説明

光ファイバセンサヘッド

【課題】 光干渉信号出力をセンサ信号とする光ファイバセンサヘッドでは、信号となる外圧を、光位相の変化に変換する必要があり、一つの方法として、振動板面に光ファイバ素線を渦巻状に貼り付けて、その板面の歪みにより、光位相が変化させる方法があるが、製造面で難しさがあった。
【解決手段】 本発明では、信号となる外圧を、弾性を有する円筒に加わえることにより、その円筒が歪み、偏平度が変化し、そこに巻かれた光ファイバの張力が変化することにより、その光ファイバが伸縮して、そこを通過する光位相に変化を与える光ファイバセンサヘッドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバが外圧により、そこを通過する光信号の位相に変化を及ぼす特性を利用した光ファイバセンサヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサは、センサヘッド部分が無電源にできる、そのセンサ信号を長距離、安定に伝送できるなどにより厳しい環境下でその利点が発揮される。
【0003】
高性能の光センサ方式としては、光位相の変化を検出する光干渉方式がある。
【0004】
光干渉方式を採用するセンサとしては、地震波などを検出する加速度センサがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の加速度センサとして、機械的な振動による振動板の距離変化から、光の位相変化を検出する方式があるが、損失が多く、光が空間に出ることにより、長期安定性についても問題があった。
【0006】
他の従来方式のセンサとしては、外圧を光ファイバに加えることにより、光ファイバを伸縮させて、そこを通過する光位相を変化させる方法があり、光が空間に出ないことから、損失の少ない、安定性に優れる方法であり、振動板面に渦巻状に光ファイバを貼り付け、外圧によりその板面を歪ませることにより、光ファイバを伸縮させる方式があるが、光ファイバの素線を渦巻状に貼り付けるなどの製造技術的な難しさがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、外圧を光ファイバに加えることにより、その光ファイバを伸縮させて、
そこを通過する光位相を変化させる方式を採用する。
【0008】
本発明では、光ファイバを伸縮させる方法として、外圧を光ファイバに加わる張力に変えることにより、光ファイバの素線を渦巻状に貼り付けるなど難しい作業を排除できる。
【0009】
本発明の光ファイバセンサヘッドでは、地震波などの加速度により動く錘の両端に、弾性を持つ金属または樹脂製の円筒を取り付け、錘の両端に取り付けた円筒が、取り付けた外枠から押されて圧力を受けることにより、偏平の形状を常態とする。
【0010】
前記偏平の形状の円筒の最も偏平となる円筒部分の断面側を1周とする位置に光ファイバを巻きつけ、前記常態で張力を持たせておく。
【0011】
地震波などの加速度により、錘が動くと、その両端の円筒の偏平度が差動的に変化すして、巻きつけた光ファイバの張力も差動的に変化する。
【0012】
前記光ファイバの張力の変化により、巻きつけた光ファイバが伸縮する。
【0013】
前記光ファイバの伸縮により、そこを通過する光位相(光遅延時間)が変化する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、円筒の断面方向に光ファイバを巻きつけ固定しておくことにより、円筒の偏平度が変化することによって、偏平断面の距離が変化して、光ファイバにかかる引っ張り強度が変わる為、光ファイバの伸縮を起こし、光ファイバを渦巻状に貼り付ける必要はない。
【0015】
本発明では、前記光ファイバの巻き数を増やすことによって、感度を上げ、また感度のバラツキを改善することができる。
【0016】
本発明では、弾性を持つ円筒は、板ばねを円筒状に加工したものでもよく、金属でも樹脂製でも弾性が保たれる円筒状のものであればよい。
【0017】
本発明の錘の両端に取り付ける円筒は、90度角度をずらして錘に取り付けることにより、横からの動きを抑え、加速度方向の指向性を高めることができる。
【0018】
本発明における、両方の円筒に巻いた光ファイバの伸縮は差動的に動作するため、両方の光信号を利用することにより、感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は本発明の光ファイバセンサヘッドの構造図 正面は正面から見た構造図 側面は側面から見た構造図 底面は底面から見た構造図
【図2】は本発明の光ファイバセンサヘッドの動作説明図 静止状態(加速度0)は、加速度がかかっていない場合の動作状態 加速度が加わった場合は、加速度により錘が動いた場合の動作状態
【実施例】
【0020】
「図1」に本発明の光ファイバセンサヘッドの構造図。
「図2」に本発明の光ファイバセンサヘッドの動作説明図。
【0021】
本発明の光ファイバセンサヘッドは、錘の上下に弾性を持つ円筒1,2が固定され、それが外枠より押されることにより、円筒1,2に圧力が加わり、弾性のため偏平状態に設定される。
【0022】
錘の上下に固定される円筒1,2は、正面、側面に示すように、90度角度をずらせて固定される。
【0023】
円筒1,2の偏平部分に、光ファイバ1,2が張力をかけた状態で巻かれ、円筒に固定される。
【0024】
錘が上下変動することにより、円筒1,2の偏平度が変わり、光ファイバ1,2にかかる張力が変化し、光ファイバ1,2を伸縮させ、通過する光の光位相(光遅延時間)を変化させる。
【0025】
「図2」により、本発明の光ファイバセンサヘッドの動作を説明する。
【0026】
「図2」では、説明の為、錘の上下の円筒1,2を同じ面に見えることとして説明する。
【0027】
静止状態(加速度0)では、錘は中心に静止して、上下の円筒1,2の偏平度は変化しない。
【0028】
加速度がかかった場合は、錘が相対的に上方向に動くと、円筒2にかかる圧力は減少し、円筒2の偏平度は減り、その距離は縮むため、そこに巻かれる光ファイバの張力は弱まり、その光ファイバ長は縮まり、そこを通過する光の遅延時間は減る方向に変化し、円筒1にかかる圧力は増加し、円筒1の偏平度は増し、その距離は伸るため、そこにに巻かれる光ファイバの張力は強くなり、その光ファイバ長は伸び、そこを通過する光の遅延時間は増える方向に変化する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、海底地震観測など、離れた場所、電源供給ができない場所、電磁雑音の影響を受け易い場所、温度環境が厳しい場所などに設置する光ファイバセンサシステムのセンサヘッドに適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘の両端に、弾性を有する2つの円筒を、互いに取り付け方向を90度ずらして固定させることを特徴とする光ファイバセンサヘッド。
【請求項2】
「請求項1」で構成された錘の両端に取り付けられた円筒を1つの枠内に固定する手段を有し、前記枠より加えられる力により、円筒が歪み、偏平状態で固定されることを特徴と光ファイバセンサヘッド。
【請求項3】
「請求項2」で構成された錘が外部から加えられる加速度により、両端の円筒方向に移動し、両端の円筒に加わる力が変化することにより、その偏平度を差動的に変化させることを特徴とする光ファイバセンサヘッド。
【請求項4】
「請求項3」において、差動的に偏平度が変化するそれぞれの円筒の両端に光ファイバを固定し、その偏平度の変化により、そこに固定した光ファイバの張力を変化させることを特徴とする光ファイバセンサヘッド。
【請求項5】
「請求項4」における光ファイバに加えられた張力の変化により、そこに固定された光ファイバを伸縮させることを特徴とする光ファイバセンサヘッド。
【請求項6】
「請求項5」における光ファイバの伸縮により、その光ファイバを通過する光位相に変化を与えることを特徴とする光ファイバセンサヘッド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−128128(P2011−128128A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299382(P2009−299382)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(508360903)白山工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】