説明

光ディスクスピンコーティング用の装置及びそれを利用した光ディスクの製造方法

本発明は、下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップと、その中心部に、光ディスクの中心孔に挿まれる中心軸を備え、中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、中心軸の溝または突出部は、キャップの突出部または溝と凹凸構造に噛み合うようになっている回転用のターンテーブルと、を備え、ターンテーブルの光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されていることを特徴とする光ディスクスピンコーティング用の装置を提供する。これにより、キャップの装着時に、キャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても装着が容易であり、真空を利用することによりキャップの脱着が容易であるため、作業性が著しく改善され、光ディスクの製造工程の効率を向上させうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクスピンコーティング用の装置及びそれを利用した光ディスクの製造方法に係り、さらに詳細には、キャップの脱着時にキャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても、装着が容易であるように構成されているキャップを備え、脱着時には、光ディスク及び前記キャップの脱着が容易に行われるように構成されている光ディスクスピンコーティング用の装置及びそれを利用した光ディスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ディスクは、非接触式で情報を記録/再生する光ピックアップ装置の情報記録媒体として広く採用される。光ディスクは、600〜800MBの記録容量を有するCD(Compact Disc)から4〜10GBの記録容量を有するDVD(Digital Versatile Disc)に変遷しつつ、データの集積度を向上させる方向に開発されてきた。最近には、さらなる高品質の音質及び画質を提供するために、405nmのブルーレーザーを使用して、20GB以上の保存容量を有する光ディスク(Blu−ray Disc(BD)またはHD−DVD)が開発されている。このような記録密度の向上は、多様な方法により実現されうるが、その中で照射される光スポットの微小化が大きな比重を占めている。データ集積容量を増大させるための光スポットの微小化は、レーザーの波長及びレンズの開口数によって決定され、それらの関係は、数式1ないし数式3で表しうる。
【0003】
[数1]
D∝ 1.22λ/NA・・・・・(数式1)
[数2]
F∝ λ/NA・・・・・・・・(数式2)
[数3]
f∝ A/2NA・・・・・・・・(数式3)
【0004】
前記式において、Dは、スポットの直径であり、λは、レーザーの波長であり、NAは、レンズの開口数であり、Fは、焦点の深さであり、fは、焦点の距離であり、Aは、レンズの直径である。前記数式1に表すように、レーザーの波長が短くなり、レンズの開口数が大きくなれば、スポットの大きさが小さくなり、ディスクのピット及び対応するトラックのサイズが縮小し、記録密度は、スポットの2乗値に反比例して増加して、記録密度が高くなる。それに対し、前記数式2に表すように、波長が短くなり、開口数が大きくなれば、焦点の深さは短くなり、数式3に表すように、焦点の距離も短くなる。
すなわち、CDからDVDを経てBDへ行くほど、光スポットの直径が小さくなり、焦点の深さ及び焦点の距離が短くなる。このように焦点の深さ及び焦点の距離が短くなるほど、再生特性は、光ディスクの光入射面の状態に敏感になるため、入射面にはスクラッチがあってはならず、厚さの偏差も非常に小さくなければならないという条件を満足せねばならない。
【0005】
一方、光ディスクの製造において、光透過層、保護層またはラッカー層等は、スピンコーティングを利用して成膜するが、これは、スピンコーティング後に除去される樹脂を装置内で再循環させ、スピンコーティングの時間及び樹脂の粘度を制御することにより、光透過層などの厚さを任意に調節できるという長所があるためである。
【0006】
前記スピンコーティング時、基板上に光硬化性樹脂を吐出する位置の基板中心からの距離と、光透過層の厚さの分布とを図1に示す。前記では、光硬化性樹脂を吐出する位置の基板中心からの距離を5〜25mmの範囲で5mm間隔で移動させつつ測定し、31は、中心からの半径5mm、32は、半径10mm、33は、半径15mm、34は、半径20mm、35は、半径25mmに対する光透過層の厚さの分布を示す。図1に示すように、光硬化性樹脂を吐出する位置が基板の内周側に行くほど、光透過層の厚さの偏差が減り、基板の中央に吐出すれば、理論上では厚さの偏差が全くない光透過層が得られる。
【0007】
CDの場合においては、レーザーの焦点距離が非常に長いため、1.2mmの厚さに成形加工されたポリカーボネートの基板にスパッタリングにより記録層及び反射層を形成して、その上に薄いラッカー層をスピンコーティングして記録層及び反射層などを保護するようにしている。このようなラッカー層は、その厚さが3〜5μmと非常に薄いため、厚さの偏差が発生するとしても、その差は非常に微細であり、CDで記録光または再生光は、ポリカーボネート基板の下部から入射されるため、最上部のラッカー層に厚さの偏差があっても、再生時にエラーが発生する可能性はほとんどない。したがって、前記ラッカー層のスピンコーティング時、光硬化性樹脂の吐出を光ディスクの中心部分でする必要性はあまり大きくない。
【0008】
しかし、集積容量が増加したブルーレーザーを利用する光ディスク(BD)の場合には、データの集積度は向上する一方、焦点の距離が非常に短くなるため、1.1mmの厚さのポリカーボネート上に反射層及び記録層などを成膜した後、その上に0.1mmの光透過層を形成させ、このような光透過層に再生光が入射する構造となっている。したがって、BDの場合には、その再生特性は、前記光透過層の表面の状態及び厚さの偏差に非常に敏感になる。
【0009】
前記光透過層を形成させる方法としては、ポリカーボネートからなる0.1mmの厚さの薄い光透過シートを減圧接着剤や紫外線硬化型の接着剤を利用して接着させる方法があるが、巨大なシート上にディスクを接着させた後、その枠を切り出す方法によるため、前記シートの損失量が非常に多くなり、それにより、製造コストが上がり、環境負荷が大きくなるという問題点がある。したがって、スピンコーティング法により前記光透過層を形成させることが一般的である。
【0010】
図1を参照にして既に説明したように、光硬化性樹脂を光ディスクの中心から離脱した所定の半径位置で環状に塗布してスピンコーティングする場合、樹脂層は、光ディスクの中心から外部方向に次第に厚くなり、特に、BDの場合には、このような厚さの偏差によりエラーが発生する可能性が高くなる。したがって、それを防止するために、スピンコーティング時に光硬化樹脂を回転中心に塗布せねばならないが、従来の光ディスク基板の中心には中心孔があるため、光硬化性樹脂が前記中心孔に浸入することを防止する多様な技術構成が知られている。
【0011】
例えば、特許文献1には、光ディスクの中心孔を閉塞させるために別途のキャップを利用し、スピンコーティング以後に電磁石を利用して前記キャップを脱着する技術が開示されているが、キャップの方向が光ディスクの中心から離れれば、装着が難しく、コーティング後にキャップを除去する時、光ディスクが共に持ち上げられるという問題点がある。
また、特許文献2には、光ディスクの中心孔を閉塞させるために別途のキャップを利用するが、前記キャップの中心部にホールディング軸を備えることにより、脱着を可能にする技術構成が開示されているが、前記キャップの付着時に、キャップの方向が光ディスクの中心から離れれば、装着が難しく、コーティング後にキャップを除去する時、光ディスクが共に持ち上げられるという問題点は依然として存在する。
【特許文献1】特開平10−289489号公報
【特許文献2】米国特許第6689415号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が達成しようとする第一の技術的課題は、従来技術の問題点を解決するために、キャップの脱着時に、キャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても装着が容易であり、真空を利用することによりキャップの脱着が容易な光ディスクスピンコーティング用の装置を提供するところにある。
本発明が達成しようとする第二の技術的課題は、キャップの脱着時に作業性が改善された光ディスクの製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記第一の技術的課題を達成するために、下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップと、その中心部に、光ディスクの中心孔に挿入される中心軸を備え、前記中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、前記中心軸の溝または突出部は、前記キャップの突出部または溝と凹凸構造に噛み合うようになっている回転用のターンテーブルと、を備え、前記ターンテーブルの光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されていることを特徴とする光ディスクスピンコーティング用の装置を提供する。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記キャップの突出部または溝の傾斜は、30゜〜60゜であることが好ましい。
また、前記ターンテーブルの溝または突出部の傾斜は、30゜〜60゜であることが好ましい。
【0015】
本発明の他の実施例によれば、前記ターンテーブルの中心軸の末端部には、キャップを固定するための真空穴がさらに形成されうる。
本発明のさらに他の実施例によれば、前記ターンテーブルの中心軸の末端部に形成された真空穴は、前記光ディスクの支持台上に形成された真空穴と別個に開閉されるように、別途の開閉装置を備えることが好ましい。
【0016】
本発明は、前記第二の技術的課題を達成するために、(a)その中心部に、光ディスクの中心孔に挿入されている中心軸を備え、前記中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されているターンテーブル上に光ディスクを装着する工程と、(b)下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップで前記光ディスクの中心孔に位置させ、前記中心軸の溝または突出部と、前記キャップの突出部または溝とが凹凸構造に噛み合うようにして前記中心孔を閉塞する工程と、(c)前記キャップの中心部上に光硬化樹脂を供給し、前記ターンテーブルを回転させることにより前記光硬化樹脂を光ディスクの全面に塗布して保護膜を形成する工程と、(d)前記ターンテーブルと光ディスクとの間の真空を維持させ続け、前記キャップを除去する工程と、を含む光ディスクの製造方法を提供する。
本発明の一実施例によれば、前記ターンテーブルの中心軸の末端部には、キャップを固定するための真空穴がさらに形成されており、前記(b)工程と(c)工程との間に、前記キャップ固定のための真空穴を利用して前記キャップと光ディスクとの間に真空を維持させ、前記(d)工程では、前記キャップと光ディスクとの間の真空を除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係る光ディスクスピンコーティング用の装置は、下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップと、その中心部に、光ディスクの中心孔に挿入されている中心軸を備え、前記中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、前記中心軸の溝または突出部は、前記キャップの突出部または溝と凹凸構造に噛み合うようになっている回転用のターンテーブルと、を備え、前記ターンテーブルの光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されていることを特徴とする。
【0018】
図2には、本発明に係る光ディスクスピンコーティング用の装置の概略図を示す。キャップ10の突出部12は、ターンテーブル20の中心軸21の末端に備えられた溝22の形状と凹凸構造に噛み合うようになっており、キャップの脱着時に、キャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても装着が容易であり、ターンテーブル20の光ディスクの支持台上には、光ディスク11の装着時に真空により前記光ディスク11を固定するための真空穴23が形成されている。前記真空穴23の位置は、前記支持台と光ディスク11との間に位置するかぎり特別に制限されない。
【0019】
図3には、本発明の他の具体例に係るスピンコーティング用の装置の概略図を示す。キャップ10の溝12aは、ターンテーブル20の中心軸21の末端に備えられた突出部22aの形状と凹凸構造に噛み合うようになっており、キャップの脱着時に、キャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても装着が容易であり、ターンテーブル20の光ディスクの支持台上には、光ディスク11の装着時に真空により前記光ディスク11を固定するための真空穴23が形成されている。
【0020】
本発明に使用されるキャップ10の突出部12及びターンテーブルの中心軸21の末端に備えられた溝22の形態の例を図4Aないし図4Cに示す。前記突出部12と溝22の形態は互いに凹凸構造に噛み合う形態であれば、特別に制限されない。
本発明に係るターンテーブル20の光ディスクの支持台上に形成された真空穴23は、光ディスク11をその中心軸21に挿んだ後に真空をかけて、前記支持台と前記光ディスク11とを密着させる役割を行い、特に、最終的にスピンコーティング後に前記キャップ10を除去する工程で、光ディスク11が共に持ち上げられることを防止する。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記キャップ10の突出部12とこれに対応する、ターンテーブル20の中心軸21の末端に備えられた溝22の傾斜は30゜〜60゜であり、また、前記キャップ10の溝12aとこれに対応する、ターンテーブル20の中心軸21の末端に備えられた突出部22aの傾斜度傾斜は30゜〜60゜であることが好ましいが、このような範囲内の傾斜を有する場合のみに、前記キャップ10の位置が光ディスク11の中央に正確に合わなくても、キャップ10が中央へ移動して装着できるためである。
【0022】
一方、図5に示すように、前記ターンテーブル20の中心軸21の末端部には、キャップ10を固定するための真空穴24がさらに形成されうる。これは、スピンコーティング時に、真空により前記キャップ10を光ディスク11の表面と完全に密着させることにより光硬化性の樹脂を浸入させない役割を行い、前記キャップの突出部12と、ターンテーブル中心軸の末端部に備えられた溝22の中心とが一致しない場合でも、圧力により真空をかけることにより、前記突出部12と溝22とがその傾斜面に沿って摺動されつつ、互いに凹凸構造に噛み合うことにより、前記キャップが真中へ移動することをさらに容易にする役割を行う。前記真空穴24の個数及び位置は特別に制限されず、図6Aないし図6Cに示すように、一つ以上であり、その位置も任意的でありうる。
【0023】
前記中心軸の末端部の真空穴24は、前記光ディスクの支持台上に形成された真空穴23と別個に開閉されるように別途の開閉装置(図示せず)を備えることが好ましいが、スピンコーティング時には、両者とも真空に保たれており、スピンコーティング後にキャップ10を除去する時には、キャップ10部分のみの真空を除去し、ターンテーブル20の真空は依然として維持させることにより、キャップが除去される時に光ディスクが共に持ち上げられることを防止できる。
【0024】
前記キャップ10の材質は特別に制限されないが、磁石を利用して前記キャップ10の脱着を行うことが一般的であるため、磁石により脱着を可能に金属などの磁性体であることが好ましく、例えば、ステンレススチールなどが挙げられる。また、前記キャップ10の上端面に把持できる支持軸を備える場合であれば、前記キャップ10は、ポリカーボネートなどの樹脂からなってもよい。一方、前記ターンテーブル20の材質は、当業界で通常的に使用されるものであれば、特別に制限されない。
【0025】
本発明に係る光ディスクスピンコーティング用の装置は、記録層を備える追記型(Write Once Read Many:WORM)及び消去可能型はもとより、記録された情報の再生のみをする再生専用型(Read Only Memory;ROM)光ディスクの製造にも使用でき、スピンコーティングによる光透過層を備える光ディスクには、特別な制限なしに何れも使用可能である。また、前記光透過層の以外にも、機械的な特性の向上のための保護膜、中間層膜またはラッカー層などをスピンコーティングする場合にも使用されうる。
【0026】
以下で、本発明に係る光ディスクスピンコーティング用の装置を利用して、光硬化性樹脂をスピンコーティングする方法を説明する。
ターンテーブル20上に光ディスク11を装着した後、光ディスク11の中心孔を閉塞するためにキャップ10を装着する。次いで、真空穴23、24により前記光ディスク11とターンテーブル20との間、及び前記キャップと中心軸21との間に真空を維持させれば、スピンコーティングの全工程が完了する。次いで、キャップ10の中心部にノズルにより光硬化性樹脂を吐出した後、前記ターンテーブル20を回転させてスピンコーティングする。前記光硬化性樹脂を吐出する工程で、前記ターンテーブル20の回転速度は、約20ないし100rpmと相対的に遅い速度であることが好ましく、吐出が終わった直後には、速度を速めて均一な光透過層を形成させる。前記スピンコーティング時の速度は、成膜しようとする光透過層の厚さと密接な関係があるが、速度が速いほど、生成された光透過層の厚さは薄くなる。一方、前記光硬化性樹脂は、当業界に通常的に使用されるものであれば、特別に制限されず、例えば、アクリレイト系の樹脂が主に使用される。
【0027】
前記光硬化性樹脂をスピンコーティングした後には、前記キャップ10を脱着させなければならないが、これは、前記光硬化性樹脂を硬化した後でも、硬化させる前でも可能であるが、光硬化性樹脂を硬化した後に脱着させる場合には、光透過層の境界面が微細に破壊されて、バーが生じる恐れがあるため、光硬化性樹脂を硬化させる前に前記キャップ10を脱着することがさらに好ましい。
【0028】
本発明によれば、キャップの装着時キャップの位置が光ディスクの中央に正確に合わなくても装着が容易であり、真空を利用することによりキャップの脱着が容易であるため、作業性が著しく改善され、光ディスクの製造工程の効率を向上させうる。
以下、好ましい実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより制限されるものではない。
【0029】
[実施例]
実施例1
全厚が1.1mmであり、外径が120mmであり、内径(中心孔の直径)が15mmであるポリカーボネート(PC)の光ディスク基板を射出成形した後、スパッタリング工程によりAg合金/ZnS−SiO/SbGeTe/ZnS−SiOの4層膜構造を成膜して光ディスクを製造した。次いで、前記光ディスクを図7に示すように、ターンテーブルに位置させた後、キャップの装着位置を光ディスクの中央からやや離脱するようにキャップを装着し、前記離脱する範囲は、キャップの中心が、ターンテーブル中心軸の末端部に備えられた溝の半径を離脱しない範囲に限定した。次いで、ターンテーブルと光ディスクとの間及び光ディスクとキャップとの間を真空で固定し、キャップの中心部にEB 8402(SK UCB製)、Irgacure 184(Ciba SC製)、Irgacure 651(Ciba SC製)及びメチルエチルケトンを含む紫外線硬化樹脂をスピンコーティングして光透過層を得て、光透過層の厚さは100μmとした。次いで、前記光ディスクとキャップとの間にかかっている真空のみを除去し、前記光ディスクとターンテーブルとの間の真空は依然として維持させたまま、前記キャップを除去した後、前記光ディスクを紫外線硬化器の下部へ移動させ、UV光源を照射して、前記光硬化性樹脂を硬化させて光ディスクを製造した。その結果、前記キャップを装着する過程でキャップの位置が光ディスクの中央から離脱しても、エラーが全く発生せず、キャップを除去する過程で光ディスクが共に除去される現象が全く発生しなかったため、作業性に非常に優れているということが確認できた。
【0030】
実施例2
全体厚さが1.1mmであり、外径が120mmであり、内径(中心孔の直径)が15mmであるポリカーボネート(PC)の光ディスク基板を射出成形した後、スパッタリング工程によりAg合金/ZnS−SiO/SbGeTe/ZnS−SiOの4層膜構造を成膜して光ディスクを製造した。次いで、前記光ディスクを図8に示すように、ターンテーブルに位置させた後、キャップの装着位置を光ディスクの中央からやや離脱するようにキャップを装着し、前記離脱する範囲は、キャップの溝、及びターンテーブル中心軸の末端部に備えられた突出部のそれぞれに形成されているテーパー状の傾斜面が互いに完全に離脱しない範囲に限定した。次いで、ターンテーブルと光ディスクの間及び光ディスクとキャップとの間を真空で固定し、キャップの中心部にEB 8402(SK UCB製)、Irgacure 184(Ciba SC製)、Irgacure 651(Ciba SC製)及びメチルエチルケトンを含む紫外線硬化樹脂をスピンコーティングして光透過層を得て、光透過層の厚さは、100μmとした。次いで、前記光ディスクとキャップとの間にかかっている真空のみを除去し、前記光ディスクとターンテーブルとの間の真空は依然として維持させたまま、前記キャップを除去した後、最後に、UV光源を照射して、前記光硬化性樹脂を硬化させて光ディスクを製造した。その結果、前記キャップを装着する過程で、キャップの位置が光ディスクの中央から離脱しても、エラーが全く発生せず、キャップを除去する過程で光ディスクが共に除去される現象が全く発生せず、作業性に非常に優れているということが確認できた。
【0031】
[比較例]
比較例1
図9に示すように、従来技術に係るキャップ及びターンテーブルを使用したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で光ディスクを製造した。この場合、キャップを装着する時、光ディスクの中央で少しだけ離脱してもエラーが発生し、光硬化性樹脂の粘性のために、前記キャップを除去する時に光ディスクも共に持ち上げられる場合があった。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に記述したが、当業者ならば、特許請求の範囲に定義された本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明を多様に変形または変更して実施できるということが分かるであろう。したがって、本発明の今後の実施形態の変更は、本発明の技術を逸脱し得ないものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】スピンコーティング時、基板上に光硬化性樹脂を吐出する位置の基板中心からの距離及び光透過層の厚さの分布を表す。
【図2】本発明に係る光ディスクスピンコーティング用の装置の概略図である。
【図3】本発明の他の具体例に係るスピンコーティング用の装置の概略図である。
【図4A】本発明に使用されるキャップの突出部及びターンテーブルの中心軸の末端に備えられた溝の形態の例示図である。
【図4B】本発明に使用されるキャップの突出部及びターンテーブルの中心軸の末端に備えられた溝の形態の例示図である。
【図4C】本発明に使用されるキャップの突出部及びターンテーブルの中心軸の末端に備えられた溝の形態の例示図である。
【図5】本発明のさらに他の具体例に係るスピンコーティング用の装置の概略図である。
【図6A】本発明に使用されるターンテーブルの中心軸の末端に備えられた真空穴の例示図である。
【図6B】本発明に使用されるターンテーブルの中心軸の末端に備えられた真空穴の例示図である。
【図6C】本発明に使用されるターンテーブルの中心軸の末端に備えられた真空穴の例示図である。
【図7】実施例1により光ディスクスピンコーティング用のターンテーブル上に光ディスク及びキャップを装着する過程を例示した図面である。
【図8】実施例2により光ディスクスピンコーティング用のターンテーブル上に光ディスク及びキャップを装着する過程を例示した図面である。
【図9】比較例1により光ディスクスピンコーティング用のターンテーブル上に光ディスク及びキャップを装着する過程を例示した図面である。
【符号の説明】
【0033】
10 キャップ
11 光ディスク
12 突出部
20 ターンテーブル
21 中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップと、その中心部に、光ディスクの中心孔に挿入されている中心軸を備え、前記中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、前記中心軸の溝または突出部は、前記キャップの突出部または溝と凹凸構造に噛み合うようになっている回転用のターンテーブルと、を備え、前記ターンテーブルの光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されていることを特徴とする光ディスクスピンコーティング用の装置。
【請求項2】
前記キャップの突出部または溝の傾斜は、30゜〜60゜であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクスピンコーティング用の装置。
【請求項3】
前記ターンテーブルの溝または突出部の傾斜は、30゜〜60゜であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクスピンコーティング用の装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルの中心軸の末端部には、キャップを固定するための真空穴がさらに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクスピンコーティング用の装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルの中心軸の末端部に形成された真空穴は、前記光ディスクの支持台上に形成された真空穴と別個に開閉されるように、別途の開閉装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の光ディスクスピンコーティング用の装置。
【請求項6】
(a)その中心部に、光ディスクの中心孔に挿入される中心軸を備え、前記中心軸の末端部には、テーパー状の溝または突出部を備え、光ディスクの支持台上には、光ディスクを固定するための真空穴が形成されているターンテーブル上に光ディスクを装着する工程と、
(b)下端面の中心部にテーパーを有する突出部または溝を備えるキャップで前記光ディスクの中心孔に位置させ、前記中心軸の溝または突出部と、前記キャップの突出部または溝とが凹凸構造に噛み合うようにして前記中心孔を閉塞する工程と、
(c)前記キャップの中心部上に光硬化樹脂を供給し、前記ターンテーブルを回転させることにより前記光硬化樹脂を光ディスクの全面に塗布して保護膜を形成する工程と、
(d)前記ターンテーブルと光ディスクとの間の真空を維持させ続け、前記キャップを除去する工程と、を含む光ディスクの製造方法。
【請求項7】
前記ターンテーブルの中心軸の末端部には、キャップを固定するための真空穴がさらに形成されており、前記(b)工程と(c)工程との間に、前記キャップ固定のための真空穴を利用して前記キャップと光ディスクとの間に真空を維持させ、前記(d)工程では、前記キャップと光ディスクとの間の真空を除去することを特徴とする請求項6に記載の光ディスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−512654(P2007−512654A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541053(P2006−541053)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001883
【国際公開番号】WO2005/124756
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】