説明

光学的位置合せシステムおよび方法

本発明は、 第1光学素子(14)を受け入れる構造(12)を有するベース(10)と、第2光学素子(30)を受け入れ、第2接着手段(32)を介してこの第2光学素子(30)に取り付けられている構造(28)を有する第2偏心素子(26)を備えた偏心アセンブリ(22)を受け入れる貫通孔(20)を有する第1偏心素子とを含み、 第1偏心素子(18)は第1取付手段(24)を介してベース(10)と係合しており、第1光学素子(14)の光軸と第2光学素子(30)の光軸間の軸方向の位置合せは、偏心素子(18、26)のうちの少なくとも1つをベース(10)に対して回転させて調整することで達成される、位置合せシステム(100)を提供する。さらに、本発明はこの位置合せシステム(100)を形成し、使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、2006年10月16日付申請の米国特許出願第11/549,702とともに、2005年10月25日付申請の米国仮特許出願第60/729,626、発明の名称“Alignment System and Method”の利益を主張するものであり、これらはすべての目的において参照のために本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一連のコンポーネントを位置合せし、それらを位置合せした状態に保持するメカニズムに関する。具体的には、本発明は、光ファイバとレーザダイオード間、2つの光ファイバ間の安定した位置合せなど、少なくとも2つの光学コンポーネントの軸を位置合せするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバをレーザダイオードで位置合せする一般的な方法においては、一方でレーザダイオードを受け入れ、他方で光ファイバフェルールを受け入れる特大ホールを備えた1つのベースユニットを使用する。ファイバフェルールは多くの場合、クランプ、接着、溶接などの方法でベースに取り付けられる。位置合せは多くの場合、適切な位置合せ条件が満たされるまで、レーザダイオードを、多くの場合XY走査動作で特大ホールの周りに移動させることで実現される。次に、レーザダイオードは、接着、はんだ、レーザ溶接などの技術により適切な位置に取り付けられる。
【0004】
別のバリエーションにおいては、位置合せはまずレーザダイオードを適切な位置に取り付けることで実現され、ファイバ位置は、適切な位置合せが得られるまで変えられる。ファイバを支援し、接合/取り付けステップの助力となるように表面積を増加すべく、様々なスリーブを用いることができる。いくつかの用途では、ベアファイバは、マイクロポジショニング装置(micro-positioning equipment)を用いてベアレーザダイオードで位置合せされ、その後、少量のはんだがレーザで溶解され、冷却および硬化され、精密に位置合せされた状態でファイバが固定される。
【0005】
従来技術のほとんどが永続的なものである。このことは、このような従来技術による取付けを解体しようとすると、コンポーネントの一部に回復不能な損傷が生じることを意味する。さらに、このような従来技術は、位置合せプロシージャを実行するために、高額で非常に精密なポジショニング器具と装置とを要求することが多い。最後に、従来技術の多くは、うまく位置合せされたアセンブリを製造することができるが、これらは多くの場合で、溶接あるいは接合コンポーネントの物理的な重なり合いが制限されていることから、強度に制限があることが難点である。位置合せされたアセンブリにおいてコンポーネントを一緒に接合するために、一般的に接着剤が使用される。しかし、硬化において、ガス放出によってコンポーネントに損傷を与えるおそれがあり、また、多くの接着剤は硬化のときに縮んでしまう。これにより、高精度な位置合せが損なわれるおそれがある。さらに、接着剤は、耐久性において潜在的な課題をかかえている。湿度と温度の影響で、膨張、クリーピング、あるいは強度が損失するおそれがあり、これにより接合が失われるか、位置合せが損なわれてしまう。接合方法として溶接を用いることで、接着に関するいくつかの問題点を回避することができるが、コンポーネントを危険なまでに加熱することになり、この結果、損傷が生じないようにするために、複雑で、時として長いプロシージャが必要になる。溶接は、単一モードのファイバの位置合せなどの、非常に高精度な用途との互換性があまりよくない。その理由は、溶接処理における熱が、精密な位置合せを損なうのに十分な物理的欠陥を生じさせるおそれがあるからである。接合において用いられるはんだ技術は、接着に関するいくつかの問題点を回避することができるものの、同時に、溶融はんだが冷却し固まるのに要する相対的に長い時間に関連付けられる欠陥に悩まされる。高精度の位置合せは、はんだ冷却処理においてドリフトする、または偏向される可能性がある。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、従来の位置合せ技術に関連付けられる上述の不利な点を克服する。本発明は、安定したアセンブリが可能でありながら、再処理、試験、あるいはアップグレードのために取り除くことが可能なネジなどの物理的クランプ技術でアセンブルされる独特の能力を有する。一般的には、位置合せプロシージャを実行するために、高額で非常に精密なポジショニング器具および装置は必要ではない。本発明は、溶接あるいは接合されたコンポーネントの限定的な物理的重なり合いを必要としないので、これらに関わる問題点は発生しない。代わりに、本発明は、コンポーネントの位置合せを損なわずに永続的なアセンブリを形成するために溶接を使用可能とするように、クリティカルな位置合せ構造から十分に離れた有用な接合場所を提供するとともに、機械的なクランプオプションを与える。機械的剛性およびコンポーネントの物理的な重なり合いが多いことで、機械的ドリフトの問題なしにはんだを冷却することができ、また、より堅牢な物理的アセンブリを生成することができる。
【0007】
本発明は、位置合せシステムであって、該システムは、第1光学素子を受け入れる構造を有するベースと、第2光学素子を受け入れ、第2接着手段を介して第2光学素子に取り付けられた構造を有する第2偏心素子を備えた偏心アセンブリを受け入れる貫通孔を有する第1偏心素子とを含み、第1偏心素子は第1取付手段を介してベースと係合しており、第1光学素子の光軸と第2光学素子の光軸との位置合せは、偏心素子のうちの少なくとも1つをベースに対して回転させて調整することで達成される。
【0008】
さらに、本発明は、位置合せシステムであって、該システムは、第1光学素子を受け入れる第1貫通孔を有するベースと、第2光学素子を受け入れ、第2取付手段を介して第2光学素子に取り付けられる第3貫通孔を有する第2偏心素子を備えた偏心アセンブリを受け入れる第2貫通孔を有する第1偏心素子とを含み、第1偏心素子は第1取付手段を介してベースと係合しており、第1光学素子の光軸と第2光学素子の光軸との位置合せは、偏心素子の少なくとも1つをベースに対して回転させて調整することで実現される。
【0009】
システムのコンポーネントが位置合せされると、システム100はすべてのコンポーネントを位置合せされた場所にしっかりとロックする能力を与え、この結果、アセンブリが長期にわたって安定し固定された状態になる。このタイプのアセンブリは、ファイバ光素子で位置合せされたレーザダイオードを使用する場合に、商業的にピグテールアセンブリと呼ばれることが多い。第1取付手段をベースに固定する、あるいはクランプダウンすることで、ロック能力が与えられる。さらに、このクランプ動作により、第1偏心素子における構造が第2偏心素子の構造としっかり係合し、これにより、すべてのコンポーネントが適所に固定される。
【0010】
本発明の目的は、一連のオブジェクトをサブミクロン精度で位置合せすることである。しかし、本発明は、サブミクロン精度を要求しない一連のオブジェクトを位置合せするためにも使用することができる。
【0011】
本発明の別の目的は、物理的な衝撃が生じる場合や手荒に扱う場合であってもコンポーネント間に物理的に強い位置合せを提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、広範囲におよぶ環境条件にわたって、具体的には、温度範囲にわたって維持することのできる安定した位置合せを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、位置合せに必要な時間を短縮することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、オペレータが、簡単ですぐに利用できる装置(たとえば、指、レンチなど)を使用して、位置合せを調整できるようにすることである。
【0015】
本発明の別の目的は、簡単な自動化装置によって、位置合せプロシージャを完了できるようにすることである。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、一例として、本発明の可能な実施形態の少なくとも1つの原理を例示している添付の図面とあわせて以下のさらに詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面は、本発明の最良の実施形態の少なくとも1つを示す。図面は少なくとも1つの好ましい最良の実施形態を例示しており、そのような形態を以下にさらに詳細に記載する。当業者であれば、本願の精神および範囲から逸れることなく、本発明を変更および修正することができる。したがって、例示の実施形態は、単に例示目的で説明されており、以下に定義される発明を限定するものではない。
【0018】
配列システム
図1乃至7を参照すると、本発明は以下のコンポーネント、つまり、第1光学素子14を受け入れる構造(たとえば、図1乃至7に示すような第1スルーホール12)を有するベース10と、偏心アセンブリ22を受け入れる第2スルーホール20を備え、第1取付手段24を介してベース10と係合する第1偏心素子18とを備えた位置合せシステム100を提供する。偏心アセンブリ22は、第2光学素子30を受け入れ、第2取付手段32を介して第2光学素子30に取り付けられる構造(たとえば、図1乃至7に示すような第3スルーホール)を備えた第2偏心素子26を備える。第1光学素子14の光軸と第2光学素子30の光軸との位置合せは、偏心素子(18、26)のうちの少なくとも1つをベース10に対して回転させて調整することで実現される。位置合せが終わると、この調整された位置は第1取付手段24を用いて固定することができる。以下に、システム100の構成要素をより詳細に記載する。
【0019】
第1光学素子
第1光学素子14は、任意の、既知の光学素子であってよい。そのような素子としては、たとえば、レーザダイオード、光ファイバ、LED、ミラー、光センサーチップ、ホログラフィック光学素子などが挙げられる。図1乃至3では、第1光学素子14としてレーザダイオードを示す。
【0020】
ベース
ベース10は、システム100のアセンブリ全体の硬い土台(プラットホーム)としての役割を果たす。一般的には、ベースは、ベースを他の構造的コンポーネントへ取り付けることが可能な構造を備えることができる。このような構造としては、締め付け用フランジ、ボルトが通過可能な貫通孔、あるいは、ボルトを受け入れるネジ穴が挙げられるが、これらに限定されない。図2乃至4を参照すると、ベース10は、適切に既知の構造(たとえば、図2乃至4に示す第1貫通孔12、ポケット、正孔など)を、第1光学素子14を受け入れる一方の側に有する。このような構造(たとえば、貫通孔12)により、第1光学素子14からの光がシステム100内のその他のコンポーネントとやりとりできるようになる。
【0021】
この第1光学素子14をクランプ、ボルト、はんだ付け、溶接あるいは接着などを含む技術によってベース10に取り付ける必要があるが、これらの技術に限定されるものではない。ベース10には、第1光学素子14の取り付けを支援する構造、たとえば、接着剤を注入するための穴、接着剤で接合する際に助力となる粗面、あるいは、ボルトをクランプするためのネジ穴などを備えることができるが、これらに限定されるものではない。図2乃至4を参照すると、第1光学素子14からのベース10のもう一方の側に、高くしたカラー部(collar)16が設けられるのが好ましい。この高くしたカラー部16の外径は、第1偏心素子18と係合する構造である。好ましくは、各種構造の許容誤差は、第1光学素子14の光軸を確実に高くしたカラー部16の外面の軸の約0.100mm内に取り付けることができるように十分タイトなものとしなければならない。第1偏心素子18と第2偏心素子における偏心度を調整することで許容誤差がよりルーズになるように設計することが可能である。
【0022】
好ましくは、ベース10はさらに、第1接着手段24と係合し、ベース10に第1偏心エレメント18をしっかりとクランプするか取り付ける役割を果たす構造を備える。好ましくは、ベース10は、取付手段24がベース10と、その外部エッジにおいて係合し、さらに、第1偏心素子18が内部エッジにおいて係合し、その間の領域が支持されていない状態にすることができる、高くした外部リップ部11を備える。ベース10は、取付手段24が、クランプ、ボルト締め、はんだ付け、溶接あるいは接着剤を含む技術を用いてしっかりと取り付けられる構造を備えるのが好ましいが、これに限定されるものではない。取付手段24にクランプ圧をかけ、これにより第1偏心素子18をしっかりとクランプするように、取付手段24を貫通するボルトを使用することができるよう、ネジ穴(つまり、貫通孔)が設けられるのが好ましい。
【0023】
ある特定の第1光学素子14は温度制御を必要とし得ることに留意されたい。したがって、好ましくは、ベース10は、温度センサを取り付けるための穴などのフィーチャを備え得る。さらに、電子冷却器(thermo-electric cooler)などの冷却あるいは加熱メカニズムに効率的に結合することができる、大きなフラットファセットなどの取付構造を設けることが好ましい。温度制御が所望される場合は、熱伝導性の高い、温度の安定した材料を使用してベース10を構築することが好ましい。
【0024】
第1接取付手段
取付手段24は、ベース10と第1偏心素子18の両方に係合する。図1乃至3に示す好適な実施形態では、2つの貫通孔34を備えたクランプワッシャが取付手段24の一部となる。この貫通孔34は、クランプボルトがクランプワッシャを通ってベース10に入ることができるように設けられる。ボルトが締め付けられるときに、下方への圧力により第1偏心素子18がしっかりと所定の位置に締め付けられる。クランプ圧を生成しやすくするために、クランプワッシャの外部および内部エッジ間に空洞領域が設けられる。さらなるクランプ圧を与え、その内部および外部エッジに沿ってよりよく係合するように、クランプワッシャのわずかなカッピングがわずかなスプリングを形成することが好ましい。さらに、このようなスプリング効果は、位置合せプロセスにおいて有益である。クランプボルトにはわずかに張力がかけられてもよく、これにより、第1偏心素子18が自由に回転しないように十分なクランプ力が与えられ、それでも、十分な回転力を用いれば、回転させることができる。接着手段24を形成するために、数多くの様々なタイプの材料を用いることが可能であるが、耐食ばね鋼合金で接着手段を構築することが好ましい。
【0025】
システム100の図1、2に示す好ましい実施形態においては、クランプワッシャを取り付けるためにクランプボルト(図示せず)を利用しているが、別の方法を用いて取付手段を完成することができ、たとえば、接着剤、溶接、はんだ付け、および場合によっては、アーバープレスなどのプレス機器や圧入コンポーネントでさえも使用することができる。さらに、クランプワッシャは、外部エッジに沿ってネジ山がつけられ、ベース10の対応するネジ山と係合することも可能である。次いで、クランプワッシャが回転するときに、クランプワッシャはベース10側に移動し、第1偏心素子18にクランプ圧を与える。
【0026】
位置合せにおいて外部の調整メカニズムを利用する場合、第1取付手段24として、既知の外部メカニズムを使用することも可能である。コンポーネントを固定するために、溶接、はんだ付け、あるいは接着などの取り付け技術が用いられる間、外部メカニズムは、位置合せされた状態でシステム100全体を保持し、第1の偏心素子18にクランプ圧を与えなければならない。
【0027】
第1偏心素子
図1から3および5を参照すると、第2貫通孔20を備えた第1偏心素子18は、ベース10と偏心アセンブリ22の双方を機械的に係合する構造を有する。さらに、第1偏心素子18は、この第1偏心素子18が第1取付手段24によってロックされると、偏心アセンブリ22の位置をロックすることができる構造を有する。以下に詳細に説明しているように、第1偏心素子18は、位置合せプロセスに必要な回転軸の1つに加えて、所要の偏心オフセットの1つを提供する。この第2貫通孔20は階段状にされ(ステップがつけられ)、第1セクション36上に、ベース10の高くしたカラー部16の外径と係合する内径を有するのが好ましい。高くしたカラー部16と第1セクション36間には十分な機械的な重なり合いがあり、これにより、物理的結合が生成される。許容誤差は、第1偏心素子18が実質的に横方向に移動(がたつき(rattling))することなく、高くしたカラー部16上を自由に回転できるものとされている。第1偏心素子18の一方の端部37の外面は、第1取付手段24と係合する構造を提供する、外側に向かうリップ部38を備える。第1偏心素子18のもう一方の端部39の外面40は、指あるいはレンチでしっかりと握りやすくするように(図1に示すように)平らなファセットを備える。他の形態では、外面40は、ナーリング(knurling)、サンドブラスティングあるいはポリマーオーバーレイ材料(たとえば、シリコンラバーなど)を含む様々な表面処理を有することが可能であるが、それらに限定されるものではない。第2セクション42の内径は、偏心アセンブリ22の外部柱面と係合する。許容誤差は、偏心アセンブリ22が実質的に横方向に移動しないで自由に回転できるものとなる。第2セクション42の軸は、第1セクション36の軸に対して偏心している。この偏心オフセットは、任意の所望の範囲であってよい。この偏心オフセットは、約0.025mmから約1mmの範囲であり、より好適には、約0.050mmであるのが好ましい。第2貫通孔20の内面のリップ部44は、第2セクション42と同心のセクションを提供し、またその直径は、偏心アセンブリ22の一方の端部の自由空間(free clearance)を貫通できるものとされる。第1偏心素子18がその軸に沿いに、ベース10側に動かされるときに(たとえば、第1の取付手段24によるクランプ圧によって)、内面のリップ部44が偏心アセンブリ22の構造と係合し、これによりクランプ圧が伝送される。クランプ圧がかけられると、物理的許容誤差は、端部37がベース10の底部に達する前に、内面のリップ部44が偏心アセンブリ22としっかり係合することができるものとされる点に留意されたい。このように、システム100の全コンポーネントは、単一のクランプメカニズムによってクランプされる。端部37がベース10の底部に達してしまった場合、偏心アセンブリ22はしっかりと取り付けられず、また、機械的に位置合わせされた位置から外れてしまう。
【0028】
偏心アセンブリ
図1から図3および図6を参照すると、偏心アセンブリ22は、第2光学素子30を受け入れ、第2取付手段32を介して第2光学素子30に取り付けられる、適切な、既知の構造(たとえば、図1から3および図6に示す第3貫通孔28、ポケット、キャビティなど)を有する第2偏心素子26を備える。第2取付手段32は、図1から3と図6に示すナットなどの、任意の適切な、既知の取付手段であってもよいが、これに限定されない。偏心アセンブリ22はさらに、第3貫通孔28内に位置決めされ、リテーニングリングでそこに止められているボールレンズ46を備えることが好ましい。このボールレンズ46は、第1光学素子14から放出される光を集光し、この光を第2光学素子30に再結像(re-imaging)しやすいように、選択的に備えられる。ボールレンズ46がある場合、偏心アセンブリ22の光軸は、この光軸がボールレンズ46によって屈折された後、第2光学素子30の光軸によって決定される。ボールレンズ46がなければ、偏心アセンブリ22の光軸は、単に第2光学素子によってのみ決定される。しかし、いずれの場合でも、第2取付手段32が取り付けられると(たとえば、締め付けなど)、全体の偏心アセンブリ22は、1つの固定された光軸を有することになる。
【0029】
第2偏心素子
以下に説明するように、第2偏心素子26は、第1偏心素子18と第2光学素子30の両方に機械的に係合する構造を有する。第2偏心素子26は、位置合せプロセスに必要とされる回転軸の1つの他に、所要の偏心オフセットの1つを提供する。さらに、第2偏心素子26は、第1偏心素子18を通じてクランプ圧がかけられるときに、(第2偏心素子が)底部に達してベース10と係合できる構造を有する。好ましくは、第2偏心素子26は、第2取付手段32が第2光学素子30を所定の位置にしっかりと固定することができる構造を有する。さらに、第2偏心素子26により、ボールレンズ46を第3貫通孔28にしっかりと取り付けることが可能になる。
【0030】
図2、3および図7を参照すると、第2偏心素子26の一方の端部は、小径セクションであり、この部分を以下、ノーズ部50と称する。このノーズ部50は、ベース10の第1貫通孔12に適合する。許容誤差は、位置合せにおける最大の横方向のオフセットが第1貫通孔12の側面にノーズ部50を到達させないものとされている。ノーズ部50は、第1偏心素子18によってクランプ圧がかけられるときに、ベース10としっかり係合する。任意に、物理的クランププロセスの安全性を強化する表面摩擦を増加すべく、第2偏心素子26あるいはベース10の一方あるいは両方のあわせ面に粗面を設けることができる。ノーズ部50内の第3貫通孔28の領域は、ボールレンズ46を受け入れるのに十分な広い直径を有することが好ましい。さらに、ボールレンズ46を係合する内部のリップ部52を形成することができるように、第3貫通孔28の直径を縮小することが好ましい。第3貫通孔28に永続的に圧入されるリテーニングリング48は、ボールレンズ46のもう一方のサイドに係合し、また、内部のリップ部52に対してボールレンズをしっかりとクランプする。第2偏心素子26の外面の第1セクション54は、第2セクション42と係合する直径を有する。許容誤差は、第2偏心素子26が、実質的な横方向のオフセットなしに、第1偏心素子18内を自由に回転できるものとされている。第1偏心素子18と第2偏心素子26との間の係合長さが長いことで、クランプ時に物理的に強く安定したアセンブリを生成しやすくなる。
【0031】
図2、3および図7に戻ると、第2偏心素子26のもう一方の端部は、第2貫通孔20を貫通する小径を有する、縮小されたセクション56である。この縮小されたセクション56は、クランプ圧がかけられるときに、内面のリップ部44としっかりと係合する面を含む。任意に、物理的クランププロセスの安全性を強化する表面摩擦を増加するために、第1偏心素子18および/あるいは第2偏心素子26に粗い合わせ面を設けることができる。縮小された部分56の軸は、第1セクション54の軸に対して偏心している。この偏心オフセットは、任意の所望の範囲であってよい。この偏心オフセットは、約0.025mmから約1mmであり、より好ましくは、0.050mmであるのが好ましい。第2偏心素子26は、第2接着手段32への取付を支援する構造(たとえば、ネジ山など)を有するのが好ましい。
【0032】
図6、7を参照すると、第3貫通孔28は、第2偏心素子26の中心部を通って延びる。好適な実施形態では、第2貫通孔28の中心部分58の軸は、第1部分54の軸に対して偏心している。この偏心オフセットは任意の範囲であってよい。この第3貫通孔28の直径は、第2光学素子30を受け入れることができる大きさとする。好ましくは、第3貫通孔28(以下、エンドリップ部60と称する)の直径は、第2光学素子30のフランジ62を受け入れるポケットを形成する、わずかに拡大した大きさとする。このリップ部60は、第2取付手段32によってクランプ圧がかけられるときに、フランジ62と係合する面を有する。
【0033】
第2光学素子
図2、3、および図7を参照すると、第2光学素子30は、光ファイバ(図示せず)が所定の位置に取り付けられたファイバーフェルールを備えるのが好ましい。しかし、第2光学素子は、任意の適切な、既知の光学素子であってもよく、たとえば、レーザダイオード、光ファイバ、LED、レンズ、ミラー、光学センサーチップ、ホログラフィー光学素子などであってもよい。光学ファイバは、ファイバーフェルール64の面において研磨される。ファイバーフェルール64は、第3貫通孔28に適合する直径を有する長いノーズ部を備える。さらに、ファイバーフェルール64は、第3貫通孔28と係合するフランジ62を備える。フランジ62は基準面を生成し、これにより、ファイバーフェルール64は精密に制御された長さにまで研磨されることができる。このようにして、光ファイバの端部68は、第1光学素子14からの光を結合する最良の条件を保証するために、ボールレンズ46からの正確な距離を定めることができる。
【0034】
選択的に、ファイバーフェルール64は、任意の規格の商業品種であってもよく、たとえば、ST、FC、SMA、あるいは、カスタムフォームファクタ(custom form factor)でさえも可能であるが、これらに限定されない。ファイバーフェルール64は第2偏心素子26にしっかりと取り付けられ、光ファイバはボールレンズ46から正確な距離にセットされ、光ファイバの軸を第1光学素子18の軸とうまく位置合せできるように、第1偏心素子18と第2偏心素子26における偏心オフセットの組合せが十分に大きい事が望ましい。
【0035】
第2接着手段
第2接着手段32は、図7に示すナットを含む、取り付けに使用される、任意の適切な、既知の手段であってよいが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態において、および、図1から3と図6を参照すると、ナットは第2偏心素子26の外径のネジ山と係合し、第2光学素子30をしっかりと適所にクランプする。さらに、ナットはスプリット部分を有しており、これにより両端にファイバーフェルールを備えたパッチコード上にナットを配置することができる。ナットの外径は、指で握りやすくするように/指で回しやすくするように、きざみ仕上げされている。他の形態では、外面は様々な表面処理を施すことが可能であり、これには、レンチ用のファセット、サンドブラスティングあるいは、ポリマーオーバーレイ材料(たとえば、シリコンラバーなど)が挙げられるが、これらに限定されない。ファイバーフェルールが接着される前にナットが光ファイバーパッチコードに配置されていれば、ナットにはスプリットがなくてもよい。
【0036】
ベース10、第1偏心素子18、および/または第2偏心素子26を製造するために、様々な材料を用いることができる。強度、長期にわたる安定性、および、タイトな機械的許容誤差に機械加工できる能力に対しては、合金鋼などの金属が好ましい。しかし、これに限らず、セラミック、ガラス充填エポキシ(glass filled epoxy)、プラスチック、および、アルミや真ちゅうなどの、より軟質な金属合金などの他の材料を使用することもできる。さらに、コンポーネントの製造コストは、鋳造(molding)およびCNC技術などの大量の低コストの製造方法を用いることで、低く抑えることができる。
【0037】
システム100の適切な位置合せにより、第1光学素子14からの最大量の光がボールレンズ46を通って、第2光学素子30に結合される。
【0038】
位置合せシステムの概念的基礎
システム100において与えられる高精度な位置合せを可能とするように、偏心素子のペアがどのようにして協働するのかについて理解するには、1自由度だけを用いて概念的システムの限度を試験することが役立つ。図8、9に、2つのラミナー層(laminar layers)、ベース層(Base Layer)および層A(Layer A)を備えたシステムを示す。明確を期するためにこれらの層は分離して示されているが、実際には同一平面上にあるものと考えることができる。ベース層上にはターゲットA(ポイントT)が存在する。層A上には、円として示すような任意の形状、形状A(Shape A)が存在する。形状Aは回転中心部(形状Aの中心部においてXaと示すような)を有する。形状Aのある場所にはポイントAが存在する。このポイントはポイントXaとは一致しない。ポイントAをポイントTと位置合せすることが望まれる。許容された自由度により、形状Aは、ポイントXaの周囲を幾分かの角度qA回転可能である。qAを360度掃引すると、ポイントXaを中心とし、ポイントXaからポイントAまでの距離が半径RAに等しい円の周囲を画定する、取りうる点の位置の軌跡を有するパス上のポイントAを掃引することになる。ポイントTがポイントAによって掃引されたパス上に到達すれば(land on)、システムは位置合せされる。そうでなければ、図10に示すように、位置合せを完了するために別の自由度が必要となる。ポイントAがポイントXaと一致すれば、取りうる点の位置の軌跡は、円から単一の点へと縮退し、ポイントAの位置は回転形状Aによって調整されない。
【0039】
システム100によって所有される同じ2つの自由度を備えた概念システムを図10乃至13に示す。このシステム100は3つの層、ベース層、層Aおよび層Bから構成されるものと考えることができる。明確を期するためにこれらの層は分離して示されているが、実際には同一平面上にあるものと考えることができる。ベース層はターゲット(ポイントT)を有し、層Aは回転中心部Xa(形状Aの中心部において示す)を有する任意の形状、形状A(円として示す)を有することができる。層AはポイントAを有する。このポイントは、上述した理由と同じ理由でポイントXaとは一致しない。さらに、第3の層、層Bは、任意の形状、層B(同様に円として示す)を有する。形状Bのある場所にはポイントBが存在し、このポイントをポイントTと位置合せすることが望まれる。シェイプBは回転中心部Xb(形状Bの中心部において示す)を有しており、この中心部は、上述した理由と同じ理由でポイントBとは一致しない。形状Bは形状Aに取り付けられているので、ポイントXbを通る形状Bの回転軸は、ポイントAを通らなければならないという更なる制約がある。これは、形状Aが回転すれば、ポイントXbはポイントAに従うことになることを意味する。しかし、形状BはポイントXbの周りを自由に独立して回転する。
【0040】
図10、11に示すように、形状AがポイントXaの周りを回転するときに、ポイントAは、ポイントXaを中心とし、ポイントXaからポイントAまでの距離に等しいRAを有する円によって定義されるパス上に位置することになる。ポイントAのいずれの位置に対しても、形状Bを回転させることでポイントBは、Xbを中心とし、XbからポイントBまでの距離に等しい半径を有する円の周囲によって定義されるバス上に位置する。したがって、ポイントBの取りうる点の位置の完全な軌跡は、形状Aの回転によって生成されるポイントAのすべての取りうる点の位置に対して、形状Bの回転によって生成されるすべての取りうる点の位置を通してポイントBを掃引することで生成することができる。
【0041】
図12、13に示しているように、結果として生じるポイントBの最終的な点の位置は、RAおよびRBのベクトル加法を用いて予測することができる。ポイントBの取りうる点の位置の軌跡の範囲は、AおよびBで示しているように、ポイントAとポイントBとが一線上に位置するときに最大となる。次に、ポイントBの取りうる点の位置の軌跡は、ポイントXaを中心とし、半径がRLOCUS=R+Rの影のついた領域として示される。ポイントBが回転中心部、ポイントXaに対してどれほど近接しているかを予測するいくつかの特別な条件がある。R=Rの場合、ポイントBはポイントXaにちょうど一致して配置することができる。これを、AとBとを接続するベクトルのベクトル減算として示す。この配置により、ベクトルの長さはゼロになる。図示しているように、R>Rの場合、ポイントXaを中心とし、半径RMissing=R−Rで、ポイントBが到達することのできない点の位置の軌跡を画定する中心ゾーンが存在する。しかし、R<Rの場合、ポイントbはポイントAを越してポイントXaの反対側に実効的に位置決めされることから、中心のミッシングゾーン(central missing zone)は存在しない。このことは、ポイントAおよびポイントBに対しては、各々の位置を軌跡ゾーンにおいて指定する少なくとも1つの位置の組合せがあるが、多くの位置に対しては、うまく位置合せすることのできるポイントAおよびポイントBの冗長的な組合せがあることを意味する。
【0042】
これまでの例は、本発明によって提供される2つの回転軸が2つの同一平面にあるポイントを位置合せするために求められる2つの自由度を概念的にどのように提供するかを示すものである。光学コンポーネントを位置合せするときに、多くの場合、様々なコンポーネントの光軸を位置合せしなければならない点に留意されたい。図10、11に、一連のコンポーネントの光軸を位置合せ可能とするために使用される本発明の、必ずしも同一平面上にある必要のないレイヤを示す。図10、11に示す概念を、以下のような方法で図1乃至7に示すシステムにおいて直接的に表される。
・ベース10はベース層によって表される。
・第1偏心素子18は層Aによって表される。
・第2偏心素子26は層Bによって表される。
・第1光学素子14の光軸は、ターゲットポイントTを通る軸に等しい。
・ベース10と係合する第2貫通孔20部分の中心軸は、ポイントXaによって表される。
・第2偏心素子26と係合する第2貫通孔20部分のオフセット中心軸は、ポイントAによって表される。
・第1偏心素子18と係合する第2偏心素子26部分の中心軸は、ポイントXbによって表される。
および、
・光ファイバのオフセット中心軸は、ポイントBを通る軸によって表される。
したがって、まさに第2偏心素子26と第1偏心素子18間の回転調整と結合された第1偏心素子18とベース10間の回転調整があることで、システム100を使用して、光ファイバの光軸を第1光学素子14の光軸と位置合せすることができる。第2偏心素子26の2つの軸間の偏心的オフセット量と組み合わせられる第1偏心素子18の2つの軸間の偏心オフセット量によって、システム100が調整可能な範囲が決定される。
【0043】
位置合せシステムの動作
上述したシステム100を位置合せする数多くの技術がある。たとえば、好ましいプロセスは、第2取付手段がしっかりとロックされ、第1取付手段24に非常に軽いクランプ圧だけがかけられた状態でシステム100を堅く取り付けるステップから開始する。光ファイバのもう一方の端部は露出計に取り付けられ、第1光学素子14の電源が入れられる。第2取付手段32は、一方の手のペアの指で握られ、第1偏心素子18はもう一方の手で握られる。第2取付手段32は、偏心アセンブリ22が回転しないように保持され、第1偏心素子18は、光ファイバを通じて最大出力に達するまで回転される。次に、第1偏心素子18は、回転しない状態で保持され、一方で、第2取付手段32は、光ファイバを通じて新たな最大出力に達するまで偏心アセンブリ22が回転される。この点から、常に、光ファイバを介して出力を増加させる方向に、まず偏心素子(18あるいは26)の一方に対して非常に細かな回転調整がなされ、次に、もう一方の偏心素子(18あるいは26)に対して調整がなされる。これにより、オペレータは位置合せを実現することができ、これにより、非常に簡素な装置を用いて、非常に短い期間で、光ファイバを通じて出力量を最大にすることができる。最適な位置合せを実現すると、この位置合せは第1取付手段24によって(つまり、クランプワッシャによってボルトを回転させることで)ロックされる。
【0044】
本発明の他の実施形態
さらに、本発明は、3以上の一連のコンポーネントを位置合せするために使用することができる。たとえば、図14を参照すると、本発明は2つの光ファイバ(202、204)がその間にボールレンズ206を配置した状態にある別の位置合せシステム200を提供する。ボールレンズ206はベース208に取り付けられており、光アセンブリ210は、光ファイバ(202、204)を位置合せするように、ベース208の各端部に取り付けられている。光アセンブリ210は、第1光学素子14がないという点を除いて、上述したシステム100と同じやり方で構成される。
【0045】
本発明の範囲を維持しつつ、当業者であれば変更可能であった本発明の別の態様がある。1つの可能な変更として、回転動作のために使用される同心係合面(concentric engagement surfaces)の種類を変更することが挙げられる。たとえば、図1乃至3に示したシステム100では、第1偏心素子18のリップ部38は、ベース10の高くしたカラー部16上に設けられる。この設計に対する別の可能な形態としては、第1偏心素子18がベース10の第1貫通孔12に圧入するノーズ部を含むようにすることである。これにより、上記に示したシステム100とさほど変わらない形式で同様の位置合せメカニズムを実現することになるが、それでも本発明の範囲内である。
【0046】
本発明の範囲を維持しつつ、別の係合面もまた同様の形式で交換することが可能である。別の例として、第1偏心素子18の内側でなくて外側に第2偏心素子26が係合するように、システム100を変更することである。このようにすることで、図1から3に示す好ましい実施形態と同様に機能することが可能である。具体的には、代わりにボールレンズ46をベース10に取り付けるように、ベース10が変更する。
【0047】
本発明はさらに、コンポーネントの光軸が完全に平行でないときにも有益である。ボールレンズ46が、システム100の第2光学素子30の軸に対してわずかに中心から外れていれば、ボールレンズ46の外からの新たな光軸は、第1光学素子14の軸に対して正確に平行ではない。しかし、本発明はそれでも、第1光学素子14からの最大出力が、第2光学素子30に結合することができるように、コンポーネントを位置合せすることができる。このような能力は、光学パスへの後方反射を最小に抑えるために、1以上の素子がわずかに触れ合う状態(in a tipped fashion)で慎重に取り付けられる位置合せシステムに利用することが可能である。
【0048】
上述した好ましい実施形態とは異なる順序で同じ素子が利用されても、あるいは、別の素子が利用されても、本発明の範囲内である。たとえば、第2光学素子30はベース10にしっかりと取り付けることが可能であり、第1光学素子14の位置は、第2偏心素子26において第1光学素子14を取り付けることで調整することが可能である。あるいは、図1から3に示すレーザダイオードではなく、検出器が第1光学素子14であってもよく、これにより、光ファイバカプラアセンブリへのレーザではなく、ファイバ光受信アセンブリを生成する。これまでに示した他の形態のコンポーネントあるいはアレンジメントの長いリストはすべて、本発明を利用できる様々なアプリケーションの例である。
【0049】
さらに、システム100のコンポーネントのいくつかは、本発明の範囲を維持しながら変更することが可能である。たとえば、第2偏心素子26は、レンチを取り付けるために、第1偏心素子18に設けたファセットと同様のファセットを設けることが可能である。これにより、オペレータは、アセンブリを位置合せするために、指ではなくペアのレンチを使用することが可能となる。ある特定の場合では、システム100のコンポーネントのいくつかは、本発明の範囲を維持しながら省くことが可能である。上述のように、外部の位置合せ装置が使用され、第1接着手段24としてコンポーネントを一緒にロックするために、接着あるいは溶接プロセスが使用されれば、第1取付手段24としての役割を果たすクランプワッシャなしにシステム100を構築することが可能である。さらに、第2光学素子30が構築された第2偏心素子26を生成することにより、全体の偏心アセンブリ22の役割を果たす単一のコンポーネントを形成することも可能である。さらに、位置合せおよびロックダウンプロセスを実行するために、機械の使用要件と互換性があるようにコンポーネントの構造を変更することも可能である。これらのすべての変更は、それでも明らかに本発明の範囲内である。
【0050】
本発明の応用
本発明は、多くのタイプのコンポーネントを一緒に位置合せおよび取り付ける、広範囲にわたる様々な応用に使用できる。多重モードの光ファイバを図1に示すレーザダイオードに位置合せすることに加えて、本発明はさらに、単一モードの光ファイバをレーザダイオードで、光ファイバを光ファイバで位置合せするために使用することができる。本発明の別の実施形態は、多くのその他の一般的な光学および機械的位置合せの応用で使用することができる。本発明はさらに、LED、レーザ、電球、レンズ、センサ、ホログラフィック光学素子、回折光学素子、アパーチャなどの他の光学素子を位置合せする、および/または取り付けるために使用することができる。加えて、多くの様々なタイプの検出器が、直線アレイ、エリアアレイ、位置敏感検出器、単一素子検出器などの光学システムとの位置合せを要求し得ることがある。本発明は、たとえば、ファイバをレンズと、ファイバをセンサと、レンズをセンサと位置合せするといった多くの様々な光学アセンブリにおいて実用性がある。
【0051】
さらに、本発明の実用性は光学分野に限定されない。機械学の分野においては、本発明を用いてコンポーネントを位置合せできるさらなる例示的な状況を提供する。たとえば、シャフトエンコーダが回転シャフトと結合されているときに、2つのコンポーネント間の軸のずれにより、周期的な読み取りエラー(cyclic reading error)が生じる。本発明は、エンコーダをシャフトと精密に位置合せし、次にこの2つをしっかりとロックするために使用することが可能である。
【0052】
結論
上記に詳述した使用可能性は、先行技術の記録よりも新しいものと考えられ、さらに、本発明の最良の実施形態の少なくとも1つの態様のオペレーションにとって、また、上述の目的を達成するために欠かせないものである。本実施形態を説明するために本明細書で使用した用語は、それらの用語が一般的に定義される意味だけではなく、本明細書中の特定の定義;構造、材料あるいは一般的に定義される意味の範囲を越えた動作を含むものとする。したがって、本明細書に関連して、一要素が1以上の意味を含むものと理解され得るならば、その用法は、明細書によって、および、要素を説明する1つあるいは複数の作業によってサポートされるすべての可能な意味に対して一般的であるものと理解されなければならない。
【0053】
本明細書に記載した発明の実施形態、およびこれに関連する本明細書には記載していない実施形態の用語あるいは要素の定義は、したがって、本明細書においては、実際に説明されている要素の組合せだけではなく、すべての等価の構造、材料あるいは、実質的に同様の結果を得るために実質的に同じやり方で実質的に同じ機能を実行するために動作を含むものとする。したがって、この意味において、本発明およびその様々な実施形態における要素の任意の1つに対して2以上の要素によって等価に置換えてもよく、あるいは、請求項において2以上の要素に対して単一の要素によって置換えてもよいことが検討される。
【0054】
これまでに見てきた、現在知られているあるいは後に考案された請求された主題からの、当業者による変更は、本発明の範囲とその様々な実施形態の範囲において等価であると明確に検討される。したがって、当業者によって現在知られている、あるいは後に知られた明らかな置換は、定義された要素の範囲内であると定義される。よって、本発明とその様々な実施形態は、上記に具体的に例示され、記載されたもの、概念的に均等なもの、明らかに置換されるもの、および、本発明の本質となるアイディアを基本的に組み込むものを含むものと理解される。本発明を少なくとも1つの好ましい実施形態とともに記載してきたが、本発明はこれに限定されないことは当業者にとって明らかに理解される。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項とともにのみ解釈されるものであり、さらに、発明者達が請求された主題が発明であると信じることが明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の原理に従う光位置合せシステムの例示的実施形態の斜視図。
【図2】図1に示す光位置合せシステムの断面図。
【図3】図1に示す光位置合せシステムの別の断面図。
【図4】図1に示すベースの断面図。
【図5】図1に示す第1偏心素子の断面図。
【図6】図1に示す偏心アセンブリの断面図。
【図7】図1に示す第2偏心素子の断面図。
【図8】1自由度を備えた本発明の原理に従う概念的システムの等角図。
【図9】図8に示す概念的システムの上面図。
【図10】2自由度を備えた本発明の原理に従う別の概念的システムの等角図。
【図11】図10に示す概念的システムの上面図。
【図12】図10に示す概念的システムの上面図。
【図13】図10に示す概念的システムの上面図。
【図14】本発明の原理に従う光学位置合せシステムの別の例示的実施形態の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合せシステムであって、
第1光学素子を受け入れる構造を有するベースと、
第2光学素子を受け入れ、かつ、第2取付手段を介して前記第2光学素子に取り付けられる構造を有する第2偏心素子を備えた偏心アセンブリを受け入れる貫通孔を有する第1偏心素子とを備え、
前記第1偏心素子は第1取付手段を介して前記ベースと係合しており、前記第1光学素子の光軸と前記第2光学素子の光軸との軸の位置合せは、前記偏心素子のうちの少なくとも1つを前記ベースに対して回転させて調整することで実現される、位置合せシステム。
【請求項2】
前記第1光学素子は光ファイバであり、前記第2光学素子はレーザダイオードである、請求項1記載の位置合せシステム。
【請求項3】
前記第1光学素子および前記第2光学素子は、光ファイバ、レーザダイオード、光ファイバを含むファイバーフェルール、LED、レンズ、ミラー、光センサーチップ、ホログラフィック光学素子、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1記載の位置合せシステム。
【請求項4】
前記ベースの構造および前記第2偏心素子は、貫通孔、ミラー、光センサーチップ、ホログラフィック光検出器、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項5】
前記ベースは温度センサをさらに含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項6】
前記ベースは電子冷却装置をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項7】
前記ベース、前記偏心素子、および前記偏心アセンブリはすべて、単一のクランプメカニズムによって固定される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項8】
前記第1取付手段は、位置合せシステムを位置合せした状態に保持し、前記第1偏心素子にクランプ圧をかける外部機構である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項9】
前記位置合せシステムが位置合せされると、前記ベース、前記光学素子、前記第1偏心素子、および前記偏心アセンブリはすべて位置合せされた場所に確実にロックされて、ピグテールアセンブリとなる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項10】
前記第1接着手段は、クランプ、接着、溶接、はんだ付け、圧力およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項11】
前記ベース、前記第1偏心素子および前記第2偏心素子は、金属、合金鋼、アルミニウム、真ちゅう、セラミック、ガラス充填されたエポキシ、プラスチック、およびこれらの組合せからなる群より選択される材料から作られる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項12】
前記第1偏心素子および前記第2偏心素子は、きざみ仕上げ、サンドブラストオーバーレイ、レンチ用のファセット、ポリマーオーバーレイおよびこれらの組合せを含む群から選択される把持手段を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項13】
前記第2取付手段は、前記第2偏心素子の外径のネジ山と係合するナットである、請求項1乃至12のいずれか1項記載の位置合せシステム。
【請求項14】
前記ナットは、両端にファイバーフェルールを備えたパッチコード上にナットの配置を可能とするスプリットセクションを有する、請求項13記載の位置合せシステム。
【請求項15】
前記第2偏心素子は貫通孔を含み、前記偏心アセンブリはさらにボールレンズを含み、前記ボールレンズはリテーニングリングによって前記第2偏心素子の貫通孔中に保持される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項16】
前記第2偏心素子の貫通孔は、ボールレンズを係合するための径が狭まった部分を有する、請求項15記載の位置合せシステム。
【請求項17】
位置合せシステムであって、
第1光学素子を受け入れる第1貫通孔を有するベースと、
第2光学素子を受け入れる第3貫通孔を有する第2偏心素子を含む偏心アセンブリを受け入れる第2貫通孔を有する第1偏心素子とを含み、
前記第1偏心素子は外側のリップ部と内面のリップ部を含み、
前記第2貫通孔は、第1セクション、第2セクション、第3セクションを有し、
前記第3セクションの軸は、前記第2セクションの軸に対して偏心しており、
前記第2セクションの軸は、前記第1セクションの軸に対して偏心しており、
前記第1偏心素子は第1取付手段を介して前記ベースと係合しており、前記第1取付手段は、
前記ベース上の外側のリップ部と、前記第1セクションが係合する高くしたカラー部と、
少なくとも2つの貫通孔を有するクランプワッシャとを有し、
前記クランプワッシャの外部エッジは前記高くした外側のリップ部を係合し、前記クランプワッシャの内部エッジは前記外側のリップ部を係合するものであって、前記クランプワッシャは前記外部エッジと前記内部エッジとの間に支持されない領域を含むものであり、
前記第1偏心素子が前記ベースに取り付けられるように、前記クランプワッシャにクランプ圧をかける、クランプワッシャの貫通孔を貫通するクランプボルトとを有し、
前記第1セクションは、前記高くしたカラー部の外径と係合する内径を有し、また、前記高くしたカラー部と前記第1セクションの間には、物理的結合を生成するように十分な機械的な重なり合いがあり、
前記第2セクションは、前記偏心アセンブリの外面と係合する内径を有し、
前記第3セクションは、前記偏心アセンブリの一部が貫通できる内径を有し、
前記偏心アセンブリは、ナットを介して前記第2光学素子に取り付けられており、前記ナットは前記偏心素子の外径のネジ山と係合するものであって、
前記第2偏心素子はさらに、前記第1貫通孔内部にはまって係合するノーズ部、前記第2セクションと係合する外径を有する部分、および、前記第2貫通孔を貫通し、前記内面のリップ部と係合する外径を有する別のセクションを含み、
前記第1光学素子の光軸と前記第2光学素子の光軸との位置合せは、前記偏心素子のうちの少なくとも1つを前記ベースに対して回転させて調整することで実現される、位置合せシステム。
【請求項18】
前記高くしたカラー部および前記外部エッジは両方、互いに係合できるネジ山を有する、請求項17記載の位置合せシステム。
【請求項19】
位置合せプロセスにおける最大の横方向のオフセットは、前記第1貫通孔の側面に前記ノーズ部を到達させないようにされている、請求項17あるいは18に記載の位置合せシステム。
【請求項20】
前記第1偏心素子および前記第2偏心素子は、がたつきなしに、前記高くしたカラー部上を自由に回転できる、請求項17、18または19に記載の位置合せシステム。
【請求項21】
前記偏心アセンブリが、リテーニングリングによって前記第3貫通孔内に保持されているボールレンズをさらに含む、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の位置合せシステム。
【請求項22】
前記第3貫通孔は前記ボールレンズを係合するための径が狭まった部分を含む、請求項21記載の位置合せシステム。
【請求項23】
位置合せシステムであって、
ボールレンズと、
前記ボールレンズに取り付けられたベースと、
前記ベースの一方の端部に取り付けられた第1光学アセンブリと、
前記ベースのもう一方の端部に取り付けられた第2光学アセンブリとを含み、
前記第1光学アセンブリおよび前記第2光学アセンブリはそれぞれ、
光ファイバを受け入れ、第2取付手段を介して前記光ファイバに取り付けられる構造を有する第2偏心素子を含む偏心アセンブリを受け入れる貫通孔を有する第1偏心素子、および
第1取付手段を介して前記ベースと係合する前記第1偏心素子を含むものであって、
前記第1光学アセンブリの光ファイバの光軸と、前記第2光学アセンブリの光ファイバの光軸との位置合せは、前記偏心素子うちの少なくとも1つを前記ベースに対して回転させて調整することで実現される、位置合せシステム。
【請求項24】
コンポーネントの組を位置合せする方法であって、
位置合せシステムを提供するステップであって、該システムは、
第1光学素子を受け入れる構造を有するベース、および、
第2光学素子を受け入れ、かつ、第2取付手段を介して前記第2光学素子に取り付けられる構造を有する第2偏心素子を有する偏心アセンブリを受け入れる貫通孔を有する第1偏心素子を含み、
前記第1偏心素子は第1取付手段を介して前記ベースと係合しているところのステップと、
前記偏心素子のうちの少なくとも1つを前記ベースに対して回転させて調整することで前記位置合せシステムを位置合せするステップとを含む、方法。
【請求項25】
前記方法は、単一モード光ファイバ、複数モード光ファイバ、レーザダイオード、LED、電球、レンズ、センサ、ホログラフィック光学素子、回折光学素子、回折アパーチャ、直線アレイ、エリアアレイ、位置敏感検出器、単一素子検出器、およびこれらの組合せなどの群より選択されるコンポーネントを位置合せするために用いられる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、シャフトでシャフトエンコーダを位置合せするために用いられる、請求項24記載の方法。
【請求項27】
ベース、第1光学素子、第2光学素子、および偏心アセンブリを提供するステップであって、前記ベースは前記第1光学素子を受け入れる構造を備えており、前記第1偏心素子は前記偏心アセンブリを受け入れる貫通孔を備えており、前記偏心アセンブリは前記第2光学素子を受け入れる構造を有する第2偏心素子を備えているところのステップと、
第1取付手段を介して前記第1偏心素子に前記ベースを取り付けるステップと、
第2取付手段を介して前記第2光学素子に前記偏心アセンブリを取り付けるステップと、
前記偏心素子を前記偏心アセンブリに接続するステップとを含み、
前記第1光学素子の光軸と前記第2光学素子の光軸との位置合せは、前記偏心素子の少なくとも1つを前記ベースに対して回転させて調整することで実現される、請求項1に記載の位置合せシステムの形成法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−514021(P2009−514021A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537798(P2008−537798)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/040936
【国際公開番号】WO2007/050432
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】