(電圧利得)が決まり、第1の積分時間に比例して利得が大きくなる。つまり、信号増幅回路は、第1の積分時間に対して利得が線形に変化し、第1の積分時間が長いほど利得が大きくなる。
【0025】
さらに、信号増幅回路は、第1のアナログスイッチSW1をオンオフすることによって第1の積分器10による入力電圧Vinの第1の積分時間を調整する積分時間調整回路3を備えている。
【0026】
積分時間調整回路3は、第1の定電圧である第1の参照電圧Vref1が入力され当該第1の参照電圧Vref1に比例した電流を出力する第2の電圧電流変換回路である第2のOTA2と、第2のOTA2の出力電流によって充電される第2のコンデンサC2とを有する第2の積分器20を備えている。
【0027】
第2のOTA2は、フォールデッドカスコード型オペアンプにより構成されており、+側の入力端がグランドに接続されており、−側の入力端に第1の参照電圧Vref1が入力される。
【0028】
また、積分時間調整回路3は、第2のコンデンサC2に並列接続された第2のアナログスイッチSW2と、第2の積分器20の出力電圧Vintと第2の定電圧である第2の参照電圧Vref2とを比較するコンパレータCP2とを備えている。
【0029】
第2のアナログスイッチSW2は、nチャネルMOSトランジスタにより構成することが好ましく、これにより、pチャネルMOSトランジスタにより構成する場合に比べて、オン抵抗を低減できるとともに、高速動作が可能となる。
【0030】
第2のコンデンサC2および第2のアナログスイッチSW2は、それぞれの一端側が、第2のOTA2の出力端に接続されており、それぞれの他端側が、グランドに接続されている。ここにおいて、第2のアナログスイッチSW2は、第2の積分器20の出力電圧Vintをリセットする第2のリセット回路を構成している。
【0031】
コンパレータCP2の出力Vout2は、第2の積分器20の出力電圧Vintが第2の参照電圧Vref2以下の場合にLレベルとなり、第2の参照電圧Vref2よりも大きい場合にHレベルとなる。
【0032】
また、積分時間調整回路3は、コンパレータCP2の出力Vout2がHレベルの状態のときのみ第1のアナログスイッチSW1および第2のアナログスイッチSW2それぞれをオンさせる。これに対し、積分時間調整回路3は、コンパレータCP2の出力Vout2がLレベルの状態のときのみ第1のアナログスイッチSW1および第2のアナログスイッチSW2それぞれをオフさせる。要するに、積分時間調整回路3は、コンパレータCP2の出力Vout2に基づいて第1のアナログスイッチSW1を制御する第1の制御信号および第2のアナログスイッチSW2を制御する第2の制御信号を出力する。これにより、積分時間調整回路3は、第1のコンデンサC1の両端電圧(つまり、第1の積分器10の出力電圧Vout1)および第2のコンデンサC2の両端電圧(つまり、第2の積分器20の出力電圧Vint)それぞれを0V(グランドレベル)にリセットさせる。
【0033】
なお、第1の参照電圧Vref1および第2の参照電圧Vref2は、同一の基準電圧発生回路を利用して生成することが好ましい。
【0034】
積分時間調整回路3では、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とにより、第2の積分器20の積分時間(以下、第2の積分時間とも称する)が決定される。この点について図2に基づいて説明する。
【0035】
第2の積分器20の出力電圧Vintの波形は、図2(a)に示すような鋸歯状の波形となる。すなわち、第2の積分器20の出力電圧Vintは、第2の積分器20での積分が開始されると、時間の経過に伴って増加し、このときの傾きが第1の参照電圧Vref1により決まる。そして、第2の積分器20の出力電圧Vintが第2の参照電圧Vref2を超えると、コンパレータCP2の出力Vout2がHレベルとなり、第2のアナログスイッチSW2がオンされて、第2の積分器20の出力電圧Vintが0にリセットされる。そして、コンパレータCP2の出力Vout2がLレベルになると、再び、第2の積分器20での積分が開始され、第2の積分器20の出力電圧Vintが時間の経過に伴って増加する。要するに、第2の積分器20での積分による出力電圧Vintの増加と第2の積分器20の出力電圧Vintのリセットによる減少とが交互に繰り返される。積分時間調整回路3では、コンパレータCP2の出力Vout2がLレベルの期間が、第1の積分時間および第2の積分時間となり、このコンパレータCP2の出力Vout2がLレベルの期間が、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とにより決定される。したがって、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを適宜変更することにより、第1の積分時間および第2の積分時間を変更することができる。なお、第1の積分時間および第2の積分時間は、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とのそれぞれに対して線形に変化する。
【0036】
第1のOTA1と第2のOTA2とは、同じ構成で、同じ特性を有する(電気的特性、温度特性が揃う)ように設計してあり、同時に製造されていることが好ましい。また、第1のOTA1と第2のOTA2とは、両方とも、フォールデッドカスコード型オペアンプを採用しているが、これに限らず、例えば、両方ともテレスコピックカソコード型オペアンプを採用してもよいし、両方ともカレントミラー型オペアンプを採用してもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の信号増幅回路は、第1のOTA1と第1のコンデンサC1とを有する第1の積分器10と、第1の積分器10による入力電圧Vinの積分時間を調整する積分時間調整回路3とを備えている。そして、本実施形態の信号増幅回路は、積分時間調整回路3が、第1の参照電圧Vref1が入力され当該第1の参照電圧Vref1に比例した電流を出力する第2のOTA2および第2のOTA2の出力電流によって充電される第2のコンデンサC2を有する第2の積分器20と、第2のコンデンサC2に並列接続された第2のアナログスイッチSW2と、第2の積分器20の出力電圧Vintと第2の参照電圧Vref2とを比較するコンパレータCP2とを備え、コンパレータCP2の出力に基づいて第1のアナログスイッチSW1を制御する第1の制御信号および第2のアナログスイッチSW2を制御する第2の制御信号を出力する。しかして、本実施形態の信号処理回路では、製造後に従来のようなトリミングを行うことなく、入力電圧Vinに比例した電流を出力する第1のOTA1の製造ばらつきおよび周囲温度の変化による利得の変化を抑制することが可能となる。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、積分時間調整回路3のコンパレータCP2(図1(b)参照)の出力Vout2を分周して第1の制御信号とする分周器4を備えている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
分周器4は、コンパレータCP2の出力Vout2の周波数を1/N(Nは自然数)に変換する回路であり、例えば、トグル型フリップフロップ回路(Toggle type Flip-Flop circuit:T−FF)を用いて構成することができる。要するに、分周器4は、アナログ回路要素である第2のコンデンサC2に比べて、小面積化が可能であり且つ低消費電力化が容易なディジタル回路により構成することができる。
【0040】
ここで、第2の積分器20の出力電圧Vintが図4(a)に示すような波形で、コンパレータCP2の出力Vout2が図4(b)に示すような波形の場合、例えば、N=2とすると、第1の制御信号となる分周器4の出力Vdivは、図4(c)に示すような波形となる。
【0041】
本実施形態の信号増幅回路では、分周器4を備えていることにより、第1の積分時間を変更することなく(言い換えれば、信号増幅回路の利得の設計を変更することなく)、積分時間調整回路3における第2のコンデンサC2の容量を小さくすることが可能となる。その結果、本実施形態の信号処理回路では、1チップに集積化した場合における省面積化および低消費電力化を図ることが可能となる。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図5(a)に示すように、第1のOTA1に入力電圧Vinと第1の参照電圧Vref1とを択一的に入力可能とする入力切替部5を備えている点などが相違する。また、本実施形態の信号増幅回路は、コンパレータCP2の後段に設けられコンパレータCP2の出力Vout2を外部入力信号とする位相同期ループ(Phase Locked Loop:PLL)6を備え、第1のOTA1が第2のOTA2を兼ねるとともに、第1のコンデンサC1が第2のコンデンサC2を兼ねており、PLL6の出力を第1のアナログスイッチSW1の第1の制御信号とする点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
入力切替部5は、入力電圧Vinが入力される入力端子(図示せず)と第1のOTA1との間に設けられたアナログスイッチSW51と、第1の参照電圧Vref1が入力される第1参照電圧端子(図示せず)と第1のOTA1との間に設けられたアナログスイッチ52とを備えている。要するに、入力切替部5は、2つのアナログスイッチ51,52を具備している。入力切替部5の各アナログスイッチ51,52は、nチャネルMOSトランジスタにより構成することが好ましく、これにより、pチャネルMOSトランジスタにより構成する場合に比べて、オン抵抗を低減できるとともに、高速動作が可能となる。
【0044】
PLL6は、外部入力信号とローカルの基準信号との位相同期を取る機能を有する回路であり、図5(b)に示すように、基準信号を出力する基準信号源である電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)61を備えている。また、PLL6は、VCO61の出力と外部入力信号との位相を比較して位相差に比例した出力信号を発生する位相検出器(Phase Detector:PD)62と、PD62の出力信号の高周波成分を除去し低周波成分だけをVCO61の制御電圧として出力するローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)63とを備えている。VCO61は、外部入力信号との位相差を減少させる方向に出力周波数を変化させる。したがって、LPF63から出力される制御電圧はPD62に入力される外部入力信号の周波数に対応することになる。PLL6のLPF63は、ループフィルタとも呼ばれ、LPF63の特性は、PLL6の同期特性や応答特性を決定する重要な要素である。ここで、LPF63は、PLL6の安定度とLPF63の出力の収束時間とに基づいて回路定数を設定することが好ましい。
【0045】
また、PLL6は、LPF63とVCO61との間に設けられた第3のアナログスイッチSW3と、第3のアナログスイッチSW3とグランドとの間に設けられ制御電圧を保持する電圧保持回路64とを備えている。第3のアナログスイッチSW3は、nチャネルMOSトランジスタにより構成することが好ましく、これにより、pチャネルMOSトランジスタにより構成する場合に比べて、オン抵抗を低減できるとともに、高速動作が可能となる。また、電圧保持回路64は、第3のコンデンサにより構成してある。要するに、第3のアナログスイッチSW3と電圧保持回路64とで、サンプルホールド回路と同様の機能を有することになる。
【0046】
また、本実施形態の信号増幅回路は、第1の積分器10の出力端に信号出力端子(図示せず)とコンパレータCP2との一方を択一に接続可能とする出力切替部7を備えている。この出力切替部7は、第1の積分器10の出力端と信号出力端子との間に設けられたアナログスイッチ71と、第1の積分器10の出力端とコンパレータCP2との間に設けられたアナログスイッチ72とを備えている。出力切替部7の各アナログスイッチ71,72は、nチャネルMOSトランジスタにより構成することが好ましく、これにより、pチャネルMOSトランジスタにより構成する場合に比べて、オン抵抗を低減できるとともに、高速動作が可能となる。
【0047】
また、本実施形態の信号増幅回路は、入力切替部5、出力切替部7および第3のアナログスイッチSW3を制御する制御部8を備えている。なお、制御部8は、適宜のプログラムを搭載したマイクロコンピュータなどにより構成してもよいし、タイミングコントロール回路や、それぞれ所望の機能を実現するように設計した複数の回路などの組み合わせにより構成してもよい。
【0048】
制御部8は、図6に示すように第1のOTA1、第1のコンデンサC1を第1の積分器10の構成要素として動作させる第1モードと、図7に示すように第1のOTA1および第1のコンデンサC1を第2の積分器20の構成要素として動作させる第2モード(つまり、第1のOTA1を第2のOTA2、第1のコンデンサC1を第2のコンデンサC2として動作させる第2モード)と、が適宜切り替わるように、入力切替部5、出力切替部7および第3のアナログスイッチSW3を制御する。
【0049】
第1モードでは、図6(a),(b)に示すように、入力切替部5のアナログスイッチ51がオン、出力切替部7のアナログスイッチ71がオン、PLL6の第3のアナログスイッチSW3がオフとなる。したがって、第1モードでは、第1のOTA1に入力電圧Vinが入力され、第1の積分器10から、入力電圧Vinおよび第1の積分時間に比例した出力電圧Vout1が出力される。このときの第1の積分時間は、PLL6の出力によって決まる。すなわち、第1モードでは、PLL6の出力に基づいて、第1のアナログスイッチSW1がオンオフされ、第1のアナログスイッチSW1がオンのときに、第1の積分器10の出力電圧Vout1(第1のコンデンサC1の両端電圧)が0Vにリセットされる。しかして、第1モードでは、PLL6の出力が、第1のアナログスイッチSW1のオンオフを制御する第1の制御信号となる。
【0050】
第2モードでは、図7(a),(b)に示すように、入力切替部5のアナログスイッチ52がオン、出力切替部7のアナログスイッチ72がオン、PLL6の第3のアナログスイッチSW3がオンとなる。したがって、第2モードでは、第2のOTA2に第1の参照電圧Vref1が入力されるとともに、第2の積分器20の出力がコンパレータCP2に入力され、PLL6においてLPF63からVCO61へ制御電圧が与えられる。また、第2モードでは、PLL6の出力に基づいて、第2のアナログスイッチSW2がオンオフされ、第2のアナログスイッチSW2がオンのときに第2のコンデンサC2の両端電圧が0にリセットされる。しかして、第2モードでは、PLL6の出力が、第2のアナログスイッチSW2のオンオフを制御する第2の制御信号となる。
【0051】
なお、制御部8は、定期的に第1モードと第2モードとが切り替わるように、入力切替部5、出力切替部7および第3のアナログスイッチSW3を制御する。
【0052】
以上説明した本実施形態の信号増幅回路では、第1のOTA1が第2のOTA2を兼ねるとともに、第1のコンデンサC1が第2のコンデンサC2を兼ねているので、小面積化を図ることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の信号増幅回路では、第1のOTA1の特性が変化しても、第1のOTA1の特性の変化によって変化した制御電圧に基づいたPLL6の出力により第1の積分時間が決まる(つまり、第1のOTA1の特性の変化に基づいて第1の積分時間が再調整される)こととなるから、より確実に、利得の変動を抑制することが可能となる。
【0054】
(実施形態4)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態3と略同じであって、図8に示すように、第1のOTA1の温度を検出する温度センサ9を備えており、制御部8が、温度センサ9の出力に基づいて、入力切替部5、出力切替部7および第3のアナログスイッチSW3を制御する点などが相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
温度センサ9は、例えば、サーミスタなどにより構成すればよい。制御部8は、通常は第1モードで入力切替部5、出力切替部7および第3のアナログスイッチSW3を制御し、温度センサ8による検出温度の変化量が所定値(例えば、2〜10℃)を超えると、第2モードで第3のアナログスイッチSW3をオンオフさせることにより新たな制御電圧を電圧保持回路64に保持させ、その後、第1モードでの制御に戻る。
【0056】
しかして、本実施形態の信号増幅回路では、第1のOTA1の温度の変化量が所定値を超えると、新たな制御電圧に基づいたPLL6の出力により第1の積分時間が決まる(つまり、第1のOTA1の特性の変化に基づいて第1の積分時間が再調整される)こととなるから、第1のOTA1の温度変動によって利得が変動するのを、実施形態3に比べて、より確実に抑制することが可能となる。
【0057】
(実施形態5)
図9(a)に示す本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図9(b)に示すように、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを設定可能な参照電圧設定部(参照電圧設定回路)15を備えている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
参照電圧設定部15は、例えば、図10(a)に示すように、直列接続された抵抗R1と可変抵抗器VR1との接続点の電位を第1の参照電圧Vref1とし、図10(b)に示すように直列接続された抵抗R2と可変抵抗器VR2との接続点の電位を第2の参照電圧Vref2とするように構成することができる。なお、抵抗R1と可変抵抗器VR1との直列回路、抵抗R2と可変抵抗器VR2との直列回路は、それぞれ、一定電圧(例えば、5V)の直流電源VDDの両端間に接続すればよい。
【0059】
参照電圧設定部15が図10の構成を有している場合には、可変抵抗器VR1の抵抗値を変えることによって、第1の参照電圧Vref1を任意の値に設定することが可能となり、可変抵抗器VR2の抵抗値を変えることによって、第2の参照電圧Vref2を任意の値に設定することが可能となる。要するに、この場合には、参照電圧設定部15における各可変抵抗器VR1,VR2それぞれの操作部(図示せず)をユーザなどが手動で操作することによって、各参照電圧Vref1,Vref2それぞれを独立して任意の値に設定することが可能となる。
【0060】
また、参照電圧設定部15は、図11に示すように、ディジタルの第1の設定値をアナログの第1の参照電圧Vref1に変換する第1のD/AコンバータDAC1と、ディジタルの第2の設定値をアナログの第2の参照電圧Vref2に変換する第2のD/AコンバータDAC2とを備えた構成としてもよい。この場合には、第1の設定値を変えることによって、第1の参照電圧Vref1を任意の値に設定することが可能となり、第2の設定値を変えることによって、第2の参照電圧Vref2を任意の値に設定することが可能となる。なお、第1の設定値および第2の設定値は、例えば、適宜のプログラムを搭載した外部のコンピュータ(マイクロコンピュータなど)から参照電圧設定部15へ与えるようにすればよい。
【0061】
本実施形態の信号増幅回路では、参照電圧設定部15を備えているので、第1の参照電圧Vref1および第2の参照電圧Vref2それぞれを各別に設定することができるから、入力電圧Vinの積分時間を任意の値に設定することができて、利得を任意の値に設定することが可能となる。
【0062】
ところで、参照電圧設定部15の構成は、図10や図11以外の構成でもよい。また、参照電圧設定部15は、本実施形態に限らず、他の実施形態の信号増幅回路にも設けてもよい。
【0063】
(実施形態6)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図12に示すように、第1の積分器10の出力電圧Vout1を第3の参照電圧Vref3と比較する電圧比較回路16を備え、電圧比較回路16の出力に基づいて第1の積分器10の出力電圧Vout1が第3の参照電圧Vref3となるように第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを変化させる点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
電圧比較回路16は、図13に示すように、第1の積分器10の出力電圧Vout1を第3の参照電圧Vref3と比較するコンパレータCP3と、このコンパレータCP3の後段側に設けられコンパレータCP3の出力を積分する第3の積分器30と、コンパレータCP3と第3の積分器30との間に設けられたアナログスイッチSW16とを有している。
【0065】
第3の積分器30は、演算増幅器OP3を備え、演算増幅器OP3の反転入力端子に抵抗(入力抵抗)R3が接続されるとともに、演算増幅器OP1の反転入力端子と出力端子との間にコンデンサC3が接続されている。ここで、第3の積分器30は、演算増幅器OP3の非反転入力端子の電位が0Vとなるように、非反転入力端子が接地されている。要するに、第3の積分器30は、演算増幅器OP3と抵抗R3とコンデンサC3とを用いた反転積分器の構成となっており、抵抗R3とコンデンサC3との直列回路を有している。
【0066】
電圧比較回路16のアナログスイッチSW16は、積分時間調整回路3の出力によりオンオフされる。
【0067】
本実施形態の信号増幅回路では、電圧比較回路16のアナログスイッチSW16のオンの期間にコンパレータCP3の出力Vcpが第3の積分器30により積分される。そして、電圧比較回路16は、第3の積分器30の出力に基づいて、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを変化させる。具体的には、アナログスイッチSW16がオンで第3の積分器30に入力されるコンパレータCP3の出力VcpがLレベルのときには、第1の参照電圧Vref1を第1の一定量だけ増加させる一方で第2の参照電圧Vref2を第2の一定量だけ減少させる。また、アナログスイッチSW16がオンで第3の積分器30に入力されるコンパレータCP3の出力VcpがHレベルのときには、第1の参照電圧Vref1を第1の一定量だけ減少させる一方で第2の参照電圧Vref2を第2の一定量だけ増加させる。つまり、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とは変化方向が逆であり、また、第1の参照電圧Vref1および第2の参照電圧Vref2は、電圧比較回路16のコンパレータCP3の出力Vcpの反転に伴って変化方向が反転する。なお、第1の参照電圧Vref1を出力する第1の定電圧発生回路(図示せず)は、出力可変であり、コンパレータCP3の出力Vcpに基づいて第1の参照電圧Vref1を上述のように変化させるものであればよい。また、第2の参照電圧Vref2を出力する第2の定電圧発生回路(図示せず)は、出力可変であり、コンパレータCP3の出力Vcpに基づいて第2の参照電圧Vref2を上述のように変化させるものであればよい。
【0068】
以上説明した電圧比較回路16の動作をまとめると、図14のようになる。なお、図14は、(a)に第1の積分器10の出力電圧Vout1と第3の参照電圧Vref3とを示し、(b)に電圧比較回路16のコンパレータCP3の出力Vcpを示し、(c)に電圧比較回路16のアナログスイッチSW16のオンオフを示し、(d)に第1の参照電圧Vref1を示し、(e)に第2の参照電圧Vref2を示してある。図14(a)〜(e)の各横軸は時間である。
【0069】
しかして、本実施形態の信号増幅回路は、第1の積分器10の出力電圧Vout1を第3の参照電圧Vref3と比較する電圧比較回路16を備え、電圧比較回路16の出力に基づいて第1の積分器10の出力電圧Vout1が第3の参照電圧Vref3となるように第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを変化させるので、第1の積分器10の積分時間が調整され、第1の積分器10の利得が調整される。
【0070】
電圧比較回路16は、図13の回路構成に限らず、例えば、図15に示すような回路構成でもよい。図15に示した電圧比較回路16の基本構成は図13と略同じであり、コンパレータCP3の代わりに、第1の積分器10の出力電圧Vout1と第3の参照電圧Vref3とを比較し、その差である誤差信号を増幅する誤差増幅器EA1を備えている点が相違するだけである。
【0071】
図15に示した構成の電圧比較回路16では、アナログスイッチSW16のオンの期間に誤差増幅器EA1の出力Vamが第3の積分器30により積分される。そして、電圧比較回路16は、第3の積分器30の出力に基づいて、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とを変化させる。具体的には、アナログスイッチSW16がオンで第3の積分器30に入力される誤差増幅器EA1の出力Vamがマイナスの値のときには、第1の参照電圧Vref1を誤差増幅器EA1の出力Vamの絶対値に対応した変化量で増加させる一方で第2の参照電圧Vref2を誤差増幅器EA1の出力Vamの絶対値に対応した変化量で減少させる。また、アナログスイッチSW16がオンで第3の積分器30に入力される誤差増幅器EA1の出力Vamがプラスの値のときには、第1の参照電圧Vref1を誤差増幅器EA1の出力Vamの絶対値に対応した変化量で減少させる一方で第2の参照電圧Vref2を誤差増幅器EA1の出力Vamの絶対値に対応した変化量で増加させる。つまり、第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2とは変化方向が逆であり、また、第1の参照電圧Vref1および第2の参照電圧Vref2は、電圧比較回路16の誤差増幅器EA1の出力Vamの極性の反転に伴って変化方向が反転する。なお、第1の参照電圧Vref1を出力する第1の定電圧発生回路(図示せず)は、出力可変であり、誤差増幅器EA1の出力Vamに基づいて第1の参照電圧Vref1を上述のように変化させるものであればよい。また、第2の参照電圧Vref2を出力する第2の定電圧発生回路(図示せず)は、出力可変であり、誤差増幅器EA1の出力Vamに基づいて第2の参照電圧Vref2を上述のように変化させるものであればよい。
この電圧比較回路16の動作をまとめると、図16のようになる。なお、図16は、(a)に第1の積分器10の出力電圧Vout1と第3の参照電圧Vref3とを示し、(b)に電圧比較回路16の誤差増幅器EA1の出力Vamを示し、(c)に電圧比較回路16のアナログスイッチSW16のオンオフを示し、(d)に第1の参照電圧Vref1を示し、(e)に第2の参照電圧Vref2を示してある。図16(a)〜(e)の各横軸は時間である。図15のように誤差増幅器EA1を用いた電圧比較回路16では、図13のようにコンパレータCP3を用いた電圧比較回路16に比べて、第1の積分器10の出力電圧Vout1を、より短い時間で、第3の参照電圧Vref3に収束させることが可能となる。
【0072】
また、電圧比較回路16は、図17に示すように、第1の積分器10の出力電圧Vout1をアナログ−ディジタル変換する第1のA/D変換器161と、第3の参照電圧Vref3をアナログ−ディジタル変換する第2のA/D変換器162と、第1のA/D変換器161から出力される第1のディジタル値と第2のA/D変換器162から出力される第2のディジタル値との誤差を演算し、その誤差に基づいて第1の参照電圧Vref1と第2の参照電圧Vref2との変化量に対応する第3のディジタル値を決定する演算を行うディジタル回路からなる演算部163と、演算部163から出力される第3のディジタル値をディジタル−アナログ変換して出力するD/A変換器164とで構成してもよい。この場合には、電圧比較回路16での比較回数が1回でも、第1の積分器10の出力電圧Vout1を第3の参照電圧Vref3に合わせることが可能となる。
【0073】
(実施形態7)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図18に示すように、第1の積分器10を複数備え、積分時間調整回路3が、当該複数の第1の積分器10それぞれの第1のコンデンサC1に並列接続されている全ての第1のアナログスイッチSW1のオンオフを同時に制御可能である点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態の信号増幅回路では、複数(図示例では、6つ)の第1の積分器10それぞれの積分時間を1つの積分時間調整回路3で調整することができるので、複数の第1の積分器10を備えた構成において、小面積化および低消費電力化を図ることが可能となる。
【0075】
(実施形態8)
本実施形態の信号増幅回路の基本構成は実施形態1と略同じであって、図19に示すように、第1の積分器10を6つ備え、そのうちの2つの第1の積分器10について、実施形態3と同様に、前段側に入力切替部5が設けられ、後段側に出力切替部7が設けられており、当該2つの第1の積分器10を、積分時間調整回路3の第2の積分器20に兼用している点などが相違する。なお、実施形態1,3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
上述の2つの第1の積分器10は、第1のOTA1に入力電圧Vinと第1の参照電圧Vref1とを択一的に入力可能とする入力切替部5が接続されてなり、入力切替部5が接続された第1の積分器10の第1のOTA1が第2のOTA2を兼ねるとともに、入力切替部5が接続された第1の積分器10の第1のコンデンサC1が第2のコンデンサC2(図1、図5参照)を兼ねてなり、入力切替部5が接続された第1の積分器10の後段側にコンパレータCP2を設けることで積分時間調整回路3として動作可能であり、他の第1の積分器10の第1のアナログスイッチSW1のオンオフを同時に制御可能である。なお、第1の積分器10の数は、6つに限らず、複数であればよい。また、入力切替部5を接続する第1の積分器10の数は2つに限らず、少なくとも1つであればよい。ただし、入力切替部5を接続する第1の積分器10の数は、第1の積分器10の総数よりも少ないことが前提である。
【0077】
しかして、本実施形態の信号増幅回路では、複数の第1の積分器10を備えた構成において、積分時間調整回路3を第1の積分器10ごとに設ける必要がなく、しかも、積分時間調整回路3の一部を第1の積分器10により兼用しているので、小面積化および低消費電力化を図ることが可能となる。なお、本実施形態においても、実施形態3で説明したPLL6(図5参照)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 第1のOTA
2 第2のOTA
3 積分時間調整回路
4 分周器
5 入力切替部
6 位相同期ループ
7 出力切替部
8 制御部
9 温度センサ
10 第1の積分器
15 参照電圧設定部
16 電圧比較回路
20 第2の積分器
61 電圧制御発振器
62 位相検出器
63 ローパスフィルタ
64 電圧保持回路
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
CP2 コンパレータ
SW1 第1のアナログスイッチ
SW2 第2のアナログスイッチ
SW3 第3のアナログスイッチ
Vin 入力電圧
Vref1 第1の参照電圧
Vref2 第2の参照電圧
Vref3 第3の参照電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号である入力電圧を増幅する信号増幅回路であって、前記入力電圧に比例した電流を出力する第1の電圧電流変換回路である第1のOTAおよび前記第1のOTAの出力電流によって充電される第1のコンデンサを有する第1の積分器と、前記第1のコンデンサに並列接続された第1のアナログスイッチと、前記第1のアナログスイッチをオンオフすることによって前記第1の積分器による前記入力電圧の積分時間を調整する積分時間調整回路とを備え、前記積分時間調整回路は、第1の定電圧である第1の参照電圧が入力され当該第1の参照電圧に比例した電流を出力する第2の電圧電流変換回路である第2のOTAおよび前記第2のOTAの出力電流によって充電される第2のコンデンサを有する第2の積分器と、前記第2のコンデンサに並列接続された第2のアナログスイッチと、前記第2の積分器の出力電圧と第2の定電圧である第2の参照電圧とを比較するコンパレータとを備え、前記コンパレータの出力に基づいて前記第1のアナログスイッチを制御する第1の制御信号および前記第2のアナログスイッチを制御する第2の制御信号を出力することを特徴とする信号増回路。
【請求項2】
前記コンパレータの出力を分周して前記第1の制御信号とする分周器を備えることを特徴とする請求項1記載の信号増幅回路。
【請求項3】
前記第1のOTAに前記入力電圧と前記第1の参照電圧とを択一的に入力可能とする入力切替部と、前記コンパレータの後段に設けられ前記コンパレータの出力を外部入力信号とするPLLとを備え、前記第1のOTAが前記第2のOTAを兼ねるとともに、前記第1のコンデンサが前記第2のコンデンサを兼ねており、前記PLLの出力を前記第1の制御信号とすることを特徴とする請求項1記載の信号処理回路。
【請求項4】
前記PLLは、電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器の出力と前記外部入力信号との位相を比較して位相差に比例した出力信号を発生する位相検出器と、前記位相検出器の後段側に設けられたローパスフィルタと、前記ローパスフィルタと前記電圧制御発振器との間に設けられた第3のアナログスイッチおよび前記第3のアナログスイッチとグランドとの間に設けられ前記ローパスフィルタから出力される前記電圧制御発振器の制御電圧を保持する電圧保持回路とを備え、前記第1のOTAの温度を検出する温度センサと、前記第3のアナログスイッチを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記温度センサによる検出温度の変化量が所定値を超えると、前記第3のアナログスイッチをオンオフさせることにより新たな前記制御電圧を前記電圧保持回路に保持させることを特徴とする請求項3記載の信号処理回路。
【請求項5】
前記第1の参照電圧と前記第2の参照電圧とを設定可能な参照電圧設定部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の信号処理回路。
【請求項6】
前記第1の積分器の出力電圧と第3の参照電圧とを比較する電圧比較回路を備え、前記電圧比較回路の出力に基づいて前記第1の積分器の出力電圧が前記第3の参照電圧となるように前記第1の参照電圧と前記第2の参照電圧とを変化させることを特徴とする請求項1記載の信号処理回路。
【請求項7】
前記第1の積分器を複数備え、前記積分時間調整回路は、前記複数の第1の積分器それぞれの前記第1のコンデンサに並列接続された全ての前記第1のアナログスイッチのオンオフを同時に制御可能であることを特徴とする請求項1記載の信号処理回路。
【請求項8】
前記第1の積分器を複数備え、少なくも1つの前記第1の積分器は、前記第1のOTAに前記入力電圧と前記第1の参照電圧とを択一的に入力可能とする入力切替部が接続されてなり、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の第1のOTAが前記第2のOTAを兼ねるとともに、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の前記第1のコンデンサが前記第2のコンデンサを兼ねてなり、前記入力切替部が接続された前記第1の積分器の後段側に前記コンパレータを設けることで前記積分時間調整回路として動作可能であり、他の前記第1の積分器の前記第1のアナログスイッチのオンオフを同時に制御可能であることを特徴とする請求項1記載の信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−124779(P2012−124779A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274901(P2010−274901)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】