説明

個々の逆浸透膜エレメントの浸透物流量および浸透物電導度を測定するデバイス

本開示は、個々の膜エレメント(163)の浸透物流量および浸透物電導度を、それらがROユニットで運転中に測定するための一体化センサ(169、170)を含むシステムに関する。流量および電導度測定の一体化センサ(169、170)は小さなサイズであり、それらはROユニットの運転中に接続された膜エレメント(163)の浸透管(172)中に挿入することが可能である。測定された流量および電導度情報は電気的配線または無線伝送を介して記録デバイス(174)に伝送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逆浸透エレメントによって生成された浸透物の流量および電導度を、それらを圧力ベッセルに装着しROトレイン中で運転しながら便利に同時測定できる測定デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋状に巻かれた逆浸透膜エレメントは、より高容量のプラントにおける水の脱塩のために広く使用される。市場の膜エレメントは長さ1000mm(40インチ)、直径200mm(8インチ)、および重さ約16kg(40lbs)である。単一エレメントは12m/日〜24m/日(1日あたり3200〜6400ガロン)の浸透物流量を生成する。200,000m/日(1日あたり5千万ガロンの水)の浸透物を生成する単一の脱塩プラントは、設計された浸透能力を生成するためにそれらの螺旋巻エレメントを15,000個必要とする。個々のエレメントはラックに配置されたガラス繊維圧力ベッセル中に装填されて1つのROトレインを形成する。大きなROシステムにおいて、1つのトレインは100〜200個の圧力ベッセルから構成することができる。任意の単一脱塩プラント中のいくつかのトレインを独立に運転することができる。単一の圧力ベッセル中に6〜8個のエレメントが装填される。したがって、600〜1600個のエレメントを単一トレイン中で運転することができる。圧力ベッセルに装填されると、膜エレメントはエレメント交換(通常3〜10年の運転ごと)の時、または特殊な試験が必要なときだけ取り外される。圧力ベッセルからの膜エレメントの取り外しはROトレインの完全な運転停止を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、個々のエレメントの性能はROシステムに装着する前に知られている。装着の後、エレメントの性能は膜の汚れによって変化することがある。膜性能劣化の影響は、浸透物の流れ、電導度、およびROトレイン全体の圧力降下の測定によって観察される。いくつかの場合において、個々の圧力ベッセルの浸透物電導度を測定することができる。市販のROユニットにおける個々のエレメントの浸透物流量および浸透物電導度の測定は、現在の技術では実際的ではない。通常、エレメントの性能に対する汚れの影響はシステム全体を通して均一ではない。ROシステムがあるレベルまで劣化した後、性能の改善は膜の洗浄または新しいエレメントに完全に交換することによって達成することができる。効率的なエレメント交換の主な障害は、それらがROトレインに装着され運転している間に個々のエレメントの性能を測定する便利な方法がないことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、逆浸透膜エレメントの性能を評価することの可能なシステムが提供され、逆浸透膜エレメントと、逆浸透膜エレメント内の浸透管と、逆浸透膜エレメントの浸透管内の伸長プローブ管と、性能の評価に用いられる値を測定するように構成されプローブ管の入口側に配置された少なくとも1個のセンサと、センサに電子的に通信して測定結果を記録する記録デバイスとを含む。
【0005】
さらに他の態様において、性能の評価に用いられる値を測定するように構成されたセンサは浸透物流量を測定する機構を含む。
【0006】
さらに他の態様において、浸透物流量を測定するセンサは熱流計センサを含む。
【0007】
さらに他の態様において、システムは浸透物電導度を測定するセンサも含む。
【0008】
さらに他の態様において、浸透物電導度を測定するセンサは一体的に搭載された熱電対を有する電導度セルを含む。
【0009】
さらに他の態様において、電源がセンサに電力供給する。
【0010】
さらに他の態様において、電源は少なくとも1つの無線周波数識別(RFID)タグを含む。
【0011】
さらに他の態様において、電子的通信は記録デバイスとセンサを接続する配線を介して行われる。
【0012】
さらに他の態様において、電子的通信は記録デバイスとセンサを接続する無線接続を介して行われる。
【0013】
さらに他の態様において、センサにはRFIDタグがさらに設けられ、値はRFIDタグとエレメントに搭載されたRFIDタグの間の通信を介して逆浸透膜エレメントに対応付けられる。
【0014】
一態様において、逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法が提供され、方法は、逆浸透膜エレメントと、逆浸透膜エレメント内の浸透管と、逆浸透膜エレメントの浸透管内の伸長プローブ管と、性能の評価に用いられる値を測定するように構成されプローブ管の入口側に配置された少なくとも1個のセンサと、センサに電子的に通信して測定結果を記録する記録デバイスとを含む圧力ベッセル中のシステムを提供すること、少なくとも1つの値を測定すること、測定の結果を記録デバイスに伝送すること、および結果に基づいて性能を評価することを含む。
【0015】
この方法のさらに他の態様において、少なくとも1つの値は浸透物流量に関するデータを含む。
【0016】
この方法のさらに他の態様において、少なくとも1つの値は浸透物電導度に関するデータをさらに含む。
【0017】
この方法のさらに他の態様において、センサにはRFIDタグがさらに設けられ、値はRFIDタグとエレメントに搭載されたRFIDタグの間の通信を介して逆浸透膜エレメントに対応付けられる。
【0018】
この方法のさらに他の態様において、方法は、評価がシステムの性能を向上させるために交換が必要であることを指示する場合に、エレメントを交換することをさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施形態は、エレメントがROユニット中で運転中に膜エレメントの浸透管中の浸透物流量および浸透物電導度の同時測定を可能にする一体化されたセンサデバイスを含む。特に好ましい実施形態は、伸長された小さな直径の支持配管に搭載された熱流計センサおよび電導度センサを含む。このセンサデバイスは圧力ベッセルの浸透口を経由して運転中の膜エレメントの浸透管中に挿入し、圧力ベッセル中で互いに接続することができる。センサが浸透管中で動かされると、それは圧力ベッセルに沿ってさまざまな点の浸透物流量および浸透物電導度に関連した電気信号を発生する。電気信号は、センサを外側の記録デバイスに接続するワイヤによって、または測定データの発生および無線伝送のいずれかによって伝送される。
【0020】
熱流計センサおよび電導度計センサ(集合的に「測定デバイス」と呼ぶ)に電力供給するために必要な電気エネルギーは無線周波数放射、再充電可能なバッテリー、無線周波数識別(RFID)タグから変換された電力、電磁気エネルギー、小さな直径の支持配管に搭載されたタービンからのエネルギー、または当業者には既知のエネルギー供給の他の形によって供給することができる。好ましい実施形態の測定デバイスはRFIDタグによってに電力供給される。RFIDタグは、圧力ベッセルの内側または外側に配置された受信機など、RFIDタグからの情報を取り出すデバイスによって発生する電磁エネルギーによって起動されるのが好ましい。起動されるとき、RFIDタグはその測定を行う測定デバイスに電力を伝えることが好ましい。特に好ましい実施形態において、データはRFIDタグに記憶され、これは同時におよび/または後に取り出すことができる。他の好ましい実施形態において、測定デバイスは再充電可能なバッテリーによって電力供給される。例えば、それらのバッテリーは、ニッケルカドミウムバッテリー、リチウムイオンバッテリー、および当業者には既知の他のバッテリーを含むが制限されない。好ましい実施形態において、バッテリーは起動されたRFIDタグから伝送されたエネルギーによって再充電されてもよい。他の好ましい実施形態において、測定デバイスは外側の源からの無線周波数(RF)エネルギーによって起動することができる。さらに他の実施形態は、磁気エネルギー、電磁エネルギー、または当業者には既知の他の形のエネルギーによって電力供給される測定デバイスを含む。
【0021】
(浸透物流量測定)
デバイスの一実施形態において、浸透物流量は熱流計を用いて測定される。それらのデバイスの実施例は、特許第5,271,138号、第4,794,794号、第4,848、147号、4,621,929号、4,537,068号に開示され、その全体は参照により組み込まれている。
【0022】
一般に、熱流計は流体に晒された小さな電気的に加熱された素子から伝送される熱の変化を検出することによって流体速度を測定する。
【0023】
ワイヤが流体に浸漬され電流によって加熱されると、ワイヤの温度は増加し、電力入力は、
=h(T−T)・・(1)
であり、式中、
I=電流の値
=ワイヤの抵抗
=ワイヤの熱伝導係数
=ワイヤの表面積
=ワイヤの温度
=流体の温度である。
【0024】
また、ワイヤの抵抗は温度の関数であり、
=R〔1+α(T−T)〕・・(2)
であり、式中、
は基準温度でのワイヤの抵抗であり、
αはワイヤの熱抵抗係数であり、
は基準温度である。
【0025】
ワイヤの熱伝導係数hは次の数式に従う流体速度vの関数である。
=a+b*v・・(3)
式中、bおよびcは較正によって得られる係数である。
【0026】
上記の3つの数式を組み合わせることによって、熱伝導係数hを除去して再配置し、流体速度の解を得ることができる。
={(I〔1+α(T−T)〕/S(T−T)−α)/b}1/c・・(4)
【0027】
エレメントを通過する流れによって形成される冷却効果はエレメントに対する電流と釣り合うので、エレメントは一定の温度に保持される。流速の変化による電流の変化は流量計出力の電圧として現れる。
【0028】
ここで、浸透物流量および浸透物電導度を測定するデバイスに用いるのに適した熱流計の一実施形態を説明する。図1を参照すると、好ましい実施形態において有用な熱過渡流量計の流体流量測定デバイスは、参照番号10で全体が表わされる。デバイス10は熱電対検出プローブ12を含み、矢印14で示される流体流路中に挿入して流速を測定することができる。
【0029】
流体の流れ14は浸透管などの導管またはダクト16に収容することができる。熱電対プローブ12は1対の較正ワイヤ20、22を含み、これらは接続されてプローブ12の端部に隣接して配置された従来の熱電対接合部24を形成する。
【0030】
この実施形態において、熱電対12はシース式プローブとして示され、その特定の実施例は図6〜10に示される。また、シース式ではないプローブも用いることができる。シースは流体14の影響から接合24を保護する。
【0031】
単一の、好ましくは電子的な制御ユニット26がブロック図で示される。制御ユニット26は、例えば、図14の実施例で示したように、熱電対プローブ12から遠隔部位に位置することができ、熱電対プローブは支持管173の末端部に位置し、制御ユニット26は記録デバイス174内に位置することができる。ユニット26は、パルススイッチ30を経由してワイヤ22の1つに結合された電源装置28を含む。
【0032】
ユニットは時間対電圧記録計34に連結された電圧測定機器32を含む。電圧および時間の測定値は計算ユニット36に連結され、プローブ12の温度減衰または時間定数から流体の流速を相関させる。計算ユニット36は、目視および/またはハードコピー出力を発生することのできる出力または表示ユニット38に連結される。
【0033】
デバイス10およびプローブ12のサイクル運転は図2に最善に示される。時間tでパルススイッチ30は閉じられ、時間間隔(t−t)の間、比較的高電圧のパルスをワイヤ20と22の間に結合する。接合部24近くのプローブ12の温度は抵抗加熱によって測定される流体の温度以上に上昇する。例えば、典型的な流体の流量測定において、プローブの温度は流体の温度の5〜10°F以上まで上昇することができる。後に説明するように、電力パルスは正確な制御または測定を必要としない。
【0034】
時間tにおいて、スイッチ30は開かれて電力をワイヤ20、22から取り除く。電力が取り除かれると、熱電対12における温度分布は緩和し始める。時間tで、接合部24の温度Tは測定値を記録計34に連結する機器32によって測定される。第2の時間t2で、接合部24の温度Tは再び機器32によって測定され、再び記録計34に連結される。
【0035】
次いで、2つの測定値T、Tは、図3および4で以下に提供される解析に従って、ユニット36において流れ14の対応する流速の計算に用いられる。時間tで、必要であればサイクルは再び繰り返すことができる。温度TおよびTは完全に相関がなく、同じ値である必要はない。流体のバルク温度が実質的に一定でないとき、第2の従来の基準熱電対接合部が必要であろう。
【0036】
接合部24の温度減衰の数学的解析は図3に示したグラフによって特徴付けられる。最初に、時間tで、接合部24は温度関数f(r)で記述される任意の温度プロファイルを有する。プローブ12を無限に長い均一な固体円筒としてモデル化すると、半径「r」および時間「t」の関数としての温度分布は以下の数式5の古典的な級数解によって記述することができる。この議論は、流体温度がゼロであると仮定するゼロ参照理論に基づいて行われるので、プローブ温度「T」は実際には基準温度からの差を表す。実際の実施において、流体温度は測定されて知られるので、流体とプローブ温度間の対応する測定差は数学的に容易に相関させることができるであろう。
【数5】

式中、
T=所与の半径および時間でのプローブと流体間の温度差
r=半径
a=円筒の外側半径
t=時間
H=円筒状面の対流係数
h=H/K
k=K/ρC
ρ=密度
C=熱容量
K=円筒内の熱伝導度
=オーダーゼロのベッセル関数
α=超越式2の平方根
αJ’(aα)+hJ(aα)=0・・(6)
【0037】
十分な減衰時間t−tの後、プローブ12における初期の温度条件は緩やかであり、同じ級数における全ての項はゼロに近づき1を許容する。時間t後の減衰式は、
【数7】

で近似することができ、式中、
【数7A】

は流れ条件および半径位置rの固定初期条件についての定数であり、αは超越式6の最小平方根(固有値)である。
【0038】
時間tで始まりTに正規化された数式7の半対数プロットが図4に示される。この曲線の傾斜は一定であり数式8によって近似される。初期の条件は大きく消去され、したがって、傾斜は電力パルスの形状、期間、半径位置および大きさに依存しない。数式8を用いて、およびHがαの関数であることを認識する数式6から、対流係数Hは数式8Aを用いて求めることができる。
【数8】

または、
【数8A】

【0039】
流体の動力学を考慮することから、プローブの表面での対流係数は数式9の形における円筒上を流れる流体についての相関を用いて近似することができる。
H=CRe・・(9)
であり、式中、
Re=vd/γ(レイノルド数)・・(9A)
d=円筒の外側直径
v=局部的流体速度
γ=動粘度
および、Cとnは広範囲のRe数に及ぶ既知の経験的定数である。数式9Aを数式9に代入すると、数式10が得られる。
【数10】

【0040】
したがって、局部的流速vは数式6、8A、および10を用いて測定された温度値TおよびTで計算することができる。
【0041】
小さな内部熱抵抗(Biot#=hd<1)について局部的な流速は数式11を用いる数式8の傾斜に近似的に相関する。したがって、固定流体およびプローブ特性について、v対傾斜の対数−対数プロットは傾斜nの直線になる。
=傾斜X定数(Biot#<1)・・(11)
【0042】
上記の定数は固定プローブおよび流体特性に依存する較正定数である。したがって、異なる流体および/または流体温度についてのデータベースを展開することができる。指数「n」は広範囲のRe数におよぶ既知の定数であり、40〜4,000のRe数の範囲について0.466が与えられる。
【0043】
したがって、正規化された測定傾斜値(数式8から)によって、数式11を用いて局部流速vを計算することができる。次いで、局部速度読み取りまたは複数の読み取りに基づくダクト16中の総流は、多くの従来の流れ測定方法において用いられるように、流体条件、ダクトサイズ、プローブ位置等を用いて計算することができる。
【0044】
一実施形態において用いることのできる流量計の他の実施形態の一般化されたブロック図および論理図は図5に参照番号40で全体が表わされる。熱電対接合部42は1対の較正ワイヤ44と46によって増幅器48に連結される。ワイヤ44は接地することができ、ワイヤ46は線52によってパルススイッチ50に連結することができる。パルススイッチ50は線56によって電源装置54に連結される。
【0045】
増幅器48はワイヤ58および60によってアナログ−デジタル変換器(A/D)62に連結される。A/D変換器62の出力は線66によってプロセッサ64に連結される。マイクロコンピュータまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサ64も線68によってスイッチ50に、および線70によってディスプレイ72に連結される。図示されないが、望むならば、増幅器48の入力に適切なフィルタリングを提供して、接合部42に加えられた過渡的な電力パルスから増幅器48を絶縁することができる。
【0046】
デバイス40において、プロセッサ64はパルススイッチ50および電源装置54によって接合部42に印加されるパルスのタイミングを制御する。接合部42からの電圧は増幅器48によって増幅され、デジタル処理で用いられるデジタル信号へ変換され、次いでディスプレイ72に表示することができる。デジタル信号はプロセッサ64用のマイクロプロセッサの使用とともに最も好ましいが、アナログ論理プロセッサも用いることができ、この場合、プロセッサ64および付属の回路を省略することができよう。
【0047】
デバイス10および40は良好な安定性、繰り返し性、および感度を有する。デバイス10および40は同時複数流れ測定技術に容易に適合することができる。熱電対は確立された信頼性、精度、および耐久性の歴史を有し、デバイス10および40は熱電対の概念を組み込むことから利益を得る。特定の熱電対設計が図6〜10に示される。
【0048】
従来の熱電対において、熱電対の長さ全体が十分な電力を印加することによって加熱される。電力消費の削減は熱電対接合部周辺の熱電対の先端領域だけを加熱することによって達成することができる。特に図6〜10に説明される以下のプローブは、製造コストを最小にするため標準的な製造技術を用いるように設計される。シース式熱電対の使用は、その確立された信頼性、精度、および耐久性の歴史をデバイス10および40に組み込むことを可能にする。さらに、熱電対は運転コストを低減し携帯バッテリー電力供給用途を強化するために電力要求を最小にするように修正される。
【0049】
図6を参照すると、シース式熱電対プローブ74の第1実施形態が最善に示されている。プローブ74は閉じられた先端78で終端するシースの外側本体76を含む。第1較正ワイヤ80は、ワイヤ80を高電導度材料および/または大直径のワイヤから形成することによって、比較的低い電気抵抗を有するように形成される。第2較正ワイヤ82は、ワイヤ82を低電導度材料および/または小直径のワイヤから形成することによって、比較的高い電気抵抗を有するように形成される。
【0050】
接合部84は先端78に隣接して形成され、ワイヤ82は先端78に接地され、したがってシース本体76に接地される。先端78は接合部84に隣接して局部的に加熱される。先端78の局部的加熱は低抵抗ワイヤ80とシース本体76間に比較的高い電圧を印加することによって達成される。したがって、電流はワイヤ80を経由して接合部84に流れ、抵抗加熱は無視される。接合部84から、電流は高抵抗ワイヤ82を通って接地された先端78に流れる。したがって、ワイヤ82は接合部84と先端78の間で加熱されて先端78を局部的に加熱する。シース本体76を通って流れる電流は最小のまたは無視できる抵抗加熱を発生する。プローブ74の温度検出は接合部84のワイヤ80および82間のゼーベック効果を用いることによって行われる。
【0051】
シース式熱電対プローブ86の第2実施形態は図7に示される。プローブ86は先端89を備えるシース本体88を含む。第1の低抵抗較正ワイヤ90は先端89に接地された高抵抗ワイヤ部分94に先端89の直前の接合部92で接続される。第2の低抵抗較正ワイヤ96も先端89に接地される。
【0052】
電力パルスが印加される間の先端89の局部的加熱は、ワイヤ90と96間に比較的高い電圧を印加することによって達成される。ワイヤ90と96の高い電導度のため、先端89に隣接する高抵抗ワイヤ部分94においてのみ高い抵抗加熱が起きる。プローブ86の温度検出はワイヤ90および96間のゼーベック効果を用いることによって達成される。ワイヤ96も省略することができ、したがって電圧はワイヤ90とシース本体88間に印加することができる。
【0053】
第3のシース式熱電対プローブの実施形態は図8において数字98で全体的に表わされる。プローブ98も低抵抗シース本体100を有するが、プローブ98は高電気抵抗材料から形成された先端102を有する。1対の低抵抗較正ワイヤ104および106は先端102に接地される。先端102は高い電導度のワイヤ104および106間に比較的高い電圧を印加することによって局部的に加熱され、高い抵抗加熱は先端102においてのみ起きる。再び、温度検出はワイヤ104および106間のゼーベック効果を用いることによって達成される。あるいは、電圧はシース本体100と較正ワイヤの1つの間に印加することができ、これは低抵抗ワイヤから形成された他の較正ワイヤの必要性を省く。
【0054】
他のシース式プローブ108の実施形態が図9に示される。プローブ108は先端112を有するシース本体110を含む。1対の比較的低抵抗のワイヤ114および116が高抵抗ワイヤ118の部分によって先端112に隣接して接続される。先端112は比較的高い電圧パルスを1対のワイヤ114および116の間に印加することによって局部的に加熱され、これは部分118を抵抗加熱し、したがって先端112を加熱する。再び、プローブ108の温度検出は1対のワイヤ114および116間のゼーベック効果を用いることによって達成される。
【0055】
シース式プローブ120の第5実施形態は図10に示される。プローブ120は先端124を有するシース本体122を含む。低抵抗のワイヤ126が先端124に接地される。先端124の局部的加熱を達成するために、先端124は先端102(図8)などの高抵抗材料とすることができ、またはワイヤ126は先端にワイヤ部分94(図7)などの高抵抗部分を含むことができる。1対の較正ワイヤ128および130は、ワイヤ128および130間のゼーベック効果を用いることによる温度検出のために用いることができる。
【0056】
あるいは、4つ以上の複数のワイヤ構成も用いることができる。例えば、2つのワイヤを電力パルスの提供のために用い、2つの別の較正ワイヤをゼーベック効果温度検出に用いることができる。他の代替は、較正ワイヤ128および130を従来の非接地熱電対と同様に非接地のままにすることである。
【0057】
流れ測定デバイス10の運転の流れ図が図11に示される。熱電対(t/c)12はブロック146で示されるように、最初に図2における時間t−t−1などの間、パルス駆動される。次いで、ブロック148で示されるように、図2における時間t、tなど少なくとも2回、接合部温度減衰として温度が測定される。次いで、ブロック150で示されるように、数式8に従って減衰曲線の傾斜が計算される。次いで、ブロック152で示されるように、傾斜から数式11に従って流体速度が求められる。
【0058】
次いで、各電力パルスの組の測定から求められた速度はブロック154に示されるように、表示することができる。あるいは、またはさらに、電力パルスによって決定された速度は、ブロック156によって示されるように、記憶し後続のパルス測定と一緒に平均化することができる。各速度値は表示することができ、平均も表示することができ、または平均だけを表示する必要がある。平均は連続運転平均とすることができ、または固定時間の平均とすることができる。各速度が求められた後、線158で示すように、再びこの順序を繰り返すことができる。
【0059】
上記技術に基づいて修正および変更が可能である。プローブの加熱は説明したように電気抵抗加熱(ジュール加熱)によって行うことができる。流体に対するプローブの加熱または冷却もペルティエ加熱または冷却によって行うことができる。望むならば、シース式プローブは従来のポッティング材料を含むことができる。一般に、較正ワイヤは熱電対合金から形成される。いくつかのプローブ実施形態において、較正ワイヤ間に分離ワイヤ部分またはプローブ先端を追加することは、接合部が実質的に同じ温度に維持されるかぎり測定に影響を与えない。したがって、好ましい実施形態に有用な熱流計は、特別に説明した以外のものも含むことを理解すべきである。
【0060】
流量計の代替の実施形態は回転部材を含む。それらの液体流量計は液体流路および支持管の入口端部中に取り付けられた回転翼またはタービンを含むことができ、回転翼またはタービンの回転数はそこを通る液体流容積の測定を提供する。液体流量計は、回転翼またはタービンの運動の回転を検出するための電気回路を提供することができ、回転可能なシャフトに磁石要素を接続すること、および磁石の近くにコイルまたは誘導性ピックアップ回路を提供することが典型的であり、回転磁石は変動する磁場を発生してピックアップに連結された回路に影響を与え、それによってシャフトの回転に相当する電気信号を発生する。続いて、電気信号は増幅され、RFIDタグなどのいくつかの指示デバイスの形態を動かす駆動信号に変換される。
【0061】
一実施形態は液体流量計を含み、磁石が回転可能な回転翼シャフトに取り付けられる。強磁性抵抗回路の形態の磁場センサが回転可能な磁石の物理的近傍に配置され、磁場はセンサに電気信号を誘起し、この信号は増幅されて適切な論理ネットワークを駆動する形にされ、論理ネットワークは検出信号の計数と対応する流れ容積の指示を計算する働きをする。
【0062】
流量計の他の実施形態は磁石を用いる。例えば、第1磁石が回転可能な回転翼シャフトに取り付けられ、第2磁石は第1磁石の近傍に配置されるが、液体流チャンバーの外側に配置される。第2磁石の回転は第1磁石の回転場によって誘起され、第2磁石によって発生した回転場は誘導センサによって検出されてシャフトの回転を表す電気信号を発生する。次いで、電気信号は表示回路の駆動に用いられてデバイスによって検出された容積流の読み取りを提供する。
【0063】
他の実施形態はシャフトに搭載した磁石を用いる流量計を含む。例えば、流量計は回転シャフトに取り付けられた第1磁石および指示シャフトに取り付けられた第2磁石を有し、第2磁石は回転可能および磁気的に第1磁石に連結され、回転シャフトが流量計筺体を通る流体の流れによって回転するとき、指示シャフトの対応する回転を提供する。
【0064】
他の実施形態は回転タービンまたは回転翼式の液体流量計を含み、流量計を通る液体の流れは非磁性材料から作られたシャフトの正の回転変位をもたらす。永久磁石はシャフトの端部近くに埋め込まれ、回転翼端部のシャフトは非磁性材料から作られた筺体中に回転可能に搭載される。磁気的に動作されるリードスイッチが筺体の外側の永久磁石を埋め込んだシャフト端部近くに配置され、シャフトの各完全な回転によって2つのリードスイッチは磁気的に誘起されて閉じる。リードスイッチは計数器および電子読み取りを含むバッテリーで運転される論理回路に連結され、リードスイッチの閉止は、例えば、RFIDタグに提供される流れ容積データに変換される。
【0065】
回転可能な回転翼および流量計空洞の内部設計は、所定の容積的変位特性を提供するように制御され、回転翼の各回転は、シャフトの単一回転中に通る液体流容積と論理回路およびディスプレイがユニットを計数し表示するようにされた測定単位の間の予め定めたフラクション関係を提供するように論理回路に調和する。したがって、測定の単位は回転可能なタービンまたは回転翼の1つの線形寸法を変化することによって修正することができる。
【0066】
(浸透物電導度測定)
また、好ましい実施形態は浸透物流の電気的特性を監視する測定デバイスを含む。水の電導度を測定するデバイスの運転は、2つの電極間の水の抵抗の測定に基づくことが好ましい。抵抗測定センサは流れ測定デバイスとしていくつかの位置に搭載できることが好ましい。上述のように、浸透物流量は熱流計を用いて測定される。
【0067】
浸透物電導度測定デバイスの好ましい実施形態は液体の電気特性を監視する測定デバイスを含む。水の電導度を測定するデバイスの動作は、2つの電極間の水の抵抗の測定に基づくのが好ましい。少なくとも2つの電極間の電流を測定するデバイスは逆浸透フィルターデバイスおよび/またはシステムのコア管上または中に配置できることが好ましい。それらのデバイスの実施例は、特許第3,867,688号、および第4,132,944号に開示され、その全体は参照により援用されている。それらのデバイスに電力供給するために必要な電気エネルギーは無線周波数放射、再充電可能なバッテリー、RFIDタグから伝送された電力、電磁エネルギー、または当業者に既知の他のエネルギーの形によって供給することができる。
【0068】
好ましい実施形態の浸透物電導度測定デバイスは、一体化して搭載された熱電対を有する電導度セルからなる。図13に示すように、電導度測定デバイス170の電極は測定デバイスの開放シールド171内に装着される。電導度セルがa.c.サイン波励起源間に接続されるとき、得られる電流はセルのアドミタンスに比例する。この電流は2つの直交成分、すなわち、励起電圧を90°にし電導度セルの電極間の液体の誘電率(k)に比例するチャージ電流と、励起電圧の相であり液体の抵抗またはコンダクタンスに反比例するオーム性電流に分解される。
【0069】
アドミタンス(コンダクタンス)の実成分に対する温度補償はアレニウスの絶対速度モデルに基づくことができる。したがって、コンダクタンスは熱エネルギー(RT)および導電性化学種の平衡位置を分離する活性化エネルギーΔEの関数であることが好ましい。処理温度TでのコンダクタンスGは以下の数式によって基準温度TでのコンダクタンスGに補正することができる。
=G10(T−T)・・(12)
または、
LogG=logG+b(T−T)
式中、
b=ΔE/〔2.303RT0k
式中、
ΔE=活性化エネルギー(カロリー/モル)
R=気体定数(カロリー/モル°K)
0k=T°(ケルビン)
である。
【0070】
浸透物電導度測定デバイスに埋め込まれた熱電対は処理液体温度Tに比例する信号を発生するが、基準温度Tおよびbに類似の一定の信号は適切な回路によって発生する。T、T、bに比例するこれらのアナログ信号は結合されてb(T−T)を表す信号を形成する。logG関数はb(T−T)を表す信号にコンダクタンスGを表す信号を加えて形成され、真数増幅器に送られ、この出力信号は液体の望ましいコンダクタンス値Gを表す。
【0071】
ラジアン/秒の励起周波数で除したときのアドミタンスの虚数成分は液体の処理温度TでのキャパシタンスCである。液体の簡単な容積膨張および極性分子の希釈溶液についてのデバイモデルに基づいて、液体の誘電率kの温度依存性は、アメリカ規格基準局回覧514(National Bureau of Standard circular 514)に報告されたように、
k=k−α(T−T)・・(13)
の形で得られる。
測定されたキャパシタンスに関して、
=C−aC(T−T)・・(14)
であり、式中、Cは基準温度Tでの液体のキャパシタンスであり、Kは基準温度Tでの誘電率であり、αは容積膨張係数であり、a=α/Kである。
【0072】
この数式は基準温度Tでの空気中のセルのキャパシタンスC’が、処理温度Tでの液体のキャパシタンスCを処理温度Tでの液体の誘電率kで除した値にほぼ等しいと仮定する。この仮定は回路の値を何も変えずに異なるC’値を有する異なる電導度セルの使用を可能とするために行われ、温度による誘電率の変化が±10%を超えない限り正確であり、これは通常RO濾過システムに見られる温度と圧力での水の場合である。
【0073】
a(T−T)に比例する信号は、コンダクタンス補償回路中のb(T−T)項を形成するために用いられる同じ方法によって発生される。液体のキャパシタンスCに比例する信号およびa(T−T)に比例する信号は、アナログ掛け算器に供給されて、これらの2つの信号の積aC(T−T)に比例する信号を発生する。次いで、この積信号はキャパシタンス信号Cから電気的に減算され、基準温度Tでの液体のキャパシタンスCに比例する信号を生成する。
【0074】
例えば、浸透物電導度測定デバイスの好ましい一実施形態において、図15に示すように、直交発信器217は1000Hzのサイン波電圧を発生し、これは増幅器218によって増幅され、処理液体に浸漬された液体センサプローブの電導度セル219へシールド線によって供給される。電導度セル219を流れる電流は電流変換器222によって比例する電圧に変換され、狭帯域増幅器223によって増幅される。次いで、この増幅された電圧信号は相分割器224によって2つの逆極性の信号に分割され、これは第1掛け算器225と第2掛け算器226のそれぞれの回路へ供給される。
【0075】
第1掛け算器225において、相分割器の出力信号は、直交発信器217によって発生した、電導度セル219に印加された電圧の相にある矩形波電圧信号を乗じて、電導度セル219を流れる電流の実数成分に比例し、したがって、液体のコンダクタンスGに比例する出力信号を生成することが好ましい。
【0076】
第2掛け算器226において、相分割器の信号は、直交発信器217によって発生した、電導度セル219に印加された電圧の相から90°外れた矩形波電圧信号を乗じて、電導度セル219中の液体を流れる電流の虚数成分に比例し、したがって、処理温度Tでの液体のキャパシタンスCに比例する出力信号を生成することが好ましい。
【0077】
また、液体センサプローブは、それに埋め込まれた熱電対228を含み、プローブに液体の温度に比例する信号を生成することが好ましい。この温度信号は増幅され、増幅器と補償回路230中で温度に対して線形にされる。
【0078】
好ましい実施形態において、この補償された温度信号は液体処理温度Tに正比例し、基準温度Tに比例する信号と共に図16の温度補償回路に用いられて、コンダクタンスGおよび測定温度Tでの液体のキャパシタンスCに比例する信号をコンダクタンスGおよび基準温度Tでの液体のキャパシタンスCに比例するそれぞれの信号に変換する。この監視装置の大部分の用途において、基準温度Tは処理運転中の液体の概略の平均温度であるように選択されるので、温度補償は処理運転中の液体の最高温度と最低温度間の範囲だけ行われる。
【0079】
図16において、増幅器は基準温度Tに比例する信号を生成するのに用いられるのが好ましく、そこから処理液体温度Tに比例する信号を電気的に減算することができる。増幅器232の入力は基準電圧抵抗器234を経由して正の電圧源に接続され、フィードバック抵抗器236が増幅器の入力と出力の間に接続されて基準温度Tに正比例し、基準温度抵抗器234の値は基準温度Tに反比例し、基準温度Tの選択を可能にする可変抵抗器とすることができる。また、増幅器232からの出力信号は選択された温度Tでの熱電対増幅器からの出力温度信号に等しくなければならいので、フィードバック抵抗器236の値は熱電対増幅器230の信号特性によって決定される。熱電対増幅器230の電圧出力信号が500℃で10ボルトであり、温度Tによって℃あたり0.02ボルトの割合で変化すると仮定すれば、基準温度増幅器232の出力電圧信号は0.02(−T)ボルトに比例することが好ましい。したがって、正の電圧源が15ボルトであり、温度抵抗234の値が1/T×10オームに等しく選択されるならば、フィードバック抵抗器236の値は0.02(−T)ボルトの出力信号を生成するために約13,300オーム(13.3K)であることが好ましい。
【0080】
この0.02(−T)の電圧信号は10K抵抗器を通して積算増幅器238の入力に供給され、熱電対増幅器230からの0.02(T)の電圧信号も他の10K抵抗器242を通して同じ増幅器の入力に供給されることが好ましい。100Kフィードバック抵抗器244は増幅器238の入力と出力の間に接続されて0.2(T−T)ボルトの出力温度補償信号を生成し、これはコンダクタンスおよびキャパシタンス補償回路の両方に供給される。測定された液体温度Tが基準温度Tに等しいとき、温度補償信号はない。
【0081】
この0.2(T−T)の温度補償信号は1/b×10オームのコンダクタンス補償抵抗器248を通して増幅器246の入力に供給されるのが好ましく、この装置が異なる「b」値を有する異なる液体で使用できるように可変抵抗器とすることができる。10Kのフィードバック抵抗器250はその入力と出力の間に接続されるのが好ましい。20b(T−T)で表わされる増幅器246の出力は、200Kのスケーリング抵抗器254を通して積算増幅器252の入力に供給される。
【0082】
液体コンダクタンスGに比例する第1増幅器225からの出力信号は抵抗器260を通して対数増幅器258の入力に供給されるのが好ましい。このコンダクタンス信号の最大値が+5ボルト全量であると仮定すれば、抵抗器260は、100μAの最大入力電流が対数増幅器258に流れるように50Kのオーム抵抗を有するように選択することができ、対数増幅器258はμlog(入力電流A/100μA)の伝達関数を有するように選択することができるので、対数増幅器258の電圧出力は−logGボルトであることが好ましい。
【0083】
また、好ましい実施形態において、この−logG信号は10K抵抗器255を通して積算増幅器252の入力に供給され、前述のようにlogG=logG+b(T−T)であるので、logG+b(T−T)ボルトまたはlogGボルトの出力信号を生成する。このlogG電圧信号は10K抵抗器259を通して増幅器256の入力に供給されることが好ましく、10Kのフィードバック抵抗器260はこの入力と増幅器256の出力の間に接続され、入力信号を変換して増幅器256から−logGボルトの出力信号を生成する。次いで、この−logG信号は、10×10−x(式中、xは入力信号である)の伝達関数を有する反対数増幅器262の入力に供給されて、液体のコンダクタンスGに正比例する0〜10ボルトの出力信号を生成する。
【0084】
この浸透物電導度測定デバイスにおいて、第2掛け算器226からのキャパシタンス信号の最大値は−5ボルトであり、液体のキャパシタンスCに比例する10ボルトの正の全量出力が望ましいので、第2掛け算器226からの入力信号は−C/2ボルトで示される。
【0085】
増幅器238からの0.2(T−T)ボルトの温度補償信号は1/a×10のオーム値を有するキャパシタンス補償抵抗器266を通して他の増幅器264の入力にも供給される。このキャパシタンス補償抵抗器266は可変抵抗器とすることができ、異なる「a」値を有する異なる液体で用いるように調節することができる。5Kの増幅器フィードバック抵抗器268は、他の増幅器264の入力と出力の間に接続されて、その増幅器の−10〔a(T−T)〕ボルトの出力信号を生成するのが好ましく、これはアナログ掛け算器270の第1入力に供給される。第2掛け算器226からの−C/2ボルトの信号はアナログ掛け算器270の第2入力に供給される。アナログ掛け算器270は2つの入力信号の積の1/10の伝達関数を有し、a(T−T)C/2ボルトの出力信号を生成する。アナログ掛け算器のこの出力信号は10K抵抗器274を通して積算増幅器272の入力に供給される。また、第2掛け算器226からの−C/2ボルトの信号も10K抵抗器276を通して増幅器272の同じ入力に供給される。20Kのフィードバック抵抗器278は増幅器の入力と出力の間に接続されてC−aC(T−T)に比例する出力信号、または前述のようにC=C−aC(T−T)であるので、液体のキャパシタンスCに比例する出力信号を生成することが好ましい。
【0086】
浸透物電導度測定デバイスの好ましい実施形態において、電荷移動動力学(ファラデーインピーダンス)および電極の分極効果を低減し、液体との電極の容量結合(二重層キャパシタンス)を強化するために、電導度セルの電極間に印加される電圧には1000Hzの比較的高い周波数が選択される。また、この実施形態に用いられる動作増幅器および他の電子部品はこの動作周波数で容易に市場で入手可能である。しかし、本開示はこの周波数を用いるデバイスに制限されず、約100Hz〜10Hzの範囲内の任意の周波数を用いることができる。また、公称動作温度範囲、基準温度Tからの処理温度Tの最大偏差および最大絶対信号補正は回路部品の選択によって決定されるのが好ましい。
【0087】
浸透物電導度測定デバイスの他の実施形態において、コンダクタンスは無電極デバイスによって測定される。それらのデバイスにおいて、液体のコンダクタンスの無接触測定は、キャパシタを一次トランスリングコアの一次巻によって直列に荷電することによって得られる。キャパシタ、巻線のインダクタンス、および固有抵抗の結果として一次巻線の間に減衰された振動信号が生成されるように、キャパシタは周期的に放電される。少なくともその通路部分に液体を含むループは、第1リングコアの1回巻きの二次線として働き、第2トランスリングコアの1回巻きの一次巻線として働く。放電が開始される場合、ループの抵抗に関係なくループ間に一定の電圧が現れるので、放電の開始に現れ、第2コアの二次巻線中の放電開始のループの電流に相当するピーク電流を測定することによって、液体のコンダクタンスはオームの法則を用いて求めることができる。
【0088】
上述の電導度測定はRO濾過デバイスを通過する液体の塩分の評価に制限されず、当業者であれば容易に総溶解固形分(TDS)の測定に適用できることを理解すべきである。
【0089】
加えて、塩分またはTDSを測定するために液体のコンダクタンスを得ることは絶対必要なことではなく、密度法、または屈折法などの他の既知の方法も用いることができる。
【0090】
(浸透物流量および浸透物電導度測定デバイス)
この開示のシステムは図12に示した圧力ベッセルに用いることができる。圧力ベッセルは内部に多数の膜エレメント163を備える円筒状管161である。エレメントはアダプター162を用いて端部プレートに接続され、インターコネクター164を経由して互いに接続される。圧力ベッセルは供給口165および濃縮口166を有する。浸透物は浸透口167を通って圧力ベッセルを出る。1つの浸透口はキャップ168によって閉じられる。圧力ベッセルは圧力ベッセル組み立て体(ROトレイン)の一部とすることができ、これは並列に接続された多数の圧力ベッセルを含む。図12に示すように、膜エレメントは圧力ベッセル中に収容され、これは100〜1200psiの圧力の下で動作する。ROトレインの運転中に、膜エレメントにアクセスすることは不可能である。したがって、完全なエレメント性能の測定は全て、ROトレインを停止し、圧力ベッセルからエレメントを取り外し、分離した試験ユニット中でそれらを個々に試験することによって行わなければならない。運転中に、圧力ベッセルから組み合わされた浸透物の電導度を測定することが可能である。また、キャップ168を通して小さな直径のプロービング管を挿入することによって、圧力ベッセルに沿って複合電導度を測定することも可能である。プロービング管の他の端部で採取された浸透物のサンプルは、圧力ベッセルの特定の位置に対応する。しかし、電導度の結果単独ではエレメントの性能を計算するには不十分である。エレメントの性能を計算するには圧力ベッセルに沿った浸透物の流量値が同様に必要である。浸透物流量、浸透物電導度の測定結果、および供給圧力、濃縮物圧力、供給塩分および温度のデータは正規化されたエレメント性能の計算を可能にする。現在まで、個々の膜エレメントの浸透物流量をそれらがROユニットで運転中に測定する便利な方法はなかった。
【0091】
一実施形態において、図13に示した一体化されたセンサは、小さな直径の管に搭載され開放流シールド171によって保護された熱流計プローブ169および電導度プローブ170を含む。図14に示すように、電導度測定を行うには、支持する小径管173に搭載された一体化プローブがプラグ168の小さな開口を通して浸透管172中に挿入される。センサは配線によって少なくとも1つの記録デバイス174に接続される。好ましい実施形態において、記録デバイスは、プロービング管の入口側が配置される個々の逆浸透膜エレメントに取り付けられたRFIDタグである。あるいは、センサは信号を発生し、それを無線で記録デバイスに送ることができる。プラグ168の開口は、通常小さな直径のボールバルブによって閉じられる。浸透物は浸透物多岐管に接続された圧力ベッセルの他の端部の浸透口を通って圧力ベッセルを離れる。この構成は、流量および電導度測定の処理中に浸透水が外に漏れる量を最小にしながら、プラントの運転中にプローブをバルブの開口を通して挿入することを可能にする。その上にセンサが搭載された支持管は、接続された隣接エレメントの浸透管の内部に徐々に動かされ浸透物流量および電導度の読み取りが記録され、圧力ベッセルの長さの内部の特定の位置に相関させることができる。これは当分野に既知の多くの方法で達成することができる。例えば、センサはデータを最も近いRFIDタグに伝送することができ、これはプローブの入口側が存在するエレメントに付属するタグであろう。あるいは、圧力ベッセルの外側のトラックに配置された記録デバイスによって発生した電磁放射線は個々のエレメントのRFIDタグを逐次的に起動するために用いることができ、次いで、これはプローブが各エレメントを通過する際にセンサからのデータを受け取るであろう。それらの通信は測定された値をセンサが配置された個々のエレメントに直接対応付けることを可能にし、これは個々のエレメントの性能測定を容易にするであろう。あるいは、測定値は圧力ベッセル中に挿入された支持管の長さを測定することによって個々のエレメントに対応付けることができる。
【0092】
浸透物圧力ベッセル中の膜エレメントが接続された浸透管内部を流れる浸透物は、浸透物流量および浸透物電導度の集合量を有する。接続された浸透管の長さに沿って測定値を得ることによって、所与の点での流量と電導度の組み合わせに対する浸透物の寄与を計算することが可能である。エレメントの過去の性能履歴のデータと組み合わせた測定値は、システムにおけるエレメントの現在の状態を求める上で重要である。また、システム性能を向上させるために交換すべきエレメントの選択のために必要な情報を提供する。
【0093】
圧力ベッセルの特定の位置に対応する浸透物の電導度はプロービング管の出口端部で測定することができるので、電導度をプロービング管の入口端部で測定する必要はない。一実施形態において、プロービング管は入口端部での浸透物流量を測定する機構だけを含み、浸透物電導度は出口端部で測定される。
【0094】
全ての可能な実施形態を列挙していないが、本開示は当業者の知識に基づくさまざまな変化、補正および修正を組み込む異なる実施形態を包含する。本開示の形は例示のためであり、その範囲を制限するものではないことを明らかに理解すべきである。また、これらの実施形態に対する修正は、それらが本開示の精神から逸脱しない限り本開示の範囲に包含される。
【0095】
(関連出願)
本出願は2006年3月13日出願の米国仮出願第60/781,858号に対し優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】測定システムに用いることのできる熱流計の一実施形態の部分図および部分ブロック図である。
【図2】熱流計のプローブのサイクル運転を示すグラフである。
【図3】熱電対プローブの特性温度減衰のグラフである。
【図4】熱電対プローブの正規化された温度減衰の半対数プロットである。
【図5】一実施形態による測定システムに有用な熱流計に用いることのできる一論理回路のブロック図である。
【図6】熱流計に用いることのできるシース式プローブの実施形態である。
【図7】熱流計に用いることのできるシース式プローブの実施形態である。
【図8】熱流計に用いることのできるシース式プローブの実施形態である。
【図9】熱流計に用いることのできるシース式プローブの実施形態である。
【図10】熱流計に用いることのできるシース式プローブの実施形態である。
【図11】熱流計の動作のフロー図である。
【図12】圧力ベッセル中の逆浸透膜エレメントの配置を示す概要図である。
【図13】支持体に搭載されて一体化された熱流計センサと電導度センサデバイスの構造を示す図である。
【図14】RO膜エレメントの浸透管中に挿入された支持配管に搭載された熱流計センサの配置を示す概要図である。
【図15】一実施形態による測定システムに用いることのできる電導度プローブの概要ブロック図である。
【図16】図15の電導度プローブの温度補償回路の概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜エレメントの性能を評価することの可能なシステムであって、
前記逆浸透膜エレメントと、
前記逆浸透膜エレメント内の浸透管と、
前記逆浸透膜エレメントの浸透管内の伸長プローブ管と、
前記性能の評価に用いられる値を測定するように構成され、前記プローブ管の入口側に配置された少なくとも1個のセンサと、
前記センサと電子的に通信して前記測定の結果を記録する記録デバイスとを備えるシステム。
【請求項2】
前記性能の評価に用いられる値を測定するように構成された前記センサが、浸透物流量を測定するためのセンサを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
浸透物流量を測定するための前記センサが熱流計センサを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
浸透物電導度を測定するためのセンサをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
浸透物電導度を測定するための前記センサが、一体化されて搭載された熱電対を有する電導度セルを含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
電源が前記センサに電力供給する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電源が少なくとも1つの無線周波数識別(RFID)タグを含む請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子的通信が前記記録デバイスおよび前記センサを接続する配線を介して行われる請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電子的通信が前記記録デバイスおよび前記センサを接続する無線接続を介して行われる請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサにRFIDタグがさらに設けられ、前記値が、前記RFIDタグと前記エレメントに搭載されたRFIDタグの間の通信を介して逆浸透膜エレメントに対応付けられる請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1つの前記エレメントを含む圧力ベッセル中に請求項1に記載のシステムを提供すること、
(b)少なくとも1つの前記値を測定すること、
(c)前記測定の結果を前記記録デバイスに伝送すること、
(d)前記結果に基づいて前記性能を評価することを含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法であって、前記少なくとも1つの値が浸透物流量に関するデータを含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法であって、前記少なくとも1つの値が浸透物電導度に関するデータをさらに含む方法。
【請求項14】
請求項11に記載の逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法であって、前記センサにRFIDタグがさらに設けられ、前記値が、前記RFIDタグと前記エレメントに搭載されたRFIDタグの間の通信を介して逆浸透膜エレメントに対応付けられる方法。
【請求項15】
請求項11に記載の逆浸透膜エレメントの性能を評価する方法であって、
(e)前記評価が、システム性能を向上するために交換が必要であることを指示する場合に、前記エレメントを交換することをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−530082(P2009−530082A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500407(P2009−500407)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/006152
【国際公開番号】WO2007/108977
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(506299098)
【Fターム(参考)】