光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置
【課題】赤外光を用いて位置検出を行なう方式を採用した場合でも、赤外線通信が原因で対象物体の位置を誤検出することを防止することができる光学式位置装置および位置検出機能付き表示装置を提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、発光素子12から出射された位置検出光L2によって検出領域10Rに強度分布を形成し、対象物体Obで反射した位置検出光L2を光検出器30で受光して対象物体Obの位置を検出する。光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。
【解決手段】光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、発光素子12から出射された位置検出光L2によって検出領域10Rに強度分布を形成し、対象物体Obで反射した位置検出光L2を光検出器30で受光して対象物体Obの位置を検出する。光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を赤外光を用いて光学的に検出する光学式位置検出装置および該光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の画像生成装置の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、画像生成装置に表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための光学式位置検出装置として構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の光学式位置検出装置では、液晶パネル等の直視型表示パネルに対して入力操作側に導光板を設け、導光板に対して入力操作側とは反対側に光源および受光素子等を配置する。そして、光源から出射された赤外光からなる位置検出光を導光板を介して入力操作側に出射し、対象物体で反射した位置検出光を受光素子で受光する。
【0004】
一方、電子機器の操作をリモートコントロール装置で行なう場合には、赤外線を用いた通信が多用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】USPatent No.6927384
【特許文献2】特開2001−309458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、特許文献1等に記載された原理を応用して各種表示装置に位置検出機能を付加すること等を検討している。しかしながら、位置検出機能付き表示装置との間、あるいは位置検出機能付き表示装置を設置した室内に設置された他の電子機器との間において特許文献2等で提案されている赤外線通信を行なうと、位置検出のための光検出器に赤外線が入射してしまい、対象物体の位置を誤って出力してしまうという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、赤外光を用いて位置検出を行なう方式を採用した場合でも、赤外線通信が原因で対象物体の位置を誤検出することを防止することができる光学式位置装置および位置検出機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部と、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部および前記位置検出部による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、位置検出用光源部から検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射し、検出領域で対象物体により反射した位置検出光を光検出器によって検出する。ここで、位置検出用光源部から出射された位置検出光は、検出領域に強度分布を形成するため、検出領域内における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいて対象物体の位置を検出することができる。また、本発明では、光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部が設けられており、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部および位置検出部による位置検出動作の停止、あるいは、位置検出光を赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更する等といった位置検出条件の変更を指令する。このため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0010】
本発明において、前記赤外線通信信号は、例えば、赤外線通信を利用したリモートコントロール装置から出射された通信信号である。
【0011】
本発明において、前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるリーダーコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号を受信している旨を検出し、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるストップコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号の受信が終了した旨を検出する構成を採用することができる。赤外線通信の場合、リーダーコードの期間、およびストップコードの期間が規格化されているので、光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを容易かつ確実に検出することができる。
【0012】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に前記位置検出光の出射を停止させる構成を採用することができる。このように構成すると、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出動作を停止するため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0013】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出部に前記対象物体の位置検出を停止させる構成を採用してもよい。このように構成すると、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出動作を停止する。このため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0014】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出されたときには、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて前記対象物体の位置検出を実施させることが好ましい。このように構成すると、赤外線通信が長い期間継続して行なわれているような状態にある場合には、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を支障なく実施することができる。
【0015】
本発明において、前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出された後、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。このように構成すると、高域通過フィルターを用いるという簡素な構成によって、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を正確に検出することができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させる構成を採用してもよい。このように構成すると、赤外線通信が実施されている期間中であっても、対象物体の位置検出を支障なく検出することができる。
【0017】
この場合、前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。このように構成すると、高域通過フィルターを用いるという簡素な構成によって、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を正確に検出することができる。
【0018】
本発明において、前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出するとともに、前記赤外線通信信号を制御コマンドに変換することが好ましい。このように構成すると、位置検出用の光検出器を利用して赤外線通信を行なうことができる。
【0019】
本発明の別の形態では、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、前記光検出器の受光結果に含まれる赤外線通信信号を検出する通信信号検出部と、を有し、前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果から前記赤外線通信信号を除去して位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、前記通信信号検出部、前記光検出器の受光結果から前記位置検出用の信号を除去して前記赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明では、位置検出用光源部から検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射し、検出領域で対象物体により反射した位置検出光を光検出器によって検出する。ここで、位置検出用光源部から出射された位置検出光は、検出領域に強度分布を形成するため、検出領域内における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいて対象物体の位置を検出することができる。また、位置検出用の光検出器を利用して赤外線通信を行なうことができる。さらに、位置検出部は、光検出器の受光結果から位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、通信信号検出部は、光検出器の受光結果から赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えているため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも位置検出に支障が発生しない。
【0021】
本発明において、前記位置検出用光源部は、前記位置検出光の強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向と交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することが好ましい。このように構成すると、検出領域内の対象物体の二次元座標を検出することができる。
【0022】
本発明を適用した光学式位置検出装置については位置検出機能付き表示装置に用いることができ、かかる位置検出機能付き表示装置は、前記検出領域に重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有しているが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置における検出領域と発光素子との位置関係等を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において各々の発光素子から検出領域に出射される位置検出光の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、発光素子12から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置で用いた位置検出光の強度分布および信号処理部での処理内容を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置の説明図である。
【図14】本発明の変形例に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、Z軸に沿う方向に画像を投射するものとして説明する。また、以下に参照する図面では、説明の便宜上、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向として表してある。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側として示してある。
【0025】
[実施の形態1]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、および横方向からみた様子を模式的に示す説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100における検出領域10Rと発光素子12との位置関係等を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、発光素子12から放出された位置検出光によって強度分布が形成される様子を示す説明図、および検出領域10Rと発光素子12の中心光軸との位置関係等を示す説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【0026】
図1および図2に示す位置検出機能付き表示装置100は、投射型表示装置であり、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置200(画像生成装置)を備えている。かかる画像投射装置200は、筐体250の前面部201に設けられた投射レンズ210からスクリーン部材290に向けて画像表示光L1を拡大投射する。従って、画像投射装置200は、筐体250の内部にカラーの画像表示光を生成して投射レンズ210を介して出射する光学装置(図示せず)を備えている。本形態において、スクリーン部材290は横長の四角形である。
【0027】
本形態の位置検出機能付き表示装置100は、以下に説明するように、画像が投射される前方空間において、スクリーン部材290の前側に設定された検出領域10R内の対象物体Obの位置を光学的に検出する光学式位置検出装置10を備えている。従って、本形態の位置検出機能付き表示装置100では、かかる対象物体ObのXY座標を、投射された画像の一部等を指定する入力情報として扱い、かかる入力情報に基づいて画像の切り換え等を行なうことができる。本形態において、検出領域10Rは、スクリーン部材290に対する法線方向からみたとき四角形の領域であり、スクリーン部材290において画像投射装置200によって画像が投射される領域(画像表示領域20R)と重なっている。
【0028】
図1、図2および図3に示すように、光学式位置検出装置10を構成するにあたって、本形態の位置検出機能付き表示装置100には、検出領域10Rに向けて赤外光からなる位置検出光L2を出射して検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する位置検出用光源部11が設けられている。また、位置検出機能付き表示装置100には、検出領域10Rで対象物体Obにより反射した位置検出光L3を検出する光検出器30と、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置検出等を行なう信号処理部50とが設けられており、光学式位置検出装置10は、位置検出用光源部11、光検出器30および信号処理部50を備えている。
【0029】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において、位置検出用光源部11は、赤外光を出射する複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)と、これらの複数の発光素子12を駆動する光源駆動部14とを有しており、本形態において、位置検出用光源部11(発光素子12および光源駆動部14)は、画像投射装置200に設けられている。より具体的には、画像投射装置200の前面部201には、X軸方向の略中央位置に投射レンズ210が設けられているとともに、前面部201において投射レンズ210をX軸方向の両側には複数の発光素子12が設けられている。
【0030】
本形態において、発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はLED(発光ダイオード)等により構成され、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを発散光として放出する。位置検出光L2(位置検出光L2a〜L2d)は、指やタッチペン等の対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましい。従って、対象物体Obが指等の人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えば波長で850nm付近)、あるいは950nmであることが望ましい。本形態では、いずれの発光素子12もピーク波長が850nm付近の波長域にある赤外光を出射する。なお、発光素子12の光出射面側には、散乱板やプリズムシート等の光学部材が配置されることもある。
【0031】
図3に示すように、光源駆動部14は、発光素子12を駆動する光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して複数の発光素子12の各々の点灯パターンを制御する光源制御部145とを備えている。光源駆動回路140は、第1発光素子12Aを駆動する第1光源駆動回路140aと、第2発光素子12Bを駆動する第2光源駆動回路140bと、第3発光素子12Cを駆動する第3光源駆動回路140cと、第4発光素子12Dを駆動する第4光源駆動回路140dとを備えている。光源制御部145は、第1光源駆動回路140a、第2光源駆動回路140b、第3光源駆動回路140cおよび第4光源駆動回路140dの全てを制御する。
【0032】
本形態においては、光検出器30および信号処理部50も、位置検出用光源部11と同様、画像投射装置200に設けられている。本形態において、信号処理部50と光源駆動部14とは、共通の半導体集積回路500に構成されている。
【0033】
光検出器30は、画像投射装置200の前面部201において、投射レンズ210に対してY軸方向の一方側に設けられている。かかる光検出器30は、検出領域10Rに受光部31を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態において、光検出器30は、850〜950nmの帯域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。光検出器30には信号処理部50が電気的に接続されており、光検出器30での検出結果は信号処理部50に出力される。信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51とを備えている。位置検出部51は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター516、A/D変換回路517、および座標検出部510を備えており、高域通過フィルター516は、所定周波数をもつ光パルスからなる位置検出光L2を通過可能である。座標検出部510は、X座標算出部511、Y座標算出部512、およびZ座標算出部513からなる。光源駆動部14と位置検出部51とは連動して動作し、後述する位置検出を行なう。
【0034】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100に対する操作にはリモートコントロール装置150が用いられており、光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100を操作する際、リモートコントロール装置150から光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100に向けて出射された赤外線による赤外線通信が行なわれる。かかる赤外線通信では、850〜950nmの帯域にピークを備えた赤外光が用いられており、光検出器30は、リモートコントロール装置150から出射された赤外線も受光する。
【0035】
このため、信号処理部50は、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55を備えており、通信信号検出部55は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター556、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えており、高域通過フィルター556は、赤外線通信信号L5を通過可能である。なお、高域通過フィルター556と高域通過フィルター516とについては共通のフィルターを用いてもよい。
【0036】
さらに、本形態では、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射すると、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤検出して出力してしまうことから、信号処理部50には、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止、あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部58が構成されている。かかる信号処理部50や位置検出用指令部58の機能等については、図7を参照して後述する。
【0037】
(位置検出光の強度分布)
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において各々の発光素子12から検出領域10Rに出射される位置検出光の説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において、発光素子12から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【0038】
図1(a)および図2に示すように、本形態において検出領域10Rは横長四角形であり、画像投射装置200において、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は仮想の四角形の角部分に相当する位置に配置されている。4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はいずれも、検出領域10R上の異なる位置に中心光軸を向けている。また、4つの発光素子12はいずれも、検出領域10Rの外周端部に中心光軸を向けている。より具体的には、第1発光素子12Aは、検出領域10Rの角部分10Raに中心光軸121aを向けており、第2発光素子12Bは、検出領域10Rの中心位置10Roを間に挟んで角部分10Raとは反対側の角部分10Rbに中心光軸121bを向けている。また、第3発光素子12Cは、検出領域10Rの角部分10Rcに中心光軸121cを向けており、第4発光素子12Dは、検出領域10Rの中心位置10Roを間に挟んで角部分10Rcとは反対側の角部分10Rdに中心光軸121dを向けている。
【0039】
本形態の位置検出機能付き表示装置100では、発光素子12から出射された位置検出光L2によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成して対象物体Obの位置を検出する。このため、検出領域10Rに形成された強度分布の強度レベルは高いことが好ましい。そこで、本形態では、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)の各々には、発光素子12から放出された位置検出光L2のうち、検出領域10Rの外側に向かおうとする位置検出光を検出領域10R内に導く反射ミラー18a〜18dが設けられている。本形態において、反射ミラー18a〜18dは、発光素子12の中心光軸が向かう検出領域10R上の形状に対応する形状をもって発光素子12の側方位置から位置検出光L2の放出方向に向けて延在している。より具体的には、反射ミラー18a〜18dは、発光素子12の中心光軸を囲む4方向のうち、互いに直交する2方向に、中心光軸と平行な2つの反射面を備えている。
【0040】
このように構成した光学式位置装置10では、第1発光素子12Aが点灯すると、図4(a)に示すように検出領域10Rの角部分10Raを中心にした強度分布が形成される。また、第2発光素子12Bが点灯すると、図4(b)に示すように検出領域10Rの角部分10Rbを中心にした強度分布が形成される。また、第3発光素子12Cが点灯すると、図4(c)に示すように検出領域10Rの角部分10Rcを中心にした強度分布が形成される。また、第4発光素子12Dが点灯すると、図4(d)に示すように検出領域10Rの角部分10Rdを中心にした強度分布が形成される。
【0041】
従って、第1発光素子12Aおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図4(a)および図5(a)に示すように、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第1強度分布L2Xa(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第1強度分布L2Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第2発光素子12Bおよび第3発光素子12Cが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図4(b)および図5(b)に示すように、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第2強度分布L2Xb(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第2強度分布L2Xbでは、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0042】
また、第2発光素子12Bおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図5(c)に示すように、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第1強度分布L2Ya(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第1強度分布L2Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第1発光素子12Aおよび第3発光素子12Cが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図5(d)に示すように、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第2強度分布L2Yb(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第2強度分布L2Ybでは、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0043】
さらに、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)が全て点灯すると、Z軸方向において、画像投射装置200からスクリーン部材290に向かって位置検出光の強度が単調減少するZ座標検出用強度分布が形成される。
【0044】
(座標検出の基本原理)
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、図5を参照して説明した位置検出光の強度分布を利用して、信号処理部50の位置検出部51は、検出領域10R内の対象物体Obの位置を検出する。そこで、図6を参照して、光強度分布の構成および座標検出の原理を説明する。
【0045】
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10で用いた位置検出光の強度分布および信号処理部50での処理内容を示す説明図であり、図6(a)、(b)、(c)は、位置検出光のX軸方向の強度分布を示す説明図、対象物体で反射した位置検出光の強度を示す説明図、対象物体で反射した位置検出光の強度が等しくなるように位置検出光の強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0046】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、位置検出用光源部11から位置検出光L2を出射すると、位置検出用光源部11の発光素子12からの距離やその中心光軸の位置によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布が形成される。例えば、X座標を検出する際には、図6(a)、(b)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。好ましくは、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。従って、検出領域10Rに対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより位置検出光L2が反射され、その反射光の一部が光検出器30により検出される。ここで、X座標検出用第1期間に形成するX座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2期間に形成するX座標検出用第2強度分布L2Xbを予め、設定した分布としておけば、以下の方法等により、光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのX座標を検出することができる。
【0047】
例えば、第1の方法では、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2Xaと、X座標検出用第2強度分布L2Xbとの差を利用する。より具体的には、X座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2強度分布L2Xbは予め、設定した分布になっているので、X座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbとの差も予め、設定した関数になっている。従って、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとの差を求めれば、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。なお、検出値LXa、LXbの比に基づいて対象物体ObのX座標を検出することもできる
【0048】
次に、第2の方法では、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0049】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0050】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、図6(c)に示すように、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXaと、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXbとの比あるいは差等により、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0051】
次に、第3の方法でも、第2の方法と同様、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0052】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0053】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、例えば、検出値が低い期間の方、あるいは検出値が高い期間の方の発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。図6(c)に示す例では、例えば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXa分だけ減少させる。あるいは、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXb分だけ増大させる。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、制御量を調整した後のX座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量と、制御量を調整した後のX座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量との比あるいは差等により、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0054】
上記の方法1〜3のいずれを採用する場合でも、同様に、Y座標検出用第1期間において、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第1強度分布を形成した後、Y座標検出用第2期間において、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第2強度分布を形成すれば、対象物体ObのY座標を検出することができる。また、Z座標検出期間において、Z軸方向の強度分布を形成すれば、対象物体ObのZ座標を検出することができる。
【0055】
上記のように、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の位置情報を取得するにあたって、例えば、信号処理部50としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、論理回路等のハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。
【0056】
(赤外線通信との関係)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、図7(a)に示すように、例えば、9000μ秒の期間(周波数=111Hz、オンデューティ比=50%)において位置検出用光源部11の4つの発光素子12(第1発光素子12A〜第4発光素子12D)を所定のパターンで点灯させ、その間、光検出器30は、図7(b)に示すように、位置検出光L2の検出を行なう。
【0057】
また、リモートコントロール装置150と位置検出機能付き表示装置100との間において赤外線通信が行なわれると、赤外線通信信号L5も光検出器30で受光される。かかる赤外線通信で用いられる赤外線通信信号L5には、図7(c)に示すように9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれる。従って、図3に示す通信信号検出部55は、赤外線通信信号L5からリーダーコード150a、パルス列150b、およびストップコード150cを抽出し、コマンド変換部550は、パルス列150bを制御コマンドに変換する。従って、通信信号検出部55は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出することができるとともに、赤外線通信信号L5を制御コマンドに変換することができる。
【0058】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において、リモートコントロール装置150から位置検出機能付き表示装置100に赤外線通信信号L5が出射されると、赤外線通信信号L5も位置検出光L2と同様、光検出器30で受光されるため、位置検出部51は、対象物体Obの位置を誤検出してしまう。そこで、本形態では、図3に示す信号処理部50の位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。より具体的には、図7(d)に示すように、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させる。従って、図7(e)に示すように、光検出器30では、ストップコード150cが検出された以降、赤外線通信信号L5のみが検出されることになる。
【0059】
そして、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。これに対して、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されなくなると、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を再開させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を再開させる。
【0060】
従って、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出用光源部11から検出領域10Rに向けて赤外光からなる位置検出光L2を出射し、検出領域10Rで対象物体Obにより反射した位置検出光L3を光検出器30によって検出する。ここで、位置検出用光源部11から出射された位置検出光L2は、検出領域10Rに強度分布を形成するととともに、検出領域10R内における位置と位置検出光L2の強度との間には一定の関係を成立する。このため、位置検出部51は、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる。
【0062】
また、位置検出用光源部11は、強度分布として、X軸方向(第1方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第1座標検出用強度分布)と、Y軸方向(第2方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第2座標検出用強度分布)とを異なるタイミングで形成するため、検出領域10R内における対象物体Obの二次元座標を検出することができる。しかも、位置検出用光源部11は、X座標検出用強度分布として互いに逆方向のX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成し、Y座標検出用強度分布として互いに逆方向のY座標検出用第1強度分布L2YaとY座標検出用第2強度分布L2Ybを形成する。従って、検出領域10R内における対象物体Obの二次元座標を正確に検出することができる。
【0063】
また、位置検出用光源部11は画像投射装置200に設けられており、画像投射装置200から検出領域10Rに向けて位置検出光を出射する。このため、検出領域10Rの周りに発光素子12を多数設ける必要がない。また、位置検出用光源部11、光検出器30、および信号処理部50のいずれもが画像投射装置200に設けられている。このため、位置検出に必要な要素が全て画像投射装置200に設けられているので、持ち運びに便利であるとともに、画像投射装置200の向きを調整すれば、位置検出用光源部11および光検出器30の光軸方向を調整することができる。
【0064】
さらに、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。このため、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0065】
しかも、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11からの位置検出光L2の出射を停止させる。このため、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、無駄な電力の消費を防止することができるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0066】
また、本形態において、赤外線通信信号L5では、ストップコード150cに対応する強度レベルが継続する期間、およびストップコード150cに対応する強度レベルが継続する期間が規格化されており、かかる構成を利用して、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する。このため、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを容易かつ確実に検出することができる。
【0067】
[実施の形態1の変形例]
上記実施の形態1において、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させたが、位置検出部51での位置検出動作の停止のみを指令してもよい。この場合、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11から位置検出光L2が出射させるが、位置検出部51での位置検出動作が停止しているため、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0068】
[実施の形態2]
(光学式位置検出装置10の信号処理部50の構成)
図8は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の信号処理部50等の構成を示す説明図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0069】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1と同様、それらに対する操作にはリモートコントロール装置150が用いられている。このため、図8に示すように、信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51と、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55とを備えている。
【0070】
本形態において、通信信号検出部55は、高域通過フィルター556、低域通過フィルター557、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えている。高域通過フィルター556は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去し、赤外線通信信号L5を通過可能である。高域通過フィルター556と高域通過フィルター516とについては共通のフィルターを用いてもよい。低域通過フィルター557は、赤外線通信信号L5を通過可能であり、後述する変更を行なった後の高周波の光パルス(位置検出光L2)に対応する信号を除去可能である。
【0071】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射すると、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤検出して出力してしまうことから、信号処理部50には、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部58が構成されている。
【0072】
また、本形態において、位置検出部51は、遮断帯域が切り換えられる可変フィルター部515、A/D変換回路517および座標検出部510を備えており、位置検出用指令部58は、可変フィルター部515での遮断帯域および通過帯域を切り換えるようになっている。可変フィルター部515は、例えば、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター516と、この高域通過フィルター516よりも高周波帯域の信号を通過させる高域通過フィルター518と、フィルター切り換え部519とを備えている。高域通過フィルター516は、通常時の周波数をもつ光パルスからなる位置検出光L2を通過可能である。高域通過フィルター518は、赤外線通信信号L5よりも高い周波数帯域の信号(後述する変更を行なった後の高周波の光パルス(位置検出光L2)に対応する信号)を通過可能であり、赤外線通信信号L5を除去可能である。
【0073】
フィルター切り換え部519は、位置検出用指令部58の制御の下、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター516を介してA/D変換回路517に出力するモードと、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター518を介してA/D変換回路517に出力するモードとに切り換わる。なお、通常時、フィルター切り換え部519は、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター516を介してA/D変換回路517に出力する状態にある。
【0074】
このように構成した光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置100においては、赤外線通信が行われていない通常時は、図9(a)に示すように、例えば、9000μ秒の期間(周波数=111Hz、オンデューティ比=50%)において位置検出用光源部11の4つの発光素子12(第1発光素子12A〜第4発光素子12D)を所定のパターンで点灯させ、その間、光検出器30は、図9(b)に示すように、位置検出光L2の検出を行なう。かかる構成は実施の形態1と同様である。
【0075】
ここで、リモートコントロール装置150と位置検出機能付き表示装置100との間において赤外線通信が行なわれると、赤外線通信信号L5も光検出器30で受光される。かかる赤外線通信の際、光検出器30での受光信号(赤外線通信信号)には、実施の形態1と同様、図9(c)に示すように9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれている。従って、図8に示す通信信号検出部55において、赤外線通信信号L5からリーダーコード150a、パルス列150b、およびストップコード150cを抽出し、コマンド変換部550は、パルス列150bを制御コマンドに変換する。従って、通信信号検出部55は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出することができるとともに、赤外線通信信号L5を制御コマンドに変換することができる。
【0076】
このような赤外線通信が行なわれた際、本形態では、図8に示す信号処理部50の位置検出用指令部58は、まず、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作を停止させる。より具体的には、図9(d)に示すように、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させる。従って、図9(e)に示すように、光検出器30では、ストップコード150cが検出された以降、赤外線通信信号L5のみが検出されることになる。
【0077】
そして、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。これに対して、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されなくなると、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を再開させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を再開させる。
【0078】
ここで、位置検出用指令部58は、リーダーコーダ150aが検出された後、ストップコード150cが検出されるまでを1回分の赤外線通信信号L5とし、赤外線通信信号L5の数をカウントする。そして、位置検出用指令部58は、赤外線通信信号L5の数が5回、連続して検出されるまでは、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。
【0079】
そして、位置検出用指令部58は、6回目の赤外線通信信号L5が検出されたときには、位置検出用光源部11および位置検出部51に対して位置検出条件を変更して位置検出動作を再開するように指令する。より具体的には、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させる。本形態において、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して、図9(f)に示すように、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域よりも高周波帯域の光パルスに変更させる。例えば、位置検出用指令部58は、位置検出光L2を562.5μ秒の周期(周波数=1.78kHz、オンデューティ比=50%)の光パルスに変更させる。
【0080】
また位置検出用指令部58は、位置検出部51のフィルター切り換え部519に指令して、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター518を介してA/D変換回路517に出力するモードに切り換え、座標検出部510は、位置検出光L2の検出値を平均した値に基づいて座標を算出する。
【0081】
以降、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55において5回目のストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、変更後の位置検出条件で位置検出動作を継続させる。そして、通信信号検出部55において6回目のストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されない場合には、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11および位置検出部51に対して通常の位置検出条件での位置検出動作に復帰させる。
【0082】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100でも、実施の形態1と同様、検出領域10Rに形成された位置検出光L2の強度分布を利用して対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0083】
また、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。このため、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0084】
さらに、本形態では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときには、位置検出用指令部58が位置検出用光源部11および位置検出部51を指令して、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて対象物体Obの位置検出を実施させる、このため、赤外線通信が長い期間継続して行なわれているような状態にある場合には、赤外線通信中でも対象物体Obの位置検出を支障なく実施することができる。それ故、リモートコントロール装置150から誤って赤外線通信信号L5が出射され続けた場合でも、位置検出を自動的に再開することができる。
【0085】
また、本形態では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更するが、通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用いる。このため、高周波帯域の周波数をもつ光パルスを利用することに起因する消費電力の増大は、赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときだけであり、通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用いるため、消費電力を低く抑えることができる。
【0086】
[実施の形態2の変形例]
上記実施の形態2では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して2回検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更したが、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が1回検出されたときに、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更してもよい。すなわち、赤外線通信が行なわれていない通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用い、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更してもよい。このように構成した場合には、赤外線通信が行なわれているか否かにかかわらず、位置検出を継続して行なうことができる。
【0087】
[実施の形態3]
(光学式位置検出装置10の信号処理部50の構成)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10の信号処理部50等の構成を示す説明図である。図11は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1、2と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0088】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1と同様、それらに対する操作にはリモートコントロール装置150から出射された赤外線通信信号L5による赤外線通信が用いられる。このため、図10に示すように、信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51と、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55とを備えている。
【0089】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1、2と同様、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射する。
【0090】
そこで、本形態では、図11(a)に示すように、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスを利用する。本形態では、赤外線通信信号L5には、図11(b)に示すように、9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれることから、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5の周波数帯域よりも高周波帯域の光パルスを利用する。例えば、位置検出光L2として、562.5μ秒の周期(周波数=1.78kHz、オンデューティ比=50%)の光パルスを利用する。
【0091】
このため、位置検出部51は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター518(位置検出信号用フィルター)、A/D変換回路517および座標検出部510を備えており、高域通過フィルター518は、赤外線通信信号L5よりも高い周波数帯域の信号を通過可能であり、赤外線通信信号L5を除去可能である。
【0092】
通信信号検出部55は、高域通過フィルター556、低域通過フィルター557(赤外線通信信号用フィルター)、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えており、高域通過フィルター556は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去し、赤外線通信信号L5を通過可能である。低域通過フィルター557は、赤外線通信信号L5を通過可能であり、位置検出光L2に対応する信号を除去可能である。
【0093】
(本形態の主な効果)
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の1と同様、検出領域10Rに形成された位置検出光L2の強度分布を利用して対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0094】
また、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5と異なる周波数帯域の光パルスを用いるため、位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0095】
[実施の形態4]
図12は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の構成を模式的に示す説明図であり、図12(a)、(b)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、および横方向からみた様子を模式的に示す説明図である。図13は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10の説明図であり、図13(a)、(b)、(c)は、光学式位置検出装置10の断面構成を模式的に示す説明図、光学式位置検出装置に用いた導光板等の構成を示す説明図、および導光板内での位置検出用赤外光の減衰状態を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、図13では、Z軸方向を上下方向として表してある。
【0096】
図12に示す位置検出機能付き表示装置100も、実施の形態1〜3と同様、投射型表示装置であり、画像投射装置200(画像生成装置)を備えている。かかる位置検出機能付き表示装置100も、実施の形態1と同様、光学式位置検出装置10を備えており、光学式位置検出装置10は、スクリーン部材290において画像が視認されるスクリーン面290a側(スクリーン部材290の前方)に設定された検出領域10R内の対象物体Obの位置を光学的に検出する機能を備えている。本形態において、検出領域10Rは、スクリーン部材290に対する法線方向からみたとき四角形の領域であり、スクリーン部材290において画像投射装置200によって画像が投射される領域(画像表示領域20R)と重なっている。
【0097】
かかる光学式位置検出装置10において、実施の形態1〜3では、位置検出用光源部11および光検出器30が画像投射装置200に設けられていたが、本形態では、位置検出用光源部11は、スクリーン部材290の裏面側290bに設けられた略長方形の平面形状を有する導光板13と、導光板13の周りに配置された4つの発光素子12とを備えている。導光板13は、スクリーン部材290の前方に設定された検出領域10Rと略相似形を有しており、導光板13の角部分13a〜13dは、検出領域10Rの角部分10Ra〜10Rdと略同一方向に位置している。
【0098】
図13に示すように、導光板13において、検出領域10Rに向いている面が光出射面13sであり、角部分10Ra〜10Rdが発光素子12から出射された位置検出光L2の光入射部として用いられている。より具体的には、発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は、導光板13の角部分13a、13b、13c、13dに対峙する位置で角部分13a、13b、13c、13dに光軸を向けている。なお、導光板13の背面13tあるいは光出射面13sには、表面凹凸構造、プリズム構造、散乱層(図示せず)等が設けられており、このような光散乱構造によって、角部分13a、13b、13c、13dDから入射して内部を伝播する光は、その伝播方向に進むに従って徐々に偏向されて光出射面13sより出射される。なお、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るために、プリズムシートや光散乱板等の光学シートが配置される場合もある。
【0099】
光検出器30は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、スクリーン部材290のスクリーン面290aの側において、検出領域10Rの外側でスクリーン面290aに沿う方向に受光部31を向けている。
【0100】
このように構成した光学式位置検出装置10では、発光素子12から出射された位置検出光L2は、導光板13の角部分13a〜13dから入射した後、導光板13内部を伝播しながら光出射面13sから出射され、スクリーン部材290を透過して検出領域10Rに強度分布を形成する。従って、導光板13の光出射面13sから検出領域10Rに出射された位置検出光L2が対象物体Obで反射すると、対象物体Obで反射した位置検出光L3は、光検出器30で検出される。
【0101】
例えば、第1発光素子12Aから出射された位置検出光L2aは、導光板13の角部分13aから入射した後、導光板13内部を伝播しながら光出射面13sから出射される。その際、導光板13から検出領域10Rに出射される第1位置検出光L2aの光量は、図13(c)に示すように、第1発光素子12Aからの距離に伴って直線的に減衰する。第2発光素子12Bから出射された第2位置検出光L2b、第3発光素子12Cから出射された第3位置検出光L2c、および第4発光素子12Dから出射された第4位置検出光L2dも同様に減衰しながら光出射面13sから出射される。従って、本形態でも、実施の形態1と同様、発光素子12から出射された位置検出光L2は、図4および図5を参照して説明した強度分布を形成することになる。
【0102】
かかる構成の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、それらに対する操作にリモートコントロール装置150を用いられるが、実施の形態1〜3を参照して説明した構成を採用すれば、位置検出光L2および赤外線通信信号L5が共通の光検出器30に入射した場合でも、対象物体Obの位置を誤検出することを防止することができる。
【0103】
[位置検出機能付き表示装置100の変形例]
上記実施の形態1〜4では位置検出機能付き表示装置100を投射型表示装置に適用した例であったが、図14に示すように、直視型の表示装置を画像生成装置として採用してもよい。図14は、本発明の変形例に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0104】
図12に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と直視型表示装置208(画像生成装置)とを備えており、光学式位置検出装置10において、位置検出用光源部11と、検出領域10Rに受光部31を向けた光検出器30とを備えている。位置検出用光源部11は、位置検出光L2を放出する発光素子12と、導光板13とを備えている。直視型表示装置208は、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置等であり、光学式位置検出装置10に対して入力操作側とは反対に設けられている。直視型表示装置208は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0105】
かかる構成の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、それらに対する操作にリモートコントロール装置150を用いられるが、実施の形態1〜3を参照して説明した構成を採用すれば、位置検出光L2および赤外線通信信号L5が共通の光検出器30に入射した場合でも、対象物体Obの位置を誤検出することを防止することができる。
【0106】
[その他の実施の形態]
実施の形態1〜3では、複数の発光素子12を画像投射装置200に設け、実施の形態4では、複数の発光素子12を導光板13とともにスクリーン部材290の裏面側290bに設けたが、導光板13を用いずに検出領域10Rの周りに発光素子12を配置してもよい。
【符号の説明】
【0107】
10・・光学式位置検出装置、10R・・検出領域、11・・位置検出用光源部、12・・発光素子、30・・光検出器、50・・信号処理部、51・・位置検出部、55・・通信信号検出部、100・・位置検出機能付き表示装置、150・・リモートコントロール装置、200・・画像投射装置、Ob・・対象物体、
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を赤外光を用いて光学的に検出する光学式位置検出装置および該光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の画像生成装置の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、画像生成装置に表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための光学式位置検出装置として構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の光学式位置検出装置では、液晶パネル等の直視型表示パネルに対して入力操作側に導光板を設け、導光板に対して入力操作側とは反対側に光源および受光素子等を配置する。そして、光源から出射された赤外光からなる位置検出光を導光板を介して入力操作側に出射し、対象物体で反射した位置検出光を受光素子で受光する。
【0004】
一方、電子機器の操作をリモートコントロール装置で行なう場合には、赤外線を用いた通信が多用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】USPatent No.6927384
【特許文献2】特開2001−309458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、特許文献1等に記載された原理を応用して各種表示装置に位置検出機能を付加すること等を検討している。しかしながら、位置検出機能付き表示装置との間、あるいは位置検出機能付き表示装置を設置した室内に設置された他の電子機器との間において特許文献2等で提案されている赤外線通信を行なうと、位置検出のための光検出器に赤外線が入射してしまい、対象物体の位置を誤って出力してしまうという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、赤外光を用いて位置検出を行なう方式を採用した場合でも、赤外線通信が原因で対象物体の位置を誤検出することを防止することができる光学式位置装置および位置検出機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部と、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部および前記位置検出部による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、位置検出用光源部から検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射し、検出領域で対象物体により反射した位置検出光を光検出器によって検出する。ここで、位置検出用光源部から出射された位置検出光は、検出領域に強度分布を形成するため、検出領域内における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいて対象物体の位置を検出することができる。また、本発明では、光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部が設けられており、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部および位置検出部による位置検出動作の停止、あるいは、位置検出光を赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更する等といった位置検出条件の変更を指令する。このため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0010】
本発明において、前記赤外線通信信号は、例えば、赤外線通信を利用したリモートコントロール装置から出射された通信信号である。
【0011】
本発明において、前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるリーダーコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号を受信している旨を検出し、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるストップコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号の受信が終了した旨を検出する構成を採用することができる。赤外線通信の場合、リーダーコードの期間、およびストップコードの期間が規格化されているので、光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを容易かつ確実に検出することができる。
【0012】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に前記位置検出光の出射を停止させる構成を採用することができる。このように構成すると、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出動作を停止するため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0013】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出部に前記対象物体の位置検出を停止させる構成を採用してもよい。このように構成すると、位置検出用指令部は、通信信号検出部により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出動作を停止する。このため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも、位置検出部から対象物体の位置が誤って出力されることがない。
【0014】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出されたときには、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて前記対象物体の位置検出を実施させることが好ましい。このように構成すると、赤外線通信が長い期間継続して行なわれているような状態にある場合には、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を支障なく実施することができる。
【0015】
本発明において、前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出された後、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。このように構成すると、高域通過フィルターを用いるという簡素な構成によって、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を正確に検出することができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させる構成を採用してもよい。このように構成すると、赤外線通信が実施されている期間中であっても、対象物体の位置検出を支障なく検出することができる。
【0017】
この場合、前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。このように構成すると、高域通過フィルターを用いるという簡素な構成によって、赤外線通信中でも対象物体の位置検出を正確に検出することができる。
【0018】
本発明において、前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出するとともに、前記赤外線通信信号を制御コマンドに変換することが好ましい。このように構成すると、位置検出用の光検出器を利用して赤外線通信を行なうことができる。
【0019】
本発明の別の形態では、検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、前記光検出器の受光結果に含まれる赤外線通信信号を検出する通信信号検出部と、を有し、前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果から前記赤外線通信信号を除去して位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、前記通信信号検出部、前記光検出器の受光結果から前記位置検出用の信号を除去して前記赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明では、位置検出用光源部から検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射し、検出領域で対象物体により反射した位置検出光を光検出器によって検出する。ここで、位置検出用光源部から出射された位置検出光は、検出領域に強度分布を形成するため、検出領域内における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいて対象物体の位置を検出することができる。また、位置検出用の光検出器を利用して赤外線通信を行なうことができる。さらに、位置検出部は、光検出器の受光結果から位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、通信信号検出部は、光検出器の受光結果から赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えているため、本発明を適用した光学式位置検出装置との間、本発明を適用した光学式位置検出装置を搭載した機器との間、あるいは他の機器との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信用の信号が位置検出のための光検出器に入射したときでも位置検出に支障が発生しない。
【0021】
本発明において、前記位置検出用光源部は、前記位置検出光の強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向と交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することが好ましい。このように構成すると、検出領域内の対象物体の二次元座標を検出することができる。
【0022】
本発明を適用した光学式位置検出装置については位置検出機能付き表示装置に用いることができ、かかる位置検出機能付き表示装置は、前記検出領域に重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有しているが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置における検出領域と発光素子との位置関係等を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において各々の発光素子から検出領域に出射される位置検出光の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において、発光素子12から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置で用いた位置検出光の強度分布および信号処理部での処理内容を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置における各信号の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置の説明図である。
【図14】本発明の変形例に係る光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、Z軸に沿う方向に画像を投射するものとして説明する。また、以下に参照する図面では、説明の便宜上、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向として表してある。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側として示してある。
【0025】
[実施の形態1]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、および横方向からみた様子を模式的に示す説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100における検出領域10Rと発光素子12との位置関係等を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、発光素子12から放出された位置検出光によって強度分布が形成される様子を示す説明図、および検出領域10Rと発光素子12の中心光軸との位置関係等を示す説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の信号処理部等の構成を示す説明図である。
【0026】
図1および図2に示す位置検出機能付き表示装置100は、投射型表示装置であり、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置200(画像生成装置)を備えている。かかる画像投射装置200は、筐体250の前面部201に設けられた投射レンズ210からスクリーン部材290に向けて画像表示光L1を拡大投射する。従って、画像投射装置200は、筐体250の内部にカラーの画像表示光を生成して投射レンズ210を介して出射する光学装置(図示せず)を備えている。本形態において、スクリーン部材290は横長の四角形である。
【0027】
本形態の位置検出機能付き表示装置100は、以下に説明するように、画像が投射される前方空間において、スクリーン部材290の前側に設定された検出領域10R内の対象物体Obの位置を光学的に検出する光学式位置検出装置10を備えている。従って、本形態の位置検出機能付き表示装置100では、かかる対象物体ObのXY座標を、投射された画像の一部等を指定する入力情報として扱い、かかる入力情報に基づいて画像の切り換え等を行なうことができる。本形態において、検出領域10Rは、スクリーン部材290に対する法線方向からみたとき四角形の領域であり、スクリーン部材290において画像投射装置200によって画像が投射される領域(画像表示領域20R)と重なっている。
【0028】
図1、図2および図3に示すように、光学式位置検出装置10を構成するにあたって、本形態の位置検出機能付き表示装置100には、検出領域10Rに向けて赤外光からなる位置検出光L2を出射して検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する位置検出用光源部11が設けられている。また、位置検出機能付き表示装置100には、検出領域10Rで対象物体Obにより反射した位置検出光L3を検出する光検出器30と、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置検出等を行なう信号処理部50とが設けられており、光学式位置検出装置10は、位置検出用光源部11、光検出器30および信号処理部50を備えている。
【0029】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において、位置検出用光源部11は、赤外光を出射する複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)と、これらの複数の発光素子12を駆動する光源駆動部14とを有しており、本形態において、位置検出用光源部11(発光素子12および光源駆動部14)は、画像投射装置200に設けられている。より具体的には、画像投射装置200の前面部201には、X軸方向の略中央位置に投射レンズ210が設けられているとともに、前面部201において投射レンズ210をX軸方向の両側には複数の発光素子12が設けられている。
【0030】
本形態において、発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はLED(発光ダイオード)等により構成され、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを発散光として放出する。位置検出光L2(位置検出光L2a〜L2d)は、指やタッチペン等の対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましい。従って、対象物体Obが指等の人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線、例えば波長で850nm付近)、あるいは950nmであることが望ましい。本形態では、いずれの発光素子12もピーク波長が850nm付近の波長域にある赤外光を出射する。なお、発光素子12の光出射面側には、散乱板やプリズムシート等の光学部材が配置されることもある。
【0031】
図3に示すように、光源駆動部14は、発光素子12を駆動する光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して複数の発光素子12の各々の点灯パターンを制御する光源制御部145とを備えている。光源駆動回路140は、第1発光素子12Aを駆動する第1光源駆動回路140aと、第2発光素子12Bを駆動する第2光源駆動回路140bと、第3発光素子12Cを駆動する第3光源駆動回路140cと、第4発光素子12Dを駆動する第4光源駆動回路140dとを備えている。光源制御部145は、第1光源駆動回路140a、第2光源駆動回路140b、第3光源駆動回路140cおよび第4光源駆動回路140dの全てを制御する。
【0032】
本形態においては、光検出器30および信号処理部50も、位置検出用光源部11と同様、画像投射装置200に設けられている。本形態において、信号処理部50と光源駆動部14とは、共通の半導体集積回路500に構成されている。
【0033】
光検出器30は、画像投射装置200の前面部201において、投射レンズ210に対してY軸方向の一方側に設けられている。かかる光検出器30は、検出領域10Rに受光部31を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態において、光検出器30は、850〜950nmの帯域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。光検出器30には信号処理部50が電気的に接続されており、光検出器30での検出結果は信号処理部50に出力される。信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51とを備えている。位置検出部51は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター516、A/D変換回路517、および座標検出部510を備えており、高域通過フィルター516は、所定周波数をもつ光パルスからなる位置検出光L2を通過可能である。座標検出部510は、X座標算出部511、Y座標算出部512、およびZ座標算出部513からなる。光源駆動部14と位置検出部51とは連動して動作し、後述する位置検出を行なう。
【0034】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100に対する操作にはリモートコントロール装置150が用いられており、光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100を操作する際、リモートコントロール装置150から光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100に向けて出射された赤外線による赤外線通信が行なわれる。かかる赤外線通信では、850〜950nmの帯域にピークを備えた赤外光が用いられており、光検出器30は、リモートコントロール装置150から出射された赤外線も受光する。
【0035】
このため、信号処理部50は、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55を備えており、通信信号検出部55は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター556、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えており、高域通過フィルター556は、赤外線通信信号L5を通過可能である。なお、高域通過フィルター556と高域通過フィルター516とについては共通のフィルターを用いてもよい。
【0036】
さらに、本形態では、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射すると、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤検出して出力してしまうことから、信号処理部50には、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止、あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部58が構成されている。かかる信号処理部50や位置検出用指令部58の機能等については、図7を参照して後述する。
【0037】
(位置検出光の強度分布)
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において各々の発光素子12から検出領域10Rに出射される位置検出光の説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において、発光素子12から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【0038】
図1(a)および図2に示すように、本形態において検出領域10Rは横長四角形であり、画像投射装置200において、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は仮想の四角形の角部分に相当する位置に配置されている。4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はいずれも、検出領域10R上の異なる位置に中心光軸を向けている。また、4つの発光素子12はいずれも、検出領域10Rの外周端部に中心光軸を向けている。より具体的には、第1発光素子12Aは、検出領域10Rの角部分10Raに中心光軸121aを向けており、第2発光素子12Bは、検出領域10Rの中心位置10Roを間に挟んで角部分10Raとは反対側の角部分10Rbに中心光軸121bを向けている。また、第3発光素子12Cは、検出領域10Rの角部分10Rcに中心光軸121cを向けており、第4発光素子12Dは、検出領域10Rの中心位置10Roを間に挟んで角部分10Rcとは反対側の角部分10Rdに中心光軸121dを向けている。
【0039】
本形態の位置検出機能付き表示装置100では、発光素子12から出射された位置検出光L2によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成して対象物体Obの位置を検出する。このため、検出領域10Rに形成された強度分布の強度レベルは高いことが好ましい。そこで、本形態では、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)の各々には、発光素子12から放出された位置検出光L2のうち、検出領域10Rの外側に向かおうとする位置検出光を検出領域10R内に導く反射ミラー18a〜18dが設けられている。本形態において、反射ミラー18a〜18dは、発光素子12の中心光軸が向かう検出領域10R上の形状に対応する形状をもって発光素子12の側方位置から位置検出光L2の放出方向に向けて延在している。より具体的には、反射ミラー18a〜18dは、発光素子12の中心光軸を囲む4方向のうち、互いに直交する2方向に、中心光軸と平行な2つの反射面を備えている。
【0040】
このように構成した光学式位置装置10では、第1発光素子12Aが点灯すると、図4(a)に示すように検出領域10Rの角部分10Raを中心にした強度分布が形成される。また、第2発光素子12Bが点灯すると、図4(b)に示すように検出領域10Rの角部分10Rbを中心にした強度分布が形成される。また、第3発光素子12Cが点灯すると、図4(c)に示すように検出領域10Rの角部分10Rcを中心にした強度分布が形成される。また、第4発光素子12Dが点灯すると、図4(d)に示すように検出領域10Rの角部分10Rdを中心にした強度分布が形成される。
【0041】
従って、第1発光素子12Aおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図4(a)および図5(a)に示すように、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第1強度分布L2Xa(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第1強度分布L2Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第2発光素子12Bおよび第3発光素子12Cが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図4(b)および図5(b)に示すように、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第2強度分布L2Xb(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第2強度分布L2Xbでは、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0042】
また、第2発光素子12Bおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図5(c)に示すように、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第1強度分布L2Ya(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第1強度分布L2Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第1発光素子12Aおよび第3発光素子12Cが点灯状態にあって他方の発光素子12が消灯状態にあると、図5(d)に示すように、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第2強度分布L2Yb(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第2強度分布L2Ybでは、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0043】
さらに、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)が全て点灯すると、Z軸方向において、画像投射装置200からスクリーン部材290に向かって位置検出光の強度が単調減少するZ座標検出用強度分布が形成される。
【0044】
(座標検出の基本原理)
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、図5を参照して説明した位置検出光の強度分布を利用して、信号処理部50の位置検出部51は、検出領域10R内の対象物体Obの位置を検出する。そこで、図6を参照して、光強度分布の構成および座標検出の原理を説明する。
【0045】
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10で用いた位置検出光の強度分布および信号処理部50での処理内容を示す説明図であり、図6(a)、(b)、(c)は、位置検出光のX軸方向の強度分布を示す説明図、対象物体で反射した位置検出光の強度を示す説明図、対象物体で反射した位置検出光の強度が等しくなるように位置検出光の強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0046】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、位置検出用光源部11から位置検出光L2を出射すると、位置検出用光源部11の発光素子12からの距離やその中心光軸の位置によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布が形成される。例えば、X座標を検出する際には、図6(a)、(b)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。好ましくは、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。従って、検出領域10Rに対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより位置検出光L2が反射され、その反射光の一部が光検出器30により検出される。ここで、X座標検出用第1期間に形成するX座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2期間に形成するX座標検出用第2強度分布L2Xbを予め、設定した分布としておけば、以下の方法等により、光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのX座標を検出することができる。
【0047】
例えば、第1の方法では、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2Xaと、X座標検出用第2強度分布L2Xbとの差を利用する。より具体的には、X座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2強度分布L2Xbは予め、設定した分布になっているので、X座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbとの差も予め、設定した関数になっている。従って、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとの差を求めれば、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。なお、検出値LXa、LXbの比に基づいて対象物体ObのX座標を検出することもできる
【0048】
次に、第2の方法では、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0049】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0050】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、図6(c)に示すように、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXaと、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXbとの比あるいは差等により、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0051】
次に、第3の方法でも、第2の方法と同様、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0052】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0053】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、例えば、検出値が低い期間の方、あるいは検出値が高い期間の方の発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。図6(c)に示す例では、例えば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXa分だけ減少させる。あるいは、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXb分だけ増大させる。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、制御量を調整した後のX座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量と、制御量を調整した後のX座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量との比あるいは差等により、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0054】
上記の方法1〜3のいずれを採用する場合でも、同様に、Y座標検出用第1期間において、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第1強度分布を形成した後、Y座標検出用第2期間において、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第2強度分布を形成すれば、対象物体ObのY座標を検出することができる。また、Z座標検出期間において、Z軸方向の強度分布を形成すれば、対象物体ObのZ座標を検出することができる。
【0055】
上記のように、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の位置情報を取得するにあたって、例えば、信号処理部50としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、論理回路等のハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。
【0056】
(赤外線通信との関係)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においては、図7(a)に示すように、例えば、9000μ秒の期間(周波数=111Hz、オンデューティ比=50%)において位置検出用光源部11の4つの発光素子12(第1発光素子12A〜第4発光素子12D)を所定のパターンで点灯させ、その間、光検出器30は、図7(b)に示すように、位置検出光L2の検出を行なう。
【0057】
また、リモートコントロール装置150と位置検出機能付き表示装置100との間において赤外線通信が行なわれると、赤外線通信信号L5も光検出器30で受光される。かかる赤外線通信で用いられる赤外線通信信号L5には、図7(c)に示すように9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれる。従って、図3に示す通信信号検出部55は、赤外線通信信号L5からリーダーコード150a、パルス列150b、およびストップコード150cを抽出し、コマンド変換部550は、パルス列150bを制御コマンドに変換する。従って、通信信号検出部55は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出することができるとともに、赤外線通信信号L5を制御コマンドに変換することができる。
【0058】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100において、リモートコントロール装置150から位置検出機能付き表示装置100に赤外線通信信号L5が出射されると、赤外線通信信号L5も位置検出光L2と同様、光検出器30で受光されるため、位置検出部51は、対象物体Obの位置を誤検出してしまう。そこで、本形態では、図3に示す信号処理部50の位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。より具体的には、図7(d)に示すように、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させる。従って、図7(e)に示すように、光検出器30では、ストップコード150cが検出された以降、赤外線通信信号L5のみが検出されることになる。
【0059】
そして、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。これに対して、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されなくなると、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を再開させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を再開させる。
【0060】
従って、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信を行なった際、かかる赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出用光源部11から検出領域10Rに向けて赤外光からなる位置検出光L2を出射し、検出領域10Rで対象物体Obにより反射した位置検出光L3を光検出器30によって検出する。ここで、位置検出用光源部11から出射された位置検出光L2は、検出領域10Rに強度分布を形成するととともに、検出領域10R内における位置と位置検出光L2の強度との間には一定の関係を成立する。このため、位置検出部51は、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる。
【0062】
また、位置検出用光源部11は、強度分布として、X軸方向(第1方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第1座標検出用強度分布)と、Y軸方向(第2方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第2座標検出用強度分布)とを異なるタイミングで形成するため、検出領域10R内における対象物体Obの二次元座標を検出することができる。しかも、位置検出用光源部11は、X座標検出用強度分布として互いに逆方向のX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成し、Y座標検出用強度分布として互いに逆方向のY座標検出用第1強度分布L2YaとY座標検出用第2強度分布L2Ybを形成する。従って、検出領域10R内における対象物体Obの二次元座標を正確に検出することができる。
【0063】
また、位置検出用光源部11は画像投射装置200に設けられており、画像投射装置200から検出領域10Rに向けて位置検出光を出射する。このため、検出領域10Rの周りに発光素子12を多数設ける必要がない。また、位置検出用光源部11、光検出器30、および信号処理部50のいずれもが画像投射装置200に設けられている。このため、位置検出に必要な要素が全て画像投射装置200に設けられているので、持ち運びに便利であるとともに、画像投射装置200の向きを調整すれば、位置検出用光源部11および光検出器30の光軸方向を調整することができる。
【0064】
さらに、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。このため、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0065】
しかも、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11からの位置検出光L2の出射を停止させる。このため、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、無駄な電力の消費を防止することができるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0066】
また、本形態において、赤外線通信信号L5では、ストップコード150cに対応する強度レベルが継続する期間、およびストップコード150cに対応する強度レベルが継続する期間が規格化されており、かかる構成を利用して、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する。このため、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを容易かつ確実に検出することができる。
【0067】
[実施の形態1の変形例]
上記実施の形態1において、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させたが、位置検出部51での位置検出動作の停止のみを指令してもよい。この場合、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11から位置検出光L2が出射させるが、位置検出部51での位置検出動作が停止しているため、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0068】
[実施の形態2]
(光学式位置検出装置10の信号処理部50の構成)
図8は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の信号処理部50等の構成を示す説明図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0069】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1と同様、それらに対する操作にはリモートコントロール装置150が用いられている。このため、図8に示すように、信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51と、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55とを備えている。
【0070】
本形態において、通信信号検出部55は、高域通過フィルター556、低域通過フィルター557、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えている。高域通過フィルター556は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去し、赤外線通信信号L5を通過可能である。高域通過フィルター556と高域通過フィルター516とについては共通のフィルターを用いてもよい。低域通過フィルター557は、赤外線通信信号L5を通過可能であり、後述する変更を行なった後の高周波の光パルス(位置検出光L2)に対応する信号を除去可能である。
【0071】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射すると、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤検出して出力してしまうことから、信号処理部50には、通信信号検出部55により赤外線通信信号L5が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部58が構成されている。
【0072】
また、本形態において、位置検出部51は、遮断帯域が切り換えられる可変フィルター部515、A/D変換回路517および座標検出部510を備えており、位置検出用指令部58は、可変フィルター部515での遮断帯域および通過帯域を切り換えるようになっている。可変フィルター部515は、例えば、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター516と、この高域通過フィルター516よりも高周波帯域の信号を通過させる高域通過フィルター518と、フィルター切り換え部519とを備えている。高域通過フィルター516は、通常時の周波数をもつ光パルスからなる位置検出光L2を通過可能である。高域通過フィルター518は、赤外線通信信号L5よりも高い周波数帯域の信号(後述する変更を行なった後の高周波の光パルス(位置検出光L2)に対応する信号)を通過可能であり、赤外線通信信号L5を除去可能である。
【0073】
フィルター切り換え部519は、位置検出用指令部58の制御の下、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター516を介してA/D変換回路517に出力するモードと、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター518を介してA/D変換回路517に出力するモードとに切り換わる。なお、通常時、フィルター切り換え部519は、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター516を介してA/D変換回路517に出力する状態にある。
【0074】
このように構成した光学式位置検出装置および位置検出機能付き表示装置100においては、赤外線通信が行われていない通常時は、図9(a)に示すように、例えば、9000μ秒の期間(周波数=111Hz、オンデューティ比=50%)において位置検出用光源部11の4つの発光素子12(第1発光素子12A〜第4発光素子12D)を所定のパターンで点灯させ、その間、光検出器30は、図9(b)に示すように、位置検出光L2の検出を行なう。かかる構成は実施の形態1と同様である。
【0075】
ここで、リモートコントロール装置150と位置検出機能付き表示装置100との間において赤外線通信が行なわれると、赤外線通信信号L5も光検出器30で受光される。かかる赤外線通信の際、光検出器30での受光信号(赤外線通信信号)には、実施の形態1と同様、図9(c)に示すように9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれている。従って、図8に示す通信信号検出部55において、赤外線通信信号L5からリーダーコード150a、パルス列150b、およびストップコード150cを抽出し、コマンド変換部550は、パルス列150bを制御コマンドに変換する。従って、通信信号検出部55は、光検出器30での受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出することができるとともに、赤外線通信信号L5を制御コマンドに変換することができる。
【0076】
このような赤外線通信が行なわれた際、本形態では、図8に示す信号処理部50の位置検出用指令部58は、まず、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作を停止させる。より具体的には、図9(d)に示すように、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてリーダーコーダ150aが検出された時点からストップコード150cが検出されるまでの間、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を停止させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を停止させる。従って、図9(e)に示すように、光検出器30では、ストップコード150cが検出された以降、赤外線通信信号L5のみが検出されることになる。
【0077】
そして、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。これに対して、通信信号検出部55においてストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されなくなると、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して位置検出光L2の出射を再開させるとともに、位置検出部51での位置検出動作を再開させる。
【0078】
ここで、位置検出用指令部58は、リーダーコーダ150aが検出された後、ストップコード150cが検出されるまでを1回分の赤外線通信信号L5とし、赤外線通信信号L5の数をカウントする。そして、位置検出用指令部58は、赤外線通信信号L5の数が5回、連続して検出されるまでは、位置検出用光源部11および位置検出部51を指令し、位置検出動作を停止させた状態を継続させる。
【0079】
そして、位置検出用指令部58は、6回目の赤外線通信信号L5が検出されたときには、位置検出用光源部11および位置検出部51に対して位置検出条件を変更して位置検出動作を再開するように指令する。より具体的には、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させる。本形態において、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11に対して、図9(f)に示すように、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域よりも高周波帯域の光パルスに変更させる。例えば、位置検出用指令部58は、位置検出光L2を562.5μ秒の周期(周波数=1.78kHz、オンデューティ比=50%)の光パルスに変更させる。
【0080】
また位置検出用指令部58は、位置検出部51のフィルター切り換え部519に指令して、光検出器30での検出結果を高域通過フィルター518を介してA/D変換回路517に出力するモードに切り換え、座標検出部510は、位置検出光L2の検出値を平均した値に基づいて座標を算出する。
【0081】
以降、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55において5回目のストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出された場合には、変更後の位置検出条件で位置検出動作を継続させる。そして、通信信号検出部55において6回目のストップコード150cが検出された後、新たなリーダーコーダ150aが検出されない場合には、位置検出用指令部58は、位置検出用光源部11および位置検出部51に対して通常の位置検出条件での位置検出動作に復帰させる。
【0082】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100でも、実施の形態1と同様、検出領域10Rに形成された位置検出光L2の強度分布を利用して対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0083】
また、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100は、光検出器30の受光結果に赤外線通信信号L5が含まれているか否かを検出する通信信号検出部55を備えており、位置検出用指令部58は、通信信号検出部55により赤外線通信信号が検出されている期間中、位置検出用光源部11および位置検出部51による位置検出動作の停止を指令する。このため、本形態の位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0084】
さらに、本形態では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときには、位置検出用指令部58が位置検出用光源部11および位置検出部51を指令して、位置検出光L2を赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて対象物体Obの位置検出を実施させる、このため、赤外線通信が長い期間継続して行なわれているような状態にある場合には、赤外線通信中でも対象物体Obの位置検出を支障なく実施することができる。それ故、リモートコントロール装置150から誤って赤外線通信信号L5が出射され続けた場合でも、位置検出を自動的に再開することができる。
【0085】
また、本形態では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更するが、通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用いる。このため、高周波帯域の周波数をもつ光パルスを利用することに起因する消費電力の増大は、赤外線通信信号L5が連続して設定回数検出されたときだけであり、通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用いるため、消費電力を低く抑えることができる。
【0086】
[実施の形態2の変形例]
上記実施の形態2では、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が連続して2回検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更したが、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が1回検出されたときに、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更してもよい。すなわち、赤外線通信が行なわれていない通常時は、周波数の低い位置検出光L2を用い、通信信号検出部55において赤外線通信信号L5が検出されたときには、位置検出光L2を通常時より高周波帯域の周波数をもつ光パルスに変更してもよい。このように構成した場合には、赤外線通信が行なわれているか否かにかかわらず、位置検出を継続して行なうことができる。
【0087】
[実施の形態3]
(光学式位置検出装置10の信号処理部50の構成)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10の信号処理部50等の構成を示す説明図である。図11は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10における各信号の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1、2と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0088】
本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1と同様、それらに対する操作にはリモートコントロール装置150から出射された赤外線通信信号L5による赤外線通信が用いられる。このため、図10に示すように、信号処理部50は、フィードバック抵抗を備えた増幅器59と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのXYZ座標を検出する位置検出部51と、光検出器30での検出結果に基づいて赤外線通信信号L5を検出する通信信号検出部55とを備えている。
【0089】
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の形態1、2と同様、位置検出光L2および赤外線通信信号L5の双方が光検出器30に入射する。
【0090】
そこで、本形態では、図11(a)に示すように、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスを利用する。本形態では、赤外線通信信号L5には、図11(b)に示すように、9000μ秒以上のリーダーコード150aに対応する強度レベル(ハイレベル)と、各種制御コマンドに対応するパルス幅が560μ秒のパルス列150bと、23000μ秒のストップコード150cに対応する強度レベル(ローレベル)とが含まれることから、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5の周波数帯域よりも高周波帯域の光パルスを利用する。例えば、位置検出光L2として、562.5μ秒の周期(周波数=1.78kHz、オンデューティ比=50%)の光パルスを利用する。
【0091】
このため、位置検出部51は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去する高域通過フィルター518(位置検出信号用フィルター)、A/D変換回路517および座標検出部510を備えており、高域通過フィルター518は、赤外線通信信号L5よりも高い周波数帯域の信号を通過可能であり、赤外線通信信号L5を除去可能である。
【0092】
通信信号検出部55は、高域通過フィルター556、低域通過フィルター557(赤外線通信信号用フィルター)、A/D変換回路558、およびコマンド変換部550を備えており、高域通過フィルター556は、環境光に含まれる赤外光に起因する低周波帯域の信号を除去し、赤外線通信信号L5を通過可能である。低域通過フィルター557は、赤外線通信信号L5を通過可能であり、位置検出光L2に対応する信号を除去可能である。
【0093】
(本形態の主な効果)
このように構成した光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、実施の1と同様、検出領域10Rに形成された位置検出光L2の強度分布を利用して対象物体Obの位置(XYZ座標)を検出することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0094】
また、本形態の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100では、位置検出光L2として、赤外線通信信号L5と異なる周波数帯域の光パルスを用いるため、位置検出機能付き表示装置100とリモートコントロール装置150との間において赤外線通信が行なわれている期間中、赤外線通信信号L5が光検出器30に入射したときでも、位置検出部51が対象物体Obの位置を誤って出力することはない。
【0095】
[実施の形態4]
図12は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の構成を模式的に示す説明図であり、図12(a)、(b)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、および横方向からみた様子を模式的に示す説明図である。図13は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10の説明図であり、図13(a)、(b)、(c)は、光学式位置検出装置10の断面構成を模式的に示す説明図、光学式位置検出装置に用いた導光板等の構成を示す説明図、および導光板内での位置検出用赤外光の減衰状態を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と略同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、図13では、Z軸方向を上下方向として表してある。
【0096】
図12に示す位置検出機能付き表示装置100も、実施の形態1〜3と同様、投射型表示装置であり、画像投射装置200(画像生成装置)を備えている。かかる位置検出機能付き表示装置100も、実施の形態1と同様、光学式位置検出装置10を備えており、光学式位置検出装置10は、スクリーン部材290において画像が視認されるスクリーン面290a側(スクリーン部材290の前方)に設定された検出領域10R内の対象物体Obの位置を光学的に検出する機能を備えている。本形態において、検出領域10Rは、スクリーン部材290に対する法線方向からみたとき四角形の領域であり、スクリーン部材290において画像投射装置200によって画像が投射される領域(画像表示領域20R)と重なっている。
【0097】
かかる光学式位置検出装置10において、実施の形態1〜3では、位置検出用光源部11および光検出器30が画像投射装置200に設けられていたが、本形態では、位置検出用光源部11は、スクリーン部材290の裏面側290bに設けられた略長方形の平面形状を有する導光板13と、導光板13の周りに配置された4つの発光素子12とを備えている。導光板13は、スクリーン部材290の前方に設定された検出領域10Rと略相似形を有しており、導光板13の角部分13a〜13dは、検出領域10Rの角部分10Ra〜10Rdと略同一方向に位置している。
【0098】
図13に示すように、導光板13において、検出領域10Rに向いている面が光出射面13sであり、角部分10Ra〜10Rdが発光素子12から出射された位置検出光L2の光入射部として用いられている。より具体的には、発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は、導光板13の角部分13a、13b、13c、13dに対峙する位置で角部分13a、13b、13c、13dに光軸を向けている。なお、導光板13の背面13tあるいは光出射面13sには、表面凹凸構造、プリズム構造、散乱層(図示せず)等が設けられており、このような光散乱構造によって、角部分13a、13b、13c、13dDから入射して内部を伝播する光は、その伝播方向に進むに従って徐々に偏向されて光出射面13sより出射される。なお、導光板13の光出射側には、必要に応じて、位置検出光L2a〜L2dの均―化を図るために、プリズムシートや光散乱板等の光学シートが配置される場合もある。
【0099】
光検出器30は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、スクリーン部材290のスクリーン面290aの側において、検出領域10Rの外側でスクリーン面290aに沿う方向に受光部31を向けている。
【0100】
このように構成した光学式位置検出装置10では、発光素子12から出射された位置検出光L2は、導光板13の角部分13a〜13dから入射した後、導光板13内部を伝播しながら光出射面13sから出射され、スクリーン部材290を透過して検出領域10Rに強度分布を形成する。従って、導光板13の光出射面13sから検出領域10Rに出射された位置検出光L2が対象物体Obで反射すると、対象物体Obで反射した位置検出光L3は、光検出器30で検出される。
【0101】
例えば、第1発光素子12Aから出射された位置検出光L2aは、導光板13の角部分13aから入射した後、導光板13内部を伝播しながら光出射面13sから出射される。その際、導光板13から検出領域10Rに出射される第1位置検出光L2aの光量は、図13(c)に示すように、第1発光素子12Aからの距離に伴って直線的に減衰する。第2発光素子12Bから出射された第2位置検出光L2b、第3発光素子12Cから出射された第3位置検出光L2c、および第4発光素子12Dから出射された第4位置検出光L2dも同様に減衰しながら光出射面13sから出射される。従って、本形態でも、実施の形態1と同様、発光素子12から出射された位置検出光L2は、図4および図5を参照して説明した強度分布を形成することになる。
【0102】
かかる構成の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、それらに対する操作にリモートコントロール装置150を用いられるが、実施の形態1〜3を参照して説明した構成を採用すれば、位置検出光L2および赤外線通信信号L5が共通の光検出器30に入射した場合でも、対象物体Obの位置を誤検出することを防止することができる。
【0103】
[位置検出機能付き表示装置100の変形例]
上記実施の形態1〜4では位置検出機能付き表示装置100を投射型表示装置に適用した例であったが、図14に示すように、直視型の表示装置を画像生成装置として採用してもよい。図14は、本発明の変形例に係る光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100の分解斜視図である。なお、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光学式位置検出装置10の構成は、上記実施の形態と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0104】
図12に示す位置検出機能付き表示装置100は、光学式位置検出装置10と直視型表示装置208(画像生成装置)とを備えており、光学式位置検出装置10において、位置検出用光源部11と、検出領域10Rに受光部31を向けた光検出器30とを備えている。位置検出用光源部11は、位置検出光L2を放出する発光素子12と、導光板13とを備えている。直視型表示装置208は、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置等であり、光学式位置検出装置10に対して入力操作側とは反対に設けられている。直視型表示装置208は、導光板13に対して平面視で重なる領域に画像表示領域20Rを備えており、かかる画像表示領域20Rは検出領域10Rと平面視で重なっている。
【0105】
かかる構成の光学式位置検出装置10および位置検出機能付き表示装置100においても、それらに対する操作にリモートコントロール装置150を用いられるが、実施の形態1〜3を参照して説明した構成を採用すれば、位置検出光L2および赤外線通信信号L5が共通の光検出器30に入射した場合でも、対象物体Obの位置を誤検出することを防止することができる。
【0106】
[その他の実施の形態]
実施の形態1〜3では、複数の発光素子12を画像投射装置200に設け、実施の形態4では、複数の発光素子12を導光板13とともにスクリーン部材290の裏面側290bに設けたが、導光板13を用いずに検出領域10Rの周りに発光素子12を配置してもよい。
【符号の説明】
【0107】
10・・光学式位置検出装置、10R・・検出領域、11・・位置検出用光源部、12・・発光素子、30・・光検出器、50・・信号処理部、51・・位置検出部、55・・通信信号検出部、100・・位置検出機能付き表示装置、150・・リモートコントロール装置、200・・画像投射装置、Ob・・対象物体、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、
前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、
前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部と、
前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部および前記位置検出部による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部と、
を備えていることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記赤外線通信信号は、赤外線通信を利用したリモートコントロール装置から出射された通信信号であることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるリーダーコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号を受信している旨を検出し、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるストップコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号の受信が終了した旨を検出することを特徴とする請求項2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に前記位置検出光の出射を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出部に前記対象物体の位置検出を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出されたときには、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて前記対象物体の位置検出を実施させることを特徴とする請求項4または5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、
前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出された後、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項6に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、
前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項8に記載の光学式位置検出装置。
【請求項10】
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出するとともに、前記赤外線通信信号を制御コマンドに変換することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項11】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、
前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、
前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
前記光検出器の受光結果に含まれる赤外線通信信号を検出する通信信号検出部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果から前記赤外線通信信号を除去して位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から前記位置検出用の信号を除去して前記赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えていることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項12】
前記位置検出用光源部は、前記位置検出光の強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向と交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置であって、
前記検出領域に重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【請求項1】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、
前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、
前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出する通信信号検出部と、
前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部および前記位置検出部による位置検出動作の停止あるいは位置検出条件の変更を指令する位置検出用指令部と、
を備えていることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記赤外線通信信号は、赤外線通信を利用したリモートコントロール装置から出射された通信信号であることを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるリーダーコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号を受信している旨を検出し、前記光検出器の受光結果から赤外線通信におけるストップコードに対応する強度レベルが一定期間継続して検出されたときには前記赤外線通信信号の受信が終了した旨を検出することを特徴とする請求項2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に前記位置検出光の出射を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出部に前記対象物体の位置検出を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出されたときには、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させて前記対象物体の位置検出を実施させることを特徴とする請求項4または5に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、
前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が連続して設定回数検出された後、当該赤外線通信信号の検出が停止するまで、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項6に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記位置検出用指令部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、前記位置検出用光源部に対して前記位置検出光を前記赤外線通信信号の周波数帯域と異なる帯域の周波数をもつ光パルスに変更させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記異なる帯域は、前記赤外線通信信号の周波数帯域より高周波帯域であり、
前記位置検出部は、前記通信信号検出部により前記赤外線通信信号が検出されている期間中、高域通過フィルターによって前記赤外線通信信号が除去された信号に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項8に記載の光学式位置検出装置。
【請求項10】
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果に赤外線通信信号が含まれているか否かを検出するとともに、前記赤外線通信信号を制御コマンドに変換することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項11】
検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
前記検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射して当該検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、
前記検出領域で前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、
前記光検出器の受光結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
前記光検出器の受光結果に含まれる赤外線通信信号を検出する通信信号検出部と、
を有し、
前記位置検出部は、前記光検出器の受光結果から前記赤外線通信信号を除去して位置検出用の信号を通過させる位置検出信号用フィルターを備え、
前記通信信号検出部は、前記光検出器の受光結果から前記位置検出用の信号を除去して前記赤外線通信信号を通過させる赤外線通信信号用フィルターを備えていることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項12】
前記位置検出用光源部は、前記位置検出光の強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向と交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた位置検出機能付き表示装置であって、
前記検出領域に重なる領域に画像を形成する画像生成装置を有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【図1】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図10】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図10】
【公開番号】特開2011−106901(P2011−106901A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260678(P2009−260678)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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