説明

光学装置

【課題】消費電力を抑えつつリングの操作エラーを操作者に報知できるようにする。
【解決手段】リングRG1は、角度範囲AR1およびAR2を跨いで回転する。リングRG1の回転角度が角度θonまで増大すると、サブCPUによって主電源が起動される。ズームレンズ12の位置は角度範囲AR2におけるリングRG1の回転に伴って変更され、メインCPUは変更されたズームレンズ12の位置を参照してフォーカスレンズ16の位置を調整する。リングRG1の回転角度が角度θoffまで減少すると、サブCPUによって主電源が停止される。メインCPUは、上述した主電源の起動から停止までの期間のうち、リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まる一部の期間に、報知を間欠的に発生する。サブCPUは、報知の休止/再開に対応して主電源を停止/再起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学装置に関し、特にディジタルカメラに適用され、回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、ズームを指示するズームスイッチが押されると、メインマイコンはワイド方向へのズームをカメラAFマイコンに指示する。カメラAFマイコンは、ビデオレンズユニットに設けられたズームレンズをワイド方向に駆動する。ズーム位置はズーム位置検出ブロックによって検出され、検出結果はカメラAFマイコンを介してメインマイコンに伝えられる。ズーム位置がワイド端に達すると、メインマイコンは、表示信号発生ブロックを駆動して“ワイド端”を示す文字を電子式ビューファインダに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−331433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、ズームスイッチは電源スイッチから独立しているため、操作性に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、操作性を高めることができ、かつ消費電力を抑制することができる、光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う光学装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動手段(S3~S5, S13)、第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20, S65, S69)、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度(θoff)まで減少したときに電源を停止する停止手段(S57~S59, S81, S95, S125, S27~S29)、起動手段による起動から停止手段による停止までの期間のうち回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知手段(S31~S51, S67, S71~S87, S97~S143)、および報知手段によって発生される報知の休止/再開に対応して電源を停止/再起動する電源制御手段(S7, S13, S17~S29)を備える。
【0007】
好ましくは、報知手段は、報知時間が閾値に達する毎に電源オフ命令を発行する命令発行手段(S119, S143)、および命令発行手段の発行処理に関連して再起動時刻を設定する時刻設定手段(S117, S141)を含み、電源制御手段は、命令発行手段によって発行された電源オフ命令に応答して電源を停止する停止制御手段(S27~S29)、および時刻設定手段によって設定された再起動時刻の到来に応答して電源を起動する起動制御手段(S7, S13)を含む。
【0008】
好ましくは、報知手段は、回転部材の回転角度が第2角度範囲に達することなく第1角度範囲に留まる時期に第1報知を間欠的に発生する第1報知発生手段(S97~S119)、および回転部材の回転角度が第2角度範囲から第1角度範囲に移行した後でかつ第2特定角度に達することなく第1角度範囲に留まる時期に第2報知を間欠的に発生する第2報知手段(S121~S143)を含む。
【0009】
好ましくは、第2特定角度は第1特定角度よりも小さい角度に相当する。
【0010】
好ましくは、光学系の出力に基づく電子データを処理する処理手段(24)、および処理手段の設定を起動手段の処理に関連して初期化する初期化手段(S15)がさらに備えられる。
【0011】
好ましくは、撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段(18)がさらに備えられ、光学系は撮像面の前方に配置されたズームレンズ(12)を含み、調整手段は回転部材の回転に応じてズームレンズの位置を調整するズーム調整機構(20)を含む。
【0012】
この発明に従う動作制御プログラムは、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、および第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20)を備える光学装置(10)のプロセッサ(36, 38)に、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動ステップ(S3~S5, S13)、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度(θoff)まで減少したときに電源を停止する停止ステップ(S57~S59, S81, S95, S125, S27~S29)、起動ステップによる起動から停止手段による停止までの期間のうち回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知ステップ(S31~S51, S67, S71~S87, S97~S143)、および報知ステップによって発生される報知の休止/再開に対応して電源を停止/再起動する電源制御ステップ(S7, S13, S17~S29)を実行させるための、動作制御プログラムである。
【0013】
この発明に従う動作制御方法は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲(AR1)および第2角度範囲(AR2)を跨いで回転する回転部材(RG1)、および第2角度範囲における回転部材の回転を参照して光学系(12, 16)の設定を調整する調整手段(20)を備える光学装置(10)によって実行される動作制御方法であって、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度(θon)まで増大したときに電源を起動する起動ステップ(S3~S5, S13)、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度(θoff)まで減少したときに電源を停止する停止ステップ(S57~S59, S81, S95, S125, S27~S29)、起動ステップによる起動から停止手段による停止までの期間のうち回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知ステップ(S31~S51, S67, S71~S87, S97~S143)、および報知ステップによって発生される報知の休止/再開に対応して電源を停止/再起動する電源制御ステップ(S7, S13, S17~S29)を備える。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、電源は、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに起動され、回転部材の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに停止される。また、光学系の設定は、第1角度範囲に並ぶ第2角度範囲における回転部材の回転を参照して調整される。
【0015】
ただし、電源が起動された状態で回転部材の回転角度が第1角度範囲に留まると、報知が発生される。ここで、報知の発生態様は間欠的であり、電源は報知の休止/再開に対応して停止/再起動される。これによって、消費電力を抑えつつ回転部材の操作エラーを操作者に報知できる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例に適用されるリングの回転動作の一部を示す図解図である。
【図4】図2実施例の適用されるリングの回転動作の他の一部を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用される電源&ズーム制御機構の構成の一例を示す図解図である。
【図6】(A)は開始画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了画面の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は起動操作案内画面の一例を示す図解図であり、(B)は終了操作案内画面の一例を示す図解図である。
【図8】(A)は起動操作案内画面の表示/非表示動作の一例を示すタイミング図であり、(B)は主電源のオン/オフ動作の一例を示すタイミング図である。
【図9】トラッキングカーブの一例を示すグラフである。
【図10】(A)は終了操作案内画面の表示/非表示動作の一例を示すタイミング図であり、(B)は主電源のオン/オフ動作の一例を示すタイミング図である。
【図11】図2実施例に適用されるサブCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるサブCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図18】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図19】図2実施例に適用されるメインCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例の光学装置は、基本的に次のように構成される。回転部材1は、角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する。起動手段2は、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源7を起動する。調整手段3は、第2角度範囲における回転部材1の回転を参照して光学系8の設定を調整する。停止手段4は、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに電源7を停止する。報知手段5は、起動手段2による起動から停止手段4による停止までの期間のうち回転部材1の回転角度が第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する。電源制御手段6は、報知手段5によって発生される報知の休止/再開に対応して電源7を停止/再起動する。
【0020】
電源7は、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに起動され、回転部材1の回転角度が第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに停止される。また、光学系8の設定は、第1角度範囲に並ぶ第2角度範囲における回転部材1の回転を参照して調整される。
【0021】
ただし、電源7が起動された状態で回転部材1の回転角度が第1角度範囲に留まると、報知が発生される。ここで、報知の発生態様は間欠的であり、電源7は報知の休止/再開に対応して停止/再起動される。これによって、消費電力を抑えつつ回転部材1の操作エラーを操作者に報知できる。
[実施例]
【0022】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、電源回路42を含む。電源回路42は、互いに異なる複数の電圧値をそれぞれ示す複数の直流電源を生成する。生成された複数の直流電源の一部はサブCPU38に直接的に与えられ、生成された複数の直流電源の他の一部はスイッチ群44を介してサブCPU38以外の回路に与えられる。したがって、サブCPU38は常時起動されるのに対して、サブCPU38以外の回路はスイッチ群44のオン/オフに対応して起動/停止される。
【0023】
なお、サブCPU38以外の回路が起動した状態を“主電源オン状態”と定義し、サブCPU38以外の回路が停止した状態を“主電源オフ状態”と定義する。
【0024】
ディジタルカメラ10はまた、電源&ズーム制御機構20によって駆動されるズームレンズ12と、ドライバ22aおよび22bによってそれぞれ駆動される絞りユニット14およびフォーカスレンズ16とを含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0025】
図3〜図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、ズームレンズ12を囲むようにカメラ筐体CB1の前面に設けられ、撮像面に直交する方向に延びる光軸AXの回り方向に回転可能なリングRG1を有する。リングRG1は、θoff〜θteleの範囲で回転可能であり、この回転可能範囲は角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2に区分される。
【0026】
角度範囲AR1の下限角度および上限角度はそれぞれ“θoff”および“θwide”に相当し、角度範囲AR2の下限角度および上限角度はそれぞれ“θwide”および“θtele”に相当する。また、角度範囲AR1の中央付近に“θon”が割り当てられる。
【0027】
角度範囲AR1において、リングRG1の回転角度が“θoff”から“θon”まで増大すると、サブCPU38は、主電源オン状態に移行するべくスイッチ群44をオンし、さらにASIC52の設定を初期化する。
【0028】
起動したメインCPU36はまず、図6(A)に示す開始画面を既定時間(=10秒)だけLCDモニタ32に表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0029】
リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まる期間が閾値THon(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(A)に示す起動操作案内画面(リングRG1を“θwide”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0030】
リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まったまま、起動操作案内画面の表示時間が閾値THinit1(=1分)に達すると、メインCPU36は、再起動時刻設定命令1および電源オフ命令をサブCPU38に向けて連続的に発行する。
【0031】
サブCPU38は、再起動時刻設定命令1に応答して現在時刻の2分後の時刻を再起動時刻として設定し、続いて発行される電源オフ命令に応答して主電源をオフ(スイッチ群44をオフ)する。オフされた主電源は、再起動時刻が到来したときにサブCPU38によってオンされる。
【0032】
再起動時刻の到来によって主電源がオンされると、メインCPU38は、起動操作案内画面を速やかにLCDモニタ32に表示するべく、表示命令をキャラクタジェネレータ34に与える。これ以降は、リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まる限り、上述の処理が繰り返される。つまり、リングRG1の回転角度が“θon”〜“θwide”の範囲に留まる状態では、起動操作案内画面は3分に1分の割合で間欠的に表示され(図8(A)参照)、主電源は起動操作案内画面の表示/非表示に対応してオン/オフされる(図8(B)参照)。
【0033】
起動操作案内画面の表示の合間の主電源オフ期間にリングRG1の回転角度が“θwide”に達すると、上述と同様、サブCPU38によって主電源がオンされかつASIC52の設定が初期化される。一方、起動操作案内画面の表示中にリングRG1の回転角度が“θwide”に達したときは、これらの処理は省略される。
【0034】
リングRG1の回転角度が“θwide”に達したとき、メインCPU36は、電源制御タスクの下でドライバ22bを制御し、フォーカスレンズ16を初期位置に配置する。配置が完了すると、電源制御タスクによって撮像タスクが起動される。起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、フォーカスレンズ14の配置を初期化する前に、起動操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0035】
なお、主電源がオンされた状態で、リングRG1の回転角度が“θwide”に達することなく“θoff”にまで減少すると、メインCPU36は、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0036】
電源制御タスクによって起動された撮像タスクの下で、メインCPU36は、動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ22cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ22cは、周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージャ18の撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0037】
信号処理回路24は、イメージャ18から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路26を通してSDRAM28のYUV画像エリア28aに書き込まれる。LCDドライバ30は、YUV画像エリア28aに格納された画像データをメモリ制御回路26を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0038】
信号処理回路24はまた、画像データを形成するYデータをメインCPU36に与える。メインCPU36は、与えられたYデータにAE処理を施して適正EV値を算出し、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ22aおよび22cにそれぞれ設定する。これによって、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0039】
メインCPU36はまた、既定のAF起動条件が満足されたとき、信号処理回路24から与えられたYデータの高周波成分に基づいて簡易AF処理を実行する。これによってフォーカスレンズ14が合焦点に配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0040】
再び図5を参照して、電源&ズーム制御機構20は、角度範囲AR2におけるリングRG1の回転運動を光軸AXに沿う直線運動に変換する変換機構CV1をさらに含む。摺動機構SL1は、変換機構CV1によって変換された直線運動を利用してズームレンズ12を光軸AXに沿う方向に摺動させる。ズームレンズ12は、回転角度が“θwide”を示すときにワイド端に配置され、角度範囲AR2における回転角度の増大に伴ってテレ側に移動し、そして回転角度が“θtele”を示すときにテレ端に配置される。スルー画像のズーム倍率は、このようなズームレンズ12の移動に伴って変化する。
【0041】
フラッシュメモリ50には、図8に示すトラッキングカーブC0〜C13に相当するグラフデータが記憶される。図8を参照して、被写界深度が“無限”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC0に沿うように変化する。また、被写界深度が“20m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC1に沿うように変化する。さらに、被写界深度が“10m”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC2に沿うように変化する。
【0042】
同様に、被写界深度が“5m”,“3m”,“1m”,“0.9m”,“0.8m”,“0.7m”,“0.6m”,“0.5m”,“0.4m”,“0.3m”,“至近”である場合、合焦位置はズームレンズ12の位置に対してトラッキングカーブC3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10,C11,C12,C13に沿うように変化する。
【0043】
撮像タスクが起動された当初は、トラッキングカーブC0が参照トラッキングカーブとして設定される。ただし、簡易AF処理が完了する毎にズームレンズ12およびフォーカスレンズ14の現在位置に相当する座標が図8に示すグラフから検出される。参照トラッキングカーブは、検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新される。
【0044】
リングRG1の回転によってズームレンズ12の位置が変更されると、メインCPU36は、変更後のズームレンズ12の位置を参照したフォーカストラッキング処理を電源制御タスクの下で実行する。フォーカスレンズ14は、撮像タスクの下で設定された参照トラッキングカーブに沿って光軸方向に移動する。
【0045】
キー入力装置40に設けられたシャッタボタン40shが半押しされると、CPU36は、信号処理回路24から与えられたYデータに基づく厳格AE処理を撮像タスクの下で実行し、最適EV値を算出する。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ22aおよび22cにそれぞれ設定される。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整される。
【0046】
メインCPU36はまた、信号処理回路24から与えられたYデータの高周波成分に基づく厳格AF処理を撮像タスクの下で実行する。これによってフォーカスレンズ16が合焦点に配置され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。シャッタボタン42shが全押しされると、メインCPU36は、静止画取り込み処理を実行するとともに、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。
【0047】
シャッタボタン42shが全押しされた時点のシーンを表す撮影画像データは、静止画取り込み処理によってYUV画像エリア28aから静止画像エリア28bに退避される。記録処理の実行を命令されたメモリI/F46は、静止画像エリア28bに退避された撮影画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された撮影画像データを収めた画像ファイルを記録媒体48に記録する。
【0048】
リングRG1の回転角度が“θwide”を下回ると、メインCPU36は、図6(B)に示す終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するべく、電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令を与え、さらにドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0049】
リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θoff”の範囲に留まる期間が閾値THoff(=10秒)に達すると、メインCPU36は、図7(B)に示す終了操作案内画面(=リングRG1を“θoff”まで回転させる操作を促す報知画面)の表示を電源制御タスクの下でキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0050】
リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θoff”の範囲に留まったまま、終了操作案内画面の表示時間が閾値THinit2(=1分)に達すると、メインCPU36は、再起動時刻設定命令2および電源オフ命令をサブCPU38に向けて連続的に発行する。
【0051】
サブCPU38は、再起動時刻設定命令2に応答して現在時刻の2分後の時刻を再起動時刻として設定し、続いて発行される電源オフ命令に応答して主電源をオフ(スイッチ群44をオフ)する。オフされた主電源は、再起動時刻が到来したときにサブCPU38によってオンされる。
【0052】
再起動時刻の到来によって主電源がオンされると、メインCPU38は、終了操作案内画面を速やかにLCDモニタ32に表示するべく、表示命令をキャラクタジェネレータ34に与える。これ以降は、リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θoff”の範囲に留まる限り、上述の処理が繰り返される。つまり、リングRG1の回転角度が“θwide”〜“θoff”の範囲に留まる状態では、起動操作案内画面は3分に1分の割合で間欠的に表示され(図10(A)参照)、主電源は起動操作案内画面の表示/非表示に対応してオン/オフされる(図10(B)参照)。
【0053】
主電源がオンされている状態でリングRG1の回転角度が“θoff”に達すると、メインCPU36は、既定の終了処理を実行し、電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。サブCPU38は、主電源オフ状態に移行するべくスイッチ群44をオフする。
【0054】
なお、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示されていれば、メインCPU36は、終了処理を実行する前に、終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令する。キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。
【0055】
サブCPU38は、図11に示すフロー図を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、メモリ38mに記憶される。
【0056】
ステップS1では、フラグFLGrestart1およびFLGrestart2を“0”に設定する。フラグFLGrestart1およびFLGrestart2はいずれも、電源制御タスクの下でのメインCPU36の処理の流れを制御するためのフラグである。メインCPU36は、フラグFLGrestart1が“1”を示す状態で起動したとき図17に示すステップS97に速やかに移行し、フラグFLGrestart2が“1”を示す状態で起動したとき図18に示すステップS121に速やかに移行する。
【0057】
図11に戻って、ステップS3ではリングRG1の現在の回転角度が“θon”以上であるか否かを判別し、ステップS5ではフラグFLGrestart1およびFLGrestart2のいずれもが“0”を示すか否かを判別する。また、ステップS7では再起動時刻が到来したか否かを判別し、ステップS9ではリングRG1の現在の回転角度が“θwide”以上であるか否かを判別する。
【0058】
フラグFLGrestart1およびFLGrestart2がいずれも“0”を示す状態でリングRG1の回転角度が“θon”まで増大すると、ステップS3およびS5を経てステップS13に進む。また、フラグFLGrestart1およびFLGrestart2のいずれか一方が“1”を示す状態で再起動時刻が到来すると、ステップS7を経てステップS13に進む。さらに、フラグFLGrestart1およびFLGrestart2のいずれか一方が“1”を示す状態でリングRG1の回転角度が“θwide”まで増大すると、ステップS11でステップS1と同様の処理を実行してからステップS13に進む。
【0059】
ステップS13では主電源をオンし(スイッチ群44をオンし)、続くステップS15ではASIC52の設定を初期化する。初期化が完了すると、再起動時刻設定命令1がメインCPU36から発行されたか否かをステップS17で判別し、再起動時刻設定命令2がメインCPU36から発行されたか否かをステップS19で判別する。
【0060】
ステップS17の判別結果がYESであればステップS21に進み、フラグFLGrestart1を“1”に設定し、かつフラグFLGrestart2を“0”に設定する。ステップS19の判別結果がYESであればステップS23に進み、フラグFLGrestart1を“0”に設定し、かつフラグFLGrestart2を“1”に設定する。ステップS21またはS23の処理が完了すると、ステップS25で再起動時刻を設定し、その後にステップS27に進む。なお、ステップS17の判別結果およびステップS19の判別結果がいずれもNOであれば、そのままステップS27に進む。
【0061】
ステップS27では、電源オフ命令がメインCPU36から発行されたか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS17に戻り、判別結果がYESであればステップS29で主電源をオフしてから(スイッチ群44をオフしてから)ステップS3に戻る。
【0062】
メインCPU36は、図13〜図18に示す電源制御タスクと図19に示す撮像タスクとを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ50に記憶される。
【0063】
図13を参照して、ステップS31では、フラグFLGntc1を“0”に設定する。ここで、フラグFLGntc1は、起動操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。ステップS33では、フラグFLGrestart1およびFLGrestart2のいずれもが“0”であるか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS39に進み、判別結果がYESであればステップS35に進む。
【0064】
ステップS39では変数InitTIM1を“0”に設定し、続くステップS41ではフラグFLGrestart1およびFLGrestart2のいずれが“1”を示すかを判別する。フラグFLGrestart1が“1”を示すときはステップS41からステップS97に進む一方、フラグFLGrestart2が“1”を示すときはステップS41からステップS121に進む。
【0065】
ステップS35では現在時刻を変数TIM1に設定し、ステップS37では開始画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。この結果、開始画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0066】
ステップS43では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS45では、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”以上であるか或いはリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するという論理和条件が満足されるか否かを判別する。ステップS47では、変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THonを上回るか否かを判別する。
【0067】
ステップS45の判別結果およびステップS47の判別結果のいずれもがNOであればステップS43に戻り、ステップS45の判別結果がYESであればステップS53に進み、ステップS47の判別結果がYESであればステップS49に進む。
【0068】
ステップS49では起動操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS51ではフラグFLGntc1を“1”に更新する。ステップS49の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0069】
ステップS53ではフラグFLGntc1が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS57に進む一方、判別結果がYESであればステップS55で起動案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS57に進む。ステップS55の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって起動操作案内画面が消滅する。
【0070】
ステップS57では、リングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するか否かを判別する。判別結果がYESであれば、ステップS59で電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行し、その後に処理を終了する。判別結果がNOであればステップS61に進み、ドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16の配置を初期化する。初期化が完了すると、ステップS63で撮像タスクを起動する。
【0071】
ステップS65では、リングRG1の回転角度が変更されたか否かを繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”を下回るか否かをステップS67で判別する。判別結果がNOであればステップS69に進み、ドライバ22bを制御してフォーカストラッキングを実行する。フォーカスレンズ16の位置は、撮像タスクの下で設定された参照トラッキングカーブに沿って調整される。フォーカストラッキングが完了すると、ステップS65に戻る。
【0072】
ステップS67の判別結果がYESであれば、ステップS71で現在時刻を変数TIM1に設定する。ステップS73では、終了画面を既定時間(=10秒)だけ表示するようキャラクタジェネレータ34に命令を与える。キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了画面が既定時間だけLCDモニタ32に表示される。
【0073】
ステップS75では、ドライバ22bを制御してフォーカスレンズ16を退避位置に配置する。ステップS77では、フラグFLGntc2を“0”に設定する。ここで、フラグFLGntc2は、終了操作案内画面の表示/非表示を識別するためのフラグであり、“0”が非表示を示す一方、“1”が表示を示す。
【0074】
ステップS79では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS81ではリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するか否かを判別し、ステップS83では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THoffを上回るか否かを判別する。
【0075】
ステップS81の判別結果およびステップS83の判別結果のいずれもがNOであればステップS79に戻り、ステップS81の判別結果がYESであればステップS89に進み、ステップS83の判別結果がYESであればステップS85に進む。
【0076】
ステップS85では終了操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、続くステップS87ではフラグFLGntc2を“1”に更新する。ステップS87の処理が完了すると、ステップS121に進む。ステップS85の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0077】
ステップS89ではフラグFLGntc2が“1”を示すか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS93に進む一方、判別結果がYESであればステップS91で終了操作案内画面の非表示をキャラクタジェネレータ34に命令してからステップS93に進む。ステップS91の処理の結果、キャラクタジェネレータ34はキャラクタデータの出力を停止し、これによって終了操作案内画面が消滅する。
【0078】
ステップS93では既定の終了処理を実行し、ステップS95では電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。電源制御タスクは、ステップS95の処理の後に終了される。
【0079】
ステップS97では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS99では、変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THtm1を上回るか否かを判別する。ステップS101では、リングRG1の現在の回転角度が“θwide”以上であるか或いはリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するという論理和条件が満足されるか否かを判別する。ステップS99の判別結果およびステップS101の判別結果のいずれもがNOであればステップS97に戻り、ステップS101の判別結果がYESであればステップS53に移行し、ステップS99の判別結果がYESであればステップS103に進む。
【0080】
ステップS103ではフラグFLGntc1が“0”であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS109に進む一方、判別結果がYESであればステップS105〜S107の処理を経てステップS109に進む。ステップS105では起動操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS107ではフラグFLGntc1を“1”に更新する。
【0081】
ステップS105の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、起動操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0082】
ステップS109では変数InitTIM1が“0”であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS113に進む一方、判別結果がYESであればステップS111で現在時刻を変数InitTIM1に設定してからステップS113に進む。ステップS113では現在時刻を変数InitTIM2に設定し、ステップS115では変数InitTIM2から変数InitTIM1を減算して得られる数値が閾値THinit1を上回るか否かを判別する。
【0083】
判別結果がNOであればステップS97に戻り、判別結果がYESであればステップS117に進む。ステップS117では再起動時刻設定命令1をサブCPU38に向けて発行し、続くステップS119では電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。電源制御タスクは、ステップS119の処理の後に終了される。
【0084】
ステップS121では、現在時刻を変数TIM2に設定する。ステップS123では変数TIM2から変数TIM1を減算して得られる数値が閾値THtm1を上回るか否かを判別し、ステップS125ではリングRG1の現在の回転角度が“θoff”に相当するか否かを判別する。ステップS123の判別結果およびステップS125の判別結果のいずれもがNOであればステップS121に戻り、ステップS125の判別結果がYESであればステップS89に移行し、ステップS123の判別結果がYESであればステップS127に進む。
【0085】
ステップS127ではフラグFLGntc2が“0”であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS133に進む一方、判別結果がYESであればステップS129〜S131の処理を経てステップS133に進む。ステップS129では終了操作案内画面の表示をキャラクタジェネレータ34に命令し、ステップS131ではフラグFLGntc2を“1”に更新する。
【0086】
ステップS129の処理の結果、キャラクタジェネレータ34は命令に従うキャラクタデータを出力し、LCDドライバ30は出力されたキャラクタデータに基づいてLCDモニタ32を駆動する。これによって、終了操作案内画面がLCDモニタ32に表示される。
【0087】
ステップS133では変数InitTIM1が“0”であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS137に進む一方、判別結果がYESであればステップS135で現在時刻を変数InitTIM1に設定してからステップS137に進む。ステップS137では現在時刻を変数InitTIM2に設定し、ステップS139では変数InitTIM2から変数InitTIM1を減算して得られる数値が閾値THinit2を上回るか否かを判別する。
【0088】
判別結果がNOであればステップS121に戻り、判別結果がYESであればステップS141に進む。ステップS141では再起動時刻設定命令2をサブCPU38に向けて発行し、続くステップS143では電源オフ命令をサブCPU38に向けて発行する。電源制御タスクは、ステップS143の処理の後に終了される。
【0089】
図19を参照して、ステップS151では動画取り込み処理を実行する。この結果、スルー画像がLCDモニタ32に表示される。ステップS153ではシャッタボタン40shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS155に進む一方、判別結果がNOであればステップS157に進む。
【0090】
ステップS157では簡易AE処理を実行し、この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。ステップS159では既定のAF起動条件が満足されたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS155に戻る一方、判別結果がYESであればステップS161〜S163の処理を経てステップS155に戻る。
【0091】
ステップS161では簡易AF処理を実行し、これによってスルー画像の鮮鋭度が改善される。ステップS163では、ズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の現在位置に相当する座標を図8に示すグラフから検出し、参照トラッキングカーブを検出された座標上に存在するトラッキングカーブ或いは検出された座標を挟む2つのトラッキングカーブに基づいて作成されたトラッキングカーブに更新する。
【0092】
ステップS155の判別結果がYESであれば、ステップS165で厳格AE処理を実行し、ステップS167で厳格AF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさおよび鮮鋭度が厳格に調整される。厳格AF処理が完了すると、シャッタボタン40shが全押しされたか否かをステップS169で判別し、シャッタボタン40shの操作が解除されたか否かをステップS171で判別する。
【0093】
ステップS171の判別結果がYESであればステップS155に戻り、ステップS169の判別結果がYESであればステップS173で静止画取り込み処理を実行する。ステップS173の処理の結果、シャッタボタン40shが全押しされた時点のシーンを表す画像データがYUV画像エリア28aから静止画像エリア28bに退避される。
【0094】
ステップS175では、記録処理の実行をメモリI/F46に命令する。メモリI/F46は、静止画像エリア28bに退避された画像データをメモリ制御回路26を通して読み出し、読み出された画像データを収めた画像ファイルを記録媒体48に記録する。記録処理が完了すると、ステップS155に戻る。
【0095】
以上の説明から分かるように、リングRG1は、角度が増大する方向に並ぶ角度範囲AR1およびAR2を跨いで回転する。リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θonまで増大すると、サブCPU38によって主電源が起動される(S3~S5, S13)。ズームレンズ12の位置は角度範囲AR2におけるリングRG1の回転に伴って変更され、メインCPU36は変更されたズームレンズ12の位置を参照してフォーカスレンズ16の配置を調整する(S65, S69)。リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θoffまで減少すると、メインCPU36およびサブCPU38の協働によって主電源が停止される(S57~S59, S81, S95, S125, S27~S29)。メインCPU36は、上述した主電源の起動から停止までの期間のうち、リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まる一部の期間に、起動操作案内画面または終了操作案内画面(=報知)を間欠的にLCDモニタ32に表示する(S31~S51, S67, S71~S87, S97~S143)。サブCPU38は、このような報知の休止/再開に対応して主電源を停止/再起動する(S7, S13, S17~S29)。
【0096】
主電源は、リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θonまで増大したときに起動され、リングRG1の回転角度が角度範囲AR1に属する角度θoffまで減少したときに停止される。また、ズームレンズ12およびフォーカスレンズ16の設定は、角度範囲AR1に並ぶ角度範囲AR2におけるリングRG1の回転を参照して調整される。
【0097】
ただし、主電源が起動された状態でリングRG1の回転角度が角度範囲AR1に留まると、報知が発生される。ここで、報知の発生態様は間欠的であり、主電源は報知の休止/再開に対応して停止/再起動される。これによって、消費電力を抑えつつリングRG1の操作エラーを操作者に報知できる。
【0098】
なお、この実施例では、ディジタルカメラを想定しているが、この発明は顕微鏡,双眼鏡,望遠鏡などの光学装置にも適用できる。
【0099】
また、この実施例では、リングRG1の回転を促すときに起動操作案内画面および/または終了操作案内画面を報知として出力するようにしている。しかし、これらの案内画面に代えて或いはこれらの案内画面とともに、振動や音声を報知として出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
16 …フォーカスレンズ
20 …電源&ズーム制御機構
34 …キャラクタジェネレータ
36 …メインCPU
38 …サブCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動手段、
前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに前記電源を停止する停止手段、
前記起動手段による起動から前記停止手段による停止までの期間のうち前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知手段、および
前記報知手段によって発生される報知の休止/再開に対応して前記電源を停止/再起動する電源制御手段を備える、光学装置。
【請求項2】
前記報知手段は、報知時間が閾値に達する毎に電源オフ命令を発行する命令発行手段、および前記命令発行手段の発行処理に関連して再起動時刻を設定する時刻設定手段を含み、
前記電源制御手段は、前記命令発行手段によって発行された電源オフ命令に応答して前記電源を停止する停止制御手段、および前記時刻設定手段によって設定された再起動時刻の到来に応答して前記電源を起動する起動制御手段を含む、請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記回転部材の回転角度が前記第2角度範囲に達することなく前記第1角度範囲に留まる時期に第1報知を間欠的に発生する第1報知発生手段、および前記回転部材の回転角度が前記第2角度範囲から前記第1角度範囲に移行した後でかつ前記第2特定角度に達することなく前記第1角度範囲に留まる時期に第2報知を間欠的に発生する第2報知手段を含む、請求項1または2記載の光学装置。
【請求項4】
前記第2特定角度は前記第1特定角度よりも小さい角度に相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記光学系の出力に基づく電子データを処理する処理手段、および
前記処理手段の設定を前記起動手段の処理に関連して初期化する初期化手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
撮像面で捉えられたシーンを表す電子画像を出力する撮像手段をさらに備え、
前記光学系は前記撮像面の前方に配置されたズームレンズを含み、
前記調整手段は前記回転部材の回転に応じて前記ズームレンズの位置を調整するズーム調整機構を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、および前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段を備える光学装置のプロセッサに、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動ステップ、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに前記電源を停止する停止ステップ、
前記起動ステップによる起動から前記停止手段による停止までの期間のうち前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知ステップ、および
前記報知ステップによって発生される報知の休止/再開に対応して前記電源を停止/再起動する電源制御ステップを実行させるための、動作制御プログラム。
【請求項8】
角度が増大する方向に並ぶ第1角度範囲および第2角度範囲を跨いで回転する回転部材、および前記第2角度範囲における前記回転部材の回転を参照して光学系の設定を調整する調整手段を備える光学装置によって実行される動作制御方法であって、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第1特定角度まで増大したときに電源を起動する起動ステップ、
前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に属する第2特定角度まで減少したときに前記電源を停止する停止ステップ、
前記起動ステップによる起動から前記停止手段による停止までの期間のうち前記回転部材の回転角度が前記第1角度範囲に留まる一部の期間に報知を間欠的に発生する報知ステップ、および
前記報知ステップによって発生される報知の休止/再開に対応して前記電源を停止/再起動する電源制御ステップを備える、動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−29606(P2013−29606A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164560(P2011−164560)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】