光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバ
【課題】
生体の管状組織に適用され、管状組織の内壁に堆積された血栓部を除去するための医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバを提供する。
【解決手段】
生体内の管状組織15に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、光ファイバ20の長手方向において開口部23の幅は、光ファイバ20の入口部分において狭く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって、広く形成される光ファイバ及びその光ファイバを適用する光ファイバ装置及びその光ファイバを複数本バンドル化したバンドルファイバ。
生体の管状組織に適用され、管状組織の内壁に堆積された血栓部を除去するための医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバを提供する。
【解決手段】
生体内の管状組織15に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、光ファイバ20の長手方向において開口部23の幅は、光ファイバ20の入口部分において狭く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって、広く形成される光ファイバ及びその光ファイバを適用する光ファイバ装置及びその光ファイバを複数本バンドル化したバンドルファイバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバに関し、特に、生体の管状組織に適用される医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の冠状動脈血管などに代表される生体の管状組織においては、血栓層が内壁部に付着する。血栓層は、脂肪の塊りや、カルシウム成分を多く含むコレステロールの層である。近年、冠状動脈の血栓などによる閉塞を改善する方法として、経皮的経血管的冠動脈形成術又は、経皮的冠動脈形成術(PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)と呼ばれる,バルーンによる再開通方法や、ステントと呼ばれる,半永久的な再開通方法がある。しかしながら、再狭窄の発生などの問題があり、完全な治療方法とはなり得ていない。
【0003】
一方、光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)は、光感受性薬(Photosensitizer)を生体が導入し、胃、肺などの癌の部位に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長の光を薬剤が選択的に集中した癌の部位に照射して、癌細胞を破壊する療法である。又、光線力学診断法(PDD:Photodynamic Diagnosis)は、胃、肺などの癌の部位に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定波長の光を照射し、その蛍光から、胃、肺などの癌細胞の広がり範囲を把握する診断方法である。
【0004】
一方、光ファイバの表面加工技術として、光ファイバセンサの用途において、光ファイバの表面に多数のノッチを形成する方法については、既に開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)については、上記の通り、胃、肺などの癌の部位には適用されているが、心臓の冠状動脈血管内などに代表される生体の細径の管状組織における病変部位には、適用されていない。
【特許文献1】特公表平8−511343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、生体の管状組織に適用され、管状組織の病変部位を治療するための医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成される光ファイバが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する光ファイバが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する光ファイバが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、コア層と、コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバが提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な外径を有する光ファイバであって、前記光ファイバは、少なくとも1層のコア層と、少なくとも1層のクラッドを備え、前記クラッド層の少なくとも先端部には、長手方向に添って、複数の開口部が形成されており、該開口部から漏洩光が発生することを特徴とする光ファイバが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、生体の管状組織に適用され、管状組織の内壁の病変部位を選択的に除去することができる。
【0019】
又、本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、光ファイバのある長さに渡って、側方(周方向)に光が漏れる光導光体を作成し、その構造を有しながら、曲げ応力などに対する機械強度を充分に維持することができる。
【0020】
又、本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、特に、光ファイバのコアに石英を用いることで、高強度のレーザ光を伝送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0022】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバは、光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)と共に併用することによって、生体の管状組織内壁の病変部を除去するための手段を提供することができる。
【0024】
更に、本発明の実施の形態に係る光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバは、光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)と共に併用することによって、生体の管状組織内壁の病変部を除去するための診断方法、手術方法を提供することができる。
【0025】
尚、本発明の実施の形態の説明において、管状組織とは、例えば、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管などを示す。特に、血管に関しては、心臓の冠状動脈のみならず、脳動脈、肺静脈、頚動脈、腹部,手足の動脈,静脈を含め、アテローマ、血栓などにより、梗塞、閉塞が発生する部位を含む血管はすべて対象となる。
【0026】
又、本発明の実施の形態において、光ファイバの出口部分LOとは、図10に示されるように、反射ミラー14が配置される部分であり、光ファイバの入口部分LIとは、図10に示されるように、レーザ光源からみて、最初の開口部23が配置される部分である。
【0027】
又、本発明の実施の形態において、開口部23の配置密度とは、単位面積当たりの開口部23の密度である。開口部23の形状は、形成方法によって、矩形、楕円、丸型に形成されることから、開口部23をランダムに配置する場合には、開口部23の配置密度は、単位面積当たりの開口部23の密度と定義することができる。一方、光ファイバ20の長手方向において、規則性を持って配置する場合には、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の全長で定義される。
【0028】
開口部23の配置密度が低いということは、単位面積当たりの開口部23の密度が低いこと、或いは長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に低いことを意味する。開口部23の配置密度が高いということは、単位面積当たりの開口部23の密度が高いこと、或いは光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に高いことを意味する。
【0029】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20は、図1に示すように表される。図1(a)は、図1(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図1(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図1(c)は、図1(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図1(d)は、図1(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0030】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図1に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、光ファイバ20の長手方向において開口部23の幅L1〜L7は、L1<L2<L3<L4<L5<L6<L7の大小関係にあり、光ファイバ20の入口部分において狭く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって広く形成される。
【0031】
ここで、本発明の第1の実施の形態において、光ファイバの出口部分LOとは、図10に示されるように、反射ミラー14が配置される部分であり、光ファイバの入口部分LIとは、図10に示されるように、レーザ光源からみて、最初の開口部23が配置される部分である。
【0032】
又、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図1に示すように、リング形状を有する。
【0033】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバと比較例に係る光ファイバにおいて、光強度Pと、長さLとの関係は、図9に示すように表される。ここで、光強度Pとは、光ファイバ20のコア部分(ガラスコア層11及び被覆コア層12)から開口部23を通して外部に漏洩する光の強度をいう。
【0034】
図9に対応する本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20の模式的断面構造は図10(a)に示すように表され、比較例に係る光ファイバの模式的断面構造は、図10(b)に示すように表される。
【0035】
比較例に係る光ファイバにおいては、図10(b)に示すように、開口部23の幅L0は一定の幅でかつ等間隔で配置される。図9の実線で示されるように、光ファイバの入口部分LIにおいては光パワーP(W/cm)が強く、光ファイバの出口部分LOに向けて、光ファイバの長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、光パワーP(W/cm)は急激に減衰している。これは、比較例に係る光ファイバにおいては、図10(b)に示すように、開口部23の幅L0が一定の幅でかつ等間隔で配置されるため、光ファイバの入口部分LI近傍において、ほとんどの光パワーP(W/cm)が漏れてしまうからである。
【0036】
これに対して、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図10(a)に示すように、開口部23の幅L1〜L7は、L1<L2<L3<L4<L5<L6<L7の大小関係にあり、光ファイバ20の入口部分LIにおいて狭く、入口部分LIから出口部分LOに向けて次第に広くなるように形成されるため、光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。これは、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図10(a)に示すように、開口部23の幅が、光ファイバ20の入口部分LI近傍において狭く、入口部分LIから出口部分LOに向けて次第に広くなるように形成されるため、光ファイバ20の入口部分LI近傍における光パワーP(W/cm)の漏洩が抑制されるためである。
【0037】
冠状動脈などの血管は、光ファイバを挿入する場合、一般的に入口部分の内径は太いが、先端部分に行くに従い、内径が細くなる傾向がある。本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、冠状動脈などの血管の長さと内径の関係に応じて、複数の開口部23が配置される光ファイバ20部分の長さLを調整することによって、図9の点線で示されるように、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係を、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるように設定することも可能である。
【0038】
(屈折率分布)
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20の屈折率分布例であって、図14(a)は、ガラスコア層11の屈折率n0に対して、被覆コア層12の屈折率n1が高い例、図14(b)は、ガラスコア層11の屈折率n0に対して、被覆コア層12の屈折率n1が低い例、図14(c)は、プラスティックコア層21の屈折率n3がフラットな例を示す。
【0039】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。図14において、光ファイバ20の長手方向の中心軸C−Cを座標軸の中心軸として設定し、半径R方向の屈折率nの分布が示されている。
【0040】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(a)に示すように、ガラスコア層11の屈折率n0は、被覆コア層12の屈折率n1よりも若干低く設定される。このように、被覆コア層12の屈折率n1をガラスコア層11の屈折率n0よりも高く設定することによって、光ファイバ20を導通する光が、被覆コア層12を導光しやすくなり、クラッド層13に配置された開口部23から漏れやすくするという効果がある。又、クラッド層13の屈折率n3は、ガラスコア層11の屈折率n0よりも低く設定する。代表的な数値としては、例えば、n0=1.4585、n1=1.46〜1.53、n3=1.38〜1.4が望ましい。
【0041】
ガラスコア層11は、例えば、石英を用いた場合、屈折率n0=1.4585が得られる。被覆コア層12の材料として、例えば、シリコーン樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.52が得られる。又、例えば、エポキシアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.543が得られる。又、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.49〜1.52、或いは1.510〜1.513、或いは1.490〜1.540が得られる。
【0042】
一方、クラッド層13の材料として、例えば、シリコ―ンクラッド用のシリコーン樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.41が得られる。又、例えば、フッ化アクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.38若しくは1.40が得られる。又、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.470〜1.490が得られる。
【0043】
被覆コア層12の屈折率n1、クラッド層13の屈折率n2は、上記材料の屈折率を適宜組み合わせて用いることができる。ガラスコア層11、被覆コア層12、及びクラッド層13の屈折率及び材料の選定は、上記に限られるものではない。他のプラスティック材料などを適宜選択可能である。
【0044】
一方、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(b)に示すように、ガラスコア層11の屈折率n0を、被覆コア層12の屈折率n1よりも高く設定することもできる。このように、被覆コア層12の屈折率n1をガラスコア層11の屈折率n0よりも低く設定することによって、光ファイバ20を導通する光が、相対的に、ガラスコア層11を導光しやすくなり、光ファイバ20のガラスコア層11において、より長い距離導光でき、入口部分から光ファイバ20の長手方向において、より遠距離に配置された開口部23からも光を漏れやすくすることができる。したがって、図14(b)の屈折率分布を有する光ファイバ20の場合には、光ファイバ20の長さを長く設定する用途に適用することができる。
【0045】
更に、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(c)に示すように、コア層として、プラスティックコア層21を用いることも可能である。プラスティックコア層21の屈折率n3の屈折率分布は、図14(c)に示すように、平坦な分布を有する。平坦な屈折率分布を有するプラスティックコア層21を用いる光ファイバ20としては、光ファイバ20を導通する光のパワーレベルが相対的に低い場合に適用可能である。
【0046】
又、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図1に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が更に配置される。反射ミラー14には、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0047】
尚、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバの直径は、ガラスコア層11,被覆コア層12及びクラッド層13を含め、約0.01〜数mm程度であり、望ましくは、約0.01〜1mm程度であり、適用する生体の管状組織の内径に応じて、選択される。
【0048】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20は、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁の病変を完治することができる。光感受性薬(Photosensitizer)を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0049】
光感受性薬として、例えば、アントリン(Antrin)を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約732nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、フォトフリン(Photofrin)或いはALAを使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約630nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、フォスキャン(Foscan)を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約652nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、LS11を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約654nmが適正な中心波長である。
【0050】
又、血液中におけるヘモグロビンなどによる散乱吸収損失の低い赤外から遠赤外波長を用いることもできる。例えば、波長1.0〜1.3μm、望ましくは1.1μm近傍の波長を有するレーザ光を用いることができる。或いは又、波長1.5〜2.0μm、望ましくは1.6μm近傍の波長を有するレーザ光を用いることもできる。
【0051】
光線力学診断法(PDD)を、このような光線力学療法(PDT)と併用することによって、病変部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、病変部の広がり範囲を把握する診断方法を提供することも可能である。即ち、光線力学診断法(PDD)を用いて、生体の管状組織内の病変部の広がり範囲などを把握した後、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20を生体の管状組織内に導入し、病変部の広がり範囲に応じて、病変部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、適正な波長のレーザ光を病変部に照射し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解・除去し、病変を完治することができる。
【0052】
光感受性薬の投与量は、例えば、約2.5mgであり、レーザ光のパワーレベルは、例えば、約150J/cm・f-1である。ここでfは、レーザ光の繰り返し周波数である。fが1kHzの場合には、パワーレベルは約150mJ/cmとなる。このようなレーザ光を約500sec照射して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部などを溶解し、除去することができる。
【0053】
尚、光パワーレベルは上記数値範囲に限定されることはなく、用途に応じて、より微弱なパワーを使用してもよい。対象とする生体の管状組織の長さや、光感受性薬が光反応する光パワーレベルに応じて、ガラスコア層11の材質を石英からプラステックに変更することもできる。又、対象とする生体の管状組織の長さや、光感受性薬が光反応する光パワーレベルに応じて、被覆コア層12を省略してガラスコア層11のみ或いはプラスティックコア層のみとして構成することも可能である。
【0054】
冠状動脈などの血管は、光ファイバを挿入する場合、一般的に入口部分の内径は太いが、先端部分に行くに従い、内径が細くなる傾向がある。本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係は、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるため、管状組織15の長さが、例えば心臓の冠状動脈の長さである約20〜30cm程度であっても、開口部23を有する光ファイバ20部分の長さLを例えば、20〜30cm程度に調整することによって、冠状動脈の全体に光線力学療法(PDT)を適用して、冠状動脈の内壁に付着した血栓部16などを溶解し、除去することができる。
【0055】
つまり、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭搾(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)を治療することもできる。
【0056】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0057】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20は、図2に示すように表される。図2(a)は、図2(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図2(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図2(c)は、図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図2(d)は、図2(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0058】
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図2に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において一定の幅L0を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0059】
又、本発明の第2の実施の形態において、開口部23の配置密度とは、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の全長で定義される。開口部23の配置密度が光ファイバ20の入口部分において低いということは、光ファイバ20の入口部分において、長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に小さいことを意味する。開口部23の配置密度が高いということは、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に大きいということを意味する。
【0060】
又、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図2に示すように、リング形状を有する。
【0061】
又、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においては、図2に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14には、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0062】
(屈折率分布)
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0063】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0064】
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0065】
(光波長と薬剤との関係)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20を生体の管状組織15内の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図である。ここで、液体媒質60は、例えば、血液などである。又、図8は、図7のI−I線に沿う模式的断面構造図である。生体の管状組織15の内壁には、図7及び図8に示すように、血栓部16が堆積形成されているため、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20も生体の管状組織15内挿入に、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織15の内壁に付着した血栓部16を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部16に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部16に照射して、プラーク層などの血栓を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0066】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0067】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着したプラーク層などの血栓を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0068】
光感受性薬の投与量及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0069】
又、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0070】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0071】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20は、図3に示すように表される。図3(a)は、図3(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図3(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図3(c)は、図3(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図3(d)は、図3(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0072】
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図3に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において一定幅を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分から長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0073】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図3に示すように、矩形形状を有する。尚、開口部23の形状は、形成方法によっては、矩形のみならず、円形、楕円形に形成することもできる。開口部23の形成方法としては、クラッド層13をレーザ加工によって加工する方法、クラッド層13を機械的加工によって加工する方法、又はクラッド層13を濃硫酸等の薬品で除去する方法等がある。
【0074】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、図3に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0075】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図3に示すように、矩形形状を有することから、開口部23が存在する窓部分からのみ光が放出されるため、生体の管状組織に挿入して使用する場合には、光ファイバ20を長手方向の中心軸の周りに回転させて使用してもよい。
【0076】
(屈折率分布)
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0077】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0078】
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0079】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着したプラーク層などの血栓を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0080】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0081】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0082】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0083】
又、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0084】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0085】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20は、図4に示すように表される。図4(a)は、図4(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図4(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図4(c)は、図4(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図4(d)は、図4(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0086】
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20は、図4に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において複数の溝開口部(ノッチ)24を備えるクラッド層13とを備え、溝開口部(ノッチ)24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0087】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、図4に示すように、溝開口部24は、リング形状を有する。
【0088】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、溝開口部24は、図4に示すように、V字溝のノッチ形状を有する。尚、V字溝の溝開口部24の形状としては、底部において所定の広がりを持たせてもよい。即ち、この場合には、断面形状は、逆台形状となる。更に、V字溝のノッチ形状又は逆台形状の溝開口部24の底部において、被覆コア層12が完全に露出した場合のみならず、被覆コア層12が完全に露出せず、クラッド層13が所定の厚さで、薄膜として残っている場合もある。
【0089】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、図4に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0090】
(屈折率分布)
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0091】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0092】
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においても、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0093】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、プラーク層などの血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0094】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0095】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0096】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0097】
又、本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0098】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0099】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20は、図5に示すように表される。図5(a)は、図5(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図5(b)は、模式的平面図を示す。
【0100】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20は、図5に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において螺旋状の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0101】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においては、図5に示すように、開口部23は、光ファイバ20の長手方向において一定の幅L0を有する。
【0102】
又、本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においては、図5に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0103】
(屈折率分布)
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0104】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0105】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0106】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0107】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0108】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0109】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0110】
又、本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0111】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0112】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20は、図6に示すように表される。図6(a)は、図6(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図6(b)は、模式的平面図を示す。
【0113】
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20は、図6に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において螺旋状の溝開口部24を備えるクラッド層13とを備え、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0114】
又、本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においては、溝開口部24は、図6に示すように、V字溝のノッチ形状を有する。
【0115】
又、本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においては、図6に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0116】
(屈折率分布)
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0117】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0118】
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においても、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0119】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0120】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0121】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0122】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0123】
又、本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0124】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0125】
[第7の実施の形態]
図11は、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用する本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26の模式的構成図を示す。図11においては、光ファイバ20の開口部の詳細な構成は、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20と同様であるため、図示を省略している。
【0126】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26は、レーザ光源19と、レーザ光源19に接続され,本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20と、光ファイバ20に隣接配置されるガイドワイヤ18と、光ファイバ20を挿入するカテーテル17とを備える。
【0127】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26において、光ファイバ20に隣接配置されるガイドワイヤ18は、光ファイバ20を挿入するカテーテル17内に挿入されていてもよい。
【0128】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26は、装置全体の構成は簡単であり、レーザ光源も半導体レーザなどを適用することによって、軽量・小型化が容易である。
【0129】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26を利用する心臓カテーテル手術又は検査は、図12に示すように模式的に表される。レーザ光源19に接続された光ファイバ20を大腿動脈48から挿入し、腹部大動脈44を介して心臓50内に達させている。同様に、レーザ光源19に接続された光ファイバ20を橈骨動脈46或いは肘部動脈52から挿入し、心臓50内に達させる場合もある。
【0130】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26を利用する心臓カテーテル手術又は検査において、心臓の冠状動脈部位に本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを挿入した様子は、図13(a)に示すように模式的に表される。図13(b)は、図13(a)のAの部分の拡大図であり、図13(c)は、図13(a)のBの部分の拡大図である。
【0131】
図13(a)に示すように、心臓50近傍の大動脈36を介して心臓50内に到達した光ファイバ20は、例えば、右冠動脈30、左冠動脈前下行枝32或いは左冠動脈回施枝42内に挿入される。図13(b)は、右冠動脈30内に光ファイバ20が挿入される例を示している。図13(c)は、左冠動脈前下行枝32内に光ファイバ20が挿入される例を示している。又、用途の応じて、大静脈34、肺静脈38、或いは肺動脈40内に光ファイバ20を挿入する場合もある。
【0132】
上記の説明においては、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用する場合を例として説明したが、図15乃至図19に示すように、後述する本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を適用することもできる。
【0133】
又、本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第7の実施の形態に係光ファイバ装置26を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0134】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0135】
[第8の実施の形態]
図15は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施の形態において示した光ファイバ20をバンドルファイバに構成した模式的断面構造図を示す。又、図16は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバの変形例を示す。又、図17は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施形態に示した光ファイバ20をバンドルファイバに構成した模式的平面図を示す。図15及び図16は、いずれも図17のI−I線に沿う模式的断面構造図に対応している。図16に示す本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバにおいても、模式的平面図は図17と同様に示される。
【0136】
図18は、図15に示すバンドルファイバ22を生体の管状組織15の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図を示す。又、図19は、図16に示すバンドルファイバ22を生体の管状組織15の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図を示す。ここで、液体媒質60は例えば血液などである。
【0137】
本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバはバンドルファイバ22を構成するものであり、図15に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなり、各々の光ファイバは、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバの入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ各々の光ファイバは、互いに接着層25を介して接着され、バンドル化されている。
【0138】
本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を構成する各個別の光ファイバは、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20に限定されることはなく、本発明の第1乃至第6の実施の形態において説明した光ファイバ20をすべて適用可能である。更に、用途に応じては、第1乃至第6の実施の形態において説明した複数種類の光ファイバ20を組み合わせても良い。
【0139】
本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバは、図16に示すように、複数本の光ファイバの中心部の空洞部62にガイドワイヤ18を備える。図16の構成を採用することによって、ガイドワイヤ18を複数本の光ファイバの外部に別個に配置する必要がなくなり、光ファイバ及び光ファイバ装置の省スペース化、コンパクト化を促進することができる。
【0140】
又、本発明の第8の実施形態及び変形例に係る光ファイバにおいて、各個別の光ファイバの開口部23は、リング状、螺旋状、V字溝のノッチ形状を備えていてもよい。
【0141】
又、本発明の第8の実施形態及び変形例に係る光ファイバにおいては、図17に示すように、バンドルファイバ22の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0142】
また、図17に示す例では、各光ファイバ20の開口部23の位置はバンドルファイバ22として構成される際、揃って配置されているが、必ずしも開口部23の位置を揃える必要はなく、ずらして配置されていてもよい。
【0143】
尚、本発明の第8の実施の形態に示すバンドルファイバ22の直径は、約0.1〜数mm程度であり、望ましくは、0.1mm〜1mm程度であり、バンドル本数及び適用する生体の管状組織の内径に応じて、選択される。例えば、本発明の第8の実施の形態に適用するバンドルファイバにおいて、各個別の光ファイバの直径が、ガラスコア層11,被覆コア層12及びクラッド層13を含め、約0.1mmの場合、図15に示すように、バンドル本数が7であれば、バンドルファイバの直径は、0.2〜0.4mm程度となる。ガラスコア層11の代りにプラスティックコア層21を使用した場合には、更に細く形成可能であり、バンドル化した場合にも約0.1mm以下とすることも可能であり、適用する生体の管状組織の内径、適用する管状組織の長さ、光パワーレベルの値に応じて、選択することができる。
【0144】
(屈折率分布)
本発明の第8の実施形態及びその変形例に示すバンドルファイバ22においても、各個別の光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0145】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第8の実施形態及びその変形例に示すバンドルファイバ22においても、各個別の光ファイバ20は、図17に示すように、開口部23の配置密度は、光ファイバの入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバの長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。したがって、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバと同様に、図9中の点線で示す特性と同様の特性が得られる。バンドル化されていることから、光ファイバの本数に応じて、光強度Pは、例えば数倍〜数十倍程度大きくなる。
【0146】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第8の実施の形態及びその変形例に係る光ファイバも第1の実施の形態に係る光ファイバと同様、図18及び図19に示すように、生体の管状組織15に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織15の内壁に付着した血栓部16を溶解し、除去することができる。
【0147】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0148】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、血栓部16を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0149】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0150】
本発明の第8の実施形態に係る光ファイバにおいては、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係は、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるため、管状組織15の長さが、例えば心臓の冠状動脈の長さである約20〜30cm程度であっても、開口部23を有する光ファイバ部分の長さLを例えば、20〜30cm程度に調整することによって、冠状動脈の全体に光線力学療法(PDT)を適用して、冠状動脈の内壁に付着した血栓部16などを溶解し、除去することができる。
【0151】
本発明の第8の実施形態に示すバンドルファイバ22が適用される管状組織15は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管などである。
【0152】
又、本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0153】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0154】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1乃至第8の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0155】
また、光ファイバは、生体内の管状組織に挿入可能な外径を有しており、少なくと1層のコア層を備えており、上記各実施形態のコア層構成数には限定されない。
【0156】
同様に、少なくとも1層のクラッドを備えており、上記各実施形態のクラッド層構成数には限定されない。さらに、血管などの管状組織へ挿入される光ファイバの先端部のみに開口部を形成しても良いし、光ファイバ全体長に渉り開口部を形成することもでできる。
【0157】
さらにまた、開口部の大きさは肉眼で目視可能な程度から各種顕微鏡にて確認できる程度の各種大きさのものが含まれる。
【0158】
なおまたさらに、光ファイバ材料として、上記実施形態ではコアに石英ガラスを用いているが、必要とする光強度によっては高分子系材料のコアとすることも可能である。
【0159】
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0160】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【図8】図7のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバと比較例に係る光ファイバにおいて、光強度Pと、長さLとの関係を示す模式図。
【図10】(a)本発明の第1の実施形態に係る光ファイバの模式的断面構造図、(b)比較例に係る光ファイバの模式的断面構造図。
【図11】本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを適用する本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置の模式的構成図。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置を利用する心臓カテーテル手術又は検査の様子を説明する模式図。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置を利用する心臓カテーテル手術又は検査において、(a)心臓の冠状動脈部位に本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを挿入した様子を説明する図、(b)Aの部分の拡大図、(c)Bの部分の拡大図。
【図14】本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバの屈折率分布例であって、(a)ガラスコア層の屈折率n0に対して、被覆コア層の屈折率n1が高い例、(b)ガラスコア層の屈折率n0に対して、被覆コア層の屈折率n1が低い例、(c)プラスティックコア層の屈折率n3がフラットな例。
【図15】本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバをバンドルファイバに構成した図17のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図16】本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバの模式的断面構造図。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバをバンドルファイバに構成した模式的平面図。
【図18】図15に示すバンドルファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【図19】図16に示すバンドルファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【符号の説明】
【0162】
11…ガラスコア層
12…被覆コア層
13…クラッド層
14…反射ミラー
15…管状組織
16…血栓部
17…カテーテル
18…ガイドワイヤ
19…レーザ光源
20…光ファイバ
21…プラスティックコア層
22…バンドルファイバ
23…開口部
24…溝開口部
25…接着層
26…光ファイバ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバに関し、特に、生体の管状組織に適用される医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の冠状動脈血管などに代表される生体の管状組織においては、血栓層が内壁部に付着する。血栓層は、脂肪の塊りや、カルシウム成分を多く含むコレステロールの層である。近年、冠状動脈の血栓などによる閉塞を改善する方法として、経皮的経血管的冠動脈形成術又は、経皮的冠動脈形成術(PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)と呼ばれる,バルーンによる再開通方法や、ステントと呼ばれる,半永久的な再開通方法がある。しかしながら、再狭窄の発生などの問題があり、完全な治療方法とはなり得ていない。
【0003】
一方、光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)は、光感受性薬(Photosensitizer)を生体が導入し、胃、肺などの癌の部位に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長の光を薬剤が選択的に集中した癌の部位に照射して、癌細胞を破壊する療法である。又、光線力学診断法(PDD:Photodynamic Diagnosis)は、胃、肺などの癌の部位に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定波長の光を照射し、その蛍光から、胃、肺などの癌細胞の広がり範囲を把握する診断方法である。
【0004】
一方、光ファイバの表面加工技術として、光ファイバセンサの用途において、光ファイバの表面に多数のノッチを形成する方法については、既に開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)については、上記の通り、胃、肺などの癌の部位には適用されているが、心臓の冠状動脈血管内などに代表される生体の細径の管状組織における病変部位には、適用されていない。
【特許文献1】特公表平8−511343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、生体の管状組織に適用され、管状組織の病変部位を治療するための医療用の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成される光ファイバが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する光ファイバが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する光ファイバが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、コア層と、コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバが提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、レーザ光源と、レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバとを備える光ファイバ装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、光ファイバの長手方向において開口部の幅は、光ファイバの入口部分において狭く、入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、各々の光ファイバは、ガラスコア層と、ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、被覆コア層を被覆し、かつ光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、開口部の配置密度は、光ファイバの入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ互いに接着層を介して接着されるバンドルファイバが提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、生体内の管状組織に挿入可能な外径を有する光ファイバであって、前記光ファイバは、少なくとも1層のコア層と、少なくとも1層のクラッドを備え、前記クラッド層の少なくとも先端部には、長手方向に添って、複数の開口部が形成されており、該開口部から漏洩光が発生することを特徴とする光ファイバが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、生体の管状組織に適用され、管状組織の内壁の病変部位を選択的に除去することができる。
【0019】
又、本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、光ファイバのある長さに渡って、側方(周方向)に光が漏れる光導光体を作成し、その構造を有しながら、曲げ応力などに対する機械強度を充分に維持することができる。
【0020】
又、本発明の光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバによれば、特に、光ファイバのコアに石英を用いることで、高強度のレーザ光を伝送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0022】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバは、光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)と共に併用することによって、生体の管状組織内壁の病変部を除去するための手段を提供することができる。
【0024】
更に、本発明の実施の形態に係る光ファイバ、光ファイバ装置及びバンドルファイバは、光線力学療法(PDT)或いは光線力学診断法(PDD)と共に併用することによって、生体の管状組織内壁の病変部を除去するための診断方法、手術方法を提供することができる。
【0025】
尚、本発明の実施の形態の説明において、管状組織とは、例えば、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管などを示す。特に、血管に関しては、心臓の冠状動脈のみならず、脳動脈、肺静脈、頚動脈、腹部,手足の動脈,静脈を含め、アテローマ、血栓などにより、梗塞、閉塞が発生する部位を含む血管はすべて対象となる。
【0026】
又、本発明の実施の形態において、光ファイバの出口部分LOとは、図10に示されるように、反射ミラー14が配置される部分であり、光ファイバの入口部分LIとは、図10に示されるように、レーザ光源からみて、最初の開口部23が配置される部分である。
【0027】
又、本発明の実施の形態において、開口部23の配置密度とは、単位面積当たりの開口部23の密度である。開口部23の形状は、形成方法によって、矩形、楕円、丸型に形成されることから、開口部23をランダムに配置する場合には、開口部23の配置密度は、単位面積当たりの開口部23の密度と定義することができる。一方、光ファイバ20の長手方向において、規則性を持って配置する場合には、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の全長で定義される。
【0028】
開口部23の配置密度が低いということは、単位面積当たりの開口部23の密度が低いこと、或いは長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に低いことを意味する。開口部23の配置密度が高いということは、単位面積当たりの開口部23の密度が高いこと、或いは光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に高いことを意味する。
【0029】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20は、図1に示すように表される。図1(a)は、図1(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図1(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図1(c)は、図1(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図1(d)は、図1(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0030】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図1に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、光ファイバ20の長手方向において開口部23の幅L1〜L7は、L1<L2<L3<L4<L5<L6<L7の大小関係にあり、光ファイバ20の入口部分において狭く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって広く形成される。
【0031】
ここで、本発明の第1の実施の形態において、光ファイバの出口部分LOとは、図10に示されるように、反射ミラー14が配置される部分であり、光ファイバの入口部分LIとは、図10に示されるように、レーザ光源からみて、最初の開口部23が配置される部分である。
【0032】
又、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図1に示すように、リング形状を有する。
【0033】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバと比較例に係る光ファイバにおいて、光強度Pと、長さLとの関係は、図9に示すように表される。ここで、光強度Pとは、光ファイバ20のコア部分(ガラスコア層11及び被覆コア層12)から開口部23を通して外部に漏洩する光の強度をいう。
【0034】
図9に対応する本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20の模式的断面構造は図10(a)に示すように表され、比較例に係る光ファイバの模式的断面構造は、図10(b)に示すように表される。
【0035】
比較例に係る光ファイバにおいては、図10(b)に示すように、開口部23の幅L0は一定の幅でかつ等間隔で配置される。図9の実線で示されるように、光ファイバの入口部分LIにおいては光パワーP(W/cm)が強く、光ファイバの出口部分LOに向けて、光ファイバの長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、光パワーP(W/cm)は急激に減衰している。これは、比較例に係る光ファイバにおいては、図10(b)に示すように、開口部23の幅L0が一定の幅でかつ等間隔で配置されるため、光ファイバの入口部分LI近傍において、ほとんどの光パワーP(W/cm)が漏れてしまうからである。
【0036】
これに対して、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図10(a)に示すように、開口部23の幅L1〜L7は、L1<L2<L3<L4<L5<L6<L7の大小関係にあり、光ファイバ20の入口部分LIにおいて狭く、入口部分LIから出口部分LOに向けて次第に広くなるように形成されるため、光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。これは、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図10(a)に示すように、開口部23の幅が、光ファイバ20の入口部分LI近傍において狭く、入口部分LIから出口部分LOに向けて次第に広くなるように形成されるため、光ファイバ20の入口部分LI近傍における光パワーP(W/cm)の漏洩が抑制されるためである。
【0037】
冠状動脈などの血管は、光ファイバを挿入する場合、一般的に入口部分の内径は太いが、先端部分に行くに従い、内径が細くなる傾向がある。本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、冠状動脈などの血管の長さと内径の関係に応じて、複数の開口部23が配置される光ファイバ20部分の長さLを調整することによって、図9の点線で示されるように、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係を、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるように設定することも可能である。
【0038】
(屈折率分布)
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20の屈折率分布例であって、図14(a)は、ガラスコア層11の屈折率n0に対して、被覆コア層12の屈折率n1が高い例、図14(b)は、ガラスコア層11の屈折率n0に対して、被覆コア層12の屈折率n1が低い例、図14(c)は、プラスティックコア層21の屈折率n3がフラットな例を示す。
【0039】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。図14において、光ファイバ20の長手方向の中心軸C−Cを座標軸の中心軸として設定し、半径R方向の屈折率nの分布が示されている。
【0040】
本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(a)に示すように、ガラスコア層11の屈折率n0は、被覆コア層12の屈折率n1よりも若干低く設定される。このように、被覆コア層12の屈折率n1をガラスコア層11の屈折率n0よりも高く設定することによって、光ファイバ20を導通する光が、被覆コア層12を導光しやすくなり、クラッド層13に配置された開口部23から漏れやすくするという効果がある。又、クラッド層13の屈折率n3は、ガラスコア層11の屈折率n0よりも低く設定する。代表的な数値としては、例えば、n0=1.4585、n1=1.46〜1.53、n3=1.38〜1.4が望ましい。
【0041】
ガラスコア層11は、例えば、石英を用いた場合、屈折率n0=1.4585が得られる。被覆コア層12の材料として、例えば、シリコーン樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.52が得られる。又、例えば、エポキシアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.543が得られる。又、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n1=1.49〜1.52、或いは1.510〜1.513、或いは1.490〜1.540が得られる。
【0042】
一方、クラッド層13の材料として、例えば、シリコ―ンクラッド用のシリコーン樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.41が得られる。又、例えば、フッ化アクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.38若しくは1.40が得られる。又、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂を用いた場合、屈折率n2=1.470〜1.490が得られる。
【0043】
被覆コア層12の屈折率n1、クラッド層13の屈折率n2は、上記材料の屈折率を適宜組み合わせて用いることができる。ガラスコア層11、被覆コア層12、及びクラッド層13の屈折率及び材料の選定は、上記に限られるものではない。他のプラスティック材料などを適宜選択可能である。
【0044】
一方、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(b)に示すように、ガラスコア層11の屈折率n0を、被覆コア層12の屈折率n1よりも高く設定することもできる。このように、被覆コア層12の屈折率n1をガラスコア層11の屈折率n0よりも低く設定することによって、光ファイバ20を導通する光が、相対的に、ガラスコア層11を導光しやすくなり、光ファイバ20のガラスコア層11において、より長い距離導光でき、入口部分から光ファイバ20の長手方向において、より遠距離に配置された開口部23からも光を漏れやすくすることができる。したがって、図14(b)の屈折率分布を有する光ファイバ20の場合には、光ファイバ20の長さを長く設定する用途に適用することができる。
【0045】
更に、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図14(c)に示すように、コア層として、プラスティックコア層21を用いることも可能である。プラスティックコア層21の屈折率n3の屈折率分布は、図14(c)に示すように、平坦な分布を有する。平坦な屈折率分布を有するプラスティックコア層21を用いる光ファイバ20としては、光ファイバ20を導通する光のパワーレベルが相対的に低い場合に適用可能である。
【0046】
又、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、図1に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が更に配置される。反射ミラー14には、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0047】
尚、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバの直径は、ガラスコア層11,被覆コア層12及びクラッド層13を含め、約0.01〜数mm程度であり、望ましくは、約0.01〜1mm程度であり、適用する生体の管状組織の内径に応じて、選択される。
【0048】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20は、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁の病変を完治することができる。光感受性薬(Photosensitizer)を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0049】
光感受性薬として、例えば、アントリン(Antrin)を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約732nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、フォトフリン(Photofrin)或いはALAを使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約630nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、フォスキャン(Foscan)を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約652nmが適正な中心波長である。光感受性薬として、例えば、LS11を使用した場合、レーザ光の波長としては、例えば、約654nmが適正な中心波長である。
【0050】
又、血液中におけるヘモグロビンなどによる散乱吸収損失の低い赤外から遠赤外波長を用いることもできる。例えば、波長1.0〜1.3μm、望ましくは1.1μm近傍の波長を有するレーザ光を用いることができる。或いは又、波長1.5〜2.0μm、望ましくは1.6μm近傍の波長を有するレーザ光を用いることもできる。
【0051】
光線力学診断法(PDD)を、このような光線力学療法(PDT)と併用することによって、病変部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、病変部の広がり範囲を把握する診断方法を提供することも可能である。即ち、光線力学診断法(PDD)を用いて、生体の管状組織内の病変部の広がり範囲などを把握した後、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20を生体の管状組織内に導入し、病変部の広がり範囲に応じて、病変部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、適正な波長のレーザ光を病変部に照射し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解・除去し、病変を完治することができる。
【0052】
光感受性薬の投与量は、例えば、約2.5mgであり、レーザ光のパワーレベルは、例えば、約150J/cm・f-1である。ここでfは、レーザ光の繰り返し周波数である。fが1kHzの場合には、パワーレベルは約150mJ/cmとなる。このようなレーザ光を約500sec照射して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部などを溶解し、除去することができる。
【0053】
尚、光パワーレベルは上記数値範囲に限定されることはなく、用途に応じて、より微弱なパワーを使用してもよい。対象とする生体の管状組織の長さや、光感受性薬が光反応する光パワーレベルに応じて、ガラスコア層11の材質を石英からプラステックに変更することもできる。又、対象とする生体の管状組織の長さや、光感受性薬が光反応する光パワーレベルに応じて、被覆コア層12を省略してガラスコア層11のみ或いはプラスティックコア層のみとして構成することも可能である。
【0054】
冠状動脈などの血管は、光ファイバを挿入する場合、一般的に入口部分の内径は太いが、先端部分に行くに従い、内径が細くなる傾向がある。本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ20においては、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係は、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるため、管状組織15の長さが、例えば心臓の冠状動脈の長さである約20〜30cm程度であっても、開口部23を有する光ファイバ20部分の長さLを例えば、20〜30cm程度に調整することによって、冠状動脈の全体に光線力学療法(PDT)を適用して、冠状動脈の内壁に付着した血栓部16などを溶解し、除去することができる。
【0055】
つまり、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭搾(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)を治療することもできる。
【0056】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0057】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20は、図2に示すように表される。図2(a)は、図2(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図2(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図2(c)は、図2(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図2(d)は、図2(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0058】
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図2に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において一定の幅L0を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0059】
又、本発明の第2の実施の形態において、開口部23の配置密度とは、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の全長で定義される。開口部23の配置密度が光ファイバ20の入口部分において低いということは、光ファイバ20の入口部分において、長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に小さいことを意味する。開口部23の配置密度が高いということは、光ファイバ20の長手方向における単位長さ当りの開口部23の長さの割合が相対的に大きいということを意味する。
【0060】
又、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図2に示すように、リング形状を有する。
【0061】
又、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においては、図2に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14には、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0062】
(屈折率分布)
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0063】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0064】
本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0065】
(光波長と薬剤との関係)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20を生体の管状組織15内の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図である。ここで、液体媒質60は、例えば、血液などである。又、図8は、図7のI−I線に沿う模式的断面構造図である。生体の管状組織15の内壁には、図7及び図8に示すように、血栓部16が堆積形成されているため、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ20も生体の管状組織15内挿入に、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織15の内壁に付着した血栓部16を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部16に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部16に照射して、プラーク層などの血栓を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0066】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0067】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着したプラーク層などの血栓を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0068】
光感受性薬の投与量及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0069】
又、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0070】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0071】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20は、図3に示すように表される。図3(a)は、図3(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図3(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図3(c)は、図3(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図3(d)は、図3(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0072】
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20は、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、図3に示すように、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において一定幅を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分から長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0073】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図3に示すように、矩形形状を有する。尚、開口部23の形状は、形成方法によっては、矩形のみならず、円形、楕円形に形成することもできる。開口部23の形成方法としては、クラッド層13をレーザ加工によって加工する方法、クラッド層13を機械的加工によって加工する方法、又はクラッド層13を濃硫酸等の薬品で除去する方法等がある。
【0074】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、図3に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0075】
又、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においては、開口部23は、図3に示すように、矩形形状を有することから、開口部23が存在する窓部分からのみ光が放出されるため、生体の管状組織に挿入して使用する場合には、光ファイバ20を長手方向の中心軸の周りに回転させて使用してもよい。
【0076】
(屈折率分布)
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0077】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0078】
本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって、増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0079】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着したプラーク層などの血栓を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0080】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0081】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0082】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0083】
又、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0084】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0085】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20は、図4に示すように表される。図4(a)は、図4(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図4(b)は、光ファイバ20の模式的平面図であり、図4(c)は、図4(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図であり、図4(d)は、図4(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図を示す。
【0086】
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20は、図4に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバ20の長手方向において複数の溝開口部(ノッチ)24を備えるクラッド層13とを備え、溝開口部(ノッチ)24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0087】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、図4に示すように、溝開口部24は、リング形状を有する。
【0088】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、溝開口部24は、図4に示すように、V字溝のノッチ形状を有する。尚、V字溝の溝開口部24の形状としては、底部において所定の広がりを持たせてもよい。即ち、この場合には、断面形状は、逆台形状となる。更に、V字溝のノッチ形状又は逆台形状の溝開口部24の底部において、被覆コア層12が完全に露出した場合のみならず、被覆コア層12が完全に露出せず、クラッド層13が所定の厚さで、薄膜として残っている場合もある。
【0089】
又、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においては、図4に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0090】
(屈折率分布)
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0091】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0092】
本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ20においても、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0093】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、プラーク層などの血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0094】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0095】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0096】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0097】
又、本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第4の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0098】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0099】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20は、図5に示すように表される。図5(a)は、図5(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図5(b)は、模式的平面図を示す。
【0100】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20は、図5に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において螺旋状の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0101】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においては、図5に示すように、開口部23は、光ファイバ20の長手方向において一定の幅L0を有する。
【0102】
又、本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においては、図5に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0103】
(屈折率分布)
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0104】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0105】
本発明の第5の実施形態に係る光ファイバ20においても、開口部23の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0106】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0107】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0108】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0109】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0110】
又、本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第5の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0111】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0112】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20は、図6に示すように表される。図6(a)は、図6(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図であり、図6(b)は、模式的平面図を示す。
【0113】
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20は、図6に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ20であって、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、かつ光ファイバ20の長手方向において螺旋状の溝開口部24を備えるクラッド層13とを備え、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバ20の長手方向において離隔するにしたがって増加する。
【0114】
又、本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においては、溝開口部24は、図6に示すように、V字溝のノッチ形状を有する。
【0115】
又、本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においては、図6に示すように、光ファイバ20の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0116】
(屈折率分布)
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0117】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20おいても、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、図9中の点線で示すように表される。
【0118】
本発明の第6の実施形態に係る光ファイバ20においても、溝開口部24の配置密度は、光ファイバ20の入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバ20の長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。
【0119】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20も第1の実施の形態に係る光ファイバ20と同様に、生体の管状組織に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができる。光感受性薬を生体が導入し、アテローマ、コレステロールなどが堆積した血栓部に光感受性薬の薬剤が選択的に集中することを利用して、特定の波長のレーザ光を薬剤が選択的に集中した血栓部に照射して、血栓部を光化学反応によって、溶解し、除去することができる。
【0120】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0121】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、生体の管状組織の内壁に付着した血栓部を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0122】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0123】
又、本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0124】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0125】
[第7の実施の形態]
図11は、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用する本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26の模式的構成図を示す。図11においては、光ファイバ20の開口部の詳細な構成は、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20と同様であるため、図示を省略している。
【0126】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26は、レーザ光源19と、レーザ光源19に接続され,本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20と、光ファイバ20に隣接配置されるガイドワイヤ18と、光ファイバ20を挿入するカテーテル17とを備える。
【0127】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26において、光ファイバ20に隣接配置されるガイドワイヤ18は、光ファイバ20を挿入するカテーテル17内に挿入されていてもよい。
【0128】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26は、装置全体の構成は簡単であり、レーザ光源も半導体レーザなどを適用することによって、軽量・小型化が容易である。
【0129】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26を利用する心臓カテーテル手術又は検査は、図12に示すように模式的に表される。レーザ光源19に接続された光ファイバ20を大腿動脈48から挿入し、腹部大動脈44を介して心臓50内に達させている。同様に、レーザ光源19に接続された光ファイバ20を橈骨動脈46或いは肘部動脈52から挿入し、心臓50内に達させる場合もある。
【0130】
本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26を利用する心臓カテーテル手術又は検査において、心臓の冠状動脈部位に本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを挿入した様子は、図13(a)に示すように模式的に表される。図13(b)は、図13(a)のAの部分の拡大図であり、図13(c)は、図13(a)のBの部分の拡大図である。
【0131】
図13(a)に示すように、心臓50近傍の大動脈36を介して心臓50内に到達した光ファイバ20は、例えば、右冠動脈30、左冠動脈前下行枝32或いは左冠動脈回施枝42内に挿入される。図13(b)は、右冠動脈30内に光ファイバ20が挿入される例を示している。図13(c)は、左冠動脈前下行枝32内に光ファイバ20が挿入される例を示している。又、用途の応じて、大静脈34、肺静脈38、或いは肺動脈40内に光ファイバ20を挿入する場合もある。
【0132】
上記の説明においては、本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバ20を適用する場合を例として説明したが、図15乃至図19に示すように、後述する本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を適用することもできる。
【0133】
又、本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置26によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第7の実施の形態に係光ファイバ装置26を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0134】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0135】
[第8の実施の形態]
図15は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施の形態において示した光ファイバ20をバンドルファイバに構成した模式的断面構造図を示す。又、図16は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバの変形例を示す。又、図17は、本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施形態に示した光ファイバ20をバンドルファイバに構成した模式的平面図を示す。図15及び図16は、いずれも図17のI−I線に沿う模式的断面構造図に対応している。図16に示す本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバにおいても、模式的平面図は図17と同様に示される。
【0136】
図18は、図15に示すバンドルファイバ22を生体の管状組織15の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図を示す。又、図19は、図16に示すバンドルファイバ22を生体の管状組織15の液体媒質60中に挿入した状態を説明する模式的断面構造図を示す。ここで、液体媒質60は例えば血液などである。
【0137】
本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバはバンドルファイバ22を構成するものであり、図15に示すように、生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなり、各々の光ファイバは、ガラスコア層11と、ガラスコア層11を被覆する被覆コア層12と、被覆コア層12を被覆し、光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部23を備えるクラッド層13とを備え、開口部23の配置密度は、光ファイバの入口部分において相対的に低く、入口部分から光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、かつ各々の光ファイバは、互いに接着層25を介して接着され、バンドル化されている。
【0138】
本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を構成する各個別の光ファイバは、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ20に限定されることはなく、本発明の第1乃至第6の実施の形態において説明した光ファイバ20をすべて適用可能である。更に、用途に応じては、第1乃至第6の実施の形態において説明した複数種類の光ファイバ20を組み合わせても良い。
【0139】
本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバは、図16に示すように、複数本の光ファイバの中心部の空洞部62にガイドワイヤ18を備える。図16の構成を採用することによって、ガイドワイヤ18を複数本の光ファイバの外部に別個に配置する必要がなくなり、光ファイバ及び光ファイバ装置の省スペース化、コンパクト化を促進することができる。
【0140】
又、本発明の第8の実施形態及び変形例に係る光ファイバにおいて、各個別の光ファイバの開口部23は、リング状、螺旋状、V字溝のノッチ形状を備えていてもよい。
【0141】
又、本発明の第8の実施形態及び変形例に係る光ファイバにおいては、図17に示すように、バンドルファイバ22の終端部には、反射ミラー14が配置される。反射ミラー14は、例えば、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、アルミニウム(Al)などの金属材料、又は多層膜を用いることができる。
【0142】
また、図17に示す例では、各光ファイバ20の開口部23の位置はバンドルファイバ22として構成される際、揃って配置されているが、必ずしも開口部23の位置を揃える必要はなく、ずらして配置されていてもよい。
【0143】
尚、本発明の第8の実施の形態に示すバンドルファイバ22の直径は、約0.1〜数mm程度であり、望ましくは、0.1mm〜1mm程度であり、バンドル本数及び適用する生体の管状組織の内径に応じて、選択される。例えば、本発明の第8の実施の形態に適用するバンドルファイバにおいて、各個別の光ファイバの直径が、ガラスコア層11,被覆コア層12及びクラッド層13を含め、約0.1mmの場合、図15に示すように、バンドル本数が7であれば、バンドルファイバの直径は、0.2〜0.4mm程度となる。ガラスコア層11の代りにプラスティックコア層21を使用した場合には、更に細く形成可能であり、バンドル化した場合にも約0.1mm以下とすることも可能であり、適用する生体の管状組織の内径、適用する管状組織の長さ、光パワーレベルの値に応じて、選択することができる。
【0144】
(屈折率分布)
本発明の第8の実施形態及びその変形例に示すバンドルファイバ22においても、各個別の光ファイバ20において適用可能な屈折率nの分布は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)乃至図14(c)に示すように表される。また、各部の材料の選定及び屈折率nの値も第1の実施の形態と同様である。
【0145】
(光強度と開口部配置との関係)
本発明の第8の実施形態及びその変形例に示すバンドルファイバ22においても、各個別の光ファイバ20は、図17に示すように、開口部23の配置密度は、光ファイバの入口部分LIにおいて相対的に低く、入口部分LIから出口部分LOに向けて光ファイバの長手方向の長さLの方向にシフトするにしたがって増加するため、光パワーP(W/cm)は急激には減衰せず、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られる。したがって、光強度Pと長さLとの関係は、本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバと同様に、図9中の点線で示す特性と同様の特性が得られる。バンドル化されていることから、光ファイバの本数に応じて、光強度Pは、例えば数倍〜数十倍程度大きくなる。
【0146】
(光波長と薬剤との関係)
本発明の第8の実施の形態及びその変形例に係る光ファイバも第1の実施の形態に係る光ファイバと同様、図18及び図19に示すように、生体の管状組織15に挿入することで、光線力学療法(PDT)を適用して、生体の管状組織15の内壁に付着した血栓部16を溶解し、除去することができる。
【0147】
光感受性薬とレーザ光の波長との関係は、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0148】
光線力学診断法(PDD)を、光線力学療法(PDT)と併用し、血栓部16を溶解し、除去することができることも第1の実施の形態における説明と同様である。
【0149】
光感受性薬の投与量は、及びレーザ光のパワーレベルについても、第1の実施の形態における説明と同様である。
【0150】
本発明の第8の実施形態に係る光ファイバにおいては、光パワーP(W/cm)と長さLとの関係は、緩やかに減衰するか、実質的にほとんど平坦な出力特性が得られるため、管状組織15の長さが、例えば心臓の冠状動脈の長さである約20〜30cm程度であっても、開口部23を有する光ファイバ部分の長さLを例えば、20〜30cm程度に調整することによって、冠状動脈の全体に光線力学療法(PDT)を適用して、冠状動脈の内壁に付着した血栓部16などを溶解し、除去することができる。
【0151】
本発明の第8の実施形態に示すバンドルファイバ22が適用される管状組織15は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管などである。
【0152】
又、本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22によれば、スポット的な治療ではなく、血管の長手方向に沈積した(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)プラーク等の除去に有効であり、血管の長手方向に沿った治療を実現することができる。即ち、本発明の第8の実施の形態に係るバンドルファイバ22を適用することによって、血管の最も狭窄(部分的ではなく、血管壁に沿って長目に分布しているという意味であり、以下、本発明において共通)の起きている部位を部分的に治療するのではなく、血管全体に起きている狭窄を予防することもできる。
【0153】
このように、光ファイバの側面から漏れる光によって、血管壁に沿った治療ができることが重要である。
【0154】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1乃至第8の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0155】
また、光ファイバは、生体内の管状組織に挿入可能な外径を有しており、少なくと1層のコア層を備えており、上記各実施形態のコア層構成数には限定されない。
【0156】
同様に、少なくとも1層のクラッドを備えており、上記各実施形態のクラッド層構成数には限定されない。さらに、血管などの管状組織へ挿入される光ファイバの先端部のみに開口部を形成しても良いし、光ファイバ全体長に渉り開口部を形成することもでできる。
【0157】
さらにまた、開口部の大きさは肉眼で目視可能な程度から各種顕微鏡にて確認できる程度の各種大きさのものが含まれる。
【0158】
なおまたさらに、光ファイバ材料として、上記実施形態ではコアに石英ガラスを用いているが、必要とする光強度によっては高分子系材料のコアとすることも可能である。
【0159】
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0160】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図、(c)(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(d)(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る光ファイバであって、(a)(b)のI―I線に沿う模式的断面構造図、(b)模式的平面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【図8】図7のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバと比較例に係る光ファイバにおいて、光強度Pと、長さLとの関係を示す模式図。
【図10】(a)本発明の第1の実施形態に係る光ファイバの模式的断面構造図、(b)比較例に係る光ファイバの模式的断面構造図。
【図11】本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを適用する本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置の模式的構成図。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置を利用する心臓カテーテル手術又は検査の様子を説明する模式図。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る光ファイバ装置を利用する心臓カテーテル手術又は検査において、(a)心臓の冠状動脈部位に本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバを挿入した様子を説明する図、(b)Aの部分の拡大図、(c)Bの部分の拡大図。
【図14】本発明の第1乃至第6の実施の形態に係る光ファイバの屈折率分布例であって、(a)ガラスコア層の屈折率n0に対して、被覆コア層の屈折率n1が高い例、(b)ガラスコア層の屈折率n0に対して、被覆コア層の屈折率n1が低い例、(c)プラスティックコア層の屈折率n3がフラットな例。
【図15】本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバをバンドルファイバに構成した図17のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図16】本発明の第8の実施の形態の変形例に係る光ファイバの模式的断面構造図。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係る光ファイバであって、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバをバンドルファイバに構成した模式的平面図。
【図18】図15に示すバンドルファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【図19】図16に示すバンドルファイバを生体の管状組織に挿入した状態を説明する模式的断面構造図。
【符号の説明】
【0162】
11…ガラスコア層
12…被覆コア層
13…クラッド層
14…反射ミラー
15…管状組織
16…血栓部
17…カテーテル
18…ガイドワイヤ
19…レーザ光源
20…光ファイバ
21…プラスティックコア層
22…バンドルファイバ
23…開口部
24…溝開口部
25…接着層
26…光ファイバ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成されることを特徴とする光ファイバ。
【請求項2】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項3】
前記開口部は、ノッチ形状を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記開口部は、リング形状を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ。
【請求項5】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項6】
前記開口部は、ノッチ形状を有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記開口部は、一定の幅を有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記ガラスコア層の屈折率は、前記被覆コア層の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項1乃至請求項7の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記ガラスコア層の屈折率は、前記被覆コア層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1乃至請求項7の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項10】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
コア層と、
前記コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項11】
前記管状組織は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管の内、いずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項10の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項12】
前記光ファイバの終端部には、反射ミラーが更に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項11の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項13】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項14】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項15】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項16】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項17】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項18】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項19】
前記複数本の光ファイバの中心部にガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項16乃至請求項18の内、いずれかに記載のバンドルファイバ。
【請求項20】
前記管状組織は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管の内、いずれかであることを特徴とする請求項16乃至請求項18の内、いずれかに記載のバンドルファイバ。
【請求項21】
生体内の管状組織に挿入可能な外径を有する光ファイバであって、
前記光ファイバは、少なくとも1層のコア層と、少なくとも1層のクラッドを備え、
前記クラッド層の少なくとも先端部には、長手方向に添って、複数の開口部が形成されており、該開口部から漏洩光が発生することを特徴とする光ファイバ。
【請求項1】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成されることを特徴とする光ファイバ。
【請求項2】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項3】
前記開口部は、ノッチ形状を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記開口部は、リング形状を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ。
【請求項5】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項6】
前記開口部は、ノッチ形状を有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記開口部は、一定の幅を有することを特徴とする請求項5記載の光ファイバ。
【請求項8】
前記ガラスコア層の屈折率は、前記被覆コア層の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項1乃至請求項7の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項9】
前記ガラスコア層の屈折率は、前記被覆コア層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1乃至請求項7の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項10】
生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバであって、
コア層と、
前記コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加することを特徴とする光ファイバ。
【請求項11】
前記管状組織は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管の内、いずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項10の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項12】
前記光ファイバの終端部には、反射ミラーが更に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項11の内、いずれかに記載の光ファイバ。
【請求項13】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項14】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項15】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に接続され、ガラスコア層と、前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加する、生体内の管状組織に挿入可能な光ファイバ
とを備えることを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項16】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記光ファイバの長手方向において前記開口部の幅は、前記光ファイバの入口部分において狭く、前記入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって、広く形成され、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項17】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、前記光ファイバの長手方向において一定幅を有する複数の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項18】
生体内の管状組織に挿入可能な複数の光ファイバからなるバンドルファイバであって、
各々の前記光ファイバは、
ガラスコア層と、
前記ガラスコア層を被覆する被覆コア層と、
前記被覆コア層を被覆し、かつ前記光ファイバの長手方向において螺旋状の開口部を備えるクラッド層
とを備え、前記開口部の配置密度は、前記光ファイバの入口部分から前記光ファイバの長手方向において離隔するにしたがって増加し、
かつ互いに接着層を介して接着されることを特徴とするバンドルファイバ。
【請求項19】
前記複数本の光ファイバの中心部にガイドワイヤを更に備えることを特徴とする請求項16乃至請求項18の内、いずれかに記載のバンドルファイバ。
【請求項20】
前記管状組織は、血管、膵管、胆管、気管、乳腺、乳管、尿管の内、いずれかであることを特徴とする請求項16乃至請求項18の内、いずれかに記載のバンドルファイバ。
【請求項21】
生体内の管状組織に挿入可能な外径を有する光ファイバであって、
前記光ファイバは、少なくとも1層のコア層と、少なくとも1層のクラッドを備え、
前記クラッド層の少なくとも先端部には、長手方向に添って、複数の開口部が形成されており、該開口部から漏洩光が発生することを特徴とする光ファイバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−194084(P2008−194084A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29368(P2007−29368)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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