説明

像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジ

【課題】像担持体の磨耗およびフィルミング、帯電部材の汚染、ならびにトナーすり抜けを防止し、かつ、経時に渡ってその効果を維持することができる像担持体保護剤を提供する。
【解決手段】感光体ドラム1に対向して配設されると共にクリーニング機構4の下流に配置された保護層形成装置2は、固形ブロック状の像担持体保護剤に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面に向かって小さく形成されている像担持体保護剤21、保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、保護層形成機構24から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関し、さらに詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置、該画像形成装置の像担持体の表面を保護する像担持体保護剤、該像担持体保護剤を用いて像担持体表面に保護層を形成する保護層形成装置、該像担持体保護剤を用いた画像形成方法および該画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナー粒子を付着させ可視像を形成している。トナーにより形成された可視像は、最終的に紙等の転写媒体に転写後、熱、圧力や溶剤気体等によって転写媒体に定着され、出力画像となる。
【0003】
これらの画像形成の方式は、可視像化のためのトナー粒子を帯電させる方法により、トナー粒子とキャリア粒子の攪拌・混合による摩擦帯電を用いる、いわゆる二成分現像方式と、キャリア粒子を用いずにトナー粒子への電荷付与を行う、いわゆる一成分現像方式とに大別される。また、一成分現像方式では、現像ローラーへのトナー粒子の保持に磁気力を使用するか否かにより、磁性一成分現像方式、非磁性一成分現像方式に分類される。
【0004】
これまで、高速性、画像再現性を要求される複写機やこれをベースとした複合機等では、トナー粒子帯電の安定性、立上がり性、画像品質の長期的安定性等の要求から、二成分現像方式が多く採用され、省スペース性、低コスト化等の要求が大きい、小型のプリンタ、ファクシミリ等には、一成分現像方式が多く採用されてきていた。
また、特に昨今、出力画像のカラー化が進み、画像の高画質化や画像品質の安定化に対する要求は、これまでにも増して強くなっている。
高画質化のためには、トナーの平均粒径は小さくなり、またその粒子形状は角張った部分がなくなり、より丸い形状になってきている。
【0005】
これら電子写真方式による画像形成装置は、現像方式の違いによらず、一般的にドラム形状やベルト形状をした像担持体、すなわち一般には感光体を回転させつつ一様に帯電し、レーザ光等により像担持体上に潜像パターンを形成し、これを現像装置により可視像化して、さらに転写媒体上に転写を行っている。
また、転写媒体へトナー像を転写した後の像担持体上へは、転写されなかったトナー成分が残存する。これらの残存物が、そのまま帯電工程に搬送されると、像担持体の均等な帯電を阻害することがしばしばあるため、一般的には、転写工程を経た後に、像担持体上に残存するトナー成分等を、クリーニング工程にて除去し、像担持体表面を十分に清浄な状態とした上で、帯電が行われる。
【0006】
このように、作像の各工程、すなわち帯電、現像、転写、クリーニング等の各工程においては、さまざまな物理的ストレスや電気的ストレスが存在し、経時的に像担持体、帯電部材、クリーニング部材が劣化していく。この問題点を解消すべく、これまでにも像担持体、帯電部材、クリーニング部材の劣化を低減させるために各種潤滑剤や、潤滑成分の供給・膜形成方法について、多くの提案がなされている。
【0007】
例えば、特許文献1では、感光体やクリーニングブレードの寿命を延ばすため、ステアリン酸亜鉛を主成分とする固形潤滑剤を感光体表面に供給し、感光体表面に潤滑皮膜を形成することが提案されている。これによって感光体表面の磨耗を抑え、像担持体の寿命を延ばすことが可能となっている。
【0008】
特許文献2では、固形潤滑剤の具体的な塗布方法として、潤滑剤塗布装置を用いる例が示されている。この潤滑剤塗布装置は、バー(棒)状に成型された固形潤滑剤に当接し、これを摺擦することで削り取った微粉末状の潤滑剤を、感光体ベルトや中間転写ベルト(潤滑剤供給対象)に供給するブラシローラ(ブラシ状部材、供給部材)を備えている。固形潤滑剤は、潤滑剤保持部材に保持されており、その潤滑剤保持部材にはバネ(付勢手段)が当接している。固形潤滑剤は、このバネの付勢力によりブラシローラへ押圧されている。ブラシローラが回転すると、これに当接している固形潤滑剤が摺擦され、これにより削り取られてブラシローラに付着した潤滑剤が、感光体ベルトや中間転写ベルトの表面に塗布・付着される。また、この潤滑剤塗布装置には、潤滑剤均しブレードが設けられている。この潤滑剤均しブレードは、感光体ベルトや中間転写ベルトの表面に塗布された潤滑剤を押し広げて、その表面に厚みの均一な潤滑剤層を形成するためのものである。
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の技術では、バネの当接によって固形潤滑剤がブラシローラへ押圧される構成においては、固形潤滑剤が削れていくに従いバネが伸びていくため、必然的に押圧力は弱まっていく。その結果、固形潤滑剤の切削量は低下していき、感光体や中間転写ベルトへ供給される固形潤滑剤の量も低下するため、感光体や中間転写ベルトを経時に渡って十分に保護することができなくなるという問題点がある。
【0010】
これらの問題点に対して、特許文献3では、固形潤滑剤を保持する部材に、複数の可動部材を押し当てるように設け、それら可動部材を1つのバネ部材で加圧することによって、固形潤滑剤が削れていく経時においても、ブラシローラに対して同じ加圧力を保つことができるとしている。
【0011】
また、固形潤滑剤の量の低下により、感光体や中間転写ベルトを経時に渡って十分に保護することができなくなるという問題点に対して、特許文献4では、固形潤滑剤の表裏方向で、すなわち消費され始める表側の硬度が消費され終わる裏側の硬度よりも大きくすることによって、消費量の低下を押えることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献3記載の技術では、圧縮成型で得られた固形潤滑剤ブロック(塊)においては、経時に渡り同じ加圧力を保ったとしても、経時の消費量低下を防止できないことが分かっている(後述の比較例において示す)。
【0013】
また、特許文献4記載の技術では、硬度が表裏で異なる固形潤滑剤ブロックの具体的な実現手段はなんら示されていない。すなわち、特許文献4における硬度は、異なる硬度の固形潤滑剤ブロックを複数重ねて使用することが示されているが、同じ材料で、かつ、硬度が異なる固形潤滑剤ブロックの実現手段自体が示されていない。
【0014】
また一方で、特許文献1〜4に示されているステアリン酸亜鉛を始めとした脂肪酸金属塩は、帯電工程において像担持体近傍で行われる放電の影響により、早期にその潤滑性を失ってしまうことが分かっている(例えば、特許文献5の段落「0007」等参照)。その結果、クリーニングブレードと像担持体との潤滑性が損なわれ、トナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまい、不良画像となる。
【0015】
本発明は、上述した課題・事情に鑑みてなされたものであって、像担持体の磨耗およびフィルミング、帯電部材の汚染、ならびにトナーすり抜けを防止し、かつ、経時に渡ってその効果を維持することができる像担持体保護剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な像担持体保護層を形成する保護層形成装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、良好な品質の画像を長期間に渡り安定して得ることができる画像形成方法および画像形成装置を提供することを、さらなる目的とする。
また、本発明は、良好な品質の画像を安定して得ることができるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、像担持体の表面に塗布または付着される像担持体保護剤において、前記像担持体保護剤は、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む粒状または顆粒状の原料を圧縮成型される固形状のものであって、前記固形状の像担持体保護剤に含まれる前記無機潤滑剤(B)と前記脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面に向かって小さく形成されていることを特徴とする。
ここで、前記固形状の像担持体保護剤に含まれる「前記無機潤滑剤(B)と前記脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)」とは、厳密に表現すると、「前記無機潤滑剤(B)の前記脂肪酸金属塩(A)に対する配合の重量比(B/A)」を意味する。
また、「像担持体の表面に塗布または付着される像担持体保護剤」を、広義に表現すると、「像担持体もしくは像担持体の表面に供給される像担持体保護剤」と表現することもできる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の像担持体保護剤において、前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の像担持体保護剤において、前記無機潤滑剤が、窒化ホウ素であることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置において、前記像担持体保護剤が、請求項1ないし3の何れか一つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の保護層形成装置において、前記像担持体保護剤を、供給部材を介して前記像担持体の表面へ供給することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の保護層形成装置において、前記像担持体の表面へ供給された前記像担持体保護剤を押圧し皮膜化する層形成部材を有することを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、トナー像を担持する工程を経る像担持体と、該像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを用いた画像形成方法において、前記像担持体保護剤が、請求項1ないし3の何れか一つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、トナー像を担持する工程を経る像担持体と、前記像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを有する画像形成装置において、前記保護層形成装置が、請求項4ないし6の何れか一つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記像担持体の移動方向における前記転写装置より下流側で、かつ、前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項8または9記載の画像形成装置において、前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項8ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体が、感光体であることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項8ないし11の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の画像形成装置において、前記帯電装置に、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加装置を備えてなることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項8ないし13の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体が、中間転写媒体であることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項8ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記トナーの、式1で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 式1
請求項16記載の発明は、請求項8ないし15の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40であることを特徴とする。
【0025】
請求項17記載の発明は、トナー像を担持する工程を経る像担持体と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを一体に備えるプロセスカートリッジにおいて、前記保護層形成装置が、請求項4ないし6の何れか一つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする。
請求項18記載の発明は、請求項17記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体の移動方向における前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の発明は、請求項17または18記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする。
【0027】
請求項20記載の発明は、請求項17ないし19の何れか一つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする。
【0028】
請求項21記載の発明は、請求項17ないし20の何れか一つに記載のプロセスカートリッジにおいて、トナーを収容する容器を備え、前記トナーの、式1で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 式1
【0029】
請求項22記載の発明は、請求項17ないし21の何れか一つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40であることを特徴とする。
請求項23記載の発明は、請求項17ないし22の何れか一つに記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、上記構成および実験結果により、上記課題を解決して上記目的を達成できる新規な像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジを実現し提供することができる。主な請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
【0031】
請求項1記載の発明によれば、上記構成および実験結果により、圧縮成型して得られた固形状の像担持体保護剤であっても経時での消費量低下を防止してその機能を維持することができるので、像担持体の磨耗およびフィルミング、帯電部材の汚染、ならびにトナーすり抜けを防止し、かつ、経時に渡ってその効果を維持することができる像担持体保護剤を提供することができる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、脂肪酸金属塩としてステアリン酸を用いた方が、より良い像担持体保護性が得られると共に、高級脂肪酸のなかではステアリン酸は最も安価であり、その中でも亜鉛の塩は疎水性に優れた非常に安定な物質である点で優れている。
請求項3記載の発明によれば、無機潤滑剤として窒化ホウ素を用いた方が、より良い帯電部材の汚染防止効果が得られる。
【0033】
請求項4〜6記載の発明によれば、保護層形成装置を上記のように構成し、像担持体保護剤と像担持体との間に供給部材を介させることにより、軟質な像担持体保護剤を用いた場合にでも、像担持体表面へ均等に供給することができる。また、前記保護層形成装置に像担持体保護剤を押圧し皮膜化する層形成部材を設ける場合、層形成部材はクリーニング部材を兼ねても良いが、より確実に保護層を形成するには、予めクリーニング部材にて像担持体上のトナーを主成分とする残存物を除去し、残存物が保護層内に混入しないようにした方が好ましい。
【0034】
請求項7〜16記載の発明によれば、前記像担持体保護剤を有する保護層形成装置を用いて画像形成装置を構成することにより、像担持体は極めて長期間、交換することなく使用し続けることができる。
特に、前記像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に渡り持続的に発現させることが可能となる。これにより、像担持体は実質無交換で使用できるレベルまで耐久性を引き上げることが可能となる。
また、前記像担持体表面に接触または近接して配設された帯電装置では、放電領域が像担持体のごく近傍に存在するため電気的ストレスが大きくなりがちであるが、像担持体保護層を形成した画像形成方法や、画像形成装置であれば、像担持体を電気的ストレスに曝すことなく使用できる。
また、像担持体の表面は形成された保護層の効果により、表面状態の変化を極めて小さくできるため、クリーニングの良否が像担持体の状態変化に対して敏感に変動してしまうような、円形度が大きなトナーや平均粒径が小さなトナーであっても、長期間に渡り安定したクリーニングを行うことができる。
【0035】
請求項17〜23記載の発明によれば、前記像担持体保護剤を有する保護層形成装置を用いてプロセスカートリッジを構成することにより、プロセスカートリッジの交換間隔を極めて長く設定することが可能となるため、ランニングコストが低減され、また廃棄物量も大幅に削減できる。
特に、前記像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に渡り持続的に発現させることが可能となる。
また、前述のように、本発明の像担持体保護成分は金属成分を実質的に含んでいないため、接触または近接して配設された帯電部材を、金属酸化物等で汚染することなく、帯電装置の経時変化を小さくできる。このため、像担持体や帯電部材等のプロセスカートリッジ構成部品の再使用も容易となり、さらなる廃棄物量削減も可能となるので、ひいては地球環境保護に寄与することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る像担持体保護剤を圧縮成型して得る際に使用する成型型全体の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像担持体保護剤を圧縮成型して得る際の工程手順を説明するための、成型型、原材料等の要部の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る像担持体保護剤をプレスで圧縮成型して得る際の工程手順を説明するための、成型型内での原材料圧縮状態等の要部の断面図である。
【図4】図3の工程を経て、圧縮成型して得られた像担持体保護剤ブロックを成型型内から取り出す工程手順を説明するための要部の断面図である。
【図5】図2〜図4の工程を経て得られた、無機潤滑剤(B)と前記脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)の異なる複数の像担持体保護剤ブロックを重量比(B/A)の小さい順に成型型内に重ねる工程手順を説明するための要部の断面図である。
【図6】図5の工程を経て得られた重量比(B/A)の異なる複数の像担持体保護剤ブロックをプレスで圧縮成型して、像担持体保護剤ブロックの最終品を得る際の工程手順を説明するための要部の断面図である。
【図7】図6の工程を経て得られた像担持体保護剤ブロックの最終品を成型型内から取り出す工程手順を説明するための要部の断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る像担持体保護剤ブロックの最終品の外観・形状を説明するための斜視図である。
【図9】表面から裏面にかけて重量比(B/A)の異なる像担持体保護剤ブロックの最終品を保護層形成装置のホルダに取り付けた状態を示す要部の断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る保護層形成装置の概略的な構成図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの概略的な断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのカラー複写機全体の概略的な断面図である。
【図13】比較例1〜6において、横軸に画像形成装置の作像部での作像枚数を、縦軸に像担持体保護剤ブロックの消費量をそれぞれ取り、作像枚数とその作像枚数における像担持体保護剤ブロックの消費量推移との関係を表したグラフである。
【図14】実施例1〜3において、横軸に画像形成装置の作像部での作像枚数を、縦軸に像担持体保護剤ブロックの消費量をそれぞれ取り、作像枚数とその作像枚数における像担持体保護剤ブロックの消費量推移との関係を表したグラフである。
【図15】実施例1〜3において、横軸に像担持体保護剤ブロックの表面からの位置を、縦軸に像担持体保護剤ブロックに含まれる無機潤滑剤の脂肪酸金属塩に対する配合の重量比をそれぞれ取り、像担持体保護剤ブロックの表面からの位置とその位置における重量比との関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を説明する。
像担持体保護剤は、均一に素早く像担持体表面に延展し、像担持体表面を保護すると同時に、クリーニング装置を構成するクリーニング部材としてのクリーニングブレードを保護するために「潤滑性」を付与する働きを持つ材料が好ましく、具体的には脂肪酸金属塩、無機潤滑剤、ワックス類、オイル類、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの材料中でも、「脂肪酸金属塩」および「無機潤滑剤」を混合して使用することが最も好ましい。すなわち、本発明およびその実施形態では、「脂肪酸金属塩」と、「無機潤滑剤」とをすべて含むことを必須の構成としている(請求項1)。
脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムおよびそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。
中でも「ステアリン酸亜鉛」は、後述する実施例の裏付けにより、特に像担持体表面への成膜性に優れることから、本発明においては最も好ましく用いられる(請求項2)。
【0038】
但し、ステアリン酸亜鉛は、均一成膜性に優れる反面、クリーニング性の課題がある。通常の作像プロセスでは、転写後の残トナーを像担持体である感光体上から除去する手段としてクリーニングブレードによるブレードクリーニング方式が採用されているが、ステアリン酸亜鉛はこのクリーニングブレードをトナーがすり抜けやすくする性質がある。クリーニングブレードをトナーがすり抜けると、そのトナーが直接画像に現れたり、帯電部材の汚染をさらに加速したりしてしまう結果となる。このトナーすり抜けは、トナーの粒径が小さいほど顕著に表れる。同時に、トナーなどのすり抜けが多いとクリーニングブレードを磨耗させてしまい、作像装置が短寿命になってしまう。「無機潤滑剤」は、このようなステアリン酸亜鉛の短所を補う役割を有し、混合して用いることで、本発明では特に優れた保護効果を得ることができる。
【0039】
無機潤滑剤とは、その物質自身が劈開して潤滑する、または内部滑りを起こすものを指す。この例としては、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイトなどがあるが、これに限るものではない。
中でも「窒化ホウ素」は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することおよび後述する実施例の裏付けにより、本発明においては最も好ましく用いられる(請求項3)。
なお、これらの「無機潤滑剤」は、疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。
【0040】
また、本発明の像担持体保護剤は、上述した少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む粒状または顆粒状の原料を型内で圧縮成型される固形ブロック(塊)状のものであって、固形ブロック状の像担持体保護剤に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面に向かって小さく形成されていることを必須の構成としている。
【0041】
(像担持体保護剤の製造方法)
以下、図1〜図9を参照して、本発明の像担持体保護剤の実現手段、製造方法の一例を示す。
図1は、本発明の像担持体保護剤を製造するために使用する型の全体を示している。同図に示すように、使用する型は、1個の上型31、1個の下型32、2個の横型33、2個の端型34である。
下型32の上方に画定された空間を形成するように、下型32を2個の横型33と2個の端型34とで挟みこんだ場所に、圧縮する前の原材料15を入れた後、上型31でプレスして、固形ブロック状の像担持体保護剤(以下、「像担持体保護剤ブロック」ともいう)を得る。この像担持体保護剤ブロックに含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面に向かって小さく形成されるように圧縮成型する。
図2〜図7は、像担持体保護剤をその長手方向(後述する像担持体の一例としての感光体ドラムの軸・長手方向でもある)と直交する面側から見た断面図である。像担持体保護剤の製造手順・工程は、図2〜図7に示す工程を経る。図8および図9は、図2〜図7に示す工程を経て製造された本発明の固形ブロック状の像担持体保護剤の概略図である。
【0042】
以下、本発明の像担持体保護剤ブロックの製造手順・工程の概要を説明する。ここでは、像担持体保護剤を一定の形状、例えば角柱状に圧縮成型するために、粉末成型方法の一つである、乾式成形法の代表的な例として、一軸加圧成形法を用いた例で説明する。
先ず、図1および図2に示すように、下型32を横型33と端型34で挟みこんだ場所に、計量した像担持体保護剤の原材料15を投入する。ここに、原材料15は、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを含む粒状または顆粒状のものである。
次いで、図2ないし図3に示すように、上型31を設置し、図3に示すようにプレス35で上型31を加圧・降下させて原材料15を圧縮する。このとき、上型31の両側壁を挟さみ込む状態で、両側の横型33上面とプレス35下面との間に、ストッパ36を設置することで、同じ高さの像担持体保護剤ブロックを成型することができる。
【0043】
次いで、図4に示すように、プレスを解除し、上型31を外し、下型32を上に押し上げて、圧縮された像担持体保護剤ブロック16を取り出す。この工程において、無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が異なり高さが同一の複数の像担持体保護剤ブロックを成型する。
次いで、図5に示すように、無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が異なり高さが同一の複数の像担持体保護剤ブロックを、重量比(B/A)が小さい順に下から重ねてブロック積載物17を形成する。
次いで、図6に示すように、上型31を設置し、プレス35で上型31を加圧・降下させてブロック積載物17を圧縮する。このとき、図3で説明したと同様にしてストッパ36を設置することで、同じ高さの像担持体保護剤ブロックを成型することができる。この工程によって、無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)の異なるブロックの境目が無くなり、連続的な重量比(B/A)の像担持体保護剤ブロック21になる。
次いで、図7に示すように、プレスを解除し、上型31を外し、下型32を上に押し上げて、圧縮された像担持体保護剤ブロック(固形ブロック状の像担持体保護剤)21を取り出す。
このように、図2〜図7の工程を順次経ることで、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含み、かつ、消費され始める表面から消費し終わりの裏面にかけて無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が連続的に小さく形成された像担持体保護剤ブロック(固形ブロック状の像担持体保護剤)21を製造することができる。
但し、前記の工程はあくまで一例であり、これに限るものではない。
【0044】
図8は、図2〜図7の工程を経て製造された像担持体保護剤ブロック(固形ブロック状の像担持体保護剤)21の全体の外観を示しているが、その高さ方向に重量比(B/A)が異なる状態を省略して図示している。
後述する図10等で説明する、像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置で使用される際には、像担持体保護剤ブロック21を、供給部材(図10等参照)を介して像担持体表面へ供給することになるが、図9に示すように、像担持体保護剤ブロック21の「表面」は、供給部材と当接して削られていくことで消費され始める被削面側を、「裏面」は消費し終わりの側をそれぞれ意味している。同図においては、像担持体保護剤ブロック21の高さ方向に重量比(B/A)の大小状態が変わり、像担持体保護剤ブロック21に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から裏面にかけて連続的に小さく(大→小)形成されている。像担持体保護剤ブロック21は、その裏面側が、保持部材としての例えば金属製のホルダ25に例えば両面テープ等で接着されることで保持される。
【0045】
(保護層形成装置)
図10を参照して、上述の製造方法で得られた像担持体保護剤ブロック(以下、「像担持体保護剤」ともいう)21を像担持体保護剤として使用した、本発明の保護層形成装置に係る実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係る保護層形成装置の構成を示す概略的な構成図である。
同図において、像担持体としての感光体ドラム1に対向して配設された保護層形成装置2および4は、像担持体保護剤21、供給部材としての保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、層形成部材としての保護層形成機構24、クリーニング機構4等から主に構成される。像担持体保護剤21の配置は、あくまで一例であり、これに限るものではない。
【0046】
保護層形成機構24は、軸24cを中心に揺動可能に設けられたブレード支持体24bと、該ブレード支持体24bにその一端部を(感光体ドラム1側と反対側端部)を支持され、他端部が感光体ドラム1の表面にトレーニング方向で当接するブレード24aと、ブレード支持体24bを時計回り方向に付勢してブレード24aの先端を感光体ドラム1の表面に押圧する押圧手段としてのバネ24dとを有している。
【0047】
像担持体保護剤21は、図2〜図7の工程で製造した、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを含む粒状または顆粒状の原料を圧縮成型される固形ブロック状のものであって、図8および図9に示したと同様の直方体バー形状に形成され、かつ、固形ブロック状の像担持体保護剤21に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面にかけて連続的に小さく形成されているものである。
像担持体保護剤21は、押圧力付与機構23からの押圧力により、例えばブラシ状の保護剤供給部材22へ接する。保護剤供給部材22は感光体ドラム1と線速度差をもって回転して感光体ドラム1の表面に摺擦し、この際に、保護剤供給部材22表面に保持された像担持体保護剤を、像担持体である感光体ドラム1表面に供給する。
【0048】
感光体ドラム1表面(像担持体表面)に供給された像担持体保護剤は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、上記したブレード状の部材を持つ保護層形成機構24により薄層化(皮膜化)され像担持体保護層となる。
保護層が形成された感光体ドラム1には、例えば、図示しない電圧印加装置により交流成分を有する電圧を印加した帯電装置としての帯電ローラ3を、接触または近接させ、微小空隙での放電による感光体ドラム1の帯電が行われる。
この際、保護層の一部は電気的ストレスにより分解や酸化が生じ、また、保護層表面への気中放電生成物の付着が生じる。そこで、劣化した像担持体保護剤は、通常のクリーニング装置であるクリーニング機構4により、感光体ドラム1に残存したトナー等の他成分と共に除去される。
【0049】
クリーニング機構4(以下、「クリーニング装置4」ともいう)は、上述の保護層形成機構24と兼用にしても良いが、像担持体表面の残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とは、各部材の適切な摺擦状態が異なることがあるため、機能を分離し、図10に示したように像担持体保護剤供給部より、感光体ドラム1の移動・回転方向上流側にクリーニング装置4を設けることが好ましい。
クリーニング装置4は、軸41cを中心に揺動可能に設けられたブレード支持体41bと、該ブレード支持体41bにその一端部を(感光体ドラム1側と反対側端部)を支持され、他端部が感光体ドラム1の表面にカウンター方向で当接するクリーニングブレード41aと、ブレード支持体41bを反時計回り方向に付勢してクリーニングブレード41aの先端を感光体ドラム1の表面に押圧するバネを備えたクリーニング押圧機構42とを有している。
【0050】
保護層形成機構24に用いるブレードの材料は、特に制限されるものではなく、例えばクリーニングブレード用材料として一般に公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。また、これらのゴムブレードは、像担持体との接点部部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理しても良い。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
これらのブレードは、ブレード支持体24bに、先端部が像担持体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。ブレード厚みについては、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね0.5〜5mm程度であれば好ましく使用でき、1〜3mm程度であればさらに好ましく使用できる。
また、ブレード支持体24bから突き出し、たわみを持たせることができるクリーニングブレードの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える、力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね1〜15mm程度であれば好ましく使用でき、2〜10mm程度であればさらに好ましく使用できる。
【0051】
保護層形成用ブレード部材(ブレード24a)の他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、さらに必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm程度であれば好ましく使用でき、0.1〜1mm程度であればより好ましく使用できる。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
また、保護層形成機構24で像担持体を押圧する力は、像担持体保護剤が延展し保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として0.05N/cm(5gf/cm)以上0.78N/cm(80gf/cm)以下であることが好ましく、0.10N/cm(10gf/cm)以上0.59N/cm(60gf/cm)以下であることがより好ましい。
また、ブラシ状の部材は保護剤供給部材22として好ましく用いられるが、この場合、像担持体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用することができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などのうち、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
【0053】
保護剤供給部材22の支持体には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。ブラシ繊維は繊維径10〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×10本)のものが好ましく用いられる。
保護剤供給部材22は、供給の均一性やその安定性の面から、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
【0054】
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定されることなく使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
【0055】
(プロセスカートリッジ)
図11を参照して、本発明のプロセスカートリッジに係る実施形態を説明する。図11は、保護層形成装置2を用いたプロセスカートリッジ12の構成例の概略を示す断面図である。
同図に示すように、プロセスカートリッジ12には、像担持体である感光体ドラム1、保護層形成装置2、帯電装置としての帯電ローラ3、現像装置5、クリーニング装置4等が一体に収容されている。
【0056】
現像装置5は、現像ローラ51、現像剤を攪拌・搬送しながら循環させる搬送スクリュー52,53、トナーを収容するプリセットケース54等を有している。なお、保護層形成装置2、クリーニング装置4については図1で示した形状と異なる部分があるが、機能は同一であるため同一の符号を付して示す。
感光体ドラム1は、転写工程後に部分的に劣化した像担持体保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング部材であるクリーニングブレード41aにより表面残存物が清掃され、クリーニングされる。
図11では、クリーニングブレード41aは、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で感光体ドラム1の表面に当接されている。
【0057】
クリーニング装置4により、表面の残留トナーや劣化した像担持体保護剤が取り除かれた感光体ドラム1の表面へは、保護剤供給部材22から、像担持体保護剤21が供給され、保護層形成機構24により皮膜状の保護層が感光体ドラム1の表面に形成される。保護層が形成された感光体ドラム1は、帯電ローラ3による帯電後、レーザなどの露光Lによって静電潜像が形成され、この潜像は現像装置5により現像されてトナー像として可視像化され、プロセスカートリッジ12外の転写装置としての転写ローラ6などにより、中間転写媒体としての中間転写ベルト105へ転写される。なお、直接転写方式の場合は、転写媒体は転写紙等の転写材やOHPシート等を含むシート状記録媒体である。
【0058】
(画像形成装置)
図12を参照して、本発明の画像形成装置に係る実施形態を説明する。図12は、保護層形成装置2およびプロセスカートリッジ12を有する画像形成装置としてのタンデム型中間転写方式のカラー複写機100の一例を示す断面図である。
同図に示すように、カラー複写機100は、装置本体101と、装置本体101の上部に配置された画像読取装置であるスキャナ102と、該スキャナ102のさらに上部に配置された自動原稿給送装置(ADF)103とを有している。
装置本体101の下部には、複数の給紙カセット104a,104b,104c,104dを備えた給紙部104が配置されている。
【0059】
装置本体101のほぼ中央部には、中間転写媒体・中間転写体としての無端状の中間転写ベルト105が配置されている。中間転写ベルト105は、複数の支持ローラ106,107,108等に掛け渡されて支持されており、図示しない駆動源により図中時計回り方向に回転駆動される。
支持ローラ108の近傍には、2次転写後に中間転写ベルト105上に残留する残留トナー等を除去する中間転写体クリーニング装置109が設けられている。
支持ローラ106と支持ローラ107との間に張り渡された中間転写ベルト105上には、その搬送方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成手段としてのプロセスカートリッジ12Y,12M,12C,12Kがこの順に並設・配置され、タンデム画像形成部10が構成されている。但し、これら4つの色順は一例であり、これに限定されるものではない。
【0060】
プロセスカートリッジ12Y,12M,12C,12Kにおけるドラム状の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの周囲には、図11等を参照して説明した保護層形成装置2、帯電装置3、潜像形成装置8からの露光Lを受け入れる部位、現像装置5、転写装置6およびクリーニング装置4が配置されている。
【0061】
タンデム画像形成部10の上方には、露光装置としての潜像形成装置8が配置されている。中間転写ベルト105を挟んで支持ローラ108と反対の側には、転写装置としての2次転写ローラ110が配置されている。該2次転写ローラ110により、中間転写ベルト105上のトナー画像が、給紙部104から給紙されるシート(用紙等)に転写される。
2次転写ローラ110の左側には、シート上に転写された転写画像を定着する定着装置111が配置されている。定着装置111は、無端ベルト状の定着ベルト111aに加圧ローラ111bを押し当てる構成を備えている。
定着装置111の下方には、上述したタンデム画像形成部10とほぼ平行に、シートの両面に画像を形成する場合にシートを反転するシート反転装置112が配置されている。
【0062】
画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行うが、色を表す符号を省略して簡明に述べる。
有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される感光体ドラム1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電装置としての帯電ローラ3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置3による感光体ドラム1の帯電が行なわれる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電装置(帯電部材)3に、感光体ドラム1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された感光体ドラム1は、レーザ光学系等の潜像形成装置8によって照射されるレーザ光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
レーザ光は半導体レーザから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴンミラー)等により感光体ドラム1の表面を、感光体ドラム1の回転軸方向に走査する。
【0063】
このようにして形成された潜像が、現像装置5にある現像剤担持体である現像スリーブ(現像ローラ51、図11参照)上に供給されたトナー粒子、またはトナー粒子およびキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブに、感光体ドラム1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
各色に対応した感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、図示しない転写装置を構成する転写ローラ6にて中間転写ベルト105上に転写され、給紙部104から給送され、あるいは手差しトレイ113から給送された紙などの転写媒体(シート)上に、2次転写ローラ110により重ね合わされたトナー像(カラー画像)が一括転写される。
このとき、転写ローラ6には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写ベルト105は、感光体ドラム1から分離され、転写像が得られる。
【0064】
感光体ドラム1上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード41aによって、クリーニング装置4内のトナー回収室へ、回収される。
画像転写後のシートは、定着装置111へと搬送され、ここで熱と圧力を加えられて転写画像を定着されたシートは、排紙ローラ対115により排紙トレイ116上に排出・スタックされる。
あるいは、図示しない切換爪で搬送路を切り換えられてシート反転装置112に搬送され、そこで反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を形成された後に、排紙ローラ対115により排紙トレイ116上に排出・スタックされる。
画像転写後の中間転写ベルト105は、中間転写体ベルトクリーニング装置109により残留トナー等を除去され、タンデム画像形成部10による再度の画像形成に備える。
【0065】
画像形成装置としては、上述のように、現像装置が複数配置されたものを用い、複数の現像装置によって順次作製された色が異なる複数トナー像を順次一旦中間転写媒体上に順次転写した後、これを一括して紙などのような転写媒体に転写後に定着する「タンデム型中間転写方式」のものに限定されるものではなく、同様に作製された色が異なる複数トナー像を順次紙などのような転写媒体上へ重ねて転写した後、定着する「タンデム型直接転写方式」等であっても良い。
【0066】
また、上述の帯電装置3は、公知のいずれの構成を使用しても良いが、像担持体表面に接触または近接して配設された帯電装置であることがより好ましく、これにより、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロンやスコロトロンと言われるコロナ放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制することが可能となる。
しかしながら、帯電部材を像担持体表面に接触または近接して帯電を行う帯電装置では、前述のように放電が像担持体表面近傍の領域で行われるため、像担持体への電気的ストレスが大きくなりがちである。本発明の画像形成装置、すなわち、少なくとも無機潤滑剤と脂肪酸金属塩とを含む粒状または顆粒状の原料を型内で圧縮成型される固形ブロック状の像担持体保護剤であって、その固形ブロック状の像担持体保護剤に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から裏面にかけて連続的に小さく形成されている像担持体保護剤21を用いた保護層形成装置2や、プロセスカートリッジ12、カラー複写機100を用いることにより、長期間に渡り像担持体を劣化させることなく維持できるため、経時的な画像の変動や使用環境による画像の変動を大幅に抑制でき、安定した画像品質の確保が可能となる。
【0067】
次に、本実施形態において好適に用いられる感光体について説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。
また、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていても良い。また各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
【0068】
感光体の導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
ドラム状の支持体としては、直径が20〜150mm、好ましくは、24〜100mm、さらに好ましくは28〜70mmのものを用いることができる。ドラム状の支持体の直径が20mm以下では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
【0069】
本実施形態の画像形成装置に用いる感光体の下引層としては樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、および導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が例示できるが、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引層に用いる樹脂としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、これらの中の一種あるいは多種の混合物を例示することができる。
【0070】
本実施形態の画像形成装置に用いる感光体の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料および染料や、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生物質は一種あるいは多種混合して使用することができる。下引層は、一層であっても、複数の層で構成しても良い。
【0071】
本実施形態の画像形成装置に用いる感光体の電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。
【0072】
上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂および光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂など一種の結着樹脂あるいは多種と結着樹脂の混合物を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されるものではない。
【0073】
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
・モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
【0074】
・ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
【0075】
・高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
【0076】
・パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0077】
・ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0078】
・有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0079】
・有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0080】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0081】
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
【0082】
表面層は前述のように、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが例示できる。表面層に用いる高分子は、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、何れの高分子であっても良いが、熱硬化性高分子は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いためたいへん好ましい。表面層は薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、保護層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により保護層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な膜厚とすることが重要であり、0.01〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmとすることが好ましい。表面層の膜厚が0.1μm以下では、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうため好ましくない。表面層の膜厚が12μm以上では、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうため好ましくない。
【0083】
表面層に用いる高分子としては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れた物が望ましく、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの高分子は熱可塑性高分子であっても良いが、高分子の機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性高分子とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
【0084】
前述のように、表面層には電荷輸送能力を有していることが好ましく、表面層に電荷輸送能力を持たせるためには、表面層に用いる高分子と前述の電荷輸送物質を混合して用いる方法、電荷輸送能力を有する高分子を表面層に用いる方法が考えられ、後者の方法が、高感度で露光後電位上昇、残留電位上昇が少ない感光体を得ることができ好ましい。
【0085】
本実施形態の像担持体は、上述したように、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、さらに転写媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する、中間転写媒体(中間転写ベルト105)であってもよい。
中間転写媒体としては、体積抵抗10〜1011Ω・cmの導電性を示すものが好ましい。表面抵抗が10Ω/□を下回る場合には、感光体から中間転写媒体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、1011Ω/□を上回る場合には、中間転写媒体から紙などの転写媒体へトナー像を転写した後に、中間転写媒体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
【0086】
中間転写媒体としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独または併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを使用することができる。この他に、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により上述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト上の中間転写媒体を得ることもできる。
中間転写媒体に表面層を設ける際には、上述の感光体表面層に使用した表面層材料のうち、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
【0087】
次に、本実施形態において好適に用いられるトナーについて説明する。
まず、本実施形態のトナーは、平均円形度が0.93〜1.00であることが好ましい。本発明では、下記式(1)より得られた値を円形度と定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (式1)
平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。
【0088】
トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。
ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、像担持体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
【0089】
次に、円形度の測定方法について説明する。
円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
【0090】
また本発明では、トナーの重量平均径D4が3〜10μmであることが好ましい。
この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均径D4が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均径D4が10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
【0091】
また本発明のトナーは、重量平均径D4と個数平均径D1の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることが好ましい。(D4/D1)の値が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味する。
よって、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。
トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。
トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密に、かつ、整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
【0092】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均径D4、個数平均径D1を求めることができる。
【0093】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0094】
また、このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋および/または伸長反応させるトナーが好ましい。この反応で製造されたトナーは、トナー表面を硬化させることで、ホットオフセットの少なくすることができ、定着装置の汚れとなって、それが画像上に表れるのを抑えることができる。
【0095】
トナー作製に使用できる変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマーとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)が挙げられ、また、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0096】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0097】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0098】
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0099】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0100】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0101】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0102】
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0103】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0104】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0105】
これらの反応により、本発明のトナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作製できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0106】
また、本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0107】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0108】
本発明において、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常50〜70℃、好ましくは55〜65℃である。50℃未満ではトナーの高温保管時のブロッキングが悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0109】
結着樹脂は以下の方法などで製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
【0110】
また、本発明に用いるトナーは概ね以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0111】
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下、「トナー原料」と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0112】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0113】
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0114】
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
【0115】
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやNーアルキルーN,Nージメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0116】
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3一[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕ー1ーアルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3ー[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)一Nーエチルアミノ]ー1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸および金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)およびその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、NープロピルーN一(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)ーNーエチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0117】
商品名としては、サーフロンSー111、S−112、Sー113(旭硝子社製)、フロラードFCー93、FCー95、FCー98、FCーl29(住友3M社製)、ユニダインDS一101、DSーl02(ダイキンエ業社製)、メガファックFーll0、Fーl20、F一113、Fー191、Fー812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF一102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6一C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンSーl21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDSー202(ダイキンエ業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF一300(ネオス社製)などが挙げられる。
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
【0118】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、αーシアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β一ヒドロキシエチル、メタクリル酸β一ヒドロキシエチル、アクリル酸βーヒドロキシプロビル、メタクリル酸β一ヒドロキシプロピル、アクリル酸γーヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ一ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3ークロロー2一ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0119】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、中でもトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0120】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0121】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0122】
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0123】
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0124】
また、該トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料および染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0125】
さらに、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独または混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
【0126】
また、本発明で用いられるトナー中の着色剤の個数平均径は0.5μm以下であることが望ましく、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下が望ましい。
トナー中の着色剤の個数平均径が0.5μmより大きいときには、顔料の分散性が充分なレベルには到らず、好ましい透明性が得られないことがある。
0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より十分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさおよび彩かさが低下する傾向がある。
さらに、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、トナー粒子表面から着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こしやすいため、好ましくない。特に、0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下であることが好ましく、5個数%以下であることが、より好ましい。
【0127】
また、着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行われ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として例示した樹脂類をそのまま使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
前記の結着樹脂と着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤および湿潤液を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。
また、湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、特に、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤や水が、着色剤の分散性の面から好ましい。
中でも、水の使用は、環境への配慮および、後のトナー製造工程における着色剤の分散安定性維持の点から、一層好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層良くなる。
【0129】
この他、本発明の構成をとる限り、トナー中に結着樹脂や着色剤とともにワックスに代表される離型剤を含有させることもできる。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
【0130】
これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
【0131】
これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。これら離型剤の融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0132】
また、トナー帯電量およびその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。ここで、電荷制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色、白色に近い材料が好ましい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0133】
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲が良い。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作製後固定化させても良い。
また、トナー製造過程で水系媒体中にトナー組成物を分散させるに際して、主に分散安定化のための樹脂微粒子を添加しても良い。
【0134】
使用される樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用が好ましい。
【0135】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0136】
さらに、トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0137】
この他、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0138】
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0139】
また、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0140】
これらのトナーを用いることにより、上述の如く、現像の安定性に優れる、高画質なトナー像を形成することができる。しかしながら、転写装置にて転写媒体もしくは中間転写媒体に転写されず、像担持体上に残存してしまったトナーは、その微細さや転動性の良さのために、クリーニング装置による除去が困難で通過してしまうことがある。トナーを像担持体から完全に除去するには、例えばクリーニングブレードのようなトナー除去部材を像担持体に対して強力に押しつける必要がある。このような負荷は、像担持体やクリーニング装置の寿命を短くするだけでなく、余計なエネルギーを使用してしまうことになる。
像担持体に対する負荷を軽減した場合には、像担持体上のトナーや小径のキャリアの除去が不十分となり、これらはクリーニング装置を通過する際に、像担持体表面を傷つけ、画像形成装置の性能を変動させる要因となる。
【0141】
本実施形態の画像形成装置は、前述の如く、像担持体表面状態の変動、特に低抵抗部位の存在に対しての許容範囲に優れ、像担持体への帯電性能変動等を、高度に抑制した構成であるため、上記構成のトナーと併用することにより、極めて高画質な画像を、長期に渡って安定して得ることができるものである。
また、本実施形態の画像形成装置は、上述のような、高品質な画像を得るに適した構成のトナーとの併用ばかりでなく、粉砕法による不定形のトナーに対しても適用でき、装置寿命を大幅に延ばすことは言うまでもない。
【0142】
このような、粉砕法のトナーを構成する材料としては、通常、電子写真用トナーとして使用されるものが、特に制限なく、適用可能である。
該トナーに使用される一般的な結着剤樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等から、より好ましいものである。さらには、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂の使用が、一層好ましい。
【0143】
また、上述の事由により、帯電部材の被覆層に含まれる前記トナーの結着樹脂を構成する樹脂成分と同じものは、線状ポリエステル樹脂組成物、線状ポリオール樹脂組成物、線状スチレンアクリル樹脂組成物、またはこれらの架橋物のうち、少なくとも一種を好ましく用いることができる。
粉砕法のトナーでは、これらの樹脂成分と共に、前述のような着色剤成分、ワックス成分、電荷制御成分等を、必要により前混合後、樹脂成分の溶融温度近傍以下で混練して、これを冷却後、粉砕分級工程を経て、トナーを作製すれば良く、また、必要により前述の外添成分を、適宜、添加混合すれば良い。
【0144】
以下、本発明における像担持体保護剤の実施例を、比較例と共に説明する。
表1に、本発明における像担持体保護剤を塗布した場合の実施例を、比較例と共に示す。
リコー製 imagio MP C5000の作像部(図12)において、クリーニング装置4の下流に、図10の保護層形成装置2を設置し、この保護層形成装置2に相当する部分から像担持体保護剤に係る実施例1〜5、比較例1〜6を供給した。
リコー製 imagio MP C5000は、像担持体保護剤を加圧する機構に、従来の固形状潤滑剤:ステアリン酸亜鉛に係る特許文献3の技術が採用されており、加圧力は実施例および比較例共に経時でほぼ一定であるようにした。
上記画像形成装置(カラー複写機)の駆動条件として、A4版、画像面積率5%原稿5万枚の連続通紙試験を行い、1万枚ごとに像担持体保護剤の消費量を測定した。消費量(g/km)は、像担持体保護剤の重量の減少分を感光体の駆動距離で割った値を示す。像担持体保護剤の消費量の判定(合格)基準としては、リコー製 imagio MP C5000において、像担持体保護剤の消費量が0.15〜0.35g/kmであることが望ましいことが判明している。
【0145】
像担持体保護剤における比較例1〜6、実施例1〜5の形状は、共に同一のもの、すなわち図8において、高さ:8mm×横(幅):8mm×長手方向の長さ:322mmというように、一定形状寸法の直方体バー状の像担持体保護剤ブロックを用いたが、その材料処方、製造方法、および像担持体保護剤に含まれる無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)は下記するようにそれぞれ相違する。
また、以下詳細に説明する以外の諸条件は、上述した実施形態で述べた最良条件が、比較例1〜6および実施例1〜5に渡り共通使用されている。
【0146】
[像担持体保護剤の比較例1〜6]
比較例1
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)を溶融し、型に流し込んで冷却して成型したものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を使用した。
現在の画像形成装置で使用されている像担持体保護剤は、全てこの方法で製造されている。
比較例2
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)を圧縮成型して成型したものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を使用した。
【0147】
比較例3
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比8対2で混合して溶融し、型に流し込んで冷却して成型したものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
比較例4
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比8対2で混合して圧縮成型し、その重量比(B/A)が表面から裏面にかけて一定であるものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
【0148】
比較例5
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比7対3で混合して圧縮成型し、その重量比(B/A)が表面から裏面にかけて一定であるものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
比較例6
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比6対4で混合して圧縮成型し、その重量比(B/A)が表面から裏面にかけて一定であるものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
【0149】
[像担持体保護剤の実施例1〜3、実施例4,5]
実施例1〜3
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比8対2、7対3、6対4でそれぞれ混合して圧縮成型し、表面から裏面にかけて無機潤滑剤(B)の脂肪酸金属塩(A)に対する配合の重量比(B/A)が小さくなっているものを使用した場合である。各実施例1〜3において、図14に示すように、像坦持体保護剤の表面から裏面にかけてその位置によって、同保護剤に占める無機潤滑剤の重量比(%)が異なっている。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
以下、無機潤滑剤(B)の脂肪酸金属塩(A)に対する配合の重量比(B/A)を、単に「無機潤滑剤(B)の配合の重量比(B/A)」ともいう。
【0150】
実施例4
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比8対2、7対3、6対4でそれぞれ混合して圧縮成型し、実施例1〜3と同様に、表面から裏面にかけて無機潤滑剤(B)の配合の重量比(B/A)が小さくなっているものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸カルシウム(和光純薬製)を、無機潤滑剤(B)には窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製)を使用した。
【0151】
実施例5
像担持体保護剤として、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を重量比8対2、7対3、6対4でそれぞれ混合して圧縮成型し、実施例1〜3と同様に、その表面から裏面にかけて無機潤滑剤(B)の配合の重量比(B/A)が小さくなっているものを使用した場合である。脂肪酸金属塩(A)にはステアリン酸亜鉛(日本油脂製)を、無機潤滑剤(B)にはマイカ(資生堂製)を使用した。
【0152】
上述したとおり、実施例1〜5の像担持体保護剤は、何れも、図2〜図7の工程を順次経ることで、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含み、かつ、消費され始める表面から消費し終わりの裏面にかけて無機潤滑剤(B)と脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が連続的に小さく形成された固形ブロック状の像担持体保護剤である。
【0153】
図1は、比較例1〜6における像担持体保護剤の消費量の推移を、図14は、実施例1〜3における像担持体保護剤の消費量の推移をそれぞれ示す。
図15は、実施例1〜3における像担持体保護剤の表面(0mm)から裏面にかけての各々の位置による、無機潤滑剤(B)の脂肪酸金属塩(A)に対する配合の重量比(B/A:%)を示す。
【0154】
本実施例の像担持体保護剤は以下のような理由で、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤を混合して圧縮成型した像担持体保護剤であっても、経時に渡って一定水準の消費量を確保できていると思われる。
電子写真方式の像担持体には、帯電およびクリーニングのハザードから像担持体もしくは像担持体表面を保護するために像担持体保護剤が塗付される。像担持体保護剤は固形ブロック状に成型したものをブラシ状の保護剤供給部材であるブラシローラで掻き取り、粉状になったものを像担持体上に塗布するという方法が一般的に用いられる。しかしながら、ブラシローラは、長期間使用するに従い、ブラシの毛のコシが無くなり、像担持体保護剤ブロックを削り取る力が弱くなってしまう。
また、消費量の推移は像担持体保護剤ブロックの製造方法によっても大きく影響され、図13に示すように、比較例1と比較例2の違いのように、同じ材料であっても、溶融して成型したものは経時で同じ消費量が保たれるのに対し、圧縮成型で成型したものは経時で消費量が著しく低下してしまう。
しかし一方で、比較例3のように、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを混合して溶融したものは消費量の絶対値が著しく小さい。これは、融点をもつ脂肪酸金属塩に、無機潤滑剤を混合することで、無機潤滑剤がフィラーの役割をし、像担持体保護剤ブロックが硬くなりすぎるためと思われる。このことと、図14に示す実施例1〜3の消費量結果とから、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを混合して、像担持体保護剤として使用するには、溶融成型では実使用上不可能であり、圧縮成型をすることが必須となることが判明した。
但し、前記のように、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを混合して圧縮成型で成型した像担持体保護剤に係る比較例4〜6は、経時で消費量が低下していき、機能を維持することができない。
その問題に際して実施例1〜3では、図14に示すように、像担持体保護剤ブロックの表裏方向で脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の配合の重量比(B/A)に差をつけることにより、経時での消費量の低下を防ぐことができている。
また、図15より、実施例1、2および3では、像坦持体保護剤の表面から裏面にかけて脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の配合の重量比(B/A)が位置によりそれぞれ異なる。すなわち、同図に示されているように、消費され始める表面から2mmの位置までで、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の配合の重量比が6対4、7対3、8対2の順番に表面から組み合わせて、像坦持体保護剤を作製すれば、支障なく使用できることが分かった。
【0155】
比較例1〜6および実施例1〜5における5万枚作像時点での帯電部材の汚染および感光体の汚染度合いの結果をまとめて表1に示す。
表1において、帯電部材汚染、感光体汚染・保護状態についての評価結果◎、○、△、×の印の意味は、以下のとおりである。
[帯電部材汚染状態]
◎:帯電部材が殆ど汚れない
○:少し汚れるが、常温環境では画像に影響がない、許容レベル
△:低温環境で画像に影響が表れる
×:早期に異常画像が発生する:使用不可
[感光体汚染・保護性]
◎:感光体摩耗・フィルミングが殆どない
○:わずかにフィルミングがあるが、許容レベル
△:経時で異常画像が発生する
×:早期に異常画像が発生する:使用不可
【0156】
【表1】

【0157】
表1に示すように、本発明の実施例1〜5では消費量の安定化と、帯電部材および感光体の汚染の抑制とを両立することができる。
【0158】
実施例1〜4の比較から、脂肪酸金属塩としてはステアリン酸を用いた方が、より良い感光体保護性が得られる。また、高級脂肪酸のなかではステアリン酸は最も安価であり、その中でも亜鉛の塩は疎水性に優れた非常に安定な物質であるからである(請求項2)。
【0159】
実施例1〜3と5の比較から、無機潤滑剤としては窒化ホウ素を用いた方が、より良い帯電部材の汚染防止効果が得られる(請求項3)。
【0160】
本実施形態および実施例1〜5の像担持体保護剤は、像担持体表面に付着し膜化することにより保護効果を発現するものであるため、比較的塑性変形しやすいものである。従って、固形ブロック(塊)状の像担持体保護剤成分を直接、像担持体表面へ押し付け保護層を形成させようとした場合、その供給が過剰になり保護層形成効率が良くないばかりでなく、保護層が多層化し静電潜像を形成する際等の露光工程で光の透過を阻害する要因となることがあるため、使用できる像担持体保護剤の種類が制限されることとなる。これに対して、保護層形成装置2を図10等のように構成し、像担持体保護剤21と像担持体としての感光体ドラム1との間に供給部材としての保護剤供給部材22を介させることにより、軟質な像担持体保護剤を用いた場合にでも、像担持体表面へ均等に供給することができる(請求項4〜6)。
【0161】
また、図10等に示した保護層形成装置2に像担持体保護剤21を押圧し皮膜化する層形成部材としての保護層形成機構24を設ける場合、保護層形成機構24はクリーニング機構4ないしクリーニング装置4を兼ねても良いが、より確実に保護層を形成するには、予めクリーニング部材としてのクリーニングブレード41aにて像担持体上のトナーを主成分とする残存物を除去し、残存物が保護層内に混入しないようにした方が好ましい(請求項4〜6)。
【0162】
また、上記実施形態や本実施例1〜5によれば、像担持体保護剤21を有する保護層形成装置2を用いて画像形成方法や、画像形成装置を構成することにより、像担持体は極めて長期間、交換することなく使用し続けることができる(請求項7〜16)。
特に、前記像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤21で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に渡り持続的に発現させることが可能となる。これにより、像担持体は実質無交換で使用できるレベルまで耐久性を引き上げることが可能となる(請求項7〜16)。
【0163】
また、前記像担持体表面に接触または近接して配設された帯電装置としての帯電ローラ3では、放電領域が像担持体のごく近傍に存在するため電気的ストレスが大きくなりがちであるが、像担持体保護層を形成した本発明の画像形成装置であれば、像担持体を電気的ストレスに曝すことなく使用できる(請求項7〜16)。
また、像担持体の表面は形成された保護層の効果により、表面状態の変化を極めて小さくできるため、クリーニングの良否が像担持体の状態変化に対して敏感に変動してしまうような、円形度が大きなトナーや平均粒径が小さなトナーであっても、長期間に渡り安定したクリーニングを行うことができる(請求項7〜16)。
【0164】
また、上記実施形態や本実施例1〜5によれば、像担持体保護剤21を有する保護層形成装置2を用いてプロセスカートリッジ12を構成することにより、プロセスカートリッジ12の交換間隔を極めて長く設定することが可能となるため、ランニングコストが低減され、また廃棄物量も大幅に削減できる(請求項17〜23)。
特に、前記像担持体が少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含む場合には、電気的ストレスによる像担持体の劣化を像担持体保護剤21で防止することにより、熱硬化性樹脂を含む像担持体の機械的ストレスに対する耐久性を長期間に渡り持続的に発現させることが可能となる(請求項17〜23)。
【0165】
また、前述のように、本発明の像担持体保護剤成分は金属成分を実質的に含んでいないため、接触または近接して配設された帯電部材を、金属酸化物等で汚染することなく、帯電装置の経時変化を小さくできる。このため、像担持体や帯電部材等のプロセスカートリッジ構成部品の再使用も容易となり、さらなる廃棄物量削減も可能となるので、ひいては地球環境保護に寄与することもできる。
【符号の説明】
【0166】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 保護層形成装置
3 帯電ローラ(帯電装置)
4 クリーニング装置・クリーニング機構
5 現像装置
6 転写ローラ(転写装置)
8 潜像形成装置・露光装置
12 プロセスカートリッジ
21 像担持体保護剤
22 保護剤供給部材(供給部材)
24 保護層形成機構(層形成部材)
41a クリーニングブレード(クリーニング部材)
100 カラー複写機(画像形成装置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0167】
【特許文献1】特公昭51−22380号公報
【特許文献2】特開2001−305907号公報
【特許文献3】特開2007−293240号公報
【特許文献4】特開2007−65100号公報
【特許文献5】特開2008−310162号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に塗布または付着される像担持体保護剤において、
前記像担持体保護剤は、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む粒状または顆粒状の原料を圧縮成型される固形状のものであって、
前記固形状の像担持体保護剤に含まれる前記無機潤滑剤(B)と前記脂肪酸金属塩(A)との配合の重量比(B/A)が、消費され始める表面から消費し終わりの裏面に向かって小さく形成されていることを特徴とする像担持体保護剤。
【請求項2】
前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の像担持体保護剤。
【請求項3】
前記無機潤滑剤が、窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1または2記載の像担持体保護剤。
【請求項4】
像担持体の表面に像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置において、
前記像担持体保護剤が、請求項1ないし3の何れか一つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする保護層形成装置。
【請求項5】
前記像担持体保護剤を、供給部材を介して前記像担持体の表面へ供給することを特徴とする請求項4記載の保護層形成装置。
【請求項6】
前記像担持体の表面へ供給された前記像担持体保護剤を押圧し皮膜化する層形成部材を有することを特徴とする請求項4または5記載の保護層形成装置。
【請求項7】
トナー像を担持する工程を経る像担持体と、該像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを用いた画像形成方法において、
前記像担持体保護剤が、請求項1ないし3の何れか一つに記載の像担持体保護剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
トナー像を担持する工程を経る像担持体と、前記像担時体上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを有する画像形成装置において、
前記保護層形成装置が、請求項4ないし6の何れか一つに記載の保護層形成装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体の移動方向における前記転写装置より下流側で、かつ、前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項8または9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記像担持体が、感光体であることを特徴とする請求項8ないし10の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする請求項8ないし11の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記帯電装置に、交流成分を有する電圧を印加する電圧印加装置を備えてなることを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記像担持体が、中間転写媒体であることを特徴とする請求項8ないし13の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記トナーの、式1で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする請求項8ないし14の何れか一つに記載の画像形成装置。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 式1
【請求項16】
前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40であることを特徴とする請求項8ないし15の何れか一つに記載の画像形成装置。
【請求項17】
トナー像を担持する工程を経る像担持体と、トナー像が転写媒体に転写された後の前記像担持体の表面に、像担持体保護剤を塗布または付着させる保護層形成装置とを一体に備えるプロセスカートリッジにおいて、
前記保護層形成装置が、請求項4ないし6の何れか一つに記載の保護層形成装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項18】
前記像担持体の移動方向における前記保護層形成装置より上流側に、前記像担持体の表面に残留したトナーを、該像担持体との摺擦によって該表面から除去するクリーニング装置を備えてなることを特徴とする請求項17記載のプロセスカートリッジ。
【請求項19】
前記像担持体が、少なくとも最表面に生成された層に熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項17または18記載のプロセスカートリッジ。
【請求項20】
前記像担持体の表面に接触または近接して配設された帯電装置を備えてなることを特徴とする請求項17ないし19の何れか一つに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項21】
トナーを収容する容器を備え、前記トナーの、式1で示される円形度SRが、0.93〜1.00であることを特徴とする請求項17ないし20の何れか一つに記載のプロセスカートリッジ。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 式1
【請求項22】
前記トナーの重量平均径(D4)と個数平均径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40であることを特徴とする請求項17ないし21の何れか一つに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項23】
請求項17ないし22の何れか一つに記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−217593(P2010−217593A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65211(P2009−65211)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サイクロ
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】