説明

光ディスクドライブシステム、光ディスクドライブ装置及び該装置の駆動方法

【課題】 本発明は、アクセス時間を短縮して手軽に使える、光ディスクドライブシステム、光ディスクドライブ装置及び該装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】 本発明の光ディスクドライバシステム及び光ディスクドライバ装置は、異なる波長の光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取り、読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識して得られた文字情報と光ディスクの種類を判別するために記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別し、判別結果に対応して光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する。よって、光ディスクの種類が多くなっても、これまで光ディスクの種類判別にかかっていた時間を短縮して、アクセス時間を早めて手軽に使える光ディスクドライブ装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクドライブシステム、光ディスクドライブ装置及び該装置の駆動方法に関し、詳細には波長の異なる光ディスクの種類の判別可能な光ディスクドライブ装置におけるアクセス時間の短縮技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の大容量化メモリの要求に対応して、光ディスクの種類は益々多くなりつつある。これまでは、波長785nm/基板厚1.2mmのCD(コンパクトディスク)規格と波長660nm/基板厚0.6mmのDVD(デジタルバーサタイズディスク)規格が市場に流通していたが、最近では次世代システムとして、波長405nm/基板厚0.1mmのBlu−ray規格や、波長405nm/基板厚0.6mmのHD−DVD規格が流通し始めている。それぞれの規格においては、さらに再生専用のROM、一度だけ記録できるR、何度でも記録消去可能なRWの種類がある。更に、DVDに至ってはデータフォーマットの違いによって、例えば同じRWでも“+RW”,“−RW”,“RAM”などの種類に分かれている。また、RやRWでは記録速度の違いによってディスク種類が異なる。更に、DVDや次世代システムでは、記録層が2層または多層に形成された種類もある。光ディスクドライブ装置では、光ディスクに記録されたID情報を読取る前に、先ず光ディスクの種類に対応して、点灯すべき光源、光源出力、回転数、回転方式、トラックエラー検出方式、基板厚の違いにより発生する球面収差の補正量、対物レンズの開口径などを設定する必要がある。これらが適切に設定されて始めて光ディスクの情報を読取ることができる。
【0003】
一方、光ディスクドライブ装置には、使用者がこれらの光ディスクの種類に煩わされることなく光ディスクを単なる情報記録媒体として手軽に使えるための、互換性やアクセス性能が常に求められている。このためには、ドライブ装置は挿入された光ディスクの種類を自動的にすみやかに判別して、アクセス時間を短縮する必要がある。そこで、光ディスクの種類を自動的に判別する提案がいくつか提案されている。その一つとして、特許文献1によれば、光ディスクの外周端面に外観形状、視認、触診可能な物理的特長を持たせて、ユーザがディスクを手で取り扱うとき容易にディスクの種類を識別できるようにしている。また、特許文献2では、フォーカスエラー信号のピーク値もしくはピークの回数に基づいて光学的記録媒体を判別している。更に、特許文献3では、レーベル面の文字の傾きを検出して、回転制動手段により常に文字が装置前面に正対する位置で停止させて、挿入された光ディスクを操作者が認識しやすくしている。
【特許文献1】特開平8−249802号公報
【特許文献2】特許第3,157,460号明細書
【特許文献3】特開2003−141844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、今までの光ディスクの識別ができないばかりか、光ディスクの種類の自動認識ができない。また、特許文献2では、基板厚が同じ種類の光ディスク(DVDとHD−DVDなど)の判別ができず、結局装置による光ディスクの種類の自動認識ができないことになる。また、光ディスクの種類の判別のための時間としては数10秒程度必要となり、このように種類が多くなると判別時間が更に必要になり、光ディスクはもはや、使用者が手軽に使える装置とはいえなくなる恐れがある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためのものであり、光ディスクの種類をすみやかに判別して、点灯すべき光源や光ディスクの回転数などの駆動条件をただちに設定することにより、アクセス時間を短縮して手軽に使える、光ディスクドライブシステム、光ディスクドライブ装置及び該装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明の光ディスクドライブシステムは、波長の異なる光ディスクの情報記録面に対して記録再生を行う光ディスクドライブ装置と、光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取装置と、画像読取装置によって読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識装置と、文字認識装置により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために予め記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別装置とを含んで構築している。そして、光ディスクドライブ装置は、光ディスク判別装置による判別結果に対応して光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する駆動条件設定手段を有している。よって、光ディスクのラベル面から文字情報を認識し、光ディスクの種類を判別して光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定することにより、従来光ディスクの種類判別にかかっていた時間を短縮して、アクセス時間を早めて手軽に使える光ディスクドライブシステムを実現できる。
【0007】
また、駆動条件設定手段は、光ディスク判別装置によって光ディスクの種類を判別された光ディスクに対して、光ディスクドライブ手段を駆動するための優先順位の付いた複数の駆動条件を出力する。よって、可能性の高い順に優先順位を付けた駆動条件を出力することにより、光ディスク判別のための時間を短縮することができる。また、複数の駆動条件を出力することにより、最初の条件でID部読取り時にエラーが発生した場合でも、続いて他の条件を試行することができるのでエラーを回避できる。
【0008】
更に、駆動条件設定手段は、複数の駆動条件を設定する際に、過去に設定された駆動条件の履歴を参照して複数の駆動条件に優先順位を設定する学習機能を持つことにより、光ディスク判別のための時間を短縮することができる。
【0009】
また、画像読取装置によって読取った画像を表示する画像表示装置を有することにより、あるいは文字認識装置によって認識された文字情報を表示する画像表示装置を有することにより、光ディスク挿入後直ちに、あるいは電源ONの前に装置内に残留していた光ディスクの種類を電源ON直後画像表示部に表示されたラベル面の画像によって光ディスクの種類を確認することができ、装置も小型化できる。
【0010】
更に、別の発明としての光ディスクドライバ装置は、波長の異なる光ディスクの情報記録面に対して記録再生を行う光ディスクドライブ手段と、光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取手段と、画像読取手段によって読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識手段と、文字認識手段により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために予め記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別手段と、光ディスク判別手段による判別結果に対応して、光ディスクドライブ手段の駆動条件を設定する駆動条件設定手段とを有している。このように本発明の光ディスクドライブ装置は、各手段を内蔵することによって、外付け装置を必要とせずに、挿入された光ディスクの種類を判別して、すみやかに駆動することができるようになる。
【0011】
また、画像読取手段は、光ディスクが装置内に挿入される前に光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取ることにより、文字認識や光ディスク判別を開始する時間を早めることができ、さらにアクセス時間が短縮されて操作性が向上する。
【0012】
更に、駆動条件設定手段は、光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、点灯する光源の種類、光源の出力、光ディスクの回転数、光ディスクの回転方式、トラックエラー検出方式、光ディスク記録面上に集光するスポットの収差補正手段の補正量、対物レンズに入射する光束の開口径を変更する開口径変換手段における対物レンズに入射する光束の開口径の駆動条件を設定する。よって、誤りなくID情報を読取ることができるのでアクセス時間を短縮でき、回転状態に立ち上げることができるので回転が安定するまでの待ち時間を短縮できる。
【0013】
また、別の発明としての光ディスクドライブ装置の駆動方法によれば、光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取工程と、読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識工程と、文字認識工程により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別工程と、光ディスク判別工程からの判別結果に対応して、光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する工程とを有することに特徴がある。よって、これまで光ディスクの種類判別にかかっていた時間を短縮して、アクセス時間を早めて手軽に使える光ディスクドライブ装置の駆動方法を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光ディスクドライバ装置は、異なる波長の光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取り、読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識して得られた文字情報と光ディスクの種類を判別するために記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別し、判別結果に対応して光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する。よって、これまで光ディスクの種類判別にかかっていた時間を短縮して、アクセス時間を早めて手軽に使える光ディスクドライブ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一実施の形態例に係る光ディスクドライブシステムのシステム構成を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態例の光ディスクドライブシステム100は、主に、光ディスクドライブ装置10、画像読取装置20、画像表示装置30、画像認識装置40及び光ディスク判別装置50を含んでシステムを構築している。光ディスクドライブ装置10は、挿入された光ディスク1とそれを回転するスピンドルモータ11と、光ピックアップ12とを含んで構成されている。また、画像読取装置20は、反射ミラー21、レンズ22、2次元撮像素子23及び画像転送部24を含んで構成されている。
【0016】
このようなシステム構成を有する本実施の形態例の光ディスクドライブシステムによれば、図2に示すように光ディスク1の種類や内容などの文字がラベル面3に記載されている光ディスク1のラベル面3の文字情報2の画像は、反射ミラー21、レンズ22を介して2次元撮像素子23上に集光されて2次元撮像素子23により電気信号に変換されて画像転送部24から外部の画像表示装置30へ転送される。画像転送部24は、ラベル面3の文字情報2の画像を画像表示装置30と同時に文字認識装置40へ転送する。文字認識装置40は、ソフトウェア又はハードウェアによって構成され、ラベル面3の文字情報2の画像から文字情報を抽出して大きさや文字列の傾きなど認識する。よって、画像表示装置30の画像を文字列の傾きに対応して例えば矢印A方向に回転させて、表示画像を操作者に正対する向きに修正することも可能である。そして、文字認識装置40によって得られた文字情報は、更に光ディスク判別装置50へ転送される。光ディスク判別装置50は、ソフトウェア又はハードウェアによって構成され、認識した文字情報を予め記憶している文字情報と比較することによって、光ディスク1の種類を判別する。例えば光ディスク1のようなラベル面3には、“CD−R”または“compact disc Recordable”などの一連の文字の組合せやロゴなどの文字情報2の画像が記載されているので、挿入された光ディスク1がCD−Rであることが判別される。なお、ラベル面3から読取ることができる光ディスクの判別情報は、CD/DVD/Blu−ray/HD−DVDの種類、ROM/R/RW/RAMの種類、記録速度、容量、メーカー、記録内容などである。そして、得られた光ディスク1の判別情報は、光ディスクドライブ装置10へ転送されて駆動条件を設定するために使われる。また、画像表示装置30に転送されて、光ディスクドライブ装置10に挿入されている光ディスク1の種類を文字情報として表示することも可能となる。
【0017】
このように光ディスクのラベル面から文字情報を認識し、光ディスクの種類を判別して光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定することによって、これまで光ディスクの種類判別にかかっていた時間を短縮して、アクセス時間を早めて手軽に使える光ディスクドライブシステムが実現できる。
【0018】
なお、ラベル面に有効な文字情報のない光ディスクの場合には、従来のように光ディスクの判別を行うしかないが、ラベル面に有効な文字情報のない光ディスクが装置に挿入される頻度は一般的に少ないので、操作者にとってはアクセス時間の早い手軽な装置となる。
【0019】
図3は従来の光ディスクドライブシステムの動作を示すフローチャートである。なお、3波長対応光ディスクドライブ装置における光ディスクの種類判別方法の比較である。
【0020】
同図において、先ず光ディスクが装置に挿入されると、CD光源を点灯させてCD条件で光ディスクのID部を読取る(S101)。ID部がエラーなく読取れれば(ステップS102;YES)、その内容に従ってその他の駆動条件を設定することにより、セッティングが完了し、記録再生が可能となる(ステップS103)。ID部読取り時にエラーが発生した時には(ステップS102;NO)、次にDVD光源を点灯してDVD条件でID部を読取る(ステップS104)。ID部がエラーなく読取れれば(ステップS105;YES)、その内容に従ってその他の駆動条件を設定することにより、セッティングが完了する(ステップS103)。エラーの場合には(ステップS105;NO)Blue光源を点灯してBlu−ray条件またはHD−DVD条件でID部を読取る(ステップS106)。ID部がエラーなく読取れれば(ステップS107;YES)、その内容に従ってその他の駆動条件を設定することにより、セッティングが完了する(ステップS103)。エラーの場合、つまり全ての条件でID部読取りが不可能な時には(ステップS107;NO)、駆動不可能な光ディスクと判断して当該光ディスクを排出する(ステップS108)。なお、各条件の順番はこのようでなくてもかまわないが、いずれにしても多くの光ディスクの種類に対応する従来の光ディスクドライブ装置では、光ディスクの判別に時間がかかっていた。
【0021】
そこで、本発明の光ディスクドライブシステムの動作を示すフローチャートである図4に示すように、本発明では挿入された光ディスクのラベル面の画像を読取り(ステップS201)、ラベル面に書かれた文字やロゴを文字認識し(ステップS202)、予め記憶している文字情報と比較することによって光ディスク判別を行う(ステップS203)。この判別結果による駆動条件でID部を読取る(ステップS204)。ID部の読取りに失敗したときには(ステップS205;NO)、失敗した駆動条件を除いて全ての駆動条件を試すまでこれを繰返す(ステップS206;NO、ステップS203〜S205)。ID部の読取りに成功したときには(ステップ205;YES)、セッティングが完了する(ステップS208)。全ての駆動条件を試した結果ID部の読取りに全て成功しなかった場合には(ステップS106;NO)、駆動不可能な光ディスクと判断して当該光ディスクを排出する(ステップS207)。
【0022】
図5は本実施の形態例の光ディスクドライブシステムにおける一連の光ディスク判別処理を示すフローチャートである。同図において、ラベル面の文字情報と記憶している文字情報を比較し(ステップS301)、比較した結果両者が一致しない時には(ステップS302;NO)、従来例のようにCD/DVD/Blue条件を逐次試すようなデフォルト条件が設定される(ステップS304)。一方、ROMのように、ラベル面と内容が一致している時には(ステップS302;YES)、図4に示す光ディスクの種別の判別処理を行う(ステップS304)。判別結果による駆動条件でID部を読取る(ステップS305)。ID部の読取りに失敗したときには(ステップS306;NO)、失敗した駆動条件を除いて全ての駆動条件を試すまでこれを繰返す(ステップS307;NO、ステップS301〜S305)。ID部の読取りに成功したときには(ステップ305;YES)、セッティングが完了する(ステップS308)。全ての駆動条件を試した結果ID部の読取りに全て成功しなかった場合には(ステップS306;NO、ステップ307;YES)、駆動不可能な光ディスクと判断して当該光ディスクを排出する(ステップS309)。
【0023】
なお、ラベル面が白紙などのブランクディスクでは、認識すべき文字情報が無いためにデフォルト条件を設定することになる。また、ブランクディスクのラベル面にROMなどのラベル面をコピーした光ディスクでは、文字情報と内容が異なる場合、例えばラベル面には「compact disc」と書かれているが中身はcompact disc recordableである場合ではID部読取り時にエラーが発生する不具合があった。そこで、ブランクディスクの場合には、例えば優先順位1がCD−R、優先順位2がCD−RW、優先順位3がDVD−R、優先順位4がDVD−RWのように可能性の高い順に優先順位を付けて複数の駆動条件を出力することにより、光ディスク判別のための時間を短縮することができる。また、ラベル面からROMであると判別した場合にも、優先順位1がROM、優先順位2がR、優先順位3がRWというように優先順位を付けた複数の駆動条件を出力することにより、たとえ優先順位1の条件でID部読取り時にエラーが発生した場合でも、続けて優先順位2、3の条件を試行することにより時間を短縮して、エラーを回避できる。例えばブランクディスクの場合のように、優先順位1がCD−R、優先順位2がCD−RW、優先順位3がDVD−R、優先順位4がDVD−RWとしたときは、ユーザがどのブランクディスクを頻繁に使用するかによって、優先順位を変えたほうが光ディスク判別のための時間を短縮することができる。また、通常のROMであっても光ディスク判別の手がかりとなる文字情報がラベル面に記載されていないディスクなども、図5のステップS303でデフォルト条件を設定する際には、過去に設定された駆動条件の履歴を記憶してそれを参照することにより常に最適なデフォルト条件を設定することができる。更に、RやRWのブランクディスクのラベル面にROMなどのラベル面をコピーした光ディスクを頻繁に使用するユーザについては、図5のステップS304で判別する際に、ROMの文字情報が合致した場合でも、RやRWを優先させたほうが光ディスク判別処理のための時間を短縮することができる。このように、光ディスク判別時やデフォルト条件の設定時に過去に設定された駆動条件の履歴を記憶してこの過去の履歴を参照するような学習機能を光ディスク判別機能に持たせることによって、光ディスク判別のための時間を短縮することができる。
【0024】
図6は別の発明の第1の実施の形態例に係る光ディスクドライブ装置の構成を示す図であり、同図の(a)は外観斜視図、同図の(b)はブロック図である。同図に示す本実施の形態例の光ディスクドライブ装置10は、図1の画像読取装置20、画像表示装置30、画像認識装置40及び光ディスク判別装置50を光ディスクドライブ装置に内蔵したものである。同図の(b)に示すように、本実施の形態例の光ディスクドライブ装置10は、挿入された光ディスク1とそれを回転するスピンドルモータ11と、光ピックアップ12と、レンズ13と、2次元撮像素子14と、画像転送部15と、画像認識部16と、光ディスク判別部17と、画像表示部18とを含んで構成されている。これらを内蔵することによって、光ディスクドライブ装置10は外付け装置を必要とせずに小型化でき、挿入された光ディスク1の種類を判別して、すみやかに駆動することができる。なお、画像表示部18の一例として、図7に示すように、文字情報表示用画像表示部18−1や画像表示用画像表示部18−2であってもよく、これらのいずれか1つでも良い。これらにより、使用者は、光ディスク挿入後直ちに、あるいは電源ONの前に装置内に残留していた光ディスクの種類を電源ON直後画像表示部に表示されたラベル面の画像によって光ディスクの種類を確認することができ、装置も小型化できる。もちろん、光ディスクの記録面に記録された情報を表示させても良い。
【0025】
図8は別の発明の第2の実施の形態例に係る光ディスクドライブ装置の構成を示す図であり、同図の(a)は外観斜視図、同図の(b)は部分断面図である。同図に示す本実施の形態例の光ディスクドライブ装置60は、光ディスクが装置内に挿入される前に、光ディスク1のラベル面3の文字情報2の画像を読み取る画像読取部61を具備している。光ディスク1がトレー62に載せられると、光ディスク1のラベル面3の文字情報2の画像は、図8の(b)に示すようにレンズ63及び2次元撮像素子64で構成される画像読取部61によって読取られる。このように、光ディスク1が装置内に挿入される前にラベル面3の文字情報2の画像を読み取るので、文字認識や光ディスク判別を開始する時間を早めることができ、更にアクセス時間が短縮されて操作性が向上する。よって、波長の異なる複数の光源を持つ光ディスクドライブ装置は多くの種類の光ディスクを扱うことになり、本発明は特に効果がある。
【0026】
図9は光ピックアップ部の構成を示すブロック図である。同図に示す光ピックアップ部900におけるホログラムユニット901は、青色レーザ光源901−1と、光ディスクからの反射光を回折して必要な信号を得るためのホログラム素子901−2、各種信号を生成するための複数領域で構成された受光素子901−3を有している。また、ホログラムユニット901からの発散光束は、コリメートレンズ902で平行光となり、ダイクロイックプリズム903、904及び収差補正素子905を透過して、開口素子906で開口径を制限された後に対物レンズ907により光ディスク1のある記録層面上に集光する。対物レンズ907は青色レーザ光束が光ディスク1の記録層面の基板厚に対して、記録面上にスポットを集光させるような設計になっているものとする。光ディスク1からの反射光は再びホログラムユニット901に入射して、受光素子901−3によりトラック信号、フォーカス信号、情報信号などを生成する。収差補正素子905、開口素子906、対物レンズ907は図示しないアクチェータにより、トラック信号やフォーカス信号に従ってサーボがかけられて常にディスクの動きに追従して光ディスク1の記録面上に回折限界のスポットを集光する。同様に、ホログラムユニット908、909は、それぞれ660nmのレーザ光源908−1、785nmのレーザ光源909−1を有している。これら3つの波長の異なる光源を持つホログラムユニット901、908、909は、挿入された光ディスク1の種類に対応して駆動される。つまり、ホログラムユニット901はblu−ray又はHD−DVD、ホログラムユニット908はDVD、ホログラムユニット909はCDなどのように対応している。このような光ディスクドライブ装置では、多くの光ディスクが挿入される可能性があるが、光ディスク判別手段910の情報に従って、どのホログラムユニットを駆動するかをすみやかに決めることができるためアクセス時間を短縮できる。
【0027】
また、例えば同じDVDでもROM/R/RWなどの種類によりディスク反射率が異なるため、ID情報などを再生するための最適な光源出力がそれぞれ異なる。しかし、光ディスク判別手段910から得られるこれらの種類に従って最適な光源出力を予め設定しておくことにより、誤りなくID情報を読取ることができるのでアクセス時間を短縮できる。
【0028】
更に、光ディスクドライブ装置は、光ディスクを記録再生する場合、光ディスクの倍速仕様の種類に対応してその最適回転数やCAV、CLVなどの回転方式が決まっている。従って、光ディスクの倍速仕様の種類が判別されるとただちに、スピンドルモータ911をこれらの回転状態に立ち上げることによってスピンドルモータ911の回転が安定するまでの待ち時間を短縮できる。
【0029】
また、図9の収差補正素子905は、光ディスク判別手段910からの指示によって駆動ドライバ912の駆動条件が設定されて、収差補正素子905を透過する波面に、基板厚の違いによって発生する球面収差を補正するような球面収差を付加する。収差補正素子905は、公知の液晶素子などで構成される。また、このような素子を用いることによって、球面収差補正のみならず、対物レンズや光学素子に各波長毎の収差が存在する場合には、光源に対応してコマ収差や非点収差を補正するような構成も想定できる。光ディスク判別手段からの指示によりID情報部へアクセスする前に、基板厚の違いや対物レンズ、光学素子の各波長毎の収差を適切に補正するので、誤りなくID情報を読取ることができ、アクセス時間を短縮できる。
【0030】
ここで、Blu−ray/HD−DVD/DVD/CDは最適な対物レンズの開口径が異なるため、これらの種類に対応して対物レンズの開口径を変える必要がある。そこで、図9の開口素子906は、光ディスク判別手段910からの指示によって駆動ドライバ913の駆動条件が設定されて対物レンズ907を透過する光束の直径を制限する。開口素子906は、公知の液晶素子などで構成される。液晶素子の面には直径の異なる電極が形成されて、例えばBlu−rayでは集光スポットのNA(開口数)が0.85、HD−DVDでは0.65、DVDでは0.65、CDでは0.50相当の透過開口部となるように駆動される。光ディスクのこれらの種類に対応して、最適な対物レンズの開口径を設定できるので、集光スポット径を最適にして誤りなくID情報を読取ることができ、アクセス時間を短縮できる。
【0031】
なお、光ディスクの種類が、ROM/R/RW/RAMなどによって最適なトラックエラー検出方式が異なる。例えばROMではDPD検出方式、RやRWではDPP検出方式が望ましい。
【0032】
図10は図9のホログラムユニットの構成の一例を示す図である。同図の(a)に示すように、光源1001からの光束は、3ビーム用のグレーティング1002でメインビーム(0次光)と2つのサブビーム(±1次光)の3ビームに分割されて、ディスク面に集光、反射して再びホログラムユニットへ戻ってくる。ホログラム1003の面において同図の(b)における実線の円がメインビームの戻り光、点線の円がサブビームの戻り光とする。ホログラム1003により、領域Xに入射した戻り光のうち、メインビームは受光素子A,Bの境界線上に回折されて、フォーカス信号を生成する。2つのサブビームはそれぞれ受光素子E,Fへと回折される。同様に、領域Yに入射した戻り光のうち、メインビームは受光素子Cへ、2つのサブビームはそれぞれ受光素子G,Hへと回折される。更に、同様に、領域Zに入射した戻り光のうち、メインビームは受光素子Dへ、2つのサブビームはそれぞれ受光素子I,Jへと回折される。ここで、戻り光のトラックパターンが同図の(b)のように左右に、つまり光ディスクの半径方向に発生すると、各トラック信号は以下のように演算することによって得られる。
【0033】
DPD=(C、D信号の位相差を演算するDPD回路によって得られる) ・・・(1)
DPP=(C−D)−k((G+H)−(I+J))
k:定数 ・・・(2)
【0034】
図10の(b)に示すように、マトリクス演算回路1006はこれらのDPD回路や定数kを持ったマトリクス演算回路である。また、光ディスク判別手段1007は、光ディスクの種類(ROMかR、RW)に対応してマトリクス演算回路1006が出力するトラックエラー信号の種類を切替える。ROM/R/RW/RAMなどの光ディスクの種類によって、光ディスク判別手段が最適なトラックエラー検出方式を設定するので、トラックはずれやトラックオフセットのないサーボ状態が実現されて、誤りなくID情報を読取ることができるのでアクセス時間を短縮できる。
【0035】
なお、Blu−rayとHD−DVDは光源波長が同一であるが、基板厚がそれぞれ0.1mm、0.6mmと異なるためにディスク面集光スポットの球面収差補正が必要である。また、Blu−ray/HD−DVDやDVDは記録層のL0層の他にL1,L2,L3層の異なる記録層を持つタイプもあり、L0層以外の記録層に記録再生する場合にも球面収差補正が必要である。
【0036】
なお、本発明は上記各実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態例に係る光ディスクドライブシステムのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】光ディスクのラベル面を示す図である。
【図3】従来の光ディスクドライブシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の光ディスクドライブシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態例の光ディスクドライブシステムにおける一連の光ディスク判別処理を示すフローチャートである。
【図6】別の発明の第1の実施の形態例に係る光ディスクドライブ装置の構成を示す図である。
【図7】本実施の形態例の光ディスクドライブ装置の画像表示部の一例を示す図である。
【図8】別の発明の第2の実施の形態例に係る光ディスクドライブ装置の構成を示す図である。
【図9】光ピックアップ部の構成を示すブロック図である。
【図10】図9のホログラムユニットの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1;光ディスク、10;光ディスクドライブ装置、
11;スピンドルモータ、12;光ピックアップ、
13,22;レンズ、14,23;2次元撮像素子、
15,24;画像転送部、16;画像認識部、
17;光ディスク判定部、18;画像表示部、
20;画像読取装置、21;反射ミラー、30;画像表示装置、
40;画像認識装置、50;光ディスク判別装置、
100;光ディスクドライバシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる光ディスクの情報記録面に対して記録再生を行う光ディスクドライブ装置と、
光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取装置と、
該画像読取装置によって読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識装置と、
該文字認識装置により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために予め記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別装置と
を含んで構築することを特徴とする光ディスクドライブシステム。
【請求項2】
前記光ディスクドライブ装置は、前記光ディスク判別装置による判別結果に対応して、前記光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する駆動条件設定手段を有する請求項1記載の光ディスクドライブシステム。
【請求項3】
前記駆動条件設定手段は、前記光ディスク判別装置によって光ディスクの種類を判別された光ディスクに対して、前記光ディスクドライブ手段を駆動するための優先順位の付いた複数の駆動条件を出力する請求項2記載の光ディスクドライブシステム。
【請求項4】
前記駆動条件設定手段は、複数の駆動条件を設定する際に、過去に設定された駆動条件の履歴を参照して複数の駆動条件に優先順位を設定する学習機能を持つ請求項2又は3に記載の光ディスクドライブシステム。
【請求項5】
前記画像読取装置によって読取った画像を表示する画像表示装置を有する請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスクドライブシステム。
【請求項6】
前記文字認識装置によって認識された文字情報を表示する画像表示装置を有する請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスクドライブシステム。
【請求項7】
波長の異なる光ディスクの情報記録面に対して記録再生を行う光ディスクドライブ手段と、光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段によって読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識手段と、該文字認識手段により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために予め記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別手段と、該光ディスク判別手段による判別結果に対応して、光ディスクドライブ手段の駆動条件を設定する駆動条件設定手段とを有することを特徴とする光ディスクドライブ装置。
【請求項8】
前記画像読取手段は、光ディスクが装置内に挿入される前に光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る請求項7記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項9】
前記光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、点灯する光源の種類を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項10】
前記光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、光源の出力を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項11】
前記光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、光ディスクの回転数を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項12】
前記光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、光ディスクの回転方式を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項13】
前記光ディスク判別手段からの判別結果に対応して、トラックエラー検出方式を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項14】
光ディスク記録面上に集光するスポットの収差補正手段を有し、前記光ディスク判別手段からの判断結果に対応して、前記収差補正手段の補正量を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項15】
対物レンズに入射する光束の開口径を変更する開口径変換手段を有し、前記光ディスク判別手段からの判断結果に対応して、対物レンズに入射する光束の開口径を設定する請求項7又は8に記載の光ディスクドライブ装置。
【請求項16】
波長の異なる光ディスクの情報記録面に対して記録再生を行う光ディスクドライブ装置の駆動方法において、
光ディスクのラベル印刷面の画像を読み取る画像読取工程と、読み取られたラベル印刷面の画像から文字情報を抽出して文字認識する文字認識工程と、該文字認識工程により認識された文字情報と光ディスクの種類を判別するために記憶している文字情報とを比較することにより光ディスクの種類を判別する光ディスク判別工程と、該光ディスク判別工程からの判別結果に対応して、光ディスクドライブ装置の駆動条件を設定する駆動条件設定工程とを有することを特徴とする光ディスクドライブ装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−252621(P2006−252621A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64771(P2005−64771)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】