像加熱装置
【課題】磁性体コアが分割され、記録材のサイズによって端部側を移動させる場合、
通紙するにつれ、通紙域に対して記録材の端部では記録材に奪われる熱量は小さく、過昇温してしまう。この過昇温によって、定着ベルトの耐久性能が大幅に落ちるため、記録材端部での昇温を低減する必要がある。
【解決手段】磁性体コアの長手方向の端部側を移動可能とすることで、加熱回転体への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させる第1の磁束調整手段と、加熱回転体への作用磁束を長手方向の端部側で遮蔽することで、加熱回転体への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させる第2の磁束調整手段を備える。
通紙するにつれ、通紙域に対して記録材の端部では記録材に奪われる熱量は小さく、過昇温してしまう。この過昇温によって、定着ベルトの耐久性能が大幅に落ちるため、記録材端部での昇温を低減する必要がある。
【解決手段】磁性体コアの長手方向の端部側を移動可能とすることで、加熱回転体への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させる第1の磁束調整手段と、加熱回転体への作用磁束を長手方向の端部側で遮蔽することで、加熱回転体への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させる第2の磁束調整手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に使用される像加熱装置に関する。像加熱装置としては、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の複写機等では、搬送される記録媒体である記録材上に転写されたトナー像(未定着画像)のトナー(現像剤)を、熱によって融解して当該記録材上に融着させる像加熱装置としての定着装置が設けられている。
【0003】
この定着装置においては、高速昇温させるために、加熱媒体である定着ローラを薄肉小径化したもの、樹脂フィルムの回転体に対しその内側から加熱体を圧接したもの、薄肉金属の回転体を誘導加熱により加熱するものなどが知られている。これらはいずれも加熱媒体である回転体の熱容量を小さくし、加熱効率の良い熱源で加熱しようとしたものである。また、非接触の加熱源を用いたものもあるが、コストやエネルギー効率の点から、複写機などの画像形成装置では、薄肉の回転体を記録材に接触させて記録材上の現像剤を加熱溶融させるタイプの定着装置が多く提案されている。
【0004】
ところが、熱容量を小さくするために薄肉の回転体を加熱媒体として使用する場合、軸直角断面の断面積がきわめて小さくなるために、軸方向への熱移動率が良好でない。この傾向は薄肉なほど顕著であり、熱伝導率の低い樹脂等の材質では更に低くなる。
【0005】
これは、熱伝導率をλ、2点間の温度差をθ1−θ2、長さをLとしたとき、単位時間に伝わる熱量Qは、以下の式で表されるというフーリエの法則からも明らかである。
【0006】
Q=λ・f(θ1−θ2)/L
このことは、回転体の長手方向(回転軸方向)の長さと等しい記録材、すなわち最大通紙幅の記録材を通紙して定着させる場合には問題ない。しかし、幅の小さい小形サイズの記録材を連続で通紙させる場合には、回転体の非通紙領域における温度が温調温度よりも上昇し、通紙領域における温度と非通紙領域における温度との温度差が極めて大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
したがって、このような加熱媒体の長手方向の温度ムラのために、樹脂材料からなる周辺部材の耐熱寿命が低下したり、熱的損傷を被ったりする虞れがある。
【0008】
更には、小形サイズの記録材を連続で通紙させた直後に大形サイズの記録材を通紙したときに、部分的な温度ムラによる紙シワ、スキュー等や、定着ムラが生じる虞があるという問題もある。このような通紙領域と非通紙領域との温度差は、搬送される記録材の熱容量が大きく、スループット(単位時間あたりのプリント枚数)を高くするほど広がることになる。このため、薄肉で低熱容量の回転体により像加熱装置を構成する場合に、スループットの高い複写機などへの適用を困難にしていた。
【0009】
ところで、加熱源としてハロゲンランプや発熱抵抗体を使用した像加熱装置で、加熱源を分割し、通紙幅に応じた領域を加熱するように選択的に通電するものが知られている。また、誘導コイルを加熱源とした加熱装置においても同様に加熱源を分割して選択的に通電するものがある。
【0010】
しかしながら、加熱源を複数設けたり分割したりすれば、その分だけ制御回路も複雑でコストも高くなり、さらに種々の幅の記録材に対応させようとすると分割数も更に多くなりコストも一層高いものとなる。しかも、薄肉の回転体を加熱媒体にすると、分割した場合の境目付近の温度分布が不連続かつ不均一で定着性能に影響を及ぼす虞がある。
【0011】
これを解決するため、電磁誘導加熱方式の像加熱装置で、記録材のサイズに対応するため、磁性体コアが記録材搬送に直交する方向で分割され、移動手段で移動可能とし、その移動距離を記録材のサイズによって異ならせる装置が知られる(特許文献1)。
【0012】
それにより、非通紙領域で誘導加熱源と磁性体コアの間隔が大きくなるため、誘導加熱源の周りにできる、磁性体コア及び加熱媒体からなる磁気回路の効率が落ちて、発熱量が低下する。すなわち非通紙部昇温が回避され、その結果、磁性体コアや誘導加熱源の異常昇温も回避される。また、各記録材のサイズに対応するため、その移動距離を記録材のサイズによって異ならせており、各記録材のサイズによっても非通紙部昇温を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−194940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した電磁誘導加熱方式の像加熱装置においては、次のような問題点がある。記録材搬送に直交する方向で分割された磁性体コアと記録材の位置関係が一致せず、加熱領域が記録材より広くなってしまうと、非通紙部において昇温してしまう。また、記録材搬送に直交する方向で分割された磁性体コアと記録材の位置関係が一致していても、記録材の両端部(コバ部)で昇温してしまう。これは、記録材の端部においてもトナーを定着するのに十分な発熱量を要するが、通紙するにつれ、通紙域に対して記録材の端部では記録材に奪われる熱量は小さく、過昇温してしまうためである。
【0015】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、通紙するにつれ非通紙領域で生ずる過昇温を低減できる像加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、この発明に係わる画像加熱装置の代表的な構成は、磁束を生ずるコイルと、前記コイルから生ずる磁束により発熱する回転可能な発熱部材と、前記発熱部材の外側に設けられ、前記発熱部材の回転軸線方向において並べて配置された複数の磁性体コアと、少なくとも複数の内の一部の前記磁性体コアを第一位置から前記コイルから離れた位置である第二位置へ移動させる第一移動手段と、を有し、前記発熱部材が記録材の画像を加熱する像加熱装置において、前記磁性体コアと前記発熱部材との間を移動可能であり、前記磁性体コアから前記発熱部材に向かう磁束を減らすための磁束調整部材と、記録材の非通紙領域の第一の磁性体コアを前記第一移動手段により前記第二位置に移動させ、前記非通紙領域であって前記第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コアを前記第一位置に配置して画像を加熱する際に、前記第二の磁性体コアに対応する位置に前記磁束調整部材を移動させる第二移動手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁性体コアによる磁束調整幅が記録材の幅と不一致となることから生ずる定着部材の部分的な過昇温を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の磁束調整手段と第2の磁束調整手段の配置に関し、(a)は記録材が最大サイズの場合、(b)は記録材がA4サイズの場合、(c)は記録材がAサイズの場合を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成模式図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係る像加熱装置の制御系を含む説明図、(b)は外側磁性体コアが移動した状況の説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る像加熱装置における定着ベルトの層構造図である。
【図5】本発明の実施形態に係る像加熱装置の長手方向断面図である。
【図6】第1の磁束調整手段としての外側磁性体コアと第2の磁束調整手段としての磁束遮蔽手段を含む像加熱装置の斜視図である。
【図7】記録材の幅が磁束が強められている外側磁性体コアの幅より小さい場合の説明図である。
【図8】記録材の幅が磁束が強められている外側磁性体コアの幅と等しい場合の説明図である。
【図9】第2の磁束調整手段の挿入時の像加熱装置の制御系を含む説明図である。
【図10】第2の磁束調整手段の長手方向の幅と記録材端部での昇温の関係図である。
【図11】最大サイズ紙における第2の磁束調整手段の長手方向の幅と長手温度分布の関係図である。
【図12】A4サイズ紙における第2の磁束調整手段の長手方向の挿入適正位置を示す図である。
【図13】A4サイズ紙における第2の磁束調整手段による昇温に対する低減効果を示す図である。
【図14】第1の実施形態におけるフローチャートである。
【図15】第2の実施形態における外側磁性体コアが移動した場合の長手温度分布を示す図である。
【図16】第2の実施形態における端部側の外側磁性体コアが更に多く移動した場合の長手温度分布を示す図である。
【図17】第2の実施形態における第2の磁束調整手段の長手方向の挿入適正位置を示す図である。
【図18】第2の実施形態における第2の磁束調整手段による昇温に対する低減効果を示す図である。
【図19】第3の実施形態における、第1の磁束調整手段としての外側磁性体コアと第2の磁束調整手段としての磁束遮蔽手段を含む像加熱装置の斜視図である。
【図20】(a)は第3の実施形態における大サイズ通紙時に規制部材が端部側に位置することの説明図、(b)は小サイズ通紙時に規制部材を中央部へ動作させる図である。
【図21】(a)は第3の実施形態における外側磁性体コアが励磁コイルに近い状態の説明図、(b)は外側磁性体コアが励磁コイルから離れた状態の説明図である。
【図22】第3の実施形態における誘導加熱ユニットの斜視図である。
【図23】(a)は第3の実施形態における最大サイズ紙通紙時の長手方向配置図、(b)はB4サイズ紙通紙時の長手方向配置図である。
【図24】第3の実施形態におけるブロック図である。
【図25】第3の実施形態におけるフローチャートである。
【図26】(a)は第3の実施形態における大サイズ通紙時に規制部材が端部側に位置することの斜視図、(b)は小サイズ通紙時に規制部材を中央部へ動作させる斜視図である。
【図27】第4の実施形態におけるブロック図である。
【図28】第4の実施形態におけるフローチャートである。
【図29】第4の実施形態における通紙初期の第1の磁束調整手段と第2の磁束調整手段の通紙片側領域の状態に関し、(a)は通紙初期を示す図、(b)は基準取りを示す図、(c)は通紙後期を示す図である。
【図30】(a)は励磁コイルと第2の磁束調整手段に関する断面図、(b)は励磁コイルの上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
【0020】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明に係る像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。Y・C・M・Kはそれぞれイエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの色トナー画像を形成する4つの画像形成部であり、下から上に順に配列してある。各画像形成部Y・C・M・Kは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、クリーニング装置24等を有している。
【0021】
イエローの画像形成部Yの現像装置23にはイエロートナーを、シアンの画像形成部Cの現像装置23にはシアントナーを、マゼンタの画像形成部Mの現像装置23にはマゼンタトナーをそれぞれ収容させている。そして、ブラックの画像形成部Kの現像装置23にはブラックトナーを収容させている。
【0022】
ドラム21に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系25が4色の画像形成部Y・C・M・Kに対応して設けられている。光学系としては、レーザー走査露光光学系を用いている。
【0023】
各画像形成部Y・C・M・Kにおいて、帯電装置22により一様に帯電されたドラム21に対して光学系25より画像データに基づいた走査露光がなされることにより、ドラム表面に走査露光画像パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0024】
それらの静電潜像が現像装置23によりトナー画像として現像される。すなわち、イエローの画像形成部Yのドラム21にはイエロートナー画像が、シアンの画像形成部Cのドラム21にはシアントナー画像が、マゼンタの画像形成部Mのドラム21にはマゼンタトナー画像がそれぞれ形成される。そして、ブラックの画像形成部Kの感光体ドラム21にはブラックトナー画像が形成される。
【0025】
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上に形成された上記の色トナー画像は各ドラム21の回転と同期して、略等速で回転する中間転写体26上へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されて一次転写される。これにより中間転写体26上に未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。本実施形態においては、中間転写体26として、エンドレスの中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ27、2次転写ローラ対向ローラ28、テンションローラ29の3本のローラに巻きかけて張架してあり、駆動ローラ27によって駆動される。
【0026】
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上から中間転写ベルト26上へのトナー画像の一次転写手段としては、一次転写ローラ30を用いている。一次転写ローラ30に対して不図示のバイアス電源よりトナーと逆極性の一次転写バイアスを印加する。これにより、各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上から中間転写ベルト26に対してトナー画像が一次転写される。各画像形成部Y・C・M・Kにおいてドラム21上から中間転写ベルト26への一次転写後、ドラム21上に転写残として残留したトナーはクリーニング装置24により除去される。
【0027】
上記工程を中間転写ベルト26の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行い、中間転写ベルト6上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。なお、単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0028】
一方、記録材カセット31内の記録材Pは、給送ローラ32により一枚分離給送される。そして、レジストローラ33により所定のタイミングで、2次転写ローラ対向ローラ28に巻きかけられている中間転写ベルト26部分と2次転写ローラ34との圧接部である転写ニップ部に搬送される。
【0029】
中間転写ベルト26上に形成された一次転写合成トナー画像は、2次転写ローラ34に不図示のバイアス電源より印加されるトナーと逆極性のバイアスにより、記録材P上に一括転写される。2次転写後に中間転写ベルト26上に残留した2次転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング装置35により除去される。
【0030】
記録材P上に2次転写されたトナー画像は、像加熱装置である定着装置Aにより記録材P上に溶融混色定着され、フルカラープリントとして排紙パス36を通って排紙トレイ37に送り出される。
【0031】
(定着装置)
以下の説明において、定着装置またはこれを構成している部材の長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向(加熱回転体の回転軸方向)に平行な方向である。また短手方向とは記録材搬送方向に平行な方向である。定着装置に関し、正面とは装置を記録材入口側からみた面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置を正面から見て左または右である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
【0032】
図3は本実施形態における像加熱装置としての定着装置の制御系を含む要部の拡大横断側面図である。1は金属層を有する無端状の定着ベルトである。2は定着ベルト1の外周と接するように配設された加圧体としての加圧ローラである。3は定着ベルト1と加圧ローラ2との間に押圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成する圧力付与部材であり、金属製のステー4に保持されている。
【0033】
また、ステー4の励磁コイル6側には、誘導加熱による温度上昇を防止するための磁気遮蔽部材としての磁気遮蔽コア5が設けられている。図5に示す10は定着ベルト1の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材としての左右の定着フランジである。定着フランジ10内に挿通して配設したステー4の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材9aとの間にステー加圧バネ9bを縮設することでステー4に押し下げ力を作用させている。これにより、定着フランジ10の下面と加圧ローラ2の上面とが定着ベルト1を挟んで圧設して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0034】
図3(a)の100は定着ベルト1を誘導加熱する加熱源(誘導加熱手段)としての誘導加熱装置である。この誘導加熱装置100は、後に説明する励磁コイル6と、励磁コイル6によって発生した磁界が定着ベルト1の金属層(導電層)以外に実質漏れないように該励磁コイル6を覆わせた外側磁性体外側磁性体コア7aを含む。そして、誘導加熱装置100は、それらと、それらを電気絶縁性の樹脂によって支持するモールド部材7cと、から構成される。
【0035】
この誘導加熱装置100は定着ベルト1の外周面の上面側において、定着ベルト1に所定のギャップ(隙間)を存して対面させて配設してある。図3(b)に示すように、非通紙部においては励磁コイル6と外側磁性体コア7aの隙間を広げることで、定着ベルト1を通過する磁束密度を低め、定着ベルト1の発熱量を低下させている。即ち、長手方向端部側の外側磁性体コア7aを回転可能な発熱部材である定着ベルト1から離した退避位置(図3(b)の位置)である第二位置へ、退避位置よりも発熱部材に近づける加熱位置(図3(a)の位置)である第一位置から移動させる。
【0036】
これにより、定着ベルト1への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させ、回転軸線方向における通紙可能な最大サイズの記録材の幅よりも小さい幅の記録材を通紙した際に非通紙部領域への発熱量を低下させることができる。この外側磁性体コア7aの移動手段は制御部と移動機構を備え、第一移動手段として機能する。
【0037】
定着ベルト1の回転状態において、誘導加熱装置100の励磁コイル6には電源装置(励磁回路を含む)101から20〜50kHzの高周波電流が印加されて、該励磁コイル6によって発生した磁界により定着ベルト1の金属層(導電層)が誘導発熱する。
【0038】
TH1は例えばサーミスタ等の温度センサ(温度検出素子)であり、定着ベルト1の幅方向中央内面部の位置に当接させて配設してある。この温度センサTH1は通紙域になる定着ベルト部分の温度を検知し、その検知温度情報が制御回路部102にフィードバックされる。制御回路部102はこの温度センサTH1から入力する検知温度が所定の目標温度(定着温度)に維持されるように電源装置101から励磁コイル6に入力する電力を制御している。すなわち、定着ベルトの検出温度が所定温度に昇温した場合、励磁コイル6への通電が遮断される。
【0039】
本実施形態では、定着ベルト1の目標温度である180℃で一定になるように、温度センサTH1の検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させて励磁コイル6に入力する電力を制御して温度調節を行っている。
【0040】
上記の温度センサTH1は、圧力付与部材3に弾性支持部材を介して取り付けられており、定着ベルトの当接面が波打つなどの位置変動が生じたとしてもこれに追従して良好な接触状態が維持されるように構成されている。
【0041】
定着ベルト1は、少なくとも画像形成実行時には、制御回路部102で制御されるモータ(駆動手段)M1によって加圧ローラ2によりが回転駆動される。それにより、図2の画像転写部側から搬送されてくる、未定着トナー画像Tを担持した記録材Pの搬送速度とほぼ同一の周速度で回転駆動される。本実施形態の場合、定着ベルト1の表面回転速度が、300mm/secで回転し、フルカラーの画像を1分間にA4サイズで80枚、A4Rサイズで58枚定着することが可能である。
【0042】
また、誘導加熱装置100の励磁コイル6に制御回路部102で制御される電源装置101から電力供給がなされて定着ベルト1が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態になる。その状態において、定着ニップ部Nにおける定着ベルト1と加圧ローラ2との間に、未定着トナー画像Tを有する記録材Pがそのトナー画像担持面側を定着ベルト1側に向けてガイド部材7で狭持搬送される。そして、定着ニップ部Nにおいて定着ベルト1の外周面に密着し、定着ベルト1と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0043】
これにより、主に定着ベルト1の熱が付与され、また定着ニップ部Nの加圧力を受けて未定着トナー画像Tが記録材Pの表面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着ベルト1の外周面から定着ベルト1の表面が定着ニップ部Nの出口部分の変形によって自己分離されて定着装置外へ搬送される。
【0044】
(定着ベルト)
図4は定着ベルト1の層構成模型図である。定着ベルト1は内径が30mmで電気鋳造法によって製造したニッケルを基層(金属層)1aを有している。この基層1aの厚みは40μmである。基層1aの外周には弾性層1bとして耐熱性シリコーンゴム層が設けられている。シリコーンゴム層の厚さは100〜1000μmの範囲内で設定するのが好ましい。
【0045】
本実施形態では、定着ベルト1の熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して、シリコーンゴム層の厚みは300μmとされている。このシリコーンゴムは、JIS−A20度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。 更に弾性層1bの外周には、表面離型層1cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
【0046】
基層1aの内面側には、定着ベルト内面と温度センサTH1 との摺動摩擦を低下させるために、フッ素樹脂やポリイミドなどの樹脂層(滑性層)1dを10〜50μm設けても良い。本実施形態では、この層1dとしてポリイミドを20μm設けた。
【0047】
なお、定着ベルト1の金属層1aにはニッケルの他に鉄合金や銅、銀などを適宜選択可能である。また、樹脂基層にそれら金属を積層させるなどの構成でも良い。金属層1aの厚みは、後で説明する励磁コイルに流す高周波電流の周波数と金属層の透磁率・導電率に応じて調整して良く、5〜200μm程度の間で設定すると良い。
【0048】
(加圧ローラ)
定着ベルト1との間で定着ニップ部を形成するための加圧ローラ2(加圧回転体)は、外径が30mmで長手方向中央部の径が20mmで両端部の径が19mmである鉄合金製の芯金2aに、弾性層2bとしてシリコーンゴム層が設けてある。表面は、離型層2cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられる。加圧ローラ2の長手方向中央部における硬度は、ASK−C70℃である。芯金2aにテーパー形状をつけているのは、加圧した時に圧力付与部材3が撓んでも定着ベルト1と加圧ローラ2で挟まれる定着ニップ内の圧力が長手方向にわたって均一にするためである。
【0049】
本実施形態における定着ベルト1と加圧ローラ2との定着ニップ部の回転方向の幅は、定着ニップ圧が600Nにおいては、長手方向両端部で約9mm、中央部では約8.5mmである。これは記録材Pの両端部での搬送速度が中央部と比べて速くなるので紙しわが発生しにくくなるという利点がある。
【0050】
(圧力付与部材)
図5は本実施形態における像加熱装置としての定着装置の正面断面図を示している。10は定着ベルト1の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材としての左右の定着フランジである。定着フランジ10内に挿通して配設したステー4の両端部と装置シャーシ側のステー用バネ受け部材9aとの間にステー加圧バネ9bを縮設することでステー4に押し下げ力を作用させている。
【0051】
これにより、定着フランジ10の下面と加圧ローラ2の上面とが定着ベルト1を挟んで圧設して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。こうすることで加圧ローラ2の弾性層や定着ベルトが変形してしまうのを防止することが出来る。3は定着ベルト1と加圧ローラ2との間に押圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成する圧力付与部材であり、金属製のステー4に保持されている。
【0052】
圧力付与部材3は耐熱性樹脂であり、ステー4は圧接部に圧力を加えるために剛性が必要であるため、本実施形態では鉄製である。また、圧力付与部材3は特に両端部で励磁コイル6と接近しており、圧力付与部材3の発熱を防止するために励磁コイル6で生じる磁界を遮蔽するために、圧力付与部材3の上面に長手方向にわたって磁気遮蔽コア5(図3)を配置してある。
【0053】
また、回転する定着ベルト1は、基層1aが金属で構成されているので、回転状態にあっても幅方向への寄りを規制するための手段としては、定着ベルト1の端部を単純に受け止めるだけの定着フランジ10を設ければ十分である。これにより、定着装置の構成を簡略化できるという利点がある。 12は定着ベルト1を支持するための装置側板である。装置側板12により、定着ベルト1の長手方向の位置が規制されている。
【0054】
(誘導加熱装置)
図30(a)(b)に示すように、励磁コイル6の形状は、断面形状が略半円形状(円弧形状)であり、長手方向の端部のUターン部も同様に略半円形状の形状である。そして励磁コイル6は、電線6xとして例えばリッツ線を用い、これを横長・船底状にして定着ベルト1の周面と側面の一部に対向するように巻回してなる。また長手方向におけるコイル内径を図30(b)に示す。
【0055】
図3(a)(b)に示す本実施形態において、定着ベルト1と誘導加熱装置100の励磁コイル6とは、0.5mmのモールドにより電気絶縁の状態を保つ。定着ベルト1と励磁コイル6との間隔は1.5mm(モールド表面と定着ベルト表面の距離は1.0mm)で一定であり、定着ベルト1は均一に加熱される。
【0056】
励磁コイル6には、20〜50kHzの高周波電流が印加される。そして、定着ベルト1の金属で構成される基層1aが誘導発熱し、定着ベルト1の目標温度である180℃で一定になるように、温度センサTH1の検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させて励磁コイル6に入力する電力を制御して温度調節される。
【0057】
励磁コイル6を含む誘導加熱装置100が、高温になる定着ベルト1の内部ではなく外部に配置されているため、励磁コイル6の温度が高温になりにくく、電気抵抗も上昇せず高周波電流を流してもジュール発熱による損失を軽減する事が可能となる。また励磁コイル6を外部に配置したことで定着ベルト1の小径化(低熱容量化)にも寄与しており、しいては省エネルギー性にも優れていると言える。
【0058】
本実施形態の定着装置のウォーミングアップタイムは、非常に熱容量が低い構成であるため、例えば励磁コイル6に1200W入力すると約15秒で目標温度である160℃に到達できる。これにより、スタンバイ中の加熱動作が不要であるため、電力消費量を非常に低く抑える事が可能である。
【0059】
(外側磁性体コアの移動)
図6に示すように、外側磁性体コア7a・7bは記録材搬送方向と直交する方向に並んで配置されており、コイル6の巻き中心部と周囲を囲むように構成されている。外側磁性体コア7aは通紙端部の領域Eにおけるコアであり、図9に示すようにコア移動機構102aによって図中矢印方向に移動可能となっている。ここで、制御回路部102とコア移動機構102aは、第一移動手段を構成する。
【0060】
また、コア7bは通紙中心の領域におけるコアで、ハウジングに固定されている。尚、領域Dは小サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっており、領域Dと領域Eを合わせた幅は大サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっている。
【0061】
外側磁性体コア7a・7bはコイル6より発生した交流磁束を効率よく定着ベルト1に導く役割をする。すなわち、磁気回路(磁路)の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。外側磁性体コア7a・7bの材質として、フェライト等の高透磁率残留磁束密度の低いものを用いると良い。
【0062】
種々の紙サイズ、例えばハガキ、A5、B4、A4、A3ノビサイズの非通紙部昇温の回避に対応できるよう、通紙端部の領域Eにおいて、外側磁性体コア7aは記録材搬送方向に直交する方向で複数に分割されている。図3(b)に示すように、非通紙域においては外側磁性体コア7aがコイル6から離れる方向に移動し、定着ベルト1に通過する磁束密度を弱めている。記録材の搬送方向に直交する方向のサイズの変更に応じて、記録材サイズに応じた端部側位置で外側磁性体コア7aを移動させる第1の磁束調整手段としては、任意の移動機構で良く、例えば後述するリンク部材75(図21)が用いられる。
【0063】
本実施形態においては、外側磁性体コア7aの記録材搬送方向に交差する方向の幅は10mmとしている。記録材のサイズに対応して外側磁性体コア7aが移動することで、非通紙部での昇温を抑制する。図7、図8に幅Aの記録材を通紙する場合の、外側磁性体コア7aの移動による効果を示す。図7は記録材の幅Aが外側磁性体コア7aによって磁束が強められている幅Bより小さい場合の通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト長手温度分布を示している。
【0064】
これによると、通紙1枚目において通紙域で均一な温度分布を得ようとすると、通紙500枚目において紙端部の位置において定着ベルト1は270℃となり非常に大きな昇温をしてしまっているのが分かる。この過昇温は定着ベルトの耐久破壊を招くため、低減することが必須となる。次に、図8は記録材の幅Aと外側磁性体コア7aによって磁束が強められている幅Bが一致する時の通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト長手温度分布を示している。
【0065】
これによると、通紙500枚目においても、記録材端部での過昇温は定着ベルト1の耐久限界温度以下である220℃となっている。しかし、通紙1枚目においても、通紙500枚目においても通紙域端部で10.℃以上の温度ダレが見られる。これは、トナーに十分な熱量を与えることが出来ず、低温オフセットを誘発してしまう結果となる。
【0066】
(磁束調整部材)
そこで、上記したような記録材端部における過昇温を防止し、かつ、通紙域端部での温度ダレも防止するために、図9に示すように長手方向端部側に磁束調整部材として
磁束遮蔽部材11を移動機構102bによって移動可能とする。これにより、定着ベルト1への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させることができる。制御回路部102と移動機構102bは、第二移動手段を構成する。
【0067】
磁束遮蔽部材11としては、アルミニウム、銅、銀、金、真鍮などの非磁性金属やその合金でも良いし、高透磁率部材であるフェライトやパーマロイなどの材料でもよい。また、磁束遮蔽部材11は励磁コイル6と外側磁性体コア7aの間、励磁コイル6と定着ベルト1の間、もしくは定着ベルト1と磁気遮蔽コア5の間などが考えられる。
【0068】
本実施形態においては、図9に示すように磁束遮蔽部材11として銅板を用い、励磁コイル6と定着ベルト1の間に挿入した。銅板挿入の効果としては、コア移動より磁束を弱め定着ベルト1の基層1aの発熱量を低下する効果が大きく、また、外側磁性体コア7aの移動機構と連動して移動することで、外側磁性体コア7aの分割幅よりも細かく長手発熱分布を制御できることにある。銅板の厚みとしては表皮深さ以上である0.5mmのものを用いる。
【0069】
磁束遮蔽部材11は長手方向において定着ベルト1の両端部に配置される。それぞれの端部に配置される磁束遮蔽部材11の長手幅X(記録材搬送方向と交差する方向の幅)は、定着ベルト1の装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置できる幅以下の幅とした。これは、磁束遮蔽効果を発揮する十分な幅を持つこと、最大サイズ通紙時に対応する最大発熱幅を低減しないこと、そして、定着器の長手幅も拡大することなく配置出来る幅であるといった3つの理由からである。
【0070】
磁束遮蔽効果を発揮する十分な幅は、図10に示すように、記録材端部での昇温の低減効果が外側磁性体コア7aの幅より小さいところであると小さくなってしまうためで、外側磁性体コア7aの幅以上と規定している。
【0071】
次に、最大発熱幅を低減せず、また、定着器の長手幅も拡大することもない配置は図11により明示する。この図11は、磁束遮蔽部材11がない場合と、磁束遮蔽部材11を装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置した場合と、磁束遮蔽部材11の幅がそれ以上の場合に関しての、定着ベルト1の最大発熱幅を示してある。
【0072】
これによると、磁束遮蔽部材11を装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置した場合は磁束遮蔽部材11を配置しない場合と比較して、最大発熱幅がほぼ変わらない。それに対して、磁束遮蔽部材11の幅が広い場合に関しては、長手の最大発熱幅が短くなっているのが分かる。これにより、最大サイズ紙通紙時においては、磁束遮蔽部材11は装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置された状態を初期位置A1として配置する。
【0073】
(磁束遮蔽部材による効果)
本実施形態における磁束遮蔽部材11挿入の効果を説明するために実際に検討を行う。条件としては、15℃環境においてA4 105g紙を80ppmで500枚通紙した。一つの外側磁性体コア7a、磁束遮蔽部材11の長手幅はそれぞれX1、Y1である。温調温度は定着ベルト1の中央において180℃とし、定着ベルト1の耐久破壊温度は定着ベルト1の内面において230℃である。耐久破壊温度よりも定着ベルト温度が高くなってしまうと、耐久通紙可能枚数が大幅に低減してしまう。
【0074】
図12に一方の端部における磁束遮蔽部材11の挿入位置と記録材端部の温度との関係図を示す。磁束遮蔽部材11を記録材端部位置まで挿入してしまうと、通紙域で温度ダレが発生してしまう。それに対し、挿入位置を記録材端部位置外側へ離すほど記録材端部での昇温低減効果は低下しまう。これらを共に回避出来る位置を適正位置としているが、これは環境、紙種や生産性などによらないため、初期設定として位置を設定できる。
【0075】
本実施形態においては、適正領域の中でも記録材端部位置からX1/2外側の位置が最も記録材端部での昇温を低減できるため、この位置を適正位置Z1として磁束遮蔽部材11を挿入する。即ち、図12で左側の4個の磁性体コアを非通紙領域の第一の磁性体コアとして退避させるとき、第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コア(左側から5個目の磁性体コア)を退避させないで、磁束遮蔽部材11を移動させる。具体的には、磁束遮蔽部材11を第二の磁性体コアに対応する位置(Z1)に移動させる。
【0076】
このように、記録材の幅方向において記録材の端部よりも外側であり、更に、記録材の端部から所定幅は退避していない外側磁性体コアが定着ベルトと対向する領域を確保できる領域を有し、その領域の外側に磁束遮蔽部材を配置する。
【0077】
図13に磁束遮蔽部材11がない場合(実線)と、適正位置Z1まで磁束遮蔽部材11を挿入した場合(点線)の500枚通紙後の長手温度分布を示す。磁束遮蔽部材11がない場合、定着ベルトの記録材端部位置の温度は270℃まで昇温してしまったが、磁束遮蔽部材11を用いることによって記録材端部位置の温度は200℃まで緩和され、記録材端部位置での昇温が大きく低減されているのが分かる。
【0078】
しかし、この磁束遮蔽部材11挿入位置に常に磁束遮蔽部材11が位置していると、通紙1枚目においてA4紙定着に十分な長手発熱幅が得られないため、通紙初期において磁束遮蔽部材11は記録材端部位置の外側にあるB1(図12)まで退避させておく。通紙を重ねると記録材端部位置で昇温してくるため、その温度がある程度上がったところで磁束遮蔽部材11を適正位置Z1(図12)まで挿入する。記録材端部での温度上昇は主に生産性によって決まるため、磁束遮蔽板11を移動するタイミングに関しては、生産性で場合分けされたテーブルを持つことで、決まった通紙枚数において移動制御される。
【0079】
このテーブル表を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
本実施形態における15℃環境、A4 105g紙、80ppmの条件であると、通紙10枚目において磁束遮蔽部材11を退避位置B1から適正位置Z1まで移動させる。通紙枚数が10枚よりも早い時点で磁束遮蔽部材11を移動すると通紙域での温度ダレを誘発してしまうし、それよりも遅い時点で移動すると記録材端部位置での昇温が耐久破壊温度を超えてしまうためである。これらの流れをまとめたものが図14に示すフローチャートである。
【0082】
また、表2に示すように実際に通紙耐久テストを行ったところ、適切な枚数後に適正位置Z1まで磁束遮蔽部材11を挿入することで、磁束遮蔽部材11がない場合は耐久枚数100kで定着ベルト表層にしわが発生し画像不良が見られた。これに対し、磁束遮蔽部材11がある場合は耐久枚数300k以上においても良好な画像が得られた。
【0083】
【表2】
【0084】
《第2の実施形態》
本実施形態では、A4サイズより小サイズの記録材に対し、第1、第2の磁束調整手段を用いる。具体的には、A4紙よりも搬送方向に交差する方向の幅が10mm短い記録材Aに対し通紙時における磁束遮蔽部材11を挿入する。なお、第1の実施形態と同一機能を有する部分は同一符号を説明として使用する。
【0085】
まず、通紙1枚目において十分な長手発熱幅を得ようとすると、図15に示すように定着ベルトの記録材端部において290℃と大幅に耐久破壊温度を超えてしまっているのが分かる。この昇温を外側磁性体コア7aの移動によって低減しようとした結果が図16である。例え通紙中に外側磁性体コア7aをさらに内側のものまで移動させたとしても、記録材端部での昇温は250℃と耐久破壊温度を超えてしまっているのが分かる。
【0086】
さらに内側の外側磁性体コア7aを移動させたとしても第1の実施形態と同じく記録材通紙域端部において温度ダレが誘発してしまい、外側磁性体コア7aの移動だけでは記録材端部の昇温低減と通紙域端部での温度ダレの両方を解決することは出来ない。そこで、磁束遮蔽部材11を挿入するが、図17に示すように、記録材A通紙時においてもA4通紙時と同じく、記録材端部からX1/2外側の位置まで磁束遮蔽部材11を挿入するのが最も適正な位置である。
【0087】
この位置まで磁束遮蔽部材11を挿入することで、図18に示すように通紙域端部での温度ダレもなく、記録材端部位置での定着ベルトの温度は200℃となり、昇温を低減できていることが分かる。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、磁束遮蔽部材11を用いることで耐久可能枚数は300k以上となり、大幅に改善するという結果が得られた。即ち、定着ベルトの破壊なしに通紙できる耐久通紙枚数に関して、記録材端部位置において290℃であった場合に80kで画像不良が出ていた状況が、大幅に改善された。
【0088】
《第3の実施形態》
本実施形態は、外側磁性体コア7aの移動と、磁束遮蔽部材11の移動を単一の駆動源(モータM)で構成するものである。図19は本実施形態の定着装置の斜視図、図20は本実施形態の定着装置の上視図、図21は本実施形態の定着装置の断面図である。本実施形態は、画像形成装置、定着装置、定着ベルト、加圧ローラ、圧力付与部材、誘導加熱装置に関しては、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0089】
図22に示すように、外側磁性体コア7a・7bは記録材搬送方向と直交する方向に並んで配置されている。励磁コイルの巻き中心部と周囲を囲むように構成されている。外側磁性体コア7aは通紙端部の領域E(図6)におけるコアであり、後述するコア移動機構によって移動可能となっている。また、コア7bは通紙中心の領域におけるコアで、ハウジングに固定されている。尚、領域D(図6)は小サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっており、領域Dと領域Eを合わせた幅は大サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっている。
【0090】
外側磁性体コア7a・7bは励磁コイルより発生した交流磁束を効率よく定着ベルト1を構成している誘導発熱体に導く役割をする。すなわち、磁気回路(磁路)の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。外側磁性体コア7a・7bの材質として、フェライトを用いると良い。
【0091】
図20(a)に示すように、種々の紙サイズ、例えばハガキ、A5、B4、A4、A3ノビサイズの非通紙部昇温の回避に対応できるように、通紙端部の領域E(図6)において、外側磁性体コア7aはY方向で複数に分割されている。また、図21に示すように夫々の外側磁性体コア7aは、コアホルダ77に熱溶着され保持されており、ハウジング76内に収まっている。尚、本実施形態では、コアホルダ77を具備したが、コアホルダ77を廃止し、外側磁性体コア7aのみで本実施形態の外側磁性体コア7aとコアホルダ77の形状を具備してもよい。
【0092】
また、図21(a)に示すように外側磁性体コア7aを保持してコアホルダ77はハウジング76の案内手段761の案内によって、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙を変化させる方向、すなわち矢印P方向に移動可能になっている。リンク部材75は長穴部がコアホルダ77の連結部771と連結され、回転軸78周りに回転可動となっている。つまり、リンク部材75がQ1方向へ回転すると、コアホルダ77と外側磁性体コア7aがP1方向へ移動し、リンク部材75がQ2方向へ回転すると、コアホルダ77と外側磁性体コア7aがP2方向へ移動する。
【0093】
このように、リンク部材75を設けることによって、コアホルダ77と外側磁性体コア7aの移動距離を長くすることが可能となる。リンク部材75は付勢部材74によってQ1方向へ回転されるように付勢されており、外側磁性体コア7aを移動規制する規制部材73によって、リンク部材75のQ1方向への回転を規制している。尚、本実施形態ではリンク部材75に弾性バネで構成される付勢部材74を取り付けている。しかし、結果として外側磁性体コア7aがP1へ動く方向であればよく、外側磁性体コア7aやコアホルダ77へ付勢部材を取り付けたり、リンク部材75の自重によってQ1方向へモーメントを作用させても用いてもよい。
【0094】
図20(a)に示すように、規制部材73はピニオンギア80と連結され、ピニオンギア80の回転運動により、記録材搬送方向に直交する方向、すなわちY方向へ移動可能となっている。また、ピニオンギア80はモータMと駆動連結されており、モータMの駆動力によって動作する。ホームポジションセンサ81はフォトインタラプタであり、規制部材73のフラグ部73aによって遮光されている(このときホームポジションセンサはON状態とする)。
【0095】
したがって、図19(a)、図20(a)、図21(a)の状態においては、規制部材73によってすべてのリンク部材75が規制されていることになる。図22は、定着ベルト1方向からみた、誘導加熱ユニット70の斜視図である。図19および図22に示すように規制部材73には磁束遮蔽部材11が一体に取り付けられており、規制部材73とともに記録材搬送方向に直交する方向、すわなちY方向への移動が可能になっている。磁束遮蔽部材11は銅板を用い、励磁コイル6と定着ベルト1の間に挿入しており、外側磁性体コア7aの幅以上と規定している。
【0096】
図23は、最大サイズ紙通紙時の長手方向配置図である。最大サイズ紙通紙時(本実施形態ではA3ノビ)において、磁束遮蔽部材11は、励磁コイル6の長手方向における内径rの端面と定着ベルト1を支持するための装置側板12との間に対応する位置を初期位置A1として配置している。この初期位置A1をホームポジションとしている。このときホームポジションセンサ81はON状態である。したがって、ホームポジションは、すべての外側磁性体コア7aがP2方向へ規制され、且つ磁束遮蔽部材11が初期位置A1に配置されている状態である。
【0097】
図24、図25は本実施形態のブロック図、フローチャートである。図24に示すように、CPU110は画像形成装置に設置されている操作部や、コンピュータ内の記録材サイズ入力手段111の信号を読み取り、ホームポジションセンサ81の信号をもとにモータMを制御している。
【0098】
次に、図25を用いて、コア移動動作の流れを説明する。プリントジョブが開始すると、記録材サイズ入力手段111から記録材サイズの入力値を読み取る。すると記録材サイズの入力値に合わせてCPU110の演算により、モータMのホームポジションセンサ81からの所定のパルス数C1を決定する。そして、CPU110はホームポジションセンサ81の入力信号を読み取り、OFF状態であると、すなわち規制部材73がホームポジションにいないと、規制部材73をY2方向へ移動させる。即ち、モータMを回転させることで、規制部材73をON状態になるまで戻す。
【0099】
ホームポジションセンサ81が、ON状態であると、規制部材73をY1方向へ動くようにモータMを回転させる。そして、ホームポジションセンサ81がOFFへ切換わったことを認識すると、モータMを所定のパルス数C1移動させて、コア移動動作が終了し、プリントが開始される。
【0100】
図20(b)、図21(b)は、本実施形態のコア移動手段が移動した後の定着装置の上視図、断面図である。図20(b)、図21(b)においては、記録材サイズ入力手段111の信号からB4サイズと認識した際の、非通紙部領域のコア移動後の状態を示している。すなわち、両端のコアホルダ77(図21)の3つ分がP1方向へ移動し、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙が広がっている。
【0101】
図20(b)のように規制部材73がY1方向へ移動が開始すると、記録材搬送方向と直交方向の端部側のリンク部材75から規制がはずれる。すなわち、規制部材73が端部側から中央側へ移動するとき、端部側の外側磁性体コア7aから規制を解除していくことになる。このように、小サイズ通紙時に規制部材73を中央部へ動作させることで、規制部材73の可動範囲が記録材搬送方向と直交方向に広がらないため、省スペースで構成することができる。
【0102】
規制部材73から規制を解除された外側磁性体コア7aの状態を図21(b)を用いて説明する。規制部材73の規制からはずれたリンク部材75は、付勢部材74によって回転軸78を中心にQ1の方向へ回転する。そして、フレーム79の突き当て部に当接し、リンク部材75の位置が規制される。これに伴って、コアホルダ77および外側磁性体コア7aはハウジング76の案内手段761の案内によって、P1方向へ移動し、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙が広がることになる。
【0103】
一方、図23(b)に示すように規制部材73の移動に伴って磁束遮蔽部材11は記録材端部領域の適正位置Zまで移動している。したがって図20(b)、図21(b)、図23(b)に示すような状態においては、励磁コイル6と外側磁性体コア7aの距離が離れているため、励磁コイル6の周りにできる外側磁性体コア7a及び誘導発熱体からなる磁気回路の効率が落ちて、発熱量が低下する。
【0104】
また、磁束遮蔽部材11によって、記録材端部領域の励磁コイル6の周りに発生した磁気回路を遮蔽し、定着ベルト1、すなわち誘導発熱体の発熱自体を抑える。したがって、非通紙部昇温が回避され、その結果、外側磁性体コア7aや励磁コイル6の異常昇温も回避される。
【0105】
逆に、規制部材73をY2方向へ動かす際、すなわちホームポジションへ戻す場合
は、規制部材73がリンク部材75と接触し、リンク部材75を図21(b)に示すQ2方向へ回転させる。このとき、コアホルダ77およびコア72はP2方向へ動作する。すなわち、図21(b)の断面で示す状態は図21(a)に示す状態へと移行する。
【0106】
このように、本実施形態においては外側磁性体コア7aの移動と、磁束遮蔽部材11の移動を単一の駆動源(モータM)で構成している。そして、規制部材73等の構成部品を長手方向に大きくする必要もないため、構成を煩雑にすることなく、省スペースな構成で多種類の記録材サイズの非通紙部昇温を回避することができる。
【0107】
《第4の実施形態》
本実施形態は、画像形成装置、定着装置、定着ベルト、加圧ローラ、圧力付与部材、誘導加熱装置に関しては第1の実施形態と、磁性体コアおよび磁束遮蔽部材の移動手段に関しては第3の実施形態と同様であるため説明を省略する。図26は本実施形態を示す斜視図である。図26(a)はジョブ開始前の状態を示している。本実施形態では規制部材73のホームポジションを検出するホームポジションセンサ81の他、位置検出センサ89を設けている。
【0108】
規制部材73はホームポジションセンサが検出をするフラグ部73aの他、位置検出センサ89が検出をする位置フラグ部73bを有している。 位置検出センサ89は規制部材73が移動した際に位置フラグ部73bの複数のエッジが通過することによって、検知信号がON⇒OFFあるいはOFF⇒ONへの切り替わる。そのタイミングをCPU110が読み取り、モータMへ動作指令を行う。尚、ON⇒OFFあるいはOFF⇒ONへの切り替りの幅は、外側磁性体コア7aの間隙と同一に設定している。
【0109】
図27、図28は本実施形態のブロック図、フローチャートである。図27に示すように、CPU110は画像形成装置に設置されている操作部や、コンピュータ内の記録材サイズ入力手段111の信号を読み取り、ホームポジションセンサ81と位置検出センサ89の信号をもとにモータMを制御している。
【0110】
本実施形態では図27に示すように、規制部材73(図26)の位置を検出する位置検出センサ89を備え、その検出情報に基づいて、規制部材を駆動する規制部材移動駆動部としてのモータMの回転数をCPU110で制御する。
【0111】
次に、図28を用いて、コア移動動作の流れを説明する。プリントジョブが開始すると、記録材サイズ入力手段101から記録材サイズの入力値を読み取る。すると記録材サイズの入力値に合わせてCPU110の演算により、モータMのホームポジションセンサ81がON⇒OFFへの切り替わりを基準に、位置検出センサ89のON⇒OFFまたはOFF⇒ONへの所定の切替わり数C2を決定する。
【0112】
そして、CPU110はホームポジションセンサ81の入力信号を読み取り、OFF状態であると、すなわち規制部材73がホームポジションにいないと、モータMを回転させることで、規制部材73をON状態になるまで戻す。即ち、規制部材73が記録材搬送方向と直交方向の中央側に寄っているため、規制部材73をY2方向へ移動させる。
【0113】
ホームポジションセンサ81が、ON状態であると、規制部材73がホームポジションにいるとして、規制部材73をY1方向へ動くようにモータMを回転させる。そして、ホームポジションセンサ81がOFFへ切換わったことを認識すると、モータMを位置検出センサ89の所定の切替わり数C2だけ移動させてコア移動動作を停止し、プリントが開始される。この状態を図26(b)に示す。
【0114】
その後、ジョブが開始されると、第1の実施形態で示したように連続通紙の所定枚数後に記録材端部領域の非通紙部昇温を回避するために磁束遮蔽手段11を移動させる必要がある。
【0115】
図29は通紙初期から通紙後期にかけての外側磁性体コア7aと磁束遮蔽手段11の通紙片側領域の状態を示す説明図である。この際、磁束遮蔽手段11を保持した規制部材73は、ジョブの初期状態から外側磁性体コア7aの移動している数が変化しない位置に対応した位置フラグ部73bのエッジを位置検出センサ89で検出する。これにより基準取りを行った後、モータMを所定のパルス数C3移動して通紙後期につなげる。
【0116】
即ち、通紙ジョブ中に、第2の磁束調整手段である磁束遮蔽手段11の移動に際し前記規制部材を移動する場合、前記磁性体コアの移動している数が変化しないようにされる。そして、これにより、通紙途中で磁束遮蔽手段11を保持した規制部材73を移動する際、位置フラグ部で必ず移動位置への基準が定まる。このため、初期に移動した規制部材73の位置バラツキや通紙中に熱膨張等による規制部材73の位置バラツキをキャンセルすることができる。すなわち、通紙中に移動した磁束遮蔽手段11の位置精度が向上する。
【0117】
また、外側磁性体コア7aの移動している数が変化しない位置に対応した位置フラグ部73bのエッジを検出しているので、移動の際に外側磁性体コア7aの移動による非通紙部昇温や端部定着不良を誘発させることもない。
【0118】
さらに、位置検出センサ89と規制部材73の位置フラグ部73bを設けることで、位置精度を向上させるためにホームポジションまで戻す必要もなく、通紙中の生産性の低下も生じることがない。
【0119】
(変形例)
以上、分割された外側磁性体コア7aについては、長手方向の幅が夫々等しいという前提で説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、長手方向の端部側において中央部側とは異なり、図1の破線で囲まれる4個分の外側磁性体コア7aを連結した幅で一体的に移動可能としても良い。
【0120】
また以上、磁束遮蔽手段11に関しては、加熱回転体の回転軸方向である長手方向に移動可能と説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、磁束遮蔽手段11を円筒状あるいは部分円筒状(例えば円周角度が120度)の回転体の表面に両端部側の磁束遮蔽手段として設け、この磁束遮蔽手段11の組を記録材の幅サイズに応じて複数組設けても良い。そして、記録材の幅サイズに応じて磁束遮蔽手段11が設けられた前記回転体を幅サイズに応じた所定角度回動させることで、長手方向適切な位置に磁束遮蔽手段11をセットできる。
【符号の説明】
【0121】
1・・定着ベルト、2・・加圧ローラ、6・・励磁コイル、7a・・外側磁性体コア、
11・・磁束遮蔽部材、12・・装置側板
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に使用される像加熱装置に関する。像加熱装置としては、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の複写機等では、搬送される記録媒体である記録材上に転写されたトナー像(未定着画像)のトナー(現像剤)を、熱によって融解して当該記録材上に融着させる像加熱装置としての定着装置が設けられている。
【0003】
この定着装置においては、高速昇温させるために、加熱媒体である定着ローラを薄肉小径化したもの、樹脂フィルムの回転体に対しその内側から加熱体を圧接したもの、薄肉金属の回転体を誘導加熱により加熱するものなどが知られている。これらはいずれも加熱媒体である回転体の熱容量を小さくし、加熱効率の良い熱源で加熱しようとしたものである。また、非接触の加熱源を用いたものもあるが、コストやエネルギー効率の点から、複写機などの画像形成装置では、薄肉の回転体を記録材に接触させて記録材上の現像剤を加熱溶融させるタイプの定着装置が多く提案されている。
【0004】
ところが、熱容量を小さくするために薄肉の回転体を加熱媒体として使用する場合、軸直角断面の断面積がきわめて小さくなるために、軸方向への熱移動率が良好でない。この傾向は薄肉なほど顕著であり、熱伝導率の低い樹脂等の材質では更に低くなる。
【0005】
これは、熱伝導率をλ、2点間の温度差をθ1−θ2、長さをLとしたとき、単位時間に伝わる熱量Qは、以下の式で表されるというフーリエの法則からも明らかである。
【0006】
Q=λ・f(θ1−θ2)/L
このことは、回転体の長手方向(回転軸方向)の長さと等しい記録材、すなわち最大通紙幅の記録材を通紙して定着させる場合には問題ない。しかし、幅の小さい小形サイズの記録材を連続で通紙させる場合には、回転体の非通紙領域における温度が温調温度よりも上昇し、通紙領域における温度と非通紙領域における温度との温度差が極めて大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
したがって、このような加熱媒体の長手方向の温度ムラのために、樹脂材料からなる周辺部材の耐熱寿命が低下したり、熱的損傷を被ったりする虞れがある。
【0008】
更には、小形サイズの記録材を連続で通紙させた直後に大形サイズの記録材を通紙したときに、部分的な温度ムラによる紙シワ、スキュー等や、定着ムラが生じる虞があるという問題もある。このような通紙領域と非通紙領域との温度差は、搬送される記録材の熱容量が大きく、スループット(単位時間あたりのプリント枚数)を高くするほど広がることになる。このため、薄肉で低熱容量の回転体により像加熱装置を構成する場合に、スループットの高い複写機などへの適用を困難にしていた。
【0009】
ところで、加熱源としてハロゲンランプや発熱抵抗体を使用した像加熱装置で、加熱源を分割し、通紙幅に応じた領域を加熱するように選択的に通電するものが知られている。また、誘導コイルを加熱源とした加熱装置においても同様に加熱源を分割して選択的に通電するものがある。
【0010】
しかしながら、加熱源を複数設けたり分割したりすれば、その分だけ制御回路も複雑でコストも高くなり、さらに種々の幅の記録材に対応させようとすると分割数も更に多くなりコストも一層高いものとなる。しかも、薄肉の回転体を加熱媒体にすると、分割した場合の境目付近の温度分布が不連続かつ不均一で定着性能に影響を及ぼす虞がある。
【0011】
これを解決するため、電磁誘導加熱方式の像加熱装置で、記録材のサイズに対応するため、磁性体コアが記録材搬送に直交する方向で分割され、移動手段で移動可能とし、その移動距離を記録材のサイズによって異ならせる装置が知られる(特許文献1)。
【0012】
それにより、非通紙領域で誘導加熱源と磁性体コアの間隔が大きくなるため、誘導加熱源の周りにできる、磁性体コア及び加熱媒体からなる磁気回路の効率が落ちて、発熱量が低下する。すなわち非通紙部昇温が回避され、その結果、磁性体コアや誘導加熱源の異常昇温も回避される。また、各記録材のサイズに対応するため、その移動距離を記録材のサイズによって異ならせており、各記録材のサイズによっても非通紙部昇温を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−194940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した電磁誘導加熱方式の像加熱装置においては、次のような問題点がある。記録材搬送に直交する方向で分割された磁性体コアと記録材の位置関係が一致せず、加熱領域が記録材より広くなってしまうと、非通紙部において昇温してしまう。また、記録材搬送に直交する方向で分割された磁性体コアと記録材の位置関係が一致していても、記録材の両端部(コバ部)で昇温してしまう。これは、記録材の端部においてもトナーを定着するのに十分な発熱量を要するが、通紙するにつれ、通紙域に対して記録材の端部では記録材に奪われる熱量は小さく、過昇温してしまうためである。
【0015】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、通紙するにつれ非通紙領域で生ずる過昇温を低減できる像加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、この発明に係わる画像加熱装置の代表的な構成は、磁束を生ずるコイルと、前記コイルから生ずる磁束により発熱する回転可能な発熱部材と、前記発熱部材の外側に設けられ、前記発熱部材の回転軸線方向において並べて配置された複数の磁性体コアと、少なくとも複数の内の一部の前記磁性体コアを第一位置から前記コイルから離れた位置である第二位置へ移動させる第一移動手段と、を有し、前記発熱部材が記録材の画像を加熱する像加熱装置において、前記磁性体コアと前記発熱部材との間を移動可能であり、前記磁性体コアから前記発熱部材に向かう磁束を減らすための磁束調整部材と、記録材の非通紙領域の第一の磁性体コアを前記第一移動手段により前記第二位置に移動させ、前記非通紙領域であって前記第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コアを前記第一位置に配置して画像を加熱する際に、前記第二の磁性体コアに対応する位置に前記磁束調整部材を移動させる第二移動手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁性体コアによる磁束調整幅が記録材の幅と不一致となることから生ずる定着部材の部分的な過昇温を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の磁束調整手段と第2の磁束調整手段の配置に関し、(a)は記録材が最大サイズの場合、(b)は記録材がA4サイズの場合、(c)は記録材がAサイズの場合を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成模式図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係る像加熱装置の制御系を含む説明図、(b)は外側磁性体コアが移動した状況の説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る像加熱装置における定着ベルトの層構造図である。
【図5】本発明の実施形態に係る像加熱装置の長手方向断面図である。
【図6】第1の磁束調整手段としての外側磁性体コアと第2の磁束調整手段としての磁束遮蔽手段を含む像加熱装置の斜視図である。
【図7】記録材の幅が磁束が強められている外側磁性体コアの幅より小さい場合の説明図である。
【図8】記録材の幅が磁束が強められている外側磁性体コアの幅と等しい場合の説明図である。
【図9】第2の磁束調整手段の挿入時の像加熱装置の制御系を含む説明図である。
【図10】第2の磁束調整手段の長手方向の幅と記録材端部での昇温の関係図である。
【図11】最大サイズ紙における第2の磁束調整手段の長手方向の幅と長手温度分布の関係図である。
【図12】A4サイズ紙における第2の磁束調整手段の長手方向の挿入適正位置を示す図である。
【図13】A4サイズ紙における第2の磁束調整手段による昇温に対する低減効果を示す図である。
【図14】第1の実施形態におけるフローチャートである。
【図15】第2の実施形態における外側磁性体コアが移動した場合の長手温度分布を示す図である。
【図16】第2の実施形態における端部側の外側磁性体コアが更に多く移動した場合の長手温度分布を示す図である。
【図17】第2の実施形態における第2の磁束調整手段の長手方向の挿入適正位置を示す図である。
【図18】第2の実施形態における第2の磁束調整手段による昇温に対する低減効果を示す図である。
【図19】第3の実施形態における、第1の磁束調整手段としての外側磁性体コアと第2の磁束調整手段としての磁束遮蔽手段を含む像加熱装置の斜視図である。
【図20】(a)は第3の実施形態における大サイズ通紙時に規制部材が端部側に位置することの説明図、(b)は小サイズ通紙時に規制部材を中央部へ動作させる図である。
【図21】(a)は第3の実施形態における外側磁性体コアが励磁コイルに近い状態の説明図、(b)は外側磁性体コアが励磁コイルから離れた状態の説明図である。
【図22】第3の実施形態における誘導加熱ユニットの斜視図である。
【図23】(a)は第3の実施形態における最大サイズ紙通紙時の長手方向配置図、(b)はB4サイズ紙通紙時の長手方向配置図である。
【図24】第3の実施形態におけるブロック図である。
【図25】第3の実施形態におけるフローチャートである。
【図26】(a)は第3の実施形態における大サイズ通紙時に規制部材が端部側に位置することの斜視図、(b)は小サイズ通紙時に規制部材を中央部へ動作させる斜視図である。
【図27】第4の実施形態におけるブロック図である。
【図28】第4の実施形態におけるフローチャートである。
【図29】第4の実施形態における通紙初期の第1の磁束調整手段と第2の磁束調整手段の通紙片側領域の状態に関し、(a)は通紙初期を示す図、(b)は基準取りを示す図、(c)は通紙後期を示す図である。
【図30】(a)は励磁コイルと第2の磁束調整手段に関する断面図、(b)は励磁コイルの上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
【0020】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明に係る像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。Y・C・M・Kはそれぞれイエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの色トナー画像を形成する4つの画像形成部であり、下から上に順に配列してある。各画像形成部Y・C・M・Kは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、クリーニング装置24等を有している。
【0021】
イエローの画像形成部Yの現像装置23にはイエロートナーを、シアンの画像形成部Cの現像装置23にはシアントナーを、マゼンタの画像形成部Mの現像装置23にはマゼンタトナーをそれぞれ収容させている。そして、ブラックの画像形成部Kの現像装置23にはブラックトナーを収容させている。
【0022】
ドラム21に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系25が4色の画像形成部Y・C・M・Kに対応して設けられている。光学系としては、レーザー走査露光光学系を用いている。
【0023】
各画像形成部Y・C・M・Kにおいて、帯電装置22により一様に帯電されたドラム21に対して光学系25より画像データに基づいた走査露光がなされることにより、ドラム表面に走査露光画像パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0024】
それらの静電潜像が現像装置23によりトナー画像として現像される。すなわち、イエローの画像形成部Yのドラム21にはイエロートナー画像が、シアンの画像形成部Cのドラム21にはシアントナー画像が、マゼンタの画像形成部Mのドラム21にはマゼンタトナー画像がそれぞれ形成される。そして、ブラックの画像形成部Kの感光体ドラム21にはブラックトナー画像が形成される。
【0025】
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上に形成された上記の色トナー画像は各ドラム21の回転と同期して、略等速で回転する中間転写体26上へ所定の位置合わせ状態で順に重畳されて一次転写される。これにより中間転写体26上に未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。本実施形態においては、中間転写体26として、エンドレスの中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ27、2次転写ローラ対向ローラ28、テンションローラ29の3本のローラに巻きかけて張架してあり、駆動ローラ27によって駆動される。
【0026】
各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上から中間転写ベルト26上へのトナー画像の一次転写手段としては、一次転写ローラ30を用いている。一次転写ローラ30に対して不図示のバイアス電源よりトナーと逆極性の一次転写バイアスを印加する。これにより、各画像形成部Y・C・M・Kのドラム21上から中間転写ベルト26に対してトナー画像が一次転写される。各画像形成部Y・C・M・Kにおいてドラム21上から中間転写ベルト26への一次転写後、ドラム21上に転写残として残留したトナーはクリーニング装置24により除去される。
【0027】
上記工程を中間転写ベルト26の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行い、中間転写ベルト6上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。なお、単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0028】
一方、記録材カセット31内の記録材Pは、給送ローラ32により一枚分離給送される。そして、レジストローラ33により所定のタイミングで、2次転写ローラ対向ローラ28に巻きかけられている中間転写ベルト26部分と2次転写ローラ34との圧接部である転写ニップ部に搬送される。
【0029】
中間転写ベルト26上に形成された一次転写合成トナー画像は、2次転写ローラ34に不図示のバイアス電源より印加されるトナーと逆極性のバイアスにより、記録材P上に一括転写される。2次転写後に中間転写ベルト26上に残留した2次転写残トナーは中間転写ベルトクリーニング装置35により除去される。
【0030】
記録材P上に2次転写されたトナー画像は、像加熱装置である定着装置Aにより記録材P上に溶融混色定着され、フルカラープリントとして排紙パス36を通って排紙トレイ37に送り出される。
【0031】
(定着装置)
以下の説明において、定着装置またはこれを構成している部材の長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向(加熱回転体の回転軸方向)に平行な方向である。また短手方向とは記録材搬送方向に平行な方向である。定着装置に関し、正面とは装置を記録材入口側からみた面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置を正面から見て左または右である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
【0032】
図3は本実施形態における像加熱装置としての定着装置の制御系を含む要部の拡大横断側面図である。1は金属層を有する無端状の定着ベルトである。2は定着ベルト1の外周と接するように配設された加圧体としての加圧ローラである。3は定着ベルト1と加圧ローラ2との間に押圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成する圧力付与部材であり、金属製のステー4に保持されている。
【0033】
また、ステー4の励磁コイル6側には、誘導加熱による温度上昇を防止するための磁気遮蔽部材としての磁気遮蔽コア5が設けられている。図5に示す10は定着ベルト1の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材としての左右の定着フランジである。定着フランジ10内に挿通して配設したステー4の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材9aとの間にステー加圧バネ9bを縮設することでステー4に押し下げ力を作用させている。これにより、定着フランジ10の下面と加圧ローラ2の上面とが定着ベルト1を挟んで圧設して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0034】
図3(a)の100は定着ベルト1を誘導加熱する加熱源(誘導加熱手段)としての誘導加熱装置である。この誘導加熱装置100は、後に説明する励磁コイル6と、励磁コイル6によって発生した磁界が定着ベルト1の金属層(導電層)以外に実質漏れないように該励磁コイル6を覆わせた外側磁性体外側磁性体コア7aを含む。そして、誘導加熱装置100は、それらと、それらを電気絶縁性の樹脂によって支持するモールド部材7cと、から構成される。
【0035】
この誘導加熱装置100は定着ベルト1の外周面の上面側において、定着ベルト1に所定のギャップ(隙間)を存して対面させて配設してある。図3(b)に示すように、非通紙部においては励磁コイル6と外側磁性体コア7aの隙間を広げることで、定着ベルト1を通過する磁束密度を低め、定着ベルト1の発熱量を低下させている。即ち、長手方向端部側の外側磁性体コア7aを回転可能な発熱部材である定着ベルト1から離した退避位置(図3(b)の位置)である第二位置へ、退避位置よりも発熱部材に近づける加熱位置(図3(a)の位置)である第一位置から移動させる。
【0036】
これにより、定着ベルト1への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させ、回転軸線方向における通紙可能な最大サイズの記録材の幅よりも小さい幅の記録材を通紙した際に非通紙部領域への発熱量を低下させることができる。この外側磁性体コア7aの移動手段は制御部と移動機構を備え、第一移動手段として機能する。
【0037】
定着ベルト1の回転状態において、誘導加熱装置100の励磁コイル6には電源装置(励磁回路を含む)101から20〜50kHzの高周波電流が印加されて、該励磁コイル6によって発生した磁界により定着ベルト1の金属層(導電層)が誘導発熱する。
【0038】
TH1は例えばサーミスタ等の温度センサ(温度検出素子)であり、定着ベルト1の幅方向中央内面部の位置に当接させて配設してある。この温度センサTH1は通紙域になる定着ベルト部分の温度を検知し、その検知温度情報が制御回路部102にフィードバックされる。制御回路部102はこの温度センサTH1から入力する検知温度が所定の目標温度(定着温度)に維持されるように電源装置101から励磁コイル6に入力する電力を制御している。すなわち、定着ベルトの検出温度が所定温度に昇温した場合、励磁コイル6への通電が遮断される。
【0039】
本実施形態では、定着ベルト1の目標温度である180℃で一定になるように、温度センサTH1の検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させて励磁コイル6に入力する電力を制御して温度調節を行っている。
【0040】
上記の温度センサTH1は、圧力付与部材3に弾性支持部材を介して取り付けられており、定着ベルトの当接面が波打つなどの位置変動が生じたとしてもこれに追従して良好な接触状態が維持されるように構成されている。
【0041】
定着ベルト1は、少なくとも画像形成実行時には、制御回路部102で制御されるモータ(駆動手段)M1によって加圧ローラ2によりが回転駆動される。それにより、図2の画像転写部側から搬送されてくる、未定着トナー画像Tを担持した記録材Pの搬送速度とほぼ同一の周速度で回転駆動される。本実施形態の場合、定着ベルト1の表面回転速度が、300mm/secで回転し、フルカラーの画像を1分間にA4サイズで80枚、A4Rサイズで58枚定着することが可能である。
【0042】
また、誘導加熱装置100の励磁コイル6に制御回路部102で制御される電源装置101から電力供給がなされて定着ベルト1が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態になる。その状態において、定着ニップ部Nにおける定着ベルト1と加圧ローラ2との間に、未定着トナー画像Tを有する記録材Pがそのトナー画像担持面側を定着ベルト1側に向けてガイド部材7で狭持搬送される。そして、定着ニップ部Nにおいて定着ベルト1の外周面に密着し、定着ベルト1と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。
【0043】
これにより、主に定着ベルト1の熱が付与され、また定着ニップ部Nの加圧力を受けて未定着トナー画像Tが記録材Pの表面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着ベルト1の外周面から定着ベルト1の表面が定着ニップ部Nの出口部分の変形によって自己分離されて定着装置外へ搬送される。
【0044】
(定着ベルト)
図4は定着ベルト1の層構成模型図である。定着ベルト1は内径が30mmで電気鋳造法によって製造したニッケルを基層(金属層)1aを有している。この基層1aの厚みは40μmである。基層1aの外周には弾性層1bとして耐熱性シリコーンゴム層が設けられている。シリコーンゴム層の厚さは100〜1000μmの範囲内で設定するのが好ましい。
【0045】
本実施形態では、定着ベルト1の熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して、シリコーンゴム層の厚みは300μmとされている。このシリコーンゴムは、JIS−A20度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。 更に弾性層1bの外周には、表面離型層1cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
【0046】
基層1aの内面側には、定着ベルト内面と温度センサTH1 との摺動摩擦を低下させるために、フッ素樹脂やポリイミドなどの樹脂層(滑性層)1dを10〜50μm設けても良い。本実施形態では、この層1dとしてポリイミドを20μm設けた。
【0047】
なお、定着ベルト1の金属層1aにはニッケルの他に鉄合金や銅、銀などを適宜選択可能である。また、樹脂基層にそれら金属を積層させるなどの構成でも良い。金属層1aの厚みは、後で説明する励磁コイルに流す高周波電流の周波数と金属層の透磁率・導電率に応じて調整して良く、5〜200μm程度の間で設定すると良い。
【0048】
(加圧ローラ)
定着ベルト1との間で定着ニップ部を形成するための加圧ローラ2(加圧回転体)は、外径が30mmで長手方向中央部の径が20mmで両端部の径が19mmである鉄合金製の芯金2aに、弾性層2bとしてシリコーンゴム層が設けてある。表面は、離型層2cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられる。加圧ローラ2の長手方向中央部における硬度は、ASK−C70℃である。芯金2aにテーパー形状をつけているのは、加圧した時に圧力付与部材3が撓んでも定着ベルト1と加圧ローラ2で挟まれる定着ニップ内の圧力が長手方向にわたって均一にするためである。
【0049】
本実施形態における定着ベルト1と加圧ローラ2との定着ニップ部の回転方向の幅は、定着ニップ圧が600Nにおいては、長手方向両端部で約9mm、中央部では約8.5mmである。これは記録材Pの両端部での搬送速度が中央部と比べて速くなるので紙しわが発生しにくくなるという利点がある。
【0050】
(圧力付与部材)
図5は本実施形態における像加熱装置としての定着装置の正面断面図を示している。10は定着ベルト1の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材としての左右の定着フランジである。定着フランジ10内に挿通して配設したステー4の両端部と装置シャーシ側のステー用バネ受け部材9aとの間にステー加圧バネ9bを縮設することでステー4に押し下げ力を作用させている。
【0051】
これにより、定着フランジ10の下面と加圧ローラ2の上面とが定着ベルト1を挟んで圧設して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。こうすることで加圧ローラ2の弾性層や定着ベルトが変形してしまうのを防止することが出来る。3は定着ベルト1と加圧ローラ2との間に押圧力を作用させて定着ニップ部Nを形成する圧力付与部材であり、金属製のステー4に保持されている。
【0052】
圧力付与部材3は耐熱性樹脂であり、ステー4は圧接部に圧力を加えるために剛性が必要であるため、本実施形態では鉄製である。また、圧力付与部材3は特に両端部で励磁コイル6と接近しており、圧力付与部材3の発熱を防止するために励磁コイル6で生じる磁界を遮蔽するために、圧力付与部材3の上面に長手方向にわたって磁気遮蔽コア5(図3)を配置してある。
【0053】
また、回転する定着ベルト1は、基層1aが金属で構成されているので、回転状態にあっても幅方向への寄りを規制するための手段としては、定着ベルト1の端部を単純に受け止めるだけの定着フランジ10を設ければ十分である。これにより、定着装置の構成を簡略化できるという利点がある。 12は定着ベルト1を支持するための装置側板である。装置側板12により、定着ベルト1の長手方向の位置が規制されている。
【0054】
(誘導加熱装置)
図30(a)(b)に示すように、励磁コイル6の形状は、断面形状が略半円形状(円弧形状)であり、長手方向の端部のUターン部も同様に略半円形状の形状である。そして励磁コイル6は、電線6xとして例えばリッツ線を用い、これを横長・船底状にして定着ベルト1の周面と側面の一部に対向するように巻回してなる。また長手方向におけるコイル内径を図30(b)に示す。
【0055】
図3(a)(b)に示す本実施形態において、定着ベルト1と誘導加熱装置100の励磁コイル6とは、0.5mmのモールドにより電気絶縁の状態を保つ。定着ベルト1と励磁コイル6との間隔は1.5mm(モールド表面と定着ベルト表面の距離は1.0mm)で一定であり、定着ベルト1は均一に加熱される。
【0056】
励磁コイル6には、20〜50kHzの高周波電流が印加される。そして、定着ベルト1の金属で構成される基層1aが誘導発熱し、定着ベルト1の目標温度である180℃で一定になるように、温度センサTH1の検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させて励磁コイル6に入力する電力を制御して温度調節される。
【0057】
励磁コイル6を含む誘導加熱装置100が、高温になる定着ベルト1の内部ではなく外部に配置されているため、励磁コイル6の温度が高温になりにくく、電気抵抗も上昇せず高周波電流を流してもジュール発熱による損失を軽減する事が可能となる。また励磁コイル6を外部に配置したことで定着ベルト1の小径化(低熱容量化)にも寄与しており、しいては省エネルギー性にも優れていると言える。
【0058】
本実施形態の定着装置のウォーミングアップタイムは、非常に熱容量が低い構成であるため、例えば励磁コイル6に1200W入力すると約15秒で目標温度である160℃に到達できる。これにより、スタンバイ中の加熱動作が不要であるため、電力消費量を非常に低く抑える事が可能である。
【0059】
(外側磁性体コアの移動)
図6に示すように、外側磁性体コア7a・7bは記録材搬送方向と直交する方向に並んで配置されており、コイル6の巻き中心部と周囲を囲むように構成されている。外側磁性体コア7aは通紙端部の領域Eにおけるコアであり、図9に示すようにコア移動機構102aによって図中矢印方向に移動可能となっている。ここで、制御回路部102とコア移動機構102aは、第一移動手段を構成する。
【0060】
また、コア7bは通紙中心の領域におけるコアで、ハウジングに固定されている。尚、領域Dは小サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっており、領域Dと領域Eを合わせた幅は大サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっている。
【0061】
外側磁性体コア7a・7bはコイル6より発生した交流磁束を効率よく定着ベルト1に導く役割をする。すなわち、磁気回路(磁路)の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。外側磁性体コア7a・7bの材質として、フェライト等の高透磁率残留磁束密度の低いものを用いると良い。
【0062】
種々の紙サイズ、例えばハガキ、A5、B4、A4、A3ノビサイズの非通紙部昇温の回避に対応できるよう、通紙端部の領域Eにおいて、外側磁性体コア7aは記録材搬送方向に直交する方向で複数に分割されている。図3(b)に示すように、非通紙域においては外側磁性体コア7aがコイル6から離れる方向に移動し、定着ベルト1に通過する磁束密度を弱めている。記録材の搬送方向に直交する方向のサイズの変更に応じて、記録材サイズに応じた端部側位置で外側磁性体コア7aを移動させる第1の磁束調整手段としては、任意の移動機構で良く、例えば後述するリンク部材75(図21)が用いられる。
【0063】
本実施形態においては、外側磁性体コア7aの記録材搬送方向に交差する方向の幅は10mmとしている。記録材のサイズに対応して外側磁性体コア7aが移動することで、非通紙部での昇温を抑制する。図7、図8に幅Aの記録材を通紙する場合の、外側磁性体コア7aの移動による効果を示す。図7は記録材の幅Aが外側磁性体コア7aによって磁束が強められている幅Bより小さい場合の通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト長手温度分布を示している。
【0064】
これによると、通紙1枚目において通紙域で均一な温度分布を得ようとすると、通紙500枚目において紙端部の位置において定着ベルト1は270℃となり非常に大きな昇温をしてしまっているのが分かる。この過昇温は定着ベルトの耐久破壊を招くため、低減することが必須となる。次に、図8は記録材の幅Aと外側磁性体コア7aによって磁束が強められている幅Bが一致する時の通紙1枚目(点線)と通紙500枚目(実線)の定着ベルト長手温度分布を示している。
【0065】
これによると、通紙500枚目においても、記録材端部での過昇温は定着ベルト1の耐久限界温度以下である220℃となっている。しかし、通紙1枚目においても、通紙500枚目においても通紙域端部で10.℃以上の温度ダレが見られる。これは、トナーに十分な熱量を与えることが出来ず、低温オフセットを誘発してしまう結果となる。
【0066】
(磁束調整部材)
そこで、上記したような記録材端部における過昇温を防止し、かつ、通紙域端部での温度ダレも防止するために、図9に示すように長手方向端部側に磁束調整部材として
磁束遮蔽部材11を移動機構102bによって移動可能とする。これにより、定着ベルト1への作用磁束の長手方向の密度分布を変化させることができる。制御回路部102と移動機構102bは、第二移動手段を構成する。
【0067】
磁束遮蔽部材11としては、アルミニウム、銅、銀、金、真鍮などの非磁性金属やその合金でも良いし、高透磁率部材であるフェライトやパーマロイなどの材料でもよい。また、磁束遮蔽部材11は励磁コイル6と外側磁性体コア7aの間、励磁コイル6と定着ベルト1の間、もしくは定着ベルト1と磁気遮蔽コア5の間などが考えられる。
【0068】
本実施形態においては、図9に示すように磁束遮蔽部材11として銅板を用い、励磁コイル6と定着ベルト1の間に挿入した。銅板挿入の効果としては、コア移動より磁束を弱め定着ベルト1の基層1aの発熱量を低下する効果が大きく、また、外側磁性体コア7aの移動機構と連動して移動することで、外側磁性体コア7aの分割幅よりも細かく長手発熱分布を制御できることにある。銅板の厚みとしては表皮深さ以上である0.5mmのものを用いる。
【0069】
磁束遮蔽部材11は長手方向において定着ベルト1の両端部に配置される。それぞれの端部に配置される磁束遮蔽部材11の長手幅X(記録材搬送方向と交差する方向の幅)は、定着ベルト1の装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置できる幅以下の幅とした。これは、磁束遮蔽効果を発揮する十分な幅を持つこと、最大サイズ通紙時に対応する最大発熱幅を低減しないこと、そして、定着器の長手幅も拡大することなく配置出来る幅であるといった3つの理由からである。
【0070】
磁束遮蔽効果を発揮する十分な幅は、図10に示すように、記録材端部での昇温の低減効果が外側磁性体コア7aの幅より小さいところであると小さくなってしまうためで、外側磁性体コア7aの幅以上と規定している。
【0071】
次に、最大発熱幅を低減せず、また、定着器の長手幅も拡大することもない配置は図11により明示する。この図11は、磁束遮蔽部材11がない場合と、磁束遮蔽部材11を装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置した場合と、磁束遮蔽部材11の幅がそれ以上の場合に関しての、定着ベルト1の最大発熱幅を示してある。
【0072】
これによると、磁束遮蔽部材11を装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置した場合は磁束遮蔽部材11を配置しない場合と比較して、最大発熱幅がほぼ変わらない。それに対して、磁束遮蔽部材11の幅が広い場合に関しては、長手の最大発熱幅が短くなっているのが分かる。これにより、最大サイズ紙通紙時においては、磁束遮蔽部材11は装置側板12と励磁コイル6の長手方向における内径の差分位置に配置された状態を初期位置A1として配置する。
【0073】
(磁束遮蔽部材による効果)
本実施形態における磁束遮蔽部材11挿入の効果を説明するために実際に検討を行う。条件としては、15℃環境においてA4 105g紙を80ppmで500枚通紙した。一つの外側磁性体コア7a、磁束遮蔽部材11の長手幅はそれぞれX1、Y1である。温調温度は定着ベルト1の中央において180℃とし、定着ベルト1の耐久破壊温度は定着ベルト1の内面において230℃である。耐久破壊温度よりも定着ベルト温度が高くなってしまうと、耐久通紙可能枚数が大幅に低減してしまう。
【0074】
図12に一方の端部における磁束遮蔽部材11の挿入位置と記録材端部の温度との関係図を示す。磁束遮蔽部材11を記録材端部位置まで挿入してしまうと、通紙域で温度ダレが発生してしまう。それに対し、挿入位置を記録材端部位置外側へ離すほど記録材端部での昇温低減効果は低下しまう。これらを共に回避出来る位置を適正位置としているが、これは環境、紙種や生産性などによらないため、初期設定として位置を設定できる。
【0075】
本実施形態においては、適正領域の中でも記録材端部位置からX1/2外側の位置が最も記録材端部での昇温を低減できるため、この位置を適正位置Z1として磁束遮蔽部材11を挿入する。即ち、図12で左側の4個の磁性体コアを非通紙領域の第一の磁性体コアとして退避させるとき、第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コア(左側から5個目の磁性体コア)を退避させないで、磁束遮蔽部材11を移動させる。具体的には、磁束遮蔽部材11を第二の磁性体コアに対応する位置(Z1)に移動させる。
【0076】
このように、記録材の幅方向において記録材の端部よりも外側であり、更に、記録材の端部から所定幅は退避していない外側磁性体コアが定着ベルトと対向する領域を確保できる領域を有し、その領域の外側に磁束遮蔽部材を配置する。
【0077】
図13に磁束遮蔽部材11がない場合(実線)と、適正位置Z1まで磁束遮蔽部材11を挿入した場合(点線)の500枚通紙後の長手温度分布を示す。磁束遮蔽部材11がない場合、定着ベルトの記録材端部位置の温度は270℃まで昇温してしまったが、磁束遮蔽部材11を用いることによって記録材端部位置の温度は200℃まで緩和され、記録材端部位置での昇温が大きく低減されているのが分かる。
【0078】
しかし、この磁束遮蔽部材11挿入位置に常に磁束遮蔽部材11が位置していると、通紙1枚目においてA4紙定着に十分な長手発熱幅が得られないため、通紙初期において磁束遮蔽部材11は記録材端部位置の外側にあるB1(図12)まで退避させておく。通紙を重ねると記録材端部位置で昇温してくるため、その温度がある程度上がったところで磁束遮蔽部材11を適正位置Z1(図12)まで挿入する。記録材端部での温度上昇は主に生産性によって決まるため、磁束遮蔽板11を移動するタイミングに関しては、生産性で場合分けされたテーブルを持つことで、決まった通紙枚数において移動制御される。
【0079】
このテーブル表を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
本実施形態における15℃環境、A4 105g紙、80ppmの条件であると、通紙10枚目において磁束遮蔽部材11を退避位置B1から適正位置Z1まで移動させる。通紙枚数が10枚よりも早い時点で磁束遮蔽部材11を移動すると通紙域での温度ダレを誘発してしまうし、それよりも遅い時点で移動すると記録材端部位置での昇温が耐久破壊温度を超えてしまうためである。これらの流れをまとめたものが図14に示すフローチャートである。
【0082】
また、表2に示すように実際に通紙耐久テストを行ったところ、適切な枚数後に適正位置Z1まで磁束遮蔽部材11を挿入することで、磁束遮蔽部材11がない場合は耐久枚数100kで定着ベルト表層にしわが発生し画像不良が見られた。これに対し、磁束遮蔽部材11がある場合は耐久枚数300k以上においても良好な画像が得られた。
【0083】
【表2】
【0084】
《第2の実施形態》
本実施形態では、A4サイズより小サイズの記録材に対し、第1、第2の磁束調整手段を用いる。具体的には、A4紙よりも搬送方向に交差する方向の幅が10mm短い記録材Aに対し通紙時における磁束遮蔽部材11を挿入する。なお、第1の実施形態と同一機能を有する部分は同一符号を説明として使用する。
【0085】
まず、通紙1枚目において十分な長手発熱幅を得ようとすると、図15に示すように定着ベルトの記録材端部において290℃と大幅に耐久破壊温度を超えてしまっているのが分かる。この昇温を外側磁性体コア7aの移動によって低減しようとした結果が図16である。例え通紙中に外側磁性体コア7aをさらに内側のものまで移動させたとしても、記録材端部での昇温は250℃と耐久破壊温度を超えてしまっているのが分かる。
【0086】
さらに内側の外側磁性体コア7aを移動させたとしても第1の実施形態と同じく記録材通紙域端部において温度ダレが誘発してしまい、外側磁性体コア7aの移動だけでは記録材端部の昇温低減と通紙域端部での温度ダレの両方を解決することは出来ない。そこで、磁束遮蔽部材11を挿入するが、図17に示すように、記録材A通紙時においてもA4通紙時と同じく、記録材端部からX1/2外側の位置まで磁束遮蔽部材11を挿入するのが最も適正な位置である。
【0087】
この位置まで磁束遮蔽部材11を挿入することで、図18に示すように通紙域端部での温度ダレもなく、記録材端部位置での定着ベルトの温度は200℃となり、昇温を低減できていることが分かる。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、磁束遮蔽部材11を用いることで耐久可能枚数は300k以上となり、大幅に改善するという結果が得られた。即ち、定着ベルトの破壊なしに通紙できる耐久通紙枚数に関して、記録材端部位置において290℃であった場合に80kで画像不良が出ていた状況が、大幅に改善された。
【0088】
《第3の実施形態》
本実施形態は、外側磁性体コア7aの移動と、磁束遮蔽部材11の移動を単一の駆動源(モータM)で構成するものである。図19は本実施形態の定着装置の斜視図、図20は本実施形態の定着装置の上視図、図21は本実施形態の定着装置の断面図である。本実施形態は、画像形成装置、定着装置、定着ベルト、加圧ローラ、圧力付与部材、誘導加熱装置に関しては、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0089】
図22に示すように、外側磁性体コア7a・7bは記録材搬送方向と直交する方向に並んで配置されている。励磁コイルの巻き中心部と周囲を囲むように構成されている。外側磁性体コア7aは通紙端部の領域E(図6)におけるコアであり、後述するコア移動機構によって移動可能となっている。また、コア7bは通紙中心の領域におけるコアで、ハウジングに固定されている。尚、領域D(図6)は小サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっており、領域Dと領域Eを合わせた幅は大サイズ紙幅に対応した通紙領域幅となっている。
【0090】
外側磁性体コア7a・7bは励磁コイルより発生した交流磁束を効率よく定着ベルト1を構成している誘導発熱体に導く役割をする。すなわち、磁気回路(磁路)の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。外側磁性体コア7a・7bの材質として、フェライトを用いると良い。
【0091】
図20(a)に示すように、種々の紙サイズ、例えばハガキ、A5、B4、A4、A3ノビサイズの非通紙部昇温の回避に対応できるように、通紙端部の領域E(図6)において、外側磁性体コア7aはY方向で複数に分割されている。また、図21に示すように夫々の外側磁性体コア7aは、コアホルダ77に熱溶着され保持されており、ハウジング76内に収まっている。尚、本実施形態では、コアホルダ77を具備したが、コアホルダ77を廃止し、外側磁性体コア7aのみで本実施形態の外側磁性体コア7aとコアホルダ77の形状を具備してもよい。
【0092】
また、図21(a)に示すように外側磁性体コア7aを保持してコアホルダ77はハウジング76の案内手段761の案内によって、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙を変化させる方向、すなわち矢印P方向に移動可能になっている。リンク部材75は長穴部がコアホルダ77の連結部771と連結され、回転軸78周りに回転可動となっている。つまり、リンク部材75がQ1方向へ回転すると、コアホルダ77と外側磁性体コア7aがP1方向へ移動し、リンク部材75がQ2方向へ回転すると、コアホルダ77と外側磁性体コア7aがP2方向へ移動する。
【0093】
このように、リンク部材75を設けることによって、コアホルダ77と外側磁性体コア7aの移動距離を長くすることが可能となる。リンク部材75は付勢部材74によってQ1方向へ回転されるように付勢されており、外側磁性体コア7aを移動規制する規制部材73によって、リンク部材75のQ1方向への回転を規制している。尚、本実施形態ではリンク部材75に弾性バネで構成される付勢部材74を取り付けている。しかし、結果として外側磁性体コア7aがP1へ動く方向であればよく、外側磁性体コア7aやコアホルダ77へ付勢部材を取り付けたり、リンク部材75の自重によってQ1方向へモーメントを作用させても用いてもよい。
【0094】
図20(a)に示すように、規制部材73はピニオンギア80と連結され、ピニオンギア80の回転運動により、記録材搬送方向に直交する方向、すなわちY方向へ移動可能となっている。また、ピニオンギア80はモータMと駆動連結されており、モータMの駆動力によって動作する。ホームポジションセンサ81はフォトインタラプタであり、規制部材73のフラグ部73aによって遮光されている(このときホームポジションセンサはON状態とする)。
【0095】
したがって、図19(a)、図20(a)、図21(a)の状態においては、規制部材73によってすべてのリンク部材75が規制されていることになる。図22は、定着ベルト1方向からみた、誘導加熱ユニット70の斜視図である。図19および図22に示すように規制部材73には磁束遮蔽部材11が一体に取り付けられており、規制部材73とともに記録材搬送方向に直交する方向、すわなちY方向への移動が可能になっている。磁束遮蔽部材11は銅板を用い、励磁コイル6と定着ベルト1の間に挿入しており、外側磁性体コア7aの幅以上と規定している。
【0096】
図23は、最大サイズ紙通紙時の長手方向配置図である。最大サイズ紙通紙時(本実施形態ではA3ノビ)において、磁束遮蔽部材11は、励磁コイル6の長手方向における内径rの端面と定着ベルト1を支持するための装置側板12との間に対応する位置を初期位置A1として配置している。この初期位置A1をホームポジションとしている。このときホームポジションセンサ81はON状態である。したがって、ホームポジションは、すべての外側磁性体コア7aがP2方向へ規制され、且つ磁束遮蔽部材11が初期位置A1に配置されている状態である。
【0097】
図24、図25は本実施形態のブロック図、フローチャートである。図24に示すように、CPU110は画像形成装置に設置されている操作部や、コンピュータ内の記録材サイズ入力手段111の信号を読み取り、ホームポジションセンサ81の信号をもとにモータMを制御している。
【0098】
次に、図25を用いて、コア移動動作の流れを説明する。プリントジョブが開始すると、記録材サイズ入力手段111から記録材サイズの入力値を読み取る。すると記録材サイズの入力値に合わせてCPU110の演算により、モータMのホームポジションセンサ81からの所定のパルス数C1を決定する。そして、CPU110はホームポジションセンサ81の入力信号を読み取り、OFF状態であると、すなわち規制部材73がホームポジションにいないと、規制部材73をY2方向へ移動させる。即ち、モータMを回転させることで、規制部材73をON状態になるまで戻す。
【0099】
ホームポジションセンサ81が、ON状態であると、規制部材73をY1方向へ動くようにモータMを回転させる。そして、ホームポジションセンサ81がOFFへ切換わったことを認識すると、モータMを所定のパルス数C1移動させて、コア移動動作が終了し、プリントが開始される。
【0100】
図20(b)、図21(b)は、本実施形態のコア移動手段が移動した後の定着装置の上視図、断面図である。図20(b)、図21(b)においては、記録材サイズ入力手段111の信号からB4サイズと認識した際の、非通紙部領域のコア移動後の状態を示している。すなわち、両端のコアホルダ77(図21)の3つ分がP1方向へ移動し、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙が広がっている。
【0101】
図20(b)のように規制部材73がY1方向へ移動が開始すると、記録材搬送方向と直交方向の端部側のリンク部材75から規制がはずれる。すなわち、規制部材73が端部側から中央側へ移動するとき、端部側の外側磁性体コア7aから規制を解除していくことになる。このように、小サイズ通紙時に規制部材73を中央部へ動作させることで、規制部材73の可動範囲が記録材搬送方向と直交方向に広がらないため、省スペースで構成することができる。
【0102】
規制部材73から規制を解除された外側磁性体コア7aの状態を図21(b)を用いて説明する。規制部材73の規制からはずれたリンク部材75は、付勢部材74によって回転軸78を中心にQ1の方向へ回転する。そして、フレーム79の突き当て部に当接し、リンク部材75の位置が規制される。これに伴って、コアホルダ77および外側磁性体コア7aはハウジング76の案内手段761の案内によって、P1方向へ移動し、外側磁性体コア7aと励磁コイル6との間隙が広がることになる。
【0103】
一方、図23(b)に示すように規制部材73の移動に伴って磁束遮蔽部材11は記録材端部領域の適正位置Zまで移動している。したがって図20(b)、図21(b)、図23(b)に示すような状態においては、励磁コイル6と外側磁性体コア7aの距離が離れているため、励磁コイル6の周りにできる外側磁性体コア7a及び誘導発熱体からなる磁気回路の効率が落ちて、発熱量が低下する。
【0104】
また、磁束遮蔽部材11によって、記録材端部領域の励磁コイル6の周りに発生した磁気回路を遮蔽し、定着ベルト1、すなわち誘導発熱体の発熱自体を抑える。したがって、非通紙部昇温が回避され、その結果、外側磁性体コア7aや励磁コイル6の異常昇温も回避される。
【0105】
逆に、規制部材73をY2方向へ動かす際、すなわちホームポジションへ戻す場合
は、規制部材73がリンク部材75と接触し、リンク部材75を図21(b)に示すQ2方向へ回転させる。このとき、コアホルダ77およびコア72はP2方向へ動作する。すなわち、図21(b)の断面で示す状態は図21(a)に示す状態へと移行する。
【0106】
このように、本実施形態においては外側磁性体コア7aの移動と、磁束遮蔽部材11の移動を単一の駆動源(モータM)で構成している。そして、規制部材73等の構成部品を長手方向に大きくする必要もないため、構成を煩雑にすることなく、省スペースな構成で多種類の記録材サイズの非通紙部昇温を回避することができる。
【0107】
《第4の実施形態》
本実施形態は、画像形成装置、定着装置、定着ベルト、加圧ローラ、圧力付与部材、誘導加熱装置に関しては第1の実施形態と、磁性体コアおよび磁束遮蔽部材の移動手段に関しては第3の実施形態と同様であるため説明を省略する。図26は本実施形態を示す斜視図である。図26(a)はジョブ開始前の状態を示している。本実施形態では規制部材73のホームポジションを検出するホームポジションセンサ81の他、位置検出センサ89を設けている。
【0108】
規制部材73はホームポジションセンサが検出をするフラグ部73aの他、位置検出センサ89が検出をする位置フラグ部73bを有している。 位置検出センサ89は規制部材73が移動した際に位置フラグ部73bの複数のエッジが通過することによって、検知信号がON⇒OFFあるいはOFF⇒ONへの切り替わる。そのタイミングをCPU110が読み取り、モータMへ動作指令を行う。尚、ON⇒OFFあるいはOFF⇒ONへの切り替りの幅は、外側磁性体コア7aの間隙と同一に設定している。
【0109】
図27、図28は本実施形態のブロック図、フローチャートである。図27に示すように、CPU110は画像形成装置に設置されている操作部や、コンピュータ内の記録材サイズ入力手段111の信号を読み取り、ホームポジションセンサ81と位置検出センサ89の信号をもとにモータMを制御している。
【0110】
本実施形態では図27に示すように、規制部材73(図26)の位置を検出する位置検出センサ89を備え、その検出情報に基づいて、規制部材を駆動する規制部材移動駆動部としてのモータMの回転数をCPU110で制御する。
【0111】
次に、図28を用いて、コア移動動作の流れを説明する。プリントジョブが開始すると、記録材サイズ入力手段101から記録材サイズの入力値を読み取る。すると記録材サイズの入力値に合わせてCPU110の演算により、モータMのホームポジションセンサ81がON⇒OFFへの切り替わりを基準に、位置検出センサ89のON⇒OFFまたはOFF⇒ONへの所定の切替わり数C2を決定する。
【0112】
そして、CPU110はホームポジションセンサ81の入力信号を読み取り、OFF状態であると、すなわち規制部材73がホームポジションにいないと、モータMを回転させることで、規制部材73をON状態になるまで戻す。即ち、規制部材73が記録材搬送方向と直交方向の中央側に寄っているため、規制部材73をY2方向へ移動させる。
【0113】
ホームポジションセンサ81が、ON状態であると、規制部材73がホームポジションにいるとして、規制部材73をY1方向へ動くようにモータMを回転させる。そして、ホームポジションセンサ81がOFFへ切換わったことを認識すると、モータMを位置検出センサ89の所定の切替わり数C2だけ移動させてコア移動動作を停止し、プリントが開始される。この状態を図26(b)に示す。
【0114】
その後、ジョブが開始されると、第1の実施形態で示したように連続通紙の所定枚数後に記録材端部領域の非通紙部昇温を回避するために磁束遮蔽手段11を移動させる必要がある。
【0115】
図29は通紙初期から通紙後期にかけての外側磁性体コア7aと磁束遮蔽手段11の通紙片側領域の状態を示す説明図である。この際、磁束遮蔽手段11を保持した規制部材73は、ジョブの初期状態から外側磁性体コア7aの移動している数が変化しない位置に対応した位置フラグ部73bのエッジを位置検出センサ89で検出する。これにより基準取りを行った後、モータMを所定のパルス数C3移動して通紙後期につなげる。
【0116】
即ち、通紙ジョブ中に、第2の磁束調整手段である磁束遮蔽手段11の移動に際し前記規制部材を移動する場合、前記磁性体コアの移動している数が変化しないようにされる。そして、これにより、通紙途中で磁束遮蔽手段11を保持した規制部材73を移動する際、位置フラグ部で必ず移動位置への基準が定まる。このため、初期に移動した規制部材73の位置バラツキや通紙中に熱膨張等による規制部材73の位置バラツキをキャンセルすることができる。すなわち、通紙中に移動した磁束遮蔽手段11の位置精度が向上する。
【0117】
また、外側磁性体コア7aの移動している数が変化しない位置に対応した位置フラグ部73bのエッジを検出しているので、移動の際に外側磁性体コア7aの移動による非通紙部昇温や端部定着不良を誘発させることもない。
【0118】
さらに、位置検出センサ89と規制部材73の位置フラグ部73bを設けることで、位置精度を向上させるためにホームポジションまで戻す必要もなく、通紙中の生産性の低下も生じることがない。
【0119】
(変形例)
以上、分割された外側磁性体コア7aについては、長手方向の幅が夫々等しいという前提で説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、長手方向の端部側において中央部側とは異なり、図1の破線で囲まれる4個分の外側磁性体コア7aを連結した幅で一体的に移動可能としても良い。
【0120】
また以上、磁束遮蔽手段11に関しては、加熱回転体の回転軸方向である長手方向に移動可能と説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、磁束遮蔽手段11を円筒状あるいは部分円筒状(例えば円周角度が120度)の回転体の表面に両端部側の磁束遮蔽手段として設け、この磁束遮蔽手段11の組を記録材の幅サイズに応じて複数組設けても良い。そして、記録材の幅サイズに応じて磁束遮蔽手段11が設けられた前記回転体を幅サイズに応じた所定角度回動させることで、長手方向適切な位置に磁束遮蔽手段11をセットできる。
【符号の説明】
【0121】
1・・定着ベルト、2・・加圧ローラ、6・・励磁コイル、7a・・外側磁性体コア、
11・・磁束遮蔽部材、12・・装置側板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束を生ずるコイルと、前記コイルから生ずる磁束により発熱する回転可能な発熱部材と、前記発熱部材の外側に設けられ、前記発熱部材の回転軸線方向において並べて配置された複数の磁性体コアと、少なくとも複数の内の一部の前記磁性体コアを第一位置から前記コイルから離れた位置である第二位置へ移動させる第一移動手段と、を有し、前記発熱部材が記録材の画像を加熱する像加熱装置において、
前記磁性体コアと前記発熱部材との間を移動可能であり、前記磁性体コアから前記発熱部材に向かう磁束を減らすための磁束調整部材と、
記録材の非通紙領域の第一の磁性体コアを前記第一移動手段により前記第二位置に移動させ、前記非通紙領域であって前記第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コアを前記第一位置に配置して画像を加熱する際に、前記第二の磁性体コアに対応する位置に前記磁束調整部材を移動させる第二移動手段を有することを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記発熱部材の前記回転軸線方向の両端部側に装置側板を備え、
前記磁束調整部材の前記回転軸線方向における幅Xは、前記装置側板の間隔をA、前記コイルの前記回転軸線方向における内径をB、前記磁性体コアの夫々の前記回転軸線方向における幅をCとすると、
C≦X≦(A−B)/2
であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記第一の磁性体コアは前記記録材の搬送方向に直交する方向のサイズの変更に応じて前記記録材の前記サイズに応じた前記第二位置に移動され、かつ前記磁束調整部材は変更された前記記録材が所定枚数だけ通紙された場合に前記記録材の前記サイズに応じた位置に移動される請求項1または請求項2に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記磁束調整部材は前記記録材の最大サイズ通紙時に、前記回転軸線方向における前記コイルの内径の外側に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記第一の磁性体コアを移動規制する規制部材を備え、
前記規制部材によって前記磁束調整部材が前記回転軸線方向に移動規制されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記規制部材は前記回転軸線方向において端部側から中央部側へ移動するとき、端部側の前記磁性体コアから規制を解除していくことを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記磁束調整部材は前記規制部材に固定されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の像加熱装置。
【請求項8】
前記規制部材の位置を検出する位置検出手段と、前記規制部材を駆動する規制部材移動駆動部と、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記規制部材移動駆動部の回転数を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項9】
通紙ジョブ中に、前記磁束調整部材の移動に際し前記規制部材を移動する場合、前記磁性体コアの移動している数が変化しないことを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項10】
前記位置検出手段によって前記規制部材の位置検出を行った後に、ホームポジションへ前記規制部材を移動させることを特徴とする請求項8に記載の像加熱装置。
【請求項1】
磁束を生ずるコイルと、前記コイルから生ずる磁束により発熱する回転可能な発熱部材と、前記発熱部材の外側に設けられ、前記発熱部材の回転軸線方向において並べて配置された複数の磁性体コアと、少なくとも複数の内の一部の前記磁性体コアを第一位置から前記コイルから離れた位置である第二位置へ移動させる第一移動手段と、を有し、前記発熱部材が記録材の画像を加熱する像加熱装置において、
前記磁性体コアと前記発熱部材との間を移動可能であり、前記磁性体コアから前記発熱部材に向かう磁束を減らすための磁束調整部材と、
記録材の非通紙領域の第一の磁性体コアを前記第一移動手段により前記第二位置に移動させ、前記非通紙領域であって前記第一の磁性体コアの隣の第二の磁性体コアを前記第一位置に配置して画像を加熱する際に、前記第二の磁性体コアに対応する位置に前記磁束調整部材を移動させる第二移動手段を有することを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記発熱部材の前記回転軸線方向の両端部側に装置側板を備え、
前記磁束調整部材の前記回転軸線方向における幅Xは、前記装置側板の間隔をA、前記コイルの前記回転軸線方向における内径をB、前記磁性体コアの夫々の前記回転軸線方向における幅をCとすると、
C≦X≦(A−B)/2
であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記第一の磁性体コアは前記記録材の搬送方向に直交する方向のサイズの変更に応じて前記記録材の前記サイズに応じた前記第二位置に移動され、かつ前記磁束調整部材は変更された前記記録材が所定枚数だけ通紙された場合に前記記録材の前記サイズに応じた位置に移動される請求項1または請求項2に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記磁束調整部材は前記記録材の最大サイズ通紙時に、前記回転軸線方向における前記コイルの内径の外側に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記第一の磁性体コアを移動規制する規制部材を備え、
前記規制部材によって前記磁束調整部材が前記回転軸線方向に移動規制されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記規制部材は前記回転軸線方向において端部側から中央部側へ移動するとき、端部側の前記磁性体コアから規制を解除していくことを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記磁束調整部材は前記規制部材に固定されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の像加熱装置。
【請求項8】
前記規制部材の位置を検出する位置検出手段と、前記規制部材を駆動する規制部材移動駆動部と、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記規制部材移動駆動部の回転数を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項9】
通紙ジョブ中に、前記磁束調整部材の移動に際し前記規制部材を移動する場合、前記磁性体コアの移動している数が変化しないことを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項10】
前記位置検出手段によって前記規制部材の位置検出を行った後に、ホームポジションへ前記規制部材を移動させることを特徴とする請求項8に記載の像加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−128312(P2012−128312A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281360(P2010−281360)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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