説明

充填包装機

【課題】単ピッチ充填方式と倍ピッチ充填方式を、任意に切り換えることができるとともに、倍ピッチ充填方式における充填量を2倍以上に増やすことができる充填包装機を提供する。
【解決手段】軸(Z)の周りに環状に配置された複数のシール部(14)と、軸の周りを複数のシール部(14)と共に回転可能に設けられた回転板(16)を有し、連続的に供給される帯状の包装材(12)を折り合わせ、次に、折り合わされた包装材(12)を2つのシールバー(27、28)で挟持して、包装材(12)を該包装材の長手方向に所定の間隔をあけて該包装材を幅方向にヒートシールして袋部(44)を形成し、該袋部(44)に充填物(47)を充填する充填包装機において、複数のシール部(14)を、一つおきに、第1のシールバー(27)と第2のシールバー(28)が包装材(12)を挟持可能な作動状態と包装材を挟持不能な非作動状態に切り換える切換機構(110)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填包装機、特に、長尺の熱接着性フィルム又はシートからなる包装材に逐次袋部を形成するとともに各袋部内に粉剤などの充填物を充填する充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
粉剤充填包装機の中で、水平ロータリー式の包装機は、鉛直軸を中心に回転する円盤状ないし円筒状の回転体周辺に、縦方向に立設して等間隔に配置された複数のシール手段を備えている。各シール手段は、固定シールバーと可動シールバーを備えており、これら固定シールバーと可動シールバーの間に上下昇降可能なシュートが配置さている。この充填包装機によれば、コイルから巻き戻された長尺の熱接着性のシート又はフィルムの包装材は、長手方向の中央線に沿って二つ折りされて回転体の外周に向けて供給され、回転体と共に周回する固定シールバーとこれに対向する可動シールバーに順次挟まれ、回転体の回転と共に周回する。このとき、各対のシールバー(固定シールバーと可動シールバー)は、その挟持しているフィルムを縦方向に熱圧着し、フィルムの長手方向に一定の間隔をあけて周期的に幅方向シールを形成し、互いに隣り合う幅方向シールの間に袋部を形成する。
【0003】
シュートは、その筒状下部を、フィルムガイドによって二つ折りにされたフィルム片(シート片)の間にその上縁の隙間から挿入され、隣り合ったシールバーにより挟持された二つ折りフィルムの袋部中に配置された状態になり、定量計量装置から落下供給された粉剤等の充填物を、シュートを通じて袋部に充填する。充填後、固定シールバーと可動シールバーの挟持状態が解除され、各袋部に充填物を収容したフィルムが連続的に装置から送り出される。
【0004】
図12〜図14は、水平ロータリー式の粉剤充填包装機10を示す。図12を参照すると、充填包装機10は、機械本体(筐体)11の下部に一対のフィルムロールから長尺のフィルム12又はシートからなる包装材を供給するデコイラー13を備えている。充填包装機10はまた、上部に、多数のシール部14とシュート15を周囲に備えた回転板(回転体)16を含む充填機構17と、粉剤を定量供給する粉剤供給装置18と、充填機構17から出たフィルム12の上縁をシールする上縁シール装置19と、幅シール部を切断又はミシン目入れをするカッター装置20を備えている。
【0005】
図13を参照すると、充填機構17は、垂直軸Zを中心として基板21上に立設された縦型の固定筒体22と、固定筒体22の上部に軸受23を介して同心的に且つ軸Zを中心に回転可能に支持された回転筒体24と、回転筒体24の上端に固定された回転板16または回転テーブルを有する。回転板16の周縁部には、軸Zを中心とする半径rの円周上に一定の間隔をあけて複数のシール部14が固定されており、周方向に隣り合うシール部14の中間にシュート15が配置されている。回転筒体24は、周りに固定したギア54を介して回転駆動系26に連結されており、回転駆動系26からギヤ54に伝達される回転に基づいて、複数のシール部14とシュート15が周回する。
【0006】
各シール部14は、固定バー(固定シールバー)27と可動バー(可動シールバー)28を有する。固定バー27は、電熱ヒータ(加熱源)を内蔵した垂直シール面27aを有し、該垂直シール面27aが軸Zを中心とする半径rの円周上またはその近傍に位置するように配置されて回転板16に固定されている。可動バー28は、固定バー27のシール面27aに接離可能な押さえ面28aを有し、対をなす固定バー27に対して軸Zを中心とする径方向外側に配置されており、該押さえ面28aがシール面27aに接触する垂直位置(シール位置:図13の右側に示す位置)と該押さえ面28aがシール面27aから離間した水平位置(第1の非シール位置:図13の左側に示す位置)との間を移動できるように、水平軸30を介して回転板16に揺動可能に連結されている。また、可動バー28は、押さえ面28aに対してほぼ垂直な方向に、水平軸30に支持されている基端部から伸びるバー駆動棹29を備えており、該バー駆動棹29の先端に回転子31が設けてある。
【0007】
充填機構17の回りには回転子31を案内するレール(第1の案内手段又は第1の案内レール)32が配置されている。レール32は、シール部14の周回角度に応じて回転子31を上下に案内するように、周回角度に応じて上下方向のレベルが決められている。その結果、回転板16の回転に従って回転子31が水平軸30の周りを回転しながら、可動バー28が垂直固定バー27に接離する。
【0008】
シュート15は、図14に示すように、上下方向に連続した粉剤落下路を形成した漏斗状の案内管で、横断面が楕円形のシュート下部33と、シュート下部33の上端から上方に向かって次第に内径を拡大したシュート上部34と、シュート下部33の上部又はシュート上部34の下部から横方向に伸びる水平アーム部35を有する。このように構成されたシュート15は、図13に示すように、水平アーム部35の先端をシュート昇降軸36の上端部固定具37に連結して固定される。シュート昇降軸36は、回転板16を貫通して、回転筒体24の外側で上下方向に伸びており、下端部に、金具38と、金具38に支持されたカムフォロア39を備えている。カムフォロア39は、固定筒体24の中心に向けて伸びており、固定筒体22の下部に外装されて固定された固定スリーブ40の外周に連続して刻設されたカム溝41に収容させてある。カム溝41は、スリーブ40の外周で周回角度に応じて上下方向のレベルが決まるように設定されている。したがって、回転板16の回転に応じて、シュート15は、図13の右側に示すように、シュート下部33が二つ折りフィルム12の袋部中に挿入された下降位置と、図13の左側に示すように、シュート下部33が二つ折りフィルム12の上方に位置する上昇位置との間を移動する。
【0009】
図14は、充填機構17の回転板16及びシール部14(図13参照)と、該シール部14に対応するシュート15との位置関係を示している。充填包装機10の動作中、回転板16は定速で回転する。デコイラー13から供給された長尺フィルム12は連続的に供給され、回転板16の直前に配置したフィルムガイド42により二つ折りにされる。フィルムガイド42の出口では、そこに回転して接近してくるシュート15のシュート下部33が、二つ折りにされたフィルム12の間に挿入される。フィルム12は、各シュート15の両側において、シール部14の垂直固定バー27によって一面(内面)が支持される。また、可動バー28が水平位置から垂直位置に立ち上がり、垂直固定バー27と密着し、該密着位置でフィルム12を加熱して幅方向シール43を形成し、これにより隣接する幅方向シール43の間に独立した袋部44を形成する。各袋部44には、粉剤供給装置18の回転容器45に設けた枡46からシュート15を介して粉剤が落下供給されて充填される。
【0010】
粉剤の充填が終了すると、可動バー28が垂直位置から水平位置に戻る。また、シュート15は下降位置から上昇位置に戻る。これにより、粉剤を充填した各袋部44を連続的に備えたフィルム12が、充填機構17から取り出される。その後、図12に示すように、フィルム12は、上縁(袋部44の袋口)が上縁シール装置19でシールされる。また、カッター装置20で、各幅シール部で切断され又はそこにミシン目が入れられた後、図示しない排出装置に排出される。
【0011】
上述した充填包装機10によれば、図15に示すように、2つ折りされた帯状の包装材12に一定の間隔Lをあけて袋部44が連続的に形成され、それぞれの袋部44に所定量の充填物47が充填される。
【0012】
【特許文献1】特開平8−282635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、充填包装機10は、基本的に、シール部15の間隔Lに合わせて幅シール部43を形成することにより、隣接する幅シール部43の間に袋部44を連続的に形成するものである(以下、この方式を「単ピッチ充填方式」という。)が、充填包装機10を用いて、図17に示すように、通常の2倍の間隔L’(=2L)をあけて幅シール部43’を形成し、一つの袋部44’により多くの充填物47を充填したいという要請がある。そこで、この要請に応えるため、従来、固定バー27に内蔵されている電熱ヒータへの通電を一つおきにオフし、これにより一つの袋部44’の充填量を大きくする方式(以下、この方式を「倍ピッチ充填方式」という。)が提案されている。しかし、従来の倍ピッチ充填方式では、図示するように、確かに一つの袋部44’の充填量は2倍になるが、充填物47の充填時に可動バー27が固定バー28と共に包装材12を挟持していることから、充填量を2倍以上(例えば、2.5〜3倍)に増やすことは不可能であった。
【0014】
そこで、本発明は、単ピッチ充填方式と倍ピッチ充填方式を、任意に切り換えることができるとともに、倍ピッチ充填方式における充填量を2倍以上に増やすことができる充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明は、軸(Z)の周りに環状に配置された複数のヒートシール手段(14)と、上記軸(Z)の周りを上記複数のヒートシール手段(14)と共に回転可能に設けられた回転板(16)を有し、連続的に供給される帯状の包装材(12)を折り合わせ、次に、折り合わされた包装材(12)を上記ヒートシール手段(14)に含まれる第1のシールバー(27)と第2のシールバー(28)で挟持して、上記包装材(12)を該包装材の長手方向に所定の間隔をあけて該包装材を幅方向にヒートシールして袋部(44)を形成し、該袋部(44)に充填物(47)を充填する充填包装機において、上記複数のヒートシール手段(14)を、N個(N:整数)おきに、上記第1のシールバー(27)と第2のシールバー(28)が上記包装材(12)を挟持可能な作動状態と上記包装材を挟持不能な非作動状態に切り換える切換手段(110)を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された充填包装機によれば、単ピッチ充填方式と倍ピッチ充填方式を、任意に切り換えることができるとともに、倍ピッチ充填方式における充填量を2倍以上に増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。本願発明は充填包装機に関するものであるが、その特徴とする部分はシール機構の構造にあるので、以下の説明ではシール機構の改良についてのみ説明する。ただし、本発明は、添付図面を参照して説明する具体的な充填包装機に限定されるものでなく、連続的に送り出される長尺の包装材から充填物充填袋を連続的に形成する充填包装機に適用可能であり、そのような充填包装機は本発明の技術的範囲に属するものと理解すべきである。
【0018】
図1は、本発明に係る充填包装機10’の特徴を示す図で、従来の充填包装機10を示した図14に対応する図である。図示するように、充填包装機10’は、二つ折りされた包装材12をシール部14でシールしながら隣接するシール部14の間に形成された袋部に充填物を充填する領域(以下、この領域を「シール充填領域100」(図3,4参照)という。)において、複数のシール部14を、一つおきに、固定バー27と可動バー28が包装材12を挟持不能な「非作動状態」に切り換える切換機構110の切換手段を備えている点に特徴を有する。
【0019】
切換機構110およびそれに関連する構成の詳細について説明する。まず図1を参照すると、複数のシール部14は、偶数個用意されており、可動バー28がシール充填領域100において常に固定バー27に接触または固定バー27と共に包装材12を挟持するシール位置(図2(a)の右側に示す位置)に設定されて第1のシール部14aと、周方向に関して第1のシール部14aと交互に配置され、後に詳細に説明する切換機構110を用いてシール充填領域100において上述のシール位置と非固定バー27から離間した非シール位置(第2の非シール位置、図9参照)との間で切り換えできる第2のシール部14bの2種類に区別される。
【0020】
そのため、図2(a)に示すように、第1のシール部14aの可動バー(第1の可動シールバー)28は、バー駆動棹29の末端位置に第1の被ガイド部103を有する。第1の被ガイド部103は、従来の充填包装機の回転子(図13の符号31で示す部材)と同様の回転子からなり、バー駆動棹29に外装された位置決め部材の円筒スリーブ104で図示する場所に固定されている。図2(b)に示すように、第2のシール部14bの可動バー(第2の可動シールバー)28は、バー駆動棹29の末端位置から基端側に後退した位置に設けられた第2の被ガイド部111を有する。第2の被ガイド部111は、第1の被ガイド部103と同様に回転子で構成されており、バー駆動棹29に外装された位置決め部材の円筒スリーブ112で図示する場所に固定されている。
【0021】
切換機構110は、第1のシール部14aの可動バー28に設けられた第1の被ガイド部103と第2のシール部14bの可動バー28に設けられた第2の被ガイド部111をガイドする案内手段を有する。案内手段は、第1のシール部14aの可動バー28をシール充填領域100においてシール位置(図2(a)の右側に示す位置)に保持するとともに、第1のシール部14aの可動バー28と第2のシール部14bの可動バー28を非シール充填領域101において第1の非シール位置(図2(a)、(b)の左側に示す位置)に保持する第1の案内手段として、環状の第1のガイド部または第1のガイドレール113を有する。
【0022】
図2,3を参照すると理解できるように、第1のガイドレール113は、断面が略コ字形状(ブラケット形状)の部材からなる、第1および第2のガイドレール部分114、115を有する。
【0023】
第1のガイドレール部分114は、ほぼシール充填領域100に存在しており、開口部116を軸Zに向けて、軸Zを中心とする円周に沿って配置されている。第2のガイドレール部分115は、ほぼ非シール充填領域101に存在しており、該非シール充填領域101の中央部で開口部116が上方に向けられて捩られている。第1および第2のガイドレール部分114,115は、開口部116を形成する一対のフランジ部117,118と、開口部116の反対側でフランジ部117,118を連結する連結部119を有し、図2から明らかなように、第1のガイドレール部分114の一方のフランジ部(図2の右側で下方に位置するフランジ部118)の先端位置は他方のフランジ部(図2の右側で上方に位置するフランジ部117)の先端位置よりも、軸Zから連結部119側に後退し、フランジ部118の前方に空間(第2のガイドレールが昇降するために必要な空間)120を形成している。そのため、シール充填領域100を通過する第1のシール部14aの可動バー28は、そのバー駆動棹29に設けた第1の被ガイド部103がフランジ部117,118(特に、下フランジ部118)に案内され、シール位置を維持する。他方、シール充填領域100を通過する第2のシール部14bの可動バー28は、図9に示すように、後述する第2のガイドレール121が空間120の下方に後退して解放されている自由状態において、その自重に基づいて、下フランジ部118の前方で第2の被ガイド部111が空間120に進入して第2の非シール位置に設置される。つまり、可動バー28は、自由状態において、固定バー27から離間する方向に付勢されるように、その形状及び構造(付勢手段)が設計されている。
【0024】
第2のガイドレール部分115は、断面上におけるフランジ部117,118の長さがほぼ等しくしてある。したがって、図2(a)、(b)に示すように、非シール充填領域101を通過する第1のシール部14aの被ガイド部103と第2のシール部14bの被ガイド部111は、共に第1のガイドレール113のフランジ部117,118によって、非シール位置(第1の非シール位置)に維持される。
【0025】
案内手段はまた、シール充填領域100において第2のシール部14bの可動バー28をシール位置(図2(b)の右側に示す位置)と第2の非シール位置(図9に示す位置)のいずれかに選択的に設定するための第2の案内手段として、第2のガイド部または第2のガイドレール121を有する。実施形態では、第2のガイドレール121は、図2に示すように水平方向の基部122と該基部122から上方に伸びる垂直部123を有する略L字形の断面を有し、第1のガイドレール114の内側(Z軸側)でバー駆動棹29の下方に配置されている。
【0026】
図4に示すように、実施形態では、第2のガイドレール121は2分割され、2つのガイドレール部分122で構成されており、各ガイドレール部分122が図5に示されている昇降機構123によって昇降されるようにしてある。昇降機構123は、2つの昇降案内部124と、作動機構125を有する。昇降案内部124は、図7,9に示すように、回転板16の下方で固定基台126に固定された垂直案内軸127を有する。好ましくは、垂直案内軸127は、多角形(実施形態では六角形)の横断面を有する。垂直案内軸127は、該垂直案内軸127に外装され、該垂直案内軸127に沿って昇降する昇降スリーブ128を支持している。昇降スリーブ128は、ガイドレール部分122に適当な固定手段(例えば、ボルトナット機構、溶接)を用いて固定されている。
【0027】
図6、8に示すように、作動機構125は、軸Zを中心とする円周の接線方向に伸びる水平軸130を有する。軸130は両端が図示しないブラケットを介して基台126(図2参照)に回転不能又は回転可能に固定されており、カム131を回転可能に支持している。カム131は、軸130を中心として周方向に伸びる外周面に、軸130の中心から距離r1をあけて形成された第1のカム面132と、軸130の中心から距離r2(<r1)をあけて形成された第2のカム面133を連続的に備えており、第1のカム面132から第2のカム面133までの外周面の部分134については軸130から外周面までの距離がr1からr2へと漸次変化するようにしてある。カム131はまた操作レバー135が連結されており、軸130を中心に操作レバー135を第1の位置(図6に示す位置)と第2の位置(図8に示す位置)との間で揺動することにより、第1のカム面132が上方に向けられた位置と第2のカム面133が上方に向けられた位置との間を回転するようにしてある。作動機構125はまた、カム131の上方において第2のガイドレール121に固定され、第1のカム面132および第2のカム面132と選択的に係合する係合部136を有する。
【0028】
軸130から第1のカム面132までの距離r1は、第1のカム面132が係合部136と係合している状態で、図7に示すように、第2のガイドレール121の垂直部上端面が空間部120の上部に進出し、その結果、シール充填領域100にある可動バー28の第2の被ガイド部111を上方に付勢し、可動バー28をシール位置に保持するように決められている。他方、軸130から第2のカム面133までの距離r2は、図9に示すように、第2のガイドレール121の垂直部上端面が空間部120の下方に後退し、その結果、シール充填領域100にある可動バー28が自由状態でその自重によって第2の非シール位置に移動するように決められている。したがって、操作レバー135が図6に示す位置と図8に示す位置との間を移動することにより、第2のガイドレール121は上昇位置と下降位置との間を昇降し、シール充填領域100を通過する
【0029】
このように構成された切換機構110によれば、図6に示すように操作レバー135が垂直位置に設定されている作動状態では、カム131の第1のカム面132が係合部136に対向して係合し、第2のガイドレール121は上昇位置に設定される。その結果、シール充填領域100を通過する第2のシール部14bの可動バー28の第2の被ガイド部111が第2のガイドレール121に案内され、該可動バー28はシール位置に保持される。他方、図8に示すように操作レバー135が水平位置に設定されている非作動状態では、カム131の第2のカム面133が係合部136に対向して係合し、第2のガイドレール121は下降位置に設定される。その結果、シール充填領域100を通過する第2のシール部14bの可動バー28はその自重に基づいて該可動バー28の第2の被ガイド部111が空間120に進入し、第2の非シール位置に保持される。他方、シール充填領域100を通過する第1のシール部14aの可動バー28の第1の被ガイド部103は、操作レバー135および第1のガイドレール121の位置に拘わらず、常に第1のガイドレール113に案内されてシール位置を維持する。
【0030】
したがって、操作レバー135が作動状態にあるとき、シール充填領域100を通過する包装材12は、第1と第2のシール部14a、14bによって挟持されて所定の間隔Lをあけて幅シール部43が形成され、隣接する幅シール部43の間に単ピッチの袋部44が形成される。また、操作レバー135が非作動状態にあるとき、シール充填領域100を通過する包装材12は、第1のシール部14aのみによって挟持されて2倍の間隔L’(=2L)をあけて幅シール部43’が形成され、隣接する幅シール部43’の間に倍ピッチの袋部44’が形成される。このとき、倍ピッチ袋部44’において、その送り方向中央部はバー(固定バーと可動バー)で挟持されることがないため、図示するように、隣接するシュート15から充填される充填物47が、第2のシール部14bで挟持されていない中央部まで自由に移動する。そのため、倍ピッチ袋部44’に収容できる充填物47の充填量は、単ピッチ袋部44に充填される充填物47の充填量の2倍よりも相当多くなる。また、第2の固定バー27に内蔵されている電熱ヒータへの通電をオン・オフすることなく、単に、操作レバー135を操作するだけで、単ピッチ充填方式と倍ピッチ充填方式との間で切り換えることができる。なお、図12に示すように、充填装置が幅シール部を切断又はミシン目入れをするカッター装置20を備えている場合、単ピッチ充填方式と倍ピッチ充填方式では、幅シール部の間隔に応じて、適当なカッター装置に交換すべきであることは当然である。
【0031】
上述の実施形態では、第2のガイドレール及びその昇降機構を用いてシール充填領域にある第2のシール部の可動バーをシール位置と第2の非シール位置との間で切り換えるものとしたが、これら第2のガイドレール及び昇降機構を使用することは本発明において必須のことでなく、本発明はその他の種々の形態を含むものである。
【0032】
具体的に説明すると、図10,11に示すように、第1のシール部14aと第2のシール部14bの可動バー28のバー駆動棹29に被ガイド部140を着脱可能に取り付けておき、倍ピッチ充填時、第2のシール部14の被ガイド部140を取り外し、それにより、シール充填領域100を通過する第2のシール部14bの可動バー28をその自重によって第2の非シール位置に保持するようにしてもよい。また、第2のシール部14bについては、シール押さえ面28aを含む前部28bを着脱可能とし、倍ピッチ充填時、該前部28bを取り外すようにしてもよい。
【0033】
また、以上の説明では、幅シール部の間隔をLと2Lに切り換えることができる充填包装機について説明したが、上述した切換機構を変更することによって幅シールの間隔をLと3L,4L・・・(整数倍)に切り換えることも可能である。
【0034】
さらに、上述した切換機構110において第2のガイドレール121を昇降する機構には種々の公知の昇降機構(例えば、ジャッキボルト、スクリュージャッキ、空圧又は油圧シリンダ)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る充填包装機に用いられる充填包装機の部分斜視図。
【図2】図1に示す充填包装機の部分断面図。
【図3】第1のガイドレールの平面図。
【図4】第2のガイドレールの平面図。
【図5】昇降機構の平面図。
【図6】作動機構の断面図。
【図7】昇降機構の断面図。
【図8】作動機構の断面図。
【図9】昇降機構の断面図
【図10】他の実施形態の断面図。
【図11】他の実施形態の断面図。
【図12】充填包装機の正面図。
【図13】充填包装機の断面図。
【図14】充填包装機の部分斜視図。
【図15】倍ピッチ充填方式を説明する図。
【図16】単ピッチ充填方式を説明する図。
【図17】従来の倍ピッチ充填方式を説明する図。
【符号の説明】
【0036】
10’:充填包装機、100:シール充填領域、101:非シール充填領域、103:第1の被ガイド部、110:切換機構、111:第2の被ガイド部、113:第1のガイドレール、121:第2のガイドレール、123:昇降機構、125:作動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(Z)の周りに環状に配置された複数のヒートシール手段(14)と、上記軸(Z)の周りを上記複数のヒートシール手段(14)と共に回転可能に設けられた回転板(16)を有し、連続的に供給される帯状の包装材(12)を折り合わせ、次に、折り合わされた包装材(12)を上記ヒートシール手段(14)に含まれる第1のシールバー(27)と第2のシールバー(28)で挟持して、上記包装材(12)を該包装材の長手方向に所定の間隔をあけて該包装材を幅方向にヒートシールして袋部(44)を形成し、該袋部(44)に充填物(47)を充填する充填包装機において、
上記複数のヒートシール手段(14)を、N個(N:整数)おきに、上記第1のシールバー(27)と第2のシールバー(28)が上記包装材(12)を挟持可能な作動状態と上記包装材を挟持不能な非作動状態に切り換える切換手段(110)を備えたことを特徴とする充填包装機。
【請求項2】
上記複数のヒートシール手段(14)のそれぞれにおいて上記第2のシールバー(28)は上記第1のシールバー(27)に接近する接近状態と上記第1のシールバー(28)から離間する離間状態との間を移動できるように支持されており、
上記切換手段(110)は、上記第1のシールバー(27)を上記離間状態に保持する手段(120,121)を備えたことを特徴とする請求項1の充填包装機。
【請求項3】
連続的に供給される帯状の熱接着性包装材(12)を該包装材(12)の長手方向に伸びる中央線に沿って折り合わせることによって該中央線の両側に位置する包装材片を重ね合わせ、該重ね合わせた包装材を長手方向に所定の間隔をあけて幅方向にシールして袋部(44)を形成し、該袋部(44)に充填物(47)を充填するために、
鉛直方向の軸(Z)を中心に回転可能に支持された回転板(16)と、
上記軸(Z)を中心とする円周に沿って所定の間隔(L)をあけて等間隔に配置された複数のヒートシール手段(14)であって、各ヒートシール手段(14)は、上記回転板(16)に固定された固定シールバー(27)と、上記軸(Z)を中心とする径方向に関して上記固定シールバー(27)の外側に配置されており、上記円周方向に定義されたシール充填領域(100)において上記固定シールバー(27)に接近して上記固定シールバー(27)とともに上記包装材(12)を挟持しシールしながら上記回転板(16)の回転に基づいて上記包装材(12)を上記円周に沿って搬送するシール位置を取り、上記円周方向に定義された非シール充填領域(101)において上記固定シールバー(27)から離間した第1の非シール位置を取るように、上記回転板(16)に連結された可動シールバー(28)を含む複数のヒートシール手段(14)と、
上記軸(Z)を中心とする円周に沿って上記所定の間隔(L)をあけて等間隔に配置され、上記回転板(16)と共に上記円周に沿って移動し、上記シール充填領域(100)において隣接するヒートシール手段(14)の間に進入して上記包装材片の間に位置する複数の充填シュート(15)を備えた充填包装機において、
上記複数の可動シールバー(28)は、上記円周上に交互に配置された、第1の可動シールバー(28)と第2の可動シールバー(28)を含み、
上記充填包装機は、
上記回転板(16)の回転と共に上記シール充填領域(100)を移動する上記第1の可動シールバー(28)を上記シール位置に保持する第1の手段と、
上記回転板(16)の回転と共に上記シール充填領域(100)を移動する上記第2の可動シールバー(28)を上記シール位置に設定する作動状態と、上記回転板の回転と共に上記シール充填領域(100)を移動する上記第2の可動シールバー(28)を第2の非シール位置に設定する非作動状態との間で切り換えることができる第2の手段(121)を有することを特徴とする充填包装機。
【請求項4】
上記第1の手段は、
上記第1の可動シールバー(28)に設けられた被ガイド部(103)と、
上記シール充填領域(100)において、上記被ガイド部(103)をガイドし、上記第1の可動シールバー(28)を上記シール位置に保持する第1のガイド部(113)を有することを特徴とする請求項3の充填包装機。
【請求項5】
上記第2の可動シールバー(28)は、自由状態で、上記シール位置から上記第2の非シール位置に向けて移動するように上記回転板(16)に連結されており、
上記第2の手段は、
上記作動状態において上記第2の可動シールバー(28)と係合して該第2の可動シールバー(28)を上記シール位置に設定する位置と上記非作動状態において上記第2の可動シールバーを上記自由状態に解放して上記非シール位置に設定する位置との間を移動する第2のガイド部(121)を有することを特徴とする請求項3又は4の充填包装機。
【請求項6】
上記第2の手段は、
上記第2の可動シールバー(28)を上記シール位置から上記第2の非シール位置に向けて付勢する付勢手段と、
上記作動状態において上記第2の可動シールバー(27)と係合して該第2の可動シールバー(28)を上記シール位置に設定する状態と上記非作動状態において上記第2の可動シールバー(28)を上記付勢手段の付勢力に基づいて上記シール位置から上記非シール位置に移動させる状態との間を移動する手段(103)を有することを特徴とする請求項3の充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−94439(P2008−94439A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278914(P2006−278914)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(390031749)株式会社トパック (20)
【Fターム(参考)】