説明

光スイッチ及び波長選択スイッチ

【課題】光分岐部および光合分岐部を構成する方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率が製造誤差等によって50%からずれた場合でも、消光比の高いが得られる光スイッチ及び波長選択スイッチを提供すること。
【解決手段】入力された光波を4つに分岐する入力分岐部1001、それぞれの光波を位相変調する位相シフタ部2、及び位相変調された4つの光波を合分岐して出力する出力合分岐部3から構成される。入力分岐部1001、位相シフタ部2及び出力光合分岐部3は、全て同一の平面光波回路上に形成されている。また、入力分岐部1001と出力光合分岐部3とは、位相シフタ部2に対して対称な回路構成となっている。本光スイッチにおいて、第2段方向性結合器131と第3段方向性結合器311を結ぶ経路、及び第2段方向性結合器132と第3段方向性結合器312とを結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチ及び波長選択スイッチに関し、より詳細には、光ファイバ通信等において使用される光スイッチ及び波長選択スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)上に方向性結合器及び熱光学位相シフタを配置した光スイッチ、また、PLC上に方向性結合器、アレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)及び熱光学位相シフタを配置した波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図1に、従来の1入力4出力の光スイッチの概略図を示す。図1に示す従来の光スイッチは、PLC上に形成され、入力分岐部1、位相シフタ部2及び出力合分岐部3から構成される。入力分岐部1は、外部入力ポート11を構成する入力部入力導波路101と、入力部入力導波路101に接続され、1×2光分岐器である第1段方向性結合器111と、第1段方向性結合器111に接続導波路121、122を介して接続された1×2光分岐器である第2段方向性結合器131、132とを有している。入力分岐部1では、入力部入力導波路101に入力された光波は、第1段及び第2段方向性結合器111、131、132によって、4本の入力部出力導波路161〜164に分岐される。方向性結合器の結合率がいずれも50%である場合には、入力部出力導波路161〜164から等パワーの光波が出力されることになる。
【0004】
位相シフタ部2は4本の位相シフタ導波路201〜204と、それらの上部に配置された薄膜ヒータ211〜214とを有している。入力分岐部1の4本の出力導波路161〜164は、それぞれ位相シフタ導波路201〜204に接続される。ここでは、位相変調手段として、薄膜ヒータ211〜214を用いることで、熱光学効果による位相変調器を構成している。
【0005】
出力合分岐部3は、4本の出力部入力導波路301〜304を有し、それらは位相シフタ部2の位相シフタ導波路201〜204に接続される。出力部入力導波路301、302は、2×2光合分岐器である第3段方向性結合器311の2つの入力に接続され、出力部入力導波路303、304は、第3段方向性結合器312の2つの入力に接続される。第3段方向性結合器311、312それぞれの一方の出力は、接続導波路321、323を介して2×2光合分岐器である第4段方向性結合器331の2つの入力に接続される。また、第3段方向性結合器311、312それぞれの他方の出力は、接続導波路322、324を介して2×2光合分岐器である第4段方向性結合器332の2つの入力に接続される。最後に、第4段方向性結合器331、332は、出力部出力光導波路341〜344に接続される。
【0006】
上記構成の出力合分岐部3では、出力部入力導波路301〜304のうち任意の1本に入力された光波は、第3段方向性結合器311、312と、接続導波路321〜324と、第4段方向性結合器331、332とにより、4本の出力部出力導波路361〜364に分岐される。出力部出力導波路361〜364は、光スイッチの4つの外部出力ポート31〜34を構成している。
【0007】
ここで、第2段方向性結合器131と第3段方向性結合器311を結ぶ経路、及び第2段方向性結合器132と第3段方向性結合器312を結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。また、第1段方向性結合器111から第4段方向性結合器331、332を結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。すなわち、本光スイッチでは、入力分岐部1を構成する方向性結合器のいずれかと出力合分岐部3を構成する方向性結合器のいずれかを2つの合分岐器としてマッハ‐ツェンダ干渉計(MZI)を構成した場合、その2つのアームの光路長差が全て零になるように設定されている。
【0008】
尚、上記の説明では、1×2もしくは2×2の単位光合分岐器として方向性結合器を用いた場合を述べたが、方向性結合器の代わりに多モード干渉光カプラを用いた場合でも、同様の光スイッチを構成することができる。
【0009】
また、出力光合分岐部3の接続導波路322、323は交差部を1個有しているが、MZIの2つのアーム間で光パワーが不均等になってしまうことを避けるために、接続導波路321、324にもダミー交差部が各1個挿入される。
【0010】
次に、図1に示す従来の光スイッチの動作を説明する。入力部入力導波路101に入力された光波は、入力分岐部1により分岐され、位相シフタ導波路201〜204を伝搬する。薄膜ヒータ211、212に適切な電力を印加し、第3段方向性結合器311における各光波の位相状態を調節することで、第3段方向性結合器311からの出力を接続導波路321、322のいずれかに切替えることができる。また、薄膜ヒータ213、214に適切な電力を印加し、第3段方向性結合器312における各光波の位相状態を調節することで、第3段方向性結合器312からの出力を接続導波路323、324のいずれかに切替えることができる。
【0011】
さらに、薄膜ヒータ211、212が与える位相差、及び薄膜ヒータ213、214が与える位相差を保ったまま、薄膜ヒータ211、212と薄膜ヒータ213、214とが与える位相差を適切に調節することで、第4段方向性結合器331、332からの出力を出力部出力導波路361〜364のいずれかに設定することができる。
【0012】
表1は、外部入力ポート11へ入射された光波を各外部出力ポート31〜34に出力するために、各薄膜ヒータ211〜214において光波に与える位相の関係を示す表である。例えば、外部出力ポート31へ光波を出力するためには、薄膜ヒータ211〜214にそれぞれ、π/2、π/2、0、πの位相シフトを生じさせる電力を印加すればよい。
【0013】
【表1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004-233619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図1に示したような従来の光スイッチでは、高い消光比を得ることができないという問題があった。これは、光分岐部および光合分岐部を構成する方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率が、製造誤差のため50%からずれたときに、遮断すべき出力ポートに漏れ光が出力され、クロストークが生じるためである。
【0016】
例えば、図1の従来の光スイッチにおいて、外部出力ポート31から光が出射するように設定した場合、隣接の外部出力ポート32は、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331とで構成されるMZIにおける光の位相状態のみで遮断されている。このとき、外部出力ポート32はMZIのクロスポートに相当し、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331の結合率が一致している場合には完全に消光するが、両者の結合率が一致していない場合には、クロストークが生じて消光比が劣化する。例えば、第1段方向性結合器111の結合率が50%、第4段方向性結合器331の結合率が45%の場合には、消光比は26dBとなる。
【0017】
また、外部出力ポート32から光が出射するように設定した場合、隣接の外部出力ポート31は、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331とで構成されるMZIにおける光の位相状態のみで遮断されている。このとき、外部出力ポート31はMZIのスルーポートに相当し、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331の結合率がいずれも50%である場合には完全に消光するが、両者の結合率が50%からずれた場合には、クロストークが生じて消光比が劣化する。例えば、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331の結合率がいずれも45%の場合には、消光比は20dBである。
【0018】
光ファイバ通信システムにおいて、このようなクロストークは雑音成分となりシステム性能を劣化させるので、実用上、光スイッチ又は波長選択スイッチの消光比としては、通常35〜40dB程度が要求される。しかしながら、方向性結合器の結合率を厳格に設定しようとすると歩留まりは低下することから、上記構成のように方向性結合器を多段に組む構成において高い消光比を得るのは容易ではない。
【0019】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光分岐部および光合分岐部を構成する方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率が製造誤差等によって50%からずれた場合でも、消光比の高い光スイッチ及び波長選択スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、請求項1に係る光スイッチは、1入力2n出力の光スイッチ(n:正の整数)であって、外部入力ポートに入力された光波を分岐する入力分岐部と、分岐した光波の位相を変調する位相シフタ部と、変調された光波の合分岐を行ない、2n個の外部出力ポートに出力する出力合分岐部とを備え、前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成され、前記外部入力ポートに接続された少なくとも1本の入力部入力導波路と、2×2n本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、前記2×2n本の入力部出力導波路の全てに分岐するために、2入力2出力の単位光分岐回路を多段に接続して構成された入力部分岐手段とを含み、出力合分岐部は、平面光波回路上に形成され、2×2n本の出力部入力導波路と、2×2n本の出力部出力導波路と、2×2n本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、2×2n本の出力部出力導波路の全てに合分岐するために、2入力2出力の単位光合分岐回路を多段に接続して構成された出力部合分岐手段とを含み、前記出力部出力導波路を含む前記単位光合分岐回路の一方の出力ポートは前記外部出力ポートに接続され、位相シフタ部は、前記入力分岐部の入力部出力導波路と前記出力合分岐部の出力部入力導波路とを1対1に接続し、前記入力部出力導波路から出力された光波の位相を変調して前記出力部入力導波路へ入力する2×2n個の位相変調器を含み、入力分岐部と前記出力合分岐部と前記位相シフタ部とは、前記入力分岐部の単位光分岐回路と前記位相変調器と前記出力合分岐部の単位光合分岐回路とからなる複数のマッハ‐ツェンダ干渉計(MZI)を構成し、複数のMZIは、第aMZI(a:nより小さい正の整数)の2つのアーム上にそれぞれ第(a+1)MZIを含み、前記第(a+1)MZIは2つの前記第aMZIに含まれると定義される第1〜第nMZIであって、前記第1MZIは前記入力分岐部の前記外部入力ポートに接続された1つの単位光分岐回路と前記出力合分岐部の前記外部出力ポートに接続された2n個の単位光合分岐回路の各々との間で構成される2n個のMZIであって、前記第nMZIは前記入力部出力導波路に接続された1つの単位光分岐回路、前記位相変調器、及び前記出力部入力導波路に接続された1つの単位光分岐回路から構成され、位相シフタ部は、出力先として設定された前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれも出力ポート側経路を通過した光波を出力し、出力先として設定されなかった前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれか2以上の遮断ポート側経路を通過した漏れ光を出力するように前記位相変調器を設定することを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光スイッチにおいて、位相変調器が反射型の位相変調器であり、前記入力分岐部と前記出力合分岐部とが同一の光回路であることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光スイッチにおいて、2n本の前記外部出力ポートが前記外部入力ポートと異なるポートであることを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明は、1入力2n出力の波長選択スイッチ(n:正の整数)であって、外部入力ポートに入力された光波を分岐する入力分岐部と、前記分岐した光波の位相を変調する位相シフタ部と、前記変調された光波の合分岐を行ない、2n個の外部出力ポートに出力する出力合分岐部とを備え、前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成され、前記外部入力ポートに接続された少なくとも1本の入力部入力導波路と、2×2n本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、前記2×2n本の入力部出力導波路の全てに分岐するために、2入力2出力の単位光分岐回路を多段に接続して構成された入力部分岐手段と、2×2n本の前記入力部出力導波路に接続された1入力M出力の波長分波器(ここで、Mは2以上の整数である)とを有するものであり、前記出力合分岐部は、平面光波回路上に形成され、2×2n本の出力部入力導波路と、2×2n本の出力部出力導波路と、2×2n本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、2×2n本の出力部出力導波路の全てに合分岐するために、2入力2出力の単位光合分岐回路を多段に接続して構成された出力部合分岐手段と、2×2n本の前記出力部入力導波路に接続されたM入力1出力の波長合波器とを有し、前記出力部出力導波路を含む前記単位光合分岐回路の一方の出力ポートは前記外部出力ポートに接続され、前記位相シフタ部は、前記波長分波器の出力と波長合波器の入力とを1対1に接続し、前記入力分岐部の波長分波器から出力された光波の位相を変調して前記出力合分岐部の波長合波器へ入力する位相変調器を有するものであり、前記入力分岐部と前記出力合分岐部と前記位相シフタ部とは、前記入力分岐部の単位光分岐回路と前記位相変調器と前記出力合分岐部の単位光合分岐回路とからなる複数のマッハ‐ツェンダ干渉計(MZI)を構成し、前記複数のMZIは、第aMZI(a:nより小さい正の整数)の2つのアーム上にそれぞれ第(a+1)MZIを含み、前記第(a+1)MZIは2つの前記第aMZIに含まれると定義される第1〜第nMZIであって、前記第1MZIは前記入力分岐部の前記外部入力ポートに接続された1つの単位光分岐回路と前記出力合分岐部の前記外部出力ポートに接続された2n個の単位光合分岐回路の各々との間で構成される2n個のMZIであって、前記第nMZIは前記入力部出力導波路に接続された1つの単位光分岐回路、前記位相変調器、及び前記出力部入力導波路に接続された1つの単位光分岐回路から構成され、前記位相シフタ部は、出力先として設定された前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれも出力ポート側経路を通過した光波を出力し、出力先として設定されなかった前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれか2以上の遮断ポート側経路を通過した漏れ光を出力するように前記位相変調器を設定することを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の波長選択スイッチにおいて、前記位相変調器が反射型の位相変調器であり、前記入力分岐部と前記出力合分岐部とが同一の光回路であることを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の波長選択スイッチ2n本の前記外部出力ポートが前記外部入力ポートと異なるポートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光分岐部および光合分岐部を構成する方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率が製造誤差等によって50%からずれた場合でも、消光比の高いが得られる。
【0027】
すなわち、本発明の光スイッチ及び波長選択スイッチは、MZIを入れ子構造となるように構成し、外部出力ポート毎に合分岐器を別個に設け、クロストークを2つ以上のMZIで遮断することにより、クロストークを低減し、高い消光比を得ることが可能となる。
【0028】
また、反射型の位相変調器を用いて、入力分岐部と出力合分岐部を同一の光回路とすることで、MZIを構成する2つの合分岐器、すなわち方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率を一致させることができるので、高い消光比を得ることが可能となる。
【0029】
さらに、反射型の位相変調器を用いて光スイッチ及び波長選択スイッチを構成した場合において、入力ポートと異なるポートを外部出力ポートにすることで、入力光と出力光を分離するための光サーキュレータが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の光スイッチの概略図である。
【図2】本発明に係る光スイッチの概略図である。
【図3】本発明に係る光スイッチの概略図である。
【図4】本発明に係る波長選択スイッチの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
図2は本発明に係る1入力2出力の光スイッチの概略図である。なお、以下の図において、図1と同一の機能をもつものは同一の符号を付するものとする。図2に示す光スイッチは、入力された光波を4つに分岐する入力分岐部1001、それぞれの光波を位相変調する位相シフタ部2、及び位相変調された4つの光波を合分岐して出力する出力合分岐部3から構成される。入力分岐部1001、位相シフタ部2及び出力光合分岐部3は、全て同一の平面光波回路上に形成されている。また、入力分岐部1001と出力光合分岐部3とは、位相シフタ部2に対して対称な回路構成となっている。
【0032】
本光スイッチにおいて、第2段方向性結合器131と第3段方向性結合器311を結ぶ経路、及び第2段方向性結合器132と第3段方向性結合器312とを結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。また、第1段方向性結合器111から第4段方向性結合器331、332を結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。
【0033】
また、出力光合分岐部3の接続導波路322、323は交差部を1個有しているが、MZIの2つのアーム間で光パワーが不均等になってしまうことを避けるために、接続導波路321、324にもダミー交差部が各1個挿入される。
【0034】
表2は、図2の光スイッチの構成において、入力分岐部1001における経路に対する出力合分岐部3における経路の位置関係(スルーもしくはクロス)を示すものである。本発明の光スイッチでは、出力合分岐部3は2段の方向性結合器群で構成されるが、外部入力ポート11から4本の出力部出力導波路361〜364に至る経路において、スルーおよびクロスの位置関係が2段とも異なる出力導波路2本が、外部出力ポートに割り当てられる。すなわち、外部出力ポートの割り当てとして、出力導波路362、363を外部出力ポート31A、32Aに割り当てる設定(設定A)と、出力導波路361、364を外部出力ポート31B、32Bに割り当てる設定(設定B)の2通りがある。
【0035】
設定Aの場合、外部入力ポート11から外部出力ポート31Aに至る経路では、入力分岐部1001の第2段方向性結合器に対する出力合分岐部3の第3段方向性結合器の位置関係はスルーであり、入力分岐部1001の第1段方向性結合器に対する出力合分岐部3の第4段方向性結合器の位置関係はクロスである。すなわち、第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器331とからなる第1MZIにおいて、外部出力ポート31Aは外部入力ポート11に対してクロスポートである。同様に、第2段方向性結合器131と第3段方向性結合器311とからなる第2MZIにおいて、外部出力ポート31Aは外部入力ポート11に対してスルーポートである。
【0036】
一方、外部入力ポート11から外部出力ポート32Aに至る経路では、それぞれの位置関係はクロス、スルーである。
【0037】
【表2】

【0038】
外部出力ポート31Aに接続された方向性結合器331は、2つの第2MZIの各スルーポートが接続され、外部出力ポート32Aに接続された方向性結合器332は、2つの第2MZIの各クロスポートが接続されているため、第4段方向性結合器331、332の一方に主光波が出力されているとき、他方には第1MZIのみで遮断された漏れ光が出力される。そのため、第2段方向性結合器に対する第3段方向性結合器の位置関係が、外部出力ポート間で異なっている必要がある。
【0039】
本実施形態のように第2MZIが構成されている場合、第4段方向性結合器331、332に入力される光波の位相差は共に同じになる。すなわち、方向性結合器331に入力される光波間の位相が同じである場合、方向性結合器332に入力される光波間の位相も同じであり、方向性結合器331に入力される光波間に位相差がある場合、方向性結合器332に入力される光波間にも位相差がある。そのため、第1段方向性結合器と第4段方向性結合器とからなる第1MZIの出力ポートは共にスルーポートもしくはクロスポートとなる。よって、第1段方向性結合器に対する第4段方向性結合器の位置関係も外部出力ポート間で異なっている必要がある。
【0040】
表3は、外部入力ポート11へ入射された光波を、各外部出力ポート31A、32A、あるいは31B、32Bに光波を出力するために、各薄膜ヒータ211〜214において与える位相の関係を示すものである。例えば、外部出力ポート31Aへ出力するためには、薄膜ヒータ211〜214にそれぞれ、0、π、0、πの位相シフトを生じさせる電力を印加すればよい。
【0041】
【表3】

【0042】
上記のように外部出力ポートを設定することで、遮断する外部出力ポートへの漏れ光を抑制することができる。例えば、光出力を31Aに設定した場合、32Aへのクロストークは、第2段方向性結合器131と第3段方向性結合器311とで構成されるMZI、及び第1段方向性結合器111と第4段方向性結合器332とで構成されるMZIの双方で遮断されるため、高い消光比を得ることができる。
【0043】
尚、位相シフタ部2の位相変調器を反射型とすることにより、入力分岐部1001と出力合分岐部3とを1つにすることができる。すなわち、入力分岐部1001の出力を出力合分岐部3の入力とすることができる。
【0044】
(実施例1)
コアとクラッドの比屈折率差Δ=1.5%のシリカガラス系PLCを用いて、第1の実施形態に基づく光スイッチを作製した。作製した光スイッチの分岐部を構成する方向性結合器の結合率は45%であったが、2つの外部出力ポートにおける消光比を測定した結果、いずれも40dB以上であった。
【0045】
また、1入力2出力の光スイッチとしては、図1に示す構成でもよい。但し、図1の構成の場合、同一の第4段方向性結合器に接続される2つの第2MZIの出力ポートは、それぞれクロスポート、スルーポートと異なるため、2つの第2MZIの一方で位相差を設定する必要がある。すなわち、一方の第2MZIで各アームを伝搬する光波間の位相差をπと設定した場合、他方の第2MZIで各アームを伝搬する光波間の位相差を0と設定する必要がある。
【0046】
また、第1段方向性結合器と第4段方向性結合器とを含む第1MZIについては、第1MZIの各アームを伝搬する4光波のうち、1光波のみ他の3光波に対して位相差を有することになることから、一方の第1MZIでは各アームを伝搬する光波間に位相差を有し、他方の第1MZIでは各アーム間を伝搬する光波間に位相差を有さないことになる。そのため、2つの第1MZIの出力ポートは、一方がスルーポート、他方がクロスポートとなることから、第1段方向性結合器に対する第4段方向性結合器の位置関係が外部出力ポート間で同じである必要がある。
【0047】
ここで重要なのは、第2MZIが第1MZIの各アーム上に構成された入れ子構造の多段MZIを構成し、第1及び第2MZIでクロストークを二重に遮断することである。
【0048】
(第2の実施形態)
図3は本発明に係る1入力4出力の光スイッチの概略図である。図3に示す光スイッチは、入力された光波を8つに分岐する入力分岐部1011、それぞれの光波を位相変調する位相シフタ部1002、及び、PLC上に形成され、位相変調された8つの光波を合分岐して出力する出力合分岐部1003から構成される。入力分岐部1011、位相シフタ部1002及び出力光合分岐部3は、全て同一の平面光波回路上に形成されている。また、入力分岐部1011と出力光合分岐部3とは、位相シフタ部1002に対して対称な回路構成となっている。
【0049】
本光スイッチにおいて、第3段方向性結合器151と第4段方向性結合器311とを結ぶ経路、第3段方向性結合器152と第4段方向性結合器312とを結ぶ経路、第3段方向性結合器153と第4段方向性結合器313とを結ぶ経路、及び第3段方向性結合器154と第4段方向性結合器314とを結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。また、第2段方向性結合器131から第5段方向性結合器331、333を結ぶ経路、第2段方向性結合器132から第5段方向性結合器332、334を結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。さらに、第1段方向性結合器111から第6段方向性結合器351〜354を結ぶ経路は全て光路長が等しくなるように設定される。
【0050】
また、入力分岐部1011と出力光合分岐部1003における接続導波路は交差部を有しているが、MZIの2つのアーム間で光パワーが不均等になってしまうことを避けるために、全ての接続導波路が同数の交差点を有するようにダミー交差部が挿入される。
【0051】
本実施形態の構成を第1の実施形態の図2の構成と比較すると、第2MZIの各アームに更に第3MZIをそれぞれ配置し、それら4つの第3MZIのスルーポートを第1及び第2MZIからなる第1の2段MZIユニットに接続し、クロスポートを第2の2段MZIユニットに接続した構成となっている。そのため、本実施形態では、クロストークを第1〜第3MZIのいずれか2つで遮断する。
【0052】
表4は、図3に示す光スイッチの構成において、入力分岐部1011における経路に対する出力合分岐部1003における経路の位置関係(スルーもしくはクロス)を示すものである。本発明の光スイッチでは、出力合分岐部1003は3段の方向性結合器群で構成されるが、外部入力ポート11から8本の出力部出力導波路361〜368に至る経路において、スルーおよびクロスの位置関係が2箇所で異なる出力導波路4本が外部出力ポートに割り当てられる。すなわち、外部出力ポートの割り当てとして、出力導波路362、363、365、368を外部出力ポート31A〜34Aに割り当てる設定(設定A)と、出力導波路361、364、366、367を外部出力ポート31B〜34Bに割り当てる設定(設定B)の2通りがある。ここで重要なのは、出力先として設定された外部出力ポートからは全てのMZIの出力ポート側経路を通過した主出力光が出力され、他の3つの外部出力ポートからは2つのMZIの遮断ポート側経路を通過した漏れ光が出力されることである。
【0053】
例えば、設定Aの場合、外部入力ポート11から外部出力ポート31Aに至る経路では、入力分岐部1011の第3段、第2段、第1段方向性結合器に対する出力合分岐部1003の第4段、第5段、第6段方向性結合器の位置関係はそれぞれスルー、スルー、クロスである。すなわち、入力分岐部1011の第3段、第2段、第1段方向性結合器に対して出力合分岐部1003の第4段、第5段、第6段方向性結合器をそれぞれ組み合わせたMZIにおいて、外部出力ポート31Aは、外部入力ポート11に対してスルーポート、スルーポート、クロスポートである。
【0054】
一方、外部出力ポート32Aに至る経路では、それぞれの位置関係はスルー、クロス、スルーであるから、位置関係の組合せは、第2段〜第5段間と、第1段〜第6段間の2箇所で異なっている。同様に、設定Aに属する4つの外部出力ポートは全て、外部出力ポートに至る経路における方向性結合器の入出力の位置関係の組合せが2箇所ずつ異なっている。
【0055】
【表4】

【0056】
表5は、外部入力ポート11へ入射された光波を、各外部出力ポート31A〜34A、あるいは31B〜34Bに光波を出力するために、各薄膜ヒータ211〜218において与える位相の関係を示すものである。例えば、外部出力ポート31Aへ出力するためには、薄膜ヒータ211〜218にそれぞれ、0、π、π、0、0、π、π、0の位相シフトを生じさせる電力を印加すればよい。
【0057】
【表5】

【0058】
上記のように外部出力ポートを設定することで、遮断する外部出力ポートへの漏れ光を抑制することができる。例えば、光出力を31Aに設定した場合、32Aへのクロストークは、第2段方向性結合器131と第5段方向性結合器331とで構成される第2MZI、第2段方向性結合器131と第5段方向性結合器332とで構成される第2MZI、及び第1段方向性結合器111と第6段方向性結合器352とで構成される第1MZIで遮断されるため、高い消光比を得ることができる。
【0059】
また、33Aへのクロストークは、第3段方向性結合器151〜154と第4段方向性結合器311〜314とで構成される第3MZI、及び第1段方向性結合器111と第6段方向性結合器353とで構成される第1MZIで遮断されるため、高い消光比を得ることができる。
【0060】
さらに、34Aへのクロストークは、第3段方向性結合器151〜154と第4段方向性結合器311〜314とで構成される第3MZI、第2段方向性結合器131と第5段方向性結合器353、及び第2段方向性結合器132と第5段方向性結合器354とで構成される第2MZIで遮断されるため、高い消光比を得ることができる。
【0061】
同様に、設定Aに属する他の外部出力ポートに光出力を設定した場合においても、遮断ポートへのクロストークは第1〜第3MZIのうちの2つで遮断されるため、高い消光比を得ることができる。
【0062】
尚、ここで重要なのは、第2MZIが第1MZIの各アーム上に構成され、第3MZIが第2MZIの各アーム上に構成された入れ子構造の多段MZIを構成し、第1〜第3MZIのいずれか2つでクロストークを二重に遮断することである。
【0063】
(実施例2)
コアとクラッドの比屈折率差Δ=1.5%のシリカガラス系PLCを用いて、第2の実施形態に基づく光スイッチを作製した。作製した光スイッチの分岐部を構成する方向性結合器の結合率は55%であったが、4つの外部出力ポートにおける消光比を測定した結果、いずれも40dB以上であった。
【0064】
本発明の光スイッチの出力数を更に拡張するには、拡張前の入力分岐部、位相シフタ部、出力合分岐部を2つずつ用意し、2つの入力分岐部と2つの位相シフタ部を複数の方向性結合器で接続し、2つの位相シフタ部と2つの出力合分岐部とを複数の方向性結合器で接続すれば良い。このように、本発明では1入力2n出力(n:正の整数)の光スイッチが可能である。
【0065】
尚、第1及び第2の実施形態では、外部出力ポートは、他のポートから主光波が出力されている場合、2つのMZIで遮断されたクロストークを出力するが、これは2つ以上のMZIで遮断されたクロストークであれば良いということである。
【0066】
(第3の実施形態)
図4は本発明に係る1入力2出力、波長数Mの波長選択スイッチの概略図である。図4に示す波長選択スイッチは、入力された波長分割多重光を4つに分岐した後、それぞれの光波をM波長に分離する入力分岐部1001と、分離された4Mの光波を位相変調する位相シフタ部2222とを有する。入力分岐部1001はPLC上に形成されており、一方、位相シフタ部2222は反射型の位相変調器を用いて構成され、両者は集光レンズ22を用いた空間光学系で結合される。位相シフタ部2222で位相変調されるとともに反射された光波は、再び入力分岐部1001へ入力するが、ここで入力分岐部1001は位相変調された4Mの光波を再び4つに波長多重した後、合分岐して出力する出力合分岐部3として作用する。
【0067】
図4に示す波長選択スイッチにおいては、各波長に対して光波の位相を調節することが可能であるから、波長ごとに外部出力ポートを設定することができる。
【0068】
本実施形態における波長選択スイッチの外部出力ポートの割り当て及び各外部出力ポートに光を出力するための位相設定は、前述した第1の実施形態における光スイッチの外部出力ポートの割り当てと同様である。
【0069】
本実施形態では、入力分岐部と出力合分岐部とが同一の光回路であるため、MZIを構成する2つの合分岐器、すなわち方向性結合器もしくは多モード干渉光カプラの結合率が一致しているので、高い消光比を得ることが可能となる。
【0070】
外部出力ポートの割り当てとしては、前述したように2通りの設定がある。本実施形態においては、設定Bを用いた場合、外部入力ポート11と外部出力ポート31Bとは同一のポートとなるので、入力と出力を分離するために光サーキュレータが必要となる。しかし、設定Aを用いた場合、外部入力ポート11と外部出力ポート31A、32Aとは異なるので、光サーキュレータは不要である。
【0071】
(実施例3)
コアとクラッドの比屈折率差Δ=1.5%のシリカガラス系PLCと、反射型液晶光位相変調器を用いて、第3の実施形態に基づく波長選択スイッチ(波長数M=40)を作製した。作製した波長選択スイッチの光分岐部を構成する方向性結合器の結合率は47%であったが、2つの外部出力ポート31A、32Aにおける消光比を測定した結果、いずれのポートにおいても全波長チャネルについて40dB以上であった。
【0072】
尚、以上で説明した各実施形態において、入力ポートと外部出力ポートを逆にして、N入力1出力の光スイッチもしくは波長選択スイッチとして使用することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1、1001、1002 入力分岐部
2、2222 位相シフタ部
3、1003 出力合分岐部
11 入力ポート
22 集光レンズ
101 入力部入力導波路
111 第1段方向性結合器
121、122 接続導波路
131、132 第2段方向性結合器
161〜164 入力部出力導波路
201〜204 位相シフタ導波路
211〜214 薄膜ヒータ
301〜304 出力部入力導波路
311、312 第3段方向性結合器
321〜324 接続導波路
331〜334 第4段方向性結合器
361〜364 出力部出力導波路
31〜34 外部出力ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1入力2n出力の光スイッチ(n:正の整数)であって、
外部入力ポートに入力された光波を分岐する入力分岐部と、
前記分岐した光波の位相を変調する位相シフタ部と、
前記変調された光波の合分岐を行ない、2n個の外部出力ポートに出力する出力合分岐部とを備え、
前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成され、前記外部入力ポートに接続された少なくとも1本の入力部入力導波路と、2×2n本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、前記2×2n本の入力部出力導波路の全てに分岐するために、2入力2出力の単位光分岐回路を多段に接続して構成された入力部分岐手段とを含み、
前記出力合分岐部は、平面光波回路上に形成され、2×2n本の出力部入力導波路と、2×2n本の出力部出力導波路と、2×2n本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、2×2n本の出力部出力導波路の全てに合分岐するために、2入力2出力の単位光合分岐回路を多段に接続して構成された出力部合分岐手段とを含み、前記出力部出力導波路を含む前記単位光合分岐回路の一方の出力ポートは前記外部出力ポートに接続され、
前記位相シフタ部は、前記入力分岐部の入力部出力導波路と前記出力合分岐部の出力部入力導波路とを1対1に接続し、前記入力部出力導波路から出力された光波の位相を変調して前記出力部入力導波路へ入力する2×2n個の位相変調器を含み、
前記入力分岐部と前記出力合分岐部と前記位相シフタ部とは、前記入力分岐部の単位光分岐回路と前記位相変調器と前記出力合分岐部の単位光合分岐回路とからなる複数のマッハ‐ツェンダ干渉計(MZI)を構成し、
前記複数のMZIは、第aMZI(a:nより小さい正の整数)の2つのアーム上にそれぞれ第(a+1)MZIを含み、前記第(a+1)MZIは2つの前記第aMZIに含まれると定義される第1〜第nMZIであって、前記第1MZIは前記入力分岐部の前記外部入力ポートに接続された1つの単位光分岐回路と前記出力合分岐部の前記外部出力ポートに接続された2n個の単位光合分岐回路の各々との間で構成される2n個のMZIであって、前記第nMZIは前記入力部出力導波路に接続された1つの単位光分岐回路、前記位相変調器、及び前記出力部入力導波路に接続された1つの単位光分岐回路から構成され、
前記位相シフタ部は、出力先として設定された前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれも出力ポート側経路を通過した光波を出力し、出力先として設定されなかった前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれか2以上の遮断ポート側経路を通過した漏れ光を出力するように前記位相変調器を設定することを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記位相変調器が反射型の位相変調器であり、前記入力分岐部と前記出力合分岐部とが同一の光回路であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
n本の前記外部出力ポートが前記外部入力ポートと異なるポートであることを特徴とする請求項2に記載の光スイッチ。
【請求項4】
1入力2n出力の波長選択スイッチ(n:正の整数)であって、
外部入力ポートに入力された光波を分岐する入力分岐部と、
前記分岐した光波の位相を変調する位相シフタ部と、
前記変調された光波の合分岐を行ない、2n個の外部出力ポートに出力する出力合分岐部とを備え、
前記入力分岐部は、平面光波回路上に形成され、前記外部入力ポートに接続された少なくとも1本の入力部入力導波路と、2×2n本の入力部出力導波路と、1本の前記入力部入力導波路から入力された光波を、前記2×2n本の入力部出力導波路の全てに分岐するために、2入力2出力の単位光分岐回路を多段に接続して構成された入力部分岐手段と、2×2n本の前記入力部出力導波路に接続された1入力M出力の波長分波器(ここで、Mは2以上の整数である)とを有するものであり、
前記出力合分岐部は、平面光波回路上に形成され、2×2n本の出力部入力導波路と、2×2n本の出力部出力導波路と、2×2n本の前記出力部入力導波路のうち任意の1本に入力された光波を、2×2n本の出力部出力導波路の全てに合分岐するために、2入力2出力の単位光合分岐回路を多段に接続して構成された出力部合分岐手段と、2×2n本の前記出力部入力導波路に接続されたM入力1出力の波長合波器とを有し、前記出力部出力導波路を含む前記単位光合分岐回路の一方の出力ポートは前記外部出力ポートに接続され、
前記位相シフタ部は、前記波長分波器の出力と波長合波器の入力とを1対1に接続し、前記入力分岐部の波長分波器から出力された光波の位相を変調して前記出力合分岐部の波長合波器へ入力する位相変調器を有するものであり、
前記入力分岐部と前記出力合分岐部と前記位相シフタ部とは、前記入力分岐部の単位光分岐回路と前記位相変調器と前記出力合分岐部の単位光合分岐回路とからなる複数のマッハ‐ツェンダ干渉計(MZI)を構成し、
前記複数のMZIは、第aMZI(a:nより小さい正の整数)の2つのアーム上にそれぞれ第(a+1)MZIを含み、前記第(a+1)MZIは2つの前記第aMZIに含まれると定義される第1〜第nMZIであって、前記第1MZIは前記入力分岐部の前記外部入力ポートに接続された1つの単位光分岐回路と前記出力合分岐部の前記外部出力ポートに接続された2n個の単位光合分岐回路の各々との間で構成される2n個のMZIであって、前記第nMZIは前記入力部出力導波路に接続された1つの単位光分岐回路、前記位相変調器、及び前記出力部入力導波路に接続された1つの単位光分岐回路から構成され、
前記位相シフタ部は、出力先として設定された前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれも出力ポート側経路を通過した光波を出力し、出力先として設定されなかった前記外部出力ポートが前記第1〜第nMZIのいずれか2以上の遮断ポート側経路を通過した漏れ光を出力するように前記位相変調器を設定することを特徴とする波長選択スイッチ。
【請求項5】
前記位相変調器が反射型の位相変調器であり、前記入力分岐部と前記出力合分岐部とが同一の光回路であることを特徴とする請求項4記載の波長選択スイッチ。
【請求項6】
n本の前記外部出力ポートが前記外部入力ポートと異なるポートであることを特徴とする請求項5に記載の波長選択スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−154331(P2011−154331A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17464(P2010−17464)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】