傾斜センサ、それを備えた加工装置及びワーク加工方法
【課題】測定面の傾斜量を高精度に測定する。
【解決手段】光源1より測定面2へ照明光20を照射し、その反射光を回折格子8に入射させる。回折格子8より生じる±1次の回折光22は光学ユニット3の一対の回折格子9に入射し、測定面2の傾斜量に応じた光路差を持つ2つの回折光23を生じる。各回折光23を集光光学素子10により受光素子4に集光させると、上記光路差により干渉光を生じる。この干渉光の強度変化を測定することで上記光路差を求めて、測定面2の傾斜量を計算する。
【解決手段】光源1より測定面2へ照明光20を照射し、その反射光を回折格子8に入射させる。回折格子8より生じる±1次の回折光22は光学ユニット3の一対の回折格子9に入射し、測定面2の傾斜量に応じた光路差を持つ2つの回折光23を生じる。各回折光23を集光光学素子10により受光素子4に集光させると、上記光路差により干渉光を生じる。この干渉光の強度変化を測定することで上記光路差を求めて、測定面2の傾斜量を計算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査ステージ等の傾斜量を高精度に測定するための傾斜センサ、それを備えた加工装置及びワーク加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学金型加工に代表される超精密化加工の分野において、加工機の走査ステージの姿勢変化によるステージ傾斜量に伴う加工形状に及ぼす影響が問題になっている。加工点はステージ面上ではなく、100〜200mm離れた場所に存在するので、僅かな姿勢変化が大きな加工形状誤差となる。仮に加工点がステージ面より150mm上方に存在する場合、僅か1/100″程度のロール及びピッチ方向のステージ傾斜量が意図せずに発生すると、加工点では約10nm程度の位置決め誤差となり、切削加工ではそのまま形状誤差となる。従って、形状精度が数ナノメートルから数10ナノメートルの超精密加工を行う場合には上記傾斜量を測定し、補正することが求められている。
【0003】
従来の測定面の傾斜を測定する傾斜センサとしては、大きく分けて2種類ある。1つは複数の変位センサを用いるものである。例えば、2個の変位センサを既知の間隔だけ離して配置し、測定面との変位出力差を取ることにより、傾斜量を求めることができる。この方法では、センサの間隔を広げるほど、傾斜量に対して変位出力差が大きくなるので、測定感度が高くなる。
【0004】
2つ目はオートコリメータに代表される傾斜測定器により傾斜量を直接測定する方法である。このオートコリメーション法では、図11に示すように、光源101より照射された光120が所定の傾斜量を持つ測定面102で反射され、コリメータレンズ116に測定面102の傾斜量と同じ入射角で入射する。コリメータレンズ116は光120に対し、入射角に応じて受光素子104上での集光位置を変化させる。この集光位置の変化量を求めることで測定面102の傾斜量を求めることができる。
【0005】
また、オートコリメーション法を応用し、光学ユニットを用いて干渉縞を生成する傾斜測定法がある(特許文献1参照)。この方法では、受光素子面上の干渉縞の位置が傾斜量に応じて変化すると、受光強度が変化するので、干渉縞の位置変化に伴う光強度変化を測定することで傾斜量を求める。
【0006】
回折格子を通過した回折光のスポット位置の変化を測定する方法もある(特許文献2参照)。これは、傾斜量に応じて±1次光のスポット位置が変化すると受光素子の受光強度が変化することで傾斜量を測定する。±1次光の強度変化をそれぞれ測定することで、フラッグ角内での傾斜測定範囲おいて線形性のよい出力信号を得ることができる。
【0007】
さらに、測定面上に2枚のスリットを重ねて配置することで傾斜量を測定する方法がある(特許文献3参照)。この方法では、外部より光を照射した場合に、測定面の傾斜量に応じて光軸方向に対するスリットの重なりが変化することを利用して、ステージ面で反射した戻り光の光量変化を受光素子を用いて測定し、ステージの傾斜量を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−178281号公報
【特許文献2】特開2005−106627号公報
【特許文献3】特開平9−61160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、複数の変位センサを用いた従来の傾斜測定では、高感度測定において以下の問題が存在する。測定感度がセンサ間隔に依存しているため、高感度測定では測定装置が大型になり、温度等の環境変化に対する誤差が大きくなる。さらに、測定面上での測定箇所が複数存在するため、測定面の平面度が測定誤差として存在する。これらの理由により、微小な姿勢変化を測定する際に十分な感度はあるが測定不確かさが大きく、測定精度が不足するという問題がある。
【0010】
オートコリメーション法のように傾斜量を直接測定する従来例においては、受光素子面上の集光スポットのサイズと受光素子の感度や構成の関係により十分な測定感度が得られない問題がある。
【0011】
また、複数のスリットの重なりを用いた傾斜測定においては、測定感度を向上させるにはスリット幅を狭くし傾斜変化量に対する光量の変化量を大きくする必要がある。しかし、光の波長に最小スリット幅は制約されており、一定以上スリット幅を狭くすると光が回折してしまい測定できなくなるので、変位センサを用いた測定と同様に十分な測定感度が得られない。
【0012】
本発明は、測定面上の1点を測定することで高感度に測定面の傾斜量を求めることのできる非接触式の傾斜センサ、それを備えた加工装置及びワーク加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の傾斜センサは、測定面の傾斜量を測定する傾斜センサにおいて、前記測定面へ照明光を出射する光源と、前記測定面からの反射光を複数の光に分けて干渉光を生じさせる光学系と、前記干渉光を受光し、干渉強度を測定するための受光素子と、を有し、前記光学系は、前記反射光を、前記測定面の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、それぞれ回折もしくは屈折させることで前記干渉光を生じさせることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の加工装置は、工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、前記ステージに設けられ、前記ベース面を測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する上記傾斜センサを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の加工装置は、工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、前記ベース面に設けられ、前記ステージを測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する上記傾斜センサを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のワーク加工方法は、工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、前記ステージから前記ベース面に向けて照明光を出射し、前記ベース面から反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のワーク加工方法は、工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、前記ベース面から前記ステージに向けて照明光を出射し、前記ステージから反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
測定面の傾斜による光路差を有する複数の光を干渉させて得られた干渉光の強度変化を検出することで、傾斜量を直接測定するものであるため、高感度に傾斜量を測定することができる。複数の変位計を用いた微小傾斜量の測定に比べて、より小型な測定システムになり、しかも測定面の1点における測定であるため、測定面の平面度の影響が小さい。その結果、小型で測定誤差の少ない傾斜センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図、(c)は測定面の傾斜量と干渉強度の関係を示すグラフである。
【図2】第二の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は測定面の傾斜量と干渉強度の関係を示すグラフである。
【図3】第三の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図、(c)は回折格子の格子間隔と回折角の関係を示すグラフである。
【図4】第三の実施形態の一変形例を示す模式図である。
【図5】第四の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は一変形例を示す模式図である。
【図6】第五の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】第六の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図8】第六の実施形態に係るもので、(a)は反射ミラーの形状を示す図、(b)は第三の実施形態との光路差の比較図である。
【図9】第七の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は傾斜センサの主要部を拡大して示す部分拡大図である。
【図10】第八の実施形態に係るもので、(a)は加工装置の斜視図、(b)は加工装置の断面図、(c)は加工装置の断面図である。
【図11】一従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、それぞれの実施形態の構成を示す図には、共通の構成には同一の符号を用いて説明する。
【0021】
[第一の実施形態]
図1は第一の実施形態による傾斜センサに係るもので、この傾斜センサは、図1(a)に示すように、光源1、光学系を構成する光学ユニット3、受光素子4及び光学素子5を備えている。光源1は、測定面2へ照明光20を出射するものである。光学素子5は、偏光ビームスプリッタと1/4波長板を組み合わせて構成され、アイソレーションに用いられる。この光学素子5は、光源1と測定面2との間に配置され、光源1から出射された照明光20を透過させ、測定面2で反射した反射光を直角に反射させる。したがって、光源1から出射された照明光20は、光学素子5を経て測定面2に照射され、測定面2にて反射して光学素子5に戻り、光学素子5で直角に反射する。光学ユニット3及び受光素子4は、光学素子5で反射した反射光の進行方向下流に配置されている。したがって、測定面2で反射した反射光は、光学ユニット3を経て受光素子4に入射する。光学ユニット3は、測定面2の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に反射光を分けて干渉光を生じさせる光学系を構成するもので、一対のスリット6を軸対称に備える。各スリット6は、光の波長の1倍以上10倍以下であり、5〜50μmの微小なスリット開口である。
【0022】
光源1から照射された照明光20は光学素子5を通過し、測定面2の傾斜量に応じた反射角で反射される。その反射光は再び光学素子5を通過し光学ユニット3に入射し、各スリット6により回折され、2本の回折光21に分かれる。反射光が回折される際、図1(b)に示すように、反射光は光学ユニット3に対して一定の傾斜量を持って入射するので、2本の回折光21には光路差が生じる。一対のスリット6の間隔をD、測定面2の傾斜量をθとした時の光路差Lは以下の式(1)によって表される。
【0023】
【数1】
【0024】
受光素子4は各スリット6より等距離に位置するので、2つの回折光21はそれぞれ光路差Lを保ったまま受光素子4上で干渉する。光路差Lが光の波長の半分の偶数倍、つまり光の波長の整数倍であるときは2つの回折光21の位相が一致するため、受光素子4上の干渉光の強度は最大になる。逆に奇数倍である時には位相が180度反転しているので、干渉光の強度は最小になる。光の波長をλとした時の干渉光の強度が最大になる光路差Lmaxは以下の式(2)によって表される。また、最小になる光路差Lminは以下の式(3)によって表される。
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】
式(1)から式(3)より測定面2の傾斜量の変化に応じて干渉光の強度は周期的に変化するので、干渉強度を受光素子4により測定することで傾斜量を求めることができる。図1(c)に傾斜量と干渉強度の関係を示す。本第一の実施形態では、傾斜量の変化により干渉の強弱が周期的に繰り返す出力が得られる。従って通常の干渉変位計と同様に、干渉の周期をカウントし、かつ1周期を電気分割することで傾斜量の変化を求める。本第一の実施形態では式(1)より、光学ユニット3におけるスリット6の間隔を広げることで分解能は向上し、数秒程度の微小傾斜量で干渉の明暗を繰り返す。従って、本第一の実施形態では照明光20の光径を10〜100mm程度の範囲まで拡大することが望ましい。さらに電気分割を行うことで、測定分解能を数100〜1000倍程度まで向上させることができる。しかし、スリット6の間隔Dを広げると、受光素子の信号のS/N比が低くなり、ノイズの影響が大きくなってしまう。よって、測定仕様に応じて、光源を高出力光源にしたり、受光素子を高感度の受光素子(例えばAPDやPMT)とするなどの工夫は必要である。このように、本第一の実施形態は、単一の測定箇所における傾斜量の測定において、従来の測定方法より高い分解能で測定を行うことが可能となる。
【0028】
[第二の実施形態]
図2は第二の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサの構成を示す。本第二の実施形態では、傾斜センサは、第一の実施形態の構成に加えて測定面側の光学素子5と光学ユニット3の間に配置された回折格子8を有する。測定面2で反射された反射光は光学素子5を経て回折格子8に入射し、回折により±1次光の回折光22及び0次光が生じる。
【0029】
本第二の実施形態における光学ユニット3と回折格子8の位置関係について以下に説明する。回折光22は0次光に対して、回折格子8の格子間隔及び光の波長より求まる所定の回折角を持つ。光の波長をλ、回折格子8の格子間隔をpとした時の回折角φは以下の式(4)によって求められる。
【0030】
【数4】
【0031】
傾斜量の測定レンジが正負両傾斜方向にそれぞれ均一になるように、測定面2の傾斜量0°における回折光22がスリット6の中心に入射することが望ましい。従って、光学ユニット3と回折格子8間の距離rは、光学ユニット3のスリット間隔をD、回折角をφとした時、以下の式(5)によって表される。
【0032】
【数5】
【0033】
回折光22が各スリット6に入射する際、回折光22は測定面2の傾斜量に応じて光学ユニット3に対する入射角がそれぞれ変化するために光路差が生じる。従って、第一の実施形態と同様に、受光素子4における光路差より生じる干渉光の強度変化を測定することで傾斜量が導出される。本第二の実施形態における傾斜量をθとした時の光路差Lは以下の式(6)によって表される。
【0034】
【数6】
【0035】
式(6)より、分母にあるcosφの値は1より小さい値を示すため、傾斜量に対する光路差が第一の実施形態よりも大きくなるので、より高分解能な構成であることがわかる。さらに、第一の実施形態では多くの光が光学ユニット3に遮られてしまっていたのに対して、本第二の実施形態では回折格子8により集光された回折光22が各スリット6に入射するので、より多くの光が光学ユニット3を通過する。このことにより、受光素子4における光量が増加するため、低い感度の素子を選択できるだけでなく、外乱に対しての誤差を減少させることができる。しかし、傾斜量が大きくなると回折光22の中心がスリット6の中心からずれてしまい、光学ユニット3を通過した回折光21の光量が減少してしまう。図2(b)は、本第二の実施形態における傾斜量と干渉光の関係を示す。光量が減少すると信号の振幅が小さくなるので、電気的に分解能が低下してしまう。従って、高精度測定を行う場合は、初期傾斜量を0°近傍に調整することが望ましい。
【0036】
[第三の実施形態]
図3は第三の実施形態に係るもので、図3(a)は傾斜センサの構成を示す。本第三の実施形態では、傾斜センサは、光学ユニット3のスリット6の代わりに配置された一対の回折格子9を有し、さらに集光手段である集光光学素子10を有する。集光光学素子10は単一又は複数の凹凸レンズ、ミラーを組み合わせたものである。
【0037】
第二の実施形態と同様に、測定面2で反射された光は回折格子8を透過して回折光22を生じ光学ユニット3の各回折格子9に入射する。回折格子9の格子間隔は、光学ユニット3の中心より半径方向の外側へ向かうに従い、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化しているため、図3(b)に示すように、回折光22を回折させ平行な回折光23を生じる作用を持つ。図3(c)は格子間隔と回折角の関係を示すグラフである。回折格子9は回折光22における+1次光から生じた−1次光と−1次光より生じた+1次光が平行光となる回折光23を生じる。
【0038】
第二の実施形態と同様に、回折格子8を通過した回折光22は光学ユニット3に入射する際に測定面2の傾斜量に応じた光路差をもつ。従って、回折光23を集光光学素子10により屈折させて受光素子4上に集光し干渉させることで、干渉強度から測定面2の傾斜量が導出される。受光素子4に集光させる際にスリット7を通し、外乱要素を除くことが望ましい。
【0039】
図4に示すように、回折光23を受光素子4上に干渉させるには、ミラー11とビームスプリッタ12などの素子を組み合わせた反射光学系を用いて回折光23を屈折させる集光手段でもよい。
【0040】
本第三の実施形態では第二の実施形態と異なり、受光素子4上に集光する光量が光学ユニット3に対する回折光22の入射角の影響を受けない。従って、傾斜量と干渉光の関係は第一の実施形態と同様に振幅は一定の傾向を示す。回折格子9を用いて平行光にした回折光23を受光素子4上で干渉させることで、第一の実施形態、2ではスリット6を用いて回折光21となり拡散していた光を集めることができる。これにより、受光素子4上での光量が増加するのでより安定した測定が可能になるだけでなく、電気的な分解能も向上する。
【0041】
[第四の実施形態]
図5は第四の実施形態に係るもので、図5(a)に示すように、本第四の実施形態では、傾斜センサは、光学ユニット3の代わりに光学素子13を備える。光学素子13は、第三の実施形態における光学ユニット3と同様に、入射した回折光22の入射角及び入射位置が測定面2の傾斜量に応じて変化しても、光学素子13を透過した光24は常にそれぞれ平行光となるように作用する非球面レンズである。第三の実施形態においては、回折格子9の最小格子間隔には限界があり、傾斜量の測定レンジに制約が存在していたが、非球面レンズは連続した曲面なので、本第四の実施形態ではより測定レンジを広げることが可能となる。図5(b)は、一変形例を示すもので、図5(a)に示す光学素子13の代わりに、分割された光学素子13a、13bを用いる。
【0042】
[第五の実施形態]
図6は、第五の実施形態に係るもので、本第五の実施形態では、図6(a)に示すように、傾斜センサ50は、測定面2と回折格子8との光路間に配置され、光20の径より小さい開口を持つスリット14を備えることを特徴とする。スリット14によって生じる効果について図6(b)を用いて説明する。測定面2以外の部品をパッケージングした傾斜センサ50と測定面2の間隔であるワークディスタンスが変化した際、光20の光軸は光学素子5と回折格子8の光路間においてZ軸方向にオフセットを生じる。このスリット14を備えることで、スリット14通過後の光25の光軸は変化せず一定となり、回折格子8と光学ユニット3における光軸は測定面2の傾斜量に対応して一定となる。従って、第三、第四の実施形態では、ワークディスタンスが変化すると分解能が変化するのに対し、本第五の実施形態ではワークディスタンスが変化しても常に一定の分解能で計測することが可能となる。
【0043】
本第五の実施形態において、ワークディスタンス変化や測定面2の傾斜変化が多くなり、光20がスリット14の開口から外れた場合は測定が困難になる。従って、スリットの開口を小さくすることでワークディスタンスや測定レンジを広げることができる。しかし、回折による光の広がりや、光量の低下による分解能の低下を考慮すると、通常は1mm以上の開口のサイズが望ましい。
【0044】
本第五の実施形態では、傾斜センサ50は、光源1と測定面2の光路間に配置された光学素子15及び光学素子17を備えることで、光20の径を調整し、ワークディスタンスや測定レンジを広げる例を示す。光学素子15と光学素子17は焦点距離が無限大のアフォーカル系の関係を有することで、入射する光20の径を調整することが可能となる。図6においては凸レンズ2枚の構成となっているが、アフォーカル系の関係は凸レンズと凹レンズの組み合わせや、ミラーの組み合わせなど様々な構成が存在する。この様に、光20の径とスリット14の開口サイズは測定条件に対して最も適した径に調整することが望ましく、本第五の実施形態では例えば光20の径はφ2.5mm程度の径に調整し、開口は1mmとしている。
【0045】
本第五の実施形態の集光手段では干渉をNULLとした光を受光素子4へ入射するため、2光束を高精度に重ね合わせる調整が必要となる。本第五の実施形態では集光手段の調整を容易にするため、傾斜センサ50は、集光手段として、集光光学素子10の焦点位置に入射角と回折角が一致する回折格子18を備える例を示す。回折格子18で回折された2光束の+1次光と−1次光の光軸は平行となるので、干渉光の状態をスクリーン等で簡単に目視確認することができ、調整が容易となる。
【0046】
また、本第五の実施形態では傾斜センサをコンパクトにする為、光路中にプリズム16を配置している。また回折格子9は反射型を用いている。この回折格子9により、回折光22を回折、反射させて、平行な回折光26を生じさせる。一般的に反射型の光学素子は透過型に比べて形状誤差の影響が大きい。しかし、回折格子に関しては製造プロセスの関係で、反射型の格子の方が形状やピッチの精度が良く、誤差の影響を低減することができるので、設計に応じて使い分けることが望ましい。もちろん、第三、第四の実施形態における測定面2と回折格子8の光路間に、光20の径より小さい開口を持つスリット14を備える構成であっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
[第六の実施形態]
図7は、第六の実施形態に係るもので、図7(a)に示すように、本第六の実施形態では、傾斜センサ50Aは、回折格子8で生じた回折光22が入射するように配置された非球面ミラーである反射ミラー19を備えている。±1次の回折光である回折光22は反射ミラー19で反射され、入射角に応じた光路差を持つ平行の光27となる。反射ミラー19で反射された光27は、集光手段としての集光光学素子10及び回折格子18によって重なり合い、受光素子4上で光路差に応じた干渉を生じる。図7(b)に回折格子8の中心を原点とした、回折格子8と反射ミラー19付近における光軸の軌跡を示す。
【0048】
反射ミラー19は回折格子8の格子間隔、スリット14から回折格子8までの間隔、回折格子8から反射ミラー19までの間隔の3条件によって形状が求まる。図8(a)に回折格子8の格子間隔pを1μm、スリット14から回折格子8までの距離f1を25mm、回折格子8から反射ミラー19までの距離f2を7.5mmとした時における反射ミラー19の形状を示す。図中の原点は回折格子8の中心であり、反射面の中心付近をアライメント調整用の開口部としている。
【0049】
第三の実施形態において高分解能化するには光学ユニット3の大型化が必要であるのに対し、本第六の実施形態の反射ミラー19はサイズを変えずに高分解能化を実現することが可能となる。これは第三の実施形態の光学ユニット3が平面であるのに対し、本第六の実施形態の非球面ミラー19は曲率を持つ反射面なので、幾何的な光路長変化が生じている為である。一例として、反射ミラー19が図8(a)の形状を持つ場合において、測定面2の傾斜量変化が生じた際の+1次光と−1次光の光路差を、同様のサイズを持つ光学ユニット3と比較した結果を図8(b)に示す。本第六の実施形態の傾斜センサ50Aは第三の実施形態の傾斜センサ50と比べて約2倍の光路差、つまり分解能が得られる。小型の光学素子は大型の光学素子よりも高精度に製作できるので、光学素子の形状誤差の影響を低減し、更に高精度化することが可能となる。
【0050】
[第七の実施形態]
図9は第七の実施形態に係るもので、本第七の実施形態では、図9(a)に示すように、傾斜センサ50Bは、第三の実施形態における回折格子8の代わりに、2次元方向に回折格子を持つ第1の2次元回折格子8Bを有する。さらに、傾斜センサ50Bは、光学ユニット3上において2次元方向に回折格子を持つ第2の2次元回折格子9Bを有する。図9(b)に示すように、第1の2次元回折格子8Bは、格子間隔が等間隔であり、第2の2次元回折格子9Bは、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化している。つまり、第1の2次元回折格子8Bは、平面に沿う一方向の格子間隔が等しく、さらに、平面沿う一方向と直交する方向の格子間隔が同様に等しく形成されている。また、第2の2次元回折格子9Bは、平面に沿う一方向の格子間隔が規則的に変化し、また、平面に沿う一方向と直交する方向の格子間隔が規則的に変化している。なお、各回折格子8B,9Bは、透過型,反射型のいずれでもよいが、本第七の実施形態では、第1の2次元回折格子8Bは、透過型であり、第2の2次元回折格子9Bは、反射型として説明する。測定面2で反射した光が第1の2次元回折格子8Bを通過(透過)することで、2次元方向に±1次の回折光22を生じる。回折光22は測定面2における各軸ごとの傾斜量に応じた光路差がそれぞれ独立して生じているので、1次元と同様の測定方法で2次元の傾斜量を独立して求めることが可能になる。回折光22は、第2の2次元回折格子9Bを通過(反射)することで平行な回折光26となる。従って傾斜センサ50Bは、受光素子4と、回折格子18と、集光光学素子10とをそれぞれ2個ずつ備えている。これら回折格子18,18及び集光光学素子10,10で集光手段が構成されている。また、集光光学素子10は、各軸ごとに屈折させるのでシリンドリカルレンズを用いることが望ましい。
【0051】
第三、第四、第六の実施形態においても、回折格子8を2次元回折格子とし、かつ回折格子9、光学素子13または反射ミラー19を2次元方向に配置することで同様の測定が可能となる。
【0052】
[第八の実施形態]
本第八の実施形態では、第一から第七の実施形態の傾斜センサのうちのいずれかの傾斜センサ、例えば第七の実施形態の傾斜センサを加工装置の姿勢計測に用いた場合について図10を用いて説明する。本第八の実施形態では図10(a)に示す加工装置200にてワーク201を工具202で加工する。加工装置200は、ベース面2上に配置された、工具ステージ203、ワークステージ204、回転軸205及び回転軸206を備えている。工具ステージ203上には工具202が搭載され、ワークステージ204上にはワーク201が搭載される。本第八の実施形態においては、工具ステージ203とワークステージ204はベース面上をそれぞれ一軸方向に移動可能に構成されている。具体的には、工具ステージ203は、Y軸方向に移動可能であり、ワークステージ204はX軸方向に移動可能に構成されている。なお、工具ステージ203とワークステージ204との移動方向はこれに限らず、工具ステージ203及びワークステージ204のいずれか一方のステージがベース面2上を一軸方向に移動可能に構成されていればよい。また、ステージ203,204がさらに別の軸方向に移動可能に構成されてもよい。
【0053】
ここで、工具ステージ203とワークステージ204とが移動する場合には、工具202とワーク201とを高精度に位置合わせするために、工具ステージ203とワークステージ204との相対位置を高精度に合わせる必要がある。図10(b)にYZ面における加工装置200の断面図を示す。本第八の実施形態では、図10(b)に示すように、両方のステージ203,204の姿勢変化量を測定するために、傾斜センサ210が工具ステージ203とワークステージ204にそれぞれに設けられている。この場合、傾斜センサ210の測定対象である測定面は、ベース面2となる。傾斜センサ210は、工具ステージ203とワークステージ204にそれぞれに取り付けられているので、簡便にステージ203,204の姿勢変化量を測定することができる。なお、傾斜センサ210は、移動するステージに設けるのがよく、本第八の実施形態では、両方のステージ203,204に設けられるが、一方のステージが移動可能な場合は、その移動可能なステージに傾斜センサ210を設ければよい。
【0054】
図10(b)に示すように、工具202の工具先端位置と傾斜センサ210の測定点が同一のYZ平面上に存在する。工具ステージ203の重心からの工具加工点の距離LtとX軸周りの初期姿勢θt、ワークステージ204の重心からのワーク201の中心の距離LwとX軸周りの初期姿勢θwを予め求めておき、既知の値とする。これら値の実験的導出方法の1つとして、ステージの姿勢変化時に傾斜センサ210で姿勢変化量を測定し、同時に加工点、及びワーク中心の位置変化を変位センサで2点以上測定することで各ステージの重心位置を求める方法がある。
【0055】
加工時において工具ステージ203とワークステージ204をそれぞれ走査する際、ガイド面の精度や外乱振動、熱変位等で姿勢変化が生じるので、傾斜センサ210で姿勢変化量を測定し、リアルタイムに補正する。工具ステージ203の姿勢変化量であるピッチング量をΔθtx、ロール量をΔθtyとする時、工具202の加工点の位置誤差Δtx,Δtyを式(7)に示す。
【0056】
【数7】
【0057】
同様に、ワークステージ204の姿勢変化量であるピッチング量をΔθwy、ロール量をΔθwxとする時、工具202の加工点の位置誤差Δwx,Δwyを式(8)に示す。
【0058】
【数8】
【0059】
従って、各ステージ203,204の補正量Δx及びΔyが式(9)の様に求まる。
【0060】
【数9】
【0061】
本第八の実施形態の装置構成においては、Δxはワークステージ204の補正量、Δyは工具ステージ203の補正量となる。そして、ワークステージ204は補正量Δxで位置が補正され、工具ステージ203は、補正量Δyで位置が補正される。これにより、工具ステージ203とワークステージ204との相対位置が補正され、工具202とワーク201との相対的な位置決めが高精度になされる。このように、ステージ203,204の姿勢変化量を直接測定するものであるため、高感度にステージ203,204の姿勢変化量を測定することができる。そして、ステージ203,204の補正量を求めてステージ203,204の相対位置を補正しているので、ワークの加工精度が向上する。以上の様に、加工中における姿勢変化による加工位置誤差をリアルタイムに補正することで、従来の加工結果より修正加工するワーク加工方法において、装置再現性以上の加工結果を得ることが困難であった課題を解決することができる。さらに、従来では複数の位置や変位を測定するセンサを配置して姿勢変化を高精度に測定したのに対し、本第八の実施形態では少ないセンサ個数で測定可能となり装置の小型化が可能となる。
【0062】
工具ステージ203のヨーイングは加工点を工具ステージ203の重心のZ軸上方に配置することで影響を抑えることができる。しかし、ワークステージ204のヨーイングは特にワーク201のX軸方向の位置誤差を生じるので、状況に応じてセンサを追加し、同様の方法で除去することが望ましい。
【0063】
空気の揺らぎによる傾斜センサ210の測定誤差を低減するために、装置内部における工具ステージ203のベース面2である、ガイド207のXY平面を測定面として測定する。傾斜センサ210の取り付けの場所に関して、傾斜測定はアッベ誤差の影響を受けにくい特徴を持ち取り付け場所の制約がないので、振動の影響の少ない所に取り付けることが望ましい。
【0064】
なお、傾斜センサ210は、図10(c)に示すように、ベース面2に取り付けられていてもよい。この場合は、工具ステージ203とワークステージ204の少なくとも一方のステージに照明光が出射され、そのステージで反射された反射光を用いてステージの姿勢変化量が測定される。つまり、工具ステージ203が移動可能である場合には、傾斜センサ210は、ベース面2上の工具ステージ203に対向する位置に配置される。また、ワークステージ204が移動可能である場合には、傾斜センサ210は、ベース面2上のワークステージ204に対向する位置に配置される。図10(c)では、両方のステージ203,204が移動可能であるので、それぞれのステージ203,204に対応して傾斜センサ210が設けられている。この場合、傾斜センサ210の測定対象である測定面は、ステージ203,204となる。この場合も同様に、ベース面2に対するステージ203,204の姿勢変化量が測定される。したがって、この場合も上述した効果と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0065】
1 光源
2 測定面
3 光学ユニット
4 受光素子
5、13 光学素子
6、7 スリット
8、9 回折格子
10 集光光学素子
11 ミラー
12 ビームスプリッタ
14 2次元回折格子
50,50A,50B 傾斜センサ
200 加工装置
210 傾斜センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査ステージ等の傾斜量を高精度に測定するための傾斜センサ、それを備えた加工装置及びワーク加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学金型加工に代表される超精密化加工の分野において、加工機の走査ステージの姿勢変化によるステージ傾斜量に伴う加工形状に及ぼす影響が問題になっている。加工点はステージ面上ではなく、100〜200mm離れた場所に存在するので、僅かな姿勢変化が大きな加工形状誤差となる。仮に加工点がステージ面より150mm上方に存在する場合、僅か1/100″程度のロール及びピッチ方向のステージ傾斜量が意図せずに発生すると、加工点では約10nm程度の位置決め誤差となり、切削加工ではそのまま形状誤差となる。従って、形状精度が数ナノメートルから数10ナノメートルの超精密加工を行う場合には上記傾斜量を測定し、補正することが求められている。
【0003】
従来の測定面の傾斜を測定する傾斜センサとしては、大きく分けて2種類ある。1つは複数の変位センサを用いるものである。例えば、2個の変位センサを既知の間隔だけ離して配置し、測定面との変位出力差を取ることにより、傾斜量を求めることができる。この方法では、センサの間隔を広げるほど、傾斜量に対して変位出力差が大きくなるので、測定感度が高くなる。
【0004】
2つ目はオートコリメータに代表される傾斜測定器により傾斜量を直接測定する方法である。このオートコリメーション法では、図11に示すように、光源101より照射された光120が所定の傾斜量を持つ測定面102で反射され、コリメータレンズ116に測定面102の傾斜量と同じ入射角で入射する。コリメータレンズ116は光120に対し、入射角に応じて受光素子104上での集光位置を変化させる。この集光位置の変化量を求めることで測定面102の傾斜量を求めることができる。
【0005】
また、オートコリメーション法を応用し、光学ユニットを用いて干渉縞を生成する傾斜測定法がある(特許文献1参照)。この方法では、受光素子面上の干渉縞の位置が傾斜量に応じて変化すると、受光強度が変化するので、干渉縞の位置変化に伴う光強度変化を測定することで傾斜量を求める。
【0006】
回折格子を通過した回折光のスポット位置の変化を測定する方法もある(特許文献2参照)。これは、傾斜量に応じて±1次光のスポット位置が変化すると受光素子の受光強度が変化することで傾斜量を測定する。±1次光の強度変化をそれぞれ測定することで、フラッグ角内での傾斜測定範囲おいて線形性のよい出力信号を得ることができる。
【0007】
さらに、測定面上に2枚のスリットを重ねて配置することで傾斜量を測定する方法がある(特許文献3参照)。この方法では、外部より光を照射した場合に、測定面の傾斜量に応じて光軸方向に対するスリットの重なりが変化することを利用して、ステージ面で反射した戻り光の光量変化を受光素子を用いて測定し、ステージの傾斜量を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−178281号公報
【特許文献2】特開2005−106627号公報
【特許文献3】特開平9−61160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、複数の変位センサを用いた従来の傾斜測定では、高感度測定において以下の問題が存在する。測定感度がセンサ間隔に依存しているため、高感度測定では測定装置が大型になり、温度等の環境変化に対する誤差が大きくなる。さらに、測定面上での測定箇所が複数存在するため、測定面の平面度が測定誤差として存在する。これらの理由により、微小な姿勢変化を測定する際に十分な感度はあるが測定不確かさが大きく、測定精度が不足するという問題がある。
【0010】
オートコリメーション法のように傾斜量を直接測定する従来例においては、受光素子面上の集光スポットのサイズと受光素子の感度や構成の関係により十分な測定感度が得られない問題がある。
【0011】
また、複数のスリットの重なりを用いた傾斜測定においては、測定感度を向上させるにはスリット幅を狭くし傾斜変化量に対する光量の変化量を大きくする必要がある。しかし、光の波長に最小スリット幅は制約されており、一定以上スリット幅を狭くすると光が回折してしまい測定できなくなるので、変位センサを用いた測定と同様に十分な測定感度が得られない。
【0012】
本発明は、測定面上の1点を測定することで高感度に測定面の傾斜量を求めることのできる非接触式の傾斜センサ、それを備えた加工装置及びワーク加工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の傾斜センサは、測定面の傾斜量を測定する傾斜センサにおいて、前記測定面へ照明光を出射する光源と、前記測定面からの反射光を複数の光に分けて干渉光を生じさせる光学系と、前記干渉光を受光し、干渉強度を測定するための受光素子と、を有し、前記光学系は、前記反射光を、前記測定面の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、それぞれ回折もしくは屈折させることで前記干渉光を生じさせることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の加工装置は、工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、前記ステージに設けられ、前記ベース面を測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する上記傾斜センサを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の加工装置は、工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、前記ベース面に設けられ、前記ステージを測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する上記傾斜センサを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のワーク加工方法は、工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、前記ステージから前記ベース面に向けて照明光を出射し、前記ベース面から反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のワーク加工方法は、工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、前記ベース面から前記ステージに向けて照明光を出射し、前記ステージから反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
測定面の傾斜による光路差を有する複数の光を干渉させて得られた干渉光の強度変化を検出することで、傾斜量を直接測定するものであるため、高感度に傾斜量を測定することができる。複数の変位計を用いた微小傾斜量の測定に比べて、より小型な測定システムになり、しかも測定面の1点における測定であるため、測定面の平面度の影響が小さい。その結果、小型で測定誤差の少ない傾斜センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図、(c)は測定面の傾斜量と干渉強度の関係を示すグラフである。
【図2】第二の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は測定面の傾斜量と干渉強度の関係を示すグラフである。
【図3】第三の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図、(c)は回折格子の格子間隔と回折角の関係を示すグラフである。
【図4】第三の実施形態の一変形例を示す模式図である。
【図5】第四の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は一変形例を示す模式図である。
【図6】第五の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】第六の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は(a)の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図8】第六の実施形態に係るもので、(a)は反射ミラーの形状を示す図、(b)は第三の実施形態との光路差の比較図である。
【図9】第七の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサを示す模式図、(b)は傾斜センサの主要部を拡大して示す部分拡大図である。
【図10】第八の実施形態に係るもので、(a)は加工装置の斜視図、(b)は加工装置の断面図、(c)は加工装置の断面図である。
【図11】一従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、それぞれの実施形態の構成を示す図には、共通の構成には同一の符号を用いて説明する。
【0021】
[第一の実施形態]
図1は第一の実施形態による傾斜センサに係るもので、この傾斜センサは、図1(a)に示すように、光源1、光学系を構成する光学ユニット3、受光素子4及び光学素子5を備えている。光源1は、測定面2へ照明光20を出射するものである。光学素子5は、偏光ビームスプリッタと1/4波長板を組み合わせて構成され、アイソレーションに用いられる。この光学素子5は、光源1と測定面2との間に配置され、光源1から出射された照明光20を透過させ、測定面2で反射した反射光を直角に反射させる。したがって、光源1から出射された照明光20は、光学素子5を経て測定面2に照射され、測定面2にて反射して光学素子5に戻り、光学素子5で直角に反射する。光学ユニット3及び受光素子4は、光学素子5で反射した反射光の進行方向下流に配置されている。したがって、測定面2で反射した反射光は、光学ユニット3を経て受光素子4に入射する。光学ユニット3は、測定面2の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に反射光を分けて干渉光を生じさせる光学系を構成するもので、一対のスリット6を軸対称に備える。各スリット6は、光の波長の1倍以上10倍以下であり、5〜50μmの微小なスリット開口である。
【0022】
光源1から照射された照明光20は光学素子5を通過し、測定面2の傾斜量に応じた反射角で反射される。その反射光は再び光学素子5を通過し光学ユニット3に入射し、各スリット6により回折され、2本の回折光21に分かれる。反射光が回折される際、図1(b)に示すように、反射光は光学ユニット3に対して一定の傾斜量を持って入射するので、2本の回折光21には光路差が生じる。一対のスリット6の間隔をD、測定面2の傾斜量をθとした時の光路差Lは以下の式(1)によって表される。
【0023】
【数1】
【0024】
受光素子4は各スリット6より等距離に位置するので、2つの回折光21はそれぞれ光路差Lを保ったまま受光素子4上で干渉する。光路差Lが光の波長の半分の偶数倍、つまり光の波長の整数倍であるときは2つの回折光21の位相が一致するため、受光素子4上の干渉光の強度は最大になる。逆に奇数倍である時には位相が180度反転しているので、干渉光の強度は最小になる。光の波長をλとした時の干渉光の強度が最大になる光路差Lmaxは以下の式(2)によって表される。また、最小になる光路差Lminは以下の式(3)によって表される。
【0025】
【数2】
【0026】
【数3】
【0027】
式(1)から式(3)より測定面2の傾斜量の変化に応じて干渉光の強度は周期的に変化するので、干渉強度を受光素子4により測定することで傾斜量を求めることができる。図1(c)に傾斜量と干渉強度の関係を示す。本第一の実施形態では、傾斜量の変化により干渉の強弱が周期的に繰り返す出力が得られる。従って通常の干渉変位計と同様に、干渉の周期をカウントし、かつ1周期を電気分割することで傾斜量の変化を求める。本第一の実施形態では式(1)より、光学ユニット3におけるスリット6の間隔を広げることで分解能は向上し、数秒程度の微小傾斜量で干渉の明暗を繰り返す。従って、本第一の実施形態では照明光20の光径を10〜100mm程度の範囲まで拡大することが望ましい。さらに電気分割を行うことで、測定分解能を数100〜1000倍程度まで向上させることができる。しかし、スリット6の間隔Dを広げると、受光素子の信号のS/N比が低くなり、ノイズの影響が大きくなってしまう。よって、測定仕様に応じて、光源を高出力光源にしたり、受光素子を高感度の受光素子(例えばAPDやPMT)とするなどの工夫は必要である。このように、本第一の実施形態は、単一の測定箇所における傾斜量の測定において、従来の測定方法より高い分解能で測定を行うことが可能となる。
【0028】
[第二の実施形態]
図2は第二の実施形態に係るもので、(a)は傾斜センサの構成を示す。本第二の実施形態では、傾斜センサは、第一の実施形態の構成に加えて測定面側の光学素子5と光学ユニット3の間に配置された回折格子8を有する。測定面2で反射された反射光は光学素子5を経て回折格子8に入射し、回折により±1次光の回折光22及び0次光が生じる。
【0029】
本第二の実施形態における光学ユニット3と回折格子8の位置関係について以下に説明する。回折光22は0次光に対して、回折格子8の格子間隔及び光の波長より求まる所定の回折角を持つ。光の波長をλ、回折格子8の格子間隔をpとした時の回折角φは以下の式(4)によって求められる。
【0030】
【数4】
【0031】
傾斜量の測定レンジが正負両傾斜方向にそれぞれ均一になるように、測定面2の傾斜量0°における回折光22がスリット6の中心に入射することが望ましい。従って、光学ユニット3と回折格子8間の距離rは、光学ユニット3のスリット間隔をD、回折角をφとした時、以下の式(5)によって表される。
【0032】
【数5】
【0033】
回折光22が各スリット6に入射する際、回折光22は測定面2の傾斜量に応じて光学ユニット3に対する入射角がそれぞれ変化するために光路差が生じる。従って、第一の実施形態と同様に、受光素子4における光路差より生じる干渉光の強度変化を測定することで傾斜量が導出される。本第二の実施形態における傾斜量をθとした時の光路差Lは以下の式(6)によって表される。
【0034】
【数6】
【0035】
式(6)より、分母にあるcosφの値は1より小さい値を示すため、傾斜量に対する光路差が第一の実施形態よりも大きくなるので、より高分解能な構成であることがわかる。さらに、第一の実施形態では多くの光が光学ユニット3に遮られてしまっていたのに対して、本第二の実施形態では回折格子8により集光された回折光22が各スリット6に入射するので、より多くの光が光学ユニット3を通過する。このことにより、受光素子4における光量が増加するため、低い感度の素子を選択できるだけでなく、外乱に対しての誤差を減少させることができる。しかし、傾斜量が大きくなると回折光22の中心がスリット6の中心からずれてしまい、光学ユニット3を通過した回折光21の光量が減少してしまう。図2(b)は、本第二の実施形態における傾斜量と干渉光の関係を示す。光量が減少すると信号の振幅が小さくなるので、電気的に分解能が低下してしまう。従って、高精度測定を行う場合は、初期傾斜量を0°近傍に調整することが望ましい。
【0036】
[第三の実施形態]
図3は第三の実施形態に係るもので、図3(a)は傾斜センサの構成を示す。本第三の実施形態では、傾斜センサは、光学ユニット3のスリット6の代わりに配置された一対の回折格子9を有し、さらに集光手段である集光光学素子10を有する。集光光学素子10は単一又は複数の凹凸レンズ、ミラーを組み合わせたものである。
【0037】
第二の実施形態と同様に、測定面2で反射された光は回折格子8を透過して回折光22を生じ光学ユニット3の各回折格子9に入射する。回折格子9の格子間隔は、光学ユニット3の中心より半径方向の外側へ向かうに従い、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化しているため、図3(b)に示すように、回折光22を回折させ平行な回折光23を生じる作用を持つ。図3(c)は格子間隔と回折角の関係を示すグラフである。回折格子9は回折光22における+1次光から生じた−1次光と−1次光より生じた+1次光が平行光となる回折光23を生じる。
【0038】
第二の実施形態と同様に、回折格子8を通過した回折光22は光学ユニット3に入射する際に測定面2の傾斜量に応じた光路差をもつ。従って、回折光23を集光光学素子10により屈折させて受光素子4上に集光し干渉させることで、干渉強度から測定面2の傾斜量が導出される。受光素子4に集光させる際にスリット7を通し、外乱要素を除くことが望ましい。
【0039】
図4に示すように、回折光23を受光素子4上に干渉させるには、ミラー11とビームスプリッタ12などの素子を組み合わせた反射光学系を用いて回折光23を屈折させる集光手段でもよい。
【0040】
本第三の実施形態では第二の実施形態と異なり、受光素子4上に集光する光量が光学ユニット3に対する回折光22の入射角の影響を受けない。従って、傾斜量と干渉光の関係は第一の実施形態と同様に振幅は一定の傾向を示す。回折格子9を用いて平行光にした回折光23を受光素子4上で干渉させることで、第一の実施形態、2ではスリット6を用いて回折光21となり拡散していた光を集めることができる。これにより、受光素子4上での光量が増加するのでより安定した測定が可能になるだけでなく、電気的な分解能も向上する。
【0041】
[第四の実施形態]
図5は第四の実施形態に係るもので、図5(a)に示すように、本第四の実施形態では、傾斜センサは、光学ユニット3の代わりに光学素子13を備える。光学素子13は、第三の実施形態における光学ユニット3と同様に、入射した回折光22の入射角及び入射位置が測定面2の傾斜量に応じて変化しても、光学素子13を透過した光24は常にそれぞれ平行光となるように作用する非球面レンズである。第三の実施形態においては、回折格子9の最小格子間隔には限界があり、傾斜量の測定レンジに制約が存在していたが、非球面レンズは連続した曲面なので、本第四の実施形態ではより測定レンジを広げることが可能となる。図5(b)は、一変形例を示すもので、図5(a)に示す光学素子13の代わりに、分割された光学素子13a、13bを用いる。
【0042】
[第五の実施形態]
図6は、第五の実施形態に係るもので、本第五の実施形態では、図6(a)に示すように、傾斜センサ50は、測定面2と回折格子8との光路間に配置され、光20の径より小さい開口を持つスリット14を備えることを特徴とする。スリット14によって生じる効果について図6(b)を用いて説明する。測定面2以外の部品をパッケージングした傾斜センサ50と測定面2の間隔であるワークディスタンスが変化した際、光20の光軸は光学素子5と回折格子8の光路間においてZ軸方向にオフセットを生じる。このスリット14を備えることで、スリット14通過後の光25の光軸は変化せず一定となり、回折格子8と光学ユニット3における光軸は測定面2の傾斜量に対応して一定となる。従って、第三、第四の実施形態では、ワークディスタンスが変化すると分解能が変化するのに対し、本第五の実施形態ではワークディスタンスが変化しても常に一定の分解能で計測することが可能となる。
【0043】
本第五の実施形態において、ワークディスタンス変化や測定面2の傾斜変化が多くなり、光20がスリット14の開口から外れた場合は測定が困難になる。従って、スリットの開口を小さくすることでワークディスタンスや測定レンジを広げることができる。しかし、回折による光の広がりや、光量の低下による分解能の低下を考慮すると、通常は1mm以上の開口のサイズが望ましい。
【0044】
本第五の実施形態では、傾斜センサ50は、光源1と測定面2の光路間に配置された光学素子15及び光学素子17を備えることで、光20の径を調整し、ワークディスタンスや測定レンジを広げる例を示す。光学素子15と光学素子17は焦点距離が無限大のアフォーカル系の関係を有することで、入射する光20の径を調整することが可能となる。図6においては凸レンズ2枚の構成となっているが、アフォーカル系の関係は凸レンズと凹レンズの組み合わせや、ミラーの組み合わせなど様々な構成が存在する。この様に、光20の径とスリット14の開口サイズは測定条件に対して最も適した径に調整することが望ましく、本第五の実施形態では例えば光20の径はφ2.5mm程度の径に調整し、開口は1mmとしている。
【0045】
本第五の実施形態の集光手段では干渉をNULLとした光を受光素子4へ入射するため、2光束を高精度に重ね合わせる調整が必要となる。本第五の実施形態では集光手段の調整を容易にするため、傾斜センサ50は、集光手段として、集光光学素子10の焦点位置に入射角と回折角が一致する回折格子18を備える例を示す。回折格子18で回折された2光束の+1次光と−1次光の光軸は平行となるので、干渉光の状態をスクリーン等で簡単に目視確認することができ、調整が容易となる。
【0046】
また、本第五の実施形態では傾斜センサをコンパクトにする為、光路中にプリズム16を配置している。また回折格子9は反射型を用いている。この回折格子9により、回折光22を回折、反射させて、平行な回折光26を生じさせる。一般的に反射型の光学素子は透過型に比べて形状誤差の影響が大きい。しかし、回折格子に関しては製造プロセスの関係で、反射型の格子の方が形状やピッチの精度が良く、誤差の影響を低減することができるので、設計に応じて使い分けることが望ましい。もちろん、第三、第四の実施形態における測定面2と回折格子8の光路間に、光20の径より小さい開口を持つスリット14を備える構成であっても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
[第六の実施形態]
図7は、第六の実施形態に係るもので、図7(a)に示すように、本第六の実施形態では、傾斜センサ50Aは、回折格子8で生じた回折光22が入射するように配置された非球面ミラーである反射ミラー19を備えている。±1次の回折光である回折光22は反射ミラー19で反射され、入射角に応じた光路差を持つ平行の光27となる。反射ミラー19で反射された光27は、集光手段としての集光光学素子10及び回折格子18によって重なり合い、受光素子4上で光路差に応じた干渉を生じる。図7(b)に回折格子8の中心を原点とした、回折格子8と反射ミラー19付近における光軸の軌跡を示す。
【0048】
反射ミラー19は回折格子8の格子間隔、スリット14から回折格子8までの間隔、回折格子8から反射ミラー19までの間隔の3条件によって形状が求まる。図8(a)に回折格子8の格子間隔pを1μm、スリット14から回折格子8までの距離f1を25mm、回折格子8から反射ミラー19までの距離f2を7.5mmとした時における反射ミラー19の形状を示す。図中の原点は回折格子8の中心であり、反射面の中心付近をアライメント調整用の開口部としている。
【0049】
第三の実施形態において高分解能化するには光学ユニット3の大型化が必要であるのに対し、本第六の実施形態の反射ミラー19はサイズを変えずに高分解能化を実現することが可能となる。これは第三の実施形態の光学ユニット3が平面であるのに対し、本第六の実施形態の非球面ミラー19は曲率を持つ反射面なので、幾何的な光路長変化が生じている為である。一例として、反射ミラー19が図8(a)の形状を持つ場合において、測定面2の傾斜量変化が生じた際の+1次光と−1次光の光路差を、同様のサイズを持つ光学ユニット3と比較した結果を図8(b)に示す。本第六の実施形態の傾斜センサ50Aは第三の実施形態の傾斜センサ50と比べて約2倍の光路差、つまり分解能が得られる。小型の光学素子は大型の光学素子よりも高精度に製作できるので、光学素子の形状誤差の影響を低減し、更に高精度化することが可能となる。
【0050】
[第七の実施形態]
図9は第七の実施形態に係るもので、本第七の実施形態では、図9(a)に示すように、傾斜センサ50Bは、第三の実施形態における回折格子8の代わりに、2次元方向に回折格子を持つ第1の2次元回折格子8Bを有する。さらに、傾斜センサ50Bは、光学ユニット3上において2次元方向に回折格子を持つ第2の2次元回折格子9Bを有する。図9(b)に示すように、第1の2次元回折格子8Bは、格子間隔が等間隔であり、第2の2次元回折格子9Bは、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化している。つまり、第1の2次元回折格子8Bは、平面に沿う一方向の格子間隔が等しく、さらに、平面沿う一方向と直交する方向の格子間隔が同様に等しく形成されている。また、第2の2次元回折格子9Bは、平面に沿う一方向の格子間隔が規則的に変化し、また、平面に沿う一方向と直交する方向の格子間隔が規則的に変化している。なお、各回折格子8B,9Bは、透過型,反射型のいずれでもよいが、本第七の実施形態では、第1の2次元回折格子8Bは、透過型であり、第2の2次元回折格子9Bは、反射型として説明する。測定面2で反射した光が第1の2次元回折格子8Bを通過(透過)することで、2次元方向に±1次の回折光22を生じる。回折光22は測定面2における各軸ごとの傾斜量に応じた光路差がそれぞれ独立して生じているので、1次元と同様の測定方法で2次元の傾斜量を独立して求めることが可能になる。回折光22は、第2の2次元回折格子9Bを通過(反射)することで平行な回折光26となる。従って傾斜センサ50Bは、受光素子4と、回折格子18と、集光光学素子10とをそれぞれ2個ずつ備えている。これら回折格子18,18及び集光光学素子10,10で集光手段が構成されている。また、集光光学素子10は、各軸ごとに屈折させるのでシリンドリカルレンズを用いることが望ましい。
【0051】
第三、第四、第六の実施形態においても、回折格子8を2次元回折格子とし、かつ回折格子9、光学素子13または反射ミラー19を2次元方向に配置することで同様の測定が可能となる。
【0052】
[第八の実施形態]
本第八の実施形態では、第一から第七の実施形態の傾斜センサのうちのいずれかの傾斜センサ、例えば第七の実施形態の傾斜センサを加工装置の姿勢計測に用いた場合について図10を用いて説明する。本第八の実施形態では図10(a)に示す加工装置200にてワーク201を工具202で加工する。加工装置200は、ベース面2上に配置された、工具ステージ203、ワークステージ204、回転軸205及び回転軸206を備えている。工具ステージ203上には工具202が搭載され、ワークステージ204上にはワーク201が搭載される。本第八の実施形態においては、工具ステージ203とワークステージ204はベース面上をそれぞれ一軸方向に移動可能に構成されている。具体的には、工具ステージ203は、Y軸方向に移動可能であり、ワークステージ204はX軸方向に移動可能に構成されている。なお、工具ステージ203とワークステージ204との移動方向はこれに限らず、工具ステージ203及びワークステージ204のいずれか一方のステージがベース面2上を一軸方向に移動可能に構成されていればよい。また、ステージ203,204がさらに別の軸方向に移動可能に構成されてもよい。
【0053】
ここで、工具ステージ203とワークステージ204とが移動する場合には、工具202とワーク201とを高精度に位置合わせするために、工具ステージ203とワークステージ204との相対位置を高精度に合わせる必要がある。図10(b)にYZ面における加工装置200の断面図を示す。本第八の実施形態では、図10(b)に示すように、両方のステージ203,204の姿勢変化量を測定するために、傾斜センサ210が工具ステージ203とワークステージ204にそれぞれに設けられている。この場合、傾斜センサ210の測定対象である測定面は、ベース面2となる。傾斜センサ210は、工具ステージ203とワークステージ204にそれぞれに取り付けられているので、簡便にステージ203,204の姿勢変化量を測定することができる。なお、傾斜センサ210は、移動するステージに設けるのがよく、本第八の実施形態では、両方のステージ203,204に設けられるが、一方のステージが移動可能な場合は、その移動可能なステージに傾斜センサ210を設ければよい。
【0054】
図10(b)に示すように、工具202の工具先端位置と傾斜センサ210の測定点が同一のYZ平面上に存在する。工具ステージ203の重心からの工具加工点の距離LtとX軸周りの初期姿勢θt、ワークステージ204の重心からのワーク201の中心の距離LwとX軸周りの初期姿勢θwを予め求めておき、既知の値とする。これら値の実験的導出方法の1つとして、ステージの姿勢変化時に傾斜センサ210で姿勢変化量を測定し、同時に加工点、及びワーク中心の位置変化を変位センサで2点以上測定することで各ステージの重心位置を求める方法がある。
【0055】
加工時において工具ステージ203とワークステージ204をそれぞれ走査する際、ガイド面の精度や外乱振動、熱変位等で姿勢変化が生じるので、傾斜センサ210で姿勢変化量を測定し、リアルタイムに補正する。工具ステージ203の姿勢変化量であるピッチング量をΔθtx、ロール量をΔθtyとする時、工具202の加工点の位置誤差Δtx,Δtyを式(7)に示す。
【0056】
【数7】
【0057】
同様に、ワークステージ204の姿勢変化量であるピッチング量をΔθwy、ロール量をΔθwxとする時、工具202の加工点の位置誤差Δwx,Δwyを式(8)に示す。
【0058】
【数8】
【0059】
従って、各ステージ203,204の補正量Δx及びΔyが式(9)の様に求まる。
【0060】
【数9】
【0061】
本第八の実施形態の装置構成においては、Δxはワークステージ204の補正量、Δyは工具ステージ203の補正量となる。そして、ワークステージ204は補正量Δxで位置が補正され、工具ステージ203は、補正量Δyで位置が補正される。これにより、工具ステージ203とワークステージ204との相対位置が補正され、工具202とワーク201との相対的な位置決めが高精度になされる。このように、ステージ203,204の姿勢変化量を直接測定するものであるため、高感度にステージ203,204の姿勢変化量を測定することができる。そして、ステージ203,204の補正量を求めてステージ203,204の相対位置を補正しているので、ワークの加工精度が向上する。以上の様に、加工中における姿勢変化による加工位置誤差をリアルタイムに補正することで、従来の加工結果より修正加工するワーク加工方法において、装置再現性以上の加工結果を得ることが困難であった課題を解決することができる。さらに、従来では複数の位置や変位を測定するセンサを配置して姿勢変化を高精度に測定したのに対し、本第八の実施形態では少ないセンサ個数で測定可能となり装置の小型化が可能となる。
【0062】
工具ステージ203のヨーイングは加工点を工具ステージ203の重心のZ軸上方に配置することで影響を抑えることができる。しかし、ワークステージ204のヨーイングは特にワーク201のX軸方向の位置誤差を生じるので、状況に応じてセンサを追加し、同様の方法で除去することが望ましい。
【0063】
空気の揺らぎによる傾斜センサ210の測定誤差を低減するために、装置内部における工具ステージ203のベース面2である、ガイド207のXY平面を測定面として測定する。傾斜センサ210の取り付けの場所に関して、傾斜測定はアッベ誤差の影響を受けにくい特徴を持ち取り付け場所の制約がないので、振動の影響の少ない所に取り付けることが望ましい。
【0064】
なお、傾斜センサ210は、図10(c)に示すように、ベース面2に取り付けられていてもよい。この場合は、工具ステージ203とワークステージ204の少なくとも一方のステージに照明光が出射され、そのステージで反射された反射光を用いてステージの姿勢変化量が測定される。つまり、工具ステージ203が移動可能である場合には、傾斜センサ210は、ベース面2上の工具ステージ203に対向する位置に配置される。また、ワークステージ204が移動可能である場合には、傾斜センサ210は、ベース面2上のワークステージ204に対向する位置に配置される。図10(c)では、両方のステージ203,204が移動可能であるので、それぞれのステージ203,204に対応して傾斜センサ210が設けられている。この場合、傾斜センサ210の測定対象である測定面は、ステージ203,204となる。この場合も同様に、ベース面2に対するステージ203,204の姿勢変化量が測定される。したがって、この場合も上述した効果と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0065】
1 光源
2 測定面
3 光学ユニット
4 受光素子
5、13 光学素子
6、7 スリット
8、9 回折格子
10 集光光学素子
11 ミラー
12 ビームスプリッタ
14 2次元回折格子
50,50A,50B 傾斜センサ
200 加工装置
210 傾斜センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定面の傾斜量を測定する傾斜センサにおいて、
前記測定面へ照明光を出射する光源と、
前記測定面からの反射光を複数の光に分けて干渉光を生じさせる光学系と、
前記干渉光を受光し、干渉強度を測定するための受光素子と、を有し、
前記光学系は、前記反射光を、前記測定面の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、それぞれ回折もしくは屈折させることで前記干渉光を生じさせることを特徴とする傾斜センサ。
【請求項2】
前記光学系と前記測定面の間に回折格子を配置したことを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサ。
【請求項3】
前記光学系は、光の波長の1倍以上10倍以下の一対のスリット開口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜センサ。
【請求項4】
前記光学系は、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化する一対の回折格子と、前記一対の回折格子を通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項5】
前記光学系は、透過した光が平行光になる非球面レンズと、前記非球面レンズを通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項6】
前記測定面と前記回折格子との間に、スリットを配置したことを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項7】
前記光学系は、前記回折格子を通過した光を平行光にする非球面ミラーと、前記非球面ミラーを反射した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項8】
前記回折格子は、格子間隔が等しい第1の2次元回折格子であり、
前記光学系は、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化する第2の2次元回折格子と、前記第2の2次元回折格子を通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有し、2次元方向の測定面の傾斜量の測定が可能であることを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項9】
工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、
前記ステージに設けられ、前記ベース面を測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の傾斜センサを備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項10】
工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、
前記ベース面に設けられ、前記ステージを測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の傾斜センサを備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項11】
工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、
前記ステージから前記ベース面に向けて照明光を出射し、前記ベース面から反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とするワーク加工方法。
【請求項12】
工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、
前記ベース面から前記ステージに向けて照明光を出射し、前記ステージから反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とするワーク加工方法。
【請求項1】
測定面の傾斜量を測定する傾斜センサにおいて、
前記測定面へ照明光を出射する光源と、
前記測定面からの反射光を複数の光に分けて干渉光を生じさせる光学系と、
前記干渉光を受光し、干渉強度を測定するための受光素子と、を有し、
前記光学系は、前記反射光を、前記測定面の傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、それぞれ回折もしくは屈折させることで前記干渉光を生じさせることを特徴とする傾斜センサ。
【請求項2】
前記光学系と前記測定面の間に回折格子を配置したことを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサ。
【請求項3】
前記光学系は、光の波長の1倍以上10倍以下の一対のスリット開口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜センサ。
【請求項4】
前記光学系は、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化する一対の回折格子と、前記一対の回折格子を通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項5】
前記光学系は、透過した光が平行光になる非球面レンズと、前記非球面レンズを通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項6】
前記測定面と前記回折格子との間に、スリットを配置したことを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項7】
前記光学系は、前記回折格子を通過した光を平行光にする非球面ミラーと、前記非球面ミラーを反射した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項8】
前記回折格子は、格子間隔が等しい第1の2次元回折格子であり、
前記光学系は、入射角と回折角が等しくなるように格子間隔が規則的に変化する第2の2次元回折格子と、前記第2の2次元回折格子を通過した平行光を前記受光素子に集光させる集光手段と、を有し、2次元方向の測定面の傾斜量の測定が可能であることを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサ。
【請求項9】
工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、
前記ステージに設けられ、前記ベース面を測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の傾斜センサを備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項10】
工具が搭載される工具ステージと、ワークが搭載されるワークステージとを備え、前記工具ステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動可能に構成され、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工する際に、前記ステージの姿勢変化量に基づいて、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正する加工装置であって、
前記ベース面に設けられ、前記ステージを測定面として、前記ベース面に対する前記ステージの姿勢変化量を測定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の傾斜センサを備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項11】
工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、
前記ステージから前記ベース面に向けて照明光を出射し、前記ベース面から反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とするワーク加工方法。
【請求項12】
工具が搭載される工具ステージ及びワークが搭載されるワークステージの少なくとも一方のステージが、ベース面上を少なくとも一軸方向に移動して、前記工具ステージに搭載された工具によって前記ワークステージに搭載されたワークを加工するワーク加工方法であって、
前記ベース面から前記ステージに向けて照明光を出射し、前記ステージから反射した反射光を、前記ベース面に対する前記ステージの傾斜に伴う光路差をもつ複数の光に分けて、前記複数の光を干渉させて前記ステージの姿勢変化量を測定し、前記姿勢変化量によって、前記工具ステージと前記ワークステージとの相対位置を補正することを特徴とするワーク加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−33618(P2011−33618A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155744(P2010−155744)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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