説明

充電ポート用カバー

【課題】カバーの裏面に設けたロック解除部に対してアクセスしにくくする。
【解決手段】充電時に、車体の充電ポート用開口部17を開放した状態のリッド7に充電ポート用カバー35を装着し、この状態でリッド7を充電ポート用カバー35とともに閉じることで開放部36を塞ぎ、長時間充電時の内部へのいたずらを抑制する。その際使用する充電ポート用カバー35は、ロック機構部45のカバー側ストライカー51を車体側ロック装置34に係合ロックしている。このカバー側ストライカー51と車体側ロック装置34とのロックを解除するロック解除レバー47を、ロック機構部45を間に挟んで充電ケーブル用切欠き43と反対側の前面部37の裏面に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を車体に対して開放した状態で充電口に充電用のガンを装着して充電を行う際に、開放状態の開閉体と車体との間に形成される開放部を塞ぐ充電ポート用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電気自動車に搭載されるバッテリを充電する際には、充電用のガンを装着する充電口を含む車体の開口部に対して開閉可能なリッドを設け、該リッドを開放した状態で、充電口に充電用のガンを装着して充電を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−318004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充電時には、車体の開口部に対してリッドが開放し、この開放した開口部から充電口に装着した充電用のガンが外部に露出することになる。このため、特に長時間充電を実施する際には、外部からガンなどに対していたずらされるおそれがある。これに対処するためには、開放状態のリッドと車体との間の開放部を別途用意するカバーで覆うことが考えられる。
【0005】
ところが、リッド開放時の開放部を別途用意したカバーで覆う構造とした場合、該カバーをリッドと車体とに対してロック可能な機構とロックを解除するロック解除機構を設ける必要がある。一方、カバーには、該カバーが開放部を塞いで充電を実施しているときに、充電用のガンに接続されているケーブルを外部に引き出すための切欠部が必要であり、この切欠部から指などを入れてロック解除機構にアクセスすることが考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、ロック解除部に対してアクセスしにくくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カバー体と開閉体との間のロック機構を解除するロック解除部をカバー体に設け、このロック解除部は、カバー体のロック機構を間に挟んで充電用のガンから延びるケーブル挿入用の切欠部と反対側の裏面に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充電時に、カバー体により開閉体と車体との間の開放部を塞いだ状態で、外部からカバー体のケーブル挿入用の切欠部を通してロック解除部にアクセスしようとしても、ロック機構が邪魔になってアクセスしにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による車両前端部の充電ポートを示す斜視図であり、リッドが開いた状態を示している。
【図2】図1のリッドに、本発明に係る充電ポート用カバーを装着する状態を示す側面図である。
【図3】リッドに充電ポート用カバーを装着して閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】図3のリッド近傍を車両斜め後方から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による充電ポート用カバーを上方斜め前方から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による充電ポート用カバーを斜め後方から見た斜視図である。
【図7】充電ポート用カバーの側面部の内側を示す拡大斜視図である。
【図8】充電ポート用カバーの屈曲部における断面図である。
【図9】側面部を折り畳んだ充電ポート用カバーを後方から見た斜視図である。
【図10】充電ポート用カバーにおけるリッドおよび車体側との係合機構を示す斜視図である。
【図11】充電ポート用カバーを組み付けたリッドを閉じる状態を示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態による隙間封鎖部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、以下の実施形態では、充電可能なバッテリを搭載する電気自動車を一例とするが、上記と同様なバッテリを搭載する、いわゆるハイブリッド車にも本発明は適用可能である。
【0011】
図1〜図4に示すように、車両前端には車幅方向に沿ってバンパー1を設けており、該バンパー1の後方側には、モータールームを上から覆うフード3を設けている。これらバンパー1およびフード3は、車体の一部を構成している。
【0012】
フード3の前端の車幅方向中央部には、左右両側に設けたリッド側ヒンジ5を介して上下方向(前後方向)に開閉可能な開閉体としてのリッド7を設けている。リッド7は、平面視で略台形状に形成しており、後縁9の長さは前縁11の長さよりも長く形成し、側縁13,13は前方に向かうにつれて車幅方向内側に向けて斜めに沿って形成している。
【0013】
リッド側ヒンジ5は、第1ヒンジアーム5aと、第2ヒンジアーム5bと、リンクブラケット5cとを備えている。第1ヒンジアーム5aは、一端(下端)を車体側に回動可能に支持させ、他端(上端)をリンクブラケット5cの下端の外面に回動可能に支持させている。一方、第2ヒンジアーム5bは、一端(下端)を第1ヒンジアーム5aより車体前方側で車体側に回動可能に支持させ、他端(上端)をリンクブラケット5cの下端よりやや上部の内面に回動可能に支持させている。
【0014】
また、図1に示すように、バンパー1における車幅方向中央部の前端部には、充電ポート15を設けている。前記リッド7は、バンパー1における車幅方向中央部の上端に形成した開口部としての充電ポート用開口部17を封鎖する部材である。また、充電ポート用開口部17の奥には、車両右側(向かって左側)に急速充電口19を配置し、車両左側(向かって右側)には通常充電口21を配置している。なお、図1では、通常充電口21に充電ガン30を挿入している状態を示している。急速充電口19を用いれば短時間で充電が完了するが、通常充電口21を用いると充電が完了するまで長時間かかる。
【0015】
リッド7の裏面には、断面L字状のブラケット23,23を左右一対取り付けてあり、それぞれのブラケット23,23の車幅方向外側に、後述するレール部材25,25を取り付けている。具体的には、断面L字状のブラケット23の一部23aが凸状に屈曲してリッド7の裏面との間に隙間を形成している。この隙間に後述の隙間封鎖部材27を挿入することで、隙間封鎖部材27をリッド7に保持させている。
【0016】
さらに、リッド7の前端部の車幅方向中央部には、下方(リッド7の裏面側)に向けて突出するリッド側ストライカー29を設けており、充電ポート用開口部17の底面31には、車幅方向中央部の前端に、前後方向に細長く延在するストライカー挿通口33を形成している。前記リッド側ストライカー29は、側面視でU字状に形成してあり、リッド7を閉じると、リッド側ストライカー29はストライカー挿通口33に挿入されたのち、車体側ロック装置34に係合される。
【0017】
また、図2に示すように、開放状態のリッド7の裏面側には充電ポート用カバー35を装着可能であり、この装着状態でリッド7を充電ポート用カバー35と共に閉じた状態が図3,図4である。この図3,図4の状態では、充電ポート用開口部17における、前記リッド側ヒンジ5(図1参照)の軸線方向(車幅方向)に対向する車幅方向両側方と、前記リッド側ヒンジ5の前方(車両前方)とが、充電ポート用カバー35によって覆われる。
【0018】
上記した充電ポート用カバー35が覆う部分は、開放状態(全開と全閉との間の開放状態)のリッド7と車体(バンパー1及びフード3)との間に形成される開放部36(図11参照)であり、充電ポート用カバー35は該開放部36を塞ぐカバー体を含んでいる。
【0019】
また、図4に示すように、充電ポート用カバー35を装着したリッド7の後縁9とフード前端3aとの間には、上下方向に隙間が形成されるが、リッド7に設けた隙間封鎖部材27によって、この隙間から充電ポート用開口部17の内部へ手や工具などを挿入することを阻止している。
【0020】
なお、図2は、充電ポート用カバー35を装着したリッド7が全開した状態を示しており、図3に示すように、リッド7に充電ポート用カバー35を装着した状態で、充電ポート用カバー35のカバー側ストライカー51を車体側ロック装置34に係合したとき、リッド7は全開状態と全閉状態との間に位置する状態となる。
【0021】
次に、本実施形態による充電ポート用カバー35を説明する。
【0022】
図5,6に示すように、充電ポート用カバー35は、平面視で略コ字状に形成してあり、車両への装着状態における前側に配置された前面部37と、該前面部37の左右両端から後方に屈曲する屈曲部39,39と、該屈曲部39,39とは別体に構成され、屈曲部39の後端から後方に延びる左右一対の側面部41,41と、を備えている。これら前面部37と屈曲部39,39と側面部41,41とでカバー体を構成している。
【0023】
前面部37における車両左側には、下端から上方に延びる切欠部としての縦長の充電ケーブル用切欠き43を形成しており、車幅方向中央部の裏面には、裏面側(後方)に向けて突出する壁状のロック機構部45を形成している。前記充電ケーブル用切欠き43には、通常充電時において充電ガン30(図1参照)に接続したケーブルが挿通される。
【0024】
車両右側の裏面には、リッド7に設けたリッド側ストライカー29とロック機構部45との係合を解除可能なロック解除部としてのロック解除レバー47を設けている。即ち、充電ケーブル用切欠き43とロック解除レバー47とは、ロック機構部45を間に挟んで互いに反対側に位置している。なお、このロック機構部45は、内蔵するロック機構を覆う隔壁となる壁部48を備えており、該壁部48は、前面部37の裏面に一体化している。
【0025】
前面部37および屈曲部39は、後述する図8に示すように、アウタ部材Aと裏面に位置するインナ部材Bとを備え、これら各部材A,Bを互いに突き合わせて接合固定している。上記した壁部48は、インナ部材Bに一体化しており、図6に示すように、前記ストッパ面79と、該ストッパ面79の両側縁から、前面部37の裏面すなわち壁部48の両側に位置するインナ部材Bの一般面48aに向けて、相互の間隔が広がるような左右一対の傾斜面48bとを備えている。
【0026】
また、ロック機構部45の上端には、リッド側ストライカー29が挿通可能なストライカー挿通溝49が形成され、下端には、側面視略コ字状のカバー側ストライカー51が下方に向けて突出している。
【0027】
さらに、図5に示すように、充電ポート用カバー35の前記屈曲部39における後端は、側面部41が屈曲部39に対して内側に折れ曲がる分割部53となっている。なお、図6に示すように、充電ポート用カバー35のストライカー挿通溝49とカバー側ストライカー51とは、充電ポート用カバー35の装着状態において、リッド7の開閉軌跡に沿った上下方向に配置している。また、側面部41は屈曲部39に対して側面部側ヒンジ42を介して回動可能に構成している。
【0028】
また、図6,7に示すように、側面部41の内側には、遮蔽部55を内側(裏面側)に向けて突出して形成している。この遮蔽部55は、図4にも示すように、リッド後縁9の左右両端の角部に形成される隙間から手や工具などを侵入させないために設けている。また、遮蔽部55の内側端部は、リッド7に取り付けたレール部材25(図1参照)の溝57に挿入および係合が可能な係合部59であり、この係合部59の先端に係止突起61を形成している。これらの遮蔽部55、係合部59、および係止突起61は、側面部41に一体に形成している。なお、図7に示すように、係止突起61は、レール部材25の先端に形成した係止孔63に係止可能に構成している。
【0029】
充電ポート用カバー35における前面部37、屈曲部39および側面部41にかけて、図5に示すように上部と下部に前後方向に沿って稜線65を形成している。即ち、図8に示すように、例えば屈曲部39においては、上端面67および下端面69は、断面を弧状に形成してあり、上端面67と下端面69との間の中間面71は、上端面67と下端面69とを弧状に結ぶ二点鎖線73に対して内側に凹んだ凹部75に形成している。
【0030】
また、図6に示すように、ロック機構部45の頂面は、側面部41の先端に形成された当接部77が当たる平坦なストッパ面79としている。即ち、図9に示すように、左右の側面部41,41を、前面部37の裏面に折り畳むようにして完全に閉じた状態においては、側面部41の当接面77がロック機構部45のストッパ面79に当接し、閉じた状態の側面部41の位置が保持される。
【0031】
また、図10に示すように、リッド側ストライカー29は、リッド7の裏面に取り付けられる支持プレート81と該支持プレート81から下方に突出する側面視U字状のストライカー本体83とからなる。そして、充電ポート用カバー35のロック機構部45の内部には、ロック解除レバー47に連動して回動する係止部材85が回動可能に支持されている。
【0032】
即ち、カバー側ストライカー51及び係止部材85は、ロック機構部45における結合部材としての壁部48を介して互いに一体化していることになる。
【0033】
係止部材85の下端部は、ピン87を介して回動可能に支持されており、係止部材85の上端部は、先端が屈曲した鈎部89に形成されている。なお、係止部材85は、ピン87に設けてある図示しないねじりコイルスプリングによって、鈎部89が図10のようにストライカー本体83に係止する方向に押し付けられている。
【0034】
また、ロック解除レバー47のロック機構部45側には、該ロック機構部45に向けて突出するアーム部47aを一体に設けてあり、その先端部に、上下方向を軸心とする図外の回動支持軸を、ロック機構部45の上記した壁部48に回動可能に支持させている。さらに、上記したアーム部47aには、該アーム部47aに対して略直角に前面部37から離れる方向に屈曲する係止部材押圧部47bを一体に設けている。この係止部材押圧部47bの先端は、係止部材85の車幅方向右側(図10中では左側)の側面に当接可能である。つまり、上記アーム部47aおよび係止部材押圧部47bを一体に備えるロック解除レバー47は、上記した図示しない回転支持軸を中心として回動可能である。
【0035】
なお、係止部材85は内部が空洞の壁部48内に収容してあり、従ってアーム部47aは、壁部48の側面である一方の傾斜面48bを貫通し、係止部材押圧部47bを含む先端側も壁部48内に位置している。
【0036】
以上より、通常状態では、係止部材85の鈎部89は、リッド側ストライカー29のストライカー本体83に係止されており、ロック解除レバー47を矢印方向(前面部37に向けた方向)に押すと、係止部材押圧部47bが、上記図示しないねじりコイルスプリングに抗して係止部材85を押しつつピン87を中心として回動させ、その結果鈎部89がストライカー本体83から外れることになる。
【0037】
図10、11に示すように、カバー側ストライカー51は、樹脂製の保持ブラケット91と、該保持ブラケット91に取り付けた側面視ロ字状のストライカー本体93とからなる。ストライカー本体93は、保持ブラケット91の回動中心52を中心に保持ブラケット91と一体となって、前記した壁部48に対して回動する。
【0038】
ストライカー本体93における前面部37側の下側の角部95は、内周側に屈曲して傾斜部95aとしており、該傾斜部95aは、リッド7に装着した充電ポート用カバー35を閉じるときに、車体側の開口端97に当接するように構成している。
【0039】
また、保持ブラケット91の前端99は、ロック機構部45の当接部101に当接可能であり、この当接によって保持ブラケット91は、前方側(図11中で時計方向)への回動が阻止される一方、後方側への回動が許容されている。従って、カバー側ストライカー51は、矢印に示すように後方側へのみ回動する。
【0040】
即ち、リッド7に装着した充電ポート用カバー35を閉じるときに、ストライカー本体93の傾斜面95aが車体側の開口端97に当接することで、カバー側ストライカー51は上記矢印方向に回動して障害物となる車体側の開口端97を避けることができる。
【0041】
そして、図12に示すように、隙間封鎖部材27は弾性を有する板状の樹脂から形成してあり、横方向に長く形成された本体部103と該本体部103の左右両端から上方に延びる左右一対の係止部105,105とから一体形成している。前記本体部103は、両端および中間に配設された一般面107と、これらの一般面107の間に形成された凹面109とからなる。前記凹面109は、一般面107よりもリッド7に装着した状態において奥側(車両後方側)に凹んでいる。向かって左側の凹面109は、急速充電用の充電ガンを急速充電口19に差し込む際に充電ガンの逃げ部となる部位であり、向かって右側の凹面109は、通常充電用の充電ガン30を通常充電口21に差し込む際に充電ガン30の逃げ部となる部位である。なお、係止部105の両端部105aは、前述したように、図1に示したブラケット23とリッド7の裏面との隙間に嵌合されることによって、隙間封鎖部材27が保持される。
【0042】
次に、車両に搭載した図外のバッテリに対し、充電に長時間を要する通常充電口21を利用して行う充電動作について説明する。まず、リッド7を閉じた状態から車内のロック解除レバーを操作して、リッド側ストライカー29と車体側ロック装置34とのロックを解除することで、図1に示すようにリッド7を全開の開放状態とする。この状態で、充電用のガン30を通常充電口21に装着して充電を実施する。
【0043】
そして、充電用のガン30を通常充電口21に装着した状態で、図5のように側面部41,41が前面部37に対して開いた状態の充電ポート用カバー35を、図2に示すようにリッド7に装着する。このとき、図6に示す充電ポート用カバー35の係合部59を、図1に示すレール部材25の溝57に挿入して係合させる。なお、この挿入の際には、図6、図10に示したロック解除レバー47を、前面部37の裏面に押し付けるようにして回動させることで、リッド側ストライカー29と係止部材85との係合ロック状態を解除しておく。
【0044】
充電ポート用カバー35の係合部59をレール部材25の溝57に挿入したら、ロック解除レバー47の押し付け動作を解除することで、ロック解除レバー47の先端側の係止部材押圧部47bによる係止部材85への押し付けが解除される。その結果、係止部材85は図外のねじりコイルスプリングによって回動して、図10に示すように鈎部89がストライカー本体83に係止してロックされる。
【0045】
ロック解除レバー47を前面部37の裏面に押し付ける作業は、例えば充電ポート用カバー35の前面部37におけるロック機構部45の両側部分を、下方から両手で掴むようにして行う。そのとき、両手の親指を前面部37の表面側に位置させるとともに、両手の他の4本の指を前面部27の裏面側に位置させて、その裏面側の4本の指のうちの少なくとも1本によって、ロック解除レバー47を押すようにすればよい。このようなロック解除レバー47の解除作業は、上記した表側の親指と裏面側の4本の指により充電ポート用カバー35を単に掴む作業となんら変わることはなく容易にできる。
【0046】
このようにして充電ポート用カバー35をリッド7に対してロックしつつ装着した後は、リッド7を、図3、図4に示すように、充電ポート用カバー35とともに閉じる。充電ポート用カバー35を閉じるときは、カバー側ストライカー51におけるストライカー本体93の傾斜部95aが車体側の開口端97に当接する。この当接により、カバー側ストライカー51は、開口端97を避けるようにして図11中の矢印方向に回動中心52を中心として回動しつつストライカー挿通口33に入り込み、車体側ロック装置34に係合してロックされる。
【0047】
これにより充電ポート用カバー35は、図11に示すように、リッド7が全開と全閉との間の例えば半開状態で、リッド7とバンパー3などの車体との間に形成される開放部36を塞いだ状態となる。これにより、長時間充電を行う特に夜間などに、充電ポート用開口部17の内部に対し、いたずらによる手や工具などの侵入を抑えることができる。
【0048】
この際、図4に示すように、充電ポート用カバー35に設けた遮蔽部55が、リッド後縁9の左右両端の角部に形成される隙間から充電ポート用開口部17の内部への手や工具などの侵入を抑える。また、リッド7に設けた隙間封鎖部材27が、リッド7の後縁9とフード前端3aとの間の隙間から充電ポート用開口部17の内部へ手や工具などの挿入を抑える。
【0049】
充電が完了した後は、車内のロック解除レバーを操作して、図11に示す状態の充電ポート用カバー35のカバー側ストライカー51と車体側ロック装置34とのロックを解除し、この状態でリッド7を充電ポート用カバー35とともに開放する。
【0050】
その後は、図2の充電ポート用カバー35のリッド7に対する取付作業とは逆の作業を行って、充電ポート用カバー35をリッド7から取り外す。充電ポート用カバー35を取り外したら、図1に示す充電用のガン30を通常充電口21から引き抜き、通常充電口21に対し図外のキャップで蓋をし、その後リッド7を閉じる。
【0051】
取り外した充電ポート用カバー35は、図5の状態から図9の状態に示すように、側面部41,41を前面部37の裏面に折り畳むようにして重ね合わせる。その際、側面部41,41の先端の当接部77が、ロック機構部45のストッパ面79に当接し、閉じた状態の側面部41の位置が保持される。
【0052】
本実施形態によれば、図6に示すように、充電ポート用カバー35のロック解除レバー47は、ロック機構部45を間に挟んで充電ケーブル用切欠き43と反対側の前面部37の裏面に設けている。これにより、充電時に、充電ポート用カバー35によりリッド7と車体との間の開放部36を塞いだ状態で、外部から充電ケーブル用切欠き43を通してロック解除レバー47にアクセスしようとしても、ロック機構部45が邪魔になりアクセスしにくくなる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ロック機構部45は、充電ケーブル用切欠き43とロック解除レバー47とを隔てる隔壁となる壁部48を備えている。この壁部48によって、外部から充電ケーブル用切欠き43を通してのロック解除レバー47へのアクセスを、より確実に抑えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 バンパー(車体)
3 フード(車体)
7 リッド(開閉体)
17 充電ポート用開口部(開口部)
21 通常充電口
30 充電用のガン
36 車体との間に形成される開放部
37 充電ポート用カバーの前面部(カバー体)
39 充電ポート用カバーの屈曲部(カバー体)
41 充電ポート用カバーの側面部(カバー体)
43 充電ケーブル用切欠き(切欠部)
45 ロック機構部(ロック機構)
47 ロック解除レバー(ロック解除部)
48 充電ケーブル用切欠きとロック解除レバーとを隔てる壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載したバッテリに対し、充電口に充電用のガンを装着して充電を行う際に、前記充電口を含む前記車両の車体に設けた開口部を開閉可能な開閉体が開放した状態で前記車体との間に形成される開放部を塞ぐカバー体を備え、前記カバー体は、前記開放部を塞いだときに、前記開閉体と前記車体とにそれぞれ係合ロックするロック機構を備え、前記カバー体と前記開閉体との間の前記ロック機構を解除するロック解除部を前記カバー体に設け、前記ロック解除部は、前記カバー体の前記ロック機構を間に挟んで前記充電用のガンから延びるケーブルを挿入する切欠部と反対側の裏面に設けたことを特徴とする充電ポート用カバー。
【請求項2】
前記カバー体のロック機構は、前記切欠部と前記ロック解除部とを隔てる壁部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の充電ポート用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−76599(P2012−76599A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223809(P2010−223809)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成22年8月27日〜8月29日に、2010年度グッドデザイン賞「グッドデザインエクスポ2010」にて発表
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】