光ディスク描画方法および光ディスク装置並びに光ディスク記録媒体
【課題】データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく該光ディスクに描画を行えるようにする。
【解決手段】光ディスク12にはデータ記録層36と描画層44が積層配置されている。この光ディスク12を挟んでその両面側に光ピックアップ16,18をそれぞれ配置する。光ピックアップ16はデータ記録層36にデータ記録を行う。光ピックアップ18は描画層44に可視画像の形成を行う。光ピックアップ18で描画層44に可視画像の形成動作を開始する前に、光ピックアップ16で光ディスク12から所定の回転基準位置104を検出する。この検出された回転基準位置104に対して可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて光ピックアップ18で該可視画像を描画層44に形成する。
【解決手段】光ディスク12にはデータ記録層36と描画層44が積層配置されている。この光ディスク12を挟んでその両面側に光ピックアップ16,18をそれぞれ配置する。光ピックアップ16はデータ記録層36にデータ記録を行う。光ピックアップ18は描画層44に可視画像の形成を行う。光ピックアップ18で描画層44に可視画像の形成動作を開始する前に、光ピックアップ16で光ディスク12から所定の回転基準位置104を検出する。この検出された回転基準位置104に対して可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて光ピックアップ18で該可視画像を描画層44に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスクの盤面に絵、文字等の可視画像の形成(描画)を行うための光ディスク描画方法および光ディスク装置並びにこの光ディスク描画方法の実施に使用することができる光ディスク記録媒体に関し、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく該光ディスクに描画を行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
記録可能型CD、記録可能型DVD等の光ディスクの盤面に感熱層、感光層等による描画層を形成し、該光ディスクのデータ記録層にデータ記録を行う光ディスク記録装置を光ディスク描画装置として兼用して、光ピックアップから、画像データに応じて変調したレーザ光を前記描画層に照射して、該描画層に描画を行う技術が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−203321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の描画方法は、データ記録時の光ディスクの配置に対し、描画する際には該光ディスクを光ディスク装置から一旦排出し、その表裏を反転して光ディスク装置に再挿入しなければならないので操作が面倒であった。
【0005】
この発明は、上記従来技術における欠点を解決して、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく該光ディスクに描画を行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の光ディスク描画方法は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時(別々の時)に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置を用いて、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成するものである。
【0007】
この発明の光ディスク描画方法によれば、光ディスクを挟んでその上下に光ピックアップを配置したので、一方の光ピックアップでデータ記録層にデータ記録を行い、他方の光ピックアップで描画層に描画を行うことにより、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく描画を行うことができる。また、描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め一方の光ピックアップで光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて他方の光ピックアップで該可視画像を描画層に形成するようにしたので、光ディスクの所定の回転方向位置を基準とした向きに該可視画像を形成することができる。したがって、例えば、光ディスクに描画した後、該光ディスクを光ディスク装置から排出し、その後該光ディスクを該光ディスク装置に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合に、先に形成された画像と向きを合わせてまたはほぼ合わせて該追加の描画を行うことができる。また、追加の描画でなくても、回転基準位置に合わせてレーベル面の一部に予め印刷された文字や図形と向きを合わせてまたはほぼ合わせて描画を行うことができる。また、この発明によれば、光ディスクのデータ面側から回転基準位置を検出するので、光ディスクの描画面側には回転基準位置の情報を記録する必要がなくなり、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0008】
この発明の光ディスク描画方法は、前記検出された回転基準位置に対し所定の位置関係にある回転方向位置から前記可視画像の形成動作を開始することができる。その方法としては、例えば前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングに隣接して前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングからまたは該発生されるFGパルスの発生タイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始することができる。
【0009】
また、別の方法としては、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングと、前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングとの時間差を検出し、その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを前記時間差で補正して求められる該回転基準位置のタイミングからまたは該求められる該回転基準位置のタイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始することができる。
【0010】
この発明の光ディスク描画方法において、前記回転基準位置は、例えば、前記データ記録層のデータ記録フォーマットがCDフォーマットの場合はATIP、サブコードのいずれかの位置情報で定義し、該データ記録層のデータ記録フォーマットがDVDフォーマットの場合はADIP、ランドプリピット、ECCブロックのいずれかの位置情報で定義することができる。
【0011】
この発明の光ディスク描画方法は、前記一方の光ピックアップで前記光ディスクの前記データ記録層から所定の描画可能ディスク識別情報を検出したことを条件に、該光ディスクの前記描画層に対する前記可視画像の形成を許可することができる。この場合、描画可能ディスク識別情報は例えばサブコード、メインデータ、CRCエラーの特定発生パターン、ATIP、ADIP等で記述することができる。これによれば、描画可能ディスク識別情報を光ディスクのデータ記録層に描画可能ディスク識別情報があるので、光ディスクの描画面側には描画可能ディスク識別情報を記録する必要がなく、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0012】
また、この発明の光ディスク描画方法は、前記一方の光ピックアップで、前記光ディスクの前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に形成された描画可能ディスク識別マークを検出したことを条件に、該光ディスクの該描画層に対する前記可視画像の形成を許可することができる。これによれば、描画可能ディスク識別マークをデータ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層を形成するので、光ディスクの描画面側には描画可能ディスク識別マークを形成する必要がなく、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0013】
この発明の光ディスク装置は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置であって、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成するものである。
【0014】
この発明の光ディスク記録媒体は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクにおいて、前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に、該ディスク基板表面に対向配置される光ピックアップで検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成してなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《実施の形態1》
この発明の実施の形態1を説明する。図1はこの発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示す。光ディスク装置10は、光ディスク12を挟んでその両面側に光ピックアップ16,18を配置した構成を有しており、光ディスク12の種類に応じて次のモードで動作することができるものである。
(a)光ディスク12が片面ディスクの場合:光ピックアップ16または18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)
(b)光ディスク12が両面ディスクの場合:光ピックアップ16および18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)(光ピックアップ16、18は別々の時に動作)
(c)光ディスク12が描画層付片面ディスクの場合:光ピックアップ16でデータ記録またはデータ再生、光ピックアップ18で描画(光ピックアップ16、18は別々の時に動作)
【0016】
この実施の形態では、光ディスク12として描画層付片面ディスクを使用し、光ピックアップ16でデータ記録を行い、光ピックアップ18で描画を行う場合について説明する。光ディスク12にはデータの記録および再生を行うデータ記録層と、可視画像の形成を行う描画層が厚み方向の互いに異なる位置に積層配置されている。描画層はレーザ光の照射により可視光特性が変化するもので、感熱材料、感光材料等で構成されている。この描画層は例えばデータ記録層と同じ色素材料で構成することができる。データ記録層にはトラックとしてウォブルグルーブが形成されている。ここでは、光ディスク12の下面側にデータ記録層が配置され上面側に描画層が配置されているものとし、光ディスク12の下面12aをデータ面、上面12bをレーベル面と言うものとする。データ記録層にはディスク周方向のデータ密度がディスク径方向位置にかかわらず一定になるように記録データが記録される。また、描画層には、1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定になるように描画が行われるものとする。
【0017】
光ディスク12はスピンドルモータ14で回転駆動される。スピンドルサーボ15はシステム制御部90(マイコン)の指令に基づきスピンドルモータ14の回転を制御する。スピンドルモータ14は、データ記録時はCLV(線速度一定)制御またはCAV(回転数一定)制御され、描画時はCAV制御される。スピンドルモータ14からはFGパルスが1回転につき所定パルス数ずつ等角度間隔で出力される。FGカウンタ19はFGパルスをカウントする。
【0018】
光ディスク12を挟んでその両側には光ピックアップ16,18がそれぞれ配置されている。下側の光ピックアップ16はデータ記録層に対しデータ記録およびデータ再生を行う。上側の光ピックアップ18は描画層に対し描画を行う。下側の光ピックアップ16は、光ディスク12の面と平行でかつディスク径方向に沿って(ディスク中心軸方向に向かって)固定配置された送りねじ20に支持され、該送りねじ20をステッピングモータ24でそのねじ軸周り方向に回転駆動することによりディスク径方向に移送される。上側の光ピックアップ18は、光ディスク12の面と平行でかつディスク径方向に沿って(ディスク中心軸方向に向かって)固定配置された送りねじ22に支持され、該送りねじ22をステッピングモータ26でそのねじ軸周り方向に駆動することによりディスク径方向に移送される。これら両光ピックアップ16,18のディスク径方向の移送はそれぞれ個別独立に行われる。なお、データ記録および描画とも光ディスク12の内周側から外周側に向けて実行される。
【0019】
光ピックアップ16,18のディスク周方向位置は固定であり、ここではディスク周方向の同一位置に光ピックアップ16,18が配置されている(すなわち、送りねじ20,22がディスク周方向の同じ位置で上下に平行に配置されている)ものとする。ただし、光ピックアップ16,18をディスク周方向に相互にずらして配置する(送りねじ20,22をディスク周方向に相互に角度を持たせて配置する)こともできる。いずれにしても、光ピックアップ16,18のディスク周方向の位置関係は相互に固定である。
【0020】
光ディスク12の層構造およびこの層構造に対する光ピックアップ16,18のレーザ光の配置例を図2、図3、図4を参照して説明する。なお、後述する説明の便宜上、図2、図3、図4の相互に対応する箇所の一部には同一を符号を用いる。
【0021】
〈層構造およびレーザ光配置例1:図2〉
図2の例は、光ピックアップ16,18を共にDVD記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10は両面の連続記録および連続再生が可能なDVD記録再生装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型片面一層DVD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12は0.6mm厚のポリカーボネート基板32のグルーブ34が形成されている表面にデータ記録層36としての色素層および反射層38を順次積層形成した第1基板40と、グルーブを有しない0.6mm厚のポリカーボネート基板42の表面に描画層44としての色素層および反射層46を順次積層形成した第2基板48を具え、これら第1基板40と第2基板48とを積層膜どうしを対向させて接着層50で相互に貼り合わせて一体化し、全体を1.2mm厚に構成したものである。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるDVD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるDVD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0022】
〈層構造およびレーザ光配置例2:図3〉
図3の例は、下側の光ピックアップ16をCD記録・再生兼用光ピックアップで構成し、上側の光ピックアップ18をBD(ブルーレイ・ディスク)記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10はCDの記録再生とBDの記録再生を行う兼用装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型CD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12は1.1mm厚のポリカーボネート基板56のグルーブ34が形成されている表面にデータ記録層36としての色素層、反射層62、描画層44としての色素層、0.1mm厚の保護層66を順次積層形成して、全体を1.2mm厚に構成したものである。データ記録層36の位置は標準のCD−Rに対し0.1mmずれているが、CD規格では透明基板厚は1.2±0.1mmと定められているので問題なく記録、再生することができる。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるCD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるBD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0023】
〈層構造およびレーザ光配置例3:図4〉
図4の例は、下側の光ピックアップ16をBD記録・再生兼用光ピックアップで構成し、上側の光ピックアップ18をCD記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10は図3の例と同じくCDの記録再生とBDの記録再生を行う兼用装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型BD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12はグルーブ34が形成されている0.1mm厚のポリカーボネート保護シート76を使用し、該保護シート76のグルーブ34が形成されている表面に、データ記録層36としての色素層、反射層72、描画層44としての色素層を順次積層し、該保護シート76の描画層44に対向して、グルーブを有しない1.1mm厚のポリカーボネート基板68を配置し、両者を接着層69で相互に貼り合わせて一体化し、全体を1.2mm厚に構成したものである。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるBD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるCD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0024】
図1において、モータドライバ80、フォーカスサーボ82、トラッキングサーボ84、レーザドライバ86等は2台の光ピックアップ16,18で切り換えて使用される。セレクトスイッチ88はこの切り換えを行うもので、システム制御部90の指令に基づき、光ピックアップ16を動作させるときはセレクトスイッチ88のスイッチ群88a〜88gを全て接点B側に接続し、光ピックアップ18を動作させるときは同スイッチ群88a〜88gを全て接点A側に接続する。
【0025】
モータドライバ80はステッピングモータ24,26に駆動パルスを印加して、その駆動パルス数に応じた移動量だけ光ピックアップ16,18をディスク径方向に移送する。駆動パルスカウンタ87は描画時にステッピングモータ26の駆動パルスのパルス数をその駆動方向に応じてアップ/ダウンカウントして、光ピックアップ18の径方向移動量を計測する。なお、FGカウンタ19、駆動パルスカウンタ87とも、システム制御部90内に設定されたソフトウェアによるカウンタで実現することもできる。フォーカスサーボ82は光ピックアップ16,18のフォーカス制御を行う。トラッキングサーボ84は光ピックアップ16,18のトラッキング制御を行う。なお、描画時は、光ディスク12の描画層44にトラック(グルーブ)がなく光ピックアップ18はトラッキング制御ができないので、トラッキングサーボ84による光ピックアップ18のトラッキング制御はオフされ、代わりに光ディスク12の回転に同期したステッピングモータ26の駆動により光ピックアップ18をディスク径方向に順次移送する。このとき光ピックアップ18のディスク径方向位置は、光ピックアップ18の内周側原点位置(例えば光ピックアップ18のディスク内周方向への移動がストッパで機械的に停止される位置)からのステッピングモータ26の駆動パルスのパルス数をその回転方向に応じて駆動パルスカウンタ87でアップ/ダウンカウントすることにより検出される。
【0026】
振動信号発生器92は描画時に振動信号を発生し、該振動信号を光ピックアップ18のトラッキングアクチュエータに供給して対物レンズ54(図2、図3、図4)を振動させて、レーザ光30を光ディスク12の径方向に微小振動させる。この振動動作によりレーザ光30は光ディスク12の描画層44を蛇行しながらディスク回転に伴ってディスク周方向に移動し、同一径方向位置でレーザ光30を複数回数ずつ周回させながら光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を行うことにより、径方向に隙間の少ない画像を形成することができる。
【0027】
レーザドライバ86は光ピックアップ16,18内のレーザダイオード(図示せず)を駆動する。ALPC(Automatic Laser Power Control)回路94は光ピックアップ16,18から出射するレーザ光28,30のパワーをシステム制御部90で指令された値に制御する。
【0028】
エンコーダ96はデータ記録時には記録データを所定のフォーマットにエンコードする。レーザドライバ86はこのエンコードされた記録データに応じて光ピックアップ16から出射するレーザ光28を変調し、該記録データを光ディスク12のデータ記録層36にピットとして記録する。エンコーダ96は描画時には、画像データを構成する各画素の階調データに応じてデューティが変化するパルス信号(描画パルス)を生成する。レーザドライバ86はこのデューティが変化するパルス信号に応じて光ピックアップ18から出射するレーザ光30を変調し、光ディスク12の描画層44の可視光特性を変化させる。描画された1つの画素は人の目には1つの点(ドット)として認識され、また各ドットのデューティの違いは人の目には描画の濃度の違いとして感じられる(デューティが高いほど濃い描画として感じられる)ので、これによりモノクロ多階調による描画が実現される。
【0029】
ホスト機器(ホストコンピュータ)100は、データ記録時は記録データを、描画時は画像データを光ディスク装置10に送信する。送信された記録データまたは画像データは、光ディスク装置10のインタフェース102で受信され、バッファメモリ98に一旦蓄えられられた後、該バッファメモリ98から読み出されエンコーダ96に供給されて前述したエンコード処理がなされてデータ記録または描画に供される。データ再生時は、デコーダ(図示せず)で再生されたデータはインタフェース102を介してホスト機器100に転送される。ホスト機器100はまたデータ記録およびデータ再生時並びに描画時に、操作者による指令を光ディスク装置10に伝達する。この指令はインタフェース102を介してシステム制御部90に伝達される。システム制御部90は該指令に応じた指令を光ディスク装置10内の各回路に送り、該当する動作を実行させる。
【0030】
この実施の形態において光ディスク12の描画層44に描画する1枚の画像を構成する画素の配列について説明する。該画素の配列を図5に模式的に示す(前述した振動動作による蛇行は考慮せず)。符号12cは中心穴を示す。1枚の画像を構成する画素P11,P12,・・・,Pmnは光ディスク12の中心点を中心に同心円状に配列される。画素の径方向の配列間隔Δrは一定である。画素の周方向の配列間隔(角度)Δθは一定であり、したがって1周あたりの画素数は径方向位置にかかわらず一定である。光ディスク12の放射方向に延びる仮想的な半直線を画像基準角度線11として定める。各径方向位置で円状に配列された画素列は画像基準角度線11上の画素P11,P21,・・・,Pm1を先頭の画素としてそれぞれ円周方向に配列されている。
【0031】
レーザ光30による描画は光ディスク12をCAV(回転数一定)制御して内周側から順次外周側に向けて実行される。すなわち、描画は最内周の画素列の先頭の画素P11から開始され、P12,P13,・・・と順次進行し、最内周の最後の画素P1nが描画されたら光ピックアップ16をすぐに(または、前述のように同一径方向位置でレーザ光30を複数回(k回)周回させて描画する場合はその周回数kごとに)距離Δr外周方向に移動してP21,P22,・・・と進行していく。以後、1周(またはk周)ごとに画像基準角度線11の直前位置で光ピックアップ16を距離Δr外周方向に移動しながら描画を進行させ、最外周の最後の画素Pmnまで描画されたら全工程を終了し、光ディスク12の描画が完成する。このように描画は各周(またはk周)ごとに画像基準角度線11の直前位置で順次外周方向に移動しながら連続的に行われるので、m周回(またはk×m周回)で描画が完了する。この場合、光ディスク12をCAV制御で回転し、この光ディスク12の回転に同期して一定速度で各画素データ(階調データ)をエンコード{階調データに応じてデューティが変化する所定周期(1画素分の角度Δθに相当する周期)のパルス信号(描画パルス)を生成}して描画を行うので、先頭の画素P11が画像基準角度線11上に描画されるように先頭のタイミングを合わせさえすれば、後続する画素P12,P13,・・・,Pmnは自動的に所定位置に描画されることになる。
【0032】
描画時に描画用レーザ光30のレーザパワーは例えば図6に示すように変化する。すなわち、描画用レーザ光30は、描画パルスにより、1画素あたりの描画割り当て時間が1画素分の角度Δθに相当する時間で一定で、かつ該各画素の階調データに応じたデューティで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変化する。記録パワーで描画層44の可視光特性が変化して描画が行われる。また、再生パワー時にフォーカスエラーが検出され、該検出されるフォーカスエラーの基づきフォーカス制御が行われる。なお、図6では説明の簡略化のために1画素あたりの描画パルス数を1パルスとして示したが、実際には本出願人の出願に係る特開2004−355764公報に記載されているように、描画パルスをより周期の短いEFM信号で構成して、1画素あたり複数個のパルスで描画することができる。この場合、図6の各記録パワーの期間がEFM信号で変調される(短いパルスに分割される)ことになるが、EFM信号の平均のデューティは50%で一定であるので、1画素あたりの描画パルスのデューティ(分割パルスを合計したデューティ)は各画素の階調データに応じた値となり、これにより各画素の階調データに応じた描画が実現される。
【0033】
図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を説明する。光ディスク12としては例えば図2、図3、図4等の構造のものを使用し、そのデータ記録層36にデータ記録を行い、描画層44に描画を行うものとする。図7に制御フローを示す。この制御は、使用者によるデータ記録と描画の連続実行指示に基づき、はじめにデータ記録を行い、データ記録終了後に引き続き自動的に描画に移行するようにしたものである。ホスト機器100には予めデータ記録用の記録データと描画用の画像データが格納されている。光ディスク装置10に光ディスク12をデータ面12aを下側に向けレーベル面12bを上側に向けて挿入する(S1)。
【0034】
使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の連続実行を指示すると、はじめにセレクトスイッチ88が接点B側に接続される(S2)。これにより、下側の光ピックアップ16は能動状態となり、上側の光ピックアップ18は休止状態となる。続いてスピンドルモータ14が回転駆動され、フォーカスサーボ82がオンされ、光ピックアップ16から出射されるレーザ光28は再生パワーで光ディスク12のデータ記録層36に合焦制御される。さらに、トラッキングサーボ84がオンされ、レーザ光28はデータ記録層36のグルーブ34に追従制御される。スピンドルサーボ15はトラッキングエラー信号から抽出されるグルーブ34のウォブル成分が所定の周波数となるようにスピンドルモータ14を制御する。これにより、光ディスク12はレーザ光28の照射位置で所定の線速度となるように回転制御してデータ記録(CLV制御によるCLV記録)される。あるいは、スピンドルモータ14を所定回転数でCAV制御してデータ記録(CAV制御によるCLV記録)を行うこともできる。このCLV制御あるいはCAV制御された状態で光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報{ATIP(Absolute Time in Pre-groove)、ADIP(Address In Pre-groove)、ランドプリピット等}が読み取られ、ステッピングモータ24を駆動して、光ピックアップ16はディスク内周側の所定のデータ記録開始半径位置に位置決めされる。
【0035】
以上でデータ記録の準備が整うと、ホスト機器100から記録データの送出が開始される。この記録データはインタフェース102を介してバッファメモリ98に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98からCLV制御の一定ディスク線速度に対応した一定データ速度で、またはCAV制御による記録位置での線速度に応じた可変データ速度(トラッキングエラー信号から検出されるウォブル信号に同期したデータ速度であり、外周ほど速くなる)で順次読み出されてエンコーダ96でエンコードされ、ALPC回路94を介してレーザドライバ86を駆動する。これにより、光ピックアップ16からは記録データで再生パワーと記録パワーの2値に変調されたレーザ光28が出射され、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録が開始される(S3)。
【0036】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S4)、自動的に描画層44に対する描画動作に移行する(S5、S6、・・・)。すなわち、最初にセレクトスイッチ88を接点B側に接続したまま(光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82およびトラッキングサーボ84はオン状態)、スピンドルモータ14をCLV制御またはCAV制御で回転駆動して、光ピックアップ16でデータ記録層36から回転基準位置として予め定められた位置を検出する。
【0037】
図8は回転基準位置の設定例を示す。この図はデータ記録層36のグルーブ34に記録されたATIP(CDフォーマットの場合)あるいはADIP(DVD+R(W)フォーマットの場合)による位置情報(セクタ番号)を模式的に示したものである。この例では、セクタ番号を便宜的に簡単な整数で表しており、セクタ“0”とセクタ“1”の境界位置を回転基準位置104として定めている。なお、第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクの場合はATIPによる位置情報に代えて第1セッションのサブコードの位置情報により回転基準位置を設定することができる。また、DVD−R(W)フォーマットの場合はランドプリピットによる位置情報により回転基準位置を設定することができる。また、ハイブリッドCD−Rに対応するような記録可能型DVDであれば、記録済データ領域のECCブロックによる位置情報により回転基準位置を設定することができる。
【0038】
この回転基準位置104を通りディスク放射方向に延びる仮想的な半直線を基準角度線106として定める。基準角度線106は図9に示すようにデータ面12aとレーベル面12bとで同じ位置にあり、描画はこの基準角度線106を回転方向の基準位置として実行される。すなわち、光ピックアップ16でセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置をシークし(図7のS6)、該境界位置すなわち回転基準位置104を検出したら(S7)、FGカウンタ19(図1)のカウント値をリセット(“0”にセット)し(S8)、該回転基準位置104からFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを開始する。FGカウンタ19のカウント値は1回転に相当する値に達するごとに“0”に自動的に戻される。これにより、FGカウンタ19のカウント値は周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置に対応したものとなる。すなわち、回転基準位置104を一度検出した後は、再度回転基準位置104の検出を行うことなく周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置をFGカウンタ19のカウント値で知ることができる。このFGカウンタ19のカウント動作は描画が終了するまで続行される。
【0039】
このようにしてFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを繰り返した状態で、セレクトスイッチ88が接点A側に切り換えられる(S9)。これにより、下側の光ピックアップ16は休止状態となり、上側の光ピックアップ18は能動状態となる。スピンドルモータ14は描画時の速度として定められた所定回転数にCAV制御される。このCAV制御は描画が終了するまで続行される。続いてフォーカスサーボ82がオンされ(S10)、光ピックアップ18から出射されるレーザ光30は再生パワーで光ディスク12の描画層44に合焦制御される。描画層44にはトラック(グルーブ)がないのでトラッキングサーボ84はオフされる。ステッピングモータ26を駆動して光ピックアップ18を一旦内周側原点位置に戻した後、ステッピングモータ26を逆回転させて光ピックアップ18を外周方向に移動させる。このとき内周側原点位置からのステッピングモータ26の駆動パルス数を駆動パルスカウンタ87で計数して光ピックアップ18のディスク径方向位置を計測する。そして、該計測される径方向位置が描画動作を開始する径方向位置として予め定められた位置に達したら径方向移動を一旦停止する(S11)。ここで、「描画を開始」でなく「描画動作を開始」と言ったのは、「描画動作が開始」されても、画像データの内容によっては必ずしもその位置からすぐに「描画」(描画層44の可視光特性の変化)が開始されるわけではないからである。すなわち、描画動作を開始する位置に描画する画素の濃度が0(白)である場合には、描画動作が開始されてもその位置では描画層44の可視光特性に変化を生じさせる「描画」は行われない。濃度が0よりも大きい画素を描画する位置が到来して初めて「描画」が開始される。
【0040】
以上で描画の準備が整うと、ホスト機器100から画像データの送出が開始される。この画像データはインタフェース102を介してバッファメモリ98に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98からディスク回転数に同期した一定速度で順次読み出されてエンコーダ96でエンコードされ、FGカウンタ19のカウント値が“0”のタイミングに合わせて(S12)先頭の画像データから順次出力され(図5の例で言えば、画素P11,P12,・・・,P1n,P21,P22,・・・P2n,・・・・・・,Pmnの順に出力される)、ALPC回路94を介してレーザドライバ86を駆動する。これにより、光ピックアップ18からは画像データで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変調されたレーザ光30が出射され、光ディスク12の描画層44に対する描画動作(1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定の描画)が開始される(S13)。描画動作が開始されると、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して(1周または所定の複数周ごとに1ステップ駆動する)、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【0041】
その後描画が進んで、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する(S14)。描画が終了すると、光ピックアップ16,18の動作が停止され、スピンドルモータ14の回転が停止されて光ディスク12が光ディスク装置10から排出される(S15)。排出された光ディスク12はデータ記録層36に記録データが記録され、描画層44に可視画像が形成されたものである。この可視画像はレーベル面12b側から目視することができる。
【0042】
図10は以上説明した図7の描画制御により光ディスク12の描画層44に描画された可視画像91をレーベル面12b側から目視した一例を示す。この可視画像91は半径R0が描画動作開始径方向位置、半径R1が描画動作終了半径方向位置である。符号12cは中心穴を示す。図10の例では、描画する画像の向きを図5の画像基準角度線11の向きに合わせて画像データ(図5の画素データの集合)を作成しており、しかもFGカウンタ19で計測される基準角度線106のタイミングを基準に描画動作を開始している(図5の最初の画素P11が光ディスク12の基準角度線106上に描画される)ので、光ディスク12の基準角度線106に向きを合わせて可視画像91が描画されている。
【0043】
この実施の形態1によれば、データ記録と描画とで光ディスク12の表裏を反転する操作をする必要がないので、面倒な反転操作が不要になる。また、反転操作が不要なので、データ記録を終了してから描画動作を開始するまでの時間を短縮することができる。また、光ピックアップ16による回転基準位置104の検出に基づいて基準角度線106を定め、この定められた基準角度線106を基準に光ピックアップ18で描画を行うので、基準角度線106の方向に向きをほぼ合わせて可視画像を形成することができる。また、回転基準位置104はデータ面12a側にあるので、レーベル面12b側に回転基準位置としてのマーク等を設けなくて済み、その分描画領域を広く確保することができる。なお、以上の説明ではセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置を基準位置108として設定したが、データ記録層AのグルーブC上の任意の位置を基準位置として設定することができる。
【0044】
《実施の形態1の変形例1》
実施の形態1では光ディスク12のデータ記録層36の所定の回転基準位置104(セクタ“0”とセクタ“1”の境界位置)でFGカウンタ19を一旦リセットし、その後発生されるFGパルスをFGカウンタ19でカウントし、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに該カウント値を“0”に戻すことにより、周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置を計測するようにした。しかし、この方法ではFGパルスの分解能が低い場合(1回転あたりのFGパルス数が少ない場合)場合には、データ記録層36の基準角度線106とFGパルスの発生位置とのずれ角(オフセット角度)が大きくなる可能性がある。そして、実施の形態1では描画中はFGパルスの発生位置を基準角度線106の位置と見なして描画するので、このオフセット角度は基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれとして現れる。このため、オフセット角度が大きい場合には、例えば光ディスク12に描画した後、光ディスク12を光ディスク装置10から排出し、その後光ディスク12を光ディスク装置12に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行うと、先に形成された画像と追加された画像とで画像の向きに目立つずれが生じるおそれがある。
【0045】
基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくするための手法を説明する。これは、FGパルスのカウントとシステム制御部90のソフトウェアによるカウントを併用して基準角度線106の検出分解能を高めたものである。その全体の制御フローを図11に示す。光ディスク装置10に光ディスク12をデータ記録層36を下側に向け描画層44を上側に向けて挿入する(S20)。使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の連続実行を指示すると、はじめにセレクトスイッチ88が接点B側に接続される(S21)。これにより、下側の光ピックアップ16は能動状態となり、上側の光ピックアップ18は休止状態となり、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録が開始される(S22)。
【0046】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S23)、自動的に描画層44に対する描画に移行する(S24、S25、・・・)。すなわち、はじめにスピンドルモータ14を描画時の速度として設定された所定回転数にCAV制御する。このCAV制御は描画が終了するまで続行される。続いて、セレクトスイッチ88を接点B側に接続したまま(光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82およびトラッキングサーボ84はオン状態)、光ピックアップ16でデータ記録層36から回転基準位置として予め定められた位置104(図8)を検出する(S25)。そして、この回転基準位置104を通りディスク放射方向に延びる仮想的な半直線を基準角度線106(図8)として定め、この基準角度線106に対する回転角度を、後述するようにFGパルスのカウントとソフトウェアによるカウントを併用して周回ごとに計測する。
【0047】
このようにして基準角度線106に対する回転角度の計測を周回ごとに繰り返した状態で、セレクトスイッチ88が接点A側に切り換えられる(S26)。これにより、下側の光ピックアップ16は休止状態となり、上側の光ピックアップ18は能動状態となり、所定の描画動作開始位置から描画動作が開始される(S27)。その後描画が進み、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する。描画が終了すると、光ディスク12が光ディスク装置10から排出され(S28)、全ての制御が終了する。
【0048】
図11のステップS25「基準角度線を検出」の制御の詳細を図12に示す。また、その動作を図13に示す。この例では、FGパルスは図13(a)に示すように1回転につき6パルス発生するものとしている。FGカウンタ19は図13(b)に示すようにFGパルスの立ち上がりエッジでカウントアップされる。図13(c)はソフトウェアによるカウンタ(「Cカウンタ」という)のカウント値で、水晶発振クロック等に基づく基準クロックによりカウントアップされる。この基準クロックの周期ΔT1はFGパルスの周期よりも短いもので、FGパルスの1周期内に複数パルス(図13の例では約4パルス)発生される。基準クロックの周期ΔT1を短くするほど基準角度線106の検出分解能を高めることができる。
【0049】
図12の制御フローを説明する。この制御フローで「C」はCカウンタのカウント値を表す。基準角度線106の検出工程ではまず光ピックアップ16でセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置すなわち回転基準位置104のシークが開始される(S30)。また、Cカウンタを初期リセットする(S31)。Cカウンタは基準クロックにより時間ΔT1ごとにカウントアップされ(S34,S35)、FGパルスの立ち上がりエッジが検出される(S33)ごとに“0”にリセットされる(S36。図13(c)参照)。回転基準位置104が検出されると(S32)、FGカウンタ19が“0”にリセットされ(S37)、そのときのCカウンタのカウント値C(図13(c)の例ではC=2)が直前のFGパルスの立ち上がりエッジからの回転基準位置104のオフセット値C0としてシステム制御部90内のメモリに記憶される(S38)。これ以降もディスク回転が所定回転数にCAV制御されたまま、FGカウンタ19によるFGパルスのカウントおよびCカウンタによる基準クロックのカウントは続行される。これにより、FGカウンタ19のカウント値が“0”でCカウンタのカウント値がC0のタイミングが周回ごとの基準角度線106のタイミングとして検出される。以上で光ピックアップ16は役目を終了し、そのトラッキング制御がオフされ(S39)、さらにフォーカス制御がオフされる(S40)。
【0050】
図11のステップS27「基準角度線から描画」の制御の詳細を図14に示す。また、その動作を図15に示す。描画動作を開始する時には、まず光ピックアップ18についてフォーカスサーボ82をオンし(S41)、レーザ光30を描画層44に合焦させる。続いてステッピングモータ24を駆動して、光ピックアップ18を所定の描画動作開始半径位置に位置決めさせる(S42)。また、Cカウンタが初期リセットされる(S43)。Cカウンタは前記基準クロックによりΔT1ごとにカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる。FGカウンタ19のカウント値は図12の基準角度線106の検出工程におけるステップS37で“0”にリセットされて以降、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに自動的に“0”に戻されてFGパルスの計数を繰り返す。
【0051】
FGカウンタ19が“0”に戻され(S44)、かつCカウンタが前記基準クロックにより時間ΔT1ごとにカウントアップされて(S46,S47)、該Cカウンタのカウント値が前記メモリに記憶されたオフセット値C0に達したタイミングで(S45)、図15(d)のようにWRITE GATE信号が出され、描画動作が開始される(S48)。前述のようにFGカウンタ19のカウント値が“0”でCカウンタのカウント値がC0のタイミングが周回ごとの基準角度線106のタイミングであるので、これにより基準角度線106の位置から正確に描画動作が開始される。したがって、光ディスク12に描画した後、光ディスク12を光ディスク装置10から排出し、その後光ディスク12を光ディスク装置12に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合にも、先に形成された画像と追加された画像とで画像の向きに目立つずれが生じることなく追加の描画を行うことができる。その後、描画が終了すると(S49)、図11のステップS27「基準角度線から描画」の工程が終了する。
【0052】
《実施の形態1の変形例2》
前記変形例1ではFGパルスのカウントと基準クロックのカウントを併用して基準角度線の検出分解能を高めたが、基準クロックのカウントに代えてFGパルスの逓倍パルスを用いることもできる。この場合は図1に点線で示すように、スピンドルモータ14から出力されるFGパルスを逓倍器108で所定倍数に周波数逓倍し、該周波数逓倍されたFGパルス(逓倍FGパルス)を逓倍FGカウンタ110でカウントする。この逓倍FGカウンタ110は前記変形例1のCカウンタと同様に使用される(図11〜図15参照)。すなわち、図11のステップS25「基準角度線を検出」では、逓倍FGカウンタ110は逓倍FGパルスによりカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる(図13(c)のCカウンタの動作参照)。回転基準位置104(図8)が検出されると、FGカウンタ19が“0”にリセットされ、そのときの逓倍FGカウンタ110のカウント値(図13(c)の例で言えばC=2)が直前のFGパルスの立ち上がりエッジからの回転基準位置104のオフセット値としてシステム制御部90内のメモリに記憶される。
【0053】
図11のステップS27「基準角度線から描画」では、逓倍FGカウンタ110は引き続き逓倍FGパルスでカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる。FGカウンタ19は基準角度線106の検出工程において回転基準位置104で“0”にリセットされて以降、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに該カウント値が“0”に戻されてFGパルスの計数を繰り返している。FGカウンタ19が“0”に戻され、かつ逓倍FGカウンタ110が逓倍FGパルスでカウントアップされて該逓倍FGカウンタ110のカウント値が前記メモリに記憶されたオフセット値に達するタイミング(図15(c)の例で言えばC=2のタイミング)が周回ごとの基準角度線106のタイミングであるので、このタイミングでWRITE GATE信号(図15(d)参照)が出され、描画動作が開始される。これにより、基準角度線106の位置から正確に描画動作が開始される。
【0054】
《実施の形態2》
この発明の実施の形態2を説明する。これは前記実施の形態1においてセレクトスイッチ88(図1)で切り換えて使用していた光ピックアップ16,18の制御系統および信号系統を光ピックアップ16,18ごとに個別に設けて、光ピックアップ16,18を同時に使用できるようにしたものである。図16に実施の形態2の光ディスク装置のシステム構成を示す。実施の形態1(図1)と共通する部分には同一の符号を用いる。図16の構成は、図1のセレクトスイッチ88をなくし、モータドライバ80、フォーカスサーボ82、トラッキングサーボ84、レーザドライバ86、ALPC回路94、エンコーダ96、バッファメモリ98を光ピックアップ16,18ごとに設けたものである。
【0055】
光ディスク装置111は光ディスク12の種類に応じて次のモードで動作することができるものである。
(a)光ディスク12が片面ディスクの場合:光ピックアップ16または18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)
(b)光ディスク12が両面ディスクの場合:光ピックアップ16および18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)(光ピックアップ16、18は同時または非同時に動作)
(c)光ディスク12が描画層付片面ディスクの場合:光ピックアップ16でデータ記録またはデータ再生、光ピックアップ18で描画(光ピックアップ16、18は同時または非同時に動作)
【0056】
図16の光ディスク装置111を使用して、光ディスク12に下側の光ピックアップ16でデータ記録を行い、これと同時に上側の光ピックアップ18で描画を行う場合の制御フローを図17に示す。この制御は使用者によるデータ記録と描画の同時実行指示に基づいて実行される。ホスト機器100には予めデータ記録用の記録データと描画用の画像データが格納されている。光ディスク装置111に光ディスク12をデータ面12aを下側に向けレーベル面12bを上側に向けて挿入する(S50)。
【0057】
使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の同時実行を指示すると両光ピックアップ16、18が共に能動状態となる。続いてスピンドルモータ14が描画時の速度として定められた所定回転数にCAV制御される。このCAV制御はデータ記録および描画が終了するまで続行される。続いてデータ記録側についてフォーカスサーボ82−1がオンされ(S51)、光ピックアップ16から出射されるレーザ光28は再生パワーで光ディスク12のデータ記録層36に合焦制御される。さらに、トラッキングサーボ84−1がオンされ、レーザ光28はデータ記録層36のグルーブ34に追従制御される。この状態で、光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報(ATIP、ADIP、ランドプリピット等。ハイブリッドCD−Rの場合は第1セッションのサブコードの位置情報を利用することもできる)が読み取られ、ステッピングモータ24を駆動して、データ記録層36の回転基準位置として予め定められた位置(例えば図8に示すセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置104)のシークを開始する(S52)。回転基準位置104を検出したら(S53)、FGカウンタ19のカウント値をリセット(“0”にセット)し(S54)、該回転基準位置104からFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを開始する。FGカウンタ19のカウント値は1回転に相当する値に達するごとに“0”に自動的に戻される。これにより、FGカウンタ19のカウント値は周回ごとに基準角度線106(図9)からの回転角度位置に対応したものとなる。このFGカウンタ19のカウント動作は描画が終了するまで続行される。
【0058】
続いて描画側についてフォーカスサーボ82−2がオンされ(S55)、光ピックアップ18から出射されるレーザ光30は再生パワーで光ディスク12の描画層44に合焦制御される。描画層44にはトラック(グルーブ)がないのでトラッキングサーボ84−2はオフされる。ステッピングモータ26を駆動して光ピックアップ18を一旦内周側原点位置(例えば光ピックアップ18のディスク径方向の移動がストッパで機械的に停止される位置)に戻した後、ステッピングモータ26を逆回転させて光ピックアップ18を外周方向に移動させる。このとき内周側原点位置からのステッピングモータ26の駆動パルス数を駆動パルスカウンタ87で計数して光ピックアップ18のディスク径方向位置を計測する。そして、該計測される径方向位置が描画動作を開始する径方向位置として予め定められた位置に達したら径方向移動を一旦停止する(S56)。さらに、データ記録側について光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報(ATIP、ADIP、ランドプリピット等。ハイブリッドCD−Rの場合は第1セッションのサブコードの位置情報の利用も可)を読み取りながらステッピングモータ24を駆動して、データ記録を開始する直前位置をシークし(S57)、該直前位置でデータ記録ポーズ状態(1周に1回1トラック分キックバックする動作状態)にする(S58)。
【0059】
以上でデータ記録と描画の同時実行の準備が整うと、ホスト機器100から記録データと画像データの送出が開始される。画像データはインタフェース102を介してバッファメモリ98−2に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98−2からディスク回転数に同期した一定速度で順次読み出されてエンコーダ96−2でエンコードされ、FGカウンタ19のカウント値が“0”のタイミングに合わせて(S59)先頭の画像データから順次出力され(図5の例で言えば、画素P11,P12,・・・,P1n,P21,P22,・・・P2n,・・・・・・,Pmnの順に出力される)、ALPC回路94−2を介してレーザドライバ86−2を駆動する。これにより、光ピックアップ18からは画像データで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変調されたレーザ光30が出射され、光ディスク12の描画層44に対する描画動作(1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定の描画)が開始される(S60)。描画動作が開始されると、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【0060】
描画動作開始とほぼ同時にデータ記録も開始される。すなわち、ホスト機器100から送出される記録データはインタフェース102を介してバッファメモリ98−1に一旦蓄えられる。そして、データ記録ポーズ状態が解除され(S61)、データ記録開始アドレスが検出されるタイミング(S62)に合わせて、記録データをバッファメモリ98−1からCAV制御による記録位置での線速度に応じた可変データ速度(トラッキングエラー信号から検出されるウォブル信号に同期したデータ速度であり、外周ほど速くなる)で順次読み出し、エンコーダ96−1でエンコードし、ALPC回路94−1を介してレーザドライバ86−1を駆動する。これにより、光ピックアップ16からは記録データで再生パワーと記録パワーの2値に変調されたレーザ光28が出射され、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録(ディスク周方向のデータ密度がディスク径方向位置にかかわらず一定となる記録)が開始される(S63)。
【0061】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S64)、光ピックアップ18の動作が停止される。また、描画が進んで、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する(S65)。描画が終了すると、光ピックアップ16の動作が停止される(S65)。そして、スピンドルモータ14の回転が停止されて光ディスク12が光ディスク装置10から排出される(S66)。排出された光ディスク12はデータ記録層36に記録データが記録され、描画層44に可視画像が基準角度線106の方向に向きを合わせて形成されたものである。この可視画像はレーベル面12b側から目視することができる。
【0062】
この実施の形態2によれば、データ記録と描画とで光ディスク12の表裏を反転する操作をする必要がないので、面倒な反転操作が不要になる。また、データ記録と描画を同時に行うので、データ記録と描画を別々の時に行う場合に比べて、データ記録と描画に要する全体の時間を短縮することができる。また、光ピックアップ16による回転基準位置104の検出に基づいて基準角度線106を定め、この定められた基準角度線106を基準に光ピックアップ18で描画を行うので、基準角度線106の方向に向きをほぼ合わせて可視画像を形成することができる。また、回転基準位置104はデータ面12a側にあるので、レーベル面12b側に回転基準位置としてのマーク等を設けなくて済み、その分描画領域を広く確保することができる。
【0063】
なお、実施の形態2においても、前記実施の形態1の変形例1,2で説明したオフセット角度分を補正する手法を採用することにより、基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくすることができ、追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合の追加前後での画像の角度ずれを小さく目立たなくすることができる。
【0064】
《描画可能ディスク判断手法1》
光ディスクの盤面に描画を行う場合、描画しようとする光ディスクが描画可能なディスクかどうかを予め判断する必要がある。その判断手法例を説明する。これは、光ディスクが描画可能なディスクであることを示す識別情報(描画可能ディスク識別情報)を新たに定義して光ディスク12のデータ記録層36に記録し、光ディスクが光ディスク装置10(図1)、111(図16)に挿入されたときに、データ面12a側の光ピックアップ16でこの描画可能ディスク識別情報が読み取られるか否かによって、この挿入された光ディスクが描画可能かどうかを判断するものである。
【0065】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例1〉
データ記録層36がCDフォーマットで構成されている場合には、ATIPの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図18はATIPのデータ構造を示す。このデータ構造で、“U1”=“1”とし、“U2〜U7”に描画可能ディスク識別情報を入れることができる。例えば“U1〜U7”=“1010101”を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。
【0066】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例2〉
例えば第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションのサブコードR〜Wの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図19はサブコードのデータ構造を示す。このデータ構造で、“MODE”=“111”、“ITEM”=“000”の場合は、サブコードR〜Wはユーザモードとなり、ユーザが“INSTRUCTION”と“DATA field”を自由に定義することができる。そこで、例えば“INSTRUCTION”=“010101”とし、“DATA field”が図20に示すパターンである場合を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。
【0067】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例3〉
同様に第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションのリードイン領域やリードアウト領域のメインデータに描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図21はCDフォーマットの1セクタ分のデータ構造を示す。このデータ構造で、プログラム領域では“データ”に意味のあるデータが記録されている。しかし、リードイン領域やリードアウト領域では“データ”はドライブにより読み込まれることがないので、通常はランダムデータやゼロデータといった意味のないデータが記録されている。そこで、リードイン領域やリードアウト領域の“データ”に描画可能ディスク識別情報を記録することができる。リードイン領域やリードアウト領域の“データ”に記録する描画可能ディスク識別情報の一例を図22に示す。この例ではデータ値を1ずつ増加する値としている。
【0068】
〈CDフォーマットの場合の描画可能ディスク識別情報の定義例4〉
同様に第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションの特定のCRCエラー発生パターンを描画可能ディスク識別情報として定義することができる。そのCRCエラー発生パターン例を図23に示す。番号0〜89は任意のサブコードフレームNからのサブコードフレームのアドレスN〜(N+89)を示す。“○”はCRCエラーなしのサブコードフレームを示し、“×”はCRCエラーありのサブコードフレームを示す。図23の例では、アドレスNに後続する3の倍数のアドレスごとにCRCエラーが発生するパターンを描画可能ディスク識別情報として定義している。そして、このようなCRCエラー発生パターンとなるようにサブコードを記録しておく。
【0069】
〈DVD+R(W)フォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例〉
データ記録層36がDVD+RまたはDVD+RWフォーマットで構成されている場合には、ADIPの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図24はADIPのデータ構造を示す。このデータ構造で、“Byte1”の“b7 to b4”の値を“0000”以外の値とすれば描画可能ディスク識別情報を記録することができる。例えば、“b7〜b4”=“1010”を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。なお、ランドプリピットを採用しているDVD−RあるいはDVD−RWフォーマットの場合は、ランドプリピットの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。
【0070】
以上のように描画可能ディスク識別情報をデータ記録層36に記録する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断フローを図25に示す。光ディスク12が挿入されると、スピンドルモータ14を駆動し、下側光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82(82−1)をオンし(S70)、レーザ光28をデータ記録層36に合焦させる。続いて光ピックアップ16のトラッキングサーボ84(84−1)をオンし(S71)レーザ光28をデータ記録層36のグルーブ34に追従させる。そして、描画可能ディスク識別情報が記録されているデータ記録層36の領域をシークする(S72)。該領域のデータを読み出し(S73)、描画可能ディスク識別情報の有無を判断し(S74)、描画可能ディスク識別情報が検出された場合はレーベル面12bに描画可能と判断し(S75)、ユーザの描画指示を待って描画を行う。一方、描画可能ディスク識別情報が検出されなかった場合はレーベル面12bに描画不可と判断し(S76)、データ面12aへのデータ記録のみ許可する。
【0071】
《描画可能ディスク判断手法2》
これは、描画可能な光ディスク12のデータ面12a側のディスク基板表面に、データ面12a側の光ピックアップ16で検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成し、光ディスクが光ディスク装置10(図1)、111(図16)に挿入されたときに、光ピックアップ16でこの描画可能ディスク識別情報が読み取られるか否かによって、この挿入された光ディスクが描画可能かどうかを判断するものである。
【0072】
図26に描画可能ディスク識別マークの形成例を示す。(a)は描画可能光ディスク12のデータ面12a側の構造を示し、(b)はそのレーベル面12b側の構造を示す。光ディスク12の層構造は例えば前出の図2、図3、図4等である。この光ディスク12のレーベル面12b側のディスク基板表面に黒色等の印刷で描画可能ディスク識別マーク113を形成する。この例では、中心穴12cの周囲に90°の間隔で印刷した4本のバーで描画可能ディスク識別マーク113を構成している。1本のマーク113の幅(ディスク周方向の長さ)は1mm程度である。この描画可能ディスク識別マーク113を形成する半径方向の領域115(マーク形成領域)はディスク中心から半径21.0〜22.0mmの領域である。この領域はデータ記録層36は存在するが通常の光ディスク装置では記録再生しない領域である。マーク形成領域115の外周側(半径22.0mmよりも外周側)がデータ記録を行うデータ記録領域117である。レーベル面12b側は例えば半径24.0mmから外周側が描画を行う描画領域119である。マーク形成領域115をさらに外周側(例えば、DVDの場合は半径22.0〜24.0mmの領域、CDの場合は半径23.0〜25.0mmの領域)に形成することもできる。
【0073】
以上のように描画可能ディスク識別マーク113を形成する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断フローを図27に示す。光ディスク12が挿入されると、スピンドルモータ14を駆動し、下側光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82(82−1)をオンし(S80)、レーザ光28をデータ記録層36に合焦させる。続いて描画可能ディスク識別マーク113が形成されているデータ記録層36の領域をレーザ光28でトレースする(S81)。反射光量の周期的な増減により描画可能ディスク識別マーク113の有無を判断し(S82)、描画可能ディスク識別マーク113が検出された場合はレーベル面12bに描画可能と判断し(S83)、ユーザの描画指示を待って描画を行う。一方、描画可能ディスク識別マーク113が検出されなかった場合はレーベル面12bに描画不可と判断し(S84)、データ面12aへのデータ記録のみ許可する。
【0074】
なお、前記実施の形態ではデータ記録層に記録されている位置情報を流用して回転基準位置を規定したが、この発明はこれに限るものではなく、例えばデータ面側の基板表面やデータ記録層の所定位置(例えばディスク内周側の位置)に形成した、データ面側の光ピックアップで検出可能なマークで回転基準位置を規定することもできる。また、前記実施の形態でははじめにデータ記録を行い該データ記録の終了に続いて描画を行い、またはデータ記録と同時に描画を行うようにしたが、この発明はこれに限るものではなく、データ記録やデータ再生とは無関係に描画のみを行う場合にも適用することができる。
【0075】
また、前記実施の形態では描画層はグルーブを有しないものとして説明したが、グルーブを有するものであってもよい。この場合、DVD規格に準拠した記録可能型両面DVDを使用し、その両面のデータ記録層のうちの片面のデータ記録層を描画層として使用することができる。グルーブを有する描画層に描画を行うときは、描画に使用するレーザ光30で該描画層のグルーブに追従制御して、あるいは追従制御せずに描画を行うことができる。レーザ光30で描画層のグルーブに追従制御して描画を行う行うときは、画像データを構成する画素のディスク径方向の配置間隔はトラックピッチ(グルーブのピッチ)とする。グルーブに追従制御せずに描画を行う場合は、前記実施の形態と同様に、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して(1周または所定の複数周ごとに1ステップ駆動する)、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、この発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図3】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光の他の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図4】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光のさらに別の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図5】光ディスク12の描画層44に描画する1枚の画像を構成する画素の配列を模式的に示す図である。
【図6】光ディスク12の描画層44の描画に使用する描画用レーザ光30のレーザパワーの変化を示す波形図である。
【図7】図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を示すフローチャートである。
【図8】光ディスク12のデータ面12aにおける回転基準位置の設定例を示す模式図である。
【図9】光ディスク12の基準角度線106の設定例を示す模式図である。
【図10】図7の描画制御により光ディスク12の描画層44に描画された可視画像91の一例を示す平面図である。
【図11】図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を示すフローチャートで、基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくするための手法を示すものである。
【図12】図11のステップS25「基準角度線を検出」の詳細を示すフローチャートである。
【図13】図12の制御による動作を示すタイムチャートである。
【図14】図11のステップS27「基準角度線から描画」の詳細を示すフローチャートである。
【図15】図14の制御による動作を示すタイムチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2を示す図で、この発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図17】図16の光ディスク装置111を使用して、光ディスク12に下側の光ピックアップ16でデータ記録を行い、これと同時に上側の光ピックアップ18で描画を行う場合の制御を示すフローチャートである。
【図18】CDフォーマットのATIPのデータ構造を示す図である。
【図19】CDフォーマットのサブコードのデータ構造を示す図である。
【図20】CDフォーマットのサブコードによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図21】CDフォーマットの1セクタ分のデータ構造を示す図である。
【図22】CDフォーマットのメインデータによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図23】CDフォーマットのCRCエラー発生パターンによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図24】DVD+R(W)フォーマットのADIPのデータ構造を示す図である。
【図25】描画可能ディスク識別情報をデータ記録層に記録する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断手法を示すフローチャートである。
【図26】光ディスク12における描画可能ディスク識別マークの形成例を示す図である。
【図27】描画可能ディスク識別マーク113を形成する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断判断手法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10…光ディスク装置、12…光ディスク、12a…データ面、12b…レーベル面、16,18…光ピックアップ、36…データ記録層、44…描画層、90…システム制御部、100…ホスト機器、104…回転基準位置、106…基準角度線、113…描画可能ディスク識別マーク。
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスクの盤面に絵、文字等の可視画像の形成(描画)を行うための光ディスク描画方法および光ディスク装置並びにこの光ディスク描画方法の実施に使用することができる光ディスク記録媒体に関し、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく該光ディスクに描画を行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
記録可能型CD、記録可能型DVD等の光ディスクの盤面に感熱層、感光層等による描画層を形成し、該光ディスクのデータ記録層にデータ記録を行う光ディスク記録装置を光ディスク描画装置として兼用して、光ピックアップから、画像データに応じて変調したレーザ光を前記描画層に照射して、該描画層に描画を行う技術が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−203321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の描画方法は、データ記録時の光ディスクの配置に対し、描画する際には該光ディスクを光ディスク装置から一旦排出し、その表裏を反転して光ディスク装置に再挿入しなければならないので操作が面倒であった。
【0005】
この発明は、上記従来技術における欠点を解決して、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく該光ディスクに描画を行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の光ディスク描画方法は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時(別々の時)に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置を用いて、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成するものである。
【0007】
この発明の光ディスク描画方法によれば、光ディスクを挟んでその上下に光ピックアップを配置したので、一方の光ピックアップでデータ記録層にデータ記録を行い、他方の光ピックアップで描画層に描画を行うことにより、データ記録時の光ディスクの配置に対し、該光ディスクの表裏を反転する操作をすることなく描画を行うことができる。また、描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め一方の光ピックアップで光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて他方の光ピックアップで該可視画像を描画層に形成するようにしたので、光ディスクの所定の回転方向位置を基準とした向きに該可視画像を形成することができる。したがって、例えば、光ディスクに描画した後、該光ディスクを光ディスク装置から排出し、その後該光ディスクを該光ディスク装置に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合に、先に形成された画像と向きを合わせてまたはほぼ合わせて該追加の描画を行うことができる。また、追加の描画でなくても、回転基準位置に合わせてレーベル面の一部に予め印刷された文字や図形と向きを合わせてまたはほぼ合わせて描画を行うことができる。また、この発明によれば、光ディスクのデータ面側から回転基準位置を検出するので、光ディスクの描画面側には回転基準位置の情報を記録する必要がなくなり、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0008】
この発明の光ディスク描画方法は、前記検出された回転基準位置に対し所定の位置関係にある回転方向位置から前記可視画像の形成動作を開始することができる。その方法としては、例えば前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングに隣接して前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングからまたは該発生されるFGパルスの発生タイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始することができる。
【0009】
また、別の方法としては、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングと、前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングとの時間差を検出し、その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを前記時間差で補正して求められる該回転基準位置のタイミングからまたは該求められる該回転基準位置のタイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始することができる。
【0010】
この発明の光ディスク描画方法において、前記回転基準位置は、例えば、前記データ記録層のデータ記録フォーマットがCDフォーマットの場合はATIP、サブコードのいずれかの位置情報で定義し、該データ記録層のデータ記録フォーマットがDVDフォーマットの場合はADIP、ランドプリピット、ECCブロックのいずれかの位置情報で定義することができる。
【0011】
この発明の光ディスク描画方法は、前記一方の光ピックアップで前記光ディスクの前記データ記録層から所定の描画可能ディスク識別情報を検出したことを条件に、該光ディスクの前記描画層に対する前記可視画像の形成を許可することができる。この場合、描画可能ディスク識別情報は例えばサブコード、メインデータ、CRCエラーの特定発生パターン、ATIP、ADIP等で記述することができる。これによれば、描画可能ディスク識別情報を光ディスクのデータ記録層に描画可能ディスク識別情報があるので、光ディスクの描画面側には描画可能ディスク識別情報を記録する必要がなく、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0012】
また、この発明の光ディスク描画方法は、前記一方の光ピックアップで、前記光ディスクの前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に形成された描画可能ディスク識別マークを検出したことを条件に、該光ディスクの該描画層に対する前記可視画像の形成を許可することができる。これによれば、描画可能ディスク識別マークをデータ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層を形成するので、光ディスクの描画面側には描画可能ディスク識別マークを形成する必要がなく、その分描画エリアを広く確保することができる。
【0013】
この発明の光ディスク装置は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置であって、前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成するものである。
【0014】
この発明の光ディスク記録媒体は、データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクにおいて、前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に、該ディスク基板表面に対向配置される光ピックアップで検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成してなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《実施の形態1》
この発明の実施の形態1を説明する。図1はこの発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示す。光ディスク装置10は、光ディスク12を挟んでその両面側に光ピックアップ16,18を配置した構成を有しており、光ディスク12の種類に応じて次のモードで動作することができるものである。
(a)光ディスク12が片面ディスクの場合:光ピックアップ16または18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)
(b)光ディスク12が両面ディスクの場合:光ピックアップ16および18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)(光ピックアップ16、18は別々の時に動作)
(c)光ディスク12が描画層付片面ディスクの場合:光ピックアップ16でデータ記録またはデータ再生、光ピックアップ18で描画(光ピックアップ16、18は別々の時に動作)
【0016】
この実施の形態では、光ディスク12として描画層付片面ディスクを使用し、光ピックアップ16でデータ記録を行い、光ピックアップ18で描画を行う場合について説明する。光ディスク12にはデータの記録および再生を行うデータ記録層と、可視画像の形成を行う描画層が厚み方向の互いに異なる位置に積層配置されている。描画層はレーザ光の照射により可視光特性が変化するもので、感熱材料、感光材料等で構成されている。この描画層は例えばデータ記録層と同じ色素材料で構成することができる。データ記録層にはトラックとしてウォブルグルーブが形成されている。ここでは、光ディスク12の下面側にデータ記録層が配置され上面側に描画層が配置されているものとし、光ディスク12の下面12aをデータ面、上面12bをレーベル面と言うものとする。データ記録層にはディスク周方向のデータ密度がディスク径方向位置にかかわらず一定になるように記録データが記録される。また、描画層には、1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定になるように描画が行われるものとする。
【0017】
光ディスク12はスピンドルモータ14で回転駆動される。スピンドルサーボ15はシステム制御部90(マイコン)の指令に基づきスピンドルモータ14の回転を制御する。スピンドルモータ14は、データ記録時はCLV(線速度一定)制御またはCAV(回転数一定)制御され、描画時はCAV制御される。スピンドルモータ14からはFGパルスが1回転につき所定パルス数ずつ等角度間隔で出力される。FGカウンタ19はFGパルスをカウントする。
【0018】
光ディスク12を挟んでその両側には光ピックアップ16,18がそれぞれ配置されている。下側の光ピックアップ16はデータ記録層に対しデータ記録およびデータ再生を行う。上側の光ピックアップ18は描画層に対し描画を行う。下側の光ピックアップ16は、光ディスク12の面と平行でかつディスク径方向に沿って(ディスク中心軸方向に向かって)固定配置された送りねじ20に支持され、該送りねじ20をステッピングモータ24でそのねじ軸周り方向に回転駆動することによりディスク径方向に移送される。上側の光ピックアップ18は、光ディスク12の面と平行でかつディスク径方向に沿って(ディスク中心軸方向に向かって)固定配置された送りねじ22に支持され、該送りねじ22をステッピングモータ26でそのねじ軸周り方向に駆動することによりディスク径方向に移送される。これら両光ピックアップ16,18のディスク径方向の移送はそれぞれ個別独立に行われる。なお、データ記録および描画とも光ディスク12の内周側から外周側に向けて実行される。
【0019】
光ピックアップ16,18のディスク周方向位置は固定であり、ここではディスク周方向の同一位置に光ピックアップ16,18が配置されている(すなわち、送りねじ20,22がディスク周方向の同じ位置で上下に平行に配置されている)ものとする。ただし、光ピックアップ16,18をディスク周方向に相互にずらして配置する(送りねじ20,22をディスク周方向に相互に角度を持たせて配置する)こともできる。いずれにしても、光ピックアップ16,18のディスク周方向の位置関係は相互に固定である。
【0020】
光ディスク12の層構造およびこの層構造に対する光ピックアップ16,18のレーザ光の配置例を図2、図3、図4を参照して説明する。なお、後述する説明の便宜上、図2、図3、図4の相互に対応する箇所の一部には同一を符号を用いる。
【0021】
〈層構造およびレーザ光配置例1:図2〉
図2の例は、光ピックアップ16,18を共にDVD記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10は両面の連続記録および連続再生が可能なDVD記録再生装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型片面一層DVD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12は0.6mm厚のポリカーボネート基板32のグルーブ34が形成されている表面にデータ記録層36としての色素層および反射層38を順次積層形成した第1基板40と、グルーブを有しない0.6mm厚のポリカーボネート基板42の表面に描画層44としての色素層および反射層46を順次積層形成した第2基板48を具え、これら第1基板40と第2基板48とを積層膜どうしを対向させて接着層50で相互に貼り合わせて一体化し、全体を1.2mm厚に構成したものである。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるDVD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるDVD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0022】
〈層構造およびレーザ光配置例2:図3〉
図3の例は、下側の光ピックアップ16をCD記録・再生兼用光ピックアップで構成し、上側の光ピックアップ18をBD(ブルーレイ・ディスク)記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10はCDの記録再生とBDの記録再生を行う兼用装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型CD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12は1.1mm厚のポリカーボネート基板56のグルーブ34が形成されている表面にデータ記録層36としての色素層、反射層62、描画層44としての色素層、0.1mm厚の保護層66を順次積層形成して、全体を1.2mm厚に構成したものである。データ記録層36の位置は標準のCD−Rに対し0.1mmずれているが、CD規格では透明基板厚は1.2±0.1mmと定められているので問題なく記録、再生することができる。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるCD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるBD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0023】
〈層構造およびレーザ光配置例3:図4〉
図4の例は、下側の光ピックアップ16をBD記録・再生兼用光ピックアップで構成し、上側の光ピックアップ18をCD記録・再生兼用光ピックアップで構成したものである。光ディスク装置10は図3の例と同じくCDの記録再生とBDの記録再生を行う兼用装置として構成されたもので、この発明による描画機能が付加されている。光ディスク12は描画可能型BD−Rディスクとして構成されたものである。すなわち、光ディスク12はグルーブ34が形成されている0.1mm厚のポリカーボネート保護シート76を使用し、該保護シート76のグルーブ34が形成されている表面に、データ記録層36としての色素層、反射層72、描画層44としての色素層を順次積層し、該保護シート76の描画層44に対向して、グルーブを有しない1.1mm厚のポリカーボネート基板68を配置し、両者を接着層69で相互に貼り合わせて一体化し、全体を1.2mm厚に構成したものである。下側の光ピックアップ16の対物レンズ52から出射されるBD用レーザ光28はデータ記録層36に合焦制御される。上側の光ピックアップ18の対物レンズ54から出射されるCD用レーザ光30は描画層44に合焦制御される。
【0024】
図1において、モータドライバ80、フォーカスサーボ82、トラッキングサーボ84、レーザドライバ86等は2台の光ピックアップ16,18で切り換えて使用される。セレクトスイッチ88はこの切り換えを行うもので、システム制御部90の指令に基づき、光ピックアップ16を動作させるときはセレクトスイッチ88のスイッチ群88a〜88gを全て接点B側に接続し、光ピックアップ18を動作させるときは同スイッチ群88a〜88gを全て接点A側に接続する。
【0025】
モータドライバ80はステッピングモータ24,26に駆動パルスを印加して、その駆動パルス数に応じた移動量だけ光ピックアップ16,18をディスク径方向に移送する。駆動パルスカウンタ87は描画時にステッピングモータ26の駆動パルスのパルス数をその駆動方向に応じてアップ/ダウンカウントして、光ピックアップ18の径方向移動量を計測する。なお、FGカウンタ19、駆動パルスカウンタ87とも、システム制御部90内に設定されたソフトウェアによるカウンタで実現することもできる。フォーカスサーボ82は光ピックアップ16,18のフォーカス制御を行う。トラッキングサーボ84は光ピックアップ16,18のトラッキング制御を行う。なお、描画時は、光ディスク12の描画層44にトラック(グルーブ)がなく光ピックアップ18はトラッキング制御ができないので、トラッキングサーボ84による光ピックアップ18のトラッキング制御はオフされ、代わりに光ディスク12の回転に同期したステッピングモータ26の駆動により光ピックアップ18をディスク径方向に順次移送する。このとき光ピックアップ18のディスク径方向位置は、光ピックアップ18の内周側原点位置(例えば光ピックアップ18のディスク内周方向への移動がストッパで機械的に停止される位置)からのステッピングモータ26の駆動パルスのパルス数をその回転方向に応じて駆動パルスカウンタ87でアップ/ダウンカウントすることにより検出される。
【0026】
振動信号発生器92は描画時に振動信号を発生し、該振動信号を光ピックアップ18のトラッキングアクチュエータに供給して対物レンズ54(図2、図3、図4)を振動させて、レーザ光30を光ディスク12の径方向に微小振動させる。この振動動作によりレーザ光30は光ディスク12の描画層44を蛇行しながらディスク回転に伴ってディスク周方向に移動し、同一径方向位置でレーザ光30を複数回数ずつ周回させながら光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を行うことにより、径方向に隙間の少ない画像を形成することができる。
【0027】
レーザドライバ86は光ピックアップ16,18内のレーザダイオード(図示せず)を駆動する。ALPC(Automatic Laser Power Control)回路94は光ピックアップ16,18から出射するレーザ光28,30のパワーをシステム制御部90で指令された値に制御する。
【0028】
エンコーダ96はデータ記録時には記録データを所定のフォーマットにエンコードする。レーザドライバ86はこのエンコードされた記録データに応じて光ピックアップ16から出射するレーザ光28を変調し、該記録データを光ディスク12のデータ記録層36にピットとして記録する。エンコーダ96は描画時には、画像データを構成する各画素の階調データに応じてデューティが変化するパルス信号(描画パルス)を生成する。レーザドライバ86はこのデューティが変化するパルス信号に応じて光ピックアップ18から出射するレーザ光30を変調し、光ディスク12の描画層44の可視光特性を変化させる。描画された1つの画素は人の目には1つの点(ドット)として認識され、また各ドットのデューティの違いは人の目には描画の濃度の違いとして感じられる(デューティが高いほど濃い描画として感じられる)ので、これによりモノクロ多階調による描画が実現される。
【0029】
ホスト機器(ホストコンピュータ)100は、データ記録時は記録データを、描画時は画像データを光ディスク装置10に送信する。送信された記録データまたは画像データは、光ディスク装置10のインタフェース102で受信され、バッファメモリ98に一旦蓄えられられた後、該バッファメモリ98から読み出されエンコーダ96に供給されて前述したエンコード処理がなされてデータ記録または描画に供される。データ再生時は、デコーダ(図示せず)で再生されたデータはインタフェース102を介してホスト機器100に転送される。ホスト機器100はまたデータ記録およびデータ再生時並びに描画時に、操作者による指令を光ディスク装置10に伝達する。この指令はインタフェース102を介してシステム制御部90に伝達される。システム制御部90は該指令に応じた指令を光ディスク装置10内の各回路に送り、該当する動作を実行させる。
【0030】
この実施の形態において光ディスク12の描画層44に描画する1枚の画像を構成する画素の配列について説明する。該画素の配列を図5に模式的に示す(前述した振動動作による蛇行は考慮せず)。符号12cは中心穴を示す。1枚の画像を構成する画素P11,P12,・・・,Pmnは光ディスク12の中心点を中心に同心円状に配列される。画素の径方向の配列間隔Δrは一定である。画素の周方向の配列間隔(角度)Δθは一定であり、したがって1周あたりの画素数は径方向位置にかかわらず一定である。光ディスク12の放射方向に延びる仮想的な半直線を画像基準角度線11として定める。各径方向位置で円状に配列された画素列は画像基準角度線11上の画素P11,P21,・・・,Pm1を先頭の画素としてそれぞれ円周方向に配列されている。
【0031】
レーザ光30による描画は光ディスク12をCAV(回転数一定)制御して内周側から順次外周側に向けて実行される。すなわち、描画は最内周の画素列の先頭の画素P11から開始され、P12,P13,・・・と順次進行し、最内周の最後の画素P1nが描画されたら光ピックアップ16をすぐに(または、前述のように同一径方向位置でレーザ光30を複数回(k回)周回させて描画する場合はその周回数kごとに)距離Δr外周方向に移動してP21,P22,・・・と進行していく。以後、1周(またはk周)ごとに画像基準角度線11の直前位置で光ピックアップ16を距離Δr外周方向に移動しながら描画を進行させ、最外周の最後の画素Pmnまで描画されたら全工程を終了し、光ディスク12の描画が完成する。このように描画は各周(またはk周)ごとに画像基準角度線11の直前位置で順次外周方向に移動しながら連続的に行われるので、m周回(またはk×m周回)で描画が完了する。この場合、光ディスク12をCAV制御で回転し、この光ディスク12の回転に同期して一定速度で各画素データ(階調データ)をエンコード{階調データに応じてデューティが変化する所定周期(1画素分の角度Δθに相当する周期)のパルス信号(描画パルス)を生成}して描画を行うので、先頭の画素P11が画像基準角度線11上に描画されるように先頭のタイミングを合わせさえすれば、後続する画素P12,P13,・・・,Pmnは自動的に所定位置に描画されることになる。
【0032】
描画時に描画用レーザ光30のレーザパワーは例えば図6に示すように変化する。すなわち、描画用レーザ光30は、描画パルスにより、1画素あたりの描画割り当て時間が1画素分の角度Δθに相当する時間で一定で、かつ該各画素の階調データに応じたデューティで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変化する。記録パワーで描画層44の可視光特性が変化して描画が行われる。また、再生パワー時にフォーカスエラーが検出され、該検出されるフォーカスエラーの基づきフォーカス制御が行われる。なお、図6では説明の簡略化のために1画素あたりの描画パルス数を1パルスとして示したが、実際には本出願人の出願に係る特開2004−355764公報に記載されているように、描画パルスをより周期の短いEFM信号で構成して、1画素あたり複数個のパルスで描画することができる。この場合、図6の各記録パワーの期間がEFM信号で変調される(短いパルスに分割される)ことになるが、EFM信号の平均のデューティは50%で一定であるので、1画素あたりの描画パルスのデューティ(分割パルスを合計したデューティ)は各画素の階調データに応じた値となり、これにより各画素の階調データに応じた描画が実現される。
【0033】
図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を説明する。光ディスク12としては例えば図2、図3、図4等の構造のものを使用し、そのデータ記録層36にデータ記録を行い、描画層44に描画を行うものとする。図7に制御フローを示す。この制御は、使用者によるデータ記録と描画の連続実行指示に基づき、はじめにデータ記録を行い、データ記録終了後に引き続き自動的に描画に移行するようにしたものである。ホスト機器100には予めデータ記録用の記録データと描画用の画像データが格納されている。光ディスク装置10に光ディスク12をデータ面12aを下側に向けレーベル面12bを上側に向けて挿入する(S1)。
【0034】
使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の連続実行を指示すると、はじめにセレクトスイッチ88が接点B側に接続される(S2)。これにより、下側の光ピックアップ16は能動状態となり、上側の光ピックアップ18は休止状態となる。続いてスピンドルモータ14が回転駆動され、フォーカスサーボ82がオンされ、光ピックアップ16から出射されるレーザ光28は再生パワーで光ディスク12のデータ記録層36に合焦制御される。さらに、トラッキングサーボ84がオンされ、レーザ光28はデータ記録層36のグルーブ34に追従制御される。スピンドルサーボ15はトラッキングエラー信号から抽出されるグルーブ34のウォブル成分が所定の周波数となるようにスピンドルモータ14を制御する。これにより、光ディスク12はレーザ光28の照射位置で所定の線速度となるように回転制御してデータ記録(CLV制御によるCLV記録)される。あるいは、スピンドルモータ14を所定回転数でCAV制御してデータ記録(CAV制御によるCLV記録)を行うこともできる。このCLV制御あるいはCAV制御された状態で光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報{ATIP(Absolute Time in Pre-groove)、ADIP(Address In Pre-groove)、ランドプリピット等}が読み取られ、ステッピングモータ24を駆動して、光ピックアップ16はディスク内周側の所定のデータ記録開始半径位置に位置決めされる。
【0035】
以上でデータ記録の準備が整うと、ホスト機器100から記録データの送出が開始される。この記録データはインタフェース102を介してバッファメモリ98に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98からCLV制御の一定ディスク線速度に対応した一定データ速度で、またはCAV制御による記録位置での線速度に応じた可変データ速度(トラッキングエラー信号から検出されるウォブル信号に同期したデータ速度であり、外周ほど速くなる)で順次読み出されてエンコーダ96でエンコードされ、ALPC回路94を介してレーザドライバ86を駆動する。これにより、光ピックアップ16からは記録データで再生パワーと記録パワーの2値に変調されたレーザ光28が出射され、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録が開始される(S3)。
【0036】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S4)、自動的に描画層44に対する描画動作に移行する(S5、S6、・・・)。すなわち、最初にセレクトスイッチ88を接点B側に接続したまま(光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82およびトラッキングサーボ84はオン状態)、スピンドルモータ14をCLV制御またはCAV制御で回転駆動して、光ピックアップ16でデータ記録層36から回転基準位置として予め定められた位置を検出する。
【0037】
図8は回転基準位置の設定例を示す。この図はデータ記録層36のグルーブ34に記録されたATIP(CDフォーマットの場合)あるいはADIP(DVD+R(W)フォーマットの場合)による位置情報(セクタ番号)を模式的に示したものである。この例では、セクタ番号を便宜的に簡単な整数で表しており、セクタ“0”とセクタ“1”の境界位置を回転基準位置104として定めている。なお、第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクの場合はATIPによる位置情報に代えて第1セッションのサブコードの位置情報により回転基準位置を設定することができる。また、DVD−R(W)フォーマットの場合はランドプリピットによる位置情報により回転基準位置を設定することができる。また、ハイブリッドCD−Rに対応するような記録可能型DVDであれば、記録済データ領域のECCブロックによる位置情報により回転基準位置を設定することができる。
【0038】
この回転基準位置104を通りディスク放射方向に延びる仮想的な半直線を基準角度線106として定める。基準角度線106は図9に示すようにデータ面12aとレーベル面12bとで同じ位置にあり、描画はこの基準角度線106を回転方向の基準位置として実行される。すなわち、光ピックアップ16でセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置をシークし(図7のS6)、該境界位置すなわち回転基準位置104を検出したら(S7)、FGカウンタ19(図1)のカウント値をリセット(“0”にセット)し(S8)、該回転基準位置104からFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを開始する。FGカウンタ19のカウント値は1回転に相当する値に達するごとに“0”に自動的に戻される。これにより、FGカウンタ19のカウント値は周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置に対応したものとなる。すなわち、回転基準位置104を一度検出した後は、再度回転基準位置104の検出を行うことなく周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置をFGカウンタ19のカウント値で知ることができる。このFGカウンタ19のカウント動作は描画が終了するまで続行される。
【0039】
このようにしてFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを繰り返した状態で、セレクトスイッチ88が接点A側に切り換えられる(S9)。これにより、下側の光ピックアップ16は休止状態となり、上側の光ピックアップ18は能動状態となる。スピンドルモータ14は描画時の速度として定められた所定回転数にCAV制御される。このCAV制御は描画が終了するまで続行される。続いてフォーカスサーボ82がオンされ(S10)、光ピックアップ18から出射されるレーザ光30は再生パワーで光ディスク12の描画層44に合焦制御される。描画層44にはトラック(グルーブ)がないのでトラッキングサーボ84はオフされる。ステッピングモータ26を駆動して光ピックアップ18を一旦内周側原点位置に戻した後、ステッピングモータ26を逆回転させて光ピックアップ18を外周方向に移動させる。このとき内周側原点位置からのステッピングモータ26の駆動パルス数を駆動パルスカウンタ87で計数して光ピックアップ18のディスク径方向位置を計測する。そして、該計測される径方向位置が描画動作を開始する径方向位置として予め定められた位置に達したら径方向移動を一旦停止する(S11)。ここで、「描画を開始」でなく「描画動作を開始」と言ったのは、「描画動作が開始」されても、画像データの内容によっては必ずしもその位置からすぐに「描画」(描画層44の可視光特性の変化)が開始されるわけではないからである。すなわち、描画動作を開始する位置に描画する画素の濃度が0(白)である場合には、描画動作が開始されてもその位置では描画層44の可視光特性に変化を生じさせる「描画」は行われない。濃度が0よりも大きい画素を描画する位置が到来して初めて「描画」が開始される。
【0040】
以上で描画の準備が整うと、ホスト機器100から画像データの送出が開始される。この画像データはインタフェース102を介してバッファメモリ98に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98からディスク回転数に同期した一定速度で順次読み出されてエンコーダ96でエンコードされ、FGカウンタ19のカウント値が“0”のタイミングに合わせて(S12)先頭の画像データから順次出力され(図5の例で言えば、画素P11,P12,・・・,P1n,P21,P22,・・・P2n,・・・・・・,Pmnの順に出力される)、ALPC回路94を介してレーザドライバ86を駆動する。これにより、光ピックアップ18からは画像データで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変調されたレーザ光30が出射され、光ディスク12の描画層44に対する描画動作(1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定の描画)が開始される(S13)。描画動作が開始されると、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して(1周または所定の複数周ごとに1ステップ駆動する)、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【0041】
その後描画が進んで、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する(S14)。描画が終了すると、光ピックアップ16,18の動作が停止され、スピンドルモータ14の回転が停止されて光ディスク12が光ディスク装置10から排出される(S15)。排出された光ディスク12はデータ記録層36に記録データが記録され、描画層44に可視画像が形成されたものである。この可視画像はレーベル面12b側から目視することができる。
【0042】
図10は以上説明した図7の描画制御により光ディスク12の描画層44に描画された可視画像91をレーベル面12b側から目視した一例を示す。この可視画像91は半径R0が描画動作開始径方向位置、半径R1が描画動作終了半径方向位置である。符号12cは中心穴を示す。図10の例では、描画する画像の向きを図5の画像基準角度線11の向きに合わせて画像データ(図5の画素データの集合)を作成しており、しかもFGカウンタ19で計測される基準角度線106のタイミングを基準に描画動作を開始している(図5の最初の画素P11が光ディスク12の基準角度線106上に描画される)ので、光ディスク12の基準角度線106に向きを合わせて可視画像91が描画されている。
【0043】
この実施の形態1によれば、データ記録と描画とで光ディスク12の表裏を反転する操作をする必要がないので、面倒な反転操作が不要になる。また、反転操作が不要なので、データ記録を終了してから描画動作を開始するまでの時間を短縮することができる。また、光ピックアップ16による回転基準位置104の検出に基づいて基準角度線106を定め、この定められた基準角度線106を基準に光ピックアップ18で描画を行うので、基準角度線106の方向に向きをほぼ合わせて可視画像を形成することができる。また、回転基準位置104はデータ面12a側にあるので、レーベル面12b側に回転基準位置としてのマーク等を設けなくて済み、その分描画領域を広く確保することができる。なお、以上の説明ではセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置を基準位置108として設定したが、データ記録層AのグルーブC上の任意の位置を基準位置として設定することができる。
【0044】
《実施の形態1の変形例1》
実施の形態1では光ディスク12のデータ記録層36の所定の回転基準位置104(セクタ“0”とセクタ“1”の境界位置)でFGカウンタ19を一旦リセットし、その後発生されるFGパルスをFGカウンタ19でカウントし、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに該カウント値を“0”に戻すことにより、周回ごとに基準角度線106からの回転角度位置を計測するようにした。しかし、この方法ではFGパルスの分解能が低い場合(1回転あたりのFGパルス数が少ない場合)場合には、データ記録層36の基準角度線106とFGパルスの発生位置とのずれ角(オフセット角度)が大きくなる可能性がある。そして、実施の形態1では描画中はFGパルスの発生位置を基準角度線106の位置と見なして描画するので、このオフセット角度は基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれとして現れる。このため、オフセット角度が大きい場合には、例えば光ディスク12に描画した後、光ディスク12を光ディスク装置10から排出し、その後光ディスク12を光ディスク装置12に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行うと、先に形成された画像と追加された画像とで画像の向きに目立つずれが生じるおそれがある。
【0045】
基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくするための手法を説明する。これは、FGパルスのカウントとシステム制御部90のソフトウェアによるカウントを併用して基準角度線106の検出分解能を高めたものである。その全体の制御フローを図11に示す。光ディスク装置10に光ディスク12をデータ記録層36を下側に向け描画層44を上側に向けて挿入する(S20)。使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の連続実行を指示すると、はじめにセレクトスイッチ88が接点B側に接続される(S21)。これにより、下側の光ピックアップ16は能動状態となり、上側の光ピックアップ18は休止状態となり、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録が開始される(S22)。
【0046】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S23)、自動的に描画層44に対する描画に移行する(S24、S25、・・・)。すなわち、はじめにスピンドルモータ14を描画時の速度として設定された所定回転数にCAV制御する。このCAV制御は描画が終了するまで続行される。続いて、セレクトスイッチ88を接点B側に接続したまま(光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82およびトラッキングサーボ84はオン状態)、光ピックアップ16でデータ記録層36から回転基準位置として予め定められた位置104(図8)を検出する(S25)。そして、この回転基準位置104を通りディスク放射方向に延びる仮想的な半直線を基準角度線106(図8)として定め、この基準角度線106に対する回転角度を、後述するようにFGパルスのカウントとソフトウェアによるカウントを併用して周回ごとに計測する。
【0047】
このようにして基準角度線106に対する回転角度の計測を周回ごとに繰り返した状態で、セレクトスイッチ88が接点A側に切り換えられる(S26)。これにより、下側の光ピックアップ16は休止状態となり、上側の光ピックアップ18は能動状態となり、所定の描画動作開始位置から描画動作が開始される(S27)。その後描画が進み、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する。描画が終了すると、光ディスク12が光ディスク装置10から排出され(S28)、全ての制御が終了する。
【0048】
図11のステップS25「基準角度線を検出」の制御の詳細を図12に示す。また、その動作を図13に示す。この例では、FGパルスは図13(a)に示すように1回転につき6パルス発生するものとしている。FGカウンタ19は図13(b)に示すようにFGパルスの立ち上がりエッジでカウントアップされる。図13(c)はソフトウェアによるカウンタ(「Cカウンタ」という)のカウント値で、水晶発振クロック等に基づく基準クロックによりカウントアップされる。この基準クロックの周期ΔT1はFGパルスの周期よりも短いもので、FGパルスの1周期内に複数パルス(図13の例では約4パルス)発生される。基準クロックの周期ΔT1を短くするほど基準角度線106の検出分解能を高めることができる。
【0049】
図12の制御フローを説明する。この制御フローで「C」はCカウンタのカウント値を表す。基準角度線106の検出工程ではまず光ピックアップ16でセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置すなわち回転基準位置104のシークが開始される(S30)。また、Cカウンタを初期リセットする(S31)。Cカウンタは基準クロックにより時間ΔT1ごとにカウントアップされ(S34,S35)、FGパルスの立ち上がりエッジが検出される(S33)ごとに“0”にリセットされる(S36。図13(c)参照)。回転基準位置104が検出されると(S32)、FGカウンタ19が“0”にリセットされ(S37)、そのときのCカウンタのカウント値C(図13(c)の例ではC=2)が直前のFGパルスの立ち上がりエッジからの回転基準位置104のオフセット値C0としてシステム制御部90内のメモリに記憶される(S38)。これ以降もディスク回転が所定回転数にCAV制御されたまま、FGカウンタ19によるFGパルスのカウントおよびCカウンタによる基準クロックのカウントは続行される。これにより、FGカウンタ19のカウント値が“0”でCカウンタのカウント値がC0のタイミングが周回ごとの基準角度線106のタイミングとして検出される。以上で光ピックアップ16は役目を終了し、そのトラッキング制御がオフされ(S39)、さらにフォーカス制御がオフされる(S40)。
【0050】
図11のステップS27「基準角度線から描画」の制御の詳細を図14に示す。また、その動作を図15に示す。描画動作を開始する時には、まず光ピックアップ18についてフォーカスサーボ82をオンし(S41)、レーザ光30を描画層44に合焦させる。続いてステッピングモータ24を駆動して、光ピックアップ18を所定の描画動作開始半径位置に位置決めさせる(S42)。また、Cカウンタが初期リセットされる(S43)。Cカウンタは前記基準クロックによりΔT1ごとにカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる。FGカウンタ19のカウント値は図12の基準角度線106の検出工程におけるステップS37で“0”にリセットされて以降、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに自動的に“0”に戻されてFGパルスの計数を繰り返す。
【0051】
FGカウンタ19が“0”に戻され(S44)、かつCカウンタが前記基準クロックにより時間ΔT1ごとにカウントアップされて(S46,S47)、該Cカウンタのカウント値が前記メモリに記憶されたオフセット値C0に達したタイミングで(S45)、図15(d)のようにWRITE GATE信号が出され、描画動作が開始される(S48)。前述のようにFGカウンタ19のカウント値が“0”でCカウンタのカウント値がC0のタイミングが周回ごとの基準角度線106のタイミングであるので、これにより基準角度線106の位置から正確に描画動作が開始される。したがって、光ディスク12に描画した後、光ディスク12を光ディスク装置10から排出し、その後光ディスク12を光ディスク装置12に再挿入して追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合にも、先に形成された画像と追加された画像とで画像の向きに目立つずれが生じることなく追加の描画を行うことができる。その後、描画が終了すると(S49)、図11のステップS27「基準角度線から描画」の工程が終了する。
【0052】
《実施の形態1の変形例2》
前記変形例1ではFGパルスのカウントと基準クロックのカウントを併用して基準角度線の検出分解能を高めたが、基準クロックのカウントに代えてFGパルスの逓倍パルスを用いることもできる。この場合は図1に点線で示すように、スピンドルモータ14から出力されるFGパルスを逓倍器108で所定倍数に周波数逓倍し、該周波数逓倍されたFGパルス(逓倍FGパルス)を逓倍FGカウンタ110でカウントする。この逓倍FGカウンタ110は前記変形例1のCカウンタと同様に使用される(図11〜図15参照)。すなわち、図11のステップS25「基準角度線を検出」では、逓倍FGカウンタ110は逓倍FGパルスによりカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる(図13(c)のCカウンタの動作参照)。回転基準位置104(図8)が検出されると、FGカウンタ19が“0”にリセットされ、そのときの逓倍FGカウンタ110のカウント値(図13(c)の例で言えばC=2)が直前のFGパルスの立ち上がりエッジからの回転基準位置104のオフセット値としてシステム制御部90内のメモリに記憶される。
【0053】
図11のステップS27「基準角度線から描画」では、逓倍FGカウンタ110は引き続き逓倍FGパルスでカウントアップされ、FGパルスの立ち上がりエッジが検出されるごとに“0”にリセットされる。FGカウンタ19は基準角度線106の検出工程において回転基準位置104で“0”にリセットされて以降、該カウント値が1回転に相当する値に達するごとに該カウント値が“0”に戻されてFGパルスの計数を繰り返している。FGカウンタ19が“0”に戻され、かつ逓倍FGカウンタ110が逓倍FGパルスでカウントアップされて該逓倍FGカウンタ110のカウント値が前記メモリに記憶されたオフセット値に達するタイミング(図15(c)の例で言えばC=2のタイミング)が周回ごとの基準角度線106のタイミングであるので、このタイミングでWRITE GATE信号(図15(d)参照)が出され、描画動作が開始される。これにより、基準角度線106の位置から正確に描画動作が開始される。
【0054】
《実施の形態2》
この発明の実施の形態2を説明する。これは前記実施の形態1においてセレクトスイッチ88(図1)で切り換えて使用していた光ピックアップ16,18の制御系統および信号系統を光ピックアップ16,18ごとに個別に設けて、光ピックアップ16,18を同時に使用できるようにしたものである。図16に実施の形態2の光ディスク装置のシステム構成を示す。実施の形態1(図1)と共通する部分には同一の符号を用いる。図16の構成は、図1のセレクトスイッチ88をなくし、モータドライバ80、フォーカスサーボ82、トラッキングサーボ84、レーザドライバ86、ALPC回路94、エンコーダ96、バッファメモリ98を光ピックアップ16,18ごとに設けたものである。
【0055】
光ディスク装置111は光ディスク12の種類に応じて次のモードで動作することができるものである。
(a)光ディスク12が片面ディスクの場合:光ピックアップ16または18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)
(b)光ディスク12が両面ディスクの場合:光ピックアップ16および18でデータ記録またはデータ再生(再生専用ディスクの場合は再生のみ)(光ピックアップ16、18は同時または非同時に動作)
(c)光ディスク12が描画層付片面ディスクの場合:光ピックアップ16でデータ記録またはデータ再生、光ピックアップ18で描画(光ピックアップ16、18は同時または非同時に動作)
【0056】
図16の光ディスク装置111を使用して、光ディスク12に下側の光ピックアップ16でデータ記録を行い、これと同時に上側の光ピックアップ18で描画を行う場合の制御フローを図17に示す。この制御は使用者によるデータ記録と描画の同時実行指示に基づいて実行される。ホスト機器100には予めデータ記録用の記録データと描画用の画像データが格納されている。光ディスク装置111に光ディスク12をデータ面12aを下側に向けレーベル面12bを上側に向けて挿入する(S50)。
【0057】
使用者がホスト機器100からデータ記録と描画の同時実行を指示すると両光ピックアップ16、18が共に能動状態となる。続いてスピンドルモータ14が描画時の速度として定められた所定回転数にCAV制御される。このCAV制御はデータ記録および描画が終了するまで続行される。続いてデータ記録側についてフォーカスサーボ82−1がオンされ(S51)、光ピックアップ16から出射されるレーザ光28は再生パワーで光ディスク12のデータ記録層36に合焦制御される。さらに、トラッキングサーボ84−1がオンされ、レーザ光28はデータ記録層36のグルーブ34に追従制御される。この状態で、光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報(ATIP、ADIP、ランドプリピット等。ハイブリッドCD−Rの場合は第1セッションのサブコードの位置情報を利用することもできる)が読み取られ、ステッピングモータ24を駆動して、データ記録層36の回転基準位置として予め定められた位置(例えば図8に示すセクタ“0”とセクタ“1”の境界位置104)のシークを開始する(S52)。回転基準位置104を検出したら(S53)、FGカウンタ19のカウント値をリセット(“0”にセット)し(S54)、該回転基準位置104からFGカウンタ19によるFGパルスのカウントを開始する。FGカウンタ19のカウント値は1回転に相当する値に達するごとに“0”に自動的に戻される。これにより、FGカウンタ19のカウント値は周回ごとに基準角度線106(図9)からの回転角度位置に対応したものとなる。このFGカウンタ19のカウント動作は描画が終了するまで続行される。
【0058】
続いて描画側についてフォーカスサーボ82−2がオンされ(S55)、光ピックアップ18から出射されるレーザ光30は再生パワーで光ディスク12の描画層44に合焦制御される。描画層44にはトラック(グルーブ)がないのでトラッキングサーボ84−2はオフされる。ステッピングモータ26を駆動して光ピックアップ18を一旦内周側原点位置(例えば光ピックアップ18のディスク径方向の移動がストッパで機械的に停止される位置)に戻した後、ステッピングモータ26を逆回転させて光ピックアップ18を外周方向に移動させる。このとき内周側原点位置からのステッピングモータ26の駆動パルス数を駆動パルスカウンタ87で計数して光ピックアップ18のディスク径方向位置を計測する。そして、該計測される径方向位置が描画動作を開始する径方向位置として予め定められた位置に達したら径方向移動を一旦停止する(S56)。さらに、データ記録側について光ピックアップ16により光ディスク12の位置情報(ATIP、ADIP、ランドプリピット等。ハイブリッドCD−Rの場合は第1セッションのサブコードの位置情報の利用も可)を読み取りながらステッピングモータ24を駆動して、データ記録を開始する直前位置をシークし(S57)、該直前位置でデータ記録ポーズ状態(1周に1回1トラック分キックバックする動作状態)にする(S58)。
【0059】
以上でデータ記録と描画の同時実行の準備が整うと、ホスト機器100から記録データと画像データの送出が開始される。画像データはインタフェース102を介してバッファメモリ98−2に一旦蓄えられた後、バッファメモリ98−2からディスク回転数に同期した一定速度で順次読み出されてエンコーダ96−2でエンコードされ、FGカウンタ19のカウント値が“0”のタイミングに合わせて(S59)先頭の画像データから順次出力され(図5の例で言えば、画素P11,P12,・・・,P1n,P21,P22,・・・P2n,・・・・・・,Pmnの順に出力される)、ALPC回路94−2を介してレーザドライバ86−2を駆動する。これにより、光ピックアップ18からは画像データで再生パワー(非描画パワー)と記録パワー(描画パワー)の2値に変調されたレーザ光30が出射され、光ディスク12の描画層44に対する描画動作(1周あたりの画素数がディスク径方向位置にかかわらず一定の描画)が開始される(S60)。描画動作が開始されると、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【0060】
描画動作開始とほぼ同時にデータ記録も開始される。すなわち、ホスト機器100から送出される記録データはインタフェース102を介してバッファメモリ98−1に一旦蓄えられる。そして、データ記録ポーズ状態が解除され(S61)、データ記録開始アドレスが検出されるタイミング(S62)に合わせて、記録データをバッファメモリ98−1からCAV制御による記録位置での線速度に応じた可変データ速度(トラッキングエラー信号から検出されるウォブル信号に同期したデータ速度であり、外周ほど速くなる)で順次読み出し、エンコーダ96−1でエンコードし、ALPC回路94−1を介してレーザドライバ86−1を駆動する。これにより、光ピックアップ16からは記録データで再生パワーと記録パワーの2値に変調されたレーザ光28が出射され、光ディスク12のデータ記録層36に対するデータ記録(ディスク周方向のデータ密度がディスク径方向位置にかかわらず一定となる記録)が開始される(S63)。
【0061】
その後データ記録が進んで、データ記録が終了すると(S64)、光ピックアップ18の動作が停止される。また、描画が進んで、駆動パルスカウンタ87のカウント値が描画動作終了径方向位置として指示された位置に相当する値に達すると、描画動作は終了する(S65)。描画が終了すると、光ピックアップ16の動作が停止される(S65)。そして、スピンドルモータ14の回転が停止されて光ディスク12が光ディスク装置10から排出される(S66)。排出された光ディスク12はデータ記録層36に記録データが記録され、描画層44に可視画像が基準角度線106の方向に向きを合わせて形成されたものである。この可視画像はレーベル面12b側から目視することができる。
【0062】
この実施の形態2によれば、データ記録と描画とで光ディスク12の表裏を反転する操作をする必要がないので、面倒な反転操作が不要になる。また、データ記録と描画を同時に行うので、データ記録と描画を別々の時に行う場合に比べて、データ記録と描画に要する全体の時間を短縮することができる。また、光ピックアップ16による回転基準位置104の検出に基づいて基準角度線106を定め、この定められた基準角度線106を基準に光ピックアップ18で描画を行うので、基準角度線106の方向に向きをほぼ合わせて可視画像を形成することができる。また、回転基準位置104はデータ面12a側にあるので、レーベル面12b側に回転基準位置としてのマーク等を設けなくて済み、その分描画領域を広く確保することができる。
【0063】
なお、実施の形態2においても、前記実施の形態1の変形例1,2で説明したオフセット角度分を補正する手法を採用することにより、基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくすることができ、追加の描画(書き継ぎ、重ね書き等)を行う場合の追加前後での画像の角度ずれを小さく目立たなくすることができる。
【0064】
《描画可能ディスク判断手法1》
光ディスクの盤面に描画を行う場合、描画しようとする光ディスクが描画可能なディスクかどうかを予め判断する必要がある。その判断手法例を説明する。これは、光ディスクが描画可能なディスクであることを示す識別情報(描画可能ディスク識別情報)を新たに定義して光ディスク12のデータ記録層36に記録し、光ディスクが光ディスク装置10(図1)、111(図16)に挿入されたときに、データ面12a側の光ピックアップ16でこの描画可能ディスク識別情報が読み取られるか否かによって、この挿入された光ディスクが描画可能かどうかを判断するものである。
【0065】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例1〉
データ記録層36がCDフォーマットで構成されている場合には、ATIPの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図18はATIPのデータ構造を示す。このデータ構造で、“U1”=“1”とし、“U2〜U7”に描画可能ディスク識別情報を入れることができる。例えば“U1〜U7”=“1010101”を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。
【0066】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例2〉
例えば第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションのサブコードR〜Wの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図19はサブコードのデータ構造を示す。このデータ構造で、“MODE”=“111”、“ITEM”=“000”の場合は、サブコードR〜Wはユーザモードとなり、ユーザが“INSTRUCTION”と“DATA field”を自由に定義することができる。そこで、例えば“INSTRUCTION”=“010101”とし、“DATA field”が図20に示すパターンである場合を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。
【0067】
〈CDフォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例3〉
同様に第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションのリードイン領域やリードアウト領域のメインデータに描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図21はCDフォーマットの1セクタ分のデータ構造を示す。このデータ構造で、プログラム領域では“データ”に意味のあるデータが記録されている。しかし、リードイン領域やリードアウト領域では“データ”はドライブにより読み込まれることがないので、通常はランダムデータやゼロデータといった意味のないデータが記録されている。そこで、リードイン領域やリードアウト領域の“データ”に描画可能ディスク識別情報を記録することができる。リードイン領域やリードアウト領域の“データ”に記録する描画可能ディスク識別情報の一例を図22に示す。この例ではデータ値を1ずつ増加する値としている。
【0068】
〈CDフォーマットの場合の描画可能ディスク識別情報の定義例4〉
同様に第1セッションを記録済にし、第2セッション以降をユーザが記録できるように構成されているいわゆるハイブリッドCD−Rディスクであれば、第1セッションの特定のCRCエラー発生パターンを描画可能ディスク識別情報として定義することができる。そのCRCエラー発生パターン例を図23に示す。番号0〜89は任意のサブコードフレームNからのサブコードフレームのアドレスN〜(N+89)を示す。“○”はCRCエラーなしのサブコードフレームを示し、“×”はCRCエラーありのサブコードフレームを示す。図23の例では、アドレスNに後続する3の倍数のアドレスごとにCRCエラーが発生するパターンを描画可能ディスク識別情報として定義している。そして、このようなCRCエラー発生パターンとなるようにサブコードを記録しておく。
【0069】
〈DVD+R(W)フォーマットにおける描画可能ディスク識別情報の定義例〉
データ記録層36がDVD+RまたはDVD+RWフォーマットで構成されている場合には、ADIPの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。図24はADIPのデータ構造を示す。このデータ構造で、“Byte1”の“b7 to b4”の値を“0000”以外の値とすれば描画可能ディスク識別情報を記録することができる。例えば、“b7〜b4”=“1010”を描画可能ディスク識別情報として定義することができる。なお、ランドプリピットを採用しているDVD−RあるいはDVD−RWフォーマットの場合は、ランドプリピットの未定義コードを用いて描画可能ディスク識別情報を記録することができる。
【0070】
以上のように描画可能ディスク識別情報をデータ記録層36に記録する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断フローを図25に示す。光ディスク12が挿入されると、スピンドルモータ14を駆動し、下側光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82(82−1)をオンし(S70)、レーザ光28をデータ記録層36に合焦させる。続いて光ピックアップ16のトラッキングサーボ84(84−1)をオンし(S71)レーザ光28をデータ記録層36のグルーブ34に追従させる。そして、描画可能ディスク識別情報が記録されているデータ記録層36の領域をシークする(S72)。該領域のデータを読み出し(S73)、描画可能ディスク識別情報の有無を判断し(S74)、描画可能ディスク識別情報が検出された場合はレーベル面12bに描画可能と判断し(S75)、ユーザの描画指示を待って描画を行う。一方、描画可能ディスク識別情報が検出されなかった場合はレーベル面12bに描画不可と判断し(S76)、データ面12aへのデータ記録のみ許可する。
【0071】
《描画可能ディスク判断手法2》
これは、描画可能な光ディスク12のデータ面12a側のディスク基板表面に、データ面12a側の光ピックアップ16で検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成し、光ディスクが光ディスク装置10(図1)、111(図16)に挿入されたときに、光ピックアップ16でこの描画可能ディスク識別情報が読み取られるか否かによって、この挿入された光ディスクが描画可能かどうかを判断するものである。
【0072】
図26に描画可能ディスク識別マークの形成例を示す。(a)は描画可能光ディスク12のデータ面12a側の構造を示し、(b)はそのレーベル面12b側の構造を示す。光ディスク12の層構造は例えば前出の図2、図3、図4等である。この光ディスク12のレーベル面12b側のディスク基板表面に黒色等の印刷で描画可能ディスク識別マーク113を形成する。この例では、中心穴12cの周囲に90°の間隔で印刷した4本のバーで描画可能ディスク識別マーク113を構成している。1本のマーク113の幅(ディスク周方向の長さ)は1mm程度である。この描画可能ディスク識別マーク113を形成する半径方向の領域115(マーク形成領域)はディスク中心から半径21.0〜22.0mmの領域である。この領域はデータ記録層36は存在するが通常の光ディスク装置では記録再生しない領域である。マーク形成領域115の外周側(半径22.0mmよりも外周側)がデータ記録を行うデータ記録領域117である。レーベル面12b側は例えば半径24.0mmから外周側が描画を行う描画領域119である。マーク形成領域115をさらに外周側(例えば、DVDの場合は半径22.0〜24.0mmの領域、CDの場合は半径23.0〜25.0mmの領域)に形成することもできる。
【0073】
以上のように描画可能ディスク識別マーク113を形成する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断フローを図27に示す。光ディスク12が挿入されると、スピンドルモータ14を駆動し、下側光ピックアップ16についてフォーカスサーボ82(82−1)をオンし(S80)、レーザ光28をデータ記録層36に合焦させる。続いて描画可能ディスク識別マーク113が形成されているデータ記録層36の領域をレーザ光28でトレースする(S81)。反射光量の周期的な増減により描画可能ディスク識別マーク113の有無を判断し(S82)、描画可能ディスク識別マーク113が検出された場合はレーベル面12bに描画可能と判断し(S83)、ユーザの描画指示を待って描画を行う。一方、描画可能ディスク識別マーク113が検出されなかった場合はレーベル面12bに描画不可と判断し(S84)、データ面12aへのデータ記録のみ許可する。
【0074】
なお、前記実施の形態ではデータ記録層に記録されている位置情報を流用して回転基準位置を規定したが、この発明はこれに限るものではなく、例えばデータ面側の基板表面やデータ記録層の所定位置(例えばディスク内周側の位置)に形成した、データ面側の光ピックアップで検出可能なマークで回転基準位置を規定することもできる。また、前記実施の形態でははじめにデータ記録を行い該データ記録の終了に続いて描画を行い、またはデータ記録と同時に描画を行うようにしたが、この発明はこれに限るものではなく、データ記録やデータ再生とは無関係に描画のみを行う場合にも適用することができる。
【0075】
また、前記実施の形態では描画層はグルーブを有しないものとして説明したが、グルーブを有するものであってもよい。この場合、DVD規格に準拠した記録可能型両面DVDを使用し、その両面のデータ記録層のうちの片面のデータ記録層を描画層として使用することができる。グルーブを有する描画層に描画を行うときは、描画に使用するレーザ光30で該描画層のグルーブに追従制御して、あるいは追従制御せずに描画を行うことができる。レーザ光30で描画層のグルーブに追従制御して描画を行う行うときは、画像データを構成する画素のディスク径方向の配置間隔はトラックピッチ(グルーブのピッチ)とする。グルーブに追従制御せずに描画を行う場合は、前記実施の形態と同様に、ディスク回転に同期してステッピングモータ26を駆動して(1周または所定の複数周ごとに1ステップ駆動する)、光ピックアップ18を所定の微小ピッチずつ外周方向に順次移動させて描画を進行させる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、この発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図3】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光の他の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図4】図1、図16の光ディスク12の層構造およびレーザ光のさらに別の配置例を示す一部拡大断面図である。
【図5】光ディスク12の描画層44に描画する1枚の画像を構成する画素の配列を模式的に示す図である。
【図6】光ディスク12の描画層44の描画に使用する描画用レーザ光30のレーザパワーの変化を示す波形図である。
【図7】図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を示すフローチャートである。
【図8】光ディスク12のデータ面12aにおける回転基準位置の設定例を示す模式図である。
【図9】光ディスク12の基準角度線106の設定例を示す模式図である。
【図10】図7の描画制御により光ディスク12の描画層44に描画された可視画像91の一例を示す平面図である。
【図11】図1の光ディスク装置10による光ディスク12のデータ記録時および描画時の制御を示すフローチャートで、基準角度線106の方向に対する描画された画像の向きのずれを小さくするための手法を示すものである。
【図12】図11のステップS25「基準角度線を検出」の詳細を示すフローチャートである。
【図13】図12の制御による動作を示すタイムチャートである。
【図14】図11のステップS27「基準角度線から描画」の詳細を示すフローチャートである。
【図15】図14の制御による動作を示すタイムチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2を示す図で、この発明が適用された光ディスク装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図17】図16の光ディスク装置111を使用して、光ディスク12に下側の光ピックアップ16でデータ記録を行い、これと同時に上側の光ピックアップ18で描画を行う場合の制御を示すフローチャートである。
【図18】CDフォーマットのATIPのデータ構造を示す図である。
【図19】CDフォーマットのサブコードのデータ構造を示す図である。
【図20】CDフォーマットのサブコードによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図21】CDフォーマットの1セクタ分のデータ構造を示す図である。
【図22】CDフォーマットのメインデータによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図23】CDフォーマットのCRCエラー発生パターンによる描画可能ディスク識別情報の定義例を示す図である。
【図24】DVD+R(W)フォーマットのADIPのデータ構造を示す図である。
【図25】描画可能ディスク識別情報をデータ記録層に記録する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断手法を示すフローチャートである。
【図26】光ディスク12における描画可能ディスク識別マークの形成例を示す図である。
【図27】描画可能ディスク識別マーク113を形成する場合の光ディスク装置10,111による描画可能ディスク判断判断手法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10…光ディスク装置、12…光ディスク、12a…データ面、12b…レーベル面、16,18…光ピックアップ、36…データ記録層、44…描画層、90…システム制御部、100…ホスト機器、104…回転基準位置、106…基準角度線、113…描画可能ディスク識別マーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置を用いて、
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成する光ディスク描画方法。
【請求項2】
前記検出された回転基準位置に対し所定の位置関係にある回転方向位置から前記可視画像の形成動作を開始する請求項1記載の光ディスク描画方法。
【請求項3】
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングに隣接して前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、
その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングからまたは該発生されるFGパルスの発生タイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始する請求項2記載の光ディスク描画方法。
【請求項4】
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングと、前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングとの時間差を検出し、
その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを前記時間差で補正して求められる該回転基準位置のタイミングからまたは該求められる該回転基準位置のタイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始する請求項2記載の光ディスク描画方法。
【請求項5】
前記回転基準位置が、前記データ記録層のデータ記録フォーマットがCDフォーマットの場合はATIP、サブコードのいずれかの位置情報で定義され、該データ記録層のデータ記録フォーマットがDVDフォーマットの場合はADIP、ランドプリピット、ECCブロックのいずれかの位置情報で定義されている請求項1から4のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項6】
前記一方の光ピックアップで前記光ディスクの前記データ記録層から所定の描画可能ディスク識別情報を検出したことを条件に、該光ディスクの前記描画層に対する前記可視画像の形成を許可する請求項1から5のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項7】
前記描画可能ディスク識別情報がサブコード、メインデータ、CRCエラーの特定発生パターン、ATIP、ADIPのいずれかで記述されている請求項6記載の光ディスク描画方法。
【請求項8】
前記一方の光ピックアップで、前記光ディスクの前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に形成された描画可能ディスク識別マークを検出したことを条件に、該光ディスクの該描画層に対する前記可視画像の形成を許可する請求項1から5のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項9】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置であって、
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成する光ディスク装置。
【請求項10】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクにおいて、
前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に、該ディスク基板表面に対向配置される光ピックアップで検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成してなる光ディスク記録媒体。
【請求項1】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置を用いて、
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成する光ディスク描画方法。
【請求項2】
前記検出された回転基準位置に対し所定の位置関係にある回転方向位置から前記可視画像の形成動作を開始する請求項1記載の光ディスク描画方法。
【請求項3】
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングに隣接して前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、
その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングからまたは該発生されるFGパルスの発生タイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始する請求項2記載の光ディスク描画方法。
【請求項4】
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記光ディスクを所定の回転数で回転数一定に回転駆動し、前記一方の光ピックアップで検出される前記回転基準位置の検出タイミングと、前記光ディスクの回転駆動用スピンドルモータから前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングとの時間差を検出し、
その後前記FGパルスをカウントして前記回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを検出し、前記光ディスクを前記所定の回転数で回転数一定に回転駆動した状態で、該回転基準位置に隣接して発生されるFGパルスの発生タイミングを前記時間差で補正して求められる該回転基準位置のタイミングからまたは該求められる該回転基準位置のタイミングに対し所定の時間関係にあるタイミングから前記可視画像の形成動作を開始する請求項2記載の光ディスク描画方法。
【請求項5】
前記回転基準位置が、前記データ記録層のデータ記録フォーマットがCDフォーマットの場合はATIP、サブコードのいずれかの位置情報で定義され、該データ記録層のデータ記録フォーマットがDVDフォーマットの場合はADIP、ランドプリピット、ECCブロックのいずれかの位置情報で定義されている請求項1から4のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項6】
前記一方の光ピックアップで前記光ディスクの前記データ記録層から所定の描画可能ディスク識別情報を検出したことを条件に、該光ディスクの前記描画層に対する前記可視画像の形成を許可する請求項1から5のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項7】
前記描画可能ディスク識別情報がサブコード、メインデータ、CRCエラーの特定発生パターン、ATIP、ADIPのいずれかで記述されている請求項6記載の光ディスク描画方法。
【請求項8】
前記一方の光ピックアップで、前記光ディスクの前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に形成された描画可能ディスク識別マークを検出したことを条件に、該光ディスクの該描画層に対する前記可視画像の形成を許可する請求項1から5のいずれかに記載の光ディスク描画方法。
【請求項9】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクを挟んで該光ディスクの上下に光ピックアップをそれぞれ配置し、これら両光ピックアップは前記光ディスクの回転方向について相互の位置関係が固定に設定され、前記光ディスクを回転駆動した状態で、一方の光ピックアップで前記データ記録層にデータ記録を行いまたは該データ記録層から記録データの読み取りを行い、これと同時または非同時に他方の光ピックアップで前記描画層に可視画像の形成を行うことができる光ディスク装置であって、
前記描画層に対する可視画像の形成動作を開始する前に予め前記一方の光ピックアップで前記光ディスクから所定の回転基準位置を検出し、該検出された回転基準位置に対して前記可視画像の向きを所定の回転角度方向に合わせて前記他方の光ピックアップで該可視画像を前記描画層に形成する光ディスク装置。
【請求項10】
データ記録層と描画層が積層配置された光ディスクにおいて、
前記データ記録層が配置された側のディスク基板表面または該データ記録層の、データ記録領域よりも内周側の領域に、該ディスク基板表面に対向配置される光ピックアップで検出可能な描画可能ディスク識別マークを形成してなる光ディスク記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
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【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−4243(P2008−4243A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175824(P2006−175824)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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