説明

光ピックアップおよび光記録再生装置

【課題】複数の光スポットで同時に記録再生等を行っている際にレンズシフトが発生しても、トラッキング誤差信号にオフセットが抑制される光ピックアップおよび光記録再生装置を提供する。
【解決手段】ある実施形態では、光源から出射された光あるいは光記録媒体からの反射光を、回折素子を用いて0次光、±1次光に分岐し、0次光を受ける第1の受光部31aa、32ab、33ac、34adのと±1次光を受ける第2の受光部35ae、36af、37ag、38ahとを有し、0次光及び±1次光を用いてトラッキング誤差信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光テープ、光記録媒体、光カードなど、光記録媒体上にデータの記録・再生を行う光ピックアップおよび光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像データ、写真データ等の高品位化、および多くの紙媒体の電子化などによりデジタルデータの量は急激に増大している。
【0003】
特にクラウドコンピューティングと呼ばれる、ネットワーク上のサーバ、ストレージ等を使って各種アプリケーションを使用したり各種サービスを利用したりするモデルでは、多くの利用者が様々なデータをネットワーク上のストレージに保存するため、そのデータ蓄積量は今後さらに膨大なものとなる。
【0004】
その一方で、データの保存義務についての法制化が進んでおり、これらの膨大なデータを保存する際の確実性、信頼性も要求される。
【0005】
このような大容量化や高信頼性化に伴い、光記録再生装置においても複数の光スポットを光記録媒体に形成する光ピックアップを用いることが検討されている。この場合、例えば2つの光スポットで同時にデータの記録、あるいは2つの光スポットで同時にデータの再生を行ったり、あるいは一方でデータの記録、他方でデータの再生等を行うことが可能になる。その結果、記録再生のデータ転送レートを向上させたり、記録と同時に再生して記録データのベリファイを行うことができるようになる。
【0006】
複数の光スポットを光記録媒体に形成する従来の光記録再生装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0007】
図16Aに特許文献1における光ピックアップの構成を簡略化したものを示す。本従来例は3つの光スポットを用いて記録・再生を同時に行う構成例である。以下動作を簡単に説明する。
【0008】
図16Aにおいて光ピックアップの光学系はレーザ光源1301、回折素子1302、ビームスプリッタ1303、コリメートレンズ1304、波長板1305、対物レンズ1306、集光レンズ1308および光検出器1309を有している。レーザ光源1301を出射した光は回折素子1302で主に0次光ビームと±1次光ビームに回折され、対物レンズ1306により集光されて光記録媒体1307の同一トラック上に3つの光スポット(メイン光スポット1311、2つのサブ光スポット1312、1313)を形成する。
【0009】
図16Bは光記録媒体1307の面上に集光された光スポット配置を表す図である。
【0010】
図16Bにおいて0次光によるメイン光スポット1311は記録用スポットであり、光記録媒体1307への信号の記録を行う。一方、±1次光による2つのサブ光スポット1312、1313は回折素子の効率比により0次光よりも光量が十分低く、記録されたトラックの再生を行う再生用スポットである。
【0011】
メイン光スポット1311とサブ光スポット1312、1313は同一トラック上に配置されており、記録媒体上を矢印1314の方向に光スポットが走査する。すなわち2つのサブ光スポットの内、サブ光スポット1312は記録用のメイン光スポット1311の後を走査し記録されたマークを読み取る。一方、サブ光スポット1313は記録用のメイン光スポット1311の前を走査しており、その反射光は記録マークの情報は含まない。図16Bにおいて光記録媒体1307の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印1314の方向に光スポットが移動する(実際には光スポットは固定されていて光記録媒体が矢印1314の反対方向に進む)。これらの光ビームは光記録媒体1307で反射され光学系を経て光検出器1309により各々光量検出される。
【0012】
図16Cは光検出器1309の受光素子の配置例を示す図である。
【0013】
図において4分割された受光素子1401は0次光、すなわちメイン光スポット1311の反射光である記録用検出スポット1404を受け、図16Aの集光レンズ1308で与えられる非点収差量がデフォーカスにより変化することでフォーカス信号の検出を行うとともに、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号の検出を行う。
【0014】
一方、受光素子1402、1403はそれぞれサブ検出スポット1312、サブ検出スポット1313による反射光を受ける。
【0015】
ここでレーザ光源1301は光記録媒体1307への記録マーク形成のため光変調器1310により変調信号で駆動された光を出射する。
【0016】
同じレーザ光源から出ている再生用のサブ光スポット1312、1313も当然この光変調を受けている。そのため、±1次光の2つの再生サブ光スポットのうち記録用メイン光スポットの後を走査する側のサブ光スポット1312による反射光は記録マークによる反射率変化と光変調による光量変化が加算された信号成分を有する。もう一方のサブ光スポット1313は記録用メイン光スポットの前の未記録部を走査するため記録マークによる反射率変化を含まず、光源の光変調による光量変化のみの信号となる。
【0017】
このためこれら2つのサブ検出スポットの信号を差動することで再生信号(すなわちベリファイのためのモニター信号)を得ることが出来る。
【0018】
すなわち記録用光スポットと再生用光スポットを同時に照射し、記録しながら記録後の信号を再生することでベリファイ動作を行い、記録信頼性を確保しながら従来以上に記録転送レートの高いシステムが実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開昭63−249941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記したような従来例の構成では、以下のことを考慮する必要がある。
【0021】
図16Cに示したように従来例のトラッキング誤差信号は、メインスポットを4分割の受光素子1401で受け、その上下方向の差動信号よりプッシュプル法により得られる。しかしながら、この検出方式では、トラッキング動作で対物レンズ1306がトラッキング方向(トラックが延びる方向に対して垂直な方向、すなわち「トラック横断方向」)に移動した時に、トラッキング誤差信号にオフセットを生じるという大きな課題が発生する。対物レンズ1306は、光ピックアップ内のレンズアクチュエータによって駆動される。光記録媒体1307が回転または走行するとき、光記録媒体1307のトラックは光ピックアップに対して左右に揺れ動く。このような場合でも、対物レンズ1306は常にトラックの中心を追従するようにトラッキング制御が実行される。このようなトラッキング制御により、光ピックアップに対する対物レンズ1306の位置がトラッキング方向に変化することを「レンズシフト」と称する。レンズシフトの大きさは、トラッキング制御が行なわれていない時の対物レンズ1306の中心位置を基準にして、トラッキング方向におけるレンズ中心の移動距離によって定義され得る。レンズシフトが発生すると、図16Cの光検出器1309上のメイン検出スポット1404は、図中矢印1407で示す方向、すなわち上下方向に変位するため、光検出器1309の上下方向の差動信号より得られるプッシュプルのトラッキング誤差信号にオフセットが生じてしまい、メイン光スポットがトラック中心からオフセットするという課題を有していた。
【0022】
上記の従来例では、複数の光スポットのうちメイン光スポット1311で記録、サブ光スポット1312、1313で再生動作を行っている。複数の光スポットのいずれもが記録動作、あるいはいずれもが再生動作を行うような場合であっても同様の課題を有している。
【0023】
本発明の実施形態は、複数の光スポットで同時に記録再生等を行っている際にレンズシフトが発生しても、トラッキング誤差信号にオフセットが発生せず、安定に記録再生を行える。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一態様における光ピックアップは、第1および第2の発光点を有する光源と、前記第1の発光点から出射された光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記第2の発光点から出射された光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する光分岐素子と、前記光分岐素子によって形成された前記複数の光ビームを前記光記録媒体に集光することにより、前記第1メインビームによる記録用光スポットおよび前記第2メインビームによる再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成し、かつ、前記複数の第1サブビームによる複数の参照用光スポットおよび前記第2サブビームによる光スポットを前記光記録媒体の前記目標記録トラック以外の部分に形成する光学系と、光検出器とを備え、前記光検出器は、前記記録用光スポットおよび前記複数の参照用光スポットからの反射光を受ける複数の第1受光部と、前記再生用光スポットからの反射光を受ける第2受光部とを有し、前記第1および第2受光部は、前記複数の第2サブビームによる前記光スポットからの反射光を受けない位置に配置されている。
【0025】
ある実施形態において、前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記複数の参照用光スポットからの反射光を用いて、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0026】
ある実施形態において、前記第2の受光部は、前記複数の第1の受光部の間に配置されている。
【0027】
ある実施形態において、前記第1および第2の受光部は、トラッキング方向に配列されている。
【0028】
ある実施形態において、前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0029】
ある実施形態において、光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている。
【0030】
本発明の他の態様における光ピックアップは、第1および第2の発光点を有する光源と、前記第1および第2の発光点の各々から出射された光を前記光記録媒体に集光することにより、記録用光スポットおよび再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成する光学系と、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記再生用光スポットからの反射光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する光分岐素子と、光検出器とを備え、前記光検出器は、前記第1メインビームおよび前記複数の第1サブビームを受ける複数の第1受光部と、前記第2メインビームを受ける複数の第2受光部とを有し、前記第1および第2受光部は、前記複数の第2サブビームを受けない位置に配置されている。
【0031】
ある実施形態において、前記複数の第1受光部において、前記複数の第1サブビームを受ける受光部は、前記第1メインビームを受ける受光部に対して、前記光記録媒体のトラックキング方向に略直交な方向に位置している。
【0032】
ある実施形態において、前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうちのトラッキング方向の一方の側に位置する第1の領域の回折光と、他方の側に位置する第2の領域の回折光とを形成し、前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0033】
ある実施形態において、前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうち前記光記録媒体のトラックによる回折情報を多く含む第1の領域の回折光と、前記第1の領域以外の第2の領域の回折光とを形成し、前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0034】
ある実施形態において、前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0035】
ある実施形態において、光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている。
【0036】
本発明の更に他の態様における光ピックアップは、光源と、前記光源から出射された光を分岐して複数の光ビームを形成する第1の光分岐素子と、前記第1の光分岐素子によって形成された前記複数の光ビームを前記光記録媒体に集光することにより、記録用光スポットおよび再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成する光学系と、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記再生用光スポットからの反射光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する第2の光分岐素子と、光検出器とを備え、前記光検出器は、前記第1メインビームおよび前記複数の第1サブビームを受ける複数の第1受光部と、前記第2メインビームを受ける複数の第2受光部と、を有し、前記第1および第2の受光部は、前記複数の第2サブビームを受けない位置に配置されている。
【0037】
ある実施形態において、前記複数の第1受光部において、前記複数の第1サブビームを受ける受光部は、前記第1メインビームを受ける受光部に対して、前記光記録媒体のトラックキング方向に略直交な方向に位置している。
【0038】
ある実施形態において、前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうちのトラッキング方向の一方の側に位置する第1の領域の回折光と、他方の側に位置する第2の領域の回折光とを形成し、前記複数の第1受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0039】
ある実施形態において、前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうち前記光記録媒体のトラックによる回折情報を多く含む第1の領域の回折光と、前記第1の領域以外の第2の領域の回折光とを形成し、前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0040】
ある実施形態において、前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する。
【0041】
ある実施形態において、光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている。
【0042】
本発明の光記録再生装置は、上記いずれかの少なくとも1つの光ピックアップを備え、前記記録用光スポットでデータを記録し、かつ、前記再生用光スポットで前記データを再生するように前記光ピックアップを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0043】
本発明の実施形態によれば、複数の光スポットで同時に記録再生等を行っている際にレンズシフトが発生しても、トラッキング誤差信号にオフセットが発生せず、安定に記録再生を行える。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】光テープ505の一部を模式的に拡大して示す斜視図
【図1B】光テープ505の一部を模式的に示す平面図
【図2A】本発明の実施形態1による光データストリーマ装置の構成例を示す図
【図2B】図2AのB−B線断面図
【図3】本発明の実施形態1における光データストリーマ装置の回路構成例を示す図
【図4A】本発明の実施形態1における光ピックアップの構成を示す図
【図4B】回折素子2の働きを説明するための図
【図4C】発光点1a、1bからの光が回折素子2によって分岐される様子を模式的に示す図
【図5A】本発明の実施形態1における光記録媒体上のスポットを示す図
【図5B】本発明の実施形態1における光検出器の構成を示す図
【図6A】本発明の実施形態1における光検出器に入射する迷光を示す図
【図6B】集光レンズ8を偏光ビームスプリッタ3側から見た図である。
【図6C】本発明の実施形態1における光検出器に入射する迷光を示す図
【図7A】本発明の実施形態2における光ピックアップの構成を示す図
【図7B】本発明の実施形態2における光ピックアップの構成を示す図
【図7C】本発明の実施形態2における光ピックアップの構成を示す図
【図7D】本発明の実施形態2における光ピックアップの構成を示す図
【図8A】本発明の実施形態2における光記録媒体上のスポットを示す図
【図8B】本発明の実施形態2の変形例における光記録媒体上のスポットを示す図
【図8C】本発明の実施形態2における光検出器の構成を示す図
【図9A】本発明の実施形態2における光検出器に入射する迷光を示す図
【図9B】本発明の実施形態2における光検出器に入射する迷光を示す図
【図10A】本発明の実施形態3における光ピックアップの構成を示す図
【図10B】本発明の実施形態3における光ピックアップの構成を示す図
【図10C】本発明の実施形態3における光ピックアップの構成を示す図
【図10D】本発明の実施形態3における光ピックアップの構成を示す図
【図11A】本発明の実施形態3における光検出器の構成を示す図
【図11B】本発明の実施形態3における光検出器の構成を示す図
【図11C】本発明の実施形態3における光検出器の構成を示す図
【図12A】本発明の実施形態4における光ピックアップの構成を示す図
【図12B】本発明の実施形態4における光記録媒体上のスポットを示す図
【図12C】実施形態4における光検出器の構成を示す図
【図13】本発明の実施形態4、5、6における光記録再生装置の構成を示す図
【図14A】本発明の実施形態5における光ピックアップの構成を示す図
【図14B】本発明の実施形態5における光記録媒体上のスポットを示す図
【図14C】実施形態5における光検出器の構成を示す図
【図15A】本発明の実施形態6における光ピックアップの構成を示す図
【図15B】本発明の実施形態6における光記録媒体上のスポットを示す図
【図15C】実施形態6における光検出器の構成を示す図
【図16A】従来の光記録再生装置における光ピックアップの構成図
【図16B】従来の光記録再生装置での光記録媒体上のスポットを示す図
【図16C】従来の光記録再生装置の信号検出器構成を示す図
【図16D】従来の光記録再生装置の信号検出器の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0045】
(実施形態1)
まず、本実施形態における光記録再生装置を説明する。本実施形態における光記録再生装置は、光記録媒体として光テープを用いる光データストリーマ装置である。光データストリーマ装置は、大量のデータのバックアップに使用され得る。光データストリーマ装置は、転送レートを上げ、短時間でバックアップを行うため、複数の光ピックアップを具備している。なお、本発明の光記録再生装置は、光データストリーマ装置に限定されず、光ディスク装置または他の装置であってもよい。光ディスク装置の場合、光記録媒体は、光テープではなく、光ディスクである。
【0046】
図1Aは、光テープ505の一部を模式的に拡大して示す斜視図である。光テープ505は、例えばベースフィルム570a、ベースフィルム570aの裏面に張り付けられたバックコート層570b、およびベースフィルム570aに支持されたインプリント層570cを含む。インプリント層570cの上面には、ランド570dおよびグルーブ570eが形成されている。図面には記載されていないが、インプリント層570cの上面を覆うように反射膜および記録材料膜が積層されている。光テープ505は、長尺方向Lに沿って延びており、例えば数百mの長さを有している。幅Wは、例えば数mmから数cmの範囲内に設定され得る。厚さは、数μmから数十μm程度であり得る。
【0047】
図1Aのスケールは、現実の光テープ505のサイズを忠実に反映してない。実際の光テープ505には、数百本またはそれ以上の本数のランド570dおよびグルーブ570eが形成され得る。ある実施形態では、データがランド570dおよびグルーブ570eの一方に記録される。データが記録されるランド570dまたはグルーブ570eを「トラック」と称する。トラックのピッチは、例えば0.2〜0.4μmの範囲に設定され得る。
【0048】
図1Bは、光テープ505の一部を模式的に示す平面図である。長尺方向Lに沿ってN(Nは典型的には100以上の整数)本のトラック0〜トラックNが形成されている。図1Bに示されるトラックの幾つかには矢印が記載されている。この矢印は、データの記録方向を模式的に示している。1つの光テープ505には、異なる方向にデータが記録され得る。
【0049】
光テープ505には、光ビームの照射によって光学的にマークが形成され得る。より具体的に言えば、このようなマークは記録材料膜に形成される。光ビームの照射は、光源と、この光源から出射された光ビームを光テープ505にフォーカスさせる対物レンズとを含む「光ピックアップ」によって行われる。光ピックアップが光テープ505に光ビームを照射すると、光テープ505上の照射領域と他の領域(非照射領域)との間で、反射率などの光学特性が変化する。このようにして光学特性が変化した領域が「記録マーク」と称される。
【0050】
光テープ505に記録されているデータは、比較的弱い一定強度の光ビームを光記録媒体に照射し、光テープ505によって変調された反射光を検出することによって再生される。光テープ505にデータを記録する場合、記録すべきデータに応じて光パワーを変調したパルス状の光ビームを光テープ505に照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
【0051】
記録材料膜にデータを記録するとき、上述のように光パワーを変調した光ビームを記録材料膜に照射することより、結晶質の記録材料膜に非晶質の記録マークを形成する。この非晶質の記録マークは、記録用光ビームの照射を受けた記録材料膜の一部が融点以上の温度に上昇した後、急速に冷却されることによって形成される。光ビームを記録マークに照射するときの光パワーを低めに設定すると、光ビームが照射された記録マークの温度は融点を超えず、急冷後に結晶質に戻る(記録マークの消去)。こうして、記録マークの書き換えを何度も行うことが可能になる。データを記録するときの光ビームの光パワーの大きさが不適切であると、記録マークの形状が歪み、データを再生することが難しくなることがある。
【0052】
光テープ505に対してデータの記録または再生を行うとき、光ビームが目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点(集束点)の位置が常に目標トラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ505の表面(記録面)に垂直な方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ505の記録面に平行であってトラックに垂直な方向に制御することである。
【0053】
上述したフォーカス制御およびトラッキング制御を行うためには、光テープ505から反射される光に基づいて、フォーカスずれやトラックずれを検知し、そのずれを縮小するように光ビームスポットの位置を調整することが必要である。フォーカスずれおよびトラックずれの大きさは、それぞれ、光テープ505からの反射光に基づいて生成される「フォーカス誤差(FE)信号」および「トラッキング誤差(TE)信号」によって示される。
【0054】
図2Aは、本実施形態による光データストリーマ装置の構成例を示す図である。図2Bは図2AのB−B線断面図である。本実施形態では、図2Aの上側が鉛直上方であり、下側が鉛直下方に対応している。このため、図2Bは、この光データストリーマ装置を鉛直上方から見た内部構成の配置例を示している。
【0055】
図2Aおよび図2Bは、光テープ505を収容するテープカートリッジ501が装填された状態を示している。テープカートリッジ501は着脱可能であり、図示される光データストリーマ装置には、同じ形状を有する複数のテープカートリッジ501から選択された1つが装填され得る。
【0056】
本実施形態の光データストリーマ装置は、筐体111と、筐体111の内部に設けられたシャーシ150と、光テープ505にデータを書き込むことができるように配置された複数のピックアップ部品60と、放熱板509とを備えている。複数のピックアップ部品60は光ピックアップアセンブリ580が備える位置決め機構によって位置決めされている。
【0057】
より詳細には、この光データストリーマ装置は、光テープ505を走行させるためのモータ506、507、ガイドポスト503、および巻取リール502を備えている。モータ507は、巻取リール502と機械的に結合しており、巻取リール502を回転させる。モータ506は、装填されたテープカートリッジ501の回転軸と機械的に結合し、テープカートリッジ501の外部に引き出されたテープ505をテープカートリッジ501内に巻き戻すように動作する。モータ506、507により、テープ505は、矢印で示す2つの方向のいずれにも走行することができる。
【0058】
光ピックアップアセンブリ580は、光テープ505の走行方向に沿って配列された複数のピックアップ部品60を有している。本実施形態における光ピックアップアセンブリ580は、上段および下段の各々に複数のピックアップ部品60を有している。筐体111内には、送風ファン508が設けられており、送風ファン508はモータ507に機械的に結合している。モータ507の回転に応じて送風ファン508も回転する。
【0059】
各ピックアップ部品60は、1個または複数の光ピックアップを内蔵する。個々の光ピックアップの構成については、後に詳しく説明する。ピックアップ部品60は、光ピックアップ用フレキシブル回路基板(FPC)112に接続されている。この光データストリーマ装置は、このフレキシブル回路基板112に接続された不図示の回路基板を備えており、この回路基板には、ピックアップ部品60やモータ506、507を制御するための回路要素が設けられている。なお、フレキシブル回路基板112には、通常であればピックアップ部品60および他の回路基板上に搭載されるような回路の一部が実装されていてもよい。
【0060】
次に図3を参照して、本実施形態における光データストリーマ装置の回路構成例を説明する。
【0061】
図示されている光データストリーマ装置は、光ピックアップアセンブリ580およびモータ506、507と電気的に接続された回路ブロックを備えている。
【0062】
図3に示す構成例では、光ピックアップアセンブリ580の出力がフロントエンド信号処理部520を介してエンコーダ/デコーダ530に送られる。エンコーダ/デコーダ530は、データ読み出し時、光ピックアップアセンブリ580によって得られる信号に基づいて光テープ505に記録されているデータを復号する。データ書き込み時、エンコーダ/デコーダ530はデータを符号化し、光テープ505に書き込むべき信号を生成し、光ピックアップアセンブリ580に送出する。
【0063】
フロントエンド信号処理部520は、光ピックアップアセンブリ580の出力に基づいて再生信号を生成する一方、フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEを生成する。フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEは、サーボ制御部550に送出される。サーボ制御部550は、ドライバアンプ560を介してモータ506、507を制御する一方、光ピックアップアセンブリ580内の各レンズアクチュエータを介して対物レンズの位置を制御する。エンコーダ/デコーダ530およびサーボ制御部550などの構成要素は、CPU540によって制御される。図3に示されるブロックは、例えば集積回路素子およびメモリなどの電子部品を回路基板上に搭載して実現することができる。
【0064】
本実施形態で使用され得る光テープ505の記録面の幅は、例えば約10mmである。この場合、例えば24個の光ピックアップによって、走行中の光テープ505の記録面の全幅に渡って、データの記録および再生が行われ得る。
【0065】
テープカートリッジ501が光データストリーマ装置に装填される前、光テープ505はテープカートリッジ501に、図示しないリールに巻かれた状態で収納されている。テープカートリッジ501が光データストリーマ装置に装填されると、光テープ505は複数のテープガイドポスト503に案内されて引き出され、巻取リール502に巻き取られる。各ピックアップ部品60は光テープ505に対し所定の位置に固定され、光テープ505に対して情報の記録再生を行う。本実施形態における光ピックアップの個数は24個である。このため、最大24個の光ピックアップによって同時にデータの記録再生を行うことが可能である。なお、1つの光データストリーマ装置が備える光ピックアップの個数は、24個に限定されず、この数よりも少なくても多くてもよい。
【0066】
送りモータ507は巻取リール502を回転駆動し、光テープ505を順方向に走行させるとともに、送風ファン508を駆動する。逆送りモータ506はテープカートリッジ501内の図示しないリールを回転駆動し、光テープ505を逆方向に駆動する。この際にも、光テープ505により巻取リール502も駆動されるため送風ファン508も駆動される。ピックアップ部品60は放熱板509と熱的に結合され、その発生する熱は放熱板509に伝達される。
【0067】
記録時または再生時、光テープ505は順送りモータ507、または逆送りモータ506により、順方向または逆方向に走行し、この間、各光ピックアップは光テープ505に対し同時に記録または再生を行うことができる。
【0068】
以下、図面を参照しながら、上記の光記録再生装置に使用される光ピックアップの実施形態を詳細に説明する。
【0069】
本実施形態における光ピックアップは、DPP方式によるトラッキング信号を生成するために使用され得る。
【0070】
図4Aは本実施形態における光ピックアップの光学系構成を示す図である。なお、この光ピックアップは、前述した光データストリーマ装置以外の光記録再生装置にも適用され、特に複数の情報記録層が積層された光記録媒体のデータ記録に使用され得る。このため、以下の説明では、光テープ505ではなく、より一般的な多層光ディスクを含む「光記録媒体7」を用いて実施形態を説明する。
【0071】
本実施形態の光ピックアップは、第1の発光点1aと第2の発光点1bを有するレーザ光源1と、光記録媒体7に信号マーク(記録マーク)を形成するための光変調器10と、レーザ光源1からの光を回折させ0次光、±1次光に分岐する回折素子2と、光記録媒体7面上に回折光を集光する対物レンズ6と、光記録媒体7で反射した光を受ける光検出器9とを有している。この光ピックアップによれば、発光点1aからの光による光スポットでデータを光記録媒体7に記録しつつ、発光点1bからの光により光記録媒体7から再生信号を得ることができる。光変調器10の全部または一部は、光ピックアップの外部に設けられていてもよい。
【0072】
本実施形態における回折素子2は、光分岐素子として機能し、第1の発光点1aから出射された光を分岐して第1メインビーム(0次光)および複数の第1サブビーム(±1次光)を含む複数の光ビームを形成するとともに、第2の発光点1bから出射された光を分岐して第2メインビーム(0次光)および複数の第2サブビーム(±1次光)を含む複数の光ビームを形成する。
【0073】
本実施形態では、後述する光学要素や対物レンズ6を含む光学系の働きにより、回折素子2によって形成された複数の光ビームを光記録媒体7に集光する。この光学系により、第1メインビーム(発光点1aからの光の0次光)による記録用光スポットおよび第2メインビーム(発光点1bからの光の0次光)による再生用光スポットを光記録媒体7の目標記録トラック上に形成することができる。また、この光学系により、複数の第1サブビーム(発光点1aからの光の±1次光)による複数の参照光スポットおよび第2サブビーム(発光点1bからの光の±1次光)による光スポットを光記録媒体7の目標記録トラック以外の部分に形成することもできる。
【0074】
図4Bは、回折素子2の働きを説明するための図である。簡単のため、1つの発光点から出た光が回折素子2によって0次光と±1次光とに分岐する様子を示している。回折素子2による回折光の次数が高くなるほど、回折効率が低下する。このため、より次数の高い光については、記載を省略している。
【0075】
図4Cは、発光点1a、1bからの光が回折素子2によって分岐される様子を模式的に示す図である。
【0076】
図4Aの光ピックアップの光学系構成の一部または全部は、実施形態2から6に共通に用いられる。
【0077】
図4Aの例において、上述したように、発光点1a、1bを出射した光は、それぞれ、回折素子2によって0次光、+1次光、−1次光に回折分岐される。分岐した光は偏光ビームスプリッタ3を通過し、コリメートレンズ4により平行光へ変換される。その後、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換される。その結果、反射光は、コリメートレンズ4を通過し、偏光ビームスプリッタ3で反射される。その後、集光レンズ8にて非点収差を与えられ、光検出器9の受光素子に入射する。なお、図4Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に垂直である。
【0078】
図5Aは光記録媒体7の情報記録層上にこれらのビームが集光された6つの光スポットの配置例を示す図である。
【0079】
図5Aの例において、光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されている。光スポットは、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に移動する。(実際には光スポットの位置は固定されていて光記録媒体7が矢印23の反対方向に進む)。
【0080】
記録用メイン光スポット201aは、発光点1aから出射され、図4Aの回折素子2を透過した0次光による光スポットであり、トラック(ランド)21上に形成される。発光点1aから出射され、図4Aの回折素子2で回折された±1次光はトラック間(グルーブ)22上に集光され、記録用サブ光スポット202a、203aを形成する。また発光点1bから出射され、回折素子2を通過した0次光はトラック(ランド)21上に集光され、再生用メイン光スポット201bを形成する。発光点1bから出射され回折素子2で回折された±1次光は、同様に、トラック間(グルーブ)22上に集光され、再生用サブ光スポット202b、203bを形成する。
【0081】
なお、図で記録トラック上にはこれから記録する箇所にも記録マークが形成されており、オーバーライトしている状態を表す。
【0082】
図5Bは光検出器9における受光素子の配置例を示す図である。
【0083】
図5Bにおいて、図5Aにおける光記録媒体7上の光スポット201a、201b、202a、202b、203a、203bが光記録媒体7の情報記録層により反射され、それぞれ検出スポット301a、301b、302a、302b、303a、303bとして光検出器9に入射している。ここで、「検出スポット」は、光記録媒体7上の光スポットからの反射光が光検出器9に達して、光検出器9の検出面上に形成する光スポットを意味する。
【0084】
図5Bによると、光検出器9は、受光素子31aa、32ab、33ac、34adと受光素子35ae、36afと受光素子37ag、38ahと受光素子31bi、32bj、33bk、34blの12個の受光素子を有している。受光素子31aa、32ab、33ac、34adは記録用メインスポット201aによる検出スポット301aを受け、受光素子35ae、36af、37ag、38ahは記録用サブスポット202a、203aによる検出スポット302a、303aを受ける。本実施形態における個々の受光素子は、典型的にはフォトダイオードであり得る光電変換素子である。なお、各受光素子31aa、32ab、33ac、34ad、35ae、36af、37ag、38ah、31bi、32bj、33bk、34blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lを出力する。
【0085】
これらの信号A〜Lを演算することにより、トラッキングエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。上記の演算は、典型的には、光ピックアップ内の回路によって実行され得るが、光ピックアップから出力される信号に基づいて、外部の回路で行われてもよい。
MTE=(A+B)−(C+D) (式1)
STE=(E+G)−(F+H) (式2)
TE=MTE−α×STE (αは定数) (式3)
FE=(A+C)−(B+D) (式4)
RF=I+J+K+L (式5)
【0086】
すなわち、記録トラック(ランド)上を走査する記録用メイン光スポット201aによる反射光を受ける受光素子31aa〜34adから得られるプッシュプル信号(MTE)と、トラック間(グルーブ)を走査する2つの記録用サブ光スポット202a、203aによる反射光を受けるそれぞれ2分割された受光素子35ae、36af、37ag、38ahから得られるプッシュプル信号(STE)との演算によりディファレンシャルプッシュプル(DPP)のTE信号が得られるのでレンズシフトなどによるオフセットのないTE信号が得ることができる。
【0087】
また、図では省略しているが、記録用メイン光スポット201aを受ける受光素子31aa〜34adから得られる信号を用いると、図4Aの集光レンズ8で与えられる非点収差量がデフォーカスにより変化することで、(式4)に基づいて非点収差方式によるフォーカス信号の検出を行うことができる。
【0088】
光検出器9において、受光素子31bi、32bj、33bk、34blは再生用メイン検出スポット301bを受ける。しかし、光検出器9の各受光素子は、再生用サブ検出スポット302b、303bを受けないように配置されている。
【0089】
このような構成をとることにより、記録用メイン検出スポット301aおよびサブ検出スポット302a、303aによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号を生成することにより安定した記録を行いながら、再生用メイン検出スポット301bで再生することができる。このため、再生用サブ検出スポット302b、303bを受けるための受光素子を省くことが可能となり、小型で安価な光ピックアップを実現することができる。
【0090】
次に図6A〜図6Cを参照して、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合を説明する。図6A〜図6Cは、本実施形態1における光検出器9に入射する迷光を示す図である。
【0091】
光記録媒体7のある一つの情報記録層においてデータの記録再生を行っている場合、記録用光スポットおよび再生用光スポットは対象となる情報記録層に集光されている。しかし、対象となる情報記録層に至るまでに存在する他の情報記録層による反射光や、対象となる情報記録層を透過して他の情報記録層に入射した光による反射光が発生する。これらの反射光(迷光)はデフォーカスした状態で情報記録層に入射し、反射されている。その結果、図6Aに示すように、記録用メイン光スポットによる迷光300aおよび再生用メイン光スポットによる迷光300bが、デフォーカスした状態で光検出器9上に形成される。
【0092】
このとき、記録用メイン光スポットによる迷光300aは、記録用の光変調によって光量が変化しているため、(式5)から得られる情報信号に、その変調成分が加算される。
【0093】
変調信号は、光記録媒体の記録中の記録マークによる反射率変化の影響を受けない記録用サブ光スポット302aあるいは303aからの反射光による信号を用いて、
MS=E+F あるいは MS=G+H (式6)
により得られる。
【0094】
従って、このときの光記録媒体の情報信号は
RF’=I+J+K+L−β×MS (βは定数) (式7)
により得られる。
【0095】
また、光変調による光量変化分を相殺するために、
RF’’=(I+J+K+L)/MS (式8)
とすることも可能である。
【0096】
さらに、
RF’’’=(I+J+K+L−β×MS)/MS (式9)
とすることで、光変調による光量変化による情報信号への影響を低減することが可能となる。
【0097】
なお、一般的に記録用メイン光スポットの光量は再生用メイン光スポットの光量に対して10倍程度、迷光の光量は情報記録層への光スポットによる反射光の光量に対して1/10程度であるため、再生用メイン光スポットによる迷光300bについては、記録用メイン検出スポットおよび記録用サブ検出スポットによる反射光に対して十分小さい光量であり、記録用メイン検出スポットおよび記録用サブ検出スポットから得られるTE信号への影響は少ない。
【0098】
さらに、記録用サブ光スポットおよび再生用サブ光スポットについても同様に他の情報記録層によって反射され、デフォーカスした状態で光検出器9へ入射する光も存在するが、各受光素子31aa、32ab、33ac、34ad、35ae、36af、37ag、38ah、31bi、32bj、33bk、34blからは十分離れた距離に到達し、これらの受光素子には入射しないためここで考慮する必要はない。
【0099】
この迷光の影響を除去するために、たとえば、復路光学系に迷光が通過する部分に遮光領域を設けても良い。図6Bは集光レンズ8を偏光ビームスプリッタ3側から見た図である。図6Bには、集光レンズの外形101、記録を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲103、再生を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲104、光を透過させない遮光領域102が示されている。
【0100】
ここで、遮光領域102は集光レンズ8へ入射する記録用メイン光スポットによる迷光のうち、光検出器9上において、図6Cに示した領域310aの集光レンズ8上への投影領域とほぼ等しい大きさとなるように設定されている。
【0101】
従って、記録用メイン光スポットによる迷光300aのうち、光検出器9における再生用メイン検出スポットを受ける受光素子31bi、32bj、33bk、34blに入射する部分がほぼ除去され、再生用メイン光スポットによる反射光を、迷光の影響を受けず検出することが可能となるため、品質の良い情報信号を得ることができる。
【0102】
このような構成をとることにより、光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の情報記録層からの迷光の影響を除去あるいは低減することができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0103】
(実施形態2)
図7Aから図9Bを参照しながら、本発明の実施形態2における光ピックアップを説明する。
【0104】
なお、従来例、実施形態1と同じ要素については、同一の番号を付与して説明する。
【0105】
本光ピックアップの構成は図7Aに示すように、複数の発光点1a、1bを有するレーザ光源1と、光記録媒体7に記録マークを形成させるための光変調器10と、光記録媒体7の情報記録層上に回折光を集光する対物レンズ6と、光記録媒体7からの反射光を回折させ0次光、±1次光に分岐する偏光性回折素子2’と、それらを受ける光検出器9とを有しており、発光点1aからの光による光スポットで記録しつつ、発光点1bからの光により再生信号を得る光ピックアップである。
【0106】
図7Aの例において、発光点1a、1bを出射した光はそれぞれ偏光ビームスプリッタ3を通過、コリメートレンズ4により平行光へ変換される。その後、発光点1a、1bから出射された光の偏光方向に対して全透過させるような特性を持つ偏光性回折素子2’を通過し、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換される。その後、この偏光方向の光に対しては回折させる偏光性回折素子2’により0次光、+1次光、−1次光に回折分岐される。なお、図7Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に垂直な方向である。
【0107】
偏光性回折素子2’は、図7Bに示すように、光記録媒体7のトラッキング方向に対して垂直な線分で2分割された領域401、402を有する。回折機能が有効となる偏光方向を持つ光は、それぞれの領域401、402で0次光、+1次光、−1次光に回折されて分岐する。なお、図7Bには、記録用光スポットによる反射光が通過する領域40aと、再生用光スポットによる反射光が通過する領域40bとが示されている。
【0108】
偏光性回折素子2’により分岐された3つの光は、図7Aに示されるように、コリメートレンズ4を通過し、偏光ビームスプリッタ3で反射される。その後、集光レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9の受光素子に入射する。
【0109】
本実施形態における対物レンズ6、波長板5および偏光性回折素子2’は一体化されている。従って、対物レンズ6、波長板5および偏光性回折素子2’は、不図示のアクチュエータによって一体的に駆動され、光記録媒体7に対するフォーカシングおよびトラッキング制御が行われる。
【0110】
図8Aは光記録媒体7の情報記録層上にこれらの光が集光された光スポットの配置例を示す図である。
【0111】
図8Aの例において、光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に走査される(実際には光スポットは固定されていて光記録媒体が矢印23の反対方向に進む)。
【0112】
記録用光スポット201aは発光点1aから出射された記録用光のスポット、再生用光スポット201bは発光点1bから出射された再生用光のスポットである。
【0113】
図8Cは光検出器9の受光素子の配置例を示す図である。
【0114】
図8Cの例において、図8Aに図示した記録用光スポット201aからの反射光のうち偏光性回折素子2’により分割された0次光は記録用メイン検出スポット601aとして光検出器9に入射している。領域401による±1次光は記録用サブ検出スポット603a、604aとして、領域402による±1次光は記録用サブ検出スポット602a、605aとして、光検出器9に入射している。
【0115】
一方、再生用光スポット201bからの反射光のうち偏光性回折素子2’により分割された0次光は再生用メイン検出スポット601bとして光検出器9に入射している。領域401による±1次光は再生用サブ検出スポット603b、604bとして、領域402による±1次光は再生用サブ検出スポット602b、605bとして、光検出器9に入射している。
【0116】
図8Cの例によると、光検出器9は、61aa、62ab、63ac、64ad、65ae、66af、61bi、62bj、63bk、64blの10個の受光素子を有しているる。受光素子61aa、62ab、63ac、64adは記録用メイン検出スポット601aを受け、受光素子65ae、66afは記録用サブ検出スポット602a、603aをそれぞれ受ける。なお、分割された各受光素子61aa、62ab、63ac、64ad、65ae、66af、61bi、62bj、63bk、64blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、I、J、K、Lを出力する。
【0117】
これらの信号を演算機能により、トラッキングサーボエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。
MTE=(A+B)−(C+D) (式1)
STE=E−F (式10)
TE=MTE−γ×STE (γは定数) (式11)
FE=(A+C)−(B+D) (式4)
RF=I+J+K+L (式5)
【0118】
すなわち、記録トラック上(ランド)を走査する記録用光スポット201aの反射光による偏光性回折素子2’の0次光である記録用メイン検出スポット601aを受ける受光素子61aa〜64adから得られるプッシュプル信号(MTE)と、偏光性回折素子2’の±1次光である記録用サブ検出スポット602a、603aを受ける受光素子65ae、66afから得られるプッシュプル信号(STE)との演算によりレンズシフトなどによるオフセットのないTE信号が得ることができる。
【0119】
この理由を以下簡単に説明する。
【0120】
図8Aの例において、トラッキング動作で対物レンズ6が(波長板5および偏光性回折素子2’と一体で)トラッキング方向に移動(レンズシフト)した時には、図9Aにおけるメイン検出スポット601aは、図中矢印で示したトラッキング方向に沿って図中上下方向に変位するため、(式1)によるMTEはオフセットを持つ。
【0121】
一方で、このとき偏光性回折素子2’に入射する記録用光スポットによる反射光は領域40a内において、光量分布がトラッキング方向に沿ってシフトすることになる。その結果、領域401を通過する反射光と領域402を通過する反射光とで光量差が発生する。そして、これらの領域によって生成される光検出器9上の記録用サブ検出スポット602a、603aの光量差が発生するため、(式10)から得られるSTEがオフセットを持つことになる。
【0122】
従って、レンズシフトによりMTE、STEにはそれぞれオフセットが発生し、かつレンズシフトに従って、発生するオフセット量はほぼ比例する関係にある。このため、(式11)のように適当な定数γを設定すると、レンズシフトにかかわらずオフセットの発生しないTEを得ることができる。
【0123】
また、記録用光スポット201aを受ける受光素子61aa〜64adから得られる信号を用いると、図7Aの集光レンズ8で与えられる非点収差量がデフォーカスにより変化することで、(式4)に基づいて非点収差方式によるフォーカス信号の検出を行うことができる。
【0124】
一方、本実施形態では、光検出器9において、受光素子61bi、62bj、63bk、64blは再生用メイン検出スポット601bを受け、再生用サブ検出スポット602b、603b、604b、605bは光検出器9のいずれの受光素子でも受光されない。
【0125】
このような構成をとることにより、記録用メイン検出スポットおよびサブ検出スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、再生用メイン検出スポットで再生することができる。このため、再生用サブ検出スポットを受けるための受光素子を省くことが可能となり、小型で安価な光ピックアップを実現することができる。
【0126】
また、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合について、図9Aおよび図9Bを用いて述べる。
【0127】
図9Aは実施形態2における光検出器に入射される迷光を示す図である。
【0128】
光記録媒体7のある一つの情報記録層において記録再生を行っている場合、記録用光スポット201aおよび再生用光スポット201bは対象となる情報記録層に集光されている。しかし、同時に、記録再生の対象となる情報記録層に至るまでに存在する他の情報記録層による反射光や、対象となる情報記録層を透過して他の情報記録層に入射した光による反射光が存在する。これらの反射光(迷光)はデフォーカスした状態で情報記録層に入射し、反射されている。このように他の情報記録層で反射された光は、図9Aの記録用光スポット201aによる迷光600a、再生用光スポット201aによる迷光600bとして、デフォーカスして光検出器9に入射する。
【0129】
記録用光スポット201aによる迷光600aは、記録用の光変調によって光量が変化しているため、(式5)から得られる情報信号に、その変調成分が加算される。
【0130】
変調信号は、光記録媒体の記録中の反射率変化を含まない記録用サブ検出スポット602aあるいは603bを用いて、
MS=E+F (式6)
により得られる。
【0131】
従って、このときの光記録媒体の情報信号は
RF’=I+J+K+L−β×MS (βは定数) (式7)
により得られる。
【0132】
また、光変調による光量変化分を相殺するために、
RF’’=(I+J+K+L)/MS (式8)
とすることも可能である。
【0133】
さらに、
RF’’’=(I+J+K+L−β×MS)/MS (式9)
とすることで、光変調による光量変化による情報信号への影響を低減することが可能となる。
【0134】
なお、一般的に記録用光スポット201aの光量は再生用光スポット201bの光量に対して10倍程度、迷光の光量は情報記録層への光スポットによる反射光の光量に対して1/10程度である。このため、再生用光スポット201bによる迷光600bについては、記録用メイン検出スポットおよび記録用サブ検出スポットに対して十分小さい光量であり、記録用メイン検出スポットおよびサブ検出スポットから得られるTE信号への影響は少ない。
【0135】
さらに、再生用光スポットについても同様にデフォーカスした状態で他の情報記録層によって反射され、光検出器9へ入射する光も存在する。しかし、再生用光スポット201bの他の情報記録層による反射光は、各受光素子61aa、62ab、63ac、64ad、65ae、66af、61bi、62bj、63bk、64blからは十分離れた距離に到達し、これらの受光素子には入射しない。このため、再生用光スポット201bによる迷光は、ここで考慮する必要はない。
【0136】
この迷光の影響を除去するために、たとえば、復路光学系に迷光が通過する部分に遮光領域を設けても良い。図7Cは、遮光領域を有する偏光性回折素子2’の例を示す図である。図7Cには、記録を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲40aと、再生を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲40bとが記載されている。この偏光性回折素子2’には、光記録媒体7からの反射光のみに作用する、光を透過させない遮光部領域403が設けられている。すなわち、遮光部領域403は偏光性回折素子2’と同様に、発光点1a、1bから出射された光の偏光方向に対して全透過させ、それと直交する偏光方向の光に対しては遮光部として機能する特性を有す。
【0137】
ここで、遮光部領域403は記録用光スポットによる迷光のうち、光検出器9上では、図9Bにおける領域610aの偏光性回折素子2’上への投影領域とほぼ等しい大きさとなるように設定されている。
【0138】
従って、記録用光スポット201aによる迷光600aのうち、光検出器9における再生用メイン検出スポットを受ける受光素子61bi、62bj、63bk、64blに入射する部分がほぼ除去される。その結果、再生用メイン光スポットによる反射光を、迷光の影響を受けず検出することが可能となるため、品質の良い情報信号を得ることができる。
【0139】
このような構成をとることにより、光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の情報記録層からの迷光の影響を除去あるいは低減することができる。このため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。さらに光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の情報記録層からの迷光の影響を小さくすることができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0140】
本実施形態は、レーザ光源1が複数の発光点を有するが、図7Dに示すように、レーザ光源1が単一の発光点を有し、レーザ光源1から出射された光ビームを回折素子2により記録用ビームと再生用ビームに分離する構成をとった場合においても、本実施形態の検出器構成は有効である。
【0141】
図7Dによると、光分岐素子である回折素子2は、レーザ光源1から出射された光ビームを記録用ビームとなる0次光と、再生用ビームとなる±1次光とに分割する。この場合、対物レンズ6により光記録媒体7上に集光される光スポットは、図8Bに示すように、記録用光スポット201a、再生用光スポット201b、201cとなる。
【0142】
このとき、記録用光スポット201aの光記録媒体7による反射光は、偏光性回折素子2’により記録用メイン検出スポット601a、記録用サブ検出スポット602a、603aとなり、再生用光スポット201bからの反射光は、再生用検出スポット601bとなり、上述したような構成をとることにより、本実施形態の適用は可能である。
【0143】
なお、再生用光スポット201cによる反射光については、光検出器9上の各受光素子上では受光されない。
【0144】
従って、レーザ光源が1つの発光点を有する場合においても、記録用光スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、小型で安価な光ピックアップを実現することができ、光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の記録からの迷光の影響を小さくすることができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0145】
(実施形態3)
図10A〜11Cを参照しながら、本発明の実施形態3における光ピックアップを説明する。なお、従来例、実施形態1あるいは2と同じ要素については、同一の番号を付与して説明する。
【0146】
本光ピックアップの構成は図10Aに示すように、複数の発光点1aと1bを有するレーザ光源1と、光記録媒体7に記録マークを形成させるための光変調器10と、光記録媒体6の情報記録層上に回折光を集光するレンズ6と、光記録媒体7からの反射光を回折させ0次光、±1次光に分岐する回折素子2’’と、それらを受ける光検出器9とを有しており、発光点1aからの光による光スポットで記録しつつ、発光点1bからの光により再生信号を得る光ピックアップである。
【0147】
図10Aの例において、発光点1a、1bを出射した光はそれぞれ偏光ビームスプリッタ3を通過、コリメートレンズ4により平行光へ変換される。その後、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換されコリメートレンズ4を通過する。コリメートレンズ4を通過した光は、偏光ビームスプリッタ3で反射されて、回折素子2’’にて0次光、±1次光に分岐される。その後、集光レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9の受光素子に入射する。なお、図10Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に垂直な方向である。
【0148】
回折素子2’’は、図10Bに示すように、7分割された領域701〜708を有し、それぞれの領域に対して0次光であるメインスポット、+1次光、−1次光であるサブスポットに分割される。なお、図10Bにおける70aは記録用光スポットによる反射光の通過する領域、70bは再生用光スポットによる反射光が通過する領域を示す。
【0149】
このとき、光記録媒体7の情報記録層上にこれらの反射光が集光された光スポットの配置は図8Aのようになる。
【0150】
図8Aにおいて光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に走査される(実際にはスポットは固定されていて光記録媒体が矢印23の反対方向に進む)。記録用光スポット201aは発光点1aから出射された記録用光のスポット、再生用光スポット201bは発光点1bから出射された再生用の光スポットである。
【0151】
図11Aは光検出器9の受光素子の配置例を示す図である。
【0152】
図11Aにおいて、図8Aに図示した記録用光スポット201aの反射光のうち回折素子2’’による0次光は記録用メイン検出スポット801a、領域702による+1次光は記録用サブ検出スポット802a、領域703による+1次光は記録用サブ検出スポット803aとして、領域704および707による+1次光は記録用サブ検出スポット804a、領域705および708による+1次光は記録用サブ検出スポット805aとして、光検出器9に入射している。
【0153】
一方、再生用光スポット201bの反射光のうち回折素子2’’により分割された0次光は再生用メイン検出スポット801b、領域702による+1次光は再生用サブ検出スポット802b、領域703による+1次光は再生用サブ検出スポット803bとして、領域704および707による+1次光は再生用サブ検出スポット804b、領域705および708による+1次光は再生用サブ検出スポット805bとして、光検出器9に入射している。
【0154】
図11Aによると、光検出器9は、81aa、82ab、83ac、84adと85ae、86afと87ag、88ahと81bi、82bj、83bk、84blの12個の受光素子を備えている。受光素子81aa、82ab、83ac、84adは記録用メイン検出スポット801aを受け、受光素子85ae、86af、87ag、88ahはそれぞれ記録用サブ検出スポット802a、803a、804a、805aを受け、受光素子81bi、82bj、83bk、84blは再生用メイン検出スポット801bを受ける。
【0155】
なお、回折素子2’’の領域701による±1次光、702〜708による−1次光については、光検出器9上の受光素子81aa、82ab、83ac、84ad、85ae、86af、87ag、88ah、81bi、82bj、83bk、84blからは十分離れた距離に到達し、これらの検出素子には入射しないため図示していない。
【0156】
ここで、分割された各受光素子81aa、82ab、83ac、84ad、85ae、86af、87ag、88ah、81bi、82bj、83bk、84blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lを出力する。
【0157】
これらの信号からは演算機能により、トラッキングサーボエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。
MTE=E−F (式12)
STE=G−H (式13)
TE=MTE−δ×STE (δは定数) (式14)
FE=(A+C)−(B+D) (式4)
RF=I+J+K+L (式5)
【0158】
ここで、回折素子2’’へ入射する記録用光スポットによる反射光の通過する領域70aにおいて、領域704、705、707、708に入射する部分は光記録媒体7の情報記録層におけるトラックの形状によって反射されない0次回折光のみが入射する領域であり、領域702、703に入射する部分は光記録媒体6の情報記録層におけるトラックの形状によって反射される1次回折光と、0次回折光とが重なる領域である。
【0159】
そのため、図10Aにおいてトラッキング動作で対物レンズ6がトラッキング方向に移動(レンズシフト)した時には、図10Bにおける記録用光スポットによる反射光は、図中矢印で示したトラッキング方向に沿って図中左右方向に変位する。そのため、(式12)によるMTE、および(式13)によるSTEにはレンズシフト量に応じたオフセットが発生する。そのため、(式14)において、適当な定数δを設定することにより、レンズシフトにかかわらずオフセットの発生しないTEを得ることができる。
【0160】
また、記録用光スポット201aを受ける受光素子81aa、82ab、83ac、84adから得られる信号を用いると、図10Aの集光レンズ8で与えられる非点収差量がデフォーカスにより変化することで、(式4)に基づいて非点収差方式によるフォーカス信号の検出を行う。
【0161】
一方、このとき光検出器9において、受光素子81bi、82bj、83bk、84blは再生用メイン検出スポット801bの反射光を受けるが、再生用サブ検出スポット802b、803b、804b、805bは光検出器9のいずれの受光素子でも受光されない。
【0162】
このような構成をとることにより、記録用メイン検出スポットおよびサブ検出スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、再生用メイン検出スポットで再生することができるため、再生用サブ検出スポットを受けるための受光素子を省くことが可能となり、小型で安価な光ピックアップを実現することができる。
【0163】
また、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合について、図11Bを用いて述べる。
【0164】
光記録媒体7のある一つの情報記録層において記録再生を行っている場合、記録用光スポットおよび再生用光スポットは対象となる情報記録層に集光されているが、同時に対象となる情報記録層に至るまでに存在する他の情報記録層による反射光や、対象となる情報記録層を透過して他の情報記録層に入射した光による反射光が存在する。これらの反射光(迷光)はデフォーカスした状態で情報記録層に入射し、反射されており、図11Bの記録用光スポットによる迷光800a、再生用光スポットによる迷光800bとして、デフォーカスして光検出器9に入射する。
【0165】
このとき、記録用光スポットによる迷光800aは、記録用の光変調による光量変化をしているため、(式5)から得られる情報信号に、その変調成分が加算される。
【0166】
変調信号は、光記録媒体の記録中の反射率変化を含まない記録用サブ検出スポット802a、803a、804a、805aを用いて、
MS= E+F+G+H (式6’)
により得られる。
【0167】
従って、このときの光記録媒体の情報信号は
RF’=I+J+K+L−β×MS (βは定数) (式7)
により得られる。
【0168】
また、光変調による光量変化分を相殺するために、
RF’’=(I+J+K+L)/MS (式8)
とすることも可能である。
【0169】
さらに、
RF’’’=(I+J+K+L−β×MS)/MS (式9)
とすることで、光変調による光量変化による情報信号への影響を低減することが可能となる。
【0170】
なお、一般的に記録用光スポットの光量は再生用光スポットの光量に対して10倍程度、迷光の光量は情報記録層への光スポットによる反射光の光量に対して1/10程度であるため、再生用光スポットによる迷光800bについては、記録用メイン検出スポットおよび記録用サブ検出スポットに対して十分小さい光量であり、記録用メイン検出スポットおよびサブ検出スポットから得られるTE信号への影響は少ない。
【0171】
さらに、再生用光スポットについても同様にデフォーカスした状態で他の情報記録層によって反射され、光検出器9へ入射する光も存在するが、各受光素子81aa、82ab、83ac、84ad、85ae、86af、87ag、88ah、81bi、82bj、83bk、84blからは十分離れた距離に到達し、これらの受光素子には入射しないためここで考慮する必要はない。
【0172】
また、この迷光の影響を除去するために、たとえば、復路光学系に迷光が通過する部分に遮光領域を設けても良い。図10Cは回折素子2’’を示す図である。記録を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲70aと、再生を行っている情報記録層からの反射光の通過する範囲70bと、光を透過させない遮光部領域709とが図示されている。
【0173】
ここで、709は記録用光スポットによる迷光のうち、光検出器9上では、図11Cにおける領域810aの回折素子2’’上への投影領域とほぼ等しい大きさとなるように設定されている。
【0174】
従って、記録用光スポットによる迷光800aのうち、光検出器9における再生用メイン検出スポットを受ける受光素子81bi、82bj、83bk、84blに入射する部分がほぼ除去され、再生用メイン光スポットによる反射光を、迷光の影響を受けず検出することが可能となるため、品質の良い情報信号を得ることができる。
【0175】
このような構成をとることにより、光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の情報記録層からの迷光の影響を除去あるいは低減することができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。さらに光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の記録からの迷光の影響を小さくすることができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0176】
また、本実施形態においては、レーザ光源1が複数の発光点を有する場合について述べたが、図10Dに示すように、レーザ光源1が単一の発光点を有し、レーザ光源1から出射された光ビームを回折素子2により記録用ビームと再生用ビームに分離する構成をとった場合においても、本発明の実施形態の検出器構成は有効である。
【0177】
図10Dによると、光分岐素子である回折素子2は、レーザ光源1から出射された光ビームを記録用ビームとなる0次光と、再生用ビームとなる±1次光とに分割する。この場合、対物レンズ6により光記録媒体7上に集光される光スポットは、図8Bに示すように、記録用スポット201a、再生用スポット201b、201cとなる。
【0178】
このとき、記録用光スポット201aの光記録媒体7による反射光は、回折素子2’’により記録用メイン検出スポット801a、記録用サブ検出スポット802a、803a、804a、805a、再生用検出スポット801bとなり、上述したような構成をとることにより、本発明の実施形態の適用は可能である。
【0179】
なお、再生用光スポット201cによる反射光については、光検出器9上の各受光素子上では受光されない。
【0180】
従って、レーザ光源が1つの発光点を有する場合においても、記録用光スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、小型で安価な光ピックアップを実現することができ、光記録媒体が複数の情報記録層を有する場合においても、記録再生を行う情報記録層とは別の記録からの迷光の影響を小さくすることができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0181】
(実施形態4)
図12A〜図12Cを参照しながら、本発明の実施形態4における光ピックアップを説明する。
【0182】
なお、従来例、実施形態1〜3と同じ要素については、同一の番号を付与して説明する。
【0183】
図12Aは本実施形態における光ピックアップの光学系構成を示す図である。
【0184】
本光ピックアップは、複数の発光点である第1発光点91aと第2発光点91bを有するレーザ光源91と、光記録媒体7に記録マークを形成させるための光変調器90と、レーザ光源91からの光を回折させる0次光、±1次光に分岐する回折素子2と、光記録媒体7面上に回折光を集光する対物レンズ6と、光記録媒体7で反射した光を受ける光検出器9とを有している。光変調器90は第1発光点91a、第2発光点91bから出射される各々の光に対して光変調を行い、第1発光点91aおよび第2発光点91bからの各々の光による光スポットで同時に異なる記録マークを形成する光ピックアップである。
【0185】
図12Aにおいて発光点91a、91bを出射した光はそれぞれ回折素子2によって0次光、+1次光、−1次光に回折分岐される。分岐した光は偏光ビームスプリッタ3を通過、コリメートレンズ4により平行光へ変換される。その後、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換され、コリメートレンズ4を通過する。その後、偏光ビームスプリッタ3で反射されて集光レンズ8にて非点収差を与えられ光検出器9の受光素子に入射する。なお、図12Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に平行な方向である。
【0186】
図12Bは光記録媒体7の情報記録層上にこれらのビームが集光された6つの光スポットの配置例を示す図である。
【0187】
図12Bにおいて光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に走査される(実際にはスポットは固定されていて光記録媒体が矢印23の反対方向に進む)。
【0188】
第1メイン光スポット901aは、第1発光点91aから出射され、図12Aの回折素子2を透過した0次光による光スポットであり、トラック(ランド)21上に集光される。第1発光点91aから出射され、図12Bの回折素子2で回折された±1次光はトラック間(グルーブ)22上に集光され、第1サブ光スポット902a、903aとなる。また第2発光点91bから出射され、回折素子2を通過した0次光は、メイン第1メイン光スポットが集光するトラックと隣り合うトラック上に集光する第2メイン光スポット901bとなり、トラック(ランド)21上に集光される。第2発光点91bから出射され回折素子2で回折された±1次光は同様にトラック間(グルーブ)22上に集光され、第2サブ光スポット902b、903bとなる。
【0189】
なお、図で記録トラック上にはこれから記録する箇所にも記録マークが形成されており、オーバーライトしている状態を表す。
【0190】
図12Cは光検出器9の受光素子の配置例を示す図である。
【0191】
図12Bにおいて、図12Aにおける光記録媒体7上の光スポット901a、901b、902a、902b、903a、903bが光記録媒体7の情報記録層により反射され、それぞれ検出スポット1001a、1001b、1002a、1002b、1003a、1003bとして光検出器9に入射している。
【0192】
図12Cによると、光検出器9は、受光素子41aa、42ab、43ac、44adと45ae、46afと47ag、48ahと41bi、42bj、43bk、44blの12個の受光素子を備えている。受光素子41aa、42ab、43ac、44adは第1メイン光スポット901aによる検出スポット1001aを受け、受光素子45ae、46af、47ag、48ahは第1サブ光スポット902a、903aによる検出スポット1002a、1003aを受ける。なお、分割された各受光素子41aa、42ab、43ac、44ad、45ae、46af、47ag、48ah、41bi、42bj、44bk、44blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lを出力する。
【0193】
これらの信号A〜Lを演算機能により、実施形態1と同様に、(式1)から(式5)に基づいて、トラッキングサーボエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。
【0194】
このような構成をとることにより、第1メイン検出スポットおよびサブ検出スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、第2メイン検出スポットでも異なるトラックに記録することができる。このため、第2サブ検出スポットを受けるための受光素子を省いた、小型で安価な光ピックアップにおいて、記録に要する時間を短縮することができ、光ピックアップの記録転送レートを上げることが可能となる。
【0195】
なお、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合についても、実施形態1で述べたような迷光の影響を除去、または低減するための構成を実現することは容易であり、本実施形態における効果は同様である。
【0196】
レーザ光源91の第1発光点91a、第2発光点91bから出射される光によって同時に異なるトラックの情報信号を再生することも可能であり、光ピックアップの再生転送レートを上げることが可能となる。
【0197】
図13は、複数の光スポットにより同時に複数のトラックにデータを記録する光ピックアップと、複数の光スポットにより同時に複数のトラックに記録されたデータを再生する光ピックアップとを搭載した光記録再生装置を示す図である。
【0198】
図13に示す光記録再生装置は、図12Aを参照し説明した2つの光スポットにより異なるトラックに対して同時に記録を行う光ピックアップ11と、2つの光スポットにより異なるトラックに対して同時に再生を行う光ピックアップ12とを備える。この装置は、各々の光ピックアップ11、12を光記録媒体7の半径方向に沿って移動させるためのガイドシャフト13を備えている。
【0199】
記録用光ピックアップ11の第1の光スポット11aおよび第2の光スポット11bが光記録媒体7上に形成される。記録用光ピックアップ12の第1の光スポット12aおよび第2の光スポット12bが光記録媒体7上に形成される。光スポット11a、12aは同一トラック21a上に位置している。同様に、光スポット11b、12bは同一トラック21b上に位置する。
【0200】
本実施形態における光記録再生装置は、図示しない光ピックアップ制御装置を用いて、2つの光ピックアップを制御し、記録用光ピックアップ11の第1の光スポット11aで記録した直後に、再生用光ピックアップ12の第1の光スポット12aにて再生すると同時に、記録用光ピックアップ11の第2の光スポット光スポット11bで記録した直後に、再生用光ピックアップ12の第2の光スポット12bにて再生する。
【0201】
このような構成をとることにより、複数のスポットにより、複数のトラックに対して記録しながら記録後の信号を再生することでベリファイ動作を行い、記録信頼性を確保しながら高い記録再生転送レートを有す光記録再生装置の実現が可能となる。
【0202】
(実施形態5)
図14Aおよび図14Bを参照しながら、本発明の実施形態5における光ピックアップを説明する。
【0203】
なお、従来例、実施形態1〜4と同じ要素については、同一の番号を付与して説明する。
【0204】
本光ピックアップの構成は図14Aに示すように、複数の第1発光点91aと第2発光点91bを有するレーザ光源91と、光記録媒体7に記録マークを形成させるための光変調器90と、光記録媒体7面上に回折光を集光する対物レンズ6と、光記録媒体7からの反射光を回折させ0次光、±1次光に分岐する偏光性回折素子2’と、それらを受ける光検出器9とを有しており、光変調器90は第1発光点91a、第2発光点91bから出射される各々の光に対して光変調を行い、第1発光点91aおよび第2発光点91bからの各々の光による光スポットで同時に異なる記録マークを記録する光ピックアップである。
【0205】
図14Aにおいて第1発光点91a、第2発光点91bを出射した光はそれぞれ偏光ビームスプリッタ3を通過、コリメートレンズ4により平行光へ変換された後、第1発光点1a、第2発光点1bから出射された光の偏光方向に対して全透過させるような特性を持つ偏光性回折素子2’を通過する。その後、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換される。この偏光方向の光に対しては回折させる偏光性回折素子2’により0次光、+1次光、−1次光に回折分岐される。
【0206】
偏光性回折素子2’は、図7Bに示すように、光記録媒体7のトラッキング方向に2分割された領域401、402を有し、回折機能が有効となる偏光方向を持つ光に対しては、それぞれの領域に対して0次光、+1次光、−1次光に回折分岐する。
【0207】
偏光性回折素子2’により分岐された3つの光は、コリメートレンズ4を通過し、偏光ビームスプリッタ3で反射されて集光レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9の受光素子に入射する。
【0208】
ここで、対物レンズ6は、一体化された波長板5および偏光性回折素子2’と一体で光記録媒体7にフォーカシングおよびトラッキング制御される。
【0209】
なお、図14Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に平行な方向である。
【0210】
図14Bは光記録媒体7の情報記録層上にこれらの光が集光された光スポットの配置例を示す図である。
【0211】
図14Bにおいて光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に光スボッが移動する(実際には光スポットは固定されていて光記録媒体が矢印23の反対方向に進む)。第1光スポット901aは第1発光点91aから出射された第1光のスポット、第2光スポット901bは第2発光点91bから出射された第2光のスポットである。
【0212】
図14Cは光検出器9の受光素子の配置例を示す図である。
【0213】
図14Cにおいて、図14Bに図示した第1光スポット901aのうち偏光性回折素子2’により分割された0次光は第1メイン検出スポット1101a、領域401による±1次光は第1サブ検出スポット1103a、1104aとして、領域402による±1次光は第1サブ検出スポット1102a、1105aとして、光検出器9に入射している。
【0214】
一方、第2光スポット901bのうち偏光性回折素子2’により分割された0次光は第2メイン検出スポット1101b、領域401による±1次光は第2サブ検出スポット1103b、1104bとして、領域402による±1次光は第2サブ検出スポット1102b、1105bとして、光検出器9に入射している。
【0215】
図14Cによると、光検出器9は、51aa、52ab、53ac、54ad、55ae、56af、51bi、52bj、53bk、54blの10個の受光素子を備えている。受光素子51aa、52ab、53ac、54adは第1メイン検出スポット901aを受け、受光素子55ae、56afは第1サブ検出スポット1102a、1103aを受ける。なお、分割された各受光素子51aa、52ab、53ac、54ad、55ae、56af、51bi、52bj、53bk、54blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、I、J、K、Lを出力する。
【0216】
これらの信号を機能により、実施形態2と同様にトラッキングサーボエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。
【0217】
このような構成をとることにより、第1メイン検出スポットおよびサブ検出スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、第2メイン検出スポットでも異なるトラックに記録することができる。このため、第2サブ検出スポットを受けるための受光素子を省いた、小型で安価な光ピックアップにおいて、記録に要する時間を短縮することができ、光ピックアップの記録転送レートを上げることが可能となる。
【0218】
なお、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合についても、実施形態1で述べたような迷光の影響を除去、または低減するための構成を実現することは容易であり、本実施形態における効果は同様である。
【0219】
また、レーザ光源91の第1発光点91a、第2発光点91bから出射される光によって同時に異なるトラックの情報信号を再生することも可能であり、光ピックアップの再生転送レートを上げることが可能となる。
【0220】
従って、実施形態4にて図13に示すような、複数の光スポットにより同時に複数トラックに記録する光ピックアップと、複数の光スポットにより同時に複数トラックを再生する光ピックアップとを搭載する光記録再生装置への適用が可能であり、このような構成をとることによって、複数のスポットにより、複数のトラックに対して記録しながら記録後の信号を再生することでベリファイ動作を行い、記録信頼性を確保しながら高い記録再生転送レートを有す光記録再生装置の実現が可能となる。
【0221】
(実施形態6)
図15A〜15Cを参照しながら、本発明の実施形態6における光ピックアップを説明する。なお、従来例、実施形態1から5と同じ要素については、同一の番号を付与し説明する。
【0222】
本光ピックアップの構成は図15Aに示すように、複数の第1発光点91aと第2発光点91bを有するレーザ光源91と、光記録媒体7に記録マークを形成させるための光変調器90と、光記録媒体6面上に回折光を集光するレンズ6と、光記録媒体7からの反射光を回折させ0次光、±1次光に分岐する回折素子2’’と、それらを受ける光検出器9とを有している。光変調器90は第1発光点91a、第2発光点91bから出射される各々の光に対して光変調を行う。第1発光点91aおよび第2発光点91bからの各々の光による光スポットで同時に異なる記録マークが形成される。
【0223】
図15Aにおいて第1発光点91a、第2発光点91bを出射した光はそれぞれ偏光ビームスプリッタ3を通過、コリメートレンズ4により平行光へ変換された後、波長板5を経て円偏光となり対物レンズ6により集光されて光記録媒体7の情報記録層上にそれぞれ光スポットを形成する。光記録媒体7で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換され、コリメートレンズ4を通過し、偏光ビームスプリッタ3で反射されて、回折素子2’’にて0次光、±1次光に分岐された後、集光レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9の受光素子に入射する。
【0224】
回折素子2’’は、図10Bに示したように、7分割された領域701〜708を有し、それぞれの領域に対して0次光であるメインスポット、+1次光、−1次光であるサブスポットに分割される。なお、図10Bには、記録用光スポットによる反射光の通過する領域70aと、第2光スポットによる反射光が通過する領域70bとが示されている。
【0225】
このとき、光記録媒体7の情報記録層上にこれらの反射光が集光された光スポットの配置は図15Bに示すようになる。
【0226】
図15Bにおいて光記録媒体7の情報記録層には凹凸が形成されており、記録マークが形成される記録トラック21(ランド部、凹凸の凸部)に沿って矢印23の方向に走査される(実際にはスポットは固定されていて光記録媒体が矢印23の反対方向に進む)。
【0227】
第1光スポット901aは第1発光点91aから出射された光のスポット、第2光スポット901bは第2発光点91bから出射された光のスポットである。なお、図15Aにおいて、光記録媒体7のトラッキング方向は紙面に平行な方向である。
【0228】
図15Cは光検出器9の受光素子の配置例を示す図である。
【0229】
図15Cにおいて、図15Bに図示した第1光スポット901aの反射光のうち回折素子2’’による0次光は第1メイン検出スポット1201a、領域702による+1次光は第1サブ検出スポット1202a、領域703による+1次光は第1サブ検出スポット1203aとして、領域704および707による+1次光は第1サブ検出スポット1204a、領域705および708による+1次光は第1サブ検出スポット1205aとして、光検出器9に入射している。
【0230】
一方、第2光スポット901bの反射光のうち回折素子2’’により分割された0次光は第2メイン検出スポット1201b、領域702による+1次光は第2サブ検出スポット1202b、領域703による+1次光は第2サブ検出スポット1203bとして、領域704および707による+1次光は第2サブ検出スポット1204b、領域705および708による+1次光は第2サブ検出スポット1205bとして、光検出器9に入射している。
【0231】
図15Cによると、光検出器9は、受光素子71aa、72ab、73ac、74adと、75ae、76afと、77ag、78ahと、71bi、72bj、73bk、74blの12個の受光素子を備えている。受光素子71aa、72ab、73ac、74adは第1メイン検出スポット1201aを受け、受光素子75ae、76af、77ag、78ahはそれぞれ第1サブ検出スポット1202a、1203a、1204a、1205aを受け、受光素子71bi、72bj、73bk、74blは第2メイン検出スポット1201bを受ける。
【0232】
なお、回折素子2’’の領域701による±1次光、702〜708による−1次光については、光検出器9上の受光素子71aa、72ab、73ac、74ad、75ae、76af、77ag、78ah、71bi、72bj、73bk、74blからは十分離れた距離に到達し、これらの検出素子には入射しないため図示していない。
【0233】
ここで、分割された各受光素子71aa、72ab、73ac、74ad、75ae、76af、71bi、72bj、73bk、74blは、それぞれ、信号A、B、C、D、E、F、I、J、K、Lを出力する。
【0234】
これらの信号からは演算機能により、実施形態3と同様に、トラッキングサーボエラー信号(TE)およびフォーカスエラー信号(FE)、ならびに再生信号RFが生成される。
【0235】
このような構成をとることにより、第1メイン検出スポットおよびサブ検出スポットによって、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、第2メイン検出スポットでも異なるトラックに記録することができるため、第2サブ検出スポットを受けるための受光素子を省いた、小型で安価な光ピックアップにおいて、記録に要する時間を短縮することができ、光ピックアップの記録転送レートを上げることが可能となる。
【0236】
なお、光記録媒体7が複数の情報記録層を持つ場合についても、実施形態1で述べたような迷光の影響を除去、または低減するための構成を実現することは容易であり、本実施形態における効果は同様である。
【0237】
また、レーザ光源91の第1発光点91a、第2発光点91bから出射される光によって同時に異なるトラックの情報信号を再生することも可能であり、光ピックアップの再生転送レートを上げることが可能となる。
【0238】
従って、実施形態4にて図13に示したような、複数の光スポットにより同時に複数トラックに記録する光ピックアップと、複数の光スポットにより同時に複数トラックを再生する光ピックアップとを搭載する光記録再生装置への適用が可能である。このような構成をとることによって、複数のスポットにより、複数のトラックに対して記録しながら記録後の信号を再生することでベリファイ動作を行い、記録信頼性を確保しながら高い記録再生転送レートを有す光記録再生装置の実現が可能となる。
【0239】
なお、実施形態1から6については、光記録媒体が一例として光ディスクである場合について述べたが、テープなどの記録媒体であっても、本発明の各実施形態の構成は適用可能であり、その効果も同様である。
【0240】
また、各実施形態における光学系や光検出器の構成は一例であり、本実施形態1から6に限定させるものではない。
【0241】
本発明の実施形態によれば、複数の光スポットのうち、第1の光スポットよりサブビームを形成する光分岐素子を有し、記録媒体からの前記第1の光スポットと前記サブビームを受ける複数の第1の受光部と、複数の第1の受光部の間に他の光スポットを検出する第2の受光部を配するよう構成することにより、レンズシフトなどによるオフセットがない安定したTE信号により安定した記録を行いながら、再生用メイン検出スポットで再生することができるため、再生用サブ検出スポットを受けるための受光素子を省くことが可能となり、小型で安価な光ピックアップを実現することができる。
【0242】
また、本発明の実施形態によれば、複数の情報記録層を有する光記録媒体に情報の記録と再生を同時に行う際に、前記記録媒体からの記録ビームで、情報記録層と異なる層からの記録迷光の再生ビームを受ける第2の受光部の光路中に遮光物を有することにより、記録再生を行う情報記録層とは別の情報記録層からの迷光の影響を除去あるいは低減することができるため、安定した記録と同時に情報信号の再生を安定して行うことが可能である。
【0243】
また、以上のような構成を用いた2つ以上の光ピックアップを有し、個々の光ピックアップごとに複数のスポットで全て記録あるいは再生のいずれかを行うことによって、高い記録再生転送レートを実現したピックアップの実現が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明の実施形態にかかる光ピックアップは、これを複数個含む大容量情報記憶システム(たとえば光テープや光記録媒体を用いたデータファイルシステム)にて光記録媒体の異なる領域、または異なる光記録媒体に同時に情報を正確に記録するのに用いられ、簡易な構成でコストメリットを有する記録再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0245】
1、91、130 レーザ光源
2、2’’ 回折素子
2’ 偏光性回折素子
3、1303 偏光ビームスプリッタ
4、1304 コリメートレンズ
5、1305 波長板
6、1306 対物レンズ
7、1307 光記録媒体
8、1308 集光レンズ
9、1309 光検出器
10、90、131 光変調器
11 記録用光ピックアップ装置
12 記録用光ピックアップ装置
13 光ピックアップ駆動用ガイドシャフト
21 記録トラック(ランド)
22 記録トラック間グルーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の発光点を有する光源と、
前記第1の発光点から出射された光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記第2の発光点から出射された光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する光分岐素子と、
前記光分岐素子によって形成された前記複数の光ビームを前記光記録媒体に集光することにより、前記第1メインビームによる記録用光スポットおよび前記第2メインビームによる再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成し、かつ、前記複数の第1サブビームによる複数の参照用光スポットおよび前記第2サブビームによる光スポットを前記光記録媒体の前記目標記録トラック以外の部分に形成する光学系と、
光検出器と、
を備え、
前記光検出器は、
前記記録用光スポットおよび前記複数の参照用光スポットからの反射光を受ける複数の第1受光部と、
前記再生用光スポットからの反射光を受ける第2受光部と、
を有し、
前記第1および第2受光部は、前記複数の第2サブビームによる前記光スポットからの反射光を受けない位置に配置されている、光ピックアップ。
【請求項2】
前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記複数の参照用光スポットからの反射光を用いて、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
前記第2の受光部は、前記複数の第1の受光部の間に配置されている、請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項4】
前記第1および第2の受光部は、トラッキング方向に配列されている、請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項5】
前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項6】
光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項7】
第1および第2の発光点を有する光源と、
前記第1および第2の発光点の各々から出射された光を前記光記録媒体に集光することにより、記録用光スポットおよび再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成する光学系と、
前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記再生用光スポットからの反射光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する光分岐素子と、
光検出器と、
を備え、
前記光検出器は、
前記第1メインビームおよび前記複数の第1サブビームを受ける複数の第1受光部と、
前記第2メインビームを受ける複数の第2受光部と、
を有し、
前記第1および第2受光部は、前記複数の第2サブビームを受けない位置に配置されている、光ピックアップ。
【請求項8】
前記複数の第1受光部において、前記複数の第1サブビームを受ける受光部は、前記第1メインビームを受ける受光部に対して、前記光記録媒体のトラックキング方向に略直交な方向に位置している請求項7に記載の光ピックアップ。
【請求項9】
前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうちのトラッキング方向の一方の側に位置する第1の領域の回折光と、他方の側に位置する第2の領域の回折光とを形成し、
前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項7に記載の光ピックアップ。
【請求項10】
前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうち前記光記録媒体のトラックによる回折情報を多く含む第1の領域の回折光と、前記第1の領域以外の第2の領域の回折光とを形成し、
前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項7に記載の光ピックアップ。
【請求項11】
前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項7に記載の光ピックアップ。
【請求項12】
光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている請求項7に記載の光ピックアップ。
【請求項13】
光源と、
前記光源から出射された光を分岐して複数の光ビームを形成する第1の光分岐素子と
前記第1の光分岐素子によって形成された前記複数の光ビームを前記光記録媒体に集光することにより、記録用光スポットおよび再生用光スポットを前記光記録媒体の目標記録トラック上に形成する光学系と、
前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを含む複数の光ビームを形成し、かつ、前記再生用光スポットからの反射光を分岐して第2メインビームおよび複数の第2サブビームを含む複数の光ビームを形成する第2の光分岐素子と、
光検出器と、
を備え、
前記光検出器は、
前記第1メインビームおよび前記複数の第1サブビームを受ける複数の第1受光部と、
前記第2メインビームを受ける複数の第2受光部と、
を有し、
前記第1および第2の受光部は、前記複数の第2サブビームを受けない位置に配置されている、光ピックアップ
【請求項14】
前記複数の第1受光部において、前記複数の第1サブビームを受ける受光部は、前記第1メインビームを受ける受光部に対して、前記光記録媒体のトラックキング方向に略直交な方向に位置している請求項13に記載の光ピックアップ。
【請求項15】
前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうちのトラッキング方向の一方の側に位置する第1の領域の回折光と、他方の側に位置する第2の領域の回折光とを形成し、
前記複数の第1受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項13に記載の光ピックアップ。
【請求項16】
前記光分岐素子は、前記記録用光スポットからの反射光を分岐して第1メインビームおよび複数の第1サブビームを形成するとき、前記反射光のうち前記光記録媒体のトラックによる回折情報を多く含む第1の領域の回折光と、前記第1の領域以外の第2の領域の回折光とを形成し、
前記複数の第1の受光部の幾つかは、前記第1の領域の回折光と前記第2の領域の回折光とを受け、トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項13に記載の光ピックアップ。
【請求項17】
前記複数の第1の受光部のうち、前記第1メインビームを受ける幾つかは、フォーカス誤差信号を生成するための信号を出力する、請求項13に記載の光ピックアップ。
【請求項18】
光記録媒体が複数の積層された情報層を備える場合において、前記第1メインビームがデータを記録する目標の情報層以外の情報層から反射して前記第2受光部に入射する光路上に遮光物が配置されている請求項13に記載の光ピックアップ。
【請求項19】
請求項1に記載の少なくとも1つの光ピックアップを備え、
前記記録用光スポットでデータを記録し、かつ、前記再生用光スポットで前記データを再生するように前記光ピックアップを制御する制御部と、
を備える光記録再生装置。
【請求項20】
請求項7に記載の少なくとも1つの光ピックアップを備え、
前記記録用光スポットでデータを記録し、かつ、前記再生用光スポットで前記データを再生するように前記光ピックアップを制御する制御部と、
を備える光記録再生装置。
【請求項21】
請求項13に記載の少なくとも1つの光ピックアップを備え、
前記記録用光スポットでデータを記録し、かつ、前記再生用光スポットで前記データを再生するように前記光ピックアップを制御する制御部と、
を備える光記録再生装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【公開番号】特開2013−93087(P2013−93087A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89795(P2012−89795)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】