説明

停止判定装置及び停止判定方法

【課題】車種などの違いによる停止判定のばらつきを抑制し、正確な停止判定を行う停止判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】移動体に備えられ、加速度を検出する加速度センサ及び/又は角速度を検出する角速度センサと、連続する所定期間毎に、該所定期間における加速度及び/又は角速度に基づく期間比較値を特定する制御部と、前記期間比較値を記憶する記憶部と、を備えた停止判定装置であって、前記制御部は、今回特定した期間比較値と、前記記憶部に記憶された前回特定した期間比較値との差分値を算出し、前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が停止状態か否かを判定する停止判定装置及び停止判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体(例えば、車両やバイク)にナビゲーション装置を設置・搭載して、ユーザが所望する目的地までの経路探索や経路案内に利用されている。
【0003】
ところで、ナビゲーション装置には、ナビゲーション装置が設置・搭載された移動体が停止している(停止状態)か否かを判定する必要が生じる場合が存在する。
【0004】
停止状態か否かを判定する必要が生じる場合としては、例えば、車両内のスタンドに着脱可能なポータブルナビゲーション装置において、該ポータブルナビゲーション装置の取り付け角度を算出する際に必要であり、また、停止時間(アイドリング時間)を計測し、環境運転評価やアイドリングストップを促す際にも必要となる。さらに、車両が停止しているとき以外では、テレビ視聴や複数回の操作を必要とする機能を実行できないように制御する際にも必要である。
【0005】
そのため、停止状態か否かを判定するために種々の方法が提案されている。例えば、ナビゲーション装置が備える加速度センサや角速度センサの出力に基づく加速度や角速度を閾値と比較し、加速度や角速度が閾値以下であれば停止状態と判定することが行われている。
【0006】
しかしながら、停止時(アイドリング状態)における振動は、車種やエアコン等の作動状態によって様々である。例えば、トラックと電気自動車であれば、停止時(アイドリング状態)における振動が大きく異なる。
【0007】
そのため、車種に関係なく一様に閾値を設定していては、ナビゲーション装置がトラックに設置された場合には、実際にはトラックが停止しているにも関わらず、トラックの停止時(アイドリング状態)における振動により停止状態と判定されない、或いは、ナビゲーション装置が電気自動車に設置された場合には、実際には電気自動車が低速で移動しているにも関わらず、ナビゲーション装置に加わる振動が小さいため停止状態と判定してしまうなどの問題が生じていた。
【0008】
そのため、下記特許文献1(特開2008−37115)では、G値(加速度値)のばらつきを考慮した停止判定を行うために、今回測定した加速度値と前回測定した加速度値との差分値を算出し、該差分値と閾値とを比較することで停止判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−37115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1における前回測定した加速度値とは、直前に測定した加速度値(特許文献1に記載の通り5秒毎に加速度値を計測するのであれば、5秒前の加速度値)である。
【0011】
しかしながら、停止時(アイドリング状態)における振動による加速度は、ある値で一定となるのではなく、時間経過と共に変化する(例えば−0.5[G]〜0.5[G])ため、前回測定した加速度が、停止時(アイドリング状態)における振動による加速度のうちの小さい値(−0.5[G])であり、今回測定した加速度が、停止時(アイドリング状態)における振動による加速度のうちの大きい値(0.5[G])であれば、差分値(1[G])が大きくなり、停止しているにも関わらず走行状態と判定してしまう恐れがある。
【0012】
そこで、本発明では、所定期間における加速度又は角速度に基づいて期間比較値(例えば、所定期間内における加速度又は角速度の最大値)を特定して記憶し、今回特定した期間比較値と記憶されている期間比較値の差分値を算出し、この算出した差分値に基づいて停止状態か否かの判定を行う停止判定装置及び停止判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、移動体に備えられ、加速度及び/又は角速度を取得し、連続する所定期間毎に、該所定期間における加速度及び/又は角速度に基づく期間比較値を特定し、記憶部に前記期間比較値を記憶させる制御部を備えた停止判定装置であって、前記制御部は、今回特定した期間比較値と前記記憶部に記憶された前回特定した期間比較値との差分値を算出し、前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定することを特徴とする。
【0014】
さらに、本願発明の前記期間比較値は、前記所定期間における加速度に基づく期間最大加速度、期間最小加速度及び期間平均加速度、並びに、前記所定期間における角速度に基づく期間最大角速度、期間最小角速度及び期間平均角速度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
さらに、本願発明の前記制御部は、前記差分値の絶対値と閾値を比較し、前記差分値の絶対値が閾値以下である場合に前記移動体が停止状態であると判定することを特徴とする。
【0016】
これにより、複数の閾値を設けることなく、車種などの違いによる停止判定のばらつきを抑制し、正確な停止判定を行うことが可能となる。
【0017】
さらに、本願発明の前記制御部は、現在位置を検出するGPS受信機から現在位置を取得し、前記現在位置及び前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定することを特徴とする。
【0018】
これにより、等速で走行している場合において、停止状態と判定してしまうことを防止することが可能となる。
【0019】
さらに、本願発明では、前記所定期間は、前記移動体の停止時における振動の周期以上の長さであることを特徴とする。
【0020】
これにより、所定期間内に少なくとも1度はピークを迎えることとなり、停止判定に有効な期間比較値を特定することができるようになる。
【0021】
前記課題を解決するために、本願の請求項6にかかる発明は、移動体に備えられる停止判定装置の停止判定方法であって、加速度及び/又は角速度を取得するステップと、連続する所定期間毎に、該所定期間における加速度及び/又は角速度に基づく期間比較値を特定するステップと、前記期間比較値を記憶させるステップと、今回特定した期間比較値と前回特定した期間比較値との差分値を算出するステップと、前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、所定期間における加速度又は角速度に基づいて期間比較値(例えば、所定期間内における加速度又は角速度の最大値)を特定して記憶し、今回特定した期間比較値と記憶されている前回特定した期間比較値の差分値を算出し、この算出した差分値に基づいて停止状態か否かの判定を行うため、車種などの違いによる停止判定のばらつきを抑制し、正確な停止判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかる制御部が行う制御動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例にかかる記憶部に記憶される加速度を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかる記憶部に記憶される加速度を時間変化とともに表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するためにナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の停止判定装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明の一実施例であるナビゲーション装置1の構成ブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御部10、GPS受信機11、加速度センサ12、角速度センサ13、地図記憶部14、音声出力部15、表示部16、操作部17、記憶部18を備えて構成される。
【0026】
なお、以下の説明では、ナビゲーション装置1が設置・搭載される移動体として車両を例示するが、これに限ることはなく、バイクや自転車に設置・搭載されてもよいし、歩行者により保持され(備えられ)てもよい。
【0027】
制御部10は、CPU、ROM、RAM(何れも不図示)からなるプロセッサで構成され、ROM、RAMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御・統括するものである。
【0028】
また、制御部10は、ユーザが操作部17を介して設定した目的地までの経路を地図記憶部14に記憶された地図情報とダイクストラ法などの手法を用いて探索する。
【0029】
GPS受信機11は、ナビゲーション装置1(ナビゲーション装置1が搭載された車両)の現在位置や進行方向を検出するものであり、例えば、地球上空を周回している3個以上のGPS衛星から時刻情報及び位置情報を含む電波を受信して処理することにより検出することができる。
【0030】
加速度センサ12は、ナビゲーション装置1に加わる加速度を検出するセンサであり、例えば、左右(x)、上下(y)、前後(z)の3軸の加速度を検出するためのセンサであってもよい。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、何れかの1軸のみにかかる加速度を検出する場合を例示する。
【0031】
角速度センサ13は、角速度を検出するセンサであり、ロール、ヨー、ピッチの3軸角速度センサであってもよい。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、何れかの1つの角速度を検出する場合を例示する。
【0032】
制御部10は、GPS受信機11によって検出された現在位置を加速度や角速度で補完(GPS受信機11によって現在位置が検出される間の現在位置を加速度や角速度で推測する等)し、また、GPS受信機11によって現在位置が検出できない場合(トンネルなどを走行する場合)には、加速度や角速度に基づいて現在位置を算出する。
【0033】
なお、本実施例においては、加速度センサ12及び角速度センサ13は、0.01[s]毎に加速度又は角速度を出力するものとして説明を行う。後述するが、0.01[s]毎に加速度センサ12及び角速度センサ13から出力された加速度又は角速度は、制御部10により記憶部18に記憶される。
【0034】
地図記憶部14はハードディスクなどの記憶媒体で構成され、地図記憶部14には、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータと、地形図データとを含む地図情報が記憶されている。
【0035】
道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が含まれる。道路リンクデータには、始点および終点となる道路ノード番号、道路種別、ノード間の距離情報であるリンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータには、さらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所、制限速度等のデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報であり、種別以外にも道路の名称を含んでいてもよい。地形図データには、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ等が含まれる。
【0036】
音声出力部15は、スピーカなどで構成され、制御部10の指示に基づいて音声出力部15からは、経路案内の際の音声ガイダンスや、ナビゲーション装置1の操作に必要な音声、警告等のブザー音等が出力される。
【0037】
表示部16は、液晶パネルなどで構成され、制御部10の指示に基づいて表示部16には、地図記憶部14に記憶された地図情報に基づく地図画像、制御部10により探索された経路、現在位置を示す現在位置マーク等が表示され、また操作部17による入力作業のための画面が表示される。なお、表示部16は、タッチパネルとすることで、操作部17の機能を持たせることもできる。
【0038】
操作部17は、ユーザによって操作され、出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力するためのものである。また、操作部17は、上記のタッチパネル以外にも、ナビゲーション装置1に設けられたハードキーで構成されてもよいし、リモコンなどで構成されてもよい。
【0039】
記憶部18は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される。制御部10の指示に基づいて、記憶部18には、加速度センサ12により検出される加速度、角速度センサ13により検出される角速度、後述する期間比較値(期間最大加速度など)が記憶される。また、記憶部18には停止判定の際に用いる閾値も記憶される。なお、記憶部18として別の構成とする必要はなく、例えば、制御部10のRAMを記憶部18としてもよい。
【0040】
ここで、上記説明した通り、車種(トラックや普通自動車など)によって停止時(アイドリング状態)における振動が異なるため、加速度センサ12から出力される加速度、又は、角速度センサ13から出力される角速度が閾値以下か否かで、車両の停止を判定することは好ましくない。
【0041】
すなわち、トラックの停止時(アイドリング状態)における振動による加速度の最大値が0.5[G]であり、普通自動車の停止時(アイドリング状態)における振動による加速度の最大値が0.2[G]である場合において、従来のように加速度が閾値以下か否かで判定する場合、閾値を0.5[G]と設定すると、普通自動車が微小な移動(加減速)を行っている場合も停止状態であると判定してしまう恐れがあり、また、閾値を0.2[G]と設定すると、トラックが停止しているにも関わらず、走行状態であると判定してしまう恐れがある。
【0042】
そこで、車種毎に閾値を設けることも考えられるが、その場合には、事前に適切な閾値を設定するために車種毎に停止時(アイドリング状態)における振動による加速度を測定しなければならず、また、ナビゲーション装置1を設置している車両の車種をユーザが選択しなければならず手間が生じる。
【0043】
そのため、本発明では、所定期間における最大加速度(期間最大加速度)を特定し、今回の期間最大加速度と、前回の期間最大加速度との差分値に基づいて、停止判定を行う。
【0044】
これにより、例えば、トラックの停止時(アイドリング状態)における振動による加速度の最大値が0.5[G]であれば、停止状態における今回の期間最大加速度(0.5[G])と停止状態における前回の期間最大加速度(0.5[G])との差分値は小さな値となり、また、普通自動車の場合も同様に、普通自動車の停止時(アイドリング状態)における振動による加速度の最大値が0.2[G]であれば、停止状態における今回の期間最大加速度(0.2[G])と、停止状態における前回の期間最大加速度(0.2[G])との差分値は小さな値となる、そして、この差分値の絶対値と閾値を比較することによって停止判定を行うことで、車種毎の閾値を設定することなく、車種間での停止判定のばらつきを抑えることが可能となる。
【0045】
続いて、図2のフローチャートを用いて、本発明のナビゲーション装置1の制御部10における停止判定の説明を行う。なお、本実施例においては、加速度センサ12から出力される加速度のみを用いて停止判定を行う場合について例示する。
【0046】
まず、制御部10は、加速度センサ12から出力される加速度を取得し(ステップS01)、取得した加速度を記憶部18に記憶させる(ステップS02)。なお、上記の通り本実施例においては、加速度センサ12は、0.01[s]毎に加速度を出力するものとして説明を行うため、記憶部18には、0.01[s]毎に加速度が記憶される。
【0047】
図3に記憶部18に記憶される加速度を示す。図3では、0.01[s]毎に加速度が記憶されている。
【0048】
次に、制御部10は、所定期間を経過したか否かを判定する。本実施例において所定期間とは前回所定期間を経過したときから0.5[s]経過するまでの期間であり、ここでは、前回所定期間を経過したときから0.5[s](所定期間)経過したか否かを判定する(ステップS03)。
【0049】
所定期間を経過したか否かは、種々の方法で判定することが可能である。例えば、ナビゲーション装置1がタイマー(不図示)を備えている場合であれば、前回所定期間を経過したと判定したときにタイマーをリセットし、ステップS03では、該タイマーによる時間計測が0.5[s]以上か否かで判定することができる。
【0050】
また、上記の通り、本実施例においては、0.01[s]毎に加速度を取得し、記憶部18に記憶しているため、記憶部18に記憶されている加速度の数が50個であるか否か(或いは50の倍数であるか否か)で判定してもよい。(但し、50個であるか否かで判定する場合には、後述する期間最大加速度を特定・記憶した後に、記憶部18に記憶されている加速度の削除を行う必要がある。)
ステップS03において、所定期間を経過したと判定した場合は(ステップS03のYES)、ステップS04へ進み、所定期間を経過していないと判定した場合は(ステップS03のNO)、ステップS01へ戻る。
【0051】
なお、本実施例では、ステップS01〜ステップS10までを一連の流れとして記載しているが、ステップS01〜ステップS03は独立して処理が行われていてもよい。すなわち、ステップS04以降の処理が行われている間も、加速度の取得・記憶が行われていてもよい。
【0052】
ステップS04では、所定期間の間に取得した加速度のうち、最大の加速度を期間最大加速度(後述する期間比較値)として特定する。
【0053】
ここで図3(A)及び図4を用いて詳細に説明を行う。図3(A)は、上述した通り、記憶部18に記憶される加速度を示す図であり、図4は、記憶部18に記憶された加速度を時間変化とともに表したグラフである。
【0054】
図4に示すように0[s]〜0.5[s](所定期間)における最大の加速度は図4のA点における値である。すなわち、図3(A)を参照すると0.06[s]時の0.5[G]が所定期間における最大の加速度であるため、制御部10は、この0.5[G]を期間最大加速度として特定する。
【0055】
続いて、制御部10は、ステップS04において、特定した期間最大加速度を記憶部18に記憶させ(ステップS05)、今回特定・記憶させた期間最大加速度よりも過去の(前回の)期間最大加速度が記憶されているか否かを判定し(ステップS06)、記憶されていなければ(ステップS06のNO)、ステップS01へ戻る。なお、ステップS06の判定は、期間最大加速度を記憶部18に記憶させる前に行ってもよい。
【0056】
ステップS01へ戻った後、再度、加速度の取得、記憶を所定期間(0.5[s]から0.5[s]経過した期間、つまり1[s])を経過するまで行い(ステップS01〜ステップS03)、所定期間を経過するとステップS04おいて、期間最大加速度を特定する(ステップS04)。
【0057】
ここで、図3(B)及び図4参照すると、0.51[s]〜1[s](所定期間)における最大の加速度は図4のB点における値である。すなわち、図3(B)を参照すると0.79[s]時の0.48[G]が所定期間における最大の加速度であるため、制御部10は、この0.48[G]を期間最大加速度として特定する。
【0058】
続いて、制御部10は、ステップS04において、特定した期間最大加速度(0.48[G])を記憶部18に記憶させ(ステップS05)。今回特定・記憶させた期間最大加速度よりも過去の(前回の)期間最大加速度が記憶されているか否かを判定する(ステップS06)。
【0059】
ここで、前回のステップS05において、前回の期間最大加速度である0.5[G]が記憶されている。そのため、制御部10は、ステップS07の処理へ進む(ステップS06のYES)。
【0060】
ステップS07では、制御部10は、今回特定・記憶させた期間最大加速度である0.48[G]と、前回特定・記憶させた期間最大加速度である0.5[G]との差分値を算出する(ステップS07)。
【0061】
そして、制御部10は、ステップ07において算出した差分値の絶対値(0.02[G])と、記憶部18に記憶された閾値(例えば、0.05[G])を比較し(ステップS08)、差分値の絶対値が閾値以下であれば(ステップS08のYES)、ナビゲーション装置1が搭載されている車両は停止状態であると判定する(ステップS09)。
【0062】
一方、差分値の絶対値が閾値より大きければ(ステップS08のNO)、ナビゲーション装置1が搭載されている車両は、走行状態であると判定する(ステップS10)。
【0063】
以上説明したとおり、本発明では、所定期間内における最大加速度(期間最大加速度)を特定し、今回の期間最大加速度と、前回の期間最大加速度との差分値に基づいて、停止判定を行うため、車種によって停止時(アイドリング状態)の振動の大きさが異なる場合であっても、正確に停止状態か否かを判定することができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上記説明した実施例以外にも種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、上記実施例において、所定期間として0.5[s]を例示したが、所定期間は0.5[s]に限ることはなく、任意に設定されてもよい。
【0065】
なお、この所定期間は、停止時(アイドリング状態)における振動の周期よりも大きいことが好ましい。すなわち、所定期間の間に必ず一度は振動のピークが訪れる期間であることが望ましく、例えば、停止時(アイドリング状態)における振動(エンジンの振動等)が1[Hz]程度(或いは1[Hz]以上)であることが分かれば、所定期間を1[s]とすることが好ましい。
【0066】
また、上記実施例においては、所定期間における最大の加速度を期間最大加速度として特定したが、これに限ることはなく、例えば、所定期間における最小の加速度を期間最小加速度として特定し、今回特定した期間最小加速度(図4におけるD点である(−0.46[G]))と、記憶部18に記憶された前回の期間最小加速度(図4におけるC点である(−0.45[G]))との差分値の絶対値(0.01[G])と閾値(例えば、0.05[G])を比較することで停止判定を行ってもよい。
【0067】
また、所定期間内における加速度の平均値を算出(特定)して記憶し、今回特定した期間平均加速度(図3(B)の0.51[s]から1[s]までの加速度の平均値)と、記憶部18に記憶された前回の期間平均加速度(図3(A)の0.01[s]から0.5[s]までの加速度の平均値)との差分値の絶対値と閾値を比較することで停止判定を行ってもよい。
【0068】
なお、期間最大加速度や、期間最小加速度、期間平均加速度などの所定期間における加速度(或いは角速度)に基づいて特定される値を期間比較値として説明する。
【0069】
また、本発明においては、加速度センサ12から出力される加速度について説明を行ったが、加速度に限らず、角速度センサから出力される角速度についても同様に、期間最大角速度や、期間最小角速度、期間平均角速度などの期間比較値を特定して記憶させ、上記実施例と同様の処理を行うことで、停止判定を行うことが可能である。
【0070】
また、上記実施例においては説明を省略したが、加速度センサ12が3軸加速度センサであり、また、角速度センサ13が3軸角速度センサである場合、加速度センサ12及び角速度センサ13の夫々の3軸に対して、本発明の処理を行い、すなわち、全ての軸の出力に対して期間比較値を特定し、今回の期間比較値と前回の期間比較値の差分値に基づいて停止判定を行い、全ての軸に対して停止状態と判定した場合にのみ、「停止状態」と判定してもよい。(つまり、何れか1つの軸が走行状態であれば停止状態と判定しない)
また、本発明において、実際に加減速が行われると、加速度センサ12などに停止時(アイドリング状態)に比べ大きな加速度(例えば、2[G])が加わるため、今回の期間比較値(2[G])と前回の期間比較値(0.5[G])の差分値の絶対値(1.5[G])が大きくなるため、走行状態と判定されるが、等速で直進している場合であれば、走行しているにも関わらず、今回の期間比較値と前回の期間比較値の差分値が小さくなることが想定される。
【0071】
そのため、GPS受信機11によって検出される現在位置が移動しているか否かも停止判定に加えてもよい。すなわち、今回の期間比較値と前回の期間比較値の差分値の絶対値が閾値以下であると判定した場合に(ステップS08のYES)、GPS受信機11による現在位置が移動しているか否かを判定し、移動していない場合に、停止状態であると判定することが好ましい。
【0072】
なお、現在位置が移動しているか否かは、例えば、前回検出された現在位置と、今回検出された現在位置(最新の現在位置)との距離が閾値以上か否かなどで判定することができる。
【0073】
また、本発明の停止判定は、GPS受信機11によって検出される現在位置が移動していない場合にのみ行ってもよい。これにより、走行中における停止判定処理を防ぐことができる。
【0074】
さらに、上記実施例では、加速度センサ12が加速度を検出し、角速度センサ13が角速度を検出することを例示したが、制御部10が、加速度センサ12からの出力に基づいて加速度を算出し、角速度センサ13からの出力に基づいて角速度を検出する場合であれば、この制御部10の加速度又は角速度の算出処理までを含めて加速度センサ12又は角速度センサ13とすることが好ましい。
【0075】
また、ナビゲーション装置1が角速度センサ13や加速度センサ12を備えていなくとも、車両に角速度センサ13や加速度センサ12が設けられ、或いは、車両に設けられた他の車載用装置に角速度センサ13や加速度センサ12が設けられていてもよい。
【0076】
その場合は、有線通信又は無線通信を用いて各センサから出力を得る、或いは、他の通信装置から各センサの出力や角速度、加速度を得ることで、本発明の処理を行ってもよい。
【0077】
なお、上記説明したような停止判定は、ナビゲーション装置1が搭載された車両から車速の情報を取得することができないポータブルナビゲーション装置に適用されることが考えられる。
【0078】
ポータブルナビゲーション装置に適用された場合、車両に搭載されている場合と、ユーザ(歩行者)によって保持・携帯される場合とがあるが、ユーザによって保持・携帯される場合に停止判定が不要であれば、車両に搭載されている場合にのみ、本発明の停止判定を行ってもよい。
【0079】
なお、車両に搭載されているか否かの判定は、従来から種々知られている方法を用いることが可能である。例えば、バッテリ駆動中であるか否か(車両から電源供給(12V)を受けているか否か)で判定してもよいし、無線通信などで周囲の車両の位置を受信できる場合であれば、周囲の車両位置とナビゲーション装置1の現在位置を比較して判定することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ・・・ナビゲーション装置
10・・・制御部
11・・・GPS受信機
12・・・加速度センサ
13・・・角速度センサ
14・・・地図記憶部
15・・・音声出力部
16・・・表示部
17・・・操作部
18・・・記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、
加速度及び/又は角速度を取得し、連続する所定期間毎に、該所定期間における加速度及び/又は角速度に基づく期間比較値を特定し、記憶部に前記期間比較値を記憶させる制御部を備えた停止判定装置であって、
前記制御部は、今回特定した期間比較値と前記記憶部に記憶された前回特定した期間比較値との差分値を算出し、前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定することを特徴とする停止判定装置。
【請求項2】
前記期間比較値は、前記所定期間における加速度に基づく期間最大加速度、期間最小加速度及び期間平均加速度、並びに、前記所定期間における角速度に基づく期間最大角速度、期間最小角速度及び期間平均角速度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の停止判定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記差分値の絶対値と閾値を比較し、前記差分値の絶対値が閾値以下である場合に前記移動体が停止状態であると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の停止判定装置。
【請求項4】
前記制御部は、現在位置を検出するGPS受信機から現在位置を取得し、前記現在位置及び前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の停止判定装置。
【請求項5】
前記所定期間は、前記移動体の停止時における振動の周期以上の長さであることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の停止判定装置。
【請求項6】
移動体に備えられる停止判定装置の停止判定方法であって、
加速度及び/又は角速度を取得するステップと、
連続する所定期間毎に、該所定期間における加速度及び/又は角速度に基づく期間比較値を特定するステップと、
前記期間比較値を記憶させるステップと、
今回特定した期間比較値と前回特定した期間比較値との差分値を算出するステップと、
前記差分値に基づいて前記移動体が停止状態か否かを判定するステップと、
を有することを特徴とする停止判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−163465(P2012−163465A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24710(P2011−24710)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】