光伝送ユニット
【課題】 光信号ケーブルを介して接続されるモニタ機器とソース機器と間において、正確な信号伝送を実現する。
【解決手段】 モニタ伝送処理部24とソース伝送処理部14とから構成される光伝送システム1において、モニタ伝送処理部24によって、モニタ機器21から供給されるSIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データをソース伝送処理部14に伝送し、ソース伝送処理部14によって、当該時間間隔データに基づいてクロックタイミングを調整し、順次、モニタ伝送処理部24から伝送されてくる信号を当該クロックタイミングに基づいて信号処理を行う。
【解決手段】 モニタ伝送処理部24とソース伝送処理部14とから構成される光伝送システム1において、モニタ伝送処理部24によって、モニタ機器21から供給されるSIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データをソース伝送処理部14に伝送し、ソース伝送処理部14によって、当該時間間隔データに基づいてクロックタイミングを調整し、順次、モニタ伝送処理部24から伝送されてくる信号を当該クロックタイミングに基づいて信号処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース機器とシンク機器間において信号を送受信する光伝送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
TVチューナやハードディスクレコーダ等の映像信号を出力する映像信号出力装置と、CRTやLCD等の映像信号を受信して表示する映像信号入力装置との間で、ディジタル映像信号を伝送する伝送規格として、DVI(Digital Visual Interface)や、HDMI(High Definition Multimedia Interface)がある。
【0003】
ここで、電気信号伝送システム200は、図43に示すように、映像信号を出力するソース機器201と、映像信号を入力して表示するモニタ機器202と、ソース機器201とモニタ機器202とを所定のインターフェースを介して接続する電気信号ケーブル203により構成される。ソース機器201とモニタ機器202は、それぞれ映像信号の入出力を行うRGB I/F201a、202aを備えている。また、ソース機器201とモニタ機器202は、互いの機器間での動作命令を送受信するとともに制御信号の入出力を行う制御信号I/F201b、202bを備えている。電気信号ケーブル203は、映像信号と制御信号との複数の信号を伝達するため、ケーブル内に複数の電気信号線を必要とする。つまり、電気信号ケーブル203は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)と呼ばれる1チャンネルに対して2本の信号線を用いた差動の電気信号からなる映像信号であって、RGBの3チャンネルのRGB信号と、RGB信号を同期させる同期信号との合計4つの信号を伝送する4本の信号線によって構成される。
【0004】
このような電気信号伝送システム200において、例えばFull HDと呼ばれる規格のディジタル映像信号を伝送する場合には、当該映像信号のピクセルレートが148.5Mbpsであって、TMDS伝送規格で伝送した場合、1チャンネルあたりの伝送帯域が、1.485Gbpsになる。このように、高ビットレートの映像信号をTMDSのような伝送規格で伝送する場合において、電気ケーブルを介して単に電気信号形式で伝送した場合には、数メートル程度が伝送距離の限界となってしまう。
【0005】
そこで、長距離信号伝送を可能にするため、高周波帯域の信号の伝送減衰率が、電気信号に比べて非常に小さい光ファイバ等による光伝送が用いられている。映像信号を光伝送する伝送システムとしては、特許文献1に示されているように、映像信号を構成するRGB信号と同期信号とをそれぞれ光信号に変換するものや、特許文献2に示されているように、1つの光信号線に異なる波長領域毎に分割して、分割した波長領域毎にRGB信号と同期信号を割り当てて伝送するものがある。しかし、特許文献1に示されているような、RGB信号と同期信号をそれぞれ光信号に変換する場合には、電気信号形式を光信号形式に変換する電気/光信号変換部、及び光信号形式を電気信号形式に変換する光/電気信号変換部が複数必要である。
【0006】
また、特許文献2に示されているような、RGB信号と同期信号をそれぞれ光信号において分割した波長帯域に割り当てて伝送する、いわゆるWDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送の場合には、複数の波長領域に応じて、光信号を多重する変換部、及び、光信号を分離する変換部が必要であり、さらに分離された光信号を電気信号に変換する光/電気信号変換部が複数必要であるため、回路規模が拡大且つ複雑になり、それに伴って消費電力が増大する。
【0007】
ところで、映像信号出力装置と映像信号入力装置とを、電気ケーブルを介して接続された電気信号の伝送システムにおいて、映像信号出力装置からの起動命令により待機状態の映像信号入力装置を起動させる場合には、映像信号出力装置から所定の起動制御信号が、電気ケーブルを介して映像信号入力装置へ伝送される。
【0008】
これに対して、光信号により映像信号を伝送する光伝送システムにおいて、映像信号出力装置が待機状態の映像信号入力装置を起動させる場合、映像信号出力装置は、電気信号を光信号に変換する電気/光信号変換部とその周辺の回路に、常に電力が供給されている必要があるため、待機状態においてもこのような変換部の消費電力が大きく、省電力を実現することができなかった。一方、映像信号入力装置は、省電力化のために光信号を電気信号へ変換する光/電気信号変換部に電力が供給されなかった場合には、映像信号出力装置から伝送される光信号形式の起動制御信号を受信することができず、起動することができなかった。
【0009】
したがって、光伝送システムを、省電力化された待機状態から通常動作状態へ移行するには、映像信号出力装置が、消費電力を低下した状態で電気信号形式の起動制御信号を光信号形式に変換して伝送し、また、映像信号入力装置が、消費電力を低下した状態で光信号形式の起動制御信号を電気信号形式に変換して受信する必要がある。ここで、周波数成分をできるだけ低い起動制御信号を用いることにより、これらの信号変換部において低消費電力化を図ることができる。しかしながら、ユーザインターフェースとして一般的に用いられる赤外線リモートコントローラを用いて、待機状態の装置に対してユーザが起動命令を入力した場合には、当該赤外線リモートコントローラの信号の周波数帯域が高いため、装置側が受信した信号をそのまま電気/光信号変換部を介して光伝送すると、映像信号出力装置の電気/光信号変換部、及び、映像信号入力装置の光/電気信号変換部の消費電力を抑えることができず省電力状態を実現することができなかった。
【0010】
起動制御信号を高周波数帯域から低周波数帯域の信号規格に変換する信号規格変換処理は、高周波数帯域の信号規格の起動制御信号に応じて起動制御データを読み取って、読み取った起動制御データを所定の記憶手段で一時的に記憶する。さらに、一時的に記憶された起動制御データに応じて低周波数帯域の起動制御信号に変更する。このような信号規格を変換する処理部を低消費電力化された演算処理装置で実現することにより、待機状態に省電力とすることができる。
【0011】
【特許文献1】特開2002−366340号公報
【特許文献2】特開2003−273834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、ソース機器とモニタ機器との間において、低周波数帯域の信号規格の起動制御信号を正確に伝送するためには、それぞれの機器が用いる動作クロック信号が略一致している必要がある。この場合には、それぞれの機器において、同一周波数のクロック信号を正確に発振することができる水晶発振器を用いればよい。一方、コストを抑えるため、水晶発振器よりも安価なCR発振回路を用いるという選択もある。
【0013】
しかしながら、CR発振器は、使用する環境温度によって発振するクロック信号の周波数及び絶対時間が変動してしまう問題点がある。したがって、クロック信号の発振にCR発振回路を用いた場合、ソース機器とモニタ機器間における信号伝送が正確に行えなくなってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、クロック信号の発振にCR発振回路を用い、環境温度が変動しても、ソース機器とシンク機器間の信号の送受信を正確に行う光伝送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光伝送システムは、一方端側が第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの一方端に接続され、他方端側がシンク機器側に接続され、当該第1の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の信号に所定の処理を行い、処理後の信号を当該シンク機器に供給し、当該シンク機器から供給された信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第2の光ファイバに出力する第1のモジュールと、一方端側が上記第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの他方端に接続され、他方端側がソース機器側に接続され、当該ソース機器から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第1の光ファイバに出力し、当該第2の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号を当該ソース機器に出力する第2のモジュールとから構成される光伝送ユニットにおいて、上記第1のモジュールは、所定のクロックを発振する第1の発振器と、上記第1の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第1の分周回路と、上記第1の分周回路により分周された発振クロックを第1のカウント値に基づいてカウントする第1のタイマと、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号から第2の規格に準拠したパルス信号を生成する第1の信号処理部と、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号振幅の変化に対応する時間を計測し、当該計測に基づいて第2の規格に準拠した時間間隔信号を生成する第2の信号処理部と、上記第1の信号処理部により生成された上記パルス信号及び上記第2の信号処理部により生成された上記時間間隔信号を光信号に変換する電気光変換部とを備え、上記第2のモジュールは、所定のクロックを発振する第2の発振器と、上記第2の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第2の分周回路と、上記第2の分周回路により分周された発振クロックを第2のカウント値に基づいてカウントする第2のタイマと、上記第2の光ファイバを介して入力された上記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記光電気変換部により変換されて得られた上記パルス信号のパルス間隔から上記第1のカウント値を算出する算出部と、上記算出部により算出された上記第1のカウント値とに基づいて上記第2の分周回路による分周の割合を調整する調整部と、上記調整部により上記第2の分周回路による分周の割合が調整された後の上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記第2の信号変換部により変換されて得られた上記時間間隔信号から時間間隔を抽出する時間間隔抽出部と、上記時間間隔抽出部により抽出された上記時間間隔信号に基づいて上記第1の規格に準拠したパルス信号を生成する第3の信号処理部とを備え、上記第3の信号処理部は、処理後の信号を上記ソース機器に供給する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、クロックの発振回路として、環境温度の変動に影響を受けるような安価な発振回路を用いた場合であっても、シンク機器及びソース機器間における各発振回路のクロック周波数及びその絶対時間のずれを調整するので、シンク機器及びソース機器間の信号の送受信を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態は、映像信号の伝送を行う光伝送システム1に適用したものである。
【0018】
光伝送システム1は、図1に示すように、映像信号を出力するソース機器10と、ソース機器10から出力される映像信号を表示するモニタ機器20と、ソース機器10とモニタ機器20とを接続して光信号形式で映像信号等の伝送信号の伝送を行う光信号ケーブル30と、赤外線信号を用いてモニタ機器20に対して遠隔制御命令を送信する赤外線リモートコントローラ40とからなる。
【0019】
ソース機器10は、図1に示すように、例えば、映像記録媒体からの映像データの読み取りなどを行うソース本体部11と、ソース本体部11が生成した映像信号を外部へ出力する映像信号I/F部12と、光信号ケーブル30を介して接続されたモニタ機器20との間で通信を行う制御信号の出力を行う制御信号I/F部13と、映像信号と制御信号とを同一の光信号で伝送するための信号処理を施すソース伝送処理部14とから構成される。
【0020】
ソース本体部11は、映像記録媒体からの映像データの読み出し、又は放送映像信号の受信などを行って映像信号を生成する。ここで、映像信号は、具体的に3原色信号からなるRGB信号と、当該RGB信号を同期させるためのクロック信号とから構成され、映像信号I/F部12から外部へ出力される。また、ソース本体部11は、図1に示すように、SIRCSデコーダ11aをさらに備える。SIRCSデコーダ部11aは、制御信号I/F部13を介してモニタ機器20から送信されるSIRCS(Serial Infrared Remote Control System)信号規格の制御信号から制御データの読み取りを行う。
【0021】
制御信号I/F部13は、光信号ケーブル30を介して接続されたモニタ機器20との間で通信を行う制御信号を所定の伝送規格に変換する。ここで、制御信号とは、接続されたモニタ機器20との間で送受信される命令信号である。
【0022】
モニタ機器20は、図1に示すように、ソース機器10から送信される映像信号を表示するモニタ本体部21と、映像信号をモニタ本体部21へ入力させる映像信号I/F部22と、光信号ケーブル30を介して接続されたソース機器10との間で通信を行う制御信号を出力する制御信号I/F部23と、映像信号と制御信号とを同一の光信号で伝送するための信号処理を施すモニタ伝送処理部24とから構成される。
【0023】
モニタ本体部21は、ソース機器10から送信される映像信号を表示する。ここで、映像信号は、具体的に3原色信号からなるRGB信号及び当該RGB信号が同期するためのクロック信号から構成され、映像信号I/F部22から入力される。また、モニタ本体部21は、図1に示すように、赤外線リモートコントローラ40から送信される赤外線信号を受光して電気信号形式に変換する受光モジュール21aを備える。
【0024】
制御信号I/F部23は、光信号ケーブル30を介して接続されたソース機器10との間で通信を行う制御信号を所定の伝送規格に変換する。ここで、制御信号とは、接続されたソース機器10との間で送受信される命令信号である。
【0025】
光信号ケーブル30は、ソース機器10からモニタ機器20へ映像信号及び制御信号を送信する信号線と、モニタ機器20からソース機器10へ制御信号を送信する信号線との、合計2つの光ファイバーから構成されている。ここで、各信号線は、シリアル信号を伝送するものとする。
【0026】
赤外線リモートコントローラ40は、所定の制御命令に応じて、図2に示すように、Low/High信号のパルス時間間隔の違いで「0」と「1」の信号を表現するSIRCS信号規格の制御信号を送信する。
【0027】
次に、図3を参照して、ソース機器10のソース伝送処理部14の構成について詳細に説明する。ソース伝送処理部14は、図3に示すように、映像信号と制御信号とをそれぞれ多重又は分離処理をして光伝送に適した電気信号に変換する電気信号処理部141と、電気信号処理部141が変換した電気信号を光信号に変換するE/O変換部142と、光信号ケーブル30を介してモニタ機器20から送信される光信号を電気信号に変換するO/E変換部143と、モニタ機器20との間で、待機状態から通常動作状態へ移行する制御を行う起動制御部144とから構成される。
【0028】
電気信号処理部141は、映像信号と制御信号とをそれぞれ多重処理、又は分離処理を行い、図3に示すように、RGB I/Fデバイス部141aと、ロジック部141bと、SERDES変換部141cとから構成されている。
【0029】
RGB I/Fデバイス部141aは、映像信号I/F部12が出力した所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号を、モニタ機器20へ伝送するため、ロジック部141bで使用できるように所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号から必要なデータを抽出する。具体的なディジタル映像信号伝送規格としては、DVI(Digital Visual Interface)や、HDMI(High Definition Multimedia Interface)である。
【0030】
ロジック部141bは、RGB I/Fデバイス部141aにより所定のディジタル信号伝送規格に基づいた映像信号から抽出されたデータ、及び制御信号I/F部13から出力された制御信号をそれぞれ時分割して、1つの信号に多重化する。また、光信号ケーブル30を介してモニタ機器20から送られてきた光信号であって、O/E変換部143によって電気信号に変換された制御信号は、ロジック部141bに供給される。ここで、ロジック部141bに入力された制御信号は、多重化されているので、ロジック部141bにより分離処理が施される。
【0031】
SERDES変換部141cは、ロジック部141bにより多重化された信号を光伝送に適した符号変換を施してシリアル信号に変換する。ここで、光信号ケーブル30は、送信用、受信用の2本の光信号線から構成されている。また、それぞれの光信号線の伝送形式は、シリアル伝送形式である。したがって、SERDES変換部141cは、ロジック部141bにより多重化された信号をシリアル伝送形式で伝送される光信号に適したシリアル信号形式の電気信号に変換する。
【0032】
E/O変換部142は、電気信号処理部141において多重化かつシリアル化された電気信号を光信号に変換する。また、E/O変換部142は、伝送する情報量に応じて、光信号の伝送周波数帯域を変更する。ここで、E/O変換部142は、低周波帯域で伝送することにより、消費電力を小さくすることができる。具体的に、E/O変換部142は、映像信号等の情報量が大きい信号を伝送する通常変換モードと、映像信号と比べて小さい情報量に応じた信号を伝送する省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部144からの制御命令に応じて、これら2つのモードを切り換えて電気信号を光信号に変換する。
【0033】
O/E変換部143は、光ケーブル30を介してモニタ機器20から送信される光信号を検出して電気信号に変換する。また、O/E変換部143は、光信号ケーブル30から伝送される情報量に応じて、光信号を検出する周波数帯域を変更する。ここで、O/E変換部143は、検出周波数帯域を低くすることにより、消費電力を小さくすることができる。具体的に、O/E変換部143は、映像信号等の情報量が大きい信号を検出する通常変換モードと、映像信号と比べて小さい情報量の信号を検出する省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部144からの制御命令に応じて、これら2つのモードを切り換えて変換を行う。
【0034】
起動制御部144は、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御信号の通信を行う。また、起動制御部144は、低消費電力で動作できる演算処理装置が用いられている。具体的に、この演算処理装置には、モニタ機器20から起動制御信号を受信して当該ソース機器10を待機状態から通常動作状態へ移行する制御をするための起動制御プログラムが組み込まれている。よって、起動制御部144は、この起動制御プログラムに従って、E/O変換部142及びO/E変換部143への供給電力の制御を行う。
【0035】
起動制御部144は、シリアル信号形式の起動制御信号を受信して後述するUART信号規格に基づいて起動制御データを読み取るUART受信部144aと、UART受信部144aにより読み取られた起動制御データを赤外線リモートコントローラ40の信号伝送規格であるSIRCS信号に変換して送信するSIRCS送信部144bから構成される。
【0036】
UART受信部144aは、電気信号であってシリアル信号形式の起動制御信号をO/E変換部143から受信して、図4に示すような、一定時間間隔で信号をLow/Highに変化し、その変化に応じて0と1の信号を表現するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)信号規格に基づいて起動制御データを読み取り、起動制御データをSIRCS送信部144bへ出力する。
【0037】
SIRCS送信部144bは、UART受信部144aが出力した起動制御データに応じたSIRCS信号規格の起動制御信号を生成して、制御信号I/F部13へ出力する。
【0038】
次に、図5を参照して、モニタ機器20のモニタ伝送処理部24の構成について、詳細に説明する。モニタ伝送処理部24は、図5に示すように、光信号ケーブル30の伝送規格に応じて電気信号の信号処理を行う電気信号処理部241と、電気信号処理部241において信号処理された電気信号を光信号に変換するE/O変換部242と、光信号ケーブル30を介してソース機器10から送信される光信号を電気信号に変換するO/E変換部243と、ソース機器10との間で、待機状態から通常動作状態へ移行する制御を行う起動制御部244から構成される。
【0039】
電気信号処理部241は、図5に示すように、SERDES変換部241aと、ロジック部241bと、RGB I/Fデバイス部241cとから構成されている。
【0040】
SERDES変換部241aは、光信号ケーブル30を介してソース機器10から送られてきた光信号であって、O/E変換部243により変換された電気信号をパラレル信号へ変換する。ここで、光信号ケーブル30を介して伝送される光信号がシリアル信号形式なので、シリアル信号形式の電気信号がO/E変換部243から出力される。
【0041】
ロジック部241bは、SERDES変換部241aによってパラレル信号形式へ変換された信号が時分割に多重化されているので、この多重化信号を映像信号と制御信号とに分離する。
【0042】
RGB I/Fデバイス部241cは、ロジック部241bにより分離処理が施された映像信号を、所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号形式に変換して、映像信号I/F部22へ出力する。
【0043】
E/O変換部242は、電気信号処理部241において多重化された電気信号を光信号に変換する。ここで、E/O変換部242は、ソース機器10のE/O変換部142と同様に、通常変換モードと省電力変換モードとの2つのモードを有しており、起動制御部244からの制御命令に応じて、これらの2つのモードを切り換えて電気信号を光信号に変換する。
【0044】
O/E変換部243は、光ケーブル30を介してソース機器10から送信される光信号を電気信号に変換する。ここで、O/E変換部243は、ソース機器10のO/E変換部143と同様に、通常変換モードと省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部244からの制御命令に応じて、これらの2つのモードを切り換えて光信号を電気信号に変換する。
【0045】
起動制御部244は、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御信号の通信を行う。また、起動制御部244は、低消費電力で動作できる演算処理装置が用いられている。具体的に、この演算処理装置には、ソース機器10を待機状態から通常動作状態へ移行させる起動制御信号の送信するための起動制御プログラムが組み込まれている。起動制御部244は、この起動制御プログラムに従って、E/O変換部242及びO/E変換部243へ供給する電力量の制御を行う。
【0046】
また、起動制御部244は、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号をSIRCS信号規格に基づいて起動制御データの読み取りを行うSIRCS受信部244aと、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データをUART信号規格のシリアル信号に変換するUART送信部244bから構成される。
【0047】
SIRCS受信部244aは、制御信号I/F部23から送信される制御信号から、SIRCS信号規格に基づいて起動制御データを読み取る。さらに、SIRCS受信部244aは、読み取った起動制御データをUART送信部244bへ出力する。
【0048】
UART送信部244bは、SIRCS受信部244aから出力された起動制御データに応じたUART信号規格の起動制御信号を生成してE/O変換部242へ送信する。
【0049】
次に、ソース機器10とモニタ機器20とが互いに備える起動制御部144、244を用いて、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御工程について図6を用いて説明する。
【0050】
本実施の形態では、互いに待機状態のソース機器10とモニタ機器20とを、通常動作状態へ移行する起動制御工程に注目して扱う。したがって、本実施の形態において、通常動作状態に移行した後に光伝送システム1が行う映像信号の伝送に関しての説明は省略する。また、この起動制御工程は、起動制御部144、244にそれぞれ書き込まれた起動制御プログラムに従って実行される。
【0051】
まず、図6のステップS1〜S5に示す電源の供給から待機状態に設定されるまでのモニタ機器20における起動制御部244の処理工程について説明する。
【0052】
ステップS1において、起動制御部244は、モニタ本体部21から電力が供給される。ここで、モニタ本体部21は、待機状態であって、赤外線リモートコントローラ40などの所定のユーザインターフェースから起動命令が入力され、通常動作状態へ移行するとともに、制御信号I/F部23を介して、起動制御部244に電力を供給する。
【0053】
ステップS2において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、所定の初期設定を行う。
【0054】
ステップS3において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、起動用I/O割り込み設定を行う。ここで、起動用I/O割り込み設定とは、モニタ伝送処理部24の各ブロックへの供給電力を制限して省電力化された待機状態とし、当該起動制御部244と接続された制御信号I/F部23から入力される制御信号の変化を検出に応じて、待機状態から通常起動状態へ移行して、制限された動作を解除する設定である。
【0055】
ステップS4において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、モニタ伝送処理部24を待機状態へ移行させる。具体的にモニタ伝送処理部24は、起動制御部244のみに電力が供給されている待機状態へ移行させる。ここで、起動制御部244は、制御信号I/F部23及び光信号ケーブル30を介してO/E変換部243から出力される単純なHigh/Lowの電圧レベルに応じて割り込み処理を行う、演算処理能力を制限した待機状態に設定する。
【0056】
ステップS5において、モニタ伝送処理部24が待機状態へ移行すると、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、制御信号I/F部23又はO/E変換部243からHigh/Low電圧レベルに応じた割り込み起動命令があるか否かを判断する。ここで、起動制御プログラムは、割り込み起動命令があればステップS6へ移行し、割り込み起動命令がなければ、この処理を繰り返し実行する。
【0057】
一方、ソース機器10における起動制御部144も、ステップS21〜S25において、モニタ機器20における起動制御部244と同様に電源が供給され、待機状態に設定される。ここで、モニタ機器20の起動制御工程のステップS4において、起動制御部244が制御信号I/F部23からのHigh/Low電圧レベルに対して割り込み処理を行うのに対して、ソース機器10の起動制御部144では、ステップS24において、光信号ケーブル30を介してO/E変換部143から出力されるHigh/Low電圧レベルに応じた割り込み処理に待機した待機状態となっている。
【0058】
次に、互いに待機状態のソース機器10とモニタ機器20に対して、High/Lowの電圧レベルに応じた割り込み処理に待機した待機状態を解除する割り込み処理が行われ、2つの機器が映像信号を光伝送する通常動作状態へ移行する起動処理について説明する。
【0059】
ステップS6において、モニタ本体部21における起動制御部244は、制御信号I/F部23からHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令が入力され、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。ここで、モニタ本体部21は、受光モジュール21aで赤外線リモートコントローラ40から発信されるSIRCS信号規格の起動制御信号を受光し、待機状態から通常動作状態に移行するとともに、受信したSIRCS信号規格の制御信号を、制御信号I/F部23を介して、起動制御部244に送信する。また、起動制御部244は、制御信号I/E部23から送信される制御信号をHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令として認識して起動制御を行う。
【0060】
ステップS7において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号から起動制御データの読み取りを行う。具体的には、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、SIRCS受信部244aに対して、制御信号I/F部23から送信されるSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御データを読み出させる。また、SIRCS受信部244aは、読み出した起動制御データをUART送信部244bへ出力する。ここで、起動制御データは、起動制御信号における所定の信号伝送規格に基づいて読み取られたデータであり、単純なHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令ではなく、ソース機器10に対して具体的な制御命令として扱われる。
【0061】
ステップS8において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242に電力を供給させて、省電力モードとして起動させる。
【0062】
ステップS9において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242が省電力モードで起動したことを確認して、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号を、E/O変換部242へ出力する。具体的に、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、UART送信部244bに対して、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データに応じてUART信号規格の起動制御信号を生成して、E/O変換部242へ送信する。ここで、当該起動制御信号は、UART信号規格なので低伝送速度でE/O変換部242へ送信することができ、E/O変換部242の動作を省電力化することができる。具体的に、映像信号がGbps又はMbps単位の速度で伝送されるのに対して、起動制御信号は、Kbps単位の低速度で伝送される。さらに、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242に対して、起動制御信号を光信号に変換させて光信号ケーブル30へ送信させる。
【0063】
ステップS10において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、電気信号処理部241の各処理部へ電力を供給させ、光信号ケーブル30を介してソース機器10から伝送される映像信号に備える。
【0064】
ステップS11において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、待機状態に移行するか否かを判断する。起動制御部244は、待機状態に移行しないと判断されると、ステップS11の動作を繰り返し、待機状態に移行すると判断されると、ステップS4に本起動制御処理を戻す。
【0065】
次に、モニタ機器20から光信号ケーブル30へ送信された起動制御信号がソース伝送処理部14に到達した後に、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、ステップS25〜29の処理工程により、ソース伝送処理部14を待機状態から通常動作状態へ移行させる。
【0066】
まず、起動制御信号は、光信号ケーブル30を介してO/E変換部143へ入力される。続いて、O/E変換部143は、光信号形式の起動制御信号を電気信号形式へ変換して、起動制御部144へ出力する。
【0067】
ステップS26において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、起動制御信号が入力されたことによる電圧変化によって、割り込み処理が行われ、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0068】
ステップS27において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送された起動制御信号から起動制御データを読み取る。具体的には、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、UART受信部144aに対して、O/E変換部143から送信された制御信号からUART信号形式に基づいて起動制御データを読み取らせる。また、UART受信部144aは、読み取った起動制御データをSIRCS送信部144bへ出力する。
【0069】
ステップS28において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、読み取った起動制御データを制御信号I/F部13へ出力する。具体的には、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、SIRCS送信部144bに対して、起動制御データに応じたSIRCS信号規格の起動制御信号に変換する。また、SIRCS信号規格の起動制御信号は、制御信号I/F部13を介して、ソース本体部11に備えられたSIRCSデコーダ部11aに送信される。
【0070】
その後、ソース本体部11は、制御信号I/F部13を介してSIRCS信号規格の起動制御信号がSIRCSデコーダ部11aに入力されて、SIRCSデコーダ部11aが起動制御データの読み取りを行い、起動制御データに応じたI/O割り込み処理によって、待機状態から通常動作状態へ移行する。具体的に、ソース本体部11は、入力した起動制御データに応じて、映像信号の出力等の動作が実行される。
【0071】
ステップS29において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、ソース伝送処理部14の各ブロックへ電力を供給させて、ソース本体部11から出力される映像信号に対する信号処理に備える。
【0072】
ステップS30において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、待機状態に移行するか否かを判断する。起動制御部144は、待機状態に移行しないと判断すると、ステップS30の動作を繰り返し、待機状態に移行すると判断すると、ステップS24に本起動制御処理を戻す。
【0073】
以上の処理工程により、ソース機器10とモニタ機器20とは、待機状態から映像信号を光伝送する動作状態へ移行する。
【0074】
このように、起動制御部144、244は、これらの演算処理装置に組み込まれた起動制御プログラムに応じて起動制御工程が実行される。したがって、起動制御部144、244は、省電力状態において動作が不必要な部分の電源をOFFにし、待機状態において動作が必要な部分に必要となる電力のみを供給させる、複雑な起動制御を行うことができる。さらに、このような複雑な起動制御をソフトウェアにより実行させるため、複雑なハードウェアを設計する必要がなく、目的に応じて設計仕様の書き換えを容易に行うことができる。
【0075】
また、起動制御部144、244は、低消費電力化された演算処理装置を使用することで、待機状態において省電力を実現する。このような低消費電力化された演算処理装置は、通常動作状態以外に、待機状態や、外部からの入力により待機状態から通常動作状態へ移行できる割り込み起動処理を行うことができるので、待機状態における消費電力を低くすることができる。
【0076】
さらに、光伝送システム1では、赤外線リモートコントローラ40から発信されたSIRCS信号規格の起動制御信号に応じてモニタ機器20を起動するとともに、起動制御信号をSIRCS信号規格からUART信号規格に変換して、光伝送ケーブル30を介して伝送して、ソース機器10の起動制御も行う。
【0077】
また、単位時間当たりに同等の情報を伝送する場合には、UART信号規格の伝送信号がSIRCS信号規格に比べて、伝送信号の周波数を1/2から1/3程度にすることができる。また、起動制御工程において、モニタ機器20のE/O変換部242は、UART信号規格で電気信号形式の制御信号を光信号形式に変換して伝送し、ソース機器10のO/E変換部143も同様に、UART信号規格で光信号形式の制御信号を電気信号形式に変換して伝送する。したがって、ソース機器10のO/E変換部143と、モニタ機器20のE/O変換部242は、SIRCS信号規格に比べて低周波数成分のUART信号規格の信号変換を行うため、これらの変換部の消費電力を低くすることができ、省電力化が図れる。
【0078】
ここで、UART信号規格の信号がSIRCS信号規格の信号よりも信号の周波数帯域を低くするためには、SIRCS受信部244aが読み取った起動制御データを一時的に記憶して、UART送信部から送信するUART信号規格の信号の送信時間を調節しなければならない。したがって、上述した赤外線リモートコントローラ40からのSIRCS信号規格の起動制御信号を、UART信号規格の信号に変換して、光伝送ケーブル30を介して光伝送を行うためには、信号規格の変換を行う起動制御部144、244に一時的に制御データを記憶するバッファ部が必要である。そこで、起動制御データを一時的に記憶するバッファ部を設けた起動制御部144、244の処理工程について説明する。
【0079】
モニタ機器20の起動制御部244は、図7に示すように、SIRCS受信部244aとUART送信部244bに加えて、SIRCS受信部244aが読み取った起動制御データを一時的に記憶するバッファ部244cを備える。
【0080】
また、SIRCS受信部244aは、SIRCSデコーダ部244a−1とデータレジスタ244a−2とを備える。SIRCSデコーダ部244a−1は、制御信号I/F部23からの出力信号をSIRCS信号規格に基づいた起動制御データを読み出してデータレジスタ244a−2に出力するとともに、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データをバッファ部244cへ入力させる入力要求命令をバッファ部244cに出力する。データレジスタ244a−2は、SIRCSデコーダ部244a−1から出力された起動制御データを記憶するとともに、SIRCSデコーダ部244a−1からバッファ部244cへの入力要求命令に応じて、起動制御データをバッファ部244cへ出力する。
【0081】
また、UART送信部244bは、UARTエンコーダ部244b−1とデータレジスタ244b−2とを備える。UARTエンコーダ部244b−1は、バッファ部244cに記憶された起動制御データをデータレジスタ244b−2へ出力する出力要求命令を、バッファ部244cに出力する。また、UARTエンコーダ部244b−1は、データレジスタ244b−2に記憶された起動制御データを読み出して、UART信号規格に基づく起動制御信号をE/O変換部242へ送信する。データレジスタ244b−2は、バッファ部244cが出力する起動制御データを記憶する。
【0082】
バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令に応じて、起動制御データを記憶し、UART送信部244bからの出力要求命令に応じて起動制御データを出力する。
【0083】
ソース機器10の起動制御部144は、図8に示すように、UART受信部144aとSIRCS送信部144bに加えて、UART受信部144aが読み取った起動制御データを一時的に記憶するバッファ部144cを備える。
【0084】
また、UART受信部144aは、UARTデコーダ部144a−1とデータレジスタ144a−2とを備える。UARTデコーダ部144a−1は、O/E変換部143が出力した電気信号形式の起動制御信号からUART信号規格に基づいた起動制御データを読み出し、データレジスタ144a−2に出力する。また、UARTデコーダ部144a−1は、データレジスタ144a−2に一時的に記憶された起動制御データをバッファ部144cに入力させる入力要求命令を、バッファ部144cに出力する。データレジスタ144a−2は、UARTデコーダ部144a−1から出力された起動制御データを記憶するとともに、UARTデコーダ部144a−1からバッファ部144cへの入力要求命令に応じて、起動制御データをバッファ部144cへ出力する。
【0085】
また、SIRCS送信部144bは、SIRCSエンコーダ部144b−1とデータレジスタ144b−2とを備える。SIRCSエンコーダ部144b−1は、バッファ部144cに記憶された起動制御データをデータレジスタ144b−2へ出力する出力要求命令を、バッファ部144cに出力する。また、SIRCSエンコーダ部144b−1は、データレジスタ144b−2に記憶された起動制御データを受け取って、起動制御データに応じたSIRCS信号規格に基づいた起動制御信号を生成して、制御信号I/F部23を介して、ソース本体部11のSIRCSデコーダ部11aへ送信する。データレジスタ144b−2は、バッファ部144cが出力する起動制御データを記憶する。
【0086】
バッファ部144cは、UART受信部144aからの入力要求命令に応じて、起動制御データを記憶するとともに、SIRCS送信部144bからの出力要求命令に応じて起動制御データを出力する。
【0087】
このように、バッファ部144c、244cは、それぞれ起動制御部144、244の演算処理装置に組み込まれた起動制御プログラムに応じて、同様に起動制御データの入出力を行う。また、バッファ部144c、244cにおいて、起動制御データは、それぞれ起動制御部144、244を構成するマイクロコンピュータ内に設けられたメモリに記憶することによって実現されているので、バッファ部144c、244cの機能を実現するための専用のメモリを設ける必要がなく、経済性に優れている。
【0088】
次に、バッファ部144c、244cが行う起動制御データの入出力処理工程について、説明する。ここで、バッファ部144c、244cは、所定のデータレジスタ間において、同等の起動制御データの入出力処理を行う処理を行うため、以下では、モニタ機器20のバッファ部244cの処理について、図9、10を参照して詳細に説明する。
【0089】
まず、モニタ機器20側のバッファ部244c内部において実行される起動制御プログラムにおける起動制御データの入出力処理工程は、図9に示すように、1からM番目までのアドレスに応じたメモリ領域を有し、書き込みバッファ位置(WB)と、読み出しバッファ位置(RB)と、バッファリング数(NB)の3つのパラメータから構成される。
【0090】
ここで、Mとは1以上の整数であり、メモリ領域におけるデータ格納領域の最大値の番号を表している。
【0091】
書き込みバッファ位置(WB)は、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データを格納するメモリ領域の位置を示す。また、読み出しバッファ位置(RB)は、UART送信部244bのデータレジスタ244b−2へ読み出すメモリ領域の位置を示す。さらに、バッファリング数(NB)は、メモリ領域に格納されているデータ量を示す。バッファ部244cにおいて、初期設定状態では、図9(A)に示すように、書き込みバッファ位置(WB)と読み出しバッファ位置(RB)とが、メモリ領域の1番目のアドレスであり、バッファリング数(NB)が0に設定されている。また、バッファ部244cにおいて入出力処理が行われている時の、各パラメータの具体例は、図9(B)に示すように、書き込みバッファ位置(WB)がメモリ領域において8番目、また、読み出しバッファ位置(RB)が5番目にある。この場合において、メモリ領域に格納されたデータ数であるバッファリング数は、書き込みバッファ位置(WB)と読み出しバッファ位置(RB)との差である3となる。
【0092】
次に、バッファ部244cが実行する起動制御データの入出力処理工程について、図10を参照して詳細に説明する。
【0093】
まず、起動制御部244は、待機状態であって、制御信号I/F部23から送信される起動制御信号を単純なHigh/Low信号として認識して起動し、以下に示す入出力処理工程を、バッファ部244cに実行させるものとする。
【0094】
ステップS51において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、当該起動制御部244から電力が供給されて起動する。
【0095】
ステップS52において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、図9(a)に示したようにパラメータWB、RB、NBの初期設定を行う。すなわち、各パラメータは、それぞれWB=1、RB=1、NB=0に設定される。
【0096】
ステップS53において、バッファ部244cは、SIRCS受信部244aから起動制御信号の入力要求命令が入力されたか否かを判断する。バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令が入力されたと判断されると、ステップS54に進む。また、バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令が入力されなかったと判断されると、ステップS61に進む。
【0097】
ステップS54において、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)が、当該メモリ領域の最大値であるMより大きいか否かを判断する。バッファリング数(NB)がM以下であれば、バッファ部244cは、ステップS55に進み、バッファリング数(NB)がMより大きければ、ステップS56に進む。
【0098】
ステップS55において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、データレジスタ244a−2に格納された起動制御データを読み出し、当該起動制御データを書き込みバッファ位置に応じたメモリ領域に書き込むとともに、ステップS57に進む。
【0099】
ステップS56において、バッファ部244cは、バッファリング数がM個より大きく、新たに起動制御データをメモリ領域に書き込むことができないため、起動制御部244からの命令により、メモリ領域に書き込み不可である旨のオーバーフロー情報をSIRCS受信部244aに対して出力するとともに、ステップS60に進む。
【0100】
ステップS57において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、バッファリング数(NB)がMであるか否かを判断する。ここで、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)がMであると判断すると、ステップS58に進み、バッファリング数(NB)がMではないと判断すると、ステップS59に進む。また、ステップS54において、バッファリング数(NB)が、M以下であると判断されていることを考慮すると、処理工程がステップS59に進む場合は、バッファリング数(NB)がM未満であると判断された場合である。
【0101】
ステップS58において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、書き込みバッファ位置(WB)を0に設定するとともに、ステップS60へ進む。
【0102】
ステップS59において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、書き込みバッファ位置(WB)をインクリメントして、WB+1番目の位置に設定して、ステップS60へ進む。
【0103】
ステップS60において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、ステップS55において新たに起動制御データが書き込まれてメモリ領域に格納された起動制御データが1つ増加したことに応じて、バッファリング数(NB)をインクリメントして、NB+1番目の位置に設定して、ステップS53に戻る。
【0104】
ステップS61において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、UARTエンコーダ部244b−1から起動制御信号の出力要求命令が入力されたか否かを判断する。バッファ部244cは、UARTエンコーダ部244b−1からの出力要求命令が入力されると、本入出力処理工程をステップS62に進める。また、バッファ部244cは、UARTエンコーダ部244b−1からの出力要求命令が入力されないと、ステップS53に戻り、出力要求命令が入力されるまでステップS61を繰り返す。
【0105】
ステップS62において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、バッファリング数(NB)が1以上、つまりメモリ領域に起動制御データが格納されているか否かを判断する。ここで、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)が1以上の場合にステップS63に進み、バッファリング数(NB)が1未満つまり0の場合にステップS53に戻る。
【0106】
ステップS63において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)に格納されたメモリ領域の起動制御データを参照して、UART送信部244bのデータレジスタ244b−2に対して、当該起動制御データを出力する。
【0107】
ステップS64において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)がM番目であるか否かを判断する。バッファ部244cは、読み出しバッファ位置(RB)がM番目である場合にステップS65に進み、読み出しバッファ位置(RB)がM番目でない、つまり0〜M−1番目である場合にステップS66に進む。
【0108】
ステップS65において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)を0に初期化し、ステップS67に進む。
【0109】
ステップS66において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)をインクリメントしてRB+1番目に設定して、ステップS67に進む。
【0110】
ステップS67において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、ステップS63で起動制御データをUART送信部244bへ出力してメモリ領域内に格納された起動制御データが1つ減少したことに応じて、バッファリング数(NB)をデクリメントしてNB−1番目に設定する。また、本入出力処理工程は、ステップS53に戻る。
【0111】
以上のように、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、M個のメモリ格納領域と、当該メモリ格納領域の使用状況を参照する3つのパラメータWB、RB、NBを用いて、起動制御データの入出力処理を行う。なお、ソース機器10の起動制御部144が備えるバッファ部144cも、上述したバッファ部244cと同様に起動制御データの入出力処理を行う。
【0112】
次に、モニタ機器20の起動制御部244において、バッファ部244cの入出力処理工程を加えた、起動制御工程について説明する。
【0113】
まず、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号をSIRCS信号規格に基づいて起動制御データを読み取るSIRCS受信部244aの動作について図11を参照して詳細に説明する。
【0114】
ステップS101において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、起動制御部244から電力が供給されて、通常動作状態へ移行する。ここで、起動制御部244は、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号のHigh/Low変化を判断して待機状態から通常動作状態へ移行するとともに、SIRCS受信部244aを通常動作状態に移行させる。
【0115】
ステップS102において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244a−2のメモリ格納領域を初期化する。
【0116】
ステップS103において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCS信号規格の起動制御信号が送信されたか否かを判断する。ここで、SIRCS受信部244aは、SIRCS受信部244aにSIRCS信号規格の起動制御信号が送信されたと判断するとステップS104に進み、SIRCS信号規格の起動制御信号が送信されなかったと判断すると、ステップS103を繰り返し行う。
【0117】
ステップS104において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、送信されたSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御データを読み取る。具体的には、SIRCS受信部244aに設けられたSIRCSデコード部244a−1が、送信された起動制御信号を、SIRCS信号規格に基づいて起動制御データの読み取りを行う。
【0118】
ステップS105において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCSデコード部244a−1に対して、読み取った起動制御データをデータレジスタ244a−2へ送信させる。また、データレジスタ244a−2は、SIRCSデコーダ部244a−1から送信された起動制御データを、当該メモリ格納領域に記憶する。
【0119】
ステップS106において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCSデコード部244a−1に対して、起動制御データをバッファ部244cに入力させる入力要求命令をバッファ部244cへ出力させる。具体的に、入力要求命令は、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データをバッファ部244cに入力させる、SIRCSデコーダ部244a−1がバッファ部244cに対して出力する制御命令である。
【0120】
ステップS107において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従い、バッファ部244cに対して、ステップS106の入力要求命令に応じてデータレジスタ244a−2に記憶された起動制御データを当該バッファ部244cの格納メモリ領域に記憶させる。
【0121】
ステップS108において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244a−2に対して、当該データレジスタ244a−2のメモリ領域に格納された起動制御データがバッファ部244cへ全て読み取られたか否かを判断する。ここで、起動制御プログラムでは、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データが全てバッファ部244cへ読み出されると、ステップS102に戻る。また、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データが全てバッファ部244cへ読み出されていない場合には、ステップS108の処理が繰り返される。
【0122】
以上のようにして、SIRCS受信部244aは、SIRCS信号規格に基づいた起動制御データを読み取り、バッファ部244cに対して当該起動制御データを記憶させる。
【0123】
次にバッファ部244cに記憶された起動制御データに応じてUART信号規格の起動制御信号を送信するUART送信部244bについて、図12を参照して詳細に説明する。
【0124】
ステップS111において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、起動制御部244から電力が供給されて、通常動作状態へ移行する。ここで、起動制御部244には、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号のHigh/Low変化を判断して待機状態から通常動作状態へ移行するとともに、SIRCS受信部244aを通常動作状態に移行させる。
【0125】
ステップS112において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2のメモリ格納領域を初期化する。
【0126】
ステップS113において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、UARTエンコーダ部244b−1からバッファ部244cに対して要求する出力要求命令を、バッファ部244cへ送信させる。
【0127】
ステップS114において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対し出力要求命令に応じて、起動制御データをデータレジスタ244b−2へ送信させる。
【0128】
ステップS115において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対して、出力要求命令に応じてデータレジスタ244b−2へ起動制御データの送信が完了したか否かを判断させる。ここで、UART送信部244bは、出力要求命令に応じて起動制御データの送信が完了したと判断すると、ステップS116に進み、当該送信処理が完了していないと判断すると、ステップS115を繰り返し行う。
【0129】
ステップS116において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対する出力要求命令を停止する。つまり、バッファ部244cは、データレジスタ244b−2への起動制御データの送信を停止する。
【0130】
ステップS117において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に対して、当該レジスタのメモリ格納領域に記憶された起動制御情報をUARTエンコーダ部244b−1へ出力させる。
【0131】
ステップS118において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、データレジスタ244b−2から出力された起動制御データを、UART信号規格に基づいた起動制御信号に変換させる。
【0132】
ステップS119において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、UART信号規格に変換された起動制御信号をE/O変換部242へ送信させる。
【0133】
ステップS120において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1がUART信号規格に基づく起動制御信号の送信が完了したか否かを判断する。ここで、UART送信部244bは、UARTエンコーダ部244b−1による起動制御信号の送信が完了したと判断すると、ステップS112に戻り、当該送信処理が完了していないと判断すると、ステップS120の処理を繰り返す。
【0134】
次に、ソース機器10の起動制御部144における、バッファリング処理を加えた起動制御工程について参照して説明する。
【0135】
ソース機器10のUART受信部144aは、上述したモニタ機器20のSIRCS受信部244aと同様の処理工程を行う。具体的にSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御信号を読み取る図11のステップS101〜108に示した各処理工程が、図13のステップS201〜208に示す処理工程が対応し、UART受信部144aでは、UART信号規格の起動制御信号から起動制御信号を読み取る。
【0136】
ソース機器10のSIRCS送信部144bは、上述したモニタ機器20のUART送信部244bと同様の処理工程を行う。具体的にバッファ部244cに記憶された起動制御データをUART信号規格の起動制御信号に変換する図11のステップS111〜120に示した各処理工程に、図14のステップS211〜220に示す処理工程が対応し、SIRCS送信部144bでは、バッファ部144cに記憶された起動制御データをSIRCS信号規格の起動制御信号に変換する。
【0137】
このように、モニタ機器20における起動制御部244は、起動制御データをバッファ部244cに一時的に記憶することにより、UART信号規格の起動信号を送り出す時間を調節する。これにより、起動制御部244は、図15に示すように、SIRCS信号規格の起動制御信号に対して、信号の周波数成分を低いUART信号規格の起動制御信号に変換してE/O変換部242へ送信することができる。また、ソース機器10における起動制御部144は、起動制御データをバッファ部144cに一時的に記憶することにより、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して送信されたUART信号規格の起動制御信号をSIRCS信号規格に変換してソース本体部11へ送信することができる。
【0138】
なお、本実施の形態に示した起動制御工程は、起動制御信号をE/O変換部に出力して光信号ケーブル30を介して他方の機器へ送信する送信起動命令処理と、送信される起動制御信号に応じて起動を行う受信起動制御処理との2つの処理を行う起動制御プログラムが、それぞれの起動制御部144、244に組み込まれている。また、本実施形態では、モニタ機器20の起動制御部244が送信起動命令処理を行い、ソース機器10の起動制御部144が受信起動制御処理を行う起動処理工程を示した。しかし、このような起動処理工程に限らず、ソース機器10の起動制御部144が送信起動命令処理を行い、モニタ機器20の起動制御部244が受信起動制御処理を行うように、起動制御部の各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしてもよい。また、起動制御部144、244が、送信起動命令処理及び受信起動制御処理の両方を行うように、起動制御部における各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしても良い。
【0139】
<割り込み周期を補正する起動制御処理工程>
ところで、ソース機器10とモニタ機器20との間で、UART信号規格の起動制御信号を正確に伝送するには、それぞれの機器の起動制御部144、244の動作クロックの周波数と、絶対時間とが一致している必要がある。そのためには、それぞれの機器の起動制御部144、244は、同一周波数の動作クロックを比較的高精度に発振する水晶発振器等を用いればよい。
【0140】
しかし、本発明では、このような水晶発振器よりも動作クロックの生成精度が低いが、水晶発振器よりも安価なCR発振器を備える起動制御部144、244を用いている。
【0141】
以下に、本発明に係る光伝送システム1により、クロック周波数のずれを調整する処理と(実施例1乃至6)、絶対時間のずれを調整する処理(実施例7乃至11)とについて説明する。
【0142】
まず、クロック周波数のずれを調整する処理(実施例1乃至6)について説明する。
【0143】
<実施例1>
モニタ機器20の起動制御部244は、時間を計測するタイマをさらに備え、当該タイマに応じて生成される第1のタイマ補正信号を、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。ここで、第1のタイマ補正信号は、図16に示すように、予め設定された所定時間間隔であるベースタイム毎に生成される2つのパルス信号である。すなわち、ベースタイムは、第1のパルス信号の立ち上がり時から第2のパルス信号の立ち上がり時までの時間間隔である。なお、ベースタイムは、当該パルス信号の立ち下がり時の間隔としても良い。モニタ機器20の起動制御部244は、第1のパルス信号を生成するとともに、ベースタイムを当該タイマで計測し、ベースタイム経過後に第2のパルス信号を生成する割り込み処理を行い、第1のタイマ補正信号を生成する。
【0144】
一方、ソース機器10の起動制御部144も、時間を計測するタイマをさらに備え、入力信号レベルの変化を検出することで割り込み処理を行うように、タイマ補正信号の入力に待機する。起動制御部144は、第1のパルス信号の立ち上がりを検出して、タイマが時間の計測を開始する。続いて、起動制御部144は、第2のパルス信号の立ち上がりを検出して、タイマが行っている時間計測を終了する。ここで、起動制御部144は、計測カウント数をソース機器20のベースタイムであるソースベースタイムとして記憶する。
【0145】
続いて、ソース機器10の起動制御部144は、予め記憶されているモニタ機器20のモニタベースタイムと、ソースベースタイムとの比較を行う。ここで、ソースベースタイムとモニタベースタイムとが一致していれば、ソース機器10の起動制御部144及びモニタ機器20の起動制御部244において、両方の動作クロックの周波数は一致する。一方、ソースベースタイムとモニタベースタイムとが一致していない場合には、起動制御部144及び起動制御部244の動作クロック周波数が一致しない。そこで、ソース機器10の起動制御部144は、ソースベースタイムを分子とし、モニタベースタイムを分母とした分数を算出し、当該分数値を割り込み周期補正値として設定する。
【0146】
続いて、ソース機器10の起動制御部144は、タイマ補正値に応じて割り込み周期を補正してモニタ機器20の起動制御部244と同期をとる。したがって、起動制御部144は、所定の割り込み周期に応じて起動制御信号から起動制御データを正確に読み取ることができる。
【0147】
<実施例2>
次に、UART信号規格の起動制御信号を用いて、起動制御部144、244とが互いに同期する処理工程に関して説明する。
【0148】
まず、モニタ機器20の起動制御部244は、図17(A)に示すUART信号規格の伝送信号に基づいて、図17(B)に示す第2のタイマ補正信号を生成し、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。図17(A)に示す信号は、起動制御信号の伝送開始及び終了を示すそれぞれ1ビットのスタートビット及びストップビットと、当該スタートビット及びストップビットの間で伝送される12ビットの起動制御データとの合計14ビットのUART信号規格に応じた起動制御信号である。また、図17(B)に示す第2のタイマ補正信号は、図17(A)に示す信号において12ビット分の起動制御データの値を全て「0」にした信号である。ここで、起動制御信号における1ビット分のデータに応じたパルス時間幅をビットパルスTにする。よって、タイマ補正を行うためのベースタイムは、スタートビットパルスの立ち上がりからストップビットパルスの立ち上がりまでの、13×Tとなる。一方、ソース機器10の起動制御部144は、第2のタイマ補正信号が入力されると、第2のタイマ補正信号に応じて割り込み周期の補正を行う。
【0149】
次に、第2のタイマ補正信号を用いた割り込み周期の補正処理に関して詳細に説明する。
【0150】
モニタ機器20の起動制御部244は、図18に示すように、上述した起動制御部244と同様の構成に加えて、CRクロック発振部244dと、クロック分周部244fと、タイマ部244e−Aと、タイマ部244e−Bとを備える。
【0151】
CRクロック発振部244dは、当該起動制御部を構成する演算処理装置に備えられたCR発振回路から構成される発振器であり、所定時間間隔のクロック信号を生成する。
【0152】
クロック分周部244fは、CRクロック発振部244dが発振したクロック信号に応じて分周クロックを生成する。タイマ部244e−A及びタイマ部244e−Bは、クロック分周部244fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令を、それぞれSIRCS受信部244a及びUART送信部244bへ出力する。具体的にタイマ部244e−A、244e−Bは、それぞれクロックカウンタを備え、当該クロックカウンタに割り込み周期に応じたクロック数を設定する。その後、当該クロックカウンタは、1クロックずつクロックカウンタ数を減少させて、その値が「0」になると割り込み命令を出力する。
【0153】
次に、起動制御部244のUART送信部244bが行う起動制御プログラムに応じた、起動制御信号の信号規格変換処理に関して図19を参照して詳細に説明する。なお、SIRCS受信部244aは、図12に示した処理を行い、バッファ部244cに起動制御データが格納されているものとする。
【0154】
ステップS301において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0155】
ステップS302において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に記憶されているデータを消去する。
【0156】
ステップS303において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに出力要求命令を送信する。
【0157】
ステップS304において、バッファ部244cは、起動制御プログラムに従って、出力要求命令に応じて、データレジスタ244b−2へ起動制御データの読み込みを開始する。
【0158】
ステップS305において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cからデータレジスタ244b−2への起動制御データの読み込みが完了したか否かを判断する。UART送信部244bは、当該起動制御データの読み込みが完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS306へ進む。
【0159】
ステップS306において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cへの出力要求命令の送信を停止する。
【0160】
ステップS307において、データレジスタ244b−2は、起動制御プログラムに従って、当該レジスタに記憶された起動制御データを、UARTエンコーダ部244a−1へ出力する。
【0161】
ステップS308において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部に設けられたワーキングレジスタに12ビットの起動制御データ(D1〜D12)を書き込む。ここで、当該ワーキングレジスタは、起動制御データを記憶させる15ビットの記憶領域を有し、起動制御データのD1を当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)として、12ビット分の起動制御データを書き込む。
【0162】
ステップS309において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに書き込まれた12ビットの起動制御データを最上位ビット(15ビット目)方向へ1ビット分ずつ移動させる。
【0163】
ステップS310において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタのデータ記憶領域の最上位ビット(15ビット目)の値を0に設定する。
【0164】
ステップS311において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)と14ビット目の値を1に設定する。ここで、当該ワーキングレジスタにおいて、値が1に設定された最下位ビット(1ビット目)及び14ビット目は、それぞれ起動制御信号の送信開始を示すスタートビット及び送信終了を示すストップビットとなる。
【0165】
ステップS312において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1のワーキングレジスタの各記憶領域を参照する変数CNの値を、当該ワーキングレジスタに記憶されたデータ数である15に設定する。
【0166】
ステップS313において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1に、当該ワーキングレジスタの最下位ビット(1ビット目)に格納されたデータの値が1であるか否かを判断させる。UART送信部244bは、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が1であると判断されるとステップS314へ進み、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が0であると判断されるとステップS315へ進む。
【0167】
ステップS314において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをHighに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS316へ進む。
【0168】
ステップS315において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをLowに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS316へ進む。
【0169】
ステップS316において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最小位ビット方向へ1ビット分移動させる。
【0170】
ステップS317において、タイマ部244e−Aは、起動制御プログラムに従って、ビットパルスTを割り込み周期として設定する。具体例として、本実施の形態において用いるビットパルスTは、CRクロック発振部244dが発振する1000クロックをクロックカウント数に設定する。
【0171】
ステップS318において、タイマ部244e−Aは、起動制御プログラムに従って、割り込み周期として設定された1000クロックのビットパルスTを1クロックずつ減少させて、クロックカウント数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部244e−Aは、この処理を繰り返し行い、その後クロックカウント数が0になるとステップS319へ進む。
【0172】
ステップS319において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNをデクリメントする。
【0173】
ステップS320において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNの値が0であるか否かを判断する。UART送信部244bは、変数CNの値が0であると判断するとステップS302へ戻り、変数CNの値が0でないと判断するとステップS313へ戻る。
【0174】
このようにして、UART送信部244bは、まず、ステップS308において12ビットの起動制御データの値を全て0に設定した第2のタイマ補正信号をE/O変換部242へ送信する。続いて、UART送信部244bは、SIRCS受信部244aによって読み出されてバッファ部244cに格納された起動制御データに応じたUART信号規格の起動制御信号を生成し、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。
【0175】
次に、ソース機器10の起動制御部144の処理工程について詳細に説明する。まず、起動制御部144は、図20に示すように、上述した起動制御部144と同様の構成に加えて、CRクロック発振部144dと、クロック分周部144fと、タイマ部144e−Aと、タイマ部144e−Bとをさらに備える。
【0176】
CRクロック発振部144dは、当該起動制御部を構成する演算処理装置に備えられたCR発振回路から構成される発振器により、所定時間間隔のクロック信号を生成する。
【0177】
タイマ部144e−A及びタイマ部144e−Bは、クロック分周部144fにより生成された分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期に応じた割り込み命令をそれぞれUART受信部144a及びSIRCS送信部144bへ出力する。
【0178】
次に、起動制御部144のUART受信部144aの起動制御プログラムに応じた起動制御信号の信号規格変換処理工程に関して、図21を参照して説明する。
【0179】
ステップS401において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0180】
ステップS402において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のモニタベースタイムに応じてタイマ補正値を算出する。なお、当該処理工程に関しては、図22を参照して後述する。
【0181】
ステップS403において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2に記憶されているデータを消去する。
【0182】
ステップS404において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0183】
ステップS405において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該判断処理工程を行い、その後ステップS406へ進む。
【0184】
ステップS406において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部に設けられたワーキングレジスタに記憶されているデータを消去する。
【0185】
ステップS407において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの記憶領域を参照する変数DNの値を12に設定する。
【0186】
ステップS408において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ワーキングレジスタからタイマ補正値を参照する。
【0187】
ステップS409において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、1.5×T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定させる。続いて、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0188】
ステップS410において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムに従って、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、その後ステップS411へ進む。
【0189】
ステップS411において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から入力される起動制御信号の信号レベルがHighであるか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルがHighであると判断するとステップS412へ進み、当該信号レベルがHighでないと判断するとステップS413へ進む。
【0190】
ステップS412において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を1に設定し、ステップS414へ進む。
【0191】
ステップS413において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を0に設定し、その後ステップS414へ進む。
【0192】
ステップS414において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最上位ビット方向へ1ビット分移動させる。
【0193】
ステップS415において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定させる。続いて、タイマ部144e−Aは、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0194】
ステップS416において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNをデクリメントする。
【0195】
ステップS417において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNの値が0であるか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、変数DNの値が0であると判断するとステップS418へ進み、変数DNの値が0でないと判断するとステップS410へ戻る。
【0196】
ステップS418において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに格納された起動制御データをデータレジスタ144a−2へ供給する。
【0197】
ステップS419において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、バッファ部144cへ入力要求命令を送信する。
【0198】
ステップS420において、バッファ部144cは、起動制御プログラムに従って、入力要求命令に応じて、データレジスタ144a−2に記憶されている起動制御データの読み込みを開始する。
【0199】
ステップS421において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2からバッファ部144cへの起動制御データの出力が完了したか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、起動制御データの出力が完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS403へ戻る。
【0200】
次に、ステップS402における割り込み周期の補正値を算出する処理工程を、図22を参照して詳細に説明する。
【0201】
ステップS431において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0202】
ステップS432において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該処理工程を繰り返し、その後ステップS433へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のスタートビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する。
【0203】
ステップS433において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、当該タイマ部のクロックカウンタ数の最大値を設定し、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。ここで、当該クロックカウンタ数の最大値は、一回に伝送される起動制御信号の信号幅に対して十分に大きいければよく、具体例として64000クロックに設定されるものとする。
【0204】
ステップS434において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該処理工程を繰り返し、その後ステップS435へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のストップビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する。
【0205】
ステップS435において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値よりも大きいか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値より大きいと判断するとステップS436へ進み、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値より大きくないと判断するとステップS434へ戻る。
【0206】
ステップS436において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aのクロックカウント数から、UART信号規格のソースベースカウントを算出する。具体的に、ソースベースタイムは、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))とする。よって、起動制御部144におけるビットパルスは、ソースベースタイムを12分割したソースベースカウントとなり、ここで具体例として1100クロックに設定されたとして扱う。
【0207】
ステップS437において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ソースベースカウントを分子に、モニタベースタイムを12分割したモニタベースカウントを分母とした分数値をタイマ補正値として算出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該ワーキングレジスタにおいて予めモニタベースカウントが記憶されているものとする。
【0208】
ステップS438において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ補正値を当該ワーキングレジスタに記憶させる。
【0209】
このようにして、UART受信部144aは、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号からタイマ補正値を算出し、当該タイマ補正値に応じて割り込み周期を補正する。このことにより、UART受信部144aは、モニタ機器20から起動制御データの読み取り処理を正確に行うことができる。
【0210】
<第3の実施例>
次に、起動制御データの読み取りを行いながら、タイマ部の割り込み周期を補正する処理工程に関して説明する。ここで、起動制御部144、244は、それぞれ図20及び図18に示す構成を有している。
【0211】
モニタ機器20の起動制御部244は、図23に示すように、12ビットの起動制御データとストップビットとの間に、値が0であって1ビットのデータを追加したUART信号規格のタイマ補正起動制御信号を生成して、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。そして、ソース機器10は、モニタ機器20から光伝送ケーブルを介して伝送されてくるタイマ補正起動制御信号に応じて、割り込み周期の補正を行う。
【0212】
まず、モニタ機器20の起動制御部244におけるUART送信部244bの処理工程について図24及び図25を参照して詳細に説明する。なお、SIRCS受信部244aは、上述した図11に示した処理を行い、バッファ部244cに起動制御データが格納されているものとする。
【0213】
ステップS501において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0214】
ステップS502において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に記憶されているデータを消去する。
【0215】
ステップS503において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに出力要求命令を送信する。
【0216】
ステップS504において、バッファ部244cは、起動制御プログラムに従って、出力要求命令に応じて、データレジスタ244b−2へ起動制御データの読み込みを開始する。
【0217】
ステップS505において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cからデータレジスタ244b−2への起動制御データの読み込みが完了したか否かを判断する。UART送信部244bは、当該起動制御データの読み込みが完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後、ステップS506へ進む。
【0218】
ステップS506において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cへの出力要求命令の送信を停止する。
【0219】
ステップS507において、データレジスタ244b−2は、起動制御プログラムに従って、当該レジスタに記憶された起動制御データを、UARTエンコーダ部244a−1へ出力する。
【0220】
ステップS508において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部に設けられたワーキングレジスタに12ビットの起動制御データ(D1〜D12)を書き込む。ここで、ワーキングレジスタには、少なくとも16ビットのデータ記憶領域を有し、起動制御データのD1を当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)として、12ビット分の起動制御データが書き込まれる。
【0221】
ステップS509において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに書き込まれた12ビットの起動制御データを最上位ビット(16ビット目)方向へ1ビット分ずつ移動する。
【0222】
ステップS510において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタのデータ記憶領域の最上位ビット(16ビット目)の値を0に設定する。
【0223】
ステップS511において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの14ビット目の値を0に設定する。
【0224】
ステップS512において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)及び15ビット目の値をそれぞれ1に設定する。ここで、当該ワーキングレジスタにおいて、値が1に設定された最下位ビット(1ビット目)及び15ビット目は、それぞれ起動制御信号の送信開始を示すスタートビット及び送信終了を示すストップビットに該当する。
【0225】
ステップS513において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1のワーキングレジスタの各記憶領域を参照する変数CNの値を、当該ワーキングレジスタに記憶されたデータの総ビット数である16に設定する。
【0226】
ステップS514において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1に、当該ワーキングレジスタの最下位ビット(1ビット目)に格納されたデータの値が1であるか否かを判断させる。UART送信部244bは、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が1であると判断されるとステップS515へ進み、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が0であると判断されるとステップS516へ進む。
【0227】
ステップS515において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをHighに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS517へ進む。
【0228】
ステップS516において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをLowに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS517へ進む。
【0229】
ステップS517において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部のワーキングレジスタに格納されたデータを最小位ビット方向へ1ビット分移動させる。また、最下位ビットに格納されていたデータは消去される。
【0230】
ステップS518において、タイマ部244e−Bは、起動制御プログラムに従って、ビットパルスTを割り込み周期として設定する。具体例として、本実施の形態において用いるビットパルスTは、CRクロック発振部244dが発振するクロックの1000回分として扱う。
【0231】
ステップS519において、タイマ部244e−Bは、起動制御プログラムに従って、割り込み周期として設定された1000クロックを1クロックずつ減少させ、クロック数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部244e−Bは、この処理を繰り返し行い、その後ステップS520へ進む。
【0232】
ステップS520において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNをデクリメントする。
【0233】
ステップS521において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNの値が0であるか否かを判断する。UART送信部244bは、変数CNの値が0であると判断するとステップS502へ戻り、変数CNの値が0でないと判断するとステップS514へ戻る。このようにして、UART送信部244bは、タイマ補正起動制御信号を生成する。
【0234】
次に、起動制御部144のUART受信部144aにおける起動制御プログラムに応じた起動制御信号の信号規格変換処理工程に関して、図26及び図27を参照して説明する。
【0235】
ステップS601において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0236】
ステップS602において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるタイムベース信号に応じてタイマ補正値を算出する。ここで、タイマ補正値の算出処理工程は、上述した図22に示す処理工程によって行われるものとする。なお、タイマ補正値は、初期段階において図22に示す算出工程を行わずに、当該初期値が予め1に設定されているものとして扱っても良い。
【0237】
ステップS603において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2に格納されているデータを消去する。
【0238】
ステップS604において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0239】
ステップS605において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該検出処理工程を行い、その後ステップS606へ進む。
【0240】
ステップS606において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部に設けられたワーキングレジスタに記憶されているデータを消去する。
【0241】
ステップS607において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの記憶領域を参照する変数DNの値を12に設定する。
【0242】
ステップS608において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタからタイマ補正値を参照する。
【0243】
ステップS609において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、1.5×T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウント数を1クロックずつ減少させる。
【0244】
ステップS610において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムに従って、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、その後ステップS611へ進む。
【0245】
ステップS611において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルがHighであるか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルがHighであると判断するとステップS612へ進み、当該信号レベルがHighでないと判断するとステップS613へ進む。
【0246】
ステップS612において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を1に設定し、ステップS614へ進む。
【0247】
ステップS613において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を0に設定し、ステップS614へ進む。
【0248】
ステップS614において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最上位ビット方向へ1ビット分移動する。
【0249】
ステップS615において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定する。続いて、タイマ部144e−Aは、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0250】
ステップS616において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNをデクリメントする。
【0251】
ステップS617において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNの値が0であるか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、変数DNの値が0であると判断するとステップS618へ進み、変数DNの値が0でないと判断するとステップS610に戻る。
【0252】
ステップS618において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムにしたがって、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、0になった際にステップS619に進む。
【0253】
ステップS619において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、当該タイマ部のクロックカウンタ数の最大値を設定し、当該クロックカウント数を1クロックずつ減少させる。ここで、当該クロックカウント数の最大値は、一回に伝送されるタイマ補正起動制御信号の信号幅に対して十分に大きければよく、具体例として64000クロックに設定されるものとする。
【0254】
ステップS620において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給されるタイマ補正起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該検出処理を繰り返し、その後ステップS621へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブルを介して伝送されてくるタイムベース信号のストップビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する割り込み処理を行う。
【0255】
ステップS621において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aのクロックカウンタ数から、UART信号規格の1ビット分のモニタベースカウントを算出する。ここで、モニタベースカウントは、((クロックカウント数の最大値)−(現在におけるタイマ部144e−Aのクロックカウント数)+(T/2+T×((起動制御データ数)+1)/補正値))から算出される。具体的な数値を代入した場合には、64000−(タイマ部144e−Aのクロックカウント数)+(1000/2+1000×(12+2)×1.1)より求められる。
【0256】
ステップS622において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ソースベースカウント数を分子に、モニタベースカウントを分母とした分数値を算出して、タイマ補正値として更新する。
【0257】
ステップS623において、UARTデコーダ部144a−1は、当該ワーキングレジスタに格納された起動制御データをデータレジスタ144a−2へ供給する。
【0258】
ステップS624において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、バッファ部144cへ入力要求命令を送信する。
【0259】
ステップS625において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、入力要求命令に応じて、データレジスタ144a−2に記憶されている起動制御データの読み込みを開始する。
【0260】
ステップS626において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2からバッファ部144cへの起動制御データの出力が完了したか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、起動制御データの出力が完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS603に戻る。
【0261】
このようにして、UART受信部144aは、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるUART信号規格のタイマ補正起動制御信号から起動制御データの読み出しを行うとともに、タイマ補正値を算出し、当該タイマ補正値を用いて継続して割り込み周期を補正することができる。
【0262】
<実施例4>
UART信号規格の起動制御信号の読み取りを行う際に用いる割り込み周期を補正する方法は、上述した実施例1〜3の方法を組み合わせて行うことができる。具体的には、起動制御部144、244は、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を用いて、初期段階において割り込み周期を一致させ、その後タイマ補正起動制御信号の伝送毎に、継続的にタイマ補正値を補正して割り込み周期を一致させる。
【0263】
<実施例5>
モニタ機器20の起動制御部244は、図28に示すように、図18の起動制御部244と同様の構成に加えて、タイマ部244e−Cをさらに備える。
【0264】
タイマ部244e−Cは、クロック分周部244fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令をUART送信部244bへ出力する。ここで、タイマ部244e−Cは、タイマ部244e−Aと異なる割り込み周期をUART送信部244aへ出力する。そして、UART送信部244aは、タイマ部244e−Cからの割り込み命令に応じて、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を生成し、光伝送−ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。
【0265】
ソース機器10の起動制御部144は、図29に示すように、図20の起動制御部144と同様の構成に加えて、タイマ部144e−Cをさらに備える。
【0266】
タイマ部144e−Cは、クロック分周部144fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令をUART受信部144aへ出力する。ここで、タイマ部144e−Cは、タイマ部144e−Aと異なる周期の割り込み周期をUART受信部144aへ出力する。そして、UART受信部144aは、タイマ部144e−Cからの割り込み命令に応じて、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を検出して、タイマ補正値を補正する。このようにして、起動制御部144、244は、一定時間間隔毎に継続してタイマ補正値を更新して、正確に起動制御信号を送信することができる。
【0267】
<実施例6>
モニタ機器20の起動制御部244は、図30に示すように、図18に示した起動制御部244のクロック分周部244fの代わりにクロック可変分周部244f1を備える。
【0268】
クロック可変分周部244f1は、周波数が変えられるデジタルコントロールオシレータであって、CRクロック発振部244dにより発振されたクロック信号に応じて、分周クロックを生成する。また、クロック可変分周部244f1は、パラメータM、Nに応じて、分周クロックの周期を変更する。ここで、クロック可変分周部244f1のパラメータM、Nは、タイマ部244e−Bが正確に動作するための適切な値を設定する。そして、起動制御部244は、クロック補正信号、又は、タイムベース信号を、光伝送ケーブル30を介してモニタ機器20へ伝送する。
【0269】
また、ソース機器10の起動制御部144は、図31に示すように、図20に示した起動制御部144のクロック分周部144fの代わりに、クロック可変分周部144f1を備える。
【0270】
クロック可変分周部144f1は、周波数が変えられるデジタルコントロールオシレータであって、CRクロック発振部144dにより発振されたクロック信号に応じて、分周クロックを生成する。また、クロック可変分周部144f1は、パラメータM、Nに応じて、分周クロックの周期を変更する。
【0271】
起動制御部144は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるタイマ補正信号又はタイマ補正起動制御信号からタイマ補正値を算出する。続いて、起動制御部144は、クロック可変分周部144f1に、タイマ補正値に応じて、クロック可変分周部144f1のパラメータM、Nの値を更新させる。なお、クロック可変分周部144f1は、パラメータM、Nの両方の値を変更する場合に限らず、当該パラメータの一方をタイマ補正値に応じて更新するようにしても良い。
【0272】
このようにして、起動制御部144、244は、分周クロックをデジタルコントロールオシレータを用いてハードウェア的に変更して、正確に両者の間で起動制御信号を伝送することができる。
【0273】
以上のように、起動制御部144、244は、CRクロック発振回路によって生成される動作クロックを用いても、正確に起動制御信号の伝送処理を行うことができるので、CR発振器に比べて高精度にクロックを生成する水晶発振器等を用いる必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0274】
また、起動制御部144、244は、CR発振回路とデジタルコントロールオシレータを内蔵し低消費電力性能を有するマイクロコンピュータを用いることができるので、1つのマイクロコンピュータで当該制御部が構成され、低コスト及び省電力となる。
【0275】
また、起動制御部144、244は、両者のCRクロック発振部のクロック周波数が異なっていても、正確に起動制御信号の伝送が行えるため、クロック周波数のずれの許容範囲が増加するため、ハードウェア的な制約がより緩和される。
【0276】
また、起動制御部144、244は、継続してタイマ補正値を補正するので、環境温度変化に応じたクロック周波数のずれの影響を低減することができる。
【0277】
つぎに、絶対時間のずれを調整する処理(実施例7乃至11)について説明する。起動制御部144と起動制御部244において、絶対時間にずれが生じている場合、システムクロックが一致していても、SIRCSエンコーダ部144b−1により得られるSIRCS信号のパルス幅に数%〜数十%程度のずれが発生してしまい、SIRCS規格に準拠しない信号になってしまう。そこで、本発明では、以下に示す方法によって、絶対時間のずれを調整する。
【0278】
なお、以下の実施例では、起動制御部244の構成(図18)を簡略化した構成を図32に示し、起動制御部144の構成(図20)を簡略化した構成を図33に示す。また、以下の実施例7乃至11においては、上述した実施例1乃至6の何れか一の調整作業により、ソース伝送処理部14に備えられている起動制御部144のクロック分周部144fのシステムクロックと、モニタ伝送処理部24に備えられている起動制御部244のクロック分周部244fのシステムクロックとは、ともに一致しているものとする。
【0279】
<実施例7>
赤外線リモートコントローラ40によりモニタ機器20にSIRCS信号が入力された場合、起動制御部244のSIRCSデコーダ244a−1は、図34に示すように、タイマ部244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間(T0,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9・・・Tn・・・)を計測する。なお、タイマ部244e−Aは、いわゆるアップカウンタとして動作する。
【0280】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、計測した値をバイナリデータ値に変換し、変換後の信号をUARTエンコーダ244b−1に転送する。
【0281】
ここで、SIRCSデコーダ244a−1の動作について、図35に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0282】
SIRCSデコーダ244a−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS700)、SIRCS信号の入力(割り込み)の有無を判断する(ステップS701)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、計測時間(Tn)と、一つ前に計測した時間(Told)とがある。ステップS700の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0283】
SIRCSデコーダ244a−1は、SIRCS信号の入力を確認した場合、カウンタ(CN)を一つインクリメントし(ステップS702)、CNが「1」かどうかを判断する(ステップS703)。なお、ステップS702の工程に示すCNoldは、1つ前のCNを示している。
【0284】
SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」である場合には、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS704)、ステップS701の工程に戻る。
【0285】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」ではない場合には、タイマ244e−Aの値から、Toldに設定されている値を減算し、Tnを算出する(ステップS705)。
【0286】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS706)、ステップS705の工程で算出されたTnをUARTエンコーダ244b−1に転送する(ステップS707)。
【0287】
つぎに、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが規定値(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS708)、規定値に達している場合には、ステップS700の工程に戻り、規定値に達していない場合には、ステップS701の工程に戻る。
【0288】
UARTエンコーダ244e−Bは、図36に示すように、タイマ244b−1を用いて、SIRCSデコーダ244e−Aから転送されたバイナリデータ値に基づいてUART信号を生成し、生成したUART信号をE/O変換部242に供給する。なお、図36に示す例では、バイナリデータ値を10ビットで示してあるが、これに限られない。また、タイマ244b−1は、いわゆるダウンカウンタとして動作する。
【0289】
E/O変換部242は、供給されたUART信号を光信号に変換し、光信号ケーブル30を介してソース伝送処理部14に供給する。
【0290】
ソース伝送処理部14のO/E変換部143は、供給された光信号を電気信号(UART信号)に変換し、起動制御部244のUARTデコーダ144a−1に供給する。
【0291】
UARTデコーダ144a−1は、供給されたUART信号をデコード処理し、バイナリデータ値の時間間隔データを取得し、取得した時間間隔データをSIRCSエンコーダ144b−1に送る。
【0292】
SIRCSエンコーダ144b−1は、バイナリデータ値T0,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9・・・を順にタイマ144e−Bにセットし、I/OアウトプットラインのLow/Highを動作させ、SIRCS信号を生成する(図37)。なお、SIRCSエンコーダ144b−1は、クロック分周部144fによる分周比を調整することにより、バイナリデータ値を順にタイマ144e−Bにセットする。
【0293】
ここで、SIRCSエンコーダ144b−1の動作について、図38に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0294】
SIRCSエンコーダ144b−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS710)、UARTエンコーダ144a−1から時間間隔データの入力の有無を判断する(ステップS711)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、時間間隔(Tn)とがある。ステップS710の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0295】
SIRCSエンコーダ144b−1は、時間間隔データの入力を確認した場合、タイマ144e−Bを用いて時間間隔(Tn)を計測する(ステップS712)。
【0296】
SIRCSエンコーダ144b−1は、CNを「1」カウントアップし(ステップS713)、ステップS712の工程により計測したTnをタイマ144e−Bに設定する(ステップS714)。
【0297】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みの有無を判断する(ステップS715)。
【0298】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みがあった場合には、ステップS713の工程によりカウントアップされているCNが奇数であるか、偶数であるのかを判断し(ステップS716)、CNが奇数に設定されている場合には、出力信号を「High」に設定し(ステップS717)、CNが偶数に設定されている場合には、出力信号を「Low」に設定する(ステップS718)。
【0299】
また、SIRCSエンコーダ144b−1は、CNが規定数(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS719)、規定数に達している場合には、ステップS710の工程に戻り、規定数に達していない場合には、ステップS711の工程に戻る。
【0300】
SIRCSエンコーダ144b−1は、ステップS717及びステップS718の工程によって、図37に示すSIRCSに準拠したパルス信号を生成する。
【0301】
このようにして、起動制御部244は、モニタ機器20から供給されたSIRCS信号をデコード(解読)して起動制御部144に伝送するのではなく、当該SIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データを起動制御部144に伝送するので、CRクロック発振部244dとCRクロック発振部144dの絶対時間にずれが生じていても、SIRCS信号を確実に伝送することができる。
【0302】
<実施例8>
つぎに、上述した実施例7によるUARTエンコーダ244b−1により生成されるUART信号(図36)に、「Sign」ビットを追加する実施例について説明する。
【0303】
SIRCSデコーダ244e−Aは、タイマ244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間を計測し、SIRCS信号のLowからHighへの変換のときには「Sign」ビットを「0」に設定し、SIRCS信号のHighからLowへの変換のときには「Sign」ビットを「1」に設定する。
【0304】
UARTエンコーダ244e−Bは、図39に示すように、タイマ244b−1を用いて、SIRCSデコーダ244e−Aから転送されたバイナリデータ値に基づいてUART信号を生成し、生成したUART信号をE/O変換部242に供給する。
【0305】
なお、図39では、「Sign」ビットがUART信号の先頭に挿入される例を示したが、「Sign」ビットの挿入位置は、UART信号の途中であっても、末尾であっても良い。
【0306】
ここで、SIRCSデコーダ244a−1の動作について、図40に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0307】
SIRCSデコーダ244a−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS800)、SIRCS信号の入力(割り込み)の有無を判断する(ステップS801)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、計測時間(Tn)と、一つ前に計測した時間(Told)と、Signビット(Sign)とがある。ステップS700の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0308】
SIRCSデコーダ244a−1は、SIRCS信号の入力を確認した場合、カウンタ(CN)を一つインクリメントし(ステップS802)、CNが「1」かどうかを判断する(ステップS803)。なお、ステップS802の工程に示すCNoldは、1つ前のCNを示している。
【0309】
SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」である場合には、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS804)、ステップS801の工程に戻る。
【0310】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、入力されたSIRCS信号がHighかどうかを判断し(ステップS805)、Highの場合にはSignを「1」に設定し(ステップS806)、Highではない場合(Lowの場合)にはSignを「0」に設定する(ステップS807)。
【0311】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値から、Toldに設定されている値を減算し、Tnを算出する(ステップS808)。
【0312】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS809)、ステップS806又はステップS807の工程で設定されたSignと、ステップS808の工程で算出されたTnをUARTエンコーダ244b−1に転送する(ステップS810)。
【0313】
つぎに、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが規定値(例えば「25」)に達しているかどうか判断し(ステップS811)、CNが規定値に達している場合には、ステップS800の工程に戻り、規定値に達していない場合には、ステップS801の工程に戻る。
【0314】
つぎに、SIRCSエンコーダ144b−1の動作について、図41に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0315】
SIRCSエンコーダ144b−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS820)、UARTエンコーダ144a−1から時間間隔データの入力の有無を判断する(ステップS821)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、時間間隔(Tn)と、Signビット(Sign)とがある。ステップS820の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0316】
SIRCSエンコーダ144b−1は、時間間隔データの入力を確認した場合、タイマ144e−Bを用いて時間間隔(Tn)を計測し、時間間隔データに含まれているSignを抽出する(ステップS822)。
【0317】
SIRCSエンコーダ144b−1は、CNを「1」カウントアップし(ステップS823)、ステップS822の工程により計測したTnをタイマ144e−Bに設定する(ステップS824)。
【0318】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みの有無を判断する(ステップS825)。
【0319】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みがあった場合には、ステップS823の工程によりカウントアップされているCNが「1」であるか、若しくはステップS822の工程により抽出されたSignが「0」であるかを判断し(ステップS826)、CNが「1」若しくはSignが「0」の場合には、出力信号を「High」に設定し(ステップS827)、CNが「1」若しくはSignが「0」ではない場合には、出力信号を「Low」に設定する(ステップS828)。
【0320】
また、SIRCSエンコーダ144b−1は、CNが規定数(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS829)、規定数に達している場合には、ステップS820の工程に戻り、規定数に達していない場合には、ステップS78211の工程に戻る。
【0321】
このようにして、起動制御部244は、モニタ機器20から供給されたSIRCS信号をデコード(解読)して起動制御部144に伝送するのではなく、当該SIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データを起動制御部144に伝送するので、CRクロック発振部244dとCRクロック発振部144dの絶対時間にずれが生じていても、SIRCS信号を確実に伝送することができる。
【0322】
<実施例9>
ところで、SIRCSの規格では、ガイドパルス時間T0、データビットオフパルス時間T1、第1のデータビットオンパルス時間T2及び第2のデータビットオンパルス時間T3の4つの時間間隔により基本信号が規定されている。また、ガイドパルス時間T0により規定される信号は、ひとつのSIRCS制御コードに1回のみ表れ、データビットオフパルス時間T1、第1のデータビットオンパルス時間T2及び第2のデータビットオンパルス時間T3により規定される信号は、ひとつのSIRCS制御コードに複数回表れる。本実施例では、このようなSIRCS規格の性質を利用する。
【0323】
SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ部244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間(T0,T1,T2,T3)を計測する(図42)。
【0324】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、T1、T2及びT3に関しては、複数回測定した結果を平均したものとする。
【0325】
SIRCSデコーダ244a−1は、計測したT0,T1,T2及びT3をバイナリデータ値に変換し、変換後の信号をUARTエンコーダ244b−1に転送する。
【0326】
UARTエンコーダ244b−1は、転送されたバイナリデータ値から上述した実施例7又は実施例8に示した手法によりUART信号を生成し、生成したUART信号をソース機器10側に供給する。
【0327】
SIRCSエンコーダ144b−1は、クロック分周部144fを調整し、バイナリデータ値T0,T1,T2及びT3をタイマ144e−Bにセットする。
【0328】
このようにして、本実施例では、最初のSIRCS信号からT0,T1,T2及びT3の計測信号(時間間隔信号)を生成し、当該T0,T1,T2及びT3を起動制御部144のタイマ144e−Bにセットしておくことにより、実施例7及び実施例8のように毎回、SIRCS信号の時間間隔信号を起動制御部144に供給しなくても良い構成となる。つまり、本実施例によれば、起動制御部244によりSIRCS信号を通常通りデコード処理し、その結果を起動制御部144に転送することにより、起動制御部144にセットされているT0,T1,T2及びT3によって正確なSIRCS信号を生成することができる。
【0329】
また、本実施例では、SIRCSデコーダ244a−1により計測したT0,T1,T2及びT3を一定時間間隔で定期的に起動制御部144に供給するような構成であっても良い。
【0330】
さらに、本実施例では、定期的に、赤外線リモートコントローラ40によりモニタ機器20に入力されるSIRCS信号からT0,T1,T2及びT3を測定し、測定したT0,T1,T2及びT3を起動制御部144に供給するような構成であっても良い。このような構成にすることにより、デバイスの温度上昇等による絶対時間の浮動に対応することが可能となる。
【0331】
このように構成される光伝送システム1では、起動制御部144及び起動制御部244におけるクロックの発振に水晶発振器ではなくCR発振器を採用するので、安価に製造することが可能となる。
【0332】
また、現在、モバイル機器などの低消費電力に特化したRAMやROMを内蔵した低消費電力のマイコンにおいて、CR発振用の回路を内蔵し、発振周波数をデジタル制御により変更できるデジタルコントロールオシレータ(DCO)を内蔵しているタイプがあるが、本発明を応用すれば、当該マイコンを1チップで構築することができ、低コスト、省電力となる。
【0333】
また、本発明によれば、起動制御部144のCRクロック発振部144dと起動制御部244のCRクロック発振部244dとの発信周波数にずれが生じていても、その許容範囲が広いため、設計が容易になる。
【0334】
また、本発明によれば、CRクロック発振部144dから出力される発振周波数と、CRクロック発振部244dから出力される発振周波数との絶対時間がずれていても、そのずれを調整できるので、モニタ伝送処理部24に入力されたSIRCS信号のパルス幅と、ソース伝送処理部14から出力されるSIRCS信号のパルス幅とを一致させることができ、環境温度変化に強いシステムを構築することができる。
【0335】
なお、本実施の形態に示した起動制御工程は、起動制御信号をE/O変換部に出力して光信号ケーブル30を介して他方の機器へ送信する送信起動命令処理と、送信される起動制御信号に応じて起動を行う受信起動制御処理との2つの処理を行う起動制御プログラムが、それぞれの起動制御部144、244に組み込まれている。また、本実施形態では、モニタ機器20の起動制御部244が送信起動命令処理を行い、ソース機器10の起動制御部144が受信起動制御処理を行う起動処理工程を示した。しかし、このような起動処理工程に限らず、ソース機器10の起動制御部144が送信起動命令処理を行い、モニタ機器20の起動制御部244が受信起動制御処理を行うように、起動制御部の各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしてもよい。また、起動制御部144、244が、送信起動命令処理及び受信起動制御処理の両方を行うように、起動制御部における各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしても良い。
【0336】
さらに、本発明は上述した実施の形態である映像信号を光信号で伝送を行うものに限らず、光伝送ケーブルを介して起動制御を行うものであれば、映像信号以外の音声信号や情報データを光信号で伝送する伝送システムに適用するようにしてもよい。
【0337】
このように、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0338】
【図1】光伝送システムの構成を示す模式図である。
【図2】SIRCS信号規格の信号波形の一例を示す波形図である。
【図3】ソース機器の構成を示す模式図である。
【図4】UART信号規格の信号波形の一例を示す波形図である。
【図5】モニタ伝送処理部の構成を示す模式図である。
【図6】光伝送システムにおける起動制御工程を示すフローチャートである。
【図7】モニタ機器の起動制御部の構成を示す模式図である。
【図8】ソース機器の起動制御部の構成を示す模式図である。
【図9】バッファ部のメモリ領域の構成を示す模式図である。
【図10】バッファ部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図11】モニタ機器の起動制御部のSIRCS受信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図12】モニタ機器の起動制御部のUART送信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図13】ソース機器の起動制御部のUART受信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図14】ソース機器の起動制御部のSIRCS送信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図15】SIRCS信号規格とUART信号規格の信号波形とを比較する波形図である。
【図16】第1のタイマ補正信号の信号波形を示す図である。
【図17】UART信号規格の信号(A)と、第2のタイマ補正信号(B)の信号は径を示す図である。
【図18】モニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図19】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図20】ソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図21】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図22】タイマ補正値の算出工程を示すフローチャートである。
【図23】タイマ補正起動制御信号の信号波形を示す図である。
【図24】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示す第1のフローチャートである。
【図25】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示す第2のフローチャートである。
【図26】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示す第1のフローチャートである。
【図27】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示す第2のフローチャートである。
【図28】タイマ部を備えるモニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図29】タイマ部を備えるソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図30】タイマ部を備えるモニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図31】タイマ部を備えるソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図32】モニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図33】ソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図34】モニタ機器から供給されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図35】モニタ伝送処理部に備えられているSIRCSデコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図36】モニタ伝送処理部に備えられているUARTエンコーダにより生成されるUART信号の波形を示す図である。
【図37】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダにより生成されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図38】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図39】モニタ伝送処理部に備えられているUARTエンコーダにより生成されるSignビットが付加されたUART信号の波形を示す図である。
【図40】モニタ伝送処理部に備えられているSIRCSデコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図41】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダの動作の説明に供する図である。
【図42】モニタ機器から供給されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図43】映像信号が電気信号によって伝送される伝送システムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0339】
1 光伝送システム、10 ソース機器、11 ソース本体部、20 モニタ機器、21 モニタ本体部、12、22 映像信号I/F、13、23 制御信号I/F、14 ソース伝送処理部、24 モニタ伝送処理部、141、241 電気信号処理部、142、242 E/O変換部、143、243 O/E変換部、144、244 起動制御部、30 光信号ケーブル、40 赤外線リモートコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース機器とシンク機器間において信号を送受信する光伝送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
TVチューナやハードディスクレコーダ等の映像信号を出力する映像信号出力装置と、CRTやLCD等の映像信号を受信して表示する映像信号入力装置との間で、ディジタル映像信号を伝送する伝送規格として、DVI(Digital Visual Interface)や、HDMI(High Definition Multimedia Interface)がある。
【0003】
ここで、電気信号伝送システム200は、図43に示すように、映像信号を出力するソース機器201と、映像信号を入力して表示するモニタ機器202と、ソース機器201とモニタ機器202とを所定のインターフェースを介して接続する電気信号ケーブル203により構成される。ソース機器201とモニタ機器202は、それぞれ映像信号の入出力を行うRGB I/F201a、202aを備えている。また、ソース機器201とモニタ機器202は、互いの機器間での動作命令を送受信するとともに制御信号の入出力を行う制御信号I/F201b、202bを備えている。電気信号ケーブル203は、映像信号と制御信号との複数の信号を伝達するため、ケーブル内に複数の電気信号線を必要とする。つまり、電気信号ケーブル203は、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)と呼ばれる1チャンネルに対して2本の信号線を用いた差動の電気信号からなる映像信号であって、RGBの3チャンネルのRGB信号と、RGB信号を同期させる同期信号との合計4つの信号を伝送する4本の信号線によって構成される。
【0004】
このような電気信号伝送システム200において、例えばFull HDと呼ばれる規格のディジタル映像信号を伝送する場合には、当該映像信号のピクセルレートが148.5Mbpsであって、TMDS伝送規格で伝送した場合、1チャンネルあたりの伝送帯域が、1.485Gbpsになる。このように、高ビットレートの映像信号をTMDSのような伝送規格で伝送する場合において、電気ケーブルを介して単に電気信号形式で伝送した場合には、数メートル程度が伝送距離の限界となってしまう。
【0005】
そこで、長距離信号伝送を可能にするため、高周波帯域の信号の伝送減衰率が、電気信号に比べて非常に小さい光ファイバ等による光伝送が用いられている。映像信号を光伝送する伝送システムとしては、特許文献1に示されているように、映像信号を構成するRGB信号と同期信号とをそれぞれ光信号に変換するものや、特許文献2に示されているように、1つの光信号線に異なる波長領域毎に分割して、分割した波長領域毎にRGB信号と同期信号を割り当てて伝送するものがある。しかし、特許文献1に示されているような、RGB信号と同期信号をそれぞれ光信号に変換する場合には、電気信号形式を光信号形式に変換する電気/光信号変換部、及び光信号形式を電気信号形式に変換する光/電気信号変換部が複数必要である。
【0006】
また、特許文献2に示されているような、RGB信号と同期信号をそれぞれ光信号において分割した波長帯域に割り当てて伝送する、いわゆるWDM(Wavelength Division Multiplexing)伝送の場合には、複数の波長領域に応じて、光信号を多重する変換部、及び、光信号を分離する変換部が必要であり、さらに分離された光信号を電気信号に変換する光/電気信号変換部が複数必要であるため、回路規模が拡大且つ複雑になり、それに伴って消費電力が増大する。
【0007】
ところで、映像信号出力装置と映像信号入力装置とを、電気ケーブルを介して接続された電気信号の伝送システムにおいて、映像信号出力装置からの起動命令により待機状態の映像信号入力装置を起動させる場合には、映像信号出力装置から所定の起動制御信号が、電気ケーブルを介して映像信号入力装置へ伝送される。
【0008】
これに対して、光信号により映像信号を伝送する光伝送システムにおいて、映像信号出力装置が待機状態の映像信号入力装置を起動させる場合、映像信号出力装置は、電気信号を光信号に変換する電気/光信号変換部とその周辺の回路に、常に電力が供給されている必要があるため、待機状態においてもこのような変換部の消費電力が大きく、省電力を実現することができなかった。一方、映像信号入力装置は、省電力化のために光信号を電気信号へ変換する光/電気信号変換部に電力が供給されなかった場合には、映像信号出力装置から伝送される光信号形式の起動制御信号を受信することができず、起動することができなかった。
【0009】
したがって、光伝送システムを、省電力化された待機状態から通常動作状態へ移行するには、映像信号出力装置が、消費電力を低下した状態で電気信号形式の起動制御信号を光信号形式に変換して伝送し、また、映像信号入力装置が、消費電力を低下した状態で光信号形式の起動制御信号を電気信号形式に変換して受信する必要がある。ここで、周波数成分をできるだけ低い起動制御信号を用いることにより、これらの信号変換部において低消費電力化を図ることができる。しかしながら、ユーザインターフェースとして一般的に用いられる赤外線リモートコントローラを用いて、待機状態の装置に対してユーザが起動命令を入力した場合には、当該赤外線リモートコントローラの信号の周波数帯域が高いため、装置側が受信した信号をそのまま電気/光信号変換部を介して光伝送すると、映像信号出力装置の電気/光信号変換部、及び、映像信号入力装置の光/電気信号変換部の消費電力を抑えることができず省電力状態を実現することができなかった。
【0010】
起動制御信号を高周波数帯域から低周波数帯域の信号規格に変換する信号規格変換処理は、高周波数帯域の信号規格の起動制御信号に応じて起動制御データを読み取って、読み取った起動制御データを所定の記憶手段で一時的に記憶する。さらに、一時的に記憶された起動制御データに応じて低周波数帯域の起動制御信号に変更する。このような信号規格を変換する処理部を低消費電力化された演算処理装置で実現することにより、待機状態に省電力とすることができる。
【0011】
【特許文献1】特開2002−366340号公報
【特許文献2】特開2003−273834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、ソース機器とモニタ機器との間において、低周波数帯域の信号規格の起動制御信号を正確に伝送するためには、それぞれの機器が用いる動作クロック信号が略一致している必要がある。この場合には、それぞれの機器において、同一周波数のクロック信号を正確に発振することができる水晶発振器を用いればよい。一方、コストを抑えるため、水晶発振器よりも安価なCR発振回路を用いるという選択もある。
【0013】
しかしながら、CR発振器は、使用する環境温度によって発振するクロック信号の周波数及び絶対時間が変動してしまう問題点がある。したがって、クロック信号の発振にCR発振回路を用いた場合、ソース機器とモニタ機器間における信号伝送が正確に行えなくなってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、クロック信号の発振にCR発振回路を用い、環境温度が変動しても、ソース機器とシンク機器間の信号の送受信を正確に行う光伝送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光伝送システムは、一方端側が第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの一方端に接続され、他方端側がシンク機器側に接続され、当該第1の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の信号に所定の処理を行い、処理後の信号を当該シンク機器に供給し、当該シンク機器から供給された信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第2の光ファイバに出力する第1のモジュールと、一方端側が上記第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの他方端に接続され、他方端側がソース機器側に接続され、当該ソース機器から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第1の光ファイバに出力し、当該第2の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号を当該ソース機器に出力する第2のモジュールとから構成される光伝送ユニットにおいて、上記第1のモジュールは、所定のクロックを発振する第1の発振器と、上記第1の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第1の分周回路と、上記第1の分周回路により分周された発振クロックを第1のカウント値に基づいてカウントする第1のタイマと、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号から第2の規格に準拠したパルス信号を生成する第1の信号処理部と、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号振幅の変化に対応する時間を計測し、当該計測に基づいて第2の規格に準拠した時間間隔信号を生成する第2の信号処理部と、上記第1の信号処理部により生成された上記パルス信号及び上記第2の信号処理部により生成された上記時間間隔信号を光信号に変換する電気光変換部とを備え、上記第2のモジュールは、所定のクロックを発振する第2の発振器と、上記第2の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第2の分周回路と、上記第2の分周回路により分周された発振クロックを第2のカウント値に基づいてカウントする第2のタイマと、上記第2の光ファイバを介して入力された上記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記光電気変換部により変換されて得られた上記パルス信号のパルス間隔から上記第1のカウント値を算出する算出部と、上記算出部により算出された上記第1のカウント値とに基づいて上記第2の分周回路による分周の割合を調整する調整部と、上記調整部により上記第2の分周回路による分周の割合が調整された後の上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記第2の信号変換部により変換されて得られた上記時間間隔信号から時間間隔を抽出する時間間隔抽出部と、上記時間間隔抽出部により抽出された上記時間間隔信号に基づいて上記第1の規格に準拠したパルス信号を生成する第3の信号処理部とを備え、上記第3の信号処理部は、処理後の信号を上記ソース機器に供給する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、クロックの発振回路として、環境温度の変動に影響を受けるような安価な発振回路を用いた場合であっても、シンク機器及びソース機器間における各発振回路のクロック周波数及びその絶対時間のずれを調整するので、シンク機器及びソース機器間の信号の送受信を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態は、映像信号の伝送を行う光伝送システム1に適用したものである。
【0018】
光伝送システム1は、図1に示すように、映像信号を出力するソース機器10と、ソース機器10から出力される映像信号を表示するモニタ機器20と、ソース機器10とモニタ機器20とを接続して光信号形式で映像信号等の伝送信号の伝送を行う光信号ケーブル30と、赤外線信号を用いてモニタ機器20に対して遠隔制御命令を送信する赤外線リモートコントローラ40とからなる。
【0019】
ソース機器10は、図1に示すように、例えば、映像記録媒体からの映像データの読み取りなどを行うソース本体部11と、ソース本体部11が生成した映像信号を外部へ出力する映像信号I/F部12と、光信号ケーブル30を介して接続されたモニタ機器20との間で通信を行う制御信号の出力を行う制御信号I/F部13と、映像信号と制御信号とを同一の光信号で伝送するための信号処理を施すソース伝送処理部14とから構成される。
【0020】
ソース本体部11は、映像記録媒体からの映像データの読み出し、又は放送映像信号の受信などを行って映像信号を生成する。ここで、映像信号は、具体的に3原色信号からなるRGB信号と、当該RGB信号を同期させるためのクロック信号とから構成され、映像信号I/F部12から外部へ出力される。また、ソース本体部11は、図1に示すように、SIRCSデコーダ11aをさらに備える。SIRCSデコーダ部11aは、制御信号I/F部13を介してモニタ機器20から送信されるSIRCS(Serial Infrared Remote Control System)信号規格の制御信号から制御データの読み取りを行う。
【0021】
制御信号I/F部13は、光信号ケーブル30を介して接続されたモニタ機器20との間で通信を行う制御信号を所定の伝送規格に変換する。ここで、制御信号とは、接続されたモニタ機器20との間で送受信される命令信号である。
【0022】
モニタ機器20は、図1に示すように、ソース機器10から送信される映像信号を表示するモニタ本体部21と、映像信号をモニタ本体部21へ入力させる映像信号I/F部22と、光信号ケーブル30を介して接続されたソース機器10との間で通信を行う制御信号を出力する制御信号I/F部23と、映像信号と制御信号とを同一の光信号で伝送するための信号処理を施すモニタ伝送処理部24とから構成される。
【0023】
モニタ本体部21は、ソース機器10から送信される映像信号を表示する。ここで、映像信号は、具体的に3原色信号からなるRGB信号及び当該RGB信号が同期するためのクロック信号から構成され、映像信号I/F部22から入力される。また、モニタ本体部21は、図1に示すように、赤外線リモートコントローラ40から送信される赤外線信号を受光して電気信号形式に変換する受光モジュール21aを備える。
【0024】
制御信号I/F部23は、光信号ケーブル30を介して接続されたソース機器10との間で通信を行う制御信号を所定の伝送規格に変換する。ここで、制御信号とは、接続されたソース機器10との間で送受信される命令信号である。
【0025】
光信号ケーブル30は、ソース機器10からモニタ機器20へ映像信号及び制御信号を送信する信号線と、モニタ機器20からソース機器10へ制御信号を送信する信号線との、合計2つの光ファイバーから構成されている。ここで、各信号線は、シリアル信号を伝送するものとする。
【0026】
赤外線リモートコントローラ40は、所定の制御命令に応じて、図2に示すように、Low/High信号のパルス時間間隔の違いで「0」と「1」の信号を表現するSIRCS信号規格の制御信号を送信する。
【0027】
次に、図3を参照して、ソース機器10のソース伝送処理部14の構成について詳細に説明する。ソース伝送処理部14は、図3に示すように、映像信号と制御信号とをそれぞれ多重又は分離処理をして光伝送に適した電気信号に変換する電気信号処理部141と、電気信号処理部141が変換した電気信号を光信号に変換するE/O変換部142と、光信号ケーブル30を介してモニタ機器20から送信される光信号を電気信号に変換するO/E変換部143と、モニタ機器20との間で、待機状態から通常動作状態へ移行する制御を行う起動制御部144とから構成される。
【0028】
電気信号処理部141は、映像信号と制御信号とをそれぞれ多重処理、又は分離処理を行い、図3に示すように、RGB I/Fデバイス部141aと、ロジック部141bと、SERDES変換部141cとから構成されている。
【0029】
RGB I/Fデバイス部141aは、映像信号I/F部12が出力した所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号を、モニタ機器20へ伝送するため、ロジック部141bで使用できるように所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号から必要なデータを抽出する。具体的なディジタル映像信号伝送規格としては、DVI(Digital Visual Interface)や、HDMI(High Definition Multimedia Interface)である。
【0030】
ロジック部141bは、RGB I/Fデバイス部141aにより所定のディジタル信号伝送規格に基づいた映像信号から抽出されたデータ、及び制御信号I/F部13から出力された制御信号をそれぞれ時分割して、1つの信号に多重化する。また、光信号ケーブル30を介してモニタ機器20から送られてきた光信号であって、O/E変換部143によって電気信号に変換された制御信号は、ロジック部141bに供給される。ここで、ロジック部141bに入力された制御信号は、多重化されているので、ロジック部141bにより分離処理が施される。
【0031】
SERDES変換部141cは、ロジック部141bにより多重化された信号を光伝送に適した符号変換を施してシリアル信号に変換する。ここで、光信号ケーブル30は、送信用、受信用の2本の光信号線から構成されている。また、それぞれの光信号線の伝送形式は、シリアル伝送形式である。したがって、SERDES変換部141cは、ロジック部141bにより多重化された信号をシリアル伝送形式で伝送される光信号に適したシリアル信号形式の電気信号に変換する。
【0032】
E/O変換部142は、電気信号処理部141において多重化かつシリアル化された電気信号を光信号に変換する。また、E/O変換部142は、伝送する情報量に応じて、光信号の伝送周波数帯域を変更する。ここで、E/O変換部142は、低周波帯域で伝送することにより、消費電力を小さくすることができる。具体的に、E/O変換部142は、映像信号等の情報量が大きい信号を伝送する通常変換モードと、映像信号と比べて小さい情報量に応じた信号を伝送する省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部144からの制御命令に応じて、これら2つのモードを切り換えて電気信号を光信号に変換する。
【0033】
O/E変換部143は、光ケーブル30を介してモニタ機器20から送信される光信号を検出して電気信号に変換する。また、O/E変換部143は、光信号ケーブル30から伝送される情報量に応じて、光信号を検出する周波数帯域を変更する。ここで、O/E変換部143は、検出周波数帯域を低くすることにより、消費電力を小さくすることができる。具体的に、O/E変換部143は、映像信号等の情報量が大きい信号を検出する通常変換モードと、映像信号と比べて小さい情報量の信号を検出する省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部144からの制御命令に応じて、これら2つのモードを切り換えて変換を行う。
【0034】
起動制御部144は、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御信号の通信を行う。また、起動制御部144は、低消費電力で動作できる演算処理装置が用いられている。具体的に、この演算処理装置には、モニタ機器20から起動制御信号を受信して当該ソース機器10を待機状態から通常動作状態へ移行する制御をするための起動制御プログラムが組み込まれている。よって、起動制御部144は、この起動制御プログラムに従って、E/O変換部142及びO/E変換部143への供給電力の制御を行う。
【0035】
起動制御部144は、シリアル信号形式の起動制御信号を受信して後述するUART信号規格に基づいて起動制御データを読み取るUART受信部144aと、UART受信部144aにより読み取られた起動制御データを赤外線リモートコントローラ40の信号伝送規格であるSIRCS信号に変換して送信するSIRCS送信部144bから構成される。
【0036】
UART受信部144aは、電気信号であってシリアル信号形式の起動制御信号をO/E変換部143から受信して、図4に示すような、一定時間間隔で信号をLow/Highに変化し、その変化に応じて0と1の信号を表現するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)信号規格に基づいて起動制御データを読み取り、起動制御データをSIRCS送信部144bへ出力する。
【0037】
SIRCS送信部144bは、UART受信部144aが出力した起動制御データに応じたSIRCS信号規格の起動制御信号を生成して、制御信号I/F部13へ出力する。
【0038】
次に、図5を参照して、モニタ機器20のモニタ伝送処理部24の構成について、詳細に説明する。モニタ伝送処理部24は、図5に示すように、光信号ケーブル30の伝送規格に応じて電気信号の信号処理を行う電気信号処理部241と、電気信号処理部241において信号処理された電気信号を光信号に変換するE/O変換部242と、光信号ケーブル30を介してソース機器10から送信される光信号を電気信号に変換するO/E変換部243と、ソース機器10との間で、待機状態から通常動作状態へ移行する制御を行う起動制御部244から構成される。
【0039】
電気信号処理部241は、図5に示すように、SERDES変換部241aと、ロジック部241bと、RGB I/Fデバイス部241cとから構成されている。
【0040】
SERDES変換部241aは、光信号ケーブル30を介してソース機器10から送られてきた光信号であって、O/E変換部243により変換された電気信号をパラレル信号へ変換する。ここで、光信号ケーブル30を介して伝送される光信号がシリアル信号形式なので、シリアル信号形式の電気信号がO/E変換部243から出力される。
【0041】
ロジック部241bは、SERDES変換部241aによってパラレル信号形式へ変換された信号が時分割に多重化されているので、この多重化信号を映像信号と制御信号とに分離する。
【0042】
RGB I/Fデバイス部241cは、ロジック部241bにより分離処理が施された映像信号を、所定のディジタル映像信号伝送規格に基づいた映像信号形式に変換して、映像信号I/F部22へ出力する。
【0043】
E/O変換部242は、電気信号処理部241において多重化された電気信号を光信号に変換する。ここで、E/O変換部242は、ソース機器10のE/O変換部142と同様に、通常変換モードと省電力変換モードとの2つのモードを有しており、起動制御部244からの制御命令に応じて、これらの2つのモードを切り換えて電気信号を光信号に変換する。
【0044】
O/E変換部243は、光ケーブル30を介してソース機器10から送信される光信号を電気信号に変換する。ここで、O/E変換部243は、ソース機器10のO/E変換部143と同様に、通常変換モードと省電力変換モードとの少なくとも2つのモードを有しており、起動制御部244からの制御命令に応じて、これらの2つのモードを切り換えて光信号を電気信号に変換する。
【0045】
起動制御部244は、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御信号の通信を行う。また、起動制御部244は、低消費電力で動作できる演算処理装置が用いられている。具体的に、この演算処理装置には、ソース機器10を待機状態から通常動作状態へ移行させる起動制御信号の送信するための起動制御プログラムが組み込まれている。起動制御部244は、この起動制御プログラムに従って、E/O変換部242及びO/E変換部243へ供給する電力量の制御を行う。
【0046】
また、起動制御部244は、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号をSIRCS信号規格に基づいて起動制御データの読み取りを行うSIRCS受信部244aと、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データをUART信号規格のシリアル信号に変換するUART送信部244bから構成される。
【0047】
SIRCS受信部244aは、制御信号I/F部23から送信される制御信号から、SIRCS信号規格に基づいて起動制御データを読み取る。さらに、SIRCS受信部244aは、読み取った起動制御データをUART送信部244bへ出力する。
【0048】
UART送信部244bは、SIRCS受信部244aから出力された起動制御データに応じたUART信号規格の起動制御信号を生成してE/O変換部242へ送信する。
【0049】
次に、ソース機器10とモニタ機器20とが互いに備える起動制御部144、244を用いて、待機状態から通常動作状態へ移行する起動制御工程について図6を用いて説明する。
【0050】
本実施の形態では、互いに待機状態のソース機器10とモニタ機器20とを、通常動作状態へ移行する起動制御工程に注目して扱う。したがって、本実施の形態において、通常動作状態に移行した後に光伝送システム1が行う映像信号の伝送に関しての説明は省略する。また、この起動制御工程は、起動制御部144、244にそれぞれ書き込まれた起動制御プログラムに従って実行される。
【0051】
まず、図6のステップS1〜S5に示す電源の供給から待機状態に設定されるまでのモニタ機器20における起動制御部244の処理工程について説明する。
【0052】
ステップS1において、起動制御部244は、モニタ本体部21から電力が供給される。ここで、モニタ本体部21は、待機状態であって、赤外線リモートコントローラ40などの所定のユーザインターフェースから起動命令が入力され、通常動作状態へ移行するとともに、制御信号I/F部23を介して、起動制御部244に電力を供給する。
【0053】
ステップS2において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、所定の初期設定を行う。
【0054】
ステップS3において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、起動用I/O割り込み設定を行う。ここで、起動用I/O割り込み設定とは、モニタ伝送処理部24の各ブロックへの供給電力を制限して省電力化された待機状態とし、当該起動制御部244と接続された制御信号I/F部23から入力される制御信号の変化を検出に応じて、待機状態から通常起動状態へ移行して、制限された動作を解除する設定である。
【0055】
ステップS4において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、モニタ伝送処理部24を待機状態へ移行させる。具体的にモニタ伝送処理部24は、起動制御部244のみに電力が供給されている待機状態へ移行させる。ここで、起動制御部244は、制御信号I/F部23及び光信号ケーブル30を介してO/E変換部243から出力される単純なHigh/Lowの電圧レベルに応じて割り込み処理を行う、演算処理能力を制限した待機状態に設定する。
【0056】
ステップS5において、モニタ伝送処理部24が待機状態へ移行すると、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、制御信号I/F部23又はO/E変換部243からHigh/Low電圧レベルに応じた割り込み起動命令があるか否かを判断する。ここで、起動制御プログラムは、割り込み起動命令があればステップS6へ移行し、割り込み起動命令がなければ、この処理を繰り返し実行する。
【0057】
一方、ソース機器10における起動制御部144も、ステップS21〜S25において、モニタ機器20における起動制御部244と同様に電源が供給され、待機状態に設定される。ここで、モニタ機器20の起動制御工程のステップS4において、起動制御部244が制御信号I/F部23からのHigh/Low電圧レベルに対して割り込み処理を行うのに対して、ソース機器10の起動制御部144では、ステップS24において、光信号ケーブル30を介してO/E変換部143から出力されるHigh/Low電圧レベルに応じた割り込み処理に待機した待機状態となっている。
【0058】
次に、互いに待機状態のソース機器10とモニタ機器20に対して、High/Lowの電圧レベルに応じた割り込み処理に待機した待機状態を解除する割り込み処理が行われ、2つの機器が映像信号を光伝送する通常動作状態へ移行する起動処理について説明する。
【0059】
ステップS6において、モニタ本体部21における起動制御部244は、制御信号I/F部23からHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令が入力され、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。ここで、モニタ本体部21は、受光モジュール21aで赤外線リモートコントローラ40から発信されるSIRCS信号規格の起動制御信号を受光し、待機状態から通常動作状態に移行するとともに、受信したSIRCS信号規格の制御信号を、制御信号I/F部23を介して、起動制御部244に送信する。また、起動制御部244は、制御信号I/E部23から送信される制御信号をHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令として認識して起動制御を行う。
【0060】
ステップS7において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号から起動制御データの読み取りを行う。具体的には、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、SIRCS受信部244aに対して、制御信号I/F部23から送信されるSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御データを読み出させる。また、SIRCS受信部244aは、読み出した起動制御データをUART送信部244bへ出力する。ここで、起動制御データは、起動制御信号における所定の信号伝送規格に基づいて読み取られたデータであり、単純なHigh/Low信号に応じた割り込み起動命令ではなく、ソース機器10に対して具体的な制御命令として扱われる。
【0061】
ステップS8において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242に電力を供給させて、省電力モードとして起動させる。
【0062】
ステップS9において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242が省電力モードで起動したことを確認して、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号を、E/O変換部242へ出力する。具体的に、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、UART送信部244bに対して、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データに応じてUART信号規格の起動制御信号を生成して、E/O変換部242へ送信する。ここで、当該起動制御信号は、UART信号規格なので低伝送速度でE/O変換部242へ送信することができ、E/O変換部242の動作を省電力化することができる。具体的に、映像信号がGbps又はMbps単位の速度で伝送されるのに対して、起動制御信号は、Kbps単位の低速度で伝送される。さらに、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、E/O変換部242に対して、起動制御信号を光信号に変換させて光信号ケーブル30へ送信させる。
【0063】
ステップS10において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、電気信号処理部241の各処理部へ電力を供給させ、光信号ケーブル30を介してソース機器10から伝送される映像信号に備える。
【0064】
ステップS11において、起動制御部244は、起動制御プログラムに従って、待機状態に移行するか否かを判断する。起動制御部244は、待機状態に移行しないと判断されると、ステップS11の動作を繰り返し、待機状態に移行すると判断されると、ステップS4に本起動制御処理を戻す。
【0065】
次に、モニタ機器20から光信号ケーブル30へ送信された起動制御信号がソース伝送処理部14に到達した後に、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、ステップS25〜29の処理工程により、ソース伝送処理部14を待機状態から通常動作状態へ移行させる。
【0066】
まず、起動制御信号は、光信号ケーブル30を介してO/E変換部143へ入力される。続いて、O/E変換部143は、光信号形式の起動制御信号を電気信号形式へ変換して、起動制御部144へ出力する。
【0067】
ステップS26において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、起動制御信号が入力されたことによる電圧変化によって、割り込み処理が行われ、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0068】
ステップS27において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送された起動制御信号から起動制御データを読み取る。具体的には、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、UART受信部144aに対して、O/E変換部143から送信された制御信号からUART信号形式に基づいて起動制御データを読み取らせる。また、UART受信部144aは、読み取った起動制御データをSIRCS送信部144bへ出力する。
【0069】
ステップS28において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、読み取った起動制御データを制御信号I/F部13へ出力する。具体的には、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、SIRCS送信部144bに対して、起動制御データに応じたSIRCS信号規格の起動制御信号に変換する。また、SIRCS信号規格の起動制御信号は、制御信号I/F部13を介して、ソース本体部11に備えられたSIRCSデコーダ部11aに送信される。
【0070】
その後、ソース本体部11は、制御信号I/F部13を介してSIRCS信号規格の起動制御信号がSIRCSデコーダ部11aに入力されて、SIRCSデコーダ部11aが起動制御データの読み取りを行い、起動制御データに応じたI/O割り込み処理によって、待機状態から通常動作状態へ移行する。具体的に、ソース本体部11は、入力した起動制御データに応じて、映像信号の出力等の動作が実行される。
【0071】
ステップS29において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、ソース伝送処理部14の各ブロックへ電力を供給させて、ソース本体部11から出力される映像信号に対する信号処理に備える。
【0072】
ステップS30において、起動制御部144は、起動制御プログラムに従って、待機状態に移行するか否かを判断する。起動制御部144は、待機状態に移行しないと判断すると、ステップS30の動作を繰り返し、待機状態に移行すると判断すると、ステップS24に本起動制御処理を戻す。
【0073】
以上の処理工程により、ソース機器10とモニタ機器20とは、待機状態から映像信号を光伝送する動作状態へ移行する。
【0074】
このように、起動制御部144、244は、これらの演算処理装置に組み込まれた起動制御プログラムに応じて起動制御工程が実行される。したがって、起動制御部144、244は、省電力状態において動作が不必要な部分の電源をOFFにし、待機状態において動作が必要な部分に必要となる電力のみを供給させる、複雑な起動制御を行うことができる。さらに、このような複雑な起動制御をソフトウェアにより実行させるため、複雑なハードウェアを設計する必要がなく、目的に応じて設計仕様の書き換えを容易に行うことができる。
【0075】
また、起動制御部144、244は、低消費電力化された演算処理装置を使用することで、待機状態において省電力を実現する。このような低消費電力化された演算処理装置は、通常動作状態以外に、待機状態や、外部からの入力により待機状態から通常動作状態へ移行できる割り込み起動処理を行うことができるので、待機状態における消費電力を低くすることができる。
【0076】
さらに、光伝送システム1では、赤外線リモートコントローラ40から発信されたSIRCS信号規格の起動制御信号に応じてモニタ機器20を起動するとともに、起動制御信号をSIRCS信号規格からUART信号規格に変換して、光伝送ケーブル30を介して伝送して、ソース機器10の起動制御も行う。
【0077】
また、単位時間当たりに同等の情報を伝送する場合には、UART信号規格の伝送信号がSIRCS信号規格に比べて、伝送信号の周波数を1/2から1/3程度にすることができる。また、起動制御工程において、モニタ機器20のE/O変換部242は、UART信号規格で電気信号形式の制御信号を光信号形式に変換して伝送し、ソース機器10のO/E変換部143も同様に、UART信号規格で光信号形式の制御信号を電気信号形式に変換して伝送する。したがって、ソース機器10のO/E変換部143と、モニタ機器20のE/O変換部242は、SIRCS信号規格に比べて低周波数成分のUART信号規格の信号変換を行うため、これらの変換部の消費電力を低くすることができ、省電力化が図れる。
【0078】
ここで、UART信号規格の信号がSIRCS信号規格の信号よりも信号の周波数帯域を低くするためには、SIRCS受信部244aが読み取った起動制御データを一時的に記憶して、UART送信部から送信するUART信号規格の信号の送信時間を調節しなければならない。したがって、上述した赤外線リモートコントローラ40からのSIRCS信号規格の起動制御信号を、UART信号規格の信号に変換して、光伝送ケーブル30を介して光伝送を行うためには、信号規格の変換を行う起動制御部144、244に一時的に制御データを記憶するバッファ部が必要である。そこで、起動制御データを一時的に記憶するバッファ部を設けた起動制御部144、244の処理工程について説明する。
【0079】
モニタ機器20の起動制御部244は、図7に示すように、SIRCS受信部244aとUART送信部244bに加えて、SIRCS受信部244aが読み取った起動制御データを一時的に記憶するバッファ部244cを備える。
【0080】
また、SIRCS受信部244aは、SIRCSデコーダ部244a−1とデータレジスタ244a−2とを備える。SIRCSデコーダ部244a−1は、制御信号I/F部23からの出力信号をSIRCS信号規格に基づいた起動制御データを読み出してデータレジスタ244a−2に出力するとともに、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データをバッファ部244cへ入力させる入力要求命令をバッファ部244cに出力する。データレジスタ244a−2は、SIRCSデコーダ部244a−1から出力された起動制御データを記憶するとともに、SIRCSデコーダ部244a−1からバッファ部244cへの入力要求命令に応じて、起動制御データをバッファ部244cへ出力する。
【0081】
また、UART送信部244bは、UARTエンコーダ部244b−1とデータレジスタ244b−2とを備える。UARTエンコーダ部244b−1は、バッファ部244cに記憶された起動制御データをデータレジスタ244b−2へ出力する出力要求命令を、バッファ部244cに出力する。また、UARTエンコーダ部244b−1は、データレジスタ244b−2に記憶された起動制御データを読み出して、UART信号規格に基づく起動制御信号をE/O変換部242へ送信する。データレジスタ244b−2は、バッファ部244cが出力する起動制御データを記憶する。
【0082】
バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令に応じて、起動制御データを記憶し、UART送信部244bからの出力要求命令に応じて起動制御データを出力する。
【0083】
ソース機器10の起動制御部144は、図8に示すように、UART受信部144aとSIRCS送信部144bに加えて、UART受信部144aが読み取った起動制御データを一時的に記憶するバッファ部144cを備える。
【0084】
また、UART受信部144aは、UARTデコーダ部144a−1とデータレジスタ144a−2とを備える。UARTデコーダ部144a−1は、O/E変換部143が出力した電気信号形式の起動制御信号からUART信号規格に基づいた起動制御データを読み出し、データレジスタ144a−2に出力する。また、UARTデコーダ部144a−1は、データレジスタ144a−2に一時的に記憶された起動制御データをバッファ部144cに入力させる入力要求命令を、バッファ部144cに出力する。データレジスタ144a−2は、UARTデコーダ部144a−1から出力された起動制御データを記憶するとともに、UARTデコーダ部144a−1からバッファ部144cへの入力要求命令に応じて、起動制御データをバッファ部144cへ出力する。
【0085】
また、SIRCS送信部144bは、SIRCSエンコーダ部144b−1とデータレジスタ144b−2とを備える。SIRCSエンコーダ部144b−1は、バッファ部144cに記憶された起動制御データをデータレジスタ144b−2へ出力する出力要求命令を、バッファ部144cに出力する。また、SIRCSエンコーダ部144b−1は、データレジスタ144b−2に記憶された起動制御データを受け取って、起動制御データに応じたSIRCS信号規格に基づいた起動制御信号を生成して、制御信号I/F部23を介して、ソース本体部11のSIRCSデコーダ部11aへ送信する。データレジスタ144b−2は、バッファ部144cが出力する起動制御データを記憶する。
【0086】
バッファ部144cは、UART受信部144aからの入力要求命令に応じて、起動制御データを記憶するとともに、SIRCS送信部144bからの出力要求命令に応じて起動制御データを出力する。
【0087】
このように、バッファ部144c、244cは、それぞれ起動制御部144、244の演算処理装置に組み込まれた起動制御プログラムに応じて、同様に起動制御データの入出力を行う。また、バッファ部144c、244cにおいて、起動制御データは、それぞれ起動制御部144、244を構成するマイクロコンピュータ内に設けられたメモリに記憶することによって実現されているので、バッファ部144c、244cの機能を実現するための専用のメモリを設ける必要がなく、経済性に優れている。
【0088】
次に、バッファ部144c、244cが行う起動制御データの入出力処理工程について、説明する。ここで、バッファ部144c、244cは、所定のデータレジスタ間において、同等の起動制御データの入出力処理を行う処理を行うため、以下では、モニタ機器20のバッファ部244cの処理について、図9、10を参照して詳細に説明する。
【0089】
まず、モニタ機器20側のバッファ部244c内部において実行される起動制御プログラムにおける起動制御データの入出力処理工程は、図9に示すように、1からM番目までのアドレスに応じたメモリ領域を有し、書き込みバッファ位置(WB)と、読み出しバッファ位置(RB)と、バッファリング数(NB)の3つのパラメータから構成される。
【0090】
ここで、Mとは1以上の整数であり、メモリ領域におけるデータ格納領域の最大値の番号を表している。
【0091】
書き込みバッファ位置(WB)は、SIRCS受信部244aが読み出した起動制御データを格納するメモリ領域の位置を示す。また、読み出しバッファ位置(RB)は、UART送信部244bのデータレジスタ244b−2へ読み出すメモリ領域の位置を示す。さらに、バッファリング数(NB)は、メモリ領域に格納されているデータ量を示す。バッファ部244cにおいて、初期設定状態では、図9(A)に示すように、書き込みバッファ位置(WB)と読み出しバッファ位置(RB)とが、メモリ領域の1番目のアドレスであり、バッファリング数(NB)が0に設定されている。また、バッファ部244cにおいて入出力処理が行われている時の、各パラメータの具体例は、図9(B)に示すように、書き込みバッファ位置(WB)がメモリ領域において8番目、また、読み出しバッファ位置(RB)が5番目にある。この場合において、メモリ領域に格納されたデータ数であるバッファリング数は、書き込みバッファ位置(WB)と読み出しバッファ位置(RB)との差である3となる。
【0092】
次に、バッファ部244cが実行する起動制御データの入出力処理工程について、図10を参照して詳細に説明する。
【0093】
まず、起動制御部244は、待機状態であって、制御信号I/F部23から送信される起動制御信号を単純なHigh/Low信号として認識して起動し、以下に示す入出力処理工程を、バッファ部244cに実行させるものとする。
【0094】
ステップS51において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、当該起動制御部244から電力が供給されて起動する。
【0095】
ステップS52において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、図9(a)に示したようにパラメータWB、RB、NBの初期設定を行う。すなわち、各パラメータは、それぞれWB=1、RB=1、NB=0に設定される。
【0096】
ステップS53において、バッファ部244cは、SIRCS受信部244aから起動制御信号の入力要求命令が入力されたか否かを判断する。バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令が入力されたと判断されると、ステップS54に進む。また、バッファ部244cは、SIRCS受信部244aからの入力要求命令が入力されなかったと判断されると、ステップS61に進む。
【0097】
ステップS54において、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)が、当該メモリ領域の最大値であるMより大きいか否かを判断する。バッファリング数(NB)がM以下であれば、バッファ部244cは、ステップS55に進み、バッファリング数(NB)がMより大きければ、ステップS56に進む。
【0098】
ステップS55において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、データレジスタ244a−2に格納された起動制御データを読み出し、当該起動制御データを書き込みバッファ位置に応じたメモリ領域に書き込むとともに、ステップS57に進む。
【0099】
ステップS56において、バッファ部244cは、バッファリング数がM個より大きく、新たに起動制御データをメモリ領域に書き込むことができないため、起動制御部244からの命令により、メモリ領域に書き込み不可である旨のオーバーフロー情報をSIRCS受信部244aに対して出力するとともに、ステップS60に進む。
【0100】
ステップS57において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、バッファリング数(NB)がMであるか否かを判断する。ここで、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)がMであると判断すると、ステップS58に進み、バッファリング数(NB)がMではないと判断すると、ステップS59に進む。また、ステップS54において、バッファリング数(NB)が、M以下であると判断されていることを考慮すると、処理工程がステップS59に進む場合は、バッファリング数(NB)がM未満であると判断された場合である。
【0101】
ステップS58において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、書き込みバッファ位置(WB)を0に設定するとともに、ステップS60へ進む。
【0102】
ステップS59において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、書き込みバッファ位置(WB)をインクリメントして、WB+1番目の位置に設定して、ステップS60へ進む。
【0103】
ステップS60において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、ステップS55において新たに起動制御データが書き込まれてメモリ領域に格納された起動制御データが1つ増加したことに応じて、バッファリング数(NB)をインクリメントして、NB+1番目の位置に設定して、ステップS53に戻る。
【0104】
ステップS61において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、UARTエンコーダ部244b−1から起動制御信号の出力要求命令が入力されたか否かを判断する。バッファ部244cは、UARTエンコーダ部244b−1からの出力要求命令が入力されると、本入出力処理工程をステップS62に進める。また、バッファ部244cは、UARTエンコーダ部244b−1からの出力要求命令が入力されないと、ステップS53に戻り、出力要求命令が入力されるまでステップS61を繰り返す。
【0105】
ステップS62において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、バッファリング数(NB)が1以上、つまりメモリ領域に起動制御データが格納されているか否かを判断する。ここで、バッファ部244cは、バッファリング数(NB)が1以上の場合にステップS63に進み、バッファリング数(NB)が1未満つまり0の場合にステップS53に戻る。
【0106】
ステップS63において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)に格納されたメモリ領域の起動制御データを参照して、UART送信部244bのデータレジスタ244b−2に対して、当該起動制御データを出力する。
【0107】
ステップS64において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)がM番目であるか否かを判断する。バッファ部244cは、読み出しバッファ位置(RB)がM番目である場合にステップS65に進み、読み出しバッファ位置(RB)がM番目でない、つまり0〜M−1番目である場合にステップS66に進む。
【0108】
ステップS65において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)を0に初期化し、ステップS67に進む。
【0109】
ステップS66において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、読み出しバッファ位置(RB)をインクリメントしてRB+1番目に設定して、ステップS67に進む。
【0110】
ステップS67において、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、ステップS63で起動制御データをUART送信部244bへ出力してメモリ領域内に格納された起動制御データが1つ減少したことに応じて、バッファリング数(NB)をデクリメントしてNB−1番目に設定する。また、本入出力処理工程は、ステップS53に戻る。
【0111】
以上のように、バッファ部244cは、起動制御部244からの命令により、M個のメモリ格納領域と、当該メモリ格納領域の使用状況を参照する3つのパラメータWB、RB、NBを用いて、起動制御データの入出力処理を行う。なお、ソース機器10の起動制御部144が備えるバッファ部144cも、上述したバッファ部244cと同様に起動制御データの入出力処理を行う。
【0112】
次に、モニタ機器20の起動制御部244において、バッファ部244cの入出力処理工程を加えた、起動制御工程について説明する。
【0113】
まず、制御信号I/F部23から出力された起動制御信号をSIRCS信号規格に基づいて起動制御データを読み取るSIRCS受信部244aの動作について図11を参照して詳細に説明する。
【0114】
ステップS101において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、起動制御部244から電力が供給されて、通常動作状態へ移行する。ここで、起動制御部244は、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号のHigh/Low変化を判断して待機状態から通常動作状態へ移行するとともに、SIRCS受信部244aを通常動作状態に移行させる。
【0115】
ステップS102において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244a−2のメモリ格納領域を初期化する。
【0116】
ステップS103において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCS信号規格の起動制御信号が送信されたか否かを判断する。ここで、SIRCS受信部244aは、SIRCS受信部244aにSIRCS信号規格の起動制御信号が送信されたと判断するとステップS104に進み、SIRCS信号規格の起動制御信号が送信されなかったと判断すると、ステップS103を繰り返し行う。
【0117】
ステップS104において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、送信されたSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御データを読み取る。具体的には、SIRCS受信部244aに設けられたSIRCSデコード部244a−1が、送信された起動制御信号を、SIRCS信号規格に基づいて起動制御データの読み取りを行う。
【0118】
ステップS105において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCSデコード部244a−1に対して、読み取った起動制御データをデータレジスタ244a−2へ送信させる。また、データレジスタ244a−2は、SIRCSデコーダ部244a−1から送信された起動制御データを、当該メモリ格納領域に記憶する。
【0119】
ステップS106において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、SIRCSデコード部244a−1に対して、起動制御データをバッファ部244cに入力させる入力要求命令をバッファ部244cへ出力させる。具体的に、入力要求命令は、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データをバッファ部244cに入力させる、SIRCSデコーダ部244a−1がバッファ部244cに対して出力する制御命令である。
【0120】
ステップS107において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従い、バッファ部244cに対して、ステップS106の入力要求命令に応じてデータレジスタ244a−2に記憶された起動制御データを当該バッファ部244cの格納メモリ領域に記憶させる。
【0121】
ステップS108において、SIRCS受信部244aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244a−2に対して、当該データレジスタ244a−2のメモリ領域に格納された起動制御データがバッファ部244cへ全て読み取られたか否かを判断する。ここで、起動制御プログラムでは、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データが全てバッファ部244cへ読み出されると、ステップS102に戻る。また、データレジスタ244a−2に記憶された起動制御データが全てバッファ部244cへ読み出されていない場合には、ステップS108の処理が繰り返される。
【0122】
以上のようにして、SIRCS受信部244aは、SIRCS信号規格に基づいた起動制御データを読み取り、バッファ部244cに対して当該起動制御データを記憶させる。
【0123】
次にバッファ部244cに記憶された起動制御データに応じてUART信号規格の起動制御信号を送信するUART送信部244bについて、図12を参照して詳細に説明する。
【0124】
ステップS111において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、起動制御部244から電力が供給されて、通常動作状態へ移行する。ここで、起動制御部244には、制御信号I/F部23から出力される起動制御信号のHigh/Low変化を判断して待機状態から通常動作状態へ移行するとともに、SIRCS受信部244aを通常動作状態に移行させる。
【0125】
ステップS112において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2のメモリ格納領域を初期化する。
【0126】
ステップS113において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、UARTエンコーダ部244b−1からバッファ部244cに対して要求する出力要求命令を、バッファ部244cへ送信させる。
【0127】
ステップS114において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対し出力要求命令に応じて、起動制御データをデータレジスタ244b−2へ送信させる。
【0128】
ステップS115において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対して、出力要求命令に応じてデータレジスタ244b−2へ起動制御データの送信が完了したか否かを判断させる。ここで、UART送信部244bは、出力要求命令に応じて起動制御データの送信が完了したと判断すると、ステップS116に進み、当該送信処理が完了していないと判断すると、ステップS115を繰り返し行う。
【0129】
ステップS116において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに対する出力要求命令を停止する。つまり、バッファ部244cは、データレジスタ244b−2への起動制御データの送信を停止する。
【0130】
ステップS117において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に対して、当該レジスタのメモリ格納領域に記憶された起動制御情報をUARTエンコーダ部244b−1へ出力させる。
【0131】
ステップS118において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、データレジスタ244b−2から出力された起動制御データを、UART信号規格に基づいた起動制御信号に変換させる。
【0132】
ステップS119において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1に対して、UART信号規格に変換された起動制御信号をE/O変換部242へ送信させる。
【0133】
ステップS120において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244b−1がUART信号規格に基づく起動制御信号の送信が完了したか否かを判断する。ここで、UART送信部244bは、UARTエンコーダ部244b−1による起動制御信号の送信が完了したと判断すると、ステップS112に戻り、当該送信処理が完了していないと判断すると、ステップS120の処理を繰り返す。
【0134】
次に、ソース機器10の起動制御部144における、バッファリング処理を加えた起動制御工程について参照して説明する。
【0135】
ソース機器10のUART受信部144aは、上述したモニタ機器20のSIRCS受信部244aと同様の処理工程を行う。具体的にSIRCS信号規格の起動制御信号から起動制御信号を読み取る図11のステップS101〜108に示した各処理工程が、図13のステップS201〜208に示す処理工程が対応し、UART受信部144aでは、UART信号規格の起動制御信号から起動制御信号を読み取る。
【0136】
ソース機器10のSIRCS送信部144bは、上述したモニタ機器20のUART送信部244bと同様の処理工程を行う。具体的にバッファ部244cに記憶された起動制御データをUART信号規格の起動制御信号に変換する図11のステップS111〜120に示した各処理工程に、図14のステップS211〜220に示す処理工程が対応し、SIRCS送信部144bでは、バッファ部144cに記憶された起動制御データをSIRCS信号規格の起動制御信号に変換する。
【0137】
このように、モニタ機器20における起動制御部244は、起動制御データをバッファ部244cに一時的に記憶することにより、UART信号規格の起動信号を送り出す時間を調節する。これにより、起動制御部244は、図15に示すように、SIRCS信号規格の起動制御信号に対して、信号の周波数成分を低いUART信号規格の起動制御信号に変換してE/O変換部242へ送信することができる。また、ソース機器10における起動制御部144は、起動制御データをバッファ部144cに一時的に記憶することにより、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して送信されたUART信号規格の起動制御信号をSIRCS信号規格に変換してソース本体部11へ送信することができる。
【0138】
なお、本実施の形態に示した起動制御工程は、起動制御信号をE/O変換部に出力して光信号ケーブル30を介して他方の機器へ送信する送信起動命令処理と、送信される起動制御信号に応じて起動を行う受信起動制御処理との2つの処理を行う起動制御プログラムが、それぞれの起動制御部144、244に組み込まれている。また、本実施形態では、モニタ機器20の起動制御部244が送信起動命令処理を行い、ソース機器10の起動制御部144が受信起動制御処理を行う起動処理工程を示した。しかし、このような起動処理工程に限らず、ソース機器10の起動制御部144が送信起動命令処理を行い、モニタ機器20の起動制御部244が受信起動制御処理を行うように、起動制御部の各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしてもよい。また、起動制御部144、244が、送信起動命令処理及び受信起動制御処理の両方を行うように、起動制御部における各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしても良い。
【0139】
<割り込み周期を補正する起動制御処理工程>
ところで、ソース機器10とモニタ機器20との間で、UART信号規格の起動制御信号を正確に伝送するには、それぞれの機器の起動制御部144、244の動作クロックの周波数と、絶対時間とが一致している必要がある。そのためには、それぞれの機器の起動制御部144、244は、同一周波数の動作クロックを比較的高精度に発振する水晶発振器等を用いればよい。
【0140】
しかし、本発明では、このような水晶発振器よりも動作クロックの生成精度が低いが、水晶発振器よりも安価なCR発振器を備える起動制御部144、244を用いている。
【0141】
以下に、本発明に係る光伝送システム1により、クロック周波数のずれを調整する処理と(実施例1乃至6)、絶対時間のずれを調整する処理(実施例7乃至11)とについて説明する。
【0142】
まず、クロック周波数のずれを調整する処理(実施例1乃至6)について説明する。
【0143】
<実施例1>
モニタ機器20の起動制御部244は、時間を計測するタイマをさらに備え、当該タイマに応じて生成される第1のタイマ補正信号を、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。ここで、第1のタイマ補正信号は、図16に示すように、予め設定された所定時間間隔であるベースタイム毎に生成される2つのパルス信号である。すなわち、ベースタイムは、第1のパルス信号の立ち上がり時から第2のパルス信号の立ち上がり時までの時間間隔である。なお、ベースタイムは、当該パルス信号の立ち下がり時の間隔としても良い。モニタ機器20の起動制御部244は、第1のパルス信号を生成するとともに、ベースタイムを当該タイマで計測し、ベースタイム経過後に第2のパルス信号を生成する割り込み処理を行い、第1のタイマ補正信号を生成する。
【0144】
一方、ソース機器10の起動制御部144も、時間を計測するタイマをさらに備え、入力信号レベルの変化を検出することで割り込み処理を行うように、タイマ補正信号の入力に待機する。起動制御部144は、第1のパルス信号の立ち上がりを検出して、タイマが時間の計測を開始する。続いて、起動制御部144は、第2のパルス信号の立ち上がりを検出して、タイマが行っている時間計測を終了する。ここで、起動制御部144は、計測カウント数をソース機器20のベースタイムであるソースベースタイムとして記憶する。
【0145】
続いて、ソース機器10の起動制御部144は、予め記憶されているモニタ機器20のモニタベースタイムと、ソースベースタイムとの比較を行う。ここで、ソースベースタイムとモニタベースタイムとが一致していれば、ソース機器10の起動制御部144及びモニタ機器20の起動制御部244において、両方の動作クロックの周波数は一致する。一方、ソースベースタイムとモニタベースタイムとが一致していない場合には、起動制御部144及び起動制御部244の動作クロック周波数が一致しない。そこで、ソース機器10の起動制御部144は、ソースベースタイムを分子とし、モニタベースタイムを分母とした分数を算出し、当該分数値を割り込み周期補正値として設定する。
【0146】
続いて、ソース機器10の起動制御部144は、タイマ補正値に応じて割り込み周期を補正してモニタ機器20の起動制御部244と同期をとる。したがって、起動制御部144は、所定の割り込み周期に応じて起動制御信号から起動制御データを正確に読み取ることができる。
【0147】
<実施例2>
次に、UART信号規格の起動制御信号を用いて、起動制御部144、244とが互いに同期する処理工程に関して説明する。
【0148】
まず、モニタ機器20の起動制御部244は、図17(A)に示すUART信号規格の伝送信号に基づいて、図17(B)に示す第2のタイマ補正信号を生成し、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。図17(A)に示す信号は、起動制御信号の伝送開始及び終了を示すそれぞれ1ビットのスタートビット及びストップビットと、当該スタートビット及びストップビットの間で伝送される12ビットの起動制御データとの合計14ビットのUART信号規格に応じた起動制御信号である。また、図17(B)に示す第2のタイマ補正信号は、図17(A)に示す信号において12ビット分の起動制御データの値を全て「0」にした信号である。ここで、起動制御信号における1ビット分のデータに応じたパルス時間幅をビットパルスTにする。よって、タイマ補正を行うためのベースタイムは、スタートビットパルスの立ち上がりからストップビットパルスの立ち上がりまでの、13×Tとなる。一方、ソース機器10の起動制御部144は、第2のタイマ補正信号が入力されると、第2のタイマ補正信号に応じて割り込み周期の補正を行う。
【0149】
次に、第2のタイマ補正信号を用いた割り込み周期の補正処理に関して詳細に説明する。
【0150】
モニタ機器20の起動制御部244は、図18に示すように、上述した起動制御部244と同様の構成に加えて、CRクロック発振部244dと、クロック分周部244fと、タイマ部244e−Aと、タイマ部244e−Bとを備える。
【0151】
CRクロック発振部244dは、当該起動制御部を構成する演算処理装置に備えられたCR発振回路から構成される発振器であり、所定時間間隔のクロック信号を生成する。
【0152】
クロック分周部244fは、CRクロック発振部244dが発振したクロック信号に応じて分周クロックを生成する。タイマ部244e−A及びタイマ部244e−Bは、クロック分周部244fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令を、それぞれSIRCS受信部244a及びUART送信部244bへ出力する。具体的にタイマ部244e−A、244e−Bは、それぞれクロックカウンタを備え、当該クロックカウンタに割り込み周期に応じたクロック数を設定する。その後、当該クロックカウンタは、1クロックずつクロックカウンタ数を減少させて、その値が「0」になると割り込み命令を出力する。
【0153】
次に、起動制御部244のUART送信部244bが行う起動制御プログラムに応じた、起動制御信号の信号規格変換処理に関して図19を参照して詳細に説明する。なお、SIRCS受信部244aは、図12に示した処理を行い、バッファ部244cに起動制御データが格納されているものとする。
【0154】
ステップS301において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0155】
ステップS302において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に記憶されているデータを消去する。
【0156】
ステップS303において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに出力要求命令を送信する。
【0157】
ステップS304において、バッファ部244cは、起動制御プログラムに従って、出力要求命令に応じて、データレジスタ244b−2へ起動制御データの読み込みを開始する。
【0158】
ステップS305において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cからデータレジスタ244b−2への起動制御データの読み込みが完了したか否かを判断する。UART送信部244bは、当該起動制御データの読み込みが完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS306へ進む。
【0159】
ステップS306において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cへの出力要求命令の送信を停止する。
【0160】
ステップS307において、データレジスタ244b−2は、起動制御プログラムに従って、当該レジスタに記憶された起動制御データを、UARTエンコーダ部244a−1へ出力する。
【0161】
ステップS308において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部に設けられたワーキングレジスタに12ビットの起動制御データ(D1〜D12)を書き込む。ここで、当該ワーキングレジスタは、起動制御データを記憶させる15ビットの記憶領域を有し、起動制御データのD1を当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)として、12ビット分の起動制御データを書き込む。
【0162】
ステップS309において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに書き込まれた12ビットの起動制御データを最上位ビット(15ビット目)方向へ1ビット分ずつ移動させる。
【0163】
ステップS310において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタのデータ記憶領域の最上位ビット(15ビット目)の値を0に設定する。
【0164】
ステップS311において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)と14ビット目の値を1に設定する。ここで、当該ワーキングレジスタにおいて、値が1に設定された最下位ビット(1ビット目)及び14ビット目は、それぞれ起動制御信号の送信開始を示すスタートビット及び送信終了を示すストップビットとなる。
【0165】
ステップS312において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1のワーキングレジスタの各記憶領域を参照する変数CNの値を、当該ワーキングレジスタに記憶されたデータ数である15に設定する。
【0166】
ステップS313において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1に、当該ワーキングレジスタの最下位ビット(1ビット目)に格納されたデータの値が1であるか否かを判断させる。UART送信部244bは、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が1であると判断されるとステップS314へ進み、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が0であると判断されるとステップS315へ進む。
【0167】
ステップS314において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをHighに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS316へ進む。
【0168】
ステップS315において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをLowに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS316へ進む。
【0169】
ステップS316において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最小位ビット方向へ1ビット分移動させる。
【0170】
ステップS317において、タイマ部244e−Aは、起動制御プログラムに従って、ビットパルスTを割り込み周期として設定する。具体例として、本実施の形態において用いるビットパルスTは、CRクロック発振部244dが発振する1000クロックをクロックカウント数に設定する。
【0171】
ステップS318において、タイマ部244e−Aは、起動制御プログラムに従って、割り込み周期として設定された1000クロックのビットパルスTを1クロックずつ減少させて、クロックカウント数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部244e−Aは、この処理を繰り返し行い、その後クロックカウント数が0になるとステップS319へ進む。
【0172】
ステップS319において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNをデクリメントする。
【0173】
ステップS320において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNの値が0であるか否かを判断する。UART送信部244bは、変数CNの値が0であると判断するとステップS302へ戻り、変数CNの値が0でないと判断するとステップS313へ戻る。
【0174】
このようにして、UART送信部244bは、まず、ステップS308において12ビットの起動制御データの値を全て0に設定した第2のタイマ補正信号をE/O変換部242へ送信する。続いて、UART送信部244bは、SIRCS受信部244aによって読み出されてバッファ部244cに格納された起動制御データに応じたUART信号規格の起動制御信号を生成し、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。
【0175】
次に、ソース機器10の起動制御部144の処理工程について詳細に説明する。まず、起動制御部144は、図20に示すように、上述した起動制御部144と同様の構成に加えて、CRクロック発振部144dと、クロック分周部144fと、タイマ部144e−Aと、タイマ部144e−Bとをさらに備える。
【0176】
CRクロック発振部144dは、当該起動制御部を構成する演算処理装置に備えられたCR発振回路から構成される発振器により、所定時間間隔のクロック信号を生成する。
【0177】
タイマ部144e−A及びタイマ部144e−Bは、クロック分周部144fにより生成された分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期に応じた割り込み命令をそれぞれUART受信部144a及びSIRCS送信部144bへ出力する。
【0178】
次に、起動制御部144のUART受信部144aの起動制御プログラムに応じた起動制御信号の信号規格変換処理工程に関して、図21を参照して説明する。
【0179】
ステップS401において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0180】
ステップS402において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のモニタベースタイムに応じてタイマ補正値を算出する。なお、当該処理工程に関しては、図22を参照して後述する。
【0181】
ステップS403において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2に記憶されているデータを消去する。
【0182】
ステップS404において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0183】
ステップS405において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該判断処理工程を行い、その後ステップS406へ進む。
【0184】
ステップS406において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部に設けられたワーキングレジスタに記憶されているデータを消去する。
【0185】
ステップS407において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの記憶領域を参照する変数DNの値を12に設定する。
【0186】
ステップS408において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ワーキングレジスタからタイマ補正値を参照する。
【0187】
ステップS409において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、1.5×T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定させる。続いて、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0188】
ステップS410において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムに従って、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、その後ステップS411へ進む。
【0189】
ステップS411において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から入力される起動制御信号の信号レベルがHighであるか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルがHighであると判断するとステップS412へ進み、当該信号レベルがHighでないと判断するとステップS413へ進む。
【0190】
ステップS412において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を1に設定し、ステップS414へ進む。
【0191】
ステップS413において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を0に設定し、その後ステップS414へ進む。
【0192】
ステップS414において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最上位ビット方向へ1ビット分移動させる。
【0193】
ステップS415において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定させる。続いて、タイマ部144e−Aは、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0194】
ステップS416において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNをデクリメントする。
【0195】
ステップS417において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNの値が0であるか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、変数DNの値が0であると判断するとステップS418へ進み、変数DNの値が0でないと判断するとステップS410へ戻る。
【0196】
ステップS418において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに格納された起動制御データをデータレジスタ144a−2へ供給する。
【0197】
ステップS419において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、バッファ部144cへ入力要求命令を送信する。
【0198】
ステップS420において、バッファ部144cは、起動制御プログラムに従って、入力要求命令に応じて、データレジスタ144a−2に記憶されている起動制御データの読み込みを開始する。
【0199】
ステップS421において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2からバッファ部144cへの起動制御データの出力が完了したか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、起動制御データの出力が完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS403へ戻る。
【0200】
次に、ステップS402における割り込み周期の補正値を算出する処理工程を、図22を参照して詳細に説明する。
【0201】
ステップS431において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0202】
ステップS432において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該処理工程を繰り返し、その後ステップS433へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のスタートビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する。
【0203】
ステップS433において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、当該タイマ部のクロックカウンタ数の最大値を設定し、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。ここで、当該クロックカウンタ数の最大値は、一回に伝送される起動制御信号の信号幅に対して十分に大きいければよく、具体例として64000クロックに設定されるものとする。
【0204】
ステップS434において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該処理工程を繰り返し、その後ステップS435へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号のストップビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する。
【0205】
ステップS435において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値よりも大きいか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値より大きいと判断するとステップS436へ進み、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))の値が12×Tの値より大きくないと判断するとステップS434へ戻る。
【0206】
ステップS436において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aのクロックカウント数から、UART信号規格のソースベースカウントを算出する。具体的に、ソースベースタイムは、((クロックカウントの最大値)−(現在のタイマ部244e−Aのクロックカウント数))とする。よって、起動制御部144におけるビットパルスは、ソースベースタイムを12分割したソースベースカウントとなり、ここで具体例として1100クロックに設定されたとして扱う。
【0207】
ステップS437において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ソースベースカウントを分子に、モニタベースタイムを12分割したモニタベースカウントを分母とした分数値をタイマ補正値として算出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該ワーキングレジスタにおいて予めモニタベースカウントが記憶されているものとする。
【0208】
ステップS438において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ補正値を当該ワーキングレジスタに記憶させる。
【0209】
このようにして、UART受信部144aは、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる第2のタイマ補正信号からタイマ補正値を算出し、当該タイマ補正値に応じて割り込み周期を補正する。このことにより、UART受信部144aは、モニタ機器20から起動制御データの読み取り処理を正確に行うことができる。
【0210】
<第3の実施例>
次に、起動制御データの読み取りを行いながら、タイマ部の割り込み周期を補正する処理工程に関して説明する。ここで、起動制御部144、244は、それぞれ図20及び図18に示す構成を有している。
【0211】
モニタ機器20の起動制御部244は、図23に示すように、12ビットの起動制御データとストップビットとの間に、値が0であって1ビットのデータを追加したUART信号規格のタイマ補正起動制御信号を生成して、光伝送ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。そして、ソース機器10は、モニタ機器20から光伝送ケーブルを介して伝送されてくるタイマ補正起動制御信号に応じて、割り込み周期の補正を行う。
【0212】
まず、モニタ機器20の起動制御部244におけるUART送信部244bの処理工程について図24及び図25を参照して詳細に説明する。なお、SIRCS受信部244aは、上述した図11に示した処理を行い、バッファ部244cに起動制御データが格納されているものとする。
【0213】
ステップS501において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0214】
ステップS502において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ244b−2に記憶されているデータを消去する。
【0215】
ステップS503において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cに出力要求命令を送信する。
【0216】
ステップS504において、バッファ部244cは、起動制御プログラムに従って、出力要求命令に応じて、データレジスタ244b−2へ起動制御データの読み込みを開始する。
【0217】
ステップS505において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cからデータレジスタ244b−2への起動制御データの読み込みが完了したか否かを判断する。UART送信部244bは、当該起動制御データの読み込みが完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後、ステップS506へ進む。
【0218】
ステップS506において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、バッファ部244cへの出力要求命令の送信を停止する。
【0219】
ステップS507において、データレジスタ244b−2は、起動制御プログラムに従って、当該レジスタに記憶された起動制御データを、UARTエンコーダ部244a−1へ出力する。
【0220】
ステップS508において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部に設けられたワーキングレジスタに12ビットの起動制御データ(D1〜D12)を書き込む。ここで、ワーキングレジスタには、少なくとも16ビットのデータ記憶領域を有し、起動制御データのD1を当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)として、12ビット分の起動制御データが書き込まれる。
【0221】
ステップS509において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタに書き込まれた12ビットの起動制御データを最上位ビット(16ビット目)方向へ1ビット分ずつ移動する。
【0222】
ステップS510において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタのデータ記憶領域の最上位ビット(16ビット目)の値を0に設定する。
【0223】
ステップS511において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの14ビット目の値を0に設定する。
【0224】
ステップS512において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの最小位ビット(1ビット目)及び15ビット目の値をそれぞれ1に設定する。ここで、当該ワーキングレジスタにおいて、値が1に設定された最下位ビット(1ビット目)及び15ビット目は、それぞれ起動制御信号の送信開始を示すスタートビット及び送信終了を示すストップビットに該当する。
【0225】
ステップS513において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1のワーキングレジスタの各記憶領域を参照する変数CNの値を、当該ワーキングレジスタに記憶されたデータの総ビット数である16に設定する。
【0226】
ステップS514において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、UARTエンコーダ部244a−1に、当該ワーキングレジスタの最下位ビット(1ビット目)に格納されたデータの値が1であるか否かを判断させる。UART送信部244bは、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が1であると判断されるとステップS515へ進み、当該ワーキングレジスタの最小位ビットの値が0であると判断されるとステップS516へ進む。
【0227】
ステップS515において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをHighに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS517へ進む。
【0228】
ステップS516において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、信号レベルをLowに設定して、起動制御信号をE/O変換部242へ出力し、その後ステップS517へ進む。
【0229】
ステップS517において、UARTエンコーダ部244a−1は、起動制御プログラムに従って、当該エンコーダ部のワーキングレジスタに格納されたデータを最小位ビット方向へ1ビット分移動させる。また、最下位ビットに格納されていたデータは消去される。
【0230】
ステップS518において、タイマ部244e−Bは、起動制御プログラムに従って、ビットパルスTを割り込み周期として設定する。具体例として、本実施の形態において用いるビットパルスTは、CRクロック発振部244dが発振するクロックの1000回分として扱う。
【0231】
ステップS519において、タイマ部244e−Bは、起動制御プログラムに従って、割り込み周期として設定された1000クロックを1クロックずつ減少させ、クロック数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部244e−Bは、この処理を繰り返し行い、その後ステップS520へ進む。
【0232】
ステップS520において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNをデクリメントする。
【0233】
ステップS521において、UART送信部244bは、起動制御プログラムに従って、変数CNの値が0であるか否かを判断する。UART送信部244bは、変数CNの値が0であると判断するとステップS502へ戻り、変数CNの値が0でないと判断するとステップS514へ戻る。このようにして、UART送信部244bは、タイマ補正起動制御信号を生成する。
【0234】
次に、起動制御部144のUART受信部144aにおける起動制御プログラムに応じた起動制御信号の信号規格変換処理工程に関して、図26及び図27を参照して説明する。
【0235】
ステップS601において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、待機状態から通常動作状態へ移行する。
【0236】
ステップS602において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるタイムベース信号に応じてタイマ補正値を算出する。ここで、タイマ補正値の算出処理工程は、上述した図22に示す処理工程によって行われるものとする。なお、タイマ補正値は、初期段階において図22に示す算出工程を行わずに、当該初期値が予め1に設定されているものとして扱っても良い。
【0237】
ステップS603において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2に格納されているデータを消去する。
【0238】
ステップS604において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、UARTデコーダ部144a−1を、起動制御信号の信号レベルの変化を検出するように設定する。
【0239】
ステップS605において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該検出処理工程を行い、その後ステップS606へ進む。
【0240】
ステップS606において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部に設けられたワーキングレジスタに記憶されているデータを消去する。
【0241】
ステップS607において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタの記憶領域を参照する変数DNの値を12に設定する。
【0242】
ステップS608において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該ワーキングレジスタからタイマ補正値を参照する。
【0243】
ステップS609において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、1.5×T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウント数を1クロックずつ減少させる。
【0244】
ステップS610において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムに従って、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、その後ステップS611へ進む。
【0245】
ステップS611において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給される起動制御信号の信号レベルがHighであるか否かを判断する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルがHighであると判断するとステップS612へ進み、当該信号レベルがHighでないと判断するとステップS613へ進む。
【0246】
ステップS612において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を1に設定し、ステップS614へ進む。
【0247】
ステップS613において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタの最小位ビットの値を0に設定し、ステップS614へ進む。
【0248】
ステップS614において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、当該デコーダ部のワーキングレジスタに記憶されているデータを、それぞれ最上位ビット方向へ1ビット分移動する。
【0249】
ステップS615において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、T×(タイマ補正値)をクロックカウンタ数として設定する。続いて、タイマ部144e−Aは、当該クロックカウンタ数を1クロックずつ減少させる。
【0250】
ステップS616において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNをデクリメントする。
【0251】
ステップS617において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、変数DNの値が0であるか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、変数DNの値が0であると判断するとステップS618へ進み、変数DNの値が0でないと判断するとステップS610に戻る。
【0252】
ステップS618において、タイマ部144e−Aは、起動制御プログラムにしたがって、クロックカウンタ数が0になったか否かを判断する。ここで、タイマ部144e−Aは、クロックカウンタ数が0になるまで繰り返し、0になった際にステップS619に進む。
【0253】
ステップS619において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aに、当該タイマ部のクロックカウンタ数の最大値を設定し、当該クロックカウント数を1クロックずつ減少させる。ここで、当該クロックカウント数の最大値は、一回に伝送されるタイマ補正起動制御信号の信号幅に対して十分に大きければよく、具体例として64000クロックに設定されるものとする。
【0254】
ステップS620において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、O/E変換部143から供給されるタイマ補正起動制御信号の信号レベルの変化を検出する。ここで、UARTデコーダ部144a−1は、当該信号レベルの変化を検出するまで当該検出処理を繰り返し、その後ステップS621へ進む。すなわち、UARTデコーダ部144a−1は、モニタ機器20から光伝送ケーブルを介して伝送されてくるタイムベース信号のストップビットに応じたパルス信号の立ち上がりを検出する割り込み処理を行う。
【0255】
ステップS621において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、タイマ部144e−Aのクロックカウンタ数から、UART信号規格の1ビット分のモニタベースカウントを算出する。ここで、モニタベースカウントは、((クロックカウント数の最大値)−(現在におけるタイマ部144e−Aのクロックカウント数)+(T/2+T×((起動制御データ数)+1)/補正値))から算出される。具体的な数値を代入した場合には、64000−(タイマ部144e−Aのクロックカウント数)+(1000/2+1000×(12+2)×1.1)より求められる。
【0256】
ステップS622において、UARTデコーダ部144a−1は、起動制御プログラムに従って、ソースベースカウント数を分子に、モニタベースカウントを分母とした分数値を算出して、タイマ補正値として更新する。
【0257】
ステップS623において、UARTデコーダ部144a−1は、当該ワーキングレジスタに格納された起動制御データをデータレジスタ144a−2へ供給する。
【0258】
ステップS624において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、バッファ部144cへ入力要求命令を送信する。
【0259】
ステップS625において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、入力要求命令に応じて、データレジスタ144a−2に記憶されている起動制御データの読み込みを開始する。
【0260】
ステップS626において、UART受信部144aは、起動制御プログラムに従って、データレジスタ144a−2からバッファ部144cへの起動制御データの出力が完了したか否かを判断する。ここで、UART受信部144aは、起動制御データの出力が完了するまで当該判断処理を繰り返し、その後ステップS603に戻る。
【0261】
このようにして、UART受信部144aは、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるUART信号規格のタイマ補正起動制御信号から起動制御データの読み出しを行うとともに、タイマ補正値を算出し、当該タイマ補正値を用いて継続して割り込み周期を補正することができる。
【0262】
<実施例4>
UART信号規格の起動制御信号の読み取りを行う際に用いる割り込み周期を補正する方法は、上述した実施例1〜3の方法を組み合わせて行うことができる。具体的には、起動制御部144、244は、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を用いて、初期段階において割り込み周期を一致させ、その後タイマ補正起動制御信号の伝送毎に、継続的にタイマ補正値を補正して割り込み周期を一致させる。
【0263】
<実施例5>
モニタ機器20の起動制御部244は、図28に示すように、図18の起動制御部244と同様の構成に加えて、タイマ部244e−Cをさらに備える。
【0264】
タイマ部244e−Cは、クロック分周部244fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令をUART送信部244bへ出力する。ここで、タイマ部244e−Cは、タイマ部244e−Aと異なる割り込み周期をUART送信部244aへ出力する。そして、UART送信部244aは、タイマ部244e−Cからの割り込み命令に応じて、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を生成し、光伝送−ケーブル30を介してソース機器10へ伝送する。
【0265】
ソース機器10の起動制御部144は、図29に示すように、図20の起動制御部144と同様の構成に加えて、タイマ部144e−Cをさらに備える。
【0266】
タイマ部144e−Cは、クロック分周部144fが生成した分周クロックに応じて割り込み周期を設定し、当該割り込み周期毎に割り込み命令をUART受信部144aへ出力する。ここで、タイマ部144e−Cは、タイマ部144e−Aと異なる周期の割り込み周期をUART受信部144aへ出力する。そして、UART受信部144aは、タイマ部144e−Cからの割り込み命令に応じて、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくる、第1のタイマ補正信号、又は、第2のタイマ補正信号を検出して、タイマ補正値を補正する。このようにして、起動制御部144、244は、一定時間間隔毎に継続してタイマ補正値を更新して、正確に起動制御信号を送信することができる。
【0267】
<実施例6>
モニタ機器20の起動制御部244は、図30に示すように、図18に示した起動制御部244のクロック分周部244fの代わりにクロック可変分周部244f1を備える。
【0268】
クロック可変分周部244f1は、周波数が変えられるデジタルコントロールオシレータであって、CRクロック発振部244dにより発振されたクロック信号に応じて、分周クロックを生成する。また、クロック可変分周部244f1は、パラメータM、Nに応じて、分周クロックの周期を変更する。ここで、クロック可変分周部244f1のパラメータM、Nは、タイマ部244e−Bが正確に動作するための適切な値を設定する。そして、起動制御部244は、クロック補正信号、又は、タイムベース信号を、光伝送ケーブル30を介してモニタ機器20へ伝送する。
【0269】
また、ソース機器10の起動制御部144は、図31に示すように、図20に示した起動制御部144のクロック分周部144fの代わりに、クロック可変分周部144f1を備える。
【0270】
クロック可変分周部144f1は、周波数が変えられるデジタルコントロールオシレータであって、CRクロック発振部144dにより発振されたクロック信号に応じて、分周クロックを生成する。また、クロック可変分周部144f1は、パラメータM、Nに応じて、分周クロックの周期を変更する。
【0271】
起動制御部144は、モニタ機器20から光伝送ケーブル30を介して伝送されてくるタイマ補正信号又はタイマ補正起動制御信号からタイマ補正値を算出する。続いて、起動制御部144は、クロック可変分周部144f1に、タイマ補正値に応じて、クロック可変分周部144f1のパラメータM、Nの値を更新させる。なお、クロック可変分周部144f1は、パラメータM、Nの両方の値を変更する場合に限らず、当該パラメータの一方をタイマ補正値に応じて更新するようにしても良い。
【0272】
このようにして、起動制御部144、244は、分周クロックをデジタルコントロールオシレータを用いてハードウェア的に変更して、正確に両者の間で起動制御信号を伝送することができる。
【0273】
以上のように、起動制御部144、244は、CRクロック発振回路によって生成される動作クロックを用いても、正確に起動制御信号の伝送処理を行うことができるので、CR発振器に比べて高精度にクロックを生成する水晶発振器等を用いる必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0274】
また、起動制御部144、244は、CR発振回路とデジタルコントロールオシレータを内蔵し低消費電力性能を有するマイクロコンピュータを用いることができるので、1つのマイクロコンピュータで当該制御部が構成され、低コスト及び省電力となる。
【0275】
また、起動制御部144、244は、両者のCRクロック発振部のクロック周波数が異なっていても、正確に起動制御信号の伝送が行えるため、クロック周波数のずれの許容範囲が増加するため、ハードウェア的な制約がより緩和される。
【0276】
また、起動制御部144、244は、継続してタイマ補正値を補正するので、環境温度変化に応じたクロック周波数のずれの影響を低減することができる。
【0277】
つぎに、絶対時間のずれを調整する処理(実施例7乃至11)について説明する。起動制御部144と起動制御部244において、絶対時間にずれが生じている場合、システムクロックが一致していても、SIRCSエンコーダ部144b−1により得られるSIRCS信号のパルス幅に数%〜数十%程度のずれが発生してしまい、SIRCS規格に準拠しない信号になってしまう。そこで、本発明では、以下に示す方法によって、絶対時間のずれを調整する。
【0278】
なお、以下の実施例では、起動制御部244の構成(図18)を簡略化した構成を図32に示し、起動制御部144の構成(図20)を簡略化した構成を図33に示す。また、以下の実施例7乃至11においては、上述した実施例1乃至6の何れか一の調整作業により、ソース伝送処理部14に備えられている起動制御部144のクロック分周部144fのシステムクロックと、モニタ伝送処理部24に備えられている起動制御部244のクロック分周部244fのシステムクロックとは、ともに一致しているものとする。
【0279】
<実施例7>
赤外線リモートコントローラ40によりモニタ機器20にSIRCS信号が入力された場合、起動制御部244のSIRCSデコーダ244a−1は、図34に示すように、タイマ部244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間(T0,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9・・・Tn・・・)を計測する。なお、タイマ部244e−Aは、いわゆるアップカウンタとして動作する。
【0280】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、計測した値をバイナリデータ値に変換し、変換後の信号をUARTエンコーダ244b−1に転送する。
【0281】
ここで、SIRCSデコーダ244a−1の動作について、図35に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0282】
SIRCSデコーダ244a−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS700)、SIRCS信号の入力(割り込み)の有無を判断する(ステップS701)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、計測時間(Tn)と、一つ前に計測した時間(Told)とがある。ステップS700の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0283】
SIRCSデコーダ244a−1は、SIRCS信号の入力を確認した場合、カウンタ(CN)を一つインクリメントし(ステップS702)、CNが「1」かどうかを判断する(ステップS703)。なお、ステップS702の工程に示すCNoldは、1つ前のCNを示している。
【0284】
SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」である場合には、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS704)、ステップS701の工程に戻る。
【0285】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」ではない場合には、タイマ244e−Aの値から、Toldに設定されている値を減算し、Tnを算出する(ステップS705)。
【0286】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS706)、ステップS705の工程で算出されたTnをUARTエンコーダ244b−1に転送する(ステップS707)。
【0287】
つぎに、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが規定値(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS708)、規定値に達している場合には、ステップS700の工程に戻り、規定値に達していない場合には、ステップS701の工程に戻る。
【0288】
UARTエンコーダ244e−Bは、図36に示すように、タイマ244b−1を用いて、SIRCSデコーダ244e−Aから転送されたバイナリデータ値に基づいてUART信号を生成し、生成したUART信号をE/O変換部242に供給する。なお、図36に示す例では、バイナリデータ値を10ビットで示してあるが、これに限られない。また、タイマ244b−1は、いわゆるダウンカウンタとして動作する。
【0289】
E/O変換部242は、供給されたUART信号を光信号に変換し、光信号ケーブル30を介してソース伝送処理部14に供給する。
【0290】
ソース伝送処理部14のO/E変換部143は、供給された光信号を電気信号(UART信号)に変換し、起動制御部244のUARTデコーダ144a−1に供給する。
【0291】
UARTデコーダ144a−1は、供給されたUART信号をデコード処理し、バイナリデータ値の時間間隔データを取得し、取得した時間間隔データをSIRCSエンコーダ144b−1に送る。
【0292】
SIRCSエンコーダ144b−1は、バイナリデータ値T0,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9・・・を順にタイマ144e−Bにセットし、I/OアウトプットラインのLow/Highを動作させ、SIRCS信号を生成する(図37)。なお、SIRCSエンコーダ144b−1は、クロック分周部144fによる分周比を調整することにより、バイナリデータ値を順にタイマ144e−Bにセットする。
【0293】
ここで、SIRCSエンコーダ144b−1の動作について、図38に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0294】
SIRCSエンコーダ144b−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS710)、UARTエンコーダ144a−1から時間間隔データの入力の有無を判断する(ステップS711)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、時間間隔(Tn)とがある。ステップS710の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0295】
SIRCSエンコーダ144b−1は、時間間隔データの入力を確認した場合、タイマ144e−Bを用いて時間間隔(Tn)を計測する(ステップS712)。
【0296】
SIRCSエンコーダ144b−1は、CNを「1」カウントアップし(ステップS713)、ステップS712の工程により計測したTnをタイマ144e−Bに設定する(ステップS714)。
【0297】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みの有無を判断する(ステップS715)。
【0298】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みがあった場合には、ステップS713の工程によりカウントアップされているCNが奇数であるか、偶数であるのかを判断し(ステップS716)、CNが奇数に設定されている場合には、出力信号を「High」に設定し(ステップS717)、CNが偶数に設定されている場合には、出力信号を「Low」に設定する(ステップS718)。
【0299】
また、SIRCSエンコーダ144b−1は、CNが規定数(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS719)、規定数に達している場合には、ステップS710の工程に戻り、規定数に達していない場合には、ステップS711の工程に戻る。
【0300】
SIRCSエンコーダ144b−1は、ステップS717及びステップS718の工程によって、図37に示すSIRCSに準拠したパルス信号を生成する。
【0301】
このようにして、起動制御部244は、モニタ機器20から供給されたSIRCS信号をデコード(解読)して起動制御部144に伝送するのではなく、当該SIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データを起動制御部144に伝送するので、CRクロック発振部244dとCRクロック発振部144dの絶対時間にずれが生じていても、SIRCS信号を確実に伝送することができる。
【0302】
<実施例8>
つぎに、上述した実施例7によるUARTエンコーダ244b−1により生成されるUART信号(図36)に、「Sign」ビットを追加する実施例について説明する。
【0303】
SIRCSデコーダ244e−Aは、タイマ244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間を計測し、SIRCS信号のLowからHighへの変換のときには「Sign」ビットを「0」に設定し、SIRCS信号のHighからLowへの変換のときには「Sign」ビットを「1」に設定する。
【0304】
UARTエンコーダ244e−Bは、図39に示すように、タイマ244b−1を用いて、SIRCSデコーダ244e−Aから転送されたバイナリデータ値に基づいてUART信号を生成し、生成したUART信号をE/O変換部242に供給する。
【0305】
なお、図39では、「Sign」ビットがUART信号の先頭に挿入される例を示したが、「Sign」ビットの挿入位置は、UART信号の途中であっても、末尾であっても良い。
【0306】
ここで、SIRCSデコーダ244a−1の動作について、図40に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0307】
SIRCSデコーダ244a−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS800)、SIRCS信号の入力(割り込み)の有無を判断する(ステップS801)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、計測時間(Tn)と、一つ前に計測した時間(Told)と、Signビット(Sign)とがある。ステップS700の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0308】
SIRCSデコーダ244a−1は、SIRCS信号の入力を確認した場合、カウンタ(CN)を一つインクリメントし(ステップS802)、CNが「1」かどうかを判断する(ステップS803)。なお、ステップS802の工程に示すCNoldは、1つ前のCNを示している。
【0309】
SIRCSデコーダ244a−1は、CNが「1」である場合には、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS804)、ステップS801の工程に戻る。
【0310】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、入力されたSIRCS信号がHighかどうかを判断し(ステップS805)、Highの場合にはSignを「1」に設定し(ステップS806)、Highではない場合(Lowの場合)にはSignを「0」に設定する(ステップS807)。
【0311】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値から、Toldに設定されている値を減算し、Tnを算出する(ステップS808)。
【0312】
そして、SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ244e−Aの値をToldに設定し(ステップS809)、ステップS806又はステップS807の工程で設定されたSignと、ステップS808の工程で算出されたTnをUARTエンコーダ244b−1に転送する(ステップS810)。
【0313】
つぎに、SIRCSデコーダ244a−1は、CNが規定値(例えば「25」)に達しているかどうか判断し(ステップS811)、CNが規定値に達している場合には、ステップS800の工程に戻り、規定値に達していない場合には、ステップS801の工程に戻る。
【0314】
つぎに、SIRCSエンコーダ144b−1の動作について、図41に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0315】
SIRCSエンコーダ144b−1は、各パラメータを初期値に設定し(ステップS820)、UARTエンコーダ144a−1から時間間隔データの入力の有無を判断する(ステップS821)。なお、パラメータとしては、カウンタ(CN)と、時間間隔(Tn)と、Signビット(Sign)とがある。ステップS820の工程においては、パラメータのすべてを「0」に設定する。
【0316】
SIRCSエンコーダ144b−1は、時間間隔データの入力を確認した場合、タイマ144e−Bを用いて時間間隔(Tn)を計測し、時間間隔データに含まれているSignを抽出する(ステップS822)。
【0317】
SIRCSエンコーダ144b−1は、CNを「1」カウントアップし(ステップS823)、ステップS822の工程により計測したTnをタイマ144e−Bに設定する(ステップS824)。
【0318】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みの有無を判断する(ステップS825)。
【0319】
SIRCSエンコーダ144b−1は、タイマ144e−Bによる割り込みがあった場合には、ステップS823の工程によりカウントアップされているCNが「1」であるか、若しくはステップS822の工程により抽出されたSignが「0」であるかを判断し(ステップS826)、CNが「1」若しくはSignが「0」の場合には、出力信号を「High」に設定し(ステップS827)、CNが「1」若しくはSignが「0」ではない場合には、出力信号を「Low」に設定する(ステップS828)。
【0320】
また、SIRCSエンコーダ144b−1は、CNが規定数(例えば「25」)に達したかどうかを判断し(ステップS829)、規定数に達している場合には、ステップS820の工程に戻り、規定数に達していない場合には、ステップS78211の工程に戻る。
【0321】
このようにして、起動制御部244は、モニタ機器20から供給されたSIRCS信号をデコード(解読)して起動制御部144に伝送するのではなく、当該SIRCS信号の時間的な変化(Low及びHigh)に基づいて時間間隔データを生成し、生成した時間間隔データを起動制御部144に伝送するので、CRクロック発振部244dとCRクロック発振部144dの絶対時間にずれが生じていても、SIRCS信号を確実に伝送することができる。
【0322】
<実施例9>
ところで、SIRCSの規格では、ガイドパルス時間T0、データビットオフパルス時間T1、第1のデータビットオンパルス時間T2及び第2のデータビットオンパルス時間T3の4つの時間間隔により基本信号が規定されている。また、ガイドパルス時間T0により規定される信号は、ひとつのSIRCS制御コードに1回のみ表れ、データビットオフパルス時間T1、第1のデータビットオンパルス時間T2及び第2のデータビットオンパルス時間T3により規定される信号は、ひとつのSIRCS制御コードに複数回表れる。本実施例では、このようなSIRCS規格の性質を利用する。
【0323】
SIRCSデコーダ244a−1は、タイマ部244e−Aを用いて、入力されたSIRCS信号がLowからHighへ変化するために要する時間及びHighからLowへ変化するために要する時間(T0,T1,T2,T3)を計測する(図42)。
【0324】
また、SIRCSデコーダ244a−1は、T1、T2及びT3に関しては、複数回測定した結果を平均したものとする。
【0325】
SIRCSデコーダ244a−1は、計測したT0,T1,T2及びT3をバイナリデータ値に変換し、変換後の信号をUARTエンコーダ244b−1に転送する。
【0326】
UARTエンコーダ244b−1は、転送されたバイナリデータ値から上述した実施例7又は実施例8に示した手法によりUART信号を生成し、生成したUART信号をソース機器10側に供給する。
【0327】
SIRCSエンコーダ144b−1は、クロック分周部144fを調整し、バイナリデータ値T0,T1,T2及びT3をタイマ144e−Bにセットする。
【0328】
このようにして、本実施例では、最初のSIRCS信号からT0,T1,T2及びT3の計測信号(時間間隔信号)を生成し、当該T0,T1,T2及びT3を起動制御部144のタイマ144e−Bにセットしておくことにより、実施例7及び実施例8のように毎回、SIRCS信号の時間間隔信号を起動制御部144に供給しなくても良い構成となる。つまり、本実施例によれば、起動制御部244によりSIRCS信号を通常通りデコード処理し、その結果を起動制御部144に転送することにより、起動制御部144にセットされているT0,T1,T2及びT3によって正確なSIRCS信号を生成することができる。
【0329】
また、本実施例では、SIRCSデコーダ244a−1により計測したT0,T1,T2及びT3を一定時間間隔で定期的に起動制御部144に供給するような構成であっても良い。
【0330】
さらに、本実施例では、定期的に、赤外線リモートコントローラ40によりモニタ機器20に入力されるSIRCS信号からT0,T1,T2及びT3を測定し、測定したT0,T1,T2及びT3を起動制御部144に供給するような構成であっても良い。このような構成にすることにより、デバイスの温度上昇等による絶対時間の浮動に対応することが可能となる。
【0331】
このように構成される光伝送システム1では、起動制御部144及び起動制御部244におけるクロックの発振に水晶発振器ではなくCR発振器を採用するので、安価に製造することが可能となる。
【0332】
また、現在、モバイル機器などの低消費電力に特化したRAMやROMを内蔵した低消費電力のマイコンにおいて、CR発振用の回路を内蔵し、発振周波数をデジタル制御により変更できるデジタルコントロールオシレータ(DCO)を内蔵しているタイプがあるが、本発明を応用すれば、当該マイコンを1チップで構築することができ、低コスト、省電力となる。
【0333】
また、本発明によれば、起動制御部144のCRクロック発振部144dと起動制御部244のCRクロック発振部244dとの発信周波数にずれが生じていても、その許容範囲が広いため、設計が容易になる。
【0334】
また、本発明によれば、CRクロック発振部144dから出力される発振周波数と、CRクロック発振部244dから出力される発振周波数との絶対時間がずれていても、そのずれを調整できるので、モニタ伝送処理部24に入力されたSIRCS信号のパルス幅と、ソース伝送処理部14から出力されるSIRCS信号のパルス幅とを一致させることができ、環境温度変化に強いシステムを構築することができる。
【0335】
なお、本実施の形態に示した起動制御工程は、起動制御信号をE/O変換部に出力して光信号ケーブル30を介して他方の機器へ送信する送信起動命令処理と、送信される起動制御信号に応じて起動を行う受信起動制御処理との2つの処理を行う起動制御プログラムが、それぞれの起動制御部144、244に組み込まれている。また、本実施形態では、モニタ機器20の起動制御部244が送信起動命令処理を行い、ソース機器10の起動制御部144が受信起動制御処理を行う起動処理工程を示した。しかし、このような起動処理工程に限らず、ソース機器10の起動制御部144が送信起動命令処理を行い、モニタ機器20の起動制御部244が受信起動制御処理を行うように、起動制御部の各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしてもよい。また、起動制御部144、244が、送信起動命令処理及び受信起動制御処理の両方を行うように、起動制御部における各処理ブロックを構成して、プログラムを設定するようにしても良い。
【0336】
さらに、本発明は上述した実施の形態である映像信号を光信号で伝送を行うものに限らず、光伝送ケーブルを介して起動制御を行うものであれば、映像信号以外の音声信号や情報データを光信号で伝送する伝送システムに適用するようにしてもよい。
【0337】
このように、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0338】
【図1】光伝送システムの構成を示す模式図である。
【図2】SIRCS信号規格の信号波形の一例を示す波形図である。
【図3】ソース機器の構成を示す模式図である。
【図4】UART信号規格の信号波形の一例を示す波形図である。
【図5】モニタ伝送処理部の構成を示す模式図である。
【図6】光伝送システムにおける起動制御工程を示すフローチャートである。
【図7】モニタ機器の起動制御部の構成を示す模式図である。
【図8】ソース機器の起動制御部の構成を示す模式図である。
【図9】バッファ部のメモリ領域の構成を示す模式図である。
【図10】バッファ部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図11】モニタ機器の起動制御部のSIRCS受信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図12】モニタ機器の起動制御部のUART送信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図13】ソース機器の起動制御部のUART受信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図14】ソース機器の起動制御部のSIRCS送信部における起動制御データの入出力処理工程を示すフローチャートである。
【図15】SIRCS信号規格とUART信号規格の信号波形とを比較する波形図である。
【図16】第1のタイマ補正信号の信号波形を示す図である。
【図17】UART信号規格の信号(A)と、第2のタイマ補正信号(B)の信号は径を示す図である。
【図18】モニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図19】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図20】ソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図21】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示すフローチャートである。
【図22】タイマ補正値の算出工程を示すフローチャートである。
【図23】タイマ補正起動制御信号の信号波形を示す図である。
【図24】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示す第1のフローチャートである。
【図25】モニタ伝送処理部の起動制御部のUART送信部における起動制御処理を示す第2のフローチャートである。
【図26】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示す第1のフローチャートである。
【図27】ソース伝送処理部の起動制御部のUART受信部における起動制御処理を示す第2のフローチャートである。
【図28】タイマ部を備えるモニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図29】タイマ部を備えるソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図30】タイマ部を備えるモニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図31】タイマ部を備えるソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図32】モニタ伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図33】ソース伝送処理部の起動制御部の構成を示す図である。
【図34】モニタ機器から供給されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図35】モニタ伝送処理部に備えられているSIRCSデコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図36】モニタ伝送処理部に備えられているUARTエンコーダにより生成されるUART信号の波形を示す図である。
【図37】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダにより生成されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図38】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図39】モニタ伝送処理部に備えられているUARTエンコーダにより生成されるSignビットが付加されたUART信号の波形を示す図である。
【図40】モニタ伝送処理部に備えられているSIRCSデコーダの動作の説明に供するフローチャートである。
【図41】ソース伝送処理部に備えられているSIRCSエンコーダの動作の説明に供する図である。
【図42】モニタ機器から供給されるSIRCS信号の波形を示す図である。
【図43】映像信号が電気信号によって伝送される伝送システムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0339】
1 光伝送システム、10 ソース機器、11 ソース本体部、20 モニタ機器、21 モニタ本体部、12、22 映像信号I/F、13、23 制御信号I/F、14 ソース伝送処理部、24 モニタ伝送処理部、141、241 電気信号処理部、142、242 E/O変換部、143、243 O/E変換部、144、244 起動制御部、30 光信号ケーブル、40 赤外線リモートコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端側が第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの一方端に接続され、他方端側がシンク機器側に接続され、当該第1の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の信号に所定の処理を行い、処理後の信号を当該シンク機器に供給し、当該シンク機器から供給された信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第2の光ファイバに出力する第1のモジュールと、一方端側が上記第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの他方端に接続され、他方端側がソース機器側に接続され、当該ソース機器から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第1の光ファイバに出力し、当該第2の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号を当該ソース機器に出力する第2のモジュールとから構成される光伝送ユニットにおいて、
上記第1のモジュールは、
所定のクロックを発振する第1の発振器と、
上記第1の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第1の分周回路と、
上記第1の分周回路により分周された発振クロックを第1のカウント値に基づいてカウントする第1のタイマと、
上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号から第2の規格に準拠したパルス信号を生成する第1の信号処理部と、
上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号振幅の変化に対応する時間を計測し、当該計測に基づいて第2の規格に準拠した時間間隔信号を生成する第2の信号処理部と、
上記第1の信号処理部により生成された上記パルス信号及び上記第2の信号処理部により生成された上記時間間隔信号を光信号に変換する電気光変換部とを備え、
上記第2のモジュールは、
所定のクロックを発振する第2の発振器と、
上記第2の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第2の分周回路と、
上記第2の分周回路により分周された発振クロックを第2のカウント値に基づいてカウントする第2のタイマと、
上記第2の光ファイバを介して入力された上記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記光電気変換部により変換されて得られた上記パルス信号のパルス間隔から上記第1のカウント値を算出する算出部と、
上記算出部により算出された上記第1のカウント値とに基づいて上記第2の分周回路による分周の割合を調整する調整部と、
上記調整部により上記第2の分周回路による分周の割合が調整された後の上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記第2の信号変換部により変換されて得られた上記時間間隔信号から時間間隔を抽出する時間間隔抽出部と、
上記時間間隔抽出部により抽出された上記時間間隔信号に基づいて上記第1の規格に準拠したパルス信号を生成する第3の信号処理部とを備え、
上記第3の信号処理部は、処理後の信号を上記ソース機器に供給することを特徴とする光伝送ユニット。
【請求項2】
上記第2の信号処理部は、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給されるSIRCS(Serial Infrared Remote Control System)に準拠した信号のLOWからHIGHへの変化点からHIGHからLOWへの変化点までに要する時間を計測し、当該計測に基づいてバイナリデータを生成し、当該バイナリデータからUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)に準拠した時間間隔信号を生成することを特徴とする請求項1記載の光伝送ユニット。
【請求項3】
上記第2の信号処理部は、上記SIRCSに準拠した信号のLOWからHIGHへの変化点及びHIGHからLOWへの変化点を示すためのサインビットを付加して上記時間間隔信号を生成することを特徴とする請求項2記載の光伝送ユニット。
【請求項4】
上記第2の信号処理部は、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される上記SIRCSに準拠した信号からガイドパルス時間、データビットオフパルス時間、第1のデータビットオンパルス時間及び第2のデータビットオンパルス時間を計測し、当該各時間の計測に基づいて上記UARTに準拠した信号を生成することを特徴とする請求項2記載の光伝送ユニット。
【請求項5】
上記第2の信号処理部により生成された上記各時間の計測に基づく上記UARTに準拠した信号を格納する格納部と、
上記格納部に格納されている上記信号を一定時間間隔で読み出し、上記電気光変換部に供給する信号供給部とを備えることを特徴とする請求項4記載の光伝送ユニット。
【請求項6】
上記第2の信号処理部は、一定時間間隔で、上記各時間の計測に基づく上記UARTに準拠した信号を生成することを特徴とする請求項4記載の光伝送ユニット。
【請求項1】
一方端側が第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの一方端に接続され、他方端側がシンク機器側に接続され、当該第1の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の信号に所定の処理を行い、処理後の信号を当該シンク機器に供給し、当該シンク機器から供給された信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第2の光ファイバに出力する第1のモジュールと、一方端側が上記第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの他方端に接続され、他方端側がソース機器側に接続され、当該ソース機器から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号を光信号に変換し、変換後の光信号を当該第1の光ファイバに出力し、当該第2の光ファイバを介して供給された光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号を当該ソース機器に出力する第2のモジュールとから構成される光伝送ユニットにおいて、
上記第1のモジュールは、
所定のクロックを発振する第1の発振器と、
上記第1の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第1の分周回路と、
上記第1の分周回路により分周された発振クロックを第1のカウント値に基づいてカウントする第1のタイマと、
上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号から第2の規格に準拠したパルス信号を生成する第1の信号処理部と、
上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される第1の規格に準拠した信号振幅の変化に対応する時間を計測し、当該計測に基づいて第2の規格に準拠した時間間隔信号を生成する第2の信号処理部と、
上記第1の信号処理部により生成された上記パルス信号及び上記第2の信号処理部により生成された上記時間間隔信号を光信号に変換する電気光変換部とを備え、
上記第2のモジュールは、
所定のクロックを発振する第2の発振器と、
上記第2の発振器の発振クロックを所定の割合で分周する第2の分周回路と、
上記第2の分周回路により分周された発振クロックを第2のカウント値に基づいてカウントする第2のタイマと、
上記第2の光ファイバを介して入力された上記光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記光電気変換部により変換されて得られた上記パルス信号のパルス間隔から上記第1のカウント値を算出する算出部と、
上記算出部により算出された上記第1のカウント値とに基づいて上記第2の分周回路による分周の割合を調整する調整部と、
上記調整部により上記第2の分周回路による分周の割合が調整された後の上記第2のタイマのカウントに基づいて、上記第2の信号変換部により変換されて得られた上記時間間隔信号から時間間隔を抽出する時間間隔抽出部と、
上記時間間隔抽出部により抽出された上記時間間隔信号に基づいて上記第1の規格に準拠したパルス信号を生成する第3の信号処理部とを備え、
上記第3の信号処理部は、処理後の信号を上記ソース機器に供給することを特徴とする光伝送ユニット。
【請求項2】
上記第2の信号処理部は、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給されるSIRCS(Serial Infrared Remote Control System)に準拠した信号のLOWからHIGHへの変化点からHIGHからLOWへの変化点までに要する時間を計測し、当該計測に基づいてバイナリデータを生成し、当該バイナリデータからUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)に準拠した時間間隔信号を生成することを特徴とする請求項1記載の光伝送ユニット。
【請求項3】
上記第2の信号処理部は、上記SIRCSに準拠した信号のLOWからHIGHへの変化点及びHIGHからLOWへの変化点を示すためのサインビットを付加して上記時間間隔信号を生成することを特徴とする請求項2記載の光伝送ユニット。
【請求項4】
上記第2の信号処理部は、上記第1のタイマによるカウントに基づいて、上記シンク機器から供給される上記SIRCSに準拠した信号からガイドパルス時間、データビットオフパルス時間、第1のデータビットオンパルス時間及び第2のデータビットオンパルス時間を計測し、当該各時間の計測に基づいて上記UARTに準拠した信号を生成することを特徴とする請求項2記載の光伝送ユニット。
【請求項5】
上記第2の信号処理部により生成された上記各時間の計測に基づく上記UARTに準拠した信号を格納する格納部と、
上記格納部に格納されている上記信号を一定時間間隔で読み出し、上記電気光変換部に供給する信号供給部とを備えることを特徴とする請求項4記載の光伝送ユニット。
【請求項6】
上記第2の信号処理部は、一定時間間隔で、上記各時間の計測に基づく上記UARTに準拠した信号を生成することを特徴とする請求項4記載の光伝送ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2007−235242(P2007−235242A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51090(P2006−51090)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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