光学式測距センサおよび電子機器
【課題】小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器を安価で提供する。
【解決手段】光学式測距センサは、発光素子と同一平面上に設けられた受光素子2を備える。受光素子2は、複数のセル21Aを有し、発光素子1から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部21と、受光部21における所定の位置を記憶するフラッシュメモリ部25と、複数のセル21Aによる上記光の検出結果に基づいて、受光部21における上記光の集光位置を検出するとともに、フラッシュメモリ部25に記憶された所定の位置と受光部21における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する信号処理回路部22とを含む。
【解決手段】光学式測距センサは、発光素子と同一平面上に設けられた受光素子2を備える。受光素子2は、複数のセル21Aを有し、発光素子1から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部21と、受光部21における所定の位置を記憶するフラッシュメモリ部25と、複数のセル21Aによる上記光の検出結果に基づいて、受光部21における上記光の集光位置を検出するとともに、フラッシュメモリ部25に記憶された所定の位置と受光部21における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する信号処理回路部22とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式測距センサおよび電子機器に関し、特に、所定の範囲に位置する被測定物までの距離を測定するための光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
三角測量方式により所定の範囲に位置する被測定物までの距離を測定するための光学式測距センサが、従来から知られている。図13は、従来の光学式測距センサを示す断面図である。
【0003】
図13を参照して、従来の光学式測距センサは、発光素子100と、受光素子200と、発光素子100の駆動および受光素子200から出力される信号の処理を行なう集積回路部200Aと、発光素子100および受光素子200を各々封止する透光性樹脂部300(300A,300B)と、発光側および受光側のレンズ400(400A,400B)と、発光素子100、受光素子200および透光性樹脂部300を保持する遮光性樹脂部500と、リードフレーム600と、レンズケース700とを含む。
【0004】
図13に示す測距センサでは、受光素子2において、1つの受光部(PSD:Position Sensitive Detector)だけが設けられている。その受光部の抵抗値は、受光部内で均一かつ一定なものである。そして、受光素子2の2つの端子より得られる信号(電流値)を各々I1,I2とすると、I1/(I1+I2)により、距離に対応する出力値を得て、距離計測を行なう。
【0005】
上記のような光学式測距センサは、たとえば、特開平9−318315号公報(特許文献1)および特開2003−287420号公報(特許文献2)に記載されている。
【0006】
また、特開2002−195807号公報(特許文献3)には、位置検出素子としてCMOSイメージセンサを利用したものが記載されている。
【特許文献1】特開平9−318315号公報
【特許文献2】特開2003−287420号公報
【特許文献3】特開2002−195807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13に示す従来の光学式測距センサでは、受光側の素子として使用する位置検出受光素子(PSD)の受光部が1つだけであり、その受光部の抵抗値は受光部内で均一かつ一定なものであったため、物体までの距離が短いところでは精度よく距離を計測できるが、物体までの距離が長いところでは距離計測の精度が悪いという問題があった。この原因について図14,図15を用いて説明する。
【0008】
図14を参照して、三角測量方式により物体までの距離(d)を検出する光学式測距センサにおいて、物体までの距離(d)と受光部における出力(X)とは、図15に示すような反比例の関係にあり、物体までの距離が短いところでは距離変動による出力変化が大きく、物体までの距離が長いところでは距離変動による出力変化が小さい。したがって物体までの距離(d)が長いところでは、その距離(d)が所定量変動しても、受光部における出力(X)はあまり変動しないことになる。
【0009】
これに対し、発光側のレンズ中心と受光側のレンズ中心との中心間距離(A)や受光側のレンズと受光素子との間の距離、すなわち受光側のレンズの焦点距離(f)を大きくすることにより、精度を上げることができる。しかしながら、上記A,fを大きくすることにより、光学式測距センサのサイズが大きくなってしまう。
【0010】
また、従来の測距センサでは、物体までの距離(d)が長いところでは距離計測の精度が悪くなるので、実用上の距離計測範囲は計測可能な最大距離と最小距離の比が8程度までのものしか存在しなかった。
【0011】
なお、特許文献3には、位置検出素子としてCMOSイメージセンサを適用したものが示されているが、当該文献では、発光素子と受光素子とが同一平面状になく、パッケージも各素子毎に別々に形成しており、さらに、CMOSイメージセンサより取り出した信号処理部や、発光素子の駆動回路部はCMOSイメージセンサチップの外部にある。この結果、特許文献3では、測距センサのサイズが大きくなってしまうという問題があり、さらに、生産工程も多く、各工程での作業も精度を求めると複雑になり、製造コストが高いという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器を安価で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る光学式測距センサは、三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサである。当該センサは、発光素子と、発光素子と同一平面上に設けられた受光素子と、発光素子と受光素子とを各々封止する第1および第2の透光性樹脂部と、発光素子および受光素子の前方に各々設けられた第1および第2のレンズと、発光素子および受光素子間に所定の間隔が形成されるように発光素子および受光素子を保持する遮光性樹脂部とを備える。受光素子は、複数のセルを有し、発光素子から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部と、受光部における所定の位置を記憶するメモリ部と、複数のセルによる上記光の検出結果に基づいて、受光部における上記光の集光位置を検出するとともに、メモリ部に記憶された所定の位置と受光部における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する演算部とを含む。
【0014】
上記構成によれば、被測定物で反射した光が集光される受光部が複数のセルを有することにより、レンズ間距離(A)および受光部と受光側レンズとの焦点距離(f)を過度に大きくすることなく、精度の高い計測を行なうことができる。したがって、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサを安価で得ることができる。
【0015】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、複数のセルは、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に一列に並んで設けられている。
【0016】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った複数のセルの幅は5μm以下である。
【0017】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、第1および第2のレンズの中心間距離は10mm以下であり、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った受光部の幅は5mm以下である。
【0018】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、第1および第2のレンズの中心間距離は2mm以下であり、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った受光部の幅は1.5mm以下である。
【0019】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0020】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量重心に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0021】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、分布領域の幾何学的重心に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0022】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、および分布領域の幾何学的重心に対応する位置のうち少なくとも2つの位置を検出し、その検出結果の組合わせに基づいて受光部における上記光の集光位置を算出する。
【0023】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、メモリ部に記憶された受光部における所定の位置は、発光素子より投光され、光学式測距センサから所定の距離だけ離れた物体で反射した後、受光部へ集光された光の光量分布に基づいて求められた、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、分布領域の幾何学的重心に対応する位置、またはこれらの組合わせに基づいて算出された位置である。
【0024】
なお、本願明細書において、『光量重心』とは、受光部に集光された光の光量によって重み付けして求めた集光領域の中心を意味する。
【0025】
また、本願明細書において、『分布領域の幾何学的重心』とは、受光部に集光された光が分布する領域の幾何学的な重心を意味する。
【0026】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光素子の前方に設けられた第2のレンズはフレネルレンズである。
【0027】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子は、共振器型発光ダイオードである。
【0028】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子は、面発光レーザである。
【0029】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子から被測定物に達する光経路上に設けられ、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に垂直に交差する方向に発光素子からの光を分割する回折格子をさらに備える。
【0030】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子および受光素子は、同一のリードフレーム上に搭載される。
【0031】
本発明に係る電子機器は、上述した光学式測距センサを備える。1つの実施態様では、上記電子機器は、パーソナルコンピュータまたは携帯電話である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器を安価で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0034】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
【0035】
図1は、本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの上面図であり、図2は、図1におけるII−II断面図である。
【0036】
図1,図2を参照して、本実施の形態に係る光学式測距センサは、発光素子1と、受光素子2と、透光性樹脂部3(3A,3B)と、レンズ4(4A,4B)と、遮光性樹脂部5と、リードフレーム6と、レンズケース7とを含む。
【0037】
発光素子1は、たとえば1つの赤外LEDなどから構成される。発光素子1および受光素子2は、リードフレーム6上に搭載される。発光素子1および受光素子2は、所定の間隔(A)で併置されている。そして、発光素子1および受光素子2は、各々トランスファモールドによりエポキシ系の透光性樹脂3(3A,3B)で封止されている。さらに、発光素子1および受光素子2は、光を受け入れる窓部1A,2Aを除き、インジェクション成形により、遮光性樹脂部5で囲まれている。
【0038】
レンズケース7は、発光側のレンズ4Aおよび受光側のレンズ4Bを保持している。レンズ4A,4Bは、可視光カット材よりなるアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂で形成されている。また、レンズケース7は、ABS樹脂またはポリカーボネート樹脂で形成されている。レンズ4およびレンズケース7は、2色成形により一体成形されている。
【0039】
図3は、受光素子2の上面図である。図3を参照して、受光素子2は、受光部21と、信号処理回路部22と、ソフトメモリ部23と、データメモリ部24と、フラッシュメモリ部25と、駆動回路部26とを含む。
【0040】
受光部21は、m行×n列のCMOSエリアセンサである。受光部21は、複数の受光セル21Aを含む。図3の例では、m=14(行)、n=4(列)である。すなわち、図3の例では、合計56個の受光セル21Aが設けられている。ただし、典型的な他の例では、n=1(列)であってもよい。この場合、複数の受光セル21Aは、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿って一列に並んで設けられる。
【0041】
信号処理回路部22は、後述の手法により被測定物までの距離を演算する『演算部』として機能する。ソフトメモリ部23は、信号処理回路部22における演算を行なうためのソフトウエアを格納する部分である。また、データメモリ部24は、信号処理回路部22における演算を行なう際、一時的にデータを記憶するために必要な部分である。フラッシュメモリ部25は、受光部21における所定の位置を記憶している。信号処理回路部22は、後述のとおり、フラッシュメモリ部25に記憶された『所定の位置』と受光部21で受光された光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を演算するものである。
【0042】
なお、受光セル21Aの幅は適宜変更されるものであるが、本実施の形態の典型的な1つの例では、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光セル21Aの幅は、5μm以下程度である。また、本実施の形態の典型的な1つの例では、レンズ4A,4Bの中心間距離は10mm以下程度であり、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光部21の幅は5mm以下程度である。
【0043】
さらに、本実施の形態の典型的な1つの例では、レンズ4A,4Bの中心間距離は2mm以下程度であり、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光部21の幅は1.5mm以下程度である。
【0044】
三角測量方式により物体までの距離(d)を検出する光学式測距センサにおいて、物体までの距離(d)と出力とは、反比例の関係にあり、物体までの距離が短いところでは、距離変動による出力変化が大きく、物体までの距離が長いところでは、距離変動による出力変化が小さい傾向にある。したがって、物体までの距離(d)が長いところでは、距離変化に対し、受光部21上の光スポット移動量が小さい。これは、発光側のレンズ4Aの中心と受光側のレンズ4Bの中心との間の距離(A)や、受光側のレンズ4Bと受光部との間の距離、つまり、受光側のレンズ4Bの焦点距離(f)によっても変化する。すなわち、レンズ中心間距離(A)および受光側の焦点距離(f)を大きくすることにより、被測定物までの距離の変化に応じた光スポットの移動量を大きくすることができる。しかしながら、そのようにすることで、光学式測距センサのサイズが大きくなる。
【0045】
たとえば、光学式測距センサをパーソナルコンピュータの人体検出(人がパーソナルコンピュータの前に居るかどうかを検出し、居なければモニタを消すなどの制御を行ない、省エネを実現する。)や携帯電話のカメラオートフォーカス用途として搭載するためのサイズとしては、発光側のレンズ4Aの中心と受光側のレンズ4Bの中心間の距離(A)は、ほぼ10mm以下程度であることが好ましく、レンズ焦点距離fは略5mm以下であることが好ましい。この場合、測距範囲を1cm〜200cm程度とすると、受光部21上の光スポット移動量は、10×5×(1/10−1/2000)=4.975mmである。本実施の形態において、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略5mmであるが、測距範囲が狭くなれば、光スポットの移動量も小さくなるため、5mmよりも小さくてもよい。このとき、たとえば、遠距離側の200cm付近で、10cm程度の差を検知しようとする(これ以下の差を検知する必要性は実使用上低い。)と、受光部21上の光スポット移動量は、10×5×(1/1900−1/2000)=1.3μm程度となる。CMOSエリアセンサは、1つのセル内のどの程度の領域に光が照射されているかをある程度の精度(20%程度)で検出可能である。すなわち、受光セル21Aの幅が、5μm以下程度であれば、1.3μm程度の光スポット移動量は検知可能である。したがって、受光部21における受光セル21Aの幅は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略5μm以下程度であることが好ましい。このようにすることで、測距範囲として1〜200cmの広範囲(最大値/最小値=200)を確保しながら、従来よりも小型で精度のよい測距センサを実現できる。
【0046】
また、測距範囲が従来と同等(たとえば10〜80cm、すなわち、最大値/最小値=8)の場合は、上記の例と同等の精度を確保しても、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)は略5mm、レンズ焦点距離(f)は略2.5mmと、大幅に小型化が可能となる。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、5×2.5×(1/100−1/800)=0.11mmとなり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)も、大幅に小さくできる。
【0047】
さらに、測距範囲が1〜30mm程度の近接領域では、遠距離側である30mm付近で、1mm程度の距離変動を検出可能な最小サイズ、すなわち、30mmm付近で受光部21上の光スポット移動量が略1μm程度得られる最小サイズは、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)が略2mm、レンズ焦点距離(f)が略0.5mmである。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、2×0.5×(1/1−1/30)=0.97mmであり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略1.5mmあればよい。したがって、かなり小型の近接センサが実現可能である。
【0048】
上記のように、受光部21の幅を小さくすることにより、CMOSイメージセンサおよび他回路部を含む受光素子2のサイズが小さくなり、パッケージを小さくすることもできるので、安価な近接センサが実現可能となる。このような近接センサは、メカスイッチの代替や、たとえば携帯電話で会話中かどうか(携帯電話が耳の近くにあるかどうか)を検出し、その検出結果に基づいてモニタを消灯して省エネを図ったり、他の機能を制御することに使用可能である。
【0049】
なお、測距範囲が500〜5000mm程度の領域では、5000mm付近で100mm程度の距離変動を検出可能な最小サイズ、すなわち、5000mm付近で受光部21上の光スポット移動量が略1μm程度得られる最小サイズは、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)が略25mm、レンズ焦点距離(f)が略10mmである。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、25×10×(1/500−1/5000)=0.45mmであり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略1mmあればよい。したがって、かなり小型の遠距離センサが実現可能である。このような遠距離センサは、道路や廊下、玄関などにいる人を検知するような防犯用途(防犯カメラと連動して使用する。カメラは人体を撮影できるが、人体までの距離は計測できないため。)や、たとえばプロジェクタでスクリーンまでの距離を計測し、フォーカスを自動で合わせる機能(特に、ポータブルタイプのプロジェクタは、使う度にスクリーンまでの距離が変わるのでこの機能が有効である。)などに適用可能である。
【0050】
受光部21から出力される信号の処理方法は、個々の測距センサについて予め受光素子2を構成するチップ内のフラッシュメモリ部25に記憶させている所定の距離に対応した受光部21上の光スポット位置と、計測したい距離に被測定物を置いて、発光側より投光された光をその物体で反射させ、受光側のレンズ4Bを通して受光部21へ集光した結果得られる各受光セル21Aの光量分布に基づいて求められた光スポット位置との相対的な位置関係に応じた出力を行なう、というものである。このように、フラッシュメモリ部25に記憶させている所定の距離に対応した受光部21上の光スポット位置を利用したキャリブレーションを行なうことにより、精度の良い測距が可能になる。
【0051】
次に、図4〜図6を用いて、光スポット位置を求める方法について説明する。図4に示すように、典型的な1つの例では、光量のピーク値に対応する位置を受光部における光スポット位置(集光位置)として検出する。しかし、図5に示すように、光量による重み付けを行なって求めた光量分布の重心(光量重心)に対応する位置をスポット位置とする場合もあり、図6に示すように、光の分布領域の幾何学的重心に対応する位置をスポット位置とする場合もある。
【0052】
光量のピーク値に対応する位置をスポット位置とする方法は、図4に示すように、光量分布がピークを中心になだらかに減少するような分布の場合に有効である。しかし、図5,図6に示すように、光量が大きい部分が数箇所に点在する分布の場合には、単純にピーク位置によりスポット位置を検出すると、検出したピーク値より僅かに小さい部分の位置が無視されることになり、正確なスポット位置を求めることができない。このような場合には、光量分布の重心となる位置を求める方法や、その分布領域の重心となる位置(面積重心)を求める方法を採用することが好ましい。
【0053】
また、上記3つの方法のうち、少なくとも2通りの処理結果に基づいて、スポット位置を再計算して求めることで、光スポット位置を再現性よく正確に求める事ができる。
【0054】
次に、図7を用いて、発光素子1の構造のバリエーションについて説明する。図7(a)に示すように、1つの実施態様では、発光素子1として発光ダイオード11が用いられる。この場合、あらゆる方向に光が射出されるため、この光をできるだけ有効利用するために、レンズ4Aをある程度大きくせざるを得ない。これに対し、図7(b)および図7(c)に示すように、共振器型発光ダイオード(RCLED:resonant cavity LED)12および面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)13を採用することで、光の放射角が小さく、その出射方向を限定することができるので、レンズ4Aの径と焦点距離を小さくすることが可能である。このことは、測距センサの小型化に有効である。
【0055】
なお、共振器型発光ダイオード12と面発光レーザ13とを比較すると、面発光レーザ13の方が光の放射角が小さく、小型化の効果は大きいが、共振器型発光ダイオード12の方がコストが低いという利点がある。また、面発光レーザ13はチップ上面より光が出射されるので、本実施の形態のように、発光素子1をリードフレーム6上に搭載する構造においては、搭載性に優れている(普通の半導体レーザは、チップ側面から発光するので、リードフレーム上に搭載できない)。さらに、共振器型発光ダイオード12または面発光レーザ13を採用した場合、発光ダイオード11に比べて有効利用できる光が格段に多く、発光させるために必要な電流が小さく消費電流も小さくできる利点がある(この点については、共振器型発光ダイオード12よりも面発光レーザ13の方が効果は大きい)。また、共振器型発光ダイオード12および面発光レーザ13の発光点の大きさは、発光ダイオード11のそれに比べて小さいので、発光側のレンズ4Aで平行光を作りやすく(発光ダイオード11の場合は平行光にはならず、ある程度のビーム広がりが生じる)、距離計測の精度が向上する(この点についても、共振器型発光ダイオード12よりも面発光レーザ13の方が効果は大きい)。
【0056】
図8は、本実施の形態に係る光学式測距センサの変形例の断面図である。図8に示すように、本変形例においては、受光側のレンズ4Bにフレネルレンズを用いている。
【0057】
受光側のレンズ4Bについては、被測定物で反射した光をできるだけ多く受光部21へ取り込む必要があるため、レンズ径を大きくしたいという要請があるが、通常のレンズでは、レンズ径を大きくすることにより、レンズ焦点距離が大きくなり、測距センサが大型化しやすくなる。これに対し、フレネルレンズを用いた場合は、レンズ径を大きく保ったままレンズ焦点距離を小さくすることができる。さらに、図9に示すように、レンズ4Bの厚みを薄くできる。この結果、測距センサの小型化を図ることができる。特に、測距センサの高さを小さくできる。
【0058】
図10は、本実施の形態に係る光学式測距センサの他の変形例の断面図である。図10を参照して、本変形例に係る測距センサは、発光素子1から被測定物に達する光経路上に回折格子8(図11参照)を設けたことを特徴とする。回折格子8は、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向に垂直に交差する方向(図10における紙面の前後方向)に発光素子1からの光を分割するものである。すなわち、本変形例に係る測距センサは、発光ビームが分割されたマルチビームの光学式測距センサである。なお、分割された各ビームの光強度は、互いに同じである。
【0059】
図12は、図10に示す光学式測距センサの使用状態を説明するための斜視図である。図12を参照して、検知範囲内に被測定物A,Bがある場合、被測定物A,Bの各々で反射した光の一部が、受光側のレンズ4Bを通してCMOSエリアセンサの受光部21に集光される。この集光位置(スポット位置)は、センサから非測定物までの距離により、図中X軸方向に変動(距離が遠いほどスポット位置はX軸の負の方向に寄る)し、センサから非測定物に向かう方向により、図中Y軸方向に変動する。したがって、受光部21上のどの位置にスポット位置があるかにより、被測定物の位置を検出できる。図12のように、被測定物が複数個存在する場合、それぞれの位置を検出可能である。
【0060】
なお、本光学式測距センサに利用する光の波長としては、赤外線を適用することで、外乱光の影響を低減できる。たとえば、発光素子1の発光波長として赤外領域のものを適用し、CMOSエリアセンサの受光波長も赤外にピーク感度を有するものとし、受光側のレンズ4Bと発光側のレンズ4Aとして可視光をカットする光学特性を有するものを適用することで、屋内の蛍光灯程度の光であれば、影響を受けることなく測定を行なうことが可能となる。しかし、白熱灯や太陽光のように赤外光が含まれる光の環境下で使用する場合は、さらに工夫が必要となる。この工夫としては、たとえば、所定のタイミングで発光素子1を駆動する駆動回路部26により、所定に期間内で所定の回数だけ発光素子1をパルス発光させその発光タイミングに同期して受光素子2側の信号を有効信号として抽出し、パルス発光回数分の平均値として出力する機能をもたせることが考えられる。
【0061】
本実施の形態に係る光学式測距センサによれば、被測定物で反射した光が集光される受光部21が複数のセルを有することにより、レンズ間距離(A)および受光部21と受光側のレンズ4Bとの焦点距離を過度に大きくすることなく、精度の高い計測を行なうことができる。したがって、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサを得ることができる。
【0062】
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係る光学式測距センサは、三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサであって、発光素子1と、発光素子1と同一平面上に設けられた受光素子2と、発光素子1と受光素子2とを各々封止する『第1および第2の透光性樹脂部』としての透光性樹脂部3(3A,3B)と、発光素子1および受光素子2の前方に各々設けられた『第1および第2のレンズ』としてのレンズ4(4A,4B)と、発光素子1および受光素子2間に所定の間隔(A)が形成されるように発光素子1および受光素子2を保持する遮光性樹脂部5とを備える。受光素子2は、複数のセル21Aを有し、発光素子1から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部21と、受光部21における所定の位置を記憶する『メモリ部』としてのフラッシュメモリ部25と、複数のセル21Aによる上記光の検出結果に基づいて、受光部21における上記光の集光位置を検出するとともに、フラッシュメモリ部25に記憶された所定の位置と受光部21における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する『演算部』としての信号処理回路部22とを含む。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの上面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1,図2に示す光学式測距センサにおける受光素子の上面図である。
【図4】受光部上の集光状態を説明する図(その1)である。
【図5】受光部上の集光状態を説明する図(その2)である。
【図6】受光部上の集光状態を説明する図(その3)である。
【図7】発光素子の構造のバリエーションを説明する図である。
【図8】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの変形例の断面図である。
【図9】フレネルレンズを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの他の変形例の断面図である。
【図11】図10に示す光学式測距センサに含まれる回折格子の上面図である。
【図12】図10に示す光学式測距センサの使用状態を説明するための斜視図である。
【図13】従来の光学式測距センサを示す断面図である。
【図14】三角測量方式の原理を説明するための図(その1)である。
【図15】三角測量方式の原理を説明するための図(その2)である。
【符号の説明】
【0065】
1,100 発光素子、2,200 受光素子、1A,2A 窓部、3,3A,3B,300,300A,300B 透光性樹脂部、4,4A,4B,400,400A,400B レンズ、5,500 遮光性樹脂部、6,600 リードフレーム、7,700 レンズケース、8 回折格子、11 発光ダイオード、12 共振器型発光ダイオード、13 面発光レーザ、21 受光部、21A 受光セル、22 信号処理回路部、23 ソフトメモリ部、24 データメモリ部、25 フラッシュメモリ部、26 駆動回路部、200A 集積回路部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式測距センサおよび電子機器に関し、特に、所定の範囲に位置する被測定物までの距離を測定するための光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
三角測量方式により所定の範囲に位置する被測定物までの距離を測定するための光学式測距センサが、従来から知られている。図13は、従来の光学式測距センサを示す断面図である。
【0003】
図13を参照して、従来の光学式測距センサは、発光素子100と、受光素子200と、発光素子100の駆動および受光素子200から出力される信号の処理を行なう集積回路部200Aと、発光素子100および受光素子200を各々封止する透光性樹脂部300(300A,300B)と、発光側および受光側のレンズ400(400A,400B)と、発光素子100、受光素子200および透光性樹脂部300を保持する遮光性樹脂部500と、リードフレーム600と、レンズケース700とを含む。
【0004】
図13に示す測距センサでは、受光素子2において、1つの受光部(PSD:Position Sensitive Detector)だけが設けられている。その受光部の抵抗値は、受光部内で均一かつ一定なものである。そして、受光素子2の2つの端子より得られる信号(電流値)を各々I1,I2とすると、I1/(I1+I2)により、距離に対応する出力値を得て、距離計測を行なう。
【0005】
上記のような光学式測距センサは、たとえば、特開平9−318315号公報(特許文献1)および特開2003−287420号公報(特許文献2)に記載されている。
【0006】
また、特開2002−195807号公報(特許文献3)には、位置検出素子としてCMOSイメージセンサを利用したものが記載されている。
【特許文献1】特開平9−318315号公報
【特許文献2】特開2003−287420号公報
【特許文献3】特開2002−195807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13に示す従来の光学式測距センサでは、受光側の素子として使用する位置検出受光素子(PSD)の受光部が1つだけであり、その受光部の抵抗値は受光部内で均一かつ一定なものであったため、物体までの距離が短いところでは精度よく距離を計測できるが、物体までの距離が長いところでは距離計測の精度が悪いという問題があった。この原因について図14,図15を用いて説明する。
【0008】
図14を参照して、三角測量方式により物体までの距離(d)を検出する光学式測距センサにおいて、物体までの距離(d)と受光部における出力(X)とは、図15に示すような反比例の関係にあり、物体までの距離が短いところでは距離変動による出力変化が大きく、物体までの距離が長いところでは距離変動による出力変化が小さい。したがって物体までの距離(d)が長いところでは、その距離(d)が所定量変動しても、受光部における出力(X)はあまり変動しないことになる。
【0009】
これに対し、発光側のレンズ中心と受光側のレンズ中心との中心間距離(A)や受光側のレンズと受光素子との間の距離、すなわち受光側のレンズの焦点距離(f)を大きくすることにより、精度を上げることができる。しかしながら、上記A,fを大きくすることにより、光学式測距センサのサイズが大きくなってしまう。
【0010】
また、従来の測距センサでは、物体までの距離(d)が長いところでは距離計測の精度が悪くなるので、実用上の距離計測範囲は計測可能な最大距離と最小距離の比が8程度までのものしか存在しなかった。
【0011】
なお、特許文献3には、位置検出素子としてCMOSイメージセンサを適用したものが示されているが、当該文献では、発光素子と受光素子とが同一平面状になく、パッケージも各素子毎に別々に形成しており、さらに、CMOSイメージセンサより取り出した信号処理部や、発光素子の駆動回路部はCMOSイメージセンサチップの外部にある。この結果、特許文献3では、測距センサのサイズが大きくなってしまうという問題があり、さらに、生産工程も多く、各工程での作業も精度を求めると複雑になり、製造コストが高いという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器を安価で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る光学式測距センサは、三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサである。当該センサは、発光素子と、発光素子と同一平面上に設けられた受光素子と、発光素子と受光素子とを各々封止する第1および第2の透光性樹脂部と、発光素子および受光素子の前方に各々設けられた第1および第2のレンズと、発光素子および受光素子間に所定の間隔が形成されるように発光素子および受光素子を保持する遮光性樹脂部とを備える。受光素子は、複数のセルを有し、発光素子から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部と、受光部における所定の位置を記憶するメモリ部と、複数のセルによる上記光の検出結果に基づいて、受光部における上記光の集光位置を検出するとともに、メモリ部に記憶された所定の位置と受光部における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する演算部とを含む。
【0014】
上記構成によれば、被測定物で反射した光が集光される受光部が複数のセルを有することにより、レンズ間距離(A)および受光部と受光側レンズとの焦点距離(f)を過度に大きくすることなく、精度の高い計測を行なうことができる。したがって、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサを安価で得ることができる。
【0015】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、複数のセルは、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に一列に並んで設けられている。
【0016】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った複数のセルの幅は5μm以下である。
【0017】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、第1および第2のレンズの中心間距離は10mm以下であり、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った受光部の幅は5mm以下である。
【0018】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、第1および第2のレンズの中心間距離は2mm以下であり、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に沿った受光部の幅は1.5mm以下である。
【0019】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0020】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量重心に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0021】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、分布領域の幾何学的重心に対応する位置を受光部における上記光の集光位置として検出する。
【0022】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光位置検出部は、受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、および分布領域の幾何学的重心に対応する位置のうち少なくとも2つの位置を検出し、その検出結果の組合わせに基づいて受光部における上記光の集光位置を算出する。
【0023】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、メモリ部に記憶された受光部における所定の位置は、発光素子より投光され、光学式測距センサから所定の距離だけ離れた物体で反射した後、受光部へ集光された光の光量分布に基づいて求められた、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、分布領域の幾何学的重心に対応する位置、またはこれらの組合わせに基づいて算出された位置である。
【0024】
なお、本願明細書において、『光量重心』とは、受光部に集光された光の光量によって重み付けして求めた集光領域の中心を意味する。
【0025】
また、本願明細書において、『分布領域の幾何学的重心』とは、受光部に集光された光が分布する領域の幾何学的な重心を意味する。
【0026】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、受光素子の前方に設けられた第2のレンズはフレネルレンズである。
【0027】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子は、共振器型発光ダイオードである。
【0028】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子は、面発光レーザである。
【0029】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子から被測定物に達する光経路上に設けられ、発光素子と受光素子とが並ぶ方向に垂直に交差する方向に発光素子からの光を分割する回折格子をさらに備える。
【0030】
1つの実施態様では、上記光学式測距センサにおいて、発光素子および受光素子は、同一のリードフレーム上に搭載される。
【0031】
本発明に係る電子機器は、上述した光学式測距センサを備える。1つの実施態様では、上記電子機器は、パーソナルコンピュータまたは携帯電話である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサおよび該センサを含む電子機器を安価で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0034】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
【0035】
図1は、本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの上面図であり、図2は、図1におけるII−II断面図である。
【0036】
図1,図2を参照して、本実施の形態に係る光学式測距センサは、発光素子1と、受光素子2と、透光性樹脂部3(3A,3B)と、レンズ4(4A,4B)と、遮光性樹脂部5と、リードフレーム6と、レンズケース7とを含む。
【0037】
発光素子1は、たとえば1つの赤外LEDなどから構成される。発光素子1および受光素子2は、リードフレーム6上に搭載される。発光素子1および受光素子2は、所定の間隔(A)で併置されている。そして、発光素子1および受光素子2は、各々トランスファモールドによりエポキシ系の透光性樹脂3(3A,3B)で封止されている。さらに、発光素子1および受光素子2は、光を受け入れる窓部1A,2Aを除き、インジェクション成形により、遮光性樹脂部5で囲まれている。
【0038】
レンズケース7は、発光側のレンズ4Aおよび受光側のレンズ4Bを保持している。レンズ4A,4Bは、可視光カット材よりなるアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂で形成されている。また、レンズケース7は、ABS樹脂またはポリカーボネート樹脂で形成されている。レンズ4およびレンズケース7は、2色成形により一体成形されている。
【0039】
図3は、受光素子2の上面図である。図3を参照して、受光素子2は、受光部21と、信号処理回路部22と、ソフトメモリ部23と、データメモリ部24と、フラッシュメモリ部25と、駆動回路部26とを含む。
【0040】
受光部21は、m行×n列のCMOSエリアセンサである。受光部21は、複数の受光セル21Aを含む。図3の例では、m=14(行)、n=4(列)である。すなわち、図3の例では、合計56個の受光セル21Aが設けられている。ただし、典型的な他の例では、n=1(列)であってもよい。この場合、複数の受光セル21Aは、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿って一列に並んで設けられる。
【0041】
信号処理回路部22は、後述の手法により被測定物までの距離を演算する『演算部』として機能する。ソフトメモリ部23は、信号処理回路部22における演算を行なうためのソフトウエアを格納する部分である。また、データメモリ部24は、信号処理回路部22における演算を行なう際、一時的にデータを記憶するために必要な部分である。フラッシュメモリ部25は、受光部21における所定の位置を記憶している。信号処理回路部22は、後述のとおり、フラッシュメモリ部25に記憶された『所定の位置』と受光部21で受光された光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を演算するものである。
【0042】
なお、受光セル21Aの幅は適宜変更されるものであるが、本実施の形態の典型的な1つの例では、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光セル21Aの幅は、5μm以下程度である。また、本実施の形態の典型的な1つの例では、レンズ4A,4Bの中心間距離は10mm以下程度であり、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光部21の幅は5mm以下程度である。
【0043】
さらに、本実施の形態の典型的な1つの例では、レンズ4A,4Bの中心間距離は2mm以下程度であり、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向(図3中の左右方向)に沿った受光部21の幅は1.5mm以下程度である。
【0044】
三角測量方式により物体までの距離(d)を検出する光学式測距センサにおいて、物体までの距離(d)と出力とは、反比例の関係にあり、物体までの距離が短いところでは、距離変動による出力変化が大きく、物体までの距離が長いところでは、距離変動による出力変化が小さい傾向にある。したがって、物体までの距離(d)が長いところでは、距離変化に対し、受光部21上の光スポット移動量が小さい。これは、発光側のレンズ4Aの中心と受光側のレンズ4Bの中心との間の距離(A)や、受光側のレンズ4Bと受光部との間の距離、つまり、受光側のレンズ4Bの焦点距離(f)によっても変化する。すなわち、レンズ中心間距離(A)および受光側の焦点距離(f)を大きくすることにより、被測定物までの距離の変化に応じた光スポットの移動量を大きくすることができる。しかしながら、そのようにすることで、光学式測距センサのサイズが大きくなる。
【0045】
たとえば、光学式測距センサをパーソナルコンピュータの人体検出(人がパーソナルコンピュータの前に居るかどうかを検出し、居なければモニタを消すなどの制御を行ない、省エネを実現する。)や携帯電話のカメラオートフォーカス用途として搭載するためのサイズとしては、発光側のレンズ4Aの中心と受光側のレンズ4Bの中心間の距離(A)は、ほぼ10mm以下程度であることが好ましく、レンズ焦点距離fは略5mm以下であることが好ましい。この場合、測距範囲を1cm〜200cm程度とすると、受光部21上の光スポット移動量は、10×5×(1/10−1/2000)=4.975mmである。本実施の形態において、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略5mmであるが、測距範囲が狭くなれば、光スポットの移動量も小さくなるため、5mmよりも小さくてもよい。このとき、たとえば、遠距離側の200cm付近で、10cm程度の差を検知しようとする(これ以下の差を検知する必要性は実使用上低い。)と、受光部21上の光スポット移動量は、10×5×(1/1900−1/2000)=1.3μm程度となる。CMOSエリアセンサは、1つのセル内のどの程度の領域に光が照射されているかをある程度の精度(20%程度)で検出可能である。すなわち、受光セル21Aの幅が、5μm以下程度であれば、1.3μm程度の光スポット移動量は検知可能である。したがって、受光部21における受光セル21Aの幅は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略5μm以下程度であることが好ましい。このようにすることで、測距範囲として1〜200cmの広範囲(最大値/最小値=200)を確保しながら、従来よりも小型で精度のよい測距センサを実現できる。
【0046】
また、測距範囲が従来と同等(たとえば10〜80cm、すなわち、最大値/最小値=8)の場合は、上記の例と同等の精度を確保しても、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)は略5mm、レンズ焦点距離(f)は略2.5mmと、大幅に小型化が可能となる。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、5×2.5×(1/100−1/800)=0.11mmとなり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)も、大幅に小さくできる。
【0047】
さらに、測距範囲が1〜30mm程度の近接領域では、遠距離側である30mm付近で、1mm程度の距離変動を検出可能な最小サイズ、すなわち、30mmm付近で受光部21上の光スポット移動量が略1μm程度得られる最小サイズは、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)が略2mm、レンズ焦点距離(f)が略0.5mmである。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、2×0.5×(1/1−1/30)=0.97mmであり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略1.5mmあればよい。したがって、かなり小型の近接センサが実現可能である。
【0048】
上記のように、受光部21の幅を小さくすることにより、CMOSイメージセンサおよび他回路部を含む受光素子2のサイズが小さくなり、パッケージを小さくすることもできるので、安価な近接センサが実現可能となる。このような近接センサは、メカスイッチの代替や、たとえば携帯電話で会話中かどうか(携帯電話が耳の近くにあるかどうか)を検出し、その検出結果に基づいてモニタを消灯して省エネを図ったり、他の機能を制御することに使用可能である。
【0049】
なお、測距範囲が500〜5000mm程度の領域では、5000mm付近で100mm程度の距離変動を検出可能な最小サイズ、すなわち、5000mm付近で受光部21上の光スポット移動量が略1μm程度得られる最小サイズは、発光側レンズ4Aの中心と受光側レンズ4Bの中心との中心間距離(A)が略25mm、レンズ焦点距離(f)が略10mmである。この場合、受光部21上の光スポット移動量は、25×10×(1/500−1/5000)=0.45mmであり、受光部21の幅(複数の受光セル21Aよりなる受光部21の幅)は、発光素子1の中心と受光部21の中心とを結ぶ直線方向において、略1mmあればよい。したがって、かなり小型の遠距離センサが実現可能である。このような遠距離センサは、道路や廊下、玄関などにいる人を検知するような防犯用途(防犯カメラと連動して使用する。カメラは人体を撮影できるが、人体までの距離は計測できないため。)や、たとえばプロジェクタでスクリーンまでの距離を計測し、フォーカスを自動で合わせる機能(特に、ポータブルタイプのプロジェクタは、使う度にスクリーンまでの距離が変わるのでこの機能が有効である。)などに適用可能である。
【0050】
受光部21から出力される信号の処理方法は、個々の測距センサについて予め受光素子2を構成するチップ内のフラッシュメモリ部25に記憶させている所定の距離に対応した受光部21上の光スポット位置と、計測したい距離に被測定物を置いて、発光側より投光された光をその物体で反射させ、受光側のレンズ4Bを通して受光部21へ集光した結果得られる各受光セル21Aの光量分布に基づいて求められた光スポット位置との相対的な位置関係に応じた出力を行なう、というものである。このように、フラッシュメモリ部25に記憶させている所定の距離に対応した受光部21上の光スポット位置を利用したキャリブレーションを行なうことにより、精度の良い測距が可能になる。
【0051】
次に、図4〜図6を用いて、光スポット位置を求める方法について説明する。図4に示すように、典型的な1つの例では、光量のピーク値に対応する位置を受光部における光スポット位置(集光位置)として検出する。しかし、図5に示すように、光量による重み付けを行なって求めた光量分布の重心(光量重心)に対応する位置をスポット位置とする場合もあり、図6に示すように、光の分布領域の幾何学的重心に対応する位置をスポット位置とする場合もある。
【0052】
光量のピーク値に対応する位置をスポット位置とする方法は、図4に示すように、光量分布がピークを中心になだらかに減少するような分布の場合に有効である。しかし、図5,図6に示すように、光量が大きい部分が数箇所に点在する分布の場合には、単純にピーク位置によりスポット位置を検出すると、検出したピーク値より僅かに小さい部分の位置が無視されることになり、正確なスポット位置を求めることができない。このような場合には、光量分布の重心となる位置を求める方法や、その分布領域の重心となる位置(面積重心)を求める方法を採用することが好ましい。
【0053】
また、上記3つの方法のうち、少なくとも2通りの処理結果に基づいて、スポット位置を再計算して求めることで、光スポット位置を再現性よく正確に求める事ができる。
【0054】
次に、図7を用いて、発光素子1の構造のバリエーションについて説明する。図7(a)に示すように、1つの実施態様では、発光素子1として発光ダイオード11が用いられる。この場合、あらゆる方向に光が射出されるため、この光をできるだけ有効利用するために、レンズ4Aをある程度大きくせざるを得ない。これに対し、図7(b)および図7(c)に示すように、共振器型発光ダイオード(RCLED:resonant cavity LED)12および面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)13を採用することで、光の放射角が小さく、その出射方向を限定することができるので、レンズ4Aの径と焦点距離を小さくすることが可能である。このことは、測距センサの小型化に有効である。
【0055】
なお、共振器型発光ダイオード12と面発光レーザ13とを比較すると、面発光レーザ13の方が光の放射角が小さく、小型化の効果は大きいが、共振器型発光ダイオード12の方がコストが低いという利点がある。また、面発光レーザ13はチップ上面より光が出射されるので、本実施の形態のように、発光素子1をリードフレーム6上に搭載する構造においては、搭載性に優れている(普通の半導体レーザは、チップ側面から発光するので、リードフレーム上に搭載できない)。さらに、共振器型発光ダイオード12または面発光レーザ13を採用した場合、発光ダイオード11に比べて有効利用できる光が格段に多く、発光させるために必要な電流が小さく消費電流も小さくできる利点がある(この点については、共振器型発光ダイオード12よりも面発光レーザ13の方が効果は大きい)。また、共振器型発光ダイオード12および面発光レーザ13の発光点の大きさは、発光ダイオード11のそれに比べて小さいので、発光側のレンズ4Aで平行光を作りやすく(発光ダイオード11の場合は平行光にはならず、ある程度のビーム広がりが生じる)、距離計測の精度が向上する(この点についても、共振器型発光ダイオード12よりも面発光レーザ13の方が効果は大きい)。
【0056】
図8は、本実施の形態に係る光学式測距センサの変形例の断面図である。図8に示すように、本変形例においては、受光側のレンズ4Bにフレネルレンズを用いている。
【0057】
受光側のレンズ4Bについては、被測定物で反射した光をできるだけ多く受光部21へ取り込む必要があるため、レンズ径を大きくしたいという要請があるが、通常のレンズでは、レンズ径を大きくすることにより、レンズ焦点距離が大きくなり、測距センサが大型化しやすくなる。これに対し、フレネルレンズを用いた場合は、レンズ径を大きく保ったままレンズ焦点距離を小さくすることができる。さらに、図9に示すように、レンズ4Bの厚みを薄くできる。この結果、測距センサの小型化を図ることができる。特に、測距センサの高さを小さくできる。
【0058】
図10は、本実施の形態に係る光学式測距センサの他の変形例の断面図である。図10を参照して、本変形例に係る測距センサは、発光素子1から被測定物に達する光経路上に回折格子8(図11参照)を設けたことを特徴とする。回折格子8は、発光素子1と受光素子2とが並ぶ方向に垂直に交差する方向(図10における紙面の前後方向)に発光素子1からの光を分割するものである。すなわち、本変形例に係る測距センサは、発光ビームが分割されたマルチビームの光学式測距センサである。なお、分割された各ビームの光強度は、互いに同じである。
【0059】
図12は、図10に示す光学式測距センサの使用状態を説明するための斜視図である。図12を参照して、検知範囲内に被測定物A,Bがある場合、被測定物A,Bの各々で反射した光の一部が、受光側のレンズ4Bを通してCMOSエリアセンサの受光部21に集光される。この集光位置(スポット位置)は、センサから非測定物までの距離により、図中X軸方向に変動(距離が遠いほどスポット位置はX軸の負の方向に寄る)し、センサから非測定物に向かう方向により、図中Y軸方向に変動する。したがって、受光部21上のどの位置にスポット位置があるかにより、被測定物の位置を検出できる。図12のように、被測定物が複数個存在する場合、それぞれの位置を検出可能である。
【0060】
なお、本光学式測距センサに利用する光の波長としては、赤外線を適用することで、外乱光の影響を低減できる。たとえば、発光素子1の発光波長として赤外領域のものを適用し、CMOSエリアセンサの受光波長も赤外にピーク感度を有するものとし、受光側のレンズ4Bと発光側のレンズ4Aとして可視光をカットする光学特性を有するものを適用することで、屋内の蛍光灯程度の光であれば、影響を受けることなく測定を行なうことが可能となる。しかし、白熱灯や太陽光のように赤外光が含まれる光の環境下で使用する場合は、さらに工夫が必要となる。この工夫としては、たとえば、所定のタイミングで発光素子1を駆動する駆動回路部26により、所定に期間内で所定の回数だけ発光素子1をパルス発光させその発光タイミングに同期して受光素子2側の信号を有効信号として抽出し、パルス発光回数分の平均値として出力する機能をもたせることが考えられる。
【0061】
本実施の形態に係る光学式測距センサによれば、被測定物で反射した光が集光される受光部21が複数のセルを有することにより、レンズ間距離(A)および受光部21と受光側のレンズ4Bとの焦点距離を過度に大きくすることなく、精度の高い計測を行なうことができる。したがって、小型化され、かつ、計測の精度が高い光学式測距センサを得ることができる。
【0062】
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係る光学式測距センサは、三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサであって、発光素子1と、発光素子1と同一平面上に設けられた受光素子2と、発光素子1と受光素子2とを各々封止する『第1および第2の透光性樹脂部』としての透光性樹脂部3(3A,3B)と、発光素子1および受光素子2の前方に各々設けられた『第1および第2のレンズ』としてのレンズ4(4A,4B)と、発光素子1および受光素子2間に所定の間隔(A)が形成されるように発光素子1および受光素子2を保持する遮光性樹脂部5とを備える。受光素子2は、複数のセル21Aを有し、発光素子1から放射され被測定物で反射した光が集光される受光部21と、受光部21における所定の位置を記憶する『メモリ部』としてのフラッシュメモリ部25と、複数のセル21Aによる上記光の検出結果に基づいて、受光部21における上記光の集光位置を検出するとともに、フラッシュメモリ部25に記憶された所定の位置と受光部21における上記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、被測定物までの距離を計測する『演算部』としての信号処理回路部22とを含む。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの上面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1,図2に示す光学式測距センサにおける受光素子の上面図である。
【図4】受光部上の集光状態を説明する図(その1)である。
【図5】受光部上の集光状態を説明する図(その2)である。
【図6】受光部上の集光状態を説明する図(その3)である。
【図7】発光素子の構造のバリエーションを説明する図である。
【図8】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの変形例の断面図である。
【図9】フレネルレンズを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図10】本発明の1つの実施の形態に係る光学式測距センサの他の変形例の断面図である。
【図11】図10に示す光学式測距センサに含まれる回折格子の上面図である。
【図12】図10に示す光学式測距センサの使用状態を説明するための斜視図である。
【図13】従来の光学式測距センサを示す断面図である。
【図14】三角測量方式の原理を説明するための図(その1)である。
【図15】三角測量方式の原理を説明するための図(その2)である。
【符号の説明】
【0065】
1,100 発光素子、2,200 受光素子、1A,2A 窓部、3,3A,3B,300,300A,300B 透光性樹脂部、4,4A,4B,400,400A,400B レンズ、5,500 遮光性樹脂部、6,600 リードフレーム、7,700 レンズケース、8 回折格子、11 発光ダイオード、12 共振器型発光ダイオード、13 面発光レーザ、21 受光部、21A 受光セル、22 信号処理回路部、23 ソフトメモリ部、24 データメモリ部、25 フラッシュメモリ部、26 駆動回路部、200A 集積回路部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサであって、
発光素子と、
前記発光素子と同一平面上に設けられた受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子とを各々封止する第1および第2の透光性樹脂部と、
前記発光素子および前記受光素子の前方に各々設けられた第1および第2のレンズと、
前記発光素子および前記受光素子間に所定の間隔が形成されるように前記発光素子および前記受光素子を保持する遮光性樹脂部とを備え、
前記受光素子は、
複数のセルを有し、前記発光素子から放射され前記被測定物で反射した光が集光される受光部と、
前記受光部における所定の位置を記憶するメモリ部と、
前記複数のセルによる前記光の検出結果に基づいて、前記受光部における前記光の集光位置を検出するとともに、前記メモリ部に記憶された前記所定の位置と前記受光部における前記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、前記被測定物までの距離を計測する演算部とを含む、光学式測距センサ。
【請求項2】
前記複数のセルは、前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に一列に並んで設けられている、請求項1に記載の光学式測距センサ。
【請求項3】
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記複数のセルの幅は5μm以下である、請求項1または請求項2に記載の光学式測距センサ。
【請求項4】
前記第1および第2のレンズの中心間距離は10mm以下であり、
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記受光部の幅は5mm以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項5】
前記第1および第2のレンズの中心間距離は2mm以下であり、
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記受光部の幅は1.5mm以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項6】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項7】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量重心に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項8】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、分布領域の幾何学的重心に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項9】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、および分布領域の幾何学的重心に対応する位置のうち少なくとも2つの位置を検出し、その検出結果の組合わせに基づいて前記受光部における前記光の集光位置を算出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項10】
前記メモリ部に記憶された前記受光部における所定の位置は、前記発光素子より投光され、前記光学式測距センサから所定の距離だけ離れた物体で反射した後、前記受光部へ集光された光の光量分布に基づいて求められた、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、分布領域の幾何学的重心に対応する位置、またはこれらの組合わせに基づいて算出された位置である、請求項6から請求項9のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項11】
前記受光素子の前方に設けられた第2のレンズはフレネルレンズである、請求項1から請求項10のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項12】
前記発光素子は、共振器型発光ダイオードである、請求項1から請求項11のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項13】
前記発光素子は、面発光レーザである、請求項1から請求項11のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項14】
前記発光素子から前記被測定物に達する光経路上に設けられ、前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に垂直に交差する方向に前記発光素子からの光を分割する回折格子をさらに備えた、請求項13に記載の光学式測距センサ。
【請求項15】
前記発光素子および前記受光素子は、同一のリードフレーム上に搭載される、請求項1から請求項14のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の光学式測距センサを備えた、電子機器。
【請求項1】
三角測量方式により被測定物までの距離を検出する光学式測距センサであって、
発光素子と、
前記発光素子と同一平面上に設けられた受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子とを各々封止する第1および第2の透光性樹脂部と、
前記発光素子および前記受光素子の前方に各々設けられた第1および第2のレンズと、
前記発光素子および前記受光素子間に所定の間隔が形成されるように前記発光素子および前記受光素子を保持する遮光性樹脂部とを備え、
前記受光素子は、
複数のセルを有し、前記発光素子から放射され前記被測定物で反射した光が集光される受光部と、
前記受光部における所定の位置を記憶するメモリ部と、
前記複数のセルによる前記光の検出結果に基づいて、前記受光部における前記光の集光位置を検出するとともに、前記メモリ部に記憶された前記所定の位置と前記受光部における前記光の集光位置との相対的な位置関係に基づいて、前記被測定物までの距離を計測する演算部とを含む、光学式測距センサ。
【請求項2】
前記複数のセルは、前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に一列に並んで設けられている、請求項1に記載の光学式測距センサ。
【請求項3】
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記複数のセルの幅は5μm以下である、請求項1または請求項2に記載の光学式測距センサ。
【請求項4】
前記第1および第2のレンズの中心間距離は10mm以下であり、
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記受光部の幅は5mm以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項5】
前記第1および第2のレンズの中心間距離は2mm以下であり、
前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に沿った前記受光部の幅は1.5mm以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項6】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項7】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量重心に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項8】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、分布領域の幾何学的重心に対応する位置を前記受光部における前記光の集光位置として検出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項9】
前記受光位置検出部は、前記受光部における光量分布に基づいて、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、および分布領域の幾何学的重心に対応する位置のうち少なくとも2つの位置を検出し、その検出結果の組合わせに基づいて前記受光部における前記光の集光位置を算出する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項10】
前記メモリ部に記憶された前記受光部における所定の位置は、前記発光素子より投光され、前記光学式測距センサから所定の距離だけ離れた物体で反射した後、前記受光部へ集光された光の光量分布に基づいて求められた、光量のピーク値に対応する位置、光量重心に対応する位置、分布領域の幾何学的重心に対応する位置、またはこれらの組合わせに基づいて算出された位置である、請求項6から請求項9のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項11】
前記受光素子の前方に設けられた第2のレンズはフレネルレンズである、請求項1から請求項10のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項12】
前記発光素子は、共振器型発光ダイオードである、請求項1から請求項11のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項13】
前記発光素子は、面発光レーザである、請求項1から請求項11のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項14】
前記発光素子から前記被測定物に達する光経路上に設けられ、前記発光素子と前記受光素子とが並ぶ方向に垂直に交差する方向に前記発光素子からの光を分割する回折格子をさらに備えた、請求項13に記載の光学式測距センサ。
【請求項15】
前記発光素子および前記受光素子は、同一のリードフレーム上に搭載される、請求項1から請求項14のいずれかに記載の光学式測距センサ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の光学式測距センサを備えた、電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−48606(P2010−48606A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211796(P2008−211796)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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