説明

光ディスク装置および光ディスク記録方法

【課題】
ガイド層と記録層の少なくとも2つの種類の層で形成される光ディスクの場合、波長の異なる2つ以上の光ビームを用いるため、ディスク接線方向の記録密度とディスク半径方向の記録密度が両立しない課題がある。
【解決手段】
半導体レーザを出射した第1の光ビームと第2の光ビームの対物レンズに入射する光軸方向を変える光軸角度可変素子を有した光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置において、ガイド層の1つのガイドトラックに対して、複数トラック相当の記録マークを形成するよう、前記光軸角度可変素子を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及び光ディスク記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2003−67939-(特許文献1)がある。本公報には課題として「狭いトラックピッチで安定的に記録又は再生が可能な光学式情報記録媒体及び記録再生方法を提供する。」と記載があり、解決手段として「光学式情報記録媒体は、基板31と少なくとも1層の記録層34を有し、基板に所定のガイドピッチで離れて交わることなく延在する複数のガイドトラック32と、記録間隔がガイドピッチより小で、ガイドトラックに並列に配列された反射率又は透過率の変化した複数の記録マークとを有し、記録層34に集光された光ビームよる記録層の反射率又は透過率の変化により情報の記録又は再生可能である。記録間隔で互いに離間した複数の光ビームを照射して、光ビームの1つで照射されたガイドトラック32からの戻り光に基づいてトラッキング誤差信号を生成し、ガイドトラック上にて光ビームのスポットを追従せしめ、光ビームのスポットの他の1つで記録し、光ビームのスポットの少なくとも1つからの戻り光により読み取り信号を生成する。」と記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−67939
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスクにおいては2層以上のディスク層数とすることで記録容量を増やしており、今後もディスク層数を多くすることで記録容量を増やすことが期待されている。多層ディスクとして特許文献1のようなサーボ信号検出用の層(ガイド層)と記録層の少なくとも2つの種類の層で形成されるガイド層分離型の光ディスクが提案されている。
【0005】
このようなガイド層分離型の光ディスクにおいて記録容量を大きくするときに1層当たりの記録容量を大きくすることが課題となっている。以下その理由について説明する。
【0006】
まず、1つ目にサーボ用の光ビームと記録用の光ビームの波長の違いがある。本実施例のようなガイド層分離型の光ディスクの場合、それぞれの層に反射率の波長特性を持たせているため、記録層で集光する光ビームと、ガイド層で集光する光ビームの波長を変える必要がある。このとき、光ビームのスポット径を小さくするためには、原理的に短い波長の光ビームでなければならない。
【0007】
ここで、例えばガイド層に集光する光ビームに対し、記録層に集光する光ビームの波長を短くしたとする。このようにすると、記録層でのスポット径を小さくすることができるため、ディスク接線方向の記録密度を大きくすることができる。しかし、ガイド層のガイドトラックピッチが、短い波長のレーザを用いるときに比べ、大きくなってしまうため、ディスク半径方向の記録密度を大きくすることができない。ここで、このままの状態でガイドトラックピッチだけを小さくしていくと不安定なトラッキング誤差信号となってしまうため、安定した記録ができなくなってしまう課題がある。
【0008】
また、例えばガイド層に集光する光ビームに対し、記録層に集光する光ビームの波長を長くしたとすると、ディスク半径方向の記録密度を大きくすることができる一方、ディスク接線方向の記録密度を大きくすることがきないため、1層当たりの記録密度を大きくすることができない。
【0009】
このように、ガイド層と記録層の少なくとも2つの種類の層で形成される光ディスクの場合、ディスク接線方向の記録密度とディスク半径方向の記録密度が両立しない課題がある。
【0010】
これに対し、特許文献1では、ガイド層の1つのガイドトラックに対して、複数トラック相当の記録マークを形成することを特徴としている。具体的には、サーボ層に複数のスポットを形成し、トラッキング誤差信号を生成するスポットを選択的に切り替えることにより、記録層のスポット位置を相対的にずらしている。これにより、ガイド層と記録層に分かれた光ディスクにおけるディスク接線方向の記録密度とディスク半径方向の記録密度の両立の課題を解決している。
【0011】
ところが、特許文献1の場合、ガイド層の偏芯によって半径方向の記録マークの間隔が変化してしまうことが課題となっている。この課題について以下説明する。
【0012】
ガイド層に偏芯があると、トラックの角度が回転位置に応じて変化する。例えば、ここでガイド層に集光する光ビームのメインビームと複数のサブビームがあるとする。このとき、記録層に集光する光ビーム(記録用光ビーム)は、メインビームと略同じ光軸とする。
【0013】
まず、メインビームでトラッキング制御を行った場合、ガイドトラックの角度が変化したとしても、記録用光ビームはガイドトラックと同じ軌道で走査するため、半径方向の記録マーク位置はガイドトラックと同じように一定間隔となる。それに対し、サブビームでトラッキング制御を行った場合、ガイドトラックの角度が変化すると、記録用光ビーム、メインビームとサブビームのディスク半径方向の間隔が大きく変化してしまう。これは、信号検出の観点から複数のビームの間隔をディスク接線方向に所定量離さなければならないためであり、トラックの角度が変わるとそれに伴ってディスク半径方向の距離(トラックに対して垂直方向の距離)が変化してしまうためである。このため、メインビームのトラッキング制御で記録した記録マークとサブビームのトラッキング制御で記録した記録マークの半径方向の位置がディスク回転位置に応じて変化してしまうのである。これにより、記録マークの半径位置ずれに伴い、半径方向の隣接記録マークによる再生性能劣化が課題となる。さらに、例えばメインビームのトラッキング制御で記録した記録マークをサブビームのトラッキング制御した記録用光ビームで追加記録してしまうことで記録情報の破壊などが発生してしまうことが課題となっている。
【0014】
そこで本発明は、ガイド層分離型の光ディスクにおいて、ガイド層の1つのガイドトラックに対して、複数トラック相当の記録マークを形成する光ディスク装置および光ディスク記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明によって達成できる。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第1の光ビームを出射する半導体レーザと、第2の光ビームを出射する半導体レーザと、前記第1、第2の光ビームを光ディスクに照射する対物レンズと、少なくとも第2光ビームの前記対物レンズに入射する光軸方向を変える光軸角度可変素子と、前記第1、第2の光ビームが入射する対物レンズを前記ディスク半径方向に駆動するアクチュエータと、前記光ディスクから反射した前記第1、第2の光ビームを受光する光検出器と、を備えた光ピックアップ装置を搭載している光ディスク装置であって、記録層とガイド層の少なくとも2層を有する光ディスクを記録する場合、前記第1の光ビームは記録層に集光し、前記第2の光ビームはガイド層に集光し、前記光軸角度可変素子の駆動量を変えることで、前記光ディスク上の第1の光ビームと第2の光ビームの相対位置をずらし、前記ガイド層のガイドトラックの半径方向の本数よりも、記録層の記録マーク列の半径方向の本数が多くなるよう記録することを特徴とする光ディスク装置による。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガイド層分離型の光ディスクにおいて、ガイド層の1つのガイドトラックに対して、複数トラック相当の記録マークを形成することができる。これにより一層当たりの記録容量を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における本発明の光ディスク装置を説明する図である。
【図2】実施例1における本発明の光ディスク装置の光ピックアップ装置光学系を説明する図である。
【図3】実施例1における本発明の光ディスクと第1、第2の光ビームの関係を示す図である。
【図4】実施例1における本発明のディスク記録方法を示す図である。
【図5】実施例1における本発明のドライブの記録動作を示す図である。
【図6】実施例1における本発明の記録動作での光ビームの角度調整方法を示す図である。
【図7】実施例1における本発明のドライブのイレース動作を示す図である。
【図8】実施例1における本発明のイレース動作での光ビームの角度調整方法を示す図である。
【図9】実施例2における本発明の光ディスク装置の光ピックアップ装置光学系を示す図である。
【図10】実施例3における本発明の光ディスク装置の光ピックアップ装置光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の光ディスク装置の概略構成である。本発明の光ディスク装置は、ガイド層と記録層とを有する光ディスクに少なくとも対応した光ディスク装置である。
【0019】
光ディスク装置内の光ピックアップ装置170は、光ディスク100のRad方向に沿って駆動できる機構が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御される。
【0020】
レーザ点灯回路177からは所定のレーザ駆動電流が光ピックアップ装置170内の半導体レーザに供給され、半導体レーザからは再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は光ピックアップ装置170内に組み込むこともできる。
【0021】
光ピックアップ装置170内の光検出器から出力された信号は、サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では光検出器からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置170内のアクチュエータを駆動して、対物レンズの位置制御がなされる。また、サーボ信号生成回路174では、光検出器からの信号に基づいて光軸角度誤差信号が生成され、これを基に光軸角度可変素子駆動回路179を経て光ピックアップ内の光軸角度可変素子を駆動して光軸角度調整が行われる。また、前記情報信号再生回路175では、前記光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。
【0022】
サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175で得られた信号の一部はコントロール回路176に送られる。このコントロール回路176にはスピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、レーザ点灯回路177などが接続され、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向およびアクセス位置の制御、対物レンズのサーボ制御、光ピックアップ装置170内の半導体レーザ発光光量の制御などが行われる。また記録時には、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間の情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいてレーザ点灯回路177の点灯制御を行って、光ディスク100へ所望の情報を書き込む。
【0023】
このような光ディスク装置において、図2は光ピックアップ装置170の光学系を示したものである。
【0024】
まず、記録層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ50から第1の光ビームが出射される。半導体レーザ50を出射した第1の光ビームは、レンズ51により略平行光に変換される。そして、レンズ51を透過した光ビームは、PBSプリズム52、レンズ53、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て角度可変立上げミラー10に入射する。なお、PBSプリズム52は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ50から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射した光ビームを効率良く反射する特性を有している。また、ダイクロイックプリズムは、波長選択性があり、本実施例では、半導体レーザ50を出射した第1の光ビームを反射し、半導体レーザ60を出射した第2の光ビームを透過する特性を有するプリズムとなっている。
【0025】
ここで、レンズ53は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正することが可能となる。
【0026】
そして、角度可変立上げミラー10を反射した光ビームは、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上の記録層に集光する。記録層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、角度可変立上げミラー10、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ53、PBSプリズム52を経て、レンズ54に入射する。レンズ54では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器55で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号のDPD信号や再生信号が検出される。
【0027】
次にガイド層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ60を出射した第2の光ビームは、レンズ61により略平行光に変換される。そして、レンズ61を透過した光ビームは、PBSプリズム62、レンズ63、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て角度可変立上げミラー10に入射する。なお、PBSプリズム62は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ50から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射した光ビームを効率良く反射する特性を有している。
【0028】
ここで、レンズ63は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層とガイド層から発生する相対デフォーカスを補正することが可能となる。
【0029】
そして、角度可変立上げミラー10を反射した光ビームは、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上のガイド層に集光する。ガイド層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、角度可変立上げミラー10、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ63、PBSプリズム62を経て、レンズ64に入射する。レンズ64では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器65で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号が検出される。
【0030】
このような光学系構成において、本実施例の特徴は、光軸角度可変素子として角度可変立上げミラー10を搭載していることである。例えばMEMSミラーなどが角度可変立上げミラー10に相当する。
【0031】
図3は、本発明の光ディスクと第1、第2の光ビームの関係を示したものである。ここでは、簡単のため1つの記録層400と1つのガイド層500として説明する。なお、第1の光ビーム410は記録層400で集光し、第2の光ビーム510はガイド層500で集光している。また、記録位置600、601、602は、本実施例における記録位置を示しており、(a)は記録位置600を記録している状態、(b)は記録位置601を記録している状態、(c)は記録位置602を記録している状態を示している。このように記録することでガイド層上の1つのガイドトラックに対し、複数の記録マーク列を形成することができる。図4は、本発明でのディスク記録状態を示している。ここで、W600、W601、W602は、図3の記録位置600、記録位置601、記録位置602を示している。この図においてガイド層のガイドトラック位置相当の記録部はW601であることから、本発明では、記録マークの半径方向の周期がガイドトラックピッチの1/3の周期となっていることがわかる。
【0032】
このように、本実施例のように光ディスクに対して第1、第2の光軸の入射角度を変えることにより、記録層400上での第2の光ビームのスポット位置を変えることで、1つのガイドトラック当たりの半径方向の記録マーク列を複数にすることができるため、半径方向の記録密度を向上することが可能となる。ここで、本実施例の記録方法の場合、第1の光ビームと第2の光ビームのずれ量は、隣接記録マーク間の半径方向の距離のみであるため、特許文献1で課題となったガイド層の偏芯があったとしても問題なく、安定した記録が行える特長がある。
【0033】
次に、本実施例の光ディスク装置での記録動作、イレース動作について説明する。まず記録動作について説明する。図5は、本実施例のドライブの記録動作について示したものである。まず、光ディスクドライブのコントロール回路(図示せず)からの指令に応じて記録動作を開始する。まず、ディスクを駆動し、半導体レーザ50、半導体レーザ60を点灯する(SW1)。ここで、フォーカス制御やトラッキング制御を行い、ディスクの所定領域を使用して記録パワーや、レンズ53による球面収差補正や、対物レンズの角度等の記録条件最適化を各層で行う(SW2)。その後、光軸角度可変素子を用いて光ビーム角度の調整を行う(SW3)。この角度調整の結果を元に記録を開始する(SW4)。
【0034】
ここで、図6は、記録動作での光ビームの角度調整方法を示したものである。まず第1の光ビーム(記録層)でフォーカス制御した後(S1)、記録部で第2の光ビーム(ガイド層)でトラッキング制御を行う(S2)。ここで、光ディスクが既に記録されている場合には、追記記録位置付近まで移動し、第1のトラッキング誤差信号が所定の位置で略0となるよう光軸可変素子を制御する(S4)。このとき、光軸可変素子の制御を学習する(S5)。そして、第1の光ビームのトラッキング制御をオフにし、学習に応じて光軸可変素子を駆動する(S6)。第2の光ビームでトラッキング制御した状態で、光軸可変素子を駆動すると所定の位置の記録マークを追従可能となる。そして、この後所定位置で記録を開始する(図5 SW4)。
【0035】
次に、光ディスクに既に記録された領域がない場合には、対物レンズを固定し、第2の光ビームのトラッキング誤差信号が略0となるよう光軸可変素子を制御する(S7)。そして、同じディスク回転角での隣接ガイドトラックの2点以上での光軸可変素子の制御を学習する(S8)。例えば、図4のP601AとP601Bが隣接ガイドトラックの2点に相当する。ここで、2点以上での演算結果を元に光軸可変素子を制御する。つまり、2つの光軸角度から間の位置を算出しているのである。例えば、本実施例では、対物レンズ入射角度を線形補間することで記録位置の最適化を行っている。そして、その制御のまま所定位置に移動し、記録を行う(図5 SW4)。
【0036】
ここで、本実施例は光ディスクに既に記録された領域がある場合には、以前に記録された条件に合わせて光軸可変素子を制御していることが特徴としている。そして、既に記録された領域がない場合には、隣り合うガイドトラックの角度から、間の角度の制御量を決定している。このようにすることで、隣接するガイドトラックの間に記録マークを形成することができる。このため、ディスクに対し効率良く記録するためには、nを自然数としたとき、ガイド層のトラックピッチに対し、記録層の半径方向の記録マーク列の周期をn倍とすれば良い。
【0037】
次にイレースの動作について説明する。図7は、本実施例のドライブのイレース動作について示したものである。まず、光ディスクドライブのコントロール回路(図示せず)からの指令に応じてイレース動作を開始する。まず、ディスクを駆動し、半導体レーザ50、半導体レーザ60を点灯する(SE1)。ここで、フォーカス制御やトラッキング制御を行い、ディスクの所定領域を使用してイレースパワーや、レンズ53による球面収差補正や、対物レンズの角度等のイレース条件最適化を行う(SE2)。その後、ディスクに入射する光ビームの入射角度を以前に記録した状態と合わせるために角度可変立上げミラー10の最適化を行う(SE3)。そしてその最適化条件の下、ディスクに情報をイレースを行う(SE4)。
【0038】
ここで、図8は、イレース動作での光ビームの角度調整方法を示したものである。まず第1の光ビーム(記録層)でフォーカス制御した後(T1)、記録部で第2の光ビーム(ガイド層)でトラッキング制御を行う(T2)。ここで、イレースを行う位置付近まで移動し、第1のトラッキング誤差信号が所定の位置で略0となるよう光軸可変素子を制御する(T3)。このとき、光軸可変素子の制御を学習する(T4)。そして、第1の光ビームのトラッキング制御をオフにし、学習に応じて光軸可変素子を駆動する(T5)。第2の光ビームでトラッキング制御した状態で、光軸可変素子を駆動すると所定の位置の記録マークを追従可能となる。そして、この後所定位置でイレースを開始する(図7 SE4)。このように、以前に記録された条件に合わせて光軸可変素子である角度可変立上げミラー10を制御することで、安定したイレース動作が行える特長がある。
【0039】
以上のように、本実施例は角度可変立上げミラー10を制御することで、隣接するガイドトラックの間に記録マークを形成することが可能となる。また、角度可変立上げミラー10を制御することでイレースも行うことが可能となる。
【0040】
なお、本実施例では、光ビームの角度調整(SW3、SE3)を1度しか行わなかったが、これには限定されず例えば記録およびイレースの性能を向上させる目的で1〜数トラック周期おきに光ビーム角度最適化を行っても良い。
【0041】
そして、光ビームの角度調整(SW3、SE3)後の光軸可変素子の駆動方法は固定角度に限定されなく、例えば、スピンドルに対してディスクが傾いて取り付けられた場合には、ディスクの傾きが時間に依って変化するため、光軸可変素子を時間的に制御しても良い。この場合には、光軸可変素子を駆動した後の光軸がディスク半径方向に向かって略サイン関数で変位するよう制御すればよい。このとき、略サイン関数のDC成分は、記録位置への変位、ディスクに対する光ピックアップ装置170の傾き、第1の光ビームと第2の光ビームの相対光軸ずれ等を示し、AC成分は、スピンドルに対してディスクが傾くことによる記録層での第1の光ビームのスポットと第2の光ビームのスポットの相対位置変化を示している。ここで、例えば回転周期1周期の中で数点摘出し、サイン関数で近似し、その近似式に合わせて光軸可変素子を制御しても良い。さらにそれには限定されず、例えば回転周期1周期の制御を学習し、その制御を行っても良い。
【0042】
また、本実施例では簡単のため、記録層とガイド層を1層で説明したが、記録層とガイド層が2層以上あったとしても同様の効果が得られる。また、本実施例では、1つのガイドトラック当たりの半径方向の記録マーク列を3列(図3記録位置600、601、602)で説明したが、これには限定されなく、例えば1つのガイドトラック当たりの半径方向の記録マーク列を4列であったり、それ以上であっても良い。
【0043】
そして、本実施例の光学系を図2で示したが、この光学系だけには限定されず、光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらす構成となっていれば同様の効果が得られる。また、光ビームの角度最適化方法を図6示したが、これ以外の動作であっても良い。また、ガイド層はトラック構造であっても良いし、ピット構造であっても良い。そして、ガイド層がトラック構造の場合には例えばPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良いし、ピット構造の場合には例えばDPD信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。また、記録層についてもPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。
【0044】
本実施例では、対物レンズがディスク半径方向に光軸ずれした場合ついては説明しなかったが、例えば製造上のばらつきなどで第1の光ビームと第2の光ビームの光軸傾きずれが発生しても、本実施例のように、光軸を傾けることで第1の光ビームと第2の光ビームを所定の位置に集光することが可能となる。
【0045】
さらに、本実施例では角度可変立上げミラー10をMEMSミラーで説明したがこれには限定されず、反射光の角度を駆動できれば同様の効果が得られる。
【0046】
そして、本実施例では、記録動作やイレース動作ごとに角度可変立上げミラー10の最適化を行ったが、予め学習してあれば省略しても良い。
【0047】
さらに1つのガイドトラックに対する半径方向の記録マーク列を層により変えても良い。これは、本実施例の光軸可変素子の角度を調整することで実現できる。本実施例は、対物レンズに発散、収束光を入射することで、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正しているため、補正量が大きくなると対物レンズが高次収差が発生し、ディスク上のスポットが歪む。このため、収差の小さい層では高密度記録、収差の大きい層では、低密度記録とすることでディスクに記録する容量を最大とすることができる。
【0048】
また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式は非点収差方式であったが、これには限定されず、例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式であっても良い。さらに、本発明は光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらして記録することを特徴としているため、図4のようなガイドトラックに限定されず、例えば特許文献1のようなガイドトラック構造であっても良いし、それ以外の構造であっても良い。
【実施例2】
【0049】
図9は本発明の第2の実施例に係る本発明の光ディスク装置における光ピックアップ装置170の光学系を示したものである。本実施例と実施例1との違いは、光軸角度可変素子が異なることである。実施例1では、角度可変立上げミラー10を用いていたが、本実施例ではディスク半径方向に駆動可能なレンズ15を用いてディスクに入射する光ビームの入射角度を変えていることが異なっている。なお、図中に示された各光学部品については、図2に示した本発明の第1の実施例と同じ機能を有する光学部品には同じ番号を付している。
【0050】
まず、記録層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ50から第1の光ビームが出射される。半導体レーザ50を出射した第1の光ビームは、レンズ51により略平行光に変換される。そして、レンズ51を透過した光ビームは、PBSプリズム52、レンズ53、ダイクロイックプリズム74を経て、レンズ15に入射する。
【0051】
ここで、レンズ53は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ15と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正することが可能となる。
【0052】
そして、レンズ15を出射し、立上げミラー70を反射した光ビームは、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上の記録層に集光する。記録層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、立上げミラー70、レンズ15、ダイクロイックプリズム74、レンズ53、PBSプリズム52を経て、レンズ54に入射する。レンズ54では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器55で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号のDPD信号が検出される。
【0053】
次にガイド層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ60を出射した第2の光ビームは、レンズ61により略平行光に変換される。そして、レンズ61を透過した光ビームは、PBSプリズム62、レンズ63、ダイクロイックプリズム74を経て、レンズ15に入射する。
【0054】
ここで、レンズ63は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ15と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層とガイド層から発生する相対デフォーカスを補正することが可能となる。
【0055】
そして、レンズ15を出射し、立上げミラー70を反射した光ビームは、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上のガイド層に集光する。ガイド層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、立上げミラー70、レンズ15、ダイクロイックプリズム74、レンズ63、PBSプリズム62を経て、レンズ64に入射する。レンズ64では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器65で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号が検出される。
【0056】
このような光学系構成において、本実施例の特徴は、光軸角度可変素子としてレンズと半径方向に駆動可能な駆動機構を搭載していることである。ここでは、例えば対物レンズが搭載されているアクチュエータ等のように電流で駆動する磁気駆動機構であるとする。ここで、収束/発散光中でレンズが変位すると光軸方向が変位する。これにより、レンズ15のディスク半径方向の位置を変化させることで、対物レンズに入射する光軸を変えることができるため、1つのガイドトラック当たりの半径方向の記録マーク列を複数にすることができ、半径方向の記録密度を向上することが可能となる。
【0057】
ここで、記録動作やイレース動作については、実施例1と同様であり、図5、図6に示す記録動作、図7、図8に示すイレース動作を行うことで安定した記録、イレースを行える。
【0058】
なお、実施例1同様、光ビームの角度調整(SW3、SE3)後の光軸可変素子の駆動方法は固定角度に限定されなく、例えば、スピンドルに対してディスクが傾いて取り付けられた場合には、ディスクの傾きが時間に依って変化するため、光軸可変素子を時間的に制御しても良い。この場合には、光軸可変素子を駆動した後の光軸がディスク半径方向に向かって略サイン関数で変位するよう制御すればよい。このとき、略サイン関数のDC成分は、記録位置への変位、ディスクに対する光ピックアップ装置170の傾き、第1の光ビームと第2の光ビームの相対光軸ずれ等を示し、AC成分は、スピンドルに対してディスクが傾くことによる記録層での第1の光ビームのスポットと第2の光ビームのスポットの相対位置変化を示している。ここで、例えば回転周期1周期の中で数点摘出し、サイン関数で近似し、その近似式に合わせて光軸可変素子を制御しても良い。さらにそれには限定されず、例えば回転周期1周期分の制御を学習し、その制御を行っても良い。
【0059】
そして、本実施例の光学系を図9で示したが、この光学系だけには限定されず、光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらす構成となっていれば同様の効果が得られる。このため、例えばレンズ63やレンズ53などをディスク半径方向に駆動しても同様の効果が得られる。特にレンズ63は、ガイド層の信号を検出する第2の光ビームのみに作用し、記録層の信号を検出する第1の光ビームには全く作用しないため、対物レンズに入射する光ビームの傾きずれに伴う収差が発生しない。このため、レンズ63を駆動するとレンズ15やレンズ64を駆動するよりも安定した記録を行える利点がある。
【0060】
また、光ビームの角度最適化方法を図6で示したが、これ以外の動作であっても良く、ガイド層でトラッキング制御した状態で、記録層のトラッキング誤差信号から光軸を制御し補正する方法であれば同様の効果が得られる。また、ガイド層はトラック構造であっても良いし、ピット構造であっても良い。そして、ガイド層がトラック構造の場合には例えばPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良いし、ピット構造の場合には例えばDPD信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。また、記録層についてもPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。
【0061】
本実施例では、対物レンズがディスク半径方向に光軸ずれした場合ついては説明しなかったが、例えば製造上のばらつきなどで第1の光ビームと第2の光ビームの光軸傾きずれが発生しても、本実施例のように、光軸を傾けることで第1の光ビームと第2の光ビームを所定の位置に集光することが可能となる。
【0062】
さらに、本実施例ではレンズ15を磁気駆動機構で説明したがこれには限定されず、レンズを駆動できれば同様の効果が得られる。
【0063】
そして、本実施例では、記録動作やイレース動作ごとにレンズ15の最適化を行ったが、予め学習してあれば省略しても良い。
【0064】
さらに1つのガイドトラックに対する半径方向の記録マーク列を層により変えても良い。これは、本実施例の光軸可変素子の角度を調整することで実現できる。本実施例は、対物レンズに発散、収束光を入射することで、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正しているため、補正量が大きくなると対物レンズが高次収差が発生し、ディスク上のスポットが歪む。このため、収差の小さい層では高密度記録、収差の大きい層では、低密度記録とすることでディスクに記録する容量を最大とすることができる。
【0065】
また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式は非点収差方式であったが、これには限定されず、例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式であっても良い。さらに、本発明は光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらして記録することを特徴としているため、図4のようなガイドトラックに限定されず、例えば特許文献1のようなガイドトラック構造であっても良いし、それ以外の構造であっても良い。
【実施例3】
【0066】
図10は本発明の第3の実施例に係る本発明の光ディスク装置における光ピックアップ装置170の光学系を示したものである。本実施例と実施例1との違いは、光軸角度可変素子が異なることである。実施例1では、角度可変立上げミラー10を用いていたが、本実施例では液晶収差素子17を用いてディスクに入射する光ビームの入射角度を変えていることが異なっている。なお、図中に示された各光学部品については、図2に示した本発明の第1の実施例と同じ機能を有する光学部品には同じ番号を付している。
【0067】
まず、記録層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ50から第1の光ビームが出射される。半導体レーザ50を出射した第1の光ビームは、レンズ51により略平行光に変換される。そして、レンズ51を透過した光ビームは、PBSプリズム52、レンズ53、ダイクロイックプリズム74を経て、レンズ75入射する。
【0068】
ここで、レンズ53は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正することが可能となる。
【0069】
そして、レンズ75を出射し、立上げミラー70を反射した光ビームは、液晶収差素子17、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上の記録層に集光する。記録層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、液晶収差素子17、立上げミラー70、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ53、PBSプリズム52を経て、レンズ54に入射する。レンズ54では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器55で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号のDPD信号が検出される。
【0070】
次にガイド層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ60を出射した第2の光ビームは、レンズ61により略平行光に変換される。そして、レンズ61を透過した光ビームは、PBSプリズム62、レンズ63、ダイクロイックプリズム74を経て、レンズ75に入射する。
【0071】
ここで、レンズ63は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層とガイド層から発生する相対デフォーカスを補正することが可能となる。
【0072】
そして、レンズ75を出射し、立上げミラー70を反射した光ビームは、液晶収差素子17、1/4波長板76を透過し、アクチュエータに搭載された対物レンズ1を経て、光ディスク上のガイド層に集光する。ガイド層を反射した光ビームは、対物レンズ1、1/4波長板76、液晶収差素子17、立上げミラー70、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ63、PBSプリズム62を経て、レンズ64に入射する。レンズ64では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器65で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号が検出される。
【0073】
このような光学系構成において、本実施例の特徴は、光軸角度可変素子として液晶収差素子17を搭載していることである。ここで液晶収差素子17は例えば階段状もしくはスロープ状の屈折率分布を有した液晶素子で、電圧を印加することで屈折率を変化させることが可能な素子である。
【0074】
これにより、液晶収差素子17の屈折率分布を変化させることで、対物レンズに入射する光軸角度を変えることができるため、1つのガイドトラック当たりの半径方向の記録マーク列を複数にすることができ、半径方向の記録密度を向上することが可能となる。
【0075】
ここで、記録動作やイレース動作については、実施例1と同様であり、図5、図6に示す記録動作、図7、図8に示すイレース動作を行うことで安定した記録、イレースを行える。
【0076】
なお、実施例1同様、光ビームの角度調整(SW3、SE3)後の光軸可変素子の駆動方法は固定角度に限定されなく、例えば、スピンドルに対してディスクが傾いて取り付けられた場合には、ディスクの傾きが時間に依って変化するため、光軸可変素子を時間的に制御しても良い。この場合には、光軸可変素子を駆動した後の光軸がディスク半径方向に向かって略サイン関数で変位するよう制御すればよい。このとき、略サイン関数のDC成分は、記録位置への変位、ディスクに対する光ピックアップ装置170の傾き、第1の光ビームと第2の光ビームの相対光軸ずれ等を示し、AC成分は、スピンドルに対してディスクが傾くことによる記録層での第1の光ビームのスポットと第2の光ビームのスポットの相対位置変化を示している。ここで、例えば回転周期1周期の中で数点摘出し、サイン関数で近似し、その近似式に合わせて光軸可変素子を制御しても良い。さらにそれには限定されず、例えば回転周期1周期分の制御を学習し、その制御を行っても良い。
【0077】
そして、本実施例の光学系を図10で示したが、この光学系だけには限定されず、光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらす構成となっていれば同様の効果が得られる。このため、液晶収差素子17の配置位置は、対物レンズ1と立上げミラー70の間には限らず光学系のどの位置に配置しても同様の効果が得られる。特にガイド層の信号を検出する光学系に配置すると、ガイド層の信号を検出する第2の光ビームのみに作用し、記録層の信号を検出する第1の光ビームには全く作用しないため、対物レンズに入射する光ビームの傾きずれに伴う収差が発生しない。このため、第1の光ビームと第2の光ビームの共通光路に配置するよりも安定した記録を行える利点がある。
【0078】
また、光ビームの角度最適化方法を図6で示したが、これ以外の動作であっても良く、ガイド層でトラッキング制御した状態で、記録層のトラッキング誤差信号から光軸を制御し補正する方法であれば同様の効果が得られる。また、ガイド層はトラック構造であっても良いし、ピット構造であっても良い。そして、ガイド層がトラック構造の場合には例えばPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良いし、ピット構造の場合には例えばDPD信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。また、記録層についてもPP信号によるトラッキング誤差信号を生成しても良い。
【0079】
本実施例では、対物レンズがディスク半径方向に光軸ずれした場合ついては説明しなかったが、例えば製造上のばらつきなどで第1の光ビームと第2の光ビームの光軸傾きずれが発生しても、本実施例のように、光軸を傾けることで第1の光ビームと第2の光ビームを所定の位置に集光することが可能となる。
【0080】
そして、本実施例では、記録動作やイレース動作ごとに液晶収差素子17の最適化を行ったが、予め学習してあれば省略しても良い。
【0081】
さらに1つのガイドトラックに対する半径方向の記録マーク列を層により変えても良い。これは、本実施例の光軸可変素子の角度を調整することで実現できる。本実施例は、対物レンズに発散、収束光を入射することで、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正しているため、補正量が大きくなると対物レンズが高次収差が発生し、ディスク上のスポットが歪む。このため、収差の小さい層では高密度記録、収差の大きい層では、低密度記録とすることでディスクに記録する容量を最大とすることができる。
【0082】
また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式は非点収差方式であったが、これには限定されず、例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式であっても良い。さらに、本発明は光軸を傾けることでガイド層と記録層の相対位置をずらして記録することを特徴としているため、図4のようなガイドトラックに限定されず、例えば特許文献1のようなガイドトラック構造であっても良いし、それ以外の構造であっても良い。
【0083】
そして、本実施例では、ディスクに対して光軸を傾ける方法として光ピックアップ装置の光学系を用いたが、本発明は、光ディスクに対する入射光軸が傾くことで同様の効果を実現できるため、例えば、光ディスク装置が光ディスクに対し光ピックアップ装置を傾ける構成としても良いし、光ピックアップ装置に対し、ディスクを傾ける構成としても良い。
【0084】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1:対物レンズ、10:角度可変立上げミラー、15:レンズ、17:液晶収差素子、50:半導体レーザ、60:半導体レーザ、55:検出器、65:検出器、170:光ピックアップ装置、171:スピンドルモータ駆動回路、172:アクセス制御回路、173:アクチュエータ駆動回路、174:サーボ信号生成回路、175:情報信号再生回路、176:コントロール回路、177:レーザ点灯回路、178:情報記録回路、179:光軸角度可変素子駆動回路、180:スピンドルモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ビームを出射する半導体レーザと、
第2の光ビームを出射する半導体レーザと、
前記第1、第2の光ビームを光ディスクに照射する対物レンズと、
少なくとも第2光ビームの前記対物レンズに入射する光軸方向を変える光軸角度可変素子と、
前記第1、第2の光ビームが入射する対物レンズを前記ディスク半径方向に駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクから反射した前記第1、第2の光ビームを受光する光検出器と、
を備えた光ピックアップ装置を搭載している光ディスク装置であって、
記録層とガイド層の少なくとも2層を有する光ディスクを記録する場合、
前記第1の光ビームは記録層に集光し、
前記第2の光ビームはガイド層に集光し、
前記光軸角度可変素子の駆動量を変えることで、前記光ディスク上の第1の光ビームと第2の光ビームの相対位置をずらし、前記ガイド層のガイドトラックの半径方向のトラック数よりも、記録層の記録マーク列の半径方向のマーク列数が多くなるよう記録することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
第1の光ビームを出射する半導体レーザと、
第2の光ビームを出射する半導体レーザと、
前記第1、第2の光ビームを光ディスクに照射する対物レンズと、
少なくとも第2光ビームの前記対物レンズに入射する光軸方向を変える光軸角度可変素子と、
前記第1、第2の光ビームが入射する対物レンズを前記ディスク半径方向に駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクから反射した前記第1、第2の光ビームを受光する光検出器と、
を備えた光ピックアップ装置を搭載している光ディスク装置であって、
記録層とガイド層の少なくとも2層を有する光ディスクを記録する場合、
前記第1の光ビームは記録層に集光し、
前記第2の光ビームはガイド層に集光し、
前記光軸角度可変素子の駆動量を変えることで、前記光ディスク上の第1の光ビームと第2の光ビームの相対位置をずらし、前記ガイド層のピット列の半径方向のピット列数よりも、記録層の記録マーク列の半径方向のマーク列数が多くなるよう記録することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光ディスク装置において、
前記光軸可変素子の駆動は、ディスク回転周期と同期することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の光ディスク装置において、
前記光軸可変素子の駆動後の対物レンズに入射する光ビームの角度は、
ディスク回転角に対して、ディスク回転周期を1周期とする略サイン関数で変化することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の光ディスク装置において、
前記光ディスクに記録領域がある場合には、
記録済みの半径位置で、前第2の光ビームのトラッキング誤差信号を用いて、前記アクチュエータを駆動し、
第1の光ビームのトラッキング誤差信号を用いて、前記光軸可変素子を駆動し、
前記光軸可変素子の駆動方法を学習することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項5記載の光ディスク装置において、
前記光ディスクの未記録の半径位置で、前記光ディスクの記録済み半径位置における前記光軸可変素子の駆動信号の学習結果に応じて前記光軸可変素子を駆動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の光ディスク装置において、
前記光学可変素子駆動後にイレースまたは追記録を開始することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1乃至7記載の光ディスク装置において、
前記光軸角度可変素子は、角度可変ミラーであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1乃至7記載の光ピックアップ装置において、
前記光軸角度可変素子は、レンズとレンズをディスク半径方向に駆動する駆動機構であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項1乃至7記載の光ピックアップ装置において、
前記光軸角度可変素子は、液晶収差素子であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
第1の光ビームを出射する半導体レーザと、
第2の光ビームを出射する半導体レーザと、
前記第1、第2の光ビームを光ディスクに照射する対物レンズと、
前記第1、第2の光ビームが入射する対物レンズを前記ディスク半径方向に駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクから反射した前記第1、第2の光ビームを受光する光検出器と、
を備えた光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置による光ディスク記録方法であって、
記録層とガイド層の少なくとも2層を有する光ディスクに記録する場合、
前記第1の光ビームは記録層に集光し、
前記第2の光ビームはガイド層に集光し、
前記光ディスクに対する第1の光ビームまたは第2の光ビームまたは第1、第2の光ビームの光軸角度を変えることで、前記ガイド層のガイドトラックの半径方向のトラック数よりも、記録層の記録マーク列の半径方向のマーク列数が多くなるよう記録することを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項12】
請求項11記載の光ディスク記録方法において、
自然数をnとしたとき、前記ガイド層のトラックピッチに対し、前記記録層の半径方向の記録マーク列の周期がn倍で示されることを特徴とする光ディスク記録方法
【請求項13】
第1の光ビームを出射する半導体レーザと、
第2の光ビームを出射する半導体レーザと、
前記第1、第2の光ビームを光ディスクに照射する対物レンズと、
前記第1、第2の光ビームが入射する対物レンズを前記ディスク半径方向に駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクから反射した前記第1、第2の光ビームを受光する光検出器と、
を備えた光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置による光ディスク記録方法であって、
記録層とガイド層の少なくとも2層を有する光ディスクに記録する場合、
前記第1の光ビームは記録層に集光し、
前記第2の光ビームはガイド層に集光し、
前記光ディスクに対する第1の光ビームまたは第2の光ビームまたは第1、第2の光ビームの光軸角度を変えることで、前記ガイド層のピット列の半径方向のピット列数よりも、記録層の記録マーク列の半径方向のマーク列数が多くなるよう記録することを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項14】
請求項13記載の光ディスク記録方法において、
自然数をnとしたとき、前記ガイド層の半径方向のピット列の周期に対し、前記記録層の半径方向の記録マーク列の周期がn倍で示されることを特徴とする光ディスク記録方法
【請求項15】
複数の層を有する光ディスクの記録方法であって、
層に応じて記録密度が異なることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項16】
請求項15記載の光ディスク記録方法において、
ディスク表面に最も近い記録層の記録密度が最も低密度であることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項17】
請求項15記載の光ディスク記録方法において、
ディスク表面から最も遠い記録層の記録密度が最も低密度であることを特徴とする光ディスク記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4133(P2013−4133A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132793(P2011−132793)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】