説明

光学シート、光学シートの製造に用いられるロール金型及び光学シートの製造方法

【課題】非対称な横断形状を有する光学素子の向きを容易に認識できる光学シートを提供する。
【解決手段】光学シート1は、主面3と裏面4とを有する本体2を備える。主面3は、一対の縁E1Pを有する製品面1Pと、構造化面1Sとを含む。構造化面1Sは、製品面1Pに隣接し、製品面1Pよりも狭い幅を有する。製品面1Pは、複数の非対称光学素子1ALを含む。非対称光学素子1ALは、一対の縁E1Pと直交する仮想面において、左右非対称の横断形状を有する。構造化面1Sは、複数の光学素子1Lを含む。光学素子1Lは、非対称光学素子1ALと異なる形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、ロール金型及び光学シートの製造方法に関し、さらに詳しくは、複数の光学素子を含む主面を有する光学シート、その光学シートの製造に用いられるロール金型及び光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイに代表される表示装置は、輝度の向上を求められる。表示装置には一般的に、輝度を向上する光学シートが利用される。光学シートはたとえば、プリズムシートやレンチキュラレンズシート、マイクロレンズアレイシートである。これらの光学シートの主面は複数の光学素子を有する。プリズムシートの主面は、複数の線状プリズムを有し、レンチキュラレンズシートの主面は、複数のシリンドリカルレンズを有する。マイクロレンズアレイシートの主面は、複数のマイクロレンズを有する。
【0003】
これらの光学シートを表示装置に用いる場合、打ち抜き刃(抜き型)を用いて、光学シートを所定の形状に打ち抜く。打ち抜き加工は、光学シートを用途に応じた形状にすることができ、高い寸法精度を得ることができる。
【0004】
特許第4250192及び特開2009−026753号公報に開示される光学シートは、主面に沿って延びる複数のプリズムを含む。さらに、これらのプリズムは、左右非対称の横断形状を有する。これらの光学シートは、所定の入射角で裏面から入射される光を、左右非対称のプリズムにより所望の方向に屈折させ、出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4250192号
【特許文献2】特開2009−026753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような左右非対称の光学素子を有する光学シートを打ち抜き加工して、所望の形状にする場合、光学素子の向きを考慮する必要がある。しかしながら、光学素子は微小であるため、打ち抜き加工の作業者は、光学素子の向きを視認できない。
【0007】
光学シートの幅方向における光学素子の横断形状が、左右非対称である場合を想定する。このような光学シートの一方の縁に、インクによるマーキングを施す。この場合、作業者はインクのマーキングを視認でき、非対称な光学素子の向きを認識できる。
【0008】
しかしながら、インクを用いてマーキングする場合、インクを塗布するための装置が新たに必要になる。さらに、光学シートを製造するとき、インクでマーキングする工程が新たに追加される。そのため、製造工程が煩雑になる。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の目的は、非対称な横断形状を有する光学素子の向きを容易に認識できる光学シートを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、非対称な横断形状を有する光学素子の向きを容易に認識できる光学シートを製造可能なロール金型を提供することである。
【0011】
本発明による光学シートは、主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備える。主面は、一対の縁を有する第1製品面と、第1構造化面とを含む。第1構造化面は、第1製品面の一方の縁に隣接し、第1製品面よりも狭い幅を有する。第1製品面は、複数の第1非対称光学素子を含む。第1非対称光学素子は、一対の縁と直交する仮想面において、左右非対称の横断形状を有する。第1構造化面は、複数の第1光学素子を含む。第1光学素子は、第1非対称光学素子と異なる形状を有する。
【0012】
本発明による光学シートは、第1製品面の一方の縁に第1構造化面が配置される。そして、第1光学素子は第1非対称光学素子と異なる形状を有する。そのため、第1構造化面の光学特性(たとえば、反射率や透過率)は、第1製品面と異なる。その結果、第1構造化面は第1製品面と見え方が異なる。打ち抜き加工の作業者は第1構造化面を視認できるため、第1非対称光学素子の向きを容易に認識できる。
【0013】
好ましくは、主面はさらに、第2製品面と、第2構造化面とを備える。第2製品面は、第1構造化面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置される。そして、第2製品面は複数の第1非対称光学素子を含む。第2構造化面は、第2製品面を挟んで第1構造化面と反対側に配置される。第2構造化面は、第1及び第2製品面よりも狭い幅を有する。そして、第2構造化面は、複数の第1光学素子を含む。
【0014】
光学シートを2つのシート部材に半裁するとき、一方のシート部材が第1製品面と第1構造化面とを含み、他方のシート部材が第2製品面と第2構造化面とを含むよう、光学シートを半裁する。そうすれば、第1構造化面及び第2構造化面は、第1製品面及び第2製品面の第1非対称光学素子に対して同じ側に配置される。
【0015】
好ましくは、主面は上述の第1製品面及び第1構造化面を含み、さらに、第2製品面を含む。第2製品面は、第1構造化面を挟んで第1製品面と反対側に配置される。第2製品面は、複数の第2非対称光学素子を含む。第2非対称光学素子は、仮想面において、第1非対称光学素子の横断形状と鏡像関係をなす横断形状を有する。
【0016】
第1構造化面で光学シートを2つの光学シート部材に半裁した場合、一方の光学シート部材は、第1製品面と、切断された一方の第1構造化面部分とを含む。他方の光学シート部材は、第2製品面と、切断された他方の第1構造化面部分とを含む。第2非対称光学素子は第1非対称光学素子と鏡像関係を有する。一方の光学シート材における第1構造化面部分と第1非対称光学素子との配置関係は、他方の光学シート部材における第1構造化面部分と第2非対称光学素子との配置関係と等しい。そのため、作業者は、第1及び第2製品面の非対称光学素子の向きを容易に認識できる。
【0017】
本発明によるロール金型は、上述の光学シートの製造に利用される。また本発明による光学シートの製造方法は、上述の光学シートを製造する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態による光学シートの斜視図である。
【図2】図1に示した光学シートの平面図である。
【図3】図2中の領域500を拡大した光学シートの斜視図である。
【図4】図3中の線分IV−IVでの断面図である。
【図5】図1に示した光学シートから製造された光学シート製品を備えた表示装置の断面図である。
【図6】図5に示した光学シート製品の作用を説明するための模式図である。
【図7】図1に示した光学シートから打ち抜き加工により光学シート製品を製造するときに利用される打ち抜き刃の斜視図である。
【図8】図7の打ち抜き刃により打ち抜き加工をすることにより製造された光学シート製品の平面図である。
【図9】図4に示す各光学素子の光学特性を説明するための模式図である。
【図10】図4に示した非対称光学素子の他の例を示す図である。
【図11】図4及び図10に示した非対称光学素子の他の例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態による光学シートの平面図である。
【図13】図12の光学シートの線分XIII−XIIIでの断面図である。
【図14】図13と異なる光学シートの平面図及び一部断面図である。
【図15】本実施の形態による光学シートを製造するために利用されるロール金型の斜視図である。
【図16】図15に示すロール金型のロール表面の展開図である。
【図17】図16中の領域516を拡大したロール金型の断面図である。
【図18】光学シートの製造装置の全体構成を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態による光学シートの平面図である。
【図20】図19の光学シートを製造するためのロール金型の展開図である。
【図21】本発明の第4の実施の形態による光学シートの平面図である。
【図22】図21の光学シートを製造するためのロール金型の展開図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態による光学シートの平面図である。
【図24】図23の光学シートを製造するためのロール金型の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
[第1の実施の形態]
[光学シートの構成]
図1は本実施の形態による光学シートの斜視図である。光学シート1は、ロールツーロール法により製造される。図1を参照して、光学シート1は、フィルム状又はシート状の本体2を備える。本体2は、構造化された主面3と、裏面4とを有する。裏面4は主面3と反対側に配置される。本例では、裏面4は実質的に平坦である。
【0021】
図2は、光学シート1の平面図である。図2中の矢印Xは、ロールツーロール法により製造されているときの、光学シート1の延在方向を示す。以降、延在方向Xと称する。図2を参照して、主面3は、製品面1Pと、構造化面1Sとを含む。製品面1Pは、打ち抜き加工により所定の形状に打ち抜かれる。要するに、製品面1Pは、製品として利用される。製品面1Pは、一対の縁E1Pを有する。縁E1Pは、延在方向Xに延びる。製品面1Pは構造化された表面を有する。より具体的には、製品面1Pは、複数の非対称光学素子を含む。製品面1Pは、上方からの光をある程度透過する。
【0022】
構造化面1Sは、製品面1Pの一方の縁E1Pに隣接する。構造化面1Sも延在方向Xに延びる一対の縁を有する。構造化面1Sの一方の縁が、製品面1Pの縁E1Pと接している。構造化面1Sは構造化された表面を有する。本例では、構造化面1Sは、製品面1Pと比較して、上方からの光をより反射する。
【0023】
構造化面1Sは、製品面1Pの非対称光学素子の向きを作業者に認識させる役割を有する。したがって、構造化面1Sは、製品として利用されない。そのため、構造化面1Sは製品面1Pよりも狭い幅を有する。
【0024】
製品面1Pの一対の縁E1Pのうち、構造化面1Sと接している縁と反対側の縁E1Pには、構造化面が配置されない。要するに、本例では、製品面1Pの一方の縁E1Pにのみ構造化面1Sが配置される。
【0025】
図3は、光学シート1のうち、図2中の領域部分500の斜視図である。図3を参照して、主面3は、複数の光学素子1AL及び1Lを含む。図4は図3中のIV−IV線での断面図である。
【0026】
図3及び図4を参照して、光学シート1の本体2は、基材部5と構造化部6とを備える。
【0027】
基材部5は、シート状又はフィルム状であり、可視光に対して透明である。基材部5の下面は、裏面4に相当する。基材部5は樹脂からなる。樹脂はたとえば、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニルである。好ましくは、基材部5は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフイルムからなる。強度及び寸法安定性に優れているためである。基材部5の好ましい厚さは、25〜500μmであり、より好ましくは50〜300μmである。ロールツーロール法により構造化部6を形成したとき、厚みが25μm未満であるとカールが発生しやすくなる。一方、厚さが500μmを超えると、光学シート1を表示装置に使用したとき、表示装置の輝度が低下する。また、表示装置が薄型化しにくい。
【0028】
構造化部6は主面3を含む。換言すれば、構造化部6は、複数の光学素子1AL及び1Lを含む。構造化部6は樹脂からなる。構造化部6の素材はたとえば、紫外線や電子線、可視光に代表される活性エネルギ線で硬化する活性エネルギ線硬化樹脂である。活性エネルギ線硬化樹脂はたとえば、ポリエステル系アクリレート樹脂、ウレタン系アクリレート樹脂、ポリエーテル系アクリレート樹脂、エポキシ系アクリレート樹脂、ポリエステル系メタクリレート樹脂、ウレタン系メタクリレート樹脂、ポリエーテル系メタクリレート樹脂、エポキシ系メタクリレート樹脂である。
【0029】
[製品面1P]
上述のとおり、製品面1Pは、製品として利用される部分である。図3及び図4に示すように、製品面1Pは、複数の非対称光学素子1AL(以下、単に光学素子1ALという)を含む。光学素子1ALは、延在方向Xに延びる。そして、複数の光学素子1ALは、光学素子1ALの幅方向に並んで配列される。隣り合う光学素子1ALは接触していてもよいし、離れていてもよい。
【0030】
図4を参照して、一対の縁E1Pと直交する仮想面における光学素子1ALの横断形状は、山状である。光学素子1ALは、正面輝度を向上する。具体的には、光学素子1ALは、裏面4から入射した光を主面の法線方向(上方)に屈折させて出射する。
【0031】
図3及び図4を参照して、光学素子1ALの横断形状は、左右非対称である。光学素子1ALは、山頂に相当する稜線部33と山麓に相当する一対の縁ED1及びED2を含む。縁ED2は縁ED1の反対側に配置される。光学素子1ALはさらに、高さの異なる尾根部30及び40を含む。各尾根部30及び40は、光学素子1ALの長手方向(延在方向X)に延びる。尾根部30及び40は、一方の縁ED1から他方の縁ED2に向かって高い順に配置される。具体的には、最も高い尾根部30が縁ED1側に配置され、尾根部30よりも低い尾根部40が縁ED2側に配置される。以降、最も高い尾根部を主尾根部30といい、主尾根部30よりも低い尾根部40をサブ尾根部40という。
【0032】
主尾根部30は、稜線部33と、一対の傾斜面31及び32とを含む。傾斜面31は、縁ED1側に配置される。傾斜面31の下端は、縁ED1とつながる。傾斜面32は、傾斜面31と反対を向いて縁ED2側に配置される。傾斜面32の上端は、傾斜面31の上端とつながり、傾斜面31及び32により稜線部33が形成される。稜線部33は、光学素子1ALの長手方向に延びる。
【0033】
サブ尾根部40は、稜線部43と、一対の傾斜面41及び42を含む。傾斜面41は、縁ED1側に配置され、傾斜面42は、傾斜面41と反対を向いて縁ED2側に配置される。傾斜面41の下端は、傾斜面32の下端とつながる。傾斜面41の上端は傾斜面42の上端とつながり、傾斜面41及び42により稜線部43が形成される。傾斜面42の下端は縁ED2につながる。
【0034】
図4に示すとおり、主面3の法線方向に延びる軸線Cを光学素子1ALの幅中央に配置する。このとき、軸線Cから左側(縁ED1側)の光学素子1ALの形状は、軸線から右側(縁ED2側)の形状と異なる。つまり、光学素子1ALは、一対の縁E1Pに直交する仮想面において、左右非対称の形状を有する。
【0035】
光学素子1ALを含む製品面1Pは、製品形状に打ち抜かれる。打ち抜かれた光学シートを以降、光学シート製品という。光学シート製品は、エッジライト型のバックライト装置を備えた表示装置に利用される。以下、光学シート製品の効果について説明する。
【0036】
[光学素子1ALを含む光学シート製品の作用]
図5を参照して、表示装置100は、液晶パネル14と、バックライト装置15とを備える。バックライト装置15は、エッジライト型の照明装置であり、光源16と、導光板11と、反射シート12と、光学シート製品10と、拡散シート13とを備える。導光板11は、光源16から出された光を光学シート製品10に導く。光源16から出射した光50は、導光板1の端面から入射する。そして、導光板11の内部を進行して出射面11aから出射する。ここで、出射光51の輝度特性は、出射面11aの法線N11から光源16と反対側に所定角度A51(°)傾斜した方向に輝度のピークを有する。以降の説明では、出射光51のうち、輝度のピーク方向に進行する光成分、つまり、法線N11から角度A51傾斜して出射する光成分を輝度ピーク光線と呼ぶ。所定角度A51は、たとえば、60°〜85°の範囲である。
【0037】
光学シート製品10は輝度ピーク光線を含む光を導光板11から受け、受けた光の多くを光学素子1ALの表面で表示装置100の正面方向に屈折して出射する。これにより表示装置100の正面輝度が向上する。
【0038】
図5に示すように、光学シート製品10の各光学素子AL1は、主尾根部30がサブ尾根部40よりも光源16に近くなるように、導光板11上に配置される。要するに、光源16に対応して光学素子AL1の向き(主尾根部30及びサブ尾根部40と光源16との配置関係)が決定される。図5のとおり光学シート製品10を配置すれば、光学シート製品10は表示装置の正面輝度を向上する。
【0039】
光学シート製品10はさらに、色分離を抑える。その原理は以下のとおりである。
【0040】
上述のとおり、出射光51は指向性を有し、所定角度A51°の方向に進む輝度ピーク光線を含む。出射光51は、光学シート製品10の裏面4に入射する。このとき、出射光51は、光学シート製品10の法線よりも光源16と反対側に傾いて入射する。図6を参照して、出射光51中の輝度ピーク光線52はサブ尾根部40の傾斜面41及び42で屈折する。このとき、傾斜面42に入射した輝度ピーク光線52は、光学シート製品10の厚さ方向側(光学シート製品10のの法線N11側)に屈折して出射光53として外部に出射する。一方、傾斜面41に入射した輝度ピーク光線52は、法線N11と反対側に屈折して出射光54として外部に出射する。つまり、傾斜面42に入射した輝度ピーク光線52の屈折方向は、傾斜面41に入射した輝度ピーク光線52の屈折方向と交差する。
【0041】
光学シート製品10の屈折率は入射光線の波長に依存する。輝度ピーク光線52が複数の波長成分を含む場合、各波長成分により屈折率が変化する。そのため、図6に示すように出射光53及び54に色分離が生じる。図6では、輝度ピーク光線52が2つの異なる波長A及びB(波長A>波長B)を有し、波長B成分の屈折角が波長A成分の屈折角よりも大きい場合の色分離を示す。
【0042】
傾斜面42では、輝度ピーク光線52の波長B成分は波長A成分よりも大きく屈折する。そのため、出射光成分53Bは、出射光成分53Aよりもさらに法線N11側(矢印A1方向)に屈折する。一方、傾斜面41では、波長B成分に相当する出射光成分54Bは、波長A成分に相当する出射光成分54Aよりも法線N11と反対側(矢印A2方向)に屈折する。要するに、傾斜面42から出射した光線53の色(波長)の分離パターンと傾斜面41から出射した光線54の色分離パターンとは、輝度ピーク光線52の進行方向に対して互いに逆のパターンとなる。そのため、光線53の色分離パターンは、光線54の色分離パターンと互いに相殺される。その結果、光学シート製品10からの出射光における色分離が抑制される。
【0043】
さらに、光学シート製品10は上述のとおり、傾斜面32及び42により、輝度ピーク光線52を含む入射光を法線N11方向に屈折し、正面輝度を向上する。以上の原理により、光学シート1は特にエッジライト型のバックライト装置を備えた表示装置の正面輝度を向上し、かつ、色分離を抑制できる。上記効果を奏するために、サブ尾根部40の傾斜面41で屈折した出射光53と傾斜面42で屈折した出射光54とが交差するよう、傾斜面41及び42が配置されればよい。
【0044】
上述の効果は、光学シート製品10を図5のとおり配置することで得られる。仮に、光学シート製品10を図5において左右反転して配置した場合、つまり、各光学素子1ALの主尾根部30と光源16との間の距離が、サブ尾根部40と光源16との間の距離よりも遠い場合、上述の効果は得られない。
【0045】
光学シート製品10は、光学シート1の製品面1P上に図7に示す抜き刃を押し当てて打ち抜き加工することで製造される。抜き刃400は光学シート製品10の形状に対応する。たとえば、抜き刃400は矩形状の枠体であり、その一辺を構成する枠部材401が凸部402を有すると仮定する。この場合、抜き刃400はY軸に対して非対称な形状である。打ち抜き加工をするとき、抜き刃400を光学シート1の製品面1Pに押し当て、打ち抜く。その結果、図8に示す光学シート製品10が製造される。
【0046】
図8に示す光学シート製品10は、凸部101を有する非対称な形状を有する。このように、光学シート製品10が非対称な形状を有し、かつ、光学素子1ALも非対称な形状を有する場合、打ち抜き加工時に光学素子1ALの向きを考慮して抜き刃を押し当てなければならない。
【0047】
図8に示すとおり、凸部101は、光学素子1ALの延在方向に延びると仮定する。さらに、図5に示す配置となるために、光学シート製品10の凸部101はサブ尾根部40側に配置されなければならないと仮定する。
【0048】
打ち抜き加工により光学シート製品10を製造するとき、抜き刃400の凸部402が、光学シート1の製品面1P上のサブ尾根部40側に配置されるよう、光学シート1を配置する必要がある。誤って凸部402を主尾根部30側に配置して打ち抜けば、製造された光学シート製品は、図8に示す光学シート製品と鏡像対称となる。この場合、バックライト装置15に光学シート製品を組み込んだ結果、図5の光学シート製品10が左右反転して配置される。そのため、上述の効果を奏さない。このような不良の光学シート製品が製造されないよう、打ち抜き加工の作業者は、光学シート1上の光学素子1ALの向きを認識する必要がある。輝度向上機能を有する光学素子1ALの好ましい高さは、2〜70μmである。そのため、各光学素子1ALの形状は視認できない。
【0049】
そこで、本実施の形態では、製品面1Pのいずれか一方の縁E1Pにのみ、構造化面1Sが配置される。構造化面1Sの光学特性(たとえば、反射率や透過率)は製品面1Pの光学特性と異なるよう、構造化面1Sの形状が決定される。そのため、構造化面1Sの見え方は製品面1Pの見え方と異なる。その結果、作業者は構造化面1Sを容易に視認できる。構造化面1Sは、主尾根部30側又はサブ尾根部40側のいずれかの側に配置すると予め決められて設計される。そのため、構造化面1Sの配置と光学素子1ALの向きとの関係を知っていれば、作業者は、構造化面1Sを視認することで光学素子1ALの向きを容易に認識できる。以下、構造化面1Sについて詳述する。
【0050】
[構造化面1S]
図3及び図4を参照して、構造化面1Sは、複数の光学素子1Lを含む。各光学素子1Lは延在方向Xに延びる。光学素子1Lの横断形状は三角形状である。つまり、本例では、光学素子1Lは線状のプリズムである。光学素子1Lは、斜面91及び92を含む。斜面91及び92の下端は基材部5に配置される。斜面91の上端は斜面92の上端と接する。斜面91及び斜面92は互いに反対側を向く。斜面91及び92の上端により頂角AN1の頂上が形成される。
【0051】
製品面1P及び構造化面1Sは、主面3に含まれ、主面3は、構造化部6により構成される。そのため、製品面1P及び構造化面1Sはともに同じ素材からなる。光学シート1はロールツーロール法により製造されるため、製品面1Pと構造化面1Sとを異なる素材とすることができない。製品面1Pも構造化面1Sも同じ活性エネルギ線硬化樹脂により同じタイミングで形成されるためである。したがって、構造化面1Sを製品面1Pと異なる素材とすることで、異なる光学特性を得ることはできない。
【0052】
そこで、本実施の形態では、光学素子1Lは光学素子1ALと異なる形状を有する。そのため、構造化面1Sは製品面1Pと異なる光学特性を有する。本例の光学素子1Lの頂角AN1は90度である。この場合、図9に示すとおり、上方から光学素子1Lに光が入射したとき、その光は反射して回帰する。より具体的には、上方からの光は光学素子1Lの斜面に入射する。このときの入射角は臨界角を超えるため、光は全反射する。全反射した光は、隣の光学素子1Lの斜面に入射する。このとき、入射角が臨界角を超えるため光は再び全反射し、上方へ回帰する。
【0053】
一方、製品面1Pの光学素子1ALの稜線部33の頂角は鋭角であり、頂角AN1より小さい。そのため、図9に示すように、上方から光学素子1ALに光R1が入射したとき、光R1は傾斜面32で全反射するものの、傾斜面41で屈折する。その結果、光R1は光学素子1ALを透過する。
【0054】
以上の結果、構造化面1Sの反射率は製品面1Pよりも高くなる。そのため、構造化面1Sと製品面1Pとの見え方は異なる。作業者は、構造化面1Sを容易に視認できるため、製品面1Pの光学素子1ALの向きを容易に認識できる。具体的には、光学素子1ALの主尾根部30及びサブ尾根部40のうち、サブ尾根部40が構造化面1Sに近く、主尾根部30が構造化面1Sから遠いと認識できる。
【0055】
光学素子1Lは、その頂角が90度のプリズムに限定されない。光学素子L1は、光学素子AL1と異なる形状であればよい。光学素子1Lが光学素子AL1と異なる形状であれば、光学素子1Lの光学特性は、光学素子1ALと異なる。そのため、構造化面1Sは、製品面1Pと異なる光学特性を有し、異なる見え方となる。要するに、構造化面S1の光学特性が製品面1Pの光学特性と異なるよう、光学素子1ALの形状が決定される。
【0056】
好ましくは、構造化面1Sは、製品面1Pよりも反射率が高い。この場合、製品面1Pが構造化面1Sよりも可視光に対して透明になる。そのため、構造化面1Sがより見えやすい。構造化面1Sの反射率が高ければ、光学素子1Lの形状は特に限定されない。好ましくは、光学素子1Lの幅方向での断面形状(横断形状)は、三角形状である。より好ましくは、横断形状の頂角AN1が30〜120度である。この場合、図9に示すように、上方からの光は光学素子1Lの傾斜面で全反射しやすい。その結果、構造化面1Sの反射率が高くなる。
【0057】
光学素子1Lは、プリズムに限定されない。光学素子1Lは、延在方向Xに延びるシリンドリカルレンズでもよい。シリンドリカルレンズの横断形状は弓状であればよく、円弧でもよいし楕円弧でもよい。また、光学素子1Lは、マイクロレンズ状であってもよい。マイクロレンズの形状は平凸レンズ状であってもよいし、円錐状、多角錐状、円錐台状、多角錘台状であってもよい。
【0058】
要するに、構造化面1Sの光学特性が、製品面1Pの光学特性と異なるようにできれば、光学素子1Lの形状は特に限定されない。光学シート1はロールツーロール法により製造されるため、光学素子1Lは、延在方向Xに延びる形状であるのが好ましい。ロール金型のロール表面に光学素子1Lに対応する溝を形成しやすいからである。
【0059】
さらに、製品面1Pの光学素子1ALは、主尾根部30とサブ尾根部40とを含む非対称形状以外の形状に限定されない。少なくとも、一対の縁E1Pに直交する仮想面における光学素子1ALの横断形状が左右非対称な形状であればよい。図10は、一対の縁E1Pに直交する仮想面における光学素子1ALの横断形状である。図10に示すように、光学素子1ALが線状プリズム(延在方向Xに延びる線状のプリズム)であって、その横断形状が左右非対称なものであってもよい。また、図11に示すように、光学素子1ALがシリンドリカルレンズであって、その横断形状が非対称なものであってもよい。ここでいう非対称とは、図10に示すように、光学素子1ALの横断形状において、光学素子1ALの底面中央から底面に対して垂直に延びる軸線Cに対して、軸線Cから右側の形状が、法線Cから左側の形状と対称でないことをいう。
【0060】
上述の実施の形態では、光学素子1ALは延在方向Xに延びる。しかしながら、光学素子1ALは、マイクロレンズ状であってもよい。要するに、上述の仮想面において非対称な横断形状を有していればよい。このとき、図4や図10、図11に示すとおり、各光学素子1ALの横断形状は、実質的に同じである。要するに、各光学素子1ALの向きは揃っている。
【0061】
[第2の実施の形態]
上述の実施の形態では、製品面1Pの一方の縁E1Pにのみ構造化面1Sを配置した。しかしながら、製品面1Pの他方の縁E1Pにも構造化面を配置してもよい。
【0062】
図12を参照して、本実施の形態による光学シート1Bの主面は、光学シート1と比較して、新たに構造化面20Sを含む。構造化面20Sは、製品面1Pを挟んで構造化面1Sと反対側に配置される。
【0063】
図13に、仮想面における光学シートの横断形状を示す。図13に示すように、構造化面2Sは、複数の光学素子1Lを含む。要するに、構造化面2Sの光学素子の形状は、構造化面1Sの光学素子の形状と同じである。したがって、構造化面2Sは、製品面1Pと異なる光学特性を有し、かつ、構造化面1Sと同じ光学特性を有する。
【0064】
図12に示すとおり、構造化面20Sの幅は、製品面1Pよりも狭い。構造化面20Sの幅はさらに、構造化面1Sよりも狭い。上述のとおり、構造化面20Sの光学特性は構造化面1Sと同じである。しかしながら、構造化面20Sの幅は構造化面1Sよりも狭い。そのため、図13に示すとおり、構造化面20Sが光学素子1ALの主尾根部30側であり、構造化面1Sが光学素子1ALのサブ尾根部40側である場合、作業者は、構造化面1S及び2Sを視認して光学素子1ALの向きを容易に特定できる。
【0065】
図14に示すように、構造化面20Sが構造化面1Sと同じ幅を有する場合、構造化面20Sの光学特性が、製品面1P及び構造化面1Sと異なればよい。図14に示すとおり、構造化面20Sは、光学素子1Lの代わりに、複数の光学素子20Lを有する。本例では、光学素子20Lは、光学素子1Lよりも頂角が広い線状のプリズムである。つまり、光学素子20Lの形状は、光学素子1AL及び1Lと異なる。
【0066】
光学素子20Lの形状は光学素子1Lと異なるため、構造化面20Sの光学特性は、構造化面1Sと異なる。そのため、構造化面1Sと20Sの幅が同じであっても、作業者は、構造化面1Sと20Sとを区別して視認できる。
【0067】
光学素子20Lの形状は、光学素子1AL及び1Lと異なっていればよい。また、構造化面20Sは、構造化面1Sと異なる幅を有し、かつ、構造化面20Sの光学素子が構造化面1Sの光学素子と異なっていてもよい。
【0068】
[光学シートの製造方法]
上述の光学シートは、ロール金型を用いたエンボス加工により製造される。以下、図1に示した光学シート1の製造方法について説明する。
【0069】
[ロール金型]
初めに、エンボス加工に利用されるロール金型について説明する。図15を参照して、ロール金型60は、ロール胴部70とロール軸部80とを備える。ロール胴部70は円柱状である。また、ロール軸部80はロール胴部70と同軸に配置される。
【0070】
ロール胴部70はロール表面71を有する。ロール表面71の展開図を図16に示す。図16を参照して、ロール表面71は、構造化されている。具体的には、ロールの周方向(上述の延在方向Xに相当)Xに延びる複数の凹部を有する。
ロール表面71はさらに、製品面1RPと構造化面1RSとを備える。製品面1RPは、光学シート1の製品面1Pに対応する。構造化面1RSは、光学シート1の構造化面1Sに対応する。製品面1RPの一対の縁E1RPは、ロールの周方向Xに延びる。構造化面1RSは、製品面1RPの一方の縁E1RPに隣接し、周方向Xに延びる
図17は図16中の領域516での断面図である。図17を参照して、製品面1RPには、複数の非対称凹部1AG(以降、単に凹部1AGと称する)が形成されている。凹部1AGは周方向Xに延びる溝である。凹部1AGの横断形状は、左右非対称である。凹部1AGは、光学素子1ALに対応する。構造化面1RSには、複数の凹部1Gが形成される。凹部1Gは周方向Xに延びる溝である。凹部1Gの横断形状は、光学素子1Lに対応する。要するに、凹部1Gは凹部1AGと異なる形状を有する。
【0071】
ロール胴部70の表面にはたとえば、銅めっき層が形成され、この銅めっき層に凹部1G及び1AGが形成される。凹部1G及び1AGを形成した後、無電解めっき法により、銅めっき層上にニッケル層を形成してもよい。ニッケル層は表面保護の役割を有する。
【0072】
[光学シート1の製造工程]
上述のロール金型60を用いて、エンボス加工によりにより光学シート1を製造する。図18を参照して、光学シート1の製造装置320は、基材フィルムロール321と、巻き取りロール302と、ニップロール303と、バックアップロール304と、遮蔽板305と、活性エネルギ線を照射する照射装置306と、ロール金型60と、ダイコータ等の塗布装置308とを備える。基材フィルムロール321は円柱状であり、そのロール表面には、基材部5に相当する基材フィルム(以降、基材フィルム5という)が巻かれている。
【0073】
製造装置320を用いた光学シート1の製造方法は以下のとおりである。まず、基材フィルム5が巻かれた基材フィルムロール321を準備し、所定の位置に配置する。そして、液状の活性エネルギ線硬化樹脂を準備する。活性エネルギ線硬化樹脂は、構造化部6の素材である。
【0074】
配置された基材フィルムロール321から基材フィルム5を巻き出して、基材フィルム5をロール金型60に向かって搬送する。
【0075】
塗布装置308から、液状の活性エネルギ線硬化樹脂をロール表面71上に塗布する。塗布された活性エネルギ線硬化樹脂は、ロール表面71上に拡がって活性エネルギ線硬化樹脂層200を形成する。活性エネルギ線硬化樹脂層200は未硬化である。
【0076】
基材フィルムがニップロール303とロール金型60との間を通過するとき、ニップロール303により基材フィルム5をロール金型60に押しつける。このとき、ロール表面71上の活性エネルギ線硬化樹脂層200に基材フィルム5が接触する。その結果、活性エネルギ線硬化樹脂層200は、基材フィルム5とロール金型60のロール表面71との間に挟まれる。このとき、活性エネルギ線硬化樹脂が各凹部AG1及びG1に充填される。
【0077】
次に、照射装置306により、ロール金型60の下方から活性エネルギ線を活性エネルギ線硬化樹脂層200に照射する。基材フィルム5とロール表面71との間に挟まれた活性エネルギ線硬化樹脂層200は硬化し、構造化部6が形成される。遮蔽板305は、ロール表面71の凹凸が活性エネルギ線硬化樹脂層200に確実に転写された後で活性エネルギ線が活性エネルギ線硬化樹脂層200に照射されるように、活性エネルギ線の拡散を防止する。
【0078】
以上の工程により製造された光学シート1を、ロール金型60から引き剥がし、バックアップロール304を介して巻き取りロール302に向かって搬送する。そして、巻き取りロール302で巻き取る。以上の工程により光学シート1が製造される。
【0079】
図12に示す光学シート1Bを製造する場合、ロール金型60のロール表面71の形状は、図12に示す光学シート1Bの主面に対応する。具体的には、図16に示すロール表面71において、製品面1RPを挟んで構造化面1RSと反対側に、新たな構造化面が配置される。この構造化面には、図13及び図14に示す構造化面20Sの複数の光学素子1L又は20Lに対応する複数の溝が形成される。ロール金型以外の光学シート1Bの製造方法は、光学シート1の場合と同じである。
【0080】
上述のとおり、製造された光学シートは巻き取りロール302に巻き取られる。そのため、光学シート上の光学素子1AL及び1Lが同じ高さを有する方が好ましい。光学素子1AL及びALが異なる高さを有していれば、巻き姿がくずれる場合が生じるからである。したがって、凹部1AGは凹部1Gと同じ高さを有するのが好ましい。
【0081】
ロール表面17の凹部AG1は、光学素子1ALに対応する。そのため、光学素子1ALが左右非対称のマイクロレンズであれば、凹部AG1は光学素子1ALに対応する穴である。凹部G1も同様である。
【0082】
[第3の実施の形態]
[光学シート1C]
図19は第3の実施の形態による光学シート1Cの平面図である。図19を参照して、光学シート1Cの主面は、製品面1P及び2Pと、構造化面1S及び2Sとを備える。
【0083】
構造化面1Sは、製品面1Pの一方の縁E1Pに隣接する。製品面2Pは、構造化面1Sを挟んで製品面1Pと反対側に配置される。製品面2Pも、延在方向Xに延びる一対の縁を有する。構造化面2Sは、製品面1Pを挟んで構造化面1Sと反対側に配置される。構造化面2Sは、製品面2Pと接触している。構造化面1S及び2Sはいずれも、製品面1P及び2Pよりも狭い幅を有する。
【0084】
図19は、図19中の領域519A及び領域519Bの断面図も示す。断面図を参照して、製品面1P及び製品面2Pは、複数の光学素子1ALを含む。上述のとおり、各光学素子1ALは、延在方向Xに延びる。製品面1P及び2Pにおいて、複数の光学素子1ALは横断方向に並んで配列される。
【0085】
上述のとおり、光学素子1ALは仮想断面において左右非対称の横断形状を有する。製品面1Pの光学素子1ALと第2製品面2Pの光学素子1ALとは同じ横断形状を有する。より具体的には、第1製品面1Pの各光学素子1ALのサブ尾根部40は、主尾根部30よりも第1構造化面1Sに近い。第2製品面2Pの各光学素子1ALのサブ尾根部40は、主尾根部30よりも第2構造化面2Sに近い。要するに、第1製品面1Pの各光学素子1ALの向きは、第2製品面2Pの各光学素子1ALの向きと同じである。
【0086】
構造化面1Sは複数の光学素子1Lを含む。各光学素子1Lは延在方向Xに延びる線状プリズムである。光学素子1Lの形状は光学素子1ALの形状と異なる。そのため、構造化面1Sの光学特性は、製品面1P及び2Pの光学特性と異なる。構造化面2Sも構造化面1Sと同じく、光学素子1Lを含む。そのため、構造化面2Sは構造化面1Sと同じ光学特性を有する。
【0087】
要するに、構造化面1S及び2Sは、製品面1P及び2Pと異なる光学特性を有するため、製品面1P及び2Pと異なる見え方をする。さらに、構造化面1S及び2Sは、同じ光学特性を有し、同じ見え方をする。さらに、構造化面1Sは、製品面1Pの光学素子1Lのサブ尾根部40側に配置され、構造化面2Sは、製品面2Pの光学素子1Lのサブ尾根部40側に配置される。
【0088】
図19に示すとおり、製品面2Pのうち構造化面1S近傍部分で、線分CPに沿って光学シート1Cは切断(半裁)され、左右に分かれた2つの光学シート部材が形成される。たとえば、光学シート1Cは回転刃を用いて半裁される。
【0089】
切り離された2つの光学シート部材のうち、図19中の線分CPよりも左側の光学シート部材は、製品面1P及び構造化面1Sを含む。製品面1Pの光学素子1ALのサブ尾根部40側には、構造化面1Sが配置される。一方、線分CPよりも右側の光学シート部材は、製品面2P及び構造化面2Sを含む。製品面2Pの光学素子1ALのサブ尾根部40側には、構造化面2Sが配置される。したがって、切り離された2つの光学シートの各々において、作業者は、光学素子1ALの向きを確認できる。
【0090】
[光学シート1Cを製造するためのロール金型]
図20は、光学シート1Cを製造するためのロール金型のロール表面の展開図及び一部断面図である。図20を参照して、ロール金型のロール表面71Cは、製品面1RP及び2RPと、構造化面1RS及び2RSとを備える。
【0091】
製品面1RPは、周方向Xに延びる一対の縁を有する。構造化面1RSは、製品面1RPの一方の縁に隣接して配置される。製品面2RPは、構造化面1RSを挟んで製品面1RPと反対側に配置される。構造化面2RSは、製品面2RPを挟んで構造化面1Sと反対側に配置される。構造化面2RSは、製品面2RPと接触している。製品面1RPは製品面1Pに対応し、製品面2RPは製品面2Pに対応する。構造化面1RSは構造化面1Sに対応し、構造化面2RSは構造化面2Sに対応する。したがって、構造化面1RS及び2RSは、製品面1RP及び2RPよりも狭い。
【0092】
図20中の領域520A及び520Bの断面図を参照して、製品面1RP及び製品面2RPは、複数の非対称凹部1AGを含む。凹部1AGは上述のとおり、円周方向Xに延びる溝である。製品面1RP及び2RPにおいて、複数の凹部1AGは横断方向に並んで配置される。凹部1AGは光学素子1ALに対応する。構造化面1S及び2Sはともに、複数の凹部1Gを含む。凹部1Gは円周方向Xに延びる溝であり、光学素子1Lに対応する。
【0093】
以上のロール表面71Cを有するロール金型を用いて、上述のロールツーロール法により、光学シート1Cは製造される。ロール金型以外の製造工程は、上述の製造方法と同じである。
【0094】
[第4の実施の形態]
[光学シート1D]
図19において、たとえば、回転刃の配置の誤差等により、回転刃が線分CPから構造化面1S側にずれる場合があり得る。たとえば、回転刃のずれにより、構造化面1Sの幅中央部で延在方向Xに沿って光学シート1Cが切断されたと仮定する。この場合、切り離された2つの光学シート部材のうち、製品面2Pを含む光学シート部材の縁には、切り離された構造化面1Sが配置され、他方には構造化面2Sが配置される。構造化面1S及び2Sは同じ光学特性を有する。そのため、作業者は製品面2Pの光学素子1ALの向きを認識できない場合が生じる。
【0095】
図21を参照して、本実施の形態による光学シート1Dは、光学シート1Cと比較して、構造化面1Sと製品面2Pとの間に、新たに構造化面3Sを配置する。構造化面3Sは、回転刃の配置誤差による上述の問題を解決するために配置される。構造化面3Sは製品面1P及び2Pよりも狭い幅を有する。
【0096】
構造化面3Sの領域520の延在方向Xに直交する断面図を図21中の点線で囲まれた領域に示す。構造化面3Sは、延在方向Xに延びる複数の光学素子2Lを含む。光学素子2Lは、図に示すとおり、断面形状が三角形の線状のプリズムである。光学素子2Lの頂角は光学素子1Lの頂角よりも小さい。そのため、構造化面3Sの反射率は、構造化面1S及び2Sよりも小さい。さらに、光学素子2Lの形状は光学素子1ALの形状と異なるため、構造化面3Sの反射率は、製品面1P及び2Pの反射率と異なる。
【0097】
要するに、構造化面3Sは製品面1P、2P及び構造化面1S、2Sと異なる光学特性を有する。したがって、作業者は、構造化面1Sと、構造化面3Sと、製品面1P及び2Pとを区別することができる。
【0098】
回転刃は、構造化面3Sの幅中央に設置され、延在方向Xに移動して光学シート1Dを切断する。構造化面3Sはある程度の幅を有するため、回転刃が幅方向に多少ずれて配置されても、構造化面1Sまでずれこむのを抑制できる。したがって、上述のように切断された光学シート部材の両端に、構造化面1S及び2Sが配置されることによる問題が生じない。
【0099】
さらに、回転刃が構造化面3Sから構造化面1Sにずれてしまい、その結果、構造化面S1の幅中央から延在方向Xに沿って光学シート1Dが切断されたと仮定する。この場合も、作業者は、製品面2Pの光学素子1ALの向きを確認できる。なぜなら、切断後の製品面2Pの一方の縁には構造化面2Sが配置され、他方の縁には、構造化面3S及び1Sが配置されるためである。
構造化面3Sの反射率が、製品面1P及び2Pよりも大きく、かつ、構造化面1S及び2Sよりも高くても良い。要するに、構造化面3Sの光学特性が構造化面1S及び2S、製品面1P及び2Pと異なるよう、光学素子L2の形状が決定される。
【0100】
[光学シート1Dを製造するためのロール金型]
図22に光学シート1Dを製造するためのロール金型のロール表面71Dの展開図及び一部断面図を示す。ロール表面71Dは、ロール表面71Cと比較して、新たに構造化面3RSを含む。構造化面3RSは、構造化面1RSと製品面2RPとの間に配置される。構造化面3RSには、複数の凹部2Gが形成される。凹部2Gは、周方向Xに延びる溝である。凹部2Gは光学素子2Lに対応する。したがって、凹部2Gは、凹部1AG及び凹部1Gと異なる形状を有する。
【0101】
[第5の実施の形態]
[光学シート1E]
図23を参照して、本実施の形態による光学シート1Eの主面は、製品面1Pと、構造化面1Sと、製品面20Pとを含む。製品面1Pの一方の縁E1Pには、構造化面1Sが配置される。製品面1Pは上述のとおり、非対称の光学素子1ALを含み、構造化面1Sは複数の光学素子1Lを含む。
【0102】
製品面20Pは、構造化面1Sを挟んで製品面1Pと反対側に配置され、構造化面1Sと隣接する。領域523における、領域523における、延在方向Xに直行する仮想面での製品面20Pの断面を図23中の点線で囲まれた領域に示す。
【0103】
製品面20Pは、複数の光学素子2ALを含む。光学素子2ALは延在方向Xに延びる。光学素子2ALの仮想面における横断形状は左右非対称である。さらに、光学素子2ALの横断形状は、光学素子1ALの横断形状と鏡像関係を有する。換言すれば、光学素子2ALは、仮想面において、光学素子1ALと鏡像な横断形状を有する。本例では、光学素子2Lのサブ尾根部40は主尾根部30よりも構造化面1Sに近い。一方、製品面1Pの光学素子1Lのサブ尾根部40は主尾根部30よりも構造化面1Sに近い。
【0104】
構造化面1Sの幅中央(図中の線分CPに相当する位置)に回転刃を配置し、延在方向Xに沿って移動する。これにより、光学シート1Eは2つの光学シート部材に切断される。
【0105】
切断により形成された2つの光学シート部材のうち、線分CPよりも左側の光学シート部材は、製品面1Pと、切断された構造化面1Sとを含む。構造化面1Sは、製品面1Pの光学素子1ALのサブ尾根部40側に配置される。一方、線分CPよりも右側の光学シート部材は、製品面20Pと、切断された構造化面1Sとを含む。構造化面1Sは、製品面20Pの光学素子1ALのサブ尾根部40側に配置される。
【0106】
要するに、線分CPでの切断により形成される2つの光学シート部材のうち、右側の光学シート部材を図23の紙面で180度回転すると、左側の光学シート部材と同じ構成となる。具体的には、製品面は非対称光学素子を含み、サブ尾根部40側に構造化面1Sが配置される。したがって、1つの構造化面1Sにより、2つの製品面1P及び20Pの各々の光学素子の向きが容易に認識できる。
【0107】
[光学シート1Eを製造するためのロール金型]
図24に光学シート1Eを製造するためのロール金型のロール表面71Eの展開図及び一部断面図を示す。ロール表面71Eは、製品面1RP及び20RPと、構造化面1Sとを含む。製品面20RPは、構造化面1RSを挟んで製品面1RPと反対側に配置される。製品面1RPは、製品面1Pに対応し、製品面20RPは製品面20Pに対応する。構造化面1RSは構造化面1Sに対応する。
【0108】
製品面20RPは、複数の非対称凹部2AG(以下、単に凹部2AGという)を含む。凹部2AGは光学素子2ALに対応する。凹部2AGは周方向Xに延びる溝である。領域524における、周方向Xと直交する仮想面での断面図を点線で囲む領域に示す。仮想面において、凹部2AGは、凹部1AGの横断形状と鏡像関係となる横断形状を有する。
【0109】
上述のとおり、本発明の光学素子1AL及び2ALは上述の形状に限定されない。縁E1Pに直交する仮想面において、左右非対称となる形状であればよい。
【0110】
また、光学シートの主面において、光学素子は互いに接触して配置されてもよいし、規則的又は不規則に互いに離れて配置されてもよい。光学シートの裏面4は、平坦でなくてもよい。裏面4は構造化されていてもよい。光学シートの主面の両端縁には、平坦な面が配置されていてもよい。
【0111】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1、1B〜1E 光学シート
2 本体
3 主面
4 裏面
1AG、2AG 非対称凹部
1AL、2AL 非対称光学素子
1G、2G 凹部
1L、2L、20L 光学素子
1L 光学素子
1P、2P、20P、1RP、2RP 製品面
1S、2S、1RS、2RS 構造化面
60 ロール金型
70 ロール胴部
71、71C〜71E ロール表面
E1P,E1RP 縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と、主面と反対側の裏面とを有する本体を備え、
前記主面は、
一対の縁を有する第1製品面と、
前記第1製品面の一方の縁に隣接し、前記第1製品面よりも狭い幅を有する第1構造化面とを含み、
前記第1製品面は、
前記一対の縁と直交する仮想面において、左右非対称の横断形状を有する複数の第1非対称光学素子を含み、
前記第1構造化面は、
前記第1非対称光学素子と異なる形状を有する複数の第1光学素子を含む、光学シート。
【請求項2】
請求項1に記載の光学シートであって、
前記主面はさらに、
前記第1構造化面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置され、複数の前記第1非対称光学素子を含む第2製品面と、
前記第2製品面を挟んで前記第1構造化面と反対側に配置され、前記第1及び第2製品面よりも狭い幅を有し、前記複数の第1光学素子を含む第2構造化面とを含む、光学シート。
【請求項3】
請求項2に記載の光学シートであって、
前記主面はさらに、
前記第1構造化面と前記第2製品面との間に配置され、前記第1及び第2製品面よりも狭い幅を有し、前記第1非対称光学素子及び前記第1光学素子と異なる形状の複数の第2光学素子を含む第3構造化面を含む、光学シート。
【請求項4】
請求項3に記載の光学シートであって、
前記第1光学素子は、前記主面に沿って延びる線状のプリズムであり、
前記第2光学素子は、前記主面に沿って延び、前記第1光学素子と異なる頂角を有する線状のプリズムである、光学シート。
【請求項5】
請求項1に記載の光学シートであって、
前記主面はさらに、
前記第1構造化面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置される第2製品面を含み、
前記第2製品面は、
前記仮想面において、前記第1非対称光学素子の横断形状と鏡像関係をなす横断形状を有する複数の第2非対称光学素子を含む、光学シート。
【請求項6】
請求項1に記載の光学シートであって、
前記主面はさらに、
前記第1製品面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置され、前記第1製品面よりも狭く、かつ、前記第1構造化面と異なる幅を有する第2構造化面を含む、光学シート。
【請求項7】
請求項1に記載の光学シートであって、
前記主面はさらに、
前記第1製品面を挟んで前記第1構造化面と反対側に配置され、前記第1製品面よりも狭く、かつ、前記第1光学素子と異なる形状の複数の第2光学素子を含む、光学シート。
【請求項8】
光学シートを製造するためのロール金型であって、
ロール表面を有する円柱状のロール胴部を備え、
前記ロール表面は、
円周方向に延び、一対の縁を有する第1製品面と、
前記第1製品面の一方の縁に隣接し、前記第1製品面よりも狭い幅を有する第1構造化面とを含み、
前記第1製品面は、
前記一対の縁と直交する仮想面において左右非対称の横断形状を有する第1非対称凹部を含み、
前記第1構造化面は、
前記第1非対称凹部と異なる形状を有する複数の第1凹部を含む、ロール金型。
【請求項9】
請求項8に記載のロール金型であって、
前記ロール表面はさらに、
前記第1構造化面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置され、複数の前記第1非対称凹部を含む第2製品面と、
前記第2製品面を挟んで前記第1構造化面と反対側に配置され、前記第1及び第2製品面よりも狭い幅を有し、前記複数の第1凹部を含む第2構造化面とを含む、ロール金型。
【請求項10】
請求項9に記載のロール金型であって、
前記ロール表面はさらに、
前記第1構造化面と前記第2製品面との間に配置され、前記第1及び第2製品面よりも狭い幅を有し、前記第1非対称凹部及び前記第1凹部と異なる形状の複数の第2凹部を含む第3構造化面を含む、ロール金型。
【請求項11】
請求項10に記載のロール金型であって、
前記第1非対称凹部は、円周方向に延びる溝であり、
前記第1凹部は、円周方向に延び、三角形状の横断形状を有する溝であり、
前記第2凹部は、円周方向に延び、前記第1凹部と異なる頂角の三角形状の横断形状を有する溝である、ロール金型。
【請求項12】
請求項8に記載のロール金型であって、
前記ロール表面はさらに、
前記第1構造化面を挟んで前記第1製品面と反対側に配置される第2製品面を含み、
前記第2製品面は、
前記仮想面において、前記第1非対称凹部の横断形状に対して鏡像関係となる横断形状を有する複数の第2非対称凹部を含む、ロール金型。
【請求項13】
請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載のロール金型を準備する工程と、
基材フィルム及び活性エネルギ線硬化樹脂を準備する工程と、
前記活性エネルギ線硬化樹脂を前記ロール金型のロール表面と前記基材フィルムとの間に挟む工程と、
前記ロール表面と前記基材フィルムとの間に挟まれた活性エネルギ線硬化樹脂に、活性エネルギ線を照射する工程とを備える、光学シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−95667(P2011−95667A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252117(P2009−252117)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】