説明

光ファイバケーブル及びその形成方法

ルーズチューブ型光ファイバケーブルは少なくとも1つのケーブルユニットを備えている。各ケーブルユニットは、複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むジャケットとを備えている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、西暦2005年6月8日に出願された米国仮特許願第60/688492号及び西暦2005年6月8日に出願された米国仮特許願第60/688493号についての優先権の恩恵を主張しており、それらの開示内容の全体は参照によりここに含まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、伝送ケーブルに関し、特に、光ファイバケーブル及びその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
光ファイバのアレイコネクタは、リボン光ファイバケーブル及びコード、タイトバッファー型(tight−buffered)ケーブル並びにルーズチューブ型(loose tube)ケーブルに昔から適用されてきた。これらのケーブルの各々は、ケーブルコスト、ケーブル特性及びコネクタ化(connectorization)方法に関して固有の欠点を有している。
【0004】
リボンケーブルは、他のケーブルデザインよりも高価であると共に、優先曲げ(preferential bending)を欠点としてもつことがある。また、これらは、ケーブル構造に由来する光学性能の低下もある。更に、多重リボンは、多重コネクタに対する破断時に分岐チュービング(furcation tubing)を必要とすることがある。
【0005】
タイトバッファーケーブルは、一般的に大形ケーブルであり、光ファイバの実装密度を低下させると共に、この種のケーブルアセンブリに対する曲げの問題に負の影響を与えている。個々のタイトバッファーはしばしば裸にしなければならず、その後に分岐チュービングで保護されねばならないので、付加的な仕事が接続性と関連している。ルーズ光ファイバのリボン化もまた、光ファイバのアレイコネクタの適用前に必要とされるかも知れない。
【0006】
ルーズチューブ型ケーブルは、光学特性、ケーブル寸法及びケーブルコストに関する利点を提供するものである。しかしながら、光ファイバは、従来よりも分岐チュービングで保護されていなければならない。また、ルーズファイバのリボン化は、光ファイバのアレイコネクタの適用前に必要とされるかもしれない。
【発明の開示】
【0007】
本発明の実施形態によると、ルーズチューブ型光ファイバケーブルは、少なくとも1つのケーブルユニットを備えている。各ケーブルユニットは、複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むジャケットとを備えている。
【0008】
特定の実施形態によると、非バッファー付き光ファイバの各々は、約235〜265μmの範囲内にある直径を有している。
【0009】
特定の実施形態によると、各ケーブルユニットは、該ケーブルユニットの前記非バッファー付き光ファイバが前記ケーブルユニットの前記ジャケット内で浮動するように構成されている。
【0010】
特定の実施形態によると、各ケーブルユニットの前記ジャケットは、約2.75〜3.25mmの範囲内にある外径を有している。
【0011】
特定の実施形態によると、ケーブルは、前記少なくとも1つのケーブルユニットの少なくとも一部を囲む外側強化ヤーンと、該外側強化ヤーン及び前記少なくとも1つのケーブルユニットを囲む外側ジャケットとを更に備えている。
【0012】
特定の実施形態によると、前記少なくとも1つのケーブルユニットは複数のケーブルユニットがあり、前記ケーブルは、更に、前記複数のケーブルユニットの前記ジャケットを囲む外側ジャケットを備えている。
【0013】
本発明の更なる特定の実施形態によると、コネクタ化したケーブルアセンブリは、少なくとも1つのケーブルユニットを含むルーズチューブ型光ファイバケーブルと、前記少なくとも1つのケーブルユニットに設けられた光ファイバコネクタとを備えている。各ケーブルユニットは、複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むジャケットとを備えている。
【0014】
本発明の方法の実施形態によると、ルーズチューブ型光ファイバケーブルを形成する方法は、複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むポリマージャケットとを含む少なくとも1つのケーブルユニットを形成することを含んでいる。
【0015】
本発明の更なる特徴、利点及び詳細は、以下の好適な実施形態についての詳細な説明及び図面を読み込むことにより当業者には明らかとなるであろうが、かかる説明は本発明を単に例示するに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の例示的な実施形態が示されている添付図面を参照して、以下に、本発明についてより詳細に説明する。図面において、諸領域及び諸特徴の相対的な大きさは明瞭にするため誇張されることがある。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施可能であり、ここに記載した実施形態に限定されると考えるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が最初から最後まで完全であると共に本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、提供されている。
【0017】
ある要素が別の要素に対して「連結されている」又は「接続されている」とされている場合には、その要素が他の要素に対して直接に連結又は接続されることができるか、又は介在する要素が存在してもよいことであると理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に対して「直接連結されている」又は「直接接続されている」とされている場合には、介在する要素は何も存在しない。全体を通じて同様の数字は同様の要素について言及している。ここで使用されている「及び/又は」と言う用語は、関連の掲載要素の任意の組合せ及び全ての組合せを含んでいる。
【0018】
また、「下」、「下方」、「下側」、「上」、「上方」、「上側」等のような空間に関する相対的用語は、1つの要素を説明する記載或いは図面に例示したような別の要素もしくは特徴に対する関係を説明する記載を容易にするために、ここで使用されることがある。これらの空間に関する相対的用語は、図面に示された方向付けに加えて、使用中又は作動中の装置の種々の方向付けを含むものと理解されたい。例えば、図面に記載の装置がひっくり返されれば、他の要素もしくは特徴の「下」又は「真下」にあると記載された要素は他の要素もしくは特徴の「上」に方向付けられることになろう。従って、具体例としての用語「下」は、上及び下の双方の方向付けを含むことができる。装置は違ったふうに方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転される)、また、ここで使用される空間に関する相対的記載はそれに応じて解釈されることになる。
【0019】
簡潔及び/又は明瞭にするため既知の機能又は構成については詳細に説明しないことがある。
【0020】
ここで使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためのみであり、本発明を限定することを意図しているのではない。ここで使用されている単数形の用語は、文脈が明らかに他の状態を指していなければ、同様に複数形も含むものと考えられる。更に、「構成する」及び/又は「構成される」という用語は、この明細書で使用される場合、記載された特徴、ユニット、ステップ、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を規定しており、1つ以上の他の特徴、ユニット、ステップ、作動、要素、構成要素及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことが分かるであろう。
【0021】
特に定義されていなければ、ここで使用されている全ての用語(技術用語及び科学用語を含め)は、本発明が属する技術分野に習熟する者により普通に理解されるのと同じ意味を有している。更に、普通に使用される諸辞典に定義されているような用語は、関連技術の状況下のそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、また、ここに明確に定義されていなければ理想化された又は非常に形式的な意味で解釈されることはないであろう。
【0022】
本発明の実施形態によると、ルーズチューブ型光ファイバケーブルが提供されている。このケーブルは、ルーズチューブ型ケーブル布線の利点をもたらすことができ、及び/又は、他の光ファイバケーブル布線形式及び解決策で一般的に要求されるような特定のケーブルアセンブリの労働力及びコストを削減もしくは排除することができる。
【0023】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるケーブル100がそこに示されている。このケーブル100は、複数の非バッファー付き光ファイバ110と、複数の強化ヤーン120と、保護ジャケット130とを備えているのが一般的である。特定の実施形態によると、また、図示のように、ケーブル100は断面が丸く、そして前述したグループのコンポーネントは周りに実質的に同心状に位置決めされると共に、条長の軸心L−Lに沿って一緒に延在している。ケーブル100は、図3A〜図3Cに示すように、コネクタ化したケーブル5を形成するために、コネクタアセンブリ10と組み合わせることが可能である。
【0024】
図示のように、ケーブル100は、12本の非バッファー付き光ファイバ110からなるバンドル111を備えている。特定の実施形態によると、光ファイバ110は互いにルーズであるから、それらが特別の固定的な相対方向を有することはない。
【0025】
光ファイバ110の代表例の1つが図2に断面図で示されている。この光ファイバ110は、ガラスコア112Aと周囲のガラス被覆体112Bとを含むガラスファイバ112である。ガラスファイバ112は、適当な方法で構成することができる。例えば、コア112A及び被覆体112Bの各々は、1つ以上の同心のセグメント又は層を含んでいたり、ドープされていたりしてもよい。ガラスファイバ112は、適当な方法を用いて任意の適当な材料で形成することが可能である。
【0026】
図2を参照すると、光ファイバ110において、被覆層114は被覆体112Bを囲んでいる。該被覆層114は、ガラスファイバ112に対する環境保護をもたらしている。例示したように、被覆層114は単一の被覆層からなるが、被覆層114の全体を形成するのに多重の同心層を利用してもよい。特定の実施形態によると、被覆層114は紫外線硬化アクリレートから形成されている。それぞれの光ファイバ110の被覆層114は、色識別のため種々の色をしていてもよい。
【0027】
特定の実施形態によると、例示したように、光ファイバ110は、“裸の光ファイバ”又は“非バッファー付き光ファイバ”と通常呼ばれているように構成された光ファイバである。特定の実施形態によると、光ファイバ110の全直径D1は、約235〜265μmの範囲内にある。特定の実施形態によると、被覆層114の厚さT1は約70.5μmよりも厚いことはない。特定の実施形態によると、全直径D1は、約235〜265μmの間にあり、被覆層114の厚さT1は約70.5μmよりも厚いことはない。特定の実施形態によると、コア112Aの直径D2は約6〜64μmの間にあり、被覆体112Bの直径D3は約115〜135μmの間にある。
【0028】
図示のように、ケーブル100は、少なくとも部分的に光ファイババンドル111を囲む強化ヤーン120のバンドル121を更に備えている。強化ヤーン120は、任意の適当な材料から形成することが可能である。特定の実施形態によると、強化ヤーン120はアラミド繊維である。他の適当な材料にはガラス繊維又はポリエステルがある。特定の実施形態によると、強化ヤーン120の各々は約250〜3000の範囲内にあるデニールを有している。特定の実施形態によると、強化ヤーンバンドル121は、強化ヤーン120の約2〜10の素糸もしくはストランドを含んでいる(その各々は数百フィラメントを含みうる)。
【0029】
ジャケット130は、該ジャケット130に画成された長手方向の通路132内にあるヤーンバンドル121及び光ファイババンドル111を取り囲んでいる。ジャケット130は、高分子材料のような適当な材料から形成することが可能である。特定の実施形態によると、ジャケット130は熱可塑性高分子から形成されている。適当な高分子材料はPVC、PVDF、又はFRPEであってよい。ジャケット130は、光ファイババンドル111及び強化ヤーンバンドル121を覆って鋳造されるか又は押出し成形されている。特定の実施形態によると、ジャケット130の厚さT2は約0.20〜1.0mmの間にある。
【0030】
特定の実施形態によると、ジャケット通路132の内径D4は、少なくとも光ファイバ110がルーズであり、通路132内で浮動できるように(即ち、ジャケット130に対して自由に動く)、光ファイババンドル111及び強化ヤーンバンドル121の総横断直径よりも大きい。特定の実施形態によると、光ファイバ110及び強化ヤーン120の双方はルーズであり、通路132内で浮動可能である(即ち、ジャケット130に対して自由に動く)。従って、通路132の体積の少なくとも一部は、光ファイバ110又は強化ヤーン120により満たされておらず、通路132内での光ファイバ110及び強化ヤーン120の移動を許容している。特定の実施形態によると、通路132の体積の少なくとも30%は、光ファイババンドル111及び強化ヤーンバンドル121により満たされていない(即ち、通路132の断面積は光ファイババンドル111及び強化ヤーンバンドル121の総横断面積を少なくとも30%だけ超えている)。特定の実施形態によると、通路132の体積の約50〜60%は、バンドル111,121により満たされていない(即ち、通路132の断面積はバンドル111,121の総横断面積を約50〜60%だけ超えている)。このケーブル100は、“ルーズチューブ型ケーブル”と言われている。
【0031】
ある実施形態によると、ケーブル100は、約1.5〜4mmの総外径D5を有している。特定の実施形態によると、外径D5は約2.75〜3.25mmである。この後者の範囲内にある外径D5を有するケーブル100は、3mmケーブルと一般に呼ばれることがある。
【0032】
ケーブル100を形成するための適当な装置及び方法は、当業者にとって明らかであろう。光ファイババンドル111及び強化ヤーンバンドル121は、互いに撚り合わせることが可能であり、その後、ジャケット130がそれらを覆い鋳造されるか又は押出し成形されている。光ファイバ110は、らせん撚りとすることが可能である(例えば、逆揺れ(reverse oscillating)又はS−Z技術を使用する)。次いでケーブル100は包装されてもよく(例えば、巻いてロールにされる)或いはある長さに切断されてもよい。こうしてケーブル100は、例示したように事前製造される。ケーブル100は、包装され、単体のケーブルとして使用されてもよく、或いは以下に述べるようにもっと大きなケーブルのケーブルユニット又はサブユニットとして組み入れられてもよい。
【0033】
このケーブル100は、多数の利点をもたらしている。ケーブル100は、光ファイバのアレイコネクタ(例えば、多繊押込式(MPO=multi−fiber push−on)光ファイバコネクタ)のようなコネクタへの直接接続性を許容している。強化ヤーン120は、コネクタにおけるひずみ解除を可能にするものである。ルーズチューブ型の構造及び丸い形状は、光学性能、ケーブルサイズ、ケーブルコスト、並びに取扱い及び信頼性特性の改良をもたらすことが可能である。ケーブルは、縮小された直径を有しているので、空間的なその必要条件はキャビネット、ケーブルトレー、ダクト等に良く適している。ケーブルは軽減された重量を有することが可能であり、これは、ケーブルにかかる布設の力を減少させると共に、もっと容易な取扱いを可能にする。ケーブルは頑健性の改善をもたらすことができ、それにより標準的な要求事項に対する安全域を提供することができる。ルーズチューブ型ケーブルは、優先曲げ半径、よじれ及び圧縮抵抗のような問題を軽減することができる。光ファイバ110は非バッファー付きであるから、コネクタは、密着バッファー層をファイバから最初に剥がす必要なしに(例えば、現場で)、取り付けることが可能である。事前製造されたケーブル100は、分岐チュービング、追加の強化ヤーン等の使用を必要とすることなく、張力緩和の状態でコネクタに光ファイバ110を直結することを可能にする。従って、総アセンブリコストは、コネクタ化工程の複雑さを減じることにより低減されることになる。
【0034】
図3A〜図3Cを参照すると、ケーブル100は、コネクタアセンブリ10で終端していて、そこに示したようにコネクタ化ケーブルアセンブリ又はロープ5を形成している。コネクタアセンブリ10は一例であって、他の適当なコネクタが採用されてもよい。このコネクタアセンブリ10は、前部ハウジング20と、フェルール22と、フェルール保護カバー24と、ピンクリップ26と、スプリング28と、後部ハウジング30と、クリンプリング32と、ひずみ解放保護カバー34とを備えている。図3Cに示すように、光ファイバ110は、エポキシ樹脂36によりフェルール内に固定されている。同様に図3Cに示すように、強化ヤーン120は、クリンプリング32を使用して、ジャケット130とコネクタ後部ハウジング30との間に強化ヤーン120を圧着させることにより、コネクタアセンブリ10に直接に固定されている。このようにして、強化ヤーン120はひずみ解放をもたらすことになる。コネクタアセンブリ10は、分岐チュービング等を使用することなくケーブル100及び丸いジャケット130に直接に設置されている。所望ならば、比較的に薄い被覆層114を各ガラスファイバ112の端部部分から取り除いても或いは洗い落としてもよいが、設置者が(例えば、900mmのバッファー付き光ファイバ上に存在するような)比較的に厚いタイトバッファー被覆を取り除く必要はない。特定の実施形態によると、コネクタアセンブリ及び/又はこのコネクタアセンブリを設置するための方法は、西暦2005年6月8日に同時係属出願した代理人整理番号9547-48の米国仮特許願第60/688492号に開示されたようなコネクタアセンブリ及び/又は方法を含んでおり、その開示内容は参照によりここに含まれる。特定の実施形態によると、ハウジング20,30内の光ファイババンドル111の端部セグメント111A(図3B)はリボン化されているので、そこにある光ファイバ110の諸部分は隣り合って並び、単一列の配置になって配列されるようになっている。該セグメント111Aは、リボン化された構造内にテープ又は接着剤11Bにより、一時的又は恒久的に保持されている。
【0035】
特定の実施形態によると、コネクタケーブルアセンブリ5は、所定長さのケーブル100を含むコードであり、各コネクタアセンブリ10はケーブル100の各端に取り付けられている。2つのコネクタアセンブリ10は互いに同一に又は異なるように構成されていてよい。特定の実施形態によると、強化ヤーン120は、双方のコネクタアセンブリに圧着しても或いはその他の手段で直接に固着してもよい。即ち、強化ヤーン120は、一方のコネクタアセンブリ10から他方のコネクタアセンブリに連続的に延びると共に、双方のコネクタアセンブリでひずみ解放をもたらすことが可能である。
【0036】
図4を参照すると、そこには本発明の更なる実施形態によるケーブル201が示されている。このケーブル201は、ケーブル100と同じ方法で構成されていると共に、光ファイバ210、強化ヤーン220及びジャケット230を有するケーブルユニット200を備えている。外側の強化ヤーン240のバンドル241は、ケーブルユニット200のジャケット230(これは“内側ジャケット”と言うことがある)を囲んでいる。外側ジャケット250は、通路252を画成すると共に、ヤーンバンドル241及びケーブルユニット200を囲んでいる。リップコード244も、通路252を通って延在している。特定の実施形態によると、外側ジャケット250は、ケーブルユニット200及び強化ヤーン240がジャケット通路252内で浮動するように、強化ヤーンバンドル241の周りにルーズ嵌合(遊嵌)している。
【0037】
ケーブル201からなるケーブルユニット200は、上述した方法と同様にコネクタ化もしくはコネクタ付けを行うことが可能である。強化ヤーン240及び外側ジャケット250は、ケーブル201に対して引張応力をもたらすと共に、光ファイバ210に対して保護を付与している。
【0038】
強化ヤーン240は、強化ヤーン120に対して前述したように構成することが可能である。外側ジャケット250は、ジャケット130に対して前述したように形成することが可能である。特定の実施形態によると、外側ジャケット250の厚さは約0.40〜1.0mmの間にある。
【0039】
図5を参照すると、そこには本発明の更なる実施形態によるケーブル301が示されている。このケーブル301は、2つのケーブルユニット300を含んでいる。該ケーブルユニット301の各々は、ケーブル100と同様の方法で構成されていると共に、光ファイバ310、強化ヤーン320及びジャケット330(これは“内側ジャケット”と言うことがある)を備えている。外側ジャケット360は、通路362を画成すると共に、ケーブルユニット300を囲んでいる。リップコード344も、通路362を通って延在している。これらのケーブルユニット300は、図示のように平行に延びていてよい。代案として、ケーブルユニット300は、らせん状に撚り合せられていてよい(例えば、逆揺れもしくはS−Z技術を使用する)。ジャケット360は、ジャケット330に対して前述したように構成することが可能である。特定の実施形態によると、外側ジャケット360は、約0.30〜1.0mmの間の厚さを有している。特定の実施形態によると、外側ジャケット360は、ケーブルユニット300が外側ジャケット360内で浮動するように、ケーブルユニット300の周りにルーズに嵌合している。タルカムパウダー又はその他の潤滑剤を外側ジャケット通路362内に配置して、ジャケット360及び330間の結合を禁止してもよい。
【0040】
ケーブル301は、前述した方法と同様に使用することができる。しかしながら、ケーブル301は24本の光ファイバを備えている。ケーブルユニット300の各々は、ケーブル301の外で切られていると共に、各コネクタに接続されてコネクタ化されることが可能である。
【0041】
図6を参照すると、そこには本発明の更なる実施形態によるケーブル401が示されている。このケーブル401は、総計で144個の非バッファー化光ファイバ410を有する12個のケーブルユニット400を備えている。各ケーブルユニット400は、ケーブルユニット300と同様の方法で構成されている。外側ジャケット460は、通路462を画成すると共に、ケーブルユニット400を囲んでいる。リップコード444も、通路462を通って延在している。また、ガラス繊維強化ポリマー(GRP)のグラスファイバーロッド446がジャケット通路462を通り延びている。結束テープ448は、ケーブルユニット400の周りにらせん状に巻き付けられて、製造中に該ケーブルユニット400を所定位置に保持している。ケーブルユニット400は、らせん状に撚り合せられていてよい(例えば、逆揺れもしくはS−Z技術を使用する)。ジャケット460は、ジャケット130について前述したように形成することが可能である。特定の実施形態によると、外側ジャケット460は、約0.30〜1.0mmの間の厚さを有している。特定の実施形態によると、ケーブルユニット400は、ケーブルユニット400が通路462内で浮動するように、ジャケット460内にルーズに嵌合している。タルカムパウダー又はその他の潤滑剤を通路462内に供給して、外側ジャケット460とケーブルユニット400の各ジャケットとの間の結合を禁止してもよい。
【0042】
ケーブル401は、該ケーブル401が12個のコネクタ化可能のサブケーブルもしくはサブユニットを提供すべく区切ることができる点を除いて、ケーブル301に関して上述した方法と同様に使用することが可能である。
【0043】
ケーブルユニット100,200,300,400の各々は、それぞれについて12個の光ファイバを備えて例示されているが、かかるケーブルユニットはもっと多い又はもっと少ない光ファイバを含んでいてよい。また、特定の実施形態によると、ケーブル301又は401に相当するケーブルは、もっと多い又はもっと少ないケーブルユニット300,400で形成してもよい。
【0044】
特定の実施形態によると、ここに記載されたケーブルは以下の諸要件の少なくとも1つを満たしている。GR-409-CORE 第1号(西暦1994年5月発行)、構内光ファイバケーブルの一般的要件;ICEA S-83-596-2001(西暦2001年9月発行)、光ファイバ構内布設ケーブルの規格;及びNFPA-262、第2改訂版(西暦2002年7月19日発行)、空気調和空間において使用するワイヤー及びケーブルの火炎移動と煙の標準テスト方法;UL-1664、第4版(西暦2002年7月12日発行)、シャフト内に垂直に設置された電気・光ファイバケーブルについての火炎伝播及び煙濃度値のテスト。特定の実施形態によると、該ケーブルは上述の諸要件の各々を満たしている。
【0045】
前述したことは、本発明の例示であって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の幾つかの実施形態について記載したが、当業者は、本発明の新規な教示事項及び利点から実質的に逸脱することなく、例示した実施形態について種々の改変が可能であることを容易に分かるであろう。従って、このような全ての改変は本発明の範囲内に含まれるものと考えられる。従って、前述のことは、本発明の例示であって、開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、また、開示された実施形態の改変ばかりでなく、その他の実施形態も本発明の範囲内に含まれると解釈されるべきであると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係るケーブルの切取斜視図である。
【図2】図1のケーブルの一部を形成する非バッファー付き光ファイバの横断面図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る図1のケーブルを含むコネクタ化ケーブルアセンブリの前部斜視図である。
【図3B】図3Aのコネクタ化ケーブルの前部分解斜視図である。
【図3C】図3Aの3C−3C線に沿った図3Aのコネクタ化ケーブルの断面図である。
【図4】本発明の更なる実施形態に係るケーブルの切取斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るケーブルの切取斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るケーブルのもう1つの切取斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケーブルユニットを備えるルーズチューブ型光ファイバケーブルであって、各ケーブルユニットが
複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、
該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、
該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むジャケットと、
を備えているケーブル。
【請求項2】
前記非バッファー付き光ファイバの各々は、約235〜265μmの範囲内にある直径を有している、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記非バッファー付き光ファイバの各々は、コアと、該コアを囲む被覆体と、該被覆体を囲む少なくとも1つの被覆層とを備えている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
各非バッファー付き光ファイバの前記少なくとも1つの被覆層は、約70.5μm未満の厚さを有している、請求項3に記載のケーブル。
【請求項5】
各非バッファー付き光ファイバの前記少なくとも1つの被覆層は、アクリレートから形成されている、請求項3に記載のケーブル。
【請求項6】
前記非バッファー付き光ファイバのうちの少なくとも幾つかの非バッファー付き光ファイバの被覆層は、各ケーブルユニットの前記強化ヤーンに接触している、請求項3に記載のケーブル。
【請求項7】
各ケーブルユニットは、該ケーブルユニットの前記非バッファー付き光ファイバが該ケーブルユニットの前記ジャケット内で浮動するように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項8】
各ケーブルユニットは、該ケーブルユニットの前記強化ヤーンが該ケーブルユニットの前記ジャケット内で浮動するように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
各ケーブルユニットは、該ケーブルユニットの前記非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲むと共に、該ケーブルユニットの前記ジャケットにより囲まれた複数の強化ヤーンを備えている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項10】
各ケーブルユニットの前記強化ヤーンは、アラミド、ガラスファイバ及びポリエステルからなるグループから選択された材料で形成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項11】
各ケーブルユニットの前記ジャケットは、約1.5〜4mmの範囲内にある外径を有している、請求項1に記載のケーブル。
【請求項12】
各ケーブルユニットの前記ジャケットは、約2.75〜3.25mmの範囲内にある外径を有している、請求項11に記載のケーブル。
【請求項13】
請求項1に記載のケーブルであって、
前記少なくとも1つのケーブルユニットの少なくとも一部を囲む外側強化ヤーンと、
該外側強化ヤーン及び前記少なくとも1つのケーブルユニットを囲む外側ジャケットと、を備えているケーブル。
【請求項14】
前記外側強化ヤーン及び前記外側ジャケットは、1つのケーブルユニットのみを囲んでいる、請求項13に記載のケーブル。
【請求項15】
前記少なくとも1つのケーブルユニットは複数のケーブルユニットであり、前記ケーブルは、更に、前記複数のケーブルユニットの前記ジャケットを囲む外側ジャケットを備えている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項16】
前記少なくとも1つのケーブルユニットは、前記外側ジャケットにより囲まれた3個のケーブルユニットである、請求項15に記載のケーブル。
【請求項17】
前記複数のケーブルユニットは、前記外側ジャケット内にらせん状に巻かれている、請求項15に記載のケーブル。
【請求項18】
コネクタ化したケーブルアセンブリであって、
a)少なくとも1つのケーブルユニットを含むルーズチューブ型光ファイバケーブルであって、各ケーブルユニットが
複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、
該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、
該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むジャケットと、
を有しているケーブルと、
b)前記少なくとも1つのケーブルユニットに設けられた光ファイバコネクタと、
を備えているコネクタ化したケーブルアセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つのケーブルユニットには複数のケーブルユニットがあり、各ケーブルユニットがそこに設置された光ファイバコネクタを備えている、請求項18に記載のコネクタ化したケーブルアセンブリ。
【請求項20】
ルーズチューブ型光ファイバケーブルを形成する方法であって、
複数のルーズな非バッファー付き光ファイバと、
該非バッファー付き光ファイバを少なくとも部分的に囲む強化ヤーンと、
該強化ヤーン及び前記非バッファー付き光ファイバを囲むポリマージャケットと、
を有する少なくとも1つのケーブルユニットを形成することを含んでいる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−544300(P2008−544300A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515712(P2008−515712)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018027
【国際公開番号】WO2006/135513
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507397814)コムスコープ,インコーポレイテッド・オヴ・ノース・キャロライナ (3)
【Fターム(参考)】