説明

光モジュール

【課題】小型化を達成することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】光モジュールは、空間に光路を有する光学系16と、光学系16の入口及び出口の一方である第1出入口28に光学的に接続された電気光学素子18と、柔軟性を有する光導波路20と、外部との光学的な接続を図るための光インターフェース10を備え、光学系16、電気光学素子18子及び光導波路20を収納する筺体12と、を有し、光導波路20は、筺体12内で光インターフェース10に光学的に接続される第1接続部30と、光学系16の入口及び出口の他方である第2出入口32に光学的に接続される第2接続部34と、を有し、筺体12内で屈曲して配置され、光インターフェース10と第1接続部30の間を通る第1光軸36と、第2出入口32と第2接続部34の間を通る第2光軸38とは、ずれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール、特にDQPSK、DPSK、QPSK、DP-QPSK等の光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信網は、光信号を伝播するための媒体として光ファイバと、光信号を送受信するための光トランシーバによって構成されている。光トランシーバは、その筐体内に、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換するための光モジュールと、制御のための電子素子や電気コネクタ等が搭載されたプリント基板とを内包している。
【0003】
一般的な光モジュールは、レーザ(発光素子)、フォトダイオード(受光素子)といった光電気変換を行う光素子をパッケージ内部に搭載し、パッケージは、金属やセラミック等によって構成されることが多い。パッケージの形状は、BOX型の形状が頻繁に使用されるが、これは、搭載プロセスが簡易であるという利点を有する。BOX型パッケージの蓋を取り付けない状態であれば、内部に基板、IC、レンズなどの光部品、受発光素子等を平面的に並べることが可能であり、内部の部品搭載後、蓋をすることでパッケージを構成できる。
【0004】
これまで、一般的な光モジュールでは、変調電気信号を、発光素子において、光強度変調信号とすることで光信号を伝播し、さらに、その光強度変化を受光素子が電気強度変化に光電気変換することですることで、信号の伝送をしてきた。
【0005】
しかし、近年では、光モジュールの伝送容量の高速化に伴って、PSK(Phase Shift Keying)と呼ばれる光の位相を変調した信号を伝播する方式が現れてきた。これは、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying),DPSK(Differential Phase Shift Keying),QPSK(Quadrature Phase Shift Keying),DP−QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying),PM−QPSK(Polarization Multiplexed Quadrature Phase Shift Keying)等で知られ、近年、それぞれの方式に対応した光送信モジュール、光受信モジュール、トランシーバなどが学会等で報告されている。このような位相変調方式の光モジュールでは、複数の光素子を光モジュール筐体内に収め、光信号を合波・分波する光学部品を搭載する必要がある。特に、光受信モジュールでは、干渉光学系をモジュール筐体内で構成し、位相変調した光信号を干渉させ、光強度信号へ変換し、受光素子によって、光信号から電気信号へ変換する必要がある。
【0006】
ところで、同時に、近年、光トランシーバに対する小型・低背化が必要になってきており、光送信モジュール、光受信モジュールの小型・低背化が検討されている。その方法として、近年の光モジュールでは、光素子、光信号を合波・分波するための光学部品をすべて一つの筺体内に搭載している。
【0007】
このような光モジュールの一例として、特許文献1が開示されている。特許文献1の光モジュールは強度変調方式の光モジュールである。従来の光モジュールでは、筐体に、発光素子(レーザダイオード)と受光素子(フォトダイオード)が複数取り付けられている。筐体内部に、全反射用波長フィルタや波長分離用フィルタを空間的に配置させ、光信号を反射・透過させることで、光信号の合波・分波を行っている。従来例では、一本の光ファイバにて、1つの送信光信号と、2つの受信光信号を伝送できるとしている。
【0008】
また従来例によると、発光素子から出た光信号をレンズによって集光し、ファイバを内蔵するキャピラリに光信号を伝播し、キャピラリから出てきた光信号をコリメータレンズによってコリメート光として、筐体内の空間を伝播させている。ここで、ファイバを内蔵したキャピラリを搭載することによって、発光素子の光が光軸に対してチルトしていても、キャピラリに内蔵されたファイバによって光軸が修正することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−309370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来例では発光素子(レーザダイオード)からファイバコリメータまで、一直線上に配置する必要がある。すなわち、発光素子、集光レンズ、キャピラリ、コリメータレンズ、フィルタ、ファイバコリメータの光軸は一直線上に位置させる必要がある。しかしながら、上記の部品は、それぞれ形状と大きさが異なり、特に、ファイバコリメータは筺体の壁に、コリメータレンズやキャピラリは筺体底面に搭載されるため、すべての部品の光軸を一直線上にあわせようとした従来の光送信モジュールでは、筺体の厚さが薄くならないという欠点があった。
【0011】
同様に、従来例では発光素子(レーザダイオード)から反射機能を有する部材(全反射用波長フィルタ)まで、一直線上に配置される必要がある。すなわち、発光素子、集光レンズ、キャピラリ、コリメータ、全反射用波長フィルタは一直線上に位置させる必要がある。一方で、ファイバコリメータや波長分離フィルタの場所と向きは、決められているため、設計の自由度はほとんど無い。さらに、ファイバコリメータの取り付け位置は光トランシーバによって規定されてしまうため、従来例の空間光学系を実際に組むと大型化してしまうという欠点があった。空間光学系の大きさは、筐体の大きさと比例してしまう。そのため、従来の光モジュールでは、筐体が大きいという欠点があった。
【0012】
本発明は、高精度な部材位置合わせを妨げることなく、環境温度変化等による干渉効率の低下がなく、小型化を達成することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る光モジュールは、空間に光路を有する光学系と、前記光学系の入口及び出口の一方である第1出入口に光学的に接続された電気光学素子と、柔軟性を有する光導波路と、外部との光学的な接続を図るための光インターフェースを備え、前記光学系、前記電気光学素子及び前記光導波路を収納する筺体と、を有し、前記光導波路は、前記筺体内で前記光インターフェースに光学的に接続される第1接続部と、前記光学系の前記入口及び前記出口の他方である第2出入口に光学的に接続される第2接続部と、を有し、前記筺体内で屈曲して配置され、前記光インターフェースと前記第1接続部の間を通る第1光軸と、前記第2出入口と前記第2接続部の間を通る第2光軸とは、ずれていることを特徴とする。本発明によれば、光導波路が柔軟性を有しているので、これを自由に屈曲させて、光学系の配置に対応させることができる。したがって、光学系の設計の自由度が増すので、高精度な部材位置合わせを妨げることなく、環境温度変化等による干渉効率の低下がなく、小型化を達成することができる。
【0014】
(2)(1)に記載された光モジュールにおいて、前記光学系の前記光路は、光の複数の進行方向を有することを特徴としてもよい。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載された光モジュールにおいて、前記光学系は、光を分岐する光学部品、光を合波する光学部品、光を反射する光学部品及び光を屈折する光学部品の少なくとも1つを含むことを特徴としてもよい。
【0016】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記筺体外で前記光インターフェースに光学的に接続される外部光ファイバをさらに有していることを特徴としていてもよい。
【0017】
(5)(4)に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路は、前記外部光ファイバよりもコアとクラッドの屈折率差が大きい光ファイバであって、前記外部光ファイバに許容された曲げ半径よりも小さな曲げ半径で曲げられていることを特徴としてもよい。
【0018】
(6)(4)または(5)に記載された光モジュールにおいて、前記筺体と前記外部光ファイバとの間に配置されたレンズをさらに有することを特徴としてもよい。
【0019】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、筐体内部であって、前記第1光軸及び前記第2光軸の少なくとも一方上にレンズをさらに有することを特徴としてもよい。
【0020】
(8)(6)又は(7)に記載された光モジュールにおいて、前記レンズは、コリメートレンズであることを特徴としてもよい。
【0021】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記筺体の内側に固定された基板をさらに有し、前記基板に前記光学系が搭載されていることを特徴としてもよい。
【0022】
(10)(9)に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路の第2接続部は、前記基板に固定されていることを特徴としてもよい。
【0023】
(11)(10)に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路の第1接続部は、前記基板との固定を避けて配置されていることを特徴としてもよい。
【0024】
(12)(10)に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路の第1接続部も、前記基板に固定されていることを特徴としてもよい。
【0025】
(13)(11)又は(12)に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路の前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方は、前記光導波路の長さ方向に対して斜めになった端面を有していることを特徴としてもよい。
【0026】
(14)(13)に記載された光モジュールにおいて、前記端面を通る法線は、前記基板の表面に平行であることを特徴としてもよい。
【0027】
(15)(9)から(14)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記基板と前記筺体の間に、前記基板及び前記筺体のいずれよりも弾性係数の低い接着層が介在することを特徴としてもよい。
【0028】
(16)(1)から(15)のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、前記筺体は、外部との電気的な接続を図るための電気インターフェースを有し、前記光インターフェースと前記電気インターフェースは、相互に、前記筺体の反対側に配置されていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る光モジュールの構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例1の光モジュールの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1の光受信モジュールの組み立てる際の一工程を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例1の光受信モジュールの組み立てる際の一工程を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例2の光モジュールの構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施例2の光モジュールの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3の光モジュールの構成を示す平面図である。
【図8】本発明の実施例3の光モジュールの一部の光部品を示す平面図である。
【図9】本発明の実施例4の光モジュールの構成を示す平面図である。
【図10】本発明の実施例5の光モジュールの一部構成を示す平面図である。
【図11】本発明の実施例6の光モジュールの一部構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る光モジュールを示す図である。光モジュールの筺体12は、外部との光学的な接続を図るための光インターフェース10を備えている。筺体12外で外部光ファイバ22が光インターフェース10に光学的に接続されている。筺体12と外部光ファイバ22との間にレンズ24が配置されている。レンズ24は、コリメートレンズである。
【0032】
筺体12は、外部との電気的な接続を図るための電気インターフェース14も備えている。光モジュールは、電気光学素子18(例えば受光素子又は発光素子)を有する。電気光学素子18は、電気インターフェース14に電気的に接続されている。
【0033】
筺体12には、光学系16、電気光学素子18及び光導波路20が収納される。筺体12の内側に基板26が固定されている。光学系16は、空間に光路を有し、基板26に搭載されている。光学系16の光路は、光の複数の進行方向を有する。光学系16は、光を分岐する光学部品、光を合波する光学部品、光を反射する光学部品及び光を屈折する光学部品の少なくとも1つを含む。
【0034】
光学系16は、光信号の入り口及び出口の一方である第1出入口28と、他方である第2出入り口32を有する。電気光学素子18は、第1出入口28に光学的に接続されている。
【0035】
光モジュールは、柔軟性を有する光導波路20を有する。光導波路20の第1接続部30は、筺体12内で光インターフェース10に光学的に接続されている。光導波路20の第2接続部34は、光学系16の第2出入口32に光学的に接続されている。
【0036】
光導波路20の第2接続部34は、基板26に固定されている。光導波路20の第2接続部34は、光導波路20の長さ方向に対して斜めになった端面を有している。端面を通る法線は、基板26の表面に平行である。光導波路20は、外部光ファイバ22よりもコアとクラッドの屈折率差が大きい光ファイバである。光導波路20は、筺体12内で屈曲して配置されている。光導波路20は、外部光ファイバ22に許容された曲げ半径よりも小さな曲げ半径で曲げられている。
【0037】
光インターフェース10と第1接続部30の間を通る第1光軸36と、第2出入口32と第2接続部34の間を通る第2光軸38とは、ずれている。第1光軸36及び第2光軸38の少なくとも一方上にレンズ40が配置されている。レンズ40は、コリメートレンズである。
【0038】
光インターフェース10と電気インターフェース14は、相互に、筺体12の反対側に配置されている。したがって、光学系16の第1出入り口28と第2出入り口32を一直線上に配置しようとすると、光学部品の配置に制約を受ける。そこで、本実施形態では、柔軟性を有する光導波路20を使用し、これを屈曲させてある。そのため、光学系16の配置に光導波路20の形状を対応させることができるので、光学系16の第1出入り口28と第2出入り口32を一直線上に配置する必要がない。したがって、光学系16の設計の自由度が増すので、高精度な部材位置合わせを妨げることなく、環境温度変化等による干渉効率の低下がなく、小型化を達成することができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施形態を具体的し示した実施例を説明する。
【0040】
[実施例1]
図2は、本発明の実施例1の光受信モジュールの構成を示す平面図であり、具体的には40Gbps程度の伝送容量を有するDQPSK光受信モジュールが示されている。また、便宜的に座標軸を記載し、光受信モジュールに対する光信号の入出力方向をZ軸とした。
【0041】
パッケージの筐体103は金属またはセラミックで構成されている。一般的には、筐体103を金属にて構成するほうが安価である。筐体103は形状が箱型になっており、リッド(図示せず)を搭載し、溶融金属などの無機材質によってリッドを固着することで、筐体103内部の部材の気密封止が保たれる。したがってリッド(図示せず)の搭載は、筐体103内に部材をすべて搭載固定した後になる。
【0042】
筐体103には光信号入力用として、第1光ファイバ124が備え付けられるようになっている。第1光ファイバ124の端はフェルール125によって固定され、フェルール125はホルダ123に固定されている。
【0043】
ホルダ123にはレンズ126が固定されており、第1光ファイバ124端より出射された光信号はレンズ126によって集光またはコリメート光を成すように調整されている。一般的にはワーキングディスタンスが10mm以上のコリメート光が好ましい。ホルダ123は、筐体103に備え付けられたパイプ127と溶融金属等によって固着される。筐体103には、透光性基板128が備え付けられており、光信号はこの透光性基板128を通過する。一般的には、パイプ127、透光性基板128や筐体103は、おのおのが溶融ガラスや溶融金属といった無機材質からなり、相互に隙間無く固定されており、筐体103内の部材の気密封止が保たれている。ホルダ123を筐体103に対して固着することは、筐体103内に部材を搭載する前でも良い。しかし、一般的には、筐体103にリッドを固着した後、ホルダ123を、アクティブアラインメント法(第1光ファイバ124に光信号を入力し、光強度に応じた電気信号を観測しながら、ホルダ123の位置決めをする方法)によって位置合わせをした後に溶融金属によって固定する。なお、フェルール125はジルコニアなどのセラミックや、金属などによって構成されている。また、フェルール125及び第1光ファイバ124の端面は斜め研磨されており、光信号が反射され、もとの光路を通って戻ることを防いでいる。
【0044】
図2で、光信号の光路129は破線にて示してある。透光性基板128を通った光信号は台座130上に載ったレンズ131によって集光され、フェルール132によって固定されている第2光ファイバ139内に入力される。
【0045】
第2光ファイバ139のもう一端にはフェルール112が設けられ、ホルダ113にフェルール112とレンズ114が固着され、光路129を通る光がコリメータ光を成している。
【0046】
光路129はミラー115によって曲げられ、ハーフビームスプリッタ119によって分岐される。ハーフビームスプリッタ119を境にX軸正方向とX軸負方向にある光部品は、ほぼ対象Z軸に対して線対象に構成されており、機能もほぼ同様である。そこで、ハーフビームスプリッタ119よりもX軸負方向にある光部品を使って説明をする。光路129はハーフビームスプリッタ118によって2分岐される。2分岐された光路129のうち一方は、プリズム116によって折り返されてから、ハーフビームスプリッタ111に導入されるが、もう一方の光路129は、直接ハーフビームスプリッタ111に導入される。この2つの光路129の長さの差は、40Gbpsのスループットを持つDQPSK受信器においては、15mm程度である。すなわちプリズム116を通る光信号の光路129の長さが15mm長くなっており、1ビット分遅延させられている。位相調整素子117は、光路129が通る面が研磨されたシリコン基板等が使われる。位相調整素子117は、波長の変化や、温度変化などが起きても常に位相補正する機能が付けられている。具体的には、位相調整素子117のシリコン基板にヒータが取り付けられ、温度によってシリコンの屈折率が調整されている。
【0047】
ハーフビームスプリッタ118で分岐された光路129は、ハーフビームスプリッタ111において合波・分岐され、2つのビームは互いに干渉する。干渉された光信号は、その後、レンズ136によって、サブマウント108上に搭載されたフォトダイオード109上に集光され、光信号から電気信号へと変換される。サブマウント108はXY平面内に主平面を持ち、その主平面上にフォトダイオード109が搭載されている。サブマウント108の側面には配線パターン138が形成されており、フォトダイオード109用バイアスパターンと信号パターンが形成される。サブマウント108には2つのフォトダイオード109が搭載されているため、それぞれ2本のバイアスパターンと信号パターンが、合計4本形成されている。配線パターン138とアンプIC106上のパッドは、ワイヤ107によって導通接続されている。つまり、一つのアンプIC106には、2つのフォトダイオード109からの電気信号が入力されているが、これは2つのフォトダイオード109より出力される電気信号の大きさの差分が、アンプIC106によって増幅され、出力されるためである。なお、サブマウント108はアルミナ、アルミナイトライド等のセラミック基板によって構成されていることが多い。
【0048】
アンプIC(Integrated Circuit)106には、入力された信号を一定振幅まで増幅するAGC(Automatic Gain Control)機能が備えられていることが多い。アンプIC106上のパッドは、セラミック基板105上の伝送線路パターン(記載せず)とワイヤ107によって接続されている。さらにセラミック基板105上の伝送線路パターンとセラミック基板101上の伝送線路パターン102はワイヤ104によって接続されている。ここでセラミック基板101は、筐体103に取り付けられており、筐体103内の気密封止を保ちながら、電気信号、電源、バイアス、調整用電気信号などを伝送する役割を担っている。
【0049】
図2に示した光受信モジュールでは、筐体103内に第2光ファイバ139が搭載されている。また、光受信モジュールには、複数のミラー115,135、ハーフビームスプリッタ111,118〜120、プリズム116,122、レンズ136などが搭載され、光路129も分岐・合波されるため、第1光ファイバ124を保持したホルダ123と、ミラー115を同一直線上(ここではZ軸上)に配置することは困難であり、光モジュールの小型化の観点から好ましくない。
【0050】
本実施例に係る光受信モジュールでは、第1光ファイバ124から出力された光信号をレンズ126とレンズ131を用い、フェルール132に固定された第2光ファイバ139に導入している。そして第2光ファイバ139を、所定の位置まで筐体103内で引き回し、レンズ114を用いて、コリメート光にした後、ミラー115やハーフビームスプリッタ119などによって構成される干渉光学系に入力している。すなわち、第2光ファイバ139を、光受信モジュール内の干渉光学系の直前まで引き回すことが可能であるため、筐体103を小型に構成することができる。
【0051】
また、第2光ファイバ139の長さを調整することで、フェルール132に固定された第2光ファイバ139端と、フェルール125に固定された第1光ファイバ124端の距離を自在に近接することが可能となる。実際の光モジュールでは、ホルダ123が精度良く取り付けられていても、環境温度の変化により筐体103がひずむ。しかしながら、第1光ファイバ124端と第2光ファイバ139端は任意に近接することが可能であるため、光結合は環境温度の変化に影響されにくい。
【0052】
一方、フェルール112によって固定された第2光ファイバ139端は、ミラー115に近接することが可能となる。ホルダ113は接着剤等によって光学系搭載用の基板110に接着されることが多いが、接着剤は環境温度によって収縮などの変形を起こす。このような場合、第2光ファイバ139端とハーフビームスプリッタ119などによって構成される干渉系までの距離に比例して、干渉効率が悪化する。しかしながら、第2光ファイバ139端がミラー115に近接することが可能となるため、干渉効率の低下を防ぐことができる。
【0053】
一般的に、光受信モジュールの筐体103の外部に取り付けられている第1光ファイバ124の仕様は、光受信モジュールが内包される光トランシーバや、光トランシーバを内包する光伝送装置の仕様によって規定される。例えば、一般的に伝送装置等で使用されている光ファイバは、コストの観点より、許容曲げ半径が30mm以上のものが使用されている。しかしながら、第2光ファイバ139は第1光ファイバ124と別体であるため、それぞれ別種にすることが可能である。具体的には、第2光ファイバ139のコア材とクラッド材の屈折率差を、第1光ファイバ124のそれより、大きくすることが可能である。屈折率差を大きくすることによって光ファイバの曲げ半径を小さくすることが可能となり、光モジュールの筐体103の幅や長さを小さくすることが可能となる。例えば、現在、光ファイバベンダより、許容曲げ半径5mmの光ファイバが発売されている。
【0054】
すなわち、本実施例には、光受信モジュールの筐体103内に第2光ファイバ139を内包することにより、光受信モジュール筐体103の小型化を図ることができるという利点がある。
【0055】
図2では、基板110上に、ミラー115,135、プリズム116,122、ハーフビームスプリッタ111,118〜120等の光学部材が搭載されている。これら光学部材はガラスで構成されているため、基板110は、ガラスに熱膨張係数の近い材質が使われる。具体的には、ガラスやセラミックのほか、コバールや42−ALLOYなどの金属が使われる。
【0056】
ガラスやセラミック等は、上面に薄膜パターンなどを形成することが出来るため、光学部材を所定の位置に搭載するための位置合わせマークなどをマーキングすることが可能である。
【0057】
また、ミラー115,135、プリズム116,122、ハーフビームスプリッタ111,118〜120等を、基板110に搭載固定する際には、接着剤等が使われるが、特に紫外硬化型接着剤は、加温せずに硬化させることが可能となるため、しばしば使われる。そして、その場合、基板110も透光性のあるガラスにしておくと、光学部材を基板110上に固定する際に、紫外光がガラス基板を介して、光学部材裏面にも一部照射され、紫外硬化型接着剤の硬化時間が早くなるという利点がある。
【0058】
基板110は、筐体103の底面に接着剤を用いて固着されている。ここで、接着剤硬化後、接着層の弾性係数は、基板110と筐体103の材質よりも小さい。この構造の利点について説明する。
【0059】
筐体103は、内部に光学部品を搭載した後、リッド(図示せず)が溶接によって取り付けられる。したがって、リッド接着工程では、パッケージ全体が高温になり、熱膨張によって変形する。そのため、リッドを接着後、室温中では、筐体103とリッドによって箱型となったパッケージに残留応力が残る。この残留応力により、環境温度が変化すると、筐体103にはひずみが生じる。さらに、筐体103には、熱膨張係数の違うセラミック基板101や透光性基板128が取り付けられているため、環境温度の変化によって筐体103には更なる変形が生じやすい。特に筺体103の底面が場所によって、Y軸方向に凹凸状に変化すると、搭載されている基板110もY軸方向に凹凸の変形を受けやすくなる。
【0060】
本実施例では、筐体103と基板110の間に図示しない接着層がある。接着層の弾性係数は筐体103や基板110の弾性係数よりも小さい。したがって、筐体103に変形が生じたとしても接着層が変形することで、基板110に及ぼす変形は小さくなるという利点を有する。
【0061】
そして、基板110上には、ミラー115,135、プリズム116,122、ハーフビームスプリッタ111,118〜120,134といった光学部材のほか、第2光ファイバ139がフェルール112、ホルダ113を介して固定されている。この利点について説明する。
【0062】
第2光ファイバ139の光信号出力側が、基板110に搭載されているため、出力された光信号の光軸は、同じ基板110に搭載されている光学系に対して、大幅にずれることはない。これにより、環境温度変化によっても、基板110上に搭載された干渉光学系の干渉効率が劣化しないという利点が得られる。
【0063】
図2では、光導波路の一例である第2光ファイバ132の第1接続部(フェルール132が設けられた部分)は、基板110との固定を避けて配置されている。つまり、第2光ファイバ139がフェルール132と台座133を介して、筐体103の底面に搭載されている。台座133は基板110と比べ、小型であるため、環境温度の変化が生じると、台座133は筐体103の変形に追随する。そのため、筐体103外部に取り付けられた第1光ファイバ124との光結合が劣化しないという利点がある。
【0064】
図3及び図4に、本発明の実施例1の光受信モジュールの組み立てる際の、一工程を示す平面図を示す。
【0065】
図3は、第2光ファイバ139、フェルール112、レンズ114があらかじめ固定されたホルダ113を、基板110に搭載する際の調整プロセスを示している。調整用の光信号をフェルール132に固定された第2光ファイバ139に入力する。このとき、フェルール132の形状が、SC/FCコネクタやLCコネクタ等で使われる2.5mmφまたは1.25mmφであると、FC、SC,LCコネクタ用のフェルールがついたパッチコードとアダプタを用意するだけで、調整用の光信号を外部から入れやすい。第2光ファイバ139及びフェルール132の先端は、PC研磨、SPC研磨であるが、又は、APC研磨によって、垂直より(X軸方向より)角度が数度ついた斜め研磨としている。
【0066】
ホルダ113を固定する際には、出力される光信号の光路143が、基板110の主平面とおおよそ平行(XZ平面とおおよそ平行)、すなわちY軸方向への曲がりが小さい方が良い。そこで、2つの同形状のブロック140を用意し、2つのピンホール141に光信号が通るように調整する。ピンホール141を通過する光強度はモニタ142を用いて測定される。モニタ142へ入力される光強度が大きくなったときに、ホルダ113端から出力される光信号の光路143が、基板110の主平面とおおよそ平行であることが分かる。この際、L1の長さが短く、L2の長さを長く取ることで、より精度良く光路143のY軸方向調整が可能となる。
【0067】
図2における光受信モジュールでは、一つの光学部品の大きさは数ミリ角程度が一般的である。したがって、第2光ファイバ139から出た光信号がフォトダイオード109(図2参照)に到達するまでに光路は数十ミリにも及ぶ。したがって、L2の長さも数十ミリ程度は必要である。すなわちブロック140は基板110よりも外側に配置されるほうが好ましい。光路143を調整後、ホルダ113は、基板110に搭載固定される。固定には、紫外硬化接着剤等を用いて、紫外光は基板110の上方から照射しても良いし、基板110が透光性のあるガラス、セラミック等で構成されていれば、紫外光を裏面から照射することも可能であり、ホルダ113裏面と基板110の間にある紫外硬化接着剤が硬化しやすく、組み立て効率が向上するというメリットがある。
【0068】
図4は、実施例1における光受信モジュールの組み立て時であって、基板110にミラー115とハーフビームスプリッタ119を搭載する際の工程を示している。ホルダ113は既に基板110に搭載固定されているものとする。
【0069】
ミラー115を調整する際には、ピンホール145を設けたブロック144を2つ適正位置に配置する。ミラー115は、XZ軸調整によって向きを調整するが、最も重要なのは、ミラー115のあおり角を調整することで、光軸のXZ平面に対する光路148の平行度を調整することである。なぜならば、光路148の、XZ平面に対する平行度がずれていた場合、光路148を分岐するハーフビームスプリッタ119において補正することは困難が伴う。特に干渉光学系においては、一度分岐した光信号が再び合波される必要があるが、光路148のXZ平面に対する平行度が悪いと、合波される光信号ビームの重なりが悪化する。この光信号ビームの重なりは、干渉効率に比例する。したがって、ミラー115のあおり角は0.01°程度の精度にて調整される必要があり、ピンホール145も基板110外にあるほうが良い。ミラー115は、調整後、紫外硬化接着剤等によって硬化される。
【0070】
ハーフビームスプリッタ119を搭載固定する際には、ピンホール145,147をそれぞれ設けたブロック144,146を適正位置に配置し、モニタ142,150に入力される光強度が最大になるように、ハーフビームスプリッタ119の位置と向きを調整する。やはりハーフビームスプリッタの位置と向きを精度良く調整するためには、ピンホール145,147は遠くに配置されているほうが良く、ブロック144,146は基板110の外側に配置される。これと同様に、図2に示すハーフビームスプリッタ118,111、120、134やプリズム116、122等も調整される。
【0071】
上述したように、一部の光部品を搭載する工程では、基板110外にピンホール145,147やモニタ142,150を設けて調整を行う必要がある。したがって、ミラー115,135、ハーフビームスプリッタ111,118〜120,134等の光学部品やホルダ113は、筐体103外にて調整固定されるほうが良く、基板110を用意し、その上に部品を搭載する工程は、図2で示した光受信モジュールを作成しやすいという利点がある。特にフェルール112とフェルール132の間を、可撓性を有した第2光ファイバ139を配置させているため、フェルール132に光信号入力用のフェルール等を接続しても、ホルダ113が基板110より外れてしまうなどの故障が少ないというメリットがある。このように、筐体103内に、第1光ファイバ124とは別個に、第2光ファイバ139を搭載させる構造は、その製造上の観点から鑑みても、利点が大きいことが分かる。
【0072】
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2の光受信モジュールの構成を示す平面図であり、DPSK光受信モジュールの構造の一例を示している。図6は、図5に示した光受信モジュールのYZ平面による断面図である。なお、便宜上、図6では、図5に示した光部品の一部しか図示せず、第2光ファイバ207も一部しか記載していない。
【0073】
図5に示した光受信モジュールは、DPSK光受信モジュールであるため、干渉光学系が1対のみ内包されている。具体的には、ハーフビームスプリッタ213によって2分岐された光信号の一方が通るパスは、プリズム214を通るので、光路長の長いパスとなっている。2分岐された光信号はハーフビームスプリッタ228において合波・干渉される。プリズム214は台座215上に固着されている。この台座215はアクチュエータ216によって可動であり、2分岐された光信号の光路長を調整することが可能である。ハーフビームスプリッタ228上において、合波・干渉された光は、ミラー229によって光路の向きを変えられた後、レンズ230によってサブマウント232上に搭載されたフォトダイオード238上に集光される。
【0074】
筐体241底面には、半田237を介してプレート205が搭載されている。ここで、プレート205と筐体241の固定に半田237を用いたが、接着剤等でも構わない。プレート205の材質は、金属、ガラス、セラミック等が使われるが、基板206と筐体241の材質の熱膨張係数に近いほうがよく、出来れば、2つの部材の熱膨張係数の中間もしくは、どちらかと同じ方が好ましい。またプレート205上は、アンプIC233から発熱する熱の、放熱経路となっている。そのため、プレート205は、金属やアルミナやアルミナイトライドなどのセラミックである方が好ましい。
【0075】
基板206と筺体241の間に、基板206及び筺体241のいずれよりも弾性係数の低い接着層236が介在する。詳しくは、プレート205上には、接着層236を介して基板206が搭載されている。一般的に、光受信モジュールが使われる環境温度は−5℃〜85℃程度と幅広い。そのため、温度変化によって筐体241は熱変形が起きる。特に筐体241の底面には数ミクロン程度の凸凹が生じる。従って、接着層236がプレート205と基板206の弾性係数よりも小さく、厚さが数十ミクロン程度あれば、環境温度変化によって、基板206が大きく変形することはない。なお、フェルール227やハーフビームスプリッタ213、228、レンズ230等は接着層235によって接着固定されているが、基板206上の、他の光部品も接着層235によって接着固定される。これら接着層235も環境温度変化によって、熱変形を生じる。その場合、接着層235によって固着された光部品も所定の位置より、ずれてしまう。このような光部品のずれは、干渉効率の劣化となる。このような現象を防ぐために、これら接着層235の厚さは、10ミクロン程度まで薄くされることが多い。
【0076】
レンズ224は台座225を介して、基板206上に搭載されており、フェルール227も台座226を介して、基板206上に搭載されている。すなわち、光導波路の一例である第2光ファイバ207の端部(第1接続部)が、基板206に固定されている。したがって、環境温度の変化によって、第1光ファイバ220の光軸と第2光ファイバ207の光軸が適正位置からずれて、光結合損失を起こすとしても、レンズ222,レンズ224により、透光性基板218を通る光路がコリメータ光となっているため、光結合損失が仕様範囲外まで悪化してしまうことは少ない。
【0077】
図6に示すように、プレート205上には、接着層239を介して、台座240が搭載されている。この接着層239の材質は、例えば半田等であっても構わない。台座240上には、接着層または半田(図示せず)を介してセラミック基板204が搭載されている。セラミック基板204上にアンプIC233が搭載されているが、アンプIC233は発熱体であるため、セラミック基板204に図示しないビアを設けて放熱性を高めてある。
【0078】
サブマウント232の上側面にパターニングされた配線パターン231、アンプIC233上のパッド、セラミック基板204上のパッド、セラミック基板201上の伝送線路パターン202は、それぞれワイヤ203によって接続されている。また、サブマウント232の主平面上にはフォトダイオード238が導通固定されているが、この導通固定には金、錫、半田等が使われることが多い。
【0079】
筐体241の側壁にセラミック基板201が固定されており、筐体241内の光部品の気密封止を取るために、セラミック基板201は溶融金属等によって筐体241に固着されている。
【0080】
筐体241内に搭載される部材が適正位置に搭載固定され、ワイヤボンディングなどの工程を経たのち、筐体241にはリッド234が取り付けられる。
【0081】
[実施例3]
図7は、本発明の実施例3の光受信モジュールの構成を示す平面図であり、DPSK光受信モジュールの構造の一例を示している。図8は、図7に示した光受信モジュールの光部品の一部を図示したものである。
【0082】
光導波路の一例である第2光ファイバ306は、外部との光学的接続のための光インターフェースに光学的に接続している第1接続部(フェルール328に保持された部分)も、基板307に固定されている。第2光ファイバ306の第1接続部及び第2接続部(フェルール309に保持された部分)は、いずれも、第2光ファイバ306の長さ方向に対して斜めになった端面を有している。端面を通る法線は、基板307の表面に平行である。
【0083】
第2光ファイバ306の一方の端部及びこれを固定したフェルール328は、光入力端が斜め研磨されている。これは、第2光ファイバ306端で反射された光信号が、第1光ファイバ321内に戻って行くのを防ぐためである。第2光ファイバ306の他方の端部及びこれを固定したフェルール309も、光出射端が斜め研磨されている。これは、例えば、レンズ311にて反射された光信号が、第2光ファイバ306に戻って行くのを防ぐためである。これら第2光ファイバ306の端部は、第2光ファイバ306に対して垂直よりも、1度以上の斜め研磨が成されていれば、その役割を果たす。フェルール309とレンズ311は別の台座308、310に搭載されて、別個に基板307に搭載されているが、第2光ファイバ306から出力された光路313がコリメート光になるようにレンズ311の位置、形状は設計されている。
【0084】
図8に示すように、第2光ファイバ306の端部及びこれを固定したフェルール309が斜め研磨され、研磨面の法線337が、おおよそXZ平面と平行になっている。これは、フェルール309に固定されているファイバ306が斜め研磨されているので、光ファイバ306より出射される光信号の光路313は、中心軸336よりもX軸方向にぶれる。光信号は、レンズ311によってコリメート光となるが、その際、中心軸336よりもL3だけX軸方向に平行移動したコリメート光となる。
【0085】
しかし、このように基板307に対して平行に、規定位置よりずれた光路313は、ミラー312やハーフビームスプリッタ314の位置や向きを調整することで、補正することが可能である。
【0086】
もし、研磨面の法線337がY成分を有していると、レンズ311を通って、コリメート光となった光路313は、基板307に対して、Y軸方向の高さが変化してしまう。このように光路のY軸方向の高さが異なってしまうと、ミラー312やハーフビームスプリッタ314では補正が難しくなってしまう。
【0087】
したがって、図7及び図8で示すように、第2光ファイバ306の端部及びこれを固定したフェルール309を斜め研磨した場合、研磨面の法線337は、おおよそXZ平面と平行になるようにフェルール309を搭載したほうが利点がある。
【0088】
以上は、斜め研磨されたフェルール328においても同様である。
【0089】
[実施例4]
図9は、本発明の実施例4の光受信モジュールの構成を示す平面図であり、DP−QPSK光受信モジュールの構造の一例を示している。
【0090】
ここで、第1光ファイバ433は光信号入力用であり、第3ファイバ434は、リファレンス光入力用である。DP−QPSKでは、リファレンス光と光信号を干渉させて、データを読み出す。
【0091】
第1光ファイバ433と第2光ファイバ410を通過した光信号は、レンズ423によってコリメート光となる。このコリメート光はミラー417にて光路の向きを変えられた後、偏光ビームスプリッタ416に入力される。
【0092】
一方、リファレンス光は、第3ファイバ434を通ったのち、フェルール420に保持された第4光ファイバ421を通り、レンズ422においてコリメートされ、ミラー417により光路の向きが変えられた後、偏光ビームスプリッタ416に入力される。
【0093】
本実施例では、偏光ビームスプリッタ416の同一面から、信号光とリファレンス光を入力する必要がある。一般的に偏光ビームスプリッタ416のサイズは、コストの観点から数ミリ角と小さく、第1光ファイバ433と第3ファイバ434の光軸上に同時に偏光ビームスプリッタ416を配置することは出来ない。
【0094】
したがって、信号光とリファレンス光を、偏光ビームスプリッタ416の同一面から入力するために、第2光ファイバ410及び第4光ファイバ421は、それぞれ、端がフェルール413,425によって固定されるものの、中間は可撓性に富んだファイバ線であるため、自由な位置に、フェルール425、フェルール436、レンズ422,423とミラー417を固定することができる。第2光ファイバ410及び第4光ファイバ421は、おおよそ125μm径から1mm径のものが使われ、一部、有機物によって被服されていることがある。
【0095】
偏光ビームスプリッタ416を通過する光と反射する光は、それぞれ、横偏光と縦変更に分けられる。それらの信号光とリファレンス光はハーフビームスプリッタ411,426によって分岐された後、ハーフビームスプリッタ429上において干渉される。干渉された光は、ミラー430、レンズ431を通り、フォトダイオード408にて光電気変換される。
【0096】
[実施例5]
図10は、本発明の実施例5の光受信モジュールの一部の構成を示す平面図である。この光送受信モジュールは、位相変調光受信モジュールである。図10には、第1光ファイバ501及び第2光ファイバ508並びにハーフビームスプリッタ515までの光部品配置が示されている。図面を簡素化するために、筐体、基板、ホルダ等の部品は省略してある。
【0097】
第1光ファイバ501とレンズ503は、筐体(図示せず)の外側に取り付けられており、レンズ503はコリメートレンズである。光路505はミラー504によって曲げられており、レンズ506で集光され、第2光ファイバ508に光信号は入力される。このように、第1光ファイバ501と第2光ファイバ508の間に光路を変換する光部品(ミラー504)を配置しても良い。第2光ファイバ508より出力された光路514はミラー513によって光路の向きを変えられた後、ハーフビームスプリッタ515にて分岐される。分岐後の光路および光部品は図示していない。
【0098】
このように、第1光ファイバ501の取り付け位置によらず、第2光ファイバ508を配置することで、筐体内の光部品を自由に配置することが可能であり、空間を引き回す光路の長さを短くすることが出来るため、温度変化などによって光軸ずれが生じにくく、干渉効率が高い。
【0099】
[実施例6]
図11は、本発明の実施例6の光受信モジュールの一部の構成を示す平面図である。この光送受信モジュールは、位相変調光受信モジュールである。図11には、第1光ファイバ601及び第2光ファイバ608並びにハーフビームスプリッタ615までの光部品配置が示されている。図面を簡素化するために、筐体、基板、ホルダ等の部品は省略してある。
【0100】
第1光ファイバ601より出力された光軸605は、レンズ603によって集光され、光信号は第2光ファイバ608に入力される。ここで、レンズ603の搭載位置は、筐体の内部でも外部でも良い。第2光ファイバ608は一周しており、フェルール609とともに斜め研磨された先端より光信号は出力され、レンズ612によってコリメート光とされる。第2光ファイバ608は、中央部が可撓性に富んだファイバが延在しているため、第1光ファイバ601の出力端と、第2光ファイバ608の出力端のY軸方向高さを変換することが可能である。
【0101】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。また上記実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0102】
10 光インターフェース、12 筺体、14 電気インターフェース、16 光学系、18 電気光学素子、20 光導波路、22 外部光ファイバ、24 レンズ、26 基板、28 第1出入口、30 第1接続部、32 第2出入口、34 第2接続部、36 第1光軸、38 第2光軸、40 レンズ、101 セラミック基板、102 伝送線路パターン、103 筐体、104 ワイヤ、105 セラミック基板、106 ワイヤ、107 ワイヤ、108 サブマウント、109 フォトダイオード、110 基板、111 ハーフビームスプリッタ、112 フェルール、113 ホルダ、114 レンズ、115 ミラー、116 プリズム、117 位相調整素子、118 ハーフビームスプリッタ、119 ハーフビームスプリッタ、120 ハーフビームスプリッタ、121 位相調整素子、122 プリズム、123 ホルダ、124 第1光ファイバ、125 フェルール、126 レンズ、127 パイプ、128 透光性基板、129 光路、130 台座、131 レンズ、132 フェルール、133 台座、135 ミラー、136 レンズ、138 配線パターン、139 第2光ファイバ、140 ブロック、141 ピンホール、142 モニタ、143 光路、144 ブロック、145 ピンホール、146 ブロック、147 ピンホール、148 光路、150 モニタ、201 セラミック基板、202 伝送線路パターン、203 ワイヤ、204 セラミック基板、205 プレート、206 基板、207 第2光ファイバ、213 ハーフビームスプリッタ、214 プリズム、215 台座、216 アクチュエータ、218 透光性基板、220 第1光ファイバ、222 レンズ、224 レンズ、225 台座、226 台座、227 フェルール、228 ハーフビームスプリッタ、229 ミラー、230 レンズ、231 配線パターン、232 サブマウント、233 アンプIC、234 リッド、235 接着層、236 接着層、237 半田、238 フォトダイオード、239 の接着層、240 台座、241 筐体、306 第2光ファイバ、307 基板、308 台座、309 フェルール、310 台座、311 レンズ、312 ミラー、313 光路、314 ハーフビームスプリッタ、321 第1光ファイバ、328 フェルール、336 中心軸、337 法線、408 フォトダイオード、410 第2光ファイバ、411 ハーフビームスプリッタ、413 フェルール、416 偏光ビームスプリッタ、417 ミラー、420 フェルール、421 第4光ファイバ、422 レンズ、423 レンズ、425 フェルール、426 ハーフビームスプリッタ、429 ハーフビームスプリッタ、430 ミラー、431 レンズ、433 第1光ファイバ、434 第3ファイバ、436 フェルール、501 第1光ファイバ、503 レンズ、504 ミラー、505 光路、506 レンズ、508 第2光ファイバ、513 ミラー、514 光路、515 ハーフビームスプリッタ、601 第1光ファイバ、603 レンズ、605 光軸、608 第2光ファイバ、609 フェルール、612 レンズ、615 ハーフビームスプリッタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に光路を有する光学系と、
前記光学系の入口及び出口の一方である第1出入口に光学的に接続された電気光学素子と、
柔軟性を有する光導波路と、
外部との光学的な接続を図るための光インターフェースを備え、前記光学系、前記電気光学素子及び前記光導波路を収納する筺体と、
を有し、
前記光導波路は、前記筺体内で前記光インターフェースに光学的に接続される第1接続部と、前記光学系の前記入口及び前記出口の他方である第2出入口に光学的に接続される第2接続部と、を有し、前記筺体内で屈曲して配置され、
前記光インターフェースと前記第1接続部の間を通る第1光軸と、前記第2出入口と前記第2接続部の間を通る第2光軸とは、ずれていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光モジュールにおいて、
前記光学系の前記光路は、光の複数の進行方向を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光モジュールにおいて、
前記光学系は、光を分岐する光学部品、光を合波する光学部品、光を反射する光学部品及び光を屈折する光学部品の少なくとも1つを含むことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、
前記筺体外で前記光インターフェースに光学的に接続される外部光ファイバをさらに有していることを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載された光モジュールにおいて、前記光導波路は、前記外部光ファイバよりもコアとクラッドの屈折率差が大きい光ファイバであって、前記外部光ファイバに許容された曲げ半径よりも小さな曲げ半径で曲げられていることを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項4または5に記載された光モジュールにおいて、
前記筺体と前記外部光ファイバとの間に配置されたレンズをさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、
前記筐体内の前記第1光軸及び前記第2光軸の少なくとも一方上にレンズをさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された光モジュールにおいて、
前記レンズは、コリメートレンズであることを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、
前記筺体の内側に固定された基板をさらに有し、
前記基板に前記光学系が搭載されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載された光モジュールにおいて、
前記光導波路の第2接続部は、前記基板に固定されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載された光モジュールにおいて、
前記光導波路の第1接続部は、前記基板との固定を避けて配置されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項12】
請求項10に記載された光モジュールにおいて、
前記光導波路の第1接続部も、前記基板に固定されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された光モジュールにおいて、
前記光導波路の前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方は、前記光導波路の長さ方向に対して斜めになった端面を有していることを特徴とする光モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載された光モジュールにおいて、
前記端面を通る法線は、前記基板の表面に平行であることを特徴とする光モジュール。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、
前記基板と前記筺体の間に、前記基板及び前記筺体のいずれよりも弾性係数の低い接着層が介在することを特徴とする光モジュール。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載された光モジュールにおいて、
前記筺体は、外部との電気的な接続を図るための電気インターフェースを有し、
前記光インターフェースと前記電気インターフェースは、相互に、前記筺体の反対側に配置されていることを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−113094(P2012−113094A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261219(P2010−261219)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】