説明

個人認証装置

【課題】
本発明の目的は、個人認証装置の高さ方向を小さくしても画像歪を発生することなく血管パターンを撮像でき、安価に構成できる個人認証装置を提供することにある。
【解決手段】
指7の先端部と根元部を搭載する指搭載台23の下部に指の透過光を横方向に屈折させるミラー8を配置する。ミラー8で横方向に屈折された透過光により指の血管パターンをカメラモジュール4により撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いて個人を識別する個人認証装置に関し、特に指の血管パターンを使用した個人認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の体を鍵として利用する生態認証技術は、従来の暗証番号や鍵による管理に比べ、遺失や盗難等による不正行使の恐れが少ないことから注目を集めている。特に、指の血管パターンを用いた個人認証は、心理的抵抗感が少なく、また、生態の表面ではなく内部の特徴により認証するので、偽造が困難という利点がある。
【0003】
血管パターンを使用した個人認証装置は、指を透過する近赤外線を指に照射して透過光をCCDカメラなどで撮像し、血管部分が近赤外線を透過しにくいことにより撮像された血管パターンと予め登録されている血管パターンとの照合を行い、個人認証を行う技術である。
【0004】
このような個人認証装置においては血管パターンの撮像不能領域を無くし鮮明な血管パターンを得るために指の両側に複数個の近赤外線光源を配置して指に照射するようにしている。この小余波、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−265269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の従来技術は指の下部に撮像カメラを配置している。カメラは光軸が短いと画角を大きくする必要がある。画角が60°以上になると画像歪を発生する。このため、個人認証装置の高さ方向を大きくせざるを得なくなる。個人認証装置の高さ方向を小さくするには特殊レンズを用いる必要があり高価になるという問題点を有する。
【0007】
本発明の目的は、個人認証装置の高さ方向を小さくしても画像歪を発生することなく血管パターンを撮像でき、安価に構成できる個人認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴とするところは、指の先端部と根元部を搭載する指搭載台の下部に指の透過光を横方向に屈折させるミラーを配置し、ミラーで横方向に屈折された透過光により指の血管パターンをカメラモジュールにより撮像するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明はミラーで横方向に屈折した透過光をカメラモジュールで撮像しているので光軸を長くできる。したがって、個人認証装置の高さ方向を小さくしても画像歪を発生することなく血管パターンを撮像でき、安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上ケースには指の先端部と根元部を搭載する指搭載台が形成されている。撮像部材は、上部の長手方向両側に光源収納室を形成され、また、指搭載台の下部に撮像室を有している。撮像部材の光源収納室に長手方向に沿って複数個の光源が配置されている。複数個の光源は指搭載台に搭載された指に両側から指を透過する光を照射する。ミラーは撮像部材の撮像室に傾斜して配置され、指の透過光を横方向に屈折させる。カメラモジュールは撮像部材の撮像室側面に固定され、ミラーで屈折された透過光により指の血管パターンを撮像する。カメラモジュールは撮像部材への固定位置を調整できるように構成されている。外部と通信制御を行う制御モジュールは撮像部材に着脱自在に保持されている。下ケースは上ケースと結合され、撮像部材、カメラモジュールおよび制御モジュールを収容する。
【実施例】
【0011】
図1〜4に本発明の一実施例を示す。図1は組立斜視図、図2は分解斜視図、図3は要部の縦断面図、図4は一部破断した断面図である。
【0012】
個人認証装置1は図2に示すように矩形の上ケース2、撮像部材3、撮像部材3に固定されたカメラモジュール4、撮像部材3に保持されている制御モジュール5及び上ケース2と結合される矩形の下ケース6から構成されている。上ケース2と下ケース6の間に撮像部材3(カメラモジュール4、制御モジュール5を含む)を挟み下ケース6の四隅に設けたネジ座61からネジ(図示せず)を螺合し上ケース2とネジ結合すると、撮像部材3は上ケース2と下ケース6に収容固定され、図1に示すように組立てられる。
【0013】
上ケース2には半円形状の凹溝21が形成され、凹溝21の長手方向の2箇所に指先端部搭載台22と指根元部搭載台23が形成されている。指先端部搭載台22は透明材で形成され、図3に示す指7の位置決めと後述する案内ランプ51の点灯状態を表示する。指先端部搭載台22と指根元部搭載台23の間の溝21は穴(空間)24が形成されている。
【0014】
撮像部材3は、上部の長手方向両側に光源収納室31a,31bが形成されている。光源収納室31a,31bには長手方向に沿って複数個の光源32が配置されている。
光源32として近赤外線を発生する発光ダイオードが用いられる。光源32は図8に示すように光源収納室31a,31bの底面に取り付けた基板33に固定される。図8は指7の長手方向に7個の光源32を設けている例を示している。
【0015】
光源収納室31aと31bの対抗面には長手方向に形成したスリット34a,34bが設けられている。光源32の発生する近赤外線はスリット34a、34bから上ケース2の空間24、つまり、指搭載台22,23に搭載された指7に照射される。スリット34a,34bには防塵用のカバー35a,35bが配設されている。
【0016】
撮像部材3には2本の支持脚36が設けられている。制御モジュール5は2本の支持脚36の下部に形成した爪36aにより弾性挟持される。制御モジュール5は撮像部材3に着脱自在に保持される。制御モジュール5は制御用途に応じて簡単に交換することができる。制御モジュール5には案内ランプ51が取付けられている。案内ランプ51は点滅点灯、連続点灯によって認証状態を表示する。
【0017】
また、撮像部材3には指搭載台22,23の下部に撮像室37が形成されている。撮像室37の上面には近赤外線を透過させる透過材で形成された防塵用の表面カバー71が設けられている。撮像室37はミラー8を傾斜して支持する支持板38を有している。支持板38は図5に示すように45°傾斜して設けられている。ミラー8は図5、図6のように支持板38に沿って破線矢印で示すように嵌挿され、支持板38のフック38aに係止される。ミラー8は指7の透過光を横方向に屈折させる。
【0018】
撮像部材3の撮像室側壁にはミラー8で屈折された透過光により指7の血管パターンを撮像するカメラモジュール4が固定されている。カメラモジュール4は図5、図7に示すように基板41とレンズ42で構成され、基板41には四隅に位置調整用取付穴43が穿設されている。取付穴43の径は撮像部材3に形成した図7に示すボス45より大きくなっている。レンズ42と図7に示すレンズ挿入孔44の間には図3に示すように不要な光の侵入を防止するために軟質ラバー47が設けられている。
【0019】
撮像室37の側壁には図7に示すようにレンズ挿入孔44が穿設されており、外面にはレンズ挿入孔44を囲うように4個のボス45が設けられている。カメラモジュール4を撮像部材3に固定するにはレンズ挿入孔44にレンズ42を嵌挿し、基板41の位置調整用取付穴43に4個のボス45を遊嵌させる。
【0020】
表面カバー71のチャート紙72を載置して、チャート紙72の中心72aがカメラ光軸に合うように位置調整用取付穴43に対するボス45の遊嵌位置を調整する。チャート紙の中心がカメラ光軸に一致した位置においてネジ46で固定する。
【0021】
この構成において、カメラモジュール4はミラー8で横方向に屈折された透過光により指7の血管パターンを撮像しているので光軸を長くできる。したがって、個人認証装置1の高さ方向を小さくしても画像歪を発生することなく血管パターンを撮像でき、安価に構成することができる。
【0022】
また、カメラ光軸を透過光の光軸に一致するようにカメラモジュール4の固定位置を調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例を示す組立斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例を示す要部の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す一部破断した断面図である。
【図5】本発明の組立説明図である。
【図6】本発明の組立説明図である。
【図7】本発明の組立説明図である。
【図8】本発明の一実施例における光源の取付け構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1…個人認証装置、2…上ケース、3…撮像部材、4…カメラモジュール、5…制御モジュール、6…下ケース、7…指、8…ミラー、22、23…指搭載台、31…光源収納室、32…光源、37…撮像室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の先端部と根元部を搭載する指搭載台と、前記指搭載台に搭載された指に両側から指を透過する光を照射する光源と、前記指搭載台の下部に配置され、指の透過光を横方向に屈折させるミラーと、前記ミラーで屈折された透過光により指の血管パターンを撮像するカメラモジュールとを具備することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
上ケースに形成され、指の先端部と根元部を搭載する指搭載台と、上部の長手方向両側に光源収納室を形成され、前記指搭載台の下部に撮像室を有する撮像部材と、前記撮像部材の光源収納室に長手方向に沿って配置され、前記指搭載台に搭載された指に両側から指を透過する光を照射する複数個の光源と、前記撮像部材の撮像室に傾斜して配置され、指の透過光を横方向に屈折させるミラーと、前記撮像部材の撮像室側面に固定され、前記ミラーで屈折された透過光により指の血管パターンを撮像するカメラモジュールと、前記撮像部材に着脱自在に保持され、外部と通信制御を行う制御モジュールと、前記上ケースと結合され、前記撮像部材、前記カメラモジュールおよび前記制御モジュールを収容する下ケースとを具備することを特徴とする個人認証装置。
【請求項3】
請求項2において、前記カメラモジュールは撮像部材への固定位置を調整できるように構成されていることを特徴とする個人認証装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−54335(P2007−54335A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243745(P2005−243745)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】